(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】モノテルペノイド/フェニルプロパノイド含有化合物およびそれらの製造方法および殺虫餌(insecticidal bait)としての使用
(51)【国際特許分類】
A01N 37/04 20060101AFI20230214BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20230214BHJP
A01N 37/38 20060101ALI20230214BHJP
A01N 25/08 20060101ALI20230214BHJP
A01N 37/06 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A01N37/04
A01P7/04
A01N37/38
A01N25/08
A01N37/06
(21)【出願番号】P 2019511626
(86)(22)【出願日】2017-08-23
(86)【国際出願番号】 US2017048293
(87)【国際公開番号】W WO2018039393
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-08-24
(32)【優先日】2016-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518018953
【氏名又は名称】キットリッチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】KITTRICH CORPORATION
【住所又は居所原語表記】1585 W Mission Blvd. Pomona, CA 91766 USA
(73)【特許権者】
【識別番号】591158276
【氏名又は名称】アイオア・ステート・ユニバーシティー・リサーチ・ファンデーション・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】IOWA STATE UNIVERSITY RESEARCH FOUNDATION INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】コーツ,ジョエル・アール
(72)【発明者】
【氏名】クリマヴィックズ,ジェームズ・エス
(72)【発明者】
【氏名】ノリス,エドモンド・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ベセット,スティーヴン・エム
(72)【発明者】
【氏名】リンジィ,エイ・デイヴィッド
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】KUMBHAR P.P et al.,Journal of Scientific & Industrial Research,2001年,vol.60,pp645-648
【文献】MORE H.D. et al,Russian Journal of General Chemistry,2004年,vol.74,No.2,pp217-218
【文献】LEE S. et al.,Doctoral Thesis, Iowa State University,1998年,51,64-65
【文献】NARKHEDE.P.H et al.,Synthetic Communications,2008年,38,2413-2418
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体または餌マトリックスと、有効量の式(I):
【化1】
(式中、
R
1は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Lは、以下の構造を有するポリエステル含有連結部分であり、
【化2】
ここでR
1は、当該ポリエステル含有連結部分の一端に結合しており、L’は当該ポリエステル含有連結部分の他端に結合しており、
ここで、L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、トリカルボン酸
およびポリカルボン酸
の部分からなる群から選択され、
ここで、mは2~6であ
り、
Qは、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のC
0
~C
4
アルキル、分岐状もしくは非分岐状のC
0
~C
4
ケトンおよび分岐状もしくは非分岐状のC
0
~C
4
アミンからなる群から選択される)
の化合物との殺虫餌製剤に対して昆虫または節足動物の害虫を曝露させる工程を備える昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法。
【請求項2】
請求項
1に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、Qが-(CH
2)
n-であり、nが0~4である、方法。
【請求項3】
請求項
1に記載の
通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、Qが、
【化3】
からなる群から選択される、方法。
【請求項4】
請求項
1に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、Qが、
【化4】
からなる群から選択される、方法。
【請求項5】
請求項
1に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、L’がトリカルボン酸部分であり、mが3である、方法。
【請求項6】
請求項
5に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、L’が、
【化5】
からなる群から選択されるトリカルボン酸部分である、方法。
【請求項7】
請求項
1に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、L’が、ポリカルボン酸部分であり、カルボン酸部分の数がmより大きい数であり、それにより1つまたは複数のカルボン酸部分が非エステル化型である、方法。
【請求項8】
請求項
7に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって
、
非エステル化カルボン酸がプロトン化されているか、またはカルボン酸塩である
、方法。
【請求項9】
請求項
8に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、非エステル化カルボン酸が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅またはアミン対イオンとのカルボン酸塩である、方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、非エステル化カルボン酸が、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミンおよびメチルアミンからなる群から選択されるアミンとのカルボン酸塩である、方法。
【請求項11】
請求項
7に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、L’が、少なくとも4つのカルボン酸基を有する
ポリカルボン酸部分である、方法。
【請求項12】
請求項
7に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、mが4~6である、方法。
【請求項13】
請求項
1に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、L’はポリカルボン酸部分であり、当該カルボン酸部分の数はmの数よりも大きく、1つまたは複数のカルボン酸部分が
非エステル化されており、当該非エステル化カルボン酸部分がカルボン酸塩である、方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、カルボン酸塩が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅またはアミン対イオンである、方法。
【請求項15】
請求項
1に記載の通りの昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、
当該化合物が、
【化6】
からなる群から選択される構造を有する、方法。
【請求項16】
担体または餌マトリックスと、
エチレンジシトロネレート、エチレンジシンナメート、ヘキサシトロネリルイノシトール、トリシンナモイルグリセロール、ジシトロネリルヒドロキイノン、ヘキサシンナモイルイノシトール、オイゲニルオキシ酢酸、チミルオキシ酢酸、メチルオイゲニルオキシアセテート、ゲラニルチミルオキシアセテート、チミルチミルオキシアセテート、カルバクリルオイゲニルオキシアセテート、チミルシンナメート、チミルヒドロゲンスクシネート、シンナミルミリステート、アジピン酸ジシンナミル、ジオイゲニルスクシネート、ジゲラニルスクシネート、アジピン酸ジチミル、ジチミルスクシネート、ジメンチルスクシネート、トリシトロネロイルグリセロールおよび1,3-ジシトロネロイルグリセロールからなる群から選択される化合物と
を含む殺虫剤組成物。
【請求項17】
担体または餌マトリックスと、
エチレンジシトロネレート、エチレンジシンナメート、ヘキサシトロネリルイノシトール、トリシンナモイルグリセロール、ジシトロネリルヒドロキイノン、ヘキサシンナモイルイノシトール、オイゲニルオキシ酢酸、チミルオキシ酢酸、メチルオイゲニルオキシアセテート、ゲラニルチミルオキシアセテート、チミルチミルオキシアセテート、カルバクリルオイゲニルオキシアセテート、チミルシンナメート、チミルヒドロゲンスクシネート、シンナミルミリステート、アジピン酸ジシンナミル、ジオイゲニルスクシネート、ジゲラニルスクシネート、アジピン酸ジチミル、ジチミルスクシネート、ジメンチルスクシネート、トリシトロネロイルグリセロールおよび1,3-ジシトロネロイルグリセロールからなる群から選択される
有効量の殺虫性の化合物と
を含む殺虫餌製剤に暴露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本特許出願は、2016年8月23日に出願の米国仮特許出願第62/378,541号の優先権を主張する。上記の先行する仮特許出願の全開示内容、および該仮特許出願の優先権を主張する他のすべての並行して出願された非仮特許出願は、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
[0002]開示される実施形態は、モノテルペノイドおよび/またはフェニルプロパノイド部分を有する化合物、ならびにそれらの製造方法および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]多くの植物精油は、モノテルペンまたはモノテルペノイド化合物を含有し、それらのいくつかは殺虫性を有する。それらの効力は、従来の合成殺虫剤のそれよりも典型的に低いが、充分な用量で害虫に送達されたとき、ほぼ同等の昆虫の死亡または制御をもたらす効果を発揮する。いくつかのモノテルペノイドは、防虫特性を有することが実証されている。
【0004】
[0004]防虫物質としてのモノテルペノイドは、主にこれらの揮発性化合物の強烈な臭いのため、餌としては効果的でない。場合によっては、かかる化合物は揮発性であり、急速に生分解されやすく、それにより実質的に殺虫性のない残留物となる。残留物が生じないことは、多くの用途シナリオにおいて好ましい特徴であるが、ある特定の状況では、いくつかの持続的または徐放機構が、これらのモノテルペノイドをより有用なものとし、また新しい市場機会を開拓する。これらの新しい市場機会のいくつかの例としては、限定されないが、本願明細書において開示される化合物の、殺虫餌製剤としての、および将来の製品としての使用が挙げられる。
【0005】
[0005]例えば、ビス-エステル、トリス-エステル、テトラキス-エステル、ペンタキス-エステルおよびヘキサキス-エステルなどの「複合」分子としての低揮発性エステルの例示的実施形態の開発は、殺虫性化合物の昆虫摂取、および昆虫の腸内におけるその後の殺虫性モノマーの代謝的放出を可能にした。
【0006】
[0006]開示される実施形態は、従来技術における1つまたは複数の欠点を克服すると考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]開示される実施形態の一態様は、式(I):
【0008】
【化1】
(式中、
R
1は、各々独立してフェニルプロペノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Lは、
【0009】
【化2】
の構造を有するポリエステル含有連結部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である)
の化合物に関する。
【0010】
[0008]開示される実施形態の別の態様は、式(IV):
【0011】
【0012】
【化4】
であり、
R
6は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
R
7は、フェニルプロパノイドもしくはモノテルペノイド部分であるか、または、H、M、置換もしくは非置換のC
3~C
7非分岐状もしくは分岐状のアルキル、置換もしくは非置換のC
2~C
7非分岐状もしくは分岐状のアルケニル、置換もしくは非置換のC
3~C
7非分岐状もしくは分岐状のアルキニル、置換もしくは非置換のC
3~C
7非分岐状もしくは分岐状のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリールおよび置換もしくは非置換のC
3~C
7非分岐状もしくは分岐状のシクロアルケニルからなる群から選択され、
Mは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅およびアミンからなる群から選択される対イオンである)
の化合物に関する。
【0013】
[0009]開示される実施形態のさらなる態様は、式(V):
【0014】
【化5】
(式中、
R
1は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Qは、分岐状または非分岐状の飽和または不飽和のC
0~C
4アルキル、分岐状または非分岐状のC
0~C
4ケトンおよび分岐状または非分岐状のC
0~C
4アミンからなる群から選択される)
の化合物に関する。
【0015】
[0010]開示される実施形態の別の態様は、式(II):
【0016】
【化6】
の構造を有する化合物を製造する方法に関する。この方法は、
R
1-OHをL’-(COOH)
mと、または
R
1-OHを
【0017】
【化7】
と、式(II)の構造を有する化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含み、ここで、
R
1は、モノテルペノイドまたはフェニルプロペンノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
mは、2~6である。
【0018】
[0011]開示される実施形態のさらなる態様は、以下の式(III):
【0019】
【化8】
の構造を有する化合物を製造する方法に関する。
この方法は、
R
1-COOHをL’-(OH)
mと、または
【0020】
【化9】
をL’-(OH)
mと、式(III)の化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含み、ここで、
R
1は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
mは、2~6である。
【0021】
[0012]開示される実施形態のさらなる態様は、式(IV)の化合物であって、
Aが
【0022】
【化10】
(式中、A中の括弧内の炭素は1個であり、
R
7はHである)
である化合物と、担体とを含む組成物に関する。
【0023】
[0013]開示される実施形態の別の態様は、式(I)、(IV)または(V)の化合物と、担体とを含む殺虫剤組成物に関する。
【0024】
[0014]さらに別の態様は、本願明細書において開示される殺虫性化合物を含む殺虫餌に関する。
【0025】
[0015]開示される実施形態の別の態様は、昆虫を死滅させる方法に関する。この方法は、開示される殺虫剤組成物をある位置に提供して、昆虫などの無脊椎動物を誘引することを含む。その昆虫は、餌に誘引され、餌を消費し、その消費された殺虫剤組成物により死滅する。
【0026】
[0016]開示される実施形態は、生物学的起源から得られるモノテルペノイドからの、種々な節足動物種に対する毒性餌製剤として提供される殺虫性化合物として使用するためのオリゴエステルの合成に関する。
【0027】
[0017]例示の実施形態によれば、用いられる主なモノテルペノイドおよびフェニルプロパノイド分子は、シトロネル酸、桂皮酸、チモール、オイゲノール、ゲラニオール、メントールおよびカルバクロールである。ポリエステルは、モノテルペノイド酸またはモノテルペノイドアルコールまたはフェノールから直接に合成することができる。偽二量体および偽三量体は、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセロールを、シトロネル酸、桂皮酸またはゲラン酸でエステル化することにより合成されていた。2つのケイ皮酸、2つのシトロネル酸または2つのゲラン酸分子が、1つのグリコールによりエステル化されるとき(または、それらの3つがグリセロールによりエステル化されるとき)、得られたジエステル(トリエステル、ポリエステル)は、モノテルペノイド分子より非常に低い揮発性および高い安定性を有する。開示され、また開示される実施形態に従い合成される化合物の範囲には、逆エステルも含まれ、それは単純な有機ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸)と、モノテルペノイドアルコールまたはフェノールの分子から設計された。例えば、アルコールとしては、シンナミルアルコール、リナロオール、ゲラニオール、メントールなどが含まれ、一方フェノールとしてはカルバクロール、チモールまたはオイゲノールが含まれうる。
【0028】
[0018]本願明細書において開示されるある特定の例示的実施形態により、節足動物、例えばハエ、ゴキブリおよび蚊などの昆虫による、摂取に対する天然モノテルペノイド殺虫剤の改善された餌受容が達成される。一実施形態では、これらの害虫による化合物の摂取により、昆虫の中腸においてエステルが加水分解され、個々のモノテルペノイド殺虫剤が放出され、その後に害虫に対する毒性がもたらさされる。
【0029】
[0019]例示的実施形態の成分部分はいずれも、天然物であるか、または天然物から誘導されたものであってもよく、そのいくつかは、米国環境保護庁のExempt List 25bおよび/または米国食品医薬品局のGenerally Recognized As Safe(GRAS)リストに含まれ、そこには、食品、風味剤、香味料および化粧品の産業において広く使用され、消費者の使用に安全であると考えられている油脂および化合物が含まれる。
【0030】
[0020]例示的実施形態としては、ビス-、トリス-、テトラ-、ペンタ-およびヘキサキスエステルが挙げられるが、これらに限定されない。開示される実施形態は、少なくともイエバエ、チャバネゴキブリおよび蚊に対する餌として用いた際、毒性を示す。開示される1つまたは複数の化合物を用いて、殺虫餌とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】[0021]3週間連続で、3.75重量%のエチレンジシトロネートを有する食餌を曝露したチャバネゴキブリの死虫率%を示すグラフである。エステル型モノテルペノイドを与えた群の死虫率%は、対照群と比較し、すべての時点で顕著により高い死虫率%を示した。
【
図2】[0022]食餌の重量あたり3.75重量%の化合物に曝露したチャバネゴキブリの、2週目における死虫率を示すグラフである。この食物中濃度では、多数の化合物が、対照(α=0.05)と比較し顕著な死虫率を示すことができた。
【
図3】[0023]メーソンジャーへの導入後2週間における、15重量%化合物/食物重量を含有する食餌に曝露したチャバネゴキブリの死虫率%を示すグラフである。この濃度でスクリーニングした12種の化合物のうち、10種の化合物において、対照と比較し統計的に有意な死虫率を生じることができた。
【0032】
[0024]
図3は、15重量%化合物/食物重量を含んだ食餌を与えたチャバネゴキブリの死虫率%を示すグラフである。複数のモノテルペノイド誘導体は、試験アリーナへのゴキブリの導入後、様々な時点において、対照と比較し顕著な死虫率を生じることができた。
【
図4】[0025]5重量%モノテルペノイド誘導体/食物重量を含有する食餌に曝露したイエバエの死虫率%を実証するグラフである。多数のテルペノイド誘導体により、対照処理(化合物なし)と比較し、5日目において顕著な死虫率が示された。
【
図5】[0026]0.5%のZ-9-トリコセン(Muscalure(商標))と共に、ジシンナミルアジパート(モノテルペノイド誘導体)を5重量%化合物餌料重量を組み込んだ場合の、毒性の増大を実証するグラフである。Muscalureは、ハエの性フェロモンとして作用し、イエバエが餌に近づいて摂食する意志を顕著に増大する化合物である。アセトン対照(Acetone)においては、アセトンを塗布し、蒸発させた。
【
図6】[0027]選択アッセイにおける、イエバエに対する様々な化合物の毒性を実証するグラフである。このアッセイには、処理食物および未処理食物の両方が含まれる。このアッセイは、これらの化合物の多くが、未処理の食物源の存在下で毒性も嗜好性も有することを実証するものである。
【
図7】[0028]試験チャンバーへの導入後、24時間間隔で、エマルジョンとして調製した、チミルオキシ酢酸(thymyloxyacetic acid)および他の活性成分に曝露したイエバエの死虫率%を示すグラフである。チミルオキシ酢酸は、観察したすべての時点において、ホウ酸と同様に比較した。さらに、ホウ酸およびチミルオキシ酢酸の両方は、導入後120時間において、100%の死虫率を生じることができた。このデータは、スクロースおよび乳化剤を含有する液体製剤として提供したときに、イエバエに対する殺虫餌として選択された新規な生物学的物質の可能性を実証する。
【
図8】[0029]試験チャンバーへの導入後、24時間の間隔で、エマルジョンとして製剤化した、0.1%のチミルオキシ酢酸および他の活性成分に曝露したアカイエカの死虫率%を示すグラフである。チミルオキシ酢酸およびホウ酸を、6つの時点で比較した。この実験では、チミルオキシ酢酸は、導入後96、120および144時間において、ホウ酸より高い死虫率%の値を生じた。このデータは、スクロースおよび乳化剤を含有する液体製剤として提供したときに、蚊の種に対する殺虫餌として選択された新規な生物学的物質の可能性を実証する。
【
図9】[0030]0.1%の、様々な異なるハロゲン化された毒性餌化合物に曝露したアカイエカの死虫率%を示すグラフである。この実験は、これらの置換型分子もまた殺虫餌化合物として有効であることを実証する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[0031]開示される実施形態は、モノテルペノイドおよび/またはフェニルプロパノイド部分を有する化合物、ならびにそれらの製造方法および使用方法に関する。具体的には、開示される実施形態は、生物学的供給源に由来するモノテルペノイドおよびフェニルプロパノイド化合物に関する。以下でさらに詳述するように、本明細書において開示される実施形態のモノテルペノイドおよびフェニルプロパノイド誘導体化合物は、殺虫餌などの殺有害生物剤としての使用に特に適する。
【0034】
[0032]本開示の全体を通じて、明確化のため、以下の用語を提供する。
【0035】
[0033]本明細書における用語「モノテルペノイド」は、モノテルペン様物質を指し、モノテルペノイド誘導体ならびにモノテルペノイド類似体を集合的に指すために用いる。モノテルペンとは、非直鎖状の分岐を有する炭素数10の骨格を有する化合物を意味する。モノテルペンとは、技術的には、頭部および尾部で接続される様式で、2つのイソプレン単位を有する化合物を意味する。したがって、モノテルペノイドには、モノテルペン類、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類、エステル類、エーテル類、酸類、酸素官能基のない炭化水素類などが含まれうる。ある特定のフェノール化合物(例えばオイゲノール、チモールおよびカルバクロール)は、それらの機能がモノテルペノイドと本質的に同様であるため、一般にモノテルペノイドと称される。しかしながら、それらは同じイソプレン生合成経路により合成されず、むしろチロシンからのフェノールにより生成するため、これらの化合物は技術的に「モノテルペノイド」(または「モノテルペン」)ではない。しかしながら、本明細書では一般的な慣行に従う。
【0036】
[0034]用語「モノテルペノイドアルコール」は、天然に存在するいかなるモノテルペノイドまたはフェニルプロパノイドアルコールまたはフェノールを意味し、例えば、限定されないが、以下のものが含まれる:シトロネロール、リナロオール、ゲラニオール、ネロールおよびラバンジュロールを含む非環式不飽和モノテルペノイド、カルベオール、ピノカルベオール、ミルセノール、ミルテノール、α-テルピネオール、4-テルペニオール、ベルベノールおよびペリリルアルコールを含む単環式または二環式不飽和モノテルペノイド、メントール、フェンコール、ボルネオール、イソボルネオールおよびミルタノールを含む単環式または多環式飽和モノテルペノイド、チモール、カルバクロールまたは4-イソプロピル-3-メチルフェノールを含むイソプロピルクレゾール、いずれかの異性体ツヤプリシンなどのシクロヘプタトリエノロン、オイゲノール、イソオイゲノール、シンナミルアルコール、コニフェリルアルコール、ジンゲロン、ウンベリフェロン、クマリルアルコールおよびカビコールを含むフェニルプロパノイドアルコールまたはフェノール、または、バニリン、エチルバニリン、ピペロニルアルコールまたはシリングアルデヒドを含む、フェニルプロパノイドの天然の植物代謝により産生されるアルコールまたはフェノール。
【0037】
[0035]さらに、O-アルキル化およびO-アシル化モノテルペノイド、例えば、限定されないが、カルボン酸部分またはエステル部分を含有するエーテル化モノテルペノイド、ならびにカルボン酸部分を含有するモノテルペノイドのオリゴエステルは、本明細書においてモノテルペノイド誘導体と称される。
【0038】
[0036]用語「フェニルプロパノイド」は、アミノ酸であるフェニルアラニンから植物により合成される様々なグループの有機化合物を意味する。それらの名称は、炭素数6の芳香族フェニル基、および桂皮酸の炭素3のプロペン尾部に由来し、それはフェニルプロパノイド生合成の第1の段階においてフェニルアラニンから合成される。フェニルプロパノイドは植物界全体にわたって見出され、それらは多くの構成的ポリマーの必須成分として機能し、紫外線からの保護をもたらし、草食動物および病原体に対する防御を行い、また花の色素および臭気化合物として、植物-花粉媒介昆虫間の相互作用を仲介する。
【0039】
[0037]一実施形態によれば、開示される実施形態に係る化合物の、モノテルペノイドおよび/またはフェニルプロパノイド部分は、生物学的な供給源、例えば葉組織、茎組織、塊根組織またはそれらの混合物から得られる、植物性揮発性物質または植物精油の構成成分に由来する。
【0040】
[0038]本明細書で用いる「アルキル」という用語は、直鎖状または分岐状であってもよい、脂肪族炭化水素基を意味する。特に断りのない限り、該用語は2~7個の炭素のアルキル基を指す。例示的なアルキル基としては、限定されないが、例えば、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル基などが挙げられる。
【0041】
[0039]用語「アルケニル」は、炭素-炭素間二重結合を含有する脂肪族炭化水素基を意味し、それは鎖中に炭素原子2~約7個の直鎖状または分岐鎖状の基であってもよい。非限定的な、例示的なアルケニル基のとしては、エテニル、プロペニル、n-ブテニル、イソプレンおよびi-ブテニルが挙げられる。「アルケニル」の用語は、少なくとも1つの二重結合と少なくとも1つの三重結合とを含有する、炭素2~7個の炭化水素鎖を指す場合もある。
【0042】
[0040]用語「アルキニル」は、炭素-炭素間三重結合を含有する脂肪族炭化水素基を意味し、それは鎖中に炭素原子約3~約7個の直鎖状または分岐鎖状の基であってもよい。非限定的な、例示的なアルキニル基としては、プロピニル、n-ブチニル、2-ブチニル、3-メチルブチニル、プロパルギルおよびn-ペンチニルが挙げられる。
【0043】
[0041]用語「シクロアルキル」は、非芳香族の、飽和または不飽和の、炭素原子約3~約7個の単環または多環式の環系を意味する。例示的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
[0042]用語「シクロアルケニル」は、約3~約7個の炭素原子の、非芳香族の、不飽和の、単環または多環式の環系を意味する。例示的なシクロアルケニル基としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
[0043]用語「ヘテロアリール」は、約5~約19個の環原子、または約5~約10個の環原子を有する、芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、該環系中の原子の1個または複数が、炭素以外の、例えば窒素、酸素または硫黄などの元素である。多環式の環系の場合、「ヘテロアリール」として定義される環系のためには、1つの環のみが芳香族であればよい。具体的には、ヘテロアリールは約5~6個の環原子を含有する。ヘテロアリールの前に接頭辞「アザ」、「オキサ」、「チア」または「チオ」が付されるときは、それぞれ、少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリール環の窒素、炭素または硫黄原子は、任意に酸化されてもよく、窒素は、任意に四級化されてもよい。適切なヘテロアリールとしては、ピリジル、2-オキソ-ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリニル、2-オキソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシニル、ベンゾ[1,2,3]トリアジニル、ベンゾ[1,2,4]トリアジニル、4H-クロメニル、インドリジニル、キノリジニル、6aH-チエノ[2,3-d]イミダゾリル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、チエノ[2,3-b]フラニル、チエノ[2,3-b]ピリジニル、チエノ[3,2-b]ピリジニル、フロ[2,3-b]ピリジニル、フロ[3,2-b]ピリジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、フロ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-b]ピラジニル、イミダゾ[1,2-a]ピラジニル、5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジニル、6,7-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[5,1-c][1,4]オキサジニル、2-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾ[d]オキサゾリル、3,3-ジメチル-2-オキソインドリニル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジニル、3-オキソ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン-2(3H)-イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
[0044]本明細書において使用する「単環式」という用語は、一個の環を有する分子構造を示す。
【0047】
[0045]本明細書において使用する「多環式(polycyclic)」または「多環式(multi-cyclic)」という用語は、限定されないが、2個以上の環が融合した、架橋された、またはスピロ構造を有する分子構造を示す。
【0048】
[0046]本明細書で用いられる用語「ハロゲン」には、フッ素、臭素、塩素およびヨウ素が含まれるものとし、一方、用語「ハロゲン化物」には、フッ化物、臭化物、塩化物およびヨウ化物アニオンが含まれるものとする。
【0049】
[0047]用語「置換された」をいうときは、具体的には、従来技術において一般的な1つまたは複数の置換が想定され、許容される。しかしながら、当該置換基が、化合物の有用な特徴に悪影響を及ぼさず、またはその機能を妨げないように選択されなければならないことは、当業者により一般的に理解されることである。例えば、適切な置換基としては、以下のものが挙げられうる:ハロゲン基、ペルフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ群、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、オキソ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリールまたはヘテロアリール基、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、アラルキルまたはヘテロアラルキル基、アラルコキシまたはヘテロアラルコキシ基、アミノ基、アルキル-およびジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シクロアルキル基、シアノ基、C1~C6アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、ケト基、アシル基、ボロナートまたはボロニル基、ホスフェートまたはホスホニル基、スルファニル基、スルホニル基、スルフィニル基、およびそれらの組合せ。置換した組合せ(例えば「置換アリールアルキル」)の場合、1つまたは複数の置換基により、アリールまたはアルキル基が置換される場合も、またはアリールおよびアルキル基の両方が置換される場合もある。さらに、場合によっては、当業者に公知の適切な置換基を組み合わせて1つまたは複数の環を形成させてもよい。
【0050】
[0048]一実施形態によれば、化合物が置換されるということは、ある基が、基内の置換可能な原子において置換基を有してもよい(単一の原子上に複数の置換基を有することを含む)ことを意味するが、ただし、指定された原子の通常の価数を超えることはなく、また各置換基と他のものとの同一性は問わない。例えば、各残基内の最大3つの水素原子が、例えばアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、カルボキシ、カルボアルコキシ(またアルコキシカルボニルと称される)、カルボキサミド(またアルキルアミノカルボニルとも称される)、シアノ、カルボニル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メルカプト、アルキルチオ、スルホキシド、スルホン、アシルアミノ、アミジノ、フェニル、ベンジル、ヘテロアリール、フェノキシ、ベンジルオキシまたはヘテロアリールオキシなどの置換基で置き換えられる。置換基がケト(すなわち=O)である場合は、次いで、原子上の2つの水素が置き換えられる。置換基および/または変動基の組合せは、かかる組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容され、ここで「安定な化合物」とは、反応混合物の状態から適切な純度の状態にまで化合物を単離し、適切に使用できる薬剤にまで製剤化する際に、十分に堅牢で維持される化合物を意味する。
【0051】
[0049]ある特定の実施態様によれば、化合物は非置換型である。「非置換の」原子は、それらの価数によって該当する個数の水素原子を担持する。
【0052】
[0050]用語「化合物」およびそれと同等の表現は、本明細書において記載される化合物を包含することを意味する。また、文脈から許容される限り、化合物の塩、酸化物、溶媒和物(例えば水和物)および包接錯体、ならびにあらゆる立体異性体の形態、または任意の比率によるその化合物の任意のそのような形態の混合物も包含される。包接錯体は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第19版 1:176~177ページ(1995)に記載され、参照によりその全体を本明細書に組み込む。最も一般的に用いられる包接錯体は、シクロデキストリンによるものであり、すべてのシクロデキストリン錯体は、天然物および合成物を問わず、本明細書に開示される化合物に具体的に包含される。
【0053】
[0051]本明細書において記載される化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含む場合があり、ゆえにエナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体を生じうる。各キラル中心は、(R)-または(S)-として、その絶対立体配置が定義されうる。これは、すべてのそのような可能な異性体が、それらのラセミ混合物、および光学的に純粋な形態で含まれることを意味する。光学的に活性な(R)-および(S)-、(-)-および(+)-、または(D)-および(L)-異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製することができ、または従来公知の技術を使用して分割することができる。本明細書において記載される化合物が、オレフィン二重結合、または他の幾何学的に非対称の中心を含有するとき、特に明記しない限り、該化合物がEおよびZ体の幾何異性体の両方をすることを意味するものとする。同様に、すべての互変異性型も含まれることを意味するものとする。
【0054】
[0052]開示される実施形態の第1の態様は、式(I):
【0055】
【化11】
(式中、
R
1は、各々独立にフェニルプロペノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Lは、
【0056】
【化12】
の構造を有するポリエステル含有連結部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である)
の化合物に関する。
【0057】
[0053]当業者であれば、mが2である場合、式(I)の化合物は、以下の構造
【0058】
【化13】
を有し、
mが3である場合、式(I)の化合物は、以下の構造
【0059】
【0060】
[0054]この態様の一実施形態によれば、化合物は、式(II):
【0061】
【化15】
(式中、
R
1は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である)
の構造を有する。
【0062】
[0055]当業者であれば、mが2である場合、式(II)の化合物は、以下の構造
【0063】
【化16】
を有し、
mが3である場合、式(II)の化合物は、以下の構造
【0064】
【0065】
[0056]具体的実施形態では、L’は、それが結合しているエステルと一緒になって、
【0066】
【化18】
(式中、
Qは、分岐状または非分岐状の飽和または不飽和のC
0~C
4アルキル、分岐状または非分岐状のC
0~C
4ケトン、および分岐状または非分岐状のC
0~C
4アミンからなる群から選択される)
である。
【0067】
[0057]より具体的な実施形態では、Qは-(CH2)n-であり、nは0~4である。
【0068】
[0058]さらに別の特定の実施態様において、Qは、
【0069】
【0070】
[0059]さらに別の具体的実施態様において、Qは、
【0071】
【0072】
[0060]式(II)の化合物の一実施形態によれば、少なくとも1つのR1は、フェニルプロパノイド部分である。
【0073】
[0061]式(II)の化合物の別の実施形態によれば、少なくとも1つのR1は、モノテルペノイド部分である。
【0074】
[0062]具体的な一実施形態では、L’はトリカルボン酸部分であり、mは3である。
【0075】
[0063]別の具体的実施形態では、L’は、それが結合しているエステルと一緒になって、
【0076】
【化21】
からなる群から選択されるトリカルボン酸部分である。
【0077】
[0064]式(II)の化合物の一実施形態によると、L’は、それが結合しているエステルと一緒になって、ポリカルボン酸部分であり、カルボン酸部分の数は、mの数より大きく、それにより、1つまたは複数のカルボン酸部分は非エステル化型である。
【0078】
[0065]具体的な一実施態様において、mは2であり、L’はトリカルボン酸部分であり、非エステル型のカルボン酸は、プロトン化されているか、またはカルボン酸塩である。適切な非エステル型のカルボン酸としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅またはアミン対イオンを有するカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。非エステル型のカルボン酸は、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミンおよびメチルアミンからなる群から選択されるアミンを有するカルボン酸塩であってもよい。
【0079】
[0066]別の具体的実施形態では、L’は、それが結合しているエステルと一緒になって、少なくとも4つのカルボン酸基を有するカルボン酸部分である。
【0080】
[0067]さらに別の具体的実施形態では、mは4~6である。
【0081】
[0068]一実施形態では、1つまたは複数の非エステル型のカルボン酸部分は、カルボン酸塩である。適切なカルボン酸塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅またはアミン対イオンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
[0069]式(II)の化合物の一実施形態では、mは4~6である。
【0083】
[0070]式(II)の化合物としては、以下の表1に記載される具体的化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
【表1】
[0071]この態様の別の実施形態によれば、化合物は、式(III):
【0085】
【化22】
(式中、
R
1は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である)
の構造を有する。
【0086】
[0072]式(III)の化合物の具体的実施形態では、mは2である。
【0087】
[0073]当業者であれば、mが2である場合、式(III)の化合物が
【0088】
【化23】
の構造を有し、
mが3である場合、式(III)の化合物が
【0089】
【化24】
の構造を有することを理解するであろう。
【0090】
[0074]式(III)の化合物のより具体的な実施形態では、L’は、
【0091】
【0092】
[0075]式(III)の化合物の別の具体的実施形態では、mは3である。
【0093】
[0076]より具体的な実施形態では、L’は、
【0094】
【0095】
[0077]式(III)の化合物のさらに別の具体的実施形態では、L’は単糖部分であり、R1とエステルを形成する該単糖部分の2つ以上のヒドロキシル基は、L’の部分ではない。
【0096】
[0078]より具体的な実施形態では、単糖部分は、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、リブロースおよびキシルロースからなる群から選択されるペントースである。
【0097】
[0079]さらに別の具体的実施形態では、単糖部分は、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、タロース、イドース、ソルボース、フラクトース、プシコースおよびタガトースからなる群から選択されるヘキソースである。
【0098】
[0080]式(III)の化合物の別の具体的実施形態では、L’は二糖部分であり、R1とエステルを形成する二糖部分のヒドロキシル基は、L’の部分ではない。
【0099】
[0081]より具体的な実施形態では、二糖部分は、スクロース、マルトースおよびラクトースからなる群から選択される。
【0100】
[0082]式(III)の化合物の具体的実施形態では、L’は糖アルコール部分であり、R1とエステルを形成する糖アルコール部分のヒドロキシル基は、L’の部分ではない。
【0101】
[0083]より具体的な実施形態では、糖アルコールは、ソルビトール、イノシトール、エリトリトール、リビトール、トレイトール、アラビトールおよびキシリトールからなる群から選択される。
【0102】
[0084]式(III)の化合物の具体的実施形態では、少なくとも1つのR1は、
【0103】
【化27】
からなる群から選択される非環式モノテルペノイド部分である。
【0104】
[0085]式(III)の化合物の具体的実施形態では、少なくとも1つのR1は、
【0105】
【化28】
からなる群から選択される単環式または二環式モノテルペノイド部分である。
【0106】
[0086]式(III)の化合物の具体的実施形態では、少なくとも1つのR1は、以下の構造:
【0107】
【化29】
(式中、R
2は、H、OH、OMeまたはOEtである)を有する。
【0108】
[0087]式(III)の化合物の具体的実施形態では、少なくとも1つのR1は、以下の構造:
【0109】
【化30】
(式中、
R
3は、OH、OMeまたはOEtであり、
R
4は、H、OHまたはOMeであり、
R
5は、H、OHまたはOMeである)を有する。
【0110】
[0088]より具体的な実施形態では、少なくとも1つのR1は、
【0111】
【0112】
[0089]式(III)の化合物の具体的化合物を以下の表2に記載するが、これらに限定されるものではない。
【0113】
【0114】
【表2-2】
[0090]開示される実施形態の別の態様は、式(IV):
【0115】
【0116】
【化33】
であり、
R
6は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
R
7は、フェニルプロパノイドもしくはモノテルペノイド部分、または、H、M、置換もしくは非置換のC
3~C
7非分岐状もしくは分岐状のアルキル、置換もしくは非置換のC
2~C
7非分岐状もしくは分岐状のアルケニル、置換もしくは非置換のC
3~C
7非分岐状もしくは分岐状のアルキニル、置換もしくは非置換のC
3~C
7非分岐状もしくは分岐状のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリールおよび置換もしくは非置換のC
3~C
7非分岐状もしくは分岐状のシクロアルケニルからなる群から選択され、
Mは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅およびアミンからなる群から選択される対イオンである)
の化合物に関する。
【0117】
[0091]式(IV)の化合物の一実施形態では、R7はHである。
【0118】
[0092]式(IV)の化合物の別の実施形態では、Aは
【0119】
【化34】
であり、括弧内の炭素は1であり、R
7はHである。
【0120】
[0093]式(IV)の化合物のさらに別の実施態様では、R7は、
【0121】
【化35】
からなる群から選択されるC
3~C
7分岐アルキルである。
【0122】
[0094]式(IV)の化合物の別の実施形態では、R7は、
【0123】
【化36】
からなる群から選択されるC
2~C
7非分岐状または分岐状のアルケニルである。
【0124】
[0095]式(IV)の化合物の別の実施形態において、R7は、
【0125】
【化37】
からなる群から選択されるC
3~C
7非分岐状もしくは分岐状のアルキニルである。
【0126】
[0096]式(IV)の化合物の別の実施形態では、R7は、
【0127】
【化38】
からなる群から選択されるC
3~C
7非分岐状または分岐状のシクロアルキルである。
【0128】
[0097]式(IV)の化合物の別の実施形態では、R7は、
【0129】
【化39】
(式中、R
3およびR
4は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ビニル、アリルおよびプロパルギルからなる群から独立して選択される)
である。
【0130】
[0098]より具体的実施形態では、R3およびR4はいずれもHである、R3およびR4はいずれもCH3である、R3はCH3であり、R4はHである、または、R3はアリルであり、R4はHである。
【0131】
[0099]式(IV)の化合物の別の実施形態では、R7は、
【0132】
【化40】
(式中、R
3は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ビニル、アリルおよびプロパルギルからなる群から選択される)
である。
【0133】
[00100]式(IV)の化合物の別の実施形態では、R6はフェニルプロパノイド部分である。
【0134】
[00101]式(IV)の化合物のさらに別の実施態様において、R6はモノテルペノイド部分である。
【0135】
[00102]より具体的な実施形態では、モノテルペノイド部分は、
【0136】
【0137】
[00103]式(IV)の化合物の別の実施形態では、R7は、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、イソブチル、ブチルおよびtert-ブチルからなる群から選択される。
【0138】
[00104]式(IV)の化合物には、以下の表3に記載する具体的化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【表3-4】
[00105]一実施形態によれば、遊離カルボン酸を有する化合物(IV)は、各々エステル化される酸を有することができ、または該カルボン酸は、カルボン酸塩を形成させるために使用することもできる。
【0143】
[00106]一実施形態では、式(IV)の化合物は、チミルオキシ酢酸、カルバクリルオキシ酢酸およびオイゲニルオキシ酢酸以外の、表3において同定された具体的構造を含む。
【0144】
[00107]開示される実施形態の別の態様は、式(V):
【0145】
【化42】
(式中、
R
1は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Qは、分岐状または非分岐状の飽和または不飽和のC
0~C
4アルキル、分岐状または非分岐状のC
0~C
4ケトンおよび分岐状または非分岐状のC
0~C
4アミンからなる群から選択される)
の化合物に関する。
【0146】
[00108]一実施形態では、Qは-(CH2)n-であり、nは0~4である。
【0147】
[00109]別の実施形態では、Qは、
【0148】
【0149】
[00110]また別の実施形態では、Qは、
【0150】
【0151】
[00111]開示される実施形態のさらなる態様は、以下の式(II):
【0152】
【化45】
の構造を有する化合物の製造する方法に関する。
この方法は、R
1-OHとL’-(COOH)
mとを、または
R
1-OHと
【0153】
【化46】
とを、式(II)の構造を有する化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含み、ここで、
R
1は、各々独立してモノテルペノイドまたはフェニルプロペノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
mは、2~6である。
【0154】
[00112]一実施形態では、この方法は、2当量以上のR1-OHと、L’-(COOH)mまたは2当量以上の
【0155】
【化47】
とを、式(II)の構造を有する化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含む。
【0156】
[00113]開示される実施形態の別の態様は、式(III):
【0157】
【化48】
の構造を有する化合物の製造する方法に関する。
この方法は、R
1-COOHとL’-(OH)
mとを、または
【0158】
【0159】
【化50】
の構造を有する化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含み、
ここで、
R
1は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である。
【0160】
[00114]一実施形態では、この方法は、2当量以上のR1-COOHとL’-(OH)mとを、または2当量以上の
【0161】
【化51】
とL’-(OH)
mとを、式(III)の構造を有する化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含む。
【0162】
[00115]上記のように、ある特定の例示的化合物は、生物学的な供給源、例えば植物揮発性物質、葉組織、茎組織、塊根組織またはそれらの混合物などから得られる植物精油の構成成分などから誘導できる。
【0163】
[00116]別の実施形態では、より高い分子量、より高い極性または低い揮発性の物質を得るための合成に使用されるモノテルペノイドは、合成供給源から得られる。
【0164】
[00117]上記のように、ある特定の化合物は、モノテルペノイドまたはフェニルプロパノイドの誘導体である。非限定的な例として、本開示に係る化合物は、アルコール含有モノテルペノイドまたはフェニルプロパノイド(例えばチモールなど)
【0165】
【化52】
の誘導体であってもよい。
例示的な一実施形態では、チモール誘導体は以下の構造
【0166】
【化53】
[00118](式中、チモールの炭素数10の骨格はモノテルペノイドまたはモノテルペノイド部分を構成し(例えば式(I)のR
1)、波線
【0167】
【化54】
は残りの分子(例えば式(I)のL)との連結を表す)
を有する。
【0168】
[00119]別の非限定的な例として、化合物は、カルボン酸含有モノテルペノイドまたはフェニルプロパノイド(例えばシトロネル酸)の誘導体であってもよい。
【0169】
【化55】
別の例示的実施形態では、シトロネル酸誘導体は、
【0170】
【化56】
(式中、シトロネル酸の炭素数9の骨格(カルボン酸の炭素を除く)はモノテルペノイドまたはモノテルペノイド部分を構成し、波線
【0171】
【化57】
は残りの分子(例えば式(I)のL)との連結を表す)の構造を有する。したがって、エステルの方向(すなわちLは
【0172】
【化58】
である)は、本明細書において使用するモノテルペノイドまたはフェニルプロパノイド前駆体(例えばチモールまたはシトロネル酸である)によって指示される。
【0173】
[00120]したがって、例示的化合物は、モノテルペノイドアルコール(すなわちヒドロキシル基含有モノテルペノイド)から、またはモノテルペノイドカルボン酸(すなわちカルボン酸含有モノテルペノイド)から誘導されうる。あるいは、化合物は、フェニルプロパノイドアルコール(すなわちヒドロキシル基含有フェニルプロパノイド)から、またはフェニルプロパノイドカルボン酸(すなわちカルボン酸含有フェニルプロパノイド)から誘導されうる。
【0174】
[00121]開示される実施形態のさらなる態様は、式(IV)の化合物と、担体とを含む殺虫性組成物に関する。一実施形態では、組成物は、式(IV)の化合物のサブセクトと、担体とを含む。例えば、限定されないが、組成物は式(IV)の化合物を含み、式中、Aは
【0175】
【化59】
であり、括弧内の炭素は1であり、R
7はHである。
【0176】
[00122]より具体的な実施形態では、殺虫餌組成物において有用な化合物としては、表4に記載される例示的化合物のうちの任意の1つまたは複数が挙げられるが、これらに限定されない。
【0177】
【0178】
【表4-2】
[00123]表4において同定された化合物は、遊離カルボン酸として示す。しかしながら、各酸はエステル化することができ、またはカルボン酸塩の形成に使用することができる。
【0179】
[00124]具体的実施形態では、適切なエステルとしては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、アミルエステルが挙げられる。
【0180】
[00125]別の具体的実施形態では、適切なカルボン酸塩としては、限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムを含む金属塩が挙げられる。
【0181】
[00126]さらに別の具体的実施形態では、表4において同定された化合物のうち適切なものは二酸であり、ジエステルおよび二価のアニオン塩が含まれる。
【0182】
[00127]開示される実施形態の別の態様は、式(I)、(IV)または(V)の化合物と、担体とを含む殺虫剤組成物に関する。
【0183】
[00128]さらに別の態様は、例示的実施形態に係る殺虫性化合物および/または組成物を含む殺虫餌に関する。
【0184】
[00129]開示される実施形態の別の態様は、昆虫を死滅させる方法に関する。この方法は、殺虫剤組成物をある位置に提供して昆虫を誘引することを含む。昆虫が、餌に誘引され、餌を消費し、消費された殺虫剤組成物によって死滅する。
【0185】
[00130]多くのモノテルペノイドは、昆虫に対して局所適用した場合、注入した場合、または昆虫が接触する表面に塗布した場合に毒性であることが確認されている。残念なことに、これらの化合物の多くは忌避性が非常に高く、誘引性の餌に含有させることができない。これらの比較的揮発性の高い化合物を、合成化学プロセスにより分子量または極性を増加させてこれらの分子を低揮発性とすることにより、これらの化合物の忌避性を低下させ、各種の害虫昆虫による摂取を促進することができる。摂取された後、これらの化合物(一実施形態では、エステル結合を加水分解したもの)は毒性である。これらの化合物は、現在市販されている、主に合成殺虫剤を含有する多くの毒性餌製剤に対する生物学的代替物となる。
【0186】
[00131]開示される実施形態に係るモノテルペノイド誘導体化合物は、増加した分子量、より高い極性を有し、または、市販の天然物由来/合成された、実験室試験で各種の昆虫用食餌と組み合わせたときに殺虫性を示すことが実証されているモノテルペノイド化合物よりも、揮発性が減少している。これらの新規なモノテルペノイド誘導体化合物は、製剤化された誘引性餌として提示される場合、または毒性食物代替物として提示される場合、昆虫害虫を効果的に死滅させることができる。
【0187】
[00132]これらの誘引性の毒性餌製剤は、問題となっている昆虫害虫に関係する、様々な住居および商業施設の環境中、例えば、限定されないが、居住、住家、レストラン、業務用ビルディング、温室、ガレージ、穀物貯蔵庫、バラック、農場、納屋、ならびに、昆虫害虫が害虫集団を防除するための毒性誘引性餌を摂食すると考えられる他の場所および条件において存在する昆虫に対して給餌されうる。
【0188】
[00133]一実施形態において、組成物は、適切な餌中に組み込まれる殺虫性化合物を含む。本明細書において用語「担体」とは餌を含むものとする。
【0189】
[00134]本明細書において、用語「餌」は、任意の生理的機構によって殺虫剤組成物を摂取させるために、昆虫を誘引し、誘導し、強要し、またはそれ以外の作用を発揮する、あらゆる物質のことを意味する。したがって、味覚、嗅覚、視覚または触感の感覚に訴えかけて殺虫剤組成物を摂食するよう昆虫を誘引し、誘導し、強要し、またはそれ以外の作用を発揮するいかなる物質も、殺虫剤組成物の意味および意図の範囲内である。これは、昆虫害虫が摂食を奨励されるマトリックス中に殺虫性化合物を組み込むことを含む。さらに、これらの化合物は、嗜好性が高い化合物を表し、また昆虫に対してそのまま提供できるものである。これは、餌としても機能する。
【0190】
[00135]適切な餌としては、限定されないが、アルファルファミール、牛脂肪、血粉、ベーコン、牛肉ブイヨン、コーンミール、カゼイン、トウモロコシ、綿実ミール、チキンフィード、ドッグフード、乾燥リンゴ、卵、魚粉、小麦粉、蜂蜜、肉、オート麦、ピーナッツ、ピーナッツバター、ピーナッツミール、レーズン、ソーセージ、おがくず、砂糖、ダイズミール、タンクかす、小麦、ふすま、ホエイ、キャトルフィード、パン、クラッカー、St.Johnブレッド、チョコレート、犬用ビスケット、包装した家庭廃棄物、穀物、シード、バター、ベーコンドリッピング、コーン油、ソフトドリンク用シロップ、綿実油、ラード、チョコレートシロップ、モラセス、シュガーシロップ、落花生油、植物性油、トウモロコシタンパク質加水分解物、スープおよびブイヨン、マヨネーズ、牛乳、クリームおよび天然香油等が挙げられる。
【0191】
[00136]餌の選択は、知りうる範囲において、標的とされる特定の害虫に依存しうる。例えば、一般家庭におけるアリを防除するためには、この性質から、天然の砂糖および他の糖含有材料が好まれうる。他方で、ゴキブリは比較的雑食性であり、上記で列挙される餌のほとんどに対し誘引されることが可能であるため、餌の選択は特に問題となりえない。
【0192】
[00137]昆虫(1種または複数)の同定が不明である場合、例えば、標的とされる害虫種の選択が特定されるまで、いくつかの異なる餌の混合物を用い、その後、標的害虫により適切に向けた餌を用いることができる。
【0193】
[00138]殺虫剤組成物において、毒性化合物の濃度は、組成物中の約0.01%(w/w)の量から、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、30%、40%または約50%(w/w)、またはそれ以上の量まで、ならびにそれらの間のすべての中間範囲の量で、組成物中に含有させることができる。
【0194】
[00139]昆虫を死滅させる方法を実行する際、昆虫に応じて、標的とする領域に餌を小量ずつ分配することにより、組成物を分配することができる。
【0195】
[00140]昆虫を死滅させる方法を実行する際、昆虫を誘引する位置としては、例えば居住用および事業用の建築物および施設(農場を含む)、収納棚、コンテナ、住宅、草地、庭などの標的領域が挙げられる。したがって、標的領域には、該標的領域の付近の物体、限定されないが、例えば植物、衣料品、構築物、テント、枕、ベッドネット、ブランケット、自動車などが含まれうる。
【0196】
[00141]殺虫剤組成物により死滅させる標的害虫としては、限定されないが、吸血害虫、刺咬昆虫、ゴキブリ、蚊、ブユ、ノミ、イエバエ、納屋ハエ、イエハエ(face fly)、茂みハエ(bush fly)、アブ(deer fly)、アブ(horse fly)、ブヨ、カブトムシ、ビールバグ、シラミ、ナンキンムシ、シロアリ、ハサミムシ、アリ、アブラムシ、トウヒ材芽虫、アワノメイガ、ハマトビムシ、ツェツェバエ、サシガメ、サシバエ、スナバエ、貯蔵穀物の害虫(例えば、コクゾウムシ、赤コクヌストモドキ、クワガタ、インドミールモス)、イガ、マダニ、ダニ(mites)、クモ、植食性害虫、吸血性害虫および他の節足動物害虫などが挙げられる。
【0197】
[00142]「昆虫」とは、頭部、胸郭および腹部を含む3部分にはっきりと分かれた体節を有し、3対の脚のみ、時には翅を有する、例えばカブトムシ、バグ、ミツバチ、ハエ、蚊などの小型の無脊椎動物、という古典的な定義のみならず、そのメンバーが、翅を有さず、通常6本の脚より多いまたは少ない本数の脚を有する、例えば、クモ、マダニ、ダニ、ムカデ、ワラジムシ、ネマトーダなどの節足動物または他の無脊椎動物の害虫の他の同類のクラスをも包含する意味で用いる。
【0198】
[00143]開示される実施形態のこの態様に係る組成物は、いかなる適切な形態に製剤化してもよく、限定されないが、液剤、エマルジョン剤、乳剤、懸濁剤、発泡剤、ペースト剤、エアゾール剤、サスポエマルジョン(suspoemulsion)濃縮物またはスラリー剤などが挙げられる。適切な組成物には、HV、LVおよびULV噴霧用、およびULV冷噴霧および高温噴霧用の製剤のものが含まれる。具体的な一実施形態では、組成物は、大規模または小規模な農業および園芸用途に適する様式で製剤化される。例えばケーキ、粉末またはダストなどの固体状の組成物も適切な形態である。
【0199】
[00144]これらの製剤は、例えば、液体組成物を増量剤(すなわち液体溶媒)、圧力下で液化させたガスおよび/または固体担体と混合することにより、公知の様式で製造される。湿潤剤および/または界面活性剤、すなわち乳化剤および/または分散剤、金属イオンキレート剤、可塑剤、光沢剤、流動剤、融合助剤、ワックス剤、充填剤、ポリマー剤、凍結防止薬剤、殺生物剤、増粘剤、粘着剤、および/または発泡剤および消泡剤を、当業者に一般に知られている様式で使用することもできる。使用する増量剤が水である場合、例えば補助溶媒として有機溶剤を用いることも可能である。他の考えられる添加剤としては、鉱物油および植物油、着色剤(例えば無機顔料)および微量栄養素である。
【0200】
[00145]例示的な実施形態として、本明細書において開示される化合物をカプセル封入した殺虫性製剤が含まれる。本明細書において、「カプセル封入した」、または「カプセル封入」、またはそれらのあらゆる活用形は、本明細書において開示される1つまたは複数の化合物を保持できる、あらゆる形状およびサイズの顆粒を指す。かかるカプセル封入の1つの非限定的な例は、マイクロカプセル封入である。適切なマイクロカプセル剤は、本願明細書において開示される化合物を、その重量の30~98%またはそれ以上有し、例えば、イソシアネートまたは他の適切な封入材料の界面重合により調製され、マイクロカプセル封入シェルとすることができる。かかるマイクロカプセルは、0.1~1,000ミクロンの平均サイズを有しうる。
【0201】
[00146]かかる添加剤の性質および作用は、液状製剤の当業者にとり周知である。添加剤は、製剤に含まれる化合物または他のいかなる生物活性成分にも悪影響を与えない。
【0202】
[00147]一実施形態において、製剤中の活性化合物含量は、約0.0000001~20重量%、または約0.0001~15重量%の活性化合物の濃度である。
【0203】
[00148]殺虫性化合物は、餌マトリックスに組み込まれてもよく、また餌ステーション(bait station)に配置してもよい。これらのステーションは、殺虫性化合物および餌マトリックスを容器に収容して、それらを環境から保護することを含む。昆虫は、この餌ステーションに誘引され、殺虫餌を摂食することができる。これらの餌ステーションは、様々な誘引物質源を利用して、害虫昆虫による摂食を誘引することができる。これらの誘引物質源としては、例えばフェロモン、CO2または木が挙げられ、害虫昆虫が殺虫餌を摂取する前段階として餌ステーションに近づくことを誘導する。いかなる物理的または化学的誘引物質も、この餌ステーション法で利用できる。
【0204】
[00149]様々な殺真菌剤を、これらの殺虫餌製剤の防腐剤として使用することができる。例えば、全開示内容を参照により本願明細書に組み込む、Fungicide Resistance Action Committee(FRAC)、FRAC CODE LIST 1(FRAC Codeにより整理)、2006年、12月により分類され、リスト化された殺真菌剤が挙げられる。このリストの要約には、以下が含まれる:メチルベンゾイミダゾールカルバメート(MBC):例えばベンズイミダゾールおよびチオファナート;ジカルボキシイミド;脱メチル阻害剤(DMI)(SBI:クラスI):例えばイミダゾール、ピペラジン、ピリジン、ピリミジンおよびトリアゾール;フェニルアミド(PA):例えばアシルアラニン、オキサゾリジノンエステルおよびブチロラクトン;アミン(SBI:クラスII):例えばモルホリン、ピペリジンおよびスピロケトアルアミン;ホスホロ-チオレートおよびジチオラン;カルボキサミド:例えばベンズアミド、フランカルボキサミド、オキサチインカルボキサミド、チアゾールカルボキサミド、ピラゾールカルボキサミドおよびピリジンカルボキサミド;ヒドロキシ-(2-アミノ)ピリミジン;アニリノ-ピリミジン(AP);N-フェニルカルバメート;キノンアウトサイド阻害剤(QoI):例えばメトキシアクリル酸塩、メトキシカルバミン酸塩、オキシイミノアセテート、オキシイミノ-アセトアミド、オキサゾリジンジオン、ジヒドロ-ジオキサジン、イミダゾリノンおよびベンジル-カルバミメート;フェニルピロール;キノリン;芳香族炭化水素(AH)およびヘテロ芳香族I:例えば1,2,4-チアジアゾール;ケイ皮酸;メラニン生合成阻害剤-レダクターゼ(MBI-R):例えばイソベンゾフラノン、ピロロキノリノンおよびトリアゾロベンゾ-チアゾール;メラニン生合成阻害剤-デヒドラターゼ(MBI-D):例えばサイクロプロペイン-カルボキサミド、カルボキサミドおよびプロピオンアミド;ヒドロキシアニリド(SBI:クラスIII);ヒドロキシアニリド(SBI:クラスIV):例えばチオカルバミン酸塩およびアリルアミン;ポリオキシン:例えばペプチジルピリミジンヌクレオシド;フェニルウレア;キノンインサイド阻害剤(QiI):例えばシアノイミダゾールおよびスルファモイル-トリアゾール;ベンズアミド:例えばトルアミド;抗生物質:例えばエノピランウロン酸、ヘキソピラノシル、ストレプトマイシンおよびバリダマイシン;シアノアセトアミド-オキシム;カルバミン酸塩、ジニトロフェニルクロトン酸塩;ピリミジノン-ヒドラゾン;2,6-ジニトロアニリン;有機スズ化合物:例えば、トリフェニルスズ化合物;カルボン酸;複素環式芳香族化合物II:例えばイソオキサゾールおよびイソチアゾロン;ホスホン酸塩:例えばエチルホスホン酸塩および亜リン酸および塩;フタルアミド酸;ベンゾトリアジン;ベンゼンスルホンアミド;ピリダジノン;チオフェン-カルボキサミド;ピリミジンアミド;CAA-殺真菌剤(カルボン酸アミド):例えば、ケイ皮酸アミド、バリンアミドカルバメートおよびマンデル酸アミド;テトラサイクリン;チオカルバン酸塩;ベンズアミド:例えばアシルピコリド;宿主植物防御インデューサー:例えばベンゾチアジアゾールBTH、ベンズイソチアゾールおよびチアジアゾール-カルボキサミド;分類困難な物質:例えばチアゾールカルボキサミド、フェニルアセトアミド、キナゾリノンおよびベンゾフェノン;複数部位接触物質:例えば銅塩、硫黄、ジチオカルバメートおよびその関連物質、フタルイミド、塩化ニトリル(フタロニトリル)、スルファミド、グアニジン、トリアジンおよびキノン(アントラキノン);非分類物質:例えば鉱物油、有機油、重炭酸カリウムおよび生物系物質。当業者であれば、本明細書において開示される様々な例示的実施形態に従い、他の殺真菌剤が製剤化し、または共投与できることを認識するであろう。
【0205】
[00150]一実施形態では、組成物を、ポリマー性物質中にマイクロカプセル封入する。好適なマイクロカプセル封入材料の例としては、代表的なメンバーとして、以下のクラスの材料が提供される。当業者であれば、ポリマー特性を有する他のクラスの材料を使用でき、また各所与ノクラス内の他の材料、および他のクラスのポリマーをマイクロカプセル封入に使用できることは自明である。本明細書において、マイクロカプセル封入とは、ナノカプセル封入のための方法および材料を含むものとする。限定されないが、例として以下が挙げられる:ゴムおよび天然巨大分子:例えばアラビアゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンおよびゼラチン;炭水化物:例えばデンプン、デキストラン、スクロース、コーンシロップおよびβ-シクロデキストリン;セルロースおよび半合成巨大分子:例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテート-フタレート、セルロースアセテート-ブチレート-フタレート、エポキシおよびポリエステル;脂質:例えばワックス、パラフィン、ステアリン酸、モノグリセリド、リン脂質、ジグリセリド、蜜蝋、油、脂肪、硬化油およびレシチン;無機材料:例えば硫酸カルシウム、シリケートおよび粘土;タンパク質:例えばグルテン、カゼイン、ゼラチンおよびアルブミン;生物学的物質、例えばパン酵母および他の微生物などの生物ならびに他のかつては生きていた細胞組織に由来する無効にされた細胞(voided cell)。さらに、これらの材料は単独で使用してもよく、またはマイクロもしくはナノカプセル封入の工程中で他の材料と混合してもよい。
【0206】
[00151]本願明細書において記載され、後記の特許請求の範囲に記載される例示的実施形態は、その特徴、要素または工程が本明細書において具体的に開示されているか否かを問わず、最適に実施できることを、本明細書のすべての読者により理解されるであろう。例えば、本願明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などの記載は、記載される実施形態中に、特定の性質、構造または特徴が含まれうるが、すべての実施形態が、これらの特定の性質、構造または特徴を必ずしも含むわけではないことを指すものである。さらに、かかる語句は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の性質、構造または特徴がある実施形態に関連して記載されるとき、かかる性質、構造または特徴が他の実施形態に影響を及ぼすことは、それが明記されているか否かを問わず、当業者の技術的知識の範囲内であると考えられる。
【0207】
[00152]「背景技術」のセクションなどに記載の、本明細書に引用されるすべての刊行物および参考文献は、それらの全内容を参照により本明細書に組み込む。しかしながら、援用された刊行または参考文献に存在するいかなる類似または同一の用語と、本明細書において明確に提示、または定義されるそれらとの間で相違がある場合、本明細書において定義された、または明確に提示された用語の意味を優先させるものとする。さらに、本明細書で先行技術を引用することは、決して、かかる先行技術がいずれかの国における一般的知識の一部をなすことを承認または示唆するものではなく、またそのように認識すべきでない。
【実施例】
【0208】
[00153]以下の実施例は、実施形態を例示するために提供されるものであり、それらの範囲に何ら限定するものではない。
【0209】
実施例1
化学的合成(代表例)
ジエステル、エチレングリコールリンカー
[00154]エチレングリコール(10mmol)を50mLのDMFに溶解させ、DMAP(122mg、0.1eq)およびDCC(4.54g、2.2eq)を添加した。次に、カルボン酸(25mmol)は、0℃において5分間にわたり、クロロホルム中(25mL)溶液として添加した。反応物を加温して室温に戻し、3時間撹拌した。次に、水(50mL)およびヘキサン(50mL)を添加し、次に、二相混合物を濾過し、大部分のDCUを除去した。次に、混合物を有機層および水層に分離させ、ヘキサンを用いて水層をさらに2回抽出した。有機層を合わせて、水で数回洗浄してすべてのDMFを除去し、次に、1Mの塩酸、次に1Mの水酸化ナトリウム、次にブラインで洗浄し、次に硫酸マグネシウムで脱水した。回転蒸発による溶媒の除去後、化合物をカラムクロマトグラフィーまたは再結晶により精製した。70~90%の収率であった。
エチレンジシンナメート
[00155]ケイ皮酸を用いた。粗製物をイソプロパノールから再結晶させ、ふわふわした白色固体(2.88g、89%)を得た。
【0210】
【数1】
ジエステル、ジカルボン酸リンカー
ジゲラニルスクシネート
[00156]コハク酸(0.590g、5mmol)を20mLのDMFに溶解させ、DMAP(122mg、1mmol)およびアルコール(1.62g、10.5mmol)を添加し、溶液を0℃に冷却した。DCC(2.17g、2.1eq)をクロロホルム(10mL)に溶解させ、次に、この溶液を5分間にわたり反応混合物に添加した。反応物を加温して室温に戻し、3時間撹拌した。次に、水(50mL)およびヘキサン(50mL)を添加し、次に、二相混合物を濾過し、大部分のDCUを除去した。次に、混合物を有機層および水層に分離させ、ヘキサンを用いて水層を2回以上抽出した。有機層を合わせて、水で数回洗浄してすべてのDMFを除去し、次に、1Mの塩酸、次に1Mの水酸化ナトリウム、次にブラインで洗浄し、次に硫酸マグネシウムで脱水した。回転蒸発による溶媒の除去後、化合物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色の油状物を得た。(0.985g、50%)。
【0211】
【数2】
ジオイゲニルスクシネート
[00157]オイゲノール(3.45g、21mmol)をジクロロメタン(40mL)に溶解させ、0℃に冷却した。ピリジン(2.37g、30mmol)を添加し、続いて塩化サクシニル(1.55g、10mmol)を滴下して添加した。添加終了後、反応物を室温に加温し、15分間撹拌し、次に反応物をヘキサン(100mL)で希釈し、水(30mL)を添加した。水層を除去し、有機層を水で洗浄し、次に3Mの塩酸および2Mの水酸化ナトリウム溶液で数回洗浄し、有機層から大部分の色を除去した。有機溶液を硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を減圧下で除去した。95%のエタノールから粗製の固体を再結晶させ、淡黄色固体を得た。
【0212】
【数3】
ポリオールのオリゴエステル、一般的手順
[00158]ポリオール(5mmol)をDMF(50mL)に溶解させ、DCC(ヒドロキシル基当たり1.1当量)およびDMAP(ヒドロキシル基当たり0.1当量)を添加した。溶液を0℃に冷却し、カルボン酸(ヒドロキシル基当たり1.15当量)を10分間にわたり添加した。次に、水(50mL)およびヘキサン(50mL)を添加し、次に二相混合物を濾過し、大部分のDCUを除去した。次に、混合物を有機層および水層に分離させ、水層をヘキサンで2回以上抽出した。有機層を合わせて、水で数回洗浄してすべてのDMFを除去し、次に、1Mの塩酸、次に1Mの水酸化ナトリウム、次にブラインで洗浄し、次に硫酸マグネシウムで脱水した。回転蒸発により溶媒を除去した後、化合物をカラムクロマトグラフィーまたは再結晶により精製した。グリセロールの場合、トリグリセリドは1,3-ジグリセリドをしばしば伴うが、それは容易に分離できる。この傾向は、より多くのアルコール基を有する場合でも見られ、さらに、糖をコアとして使用されるとき、糖の異なるアノマーが生じる。
トリシトロネロイルグリセロール
[00159]グリセロールおよびシトロネル酸を用いる、一般的手順。無色油状物(1.89g、69%)。
【0213】
【数4】
1,3-ジシトロネロイルグリセロール
[00160]トリシトロネロイルグリセロール合成からジアシルグリセロールを単離。無色の油状物を白色固体(1.89g、69%)に固化。
【0214】
【数5】
エーテル化テルペノイド
オイゲニルオキシ酢酸
[00161]200mLの水酸化ナトリウム水溶液(16.8g、420mmol)に、オイゲノール(32.8g、200mmol)およびクロロ酢酸(19.4g、205mmol)を添加した。次に透明な茶色の溶液を3時間還流加熱し、次に、反応物を冷却し、混合物が強酸性となるまで沸騰塩酸を添加し、油状物としてオイゲニルオキシ酢酸を分離し、さらに固化させた。濾過により不純化合物を単離し、さらにトルエンから再結晶させ、灰白色の結晶(28.98g、65%)を得た。
【0215】
【数6】
メチルオイゲニルオキシアセテート
[00162]250mLの丸底フラスコ中でオイゲニルオキシ酢酸(22.22g、100mmol)をメタノール(100mL)に溶解させた。濃硫酸(1mL)を添加し、反応物を2時間還流加熱した。次に反応物を冷却し、水(100mL)を添加した。メチルオイゲニルオキシ酢酸を水層からヘキサンで抽出した。合わせた有機層、水、次に1Mの水酸化ナトリウム、次にブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で濃縮した。
【0216】
【数7】
ゲラニルチミルオキシアセテート:
[00163]ゲラニオール(0.771g、5mmol)およびチミルオキシ酢酸(1.15g、5.5mmol)を、DMAP(61mg)のクロロホルム(25ml)中溶液に添加した。1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)(1.05g、1.1当量)を0℃で一度に添加し、反応物を室温で4時間撹拌した。溶液を次に100mLのヘキサンで希釈し、最初に水で、次に1Mの塩酸、1Mの水酸化ナトリウム、および最後にブラインにより洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、次に溶媒を減圧下で除去した。粗製物をカラムで精製(EtOAc:ヘキサン=1:9)し、無色の油状物(1.01g、59%)を得た。
【0217】
【数8】
チミルチミルオキシアセテート
[00164]ゲラニオールの代わりにチモールを用いる、上記と同じ手順。無色油状物(0.872g、51%)。
【0218】
【数9】
カルバクリルオイゲニルオキシアセテート:
[00165]カルバクロールおよびオイゲニルオキシ酢酸を用いる、同じ手順。クリーム色のフレーク状物。
【0219】
【数10】
実施例2
チャバネゴキブリへの給餌
材料および方法
チャバネゴキブリ
[00166]成体の雄および雌のチャバネゴキブリ(Blattella germanica)を、アイオワ州立大学(Ames、IA)の昆虫学部門・殺虫毒性研究室(Department of Entomology’s Pesticide Toxicology Laboratory)において確立されたコロニーから得た。昆虫を12:12時間の一定の明:暗サイクルで維持し、ドライキャットフード(Purina(登録商標)Cat Chow Complete(登録商標)、rolled oats (HyVEE(登録商標)Old Fashioned Oats)およびFluker(登録商標)Cricket Quencherの食餌を与えた。
給餌アッセイ
[00167]ゴキブリ逃走防止用の鋼製メッシュを上部に有するメイソン型ジャーに、5匹の成体チャバネゴキブリ(Blattella germanica)を導入した。破砕した266.6mgのCheerios(商標)(約2個のcheerios)を、食物重量あたりの濃度を変化させた化合物と混合した。材料が固体である場合、乳鉢と乳棒を用いて、破砕したCheeriosと化合物とを均一にした。材料が液体である場合、それをアセトンに溶解させ、食物重量当たりの化合物の所望の濃度が達成されるまでゆっくりと食物に秤量添加した。アセトンを実験の全体にわたり担体として使用する場合、アセトンが食物中に存在しないよう、食物を繰り返し慎重に撹拌し、確実に蒸発させた。これは、処理された食物中に存在する溶媒による死虫の可能性を排除するために行った。対照は、アセトン約1mLのみで処理した食物からなった。すべての処理においてアセトンは蒸発させたので、溶媒による死虫の可能性への寄与はなかった。死虫率の評価に用いた濃度は、食物重量に対し3.75%および15重量%の化合物とした。すべての死虫率は、異なる化合物で処理した食物を有する個々のメイソン型ジャーにゴキブリを導入した後、2週目において評価した。
データ解析
[00168]平均値の標準誤差(SEM)付きの平均死虫率%としてデータを示す。最低3回の反復試験を化合物毎に実施し、事後Student Newman-Kuels試験によるANOVAを行い、対照と個々の処理との比較(α=0.05)を行った。アスタリスクは、対照から統計的に有意に高い死虫率%を表す。
結果
[00169]試験した大部分の化合物は、2週目において対照より高い死虫率%を生じた。
図1は、数週間にわたり3.75重量%化合物/食物重量の濃度の様々な化合物で曝露したチャバネゴキブリの死虫率%を示す。エチレンジシトロネレートは、処理した食物にゴキブリを曝露し、1、2および3週後において、対照と比較し顕著に高い死虫率%を生じることができた。逆に、対照(アセトンのみ)では、ゴキブリの導入後、2週目において、60%濃度で23.3%の死虫率を示した。2週間にわたり3.75重量%化合物/食物重量でさらに多くの化合物をスクリーニング(単一時点)したとき、2つの化合物において、対照と比較し統計的に有意な死虫率%を生じた(α=0.05)(
図2)。これらの化合物は、エチレンジシトロネレートおよびジシトロネロイルグリセロールである。他のいくつかの化合物も、やや低い率ではあったが、対照よりも数値的に高い死虫率を示した。
【0220】
[00170]より高濃度でのチャバネゴキブリに対する各種餌化合物の有効性を評価するため、15%化合物/食物重量による第2の一連の実験を実施した。前回実験から同定された最も有効な化合物をスクリーニングした。
図3は、15%w/wで食物中に組み込んだときの、大量の各種化合物のチャバネゴキブリに対する有効性を示す。この濃度では、スクリーニングした各化合物においてより高い死虫率%が観察された。15重量%/食物重量で試験したこれらの化合物の中の多くが、対照において観察されたものより顕著に高い死虫率をもたらした。さらに、これらのうちの2つの化合物では、15%w/w食物の濃度でそれらをゴキブリ食物に添加した後、2週目において100%の死虫率を示した。これらの化合物は、エチレンジシトロネレートおよびヘキサシトロネリルイノシトールを含んだ。この濃度では、スクリーニングしたすべての化合物は、対照の処理より数値的に高い死虫率%を示した。
【0221】
実施例3
イエバエへの給餌(固体食物)
材料および方法
昆虫
[00171]アイオワ州立大学(Ames、IA)の殺虫毒性研究室・昆虫学部門(Pesticide Toxicology Laboratory Department of Entomology’s)によって維持される、確立されたコロニーから、イエバエ(Musca domestica)を得た。標準的な実験室プロトコールに従いハエを維持した。イエバエに対し、綿芯により水を、また砂糖および粉ミルク(1:1で混合)の固体支持体を、自由に摂取させた。試験前に、ハエを24±2℃の温度、30%±10%の相対湿度、および12:12時間の明:暗周期に維持した。ハエを、様々な日数で、3つの別々のBioquip BugDorm(登録商標)ケージのうちの1つからランダムに選択し、生命力に関する潜在的バイアスを排除した。
給餌アッセイ(非選択アッセイ)
[00172]脱イオン水で満たしたフレンチスクエア(French square)を有する実験槽(2.5ガロン)に、約20~30匹の成体イエバエ(Musca domestica)を導入した。歯科用の綿芯を用いて水を吸収させ、フレンチスクエアの上部に置いてハエに与えた。化合物を異なる濃度で、乾燥粉乳およびスクロース=1:1の混合物中に導入した。食物重量に対する重量を変えて化合物を組み込んだ、2gの食物をハエに与えた。材料が固体である場合、乳鉢および乳棒を用いて、破砕した乾燥粉乳、スクロースおよび化合物を均一にした。材料が液体である場合、それをアセトンに溶解させ、食物重量当たりの化合物の所望の濃度が達成されるまでゆっくりと食物に秤量添加した。実験にわたって、アセトンを担体として使用する場合、アセトンが食物中に存在しないよう、食物を繰り返し慎重に撹拌し、確実に蒸発させた。死虫率を評価するため、食物重量に対する5重量%化合物の濃度を使用した。異なる化合物で処理した食物を有する個々のメイソン型ジャーに、イエバエを導入した後、5日目の全死虫率を評価した。強力なイエバエ性フェロモンであり、ハエの毒性餌およびトラップに一般的に添加されているZ-9-トリコセン(Muscalure(登録商標))を有する餌の有効性を評価するため、追加実験を実施した。
給餌アッセイ(選択アッセイ)
[00173]このアッセイは、非選択給餌アッセイと同様に実施したが、多くの重要な変更点を有する。選択アッセイでは、乾燥粉乳およびスクロースを1:1で含む1個の未処理の食物源と、同一材料で構成されるが処理(毒性を有する生物学的化合物を含有)を行った食物源とを用いた。さらに、毒性の殺虫餌化合物を、15%w/w食物の濃度で、食物混合物中に組み込んだ。処理および未処理の食物源が共存することに起因する、予想される低い死虫率%の存在を考慮し、敢えて高いこの毒性の殺虫餌の濃度を選択した。死虫率の記録は、曝露の5日後に行った。
データ解析
[00174]平均値の標準誤差(SEM)付きの平均死虫率%としてデータを提示する。この数は、各反復試験における、各実験槽に導入したハエの総数との比較して、死虫率%を算出した。最低3回の反復試験を各化合物において実施した。
結果
[00175]スクリーニングした多くの化合物では、5重量%/食物重量でイエバエ食物に導入したとき、対照より高い死虫率%を示した。
図4は、可能性のあるハエの殺虫餌として試験した多くの化合物の有効性を実証する。対照の処理では、約22%の死虫率であり、このアッセイは、化合物が殺虫餌として作用しうるか否かをロバストに判断できることを実証するものである。化合物のうち、エチレンジシトロネレート、チミルケイ皮酸、チミルヒドロゲンスクシネート、メチルオイゲニルオキシアセテート、ゲラニルチミルオキシアセテートおよびオイゲニルオキシ酢酸では、50%を超える死虫率%を生じた。チミルヒドロゲンスクシネート、シンナミルミリスチン酸、ジシンナミルアジパートおよびヘキサシンナモイルイノシトールは、死虫率が40%超であった。これらの化合物を5重量%/食物重量で用いたときの有効性が広範にわたるということは、餌として提供したときにこれらの化合物がイエバエに対して毒性である可能性を実証する。さらに、このセット内のいくつかの化合物では殺虫性が認められず、すなわち、固有かつ異なる毒性機構が、この一連の化学品中の各分子に存在しうることを示すものである。
【0222】
[00176]イエバエ食餌の一部としてこれらの化合物を提供したときの殺虫特性をさらに試験するため、Z-9-トリコセンを混合物に添加し、ハエによるこの毒性混合物の摂食を促進した。Z-9-トリコセンは、雄のイエバエが雌のイエバエを特定するために使用する強力な性フェロモンである。この化合物は、多くの市販のハエ餌の成分であり、より多くのハエをこれらの毒性餌に誘引させることによりそれらの有効性を増加させる。この実験では、0.5重量%/食物重量で化合物およびZ-9-トリコセンの両方を含有させた処理においてより高い死虫率%が観察された(
図5)。ここではまた、ジシンナミルアジパートを5重量%/食物重量の濃度で食餌に添加した。この実験でもまた、ジシンナミルアジペート(以前の実験においてより毒性の化合物の1つとして同定される)の毒性が実証され、またこれらの化合物が市販の毒性ハエ餌を模倣する製剤として使用できる可能性があることが示唆される。
【0223】
[00177]最後に、選択アッセイにおいてイエバエに食物を与え、未処理の食物源の存在下でこれらの各種の殺虫性化合物の摂食誘引性およびそれらの有効性を評価した。これにより、ハエに対して複数の食料源が提供されうる天然環境を模倣できる。この試験においては、様々なオキシ酢酸のメチルエステルが、最も成功した嗜好性が高い餌であった。さらに、チミルオキシ酢酸のイソプロピル、アミル、シトロネリルおよびゲラニルエステルはいずれも、この選択アッセイで顕著な毒性レベルを生み出しし、それらがいずれも、将来有望な殺虫餌として摂食誘引性および有用性を示すことを示唆しうるものであった。
【0224】
[00178]これらのデータをまとめると、それらの化合物が新規な昆虫餌組成物を表すものでありうることが示唆される。異なる餌媒体中の様々な濃度の有効性は、それらの殺虫剤としての利用可能性を明確に示すものである。
【0225】
実施例4
イエバエに対する給餌(水ベースの殺虫性スクロース餌)
材料および方法
昆虫
[00179]アイオワ州立大学(Ames、IA)の昆虫学部門・殺虫毒性研究室によって維持される、確立されたコロニーから、イエバエ(Musca domestica)を得た。標準的な実験室プロトコールに従いハエを維持した。イエバエに対し、綿芯により水を、また砂糖および粉ミルク(1:1で混合)の固体支持体を、自由に摂取させた。試験前に、ハエを24±2℃の温度、30%±10%の相対湿度、および12:12時間の明:暗周期に維持した。ハエを、様々な日数で、3つの別々のBioquip BugDorm(登録商標)ケージのうちの1つからランダムに選択し、健康に関する潜在的バイアスを排除した。
給餌アッセイ
[00180]この試験では、0.5%(v/v)の200プルーフのエチルアルコールおよび乳化剤である0.5%(v/v)のTWEEN 80(ポリオキシエチレン)を、品質保証を受けたACS結晶性スクロースおよび脱イオン水の10%(w/w)混合物と合わせて、スクロース餌製剤を調製した。これらの成分はすべて、Fisher Scientific company(Fair Lawn、NJ)から得た。10mL容のメスフラスコ中、10mLの量でスクロース餌製剤を創出した。次に、5mLの製剤を2つの2ドラム型ガラスバイアルに入れた。化合物を0.1%(w/w)製剤の濃度で溶解させた。10匹のイエバエ(両性を含む)を8ozのデリカップに入れ、各処理について最低2回の反復試験を行った。綿芯をバイアルに導入し、スクロース製剤をハエに与えた。Parafilm(登録商標)で各バイアルをラップし、綿芯の場所を適切に維持し、混合物の流出/蒸発を止めた。チュールをカップの上部に固定し、ハエが試験アリーナから逃避できないことを確実にした。実験の際、併せて、ハエにスクロースまたは食物を与えなかった陰性対照(絶食)を設け、ハエが餌を摂食したか否かを明らかにした。給餌されなかったハエは、試験アリーナへの導入の24時間以内に絶命した。このバイオアッセイにおいて、他の市販の殺虫餌において使用される毒性成分の有効性を実証ため、ホウ酸を用いた陽性対照を用いた。ホウ酸は、市販品において利用が確立されている餌であり、このアッセイでも高い死虫率を示している。試験チャンバーへの導入後5日間にわたりイエバエをモニタリングし、24時間間隔で死虫率を毎日記録した。死虫率%は、全反復試験に関連する、特定の処理における平均死虫率%±平均値の標準誤差として算出した。事後Student Newman-Kuels平均比較試験による一元配置ANOVA(α=0.05)を用い、様々な時点における、処理の間での統計的有意性を判定した。
結果
[00181]このバイオアッセイにおいて、試験したチモール誘導体は、スクロース、Tween 80、エタノール中のエマルジョンにおいて、イエバエに対して顕著な死虫率%を生じた(
図7)。絶食対照では、適用後、24時間目において他のすべての処理と比較し統計的に有意な死虫率%を示し、すなわち給餌されないハエの場合の死虫率を示すものである。これを10%スクロースのみの対照と比較すると、この実験区では実験間隔全体にわたり非常に低い死虫率%であった。10%スクロースのみの対照に関連した最大の死虫率は、ハエを試験アリーナに導入した後120時間における、15±3.53%であった。このデータは、このバイオアッセイが、殺虫餌として提供される選択された生物学的物質の毒性効果をロバストに検出できることを証明するものである。
【0226】
[00182]ハエを試験アリーナに導入した後、0.1%のチミルオキシ酢酸を含有する水性製剤を与えたイエバエでは、48、72、96および120時間目において、それぞれ26.7%、80%、93.3%および100%の死虫率であり、スクロースのみの対照と比較し有意な死虫率%を示した。このバイオアッセイにおけるチミルオキシ酢酸の遅延型の死虫率は、これらの餌をハエに連続的に給餌し、高い毒性が発揮されることを示唆するものである。試験アリーナへの導入後48、72および96時間目に、チミルオキシ酢酸およびホウ酸を用いて同様に試験を行ったところ、両処理間の統計的有意差は見られなかった。さらに、チミルオキシ酢酸およびホウ酸の両方は、ハエを試験アリーナに導入した後、120時間目において100%の死虫率を生じた。これを、試験昆虫の導入後120時間目に見られるチモールの死虫率%(25±10.7%)と比較した。
【0227】
[00183]この一連のデータは、選択された生物学的物質の合成誘導体が、イエバエに対する殺虫餌として非常に有効であり、市販されている他の製品と同等であることを証明する。さらに、チモール単独と比較したより高い死虫率%は、これらの生物学的化合物が、それらの合成において使用される親モノテルペノイドよりも毒性が高いことを示唆する。
実施例5
蚊の給餌アッセイ(水性殺虫性スクロース餌)
材料および方法
蚊:
[00184]アイオワ州立大学(Iowa State University of Science and Technology)(Ames、IA)の昆虫学部門のMedical Entomology Laboratoryにおいて確立されたコロニーから、アカイエカ(Culex pipiens)(アメリカ北東部における、西ナイルウイルスの主な宿主)を得た。Medical Entomology Laboratoryにより確立されたプロトコールに従い、蚊を生育させた。羽化後5~7日の成体の雌の蚊を用い、忌避性バイオアッセイを実施した。羽化後~試験前において、成体の蚊に対し、10%スクロース溶液を浸漬した綿芯を自由に与えた。試験に用いる蚊には血粉を与えなかった。試験の前に、27℃、80%の相対湿度、16:8時間の明:暗周期の条件で蚊を維持した。
給餌アッセイ
[00185]この試験では、0.5%(v/v)の200プルーフのエチルアルコールおよび乳化剤である0.5%(v/v)のTWEEN 80(ポリオキシエチレン)を、品質保証を受けたACS結晶性スクロースおよび脱イオン水の10%(w/w)混合物と合わせて、スクロース餌製剤を調製した。これらの成分はすべて、Fisher Scientific company(Fair Lawn、NJ)から得た。10mL容量のメスフラスコ中、10mLの量でスクロース餌製剤を創出した。次に、5mLの製剤を2つの2ドラム型ガラスバイアルに入れた。試験化合物を0.1%w/w製剤の濃度で溶解させた。10匹の雌のアカイエカを8-ozのデリカップに入れ、各処理について最低2回の反復試験を行った。綿芯をバイアルに導入し、スクロース製剤を蚊に与えた。パラフィルムで各バイアルをラップし、綿芯の場所を適切に維持し、混合物の流出/蒸発を止めた。チュールをカップの上部に固定し、蚊が試験アリーナから逃避できないことを確実にした。実験の際、併せて、蚊にスクロースまたは食物を与えなかった陰性対照(絶食)を設け、蚊が餌を摂食したか否かを明らかにした。給餌されなかった蚊は、試験アリーナ中で導入の72時間以内に絶命した。このバイオアッセイにおいて、他の市販の殺虫餌において使用される毒性成分の有効性を実証するため、ホウ酸を用いた陽性対照を用いた。試験チャンバーへの導入後6日間にわたりアカイエカをモニターし、24時間間隔で死虫率を毎日記録した。死虫率%は、全反復試験に関連する、特定の処理における平均死虫率%±平均値の標準誤差として算出した。事後Student Newman-Kuels平均比較試験による一元配置ANOVA(α=0.05)を用い、様々な時点における、処理の間での統計的有意性を判定した。
結果
[00186]このバイオアッセイにおいて、試験したチモール誘導体は、バイオアッセイ終了時に、他の処理より高い死虫率%を示した(
図8)。さらに、スクロースのみの対照による死虫率%は、試験アッセイ全体にわたり低いままであり、15±10.6%の最大値であった。また、絶食対照では、導入後72時間およびそれ以降の実験設定に、顕著な死虫率%を示した。このことは、各種の殺虫餌の昆虫による摂食性およびそれらの各毒性を判定する際、このバイオアッセイが有用であることを実証するものである。
【0228】
[00187]アカイエカを導入した後、0.1%のチミルオキシ酢酸を含有する水性製剤を与えた蚊では、96、120および144時間目において、スクロースのみの対照と比較し有意な死虫率%を示した。0.1%のチミルオキシ酢酸とホウ酸をすべての時点において同様に試験したところ、観察したすべての時点において、これらの2つの処理間で統計的有意差が見られなかった。絶食対照と比較した、0.1%のチミルオキシ酢酸およびホウ酸両方の遅延型の毒性効果は、アカイエカが水性製剤化餌を摂食することができ、またこのバイオアッセイにおいてこれらの製剤により顕著な毒性が生じたことを実証するものである。チミルオキシ酢酸は、導入後120および144時間目において、ホウ酸と比較し非常に高い数値で死虫率%を生じた。このバイオアッセイにおいて、この化合物により生じた最大死虫率%は、導入後144時間目における95±3.53%であった。
【0229】
[00188]このデータは、選択された新規な生物学的化合物が、高い死虫率%をアカイエカに対して示すことができ、また現在市販されている他の殺虫餌製品と同程度の有効性を示しうることを実証するものである(
図9)。このデータは、本特許出願において開示されるチミルオキシ酢酸および他の新規な生物学的物質が、誘因性毒性砂糖餌の現行の製品、および他の市販の水性製剤の蚊防除製品よりも、蚊種に対する有効性であることを示唆するものである。
【0230】
[00189]文言的なサポートを提供するのに必要な範囲で、あらゆる添付の特許請求の範囲に記載の主題および/または文言が、そのすべてが参照により本願明細書に組み込まれるものと理解される。
【0231】
[00190]本明細書において記載される例示的実施形態は、あらゆる記載される特徴、要素または工程が本願明細書において具体的に開示されているか否かを問わず、最適に実施できるものとして、本明細書のすべての読者により理解されるであろう。
以下に、本願発明の実施態様を付記する。
[1] 担体または餌マトリックスと、有効量の式(I):
【化1】
(式中、
R
1
は、各々独立してフェニルプロペノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Lは、以下の構造を有するポリエステル含有連結部分であり、
【化2】
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは2~6である)
の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法。
[2] 担体または餌マトリックスと、式(II):
【化3】
(式中、
R
1
は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である)
の特定の化学的組成を有する前記[1]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法。
[3] 担体または餌マトリックスと、前記[2]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、L’が、それが結合しているエステルと一緒になって、
【化4】
(式中、
Qは、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のC
0
~C
4
アルキル、分岐状もしくは非分岐状のC
0
~C
4
ケトンおよび分岐状もしくは非分岐状のC
0
~C
4
アミンからなる群から選択される)
である、方法。
[4] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[3]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、Qが-(CH
2
)
n
-であり、nが0~4である、方法。
[5] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[3]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、Qが、
【化5】
からなる群から選択される、方法。
[6] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[3]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、Qが、
【化6】
からなる群から選択される、方法。
[7] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[2]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、少なくとも1つのR1がモノテルペノイド部分である、方法。
[8] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[7]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、L’がトリカルボン酸部分であり、mが3である、方法。
[9] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[8]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、L’が、それが結合しているエステルと一緒になって、
【化7】
からなる群から選択されるトリカルボン酸部分である、方法。
[10] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[2]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、L’が、それが結合しているエステルと一緒になって、ポリカルボン酸部分であり、カルボン酸部分の数がmより大きい数であり、それにより1つまたは複数のカルボン酸部分が非エステル化型である、方法。
[11] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[10]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、
mが2であり、
L’がトリカルボン酸部分であり、
非エステル化カルボン酸がプロトン化されているか、またはカルボン酸塩である方法。
[12] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[11]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、非エステル化カルボン酸が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅またはアミン対イオンとのカルボン酸塩である、方法。
[13] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[12]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、非エステル化カルボン酸が、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミンおよびメチルアミンからなる群から選択されるアミンとのカルボン酸塩である、方法。
[14] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[10]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、L’が、それが結合しているエステルと一緒になって、少なくとも4つのカルボン酸基を有するカルボン酸部分である、方法。
[15] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[10]に記載の化合物とを含む殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、mが4~6である、方法。
[16] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[2]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、mが4~6である、方法。
[17]
担体または餌マトリックスと、有効量の前記[16]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、1つまたは複数の非エステル化カルボン酸部分がカルボン酸塩である、方法。
[18] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[17]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、カルボン酸塩が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅またはアミン対イオンである、方法。
[19] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[2]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、化合物が、
【化8】
からなる群から選択される構造を有する、方法。
[20] 担体または餌マトリックスと、式(III):
【化9】
(式中、
R
1
は、各々独立してフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり
L’は、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキルまたはシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、2~6である)
の構造を有する、有効量の前記[1]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法。
[21] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[20]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、mが2である、方法。
[22] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[21]に記載の化合物とを含む殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、L’が、
【化10】
からなる群から選択される、方法。
[23] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[20]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、mが3である、方法。
[24] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[23]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、L’が、
【化11】
からなる群から選択される、方法。
[25] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[20]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、
L’が単糖部分であり、
R
1
と共にエステルを形成する前記単糖部分の2個以上のヒドロキシル基が、L’の部分ではない、方法。
[26] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[25]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、単糖部分が、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、リブロースおよびキシルロースからなる群から選択されるペントースである、方法。
[27] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[25]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、単糖部分が、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、タロース、イドース、ソルボース、フルクトース、プシコースおよびタガトースからなる群から選択されるヘキソースである、方法。
[28] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[20]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、
L’が二糖部分であり、R
1
と共にエステルを形成する二糖部分のヒドロキシル基が、L’の部分ではない、方法。
[29] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[28]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、二糖部分が、スクロース、マルトースまたはラクトースからなる群から選択される、方法。
[30] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[20]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、
L’が糖アルコール部分であり、
R1と共にエステルを形成する糖アルコール部分のヒドロキシル基が、L’の部分ではない、方法。
[31] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[30]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、糖アルコールが、ソルビトール、イノシトール、エリスリトール、リビトール、トレイトール、アラビトールおよびキシリトールからなる群から選択される、方法。
[32] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[20]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、少なくとも1つのR1が、
【化12】
からなる群から選択される非環状モノテルペノイド部分である、方法。
[33] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[20]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、少なくとも1つのR
1
が、
【化13】
からなる群から選択される単環式または二環式モノテルペノイド部分である、方法。
[34] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[20]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、少なくとも1つのR
1
が、
以下の構造:
【化14】
を有し、
R
2
が、H、OH、OMeまたはOEtである、方法。
[35] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[20]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、少なくとも1つのR
1
が、
以下の構造:
【化15】
(式中、
R
3
は、OH、OMeまたはOEtであり、
R
4
は、H、OHまたはOMeであり、
R
5
は、H、OHまたはOMeである)
を有する、方法。
[36] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[35]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、少なくとも1つのR
1
が、
【化16】
からなる群から選択される、方法。
[37] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[20]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、化合物が、
【化17】
からなる群から選択される構造を有する、方法。
[38] 担体または餌マトリックスと、有効量の式(IV):
【化18】
(式中、
Aは、-O-R
2
、
【化19】
であり、
R
1
は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
R
2
は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、Aが
【化20】
である場合、化合物が
【化21】
ではない)
の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法。
[39] 担体または餌マトリックスと、有効量の式(IV)の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、Aが、
【化22】
であり、
R
1
が、置換もしくは非置換のC
7
~C
15
非分岐状もしくは分岐状のアルキル、置換もしくは非置換のC
7
~C
15
非分岐状もしくは分岐状のアルケニル、置換もしくは非置換のC
7
~C
15
非分岐状もしくは分岐状のアルキニル、置換もしくは非置換のC
7
~C
15
非分岐状もしくは分岐状のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、および置換もしくは非置換のC
7
~C
15
非分岐状もしくは分岐状のシクロアルケニルからなる群から選択される、方法。
[40] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[38]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、R
1
がモノテルペノイド部分である、方法。
[41] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[47]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、モノテルペノイド部分が、
【化23】
からなる群から選択される、方法。
[42] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[38]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、R1が、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、イソブチル、ブチルおよびtert-ブチルからなる群から選択される、方法。
[43] 担体または餌マトリックスと、有効量の式(V):
【化24】
(式中、
R
1
は、フェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
Qは、分岐状もしくは非分岐状の飽和もしくは不飽和のC
0
~C
4
アルキル、分岐状もしくは非分岐状のC0~C4ケトンおよび分岐状もしくは非分岐状のC
0
~C
4
アミンからなる群から選択される)
の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法。
[44] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[43]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、Qが-(CH
2
)
n
-であり、nが
0
~
4
である、方法。
[44] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[43]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、Qが、
【化25】
からなる群から選択される、方法。
[45] 担体または餌マトリックスと、有効量の前記[43]に記載の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法であって、Qが、
【化26】
からなる群から選択される、方法。
[46] 担体または餌マトリックスと、有効量の式(VI):
【化27】
(式中、
Aは、-O-R
7
、
【化28】
であり、
R
6
は、置換もしくは非置換のフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であり、
R
7
は、置換もしくは非置換のフェニルプロパノイドまたはモノテルペノイド部分であるか、あるいはH、M、置換もしくは非置換のC
3
~C
7
非分岐状もしくは分岐状のアルキル、置換もしくは非置換のC
2
~C
7
非分岐状もしくは分岐状のアルケニル、置換もしくは非置換のC
3
~C
7
非分岐状もしくは分岐状のアルキニル、置換もしくは非置換のC
3
~C
7
非分岐状もしくは分岐状のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリールおよび置換もしくは非置換のC
3
~C
7
非分岐状もしくは分岐状のシクロアルケニルからなる群から選択され、
Mは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅およびアミンからなる群から選択される対イオンである)
の化合物との殺虫餌製剤に曝露した昆虫または節足動物の害虫を死滅させる方法。
[46] 式I、II、III、IV、VおよびVIの構造を有する化合物を製造する方法。
[47] 担体と、式I、II、III、IV、VまたはVIの構造を有する化合物とから構成され、これらの様々な餌化合物を摂食することができる昆虫に毒性成分を提示するように設計されたデバイスに適用される組成物。
[49] 担体と、式I、II、III、IV、VまたはVIの構造を有する化合物とから構成される殺虫剤組成物。
[51] 担体と、式I、II、III、IV、VまたはVIの構造を有する化合物との組成物を提供することを含む、昆虫を死滅させる方法。
[52] 担体と、式I、II、III、IV、VまたはVIの構造を有する化合物とから構成される組成物であって、嗜好性が高い餌として作用し、それにより他の処理された食物源の存在下であっても昆虫による摂食を可能にする組成物。
[53] 実質的に上記の明細書、特許請求の範囲および添付の図/図面において記載される例示的実施形態。