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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】端子台カバーのロック構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/00 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
H01R9/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019098236
(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公開番号】P2020194650
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】藤川 剛生
(72)【発明者】
【氏名】内海 慶也
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-104336(JP,A)
【文献】実開平05-033461(JP,U)
【文献】特開平02-123677(JP,A)
【文献】特開平01-259598(JP,A)
【文献】実開昭60-093277(JP,U)
【文献】特開2012-129067(JP,A)
【文献】実公平7-045894(JP,Y2)
【文献】特開2018-179770(JP,A)
【文献】特開2004-199983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/15-9/28
H01R 13/52
H01R 12/00-12/91
H01R 24/00-24/86
H01R 4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子台の端子を覆う端子台カバーを前記端子台に着脱可能に固定する端子台カバーのロック構造であって、
前記端子台の一側部と他側部とが並ぶ方向である第1の方向に延びて前記端子と対向する第1のカバー部を有しかつ前記端子台の一側部と対向する第1の押圧部を有する第1のカバー半体と、
前記第1の方向に延びて前記端子と対向する第2のカバー部を有しかつ前記端子台の他側部と対向する第2の押圧部を有し、前記第1のカバー半体と協働して前記端子台カバーを構成する第2のカバー半体とを備え、
前記第1のカバー部と前記第2のカバー部とは、前記第1の方向に並ぶ状態で前記第1の方向に移動可能に連結されるとともに、前記第1の方向とは直交する第2の方向には一方が他方に対して移動することができないように連結され、
前記第1のカバー部の先端部には、第1のスナップフィット突出部と第1のスナップフィット係合部とが前記第2の方向に並ぶように設けられ、
前記第2のカバー部の先端部には、前記第1のスナップフィット突出部と係合可能な第2のスナップフィット係合部と、前記第1のスナップフィット係合部と係合可能な第2のスナップフィット突出部とが設けられ、
前記第1の押圧部および第2の押圧部は、前記第1のスナップフィット突出部と前記第2のスナップフィット係合部とが係合しかつ前記第1のスナップフィット係合部と前記第2のスナップフィット突出部とが係合したロック状態で前記端子台の一側部と他側部とに係合する係合部をそれぞれ備えていることを特徴とする端子台カバーのロック構造。
【請求項2】
請求項1に記載の端子台カバーのロック構造において、
前記第1のカバー半体と前記第2のカバー半体は同一形状であることを特徴とする端子台カバーのロック構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の端子台カバーのロック構造において、
前記第1のカバー部と前記第2のカバー部は、前記第2の方向に互いに隣り合う状態で前記第1の方向に延びる境界部をそれぞれ有し、
前記境界部には、前記ロック状態で前記第1のカバー部から前記第2のカバー部に跨がるように前記第2の方向に延びる治具挿入孔が形成され、
前記治具挿入孔に挿入された治具が捩られることにより前記第1のカバー部と前記第2のカバー部とが前記第1の方向の一方と他方とに押されて前記ロック状態が解消されることを特徴とする端子台カバーのロック構造。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一つに記載の端子台カバーのロック構造において、
前記第1のカバー部の先端部と、前記第2のカバー部の先端部とのうち少なくともいずれか一方には、前記端子台カバーの外面側に位置する外側板状部が設けられるとともに、他方には、前記端子台カバーの内面側に位置する内側板状部が設けられ、
前記内側板状部は、前記ロック状態で前記外側板状部によって覆われ、前記ロック状態が解消された非ロック状態で前記端子台カバーの外側に向けて露出するように構成され、
前記内側板状部に目印となるマークが設けられていることを特徴とする端子台カバーのロック構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台に端子台カバーを着脱可能に取付ける端子台カバーのロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ねじ式端子台を有している機器においては、端子に作業者の指が触れることがないように端子台カバーが取付けられている。この種の端子台カバーとしては、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているものがある。特許文献1には、端子台に着脱可能に係合する端子台カバーが開示されている。この端子台カバーは、作業者が手で着脱可能なものである。特許文献2には、端子台にねじ止めされる端子台カバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-329980号公報
【文献】特開2014-130790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているように、作業者が手で端子台カバーを外すことが可能であると、端子台カバーに不必要に接触したときに端子台カバーが外れてしまうおそれがある。一方、特許文献2に開示されているように、端子台カバーが端子台にねじ止めされる場合は、端子台カバーを強固に端子台に固定できる反面、端子台にねじ止めするスペースが必要であり、端子台の外形が大きくなってしまう。また、端子台カバーの着脱にあたって固定用ねじを締め込んだり緩めたりする必要があるために、取付作業や取外し作業の作業効率が悪くなる。
【0005】
本発明の目的は、固定用ねじを使用することなく端子台カバーを強固に端子台に固定可能な端子台カバーのロック構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係る端子台カバーのロック構造は、端子台の端子を覆う端子台カバーを前記端子台に着脱可能に固定する端子台カバーのロック構造であって、前記端子台の一側部と他側部とが並ぶ方向である第1の方向に延びて前記端子と対向する第1のカバー部を有しかつ前記端子台の一側部と対向する第1の押圧部を有する第1のカバー半体と、前記第1の方向に延びて前記端子と対向する第2のカバー部を有しかつ前記端子台の他側部と対向する第2の押圧部を有し、前記第1のカバー半体と協働して前記端子台カバーを構成する第2のカバー半体とを備え、前記第1のカバー部と前記第2のカバー部とは、前記第1の方向に並ぶ状態で前記第1の方向に移動可能に連結されるとともに、前記第1の方向とは直交する第2の方向には一方が他方に対して移動することができないように連結され、前記第1のカバー部の先端部には、第1のスナップフィット突出部と第1のスナップフィット係合部とが前記第2の方向に並ぶように設けられ、前記第2のカバー部の先端部には、前記第1のスナップフィット突出部と係合可能な第2のスナップフィット係合部と、前記第1のスナップフィット係合部と係合可能な第2のスナップフィット突出部とが設けられ、前記第1の押圧部および第2の押圧部は、前記第1のスナップフィット突出部と前記第2のスナップフィット係合部とが係合しかつ前記第1のスナップフィット係合部と前記第2のスナップフィット突出部とが係合したロック状態で前記端子台の一側部と他側部とに係合する係合部をそれぞれ備えているものである。
【0007】
本発明は、前記端子台カバーのロック構造において、前記第1のカバー半体と前記第2のカバー半体は同一形状であってもよい。
【0008】
本発明は、前記端子台カバーのロック構造において、前記第1のカバー部と前記第2のカバー部は、前記第2の方向に互いに隣り合う状態で前記第1の方向に延びる境界部をそれぞれ有し、前記境界部には、前記ロック状態で前記第1のカバー部から前記第2のカバー部に跨がるように前記第2の方向に延びる治具挿入孔が形成され、前記治具挿入孔に挿入された治具が捩られることにより前記第1のカバー部と前記第2のカバー部とが前記第1の方向の一方と他方とに押されて前記ロック状態が解消されるものであってもよい。
【0009】
本発明は、前記端子台カバーのロック構造において、前記第1のカバー部の先端部と、前記第2のカバー部の先端部とのうち少なくともいずれか一方には、前記端子台カバーの外面側に位置する外側板状部が設けられるとともに、他方には、前記端子台カバーの内面側に位置する内側板状部が設けられ、前記内側板状部は、前記ロック状態で前記外側板状部によって覆われ、前記ロック状態が解消された非ロック状態で前記端子台カバーの外側に向けて露出するように構成され、前記内側板状部に目印となるマークが設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る端子台カバーのロック構造においては、第1のカバー半体と第2のカバー半体とが第1の方向にスライドすることによりロック状態と非ロック状態とが切り替わる。このため、端子台の一側部と他側部とに係合する係合部を、作業者が手で係合状態を解除することができないように強固に形成することができる。
したがって、固定用ねじを使用することなく端子台カバーを強固に端子台に固定可能な端子台カバーのロック構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】端子台カバーが取付けられたパネル計器の斜視図である。
図2】パネル計器から外された端子台カバーとパネル計器の斜視図である。
図3】端子台カバーが取付けられたパネル計器の側面図である。
図4】端子台カバーの正面図である。
図5】端子台カバーとパネル計器の一部の断面図である。
図6】端子台カバーとパネル計器の一部の断面図である。
図7】端子台カバーの斜視図である。
図8】端子台カバーの斜視図である。
図9図4におけるIX-IX線断面図である。
図10】端子台カバーの分解斜視図である。
図11】非ロック状態にある端子台カバーの内側から見た斜視図である。
図12】ロック状態にある端子台カバーの内側から見た斜視図である。
図13】ロック解除後の端子台カバーおよび治具とパネル計器の斜視図である。
図14】第1および第2の係合部の変形例を示す斜視図である。
図15】端子台カバーの変形例を示す斜視図である。
図16】端子台カバーの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る端子台カバーのロック構造の一実施の形態を図1図13を参照して詳細に説明する。
図1に示す端子台カバー1は、本発明に係るロック構造2によってロック状態に保持されて端子台3に固定されている。ロック構造2は、端子台カバー1を端子台3に着脱可能に固定する構造である。この実施の形態による端子台3は、図2に示すように、パネル計器4の後端部を構成し、複数の端子5を備えている。パネル計器4の一側部4a(図2においては上部)と他側部4b(図5参照)とには、それぞれ複数の通気口6が形成されている。パネル計器4の他側部4bは、一側部と同一の構造となるように形成されている。以下においては、パネル計器4の一側部4aと他側部4bとが並ぶ方向(図1においては上下方向)を第1の方向という。
【0013】
端子5台カバー1は、図1において上側に位置する第1のカバー半体11と、下側に位置する第2のカバー半体12とを第1および第2の係合部13,14で組み合わせて形成されており、第1の方向の両側に設けられた第3の係合部15(図5参照)によって端子台3の一側部3aと他側部(3b)とに取付けられている。
第1~第3の係合部は、ロック構造2の一部を構成するものである。第1~第3の係合部の構成は後述する。この実施の形態による第1のカバー半体11と第2のカバー半体12とは同一形状である。なお、第2のカバー半体12は、第1のカバー半体11と協働して端子台カバー1を構成できる形状であれば、第1のカバー半体11と同一形状に形成されている必要はない。
【0014】
第1のカバー半体11と第2のカバー半体12とは、第1の係合部13と第2の係合部14とを介して第1の方向に並ぶ状態で第1の方向に移動可能に連結されている。このため、第1のカバー半体11と第2のカバー半体12とは、図1および図5に示すように第1の方向において互いに突き合わせられたロック状態と、図2および図6に示すように、一方が他方に対して第1の方向において離れるように移動した非ロック状態との間で移動可能である。また、第1のカバー半体11と第2のカバー半体12とは、第1の方向とは直交する第2の方向(図1においては左右方向)において、第1および第2の係合部13,14によって一方が他方に対して移動することができないように連結されている。
【0015】
第1のカバー半体11は、第1の方向に延びて端子5と対向する第1のカバー部16と、端子台3の一側部3aと対向する第1の押圧部17とを有している。第1のカバー部16と第1の押圧部17は、プラスチック材料によって一体成形により一体に形成されている。この実施の形態においては、第1の押圧部17が第1のカバー部16に対して容易に撓むことができないように、第1のカバー半体11の内面に複数の補強用リブ18(図8参照)が設けられている。
【0016】
第1のカバー部16は、図7および図8に示すように、板状に形成され、第1の押圧部17に連なる基部16aと、第2の方向における基部16aの一端部から第1の押圧部17とは反対方向に突出した延長部16bとから構成されている。この延長部16bの先端部には、第1のスナップフィット突出部21が設けられている。基部16aの先端部には、第1のスナップフィット係合部22が設けられている。すなわち、第1のカバー部16の、第1の押圧部17とは反対側に位置する先端部には、第1のスナップフィット突出部21と第1のスナップフィット係合部22とが第1の方向において離れた位置で第2の方向に並ぶように設けられている。第1のスナップフィット突出部21と第1のスナップフィット係合部22の説明は後述する。
【0017】
第1の押圧部17は、図8に示すように、第1のカバー部16から最も離れた一端部に複数の係合突起23を有している。これらの係合突起23は、図5に示すように、パネル計器4の通気口6に挿入可能な形状に形成されている。端子台カバー1は、係合突起23が通気口6に挿入されることによりロック状態となり、係合突起23が通気口6から出ることにより非ロック状態になる。
第2の方向における第1の押圧部17の両端部には、端子台3に第2の方向の両側から対向する一対の板24がそれぞれ設けられている。
【0018】
第2のカバー半体12は、第1の方向に延びて端子5と対向する第2のカバー部25と、端子台3の他側部3bと対向する第2の押圧部26とを有している。第2のカバー半体12は、第1のカバー半体11と同一形状に形成されているから、第2のカバー部25と第2の押圧部26とは一体に形成され、補強用リブ27を有している。第2のカバー部25は基部25aと延長部25bとを有している。第2の押圧部26には、複数の係合突起28と一対の板29とが設けられている。複数の係合突起28は、第1の押圧部17の複数の係合突起23とともに上述した第3の係合部15を構成する。この実施の形態においては、第3の係合部15が本発明でいう「ロック状態で端子台の一側部と他側部とに係合する係合部」に相当する。
【0019】
第2のカバー部25の延長部25bの先端部には、第1のスナップフィット係合部22と係合可能な第2のスナップフィット突出部31が設けられている。基部25aの先端部には、第1のスナップフィット突出部21と係合可能な第2のスナップフィット係合部32が設けられている。これらの第1のスナップフィット突出部21と第2のスナップフィット係合部32とが第1の係合部13を構成し、第1のスナップフィット係合部22と第2のスナップフィット突出部31とが第2の係合部14を構成している。
【0020】
第1のカバー半体11の第1のスナップフィット突出部21と、第2のカバー半体12の第2のスナップフィット突出部31は、図7および図8に示すように、先端部に係合爪33を有する係合片34と、この係合片34で仕切られた一対の第1の溝35(図8参照)とを有している。第1の溝35は、第1の方向に延びるように形成されているとともに、端子台カバー1の内方に向けて開放されるように形成されている。第1の溝35の底は、図7に示すように、端子台カバー1の外面を形成する板状部35aによって形成されている。
【0021】
第1のカバー半体11の第1のスナップフィット係合部22と、第2のカバー半体12の第2のスナップフィット係合部32は、図7および図8に示すように、第2の方向に所定の間隔をおいて並ぶ一対の板状突起36と、第2の方向においてこれらの板状突起36どうしの間となる位置に設けられた第1および第2の係合穴37,38とを有している。2つの板状突起36は、図7に示すように、第1および第2のカバー部16,25の外面より端子台カバー1の内面側に位置している。第1の係合穴37と第2の係合穴38は、係合片34の係合爪33が係合可能な形状に形成されている。
【0022】
2つの板状突起36どうしの間には、係合片34が嵌まり込むことが可能な第2の溝39(図8参照)が形成されている。これらの板状突起36は、これら両者の間に係合片34が挿入されることにより、図9に示すように、第1の溝35の底と重なる。係合片34が第2の溝39に挿入されて係合爪33が第1または第2の係合穴37,38に係合している状態においては、係合片34が第2の溝39の底に端子台カバー1の内側から接触し、第1の溝35の底が板状突起36に端子台カバー1の外側から接触する。このため、第1のカバー部16と第2のカバー部25とが互いに厚み方向に噛み合うようになり、第1の方向に折れ曲がることなく延びる状態で結合される。
【0023】
第1の係合穴37と第2の係合穴38は、第2の方向において同一位置であって、第1の方向に所定の間隔をおいて離間するような位置に設けられている。第1の係合穴37は、図5に示すように、係合片34の係合爪33が係合する状態で端子台カバー1がロック状態となる位置に形成されている。第2の係合穴38は、図6に示すように、係合片34の係合爪33が係合する状態で端子台カバー1が非ロック状態となる位置に形成されている。
【0024】
係合片34が第2の溝39に挿入されて係合爪33が第1の係合穴37または第2の係合穴38に係合することにより、第1のカバー部16と第2のカバー部25とが、第1の係合部13と第2の係合部14とを介して連結される。この連結状態においては、第1のカバー部16と第2のカバー部25とが第1の方向に並ぶ状態で第1の方向に移動可能に連結されるとともに、第2の方向には一方が他方に対して移動することができないように連結される。
【0025】
第1のカバー部16の延長部16bと、第2のカバー部25の延長部25bとには、図1に示すように、端子台カバー1がロック状態であるときに第1のカバー部16から第2のカバー部25に跨がるように第2の方向に延びる治具挿入孔41が形成されている。この実施の形態においては、延長部16b,25bが請求項3記載の発明でいう「境界部」に相当する。治具挿入孔41は、第1のカバー部16の延長部16bに形成された第1の切欠き42と、第2のカバー部25の延長部25bに形成された第2の切欠き43とによって形成されている。また、第1のカバー部16の延長部16bと、第2のカバー部25の延長部25bとにおける、第2の方向において治具挿入孔41とは反対側の端部には、図8に示すように、それぞれ支持板44が突設されている。支持板44は、第1および第2のカバー部16,25から端子台カバー1の内側に向けて延びるように形成されており、図1に示すように、ロック状態で端子台3の凸部45と対向する。
【0026】
このように構成された端子台カバー1を組立てて端子台3に取付けるためには、先ず、図10に示すように、第1のカバー半体11と第2のカバー半体12とを互いに対向させ、第1のスナップフィット突出部21の係合片34を第2のスナップフィット係合部32の第2の溝39に挿入するとともに、第2のスナップフィット突出部31の係合片34を第1のスナップフィット係合部22の第2の溝39に挿入する。そして、係合片34の係合爪33を第2の係合穴38に係合させる。このように係合爪33が第2の係合穴38に係合することにより、図11に示すように、第1のカバー半体11と第2のカバー半体12とが互いに組み合わせられて端子台カバー1が形成される。
【0027】
この端子台カバー1を端子台3に取付けるためには、先ず、例えば第1のカバー半体11の第1の押圧部17の係合突起23をパネル計器4の一側部の通気口6に挿入し、図6に示すように、第2のカバー半体12の第2の押圧部26を端子台3の他側部3bに対向させる。そして、第2のカバー半体12を第1のカバー半体11に向けて押圧し、係合片34の係合爪33を第1の係合穴37に係合させる(図12参照)。このように第1および第2の係合部13,14が係合状態となることにより、図5に示すように、第1および第2の押圧部17,26の係合突起23,28がパネル計器4の通気口6に挿入され、端子台カバー1がロック状態になって端子台3に固定される。端子台カバー1がロック状態にあるときは、作業者が端子台カバー1をパネル計器4から離れる方向に引いたとしても、端子台カバー1を端子台3から取外すことはできない。
【0028】
端子台カバー1を端子台3から取外すときは、図13に示すように、治具挿入孔41に例えばマイナスドライバーなどの治具51を挿入して捩る。図13は、治具51を時計方向に回して捩った後の状態を示している。治具挿入孔41に挿入された治具51が捩られることにより、第1のカバー部16と第2のカバー部25とが第1の方向の一方と他方とに押されて図11に示すようにロック状態となる以前の状態(非ロック状態)になる。このように端子台カバー1が非ロック状態となることにより、端子台カバー1を端子台3から取外すことが可能になる。
【0029】
このように、この実施の形態による端子台カバー1のロック構造2においては、第1のカバー半体11と第2のカバー半体12とが第1の方向にスライドすることによりロック状態と非ロック状態とが切り替わる。このため、パネル計器4の一側部4a(端子台3の一側部3a)とパネル計器4の他側部4b(端子台3の他側部3b)とに係合する第3の係合部15を、作業者が手で係合状態を解除することができないように強固に形成することができる。この実施の形態においては、第1および第2のカバー半体11,12の内面に複数の補強用リブ18,27が設けられ、剛性向上が図られている。
したがって、この実施の形態によれば、固定用ねじを使用することなく端子台カバー1を強固に端子台3に固定可能な端子台カバーのロック構造を提供することができる。
【0030】
この実施の形態による第1のカバー半体11と第2のカバー半体12は同一形状である。このため、端子台カバー1を2つの部品(第1のカバー半体11と第2のカバー半体12)とによって形成しているにもかかわらず、製造コストを可及的低く抑えることができた。
【0031】
この実施の形態による第1のカバー部16と第2のカバー部25は、第2の方向に互いに隣り合う状態で第1の方向に延びる延長部16b,25b(境界部)をそれぞれ有している。延長部16b,25bには、ロック状態で第1のカバー部16から第2のカバー部25に跨がるように第2の方向に延びる治具挿入孔41が形成されている。治具挿入孔41に挿入された治具51が捩られることにより第1のカバー部16と第2のカバー部25とが第1の方向の一方と他方とに押されてロック状態が解消される。このため、端子台カバー1が端子台3に強固に取付けられているにもかかわらず、端子台カバー1を端子台3から簡単に取外すことができる。
【0032】
(第1および第2の係合部の変形例)
第1の係合部13と第2の係合部14は、図14に示すように構成することができる。図14において、図1図13によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図14に示す第1のカバー部16の先端部(係合片34と板状突起36)と、第2のカバー部25の先端部(係合片34と板状突起36)とには、それぞれ目印となるマーク52が設けられている。この実施の形態によるマーク52は、係合片34と板状突起36における、端子台カバー1の外側に露出する部位を他の部位とは異なる色に塗装することによって構成されている。図14においては、マーク52をハッチングによって表現している。
【0033】
係合片34と板状突起36は、図14に示すように非ロック状態では端子台カバー1の外側に向けて露出するように構成されている。また、係合片34は、ロック状態では第2の溝39の底となる板状部39aによって覆われて端子台カバー1の外側から見えなくなる。板状突起36は、ロック状態では第1の溝35の底となる板状部35aによって覆われて端子台カバー1の外側から見えなくなる。このため、マーク52が見えているときは非ロック状態であり、マーク52が見えないときはロック状態であるから、端子台カバー1の状態を外観から容易に判別することができるようになる。この実施の形態においては、係合片34と板状突起36とが請求項4記載の発明でいう「端子台カバーの内面側に位置する内側板状部」に相当し、第1の溝35の底となる板状部35aと、第2の溝39の底となる板状部39aとが請求項4記載の発明でいう「端子台カバーの外面側に位置する外側板状部」に相当する。なお、マーク52は、係合片34と2つの板状突起36の全てに設ける必要はなく、これらの3つの部材のうちいずれか一つに設けておくだけであっても、外観からロック状態と非ロック状態を判別することが可能である。
【0034】
(第1および第2のカバー半体の変形例)
端子台カバー1の第1および第2の係合部13,14は、図15および図16に示すように構成することができる。図15および図16において、図1図14によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図15に示す端子台カバー1の第1の係合部13と第2の係合部14は、第1の方向の両端部に位置付けられている。また、第1のカバー部16の延長部16bと、第2のカバー部25の延長部25bとには、図16に示すように、他方のカバー部の延長部と重なる補強板53がそれぞれ設けられている。
この実施の形態を採る場合であっても、固定用ねじを使用することなく端子台カバー1を強固に端子台に固定可能な端子台カバーのロック構造を実現することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…端子台カバー、2…ロック構造、3…端子台、5…端子、11…第1のカバー半体、12…第2のカバー半体、15…第3の係合部(係合部)、16…第1のカバー部、16b…延長部(境界部)、17…第1の押圧部、21…第1のスナップフィット突出部、22…第1のスナップフィット係合部、25…第2のカバー部、25b…延長部(境界部)、26…第2の押圧部、31…第2のスナップフィット突出部、32…第2のスナップフィット係合部、34…係合片(内側板状部)、36…板状突起(内側板状部)、35a,39a…板状部(外側板状部)、41…治具挿入孔、51…治具、52…マーク。
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