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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】トランジションジョイント
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/103 20060101AFI20230214BHJP
   H01R 4/20 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
H02G15/103
H01R4/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019056220
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2019176722
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】18104346.3
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HK
(73)【特許権者】
【識別番号】519104455
【氏名又は名称】ウォン, ジャン チ ヤン
【氏名又は名称原語表記】WONG, Jean Chi Yan
【住所又は居所原語表記】G/F., Tak Kee Group Centre, 30-38 Lam Tin Street, Kwai Chung, N.T., Hong Kong.
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, ジャン チ ヤン
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03139443(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03416253(EP,A1)
【文献】特公昭36-010578(JP,B1)
【文献】特開2017-130254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/103
H01R 4/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のケーブルと第2のケーブルとを接続するトランジションジョイントであって、
前記第1のケーブルの絶縁直径が前記第2のケーブルの絶縁直径よりも小さく
記トランジションジョイントは、
第1端に設けられている第1の開口及び第2端に設けられている第2の開口を備える絶縁本体と、
前記絶縁本体内に設けられている圧着部材であって、第1の接合部及び第2の接合部を備え、前記第1の接合部の直径が前記第2の接合部の直径よりも小さく、前記第1の接合部及び前記第2の接合部が隣接して設けられて肩部を形成する圧着部材と、
前記絶縁本体内に設けられているトランジションジョイント内の電界を制御する高圧電極管であって、一部が前記第2の接合部を周方向にシームレスに緊密に囲み、他の一部が、前記絶縁本体の延在部を介して前記第1の接合部及び第1のケーブルと接続されている高圧電極管と、を備え、
前記絶縁本体は、前記第1の開口及び前記第1の接合部を接続する第1の通路と、前記第2の開口及び前記第2の接合部を接続する第2の通路とをさらに備え、前記絶縁本体が前記第1の通路及び前記第2の通路をシームレスに緊密に囲むことで、前記第1の通路に収容されている前記第1のケーブル及び前記第2の通路に収容されている前記第2のケーブルに対して十分な一定の圧力を保持することができるトランジションジョイント。
【請求項2】
前記第1のケーブルの絶縁直径と前記第2のケーブルの絶縁直径の差が、少なくとも8ミリメートルである請求項1に記載のトランジションジョイント。
【請求項3】
第1のストレスコーンと第2のストレスコーンとをさらに備え、前記第1のストレスコーン及び前記第2のストレスコーンは切頭円錐状であり、前記絶縁本体内に設けられており、前記第1のストレスコーンが前記第1の開口を囲み、前記第2のストレスコーンが前記第2の開口を囲む請求項1に記載のトランジションジョイント。
【請求項4】
前記圧着部材の材料がアルミニウムである請求項1に記載のトランジションジョイント。
【請求項5】
前記第1の接合部が前記第1のケーブルの終端に接合されており、前記第2の接合部が前記第2のケーブルの終端に接合されている請求項1に記載のトランジションジョイント。
【請求項6】
前記絶縁本体を周方向に囲む銅ケーシングをさらに備える請求項1に記載のトランジションジョイント。
【請求項7】
前記第1の通路と前記第2の通路が同軸でない請求項1に記載のトランジションジョイント。
【請求項8】
前記第1の通路と前記第2の通路が同軸である請求項1に記載のトランジションジョイント。
【請求項9】
第1のケーブルと第2のケーブルとを接続する方法であって、
請求項1に記載のトランジションジョイントを提供するステップと、前記第1のケーブルの終端を前記絶縁本体の前記第1の開口に通して前記圧着部材の前記第1の接合部と接合してから、前記第2のケーブルの終端を前記絶縁本体の前記第2の開口に通して前記圧
着部材の前記第2の接合部と接合するステップと
を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧ケーブルを接続するトランジションジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外で使用されるトランジションジョイントは、電界を制御するための部材と、ストレスコーンと、物理的強度及び外部絶縁を提供する絶縁体とを備える。多くの設計において、ストレスコーンと絶縁体との間の空間には絶縁油が充填されている。油の可燃性及び汚染のため、このような流体の存在は、ますます一つの欠点であると考えられるようになっている。現段階で、安全で環境に優しく、低コストで信頼性の高い高圧ケーブルを接続する装置及び方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つの例示的な実施例は、第1のケーブルと第2のケーブルとを接続するトランジションジョイントを含み、前記第1のケーブルの絶縁直径は、前記第2のケーブルの絶縁直径よりも小さい。前記トランジションジョイントは、絶縁本体と、圧着部材と、高圧電極管とを備える。前記圧着部材及び前記高圧電極管は、前記絶縁本体内に設けられている。前記絶縁本体は、第1端に設けられている第1の開口及び第2端に設けられている第2の開口を備える。前記圧着部材は、第1の接合部と第2の接合部とを備え、前記第1の接合部の直径は前記第2の接合部の直径よりも小さく、前記第1の接合部及び前記第2の接合部は、隣接して設けられて肩部を形成する。前記絶縁本体は、前記第1の開口及び前記第1の接合部を接続する第1の通路と、前記第2の開口及び前記第2の接合部を接続する第2の通路とをさらに備え、前記絶縁本体は、前記第1の通路及び前記第2の通路をシームレスに緊密に囲むことで、前記第1の通路に収容されている前記第1のケーブル及び前記第2の通路に収容されている前記第2のケーブルに対して十分な一定の圧力を保持することができる。前記高圧電極管の一部は、前記第2の接合部を周方向にシームレスに緊密に囲み、前記高圧電極管の他の一部は、前記絶縁本体の延在部を介して前記第1の接合部及び第1のケーブルと接続されている。
【0004】
本明細書では、他の例示的な実施例についても論じている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、例示的な実施例によるトランジションジョイントの構造模式図である。
図2図2は、例示的な実施例によるトランジションジョイントの絶縁本体の横断面図である。
図3図3は、例示的な実施例によるトランジションジョイントの圧着部材の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ケーブルシステムの拡張においては、効果と利益を高めるため、既存の線路に新しい線路を接続する必要がある場合が多い。既存の線路の絶縁直径と新しい線路の絶縁直径は、通常、異なっており、この差異は、導体の面積の差異に起因することもあり、2つのケーブルの絶縁厚さの差異に起因することもある。したがって、絶縁直径が異なり、ひいては差異が大きい高圧ケーブルを接続するトランジションジョイントを提供する必要がある。
【0007】
本発明の1つの例示的な実施例は、絶縁直径が異なり、ひいては差異が大きい高圧ケーブルを接続する装置及び方法を提供する。
【0008】
絶縁直径の差異が小さいケーブルについては、一般的なトランジションジョイントであっても、トランジションジョイントの裕度拡大によってそのような高圧ケーブルを接続することができる。この方法は、絶縁直径が比較的小さいケーブル(小ケーブルと略称する)用のトランジションジョイントを用いて接続するものである。小ケーブルが受ける圧力は、トランジションジョイントとの接合に十分であるが、絶縁直径が比較的大きいケーブル(大ケーブルと略称する)が受ける圧力、特に大ケーブルの膨張係数は大きくなる。大ケーブルの膨張係数が許容可能な範囲内でなければ、この方法は実行できない。大ケーブルの膨張係数が大き過ぎると、小ケーブル用のトランジションジョイントにより接続することができない。したがって、この方法の使用は、高圧ケーブルの絶縁直径の差異により制限される。
【0009】
そのため、ケーブルの絶縁直径の差異が大きい場合は、複数セットのトランジションジョイントで段階的に接続する方法がある。複数セットのトランジションジョイントで段階的に接続するという解決手段はコストが非常に高い。複数本のケーブル、複数のジョイント及び配線設備の費用が増加するためである。
【0010】
このほか、エポキシ樹脂を中心部材とするジョイントを使用する方法がある。このようなジョイントは、スプリング及びストレスコーンを別途設ける必要があり、その取り付け工程が多く困難度が高いため、コストも価格もかなり高くなる。さらに、この方法は、出荷試験を全体に一括して行うことができないため、信頼性が低くなり、現在、市場ではプレハブ型ジョイントに取って代わられている。
【0011】
そのほか、トランジションジョイントの高圧電極の構造を変更する方法もある。絶縁直径が大きいケーブルに適合するトランジションジョイントを選択し、大ケーブルに適合するトランジションジョイントの高圧電極の一部のみを残し、高圧電極の他の一部を小ケーブルに適合する構造に改造する必要がある。しかし、この方法は、新しいモールドを生産しなければならず、また、高圧電極を平滑に研磨することは困難である。
【0012】
以下、後述する例示を参照し、実施例をより詳しく説明する。例示は、ここで説明のために提供されるものに過ぎず、制限するためのものではない。
【0013】
本発明の1つの例示的な実施例は、第1のケーブルと第2のケーブルとを接続するトランジションジョイントを含み、前記第1のケーブルの絶縁直径は、前記第2のケーブルの絶縁直径よりも小さい。
【0014】
例として、前記第1のケーブルの絶縁直径と前記第2のケーブルの絶縁直径の差は、8~10ミリメートルである。
【0015】
例として、前記第1のケーブルの絶縁直径と前記第2のケーブルの絶縁直径の差は、少なくとも8ミリメートルである。
【0016】
本発明の1つの例示的な実施例において、前記トランジションジョイントは、絶縁本体と、コネクタ(圧着部材ともいう)と、高圧電極管とを備える。
【0017】
例として、前記絶縁本体は予め製造されたものであり、したがって前記絶縁本体は、一体成型されたものである。
【0018】
例として、前記絶縁本体はシリコンゴムである。
【0019】
例として、前記絶縁本体はエチレンプロピレンゴム(EPR/EPMD)である。
【0020】
例として、前記圧着部材の材料は銅である。
【0021】
例として、前記圧着部材の材料はアルミニウムである。
【0022】
例として、前記高圧電極管は管状であり、圧着部材と同軸である。
【0023】
本発明の1つの例示的な実施例において、前記絶縁本体は、第1端に設けられている第1の開口と、第2端に設けられている第2の開口とを備える。
【0024】
例として、前記絶縁本体の前記第1端及び前記第2端は、対向して設けられている。
【0025】
本発明の1つの例示的な実施例において、前記圧着部材は前記絶縁本体内に設けられており、前記圧着部材は、第1の接合部と第2の接合部とを備え、前記第1の接合部の直径は、前記第2の接合部の直径よりも小さく、前記第1の接合部及び前記第2の接合部は、隣接して設けられて肩部を形成する。
【0026】
例として、前記第1の接合部及び前記第2の接合部はほぼ円柱形である。
【0027】
例として、前記第1の接合部と前記第2の接合部は同軸である。
【0028】
例として、前記第1の開口、前記第2の開口、前記第1の接合部及び前記第2の接合部は同軸である。
【0029】
例として、前記第1の接合部と前記第2の接合部は同軸であるが、前記第1の開口及び/又は前記第2の開口と前記第1の接合部は同軸でなくてもよい。
【0030】
例として、前記第1の接合部と前記第2の接合部は同軸ではないが、前記第1の開口と前記第1の接合部は同軸であり、前記第2の開口と前記第2の接合部は同軸である。
【0031】
例として、前記第1の接合部は、前記第1のケーブルの終端に接合されており、前記第2の接合部は、前記第2のケーブルの終端に接合されている。
【0032】
例として、前記第1の接合部は、前記絶縁本体の第1の開口を通る前記第1のケーブルの終端に接合されており、前記第2の接合部は、前記絶縁本体の第2の開口を通る前記第2のケーブルの終端に接合されている。
【0033】
例として、前記第1の接合部が小ケーブルの終端に接合される必要があり、前記第2の接合部が大ケーブルの終端に接合される必要があるので、前記第1の接合部の横断面積は前記第2の接合部の横断面積よりも小さく、それにより前記肩部を形成する。
【0034】
本発明の1つの例示的な実施例において、前記絶縁本体は、前記第1の開口及び前記第1の接合部を接続する第1の通路と、前記第2の開口及び前記第2の接合部を接続する第2の通路とをさらに備え、前記絶縁本体は、前記第1の通路及び前記第2の通路をシームレスに緊密に囲むことで、前記第1の通路に収容されている前記第1のケーブル及び前記第2の通路に収容されている前記第2のケーブルに対して十分な一定の圧力を保持することができる。
【0035】
例として、前記第1のケーブルは、前記第1の開口を通って前記第1の通路に入って前記第1の接合部に接合されており、前記第2のケーブルは、前記第2の開口を通って前記第2の通路に入って前記第2の接合部に接合されている。
【0036】
例として、前記第1のケーブルの絶縁直径と第1の接合部の直径は、ほぼ同じであり、前記第2のケーブルの絶縁直径と第2の接合部の直径は、ほぼ同じである。
【0037】
例として、前記第1のケーブルの絶縁直径は第1の接合部の直径よりも小さく、前記第2のケーブルの絶縁直径は第2の接合部の直径よりも小さい。
【0038】
本発明の1つの例示的な実施例において、前記高圧電極管は、前記絶縁本体内に設けられており、前記高圧電極管の一部は、前記第2の接合部を周方向にシームレスに緊密に囲み、前記高圧電極管の他の一部は、前記絶縁本体の延在部を介して前記第1の接合部及び第1のケーブルと接続又は接触している。
【0039】
例として、前記高圧電極管と前記第1の接合部との間の空間は、前記絶縁本体が延在することで充填されており、前記肩部と接触している。
【0040】
例として、前記絶縁本体は、前記第1のケーブル及び第1の接合部をシームレスに緊密に囲むことで前記第1のケーブル及び第1の接合部に十分な一定の圧力を提供する。
【0041】
本発明の1つの例示的な実施例におけるトランジションジョイントは、前記絶縁本体を周方向に囲む銅ケーシングをさらに備える。
【0042】
例として、銅ケーシングは対地絶縁された銅ケースである。
【0043】
例として、銅ケーシングは1層の銅編組とテープとを備え、前記絶縁本体を周方向に囲む。
【0044】
例として、銅ケーシングは対地絶縁されている。
【0045】
例として、銅編組は絶縁され、水分がトランジションジョイントに入ることを防止する。
【0046】
本発明の1つの例示的な実施例におけるトランジションジョイントは、第1のストレスコーンと第2のストレスコーンとをさらに備え、前記第1のストレスコーン及び前記第2のストレスコーンは切頭円錐状であり、前記絶縁本体内に設けられており、前記第1のストレスコーンは前記第1の開口を囲み、前記第2のストレスコーンは前記第2の開口を囲む。
【0047】
例として、小ケーブルに接続されている第1のストレスコーンは、大ケーブルに接続されている第2のストレスコーンと同軸である。
【0048】
例として、小ケーブルに接続されている第1のストレスコーンは、大ケーブルに接続されている第2のストレスコーンと同軸ではない。
【0049】
本発明の1つの例示的な実施例は、大ケーブルと小ケーブルとを接続するトランジションジョイントの製造方法を含み、大ケーブルに適合するトランジションジョイントをベースとして製造し、即ち、大ケーブルに適合するトランジションジョイントの高圧電極の部分を残す。
【0050】
図1に示すように、大ケーブルと小ケーブルとを接続するトランジションジョイント101は、絶縁本体116と、圧着部材114と、高圧電極管118とを備える。
【0051】
例として、圧着部材114は円柱形であり、前記第1のケーブル102に接続されている第1の接合部110と、前記第2のケーブル104に接続されている第2の接合部112とを備え、前記第1の接合部110の直径は、前記第2の接合部112の直径よりも小さく、前記第1の接合部110及び前記第2の接合部112は、隣接して設けられて肩部128を形成する。
【0052】
例として、大ケーブルに適合するトランジションジョイントの高圧電極の部分を残すことにより、図1に示す高圧電極管118は、圧着部材114の第2の接合部112を周方向にシームレスに緊密に囲むことができ、前記第2の接合部112は、大ケーブル104の終端との接合に適合し、前記第2の接合部112の直径は、前記大ケーブル104の絶縁直径とほぼ同じである。
【0053】
本発明の1つの例示的な実施例におけるトランジションジョイントの圧着部材114は、小ケーブル102の終端との接合に適合する第1の接合部110をさらに備え、前記第1の接合部の直径は、前記小ケーブル102の絶縁直径とほぼ同じである。
【0054】
例として、高圧電極管118が中空の円柱体であるので、前記高圧電極管118は前記第1の接合部110並びに小ケーブル102の終端との間に、空間が存在している。本発明の1つの例示的な実施例のトランジションジョイント101を生産する際、前記空間に1層の絶縁された圧縮性媒体を追加し、前記圧縮性媒体の製造は、前記高圧電極管118を囲む絶縁本体116を前記肩部128まで延在させて前記空間を充填するようにすればよい。これにより、前記高圧電極管118の一部は、前記第2の接合部112をシームレスに緊密に囲み、前記高圧電極管118の他の一部は、前記絶縁本体116の延在部140を介して前記第1の接合部110と接続される。
【0055】
本発明の1つの例示的な実施例は、大ケーブルと小ケーブルとを接続するトランジションジョイントの製造方法を含む。この方法は、前記絶縁された圧縮性媒体を予め製造する必要があるが、この圧縮性媒体の生産は、高圧電極のモールドの生産又は改造よりも遥かに簡単で安価である。
【0056】
本発明の1つの例示的な実施例は、大ケーブルと小ケーブルとを接続するトランジションジョイントの製造方法を含む。モールドの点で、大ケーブルに適合するトランジションジョイントの製造よりも部材が1つ増えるが、価格はジョイント設備を1つ増加する又は高圧電極を1つ生産するよりも遥かに低い。
【0057】
本発明の1つの例示的な実施例において、前記絶縁本体は、第1端に設けられている第1の開口120と、第2端に設けられている第2の開口122とを備える。
【0058】
本発明の1つの例示的な実施例のトランジションジョイント101は、前記絶縁本体を周方向に囲む銅ケーシング130をさらに備える。
【0059】
本発明の1つの例示的な実施例のトランジションジョイント101は、第1のストレスコーン106と、第2のストレスコーン108とをさらに備え、前記第1のストレスコーン106及び前記第2のストレスコーン108は、前記絶縁本体116内に設けられており、前記第1のストレスコーン106は、前記第1の開口120を囲み、前記第2のストレスコーン108は、前記第2の開口122を囲む。
【0060】
例として、前記第1のストレスコーン106は切頭円錐状であり、その切頭部分の円周は、前記第1の開口120を囲んで小ケーブル102の外層と緊密に接続されている。
【0061】
例として、前記第2のストレスコーン108は切頭円錐状であり、その切頭部分の円周は、前記第2の開口122を囲んで大ケーブル104の外層と緊密に接続されている。
【0062】
例として、小ケーブル102及び大ケーブル104の外層は、周方向に1層の銅編組で囲まれる。
【0063】
図2は、本発明の1つの例示的な実施例におけるトランジションジョイントの絶縁本体116である。例として、前記トランジションジョイントは、大ケーブルに適合するトランジションジョイントに比べて1層の絶縁層140を増やしており、前記絶縁層140は、小ケーブル(図2に示さない)と半分の高圧電極(図2に示さない)との間に位置し、前記絶縁層は、半分の圧着部材(図2に示さない)と半分の高圧電極(図2に示さない)との間に位置する。
【0064】
図3は、本発明の1つの例示的な実施例におけるトランジションジョイントの圧着部材114である。前記圧着部材114は、第1の接合部110と第2の接合部112とを備え、前記第1の接合部110の直径は、前記第2の接合部112の直径よりも小さく、前記第1の接合部110及び前記第2の接合部112は、隣接して設けられて肩部128を形成する。
【0065】
本発明の1つの例示的な実施例のトランジションジョイントは、一体として出荷前に高圧試験を行うことができるので、その製品の品質は保証できる。
【0066】
本発明の1つの例示的な実施例は、絶縁直径が異なり、ひいては差異が大きい高圧ケーブルを接続する方法を含み、本発明の1つの例示的な実施例であるプレハブ型のトランジションジョイントを使用することで、取り付けに必要な工程を簡略化して取り付けの時間及び労働力を減少させる。この方法は、以下のステップを含む。本発明の1つの例示的な実施例における第1のケーブルと第2のケーブルとを接続するトランジションジョイントを提供し、前記第1のケーブルの絶縁直径は前記第2のケーブルの絶縁直径よりも小さく、前記第1のケーブルの終端を前記絶縁本体の第1の開口に通して前記圧着部材の第1の接合部と接合してから、前記第2のケーブルの終端を前記絶縁本体の第2の開口に通して前記圧着部材の第2の接合部と接合する。本発明の1つの例示的な実施例におけるトランジションジョイントの絶縁層は前記肩部と緊密に接続される必要があるので、ステップは必ず上記の順序でなければならない。そうでなければ、前記肩部と前記絶縁層との間に隙間が生じ、トランジションジョイントの高圧電極管によるトランジションジョイント内の電界に対する制御に影響を与えることとなり、トランジションジョイントがあらゆる電圧負荷で正常に作動させることができなくなり、より長い作動寿命に耐えられなくなる。例えば、第2のケーブルの終端を前記第2の開口に挿入して第2の接合部と接合してから、第1のケーブルの終端を前記第1の開口に挿入して第1の接合部と接合すると、圧着部材が第2の開口の方向へ押され、前記肩部と前記絶縁層との間に隙間が生じる可能性が高い。
【0067】
ケーブルの大きさの差異がどの程度であっても、本発明の1つの例示的な実施例のトランジションジョイントを用いて接続することができる。
【0068】
なお、本明細書に記載の技術的特徴、技術的解決手段は、1つ又は複数の実施例において任意の適切な方法で組み合わせることができる。本明細書において部材に付けられた「第1」、「第2」等の番号自体は、説明の対象を区別するためのものに過ぎず、いかなる順序又は技術的意味も有していない。本願は、本実施例に説明した実施形態に限定されず、様々な異なる形式で実現可能である。以上の内容は、具体的な実施形態を参照して本発明をさらに詳細に説明するものであるが、本発明の具体的な実施が、これらの説明のみに限定されると認定することはできない。
【0069】
例えば、本明細書で使用する「差異が大きい」とは、絶縁直径の差が少なくとも8ミリメートルであることを意味する。
【0070】
例えば、本明細書で使用する「絶縁直径」とは、ケーブルの物理的直径を意味する。
【0071】
例えば、本明細書で使用する「高圧ケーブル」とは、36kV又はそれ以上の電力を伝送するケーブルを意味する。
【0072】
例えば、本明細書で使用する「超高圧ケーブル」とは、220kV又はそれ以上の電力を伝送するケーブルを意味する。
【0073】
例えば、本明細書で使用する「中圧ケーブル」とは、3kV~36kV又はそれ以上の電力を伝送するケーブルを意味する。
【0074】
例えば、本明細書で使用する「十分な一定の圧力」とは、絶縁本体により提供され、界面の絶縁強度を十分に且つ一定に保持する圧縮力を意味する。
【符号の説明】
【0075】
101 トランジションジョイント
102 第1のケーブル(小ケーブル)
104 第2のケーブル(大ケーブル)
106 第1のストレスコーン
108 第2のストレスコーン
110 第1の接合部
112 第2の接合部
114 圧着部材
116 絶縁本体
118 高圧電極管
120 第1の開口
122 第2の開口
128 肩部
130 銅ケーシング
140 延在部(絶縁層)
図1
図2
図3