(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
E02F3/43 E
(21)【出願番号】P 2019055445
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】金澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】森木 秀一
(72)【発明者】
【氏名】井村 進也
(72)【発明者】
【氏名】泉 枝穂
(72)【発明者】
【氏名】千葉 孝昭
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/158779(WO,A1)
【文献】特許第4477209(JP,B2)
【文献】特許第4460123(JP,B2)
【文献】特許第5548306(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業具と、
前記作業具の位置を制御する少なくとも1つの位置制御アクチュエータ、および前記作業具の姿勢を制御する少なくとも1つの姿勢制御アクチュエータを含む複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータの動作を指示する操作装置と、
前記操作装置の操作量に基づき前記複数のアクチュエータの少なくとも1つを制御する制御信号を出力するコントローラと、
複数の目標面からなる設計面の情報を記憶する設計面記憶装置とを備え、
前記コントローラは、前記複数の目標面の中から、前記作業具に最も近い目標面である第1目標面を抽出し、前記第1目標面に対する前記作業具の位置および姿勢に基づいて、前記複数のアクチュエータのうち少なくとも1つのアクチュエータの動作速度を制御する作業機械において、
前記コントローラは、
前記複数の目標面の中から、前記第1目標面に隣接する目標面である第2目標面を抽出し、
前記第1目標面と前記第2目標面の境界線である第1境界線を算出し、
前記作業具が前記第1境界線を通過する前に、前記作業具
の刃先上に設定された基準線と前記第1境界線との角度差が小さくなるように、前記姿勢制御アクチュエータの制御信号を補正する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記コントローラは、前記姿勢制御アクチュエータの制御信号を補正する際に、前記基準線と前記第1境界線との角度差が大きくなるほど、前記第1境界線に向かう側の前記作業具の動作速度の減速度合いが大きくなるように、前記位置制御アクチュエータの制御信号を補正する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機械において、
前記コントローラは、
前記作業具上に設定された基準点から前記第1境界線までの距離である第1境界線距離を算出し、
前記第1境界線距離が閾値未満の場合、前記基準線と前記第1境界線との角度差が小さくなるように、前記姿勢制御アクチュエータの制御信号を補正する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械において、
前記コントローラは、
前記作業具上に設定された基準点から前記第1境界線までの距離である第1境界線距離を算出し、
前記第1境界線距離が閾値未満の場合、前記作業具の移動速度が制限速度以下となるように、前記位置制御アクチュエータの制御信号を補正する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1に記載の作業機械において、
前記コントローラは、
前記作業具の動作速度の前記第1境界線に向かう方向の速度成分である境界線接近速度を算出し、
前記境界線接近速度が閾値以上の場合、前記作業具の移動速度が制限速度以下となるように、前記位置制御アクチュエータの制御信号を補正する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項6】
請求項1に記載の作業機械において、
前記コントローラは、
前記複数の目標面の中から、前記第2目標面とは別に前記第1目標面に隣接する目標面である第3目標面を抽出し、
前記第1目標面と前記第3目標面の境界線である第2境界線を算出し、
前記作業具上に設定された基準点から前記第1境界線までの距離である第1境界線距離を算出し、
前記基準点から前記第2境界線までの距離である第2境界線距離を算出し、
前記第1境界線距離および前記第2境界線距離がともに閾値未満である場合、前記姿勢制御アクチュエータの制御信号の補正を停止する
ことを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化施工への対応に伴い、油圧ショベル等の作業機械には、ブーム、アーム、バケットなどの作業機構の位置や姿勢を設計面に沿って動くように制御するマシンコントロール機能を有するものがある。その代表的なものとして、バケット先端が設計面に近づくと、それ以上バケット先端が設計面方向に進まないように、作業機構の動作に制限をかけるものが知られている。
【0003】
土木工事施工管理基準において、設計面に対する高さ方向の許容精度の規格値が定められている。設計面の出来形の誤差が許容値を超える場合は、施工のやり直しが発生することで作業効率が低下する。したがって、マシンコントロール機能は、出来形の許容精度を満たすために必要な制御精度を有することが求められている。
【0004】
一方、近年、バケットの回動軸に垂直な2軸(チルト軸、ロータリ軸)をアームに対して回動することが可能な、ロータリチルトバケットが普及している。このロータリチルトバケットを備えた作業機械は、走行体が正対することが困難な法面(傾斜面)に対してバケットの姿勢を沿わせることが可能なため、整形作業が可能となる設計面の種類が、従来の作業機構に比べて大幅に増加している。しかしながら、操作者が同時に操作する必要のあるアクチュエータ数が増加するため、整形作業時のレバー操作が難しくなることが課題となる。
【0005】
また、ロータリチルトバケットの普及に伴い、チルト軸周りの回動操作を支援するマシンコントロール機能が普及し始めている。従来のブーム、アーム、バケット操作の支援に加えて、チルト操作を支援することで、チルト操作を含む整形作業を、熟練度の低い操作者が高い精度で行うことが可能となる。操作者のチルト操作を支援する技術の一例として、特許文献1にロータリチルトバケットのチルト回動軸の制御方法が開示されている。特許文献1に示されるショベルの制御装置は、バケット上に定義されたバケット線と、設計面の勾配が平行になるように、バケットのチルト角度を自動制御で調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
設計面は、面の法線方向が大きく異なる複数の面から構成されており、一度の整形動作で、バケットが連続する複数の面を通過する可能性がある。ある面から連続する次の面へバケットが通過しながら整形作業を行う場合には、面が切り替わった後にも出来形精度を維持するため、バケットが次の面に対して線接触状態を維持する必要がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されるような制御装置は、ある面から連続する次の面へバケットが通過する場合に、次の面に対してバケットと面が一時的に点接触状態になる可能性がある。これにより、次の面に対するバケットの姿勢制御の開始が遅れるため、境界線付近の整形精度が低下する恐れがある。また、境界線付近の整形を行うには、境界線通過後に面に対してバケットの姿勢を合わせ、一度通過した境界線方向に戻るようにバケットを動作させる必要があるため、整形作業の効率が低下する。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、隣接する2つの目標面の境界線を作業具が通過する際に、作業具と各目標面との線接触状態を維持することにより、境界線付近の整形精度を向上させることができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、作業具と、前記作業具の位置を制御する少なくとも1つの位置制御アクチュエータ、および前記作業具の姿勢を制御する少なくとも1つの姿勢制御アクチュエータを含む複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータの動作を指示する操作装置と、前記操作装置の操作量に基づき前記複数のアクチュエータの少なくとも1つを制御する制御信号を出力するコントローラと、複数の目標面からなる設計面の情報を記憶する設計面記憶装置とを備え、前記コントローラは、前記複数の目標面の中から、前記作業具に最も近い目標面である第1目標面を抽出し、前記第1目標面に対する前記作業具の位置および姿勢に基づいて、前記複数のアクチュエータのうち少なくとも1つのアクチュエータの動作速度を制御する作業機械において、前記コントローラは、前記複数の目標面の中から、前記第1目標面に隣接する目標面である第2目標面を抽出し、前記第1目標面と前記第2目標面の境界線である第1境界線を算出し、前記作業具が前記第1境界線を通過する前に、前記作業具の刃先上に設定された基準線と前記第1境界線との角度差が小さくなるように、前記姿勢制御アクチュエータの制御信号を補正するものとする。
【0011】
以上のように構成した本発明によれば、作業具上に設定された基準線と、隣接する2つの目標面の境界線との角度差が算出され、作業具が境界線を通過する前に、基準線と境界線との角度差が小さくなるように作業具の姿勢が制御される。これにより、作業具が境界線を通過する際に、作業具と各目標面との線接触状態が維持されるため、境界線付近の整形精度を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る作業機械によれば、隣接する2つの目標面の境界線を作業具が通過する際に、作業具と各目標面との線接触状態が維持されるため、境界線付近の整形精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る油圧ショベルの外観を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施例に係る油圧ショベルの駆動機構を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施例に係る油圧ショベルに搭載される油圧アクチュエータ制御システムを概略的に示す油圧回路図である。
【
図4】本発明の第1の実施例に係る設計面と目標面の定義の詳細を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に係る目標面と作業具に係る演算値の定義の詳細を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施例に係るコントローラの処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【
図7】本発明の第1の実施例に係る姿勢補正量演算部の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【
図8】本発明の第1の実施例に係る姿勢補正量演算部の姿勢補正による作業具の動作を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施例による境界線付近の整形精度が向上する効果を示す図である。
【
図10】第2の実施例に係るコントローラの処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【
図11】第2の実施例に係る動作速度補正部の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【
図12】第3の実施例に係る姿勢補正量演算部の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【
図13】第3の実施例に係る動作速度補正部の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【
図14】第4の実施例に係る動作速度補正部の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【
図15】第5の実施例に係る目標面の定義の詳細を示す図である。
【
図16】第5の実施例に係るコントローラの処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【
図17】第5の実施例に係る姿勢補正量演算部の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【
図18】第6の実施例に係るコントローラの処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【
図19】第6の実施例に係る姿勢補正量演算部および動作速度補正部の指令変換マップの一例を示す図である。
【
図20】第6の実施例に係る姿勢補正量演算部および動作速度補正部の演算処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において、当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の第1の実施例に係る油圧ショベル100の外観を模式的に示す図である。
【0016】
図1において、油圧ショベル100は、回動する複数の被駆動部材(ブーム4、アーム5、バケット(作業具)6)を連結して構成された、多関節型のフロント装置(フロント作業機)1と、車体を構成する上部旋回体2および下部走行体3とを備え、上部旋回体2は下部走行体3に対して旋回可能に設けられている。また、フロント装置1のブーム4の基端は上部旋回体2の前部に回動可能に支持されており、アーム5の一端はブーム4の基端とは異なる端部(先端)に回動可能に支持されており、アーム5の他端にはバケット6が回動可能に支持されている。
【0017】
操作者が搭乗する運転室9には、油圧アクチュエータ2a,4a~6a,6b,6c(
図2に示す)を操作するための操作信号を出力する操作レバー装置(操作装置)9aと、走行モータ3aを駆動するための操作信号を出力する操作レバー装置(操作装置)9bが設けられている。操作レバー装置9aは前後左右に傾倒可能な2本の操作レバーであり、傾倒方向と傾倒量に応じて油圧アクチュエータ2a,4a~6aを操作する。加えて、操作レバー装置9aは、連続的な信号を出力可能な物理スイッチ2つを含み、油圧アクチュエータ6b,6cを操作するための電気信号を出力する。操作レバー装置9bは前後方向に傾倒可能な2本の操作レバーであり、傾倒方向と傾倒量に応じて油圧アクチュエータ3aを操作する。操作レバー装置9a,9bは、操作レバーの傾倒量(レバー操作量)に相当する操作信号を電気的に検出する検出装置とを含み、検出したレバー操作量を制御装置であるコントローラ10(
図3に示す)に電気配線を介して出力する。
【0018】
油圧アクチュエータ2a~6a,6b,6cの動作制御は、原動機40によって駆動される油圧ポンプ7から、各油圧アクチュエータ2a~6a,6b,6cに供給される作動油の方向および流量を、コントロールバルブ8で制御することにより行う。コントロールバルブ8の制御は、パイロットポンプ70(
図3に示す)から電磁比例弁を介して出力される駆動信号(パイロット圧)により行われる。操作レバー装置9a,9bが検出した操作レバー操作量の電気信号に基づいて、コントローラ10で電磁比例弁を制御することにより、各油圧アクチュエータ2a~6a,6b,6cの動作が制御される。
【0019】
なお、操作レバー装置9a、9bは、上記と異なる油圧パイロット方式であってもよく、操作レバーの操作方向および操作量に応じたパイロット圧を、駆動信号としてコントロールバルブ8に直接供給し、各油圧アクチュエータ2a~6aを駆動するように構成しても良い。
【0020】
図2は、油圧ショベル100の駆動機構を概略的に示す図である。
【0021】
油圧ショベル100には、上部旋回体2に固定された座標系F1と、下部走行体3に固定された座標系F2の2つが定義されている。座標系F1と座標系F2は、z軸方向が同一であり、原点位置がz軸方向にオフセットされた座標系とする。
【0022】
ブーム4、アーム5は、ブームシリンダ4a、アームシリンダ5aの駆動によって、単一の平面(以下、動作平面)上で動作する。動作平面は、ブーム4の回動軸A1およびアーム5の回動軸A2に直交する平面であり、上部旋回体座標系F1のx-z平面として定義される。動作平面は、旋回モータ2aが回動軸A3周りに回動することで、上部旋回体2の旋回動作に応じて回動する。
【0023】
バケット6は、バケットシリンダ6a、チルトシリンダ6b、ロータリモータ6cの駆動によって、ロール、ピッチ、ヨー方向にバケット6の姿勢を制御することができる。ここで、ロール方向は上部旋回体座標系F1のX軸周りの回転方向、ピッチ方向は上部旋回体座標系F1のY軸周りの回転方向、ヨー方向は上部旋回体座標系F1のZ軸周りの回転方向と定義する。バケットシリンダ6aの駆動によって、回動軸A4周りのロール方向にバケット6が回動する。チルトシリンダ6bの駆動によって、回動軸A5周りのピッチ方向にバケット6が回動する。ロータリモータ6cの駆動によって、回動軸A6周りのヨー方向にバケット6が回動する。
【0024】
慣性計測装置11~14は、角速度および加速度を計測するものである。車体慣性計測装置11、ブーム慣性計測装置12、アーム慣性計測装置13、バケット慣性計測装置14は、計測した角速度と加速度を基にして、回動軸A1~A5周りの回動角度および角速度を推定する。ロータリ角度計測装置15は、回動軸A6周りの回動角度を計測する。なお、角度検出手段は慣性計測装置11~14に限られるものではなく、例えばブームシリンダ4a、アームシリンダ5a、バケットシリンダ6a、チルトシリンダ6bにそれぞれストロークセンサを配置し、回転軸A1,A2,A4,A5周りの回転量とシリンダストローク量の間の相対関係に基づいた変換式によって、回転角度を算出するように構成しても良い。
【0025】
車体位置Pgと車体方位Cgを取得するために、上部旋回体2には2つのGlobal Navigation Satellite System(GNSS)アンテナ16a、16bが取り付けられている。GNSSアンテナ16a、16bは、人工衛星などから受信した距離信号を、後述する測位装置200へ送信する。
【0026】
図3は、油圧ショベル100に搭載される油圧アクチュエータ制御システムを概略的に示す図である。説明の簡略化のため、発明の説明に必要な要素のみを記載している。
【0027】
油圧アクチュエータ制御システムは、各油圧アクチュエータ2a~6a,6b,6cを駆動するコントロールバルブ8、コントロールバルブ8へ圧油を供給する油圧ポンプ7、コントロールバルブ8の駆動信号となるパイロット圧を供給するパイロットポンプ70、および油圧ポンプ7を駆動するための原動機40から構成される。本実施例においては、油圧ポンプ7は可変容量式とし、コントローラ10からの電流指令に基づいて可変容量ポンプ用電磁比例減圧弁7aが動作することによって油圧ポンプ7の容量が調整され、油圧ポンプ7の吐出流量が制御されるものとする。なお、油圧ポンプ7を固定容量式とし、コントローラ10からの制御指令によって原動機40の回転数を調整し、油圧ポンプ7の吐出流量を制御する構成としてもよい。
【0028】
油圧ポンプ7が吐出した圧油は、旋回方向制御弁8a1、ブーム方向制御弁8a3、アーム方向制御弁8a5、バケット方向制御弁8a7、チルト方向制御弁8a9、ロータリ方向制御弁8a11によって、それぞれ対応する油圧アクチュエータ2a~6a,6b,6cに分配される。コントローラ10から指令された電流指令に基づいて、電磁比例減圧弁8a2a,8a2b,8a4a,8a4b,8a6a,8a6b,8a8a,8a8b,8a10a,8a10b,8a12a,8a12bが動作することによって、方向制御弁8a1,8a3,8a5,8a7,8a9,8a11を駆動するパイロット圧を調整する。
【0029】
旋回方向制御弁8a1は、旋回モータ2aに繋がる油路の一方が油圧ポンプ7と連通する開口(メータイン開口)となり、もう一方がタンク41へと繋がる油路に連通する開口(メータアウト開口)となる。電磁比例減圧弁8a2aと電磁比例減圧弁8a2bのどちらを駆動するかを選択することで、旋回モータ2a内部を流れる圧油の方向が反転し、旋回モータ2aの回動方向を制御できる。ロータリ方向制御弁8a11についても同様であるため、説明を省略する。
【0030】
ブーム方向制御弁8a3は、ブームシリンダ4aのボトム側油室4a1またはロッド側油室4a2の一方が、油圧ポンプ7と繋がる油路と連通する開口(メータイン開口)となり、もう一方がタンク41へと繋がる油路に連通する開口(メータアウト開口)となる。電磁比例減圧弁8a4aを駆動すると、油圧ポンプ7からボトム側油室4a1へ圧油が流れ、ロッド側油室4a2の圧油がタンク41に戻される。一方で、電磁比例減圧弁8a4bを駆動すると、油圧ポンプ7からロッド側油室4a2へ圧油が流れ、ボトム側油室4a1の圧油がタンク41に戻される。このように、電磁比例減圧弁8a4aと電磁比例減圧弁8a4bのどちらを駆動するかを選択することで、ブームシリンダ4aの動作方向が反転し、ブームシリンダ4aの駆動方向を制御できる。アーム方向制御弁8a5、バケット方向制御弁8a7、チルト方向制御弁8a9についても同様であるため、説明を省略する。
【0031】
油圧ポンプ7から吐出した圧油の一部は、ブリードオフ弁8b1がタンク41への油路を連通させることにより、タンク41へと排出される。ブリードオフ弁8b1は、コントローラ10から指令された電流指令に基づいてブリードオフ弁用電磁比例減圧弁8b2が動作することによってパイロット圧が調整され、タンク41へと排出される流量が制御される。なお、ブリードオフ弁8b1を設置する代わりに、方向制御弁8a1,8a3,8a5,8a7,8a9,8a11を、3方向の開口制御が可能なオープンセンタ型の方向制御弁として、メータイン開口およびメータアウト開口と連動してブリードオフ開口が調整される構成としてもよい。
【0032】
図4は、設計面TSと目標面Sの定義の詳細を示す図である。
【0033】
設計面TSは、
図4(a)に示すように、油圧ショベル100の外部に設定されたグローバル座標系F3を基準とした3つの位置座標点であるVt1,Vt2,Vt3によって定義される。3点Vt1,Vt2,Vt3によって構成される三角形として表される設計面TSを複数組み合わせることで、整形作業の目標となる地形が表現される。
【0034】
設計面TSに対して、三角形の重心位置Ptと、法線ベクトルNtが演算される。重心位置Ptと法線ベクトルNtがそれぞれの設計面TSに対して演算され、
図4(b)に示すように、法線ベクトルNt間のなす角が小さい設計面TSが1つにまとめられ、目標面Sとして新たに定義される。目標面Sは、グローバル座標系F3を基準とした基準位置P
S=(P
Sx,P
Sy,P
Sz)と、グローバル座標系F3を基準としたユークリッドノルムが1の3次元法線ベクトルN
S=(N
Sx,N
Sy,N
Sz)で表現される。
【0035】
図5は、目標面S1,S2と作業具6に係る演算値の定義の詳細を示す図である。
【0036】
作業具6の状態は、位置X
b、姿勢C
b、並進速度(移動速度)V
bから構成される。位置X
bは、下部走行体座標系F2を基準とした、作業具6の基準点P1の位置と定義し、x方向の位置p
x、y方向の位置p
y、z方向の位置p
zの3要素からX
b=(p
x,p
y,p
z)と構成される。姿勢C
bは、下部走行体座標系F2を基準とした、ロール、ピッチ、ヨー方向それぞれの回転角度として定義し、ロール方向の角度θ
r、ピッチ方向の角度θ
p、ヨー方向の角度θ
yの3要素からC
b=(θ
r,θ
p,θ
y)と構成され、
図5(b)のように表現される。並進速度V
bは、下部走行体座標系F2を基準とした、作業具6の基準点P1の並進速度であり、x方向の速度v
x、y方向の速度v
y、z方向の速度v
zの3要素からV
b=(v
x,v
y,v
z)と構成される。ロール、ピッチ、ヨー方向の回転速度については、本実施例では使用しないため省略する。なお、並進速度V
bについては、以下「移動速度V
b」ということにする。
【0037】
作業具6上には、
図5(a)に示すように、基準線L1が予め設定されている。本実施例では作業具6の刃先を基準線L1と定義する。ここで、基準線L1は、下部走行体座標系F2を基準としたユークリッドノルムが1の3次元方向ベクトルD
L1=(D
L1
x,D
L1
y,D
L1
z)で表現される。なお、本実施例における基準線L1の方向D
L1は、作業具6の姿勢C
bのy軸正方向と一致するものとする。
【0038】
作業具6の姿勢制御に関わる演算は、主目標面S1と予測目標面S2に基づいて行われる。主目標面S1は、作業具6の基準点P1から降ろした垂線の距離が最も小さい目標面Sと定義する。一方で、予測目標面S2は、作業具6の移動速度Vb方向にあり、かつ基準点P1から主目標面S1との境界線に降ろした垂線の距離が最も小さい目標面Sと定義する。ただし、作業具6の移動速度Vbのユークリッドノルムが閾値Vb,thより小さい場合には、作業具6の移動速度Vb方向に関わらず、基準点P1から主目標面S1との境界線に降ろした垂線の距離が最も小さい目標面Sを予測目標面S2とする。
【0039】
これら2つの目標面S1,S2は、下部走行体座標系F2を基準として演算される。目標面Sに係る演算が行われるグローバル座標系F3から、目標面S1,S2に係る演算が行われる下部走行体座標系F2への変換は、後述する測位装置200から取得した車体位置Pgと車体方位Cgに基づいて行われる。
【0040】
主目標面S1は、下部走行体座標系F2を基準とした基準位置PS1=(PS1x,PS1y,PS1z)と、下部走行体座標系F2を基準としたユークリッドノルムが1の3次元法線ベクトルNS1=(NS1x,NS1y,NS1z)で表現される。同様に、予測目標面S2は、下部走行体座標系F2を基準とした基準位置PS2=(PS2x,PS2y,PS2z)と、下部走行体座標系F2を基準としたユークリッドノルムが1の3次元法線ベクトルNS2=(NS2x,NS2y,NS2z)で表現される。
【0041】
また、主目標面S1と予測目標面S2から、目標面S1,S2間の境界線L2が演算される。境界線L2は、下部走行体座標系F2を基準としたユークリッドノルムが1の3次元方向ベクトルDL2=(DL2x,DL2y,DL2z)で表現される。方向ベクトルDL2は、主目標面S1の法線ベクトルNS1と予測目標面S2の法線ベクトルNS2の外積として、以下の式(1)のように算出される。
【0042】
【0043】
図6は、本実施例に係るコントローラ10の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。なお、
図6において、
図3と同様に本発明に直接関わらない機能は省略して説明する。
【0044】
コントローラ10は、作業具状態演算部10a、作業具基準線演算部10b、目標面演算部10c、境界線演算部10d、姿勢補正量演算部10eを有している。
【0045】
作業具状態演算部10aは、計測装置11~15から取得した回動軸A1~A6周りの角度と角速度に基づいて、下部走行体座標系F2を基準とした作業具6の位置Xb、姿勢Cb、移動速度Vbを幾何学的に演算する。演算した位置Xbおよび姿勢Cbは、作業具基準線演算部10b、目標面演算部10cへと出力される。移動速度Vbは、目標面演算部10cへと出力される。
【0046】
作業具基準線演算部10bは、作業具状態演算部10aが演算した位置Xbおよび姿勢Cbに基づいて、作業具6上に予め設定された基準線L1の方向ベクトルDL1を演算する。演算した基準線L1は、姿勢補正量演算部10eへと出力される。
【0047】
目標面演算部10cは、測位装置200から取得した車体位置Pgと車体方位Cg、作業具状態演算部10aから取得した位置Xb、移動速度Vbに基づいて、設計面記憶装置21から取得した設計面TSの中から、主目標面S1と予測目標面S2を抽出し、下部走行体座標系F2を基準とした基準位置PS1,PS2、法線ベクトルNS1,NS2を演算する。算出された主目標面S1および予測目標面S2に関わる演算値は、境界線演算部10dへ出力される。
【0048】
境界線演算部10dは、目標面演算部10cから取得した主目標面S1と予測目標面S2に関わる演算値に基づいて、式(1)から方向ベクトルDL2を演算する。算出された境界線L2に係る演算値は、姿勢補正量演算部10eへと出力される。
【0049】
姿勢補正量演算部10eは、作業具基準線演算部10bから取得した基準線L1、境界線演算部10dから取得した境界線L2、操作装置9aから取得した操作信号に基づいて、ロータリモータ6cに出力するロータリ指令速度ωy,refを演算する。
【0050】
本実施例においては、作業具6の位置Xbを制御して行う整形作業を、操作者による操作装置9aの手動操作によって行うものとする。この場合、操作者は旋回モータ2a、ブームシリンダ4a、アームシリンダ5aの駆動比率を手動で制御することで整形作業を行う。なお、コントローラ10が、操作装置9aの操作信号と主目標面S1に応じて、旋回モータ2a、ブームシリンダ4a、アームシリンダ5aを半自動で制御する掘削制御システムを備えているものとしてもよい。ここで、掘削制御システムとは、操作装置9aの操作信号に対して、作業具6の位置Xbが主目標面S1上及びその上方の領域内に保持され、主目標面S1下方に侵入しないように、油圧アクチュエータ2a,4a,5aの少なくとも1つを強制的に動作させる制御(例えば、ブームシリンダ4aを伸ばして強制的にブーム上げ動作を行う)を実行するものとする。
【0051】
図7は、姿勢補正量演算部10eの処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【0052】
図7(a)は、姿勢補正量演算部10eの処理フローを示す機能ブロック図である。姿勢補正量演算部10eは、基準線方向ベクトルL1と境界線方向ベクトルL2の角度差E
Lを演算する角度差演算部10e1を有する。本実施例では、角度差の正負を判別するため、角度差E
Lを例えば以下の式(2)のように算出する。
【0053】
【0054】
図7(b)に示すように、角度差E
Lは下部走行体座標系F2のx軸に対する基準線方向ベクトルD
L1のなす角と、境界線方向ベクトルD
L2のなす角の差として定義される。
【0055】
角度差演算部10e1が演算した角度差ELに基づいて、ロータリ補正速度ωy,modは以下の式(3)のように演算する。
【0056】
【0057】
ここで、k1は角度差ELに対するロータリモータ6cの補正度合いを表すゲインである。演算されたロータリ補正速度ωy,modと、ロータリ操作信号がテーブルTBL1によって変換されたロータリ要求速度ωy,reqが、セレクタSLT1に入力される。セレクタSLT1は、ロータリ要求速度ωy,reqが与えられている場合には、ロータリ要求速度ωy,reqをロータリ指令速度ωy,refとして出力する。一方で、ロータリ要求速度ωy,reqが与えられていない場合には、ロータリ補正速度ωy,modをロータリ指令速度ωy,refとして出力する。ロータリ補正速度ωy,modがロータリ指令速度ωy,refとして出力された場合には、角度差ELの大きさと方向に応じたロータリモータ6cの回転によって、作業具6のヨー方向の姿勢θyが制御される。
【0058】
図8は、姿勢補正量演算部10eの姿勢補正による作業具6の動作を示す図である。
【0059】
図8(a0)は、主目標面S1と作業具6上の基準線L1が線接触状態になるように、操作者が作業具6の姿勢C
bを調整した結果の一例である。この状態から、操作者が操作装置9aを操作することで整形作業が開始され、移動速度V
bで予測目標面S2方向に作業具6が移動する。
【0060】
図8(a1)および
図8(a2)は、
図8(a0)の状態から開始して、姿勢補正量演算部10eによってロータリモータ6cの回転角度が補正されない状態で、主目標面S1および予測目標面S2の整形作業を行った場合の結果の一例である。作業具6が主目標面S1の上方領域にあり、かつ境界線L2に接近している
図8(a1)では、姿勢補正量演算部10eによるロータリモータ6cへのロータリ補正速度ω
y,modが指令されていないため、作業具6上の基準線L1と境界線L2が平行になっていない状態で、主目標面S1の整形作業が行われている。作業具6が境界線L2を通過した
図8(a2)では、境界線L2通過後に作業具6上の点P2のみが予測目標面S2と接触し、境界線L2付近の予測目標面S2が点接触状態で整形される。そのため、予測目標面S2の整形が不十分なまま、作業具6が移動速度V
b方向に移動する。境界線L2付近の予測目標面S2を整形するためには、予測目標面S2に対して線接触状態になるように作業具6の姿勢C
bを補正した後に、作業具6を境界線L2付近に戻るように動作させる必要がある。これにより、作業の無駄が発生し、整形作業の効率が低下する。
【0061】
図8(b1)および
図8(b2)は、
図8(a0)の状態から開始して、姿勢補正量演算部10eによってロータリモータ6cの回転角度が補正された状態で、主目標面S1および予測目標面S2の整形作業を行った場合の結果の一例である。作業具6が主目標面S1の上方領域にあり、かつ境界線L2に接近している
図8(b1)では、姿勢補正量演算部10eによるロータリモータ6cへのロータリ補正速度ω
y,modが指令されて、作業具6上の基準線L1と境界線L2が平行になった状態で、主目標面S1の整形作業が行われている。作業具6が境界線L2を通過した
図8(b2)では、境界線L2通過後に基準線L1と予測目標面S2が線接触状態になり、境界線L2付近の予測目標面S2が線接触状態で整形される。そのため、境界線L2付近の予測目標面S2の整形が線接触状態で実現され、境界線L2付近の整形精度が向上する。
【0062】
図9は、本発明によって境界線L2付近の整形精度が向上する効果を示す図である。
【0063】
姿勢補正量演算部10eによってロータリモータ6cの回転角度が補正されていない場合に発生する整形誤差を破線、姿勢補正量演算部10eによってロータリモータ6cの回転角度が補正された場合に発生する整形誤差を実線で示している。ここで整形誤差は、目標面S1,S2と、整形動作後の地形の高さ方向の誤差と定義する。境界線L2を通過する前の主目標面S1の整形作業時は、
図8(a0)に示すように、作業具6が主目標面S1と線接触状態になるように、整形作業開始前に操作者が手動で作業具6の姿勢C
bを補正したと仮定する。この場合、姿勢補正がない場合(破線)とある場合(実線)で、主目標面S1に対する整形誤差に差はない状態となる。
【0064】
作業具6が境界線L2を通過した瞬間に、姿勢補正がない場合(破線)では、
図8(a2)に示すように、作業具6と予測目標面S2が点接触状態となるため、整形誤差が増大する。その後、予測目標面S2に対して作業具6が線接触状態になるように操作者が操作することで、整形誤差は減少していく。一方で、姿勢補正がある場合(実線)では、
図8(b2)に示すように、境界線L2通過直後も作業具6と予測目標面S2が線接触状態となるため、境界線L2通過後も整形誤差が増大することなく、予測目標面S2の整形作業を継続することができる。
【0065】
本実施例では、作業具6と、作業具6の位置を制御する少なくとも1つの位置制御アクチュエータ2a,4a,5a、および作業具6の姿勢を制御する少なくとも1つの姿勢制御アクチュエータ6cを含む複数のアクチュエータ2a,3a,4a,5a,6a,6b,6cと、前記複数のアクチュエータの動作を指示する操作装置9aと、操作装置9aの操作量に基づき複数のアクチュエータ2a,3a,4a,5a,6a,6b,6cの少なくとも1つを制御する制御信号を出力するコントローラ10と、複数の目標面からなる設計面の情報を記憶する設計面記憶装置21とを備え、コントローラ10は、前記複数の目標面の中から、作業具6に最も近い目標面である第1目標面S1を抽出し、第1目標面S1に対する作業具6の位置および姿勢に基づいて、前記複数のアクチュエータのうち少なくとも1つのアクチュエータの動作速度を制御する作業機械100において、コントローラ10は、前記複数の目標面の中から、第1目標面S1に隣接する目標面である第2目標面S2を抽出し、第1目標面S1と第2目標面S2の境界線である第1境界線L2を算出し、作業具6が第1境界線L2を通過する前に、作業具6上に設定された基準線L1と第1境界線L2との角度差ELが小さくなるように、姿勢制御アクチュエータ6cの制御信号を補正する。
【0066】
以上のように構成した本実施例に係る油圧ショベル100によれば、作業具6上に設定された基準線L1と、隣接する2つの目標面S1,S2の境界線L2との角度差ELが算出され、作業具6が境界線L2を通過する前に、基準線L1と境界線L2との角度差ELが小さくなるように作業具6の姿勢が制御される。これにより、作業具6が境界線L2を通過する際に、作業具6と各目標面S1,S2との線接触状態が維持されるため、境界線L2付近の整形精度を向上させることが可能となる。
【実施例2】
【0067】
図10は、第2の実施例に係るコントローラ10の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【0068】
コントローラ10は、作業具状態演算部10aが演算した作業具6の位置Xb、作業具基準線演算部10bが演算した基準線L1、境界線演算部10dが演算した境界線L2、操作装置9aから取得した操作信号に基づいて、作業具6の移動速度Vbを補正する動作速度補正部10fを有する。動作速度補正部10fの演算した指令速度は、作業具6の位置Xbを制御可能なアクチュエータである旋回モータ2a、ブームシリンダ4a、アームシリンダ5aへと出力される。
【0069】
図11は、第2の実施例に係る動作速度補正部10fの処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【0070】
図11(a)に示す動作速度補正部10fの機能ブロック図は、要求作業具速度演算部10f1、境界線接近方向演算部10f2、角度差演算部10f3、作業具速度制限部10f4、制限アクチュエータ速度演算部10f5から構成される。
【0071】
要求作業具速度演算部10f1は、操作装置9aから取得した旋回操作信号、ブーム操作信号、アーム操作信号から、作業具6上に設定された基準点P1の要求速度Vb,reqを演算する。
【0072】
境界線接近方向演算部10f2は、作業具状態演算部10aが演算した作業具6の位置X
bと、境界線演算部10dが演算した境界線L2の方向ベクトルD
L2から、作業具6の基準点P1から境界線L2に向かう方向ベクトル(以下、境界線接近方向ベクトル)D
bを演算する。境界線接近方向ベクトルD
bは、
図11(b)に示すように、作業具6上の基準点P1から境界線L2に降ろした垂線方向であり、ユークリッドノルムが1の3次元方向ベクトルとして与えられる。
【0073】
角度差演算部10f3は、作業具基準線演算部10bが演算した基準線L1の方向ベクトルDL1と、境界線演算部10dが演算した境界線L2の方向ベクトルDL2に基づいて、式(2)から角度差ELを演算する。
【0074】
作業具速度制限部10f4は、基準線L1と境界線L2の角度差ELに基づいて限作業具速度Vb,limを算出し、境界線接近方向ベクトルDbの方向の要求作業具速度Vb,reqを制限作業具速度Vb,lim以下に制限する。一例として、x方向の制限作業具速度Vb,lim,xは以下の式(4)のように演算される。
【0075】
【0076】
ここで、Vb,max,xは作業具6がx方向に並進可能な最大速度、k2は角度差ELに対する作業具6の移動速度Vbの減速度合いを表すゲインである。式(4)の制限方式により、作業具6が境界線L2に近づく場合には、角度差ELに応じた速度制限が行われ、作業具6が境界線L2から遠ざかる場合には、要求作業具速度Vb,reqが修正されることなく出力される。y方向、z方向の制限についても同様であるため、説明を省略する。
【0077】
制限アクチュエータ速度演算部10f5は、作業具速度制限部10f4が出力した制限作業具速度Vb,limを、旋回モータ2a、ブームシリンダ4a、アームシリンダ5aそれぞれの速度指令に分解し、旋回速度指令、ブーム速度指令、アーム速度指令を演算する。
【0078】
本実施例では、コントローラ10は、姿勢制御アクチュエータ6cの制御信号を補正する際に、基準線L1と第1境界線L2との角度差ELが大きくなるほど、第1境界線L2に向かう側の作業具6の移動速度Vbの減速度合いが大きくなるように、位置制御アクチュエータ2a,4a,5aの制御信号を補正する。
【0079】
以上のように構成した本実施例に係る油圧ショベル100においても、第1の実施例と同様の効果が得られる。
【0080】
また、作業具6が境界線L2から遠ざかる側に操作された場合は、作業具6のヨー方向の姿勢θyの補正と、移動速度Vbの減速が行われないため、境界線L2付近での作業効率を向上させることが可能となる。
【0081】
また、基準線L1と第1境界線L2との角度差ELが大きくなるほど、第1境界線L2に向かう側の作業具6の移動速度Vbの減速度合いが大きくなるため、姿勢補正量演算部10eによる作業具6の姿勢Cbの補正が終了する前に、作業具6が境界線L2を通過することを防止することができる。これにより、境界線L2通過後の予測目標面S2に対する作業具6の線接触状態を確実に維持することができ、境界線L2付近の整形精度が保証される。
【実施例3】
【0082】
図12は、第3の実施例に係る姿勢補正量演算部10eの処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【0083】
図12(a)に示す姿勢補正量演算部10eの機能ブロック図は、角度差演算部10e1、境界線距離演算部10e2から構成される。
【0084】
境界線距離演算部10e2は、境界線L2と作業具6の基準点P1の間の距離E
D1を演算する。距離E
D1は、
図12(b)に示すように、作業具6の基準点P1から境界線L2に降ろした垂線の長さと定義する。境界線距離演算部10e2が演算した距離E
D1は、セレクタSLT2に出力される。セレクタSLT2は、ロータリ要求速度ω
y,reqとロータリ補正速度ω
y,modのいずれかを以下の方式で選択し、ロータリ指令速度ω
y,refとして出力する。
【0085】
【0086】
ここで、TD1はロータリモータ6cの回転角度を補正するかどうかを判定するための距離の閾値である。式(5)により、距離ED1が閾値TD1以上の場合には、操作信号によって演算された要求作業具速度ωy,reqが出力され、姿勢補正量演算部10eによる作業具6のヨー方向の姿勢θyの補正が行われない。
【0087】
図13は、本実施例に係る動作速度補正部10fの処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【0088】
図13(a)に示す動作速度補正部10fの機能ブロック図は、要求作業具速度演算部10f1、境界線接近方向演算部10f2、角度差演算部10f3、作業具速度制限部10f4、制限アクチュエータ速度演算部10f5、境界線距離演算部10f6から構成される。
【0089】
境界線距離演算部10f6は、境界線距離演算部10e2と同様に、境界線L2と作業具6の基準点P1の間の距離E
D1を演算する。距離E
D1は、
図13(b)に示すように、作業具6の基準点P1から境界線L2に降ろした垂線の長さと定義する。境界線距離演算部10f6が演算した距離E
D1は、セレクタSLT3に出力される。セレクタSLT3は、要求作業具速度V
b,reqと制限作業具速度V
b,limのいずれかを以下の方式で選択し、作業具指令速度V
b,refとして出力する。
【0090】
【0091】
ここで、TD2は移動速度Vbの制限を行うかどうかを判定するための距離の閾値である。式(6)により、距離ED1が閾値TD2以上の場合には、操作信号によって演算された要求作業具速度Vb,reqが出力され、動作速度補正部10fによる移動速度Vbの減速が行われない。
【0092】
本実施例では、コントローラ10は、作業具6上に設定された基準点P1から第1境界線L2までの距離である第1境界線距離ED1を算出し、第1境界線距離ED1が閾値TD1未満の場合、基準線L1と第1境界線L2との角度差ELが小さくなるように、姿勢制御アクチュエータ6cの制御信号を補正する。
【0093】
また、コントローラ10は、第1境界線距離ED1が閾値TD2未満の場合、作業具6の移動速度Vbが制限速度Vb,lim以下となるように、位置制御アクチュエータ2a,4a,5aの制御信号を補正する。
【0094】
以上のように構成した本実施例においても、第1の実施例と同様の効果が得られる。
【0095】
また、作業具6上の基準点P1から境界線L2までの距離ED1が閾値TD1以上の場合は、作業具6のヨー方向の姿勢θyの補正が行われず、距離ED1が閾値TD2以上の場合は、移動速度Vbの減速が行われないため、境界線L2から大きく離れた領域での作業効率を向上させることが可能となる。
【実施例4】
【0096】
図14は、第4の実施例に係る動作速度補正部10fの処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【0097】
図14(a)に示す動作速度補正部10fの機能ブロック図は、要求作業具速度演算部10f1、境界線接近方向演算部10f2、角度差演算部10f3、作業具速度制限部10f4、制限アクチュエータ速度演算部10f5、境界線接近速度演算部10f7から構成される。
【0098】
境界線接近速度演算部10f7は、作業具6の基準点P1の境界線L2に向かう方向の速度成分(以下、境界線接近速度)V
b,Lを演算する。境界線接近速度V
b,Lは、
図14(b)に示すように、移動速度V
bに対して作業具6の基準点P1から境界線L2に降ろした垂線方向の成分と定義する。境界線接近速度演算部10f7が演算した境界線接近速度V
b,Lは、セレクタSLT4に出力される。セレクタSLT4は、要求作業具速度V
b,reqと制限作業具速度V
b,limのいずれかを以下の方式で選択し、作業具指令速度V
b,refとして出力する。
【0099】
【0100】
ここで、TVは移動速度Vbの制限を行うかどうかを判定するための速度の閾値である。式(7)により、境界線L2に向かう方向の速度Vb,Lが閾値TV未満の場合には、操作信号によって演算された要求作業具速度Vb,reqが出力され、動作速度補正部10fによる移動速度Vbの減速が行われない。
【0101】
本実施例では、コントローラ10は、作業具6の移動速度Vbの第1境界線L2に向かう方向の速度成分である境界線接近速度Vb,Lを算出し、境界線接近速度Vb,Lが閾値TV以上の場合、作業具6の移動速度Vbが制限速度Vb,lim以下となるように、位置制御アクチュエータ2a,4a,5aの制御信号を補正する。
【0102】
以上のように構成した本実施例においても、第1の実施例と同様の効果が得られる。
【0103】
また、作業具6の境界線L2に向かう方向の速度Vb,Lが閾値TV以上の場合は、作業具指令速度Vb,refが制限作業具速度Vb,limに制限されるため、姿勢補正量演算部10eによる作業具6の姿勢Cbの補正が終了する前に、作業具6が境界線L2を通過することを防止することができる。これにより、境界線L2通過後の予測目標面S2に対する作業具6の線接触状態を確実に維持することができ、境界線L2付近の整形精度が保証される。
【実施例5】
【0104】
図15は、第5の実施例に係る目標面S1,S2,S3の定義の詳細を示す図である。
【0105】
作業具6の姿勢制御に関わる演算は、主目標面S1と予測目標面S2に加えて、第2予測目標面S3に基づいて行われる。第2予測目標面S3は、基準点P1から主目標面S1との境界線に降ろした垂線の距離が予測目標面S2の次に小さい目標面Sと定義する。目標面S1,S2と同様に、第2予測目標面S3は、下部走行体座標系F2を基準とした基準位置PS3=(PS3x,PS3y,PS3z)と、下部走行体座標系F2を基準としたユークリッドノルムが1の3次元法線ベクトルNS3=(NS3x,NS3y,NS3z)で表現される。
【0106】
また、主目標面S1と第2予測目標面S3の間の境界線を境界線L3と定義する。境界線L3は、下部走行体座標系F2を基準としたユークリッドノルムが1の3次元方向ベクトルDL3=(DL3x,DL3y,DL3z)で表現される。境界線L3の演算方法は、式(1)による境界線L2の演算と同様であるため、説明を省略する。
【0107】
図16は、本実施例に係るコントローラ10の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【0108】
目標面演算部10cは、主目標面S1、予測目標面S2に加えて、第2予測目標面S3を抽出する。算出した目標面S1,S2,S3に係る演算値は、境界線演算部10dへ出力される。
【0109】
境界線演算部10dは、主目標面S1と予測目標面S2の間の境界線L2に加えて、主目標面S1と第2予測目標面S3の間の境界線L3を演算する。
【0110】
姿勢補正量演算部10eは、作業具状態演算部10aから取得した作業具位置Xb、作業具基準線演算部10bから取得した基準線L1、境界線演算部10dから取得した境界線L2,L3に基づいて、ロータリモータ6cへの指令速度ωy,refを演算する。
【0111】
図17は、本実施例に係る姿勢補正量演算部10eの処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【0112】
図17(a)に示す姿勢補正量演算部10eの機能ブロック図は、角度差演算部10e1、境界線距離演算部10e2から構成される。
【0113】
境界線距離演算部10e2は、境界線L2とL3、作業具位置X
bに基づいて、境界線距離E
D1および境界線距離E
D2を演算する。距離E
D1は、
図17(b)に示すように、作業具6の基準点P1から境界線L2に降ろした垂線の長さと定義する。同様に、距離ED2は、作業具6の基準点P1から境界線L3に降ろした垂線の長さと定義する。
【0114】
境界線距離演算部10e2が演算した距離ED1および距離ED2は、セレクタSLT5に出力される。セレクタSLT5は、ロータリ要求速度ωy,reqとロータリ補正速度ωy,modのいずれかを以下の方式で選択し、ロータリ指令速度ωy,refとして出力する。
【0115】
【0116】
ここで、TD3は動作速度の制限を行うかどうかを判定するための距離の閾値である。式(8)により、距離ED1および距離ED2がともに閾値TD3未満の場合には、操作信号によって演算されたロータリ要求速度ωy,reqが出力され、姿勢補正量演算部10eによる作業具6の姿勢Cbの補正が行われない。
【0117】
本実施例では、コントローラ10は、複数の目標面の中から、第2目標面S2とは別に第1目標面S1に隣接する目標面である第3目標面S3を抽出し、第1目標面S1と第3目標面S3の境界線である第2境界線L3を算出し、作業具6上に設定された基準点P1から第1境界線L2までの距離である第1境界線距離ED1を算出し、基準点P1から第2境界線L3までの距離である第2境界線距離ED2を算出し、第1境界線距離ED1および第2境界線距離ED2がともに閾値TD3未満である場合、姿勢制御アクチュエータ6cの制御信号の補正を停止する。
【0118】
以上のように構成した本実施例に係る油圧ショベル100においても、第1の実施例と同様の効果が得られる。
【0119】
また、作業具6が境界線L2および境界線L3の両方に近接している場合は、作業具6の姿勢Cbの補正が行われないため、主目標面S1と隣接する2つの目標面S2,S3付近で主目標面S1の整形作業を行う際に、姿勢Cbの補正の基準となる境界線L2および境界線L3が振動的に切り替わることを防止することができる。これにより、主目標面S1に対する整形作業の効率が低下することを防ぐことが可能となる。
【実施例6】
【0120】
図18は、第6の実施例に係るコントローラ10の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【0121】
コントローラ10は、作業具6の位置Xb、姿勢Cb、基準線L1、境界線L2,L3および操作信号に基づいて、ロータリモータ6cへの指令速度ωy,refを演算および指令する姿勢補正量演算部10eと、作業具6の位置Xb、姿勢Cb、移動速度Vb、基準線L1、境界線L2および操作信号に基づいて、要求作業具速度Vb,reqを演算および指令する動作速度補正部10fを有する。
【0122】
図19は、本実施例に係る姿勢補正量演算部10eおよび動作速度補正部10fの指令変換マップの一例を示す図である。
【0123】
姿勢補正量演算部10eは、基準線L1と境界線L2の角度差ELと式(2)に従って、ロータリ補正速度ωy,modを演算する。式(3)中の補正ゲインk1は、例えば、基準線L1と境界線L2のなす角の最大角度差EL,maxにおいて、ロータリモータ6cの補正速度が最大速度ωy,maxとなるように、以下の式(9)のように決定する。
【0124】
【0125】
式(9)のように補正ゲインk1を決定することで、作業具6の姿勢Cbの補正に必要となる時間が最小限に抑えられ、予測目標面S2に対する線接触を補償する作業具6の移動速度Vbの速度制限の発生頻度が最小化されるため、作業効率が向上する。
【0126】
動作速度補正部10fは、基準線L1と境界線L2の角度差E
L、境界線接近方向ベクトルD
bおよび式(4)に従って、制限作業具速度V
b,limを演算する。一例として、x方向の制限作業具速度V
b,lim,xを求める変換マップを
図19に示す。
図19(a)に示すように、境界線接近方向ベクトルD
bのx成分D
b,xが正の場合には、制限作業具速度V
b,lim,xは正方向にのみ作業具6の移動速度V
bを制限する。一方で、
図19(b)に示すように、境界線接近方向ベクトルD
bのx成分D
b,xが負の場合には、制限作業具速度V
b,lim,xは負方向にのみ作業具6の移動速度V
bを制限する。式(4)中の補正ゲインk
2は、例えば、作業具6の基準点P1と境界線L2の距離がT
D1であり、かつ基準線L1と境界線L2のなす角が最大角度差E
L,maxである場合において、境界線L2を通過する前に姿勢C
bの補正が完了するように、以下の式(10)から補正ゲインk
2を決定する。
【0127】
【0128】
また、距離閾値TD1は以下の式(11)の条件を満たすように決定される。
【0129】
【0130】
式(10)(11)のように補正ゲインk2および距離閾値TD1を決定することで、境界線L2の通過前に作業具6の姿勢Cbの補正が完了するように作業具6の移動速度がVbが制限されるため、予測目標面S2との線接触状態の維持をより確実に保証できる。
【0131】
図20は、本実施例に係る姿勢補正量演算部10eおよび動作速度補正部10fの演算処理を示すフローチャートである。
【0132】
姿勢補正量演算部10eは、条件分岐FC1、条件分岐FC2、条件分岐FC3に基づいて、ロータリ要求速度ωy,reqとロータリ補正速度ωy,modのどちらをロータリ指令速度ωy,refとして指令するかを選択する。条件分岐FC1は、境界線距離ED1および境界線距離ED2に基づいて、式(8)に従って条件分岐を行う。条件分岐FC2は、境界線距離ED1に基づいて、式(5)に従って条件分岐を行う。条件分岐FC3は、ロータリ要求速度ωy,reqの絶対値に応じて条件分岐を行う。
【0133】
動作速度補正部10fは、条件分岐FC4、条件分岐FC5、条件分岐FC6に基づいて、要求作業具速度Vb,reqと制限作業具速度Vb,limのどちらを指令作業具速度Vb,refとして指令するかを選択する。条件分岐FC4は、境界線接近速度Vb,Lに基づいて、式(7)に従って条件分岐を行う。条件分岐FC5は、境界線距離ED1に基づいて、式(6)に従って条件分岐を行う。条件分岐FC6は、基準線L1と境界線L2の角度差ELと境界線接近方向ベクトルDbに基づいて、式(4)に従って条件分岐を行う。
【0134】
以上のように構成した本実施例に係る油圧ショベル100によれば、第1~第5の実施例で説明した効果が得られる。
【0135】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例では、操作レバー装置として電気レバーを用いたが、パイロット式の操作レバーを用いても良い。その場合、操作レバーによって操作されるパイロットバルブと特定のアクチュエータ(ブームシリンダまたはアームシリンダ)へ流入する圧油の流れを制御するコントローラバルブとの間に比例電磁弁を介在させて制御することになる。また、上記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成の一部を加えることも可能であり、ある実施例の構成の一部を削除し、あるいは、他の実施例の一部と置き換えることも可能である。
【符号の説明】
【0136】
1…フロント装置、2…上部旋回体、2a…旋回モータ(位置制御アクチュエータ)、3…下部走行体、3a…走行モータ(アクチュエータ)、4…ブーム、4a…ブームシリンダ(位置制御アクチュエータ)、4a1…ボトム側油室、4a2…ロッド側油室、5…アーム、5a…アームシリンダ(位置制御アクチュエータ)、6…バケット(作業具)、6a…バケットシリンダ(アクチュエータ)、6b…チルトシリンダ(アクチュエータ)、6c…ロータリモータ(姿勢制御アクチュエータ)、7…油圧ポンプ、7a…可変容量ポンプ用電磁比例減圧弁、8…コントロールバルブ、8a1…旋回方向制御弁、8a2a,8a2b…電磁比例減圧弁、8a3…ブーム方向制御弁、8a4a,8a4b…電磁比例減圧弁、8a5…アーム方向制御弁、8a6a,8a6b…電磁比例減圧弁、8a7…電磁比例減圧弁、8a8a,8a8b…電磁比例減圧弁、8a9…チルト方向制御弁、8a10a,8a10b…電磁比例減圧弁、8a11…ロータリ方向制御弁、8a12a,8a12b…電磁比例減圧弁、8b1…ブリードオフ弁、8b2…ブリードオフ弁用電磁比例減圧弁、9…運転室、9a,9b…操作レバー装置(操作装置)、10…コントローラ、10a…作業具状態演算部、10b…作業具基準線演算部、10c…目標面演算部、10d…境界線演算部、10e…姿勢補正量演算部、10e1…角度差演算部、10e2…境界線距離演算部、10f…動作速度補正部、10f1…要求作業具速度演算部、10f2…境界線接近方向演算部、10f3…角度差演算部、10f4…作業具速度制限部、10f5…制限アクチュエータ速度演算部、10f6…境界線距離演算部、10f7…境界線接近速度演算部、11…車体慣性計測装置、12…ブーム慣性計測装置、13…アーム慣性計測装置、14…バケット慣性計測装置、15…ロータリ角度計測装置、16a,16b…GNSSアンテナ、21…設計面記憶装置、40…原動機、70…パイロットポンプ、100…油圧ショベル(作業機械)、200…測位装置。