(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】気化式燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23L 9/06 20060101AFI20230214BHJP
F23D 11/10 20060101ALI20230214BHJP
F23D 11/02 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
F23L9/06
F23D11/10 C
F23D11/02 D
(21)【出願番号】P 2019163498
(22)【出願日】2019-09-09
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】森田 誠
(72)【発明者】
【氏名】中島 耕司
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-304209(JP,A)
【文献】特開平05-272714(JP,A)
【文献】特開平06-337106(JP,A)
【文献】実開昭57-046215(JP,U)
【文献】特開2004-060930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 9/06
F23D 11/00 - 14/84
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱用ヒータを備え底部には混合ガスの流出口を有した気化器と、該気化器下部で前記流出口と連通した混合室と、該混合室の上部で前記気化器の背面側に位置するバ
ーナヘッドと、該バーナヘッドを固定するバーナヘッド固定部材とを備え、
前記バーナヘッドは、複数の炎孔を長手方向に沿って列状に配置した炎孔部と、複数の二次空気孔を長手方向に沿って列状に配置した二次空気供給部とが交互に配置され、前記炎孔部はその先端側に前記炎孔のない無炎孔部が形成され、
前記バーナヘッド固定部材は、前記無炎孔部が形成された側であって前記バーナヘッドの先端側に配設された気化式燃焼装置において、
前記バーナヘッド固定部材の下方に位置する前記二次空気供給部に、前記バーナヘッド固定部材を冷却する空気を供給する冷却用空気孔を設け
、前記バーナヘッド固定部材は、前記バーナヘッドの先端側および前記混合室の先端側を囲うように係合する断面略コの字状のコの字状部と、前記バーナヘッドの上方側に位置する前記コの字状部の先端部から上方に向かって立ち上がる立ち上がり部とを有し、前記炎孔部において最も先端側に位置する前記炎孔から前記立ち上がり部までの間の領域と隣接する前記二次空気供給部に、前記立ち上がり部に沿うように空気を供給する整流空気孔を配置したことを特徴とする気化式燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯機や暖房機などに使用する気化式燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のものでは、加熱用ヒータを備えた気化器で、気化ガスと燃焼空気との予混合ガスを生成し、さらに混合室内で混合を促進させた後、バーナヘッドにて二次空気の供給を受けながら良好な燃焼を行わせるものがあった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のものは、バーナヘッドの先端側がバーナヘッド固定部材で固定されており、仮に、バーナヘッドの先端側が燃焼熱により変形して、混合室から浮き上がろうとした場合であっても、バーナヘッド固定部材がその浮き上がりを抑制するものであった。
【0005】
しかし、バーナヘッド固定部材は、燃焼時にバーナヘッドと同様に燃焼熱の影響を受ける状態にあり、バーナヘッド固定部材自体が変形してしまうおそれある。そうなった場合、バーナヘッドの先端側の燃焼熱による変形を抑えることができなくなるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1では、加熱用ヒータを備え底部には混合ガスの流出口を有した気化器と、該気化器下部で前記流出口と連通した混合室と、該混合室の上部で前記気化器の背面側に位置するバーナヘッドと、該バーナヘッドを固定するバーナヘッド固定部材とを備え、前記バーナヘッドは、複数の炎孔を長手方向に沿って列状に配置した炎孔部と、複数の二次空気孔を長手方向に沿って列状に配置した二次空気供給部とが交互に配置され、前記炎孔部はその先端側に前記炎孔のない無炎孔部が形成され、前記バーナヘッド固定部材は、前記無炎孔部が形成された側であって前記バーナヘッドの先端側に配設された気化式燃焼装置において、前記バーナヘッド固定部材の下方に位置する前記二次空気供給部に、前記バーナヘッド固定部材を冷却する空気を供給する冷却用空気孔を設け、前記バーナヘッド固定部材は、前記バーナヘッドの先端側および前記混合室の先端側を囲うように係合する断面略コの字状のコの字状部と、前記バーナヘッドの上方側に位置する前記コの字状部の先端部から上方に向かって立ち上がる立ち上がり部とを有し、前記炎孔部において最も先端側に位置する前記炎孔から前記立ち上がり部までの間の領域と隣接する前記二次空気供給部に、前記立ち上がり部に沿うように空気を供給する整流空気孔を配置するものとした。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、バーナヘッド固定部材の下方に位置する二次空気供給部に、バーナヘッド固定部材を冷却する空気を供給する冷却用空気孔を設けたことで、冷却用空気孔から吹き出される冷却用の空気がバーナヘッド固定部材に当たることにより、バーナヘッド固定部材が冷却されるので、バーナヘッド固定部材の過熱が抑制され、バーナヘッド固定部材の変形を防ぐことができる。
【0009】
また、請求項1によれば、炎孔部において最も先端側に位置する炎孔からバーナヘッド固定部材の立ち上がり部までの間の領域と隣接する二次空気供給部に、立ち上がり部に沿うように空気を供給する整流空気孔を配置したことで、整流空気孔から吹き出される空気は、立ち上がり部に沿うように供給されるため、立ち上がり部に当たって、バーナヘッド固定部材が冷却されるので、バーナヘッド固定部材の過熱が抑制され、バーナヘッド固定部材の変形を防ぐことができ、さらに、整流空気孔から吹き出されて立ち上がり部に沿うように供給される空気によって、冷却用空気孔から吹き出されてバーナヘッド固定部材に当たって炎孔のある方向に偏向した冷却用の空気を垂直方向に誘導させることができるので、バーナヘッド固定部材に近い炎孔で発生する炎のリフトを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の気化式燃焼装置の断面図。
【
図3】(a)混合室、バーナヘッド、およびバーナヘッド固定部材を組み付けた状態の図。 (b)(a)の状態からバーナヘッド固定部材を外した状態の図。
【
図4】混合室、バーナヘッド、およびバーナヘッド固定部材を組み付けた状態を平面視した図。
【
図6】本発明の実施形態の気化式燃焼装置および比較例の気化式燃焼装置におけるバーナヘッド先端側の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明の一実施形態の気化式燃焼装置の構成について、図面に基づき詳細に説明する。
【0012】
1はアルミダイキャストから成る横椀状の気化器で、正面は燃料噴射ノズル2及び一次空気の噴出口3を備えた蓋体4で閉塞され、底部に仕切壁5で2つに仕切られた混合ガスの流出口6を形成している。
【0013】
前記気化器1は燃料噴射ノズル2と対向する内面を、該燃料噴射ノズル2に対して垂直に形成し垂直気化面7とすると共に、燃料(燃油等)が吹き付けられる部分は燃料の均一な拡散を計るために平坦面8とし、さらにこの平坦面8の周囲には長さの異なる複数個のビード9を水平方向で且つそれぞれ平行に複数段配置して、流下する燃料の蛇行路10を形成している。
【0014】
また、上記平坦面8および蛇行路10は、燃料噴射ノズル2の噴射孔が左右に1つずつ形成されているので、これに対向して垂直気化面7上の左右にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0015】
11は気化器1に鋳込まれたU字状のシーズヒータから成る加熱用ヒータで、垂直気化面7上方から燃料噴射ノズル2側に突出し、垂直気化面7の上方空間を覆う上側壁12と、垂直気化面7下方からやや突出し流出口6を形成する下側壁13とに鋳込まれている。
【0016】
14は気化器1の蛇行路10の最終端に備えられた平面から見て台形状の案内壁で、気化器1内で形成される気化ガスと燃焼用の一次空気による混合ガスを、底部の2つの流出口6にスムーズに分割して案内するものである。
【0017】
15は気化器1下部に備えられたアルミダイキャスト製の混合室で、流出口6に連通し混合ガスの整流を行うように1段下方に凹ませて大容量とした整流室16と、整流室16と連通し気化器1から離れるに従って先細形状となるように区画成形され、間に下方に連通する二次空気室17を交互に有する複数のガス室18とを一体成形して構成され、さらに整流室16底部にはU字状のシーズヒータから成る補助ヒータ19が鋳込まれている。
【0018】
また、混合室15内面には、耐熱塗料を塗布し微細凹凸の塗装面20を形成することで、混合ガスの流通抵抗として混合ガスの噴出速度を均一にすると共に整流の促進を計るものである。
【0019】
21は各ガス室18入口に上方から垂下して備えられた整流板で、一枚板に切欠部と屈曲片とを交互に形成して構成され、ガス室18入口面積の約1/6を上方から閉塞することによって、ガス室18への送風力を抑制して全体的に均一な火炎を形成するようにしている。
【0020】
22は混合室15のガス室18及び二次空気室17の上部で気化器1の背面側に形成されたバーナヘッドで、ガス室18上に固定される凸状の炎孔部23と、隣接する炎孔部23間の凹部で形成され二次空気室17と連通した二次空気供給部24とで構成される。
【0021】
前記炎孔部23には複数の炎孔25が長手方向に沿って列状に配置されており、炎孔25は炎孔部23頂部のほぼ中央部から側壁まで延設された細長逆L字状をなし、長手方向に沿って左右交互に形成されている。さらに、炎孔部23は、気化器1側を基端とし、気化器1と逆側(気化器1から離れた側)を先端としたときに、その先端側に炎孔25のない無炎孔部26が形成されている。
【0022】
前記二次空気供給部24底部には複数の二次空気孔27が長手方向に沿って列状に配置されており、二次空気室17と連通して二次空気を供給する。二次空気供給部24には、二次空気孔27と同じ並びであって、二次空気孔27よりも気化器1に近い基端側と気化器1から最も遠い先端側、すなわち、二次空気供給部24の両端にバーナヘッド22を混合室15に固定するためにネジを挿通するネジ孔28が形成され、さらに、二次空気供給部24には、二次空気孔27と同じ並びであって、後述するバーナヘッド固定部材29の下方の位置に、バーナヘッド固定部材29を冷却する空気を供給する冷却用空気孔30が設けられている。冷却用空気孔30は、二次空気孔27と同様に二次空気室17と連通しており、冷却用空気孔30から吹き出されてバーナヘッド固定部材29を冷却する空気としては、二次空気室17から供給される二次空気が使用される。また、二次空気供給部24には、二次空気孔27と同じ並びであって、冷却用空気孔30から気化器1寄り且つ冷却用空気孔30と隣り合うように整流空気孔31が設けられている。整流空気孔31は、二次空気孔27と同様に二次空気室17と連通しており、整流空気孔31から吹き出される空気としては、二次空気室17から供給される二次空気が使用される。なお、
図4において、バーナヘッド固定部材29上に破線で丸く描かれた円は冷却用空気孔30を示しており、バーナヘッド固定部材29を透過させた場合に見える冷却用空気孔30の位置を示している。
【0023】
前述のバーナヘッド固定部材29は、無炎孔部26が形成されている側であって、バーナヘッド22の先端側(気化器1から離れた側)に配設されており、バーナヘッド22の先端側および混合室15の先端側を囲うように係合する断面略コの字状のコの字状部32と、バーナヘッド22の上方側に位置するコの字状部32の先端部から上方に向かって立ち上がる立ち上がり部33とを有している。前記コの字状部32のうちバーナヘッド22の上方側に位置する部分は、バーナヘッド22(炎孔部23)表面から高さ方向にわずかな間隔を介し、その高さ位置で、無炎孔部26および無炎孔部26に隣接する二次空気供給部24の大部分を覆うように長手方向(バーナヘッド22の長手方向と同一方向)に延設されている。なお、バーナヘッド固定部材29は、バーナヘッド22および混合室15とネジで共締めされて固定されるものであってもよいし、バーナヘッド固定部材29単独で混合室15とネジで固定されるものであってもよい。
【0024】
また、前記整流空気孔31は、炎孔部23において最も先端側(気化器1から離れた側)に位置する炎孔25からバーナヘッド固定部材29の立ち上がり部33までの間の長さ方向に形成される領域と隣接する二次空気供給部24に設けられており、整流空気孔31はバーナヘッド固定部材29の立ち上がり部33に沿うように空気を供給するものである。ここで、整流空気孔31を、バーナヘッド固定部材29の立ち上がり部33までの間の長さ方向に形成される領域と隣接する二次空気供給部24に位置させるとは、整流空気孔31の全体を、バーナヘッド固定部材29の立ち上がり部33までの間の長さ方向に形成される領域と隣接する二次空気供給部24に位置させるものと、整流空気孔31の大半を、バーナヘッド固定部材29の立ち上がり部33までの間の長さ方向に形成される領域と隣接する二次空気供給部24に位置させる共に、整流空気孔31の残りの一部が立ち上がり部33に平面視で重なって見えるように位置させたものも含むものである。
【0025】
34は炎孔部23両側に固着された保炎ガイドで、炎孔25と対向する上部を炎孔25とは反対側の斜め上方に向かって屈曲させ、炎孔25に形成される火炎の広がりを抑制すると共に、下方の二次空気孔27から供給される二次空気の案内を行う。
【0026】
35は炎孔部23内に備えられた耐熱性の整流アミで、線径0.29mmの線材を36メッシュに編み上げて構成され、炎孔25から噴出する混合ガスの最後の整流を行う。
【0027】
36は気化器1背面からバーナヘッド22上に突出した縦長の吸熱フィンで、燃焼ガスとの接触面積を多くしてヒートバック量を増大させるために複数に分割形成され、燃焼時には燃焼熱のヒートバックを気化熱として利用し加熱用ヒータ11の省電力化を計るものであり、上端はバーナヘッド22側に向かって下り傾斜した傾斜部37とし、上昇してくる燃焼熱の抜けを良くしている。
【0028】
38は吸熱フィン36上方に備えられたL字状の抑止板で、気化器1側から吸熱フィン36上約2/3まで張り出して吸熱フィン36上を覆い、この間を上昇して来る燃焼熱の上昇力を抑制するものである。吸熱フィン36上方全体を覆うまで抑止板38を張り出させた場合には、抑止板38自体にスリットや穴を形成して抑制力を調節するようにしてもよい。
【0029】
39は吸熱フィン36間の気化器1背面壁に横方向R状の凸部を複数個連続して形成した凹凸面で、吸熱面積を増大させると共に、燃焼熱の上昇力を制御し十分なヒートバックを得るようにしているもので、特にR形状であるから燃焼熱に乱流を起こさせることなく、スムーズにその上昇力のみを抑制することができる。
【0030】
40は気化器1背面を露呈させバーナヘッド22の上方を囲った上方開放の燃焼室で、外周は所定間隔を介してカバー枠41で覆われている。
【0031】
42は燃焼量に応じて回転数が制御される燃焼ファンで、送風路43を介して燃焼室40とカバー枠41との間の空間、および噴出口3に連通し、噴出口3には燃焼用の一次空気を供給し、燃焼室40とカバー枠41との間の空間には気化器1側方を通り混合室15下方から二次空気室17を介しバーナヘッド22の二次空気供給部24へ供給される二次空気、および燃焼室40を冷却する空気を供給する。
【0032】
44は燃料噴射ノズル2に送油管45を介して燃料を圧送する電磁ポンプで、燃焼ファン42と連動して燃料の供給量を負荷に応じて可変し、大火力から小火力燃焼までバーナヘッド22の燃焼量を制御するものである。46は遮熱板である。
【0033】
次に、この発明一実施例の作動について説明する。
加熱用ヒータ11に通電し気化器1を所定温度まで加熱すれば、これを適所に備えた温度センサ(図示せず)で検知し、燃焼ファン42および電磁ポンプ44を駆動させることで、気化器1には燃料噴射ノズル2から燃料が、また噴出口3からは燃焼用の一次空気がそれぞれ供給される。
【0034】
そして、気化器1では、燃料噴射ノズル2から噴射された燃料は、垂直気化面7平坦面8に衝突し凹凸がないので均一に周囲に拡散するが、直ぐには落下せず周囲のビード9上を供給される一次空気の送風力もあって蛇行路10に沿って順次移動し、十分な気化時間となって気化が促進されると共に、ビード9による凹凸で供給される一次空気も乱流を起こし気化ガスとの混合も十分に行われ、良好な混合ガスを得ることができる。
【0035】
したがって、垂直気化面7によって軽量・コンパクトな気化器1を得て、小型で強力な燃焼装置が得られると共に、気化能力を低下させることなく常に十分な混合ガスを形成することができる。
【0036】
また、垂直気化面7で気化された気化ガスは、垂直気化面7に衝突して跳ね返される一次空気と共に、横椀状の気化器1内で加熱用ヒータ11を備えた上側壁12および下側壁13側に流れるが、この上側壁12および下側壁13は加熱用ヒータ11によって十分加熱されているので、気化ガスの気化はさらに促進されると共に、一次空気も良好に加熱され、しかも気化器1は横椀状で気化ガスと一次空気とはすぐには流出せず、ある程度気化器1内にとどまり十分混合した後、流出口6から流出される。
【0037】
一方、この流出口6から流出した混合ガスは混合室15内に流入するが、混合室15は気化器1の予熱と同時に通電される補助ヒータ19によって一定時間加熱され、高温の予熱状態が維持されているので、流入した混合ガスは液化することがない。
【0038】
そして、混合ガスは整流室16で整流を促進した後、すぐに複数のガス室18に細かく分割して流入し、内壁面の塗装面20による微細凹凸と先細形状とによって、炎孔部23の炎孔25から噴出する混合ガスの噴出速度は、長手方向に関係なく全体が均一となり、混合ガスは炎孔25から噴出される直前に整流アミ35を通過して最後に整流されて噴出し、適宜点火手段(図示せず)で点火されれば燃焼が開始される。
【0039】
さらに、火炎が形成される炎孔25は、炎孔部23頂部に左右交互に設けられているので、残部が十分確保され強度的に強く長期間の燃焼でも焼損する心配はないものであり、大火力燃焼で火炎が大きくなったとしても、成形される火炎は左右交互であり互いに干渉することもなく良好な燃焼炎が得られる。
【0040】
また、各炎孔部23間にはそれぞれ二次空気供給部24が形成されると共に、炎孔部23の側壁面まで炎孔25が延設されこれを保炎ガイド34が案内しているので、各炎孔25に形成される火炎の広がりは保炎ガイド34が抑制し屈曲部分で火炎の案内も行い、火炎は二次空気供給部24上に張り出し、ここに下方の二次空気孔27からの二次空気がスムーズに且つ確実に供給され、良好な燃焼が行われる。
【0041】
上記燃焼時において、吸熱フィン36間に燃焼ガスが上昇することで、吸熱フィン36を介して気化器1は十分なヒートバック量を得ることが、燃焼開始後は加熱用ヒータ11に通電することなく、ヒートバックで気化熱を得ることができ、確実に省電力化を計れるものである。
【0042】
そして、燃焼室40の上方に、内部を被加熱流体(水などの液体)が流通する給湯用または暖房用の熱交換器(図示せず)等を設置すれば、燃焼音も小さく応答性のよい良好な給湯または暖房を行うことができる。
【0043】
ここで、本実施形態(第1実施形態および第2実施形態)の気化式燃焼装置および比較例の気化式燃焼装置における燃焼時の状況について、
図6に示したバーナヘッド22先端側の要部断面図を用いて説明する。
まず、比較例は従来の気化式燃焼装置を示したものであるが、従来のものは、バーナヘッド固定部材29の下方に位置する二次空気供給部24に、バーナヘッド固定部材29(より詳細には、バーナヘッド固定部材29のうち、バーナヘッド22の上方に位置するコの字状部32)を冷却する空気を供給する冷却用空気孔30は設けられていない。そうすると、バーナヘッド固定部材29は、燃焼時においてバーナヘッド22と同様に燃焼熱の影響を受ける状態にあり、燃焼熱の影響を受け続けた結果、破線で図示されているように、バーナヘッド固定部材29(バーナヘッド22の上方に位置するコの字状部32および立ち上がり部33)が、バーナヘッド22から離れる方向に開くように変形してしまうおそれがあり、バーナヘッド22の先端側の燃焼熱による変形をバーナヘッド固定部材29で抑えることができなくなるおそれがある。
【0044】
そこで、第1実施形態では、バーナヘッド固定部材29の下方に位置する二次空気供給部24に、バーナヘッド固定部材29(より詳細には、バーナヘッド固定部材29のうち、バーナヘッド22の上方に位置するコの字状部32)を冷却する空気を供給する冷却用空気孔30を設けたことで、第1実施形態中の実線の矢線で示されているように、冷却用空気孔30から吹き出される冷却用の空気(二次空気)がバーナヘッド固定部材29に当たることにより、バーナヘッド固定部材29が冷却されるので、バーナヘッド固定部材29の過熱が抑制され、バーナヘッド固定部材29の変形を防ぐことができる。
【0045】
ここで、
図6において、第1実施形態では冷却用空気孔30を設けたものについて示したが、冷却用空気孔30から吹き出される冷却用の空気(二次空気)は、第1実施形態中に破線の矢線で示したように、バーナヘッド固定部材29のうちバーナヘッド22の上方に位置するコの字状部32に当たって炎孔25側に偏向され、バーナヘッド固定部材29に近い炎孔25で発生する炎をリフトさせるおそれがある。炎がリフトすると、失火や失火による臭気発生などの不具合が発生してしまうおそれがある。
【0046】
そこで、第2実施形態では、炎孔部23において最も先端側に位置する炎孔25(換言すると無炎孔部26に最も近い炎孔25)から立ち上がり部33までの間の領域と隣接する二次空気供給部24に、立ち上がり部33に沿うように空気(二次空気)を供給する整流空気孔31を配置させたことで、
図6の本実施形態中に矢線で示したように、整流空気孔31から吹き出されて立ち上がり部33に沿うように供給される空気によって、冷却用空気孔30から吹き出されてバーナヘッド固定部材29に当たって炎孔25のある方向に偏向した冷却用の空気を垂直方向に誘導させることができるので、バーナヘッド固定部材29に近い炎孔25で発生する炎のリフトを抑えることができる。さらに、整流空気孔31から吹き出される空気は、立ち上がり部33に沿うように供給されるため、立ち上がり部33に当たって、バーナヘッド固定部材29が冷却されるので、バーナヘッド固定部材29の過熱が抑制され、バーナヘッド固定部材29の変形を防ぐことができる。
【0047】
なお、バーナヘッド固定部材29をバーナヘッド22および混合室15に組み付けた状態のものを、
図4のように平面視した場合に、整流空気孔31は、整流空気孔31の全領域が立ち上がり部33と重なることなく見えるように、二次空気供給部24に配置するようにしてもよく、整流空気孔31の一部の領域が立ち上がり部33と重なって見えるように、二次空気供給部24に配置するようにしてもよい。整流空気孔31の一部の領域が立ち上がり部33と重なって見えるように二次空気供給部24に配置した場合には、整流空気孔31から供給される空気は、確実に立ち上がり部33に当たることになり、バーナヘッド固定部材29の冷却をより効果的に行うことができる。
【0048】
なお、本発明は一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0049】
1 気化器
6 流出口
11 加熱用ヒータ
15 混合室
22 バーナヘッド
23 炎孔部
24 二次空気供給部
25 炎孔
26 無炎孔部
27 二次空気孔
29 バーナヘッド固定部材
30 冷却用空気孔
31 整流空気孔
32 コの字状部
33 立ち上がり部