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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】通気弁
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/122 20060101AFI20230214BHJP
   F16K 24/06 20060101ALN20230214BHJP
【FI】
E03C1/122 A
F16K24/06 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019074303
(22)【出願日】2019-04-09
(65)【公開番号】P2020172961
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】水野 宏俊
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 稔
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-299866(JP,A)
【文献】特開2011-196499(JP,A)
【文献】特開2015-232369(JP,A)
【文献】特開2020-101203(JP,A)
【文献】特開2016-003689(JP,A)
【文献】特開2017-115944(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0016541(US,A1)
【文献】特開昭61-236980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/122
F16K 21/00-24/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気口が形成された通気弁本体と、
前記通気口を閉鎖する閉鎖位置と前記通気口を開放する開放位置との間で移動可能なように前記通気弁本体に支持された弁体と、
前記弁体を前記閉鎖位置に向けて付勢する付勢部材と、を備え、
前記弁体が前記閉鎖位置から前記開放位置に向かう方向を開方向とし、前記開放位置から前記閉鎖位置に向かう方向を閉方向としたときに、
前記付勢部材は、
前記弁体に設けられた第1磁石と、
前記通気弁本体に設けられ、前記第1磁石に対して前記開方向の側に配置され、前記第1磁石に反発力を与える第2磁石と、
前記通気弁本体に設けられ、前記第1磁石に対して前記閉方向の側に配置され、前記第1磁石に吸引力を与える磁性体または磁石からなる吸引体と、を有している、通気弁。
【請求項2】
通気口が形成された通気弁本体と、
前記通気口を閉鎖する閉鎖位置と前記通気口を開放する開放位置との間で移動可能なように前記通気弁本体に支持された弁体と、
前記弁体を前記閉鎖位置に向けて付勢する付勢部材と、を備え、
前記弁体が前記閉鎖位置から前記開放位置に向かう方向を開方向とし、前記開放位置から前記閉鎖位置に向かう方向を閉方向としたときに、
前記付勢部材は、
前記通気弁本体に設けられた第1磁石と、
前記弁体に設けられ、前記第1磁石に対して前記閉方向の側に配置され、前記第1磁石に反発力を与える第2磁石と、
前記弁体に設けられ、前記第1磁石に対して前記開方向の側に配置され、前記第1磁石に吸引力を与える磁性体または磁石からなる吸引体と、を有している、通気弁。
【請求項3】
前記弁体は、前記通気口を覆う閉鎖部と前記閉鎖部から前記閉方向に延びる軸部とを有し、前記軸部の軸線方向に沿って移動可能なように前記通気弁本体に支持され、
前記第1磁石は、前記弁体の前記軸部に設けられ、
前記第2磁石は、前記第1磁石に対して前記弁体の前記閉鎖部の方に配置され、
前記吸引体は、前記第1磁石に対して前記弁体の前記閉鎖部と反対の方に配置されている、請求項1に記載の通気弁。
【請求項4】
前記吸引体は、前記弁体が前記通気口を閉じているときに前記第1磁石から離間した位置に配置され、
前記弁体の軸部の先端は、前記弁体が前記通気口を閉じているときに前記通気弁本体から離間した位置に配置されている、請求項3に記載の通気弁。
【請求項5】
前記第1磁石は、前記弁体の前記軸部を囲むように環状に形成され、
前記第2磁石および前記吸引体は、環状に形成され、
前記第1磁石、前記第2磁石、および前記吸引体の中心は、同一直線上に位置する、請求項3または4に記載の通気弁。
【請求項6】
前記通気弁本体は、前記通気口が形成された第1部品と、前記第1部品に着脱可能に取り付けられる第2部品とを含み、
前記第2磁石は前記第1部品に設けられ、前記吸引体は前記第2部品に設けられている、請求項3~5のいずれか一つに記載の通気弁。
【請求項7】
前記第1磁石、前記第2磁石、および前記吸引体は、前記第1磁石が前記第2磁石および前記吸引体から受ける力が、前記弁体が前記閉鎖位置から前記開放位置に向けて移動するときに徐々に小さくなってから徐々に大きくなるように設定されている、請求項1~6のいずれか一つに記載の通気弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通気弁に関する。
【背景技術】
【0002】
排水管路に負圧が生じると、排水管路に接続された排水機器の封水が破られるおそれがある。そこで従来から、内部が負圧になると開く通気弁を排水管路に設けることが推奨されている。通気弁は、弁体と、弁体を閉じる方向に付勢する付勢手段とを備え、内部の圧力が外部の圧力よりも小さくなると弁体が開くように構成されている。排水管路に負圧が生じると、通気弁の弁体が開くことによって外気が導入され、排水機器の封水が保護される。
【0003】
通気弁の弁体は、負圧が生じた時に直ちに開くよう構成されていることが好ましい。一方、通気弁の弁体は、排水管路の臭気が外部に漏れないよう、負圧が生じていない通常時には気密性を維持した状態で安定的に閉じられ、また、負圧が解消した時には直ちに閉じるように構成されていることが好ましい。通気弁の弁体には、僅かな圧力変化に対応して開閉する開閉特性が求められる。
【0004】
特許文献1には、弁体を閉じる方向に付勢する付勢手段として、コイルバネを備えた通気弁が開示されている。コイルバネは安価な付勢手段であるが、長期間の使用によりコイルバネの周囲に埃などが溜まると、コイルバネは円滑に伸縮しなくなり、負圧が生じたときに弁体が円滑に開かないおそれがある。
【0005】
特許文献2には、弁体を閉じる方向に付勢する付勢手段として、互いに反発する一対の磁石を備えた通気弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-74483号公報
【文献】特開2018-165537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献2に開示された通気弁では、両磁石の反発力が弱いと、通常時に気密性を保ったまま弁体を閉じた状態に安定的に維持することが難しい。しかし、単に両磁石の反発力を強くしただけでは、負圧が生じたときに弁体を円滑に開くことができない。上記通気弁では、弁体の開閉特性について、必ずしも望ましい特性を得ることができなかった。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、通常時には気密性を維持した状態で安定的に閉じられ、負圧発生時には円滑に開かれる通気弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る第1の通気弁は、通気口が形成された通気弁本体と、前記通気口を閉鎖する閉鎖位置と前記通気口を開放する開放位置との間で移動可能なように前記通気弁本体に支持された弁体と、前記弁体を前記閉鎖位置に向けて付勢する付勢部材と、を備える。前記弁体が前記閉鎖位置から前記開放位置に向かう方向を開方向とし、前記開放位置から前記閉鎖位置に向かう方向を閉方向としたときに、前記付勢部材は、前記弁体に設けられた第1磁石と、前記通気弁本体に設けられ、前記第1磁石に対して前記開方向の側に配置され、前記第1磁石に反発力を与える第2磁石と、前記通気弁本体に設けられ、前記第1磁石に対して前記閉方向の側に配置され、前記第1磁石に吸引力を与える磁性体または磁石からなる吸引体と、を有している。
【0010】
本発明に係る第2の通気弁は、通気口が形成された通気弁本体と、前記通気口を閉鎖する閉鎖位置と前記通気口を開放する開放位置との間で移動可能なように前記通気弁本体に支持された弁体と、前記弁体を前記閉鎖位置に向けて付勢する付勢部材と、を備える。前記弁体が前記閉鎖位置から前記開放位置に向かう方向を開方向とし、前記開放位置から前記閉鎖位置に向かう方向を閉方向としたときに、前記付勢部材は、前記通気弁本体に設けられた第1磁石と、前記弁体に設けられ、前記第1磁石に対して前記閉方向の側に配置され、前記第1磁石に反発力を与える第2磁石と、前記弁体に設けられ、前記第1磁石に対して前記開方向の側に配置され、前記第1磁石に吸引力を与える磁性体または磁石からなる吸引体と、を有している。
【0011】
上記第1および第2の通気弁によれば、第1磁石は第2磁石から反発力を受けると共に、吸引体から吸引力を受ける。そのため、第1磁石および第2磁石の互いの反発力が比較的弱く設定されていたとしても、弁体を閉方向に十分に付勢することができ、通常時に気密性を保ったまま弁体を閉じた状態に安定的に維持することができる。一方、負圧発生時に、ひとたび弁体が通気口を開放し、第1磁石と吸引体との間の距離が大きくなると、吸引体の吸引力は低下する。そのため、単に第1磁石および第2磁石の反発力を強くする場合に比べて、負圧発生時に弁体を迅速に移動させることができる。したがって、通常時には気密性を維持した状態で安定的に閉じられ、負圧発生時には円滑に開かれる通気弁を実現することができる。
【0012】
前記第1の通気弁において、前記弁体は、前記通気口を覆う閉鎖部と前記閉鎖部から前記閉方向に延びる軸部とを有し、前記軸部の軸線方向に沿って移動可能なように前記通気弁本体に支持されていてもよい。前記第1磁石は前記弁体の前記軸部に設けられ、前記第2磁石は前記第1磁石に対して前記弁体の前記閉鎖部の方に配置され、前記吸引体は前記第1磁石に対して前記弁体の前記閉鎖部と反対の方に配置されていてもよい。
【0013】
本発明の好ましい一態様によれば、前記吸引体は、前記弁体が前記通気口を閉じているときに前記第1磁石から離間した位置に配置され、前記弁体の軸部の先端は、前記弁体が前記通気口を閉じているときに前記通気弁本体から離間した位置に配置されている。
【0014】
上記態様によれば、弁体が通気口を閉じるときに、第1磁石と吸引体とは接触せず、かつ、弁体の軸部の先端は通気弁本体に接触しない。そのため、接触に伴う音が発生することはない。したがって、弁体が通気口を閉じるときに異音が発生することを防止することができる。また、吸引体が第1磁石に接触した位置または弁体の軸部の先端が通気弁本体に接触した位置で弁体が通気口を閉じるように設計されている場合、弁体または通気弁本体に寸法誤差が生じると、弁体が通気口を閉じる前に、吸引体が第1磁石に接触したり、弁体の軸部の先端が通気弁本体に接触してしまうおそれがある。その結果、通常時に弁体が通気口を良好に閉じることができないおそれがある。しかし、上記態様によれば、そのようなおそれがなく、多少の寸法誤差が発生したとしても、通常時に通気口を良好に閉じることができる。
【0015】
本発明の好ましい一態様によれば、前記第1磁石は、前記弁体の前記軸部を囲むように環状に形成されている。前記第2磁石および前記吸引体は、環状に形成されている。前記第1磁石、前記第2磁石、および前記吸引体の中心は、同一直線上に位置している。
【0016】
上記態様によれば、弁体の軸部が直線状に移動しやすくなり、弁体の開閉動作が安定する。よって、通気口を円滑に開閉することができる。
【0017】
本発明の好ましい一態様によれば、前記通気弁本体は、前記通気口が形成された第1部品と、前記第1部品に着脱可能に取り付けられる第2部品とを含んでいる。前記第2磁石は前記第1部品に設けられ、前記吸引体は前記第2部品に設けられている。
【0018】
上記態様によれば、弁体を第1部品に取り付けた後、第1部品に第2部品を取り付けることにより、通気弁を容易に組み立てることができる。
【0019】
本発明の好ましい一態様によれば、前記第1磁石、前記第2磁石、および前記吸引体は、前記第1磁石が前記第2磁石および前記吸引体から受ける力が、前記弁体が閉位置から開位置に向けて移動するときに徐々に小さくなってから徐々に大きくなるように設定されている。
【0020】
上記態様によれば、望ましい弁体の開閉特性を得ることができる。すなわち、通常時には気密性を維持した状態で安定的に閉じられ、負圧発生時には円滑に開かれるために好適な開閉特性を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、通常時には気密性を維持した状態で安定的に閉じられ、負圧発生時には円滑に開かれる通気弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る通気弁の斜視図である。
図2】通気弁の平面図である。
図3】通気弁の正面図である。
図4】通気弁の左側面図である。
図5】通気弁の底面図である。
図6】通気弁の図2のVI-VI線断面図である。
図7】通気弁および配管の図2のVII-VII線断面図である。
図8】通気弁本体の本体の斜視図である。
図9】弁体の本体の斜視図である。
図10】流出口カバーの斜視図である。
図11】流出口カバーの断面図である。
図12】カバーを回転させる前の通気弁および配管の断面図である。
図13】カバーの回転作業の一例を示す平面図である。
図14】弁体の通気口からの距離と、第1磁石が第2磁石および吸引体から受ける力との関係を表すグラフである。
図15】(a)は他の実施形態に係る通気弁の部分断面図であり、(b)は当該通気弁の弁体および通気弁本体の本体の平面図である。
図16】(a)は他の実施形態に係る通気弁の部分断面図であり、(b)は当該通気弁の分解断面図である。
図17】他の実施形態に係る通気弁の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施形態に係る通気弁1の斜視図である。図2図3図4図5は、それぞれ通気弁1の平面図、正面図、左側面図、底面図である。図6図2のVI-VI線断面図、図7図2のVII-VII線断面図である。通気弁1は、排水管路の配管100(図7参照)に取り付けられ、配管100内に負圧が生じると、外気を導入することによってその負圧状態を解消するものである。
【0024】
通気弁1は、通気弁本体5(図1参照)と、弁体50(図6参照)と、弁体50を付勢する付勢部材60(図6参照)とを備えている。
【0025】
図1に示すように、通気弁本体5は、本体10と、カバー20と、流出口カバー30とを含んでいる。通気弁本体5は、本体10、カバー20、および流出口カバー30が互いに組み立てられることによって構成されている。
【0026】
図8は本体10の斜視図である。本体10は、外筒部11と、外筒部11の内側に配置された内筒部12と、外筒部11と内筒部12とを連結する複数の連結棒13とを有している。
【0027】
外筒部11の外周面には、組立溝14が形成されている。組立溝14には、カバー20の突起25(図1参照)が嵌め込まれる。組立溝14は、突起25が挿入される挿入孔14aと、傾斜した上縁14bとを有している。上縁14bは、挿入孔14aから離れるほど下方に向かうように傾斜している。本実施形態では、外筒部11の外周面に、3つの組立溝14が形成されている。
【0028】
内筒部12には、後述する弁体50の軸部52が挿入される軸孔15が形成されている。内筒部12は、外筒部11と同心円状に配置されている。
【0029】
連結棒13は、内筒部12から外筒部11に延びている。ここでは連結棒13の個数は4つであるが、特に限定されない。本実施形態では、連結棒13は放射状に配置されている。連結棒13は、軸線CAに沿って見たときに、径方向に真っ直ぐに延びている。ただし、特に限定されない。連結棒13は、軸線CAに沿って見たときに曲がっていてもよい。例えば、連結棒13は渦巻き状に形成されていてもよい。本実施形態では、連結棒13は板状に形成されている。連結棒13の表面13aは、軸線CAと平行な線19に対して傾斜している。連結棒13の表面13aは、周方向の一方(図8の軸線CA周りの時計回り方向。矢印Q参照)に行くほど下方に向かうように傾斜している。
【0030】
図7に示すように、外筒部11の上部11aは下部11bよりも内径が小さくなっており、上部11aと下部11bとの間には、段差が形成されている。この段差は、弁体50を受ける弁座16を構成している。弁座16の内側には、弁体50によって開閉される通気口17が形成されている。通気口17は上下方向に開口している。
【0031】
弁体50は、閉鎖部51および軸部52を有する本体53と、シール材54と、シール材54を本体53に押さえつける押さえ部品55と、を有している。
【0032】
図9は弁体50の本体53の斜視図である。図9に示すように、本体53の閉鎖部51は、軸線CAに沿って見たときに円状に形成されている。軸部52は円柱状に形成され、閉鎖部51から上方に延びている。閉鎖部51および軸部52は一体的に形成されている。図7に示すように、閉鎖部51は、シール材54を介して弁座16に当接する環状部51aと、環状部51aから下方に延びる筒部51bとを含んでいる。筒部51bが設けられていることにより、閉鎖部51の剛性が高められている。
【0033】
シール材54は、板状かつ環状に形成されており、閉鎖部51の環状部51a上に配置されている。シール材54の材料は特に限定されないが、例えば、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等のゴムである。押さえ部品55は、軸部52に嵌め込まれており、シール材54を上方から閉鎖部51に向かって押さえつけている。これにより、閉鎖部51にシール材54が固定されている。ただし、ここで説明した構成は一例に過ぎない。閉鎖部51にシール材54を接着等することにより、押さえ部品55を省略してもよい。閉鎖部51の環状部51aが十分なシール性能を有している場合、シール材54はなくてもよい。
【0034】
カバー20は、通気口17の上方を覆うカバーとしての役割を果たす。図1に示すように、カバー20は、本体10の外筒部11に係合する流入側筒状部21と、天板部22とを有している。天板部22は、軸線CAに対して垂直に設けられており、通気口17の上方に配置されている。流入側筒状部21は、天板部22から軸線方向に延びている。流入側筒状部21の内側には、本体10の組立溝14に嵌め込まれる前述の突起25が設けられている。突起25が組立溝14に嵌め込まれることにより、図7に示すように、カバー20はシール材18を挟んで本体10に組み立てられる。図3に示すように、流入側筒状部21には流入口27が形成されている。流入口27は通気口17よりも上方に配置されている。本実施形態では、流入口27は側方に開口している。すなわち、流入口27は軸線CAと垂直な方向に開口している。ただし、流入口27の位置および向きは特に限定されない。
【0035】
図1に示すように、カバー20は、天板部22に一体的に形成された2本の引っ掛け棒23を有している。2本の引っ掛け棒23は、軸線CAを挟んで互いに反対側に配置されている。引っ掛け棒23は天板部22から上方に延びている。また、天板部22には、補強リブ24が設けられている。補強リブ24は、引っ掛け棒23および天板部22に連結されている。
【0036】
流出口カバー30は、本体10の下部に取り付けられている。図10は流出口カバー30の斜視図である。図11は流出口カバー30の断面図である。図10に示すように、流出口カバー30は、流出側筒状部31と、水浸入抑制部32とを有している。流出側筒状部31の下側には、流出口37が形成されている。流出口37は上下方向に開口している。流出口37は、通気口17よりも下方に配置されている。
【0037】
水浸入抑制部32は、配管100内を流れる排水が跳ね上がった場合(図7の矢印A1参照)に、その排水が内部に浸入することを抑制する部分である。水浸入抑制部32は径方向の内側に延びた部分であり、本実施形態では、複数のフィン33により構成されている。フィン33は、流出側筒状部31から径方向の内側に延びている。図5に示すように、本実施形態では、水浸入抑制部32の内径R32は、軸線CAからフィン33の内端までの距離により定義される。水浸入抑制部32の内径R32は、弁体50の閉鎖部51の外径R51よりも小さい。
【0038】
図10に示すように、フィン33同士は互いに離間している。フィン33は、周方向に沿って並んでおり、互いに周方向に離間している。フィン33は、流出口37の中心線37cと平行な線37dに対して傾斜している。また、フィン33は、中心線37cと垂直な面(本実施形態では水平面)に対して傾斜している。そのため、空気が隣り合うフィン33の間を通過するときに、空気の流れ方向は中心線37cに対して斜めの方向となる(図10および図11の矢印A2参照)。なお、本実施形態では、流出口37の中心線37cは軸線CAと一致している。
【0039】
図5に示すように、流出口37の中心線37cに沿って見たときに、フィン33同士は周方向に離間している。ただし、限定されない。流出口37の中心線37cに沿って見たときに、フィン33同士は周方向に離間していなくてもよく、フィン33同士は部分的に重なっていてもよい。本実施形態では、流出口37の中心線37cに沿って見たときに、フィン33が離間しているので、フィン33の間にはスリット孔33gが形成されている。ここでは、スリット孔33gは、周囲が閉じた孔ではなく、周囲の一部(中心線37c側の部分)が開いた孔である。本明細書において、「孔」には、周囲が閉じた孔と、周囲の一部が開いた孔との両方が含まれる。本実施形態では、流出口37の中心線37cに沿って見たときに、水浸入抑制部32の面積は、スリット孔33gの開口面積よりも大きくなっている。すなわち、流出口37の中心線37cに沿って見たときに、フィン33の全体の面積は、スリット孔33gの全体の開口面積よりも大きい。なお、ここで言うスリット孔33gの開口面積とは、スリット孔33gの中心線37c側が閉じていると仮定した場合の開口面積のことである。
【0040】
通気弁本体5および弁体50の材料は特に限定されないが、ここでは、通気弁本体5の本体10およびカバー20の材料はABS樹脂であり、流出口カバー30の材料はPP(ポリプロピレン)樹脂である。弁体50の本体53および押さえ部品55の材料はABS樹脂である。
【0041】
付勢部材60は、通気口17を閉じる方向に弁体50を付勢する部材である。本実施形態は、弁体50が下方に移動すると通気口17が開放され、弁体50が上方に移動すると通気口17が閉鎖される。付勢部材60は、弁体50を上方に付勢するように構成されている。本実施形態では、付勢部材60は、磁力を利用して弁体50を付勢するように構成されている。図7に示すように、付勢部材60は、弁体50の軸部52に設けられた第1磁石61と、通気弁本体5の本体10に設けられた第2磁石62と、通気弁本体5のカバー20に設けられた吸引体63とを有している。
【0042】
弁体50の軸部52の上部には、合成樹脂製(本実施形態ではABS樹脂製)の環状部材56が嵌め込まれている。第1磁石61は、この環状部材56に取り付けられている。なお、環状部材56は必ずしも必要ではなく、第1磁石61が軸部52に直接取り付けられていてもよい。第1磁石61は環状に形成されている。第1磁石61は、第1磁石61の中心線と軸線CAとが一致するように配置されている。
【0043】
第2磁石62は、本体10の内筒部12に取り付けられている。第2磁石62は第1磁石61の下方に配置されている。言い換えると、第2磁石62は、第1磁石61に対して弁体50の閉鎖部51の方に配置されている。第2磁石62も環状に形成されている。図7に示すように、弁体50の軸部52は第2磁石62を貫通している。第2磁石62は、第2磁石62の中心線と軸線CAとが一致するように配置されている。第2磁石62は、第1磁石61に反発力を与えるように構成されている。第1磁石61および第2磁石62は、対向する面同士が同じ極性を有するように構成されている。
【0044】
吸引体63は、第1磁石61に吸引力を与える部材である。本実施形態では、吸引体63は金属により構成されているが、吸引体63は磁石であってもよい。また、吸引体63は金属以外の磁性体であってもよい。本実施形態では、吸引体63は、環状の金属板により構成されている。吸引体63は、カバー20の天板部22に取り付けられており、第1磁石61の上方に配置されている。吸引体63は、第1磁石61に対して弁体50の閉鎖部51と反対の方に配置されている。吸引体63は、吸引体63の中心線と軸線CAとが一致するように配置されている。
【0045】
以上が通気弁1の構成である。次に、通気弁1の動作について説明する。
【0046】
第1磁石61は、第2磁石62から反発力を受け、吸引体63から吸引力を受けている。そのため、第1磁石61は第2磁石62および吸引体63から上向きの力を受けている。第1磁石61は弁体50に取り付けられているので、弁体50は第1磁石61を介して上向きの力を受けている。弁体50は、付勢部材60により上向きの力を受けている。よって、配管100内に負圧が発生していない通常時には、弁体50は通気口17を閉じている。
【0047】
配管100内に負圧が発生すると、弁体50の上方と下方との間に圧力差が生じる。その圧力差により弁体50に下向きの力が作用する。この下向きの力が、付勢部材60による上向きの力よりも大きくなると、弁体50は下向きに移動する。その結果、通気口17は開放される。通気口17が開放されると、外部の空気が流入口27、通気口17、および流出口37を通過し、配管100内に導入される。このように、通気弁1が開くことにより、外部から配管100内に空気が導入される。
【0048】
配管100内に空気が導入されることにより、配管100の内部圧力は上昇する。これにより、負圧状態は解消される。弁体50の上方と下方との間の圧力差が小さくなると、弁体50に作用する下向きの力が付勢部材60による上向きの力よりも小さくなる。その結果、弁体50は上向きに移動し、通気口17は閉鎖される。
【0049】
このように、配管100に通気弁1が設けられていることにより、配管100内に負圧が発生しても、通気弁1が開くことにより、負圧状態は直ちに解消される。
【0050】
次に、通気弁1の組立方法について説明する。前述したように、通気弁1は通気弁本体5と弁体50とを備え、通気弁本体5は本体10、カバー20、および流出口カバー30を有している。まず、本体10の内筒部12の軸孔15(図8参照)に弁体50の軸部52を下方から挿通し、軸部52の先端に環状部材56を取り付ける。次に、本体10の下部に流出口カバー30を取り付ける。また、本体10の周囲に環状のシール材18を取り付け、カバー20の突起25(図1参照)が本体10の挿入孔14aに嵌まるように、上方からカバー20を本体10に取り付ける。これにより、通気弁1が組み立てられる。なお、本体10に対するカバー20の取り付けと、本体10に対する流出口カバー30の取り付けとは、どちらが先でも構わない。
【0051】
次に、通気弁1の設置方法の一例について説明する。図12に示すように、配管100には、通気弁1を取り付けるための筒状の取付口101が設けられている。まず、通気弁1を取付口101に挿入する。次に、カバー20を回転させる。この際、例えば図13に示すように、ドライバ200などの工具を引っ掛け棒23に引っ掛け、カバー20を回転させるようにしてもよい。これにより、カバー20に大きな回転力を付与することができる。カバー20が回転すると、カバー20の突起25が本体10の組立溝14の上縁14b(図8参照)に沿って移動する。その結果、カバー20は回転すると共に下向きに移動し、シール材18が押しつぶされる(図7参照)。このようにして、通気弁1は取付口101に気密に取り付けられる。
【0052】
通気弁1のメンテナンス時または交換時には、上記説明と逆の順序により、通気弁1を取付口101から取り外すことができ、通気弁1を分解することができる。ところで、通気弁1が長期間にわたって取付口101に取り付けられている場合、カバー20が固着してしまい、カバー20を本体10に対して回転させにくいことがある。しかし、上述のように、例えばドライバ200などの工具を引っ掛け棒23に引っ掛けることとすれば、カバー20に大きな回転力を付与することができるので、カバー20を比較的容易に回転させることができる。そのため、通気弁1のメンテナンスまたは交換を容易に行うことができる。
【0053】
前述したように、本実施形態に係る通気弁1は、通気口17を閉じる方向に弁体50を付勢する手段として、第1磁石61と第2磁石62と吸引体63とを有する付勢部材60を備えている。図14は、弁体50の通気口17からの距離Lと、第1磁石61が第2磁石62および吸引体63から受ける力Fとの関係を表すグラフである。距離Lは、弁体50が通気口17を閉じているときは零であり、通気口17から離れるほど(本実施形態では、通気口17から下方に行くほど)大きくなる。破線の曲線B2は、第1磁石61が第2磁石62から受ける反発力を表している。一点鎖線の曲線B3は、第1磁石61が吸引体63から受ける吸引力を表している。実線の曲線B1は、それら反発力および吸引力の合力を表している。言い換えると、実線の曲線B1は、第1磁石61が第2磁石62および吸引体63から受ける合計の力を表している。
【0054】
曲線B1から分かるように、第1磁石61が受ける力は、距離Lが零からL1の間では、距離Lが大きくなるほど徐々に小さくなり、L1以上では距離Lが大きくなるほど徐々に大きくなる。すなわち、第1磁石61、第2磁石62、および吸引体63は、弁体50が閉位置から開位置に向けて移動するときに、第1磁石61に作用する力が徐々に小さくなってから徐々に大きくなるように設定されている。
【0055】
吸引体63が設けられていることにより、L=0のときに第1磁石61が受ける力F1は、第1磁石61が第2磁石62から受ける力F2よりも大きくなっている。そのため、本実施形態に係る付勢部材60により、弁体50は閉じる方向に十分に付勢される。弁体50は気密性を保ったまま、閉じた状態に安定的に維持される。
【0056】
ところで、吸引体63を設けなくても、第1磁石61および第2磁石62の反発力を高めに設定することにより、L=0のときに第1磁石61が受ける力を大きくすることができる。曲線B4は、反発力を高めに設定したときに第1磁石61が受ける力を表している。しかし、単に第1磁石61および第2磁石62の反発力を高めに設定しただけでは、第1磁石61が受ける力は、距離Lの増加と共に大きくなるだけである。
【0057】
一方、本実施形態によれば、第1磁石61が受ける力は、距離Lの増加と共にいったん小さくなってから大きくなる。そのため、弁体50は、負圧を受けることによっていったん通気口17から離れると、その後は開く方向に迅速に移動する。よって、本実施形態によれば、外気を配管100内に即座に導入することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る通気弁1によれば、弁体50の軸部52に設けられた第1磁石61は、通気弁本体5に設けられた第2磁石62から反発力を受けると共に、通気弁本体5に設けられた吸引体63から吸引力を受ける。そのため、第1磁石61および第2磁石62の互いの反発力が比較的弱く設定されていたとしても、弁体50を閉じる方向に十分に付勢することができ、よって、通常時に気密性を保ったまま、弁体50を閉じた状態に安定的に維持することができる。一方、負圧発生時に、ひとたび弁体50の閉鎖部51が通気口17から離れると、吸引体63の吸引力は低下する。そのため、単に第1磁石61および第2磁石62の反発力を強くする場合に比べて、負圧発生時に弁体50を迅速に移動させることができる。したがって、通常時には気密性を維持した状態で安定的に閉じられ、負圧発生時には円滑に開かれる通気弁1を実現することができる。
【0059】
本実施形態によれば、図6および図7に示すように、弁体50が通気口17を閉じているときに、吸引体63は第1磁石61から離間した位置に配置され、弁体50の軸部52の先端は通気弁本体5の天板部22から離間した位置に配置されている。そのため、通気口17を閉じるときに弁体50は天板部22に向かって上方に移動するが、吸引体63が第1磁石61に当たることはなく、軸部52が天板部22に当たることはない。よって、弁体50が通気口17を閉じるときに音が発生することを防止することができる。
【0060】
また、弁体50および通気弁本体5は、複数の部品が組み立てられることにより構成されている。弁体50および通気弁本体5は、単一の部品により構成される場合に比べて、寸法誤差が生じやすい。仮に、吸引体63が第1磁石61に接触した位置または弁体50の軸部52の先端が通気弁本体5に接触した位置で弁体50が通気口17を閉じるように設計されている場合、弁体50または通気弁本体5に寸法誤差が生じると、弁体50が通気口17を閉じる前に、吸引体63が第1磁石61に接触したり、弁体50の軸部52の先端が通気弁本体5に接触してしまうおそれがある。その結果、通常時に弁体50が通気口17を良好に閉じることができないおそれがある。しかし、本実施形態によれば、そのようなおそれがなく、多少の寸法誤差が発生したとしても、通常時に通気口17を良好に閉じることができる。
【0061】
ただし、本実施形態は一例に過ぎず、通常時に通気口17を良好に閉じることができる限り、弁体50が通気口17を閉じているときに軸部52が天板部22に接触していてもよく、吸引体63が第1磁石61に接触していてもよい。弁体50が通気口17を閉じるときに音が発生してもよい。
【0062】
本実施形態によれば、第1磁石61は弁体50の軸部52を囲むように環状に形成され、第2磁石62および吸引体63も環状に形成されている。第1磁石61、第2磁石62、および吸引体63は、軸線CA上に配置されており、同一直線上に位置している。これにより、弁体50の軸部52は直線状に移動しやすくなり、弁体50の開閉動作が安定する。よって、通気口17を円滑に開閉させることができる。
【0063】
本実施形態によれば、通気弁本体5は、通気口17が形成された本体10と、本体10に着脱可能に取り付けられるカバー20とを含んでおり、第2磁石62は本体10に設けられ、吸引体63はカバー20に設けられている。これにより、弁体50を通気弁本体5の本体10に取り付けた後、本体10にカバー20を取り付けることにより、通気弁1を容易に組み立てることができる。
【0064】
なお、前記実施形態では、第1磁石61、第2磁石62、および吸引体63は環状に形成されているが、特に限定される訳ではない。第1磁石61、第2磁石62、または吸引体63は、円板状に形成されていてもよく、その他の形状に形成されていてもよい。
【0065】
前記実施形態では、第1磁石61は弁体50の軸部52の周囲に配置されている。しかし、第1磁石61の配置は特に限定されない。例えば、第1磁石61は軸部52の先端(軸部52の上方)に配置されていてもよい。
【0066】
前記実施形態では、弁体50が通気口17を閉じているときに、第1磁石61と吸引体63との距離は、第1磁石61と第2磁石62との距離よりも小さい。しかし、第1磁石61と吸引体63との距離は、第1磁石61と第2磁石62との距離と等しくてもよく、第1磁石61と第2磁石62との距離よりも大きくてもよい。
【0067】
次に、他の実施形態の例について簡単に説明する。以下の説明では、前記実施形態と同様の部分または対応する部分には同様の符号を付し、それらの説明は省略することとする。
【0068】
前記実施形態では、弁体50は軸部52を有しているが、軸部52は必ずしも必要ではない。次に、図15を参照しながら、弁体50が軸部を有していない実施形態の例について簡単に説明する。
【0069】
図15(b)に示すように本実施形態では、弁体50は、閉鎖部51と、閉鎖部51の外周部から径方向の外側に延びる複数の突起57とを有している。通気弁本体5の本体10には、突起57が係合する凹部57bが形成されている。突起57は、凹部57bに対して摺動可能であり、凹部57bにより上下方向に案内される。図15(a)に示すように、第1磁石61は弁体50の閉鎖部51に取り付けられている。第2磁石62は、通気弁本体5における第1磁石61よりも下方の部分に取り付けられている。吸引体63は、通気弁本体5における第1磁石61よりも上方の部分に取り付けられている。ここでは、第2磁石62は本体10に取り付けられ、吸引体63はカバー20に取り付けられている。
【0070】
本実施形態においても、第1磁石61は第2磁石62から上向きの反発力を受けると共に、吸引体63から上向きの吸引力を受ける。そのため、通常時には、弁体50は上向きの力を受け、通気口17を閉鎖する。一方、負圧が発生すると、弁体50に作用する下向きの力が上記上向きの力よりも大きくなり、弁体50は下向きに移動する。その結果、弁体50は通気口17を開放する。本実施形態では、弁体50の突起57が通気弁本体5の凹部57b内を摺動することにより、弁体50は上下方向に案内される。
【0071】
前記実施形態では、通気口17は上下に開口し、弁体50は上下に移動するように構成されている。通気口17の開口方向と弁体50の移動方向とは一致している。しかし、通気口17の開口方向と弁体50の移動方向とは、必ずしも一致している必要はない。例えば図16に示す実施形態では、通気弁本体5は、傘状の通気口形成部材80を有し、弁体50は傘状の閉鎖部51を有している。通気口形成部材80には複数の通気口17が形成されており、各通気口17は上下方向から傾いた方向に開口している。第1磁石61は弁体50に取り付けられ、第2磁石62は通気弁本体5の本体10に取り付けられ、吸引体63は通気弁本体5のカバー20に取り付けられている。弁体50には筒状の軸部52が備えられており、カバー20には軸部52に係合する軸部20aが備えられている。弁体50は、軸部52がカバー20の軸部20aに沿って摺動することにより、上下に案内される。本実施形態では、通気口17の開口方向は上下方向から傾いているが、弁体50は上下方向に移動する。
【0072】
前記実施形態では、第1磁石61は弁体50に設けられ、第2磁石62および吸引体63は通気弁本体5に設けられている。しかし、例えば図17に示すように、第1磁石61が通気弁本体5に設けられ、第2磁石62および吸引体63が弁体50に設けられていてもよい。図17に示す実施形態では、通気弁本体5の通気口形成部材80に第1磁石61が設けられている。弁体50は軸部52の上部に嵌め込まれた環状部材56を有しており、第2磁石62はこの環状部材56に設けられている。吸引体63は、弁体50の閉鎖部51に設けられている。
【0073】
本実施形態では、第1磁石61は第2磁石62から下向きの反発力を受けると共に、吸引体63から下向きの吸引力を受ける。言い換えると、第2磁石62は第1磁石61から上向きの反発力を受け、吸引体63は第1磁石61から上向きの吸引力を受ける。そのため、通常時には、弁体50は上向きの力を受け、通気口形成部材80に形成された通気口17を閉鎖する。一方、負圧が発生すると、弁体50に作用する下向きの力が上記上向きの力よりも大きくなり、弁体50は下向きに移動する。その結果、弁体50は通気口17を開放する。
【符号の説明】
【0074】
1 通気弁
5 通気弁本体
10 本体(第1部品)
20 カバー(第2部品)
17 通気口
50 弁体
51 閉鎖部
52 軸部
60 付勢部材
61 第1磁石
62 第2磁石
63 吸引体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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