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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】光音響波測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/13 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
A61B8/13
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019058979
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020156737
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100113354
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 総
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 秀明
(72)【発明者】
【氏名】宮島 淳
(72)【発明者】
【氏名】伊田 泰一郎
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-101415(JP,A)
【文献】特開2009-261520(JP,A)
【文献】特開2017-000660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0150973(US,A1)
【文献】特開2013-022171(JP,A)
【文献】特開2016-101260(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0356897(US,A1)
【文献】特開2015-073577(JP,A)
【文献】特開2004-024855(JP,A)
【文献】特開2015-181659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/00
G01N 29/00 - 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス光を出力するパルス光出力部と、
前記パルス光により測定対象において発生した光音響波を受けて電気信号に変換するレンズと、
前記電気信号を測定する測定部と、
前記測定部の測定結果の波形を表示する波形表示部と、
前記波形における前記レンズの焦点の位置を表示する焦点位置表示部と、
を備えた光音響波測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光音響波測定装置であって、
前記パルス光出力部の出力端を移動させる出力端移動部と、
前記焦点位置表示部により表示された表示図形を、前記出力端の移動量に応じて、前記波形に対して移動させる表示図形移動部と、
を備えた光音響波測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光音響波測定装置であって、
前記表示図形移動部が、前記出力端の前記パルス光の出力方向への移動量に応じて、前記波形において前記パルス光の出力方向に対応する方向へ前記表示図形を移動させる、
光音響波測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光音響波測定装置であって、
前記焦点位置表示部が、
前記波形において、前記パルス光出力部の出力端に対応する座標に、前記出力端と前記焦点との距離を加えた座標を、前記焦点の位置として、前記焦点の位置の表示を行う、
光音響波測定装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光音響波測定装置であって、
前記波形表示部が、前記パルス光出力部の出力端の初期位置から所定の距離の範囲内における前記波形を表示する、
光音響波測定装置。
【請求項6】
パルス光を出力するパルス光出力部と、
前記パルス光により測定対象において発生した光音響波を受けて電気信号に変換するレンズと、
前記電気信号を測定する測定部と、
前記測定部の測定結果に基づき、前記測定対象の断層画像を表示する断層画像表示部と、
前記断層画像における前記レンズの焦点の位置を表示する焦点位置表示部と、
前記パルス光出力部の出力端を移動させる出力端移動部と、
前記焦点位置表示部により表示された表示図形を、前記出力端の移動量に応じて、前記断層画像に対して移動させる表示図形移動部と、
を備えた光音響波測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光音響波測定装置であって、
前記表示図形移動部が、前記出力端の前記パルス光の出力方向への移動量に応じて、前記断層画像において前記パルス光の出力方向に対応する方向へ前記表示図形を移動させる、
光音響波測定装置。
【請求項8】
パルス光を出力するパルス光出力部と、
前記パルス光により測定対象において発生した光音響波を受けて電気信号に変換するレンズと、
前記電気信号を測定する測定部と、
前記測定部の測定結果に基づき、前記測定対象の断層画像を表示する断層画像表示部と、
前記断層画像における前記レンズの焦点の位置を表示する焦点位置表示部と、
を備え、
前記パルス光出力部の出力端が、前記パルス光の出力方向を法線方向とする平面内を移動し、
前記出力端の位置の各々についての前記測定部の測定結果を合成することにより、前記断層画像を得る、
光音響波測定装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光音響波測定装置であって、
前記焦点位置表示部が、前記パルス光の出力方向についての前記焦点の座標を表示する、
光音響波測定装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の光音響波測定装置であって、
前記レンズが圧電素子である光音響波測定装置。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の光音響波測定装置であって、
前記レンズが、
前記測定対象に対向する凹面を有する、
光音響波測定装置。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の光音響波測定装置であって、
前記レンズが、超音波を出力し、さらに前記超音波が前記測定対象により反射された反射超音波を受けて反射電気信号に変換し、
前記反射電気信号の測定結果が表示される、
光音響波測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光音響波の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光音響波測定装置が知られている(例えば、特許文献1、2および3を参照)。光音響波測定装置を移動させることで、光音響波測定装置が有する音響レンズの焦点の被測定物に対する位置を変化させること(例えば、特許文献1を参照)や、光音響波による測定結果を画像として表示すること(例えば、特許文献2、3を参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-101260号公報
【文献】特開2013-220145号公報
【文献】特表2011-519281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術のような光音響波測定装置によれば、音響レンズの焦点の被測定物に対する位置を変化させることができても、所望の位置に音響レンズの焦点の被測定物に対する位置を合わせることは難しい。それは、そもそも、音響レンズの焦点の位置が分かりにくいからである。
【0005】
そこで、本発明は、光音響波測定装置において、音響レンズの焦点の位置を分かりやすくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる第一の光音響波測定装置は、パルス光を出力するパルス光出力部と、前記パルス光により測定対象において発生した光音響波を受けて電気信号に変換するレンズと、前記電気信号を測定する測定部と、前記測定部の測定結果の波形を表示する波形表示部と、前記波形における前記レンズの焦点の位置を表示する焦点位置表示部とを備えるように構成される。
【0007】
上記のように構成された第一の光音響波測定装置によれば、パルス光出力部が、パルス光を出力する。レンズが、前記パルス光により測定対象において発生した光音響波を受けて電気信号に変換する。測定部が、前記電気信号を測定する。波形表示部が、前記測定部の測定結果の波形を表示する。焦点位置表示部が、前記波形における前記レンズの焦点の位置を表示する。
【0008】
なお、本発明にかかる第一の光音響波測定装置は、前記パルス光出力部の出力端を移動させる出力端移動部と、前記焦点位置表示部により表示された表示図形を、前記出力端の移動量に応じて、前記波形に対して移動させる表示図形移動部とを備えるようにしてもよい。
【0009】
なお、本発明にかかる第一の光音響波測定装置は、前記表示図形移動部が、前記出力端の前記パルス光の出力方向への移動量に応じて、前記波形において前記パルス光の出力方向に対応する方向へ前記表示図形を移動させるようにしてもよい。
【0010】
なお、本発明にかかる第一の光音響波測定装置は、前記焦点位置表示部が、前記波形において、前記出力端に対応する座標に、前記出力端と前記焦点との距離を加えた座標を、前記焦点の位置として、前記焦点の位置の表示を行うようにしてもよい。
【0011】
なお、本発明にかかる第一の光音響波測定装置は、前記波形表示部が、前記出力端の初期位置から所定の距離の範囲内における前記波形を表示するようにしてもよい。
【0012】
本発明にかかる第二の光音響波測定装置は、パルス光を出力するパルス光出力部と、前記パルス光により測定対象において発生した光音響波を受けて電気信号に変換するレンズと、前記電気信号を測定する測定部と、前記測定部の測定結果に基づき、前記測定対象の断層画像を表示する断層画像表示部と、前記断層画像における前記レンズの焦点の位置を表示する焦点位置表示部とを備えるように構成される。
【0013】
上記のように構成された第二の光音響波測定装置によれば、パルス光出力部が、パルス光を出力する。レンズが、前記パルス光により測定対象において発生した光音響波を受けて電気信号に変換する。測定部が、前記電気信号を測定する。断層画像表示部が、前記測定部の測定結果に基づき、前記測定対象の断層画像を表示する。焦点位置表示部が、前記断層画像における前記レンズの焦点の位置を表示する。
【0014】
なお、本発明にかかる第二の光音響波測定装置は、前記パルス光出力部の出力端を移動させる出力端移動部と、前記焦点位置表示部により表示された表示図形を、前記出力端の移動量に応じて、前記断層画像に対して移動させる表示図形移動部とを備えるようにしてもよい。
【0015】
なお、本発明にかかる第二の光音響波測定装置は、前記表示図形移動部が、前記出力端の前記パルス光の出力方向への移動量に応じて、前記断層画像において前記パルス光の出力方向に対応する方向へ前記表示図形を移動させるようにしてもよい。
【0016】
なお、本発明にかかる第二の光音響波測定装置は、前記焦点位置表示部が、前記断層画像において、前記出力端に対応する座標に、前記出力端と前記焦点との距離を加えた座標を、前記焦点の位置として、前記焦点の位置の表示を行うようにしてもよい。
【0017】
なお、本発明にかかる第二の光音響波測定装置は、前記断層画像表示部が、前記出力端の初期位置から所定の距離の範囲内における前記断層画像を表示するようにしてもよい。
【0018】
なお、本発明にかかる第二の光音響波測定装置は、前記出力端が、前記パルス光の出力方向を法線方向とする平面内を移動し、前記出力端の位置の各々についての前記測定部の測定結果を合成することにより、前記断層画像を得るようにしてもよい。
【0019】
なお、本発明にかかる第一の光音響波測定装置は、前記焦点位置表示部が、前記パルス光の出力方向についての前記焦点の座標を表示するようにしてもよい。
【0020】
なお、本発明にかかる第二の光音響波測定装置は、前記焦点位置表示部が、前記パルス光の出力方向についての前記焦点の座標を表示するようにしてもよい。
【0021】
なお、本発明にかかる第一および第二の光音響波測定装置は、前記レンズが圧電素子であるようにしてもよい。
【0022】
なお、本発明にかかる第一および第二の光音響波測定装置は、前記レンズが、前記測定対象に対向する凹面を有するようにしてもよい。
【0023】
なお、本発明にかかる第一および第二の光音響波測定装置は、前記レンズが、超音波を出力し、さらに前記超音波が前記測定対象により反射された反射超音波を受けて反射電気信号に変換し、前記反射電気信号の測定結果が表示されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第一の実施形態にかかる測定用ヘッド10の断面図である。
図2】本発明の第一の実施形態にかかる光音響波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図3】焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態における、第一の実施形態にかかる測定用ヘッド10の断面図である。
図4】焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態(図4(a))および焦点fpを血管2aに合わせた状態(図4(b))における、波形表示部20、焦点位置表示部22および表示図形移動部24の表示態様を示す図である。
図5】Z方向移動部(出力端移動部)14による出力端10dをZ方向(下方)へ移動させ焦点fpを血管2aに合わせた状態を示す図である。
図6】焦点fpが血管2aよりも深すぎる状態における、第一の実施形態にかかる測定用ヘッド10の断面図である。
図7】焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態(図7(a))および焦点fpを血管2aに合わせた状態(図7(b))における、波形表示部20、焦点位置表示部22および表示図形移動部24の表示態様を示す図である。
図8】Z方向移動部(出力端移動部)14による出力端10dをZ方向(上方)へ移動させ焦点fpを血管2aに合わせた状態を示す図である。
図9】第一の実施形態の変形例にかかる波形表示部20および焦点位置表示部22の表示態様を示す図である。
図10】本発明の第二の実施形態にかかる光音響波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図11】焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態(図11(a))および焦点fpを血管2aに合わせた状態(図11(b))における、断層画像表示部30、焦点位置表示部22および表示図形移動部24の表示態様を示す図である。
図12】焦点fpが血管2aよりも深すぎる状態(図12(a))および焦点fpを血管2aに合わせた状態(図12(b))における、断層画像表示部30、焦点位置表示部22および表示図形移動部24の表示態様を示す図である。
図13】本発明の第三の実施形態にかかる測定用ヘッド10の断面図である。
図14】本発明の第三の実施形態にかかる光音響波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図15】本発明の第四の実施形態にかかる光音響波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0026】
第一の実施形態
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる測定用ヘッド10の断面図である。図2は、本発明の第一の実施形態にかかる光音響波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【0027】
第一の実施形態にかかる光音響波測定装置1は、測定対象2(例えば、人体であるが、それに限定されない)を測定するためのものである。測定対象2には血管2aがある。
【0028】
第一の実施形態にかかる光音響波測定装置1は、測定用ヘッド10、XY方向移動部12、Z方向移動部(出力端移動部)14、測定部16、焦点位置記録部18、波形表示部20、焦点位置表示部22、表示図形移動部24を備える。
【0029】
測定用ヘッド10は、光ファイバ(パルス光出力部)10a、光ファイバ保持部10b、レンズ10cを有する。
【0030】
光ファイバ(パルス光出力部)10aは、出力端10dから、パルス光Pを出力する。なお、パルス光Pの出力方向をZ方向とする。また、測定対象2の血管2aがパルス光Pを受けると、光音響波AWを発生する。
【0031】
光ファイバ保持部10bは、光ファイバ10aの周囲に配置され、光ファイバ10aを保持する。
【0032】
レンズ10cは、パルス光Pにより測定対象2において発生した光音響波AWを受けて電気信号に変換する音響レンズである。レンズ10cは、圧電素子である。レンズ10cは、測定対象2に対向する凹面を有する。なお、測定領域MAは、レンズ10cにより測定可能な光音響波AWの存在する領域である。また、測定用ヘッド10と測定対象2との間には、図示省略した超音波を伝達する部材(例えば、プラスチック容器に収容した水)を配置しておく。光音響波AWは、超音波を伝達する部材を介して、レンズ10cに到達する(他の実施形態も同様)。
【0033】
Z方向移動部(出力端移動部)14は、光ファイバ10aの出力端10dをZ方向(パルス光Pの出力方向)に移動させる。Z方向移動部14の実装の一例としては、測定用ヘッド10ごと手動(例えば、ツマミを回す)によりZ方向に上下させることが考えられる。もちろん、手動は一例であり、例えば電動でもよい。
【0034】
XY方向移動部12は、光ファイバ10aの出力端10dを、Z方向に直交するX方向およびY方向に移動させる。
【0035】
測定部16は、レンズ10cから受けた電気信号を測定する。
【0036】
焦点位置記録部18は、出力端10dとレンズ10cの焦点fpとの距離fd(図3および図6参照)を記録する。ただし、出力端10dとレンズ10cの焦点fpとの間を音波が往復する時間t1を記録しておいてもよい。音速をVsとすると、(1/2)×Vs×t1=fdとなる。なお、出力端10dとレンズ10cの焦点fpとの間を超音波が往復する時間をデジタルオシロスコープなどにより測定した結果が、時間t1である。
【0037】
波形表示部20は、測定部16の測定結果の波形AWを表示する(図4および図7参照)。
【0038】
焦点位置表示部22は、波形AWにおけるレンズ10cの焦点の位置を表示する(図4および図7のマーカMを参照)。焦点位置表示部22は、波形AWにおいて、出力端10dに対応する座標0に、距離fdを加えた座標を、焦点fpの位置として、焦点fpの位置の表示を行う。
【0039】
表示図形移動部24は、焦点位置表示部22により表示されたマーカ(表示図形)Mを、出力端10dの移動量d1、d2(図5および図8参照)に応じて、波形AWに対して移動させる(図4および図7参照)。
【0040】
より詳細には、表示図形移動部24は、出力端10dのパルス光Pの出力方向(Z方向)への移動量d1、d2(図5および図8参照)に応じて、波形AWにおいてパルス光Pの出力方向(Z方向)に対応する方向(図4および図7の横軸を参照)へマーカ(表示図形)Mを移動させる。
【0041】
次に、第一の実施形態の動作を説明する。
【0042】
光ファイバ10aの出力端10dからパルス光Pが出力されると、血管2aがパルス光Pを受け、光音響波AWを発生する。光音響波AWは、レンズ10cにより電気信号に変換され、測定部16により測定される。測定結果は波形AWとして、波形表示部20により表示される(図4および図7参照)。波形AWの表示にあわせて、焦点位置表示部22により焦点fpの位置が表示される(マーカM)。さらに、マーカMが表示図形移動部24により、出力端10dの移動量に応じて、波形AWに対して移動される。
【0043】
(1)焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態における動作
図3は、焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態における、第一の実施形態にかかる測定用ヘッド10の断面図である。図4は、焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態(図4(a))および焦点fpを血管2aに合わせた状態(図4(b))における、波形表示部20、焦点位置表示部22および表示図形移動部24の表示態様を示す図である。図5は、Z方向移動部(出力端移動部)14による出力端10dをZ方向(下方)へ移動させ焦点fpを血管2aに合わせた状態を示す図である。ただし、図5においては、測定用ヘッド10のうち、レンズ10cおよび出力端10dのみ図示している。
【0044】
図3を参照して、焦点fpが血管2aよりもd1だけ浅すぎる。焦点fpが血管2aに合わないと、血管2aのXY平面画像がぼやける。そこで、焦点fpを血管2aに合わせる必要がある。
【0045】
図4(a)を参照して、焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態における波形表示部20、焦点位置表示部22および表示図形移動部24の表示態様を説明する。なお、図4(a)において、座標0、t0、(fd)は、説明の便宜上図示しているので、必ずしも表示する必要は無い(図4(b)も同様)。
【0046】
図4(a)における横軸は時間であり、光音響波の波形AWが図示されている。座標0は、出力端10dからのパルス光Pの出力タイミングである。座標t0は、出力端10dからパルス光Pが出力されてから、レンズ10cにより光音響波AW(ただし、焦点fpにおいて発生したもの)を受けるまでの時間である。なお、パルス光Pの速度(光速)は非常に速いので、パルス光Pが出力されてから焦点fpに到達するまでの時間は無視できる。よって、t0=(1/2)×t1となる。
【0047】
なお、上述のとおり、(1/2)×Vs×t1=fdなので、Vs×t0=fdとなる。このことから、図4(a)における横軸の座標は、音速Vsを乗じることにより、出力端10dの初期位置からのZ方向の距離(「深さ」という)に換算することができる(図4(b)も同様)。図4において、深さに換算した座標をカッコ書きで図示する。
【0048】
図4(a)においては、波形AWにおいて、出力端10dの初期位置に対応する座標0に、出力端10dと焦点fpとの距離fdを加えた座標(fd)を、焦点fpの位置として、焦点位置表示部22が焦点fpの位置の表示を行う。具体的には、座標t0(fd)の真上にマーカ(表示図形)Mを表示する。なお、マーカMは、長方形の領域B内に位置する。領域Bは、横軸方向に延伸する長方形の領域である。
【0049】
なお、血管2aは焦点fpよりも深い位置にあるので、波形AWの位置する座標は、座標t0(fd)よりも大きい。
【0050】
ここで、ユーザは、Z方向移動部14により、測定用ヘッド10ごと出力端10dをZ方向の座標が増大する方向(図5において下方)に動かして、焦点fpを血管2aに合わせようとする。
【0051】
すると、マーカMが、出力端10dのZ方向への移動量に応じて、Z方向に対応する方向(横軸方向)に移動する。例えば、出力端10dを、Z方向の座標が増大する方向(図5において下方)に動かすと、マーカMは、領域B内を右側(Z方向の座標が増大する方向)に移動する。
【0052】
図4(b)を参照して、出力端10dをd1だけ、Z方向の座標が増大する方向(図5において下方)に動かすと、焦点fpの座標t0(fd)が、波形AWの座標に重なる。このとき、図5を参照して、焦点fpが血管2aに合っている。
【0053】
(2)焦点fpが血管2aよりも深すぎる状態における動作
図6は、焦点fpが血管2aよりも深すぎる状態における、第一の実施形態にかかる測定用ヘッド10の断面図である。図7は、焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態(図7(a))および焦点fpを血管2aに合わせた状態(図7(b))における、波形表示部20、焦点位置表示部22および表示図形移動部24の表示態様を示す図である。図8は、Z方向移動部(出力端移動部)14による出力端10dをZ方向(上方)へ移動させ焦点fpを血管2aに合わせた状態を示す図である。ただし、図8においては、測定用ヘッド10のうち、レンズ10cおよび出力端10dのみ図示している。
【0054】
図6を参照して、焦点fpが血管2aよりもd2だけ深すぎる。焦点fpが血管2aに合わないと、血管2aのXY平面画像がぼやける。そこで、焦点fpを血管2aに合わせる必要がある。
【0055】
図7(a)を参照して、焦点fpが血管2aよりも深すぎる状態における波形表示部20、焦点位置表示部22および表示図形移動部24の表示態様を説明する。なお、図7(a)において、座標0、t0、(fd)は、説明の便宜上図示しているので、必ずしも表示する必要は無い(図7(b)も同様)。
【0056】
図7(a)における横軸は時間であり、光音響波の波形AWが図示されている。座標0は、出力端10dからのパルス光Pの出力タイミングである。座標t0は、出力端10dからパルス光Pが出力されてから、レンズ10cにより光音響波AW(ただし、焦点fpにおいて発生したもの)を受けるまでの時間である。なお、パルス光Pの速度(光速)は非常に速いので、パルス光Pが出力されてから焦点fpに到達するまでの時間は無視できる。よって、t0=(1/2)×t1となる。
【0057】
なお、上述のとおり、(1/2)×Vs×t1=fdなので、Vs×t0=fdとなる。このことから、図7(a)における横軸の座標は、音速Vsを乗じることにより、出力端10dの初期位置からのZ方向の距離(「深さ」という)に換算することができる(図7(b)も同様)。図7において、深さに換算した座標をカッコ書きで図示する。
【0058】
図7(a)においては、波形AWにおいて、出力端10dの初期位置に対応する座標0に、出力端10dと焦点fpとの距離fdを加えた座標(fd)を、焦点fpの位置として、焦点位置表示部22が焦点fpの位置の表示を行う。具体的には、座標t0(fd)の真上にマーカ(表示図形)Mを表示する。なお、マーカMは、長方形の領域B内に位置する。領域Bは、横軸方向に延伸する長方形の領域である。
【0059】
なお、血管2aは焦点fpよりも浅い位置にあるので、波形AWの位置する座標は、座標t0(fd)よりも小さい。
【0060】
ここで、ユーザは、Z方向移動部14により、測定用ヘッド10ごと出力端10dをZ方向の座標が減少する方向(図8において上方)に動かして、焦点fpを血管2aに合わせようとする。
【0061】
すると、マーカMが、出力端10dのZ方向への移動量に応じて、Z方向に対応する方向(横軸方向)に移動する。例えば、出力端10dを、Z方向の座標が減少する方向(図8において上方)に動かすと、マーカMは、領域B内を左側(Z方向の座標が減少する方向)に移動する。
【0062】
図7(b)を参照して、出力端10dをd2だけ、Z方向の座標が減少する方向(図8において上方)に動かすと、焦点fpの座標t0(fd)が、波形AWの座標に重なる。このとき、図8を参照して、焦点fpが血管2aに合っている。
【0063】
第一の実施形態にかかる光音響波測定装置1によれば、音響レンズであるレンズ10cの焦点fpの位置が、マーカMにより表示されるので、分かりやすい。
【0064】
しかも、マーカMが、出力端10dの移動量に応じて、波形AWに対して移動するため(図4および図7参照)、測定用ヘッド10ごと出力端10dをZ方向に上下させたときに焦点fpが血管2aに合っているか否かが分かりやすい。
【0065】
なお、第一の実施形態においては、波形AWの表示範囲に制限を設けなかったが、波形AWの表示範囲に制限を設けてもよい。
【0066】
図9が、第一の実施形態の変形例にかかる波形表示部20および焦点位置表示部22の表示態様を示す図である。
【0067】
図9を参照して、出力端10dの初期位置0から所定の距離の範囲内(ta~tbにVsを乗じて距離に換算した範囲Za~Zb)における波形AWが表示される。これは、測定用ヘッド10のレンズ10cから取得された電気信号(アナログ信号)を所定の範囲内だけデジタル信号に変換して、波形表示部20により表示させることにより可能である。あるいは、測定用ヘッド10のレンズ10cが、所定の範囲内だけ、電気信号(アナログ信号)を取得するようにしてもよい。
【0068】
なお、範囲Za~Zb(ta・Vs~tb・Vs)は、出力端10dの初期位置と皮膚表面との距離に、血管2aの皮膚表面からの深さを加えた値に応じて定める。
【0069】
第二の実施形態
第二の実施形態にかかる光音響波測定装置1は、波形表示部20にかえて断層画像表示部30を備える点が、第一の実施形態と異なる。
【0070】
図10は、本発明の第二の実施形態にかかる光音響波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。なお、第二の実施形態にかかる測定用ヘッド10は、第一の実施形態と同じものであるため、説明を省略する(図1参照)。
【0071】
第二の実施形態にかかる光音響波測定装置1は、第一の実施形態と同じく、測定対象2(例えば、人体であるが、それに限定されない)を測定するためのものである。測定対象2には血管2aがある。
【0072】
第二の実施形態にかかる光音響波測定装置1は、測定用ヘッド10、XY方向移動部12、Z方向移動部(出力端移動部)14、測定部16、焦点位置記録部18、断層画像表示部30、焦点位置表示部22、表示図形移動部24を備える。
【0073】
XY方向移動部12、Z方向移動部(出力端移動部)14、測定部16および焦点位置記録部18は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0074】
断層画像表示部30は、測定部16の測定結果に基づき、測定対象2の断層画像を表示する(図11および図12参照)。なお、XY方向移動部12により、出力端10dが、パルス光Pの出力方向(Z方向)を法線方向とする平面(XY平面)内を移動する。そのときの出力端10dの位置の各々についての測定部16の測定結果を、断層画像表示部30が合成(例えば、開口合成)することにより、断層画像を得る。
【0075】
図11および図12を参照して、出力端10dの初期位置0から所定の距離の範囲内(ta~tbにVsを乗じて距離に換算した範囲Za~Zb)における断層画像が断層画像表示部30により表示される。これは、測定用ヘッド10のレンズ10cから取得された電気信号(アナログ信号)を所定の範囲内だけデジタル信号に変換して、波形表示部20により表示させることにより可能である。あるいは、測定用ヘッド10のレンズ10cが、所定の範囲内だけ、電気信号(アナログ信号)を取得するようにしてもよい。
【0076】
焦点位置表示部22は、断層画像におけるレンズ10cの焦点の位置を表示する(図11および図12のマーカMを参照)。焦点位置表示部22は、断層画像において、出力端10dに対応する座標0に、距離fdを加えた座標を、焦点fpの位置として、焦点fpの位置の表示を行う。
【0077】
表示図形移動部24は、焦点位置表示部22により表示されたマーカ(表示図形)Mを、出力端10dの移動量d1、d2(図5および図8参照)に応じて、断層画像に対して移動させる(図11および図12参照)。
【0078】
より詳細には、表示図形移動部24は、出力端10dのパルス光Pの出力方向(Z方向)への移動量d1、d2(図5および図8参照)に応じて、断層画像においてパルス光Pの出力方向(Z方向)に対応する方向(図11および図12の縦軸を参照)へマーカ(表示図形)Mを移動させる。
【0079】
次に、第二の実施形態の動作を説明する。
【0080】
光ファイバ10aの出力端10dからパルス光Pが出力されると、血管2aがパルス光Pを受け、光音響波AWを発生する。光音響波AWは、レンズ10cにより電気信号に変換され、測定部16により測定される。測定結果は断層画像として、断層画像表示部30により表示される(図11および図12参照)。断層画像の表示にあわせて、焦点位置表示部22により焦点fpの位置が表示される(マーカM)。さらに、マーカMが表示図形移動部24により、出力端10dの移動量に応じて、断層画像に対して移動される。
【0081】
(1)焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態における動作
焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態は、第一の実施形態と同じである(図3参照)。Z方向移動部(出力端移動部)14による出力端10dをZ方向へ移動させ焦点fpを血管2aに合わせた状態も、第一の実施形態と同じである(図5参照)。
【0082】
図11は、焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態(図11(a))および焦点fpを血管2aに合わせた状態(図11(b))における、断層画像表示部30、焦点位置表示部22および表示図形移動部24の表示態様を示す図である。
【0083】
図3を参照して、焦点fpが血管2aよりもd1だけ浅すぎる。焦点fpが血管2aに合わないと、血管2aのXY平面画像がぼやける。そこで、焦点fpを血管2aに合わせる必要がある。
【0084】
図11(a)を参照して、焦点fpが血管2aよりも浅すぎる状態における断層画像表示部30、焦点位置表示部22および表示図形移動部24の表示態様を説明する。なお、図11(a)において、縦軸、座標0、t0、(fd)、焦点fpは、説明の便宜上図示しているので、必ずしも表示する必要は無い(図11(b)も同様)。ただし、図11および図12において、焦点fpおよび焦点fpを通る線分(点線)の一方または双方を表示図形として表示させるようにしてもよい。
【0085】
図11(a)における縦軸は時間であり、断層画像が図示されている。座標0は、出力端10dからのパルス光Pの出力タイミングである。座標t0は、出力端10dからパルス光Pが出力されてから、レンズ10cにより光音響波AW(ただし、焦点fpにおいて発生したもの)を受けるまでの時間である。なお、パルス光Pの速度(光速)は非常に速いので、パルス光Pが出力されてから焦点fpに到達するまでの時間は無視できる。よって、t0=(1/2)×t1となる。
【0086】
なお、上述のとおり、(1/2)×Vs×t1=fdなので、Vs×t0=fdとなる。このことから、図11(a)における縦軸の座標は、音速Vsを乗じることにより、出力端10dの初期位置からのZ方向の距離(「深さ」という)に換算することができる(図11(b)も同様)。図11において、深さに換算した座標をカッコ書きで図示する。
【0087】
図11(a)においては、断層画像において、出力端10dの初期位置に対応する座標0に、出力端10dと焦点fpとの距離fdを加えた座標(fd)を、焦点fpの位置として、焦点位置表示部22が焦点fpの位置の表示を行う。具体的には、座標t0(fd)の真横にマーカ(表示図形)Mを表示する。なお、マーカMは、長方形の領域B内に位置する。領域Bは、縦軸方向に延伸する長方形の領域である。
【0088】
なお、血管2aは焦点fpよりも深い位置にあるので、血管2aの断層画像の位置する座標は、座標t0(fd)よりも大きい。
【0089】
ここで、ユーザは、Z方向移動部14により、測定用ヘッド10ごと出力端10dをZ方向の座標が増大する方向(図5において下方)に動かして、焦点fpを血管2aに合わせようとする。
【0090】
すると、マーカMが、出力端10dのZ方向への移動量に応じて、Z方向に対応する方向(縦軸方向)に移動する。例えば、出力端10dを、Z方向の座標が増大する方向(図5において下方)に動かすと、マーカMは、領域B内を下側(Z方向の座標が増大する方向)に移動する。
【0091】
図11(b)を参照して、出力端10dをd1だけ、Z方向の座標が増大する方向(図5において下方)に動かすと、焦点fpの座標t0(fd)が、血管2aの断層画像の座標に重なる。このとき、図5を参照して、焦点fpが血管2aに合っている。
【0092】
(2)焦点fpが血管2aよりも深すぎる状態における動作
焦点fpが血管2aよりも深すぎる状態は、第一の実施形態と同じである(図6参照)。Z方向移動部(出力端移動部)14による出力端10dをZ方向へ移動させ焦点fpを血管2aに合わせた状態も、第一の実施形態と同じである(図8参照)。
【0093】
図12は、焦点fpが血管2aよりも深すぎる状態(図12(a))および焦点fpを血管2aに合わせた状態(図12(b))における、断層画像表示部30、焦点位置表示部22および表示図形移動部24の表示態様を示す図である。
【0094】
図6を参照して、焦点fpが血管2aよりもd2だけ浅すぎる。焦点fpが血管2aに合わないと、血管2aのXY平面画像がぼやける。そこで、焦点fpを血管2aに合わせる必要がある。
【0095】
図12(a)を参照して、焦点fpが血管2aよりも深すぎる状態における断層画像表示部30、焦点位置表示部22および表示図形移動部24の表示態様を説明する。なお、図12(a)において、縦軸、座標0、t0、(fd)、焦点fpは、説明の便宜上図示しているので、必ずしも表示する必要は無い(図12(b)も同様)。
【0096】
図12(a)における縦軸は時間であり、断層画像が図示されている。座標0は、出力端10dからのパルス光Pの出力タイミングである。座標t0は、出力端10dからパルス光Pが出力されてから、レンズ10cにより光音響波AW(ただし、焦点fpにおいて発生したもの)を受けるまでの時間である。なお、パルス光Pの速度(光速)は非常に速いので、パルス光Pが出力されてから焦点fpに到達するまでの時間は無視できる。よって、t0=(1/2)×t1となる。
【0097】
なお、上述のとおり、(1/2)×Vs×t1=fdなので、Vs×t0=fdとなる。このことから、図12(a)における縦軸の座標は、音速Vsを乗じることにより、出力端10dの初期位置からのZ方向の距離(「深さ」という)に換算することができる(図12(b)も同様)。図12において、深さに換算した座標をカッコ書きで図示する。
【0098】
図12(a)においては、断層画像において、出力端10dの初期位置に対応する座標0に、出力端10dと焦点fpとの距離fdを加えた座標(fd)を、焦点fpの位置として、焦点位置表示部22が焦点fpの位置の表示を行う。具体的には、座標t0(fd)の真横にマーカ(表示図形)Mを表示する。なお、マーカMは、長方形の領域B内に位置する。領域Bは、縦軸方向に延伸する長方形の領域である。
【0099】
なお、血管2aは焦点fpよりも浅い位置にあるので、血管2aの断層画像の位置する座標は、座標t0(fd)よりも小さい。
【0100】
ここで、ユーザは、Z方向移動部14により、測定用ヘッド10ごと出力端10dをZ方向の座標が減少する方向(図8において上方)に動かして、焦点fpを血管2aに合わせようとする。
【0101】
すると、マーカMが、出力端10dのZ方向への移動量に応じて、Z方向に対応する方向(縦軸方向)に移動する。例えば、出力端10dを、Z方向の座標が減少する方向(図8において上方)に動かすと、マーカMは、領域B内を上側(Z方向の座標が減少する方向)に移動する。
【0102】
図12(b)を参照して、出力端10dをd2だけ、Z方向の座標が減少する方向(図8において上方)に動かすと、焦点fpの座標t0(fd)が、血管2aの断層画像の座標に重なる。このとき、図8を参照して、焦点fpが血管2aに合っている。
【0103】
第二の実施形態によれば、第一の実施形態と同様な効果を奏する。
【0104】
第三の実施形態
第三の実施形態にかかる光音響波測定装置1は、パルス光Pのほかに、さらに超音波P1を測定対象2に与えて測定を行うことが、第一の実施形態と異なる。
【0105】
図13は、本発明の第三の実施形態にかかる測定用ヘッド10の断面図である。図14は、本発明の第三の実施形態にかかる光音響波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【0106】
第三の実施形態にかかる光音響波測定装置1は、測定対象2(例えば、人体であるが、それに限定されない)を測定するためのものである。測定対象2には血管2aがある。
【0107】
第三の実施形態にかかる光音響波測定装置1は、測定用ヘッド10、XY方向移動部12、Z方向移動部(出力端移動部)14、測定部16、焦点位置記録部18、波形表示部20、焦点位置表示部22、表示図形移動部24を備える。
【0108】
測定用ヘッド10は、光ファイバ(パルス光出力部)10a、光ファイバ保持部10b、レンズ10cを有する。光ファイバ10aおよび光ファイバ保持部10bは、第一の実施形態と同じものであり説明を省略する。
【0109】
レンズ10cも第一の実施形態と同じものであるが、さらに超音波P1を出力する。レンズ10cを圧電素子として、レンズ10cに電圧を印加することで、レンズ10cから超音波P1を出力させることができる。レンズ10cは、さらに超音波P1が測定対象2により反射された反射超音波P2(図14参照)を受けて反射電気信号に変換する。なお、超音波P1は、第一の実施形態において説明した超音波を伝達する部材を介して、測定対象2に到達する(第四の実施形態も同様)。反射超音波P2は、第一の実施形態において説明した超音波を伝達する部材を介して、レンズ10cに到達する(第四の実施形態も同様)。
【0110】
測定部16は、レンズ10cから受けた電気信号および反射電気信号を測定する。波形表示部20は、測定部16の測定結果の波形(AWおよびP2)を表示する。
【0111】
XY方向移動部12、Z方向移動部14、焦点位置記録部18、焦点位置表示部22および表示図形移動部24は、第一の実施形態と同じものであり説明を省略する。ただし、反射電気信号の波形P2における焦点fpの座標はt1となる。
【0112】
次に、第三の実施形態の動作を説明する。
【0113】
光ファイバ10aの出力端10dからパルス光Pが出力されると、血管2aがパルス光Pを受け、光音響波AWを発生する。また、レンズ10cからは超音波P1が出力され、測定対象2により反射され、反射超音波P2がレンズ10cに与えられる。光音響波AWおよび反射超音波P2は、レンズ10cにより電気信号および反射電気信号に変換され、測定部16により測定される。測定結果は波形AW、P2として、波形表示部20により表示される。波形AW、P2の表示にあわせて、焦点位置表示部22により焦点fpの位置が表示される(マーカM)。さらに、マーカMが表示図形移動部24により、出力端10dの移動量に応じて、波形AW、P2に対して移動される。なお、波形P2の表示態様は、波形AWと同様である(図4および図7参照)。
【0114】
第三の実施形態によれば、第一の実施形態と同様な効果を奏する。
【0115】
第四の実施形態
第四の実施形態にかかる光音響波測定装置1は、パルス光Pのほかに、さらに超音波P1を測定対象2に与えて測定を行うことが、第二の実施形態と異なる。
【0116】
図15は、本発明の第四の実施形態にかかる光音響波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。なお、第四の実施形態にかかる測定用ヘッド10は、第三の実施形態と同じものであり、説明を省略する。
【0117】
第四の実施形態にかかる光音響波測定装置1は、測定対象2(例えば、人体であるが、それに限定されない)を測定するためのものである。測定対象2には血管2aがある。
【0118】
第四の実施形態にかかる光音響波測定装置1は、測定用ヘッド10、XY方向移動部12、Z方向移動部(出力端移動部)14、測定部16、焦点位置記録部18、断層画像表示部30、焦点位置表示部22、表示図形移動部24を備える。
【0119】
測定部16は、レンズ10cから受けた電気信号および反射電気信号を測定する。断層画像表示部30は、測定部16の測定結果から断層画像を表示する。なお、光音響波AWから得られた断層画像は血管2aが明瞭に表示される一方で、反射超音波P2から得られた断層画像は測定対象2(例えば、皮膚)内の構造が明瞭に表示される。なお、光音響波AWから得られた断層画像と、反射超音波P2から得られた断層画像とを重ね合わせて表示してもよい。
【0120】
XY方向移動部12、Z方向移動部14、焦点位置記録部18、焦点位置表示部22および表示図形移動部24は、第三の実施形態と同じものであり説明を省略する。
【0121】
次に、第四の実施形態の動作を説明する。
【0122】
光ファイバ10aの出力端10dからパルス光Pが出力されると、血管2aがパルス光Pを受け、光音響波AWを発生する。また、レンズ10cからは超音波P1が出力され、測定対象2により反射され、反射超音波P2がレンズ10cに与えられる。光音響波AWおよび反射超音波P2は、レンズ10cにより電気信号および反射電気信号に変換され、測定部16により測定される。断層画像表示部30が、測定結果から断層画像を取得して表示する。断層画像の表示にあわせて、焦点位置表示部22により焦点fpの位置が表示される(マーカM)。さらに、マーカMが表示図形移動部24により、出力端10dの移動量に応じて、断層画像に対して移動される。なお、断層画像の表示態様は、第二の実施形態と同様である(図11および図12参照)。
【0123】
第四の実施形態によれば、第一の実施形態と同様な効果を奏する。
【0124】
なお、第一~第四の実施形態においては、いずれも表示図形を表示させるようにしていたが、表示図形にかえて、パルス光Pの出力方向(Z方向)についての焦点fpの座標を表示するようにしてもよい。例えば、皮膚表面のZ座標を原点にとった場合の焦点fpの座標(皮膚表面からの深さに相当する)を表示させるようにしてもよい。出力端10dと焦点fpとの距離fd(既知)から、出力端10dと皮膚表面との距離を減算することで、焦点fpの皮膚からの深さが求められる。なお、出力端10dと皮膚表面との距離は、超音波P1(第三および第四の実施形態を参照)の出力から、皮膚表面により反射された反射超音波P2(第三および第四の実施形態を参照)の受信までの時間に基づき求めることができる。
【0125】
また、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(USBメモリ、CD-ROMなど)読み取り装置を備えたコンピュータに、上記の各部分、例えば、焦点位置記録部18、波形表示部20、断層画像表示部30、焦点位置表示部22および表示図形移動部24を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスクにインストールする。このような方法でも、上記の機能を実現できる。
【符号の説明】
【0126】
P パルス光
MA 測定領域
AW 光音響波
Vs 音速
fp 焦点
M マーカ(表示図形)
B 領域
d1、d2 移動量
P1 超音波
P2 反射超音波
2 測定対象
2a 血管
1 光音響波測定装置
10 測定用ヘッド
10a 光ファイバ(パルス光出力部)
10b 光ファイバ保持部
10c レンズ
10d 出力端
12 XY方向移動部
14 Z方向移動部(出力端移動部)
16 測定部
18 焦点位置記録部
20 波形表示部
22 焦点位置表示部
24 表示図形移動部
30 断層画像表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15