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  • 特許-貯湯式給湯機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】貯湯式給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20220101AFI20230214BHJP
【FI】
F24H4/02 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019121685
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021008966
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】大平 晃寛
(72)【発明者】
【氏名】阿部 基
(72)【発明者】
【氏名】玉木 芳芙美
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-068825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/375
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯湯する貯湯タンクと、
圧縮機と水冷媒熱交換器と膨張弁と空気熱交換器とがこの順番で接続され、前記貯湯タンク内の湯を加熱するヒートポンプ式の加熱手段と、
前記貯湯タンク上部に接続された出湯管と、
前記貯湯タンク下部に接続された給水管と、
前記給水管から分岐して、前記出湯管と合流される給水バイパス管と
給湯運転要求時に前記出湯管の高温水と前記給水バイパス管の給水を混ぜ合わせて給湯先に給湯水を送出させる給湯管と、
前記温水を前記貯湯タンク下部から前記加熱手段に送る加熱往き管と、
前記加熱往き管の途中に設けた循環ポンプと、
前記加熱手段で加熱した温水を前記貯湯タンクの上部に送る加熱戻り管と、
前記加熱戻り管から分岐し、前記給水管と合流して前記温水を前記貯湯タンクの下部に送る加熱バイパス管と、
前記貯湯タンクと前記加熱往き管と前記加熱手段と前記加熱戻り管とで構成された加熱循環回路と、
前記加熱戻り管から前記加熱バイパス管への分岐点に前記温水の流れを切り替える切替弁と、
前記切替弁の制御を行う切替制御手段を有した制御装置とを備えた貯湯式給湯装置に於いて、
前記制御装置には、前記加熱手段に着霜したことを検出する着霜判定手段と、前記着霜判定手段が着霜判定ありと判定した場合、前記加熱手段についた霜を除霜する除霜運転を開始させる除霜運転制御手段とを備え、
前記除霜運転制御手段は、前記圧縮機を駆動し、前記膨張弁の開度を全開にし、圧縮機から水冷媒熱交換器、膨張弁、空気熱交換器の順に冷媒を循環させ、前記循環ポンプの駆動を停止させるようにし、
前記切替弁制御手段は、前記除霜運転が行われると、前記切替弁を前記加熱バイパス管側に温水が流れないように閉止するようにしたことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記切替弁制御手段は、前記除霜運転中に給湯運転が同時に行われる場合に、前記切替弁を前記加熱バイパス管側に温水が流れないように閉止するようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記切替制御手段は、前記切替弁を、前記加熱バイパス管側にし、前記貯湯タンクの下部の前記給水管に連通するように切り替える第1の状態と、前記加熱バイパス管側を閉じて、前記貯湯タンク上部側にするように切り替える第2の状態、及び前記加熱バイパス管側と前記貯湯タンク上部側を閉止する第3の状態に切り替えることができるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の貯湯式給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒートポンプ式の加熱手段を有した貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯機では、貯湯タンクと加熱手段とを備え、貯湯タンク下部から加熱手段に送る加熱往き管と、加熱手段から貯湯タンクに送る加熱戻り管とで貯湯タンクと加熱手段とを連結して加熱循環回路を構成し、前記加熱循環回路中に設けた循環ポンプで貯湯タンクと加熱手段内の湯を循環させて、貯湯タンク内の水を加熱する沸き上げ運転で沸き上げた湯を貯湯タンクに貯湯していき、順次貯湯タンク内の高温水と給水とをミキシングしながら、設定温度の給湯を行い経済的な給湯を実現するものであった。
【0003】
また、加熱戻り管から分岐した加熱バイパス管は給水管に接続され、加熱バイパス管を通るバイパス循環経路が、給水管の給水経路と一部を共用している貯湯式給湯機があった(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、このようなヒートポンプ式の加熱手段で貯湯タンク内の水を沸き上げている貯湯式給湯機では、加熱手段に霜が付着してしまい、沸き上げ運転に支障がでてしまう場合があり、加熱手段に着霜しているときは、循環ポンプの駆動を停止させ、加熱手段内に高温水を滞留させておくことで、霜を溶かす除霜運転を行う必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-139258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のように加熱戻り管から分岐した加熱バイパス管は給水管に接続され、加熱バイパス管を通るバイパス循環経路が、給水管の給水経路と一部を共用しているような貯湯式給湯機で、循環ポンプの駆動を停止する除霜運転中に給湯を行う場合は、循環ポンプを停止していても給湯時の給水の流れに加熱バイパス管内の水が引っ張られて、加熱循環回路内の湯が循環してしまい、霜を溶かすために必要な高温水を加熱手段内に滞留させて置くことができず、除霜運転の時間が長くなってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、温水を貯湯する貯湯タンクと、圧縮機と水冷媒熱交換器と膨張弁と空気熱交換器とがこの順番で接続され、前記貯湯タンク内の湯を加熱するヒートポンプ式の加熱手段と、前記貯湯タンク上部に接続された出湯管と、前記貯湯タンク下部に接続された給水管と、前記給水管から分岐して、前記出湯管と合流される給水バイパス管と給湯運転要求時に前記出湯管の高温水と前記給水バイパス管の給水を混ぜ合わせて給湯先に給湯水を送出させる給湯管と、前記温水を前記貯湯タンク下部から前記加熱手段に送る加熱往き管と、前記加熱往き管の途中に設けた循環ポンプと、前記加熱手段で加熱した温水を前記貯湯タンクの上部に送る加熱戻り管と、前記加熱戻り管から分岐し、前記給水管と合流して前記温水を前記貯湯タンクの下部に送る加熱バイパス管と、前記貯湯タンクと前記加熱往き管と前記加熱手段と前記加熱戻り管とで構成された加熱循環回路と、前記加熱戻り管から前記加熱バイパス管への分岐点に前記温水の流れを切り替える切替弁と、前記切替弁の制御を行う切替制御手段を有した制御装置とを備えた貯湯式給湯装置に於いて、前記制御装置には、前記加熱手段に着霜したことを検出する着霜判定手段と、前記着霜判定手段が着霜判定ありと判定した場合、前記加熱手段についた霜を除霜する除霜運転を開始させる除霜運転制御手段とを備え、前記除霜運転制御手段は、前記圧縮機を駆動し、前記膨張弁の開度を全開にし、圧縮機から水冷媒熱交換器、膨張弁、空気熱交換器の順に冷媒を循環させ、前記循環ポンプの駆動を停止させるようにし、前記切替弁制御手段は、前記除霜運転が行われると、前記切替弁を前記加熱バイパス管側に温水が流れないように閉止するようにした。

【0008】
また、前記切替弁制御手段は、前記除霜運転中に給湯運転が同時に行われる場合に、前記切替弁を前記加熱バイパス管側に温水が流れないように閉止するようにした。
【0009】
また、前記切替制御手段は、前記切替弁を、前記加熱バイパス管側にし、前記貯湯タンクの下部の前記給水管に連通するように切り替える第1の状態と、前記加熱バイパス管側を閉じて、前記貯湯タンク上部側にするように切り替える第2の状態、及び前記加熱バイパス管側と前記貯湯タンク上部側を閉止する第3の状態に切り替えることができるようにした。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、前記除霜運転が行われる場合、前記切替弁制御手段は前記切替弁を前記加熱バイパス管側に温水が流れないように閉止するようにしたことで、給湯運転により生じる給水の流れで、前記加熱バイパス管を介して前記加熱循環回路内の湯水が循環してしまうのを防止することができると共に、加熱手段の霜を融解させる熱が循環してしまい放熱してしまうことを防いでいるので、除霜運転の時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の一実施形態を示す概略構成図。
図2】この発明の第1の実施形態を示すフローチャート。
図3】この発明の第2の実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次にこの発明の一実形態のヒートポンプ式給湯機を図面に基づいて説明する。
1は貯湯タンクユニットで内方には、湯水を貯湯する貯湯タンク2と、該貯湯タンク2の上部に接続された出湯管3と、貯湯タンク2の下部に接続された給水管4と、出湯管3からの高温水と給水管4から分岐された給湯バイパス管5からの低温水とをミキシングする給湯ミキシング弁6と、該給湯ミキシング弁6の下流に接続された給湯管7に設けられた給湯温度センサ8及び給湯フローセンサ9とが備えられている。
【0013】
10はヒートポンプユニットで、圧縮機11と凝縮器としての水冷媒熱交換器12と電子式の膨張弁13と室外ファン14を有し空気と熱交換する蒸発器としての空気熱交換器15で構成されたヒートポンプ式の加熱手段16と、前記貯湯タンク2内の湯水を加熱往き管17及び加熱戻り管18から成る加熱循環回路19を介して加熱手段16に循環させる循環ポンプ20と、それらの駆動を制御するヒートポンプ制御部21とを備えており、加熱手段16には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。また、冷媒に二酸化炭素を用いているので、低温水を電熱ヒータなしで約90℃の高温まで沸き上げることが可能になっている。
【0014】
ここで、前記水冷媒熱交換器12は冷媒と被加熱水たる貯湯タンク2内の湯水とが対向して流れる対向流方式を採用しており、超臨界ヒートポンプサイクルでは熱交換時において冷媒は超臨界状態のまま凝縮されるため効率良く高温まで被加熱水を加熱することができ、被加熱水の水冷媒熱交換器12入口温度と冷媒の出口温度との温度差が一定になるように前記膨張弁13または圧縮機11を制御することで、被加熱水の水冷媒熱交換器12の入口温度が5~20℃程度の低い温度であるとCOP(エネルギー消費効率)がとても良い状態で被加熱水を加熱することが可能なものである。
【0015】
また、加熱戻り管18途中には切替弁22が備えられ、凍結防止時には切替弁22を貯湯タンク2下部の給水管4に接続した加熱バイパス管23側の連通するように切り替えることで、貯湯タンク2内下部を利用した短絡回路の循環として凍結を防止するものである。この切替弁22は前記加熱戻り管18から加熱バイパス管23への分岐点に配置されている。
【0016】
また、加熱手段16の加熱初期に十分に加熱されていない温水を循環させる場合、貯湯タンク2上部に湯水を戻さず、加熱バイパス管23を介して貯湯タンク2下部に湯水を戻しており、十分に加熱された湯水を循環させる場合、切替弁22を貯湯タンク2上部側に切り替える。
【0017】
24はマイコン等から成る制御装置で、加熱制御部21を制御して加熱循環回路19による貯湯タンク2の沸き上げや沸き増し等、給湯の温度制御、風呂の湯張りや追い焚き、保温等の制御を行う。
【0018】
また、制御装置24には、切替弁22の開度を制御する切替弁制御手段25を備えており、具体的に切替弁制御手段25は、切替弁22を加熱バイパス管23側にし、貯湯タンク2下部の給水管4に連通するように切り替える第1の状態と、切換弁22を貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態と、切替弁22を加熱バイパス管23側にも貯湯タンク2の上部側にも水が流れないように閉止させる第3の状態とに切り替えている。
【0019】
そして、26は空気熱交換器15の出口付近に設けた温度センサで着霜判定温度以下を検出すると加熱手段16に霜が付着していると判定する着霜判定手段であり、27は着霜してしまった加熱手段16の霜を溶かすために行う除霜運転を制御する除霜運転制御手段である。
【0020】
更にリモコン28には、給湯設定温度を設定する温度設定スイッチ29、風呂への湯張りを指示する湯張りスイッチ30、湯張り量を設定する31を有し、更にドットマトリクス型の蛍光表示管よりなる表示部32と、この表示部33を制御すると共に制御装置25との通信を行うマイコンで構成されたリモコン制御部33が備えられている。
【0021】
また、前記加熱循環回路19の水冷媒熱交換器12の入水側には入水温度センサ34が備えられ入水温度を検知するものであり、出口側には出口温度センサ35が備えられて、加熱後の湯水温度を検知するものであり、貯湯タンク2に備えられた該貯湯タンク2内の貯湯温度を検知する複数の貯湯温度センサ36のうち、出口温度センサ35と最上部の貯湯温度センサ36のどちらかが沸き上げ目標温度を継続して検知することで沸き上げ運転を終了させるものである。
【0022】
37は貯湯タンク2頂部に連通し、貯湯タンク2や加熱循環回路19内のエアが抜ける逃がし弁、38は給水管4に備えられた減圧弁である。
【0023】
また、39は湯張り管40を浴槽と連通させて、浴槽に湯を供給させる湯張り弁、41は風呂に供給される風呂温度を検出する風呂温度センサ、42は湯張り管40を通過した流量を検出する風呂フローセンサである
【0024】
次に、沸き上げ運転について説明する。
貯湯熱量の低下や深夜の時間帯の沸き上げ要求があると、切換弁制御手段25は切替弁22を貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態にし、制御装置24は、貯湯タンク2と加熱手段16を繋ぐ配管の途中にある循環ポンプ20を駆動して、貯湯タンク2内下部から水をくみ上げ、加熱手段16で温めて貯湯タンク2上部に戻す動作を続ける事により徐々に貯湯タンク2内の水が高温水へと沸き上げる。
【0025】
次に、給湯動作ついて説明する。
給湯栓が開かれると給水管4から給水され、貯湯タンク2下部に流入すると共に給水バイパス管5を通り、貯湯タンク2上部から押し出された高温水と給水バイパス管5の給水が給湯ミキシング弁6で混ぜ合わされ、給湯設定温度と給湯温度センサ8で検出された温度が同じなるように調整された湯水が給湯栓から給湯される。
【0026】
また、湯張り動作について説明する。
リモコン28の湯張りスイッチ30が押されると制御装置24は湯張り弁39を開弁し、給水管4から給水を供給し、貯湯タンク2下部に流入すると共に給水バイパス管5を通り、貯湯タンク2上部から押し出された高温水と給水バイパス管5の給水が給湯ミキシング弁6で混ぜ合わされ、風呂設定温度と風呂温度センサ41で検出された温度が同じになるように調整された湯水が浴槽に流入されることで湯張りが開始される。そして、風呂フローセンサ42で流れた流量を検出して、流れた流量の合計積算値が湯張り設定量分流れたら制御装置24が湯張り弁39を閉状態にすることで湯張りを完了する。
【0027】
また、除霜運転について説明する。
沸き上げ運転中に着霜判定手段27で加熱手段16に着霜していると判定した場合、切換弁制御手段25は加熱バイパス管23側にし、貯湯タンク2下部の給水管4に連通するように切り替える第1の状態とし、圧縮機11の出力を増加させ、膨張弁13の開度を全開にし、室外ファン14と循環ポンプ20を停止させ、空気熱交換器15へ高温の冷媒を流入することで着霜を融解させ、加熱手段16の除霜運転を開始する。そして図示していない空気熱交換器15の出口付近に設けた温度センサで所定温度以上を検出することで除霜運転を終了する。そして再び沸き上げ運転を再開する。
【0028】
この除霜運転では、除霜運転により圧縮機11の出力を増加させることで水冷媒熱交換器12付近の温度と加熱戻り管18内の温度とで温度差が生じ、その温度差で水冷媒熱交換器12付近の湯が配管内を上昇する対流が起きる。この対流で加熱手段16よりも高い位置にある貯湯タンク2の上部を介して加熱循環回路19内で湯が循環してしまうのを切替弁22を第1の状態に切り替えることで、水冷媒熱交換器12付近の湯が配管内を上昇する対流を防止するようにしている。
【0029】
次に沸き上げ運転中に着霜判定手段27が着霜ありと判定し、沸き上げ運転を除霜運転に切り替えるときの第1の実施形態の動作を図2のフローチャートに基づいて詳しく説明する。
沸き上げ運転中に、加熱手段16に着霜したことを着霜判定手段27で判定すると(S1がYes)、制御装置24は沸き上げ運転を除霜運転に切り替える(S2)。
【0030】
そして、除霜運転制御手段37は、循環ポンプ20の駆動停止させ、空気熱交換器15へ高温の冷媒を滞留させることで、霜を融解させる除霜運転を開始する(S3)。
【0031】
このとき、除霜運転開始直後、切替制御手段25は切替弁22の位置を第3の状態に切り替え(S4)、加熱バイパス管23側にも貯湯タンク2の上部側にも水が流れないように閉止させる。
【0032】
そして、除霜運転が完了すると(S5がYes)、切替制御手段25は切替弁22の位置を第2の状態に切り替え(S6)、沸き上げ運転を再開する(S7)。
【0033】
このように、除霜運転が行われる場合、切替弁制御手段25は切替弁22を加熱バイパス管23側にも貯湯タンク2の上部側にも水が流れないように閉止させる第3の状態にすることで、もし除霜運転中に給湯運転が行われても、給湯運転により生じる給水の流れで、加熱バイパス管23を介して加熱循環回路19内の湯水が循環して、霜を融解させる熱が放熱してしまうことを防止することができる。
【0034】
また、加熱バイパス管23を介して加熱循環回路19内の湯水が循環して、霜を融解させる熱が放熱してしまうことを防止することができるので、熱を加熱手段16の霜を融解させるためだけに利用することで、除霜運転の時間を短縮することができると共に、貯湯タンク2内の貯湯熱量の低下により沸き上げ運転要求がされている場合は、除霜運転が長引くことで湯切れの可能性が高まるが、沸き上げ運転中断から沸き上げ運転再開までの時間を短くすることで湯切れを防止することができる。
【0035】
また、第1の実施形態とは異なる方法の第2の実施形態の動作を図3のフローチャートに基づいて詳しく説明する。
沸き上げ運転中に、加熱手段16に着霜したことを着霜判定手段36で判定すると(S8がYes)、制御装置24は沸き上げ運転を除霜運転に切り替える(S9)。
【0036】
そして、切換弁制御手段25は加熱バイパス管23側にし、貯湯タンク2下部の給水管4に連通するように切り替える第1の状態にし、除霜運転制御手段37は、循環ポンプ20の駆動停止させ、空気熱交換器15へ高温の冷媒を滞留させておくことで、着霜を融解させる除霜運転を開始する(S10)。
【0037】
そして、除霜運転開始後すぐ給湯運転中かどうかを確認し(S11)、給湯運転を行っている場合(S11がYes)、切替弁制御手段25は切換弁22の位置を第3の状態に切り替え(S12)、除霜運転が完了したかを確認し(S14)、除霜運転が完了していない場合は(S14がNo)、S11に戻る。そして、除霜運転が完了しなければ、給湯運転の有無にかかわらず、切換弁22の位置を第3の状態にして保持する。
【0038】
また、除霜運転開始後すぐ給湯運転中かどうかを確認し(S11)、給湯運転を行っていない場合(S11がNo)、切替弁制御手段25は現在の切換弁22の位置を保持し(S13)除霜運転が完了したかを確認し(S14)、除霜運転が完了していない場合は(S14がNo)、S11に戻る。そして、除霜運転と給湯運転が同時に行われれば(S11がYes)、切替弁制御手段25は切換弁22の位置を第3の状態に切り替え(S12)、除霜運転と給湯運転が同時に行われなければ(S11がNo)、切替弁制御手段25は現在の切換弁22の位置を保持し続ける(S13)。
【0039】
そして、除霜運転が完了すると(S14がYes)、切替制御手段25は切替弁22の位置を第2の状態に切り替え(S15)、沸き上げ運転を再開する(S16)。
【0040】
このように、除霜運転と給湯運転が同時に行われる場合、切替弁制御手段25は切替弁22を加熱バイパス管23側にも貯湯タンク2の上部側にも水が流れないように閉止させる第3の状態とすることで、給湯運転により生じる給水の流れで、加熱バイパス管23を介して加熱循環回路19内の湯が循環して、霜を融解させる熱が放熱してしまうことを防止することができる。
【0041】
また、加熱バイパス管23を介して加熱循環回路19内の湯水が循環して、霜を融解させる熱が放熱してしまうことを防止することができるので、熱を加熱手段16の霜を融解させるためだけに利用することで、除霜運転の時間を短縮することができると共に、貯湯タンク2内の貯湯熱量の低下により沸き上げ運転要求がされている場合は、除霜運転が長引くことで湯切れの可能性が高まるが、沸き上げ運転中断から沸き上げ運転再開までの時間を短くすることで湯切れを防止することができる。
【0042】
なお、本発明は実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変する事を妨げるものではなく、例えば、実施形態では給湯運転とあるが、風呂の湯張り動作も給水管4から給水している場合、本発明の要件を満たすものである。
【0043】
また、本発明の実施形態では、除霜運転を完了すると、沸き上げ運転を再開するにあたり切替弁22を貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態にしているが、加熱循環回路19内に溜まった非加熱水が貯湯タンク2の上部側に流入されるのを防ぐために、除霜運転が完了したあと、切替弁22を加熱バイパス管23側にし、貯湯タンク2下部の給水管4に連通するように切り替える第1の状態にしてから切替弁22を第2の状態に切り替えても良い。
【0044】
また、本発明の第2の実施形態では、加熱戻り管18から分岐した加熱バイパス管23は給水管4に接続され、加熱バイパス管23を通るバイパス循環経路が、給水管4の給水経路と一部を共用しているものにおいて、除霜運転時に給水圧により加熱循環回路19内の湯が循環するのを防ぐため、切替弁22を加熱バイパス管23側にも貯湯タンク2の上部側にも水が流れないように閉止させる第3の状態にしているが、切替弁22を貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態にして、加熱バイパス管23側を閉止することもできる。
【0045】
また、本発明の実施形態には追い焚き回路を有していないが、追い焚き回路があっても同様の効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0046】
2 貯湯タンク
3 出湯管
4 給水管
5 給湯バイパス管
6 給湯ミキシング弁
7 給湯管
16 加熱手段
19 加熱循環回路
20 循環ポンプ
22 切替弁
23 加熱バイパス管
24 制御装置
25 切替弁制御手段
26 着霜判定手段
27 除霜運転制御手段
図1
図2
図3