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特許7227126モノテルペノイド/フェニルプロパノイド含有化合物およびそれらの製造方法、および種子処理剤としての使用
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  • 特許-モノテルペノイド/フェニルプロパノイド含有化合物およびそれらの製造方法、および種子処理剤としての使用 図1
  • 特許-モノテルペノイド/フェニルプロパノイド含有化合物およびそれらの製造方法、および種子処理剤としての使用 図2
  • 特許-モノテルペノイド/フェニルプロパノイド含有化合物およびそれらの製造方法、および種子処理剤としての使用 図3
  • 特許-モノテルペノイド/フェニルプロパノイド含有化合物およびそれらの製造方法、および種子処理剤としての使用 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】モノテルペノイド/フェニルプロパノイド含有化合物およびそれらの製造方法、および種子処理剤としての使用
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/12 20060101AFI20230214BHJP
   A01N 37/06 20060101ALI20230214BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20230214BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20230214BHJP
   A01P 7/00 20060101ALI20230214BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A01N37/12
A01N37/06
A01N25/00 102
A01N25/00 101
A01N25/02
A01P7/00
A01P17/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019511625
(86)(22)【出願日】2017-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 US2017048291
(87)【国際公開番号】W WO2018039391
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-08-24
(31)【優先権主張番号】62/378,541
(32)【優先日】2016-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518018953
【氏名又は名称】キットリッチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】KITTRICH CORPORATION
【住所又は居所原語表記】1585 W Mission Blvd. Pomona, CA 91766 USA
(73)【特許権者】
【識別番号】591158276
【氏名又は名称】アイオア・ステート・ユニバーシティー・リサーチ・ファンデーション・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】IOWA STATE UNIVERSITY RESEARCH FOUNDATION INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】コーツ,ジョエル・アール
(72)【発明者】
【氏名】クリマヴィックズ,ジェームズ・エス
(72)【発明者】
【氏名】ノリス,エドモンド・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ベセット,スティーヴン・エム
(72)【発明者】
【氏名】リンジィ,エイ・デイヴィッド
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】KUMBHAR P.P. et al,Journal of Scientific & Industrial Research,2001年,vol.60,pp645-648
【文献】MORE H.D et al,Russian Journal of Generarl Chemistry,2004年,vol.74,No.2,pp217-218
【文献】LEE S. et al.,Doctoral Thesis, Iowa State University,1998年,51,64-65
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体および式(I):
【化1】
(式中、
は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Lは、以下の構造を有するポリエステル含有連結部分であり、
【化2】
ここでRは、当該ポリエステル含有連結部分の一端に結合しており、L’は当該ポリエステル含有連結部分の他端に結合しており、
ここでL’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルもしくはシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、トリカルボン酸およびポリカルボン酸らなる群から選択され、
ここで、mは、2~6であり、並びに
ここでQは、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のC ~C アルキル、分岐状もしくは非分岐状のC ~C ケトンおよび分岐状もしくは非分岐状のC ~C アミンからなる群から選択される
の化合物を含む組成物で処理した種子に昆虫を暴露させる工程を備える、昆虫を死滅させるまたは忌避する方法。
【請求項2】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、Qが-(CH-であり、nが0~4である、方法。
【請求項3】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、Qが、
【化3】
からなる群から選択される、方法。
【請求項4】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、Qが、
【化4】
からなる群から選択される、方法。
【請求項5】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、L’がトリカルボン酸部分であり、mが3である、方法。
【請求項6】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、L’が
【化5】
からなる群から選択されるトリカルボン酸部分である、方法。
【請求項7】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、L’が、ポリカルボン酸部分であり、カルボン酸部分の数がmより大きい数であり、それにより1つまたは複数のカルボン酸部分が非エステル化型である、方法。
【請求項8】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって
非エステル化カルボン酸がプロトン化されているか、またはカルボン酸塩である方法。
【請求項9】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、当該非エステル化カルボン酸が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅またはアミン対イオンとのカルボン酸塩である、方法。
【請求項10】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、当該非エステル化カルボン酸が、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミンおよびメチルアミンからなる群から選択されるアミンとのカルボン酸塩である、方法。
【請求項11】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、L’が、それが結合しているエステルと一緒になって、少なくとも4つのカルボン酸基を有するカルボン酸部分である、方法。
【請求項12】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、mが4~6である、方法。
【請求項13】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、L’はポリカルボン酸部分であり、L’中のカルボン酸部分の数はmの数よりも大きく、1つまたは複数のカルボン酸部分が非エステル化の状態にあり、当該非エステル化カルボン酸部分がカルボン酸塩である、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、当該カルボン酸塩が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅またはアミン対イオンである、方法。
【請求項15】
請求項に記載の通りに処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、当該化合物が、
【化6】
からなる群から選択される構造を有する、方法。
【請求項16】
担体と、
以下からなる群:ジゲラニルスクシネート、アジピン酸ジシンナミル、アジピン酸ジチミル、ジチミルスクシネート、ジオイゲニルスクシネート、オイゲニルヒドロゲンスクシネート、オイゲニルスクシネート、カルバクロールスクシネート、チミルヒドロゲンスクシネート、カルバクロールヒドロゲンスクシネート、シンナミルヒドロゲンスクシネート、ジメンチルスクシネート、エチレンジシトロネレート、エチレンジシンナメート、ヘキサシトロネロイルイノシトール、トリシンナモイルグリセロール、ジシトロネロイルヒドロキイノン、ヘキサシンナモイルイノシトール、トリシトロネロイルグリセロール、ジシトロネロイルグリセロール、シンナミルシトロネリルエーテル、オイゲニルシトロネレート、シトロネリルシトロネレート、ピペロニルシトロネレート、チミルシトロネレート、チミルシンナメート、カルバクリルシトロネレート、グリセロールトリスシトロネレート、イノシトールヘキサシトロネレート、シトロネリルミリステート、シンナミルミリステートおよびメンチルミリステートから選択される化合物と
を含む種子処理組成物。
【請求項17】
担体と、
以下からなる群:ジゲラニルスクシネート、アジピン酸ジシンナミル、アジピン酸ジチミル、ジチミルスクシネート、ジオイゲニルスクシネート、オイゲニルヒドロゲンスクシネート、オイゲニルスクシネート、カルバクロールスクシネート、チミルヒドロゲンスクシネート、カルバクロールヒドロゲンスクシネート、シンナミルヒドロゲンスクシネート、ジメンチルスクシネート、エチレンジシトロネレート、エチレンジシンナメート、ヘキサシトロネロイルイノシトール、トリシンナモイルグリセロール、ジシトロネロイルヒドロキイノン、ヘキサシンナモイルイノシトール、トリシトロネロイルグリセロール、ジシトロネロイルグリセロール、シンナミルシトロネリルエーテル、オイゲニルシトロネレート、シトロネリルシトロネレート、ピペロニルシトロネレート、チミルシトロネレート、チミルシンナメート、カルバクリルシトロネレート、グリセロールトリスシトロネレート、イノシトールヘキサシトロネレート、シトロネリルミリステート、シンナミルミリステートおよびメンチルミリステートから選択される化合物と
を含む種子処理組成物でその外表面を処理された植物種子
【請求項18】
担体と、
以下からなる群:ジゲラニルスクシネート、アジピン酸ジシンナミル、アジピン酸ジチミル、ジチミルスクシネート、ジオイゲニルスクシネート、オイゲニルヒドロゲンスクシネート、オイゲニルスクシネート、カルバクロールスクシネート、チミルヒドロゲンスクシネート、カルバクロールヒドロゲンスクシネート、シンナミルヒドロゲンスクシネート、ジメンチルスクシネート、エチレンジシトロネレート、エチレンジシンナメート、ヘキサシトロネロイルイノシトール、トリシンナモイルグリセロール、ジシトロネロイルヒドロキイノン、ヘキサシンナモイルイノシトール、トリシトロネロイルグリセロール、ジシトロネロイルグリセロール、シンナミルシトロネリルエーテル、オイゲニルシトロネレート、シトロネリルシトロネレート、ピペロニルシトロネレート、チミルシトロネレート、チミルシンナメート、カルバクリルシトロネレート、グリセロールトリスシトロネレート、イノシトールヘキサシトロネレート、シトロネリルミリステート、シンナミルミリステートおよびメンチルミリステートから選択される化合物と
を含む、昆虫を死滅させるまたは忌避する種子処理組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本特許出願は、2016年8月23日に出願の米国仮特許出願第62/378,541号の優先権を主張する。上記の先行する仮特許出願の全開示内容、および該仮特許出願の優先権を主張する他のすべての並行して出願された非仮特許出願は、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
[0002]開示される実施形態は、モノテルペノイドおよび/またはフェニルプロパノイド部分を有する化合物、ならびにそれらの製造および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]多くの植物精油は、モノテルペンまたはモノテルペノイド化合物を含有し、それらのいくつかは殺虫性を有する。それらの効力は、従来の合成殺虫剤のそれよりも典型的に低いが、充分な用量で害虫に送達されたとき、ほぼ同等の昆虫の死亡または制御をもたらす効果を発揮する。
【0004】
[0004]場合によっては、かかる化合物は揮発性であり、急速に生分解されやすく、それにより実質的に殺虫性のない残留物となる。残留物が生じないことは、多くの用途シナリオにおいて好ましい特徴であるが、ある特定の状況では、いくつかの持続的または徐放機構が、これらのモノテルペノイドをより有用なものとし、また新しい市場機会を開拓する。これらの特性は、種子処理剤としてのそれらの使用を可能とし、土壌におけるより長期間の残留特性を可能にする。
【0005】
[0005]例えば、ビス-エステル、トリス-エステル、テトラキス-エステル、ペンタキス-エステルおよびヘキサキス-エステルなどの「複合」分子としての低揮発性エステルの例示的実施形態の開発は、殺虫性化合物の昆虫摂取、および昆虫の腸内におけるその後の殺虫性モノマーの代謝的放出を可能にした。次いで、これらの分子の一部は、その各環境において親テルペノイドに分解され、毒物/忌避剤として作用しうる。
【0006】
[0006]開示される実施形態は、従来技術における1つまたは複数の欠点を克服すると考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]開示される実施形態の一態様は、式(I):
【0008】
【化1】
(式中、
は、各々独立してフェニルプロペノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Lは、
【0009】
【化2】
の構造を有するポリエステル含有連結部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である)
の化合物に関する。
【0010】
[0008]開示される実施形態の別の態様は、式(II):
【0011】
【化3】
の構造を有する化合物を製造する方法に関する。
【0012】
[0009]この方法は、
-OHとL’-(COOH)とを、または
-OHと
【0013】
【化4】
とを、式(III)の構造を有する化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含み、
ここで、Rは、モノテルペノイドまたはフェニルプロペノイド部分であり、
L’は、分岐状または非分岐状の飽和または不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
mは、2~6である。
【0014】
[0010]開示される実施形態のさらなる態様は、式(III):
【0015】
【化5】
(式中、
は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Qは、分岐状または非分岐状の飽和または不飽和のC~Cアルキル、分岐状または非分岐状のC~Cケトン、および分岐状または非分岐状のC~Cアミンからなる群から選択される)
の化合物に関する。
【0016】
[0011]開示される実施形態の別の態様は、式(IV):
【0017】
【化6】
(式中、
Aは、-O-Rまたは
【0018】
【化7】
であり、
は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
は、フェニルプロパノイドもしくはモノテルペノイド部分であるか、またはM、置換もしくは非置換のC~C非分岐状もしくは分岐状アルキル、置換もしくは非置換のC~C非分岐状もしくは分岐状アルケニル、置換もしくは非置換のC~C非分岐状もしくは分岐状アルキニル、置換もしくは非置換のC~C非分岐状もしくは分岐状シクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、および置換もしくは非置換のC~C非分岐状もしくは分岐状シクロアルケニルからなる群から選択され、
Mは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅およびアミンからなる群から選択される対イオンであり、
Aが
【0019】
【化8】
である場合、化合物は
【0020】
【化9】
ではない)
の化合物に関する。
【0021】
[0012]開示される実施形態のさらなる態様は、以下の式(V):
【0022】
【化10】
の構造を有する化合物を製造する方法に関する。
【0023】
[0013]この方法は、
-COOHをL’-(OH)と、または
【0024】
【化11】
をL’-(OH)と、式(V)の化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含み、ここで、
[0014]Rは、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
mは、2~6である。
【0025】
[0015]開示される実施形態の別の態様は、昆虫を死滅させる方法に関する。この方法は、開示される殺虫剤組成物をある位置に提供して、昆虫などの無脊椎動物を誘引することを含む。その昆虫は、餌に誘引され、餌を消費し、その消費された殺虫剤組成物により死滅する。
【0026】
[0016]開示される実施形態のさらなる態様は、外表面上に種子処理組成物を含む植物種子に関する。昆虫は、殺虫性種子処理剤を摂食するかまたはそれと接触し、死滅する。さらに、植物種子に施用されたこの残留殺虫剤の分解生成物は昆虫害虫に対して忌避作用があり、さらに昆虫害虫が対象とする植物の根組織を摂食するのを防止することができる。
【0027】
[0017]開示される実施形態は、生物学的起源から得られるモノテルペノイドからの、種々な節足動物種に対する毒性餌製剤として提供される殺虫性化合物として使用するためのオリゴエステルの合成に関する。
【0028】
[0018]例示の実施形態によれば、用いられる主なモノテルペノイドおよびフェニルプロパノイド分子は、シトロネル酸、桂皮酸、チモール、オイゲノール、ゲラニオール、メントールおよびカルバクロールである。ポリエステルは、モノテルペノイド酸またはモノテルペノイドアルコールまたはフェノールから直接に合成することができる。偽二量体および偽三量体は、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセロールを、シトロネル酸、桂皮酸またはゲラン酸でエステル化することにより合成されていた。2つのケイ皮酸、2つのシトロネル酸または2つのゲラン酸分子が、1つのグリコールによりエステル化されるとき(または、それらの3つがグリセロールによりエステル化されるとき)、得られたジエステル(トリエステル、ポリエステル)は、モノテルペノイド分子より非常に低い揮発性および高い安定性を有する。開示され、また開示される実施形態に従い合成される化合物の範囲には、逆エステルも含まれ、それは単純な有機ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸)と、モノテルペノイドアルコールまたはフェノールの分子から設計された。例えば、アルコールとしては、シンナミルアルコール、リナロオール、ゲラニオール、メントールなどが含まれ、一方フェノールとしてはカルバクロール、チモールまたはオイゲノールが含まれうる。
【0029】
[0019]本願明細書において開示されるある特定の例示的実施形態により、節足動物、例えばハエ、ゴキブリおよび蚊などの昆虫による、摂取に対する天然モノテルペノイド殺虫剤の改善された餌受容が達成される。一実施形態では、これらの害虫による化合物の摂取により、昆虫の中腸においてエステルが加水分解され、個々のモノテルペノイド殺虫剤が放出され、その後に害虫に対する毒性がもたらさされる。
【0030】
[0020]例示的実施形態の成分部分はいずれも、天然物であるか、または天然物から誘導されたものであってもよく、そのいくつかは、米国環境保護庁のExempt List 25bおよび/または米国食品医薬品局のGenerally Recognized As Safe(GRAS)リストに含まれ、そこには、食品、風味剤、香味料および化粧品の産業において広く使用され、消費者の使用に安全であると考えられている油脂および化合物が含まれる。
【0031】
[0021]例示的実施形態としては、ビス-、トリス-、テトラ-、ペンタ-およびヘキサキスエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】[0022]種子処理剤としての各種モノテルペノイド誘導体の有効性を示すグラフである。トウモロコシの種子がこれらの各種化合物で処理されると、これらの化合物は、ウエスタンコーンルートワーム(western corn rootworm)を死滅させることができる。多くのモノテルペノイド誘導体が、対照と比較して顕著な死虫率を生じることができる。
図2】[0023]選択されたモノテルペノイド誘導体が、これらの化合物で処理された種子に曝露したウエスタンコーンルートワームの発達および成長を調節する能力を示す代表的なグラフである。各生活段階の幼虫の百分率が、対照よりも顕著に異なっていた。
図3】[0024]ウエスタンコーンルートワーム忌避性アッセイにおける、処理済側および未処理側のトウモロコシを訪ねた幼虫の全百分率を示すグラフである。対照と比較し、処理済側に存在したルートワームが顕著に低いパーセンテージであったことから、多くのモノテルペノイド誘導体により、ウエスタンコーンルートワームに対する顕著な忌避性が生じていた。
図4】[0025]忌避性アリーナ内における各種の種子処理剤の殺虫特性を示すグラフである。このデータは、未処理の食物源(未処理側のトウモロコシ)が存在する場合であっても、選抜されたモノテルペノイド誘導体では統計的に有意な死虫率が示されることを示す。
【0033】
[0026]
【発明を実施するための形態】
【0034】
[0027]開示される実施形態は、モノテルペノイドおよび/またはフェニルプロパノイド部分を有する化合物、ならびにそれらの製造方法および使用方法に関する。
【0035】
[0028]具体的には、開示される実施形態は、生物学的供給源に由来するモノテルペノイドおよびフェニルプロパノイド化合物に関する。さらに詳細に後述すように、本願明細書において、開示される実施形態に係るモノテルペノイドおよびフェニルプロパノイド誘導体化合物は特に、全体的および/または局所的に作用する殺虫性および忌避性種子コーティング剤/処理剤などの、殺虫剤および植物保護剤として適する。
【0036】
[0029]本開示の全体を通じて、明確化のため、以下の用語を提供する。
【0037】
[0030]本明細書における用語「モノテルペノイド」は、モノテルペン様物質を指し、モノテルペノイド誘導体ならびにモノテルペノイド類似体を集合的に指すために用いる。モノテルペンとは、非直鎖状の分岐を有する炭素数10の骨格を有する化合物を意味する。モノテルペンとは、技術的には、頭部および尾部で接続される様式で、2つのイソプレン単位を有する化合物を意味する。したがって、モノテルペノイドには、モノテルペン類、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類、エステル類、エーテル類、酸類、酸素官能基のない炭化水素類などが含まれうる。ある特定のフェノール化合物(例えばオイゲノール、チモールおよびカルバクロール)は、それらの機能がモノテルペノイドと本質的に同様であるため、一般にモノテルペノイドと称される。しかしながら、それらは同じイソプレン生合成経路により合成されず、むしろチロシンからのフェノールにより生成するため、これらの化合物は技術的に「モノテルペノイド」(または「モノテルペン」)ではない。しかしながら、本明細書では一般的な慣行に従う。
【0038】
[0031]用語「モノテルペノイドアルコール」は、天然に存在するいかなるモノテルペノイドまたはフェニルプロパノイドアルコールまたはフェノールを意味し、例えば、限定されないが、以下のものが含まれる:シトロネロール、リナロオール、ゲラニオール、ネロールおよびラバンジュロールを含む非環式不飽和モノテルペノイド、カルベオール、ピノカルベオール、ミルセノール、ミルテノール、α-テルピネオール、4-テルペニオール、ベルベノールおよびペリリルアルコールを含む単環式または二環式不飽和モノテルペノイド、メントール、フェンコール、ボルネオール、イソボルネオールおよびミルタノールを含む単環式または多環式飽和モノテルペノイド、チモール、カルバクロールまたは4-イソプロピル-3-メチルフェノールを含むイソプロピルクレゾール、いずれかの異性体ツヤプリシンなどのシクロヘプタトリエノロン、オイゲノール、イソオイゲノール、シンナミルアルコール、コニフェリルアルコール、ジンゲロン、ウンベリフェロン、クマリルアルコールおよびカビコールを含むフェニルプロパノイドアルコールまたはフェノール、または、バニリン、エチルバニリン、ピペロニルアルコールまたはシリングアルデヒドを含む、フェニルプロパノイドの天然の植物代謝により産生されるアルコールまたはフェノール。
【0039】
[0032]さらに、O-アルキル化およびO-アシル化モノテルペノイド、例えば、限定されないが、カルボン酸部分またはエステル部分を含有するエーテル化モノテルペノイド、ならびにカルボン酸部分を含有するモノテルペノイドのオリゴエステルは、本明細書においてモノテルペノイド誘導体と称される。
【0040】
[0033]用語「フェニルプロパノイド」は、アミノ酸であるフェニルアラニンから植物により合成される様々なグループの有機化合物を意味する。それらの名称は、炭素数6の芳香族フェニル基、および桂皮酸の炭素3のプロペン尾部に由来し、それはフェニルプロパノイド生合成の第1の段階においてフェニルアラニンから合成される。フェニルプロパノイドは植物界全体にわたって見出され、それらは多くの構成的ポリマーの必須成分として機能し、紫外線からの保護をもたらし、草食動物および病原体に対する防御を行い、また花の色素および臭気化合物として、植物-花粉媒介昆虫間の相互作用を仲介する。
【0041】
[0034]一実施形態によれば、開示される実施形態に係る化合物の、モノテルペノイドおよび/またはフェニルプロパノイド部分は、生物学的な供給源、例えば葉組織、茎組織、塊根組織またはそれらの混合物から得られる、植物性揮発性物質または植物精油の構成成分に由来する。
【0042】
[0035]本明細書で用いる「アルキル」という用語は、直鎖状または分岐状であってもよい、脂肪族炭化水素基を意味する。特に断りのない限り、該用語は2~7個の炭素のアルキル基を指す。例示的なアルキル基としては、限定されないが、例えば、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル基などが挙げられる。
【0043】
[0036]用語「アルケニル」は、炭素-炭素間二重結合を含有する脂肪族炭化水素基を意味し、それは鎖中に炭素原子2~約7個の直鎖状または分岐鎖状の基であってもよい。非限定的な、例示的なアルケニル基のとしては、エテニル、プロペニル、n-ブテニル、イソプレンおよびi-ブテニルが挙げられる。「アルケニル」の用語は、少なくとも1つの二重結合と少なくとも1つの三重結合とを含有する、炭素2~7個の炭化水素鎖を指す場合もある。
【0044】
[0037]用語「アルキニル」は、炭素-炭素間三重結合を含有する脂肪族炭化水素基を意味し、それは鎖中に炭素原子約3~約7個の直鎖状または分岐鎖状の基であってもよい。非限定的な、例示的なアルキニル基としては、プロピニル、n-ブチニル、2-ブチニル、3-メチルブチニル、プロパルギルおよびn-ペンチニルが挙げられる。
【0045】
[0038]用語「シクロアルキル」は、非芳香族の、飽和または不飽和の、炭素原子約3~約7個の単環または多環式の環系を意味する。例示的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
[0039]用語「シクロアルケニル」は、約3~約7個の炭素原子の、非芳香族の、不飽和の、単環または多環式の環系を意味する。例示的なシクロアルケニル基としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
[0040]用語「ヘテロアリール」は、約5~約19個の環原子、または約5~約10個の環原子を有する、芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、該環系中の原子の1個または複数が、炭素以外の、例えば窒素、酸素または硫黄などの元素である。多環式の環系の場合、「ヘテロアリール」として定義される環系のためには、1つの環のみが芳香族であればよい。具体的には、ヘテロアリールは約5~6個の環原子を含有する。ヘテロアリールの前に接頭辞「アザ」、「オキサ」、「チア」または「チオ」が付されるときは、それぞれ、少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリール環の窒素、炭素または硫黄原子は、任意に酸化されてもよく、窒素は、任意に四級化されてもよい。適切なヘテロアリールとしては、ピリジル、2-オキソ-ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリニル、2-オキソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシニル、ベンゾ[1,2,3]トリアジニル、ベンゾ[1,2,4]トリアジニル、4H-クロメニル、インドリジニル、キノリジニル、6aH-チエノ[2,3-d]イミダゾリル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、チエノ[2,3-b]フラニル、チエノ[2,3-b]ピリジニル、チエノ[3,2-b]ピリジニル、フロ[2,3-b]ピリジニル、フロ[3,2-b]ピリジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、フロ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-b]ピラジニル、イミダゾ[1,2-a]ピラジニル、5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジニル、6,7-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[5,1-c][1,4]オキサジニル、2-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾ[d]オキサゾリル、3,3-ジメチル-2-オキソインドリニル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジニル、3-オキソ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン-2(3H)-イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
[0041]本明細書において使用する「単環式」という用語は、一個の環を有する分子構造を示す。
【0049】
[0042]本明細書において使用する「多環式(polycyclic)」または「多環式(multi-cyclic)」という用語は、限定されないが、2個以上の環が融合した、架橋された、またはスピロ構造を有する分子構造を示す。
【0050】
[0043]本明細書で用いられる用語「ハロゲン」には、フッ素、臭素、塩素およびヨウ素が含まれるものとし、一方、用語「ハロゲン化物」には、フッ化物、臭化物、塩化物およびヨウ化物アニオンが含まれるものとする。
【0051】
[0044]用語「置換された」をいうときは、具体的には、従来技術において一般的な1つまたは複数の置換が想定され、許容される。しかしながら、当該置換基が、化合物の有用な特徴に悪影響を及ぼさず、またはその機能を妨げないように選択されなければならないことは、当業者により一般的に理解されることである。例えば、適切な置換基としては、以下のものが挙げられうる:ハロゲン基、ペルフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ群、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、オキソ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリールまたはヘテロアリール基、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、アラルキルまたはヘテロアラルキル基、アラルコキシまたはヘテロアラルコキシ基、アミノ基、アルキル-およびジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シクロアルキル基、シアノ基、C1~C6アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、ケト基、アシル基、ボロナートまたはボロニル基、ホスフェートまたはホスホニル基、スルファニル基、スルホニル基、スルフィニル基、およびそれらの組合せ。置換した組合せ(例えば「置換アリールアルキル」)の場合、1つまたは複数の置換基により、アリールまたはアルキル基が置換される場合も、またはアリールおよびアルキル基の両方が置換される場合もある。さらに、場合によっては、当業者に公知の適切な置換基を組み合わせて1つまたは複数の環を形成させてもよい。
【0052】
[0045]一実施形態によれば、化合物が置換されるということは、ある基が、基内の置換可能な原子において置換基を有してもよい(単一の原子上に複数の置換基を有することを含む)ことを意味するが、ただし、指定された原子の通常の価数を超えることはなく、また各置換基と他のものとの同一性は問わない。例えば、各残基内の最大3つの水素原子が、例えばアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、カルボキシ、カルボアルコキシ(またアルコキシカルボニルと称される)、カルボキサミド(またアルキルアミノカルボニルとも称される)、シアノ、カルボニル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メルカプト、アルキルチオ、スルホキシド、スルホン、アシルアミノ、アミジノ、フェニル、ベンジル、ヘテロアリール、フェノキシ、ベンジルオキシまたはヘテロアリールオキシなどの置換基で置き換えられる。置換基がケト(すなわち=O)である場合は、次いで、原子上の2つの水素が置き換えられる。置換基および/または変動基の組合せは、かかる組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容され、ここで「安定な化合物」とは、反応混合物の状態から適切な純度の状態にまで化合物を単離し、適切に使用できる薬剤にまで製剤化する際に、十分に堅牢で維持される化合物を意味する。
【0053】
[0046]ある特定の実施態様によれば、化合物は非置換型である。「非置換の」原子は、それらの価数によって該当する個数の水素原子を担持する。
【0054】
[0047]用語「化合物」およびそれと同等の表現は、本明細書において記載される化合物を包含することを意味する。また、文脈から許容される限り、化合物の塩、酸化物、溶媒和物(例えば水和物)および包接錯体、ならびにあらゆる立体異性体の形態、または任意の比率によるその化合物の任意のそのような形態の混合物も包含される。包接錯体は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第19版 1:176~177ページ(1995)に記載され、参照によりその全体を本明細書に組み込む。最も一般的に用いられる包接錯体は、シクロデキストリンによるものであり、すべてのシクロデキストリン錯体は、天然物および合成物を問わず、本明細書に開示される化合物に具体的に包含される。
【0055】
[0048]本明細書において記載される化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含む場合があり、ゆえにエナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体を生じうる。各キラル中心は、(R)-または(S)-として、その絶対立体配置が定義されうる。これは、すべてのそのような可能な異性体が、それらのラセミ混合物、および光学的に純粋な形態で含まれることを意味する。光学的に活性な(R)-および(S)-、(-)-および(+)-、または(D)-および(L)-異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製することができ、または従来公知の技術を使用して分割することができる。本明細書において記載される化合物が、オレフィン二重結合、または他の幾何学的に非対称の中心を含有するとき、特に明記しない限り、該化合物がEおよびZ体の幾何異性体の両方をすることを意味するものとする。同様に、すべての互変異性型も含まれることを意味するものとする。
【0056】
[0049]開示される実施形態の第1の態様は、式(I):
【0057】
【化12】
(式中、
は、各々独立にフェニルプロペノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Lは、
【0058】
【化13】
の構造を有するポリエステル含有連結部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である)
の化合物に関する。
【0059】
[0050]当業者であれば、mが2である場合、式(I)の化合物は、以下の構造
【0060】
【化14】
を有し、
mが3である場合、式(I)の化合物は、以下の構造
【0061】
【化15】
を有することを理解するであろう。
【0062】
[0051]この態様の一実施形態によれば、化合物は、式(II):
【0063】
【化16】
(式中、
は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である)
の構造を有する。
【0064】
[0052]当業者であれば、mが2である場合、式(II)の化合物は、以下の構造
【0065】
【化17】
を有し、
mが3である場合、式(II)の化合物は、以下の構造
【0066】
【化18】
を有することを理解するであろう。
【0067】
[0053]具体的実施形態では、L’は、それが結合しているエステルと一緒になって、
【0068】
【化19】
(式中、
Qは、分岐状または非分岐状の飽和または不飽和のC~Cアルキル、分岐状または非分岐状のC~Cケトン、および分岐状または非分岐状のC~Cアミンからなる群から選択される)
である。
【0069】
[0054]より具体的な実施形態では、Qは-(CH-であり、nは0~4である。
【0070】
[0055]さらに別の特定の実施態様において、Qは、
【0071】
【化20】
からなる群から選択される。
【0072】
[0056]さらに別の具体的実施態様において、Qは、
【0073】
【化21】
からなる群から選択される。
【0074】
[0057]式(II)の化合物の一実施形態によれば、少なくとも1つのRは、フェニルプロパノイド部分である。
【0075】
[0058]式(II)の化合物の別の実施形態によれば、少なくとも1つのRは、モノテルペノイド部分である。
【0076】
[0059]具体的な一実施形態では、L’はトリカルボン酸部分であり、mは3である。
【0077】
[0060]別の具体的実施形態では、L’は、それが結合しているエステルと一緒になって、
【0078】
【化22】
からなる群から選択されるトリカルボン酸部分である。
【0079】
[0061]式(II)の化合物の一実施形態によると、L’は、それが結合しているエステルと一緒になって、ポリカルボン酸部分であり、カルボン酸部分の数は、mの数より大きく、それにより、1つまたは複数のカルボン酸部分は非エステル化型である。
【0080】
[0062]具体的な一実施態様において、mは2であり、L’はトリカルボン酸部分であり、非エステル型のカルボン酸は、プロトン化されているか、またはカルボン酸塩である。適切な非エステル型のカルボン酸としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅またはアミン対イオンを有するカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。非エステル型のカルボン酸は、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミンおよびメチルアミンからなる群から選択されるアミンを有するカルボン酸塩であってもよい。
【0081】
[0063]別の具体的実施形態では、L’は、それが結合しているエステルと一緒になって、少なくとも4つのカルボン酸基を有するカルボン酸部分である。
【0082】
[0064]さらに別の具体的実施形態では、mは4~6である。
【0083】
[0065]一実施形態では、1つまたは複数の非エステル型のカルボン酸部分は、カルボン酸塩である。適切なカルボン酸塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅またはアミン対イオンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
[0066]式(II)の化合物の一実施形態では、mは4~6である。
【0085】
[0067]式(II)の化合物としては、以下の表1に記載される具体的化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
[0068]
【0087】
【表1-1】
【0088】
【表1-2】
この態様の別の実施形態によれば、前記化合物は、式(III):
【0089】
【化23】
(式中、
は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
L’は、分岐状または非分岐状の飽和または不飽和のアルキルまたはクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
mは、2~6である)
の構造を有する。
【0090】
[0069]式(III)の化合物の具体的実施形態では、mは2である。
【0091】
[0070]当業者であれば、mが2である場合、式(III)の化合物が
【0092】
【化24】
の構造を有し、
mが3である場合、式(III)の化合物が
【0093】
【化25】
の構造を有することを理解するであろう。
【0094】
式(III)の化合物のより具体的な実施形態では、L’は、
【0095】
【化26】
からなる群から選択される。
【0096】
式(III)の化合物の別の具体的実施形態では、mは3である。
【0097】
より具体的な実施形態では、L’は、
【0098】
【化27】
からなる群から選択される。
【0099】
[0071]式(III)の化合物のさらに別の具体的実施形態では、L’は単糖部分であり、R1とエステルを形成する該単糖部分の2つ以上のヒドロキシル基は、L’の部分ではない。
【0100】
[0072]より具体的な実施形態では、単糖部分は、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、リブロースおよびキシルロースからなる群から選択されるペントースである。
【0101】
[0073]さらに別の具体的実施形態では、単糖部分は、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、タロース、イドース、ソルボース、フラクトース、プシコースおよびタガトースからなる群から選択されるヘキソースである。
【0102】
[0074]式(III)の化合物の別の具体的実施形態では、L’は二糖部分であり、R1とエステルを形成する二糖部分のヒドロキシル基は、L’の部分ではない。
【0103】
[0075]より具体的な実施形態では、二糖部分は、スクロース、マルトースおよびラクトースからなる群から選択される。
【0104】
[0076]式(III)の化合物の具体的実施形態では、L’は糖アルコール部分であり、R1とエステルを形成する糖アルコール部分のヒドロキシル基は、L’の部分ではない。
【0105】
[0077]より具体的な実施形態では、糖アルコールは、ソルビトール、イノシトール、エリトリトール、リビトール、トレイトール、アラビトールおよびキシリトールからなる群から選択される。
【0106】
[0078]式(III)の化合物の具体的実施形態では、少なくとも1つのR1は、
【0107】
【化28】
からなる群から選択される非環式モノテルペノイド部分である。
【0108】
[0079]式(III)の化合物の具体的実施形態では、少なくとも1つのRは、
【0109】
【化29】
からなる群から選択される単環式または二環式モノテルペノイド部分である。
【0110】
[0080]式(III)の化合物の具体的実施形態では、少なくとも1つのRは、以下の構造:
【0111】
【化30】
(式中、Rは、H、OH、OMeまたはOEtである)を有する。
【0112】
[0081]式(III)の化合物の具体的実施形態では、少なくとも1つのRは、以下の構造:
【0113】
【化31】
(式中、
は、OH、OMeまたはOEtであり、
は、H、OHまたはOMeであり、
は、H、OHまたはOMeである)を有する。
【0114】
[0082]より具体的な実施形態では、少なくとも1つのRは、
【0115】
【化32】
からなる群から選択される。
【0116】
[0083]式(III)の化合物の具体的化合物を以下の表2に記載するが、これらに限定されるものではない。
【0117】
【表2-1】
【0118】
【表2-2】
[0084]開示される実施形態の別の態様は、式(IV):
【0119】
【化33】
(式中、
Aは、-O-R
【0120】
【化34】
であり、
は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
は、フェニルプロパノイドもしくはモノテルペノイド部分、または、M、置換もしくは非置換のC~C非分岐状もしくは分岐状のアルキル、置換もしくは非置換のC~C非分岐状もしくは分岐状のアルケニル、置換もしくは非置換のC~C非分岐状もしくは分岐状のアルキニル、置換もしくは非置換のC~C非分岐状もしくは分岐状のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリールおよび置換もしくは非置換のC~C非分岐状もしくは分岐状のシクロアルケニルからなる群から選択され、
Mは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅およびアミンからなる群から選択される対イオンであり、
Aが
【0121】
【化35】
である場合、化合物は
【0122】
【化36】
ではない)
の化合物に関する。
【0123】
[0085]式(IV)の化合物の別の実施態様において、Aは、
【0124】
【化37】
であり、
は、置換または非置換のC~C15非分岐状または分岐状アルキル、置換または非置換のC~C15非分岐状または分岐状アルケニル、置換または非置換のC~C15非分岐状または分岐状アルキニル、置換または非置換のC~C15非分岐状または分岐状シクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、および置換または非置換のC~C15非分岐状または分岐状シクロアルケニルからなる群から選択される。
【0125】
[0086]式(IV)の化合物の別の実施形態において、R1はフェニルプロパノイド部分である。
【0126】
[0087]式(IV)の化合物のさらに別の実施形態において、R1はモノテルペノイド部分である。
【0127】
[0088]より具体的な実施形態では、モノテルペノイド部分は、
【0128】
【化38】
からなる群から選択される。
【0129】
[0089]式(IV)の化合物の別の実施形態では、R1は、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、イソブチル、ブチルおよびtert-ブチルからなる群から選択される。
【0130】
[0090]式(IV)の化合物には、以下の表3に記載する具体的化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0131】
【表3】
開示される実施形態の別の態様は、式(V):
【0132】
【化39】
(式中、
は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Qは、分岐状または非分岐状の飽和または不飽和のC~Cアルキル、分岐状または非分岐状のC~Cケトンおよび分岐状または非分岐状のC~Cアミンからなる群から選択される)
の化合物に関する。
【0133】
[0091]一実施形態では、Qは-(CH2)n-であり、nは0~4である。
【0134】
[0092]別の実施形態では、Qは、
【0135】
【化40】
からなる群から選択される。
【0136】
また別の実施形態では、Qは、
【0137】
【化41】
からなる群から選択される。
【0138】
[0093]開示される実施形態のさらなる態様は、以下の式(II):
【0139】
【化42】
の構造を有する化合物の製造する方法に関する。
【0140】
[0094]この方法は、R-OHとL’-(COOH)とを、または
-OHと
【0141】
【化43】
とを、式(II)の構造を有する化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含み、ここで、
は、各々独立してモノテルペノイドまたはフェニルプロペノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
mは、2~6である。
【0142】
[0095]一実施形態では、この方法は、2当量以上のR-OHと、L’-(COOH)または2当量以上の
【0143】
【化44】
とを、式(II)の構造を有する化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含む。
【0144】
[0096]開示される実施形態の別の態様は、式(III):
【0145】
【化45】
の構造を有する化合物の製造する方法に関する。
【0146】
[0097]この方法は、R-COOHとL’-(OH)とを、または
【0147】
【化46】
とL’-(OH)とを、
【0148】
【化47】
の構造を有する化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含み、
ここで、
は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である。
【0149】
一実施形態では、この方法は、2当量以上のR-COOHとL’-(OH)とを、または2当量以上の
【0150】
【化48】
とL’-(OH)とを、式(III)の構造を有する化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含む。
【0151】
[0098]上記のように、ある特定の例示的化合物は、生物学的な供給源、例えば植物揮発性物質、葉組織、茎組織、塊根組織またはそれらの混合物などから得られる植物精油の構成成分などから誘導できる。
【0152】
[0099]別の実施形態では、より高い分子量、より高い極性または低い揮発性の物質を得るための合成に使用されるモノテルペノイドは、合成供給源から得られる。
【0153】
[00100]上記のように、ある特定の化合物は、モノテルペノイドまたはフェニルプロパノイドの誘導体である。非限定的な例として、本開示に係る化合物は、アルコール含有モノテルペノイドまたはフェニルプロパノイド(例えばチモールなど)
【0154】
【化49】
の誘導体であってもよい。
【0155】
例示的な一実施形態では、チモール誘導体は以下の構造
【0156】
【化50】
(式中、チモールの炭素数10の骨格はモノテルペノイドまたはモノテルペノイド部分を構成し(例えば式(I)のR)、波線
【0157】
【化51】
は残りの分子(例えば式(I)のL)との連結を表す)
を有する。
【0158】
[00101]別の非限定的な例として、化合物は、カルボン酸含有モノテルペノイドまたはフェニルプロパノイド(例えばシトロネル酸)の誘導体であってもよい。
【0159】
【化52】
[00102]別の例示的実施形態では、シトロネル酸誘導体は、
【0160】
【化53】
(式中、シトロネル酸の炭素数9の骨格(カルボン酸の炭素を除く)はモノテルペノイドまたはモノテルペノイド部分を構成し、波線
【0161】
【化54】
は残りの分子(例えば式(I)のL)との連結を表す)の構造を有する。したがって、エステルの方向(すなわちLは
【0162】
【化55】
である)は、本明細書において使用するモノテルペノイドまたはフェニルプロパノイド前駆体(例えばチモールまたはシトロネル酸である)によって指示される。
【0163】
[00103]したがって、例示的化合物は、モノテルペノイドアルコール(すなわちヒドロキシル基含有モノテルペノイド)から、またはモノテルペノイドカルボン酸(すなわちカルボン酸含有モノテルペノイド)から誘導されうる。あるいは、化合物は、フェニルプロパノイドアルコール(すなわちヒドロキシル基含有フェニルプロパノイド)から、またはフェニルプロパノイドカルボン酸(すなわちカルボン酸含有フェニルプロパノイド)から誘導されうる。
【0164】
[00104]開示される実施形態のさらなる態様は、式(V)の化合物と担体とを含む殺虫性種子処理組成物に関する。式(V)の化合物としては、以下の表5に記載される特定の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
【表4】
[00105]具体的実施形態では、適切なエステルとしては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、アミルエステルが挙げられる。
【0166】
[00106]別の具体的実施形態では、適切なカルボン酸塩としては、限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムを含む金属塩が挙げられる。
【0167】
[00107]開示される実施形態の別の態様は、式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の化合物と、担体とを含む殺虫剤組成物に関する。
【0168】
[00108]他の開示される実施形態は、これに限定されないが、植物組織自体における浸透性作用を含む、価値のある植物の根組織を摂食する昆虫を死滅させ、または忌避するように設計された種子処理剤に関する。
【0169】
[00109]多くのモノテルペノイドは、昆虫に対して局所適用した場合、注入した場合、または昆虫が接触する表面に塗布した場合に毒性であることが確認されている。残念なことに、これらの化合物の多くは忌避性が非常に高く、誘引性の餌または種子処理剤に含有させることができない。これらの比較的揮発性の高い化合物を、合成化学プロセスにより分子量または極性を増加させてこれらの分子を低揮発性とすることにより、これらの化合物の忌避性を低下させ、各種の害虫昆虫による摂取を促進することができる。摂取された後、これらの化合物(一実施形態では、エステル結合を加水分解したもの)は毒性および/または忌避性である。これらの化合物は、現在市販されている、主に合成殺虫剤を含有する多くの毒性餌および/または種子処理製剤に対する生物学的代替物となる。
【0170】
[00110]開示される実施形態に係るモノテルペノイド誘導体化合物は、増加した分子量、より高い極性を有し、または、市販の天然物由来/合成された、実験室試験で各種の昆虫用食餌と組み合わせたときに殺虫性を示すことが実証されているモノテルペノイド化合物よりも、揮発性が減少している。これらの新規なモノテルペノイド誘導体化合物は、種子処理剤として製剤中に存在する場合、昆虫が隣接する根組織を摂食する際これらの化合物と接触し、またはそれを摂食する場面において、害虫を効果的に死滅させ、忌避できる。
【0171】
[00111]殺虫剤組成物において、毒性化合物の濃度は、組成物中の約0.01%(w/w)の量から、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、30%、40%または約50%(w/w)、またはそれ以上の量まで、ならびにそれらの間のすべての中間範囲の量で、組成物中に含有させることができる。
【0172】
[00112]種子に施用された殺虫剤組成物により死滅させる標的害虫としては、経済的に有益な作物に損害を与えうる植食性害虫が挙げられる。
【0173】
[00113]「昆虫」とは、頭部、胸郭および腹部を含む3部分にはっきりと分かれた体節を有し、3対の脚のみ、時には翅を有する、例えばカブトムシ、バグ、ミツバチ、ハエ、蚊などの小型の無脊椎動物、という古典的な定義のみならず、そのメンバーが、翅を有さず、通常6本の脚より多いまたは少ない本数の脚を有する、例えば、クモ、マダニ、ムカデ、ワラジムシ、ネマトーダなどの節足動物または他の無脊椎動物の害虫の他の同類のクラスをも包含する意味で用いる。
【0174】
[00114]開示される実施形態に係るさらなる態様は、本明細書において開示される化合物(植物種子に対して毒性がない限り)および担体を含む種子処理組成物に関する。
【0175】
[00115]開示される実施形態のこの態様に係る組成物は、いかなる適切な種子処理形態に製剤化してもよく、限定されないが、液剤、懸濁剤、発泡剤、ペースト剤、またはスラリー剤などが挙げられる。具体的な一実施形態では、組成物は、大規模または小規模な農業および園芸用途に適する様式で製剤化される。
【0176】
[00116]これらの製剤は、例えば、液体組成物を増量剤(すなわち液体溶媒)、圧力下で液化させたガスおよび/または固体担体と混合することにより、公知の様式で製造される。湿潤剤および/または界面活性剤、すなわち乳化剤および/または分散剤、金属イオンキレート剤、可塑剤、光沢剤、流動剤、融合助剤、ワックス剤、充填剤、ポリマー剤、凍結防止薬剤、殺生物剤、増粘剤、粘着剤、および/または発泡剤および消泡剤を、当業者に一般に知られている様式で使用することもできる。使用する増量剤が水である場合、例えば補助溶媒として有機溶剤を用いることも可能である。他の考えられる添加剤としては、鉱物油および植物油、着色剤(例えば無機顔料)および微量栄養素である。
【0177】
[00117]例示的な実施形態として、本明細書において開示される化合物をカプセル封入した殺虫性製剤が含まれる。本明細書において、「カプセル封入した」、または「カプセル封入」、またはそれらのあらゆる活用形は、本明細書において開示される1つまたは複数の化合物を保持できる、あらゆる形状およびサイズの顆粒を指す。かかるカプセル封入の1つの非限定的な例は、マイクロカプセル封入である。適切なマイクロカプセル剤は、本願明細書において開示される化合物を、その重量の30~98%またはそれ以上有し、例えば、イソシアネートまたは他の適切な封入材料の界面重合により調製され、マイクロカプセル封入シェルとすることができる。かかるマイクロカプセルは、0.1~1,000ミクロンの平均サイズを有しうる。
【0178】
[00118]かかる添加剤の性質および作用は、液状製剤の当業者にとり周知である。添加剤は、製剤に含まれる化合物または他のいかなる生物活性成分にも悪影響を与えない。
【0179】
[00119]一実施形態において、製剤中の活性化合物含量は、約0.0000001~20重量%、または約0.0001~15重量%の活性化合物の濃度である。
【0180】
[00120]一実施形態において、種子コーティング組成物は、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺貝剤、誘引剤、殺菌剤、殺微生物剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺真菌剤、および/または成長調整剤などの、有効量の他の農業用または園芸用化学物質と組み合わされる。
【0181】
[00121]様々な殺真菌剤を使用することができる。例えば、全開示内容を参照により本願明細書に組み込む、Fungicide Resistance Action Committee(FRAC)、FRAC CODE LIST 1(FRAC Codeにより整理)、2006年、12月により分類され、リスト化された殺真菌剤が挙げられる。このリストの要約には、以下が含まれる:メチルベンゾイミダゾールカルバメート(MBC):例えばベンズイミダゾールおよびチオファナート;ジカルボキシイミド;脱メチル阻害剤(DMI)(SBI:クラスI):例えばイミダゾール、ピペラジン、ピリジン、ピリミジンおよびトリアゾール;フェニルアミド(PA):例えばアシルアラニン、オキサゾリジノンエステルおよびブチロラクトン;アミン(SBI:クラスII):例えばモルホリン、ピペリジンおよびスピロケトアルアミン;ホスホロ-チオレートおよびジチオラン;カルボキサミド:例えばベンズアミド、フランカルボキサミド、オキサチインカルボキサミド、チアゾールカルボキサミド、ピラゾールカルボキサミドおよびピリジンカルボキサミド;ヒドロキシ-(2-アミノ)ピリミジン;アニリノ-ピリミジン(AP);N-フェニルカルバメート;キノンアウトサイド阻害剤(QoI):例えばメトキシアクリル酸塩、メトキシカルバミン酸塩、オキシイミノアセテート、オキシイミノ-アセトアミド、オキサゾリジンジオン、ジヒドロ-ジオキサジン、イミダゾリノンおよびベンジル-カルバミメート;フェニルピロール;キノリン;芳香族炭化水素(AH)およびヘテロ芳香族I:例えば1,2,4-チアジアゾール;ケイ皮酸;メラニン生合成阻害剤-レダクターゼ(MBI-R):例えばイソベンゾフラノン、ピロロキノリノンおよびトリアゾロベンゾ-チアゾール;メラニン生合成阻害剤-デヒドラターゼ(MBI-D):例えばサイクロプロペイン-カルボキサミド、カルボキサミドおよびプロピオンアミド;ヒドロキシアニリド(SBI:クラスIII);ヒドロキシアニリド(SBI:クラスIV):例えばチオカルバミン酸塩およびアリルアミン;ポリオキシン:例えばペプチジルピリミジンヌクレオシド;フェニルウレア;キノンインサイド阻害剤(QiI):例えばシアノイミダゾールおよびスルファモイル-トリアゾール;ベンズアミド:例えばトルアミド;抗生物質:例えばエノピランウロン酸、ヘキソピラノシル、ストレプトマイシンおよびバリダマイシン;シアノアセトアミド-オキシム;カルバミン酸塩、ジニトロフェニルクロトン酸塩;ピリミジノン-ヒドラゾン;2,6-ジニトロアニリン;有機スズ化合物:例えば、トリフェニルスズ化合物;カルボン酸;複素環式芳香族化合物II:例えばイソオキサゾールおよびイソチアゾロン;ホスホン酸塩:例えばエチルホスホン酸塩および亜リン酸および塩;フタルアミド酸;ベンゾトリアジン;ベンゼンスルホンアミド;ピリダジノン;チオフェン-カルボキサミド;ピリミジンアミド;CAA-殺真菌剤(カルボン酸アミド):例えば、ケイ皮酸アミド、バリンアミドカルバメートおよびマンデル酸アミド;テトラサイクリン;チオカルバン酸塩;ベンズアミド:例えばアシルピコリド;宿主植物防御インデューサー:例えばベンゾチアジアゾールBTH、ベンズイソチアゾールおよびチアジアゾール-カルボキサミド;分類困難な物質:例えばチアゾールカルボキサミド、フェニルアセトアミド、キナゾリノンおよびベンゾフェノン;複数部位接触物質:例えば銅塩、硫黄、ジチオカルバメートおよびその関連物質、フタルイミド、塩化ニトリル(フタロニトリル)、スルファミド、グアニジン、トリアジンおよびキノン(アントラキノン);非分類物質:例えば鉱物油、有機油、重炭酸カリウムおよび生物系物質。当業者であれば、本明細書において開示される様々な例示的実施形態に従い、他の殺真菌剤が製剤化し、または共投与できることを認識するであろう。
【0182】
[00122]一実施形態では、組成物を、ポリマー性物質中にマイクロカプセル封入する。好適なマイクロカプセル封入材料の例としては、代表的なメンバーとして、以下のクラスの材料が提供される。当業者であれば、ポリマー特性を有する他のクラスの材料を使用でき、また各所与ノクラス内の他の材料、および他のクラスのポリマーをマイクロカプセル封入に使用できることは自明である。本明細書において、マイクロカプセル封入とは、ナノカプセル封入のための方法および材料を含むものとする。限定されないが、例として以下が挙げられる:ゴムおよび天然巨大分子:例えばアラビアゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンおよびゼラチン;炭水化物:例えばデンプン、デキストラン、スクロース、コーンシロップおよびβ-シクロデキストリン;セルロースおよび半合成巨大分子:例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテート-フタレート、セルロースアセテート-ブチレート-フタレート、エポキシおよびポリエステル;脂質:例えばワックス、パラフィン、ステアリン酸、モノグリセリド、リン脂質、ジグリセリド、蜜蝋、油、脂肪、硬化油およびレシチン;無機材料:例えば硫酸カルシウム、シリケートおよび粘土;タンパク質:例えばグルテン、カゼイン、ゼラチンおよびアルブミン;生物学的物質、例えばパン酵母および他の微生物などの生物ならびに他のかつては生きていた細胞組織に由来する無効にされた細胞(voided cell)。さらに、これらの材料は単独で使用してもよく、またはマイクロもしくはナノカプセル封入の工程中で他の材料と混合してもよい。
【0183】
[00123]開示される実施形態のさらなる態様は、外表面上に種子処理組成物を含む植物種子に関する。
【0184】
[00124]本明細書においていくつかの実施形態が示され詳述されているが、当業者であれば、各種の変更、追加、置換等が、後記の特許請求の範囲で定義される開示された実施形態の範囲内であると考えられることは明らかである。
【0185】
[00125]本願明細書において記載され、後記の特許請求の範囲に記載される例示的実施形態は、その特徴、要素または工程が本明細書において具体的に開示されているか否かを問わず、最適に実施できることを、本明細書のすべての読者により理解されるであろう。例えば、本願明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などの記載は、記載される実施形態中に、特定の性質、構造または特徴が含まれうるが、すべての実施形態が、これらの特定の性質、構造または特徴を必ずしも含むわけではないことを指すものである。さらに、かかる語句は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の性質、構造または特徴がある実施形態に関連して記載されるとき、かかる性質、構造または特徴が他の実施形態に影響を及ぼすことは、それが明記されているか否かを問わず、当業者の技術的知識の範囲内であると考えられる。
【0186】
[00126]「背景技術」のセクションなどに記載の、本明細書に引用されるすべての刊行物および参考文献は、それらの全内容を参照により本明細書に組み込む。しかしながら、援用された刊行または参考文献に存在するいかなる類似または同一の用語と、本明細書において明確に提示、または定義されるそれらとの間で相違がある場合、本明細書において定義された、または明確に提示された用語の意味を優先させるものとする。さらに、本明細書で先行技術を引用することは、決して、かかる先行技術がいずれかの国における一般的知識の一部をなすことを承認または示唆するものではなく、またそのように認識すべきでない。
【実施例
【0187】
[00127]以下の実施例は、実施形態を例示するために提供されるものであり、それらの範囲に何ら限定するものではない。
【0188】
実施例1
化学的合成(代表例)
ジエステル、エチレングリコールリンカー
[00128]エチレングリコール(10mmol)を50mLのDMFに溶解させ、DMAP(122mg、0.1eq)およびDCC(4.54g、2.2eq)を添加した。次に、カルボン酸(25mmol)は、0℃において5分間にわたり、クロロホルム中(25mL)溶液として添加した。反応物を加温して室温に戻し、3時間撹拌した。次に、水(50mL)およびヘキサン(50mL)を添加し、次に、二相混合物を濾過し、大部分のDCUを除去した。次に、混合物を有機層および水層に分離させ、ヘキサンを用いて水層をさらに2回抽出した。有機層を合わせて、水で数回洗浄してすべてのDMFを除去し、次に、1Mの塩酸、次に1Mの水酸化ナトリウム、次にブラインで洗浄し、次に硫酸マグネシウムで脱水した。回転蒸発による溶媒の除去後、化合物をカラムクロマトグラフィーまたは再結晶により精製した。70~90%の収率であった。
エチレンジシンナメート
[00129]ケイ皮酸を用いた。粗製物をイソプロパノールから再結晶させ、ふわふわした白色固体(2.88g、89%)を得た。
【0189】
【数1】
ジエステル、ジカルボン酸リンカー
ジゲラニルスクシネート
[00130]コハク酸(0.590g、5mmol)を20mLのDMFに溶解させ、DMAP(122mg、1mmol)およびアルコール(1.62g、10.5mmol)を添加し、溶液を0℃に冷却した。DCC(2.17g、2.1eq)をクロロホルム(10mL)に溶解させ、次に、この溶液を5分間にわたり反応混合物に添加した。反応物を加温して室温に戻し、3時間撹拌した。次に、水(50mL)およびヘキサン(50mL)を添加し、次に、二相混合物を濾過し、大部分のDCUを除去した。次に、混合物を有機層および水層に分離させ、ヘキサンを用いて水層を2回以上抽出した。有機層を合わせて、水で数回洗浄してすべてのDMFを除去し、次に、1Mの塩酸、次に1Mの水酸化ナトリウム、次にブラインで洗浄し、次に硫酸マグネシウムで脱水した。回転蒸発による溶媒の除去後、化合物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色の油状物を得た。(0.985g、50%)。
【0190】
【数2】
ジオイゲニルスクシネート
[00131]オイゲノール(3.45g、21mmol)をジクロロメタン(40mL)に溶解させ、0℃に冷却した。ピリジン(2.37g、30mmol)を添加し、続いて塩化サクシニル(1.55g、10mmol)を滴下して添加した。添加終了後、反応物を室温に加温し、15分間撹拌し、次に反応物をヘキサン(100mL)で希釈し、水(30mL)を添加した。水層を除去し、有機層を水で洗浄し、次に3Mの塩酸および2Mの水酸化ナトリウム溶液で数回洗浄し、有機層から大部分の色を除去した。有機溶液を硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を減圧下で除去した。95%のエタノールから粗製の固体を再結晶させ、淡黄色固体を得た。
【0191】
【数3】
ポリオールのオリゴエステル、一般的手順
[00132]ポリオール(5mmol)をDMF(50mL)に溶解させ、DCC(ヒドロキシル基当たり1.1当量)およびDMAP(ヒドロキシル基当たり0.1当量)を添加した。溶液を0℃に冷却し、カルボン酸(ヒドロキシル基当たり1.15当量)を10分間にわたり添加した。次に、水(50mL)およびヘキサン(50mL)を添加し、次に二相混合物を濾過し、大部分のDCUを除去した。次に、混合物を有機層および水層に分離させ、水層をヘキサンで2回以上抽出した。有機層を合わせて、水で数回洗浄してすべてのDMFを除去し、次に、1Mの塩酸、次に1Mの水酸化ナトリウム、次にブラインで洗浄し、次に硫酸マグネシウムで脱水した。回転蒸発により溶媒を除去した後、化合物をカラムクロマトグラフィーまたは再結晶により精製した。グリセロールの場合、トリグリセリドは1,3-ジグリセリドをしばしば伴うが、それは容易に分離できる。この傾向は、より多くのアルコール基を有する場合でも見られ、さらに、糖をコアとして使用されるとき、糖の異なるアノマーが生じる。
トリシトロネロイルグリセロール
[00133]グリセロールおよびシトロネル酸を用いる、一般的手順。無色油状物(1.89g、69%)。
【0192】
【数4】
1,3-ジシトロネロイルグリセロール
[00134]トリシトロネロイルグリセロール合成からジアシルグリセロールを単離。無色の油状物を白色固体(1.89g、69%)に固化。
【0193】
【数5】
実施例2:ウエスタンコーンルートワームの生存アッセイ
材料および方法
トウモロコシ種子
[00135]取得したトウモロコシ種子は未処理であり、農薬のコーティングのいかなる形態も含んでいなかった。使用したトウモロコシ種子は、交絡する結果を防止するために、トウモロコシの非トランスジェニック型の株とした。湿潤後、通常2~4日の間に発芽が起こった。
【0194】
種子コーティング(固体化合物)
[00136]少量のトリトン-X 100(登録商標)(100μL/5mL)が存在するElmer’s Glue(登録商標):水=1:5の溶液約1mLを含む容器に、20gのトウモロコシ種子またはダイズを投入することによって、種子コーティングを達成した。固体化合物の場合、その後、0.25gの化合物を容器に添加した。種子が活性成分でコーティングされるまで、種子、Elmer’s Glue/水/トリトン-X 100溶液および活性化合物のこの混合物を十分に混合した。
【0195】
種子コーティング(液体化合物)
[00137]各処理において、0.25gの液体混合物を5mLのヘキサンに溶解させた。このヘキサンおよび活性成分の混合物に0.25gのHi-Sil233シリカゲルを添加した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を蒸発除去し、化合物をシリカゲルに吸着させた。次にこの0.5gのシリカゲル:活性成分を、種子をコーティングするのに使用される固体材料として使用した。次に種子を、固体化合物で用いたのと同じ方法でコーティングした。
【0196】
ウエスタンコーンルートワーム生存アッセイ
[00138]1種類の活性モノテルペノイド誘導体処理剤でコーティングした3粒のトウモロコシ種子を、小型の2オンスSolo(登録商標)蓋付調味料カップ内で発芽させた。種の発芽は、脱イオン水500μLを慎重に添加して、カップの底にて各種子が完全に水で覆われるようにして行った。カップ上面をParafilm(登録商標)ワックスで覆い、水分を維持し、種子の発芽を促進した。湿った種子を含むカップを、アッセイの開始前3日間、暗所で発芽させた。孵化直後の6匹のウエスタンコーンルートワームを、各カップの発芽したトウモロコシ種子の根に慎重に置いた。根に幼虫を置いた後、600μm Fisher Brand篩にかけ、4.5mLの水で湿らせた30gの乾燥土壌をカップの全体にわたり均一に被せた。オーガンザをカップの上から被せ、カップの蓋で結わえた。カップを40~50%の湿度、28℃で7日間インキュベートした。生存するコーンルートワームを数え、平均生存率%を報告した。最低10回の反復試験を各処理において実施した。
ウエスタンコーンルートワーム発達アッセイ
[00139]上記で定義した「ウエスタンコーンルートワーム生存アッセイ」において生存していたルートアームを、さらなる試験のために単離した。本実施例では、以前の学術報告において述べた方法に従い、頭蓋サイズを基に、各化学物質への曝露群における各齢段階にある幼虫の数を求めた。t検定による比較を、対照(処理なし)群と比較した、化合物群で生存する第2齢段階の幼虫の数を基に行った。
結果
[00140]試験した化合物の多くが、種子処理製剤の活性成分としてのそれらの有効性を示した。図1は、殺虫性種子処理剤の候補として試験した多くの化合物による結果を示す。シリカのみでコーティングしたトウモロコシの種と比較し、多くの処理において、ウエスタンコーンルートワームの顕著に低い生存率が観察された。さらに、対照の生存率は67.8±3.7%であり、このことは、化合物を種子に施用したときに殺虫剤として作用するか否かをこのアッセイにより判別できることを明確に証明するものである。スクリーニングした化合物のうち、シンナミルヒドロゲンスクシナート、カルバクリルヒドロゲンスクシナート、チミルヒドロゲンスクシナート、エチレンジシトロネレート、シトロネリルシトロネレート、チミルシトロネレート、シンナミルミリステート、ジチミルスクシネート、グリセリントリスシトロネレート、イノシトールヘキサシトロネレート、チミルシンナメートおよびオイゲニルスクシネートはいずれも、対照より顕著に低い幼虫の生存率を示した(α=0.05)。最も効果の高かったエステルのいくつかは、若干除草性を示し(データ示さず)、ゆえに、ウエスタンコーンルートワームが摂食できる根組織の不足による死虫率も考えられた。1%重量/重量種子で施用したときにこれらの化合物が広範囲において有効性を示したことは、発芽種子を保護できる有効なコーティング(すなわち種子処理剤など)としてのこれらの多くの化合物を利用できることを示すものである。
【0197】
[00141]これらの各種化合物で処理した種子に曝露した後に幼虫の発達も評価した。幼虫の発達において対照群と比較して顕著な差が観察された。このことは、これらの化合物が昆虫の成長調節能を有しうることを示す。
実施例3:ウエスタンコーンルートワーム忌避性アッセイ
材料および方法
トウモロコシ種子
[00142]取得したトウモロコシの種子は未処理であり、農薬のコーティングのいかなる形態も含んでいなかった。使用したトウモロコシ種子は、交絡する結果を防止するために、トウモロコシの非トランスジェニック型の株とした。湿潤後、通常2~4日の間に発芽が起こった。
非トランスジェニック型の株とした。湿潤後、通常2~4日の間に発芽が起こった。
【0198】
種子コーティング(固体化合物)
[00143]少量のトリトン-X 100が100μL/5mLで存在するElmer’s Glue:水=1:5の溶液(または他の接着物質+水)約1mLを含む容器に、20gのトウモロコシ種子またはダイズを投入することによって、種子コーティングを達成した。固体化合物の場合、その後、0.25gの化合物を容器に添加した。種子が活性成分でコーティングされるまで、種子、Elmer’s Glue/水/トリトン-X 100溶液および活性化合物のこの混合物を十分に混合した。
【0199】
種子コーティング(液体化合物)
[00144]各処理において、0.25gの液体混合物を5mLのヘキサンに溶解させた。このヘキサンおよび活性成分の混合物に0.25gのHi-Sil233シリカゲルを添加した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を蒸発除去し、化合物をシリカゲルに吸着させた。次にこの0.5gのシリカゲル:活性成分を、種子をコーティングするのに使用される固体材料として使用した。次に種子を、固体化合物で用いたのと同じ方法でコーティングした。
【0200】
ウエスタンコーンルートワーム発達アッセイ
[00145]ウエスタンコーンルートワームを容器に侵入させる5日前に、3粒の処理済種子を、プラスチック製のGenpackデリコンテナ(32オンス)の一方の側で発芽させた。一方、3粒の未処理種子を、処理済種子の斜め向かいの側で同時に発芽させた。30匹のルートワームを、容器中央の土壌の上に侵入させた。ルートワームに、どちら側を摂食するかについて自由に選択させた。ウエスタンコーンルートワームを侵入させた容器を、1週間にわたり、28°Cおよび40±10%の相対湿度においてインキュベートした。1週間後に容器を取り出し、装置を用いて土壌を検査し、生存する幼虫の匹数を試験した。処理側対未処理側に存在した幼虫の総匹数を、最低3回の反復試験より平均値を求めた。忌避性が観察される(すなわち処理済側より未処理側で多くのルートワームが存在する)場合、実験を反復して次の実験においても忌避性を確認した。失踪したルートワームの数もカウントした。最低3回の反復試験および各化合物についてのすべての忌避性評価で用いた90匹以上の幼虫から得たデータを基に、平均値を求めた。双方向t検定を用い、対照処理(化合物なし)と比較し、いずれの化合物が統計的に有意な忌避性応答を引き起こしたかを特定した。
結果
[00146]この試験のために開発した忌避性アッセイは有効であり、忌避性分子として同定されたいくつかの化合物の特徴解析を可能にした。対照処理では、実験終了後、容器から単離された幼虫の約52%が処理済側(実は未処理対照と同じで、分析の便宜上それを処理と呼ぶに過ぎない)に存在し、一方、48%が未処理側に存在した。すなわち、化学物質が存在しない実験系では幼虫が均等に分布することを、このアッセイは示している。未処理のトウモロコシと各種のモノテルペノイドエステルで処理したトウモロコシとの間で、幼虫に自由に選択させたとき、処理された根と比較し未処理の根から多くの幼虫が単離された。かかる結果は、チミルシンナメート、ヘキサシトロネロイルイノシトール、ヘキサシンナモイルイノシトールおよびオイゲニルスクシネートにおいて見られた。ヘキサシトロネロイルイノシトールは、幼虫が処理されたトウモロコシの種子に接近することを防止する作用において最も有効であり、処理済側のトウモロコシに接近した幼虫が、平均22%に留まった。
【0201】
[00147]さらに、失踪した幼虫の数も記録した。これが閉鎖系でのアッセイであったため、幼虫は筐体から逃避できなかった。その代わり、失踪した幼虫を死亡したものとみなした。死んだ幼虫は土壌中で急速に乾燥し、それらを見つけることは非常に困難となる。幼虫の失踪は、アッセイにおける死虫により生じると考えるのが最も妥当である。容器の一方の側に置いた、特定のモノテルペノイド誘導体で処理した種子に幼虫が曝されたときに、幼虫の喪失が多く観察された。対照では、死んだものとみなされた幼虫が、わずか20%であった。他の多くの処理においては、対照処理と比較して高い死虫率が観察された。各種の種子処理剤のうち、エチレングリコールジシトロネレート、シンナミルミリステート、トリシトロネロイルグリセロールおよびオイゲニルスクシネートの場合、対照と比較し、統計的に有意に、幼虫の死虫率が高かった。このアッセイでは、これらの各種の化合物で処理した種子が一方のみに存在し、幼虫が処理から未処理の側に移動できることを考慮すると、この死虫率は、幼虫が毒性化合物に接触したか、または幼虫がこれらの化合物を摂食したことによるものと考えられた。
【0202】
[00148]結論として、これらのデータは、これらの化合物には、各種の作物の節足動物害虫を抑制する著しく高い能力を有しうることを示すものである。多くの害虫は、根域においてそれらの影響力を及ぼすものである。ゆえに、処理された種子がこれらの害虫を死滅させ、忌避するということは、作物の収率を顕著に増加させるものと考えることができる。
実施例4: 発芽アッセイ
材料および方法
トウモロコシ種子
[00149]取得したトウモロコシの種子は未処理であり、農薬のコーティングのいかなる形態も含んでいなかった。使用したトウモロコシの種子は、交絡する結果を防止するために、トウモロコシの非トランスジェニック型の株とした。湿潤後、通常2~4日の間に発芽が起こった。
【0203】
種子コーティング(固体化合物)
[00150]少量のトリトン-X 100(100μL/5mL)が存在するElmer’s Glue:水=1:5の溶液約1mLを含む容器に、20gのトウモロコシ種子またはダイズを投入することによって、種子コーティングを達成した。固体化合物の場合、その後、0.25gの化合物を容器に添加した。種子が活性成分でコーティングされるまで、種子、Elmer’s Glue/水/トリトン-X 100溶液および活性化合物のこの混合物を十分に混合した。
【0204】
種子コーティング(液体化合物)
[00151]各処理において、0.25gの液体混合物を5mLのヘキサンに溶解させた。次に、このヘキサンおよび活性成分の混合物に0.25gのHi-Sil233シリカゲルを添加した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を蒸発除去し、化合物をシリカゲルに吸着させた。次にこの0.5gのシリカゲル:活性成分を、種子をコーティングするのに使用される固体材料として使用した。次に種子を、固体化合物で用いたのと同じ方法でコーティングした。
【0205】
発芽アッセイ
[00152]1種類の活性モノテルペノイド誘導体処理剤でコーティングした3粒のトウモロコシ種子を、小型の2オンスSolo(登録商標)蓋付調味料カップ内で発芽させた。種の発芽は、脱イオン水500μLを慎重に添加して、カップの底にて各種子が完全に水で覆われるようにして行った。カップ上面をParafilm(登録商標)ワックスで覆い、水分を維持し、種子の発芽を促進した。湿った種子を含むカップを3日間暗所で発芽させ、次に30gの土壌をカップに加え、4.5mLの水を土壌に添加し、湿らせた。種子を1週間生長させ、土壌を取り出し、すべての発芽を評価した。湿らせた種子を含むケースからルートマットおよび幼根が出現したか否かを基に、発芽を測定した。各カップ内の(3粒の種子のうち)発芽した種子の総数を計測した。スクリーニングに係るモノテルペノイド誘導体処理ごとに、この実験を4回以上反復した。
結果
[00153]多くの種子処理剤は、これらの化合物で処理したトウモロコシ種子に対して除草性を示した。化合物の中でも、シンナミルヒドロゲンスクシネート、カルバクリルスクシネート、イノシトールヘキサシトロネレート、オイゲニルシトロネレート、1,3-ビスシトロネロイルグリセロールは、トウモロコシの実生の発芽の最も顕著な阻害剤であった。これらの化合物は、将来の製剤中の除草性活性成分の将来の形態ともなりうる。これらの化合物の大部分は、トウモロコシ種子の発芽を阻害しないことが観察され、昆虫害虫の防除用の将来実行可能な種子処理剤としてのそれらの有用性が示唆される。
【0206】
[00154]文言的なサポートを提供するのに必要な範囲で、あらゆる添付の特許請求の範囲に記載の主題および/または文言が、そのすべてが参照により本願明細書に組み込まれるものと理解される。
【0207】
[00155]本明細書において記載される例示的実施形態は、あらゆる記載される特徴、要素または工程が本願明細書において具体的に開示されているか否かを問わず、最適に実施できるものとして、本明細書のすべての読者により理解されるであろう。
以下に、本願発明の実施態様を付記する。
[1] 担体および式(I):
【化1】
(式中、
は、各々独立してフェニルプロペノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Lは、以下の構造を有するポリエステル含有連結部分であり、
【化2】
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルもしくはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である)
の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法。
[2] 担体および式(II):
【化3】
(式中、
は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、mは、2~6である)
の特定の化学的組成を有する前記[1]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法。
[3]
担体および前記[2]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、L’が、それが結合しているエステルと一緒になって、
【化4】
(式中、
Qは、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のC ~C アルキル、分岐状もしくは非分岐状のC ~C ケトンおよび分岐状もしくは非分岐状のC ~C アミンからなる群から選択される)
である、方法。
[4] 担体および前記[3]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、Qが-(CH -であり、nが0~4である、方法。
[5] 担体および前記[3]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、Qが、
【化5】
からなる群から選択される、方法。
[6] 担体および前記[3]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、Qが、
【化6】
からなる群から選択される、方法。
[7] 担体および前記[2]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、少なくとも1つのR がモノテルペノイド部分である、方法。
[8] 担体および前記[7]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、L’がトリカルボン酸部分であり、mが3である、方法。
[9] 担体および前記[8]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、L’が、それが結合しているエステルと一緒になって、
【化7】
からなる群から選択されるトリカルボン酸部分である、方法。
[10] 担体および前記[2]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、L’が、それが結合しているエステルと一緒になって、ポリカルボン酸部分であり、カルボン酸部分の数がmより大きい数であり、それにより1つまたは複数のカルボン酸部分が非エステル化型である、方法。
[11] 担体および前記[10]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、
mが2であり、
L’がトリカルボン酸部分であり、
非エステル化カルボン酸がプロトン化されているか、またはカルボン酸塩である方法。
[12] 担体および前記[11]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、非エステル化カルボン酸が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅またはアミン対イオンとのカルボン酸塩である、方法。
[13] 担体および前記[12]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、非エステル化カルボン酸が、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミンおよびメチルアミンからなる群から選択されるアミンとのカルボン酸塩である、方法。
[14] 担体および前記[10]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、L’が、それが結合しているエステルと一緒になって、少なくとも4つのカルボン酸基を有するカルボン酸部分である、方法。
[15] 担体および前記[10]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、mが4~6である、方法。
[16] 担体および前記[2]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、mが4~6である、方法。
[17] 担体および前記[16]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、1つまたは複数の非エステル化カルボン酸部分がカルボン酸塩である、方法。
[18] 担体および前記[17]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、カルボン酸塩が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅またはアミン対イオンである、方法。
[19] 担体および前記[2]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、化合物が、
【化8】
からなる群から選択される構造を有する、方法。
[20] 担体および式(III):
【化9】
(式中、
R1は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である)
の構造を有する前記[1]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法。
[21] 担体および前記[20]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、mが2である、方法。
[22] 担体および前記[21]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、L’が、
【化10】
からなる群から選択される、方法。
[23] 担体および前記[20]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、mが3である、方法。
[24] 担体および前記[23]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、L’が、
【化11】
からなる群から選択される、方法。
[25] 担体および前記[20]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、
L’が単糖部分であり、
と共にエステルを形成する前記単糖部分の2個以上のヒドロキシル基が、L’の部分ではない、方法。
[26] 担体および前記[25]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、単糖部分が、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、リブロースおよびキシルロースからなる群から選択されるペントースである、方法。
[27] 担体および前記[25]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、単糖部分が、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、タロース、イドース、ソルボース、フルクトース、プシコースおよびタガトースからなる群から選択されるヘキソースである、方法。
[28] 担体および前記[20]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、
L’が二糖部分であり、R と共にエステルを形成する二糖部分のヒドロキシル基が、L’の部分ではない、方法。
[29] 担体および前記[28]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、二糖部分が、スクロース、マルトースまたはラクトースからなる群から選択される、方法。
[30] 担体および前記[20]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、
L’が糖アルコール部分であり、
R1と共にエステルを形成する糖アルコール部分のヒドロキシル基が、L’の部分ではない、方法。
[31] 担体および前記[30]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、糖アルコールが、ソルビトール、イノシトール、エリスリトール、リビトール、トレイトール、アラビトールおよびキシリトールからなる群から選択される、方法。
[32] 担体および前記[20]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、少なくとも1つのR1が、
【化12】
からなる群から選択される非環状モノテルペノイド部分である、方法。
[33] 担体および前記[20]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、少なくとも1つのR1が、
【化13】
からなる群から選択される単環式または二環式モノテルペノイド部分である、方法。
[34] 担体および前記[20]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、少なくとも1つのR が、以下の構造:
【化14】
を有し、
が、H、OH、OMeまたはOEtである、方法。
[35] 担体および前記[20]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、少なくとも1つのR が、以下の構造:
【化15】
(式中、
は、OH、OMeまたはOEtであり、
は、H、OHまたはOMeであり、
は、H、OHまたはOMeである)
を有する、方法。
[36] 担体および前記[35]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、少なくとも1つのR が、
【化16】
からなる群から選択される、方法。
[37] 担体および前記[20]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、化合物が、
【化17】
からなる群から選択される構造を有する、方法。
[38] 担体および式(IV):
【化18】
(式中、
Aは、-O-R
【化19】
であり、
は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であるか、あるいは、M、置換もしくは非置換のC ~C 非分岐状もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換のC ~C 非分岐状もしくは分岐状アルケニル、置換もしくは非置換のC ~C 非分岐状もしくは分岐状アルキニル、置換もしくは非置換のC ~C 非分岐状もしくは分岐状シクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリールおよび置換もしくは非置換のC ~C 非分岐状もしくは分岐状シクロアルケニルからなる群から選択され、
Mは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅およびアミンからなる群から選択される対イオンであり、
Aは
【化20】
である場合、化合物は
【化21】
ではない)
の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法。
[39] 担体および式(IV)の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、Aが、
【化22】
であり、
が、置換もしくは非置換のC ~C 15 非分岐状もしくは分岐状のアルキル、置換もしくは非置換のC ~C 15 非分岐状もしくは分岐状のアルケニル、置換もしくは非置換のC ~C 15 非分岐状もしくは分岐状のアルキニル、置換もしくは非置換のC ~C 15 非分岐状もしくは分岐状のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、および置換もしくは非置換のC ~C 15 非分岐状もしくは分岐状のシクロアルケニルからなる群から選択される、方法。
[40] 担体および前記[38]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、R がモノテルペノイド部分である、方法。
[41] 担体および前記[47]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、モノテルペノイド部分が、
【化23】
からなる群から選択される、方法。
[42] 担体および前記[38]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、R が、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、イソブチル、ブチルおよびtert-ブチルからなる群から選択される、方法。
[43] 担体および式(V):
【化24】
(式中、
は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Qは、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のC ~C アルキル、分岐状もしくは非分岐状のC ~C ケトンおよび分岐状もしくは非分岐状のC ~C アミンからなる群から選択される)
の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法。
[44] 担体および前記[43]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、Qが-(CH -であり、nが0~4である、方法。
[44] 担体および前記[43]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、Qが
【化25】
からなる群から選択される、方法。
[45] 担体および前記[43]に記載の化合物で処理した種子に曝露した昆虫を死滅させるまたは忌避する方法であって、Qが
【化26】
からなる群から選択される、方法。
[46] 式I、II、III、IVおよびVの構造を有する化合物を製造する方法。
[47] 担体と、式I、II、III、IVまたはVの構造を有する化合物とを含む組成物であって、処理された種子の根域の昆虫を死滅させるために種子に施用される、組成物。
[48] 担体と、式I、II、III、IVまたはVの構造を有する化合物とを含む組成物であって、処理された種子の根域を摂食する昆虫を忌避するために種子に施用される、組成物。
[49] 担体と、式I、II、III、IVまたはVの構造を有する化合物とを含む殺虫剤組成物 。
[50] 担体と、式I、II、III、IVまたはVの構造を有する化合物とを含む種子処理組成物。
[51] 担体と、式I、II、III、IVまたはVの構造を有する化合物との組成物を提供することを含む、昆虫を死滅させる方法。
[52] 担体と、式I、II、III、IVまたはVの構造を有する化合物とを含む種子処理組成物を外表面上に含む植物種子。
[53] 担体と、式I、II、III、IVまたはVの構造を有する化合物とを含む殺虫剤組成物であって、前記組成物で処理した種子に曝露した昆虫の発達を調節する能力を有する、殺虫剤組成物。
[54] 実質的に上記の明細書、特許請求の範囲および添付の図/図面において記載される例示的実施形態。
図1
図2
図3
図4