(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
A47C 27/15 20060101AFI20230214BHJP
A47C 7/14 20060101ALI20230214BHJP
A47C 7/46 20060101ALI20230214BHJP
A47C 27/08 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A47C27/15 A
A47C7/14 Z
A47C7/46
A47C27/08 F
(21)【出願番号】P 2019066918
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 勇
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-183332(JP,A)
【文献】特開平03-221006(JP,A)
【文献】特開2007-090032(JP,A)
【文献】実開昭53-148006(JP,U)
【文献】米国特許第03608961(US,A)
【文献】特開平10-229930(JP,A)
【文献】実開平4-115448(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/00- 7/74
A47C 27/00-27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の臀部を支持するシートクッションと、乗員の背中を支持するシートバックと、を備えた車両用シートにおいて、
前記シートクッションの内部または前記シートバックの内部の少なくとも一方に、可撓性を有する気体非透過性材料の袋状にて形成され、粉体を収容する収容部と、
前記収容部が設けられている前記シートクッションの内部または前記シートバックの内部の少なくとも一方に、前記収容部よりも可撓性の低いクッション部材と、
前記収容部に気体を送気するとともに、前記収容部から気体を吸気する送吸気部と、を備え、
前記送吸気部は、
前記収容部に気体を送気することにより前記収容部に収容された粉体を流体化させて、前記収容部の形状を軟質化にし、
前記収容部に気体を吸気することにより前記収容部に収容された粉体を固体化させて、前記収容部の形状を硬質化にし、
前記収容部は、前記車両用シートに着座した乗員と対向する表面側に配置され、
前記クッション部材は、前記収容部の内部に配置されている、
ことを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記収容部は、複数の袋体から構成されており、
前記複数の袋体は、前記車両用シートの左右方向に対して並設されている、
ことを特徴とする請求項
1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記収容部は、複数の袋体から構成されており、
前記複数の袋体は、前記車両用シートの前後方向に対して並設されている、
ことを特徴とする請求項
1に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記クッション部材の裏面側から前記クッション部材を支持するクッション支持部を更に備え、
前記クッション支持部は、前記車両用シートに着座した乗員に対向する方向に対して伸縮自在となるように弾性部材にて構成されている、
ことを特徴とする請求項
1に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートは、乗員それぞれの着座姿勢を考慮することなく、メーカーの推奨する着座姿勢で製造されている。乗員がメーカーの推奨する着座姿勢で着座していない場合、乗員の体の各部に疲れを感じる。また、この種の車両用シートは、運転者の体型も考慮されていない。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1は、可撓性を有する空気非透過性材料によって形成され内部に粉体を流動可能な状態で充填した袋体を座部及び背当部に配置した車両用シートを開示している。特許文献1に開示されている車両用シートは、着座者の体重により袋体内の粉体を流動させ座部及び背当部の表面を乗員の着座姿勢に合わせた凹凸面に形成し、袋体内から空気を吸引することによって袋体内の粉体の位置を固定させ座部及び背当部の表面の凹凸面を維持している。
【0004】
また、特許文献2には、表皮部材とクッション体との間に粉体として発泡プラスチック粒子を充填した複数の気密袋を配置した車両用シートを開示している。特許文献2に開示されている車両用シートは、複数の気密袋内を減圧して発泡プラスチック粒子同士を密着、固化させることによって表皮部材の全面を乗員の着座姿勢に合わせた凹凸面を維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-229930公報
【文献】実開平4-115448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されている車両用シートは、座部及び背当部の全体に渡って粉体を配置しているため、車両用シートからの乗員への反発力が均一となりやすく、座り心地をより向上させる点においてはより一層の改善の余地があった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決するものであり、粉体を収容した車両用シートにおいて、乗員の座り心地をより向上させる車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の車両用シートは、乗員の臀部を支持するシートクッションと、乗員の背中を支持するシートバックと、を備えた車両用シートにおいて、前記シートクッションの内部または前記シートバックの内部の少なくとも一方に、可撓性を有する気体非透過性材料の袋状にて形成され、粉体を収容する収容部と、前記収容部が設けられている前記シートクッションの内部または前記シートバックの内部の少なくとも一方に、前記収容部よりも可撓性の低いクッション部材と、前記収容部に気体を送気するとともに、前記収容部から気体を吸気する送吸気部と、を備え、前記送吸気部は、前記収容部に気体を送気することにより前記収容部に収容された粉体を流体化させて、前記収容部の形状を軟質化にし、前記収容部に気体を吸気することにより前記収容部に収容された粉体を固体化させて、前記収容部の形状を硬質化にし、前記収容部は、前記車両用シートに着座した乗員と対向する表面側に配置され、前記クッション部材は、前記収容部の裏面側に配置されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の車両用シートは、乗員の臀部を支持するシートクッションと、乗員の背中を支持するシートバックと、を備えた車両用シートにおいて、前記シートクッションの内部または前記シートバックの内部の少なくとも一方に、可撓性を有する気体非透過性材料の袋状にて形成され、粉体を収容する収容部と、前記収容部が設けられている前記シートクッションの内部または前記シートバックの内部の少なくとも一方に、前記収容部よりも可撓性の低いクッション部材と、前記収容部に気体を送気するとともに、前記収容部から気体を吸気する送吸気部と、を備え、前記送吸気部は、前記収容部に気体を送気することにより前記収容部に収容された粉体を流体化させて、前記収容部の形状を軟質化にし、前記収容部に気体を吸気することにより前記収容部に収容された粉体を固体化させて、前記収容部の形状を硬質化にし、前記収容部は、前記車両用シートに着座した乗員と対向する表面側に配置され、前記クッション部材は、前記収容部の内部に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粉体を収容した車両用シートにおいて、乗員の座り心地をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態1に係る車両用シートを備えた車両内の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る車両用シートの斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る車両用シートのシートクッションにおいて、車両の前後方向を断面方向としたときの縦断面概念図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る車両用シートのシートクッションにおいて、車両の水平方向を断面方向としたときの水平断面概念図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る車両用シートの電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係る車両用シートのシートクッションにおいて、車両の幅方向を断面方向としたときの横断面概念図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係る車両用シートのシートクッションにおいて、車両の幅方向を断面方向としたときの横断面概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係る車両用シートについて、
図1~
図6を参照しながら説明する。ただし、以下に説明される実施形態は、本発明のいくつかの例を示すものであって、本発明の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本発明の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0013】
[車両用シートの概略構成]
本発明の実施形態に係る車両用シート10の概略構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
【0014】
図1は、車両用シート10を備えた車両1における車両内の斜視図である。また、
図2は、車両用シート10の斜視図である。
【0015】
図1に示すように、車両1における車内には、インストルメントパネル2よりも後方に設置されているフロントシート3と、フロントシート3よりも後方に設置されているリアシート4とが設置されている。また、フロントシート3は、運転席用のフロントシート3aと、助手席用のフロントシート3bとを有している。本実施形態に係る車両用シート10は、フロントシート3またはリアシート4の少なくともいずれか一方に適用されるものである。
【0016】
図2に示すように、車両用シート10は、車両本体の構造体上に固定されているシートクッション20と、シートクッション20の後端側から上方に向かって伸びるように設けられたシートバック30と、シートバック30の上端に設けられたヘッドレスト40とを備えている。
【0017】
また、シートクッション20は乗員の臀部及び脚部を支持するものであり、シートバック30は乗員の脚部及び背中を支持するものである。ヘッドレスト40は、乗員の頭部を支持するものである。
【0018】
[シートクッションの構成]
次に、本発明の実施形態1に係る車両用シート10のシートクッション20の構成について
図3及び
図4に基づいて説明する。
図3は、車両用シート10のシートクッション20において、車両の前後方向を断面方向としたときの縦断面概念図である。
図4は、車両用シート10のシートクッション20において、車両の水平方向を断面方向としたときの水平断面概念図である。尚、以下の説明においては、適宜
図2を参酌する。
【0019】
図3に示すように、シートクッション20は、乗員の臀部が接する座面21と、粉体を収容する袋状の収容部22と、収容部22に気体を送吸気する送吸気部23と、収容部22を下方から支持するクッション部材24とを備えている。
【0020】
また、シートクッション20の下方であって、シートクッション20を支持する支持部(図示せず)には、シートクッション20にかかる圧力を検出するシート圧力センサ21bが設けられている。
【0021】
座面21は、布、本革又は合成皮革等の表皮部材21aで覆われている。なお、本実施形態1では、表皮部材21aは、シートバック30と乗員の背中とが接する背面31も覆っている。
【0022】
収容部22は、座面21の下方において、車両用シート10に着座した乗員の臀部と対向する表面側に複数設けられており、可撓性を有する気体非透過性材料の複数の袋体22a~dにて構成されている。
【0023】
図4に示すように、座面21の前面側には、1つの前面袋体22aが車両用シート10の左右方向と略平行に設けられており、乗員50の脚部を支持する。尚、前面袋体22aは、車両用シート10の前後方向に対して複数並設させてもよい。
【0024】
また、前面袋体22aよりも座面21の中央付近には、車両用シート10の左右方向に対して、3つの後面袋体22b、22c、22dが車両用シート10の前後方向と略平行に沿うように並設されており、乗員50の臀部を支持する。尚、後面袋体22b、22c、22dは、1つであってもよいし、2つであったり、4以上であったりしてもよい。
【0025】
また、複数の袋体22a~dのそれぞれは、送吸気部23から送吸気されてきた気体を内部に流通させるための接続部25を有している。
【0026】
本実施形態1においては、複数の袋体22a~dに送吸気される気体は、空気(外気)に対応しているが、粉体の流体化又は固体化を高める媒体となるような媒体ガスであってもよい。
【0027】
収容部22は、可撓性を有する気体非透過性材料の袋体であるため、内部の気密性が保たれている。また、複数の袋体22a~dに収容されている粉体は、送吸気部23を介して流体化及び固体化に切り替えられている。
【0028】
クッション部材24は、ウレタン等から構成されており、粉体が収容された複数の袋体22a~dよりも可撓性が低い。
【0029】
また、クッション部材24は、
図6に示すように、複数の袋体22a~dと対向する表面側に対して、凹凸状の複数の溝部24aと突出部24bとを形成している。そして、複数の溝部24aのそれぞれに複数の袋体22a~dのいずれかを配置している。
【0030】
送吸気部23は、例えばコンプレッサ等から構成されており、流通管26を介してシートクッション20の内部に設けられている複数の袋体22a~dのそれぞれの接続部25に接続されている。
【0031】
送吸気部23は、後述するコントローラ100からの制御信号に応じて、複数の袋体22a~dのそれぞれに気体を送吸気する。
【0032】
送吸気部23は、流通管26を介して収容部22に気体を送気することにより、複数の袋体22a~dの形状を膨らむように変形させ、収容されている粉体を流体化させる。収容されている粉体が流体化することによって、複数の袋体22a~dの形状は軟質化する。
【0033】
これに対し、送吸気部23は、複数の袋体22a~dから気体を吸気することにより複数の袋体22a~dの形状を収縮するように変形させ、収容されている粉体を固体化させる。収容されている粉体が固体化することによって、複数の袋体22a~dの形状は硬質化する。
【0034】
なお、本実施形態1では、シートバック30の背面31の後方において、車両用シート10に着座している乗員の背中と対向する表面側に収容部22が1つ配置されている。
シートバック30に設けられている収容部22は、シートクッション20に設けられている収容部22と同様に、送吸気部23を介して粉体を流体化及び固体化に切り替えられている。
【0035】
[車両用シートの電気的構成]
次に、本発明の実施形態に係る車両用シート10の電気的構成について
図5に基づいて説明する。
図5は、車両用シート10の電気的構成を示すブロック図である。
【0036】
図5に示すように、車両用シート10には、コントローラ100が備えられている。
コントローラ100は、シート圧力センサ21bと、送吸気部23と、車両1の進行方向を撮影する車外撮影用カメラ101と、車両1内の乗員を撮影する車内撮影用カメラ102と、に通信可能に接続されている。
【0037】
車内撮影用カメラ102は、車両用シート10に着座している乗員の姿勢を検出する姿勢検出部を構成している。また、シート圧力センサ21bによっても、圧力分布によって、着座している乗員の姿勢を推定できる。
【0038】
コントローラ100は、不図示のプロセッサ、メモリ及びストレージ等から構成されており、車両用シート10に含まれる各種構成要素を統括的に制御し、車両用シート10の各種機能を実現するための制御処理を実行する。プロセッサは、本実施形態におけるプログラムをストレージから呼び出してメモリに展開し、これらを所定順序で実行することにより、乗員の着座姿勢に応じた車両用シート10の制御処理を実行する。
【0039】
具体的には、コントローラ100は、シート圧力センサ21bからシートクッション20にかかっている圧力、又は、車内撮影用カメラ102から乗員の映像を取得した場合、取得した圧力又は映像に基づいて乗員の着座姿勢を検出する。そして、コントローラ100は、検出した着座姿勢に基づいて、送吸気部23に気体の送吸気をさせる送吸制御を実行する。
【0040】
[車両用シートの動作の説明]
次に、本発明の実施形態1に係る車両用シート10の動作について
図6を用いて説明する。
図6は、車両用シート10のシートクッション20において、車両の幅方向を断面方向としたときの横断面概念図であり、シートクッション20の状態の変化を時系列的に示している。尚、以下の説明においては、適宜
図3~
図5を参酌する。
【0041】
図6(a)に示すように、乗員50がシートクッション20に着座していない場合には、コントローラ100は、送吸気部23を介して複数の袋体22a~dに気体を送気させることにより粉体を流体化させ、複数の袋体22a~dの形状を軟質化にしておく。
【0042】
次に、
図6(b)に示すように、乗員50がシートクッション20に着座した場合、後面袋体22b、22c、22dは、着座する乗員50の臀部によってクッション部材24に押し付けられる。
【0043】
クッション部材24の表面の形状は、着座している乗員50の臀部によりクッション部材24の表面に後面袋体22b、22c、22dを上方から押し付けることによって、凹凸面が変形する。
【0044】
クッション部材24は、後面袋体22b、22c、22dよりも可撓性が低いことから、この変形した突出部24bにおいて、着座している乗員50の臀部を安定して支持する。
【0045】
また、シートクッション20の中央側の後面袋体22cは、着座している乗員50の臀部に沿った形状に変形する。
【0046】
シートクッション20の左側と右側にある後面袋体22b、22dの粉体は、着座している乗員50の臀部が押しつけられていないシートクッション20の左右の両端側へと移動する。このため、左側と右側にある後面袋体22b、22dは、座面21の左右の両端側に大きな膨らみを形成した形状に変形する。
【0047】
また、シートクッション20の前面側の前面袋体22aについても、乗員50の脚部が押しつけられていないシートクッション20の前面側に粉体が移動して、前面袋体22aは、座面21の前面側に大きな膨らみを形成した形状に変形することになる。
【0048】
その後、コントローラ100が、車内撮影用カメラ102又はシート圧力センサ21bによって検出された乗員50の着座姿勢の変化量が少ないと判定すると、送吸気部23に複数の袋体22a~dから気体を吸気させることにより粉体を固体化させ、複数の袋体22a~dの形状を硬質化にする。
これによって、収容部22の形状を乗員50の着座姿勢の形状に合わせることができ、収容部22及びクッション部材24によって着座する乗員50の安定感を向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態においては、シートクッション20の外周面側の座面21が膨らむことになり、車両走行時における車両の前後方向及び左右方向への加速度による慣性力(所謂前後G及び左右G)による乗員50の着座姿勢の揺れを抑制することもできる。
【0050】
さらに、シートクッション20の前面側の座面21が膨らむことによって、車両1の前面衝突時において、乗員50がシートクッション20の前方かつ下方に潜り込んでしまうような所謂サブマリン現象を防止することもできる。
【0051】
(実施形態2)
上記実施形態1においては、クッション部材24は、収容部22の下方側に配置されて構成されていたが、クッション部材210は、収容部22の内部に配置して構成してもよい。本発明の実施形態2に係る車両用シートについて、
図7を参照しながら説明する。
図7は、車両用シート10のシートクッション20において、車両の幅方向を断面方向としたときの横断面概念図であり、シートクッション20の状態の変化を時系列的に示している。尚、以下の説明においては、適宜
図3~
図5を参酌する。
【0052】
図7(a)に示すように、収容部200の内部に、複数のクッション部材210と、クッション部材210を下方から支持するクッション支持部220とが設けられている。
【0053】
クッション部材210は、乗員50の臀部を支持可能な位置に配置されている。クッション部材210の外周は、収容部200の内部に流動可能な状態で収容されている粉体で満たされている。
【0054】
クッション支持部220は、クッション部材210を下方から伸縮自在に支持可能な、例えばコイルバネ等の弾性部材にて構成されている。尚、クッション支持部220は、伸縮性のない部材、例えば鉄、強化プラスチック又は樹脂部材等でもよい。また、クッション支持部220は、表面又は伸縮機能を保護する部材で包装されていてもよい。
【0055】
次に、
図7(b)に示すように、乗員50がシートクッション20に着座した場合、収容部200の形状は、着座する乗員50の臀部に押圧されることによって、乗員50の臀部の形状に沿った形状に変形する。
【0056】
クッション部材210は、収容部200よりも可撓性が低いことから、クッション部材210において、着座している乗員50の臀部を安定して支持する。
【0057】
クッション支持部220は、乗員50の臀部により下方へと移動させられているクッション部材210を弾性力によって上方へと押し返している。
このため、本変形例ではクッション支持部220を設けることによって、乗員50の臀部に適切な反発力を与えているため、着座する乗員50の安定感を向上させることができる。
【0058】
このように、実施形態2においても、実施形態1と同様に、収容部200の形状を乗員の臀部の形状に沿うように変形させるとともに、乗員50の臀部をクッション部材210によって支持することによって、車両用走行中に発生する所謂前後G、横Gによる揺れを抑制でき、着座する乗員50の安定感を向上させることができる。
【0059】
尚、クッション支持部220を収容部200の内部に設ける構成にしたが、クッション支持部220を収容部200の外部に設ける構成にしてもよい。この場合、クッション支持部220の下面は、シートクッション20によって固定されるため、乗員50の着座姿勢の安定感が向上する。
【0060】
以上のように、上述した各実施形態では、車両用シート10のシートクッション20の内部に、可撓性を有する気体非透過性材料の袋状にて形成され、粉体を収容する収容部と、収容部よりも可撓性が低いクッション部材とが設けられている。また、収容部はクッション部材の近傍に配置されている。乗員50が着座した場合、乗員50の着座姿勢は、収容部及びクッション部材によって固定されている。
これにより、粉体を収容した車両用シートにおいて、乗員の座り心地をより向上させることができる。
【0061】
[その他]
上述の各実施形態において、収容部及びクッション部材はシートクッション20の内部に設けられていたが、シートバック30の内部に設けてもよい。収容部及びクッション部材をシートバック30の内部に設ける場合、収容部及びクッション部材を乗員50の背中の構造に対して適切な配置に変更するものとする。
【0062】
また、上述の各実施形態において、同じ可撓性を有する複数の収容部で構成していたが、これに限られず、可撓性の異なる複数の収容部で構成してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1:車両、3:フロントシート、4:リアシート、10:車両用シート、20:シートクッション、21:座面、21a:表皮部材、21b:シート圧力センサ(姿勢検出部)、22:収容部、22a:前面袋体、22b:後面袋体、22c:後面袋体、22d:後面袋体、23:送吸気部、24:クッション部材、24a:溝部、24b:突出部、25:接続部、26:流通管、30:シートバック、31:背面、40:ヘッドレスト、50:乗員、100:コントローラ(制御部)、101:車外撮影用カメラ、102:車内撮影用カメラ(姿勢検出部)、200:収容部、210:クッション部材、220:クッション支持部