(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】供試体の内部を計測する計測方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/22 20060101AFI20230214BHJP
G01N 33/38 20060101ALI20230214BHJP
B28B 1/14 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
G01N27/22 C
G01N33/38
B28B1/14 Z
(21)【出願番号】P 2019119841
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】517319341
【氏名又は名称】岩瀬 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】110000615
【氏名又は名称】弁理士法人Vesta国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 裕之
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-049483(JP,A)
【文献】特開2015-121472(JP,A)
【文献】特開2005-043197(JP,A)
【文献】岩瀬裕之、武藤丈瑠、加藤絢子,等比共面電極板と静電容量形近接センサーを用いたコンクリートの充填状況推定方法に関する研究,コンクリート工学年次論文集,2019年06月15日,Vol.41, No. 1, 2019,1253-1258
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - G01N 27/24
G01N 33/00 - G01N 33/46
B28B 1/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体からなる同一縦横比及び同一面積からなる短冊状の電極板を絶縁シートに複数併設してなる等比共面電極板と、
前記等比共面電極板の総面積を任意に選択し、前記等比共面電極板の相互を選択に従って短絡し、正極と負極の一対を形成し、前記一対の等比共面電極板に100Hz以上の周波数の交流を印加する電源と、
前記選択した一対の等比共面電極板相互の中心位置から前記選択した各等比共面電極板の中心位置までの距離tを具備し、
前記等比共面電極板は、その表裏の面を絶縁物でモールドしたものであり、
前記等比共面電極板相互の配置は、前記等比共面電極板相互の中心位置からπtに平行板電極が存在する場合の電界到達距離と見做して、前記一対の等比共面電極板相互の静電容量を算出し、
前記選択した一対の等比共面電極板面積Sと前記距離tとの比からなる等比共面電極定数S/tが一定となる条件で前記面積S及び前記距離tを変化させたときの前記静電容量の変化を計測することを特徴とする供試体の内部を計測する計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、コンクリート製品内部に空洞等が存在するか否かを判断する供試体の内部を計測する計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンクリートの骨材の配合を行う場合、「表乾状態(表面乾燥飽水状態)」にあることを前提とし、骨材の密度を求め、各種の配合設計に準じて配合している。ここで、「表乾状態」とは、押し固められた骨材の内部の空隙は水分で満たされた状態にあり、骨材の表面は水分を含まない状態にあることが前提となっている。
一般に、骨材の表乾状態を判定するには、JIS A1109に規格化されたフローコーン法が採用されている。これによると、截頭円錐状を呈するフローコーンに骨材を充填し、突き棒で突くことによって所定固さに突き固め、その後、徐々にフローコーンを上方に向かって引上げ、突き固められた骨材が崩れるか、崩れないかの境界付近の状態を表乾状態として判断している。
【0003】
ところが、これらの表乾状態の判断には、骨材が崩れた正確なデータが必要となる。特に、正確な判断を行うには経験則が必要となり、不慣れな測定者は、正確な判断ができない場合も生じ得る。
特に、上述したフローコーン法は、「天然骨材」と呼ばれる砂や砂利等に対して実施されるものであるが、近年、この「天然骨材」の供給量が減少し、多くの代替物が骨材として用いられている。例えば、砕砂、高炉スラグ、ゴミ溶融スラグ、再生骨材等の所謂「低品位」の骨材が多く利用されている。これらの低品位の骨材は、表面がガラス質性状や多孔質性状を呈することがあり、天然骨材とは明らかに異なる表乾特性を有することがある。そのため、フローコーン法では砕砂等の骨材に対して正確な表乾状態を判定することが特に困難となっている。
【0004】
例えば、JIS規格化されたフローコーンの形状と異なる自立角或いは広径等のサイズによって形成された新しい基準の表乾判定用フローコーンを用いる方法、赤外線の反射率を利用して水分量を計測するもの(非特許文献1参照)、乾湿状態における電気抵抗の変化を利用するもの(非特許文献2参照)、遠心脱水法を利用するもの(非特許文献3参照)等が知られている。
【0005】
【文献】竹内一真、外3名 「細骨材の表乾判定試験方法に関する基 礎的研究」、コンクリート工学年次論文集、Vol.25、No. 1、2003、p77-p82
【文献】山本大介、外4名 「海砂代替骨材としての砕砂の表乾判定 方法に関する検討」、土木学会第59回年次学術講演会、平成16 年9月、p491-p492
【文献】鈴木一雄、外1名 「細骨材の簡易表乾決定法に関する一検 討」、第48回セメント技術大会講演集、1994、p156-p 159
【文献】特開2006-329801号公報
【文献】特許第6343708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1では、異なる自立角及びサイズによって形成されたフローコーンを利用しており、表乾状態の判断に従来と同様にある程度の経験則が必要となり、精度の良い再現性を求めることが困難であった。また、骨材の種類や性状に応じて、最適なフローコーンを適宜選択する必要があり、複数種類のフローコーンを予め準備しておく必要があった。
特に、非特許文献1の赤外線の反射率を利用するものは、一般に水に吸収し易い赤外線波長(1.46μm)と、水に吸収され難い赤外線波長(1.6μm)の二種類の波長を利用し、主に骨材として「シラス」を対象として測定したデータによって算出されていたから、その他の低品位骨材に対する作用について開示されていなかった。
【0007】
非特許文献2では、砕砂を測定対象の試料として各種の測定を実施し、種々の結果を総合することにより、フローコーン法が最も妥当性を有する結果が得られ、その他の方法は非特許文献2の測定結果では特に優れた特性を示すものではなかった。
非特許文献3では、高精度に表乾状態を判断することが可能になるが、対象となる骨材を遠心分離装置にセットし、試料に応じて数G~数千Gの遠心力を与える必要があり、表乾状態の判定のための装置が大がかりとなり、簡易な表乾状態の判定に適さないことがあった。
【0008】
一方、現今のコンクリート構造物の耐久性の向上は、シラン系表面含浸材を表面に塗布し、浸透させ、コンクリート内部に撥水層を形成させる工法が注目されている。
この撥水層を施すことにより水分の侵入を抑制し、塩分や水分等のコンクリートの劣化因子の浸入を抑制することでコンクリートの耐久性を高めることができる。例えば、『北海道開発局道路設計要領』にはシラン系表面含浸材の製品選定の目安として、凍害対策では、浸透深さが6mm以上あるものと規定されている。このようなことから、表面含浸工法を適用する場合、形成された撥水層で管理する方が施工品質を高められる。そこで、本発明者らは含水率の高低による電気的変化を利用し、コンクリートの撥水層厚を推定する方法として、特許文献2を提案した。
【0009】
本発明者らは、特許文献2で電極板面積の電極板2枚を一対とし、前記一対の電極板相互の中心位置から各電極板幅の中心位置までの水平面距離と前記一対の電極板面積の比からなる等比共面電極定数を一定とした等比共面電極を具備し、前記一対の前記等比共面電極に高周波を印加し、前記電極板相互の中心位置までの水平面距離と静電容量に依存する表示値との間で一次関数方程式の特性を得て、前記一次関数方程式の特性の傾きを撥水層厚に関係する傾き情報とし、また、前記静電容量に依存する表示値の切片は表層付近の含水率と関係する情報として出力する撥水層の厚みを測定できる計測方法を発明した。
これにより、含水率によって結果が異なることなく、抵抗値及び誘電率が含水率によって変化しても、その影響が出現し難い供試体を計測する計測方法を提示した。
【0010】
しかし、通電により測定すると、抵抗値が温度、成分により低下し、それに伴って誘電率も金属イオンによって変化する。更に、含水率によって導電率、誘電率の周波数特性も変化する。そこで、電気的特性の変化が少なく、電極板の位置、電極板の面積、印加電圧の高さによって電界の乱れが検出され易い供試体の内部を計測する方法が求められていた。
【0011】
また、特に、コンクリートの打設の際、窓枠等の下側ではコンクリート中にジャンカ(豆板)等の内部空洞等が形成されることがある。これらの空洞等の欠陥は外部からでは把握し難い。特に、コンクリートの打設が終了した後、型枠を外している際にその内部空洞を発見しても基本的修繕を行うことができない。そこで、コンクリートの打設中においても空洞の検出が可能であり、供試体の内部を計測する方法が求められていた。
そして、コンクリートの打設中においても、コンクリートの型枠を外さない埋設型枠でも、コンクリートの内部空洞の異常検出ができる測定方法が求められていた。
【0012】
殊に、コンクリート構造物の性能を確保するには、コンクリートが型枠内に密実に充填されていることが重要である。コンクリートの運搬中や施工中の予期せぬトラブル等の要因で充填不良が発生し、型枠表面で豆板(ジャンカ)や鉄筋周辺での内部空洞等の欠陥が発生することもある。これらの欠陥は施工中には把握しにくく、コンクリート硬化後に型枠をはずして初めて明らかになるか、脱型後も表層コンクリートに覆われているから、目視では確認できないこともある。
最近では生産性向上の面から脱型作業が省略できるようコンクリートやモルタルで作成された埋設型枠が採用されている。特に、埋設型枠はコンクリートの充填状況は脱型後も把握できない。しかし、埋設型枠と充填コンクリートとの間に空隙を発生させずに一体性を確保する必要があり、何らかの方法で確認しておく必要がある。
【0013】
そこで、本願発明は、供試体の電気的特性によって結果が異なることなく、抵抗値及び誘電率が含水率によって変化しても、その影響が出現し難い供試体の内部を計測する計測方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明の供試体の内部を計測する計測方法は、導電体からなる同一縦横比及び同一の電極板面積Sからなる短冊状の電極板を絶縁シート10に複数併設してなる等比共面電極板21,22の総面積nSを任意に選択し、選択された前記等比共面電極板21,22相互を短絡し、正極と負極の一対を形成し、前記一対の等比共面電極板21,22に100Hz以上の周波数を印加する電源eと、前記一対の等比共面電極板21,22相互の中心位置0から各等比共面電極板21,22の中心位置±s0までの電極間の距離、即ち、電極間隔tを具備し、前記等比共面電極板21,22相互の配置は、前記等比共面電極板21,22相互の中心位置0からπtに平行板電極が存在する電界到達距離と見做して、前記一対の等比共面電極板21,22相互の静電容量を算出するものである。
コンクリートの打設中においても、標準となる静電容量が既知のコンクリートと比較して、空洞の検出によって供試体(コンクリート)の静電容量が低くなるから、仮に、コンクリートの打設中においても、コンクリートの型枠を外さない埋設金型においても、コンクリートの内部空洞の検出ができる。
【0015】
ここで、上記等比共面電極板21,22は、導電体からなる同一縦横比及び同一面積からなる短冊状の電極板で、その一面を絶縁シート10で絶縁したものである。複数併設してなる同一縦横比及び同一電極板面積Sからなる短冊状とは、正方形または長方形の何れでもよい。
また、上記電源eは、100Hz以上の周波数を印加とは、商用電源のノイズの影響がなく、tanδの測定値に影響がでなければよい。測定環境が水濡れ場所であるから、感電を防止する意味からも電圧をできるだけ上げないで計測するので印加電圧は100V以下が望ましい。周波数は100Hz以上、30MHz以下の範囲が望ましい。できれば、1MHz~30MHzで使用するのが望ましい。
【0016】
そして、上記一対の等比共面電極板21,22は、前記等比共面電極板21,22の総面積nSを任意に選択し、選択された前記等比共面電極板21,22の相互を短絡させ、正極と負極の一対を形成するものである。
更に、上記電極間隔tとは、一対の等比共面電極板21,22相互の中心位置Oと一対の等比共面電極板21,22の中心位置±s0から他方の等比共面電極板21,22の中心位置±s0までの距離である。
更にまた、上記等比共面電極板21,22相互の配置は、平行板電極であれば、その間の距離は対向平均距離dとなる。しかし、等比共面電極板21,22を使用するので等比共面電極板21,22相互の距離は、2πd/2=πdとなる。したがって、距離πdは、電界の到達深さの推定値の相加平均値である。
【0017】
請求項2の発明の供試体の内部を計測する計測方法において、前記導電体からなる同一の縦横比及び同一の電極板面積Sからなり、複数併設してなる等比共面電極板21,22、前記等比共面電極板21,22の組み合わせを異にした複数の角度から、コンクリート中の充填不良を発見できるから、等比共面電極板21,22の組み合わせ角度によって見落とすことなく検出が可能である。特に、複数併設してなる等比共面電極板21,22の組み合わせ総面積をS,2S,3S,・・・,(nは整数)とすることにより、コンクリート中の充填不良を発見でき易い。コンクリート中の充填不良の発生は、静電容量の低下によって推定できる。
【0018】
請求項3の発明の供試体の内部を計測する計測方法においては、導電体からなる同一縦横比及び同一電極板面積Sからなる複数併設してなる等比共面電極板21,22は、絶縁基板に形成した前記等比共面電極板21,22の枚数等の組み合わせにより複数種類の前記等比共面電極板21,22を組み合わせたものであるから、短絡により各種の同一面積から組み合わせることによって複数併設してなる等比共面電極板21,22を組み合わせて連結形成できるから、必要な形態の電極を構成できる。
複数併設してなる等比共面電極板21,22の組み合わせ総面積をS,2S,3S,・・・とすることにより、特定の面積を算出し易い。
【0019】
請求項4の発明の供試体の内部を計測する計測方法においては、同一縦横比及び同一電極板面積Sからなる複数併設した等比共面電極板21,22は、その表裏の面を絶縁物でモールドしたものであるから、この等比共面電極板21,22は両面が絶縁コンクリートの型枠内に配設でき、コンクリートを打設している最中にコンクリート中に内部空洞等が形成されているか否かを判断できる。
特に、等比共面電極板21,22は、その表裏の面を絶縁物でモールドしたものであるから、スチレンボード、合板型枠等の内側及び/または外側に等比共面電極板21,22を配設することができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1にかかる発明の供試体の内部を計測する計測方法は、同一縦横比及び同一の電極板面積Sからなる等比共面電極板21,22の総面積nSを任意に選択し、選択された前記等比共面電極板21,22で正極と負極の対を形成し、前記一対の等比共面電極板21,22に100Hz以上の周波数の交流を印加する。前記一対の等比共面電極板21,22の中心位置0から各等比共面電極板21,22の中心位置±s0までの距離、即ち、電極間隔tに対し、前記等比共面電極板21,22相互の中心位置±s0からπtに平行板電極が存在する場合の電界到達距離と見做して、前記一対の等比共面電極板21,22相互の静電容量を算出する。
【0021】
この等比共面電極板21,22の総面積をS,2S,3S,・・・とすることにより、コンクリートを打設した状態、コンクリートを打設している状態で内部空洞等が形成されていると何れかの等比共面電極板21,22で内部空洞の存在の影響がでるから、静電容量C[F]の値が低下する。
静電容量C[F]=ε・S/dは、
但し、C;静電容量[F] ε;誘電体の誘電率[F/m]
S;電極板面積[m2] d;対向平均距離[m]
である。
【0022】
因みに、水の誘電率 80.4
空気の誘電率 1.00×10-12
合成樹脂の誘電率 2~6×103
は、静電容量C[F]の値が低下すると、静電容量C[F]はε・S/dで算出される。このとき、誘電率は水の誘電率80以上と影響が大きく、空気の誘電率1/1012と影響が小さいから、内部空洞が存在すれば、二層または三層としてその影響が出てきて、静電容量C[F]の値として変化する。
【0023】
また、等比共面電極板21,22の総面積nSを任意に選択し、選択された等比共面電極板21,22の相互を短絡させることにより任意の総面積nSが得られる。
そして、正極と負極の一対を形成し、一対の等比共面電極板21,22に100Hz以上の周波数の交流を電源eとして印加するものであるから、商用周波数の電源の影響を排除できるから、印加する電圧として電圧値を小さくできる。また、周波数を高くすることにより、静電容量C[F]として正確な値を検出できる。
等比共面電極板21,22相互の配置は、等比共面電極板21,22相互の中心位置Oを中心から半径の長さπtに平行板電極が存在する場合の電界到達距離と見做しているから、原理的には、矛盾がない。
【0024】
請求項2にかかる発明の供試体の内部を計測する計測方法は、導電体からなる同一縦横比及び同一電極板面積Sからなる複数併設してなる等比共面電極板21,22は、等比共面電極板21,22の組み合わせを異にした、例えば、総面積をS,2S,3S,・・・と変化させた測定により、静電容量C[F]の最小値に内部空洞等が形成されているとして意味を持たせると、何れかの角度で内部空洞の存在の影響がでてくるから、その静電容量C[F]の小さい原因は内部空洞等と想定することができる。また、鉄筋等によって、電界に乱れが出ても、折れ線近似として数値に大きな違いがでてこない。
等比共面電極板21,22相互の配置は、その中心位置0を中心から等比共面電極板21,22相互の中心位置±s0からπtが平行板電極の存在する電界到達距離と見做しており、原理的に正確な電界強度を説明するものであり、測定値から得られる誤差が少ない。
【0025】
請求項3にかかる発明の供試体の内部を計測する計測方法は、導電体からなる同一縦横比及び同一電極板面積Sからなる複数併設してなる等比共面電極板21,22は、絶縁基板に形成した等比共面電極板21,22の組み合わせとしたものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、絶縁基板面に等比共面電極板21,22を標準化することができるから、絶縁基板に形成した複数からなる等比共面電極板21,22を形成すれば、その選択により任意の等比共面電極板21,22の総面積をS,2S,3S,・・・を形成することができる。
【0026】
請求項4にかかる発明の供試体の内部を計測する計測方法は、導電体からなる同一縦横比及び同一電極板面積Sからなる複数併設してなる等比共面電極板21,22は、その表裏の面を絶縁物でモールドしたものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の供試体の内部を計測するものであるから、絶縁基板面に型枠に貼着等の配設した形態としても使用できる。また、コンクリート中に埋設可能であるから、等比共面電極板21,22は、その表裏の面を誘電体でモールドしているから、スチレンボード、合板型枠等の内側及び/または外側に等比共面電極板21,22を配設することができる。勿論、埋設型枠にも埋設使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は電極の基本的説明図で、(a)は平行板電極、(b)は共面電極板の電界が浅いとき、(c)は電界が深いときの説明図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の基本的説明図で、上が平面図、下が説明のための要部断面図である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法で使用する等比共面電極板の平面図を示す説明図で、(a)は1対の等比共面電極板、(b)は10対の等比共面電極板、(c)はその一つの使用の形態を示す説明図である。
【
図4】
図4は本発明の実施の形態において電界密度の可視化の説明図である。
【
図5】
図5は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の一層モデルの説明図である。
【
図6】
図6は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の型枠と被検類似コンクリートの二層モデルの確認特性図である。
【
図7】
図7は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の厚さを変化させたモルタル板と水性ゲルの二層モデルの確認特性図である。
【
図8】
図8は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法のモルタル板とスチレンボードとの二層モデルの確認特性図である。
【
図9】
図9は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の型枠、厚さを変化させたスチレンボードと水性ゲルの三層モデルの確認特性図である。
【
図10】
図10は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法ではモルタル板が100[mm]で限界であることの確認特性図である。
【
図11】
図11は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の二層モデル及び三層モデルの確認特性図である。
【
図12】
図12は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の二層モデル及び三層モデルの静電容量の計算の説明図である。
【
図13】
図13は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の三層モデルの合成傾きと実測傾きの説明図である。
【
図14】
図14は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法のモルタルとスチレンボードとの三層モデルの合成傾きと実測傾きの説明図である。
【
図15】
図15は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法のモルタル型枠を想定する、(a)100mm、(b)76mm、(c)は32mmの合成傾きと実測値の事例の説明図である。
【
図16】
図16は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の四層モデルの合成傾きと実測傾きの測定で内部空洞推定されない説明図である。
【
図17】
図17は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の鉄筋が埋設されている場合のモデルの合成傾きと実測傾きの説明図である。
【
図18】
図18は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の鉄筋の埋設方向を異にした場合のモデルの合成傾きと実測傾きの説明図である。
【
図19】
図19は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の水性ゲル中のスチレンボード、鉄筋のモデルの傾きの逆数と厚さの説明図である。
【
図20】
図20は本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の水性ゲル中の鉄筋とスチレンボードの傾きの逆数と厚さの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法について、図面を用いて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0029】
[実施の形態]
まず、本実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法の基本原理から説明する。
図1(a)に示すように、1対の電極の電極板面積Sが平行板で、その間に誘電率εの誘電体を挟んだ場合の静電容量C[F]を得る構成を有している。平行する電極板面積Sは、平行に対立する電極板間の対向平均距離dだけ離して配設された状態としている。このときの電極板面積Sを平行板とする静電容量C[F]は、電極板面積Sと電極板間に挟む誘電体の誘電率εに比例し、電極板間の対向平均距離dに反比例するという特性があり、静電容量C[F]は次式で表される。
C=ε・S/d
ここで、C[F] 静電容量
S[m
2] 電極板面積
d[m] 対向平均距離
ε[F/m] 電極板間の誘電体の誘電率
である。
【0030】
なお、電極板面積S相互間に印加する高周波の電源eとしては、発明者らが取扱いに慣れていることから、市販の高周波容量式水分計(HI-520:(株)ケツト科学研究所製、高周波容量式(20MHz))の電極から高周波を取出して出力させた。
発明者らの実験では、LCRメータに替えて高周波容量式水分計を用いると、結果的に、一般的なLCRメータでは、電極等の浮遊静電容量の影響を考慮する必要があるが、市販の高周波容量式水分計の方が有用であった。
【0031】
供試材料の骨材に水分を含ませると、静電容量Cが水分の増加に伴って増加する現象が生じる。通常、静電容量Cは誘電正接「tanδ」からすれば、「抵抗成分の電流Ir/静電容量成分の電流Ic」で挟む角度を「tan」で近似表現している。式は
tanδ ≒ Ir/Ic
となる。
しかし、水の誘電率80程度の値は、温度の変化に伴って変化し、印加する周波数によっても変化する。また、水を加えると化学反応が生じ、その印加時間等によっても変化する。これはイオンによる溶融等の作用によるものが大である。
また、静電容量CをC=ε・S/dとして静電容量を算出しているが、電極板面積S間に挟まれた領域を抵抗体として捉えることもできる。
【0032】
次に、本発明の実施の形態で使用する
図1(b)及び
図1(c)並びに
図2に示す電極板21,22について検討する。
電極板面積Sの電極板の中心の中心位置0から他方の電極板の中心位置0までの電極間隔tと電極板面積Sの比S/tが一定であるような電極を発明者らが作製した。この電極間隔tと電極板面積Sの比S/tが一定な電極を、ここでは『等比共面電極』と呼ぶこととする。また、電極板21,22について、電極間隔tとして定義しているが、垂直面であってもよいし、所定の傾きであってもよい。電極板21,22は等比共面電極である。
ここでは、電極板間の対向平均距離dとの違いを明確にするため電極間隔tという。そして、ここでは、S/t=constを『等比共面電極定数』という。
なお、シールド電極板23,24の電極間隔t
1は、電極板面積Sには影響を与えないので説明を省略することとする。
【0033】
ここで、電極間隔tに円周率πを乗算した値を対向平均距離dと設定する。
π・t=d
t=d/π
となる。
したがって、
S/t=S・π/d
となる。円周率πが一定、等比共面電極定数S/dが常に一定となる。
また、静電容量Cは、C=ε・S/dにより、誘電率ε、即ち、含水率が深さ方向に変化しなければ静電容量Cは一定となる。
そして、電極間隔tを順次大きくしていくと、電界が含水率の高い部分に到達したとき、静電容量Cは初めて変化し、その変化した位置の値が電界の深さとなる。
【0034】
更に、発明者らは、等比共面電極21,22について究明した。
等比共面電極21,22の電極Sの電極板長は100mmで一定とし、電極板幅を変化させて等比共面電極定数S/t=100とした。この場合、電極板幅は電極間隔tと相殺するため、電極板間の対向平均距離dと等比共面電極21,22の電極間隔tは同一(電極板間の対向平均距離d=電極間隔t)とした。ここで、一対の等比共面電極21,22の電極板面積Sが異なる電極板を除外した。
【0035】
双方の電極板面積Sに高周波電力(交流電圧)の電源eを印加し、その間に帯状の電界を発生させて、この電界上にある供試材料の静電容量Cを測定した。電界の形状は、境界条件等により円弧状や楕円形状になると考えられるが、「電極間隔に比例した深さまでの誘電物性量の評価は可能(所哲郎:「表面深さ分解能を有する誘電計測による高分子電気絶縁材料の劣化診断技術の開発」平成16-18年度 科学研究費補助金成果報告書」参照)と言われていることから、対向する電極板間の対向平均距離dと電界到達深さが単純に比例する円弧状と仮定した。電極板を並列に配置し、電界が供試材料中を透過するようにし、電極板の対向平均距離dを変化させることで、電界が到達する深さが変化するように想定した。
【0036】
なお、静電容量aと静電容量bと静電容量cの和の三層からなる静電容量(3層モデル)Cは、
1/a+1/b+1/c=1/d
となる。
図4は、発明者らが確認したもので、
図1の(b)及び
図1の(c)を前提とすることに、矛盾がないことの証左である。
図2では、上層部U及び下層部Dの幅に関係なく、電界の平均が中心位置Oを中心とし、半径の長さ2πt/2=πtに平行板電極が存在する場合の電界到達距離の単純平均距離に相当するものである。
特に、電流回路と相違し、電源eの電圧のポテンシャルを維持した静電界に近似した状態になるから、電界の平均が中心位置Oとして半径の長さπtに平行板電極と同様、電界到達距離における単純平均距離に相当する。
【0037】
図2に示すように、誘電体の誘電率εは、当然、含水率に応じて変化する。また、対向平均距離dは円弧状の電界の対向平均距離長になる。電極板間の対向平均距離dが小さいと、電界は被検体試料の上層部U、電極板間の対向平均距離dの増加とともに静電容量Cは減少する。電界が含水率の高い下層部Dに到達すると誘電率εも変化する。
【0038】
したがって、論理的には、この被検体試料の変曲点が上層部Uと下層部Dの境界となると考えられていた。
このときの上層部Uの推定値は、実測で確認した確認値に近い値が得られた。しかし、上層部Uが薄いと変曲点がすぐ現れ、変曲点の判定が困難となる。また、厚さ測定のために電極板の幅を狭くした場合には、精度が落ちるという欠点がある。即ち、最初から電界が下層部D側に影響を与えていると推定される。
そこで、発明者らは、上層部Uと下層部Dとの関係を無視し、低含水率層の誘電率を「0」として厚さを変化させた解析プログラムによって、静電容量Cと電極間隔tの関係を示した電界の全体を観測した。
【0039】
図4は、
図1の(b)及び
図1の(c)を前提とするものである。
図2では、上層部U及び下層部Dの幅に関係なく、電界の平均が中心位置0を中心として半径の長さ2πt/2=πtに平行板電極が存在する場合の電界到達距離の単純平均距離に相当するものである。
特に、電流回路と相違し、電源eの電圧のポテンシャルを維持した静電界に近似した状態になるから、電界の平均が中心位置0として半径の長さπtに平行板電極と同様、電界到達距離における単純平均距離に相当する。
【0040】
発明者等の実験は
図3の構成によって電極板21,22の電極板面積Sを、
電極板面積S=9000[mm
2],電極中心間隔t=90[mm]、
電極板面積S=5000[mm
2],電極中心間隔t=50[mm]、
電極板面積S=2000[mm
2],電極中心間隔t=20[mm]
で等比共面電極定数S/t=100とした。また、電極間隔t=20~90[mm]を可変可能としている。
なお、中央部分のシールド電極23,24は、電極板面積S
1、電極間隔t
1とした。この実験では、電極間隔tを変化させ、計測深さによって変化する誘電率εの影響のみを計測した。
【0041】
図3(a)は
図2の平面概念図を実施物に対応させたものである。絶縁シート10は、
図3(a)に示すように、電気を通さない0.1~5[mm]厚のプラスチックフィルムで、
図3(b)は全面がプラスチックフィルムでそのプラスチックフィルム面に剥離可能に合成接着剤で電極板1a~1jが接合されている。但し、
図3(a)に示す絶縁シート10に貼着した電極板1a~1j及び1a~1jその中心に中心位置±s
0を設けて、図示しない測定装置に接続するリード線を接続している。
【0042】
図3(b)に示す絶縁シート10に貼着した電極板1a~10jは、その中心に中心位置±s
0を設けている。各電極板1a~1jは、プラスチックフィルム面に剥離可能に合成接着剤で接合されている。また、本実施の形態の各電極板1a~10jは、10対の電極板1a~1jからなっているが、本発明を実施する場合には、これに限ったことではない。
但し、
図3(b)に示す絶縁シート10に貼着した電極板1a~10a、1b~10bは、その中心に中心位置±s
0を設けて、図示しないパターンを測定装置に接続するためリード線で接続している。また、電極板1a~1jと電極板1a~1jは所望のパターン対を形成するために、剥離自在でプリント基板の導電体相互が短絡できるように配線されている。
【0043】
なお、電極板群1Aは電極板1a~1jで構成され、電極板群1Bは電極板1a~1jで構成されており、中心位置0-0を線対称として、電極板群1Aと電極板群1Bは対称性の電極配置となっている。電極板1a~1jは、
図3(c)のように、電極板群1Aの電極板1a及び電極板1eを削除した電極板で構成され、また、電極板群1Bについても、電極板群1Bは電極板1a及び電極板1eを削除した電極板で構成されている。また、電極板1b~1d及び電極板1f~1jの下部で短絡板2A及び短絡板3Aで短絡し、また、短絡板2B及び短絡板3Bにより2対の電極を形成している。
短絡板2A及び短絡板3A並びに短絡板2B及び短絡板3Bの電極板1a~1jの下部を短絡したものを形成しておき、電極板1a及び電極板1eを削除するように構成してもよい。何れにせよ、電極板1a~1jが対で対応できればよい。
【0044】
図5では、 HYPERLINK "mailto:上層部41と下層部42を一体としqeZc4mw@.l94d<" 上層部Uと下層部Dを一体とした一層モデルにより、合板型枠、モルタル板、スチレンボードの実測を行った。これは、同一材料であるコンクリートであることから、静電容量Cと誘電率εが同一となるべきである。
結果、静電容量Cは、合板型枠、モルタル板は殆ど電極間距離と静電容量の関係は一定であった。スチレンボードのみ若干特性が変化しているのは、表面の荒れ、及びその部分的な接触圧の違いによって変化していると判断される。念のため、発明者らは、スチレンボードのみ繰り返し実験し、その周波数によって生ずる要因であること、静電容量C[pF]が特定値に特定されることを確認した。
【0045】
図6は、水性ゲル(87%は水分)、ポリビニールアルコール(90%)、食塩(3%)の重量比で、二層モデルとして使用する物性をコンクリートに近似させた被検類似コンクリートを作成した。
水性ゲル(87%)と被検類似コンクリートの二層モデルで実験を行った。
図6はその例示であり、水性ゲルと被検類似コンクリートとの二層モデルである。ここで、静電容量C[pF]を求めると、電極間隔tに比例した静電容量となる。即ち、線形に変化した出力(静電容量)となる。被検類似コンクリートも線形の特性であり、図示ではW=190[Kg/m
3]、W=160[Kg/m
3]も傾き傾向が同様であることがわかる。
【0046】
図7はモルタル板と水性ゲルの二層モデルの例示である。
図7では、モルタル板と水性ゲルの二層としても結果は同じである。但し、モルタル板は厚みが増加すると、静電容量が減少している。これは、砂粒付近にある空気粒を加えるためと思慮される。
図8はモルタル板とスチレンボードは各直線の傾きの逆数と厚さとの関係を求めると線形となる。即ち、傾きの逆数と厚さとは比例関係になる。
【0047】
図9に示すように、型枠板とスチレンボードと水性ゲルとを三層モデルとしても静電容量C[pF]を出力とする結果は同じ線形の特性となる。スチレンボードは、スチレンボード44[mm]のように、厚くなると静電容量の違いが少なくなっている。この変化は、
図5と同様な特性であることがわかる。
【0048】
厚さ32mm,76mm、100mmのモルタル板を用いて同様に合成した傾きγと実測値δとの関係を
図10に示す。厚さ32mm,76mmのモルタル板でも合板型枠と同様に線形関係が得られた。モルタル等で作成された埋設型枠でも型枠中の空隙厚さが推定できる。しかし、厚さが100mmのモルタル板では測定で得られる傾きは小さくなり推定が困難であった。電極板面積Sや電極間隔tを大きくした電極にするなどして感度を上げる必要がある。
図11に示すように、電極間隔tと静電容量と二層モデルと三層モデルの関係を示すことを、二層モデル、三層モデルでも実施できる。
合板型枠+水性ゲルは、二層モデルY=aX+eであり、スチレンボード(11mm)+水性ゲルの傾きは二層モデルY=bX+fである。
また、スチレンボード(スチレンボード)+合板型枠+水性ゲルは、三層モデルY=δX+gである。
【0049】
図11において、合板型枠+水性ゲルは、二層モデルのY=aX+eの傾きである。また、スチレンボード(11mm)+水性ゲルの傾きは二層モデルY=bX+fである。そして、スチレンボード(スチレンボード)+合板型枠+水性ゲルは、三層モデルの実測した傾きY=δX+gである。更に、cは二層モデルを合成した傾きである。
したがって、静電容量は1/a+1/b=1/cで二層モデルを合わせた傾きγを表し、1/a+1/b+1/c=1/δが三層モデルを合成した傾きとなる。
【0050】
合板型枠について
図12を用いて更に検討すると、合成傾きγ、実測傾きδとの関係を追及すると、
図12から、
図13の合成傾きγと、実測傾きδとには、線形関係が得られた。
したがって、合成傾きγと、実測傾きδとの線形関係から、空隙厚さの推定が得られた。
【0051】
図14の1/α(型枠用合板)+1/β(空隙)=1/γ(合成した傾き)で静電容量C[pF]を求めると、型枠用合板は一定の傾きα=0.128、また、実測した傾きδから換算したγは0.018であるから、
1/0.128+1/β=1/0.018
1/β=47.7
となる。
上式は型枠用合板の厚さは一定の傾きであり、実測した傾きから換算した。
この式より1/αを求めると、1/β=47.7になる。
結果、空隙厚さは49.7になる。
【0052】
図15(a)から(c)において、合成傾きγと実測値δの間には、32[mm]のモルタル板は、76[mm]のモルタル板でも、線形関係が得られた。しかし、
図14の(c)に燃せるように、100[mm]のモルタル板は特定できるだけの数値ではなくばら付きを見せた。
勿論、100[mm]のモルタ板に線形関係を持たせるには、電極の幅を広め、電圧を上昇させて、感度を上げればよい。
【0053】
図16は、スチレンボードの厚みを変化させ、型枠、水性ゲル、水性ゲルの四層モデルである。スチレンボードの厚みの変化を検出できないから、内部空洞の検出は困難である。
【0054】
図17は、鉄筋を配設した方向と電界方向を同一としたモデルで、鉄筋の本数の増加で鉄筋が電界の通り道となり、水性ゲルなしでは傾きが大きくなる。
また、水性ゲルありの場合、鉄筋は領域Aで鉄筋はゲル領域Aのみ増加で、傾き小である。水性ゲルなしの場合、鉄筋は領域Bで鉄筋は増加し、傾き小である。スチレンボードの厚み中に鉄筋を埋設している。
【0055】
図18は、鉄筋を配設した方向と電界方向を直角としたモデルで、鉄筋の本数の増加は、鉄筋が電界と並行しないから、ほぼ同じ傾きとなる。
また、水性ゲルありの場合、鉄筋は領域A、領域Bのみ増加で変化が生じない。
図19は、鉄筋を配設した方向と電界方向を同一としたモデルで、鉄筋の本数の増加で鉄筋が電界の通り道となり、水性ゲルなしでは傾きが大きくなる。
また、水性ゲル中に鉄筋を配設したものであるから、鉄筋は領域Aでスチレンボードの厚みを変更しても、中に鉄筋を埋設している。
【0056】
図20は、スチレンボードと水性ゲル中の鉄筋の関係を示したものである。
無筋の三層モデルと同じく、傾きの逆数との間のかぶり部分に重点状態を推定する方法は適用できると思慮される。
このように、発明者らは電極の中心s
0から各電極板中心0までの電極間隔tと電極板面積Sの比S、tが一定であるような等比共面電極を作製した。静電容量を用いて型枠中のコンクリートの充填推定方法を推定し、また、埋設型枠に模したモルタル板等にも適用でき、鉄筋の影響についても適用できるので、それらをまとめることとする。
【0057】
〈1〉 一層モデル
等比共面電極を用いてウレタン塗装した合板型枠、モルタル板、スチレンボードの静電容量を測定した。それぞれ合板型枠、埋設型枠、空隙を想定している。厚さ12mmの合板型枠は4枚、厚さ55mmのスチレンボードは10枚重ねた。
前記モルタル板は、W/C=40%の1:3モルタルで厚さ100mmのものを炉乾燥させて絶乾状態として測定した。合板型枠は気乾状態のものを測定した。周辺からの電気的なノイズの影響を少なくするため断熱材用のポリスチレンフォ一ムを2枚重ねた上に測定する供試体を置き、その上に電極を置き、更にポリスチレンフォーム4枚、電極と供試体を密着させるために2kgの重りを置いた。各材料における電極中心0までの電極間隔tが大きくなっても表示値の値は変化せず略一定となった。S/dが一定であり、電極中心0までの電極間隔tを大きくし、電界が到達する位置を深くしても誘電率εが変化しなければ静電容量は同じ値となる。
【0058】
〈2〉 二層モデル(合板型枠およびコンクリート)
型枠中のコンクリートを想定して、練り上がったフレッシュコンクリートをビニール袋に入れ、その上に合板型枠を置いて静電容量を測定した。コンクリートはW/C=50%とし単位水量を160kg/m3と190kg/m3の2種類とした。コンクリート及びモルタルの配合を表1に示す。
【0059】
【表1】
粗骨材は長良川産の玉砕石(最大寸法15mm、表乾密度2.62)を用い、細骨材には長良川産の粗砂(F.M.2.76、表乾密度2.61)と細砂(F.M.1.43、表乾密度2.60)を7:3の割合で混合したものを用いた。また、フレッシュコンクリートの静電容量は水分が水和に消費され変化する経時変化があるため、常に同じ条件で計測できるようフレッシュコンクリートを模した水性ゲルを作成した。
【0060】
水性ゲルはPVA(ボリビニルアルコール)で作成し、質量の87%が水分である。水性ゲルの静電容量は、3%の食塩を含む水性ゲルとしたところ約220[pF]であった。コンクリートは単位水量160kg/m
3のものは約180[pF]、190kg/m
3のものは約190[pF]であった。水を入れたビニール袋でも測定したが液体では不安定になり測定に支障をきたしたため、ある程度の荷重が支えられる骨格構造を持つ水性ゲルを使用した。
その測定結果を
図6に示す。コンクリート、水性ゲルとも静電容量Cと電極間距離tとには線形関係が得られた。
【0061】
なお、静電容量の大きいフレッシュコンクリートや水性ゲルの上に静電容量の小さい合板型枠を置く二層モデルとすると、傾きが現れた。単位水量が大きいと静電容量も大きく二層モデル測定の様子なっている。また、水性ゲルの静電容量はコンクリートよりも大きな値であるが、経時変化がないため、安定した計測が可能であることから、今後の本発明者らの実験においては、コンクリートの代わりに水性ゲルを使用することとした。
【0062】
〈3〉 二層モデル(モルタル板及びスチレンボード)
水性ゲルの上にモルタル板及びスチレンボードを配置した二層モデルとし、モルタル板の厚さ及びスチレンボードの重ね厚さを変化させた。モルタル板の厚さは18、32、47、76、100mmとし、スチレンボードは1~10枚を重ねて厚さは5.5~55[mm]とした。
図10にモルタル板の測定結果の一部を示す。合板型枠と同様に静電容量Cと電極間隔tとには線形関係が得られた。モルタル板が厚くなるほど直線の傾きは小さくなった。スチレンボードでも同じ傾向を示した。電極間隔tと静電容量Cの各測定値で回帰分析を行い直線の傾き(a)、切片(b)、決定係数(R2)を求め表2に示す。
【0063】
【表2】
モルタル板及びスチレンボードの厚さが大きくなると直線の傾き(a)は小さくなり、反比例の関係となった。傾きの逆数1/aを用いれば1/aと厚さは正比例の関係になると考えられる。各厚さにおける直線の傾きの逆数1/aとモルタル板及びスチレンボードの厚さとの関係を
図8に示す。
各材料において傾きの逆数と厚さとには線形関係が得られた。
即ち、空隙の厚さと傾きβの関係を
図8のように予め求めておけば,求めたbの値から空洞の厚さが推定できる。厚さ32mm,76mm、100mmのモルタル板を用いて同様に合成した傾きγと実測値δとの関係を
図10に示す。厚さ32mm,76mmのモルタル板でも合板型枠と同様に線形関係が得られた。モルタル等で作成された埋設型枠でも型枠中の空隙厚さが推定できる。しかし、厚さが100mmのモルタル板では測定で得られる傾きは小さくなり推定が困難であった。電極板面積Sや電極間隔tを大きくした電極にするなどして感度を上げ,更に、深い位置まで精度良くする必要がある。
【0064】
〈4〉 三層モデルの型枠近傍の空隙推定
水性ゲルの上に空隙を模したスチレンボードを配置し、その上に合板型枠を載せた三層モデルとして等比共面電極で静電容量を計測した。水性ゲルと合板型枠の間に挟むスチレンボ一ドの枚数を変化させて、空隙厚さを5.5~55mmに調整した。
【0065】
図11に電極間隔tと静電容量Cとの関係を示す。この三層モデルでも電極間隔tと静電容量Cとの間には、線形関係が得られた。スチレンボードの厚さが大きくなるほど直線の傾きは小さくなった。
二層モデルで求めた合板型枠と水性ゲルでの回帰直線の傾きをaとし,各スチレンボードの厚さで求めたスチレンボードと水性ゲルでの回帰直線の傾きをbとして次の
図11に記載の式で合成した三層モデルとして傾きγを求めた。
スチレンボードと合板型枠の三層モデルで求めた回帰直線の傾きの実測値δとともに表3に示す。合成した傾きγと実測値δの関係を
図12に示す。
【0066】
【0067】
合成した三層モデルでの傾きγと実測した傾きδとには線形関係が得られた。この関係を用いると施工中の型枠とコンクリートとの間の空隙厚さを推定できる。合板型枠の規格厚さは一定であるため傾きαは一定である。空隙の厚さ(スチレンボードの厚さ)が未知の場合,実測で傾きδを求めれば、
図11の式より傾きβの値が求まる。
空隙の厚さと傾きβの関係を
図8のように予め求めておけば,求めたbの値から空洞の厚さが推定できる。厚さ32mm,76mm、100mmのモルタル板を用いて同様に合成した傾きγと実測値δとの関係を
図10に示す。厚さ32mm,76mmのモルタル板でも合板型枠と同様に線形関係が得られた。モルタル等で作成された埋設型枠でも型枠中の空隙厚さが推定できる。しかし、厚さが100mmのモルタル板では測定で得られる傾きは小さくなり推定が困難であった。電極板面積Sや電極間隔tを大きくした電極にするなどして感度を上げ,更に、深い位置まで精度良くする必要がある。
【0068】
〈5〉 四層モデルの空洞の推定
導電体としての鉄筋が。静電容量に与える影響について検討した。
[1]コンクリートが全く充填されていない状態、
[2]コンクリートは型枠内部に充填されているが鉄筋には届いていない状態、
[3]コンクリートが鉄筋位置まで充填されているがかぶり部分は未充填の状態
の3つの状態を想定した。
鉄筋を電界と平行に配置した状態で[1]、[2]、[3]の検討を行い、電界と直交に配置した状態では[2]のみを行った。
【0069】
図17乃至
図19に鉄筋の配置状況を示す。電界と平行に配置した状態では2枚のスチレンボードの間に縦11×90mmの間隙を設け、鉄筋として直径10mmのステンレス丸鋼を1~3本配置した。
電界と直交に配置した状態では、2枚のスチレンボードの間に11×11mmの間隙を40mm間隔に配置し、直径10mmの丸鋼を1~7本配置した。
【0070】
[1]では、ポリスチレンフォームの上にスチレンボードを10枚置き、その上に丸鋼を配置したスチレンボード、合板型枠を置き測定した。型枠表面から丸鋼中心までの領域Aは11mmになる。
[2]では、水性ゲルの上に丸鋼を配置したスチレンボード、合板型枠を配置した。丸鋼を配置したスチレンボードと水性ゲル及び合板型枠の間にスチレンボードを挿入し、型枠から丸鋼中心までの領域A、鉄筋中心から水性ゲルまでの領域Bを変化させた。鉄筋中心から型枠までの領域A及び鉄筋中心から水性ゲルまでの領域Bは11、22、33mmである。
[3]では、厚さ22mmの水性ゲルの中心に丸鋼を3本配置したものを作成した。丸鋼を配置した水性ゲルと下部の基板とした水性ゲルとの間及び上部の合板型枠との問にスチレンボードを挿入した.それぞれ電極間隔tと静電容量Cの関係を求め、回帰直線の傾きを求めた。
この結果を表4及び表5に示す。
【0071】
【0072】
【0073】
型枠表面から鉄筋中心までの型枠中にコンクリートが充填されていない状態、即ち、水性ゲルがない状態[1]では鉄筋が存在すると傾きは大きくなり、鉄筋本数の増加とともに大きくなった。コンクリートは型枠内部に充填されているが鉄筋には届いていない状態[2]では、型枠から鉄筋までの領域Aが11mmと一定の場合、鉄筋本数の増加にともなって傾きが大きくなった。
【0074】
また、鉄筋中心から水性ゲルまでの領域Bが大きくなると傾きが大きくなった。[2]に示したような無筋の場合は空隙が大きくなると傾きは小さくなるが、鉄筋が存在すると逆の現象が現れた。鉄筋が電界と直交に配置された場合は、鉄筋の本数にかかわらず略同じ傾きであった。静電容量の測定には型枠中の鉄筋が影響すると考えられる。しかし、使用した鉄筋は直径10mmの丸鋼が1種類のみであり、鉄筋が与える影響については、鉄筋径や配筋状態等、更に検討する必要がある。
【0075】
コンクリートが鉄筋位置まで充填されている状態、即ち、水性ゲル中に鉄筋がある状態[3]では、鉄筋と型枠の間に空隙がある場合は、空隙の厚さが増加するとともに傾きは小さくなった。表2の無筋の場合と比較すると、空隙の厚さの増加に伴う傾きの減少は鉄筋がある場合はその割合は小さくなったが、無筋の二層モデルと同じく傾きの逆数と空隙の厚さは線形が得られた。有筋の場合でも、コンクリートが鉄筋位置まで充填されていれば、鉄筋の存在の影響は受けるが、型枠と鉄筋との間のかぶり部分に充填状態を推定する方法は適用できると考える。
鉄筋と基板となる水性ゲルとの間に空隙が有る場合は、空隙の厚さ及び鉄筋の存在に関わらず傾きはほぼ一定となり、無筋の内部空洞がある場合(四層モデル)と同じく鉄筋および空隙の存在の影響は現れなかった。
【0076】
以上のように、本実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法は、導電体からなる同一の縦横比及び同一の電極板面積Sからなる短冊状の電極板21,22を絶縁シート10に複数併設してなる等比共面電極板21,22と、前記等比共面電極板21,22の総面積nSを任意に選択し、前記等比共面電極板21,22の相互を選択に従って短絡板2A,3A,2B,3Bで短絡し、正極と負極の一対を形成し、前記一対の等比共面電極板21,22に100Hz以上の周波数の交流を印加する電源eと、前記一対の等比共面電極板21,22相互の中心位置0から各等比共面電極板21,22の中心位置±s0までの距離電極間隔tを具備し、前記等比共面電極板21,22相互の配置は、前記等比共面電極板21,22相互の中心位置s0からπtに平行板電極が存在する場合の電界到達距離と見做して、前記一対の等比共面電極板21,22相互の静電容量を算出するものである。
【0077】
本実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法は、同一ノイズ縦横比及び同一の電極板面積Sからなる等比共面電極板21,22の総面積nSを任意に選択し、選択された前記等比共面電極板21,22で正極と負極の対を形成し、前記一対の等比共面電極板21,22に100Hz以上の周波数の交流を印加する。前記一対の等比共面電極板21,22の中心位置0から各等比共面電極板21,22の中心位置±s0までの電極間隔tに対し、前記等比共面電極板21,22相互の中心位置±s0からπtに平行板電極が存在する場合の電界到達距離と見做して、前記一対の等比共面電極板21,22相互の静電容量を算出する。
【0078】
この等比共面電極板21,22の総面積をS,2S,3S,・・・とすることにより、コンクリートを打設した状態、コンクリートを打設している状態で内部空洞等が形成されていると何れかの等比共面電極板21,22で内部空洞の存在の影響がでるから、静電容量C[F]の値が低下する。静電容量C[F]=ε・S/dである。
【0079】
因みに、誘電率εは、合成樹脂の誘電率>水の誘電率>空気の誘電率
であり、静電容量C[F]の値が低下すると、静電容量C[F]はε・S/dで算出される。このとき、誘電率は水の誘電率80以上と影響が大きく、空気の誘電率1/1012と影響が小さいから、内部空洞が存在すれば、二層または三層としてその影響が出てきて、静電容量C[F]の値として変化する。
【0080】
また、等比共面電極板21,22の総面積nSを任意に選択し、選択された等比共面電極板21,22の相互を短絡させることにより任意の総面積nSが得られる。
そして、正極と負極の一対を形成し、一対の等比共面電極板21,22に100Hz以上の周波数の交流を電源eとして印加するものであるから、商用周波数の電源の影響を排除できるから、印加する電圧として電圧値を小さくできる。また、周波数を高くすることにより、静電容量C[F]として正確な値を検出できる。
等比共面電極板21,22相互の配置は、等比共面電極板21,22相互の中心位置0を中心から半径の長さπtに平行板電極が存在する場合の電界到達距離と見做しているから、原理的には、矛盾がない。
そして、本実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法は、前記導電体からなる同一縦横比及び同一の電極板面積Sからなる複数併設してなる等比共面電極板21,22は、前記等比共面電極板21,22の組み合わせを異にした測定により、最小値に意味を持たせたものである。
【0081】
本実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法は、導電体からなる同一縦横比及び同一の電極板面積Sからなる複数併設してなる等比共面電極板21,22は、等比共面電極板21,22の組み合わせを異にした、例えば、総面積をS,2S,3S,・・・と変化させた測定により、静電容量C[F]の最小値に内部空洞等が形成されているとして意味を持たせると、何れかの角度で内部空洞の存在の影響がでてくるから、その静電容量C[F]の小さい原因は内部空洞等と想定することができる。また、鉄筋等によって、電界に乱れが出ても、折れ線近似として数値に大きな違いがでてこない。
等比共面電極板21,22相互の配置は、その中心位置Oを中心から等比共面電極板21,22相互の中心位置±s0からπtが平行板電極の存在する電界到達距離と見做しており、原理的に正確な電界強度を説明するものであり、測定値から得られる誤差が少ない。
【0082】
更に、本実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法は、前記導電体からなる同一の縦横比及び同一の電極板面積Sからなる複数併設してなる等比共面電極板21,22は、絶縁基板に形成した前記等比共面電極板21,22の組み合わせにより複数種類の前記等比共面電極板21,22の組み合わせとしたものである。
【0083】
更にまた、本実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法は、導電体からなる同一の縦横比及び同一の電極板面積Sからなる複数併設してなる等比共面電極板21,22は、絶縁基板に形成した等比共面電極板21,22の組み合わせとしたものであるから、絶縁基板面に等比共面電極板21,22を標準化することができるから、絶縁基板に形成した複数からなる等比共面電極板21,22を形成すれば、その選択により任意の等比共面電極板21,22の総面積をS,2S,3S,・・・を形成することができる。
【0084】
本実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法は、前記導電体からなる同一の縦横比及び同一の電極板面積Sからなる複数併設してなる等比共面電極板21,22は、その表裏の面を絶縁物でモールドしたものである。
【0085】
本実施の形態の供試体の内部を計測する計測方法は、導電体からなる同一の縦横比及び同一の電極板面積Sからなる複数併設してなる等比共面電極板21,22は、その表裏の面を絶縁物でモールドしたものであり、供試体の内部を計測するものであるから、絶縁基板面に型枠に貼着等の配設した形態としても使用できる。また、コンクリート中に埋設可能であるから、等比共面電極板21,22は、その表裏の面を誘電体でモールドしているから、スチレンボード、合板型枠等の内側及び/または外側に等比共面電極板21,22を配設することができる。勿論、埋設型枠にも埋設使用が可能である。
【符号の説明】
【0086】
10 絶縁フィルム
21,22 等比共面電極板
U 上層部
D 下層部
t 電極間隔
d 対向平均距離
S 電極板面積
C 静電容量
ε 誘電率
S/t 等比共面電極定数