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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/04 20060101AFI20230214BHJP
   F23N 1/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
F23K5/04 C
F23N1/00 105E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019204869
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021076335
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】栗林 清人
(72)【発明者】
【氏名】小島 輝明
(72)【発明者】
【氏名】大塚 栄明
(72)【発明者】
【氏名】赤佐 星次
(72)【発明者】
【氏名】早津 裕
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-130336(JP,A)
【文献】特開平02-140506(JP,A)
【文献】特開平05-060060(JP,A)
【文献】特開2016-176643(JP,A)
【文献】特開平05-018531(JP,A)
【文献】特開平09-296775(JP,A)
【文献】特開平11-082995(JP,A)
【文献】特開2002-039057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/04
F23N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部タンクから燃油の供給を受けて一定の油面に保つレベラタンクと、
前記レベラタンクの燃油を燃焼部に供給する燃料ポンプと、
前記レベラタンク内の油面高さを検知する油面センサと、
所定のストローク幅で往復動するプランジャによって前記外部タンクからの燃油を前記レベラタンクへ供給する汲み上げポンプと、
暖房機の火力の大小に応じて前記燃料ポンプの油量を制御し、前記レベラタンク内の油面高さを前記油面センサにて検出して、前記汲み上げポンプを駆動開始または停止を行う制御部と、
前記汲み上げポンプの前記プランジャのストローク幅を変更する変更手段と、を備え、
前記制御部は、前記暖房機の火力が小火力ほど、前記プランジャのストローク幅が短くなるよう前記変更手段を制御することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記プランジャのストローク幅を、前記暖房機の所定の火力より大きい火力の場合は第1のストローク幅とし、所定の火力以下の場合は第1のストローク幅より短い第2のストローク幅とすることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
外部タンクから燃油の供給を受けて一定の油面に保つレベラタンクと、
前記レベラタンクの燃油を燃焼部に供給する燃料ポンプと、
前記レベラタンク内の油面高さを検知する油面センサと、
所定のストローク幅で往復動するプランジャによって前記外部タンクからの燃油を前記レベラタンクへ供給する汲み上げポンプと、
暖房機の火力の大小に応じて前記燃料ポンプの油量を制御し、前記レベラタンク内の油面高さを前記油面センサにて検出して、前記汲み上げポンプを駆動開始または停止を行う制御部と、
前記汲み上げポンプの前記プランジャのストローク幅を変更する変更手段と、を備え、
前記制御部は、前記汲み上げポンプの駆動開始時に、前記プランジャのストローク幅を、所定のストローク幅より短いストローク幅から開始した後、所定のストローク幅へ徐々に変化させるよう前記変更手段を制御することを特徴とする燃焼装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記汲み上げポンプの駆動停止時に、前記プランジャのストローク幅を、所定のストローク幅から所定のストローク幅より短いストローク幅に徐々に変化させた後、前記汲み上げポンプを停止することを特徴とする請求項3に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記プランジャのストローク幅を変更する変更手段は、前記汲み上げポンプの駆動周波数、電源電圧、オンタイムのいずれかによってストローク幅を変更することを特徴とする請求項1ないし4に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油等の液体燃料を燃焼させ給湯、暖房等を行なう燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部の燃料タンクに貯留された石油、灯油などの燃料液体を、燃料タンクと燃焼装置との間に一旦中継的に貯留して液面位を調整するレベラタンクに汲み上げることのできる汲み上げポンプでは、磁力の周期的な変化によりシリンダに摺接状態で内装されたプランジャを軸心方向に振動させて外部燃料タンク内の燃料を燃焼部に向けて吐出するように構成された電磁ポンプが知られている。
【0003】
このような電磁ポンプは、50Hz、60Hzの商用交流電流を半波整流したパルスによって駆動させる方法があり、プランジャが毎秒50回もしくは60回の往復動をすることにより、燃料液体に脈動が発生する。
【0004】
この脈動による振動を吸収するため、汲み上げポンプと外部燃料タンクの配管途中、もしくは、燃料ポンプと燃焼部の配管途中にアキュームレータを備え、振動による騒音を防止するものが知られている。(例えば特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3839700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような汲み上げポンプを使用した強制給排気式石油温風機などの燃焼機では、大火力運転時は燃焼音や送風用ファンの運転音が大きく、汲み上げポンプの駆動音はこれに掻き消されるものの、小火力運転時は燃焼音や送風用ファンの運転音も小さくなるため、逆に汲み上げポンプの駆動音が目立ちやすくなり、使用者に不快感を与えるという問題があった。
【0007】
また、前述のようなレベラタンクへの燃油の汲み上げポンプでは、レベラタンク内の燃油が減り一定油面まで減少すると汲み上げポンプの駆動を開始し、予め定められた時間が経過すると汲み上げポンプの駆動を停止するため、製品の運転中は汲み上げポンプが駆動のオンオフを繰り返し行う。
【0008】
そのため、汲み上げポンプの駆動のオンオフのタイミングにおいても、前述した振動による騒音のため、汲み上げポンプの駆動音が目立ちやすくなり、使用者に不快感を与えるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決すべく検討なされたもので、その目的は、燃焼装置の小火力時および汲み上げポンプのオンオフ時の駆動音を目立ちにくくすることによって、製品全体の静音性を向上させた燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1では、外部タンクから燃油の供給を受けて一定の油面に保つレベラタンクと、前記レベラタンクの燃油を燃焼部に供給する燃料ポンプと、前記レベラタンク内の油面高さを検知する油面センサと、所定のストローク幅で往復動するプランジャによって前記外部タンクからの燃油を前記レベラタンクへ供給する汲み上げポンプと、暖房機の火力の大小に応じて前記燃料ポンプの油量を制御し、前記レベラタンク内の油面高さを前記油面センサにて検出して、前記汲み上げポンプを駆動開始または停止を行う制御部と、前記汲み上げポンプの前記プランジャのストローク幅を変更する変更手段と、を備え、前記制御部は、前記暖房機の火力が小火力ほど、前記プランジャのストローク幅が短くなるよう前記変更手段を制御することを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2では、前記制御部は、前記プランジャのストローク幅を、前記暖房機の所定の火力より大きい火力の場合は第1のストローク幅とし、所定の火力以下の場合は第1のストローク幅より短い第2のストローク幅とすることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項3では、外部タンクから燃油の供給を受けて一定の油面に保つレベラタンクと、前記レベラタンクの燃油を燃焼部に供給する燃料ポンプと、前記レベラタンク内の油面高さを検知する油面センサと、所定のストローク幅で往復動するプランジャによって前記外部タンクからの燃油を前記レベラタンクへ供給する前記汲み上げポンプと、暖房機の火力の大小に応じて前記燃料ポンプの油量を制御し、前記レベラタンク内の油面高さを前記油面センサにて検出して、前記汲み上げポンプを駆動開始または停止を行う制御部と、前記汲み上げポンプの前記プランジャのストローク幅を変更する変更手段と、を備え、前記制御部は、前記汲み上げポンプの駆動開始時に、前記プランジャのストローク幅を、所定のストローク幅より短いストローク幅から開始した後、所定のストローク幅へ徐々に変化させるよう前記変更手段を制御することを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項4では、前記制御部は、前記汲み上げポンプの駆動停止時に、前記プランジャのストローク幅を、所定のストローク幅から所定のストローク幅より短いストローク幅に徐々に変化させた後、前記汲み上げポンプを停止することを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項5では、前記プランジャのストローク幅を変更する変更手段は、前記汲み上げポンプの駆動周波数、電源電圧、オンタイムのいずれかによってストローク幅を変更することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1によれば、前記制御部は、前記暖房機の火力が小火力ほど、前記プランジャのストローク幅が短くなるよう変更手段を制御するので、小火力としたことによって燃焼音や送風用ファンの運転音が小さくなる中で、前記汲み上げポンプの駆動音も小さく抑えることができ、小火力時の器具全体の静音化が可能となる。
【0016】
また、本発明の請求項2によれば、前記制御部は、前記プランジャのストローク幅を、前記暖房機の所定の火力より大きい火力の場合は第1のストローク幅とし、所定の火力以下の場合は第1のストローク幅より短い第2のストローク幅としたので、前記汲み上げポンプの駆動音も第1のストローク幅より第2のストローク幅で駆動した場合の方が駆動音を抑えられるため、前記所定の小火力時には器具全体の静音化が可能となる。
【0017】
また、本発明の請求項3によれば、前記制御部は、前記汲み上げポンプの駆動開始時に、前記プランジャのストローク幅を、所定のストローク幅より短いストローク幅から開始した後、所定のストローク幅へ徐々に変化させたため、前記汲み上げポンプの駆動開始時は、小さな駆動音から駆動を開始でき、オンオフを繰り返す前記汲み上げポンプの駆動開始時の駆動音を目立ちにくくすることができる。
【0018】
また、本発明の請求項4によれば、前記制御部は、前記汲み上げポンプの駆動停止時に、前記プランジャのストローク幅を、所定のストローク幅から所定のストローク幅より短いストローク幅に徐々に変化させた後、前記汲み上げポンプを停止するため、駆動音を小さくしたあとに駆動を停止でき、オンオフを繰り返す前記汲み上げポンプの駆動停止時の駆動音を目立ちにくくすることができる。
【0019】
また、本発明の請求項5によれば、前記汲み上げポンプのプランジャのストローク幅を変更する変更手段は、前記汲み上げポンプの駆動周波数、電源電圧、オンタイムのいずれかによってストローク幅を変更するので、前記汲み上げポンプを制御する駆動周波数、電源電圧、オンタイムを変更することで、プランジャのストローク幅を変更でき、前記汲み上げポンプの駆動音を抑えて製品を運転することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態における暖房機の概略構成図
図2】同一実施形態における汲み上げポンプの断面図
図3】同一実施形態の汲み上げポンプの駆動部を示す最大火力時の説明図
図4】同一実施形態の汲み上げポンプの駆動部を示す最小火力時の説明図
図5】同一実施形態における火力とストローク幅を示す関係図
図6】本発明の第2の実施形態における火力とストローク幅を示す関係図
図7】本発明の第3の実施形態における汲み上げポンプの駆動開始時のストローク幅を示すタイムチャート図
図8】本発明の第3の実施形態における汲み上げポンプの駆動停止時のストローク幅を示すタイムチャート図
図9】本発明の第4の実施形態における汲み上げポンプの駆動開始時のストローク幅を示すタイムチャート図
図10】本発明の第4の実施形態における汲み上げポンプの駆動停止時のストローク幅を示すタイムチャート図
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明の燃焼装置の第1の実施形態である暖房機1を図面に基づいて説明する。
2は暖房機1の筐体、3は筐体2の底板を構成し、周縁に立ち上げ部3aを有した浅い容器状の下受け皿、4は表示部4aと操作スイッチ4bを有した操作パネルである。
【0022】
5は灯油等の燃油を燃焼させる燃焼部、6は燃焼部5に燃油を供給する燃料供給装置、7は燃焼部5に屋外から取り込んだ燃焼用空気を供給する燃焼ファン、8は燃焼部5へ着火用の火花を飛ばすスパークロッドを有した着火装置、9は燃焼部5の火炎の有無を検出するフレームロッドを有した炎検出装置である。
【0023】
10は燃焼部5の火炎が形成されるバーナヘッド5aが臨んで燃焼室10aを形成する燃焼筒、11は燃焼筒10内の上部に配置され、燃焼熱により赤熱して輻射暖房を行うための赤熱筒、12は燃焼筒10の上部に形成され、燃焼熱と室内空気とを熱交換する熱交換器、13は熱交換器12で放熱後の燃焼排ガスを屋外に放出するための排気筒、14は熱交換器12へ室内空気を送風する送風ファンである。
【0024】
次に、燃料供給装置6について説明する。
燃料供給装置6は、燃焼部5に供給される燃油を貯留するレベラタンク15と、レベラタンク15の燃油を燃焼部5に供給する燃料ポンプ16と、レベラタンク15内の燃油の油面高さを検知する油面センサ17と、レベラタンク15内の油面が所定高さよりも低下したときに、所定高さまで屋外の外部タンク(図示せず)から汲み上げた燃油を供給する汲み上げポンプ18とを備えている。
【0025】
レベラタンク15は下受け皿3上に配置されていると共に、レベラタンク15の上面はタンク蓋で塞がれ、このタンク蓋に燃料ポンプ16および油面センサ17が取り付けられている。燃料ポンプ16は、吸入端16aがレベラタンク15内に設けられ、燃料管19を介して燃焼部5へ燃焼量に応じた量のレベラタンク15内の燃油を供給する。
【0026】
油面センサ17は、支柱部17aに上下動可能に磁石を有したフロート17bが設けられ、この支柱部17a内に所定の低油面を検知するための低油面リードスイッチ17cと、所定の高油面を検知するための高油面リードスイッチ17dとが設けられている。ここで、所定の低油面はレベラタンク15が保つ一定の油面の下限油面で、所定の高油面はレベラタンク15が保つ一定の油面の上限油面よりも高い油面としている。
【0027】
汲み上げポンプ18は、吐出側の端部が供給管20を介してレベラタンク15に接続され、吸入側の端部が屋外に設置されている外部タンクから燃油を送油する送油管21に接続されており、動作することで外部タンクから燃油をレベラタンク15内に供給し、停止することで外部タンクからの燃油がレベラタンク15内に供給されないように閉止するものである。また、レベラタンク15へ燃油を供給する機構として汲み上げポンプ18を用いているため、外部タンクとレベラタンク15との高低差の制限(外部タンクの設置高さの制限)を大幅に緩和できる。
【0028】
次に、汲み上げポンプ18について図2に基づいて説明する。
この汲み上げポンプ18は、筒状のシリンダ22と、シリンダ22内に往復動可能に支持されたプランジャ23と、プランジャ23を吐出方向に付勢するプランジャスプリング24と、シリンダ22の外周に設けられた電磁コイル25とが設けられている。
【0029】
プランジャ23は中空円筒状を呈しており、その内下部に吸入弁座26と、吸入弁27と、吸入弁27を吸入方向に付勢する吸入弁スプリング28とが設けられ、プランジャ23上端に、径方向にシリンダ22内空間と連通する経路を有した閉止弁29(弁体)が固定されている。
【0030】
シリンダ22の上端には、閉止弁座30と、吐出弁座31と、吐出弁32と、吐出弁32を吸入方向に付勢する吐出弁スプリング33とが設けられ、シリンダ22の下端には、フィルタ34が設けられている。
【0031】
そして、汲み上げポンプ18の駆動指令によって電磁コイル25が予め定められたオンタイムかつ所定の駆動周波数で、かつ所定の電源電圧で間欠的に励磁されると、通電時の磁束によってプランジャ23が閉止弁29を閉じた停止位置から、プランジャスプリング24の付勢力に抗して図の下方向へ引き寄せられ、その際に、吸入弁27が開き、吐出弁32は閉じ、プランジャ23と一体の閉止弁29は開くこととなる。そして、プランジャ23を境としたシリンダ22の下部空間から上部空間に燃油が移動される。
【0032】
次に、電磁コイル25の非通電時に磁束がなくなると、プランジャ23がプランジャスプリング24の付勢力によって図の上方向へ上昇し、その際に、吸入弁27が閉じ、吐出弁32が開き、プランジャ23の上部空間の燃油は供給管20に吐出され、送油管21からの燃油が下部空間に吸い込まれる。
【0033】
そして、プランジャ23が停止位置にいたる前に電磁コイル25が通電されることで、燃油を外部タンクからレベラタンク15へ供給しており、汲み上げポンプ18の駆動指令がなくなると、電磁コイル25が停止され、プランジャ23が停止位置で停止する。
【0034】
このように、閉止弁29はプランジャ23と一体で、プランジャスプリング24によって吐出方向に付勢されているため、外部タンクから圧がかかっても閉止弁29にて確実に閉止してレベラタンク15からの燃油の溢れを防止することができ、この閉止弁29を開閉する電磁コイル25はプランジャ23を往復動させるもので兼用されているため、閉止弁29の開閉のためだけのコイルが不要で低コスト化できるものである。
【0035】
次に、35はこの暖房機1を制御する制御部で、予めプログラムを記憶されたマイクロコンピュータを備え、炎検出装置9や油面センサ17等の各種のセンサの検出値および操作スイッチ4bの出力が入力されて、表示部4a、燃焼ファン7、着火装置8、送風ファン14、燃料ポンプ16、汲み上げポンプ18の作動を制御する。
【0036】
また、36は制御部35の指令を受け、汲み上げポンプ18のプランジャ23のストローク幅を変更する変更手段であり、駆動周波数可変回路を有し電磁コイル25の駆動周波数を変更することで前記ストローク幅の変更を行い、燃油の汲み上げ流量を制御できるものである。駆動周波数が小さい場合は、プランジャ23のストローク幅が長くなり、燃油の流量が増し振動が大きくなるため、駆動音も増加する。逆に、駆動周波数が大きい場合は、プランジャ23のストローク幅が短くなり、流量が減少し振動も小さくなり駆動音も減少する。
【0037】
そして、操作スイッチ4bが操作されて暖房運転の開始指示があると、制御部35は、燃料ポンプ16と燃焼ファン7と送風ファン14を駆動して、燃料供給装置6からの燃油と燃焼ファン7からの燃焼用空気が燃焼部5に供給され、着火装置8を駆動して燃焼を開始し、燃焼部5からの燃焼ガスは熱交換器12で室内空気と熱交換され、燃焼排ガスとなって排気管13を通過して屋外へ排出される一方、室内空気は送風ファン14によって熱交換器12で加熱されて温風吹き出し口(図示せず)から吹き出して暖房が行われる。
【0038】
燃料供給装置6では、暖房運転中に油面が低下して低油面リードスイッチ17cがフロート17bの磁石を検知すると、制御部35は、汲み上げポンプ18の駆動を開始すると共に時間カウントを開始し、予め定められた時間が経過すると汲み上げポンプ18の駆動を停止するようにして、レベラタンク15内を一定の油面に保つようにしている。ここで、制御部35は、油面センサ17の出力を暖房運転の運転中、停止中に関わらず常時監視している。
【0039】
操作スイッチ4bが操作されて暖房運転の停止指示があると、制御部35は、燃料ポンプ16と燃焼ファン7とを停止して燃焼を停止させ、その後、燃焼ファン7を再駆動すると共に、所定時間経過するまで燃焼ファン7と送風ファン14の駆動を継続し、機具内を冷却したら燃焼ファン7と送風ファン14の駆動を停止して運転を終了する。
【0040】
次に、本発明の特徴的作動について図に基づいて説明する。
図3および図4の如く、制御部35からの汲み上げポンプ18の駆動開始指令によって、プランジャ23は、閉止弁29が閉止弁座30を閉じた停止位置から図の下方向のストローク幅S1までに位置する往復動を行うことで燃油の汲み上げがなされる。このとき、プランジャ23の往復動により汲み上げポンプ18の駆動音となる。本発明では、最大火力の場合はストローク幅をS1(図3)とし、変更手段36により駆動周波数を変更することで最小火力の場合のストローク幅をS1より短いS2(図4)とする。例えば、S2はS1の50%とすることができる。
【0041】
図5に示すように、火力のレベルが6段階ある場合を例に説明すれば、火力のレベルに応じて予めストローク幅を決めておき、火力のレベルが最も小火力であるレベル1からレベル6の方へ火力が大きくなるにつれ、ストローク幅はS2からS1へ、各々対応するように変更手段36を制御する。
具体的には制御部35は、変更手段36を制御し駆動周波数を変更して、レベル1ではS1の50%、レベル2ではS1の60%、レベル3ではS1の70%、レベル4ではS1の80%、レベル5ではS1の90%、レベル6ではS1というようにする。ここでS2はS1の50%としたが、S1より短いその他の割合であってもよい。
【0042】
これにより、使用者が操作パネル4で火力のレベルを大火力から小火力にすると、燃焼音や送風用ファンの運転音が小さくなる中で、汲み上げポンプ18の駆動音も小さく抑えることができ、小火力時の器具全体の静音化が可能となる。
なお、火力のレベルを小火力にするとき、汲み上げポンプ18のストローク幅を短くなるようにしたが、これにより燃油を汲み上げる流量が減るものの、小火力のときは製品の燃油の燃焼量が少なくてよいため、ストローク幅を短くして流量を下げて、駆動音を小さく抑えることができる。
【0043】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態ついて説明する。
燃焼音や送風用ファンの運転音が比較的大きい暖房機の場合は、第1の実施形態のように、ストローク幅を火力に対し比例的に変化させる必要がなく、大火力の場合のストローク幅S1とその他の火力時のS2の2段階としてもよい。
【0044】
つまり、所定の火力より大きい火力の場合はS1のストローク幅とし、所定の火力以下の場合はストローク幅をS2とする。
火力のレベルが6段階ある場合を例に説明すれば、図6に示すように、火力のレベル1と2ではストローク幅はS1の50%であるS2、レベル3から6ではストローク幅はS1となるように変更手段36を制御する。ここでS2はS1の50%としたが、S1より短いその他の割合であってもよい。
【0045】
これにより、使用者が操作パネル4で火力のレベルを大火力から小火力にすると、燃焼音や送風用ファンの運転音が小さくなる中で、汲み上げポンプ18の駆動音も小さく抑えることができ、小火力時の器具全体の静音化が可能となる。
【0046】
〔第3の実施形態〕
次に、第3の実施形態ついて説明する。
まず、汲み上げポンプ18の駆動開始時におけるストローク幅の制御について説明する。
【0047】
図7に示すように、制御部35は、所定の火力で製品が運転中に、汲み上げポンプ18の駆動の開始を指令すると、駆動開始時刻T0では所定のストローク幅S1の50%のストローク幅で駆動を開始し、変更手段36を制御して駆動周波数を変更し緩やかにストローク幅を増し、所定時間経過した時刻T1でストローク幅S1となるようにする。
【0048】
これにより、汲み上げポンプ18の駆動開始時は、小さな駆動音から駆動を開始できるため、オンオフを繰り返す汲み上げポンプ18の駆動開始時の駆動音を目立ちにくくすることができる。
【0049】
なお、時刻T0のストローク幅をS1の50%として説明したが、S1より短いその他の割合であってもよい。
【0050】
次に、第3の実施形態の汲み上げポンプ18の駆動停止時におけるストローク幅の制御について説明する。
【0051】
図8に示すように、制御部35は、所定の火力で製品が運転中に、汲み上げポンプ18の駆動の停止を指令すると、駆動時刻t0では所定のストローク幅S1で駆動しているところから、変更手段36を制御して駆動周波数を変更し緩やかにストローク幅を減少させ、所定時間経過した時刻t1でストローク幅S1の50%となるようにする。
【0052】
これにより、汲み上げポンプ18の駆動停止時は、駆動音を小さくしたあとに駆動を停止できるため、オンオフを繰り返す汲み上げポンプ18の駆動停止時の駆動音を目立ちにくくすることができる。
【0053】
なお、時刻t1のストローク幅をS1の50%として説明したが、S1より短いその他の割合であってもよい。
【0054】
〔第4の実施形態〕
ここまで、第1と第2の実施形態で火力に応じた汲み上げポンプ18の制御と、第3の実施形態で汲み上げポンプ18の駆動開始および停止における制御について説明したが、これらを組み合わせて実施することも可能である。
次に、第2の実施形態と第3の実施形態を組み合わせた第4の実施形態を図9および図10に基づいて説明する。
【0055】
制御部35は、例えば、火力を前記レベル6で運転中で汲み上げポンプ18の駆動を開始する場合は、図9の実線で示すように、駆動開始時刻T0でストローク幅S1の50%のストローク幅で駆動を開始し、変更手段36を制御して駆動周波数を変更し緩やかにストローク幅を増して、所定時間経過した時刻T1でストローク幅S1となるようにする。
【0056】
一方、火力を前記レベル1で運転中で汲み上げポンプ18の駆動を開始する場合は、図9の破線で示すように、駆動開始時刻T0でストローク幅S2の50%のストローク幅で駆動を開始し、変更手段36を制御して駆動周波数を変更し緩やかにストローク幅を増して、所定時間経過した時刻T1でストローク幅S2となるようにする。
【0057】
また、火力を前記レベル6で運転中で汲み上げポンプ18の駆動を停止する場合は、図10の実線で示すように、駆動時刻t0では所定のストローク幅S1で駆動しているところから、変更手段36を制御して駆動周波数を変更し緩やかにストローク幅を減少させ、所定時間経過した時刻t1でストローク幅S1の50%となるようにする。
【0058】
一方、火力を前記レベル1で運転中で汲み上げポンプ18の駆動を停止する場合は、図10の破線で示すように、駆動時刻t0では所定のストローク幅S2で駆動しているところから、変更手段36を制御して駆動周波数を変更し緩やかにストローク幅を減少させ、所定時間経過した時刻t1でストローク幅S2の50%となるようにする。
【0059】
これにより、使用者が操作パネル4で火力のレベルを小火力にすると、燃焼音や送風用ファンの運転音が小さくなる中で汲み上げポンプ18の駆動音も小さく抑えることができ、小火力時の器具全体の静音化が可能となるほか、機器の運転中に駆動のオンオフを繰り返す汲み上げポンプ18の駆動開始時は、小さな駆動音から駆動を開始できるため、駆動開始時の駆動音を目立ちにくくすることができ、また、汲み上げポンプ18の駆動停止時は、駆動音を小さくしたあとに駆動を停止できるため、駆動停止時の駆動音を目立ちにくくすることができる。
【0060】
なお、図9の時刻T0およびT1のストローク幅は、火力に応じて異なるが、火力に関わらず一定のストローク幅であってもよい。同様に図10の時刻t0、t1のストローク幅は、火力に応じて異なるが、火力に関わらず一定のストローク幅であってもよい。
【0061】
〔別の実施形態〕
次に、汲み上げポンプ18のプランジャ23のストローク幅を変更する変更手段36の別の具体的構成について説明する。前述した第1から第4の実施形態では、電磁コイル25の駆動周波数の変更によってプランジャ23のストローク幅を変更する内容を示したが、電磁コイル25の電源電圧を変更する場合と、電磁コイル25のオンタイムを変更する場合について、それぞれ説明する。
【0062】
まず、電磁コイル25の電源電圧を変化させた場合を説明する。
変更手段36は、電源電圧可変回路を有し、汲み上げポンプ18の電磁コイル25の電源電圧を変更することで前記ストローク幅の変更を行う。
電源電圧を上げると電磁コイル25の電磁力が強くなり、プランジャ23を引く力が強くなりストローク幅が長くなって、振動が大きくなり駆動音も増加する。
一方、電源電圧を下げると、電磁コイル25の電磁力が弱くなり、プランジャ23を引く力が弱くなりストローク幅が短くなって、これにより振動も小さくなり駆動音を減少させることができる。
これにより、前述した駆動周波数の変更の場合と同様に、電源電圧を変化させることで、プランジャ23のストローク幅を変更することができる。
【0063】
次に、電磁コイル25のオンタイムを変化させた場合を説明する。
変更手段36は、オンタイム可変回路を有し、汲み上げポンプ18の電磁コイル25のオンタイムを変更することで前記ストローク幅の変更を行う。
オンタイムを長くすると、電磁コイル25の電磁力によるプランジャ23を引く時間が長くなりストローク幅が長くなって、振動が大きくなり駆動音も増加する。
一方、オンタイムを短くすると、プランジャ23を引く時間が短くなりストローク幅が短くなって、これにより振動も小さくなり駆動音を減少させることができる。
これにより、前述した駆動周波数の変更の場合と同様に、オンタイムを変化させることで、プランジャ23のストローク幅を変更することができる。
【0064】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 暖房機
15 レベラタンク
16 燃料ポンプ
17 油面センサ
18 汲み上げポンプ
23 プランジャ
35 制御部
36 変更手段
図1
図2
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