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特許7227171インジェクタ、眼内レンズシステム、及び関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】インジェクタ、眼内レンズシステム、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
A61F2/16
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019572128
(86)(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 US2018039586
(87)【国際公開番号】W WO2019005859
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/534,988
(32)【優先日】2017-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/017,369
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/525,317
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ エフ.ザッカー
(72)【発明者】
【氏名】グレン サスマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン エフ.サファバシュ
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/122805(WO,A1)
【文献】実開昭58-196438(JP,U)
【文献】国際公開第2017/079449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状体、
前記環状体の軸線方向に前記環状体を貫通する開口部、及び、
前記開口部の周りに円周方向に延びる凹部、を備えるベースと、
前記凹部の中に挿入可能であり、且つ前記凹部から取り外し可能であるレンズであって、前記レンズは、
中央光学部品、
前記中央光学部品から離れるように半径方向に突出する第1のタブ、及び、
前記中央光学部品から離れるように半径方向に突出し、半径方向の圧縮に対して、前記第1のタブよりも大きな抵抗力を有する第2のタブ、を備え、
前記第1のタブは、
前記中央光学部品から離れるように半径方向に突出する第1のアーム、
前記中央光学部品から離れるように半径方向に突出し、且つ前記第1のアームから離れるように延びる第2のアーム、及び、
前記第1のアームから前記第2のアームまで延びる第3のアーム、を含み、
前記第1、第2、及び第3のアームのうちの1つ以上の動きが前記第1のタブの変形をもたらす、レンズと、
を備え
前記第1のアームは前記第1のアームを前記中央光学部品に接続する第1のヒンジ部分を含み、前記第2のアームは前記第2のアームを前記中央光学部品に接続する第2のヒンジ部分を含む、眼内レンズシステム。
【請求項2】
前記第3のアームの中央部分は、前記第3のアームの頂点を含み、前記頂点は、前記第3のアームの半径方向最外側部分である、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項3】
前記第1、第2、及び第3のアームの各々が少なくとも1つの直線区画を有する、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項4】
前記第3のアームは第1の直線区画及び第2の直線区画を有し、前記第1の直線区画及び前記第2の直線区画は頂点で連結されている、請求項3に記載の眼内レンズシステム。
【請求項5】
前記第1の直線区画と前記第2の直線区画との間に鈍角が形成されている、請求項3に記載の眼内レンズシステム。
【請求項6】
前記第1のアームは前記中央光学部品から第1の方向に延び、前記第2のアームは前記中央光学部品から第2の方向に延び、前記第2の方向は前記第1の方向とは異なり、前記第1の方向と前記第2の方向との間に鈍角が形成されている、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項7】
前記第2のタブは、
前記中央光学部品の第1の半径方向外側表面から突き出る第1の側面であって、前記第1の側面と前記第1の半径方向外側表面との間に第1の角度が形成されている、第1の側面と、
前記中央光学部品の第2の半径方向外側表面から突き出る第2の側面であって、前記第2の側面と前記第2の半径方向外側表面との間に第2の角度が形成されている、第2の側面と、を含み、
前記第1の角度及び前記第2の角度の大きさは異なる、
請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項8】
環状体、
前記環状体の軸線方向に前記環状体を貫通する開口部、及び、
前記開口部の周りに円周方向に延びる凹部、を備えるベースと、
前記凹部の中に挿入されるように、且つ前記凹部から取り外し可能であるように構成されたレンズであって、前記レンズは、
中央光学部品、
前記中央光学部品から離れるように半径方向に延びる第1のタブ、及び、
前記中央光学部品から離れるように半径方向に延び、圧縮に対して、前記第1のタブよりも大きな抵抗力を有する第2のタブ、を備え、
前記第1のタブは、
前記中央光学部品から離れるように半径方向に延びる第1のアーム、
前記中央光学部品から離れるように半径方向に延びる第2のアーム、及び、
前記第1のアームと前記第2のアームとの間に延びる第3のアーム、を含み、
前記第1、第2、及び第3のアームのうちの1つ以上が変形して、前記第1のタブを圧縮状態と伸長状態との間で移動させるように構成され、
前記第1のタブの前記伸長状態において、前記第1のアームと前記第2のアームとの間に鈍角が形成される、レンズと、
を備え
前記第1のアームは前記第1のアームを前記中央光学部品に接続する第1のヒンジ部分を含み、前記第2のアームは前記第2のアームを前記中央光学部品に接続する第2のヒンジ部分を含む、眼内レンズシステム。
【請求項9】
前記第1のタブは第1の平面を含み、
前記中央光学部品は第2の平面を含む、請求項8に記載の眼内レンズシステム。
【請求項10】
前記第1のタブの前記伸長状態において、前記第1の平面と前記第2の平面との間に鋭角が形成される、請求項9に記載の眼内レンズシステム。
【請求項11】
前記第1のタブが前記伸長状態から前記圧縮状態に移動するにつれて、前記第1の平面及び前記第2の平面は互いに向かって移動するように構成されている、請求項9に記載の眼内レンズシステム。
【請求項12】
前記中央光学部品は平面を含み、前記圧縮状態において、前記第1のアーム及び前記第2のアームのうちの一方が前記平面に当接する、請求項8に記載の眼内レンズシステム。
【請求項13】
記第3のアームは第3のヒンジ部分を含み、
前記第1、第2、及び第3のヒンジ部分は、前記第1のタブが前記伸長状態と前記圧縮状態との間を移動するにつれて曲がるように構成されている、
請求項8に記載の眼内レンズシステム。
【請求項14】
前記第1、第2、及び第3のアーム、並びに前記中央光学部品は、孔を取り囲む閉じたリングを形成し、
前記孔の幅は、前記第1のタブが前記圧縮状態に移動するにつれて狭くなる、請求項8に記載の眼内レンズシステム。
【請求項15】
ベースとレンズとを含む眼内レンズシステムであって、
前記ベースは、
上部リム及び下部リムを含む環状体と、
前記環状体の軸線方向で前記環状体を貫通して延びる開口部と、
前記上部リムにおいて直径方向に対向する第1の対の折り畳みノッチ及び前記下部リムにおいて直径方向に対向する第2の対の折り畳みノッチであって、該ベースを折り畳むための折り目を提供するように構成された直径方向に対向する第1及び第2の対の折り畳みノッチと、
前記開口部の周りに円周方向に延びる凹部と、
を含んでおり、
前記レンズは、前記凹部の中に挿入可能であり、且つ前記凹部から取り外し可能であって、
中央光学部品と、
前記中央光学部品から離れるように半径方向に突出する第1のタブと、
前記中央光学部品から離れるように半径方向に突出し、半径方向の圧縮に対して、前記第1のタブよりも大きな抵抗力を有する第2のタブと、
を含んでおり、
前記第1のタブは、
前記中央光学部品から離れるように半径方向に突出する第1のアームと、
前記中央光学部品から離れるように半径方向に突出し、且つ前記第1のアームから離れるように延びる第2のアームと、
前記第1のアームから前記第2のアームまで延びる第3のアーム、を含み、
前記第1、第2、及び第3のアームのうちの1つ以上の動きが前記第1のタブの変形をもたらし、
前記第1のアームは前記第1のアームを前記中央光学部品に接続する第1のヒンジ部分を含み、前記第2のアームは前記第2のアームを前記中央光学部品に接続する第2のヒンジ部分を含む、眼内レンズシステム。
【請求項16】
前記第3のアームの中央部分は、前記第3のアームの頂点を含み、前記頂点は、前記第3のアームの半径方向最外側部分である、請求項15に記載の眼内レンズシステム。
【請求項17】
前記第1、第2、及び第3のアームの各々が少なくとも1つの直線区画を有する、請求項15に記載の眼内レンズシステム。
【請求項18】
前記第3のアームは第1の直線区画及び第2の直線区画を有し、前記第1の直線区画及び前記第2の直線区画は頂点で連結されている、請求項16に記載の眼内レンズシステム。
【請求項19】
前記第1の直線区画と前記第2の直線区画との間に鈍角が形成されている、請求項17に記載の眼内レンズシステム。
【請求項20】
前記第1のアームは前記中央光学部品から第1の方向に延び、前記第2のアームは前記中央光学部品から第2の方向に延び、前記第2の方向は前記第1の方向とは異なり、前記第1の方向と前記第2の方向との間に鈍角が形成されている、請求項15に記載の眼内レンズシステム。
【請求項21】
前記第2のタブは、
前記中央光学部品の第1の半径方向外側表面から突き出る第1の側面であって、前記第1の側面と前記第1の半径方向外側表面との間に第1の角度が形成されている、第1の側面と、
前記中央光学部品の第2の半径方向外側表面から突き出る第2の側面であって、前記第2の側面と前記第2の半径方向外側表面との間に第2の角度が形成されている、第2の側面と、を含み、
前記第1の角度及び前記第2の角度の大きさは異なる、
請求項15に記載の眼内レンズシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、2018年6月25日に出願された米国特許出願第16/017,369号明細書に対する優先権の利益を主張し、これは、2017年6月27日に出願された米国仮特許出願第62/525,317号明細書、及び2017年7月20日に出願された米国仮特許出願第62/534,988号明細書の優先権の利益を主張する。上記の関連出願の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、眼内レンズ(IOL)システム及び関連するインジェクタに関する。より具体的には、本開示は、眼の中へのIOL構成要素の改善された注入のためのモジュール式IOLシステム及びインジェクタ設計の様々な実施形態に関する。
【背景技術】
【0003】
人の眼は、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通じて光を透過させ、水晶体を介して像を網膜に合焦させることによって視力を提供するように機能する。合焦された像の質は、眼球の大きさ及び形状、並びに角膜及び水晶体の透明度を含む多数の要素に依存する。
【0004】
加齢や病気により水晶体の透明度が低下すると(例えば、曇ると)、網膜へと透過できる光量が減るため視力が低下する。眼の水晶体のこの欠陥は、医学的に白内障として知られている。
【0005】
この状態に対して受け入れられている治療は、水晶体嚢から水晶体を外科的に取り出し、水晶体嚢に人工眼内レンズ(IOL)を配置することである。白内障の水晶体は、水晶体超音波乳化吸引術と呼ばれる外科手術技法により取り出される。この処置中、水晶体嚢の前面に切開創(嚢切開)が形成され、病変した水晶体内に、細い超音波水晶体乳化吸引破砕チップが挿入され、超音波で振動させる。振動する破砕チップが水晶体を液化又は乳化させ、それにより水晶体を水晶体嚢の外に吸引することができる。
【0006】
病変した水晶体は、いったん取り出されるとIOLに置き換えられ、IOLはインジェクタを使用して眼内に挿入され、空の水晶体嚢の中に入れられる。場合によっては、破損したトレーリングIOLハプティックの場合のように、技術や訓練が不十分な結果、IOLがインジェクタに引っ掛かる、又はIOLが破損する場合がある。この問題に対処するには、インジェクタの設計を改善する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態は、IOLシステムの1つ以上の構成要素を眼内に注入するためのインジェクタを提供し、インジェクタは、ハウジング、IOLシステム構成要素を保持するためのカートリッジ、先細りの管腔を有する遠位ノズル、及びハウジングのチャネル内に配置され先端部を有するプランジャを有する。プランジャ先端部は、ノズル管腔の近位端に配置された時の拡張構成と、ノズル管腔の遠位端に配置された時の収縮構成とで変化する2つのアームを有してもよい。
【0008】
アームは、それらの間に、アームがノズルを通過する際に減少する間隙を有してもよい。アームがノズルを通過する際、アームはノズル管腔の内壁と接触したままであってもよい。アームの遠位端は、例えば自由であってもよく、又は畳める連結部に取り付けられてもよい。アームは、アームが互いに向かって移動する際に互いをバイパスするように、互いに対してオフセットされた、内向きに延びるフィンガを含んでもよい。フィンガは、IOLシステム構成要素がアーム間の間隙を通過するのを防ぐように構成されてもよい。
【0009】
アームの遠位端又はリンクの遠位端は、最遠位縁部と、遠位側に面する表面とを備える傾斜部を含んでもよい。遠位側に面する表面は、IOLシステム構成要素と係合し、押すように構成されてもよい。最遠位縁部は、ノズル管腔の内壁と接触して、IOLシステム構成要素がノズルを通過する際に、IOLシステム構成要素がアームと内壁との間を通過することを防止してもよい。
【0010】
本開示の実施形態はまた、ベースなどの一次構成要素と、レンズなどの二次構成要素とを備えるモジュール式IOLシステムを提供する。
【0011】
本開示の一態様によると、眼内レンズシステムは、環状体と、環状体の軸線方向に環状体を貫通する開口部と、開口部の周りに円周方向に延びる凹部と、を含んでもよいベースを含んでもよい。システムはまた、凹部の中に挿入可能、且つ凹部から取り外し可能なレンズを含んでもよい。レンズは、中央光学部品と、中央光学部品から離れるように半径方向に突出する第1のタブと、中央光学部品から離れるように半径方向に突出する第2のタブとを含んでもよい。第2のタブは、半径方向への圧縮に対して、第1のタブよりも大きな抵抗力を有してもよい。第1のタブは、中央光学部品から離れるように半径方向に突出する第1のアームと、中央光学部品から離れるように半径方向に突出し、且つ第1のアームから離れるように延びる第2のアームと、第1のアームから第2のアームへと延びる第3のアームと、を含んでもよい。第1、第2、及び第3のアームのうちの1つ以上の動きが、第1のタブの変形をもたらしてもよい。
【0012】
本開示の別の一態様によると、眼内レンズシステムは、環状体と、環状体の軸線方向に環状体を貫通する開口部と、開口部の周りに円周方向に延びる凹部と、を含むベースを含んでもよい。システムはまた、凹部の中に挿入されるように、且つ凹部から取り外し可能であるように構成されたレンズを含んでもよい。レンズは、中央光学部品と、中央光学部品から離れるように半径方向に延びる第1のタブと、中央光学部品から離れるように半径方向に延びる第2のタブとを含んでもよい。第2のタブは、第1のタブよりも圧縮に対してより大きな抵抗力を有してもよい。第1のタブは、中央光学部品から離れるように半径方向に延びる第1のアームと、中央光学部品から離れるように半径方向に延びる第2のアームと、第1のアームと第2のアームとの間に延びる第3のアームとを含んでもよい。第1、第2、及び第3のアームのうちの1つ以上は、変形して、第1のタブを圧縮状態と伸長状態との間で移動させるように構成されている。第1のタブの伸長状態において、第1のアームと第2のアームとの間に鈍角が形成されてもよい。
【0013】
本開示の別の態様によると、眼内レンズシステムを組み立てるための方法は、眼内レンズシステムのレンズの(a)第1のタブ、及び(b)第2のタブのうちの1つを、眼内レンズシステムのベースの凹部の中に挿入することを含んでもよい。第2のタブは、第1のタブよりも圧縮に対してより大きな抵抗力を有してもよい。レンズは、中央光学部品と、中央光学部品から離れるように半径方向に延びる第1のタブと、中央光学部品から半径方向に延びる第2のタブと、を含んでもよい。第1のタブは、中央光学部品から離れるように半径方向に延びる第1のアームと、中央光学部品から離れるように、且つ第1のアームから離れるように半径方向に延びる第2のアームと、第1のアームと第2のアームとを連結する第3のアームと、を含んでもよい。ベースは環状体と、環状体の軸線方向に環状体を貫通する開口部とを含んでもよい。凹部は開口部の周りに円周方向に延びてもよい。この方法はまた、第1及び第2のタブの他方を凹部の中に挿入することを含んでもよい。第1のタブ及び第2のタブのうちの少なくとも1つが凹部内にある間に、第1のタブ及び第2のタブのうちの他方が凹部の中に挿入されてもよい。
【0014】
本開示の実施形態の様々な他の態様及び利点が、以下の詳細な説明及び図面に記載されている。前述の一般的な説明と以下の詳細な説明はどちらも具体例であって例示だけを目的としており、本発明を限定するものではなく、請求項に記載の通りであることを理解されたい。
【0015】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の例示的実施形態を表し、本明細書の記載と共に本開示の原理を説明する役割りを担う。図面は必ずしも縮尺通りではなく、同じ番号が付けられた類似した要素を含む場合があり、寸法(ミリメートル)及び角度(度)を例として含む場合があるが、必ずしも限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本開示の一実施形態によるIOLシステムインジェクタの分解図である。
図1B図1Aに示すIOLシステムインジェクタを組み立てた図である。
図2図1A及び図1Bに示すIOLシステムインジェクタのプランジャの側面図である。
図2A図2に示すプランジャの先端部の拡大側面図である。
図2B図2に示すプランジャの先端部の拡大端面図である。
図2C図2に示すプランジャの先端部の拡大斜視図である。
図3A】代替のプランジャ先端部の拡大斜視図である。
図3B】別の代替のプランジャ先端部の拡大斜視図である。
図4A-4C】先端部がノズルを通るにつれて、図2のプランジャの先端がどのように押しつぶされるかを示す概略図である。
図5】モジュール式IOLシステムのベースの斜視図である。
図5A図5の線A-Aに沿って見た断面図である。
図6】モジュール式IOLシステムのレンズの上面図である。
図7図1A及び図1Bに示すIOLシステムインジェクタで使用する装填カートリッジの斜視図である。
図7A図7に示す装填カートリッジの端面図である。
図7B図7の線B-Bに沿って見た断面図である。
図7C】内部にベースが配置された、図7Bに示すものと同じ断面図である。
図8図1に示すIOLシステムインジェクタで使用する代替のホルダの斜視図である。
図8A図8に示すホルダの拡大斜視図である。
図8B】内部にベースが配置された、図8に示すホルダの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概要
以下の詳細な説明は、IOLシステムインジェクタの様々な実施形態について記載する。任意の1つの実施形態を参照して説明されたフィーチャは、他の実施形態に適用され、組み込まれてもよい。
【0018】
例示的実施形態
図1Aを参照すると、IOLシステムインジェクタ10は、一般に、インジェクタハウジング20、プランジャ30、装填カートリッジ40、ノズル(別名カートリッジ先端部)50、及びばね60を含む。ハウジング20は、フィンガグリップ22、ノズルホルダ24、カートリッジホルダ26、及びそれらを通って延びる内部チャネル28を含む。プランジャ30は、親指パッド32、近位シャフト34、遠位シャフト36、及びプランジャ先端部70を含む。IOLシステム装填カートリッジ40は、第1の折畳みウィング42、ロック機構を有する第2の折畳みウィング44、及びウィング42、44が閉じられた時にIOLシステムを保持するように構成されたチャンバ46を含む。ノズル50は、近位から遠位に向かって減少する断面積を有する内部管腔(見えていない)を含む。ノズル50はまた、眼の切開部に挿入するための傾斜先端部52を含む。
【0019】
インジェクタ10は、図1Bに示すように、ノズル50がハウジング20のノズルホルダ24の中に挿入されてもよく、カートリッジがハウジング20のカートリッジホルダ26の中に挿入されてもよく、ばね60がプランジャ30の遠位シャフト36上に配置されてもよく、プランジャ30がばね60と共にハウジング20のチャネル28の中に挿入されてもよく、よって組み立てられたIOLシステムインジェクタ10が形成されるように、本質的にモジュール式である。
【0020】
この構成で、IOLシステム構成要素が、装填カートリッジ40のチャンバ46内に装填又は事前装填されてもよい。装填カートリッジ40は、ハウジング20内のカートリッジホルダ26内に置かれる。その時、ウィング42、44は折り畳まれるか又は閉じられて、IOLシステム構成要素は本質的に回転又は折り畳まれ、その結果、注入に好適な減少したプロファイルを有する。片手を使用して、ハウジング20のフィンガグリップ22に2本の指を、プランジャ30の親指パッド32に親指を当てて、プランジャ30の先端部70が装填カートリッジ40内のIOLシステム構成要素と係合するまで、プランジャ30をハウジング20内のチャネル28を通して遠位方向に前進させてもよい。ノズルの先端部52が眼の切開部の中に挿入された状態で、プランジャ30を更に前進させると、IOLシステム構成要素が装填カートリッジ40から押し出されてノズル50の中に入る。プランジャ先端部70及びIOLシステム構成要素がノズル50を通して押されるにつれて、ノズル50内の先細の管腔は、丸められたIOLシステム構成要素のプロファイルを更に減少させ、眼の微小切開部を通して注入するのに好適なものにする。その時、IOLシステム構成要素がノズル50の先端部52から出て、眼内に送達されるまで、プランジャ30を更に前進させてもよい。
【0021】
プランジャ30及びその関連するフィーチャ(及び以下に記載される代替の装填カートリッジ及びホルダ)を除いて、インジェクタ10の他の構成要素は、スイスのMedicelからの、商標名Accuject 2.2-HTにて販売されているインジェクタと同様であってもよい。以下に、より詳細に記載されるように、プランジャ30は多くのユニークな属性を有する。従って、プランジャ30のフィーチャを、当該技術分野において既知の他のインジェクタ設計に組み込んでもよい。
【0022】
図2を参照すると、プランジャ30がより詳細に示される。上述のように、プランジャ30は、親指パッド32、近位シャフト34、遠位シャフト36、及び先端部70を含む。先端部70は、図2A図2B及び図2Cに、より詳細に示される。プランジャ先端部70は、第1の(上部)アーム72、及び第2の(下部)アーム74を含む。アーム72、74は、遠位シャフト36に接続され、遠位シャフト36から遠位方向に延びている。図示するように、アーム72、74の遠位端は自由であって、それらの間に接続がなくてもよい。
【0023】
アーム72、74は可撓性であり、遠位シャフト36への接続部の周りを旋回し、それにより、ノズル50内の管腔の近位端に配置された場合の伸長構成と、ノズル内の管腔の遠位端に配置された場合の収縮構成とで変化することができる。アーム72、74は、それらの間に、アーム72、74がノズル50を通過する際に減少する間隙を有する。換言すれば、アーム72、74は、先端部70がノズル50を通過するにつれて一緒に押しつぶされる。アーム72、74の外向きの表面は、それらが管腔を通過する際に、ノズル50の管腔の内壁と接触したままである。
【0024】
フィンガ76、78は、それぞれアーム72、74から近位方向に湾曲した曲線で内側に延びている。図示のように、フィンガ76、78の近位端は、アーム72、74の最遠位端から後退した位置でアーム72、74に取り付けられてもよく、フィンガ76、78の遠位端は自由であってもよい。図2Bに最もよく示されるように、フィンガ76、78は、アーム72、74が一緒に押しつぶされた際に、互いをバイパスするように、互いに対して横方向にオフセットされてもよい。
【0025】
図2Bに示すように、上部アーム72の上側と下部アーム74の下側はノズル50内の管腔を画定する内壁と接触したままであるが、アーム72、74の側面は接触しないように、アーム72、74のプロファイルが構成されてもよい(例えば、端面図で見て、幅より大きい高さを有する矩形プロファイル)。この構成により、アーム72、74がフィンガ76、78と共に、ノズル50内の管腔全体に一方向に広がり、先端部70がノズル50を通って前進する際に、先端部70がIOLシステム構成要素をバイパスすることを防ぐことができ、さもなければ、IOLがノズル50内で引っ掛かる可能性がある。また、アーム72、74の側面は、ノズル50内の管腔を画定する内壁に接触していないので、プランジャ先端部70がIOLシステム構成要素をバイパスしても、IOLシステム構成要素のトレーリングハプティックのための空間がその間に設けられ、ノズル50の先端部52からハプティックが出る際に、ハプティックが解放されることが可能になり、従って、ノズル50内にIOLシステム構成要素が引っ掛かることが防止される。この構成はまた、先端部70とノズル50内の管腔を画定する内壁との間の摩擦を低減する。その理由は、アーム72、74の上側と下側のみが内壁と接触し、側面は接触していないからである。
【0026】
引き続き図2A及び図2Bを参照すると、寸法は例として提供されており、必ずしも限定するものではない。アーム72、74は、ノズル50内の管腔の内径よりも大きく、遠位プランジャシャフト36の外径よりも大きい拡張された(非拘束の)高さを有し、それにより、外向き及び遠位に広がることができる。各アーム72、74は、それらの拡張された高さの少なくとも2倍の大きさの全長を有してもよい。各アーム72、74の高さ及び幅は、それらの全長の少なくとも5倍よりも小さくてもよく、それらの高さは、それらの長さに沿って先細りになっていてもよい。アーム72、74は、直径方向に反対に(すなわち、180度離れて)配置されてもよく、それらの全長はほぼ等しくてもよい。
【0027】
図2Cで最もよく分かるように、アーム72、74の一方又は両方の遠位端に傾斜部80を設けてもよい。傾斜部80は、最遠位縁部82と、遠位側に面する表面84とを含んでもよい。傾斜部80は、ノズル50の管腔の内壁から離れるように近位方向、且つ内側方向に傾斜してもよく、それにより、縁部82が内壁と接触し、傾斜部80の傾斜が、IOLシステム構成要素を内壁から離すように付勢する。この構成は、先端部70がノズル50を通って前進する際に、IOLシステム構成要素が先端部70とノズル50内の管腔の内壁との間に引っ掛かることを軽減させる。
【0028】
図3Aを参照すると、代替のプランジャ先端部70が詳細に示される。この実施形態では、プランジャ先端部70はフィンガ76、78を含まず、むしろアーム72、74の遠位端から延び、且つ遠位端の間を延びるリンク90を含む。プランジャ先端部70の他の態様は、前述したものと同じ又は同様であってもよい。リンク90は、ヒンジを含んでもよく、及び/又は、アーム72、74がノズル50を通って前進する際に、一緒に押しつぶされた時に畳まれることが可能なように、可撓性の高い材料で形成されてもよい。この構成により、アーム72、74がリンク90と共に、ノズル50内の管腔全体に一方向に広がり、先端部70がノズル50を通って前進する際に、先端部70がIOLシステム構成要素をバイパスすることを防ぐことができ、さもなければ、IOLシステム構成要素がノズル50内で引っ掛かる可能性がある。リンク90は、上述のように機能する傾斜部80を含んでもよい。
【0029】
図3Bを参照すると、別の代替のプランジャ先端部70が詳細に示される。この実施形態では、プランジャ先端部70はフィンガ76、78を含まず、むしろアーム74から延び、アーム72から延びる壁92、94によって画定される溝の中に延びる舌状部96を含む。プランジャ先端部70の他の態様は、前述したものと同じ又は同様であってもよい。この舌状部及び溝の構成は、フィンガ76、78と同じ又は同様の目的に役立ち得る。
【0030】
図4A~4Cを参照すると、ノズル(又はカートリッジ先端部)50内の管腔を通るプランジャ先端部70の前進が段階的に概略的に示されている。この目的のために、ノズル50は、遠位傾斜先端部52、遠位開口部54、及び貫通管腔56を有する透視図で示され、先端部70を含むプランジャ30の遠位部分のみが示されている。既に言及したように、ノズル50内の管腔56の断面積又は直径は、近位端から遠位端に向かって徐々に減少している。従って、アーム72、74は、先端部及びIOL(図示せず)がノズル50を通過するにつれて徐々に一緒に押しつぶされる。図4Aでは、アーム72、74がノズル50の近位部分にある時、拡張状態にある。図4Bでは、先端部70が前進するにつれて、アーム72、74は、ノズル管腔56を画定する内壁によって押しつぶされ、圧縮状態又は収縮状態に変化している。図4Cでは、アーム72、74がノズル50の近位部分にある時、収縮状態にある。図4Aでは、フィンガ76、78の遠位端が互いにバイパスしており、図4Bでは、アーム72、74の内面に当接しており、図4Cでは、内側に曲がっていることに留意されたい。その間ずっと、アーム72、74はフィンガ76、78と共に、少なくとも1つの方向(全てではない)に管腔56全体に広がり、IOLシステム構成要素を先端部70の前に保ち、IOLシステム構成要素が先端部70とノズル管腔56の内壁との間に引っ掛かることを防止している。図示した平面に直交する平面内では、アーム72、74及びフィンガ76、78の側面はノズル管腔56の内壁と接触しておらず、それにより摩擦が低減させていることが明らかであろう。
【0031】
インジェクタ10は、モジュール式IOLシステム構成要素及び非モジュール式IOL(例えば、一体型及び/又はモノリシックIOL)を含む多種多様なIOLシステム構成要素と共に使用されてもよい。限定ではなく例として、インジェクタを使用して、組み立てられた時にモジュール式IOLシステムを形成するベース構成要素及び光学構成要素を注入してもよい。ベースと光学部品は、別々に眼内に注入して眼内で組み立ててもよく、又は眼の外で組み立てて、一緒に眼内に注入してもよい。例示的なベース構成要素400が図5及び図5Aを参照して説明され、例示的な光学構成要素500が図6を参照して説明される。同様のモジュール式IOLシステム構成に関する更なる詳細は、2017年5月3日に出願された、「Intraocular Lens Designs for Improved Stability」と題する、米国非仮特許出願第15/585,901号明細書に記載されており、これは参照として本明細書に組み込まれる。
【0032】
図5を参照すると、ベース400は、中心穴404を画定する環状リング402を含む。一対のハプティック406が、環状リング402から半径方向外向きに延びている。環状リング402は、下部リム408、上部リム410、及び内側に面する凹部412を含み、凹部の中にレンズ500を挿入してモジュール式IOLシステムを形成することができる。
【0033】
下部リム408は、直径方向に対向する(180度)一対の折畳みノッチ414を含んでもよく、上部リム410は、対応する一対の折畳みノッチ416を含んでもよい。折畳みノッチ414、416は、ハプティック406の中間部分と整列させてもよく、インジェクタ10の装填カートリッジ40内でベースを半分に折り畳むための自然な折り目を提供するように構成されており、それによりハプティックの中間部分はプランジャ先端部70と整列される。ノッチ414、416はまた、手術中にプローブ(例えば、シンスキーフック)へのアクセスを提供することができ、それにより、ベース400をより容易に操作することが可能になる。ハプティック406は、プローブによる手術中操作のための、環状リング402に隣接する穴415を含んでもよい。一連の通気穴413が、上部リム410の周りに分配されてもよい。
【0034】
図5の線A-Aに沿って見た断面図である図5Aを参照すると、凹部412は、水平後方面418、垂直側面又は垂直外表面422、及び垂直外表面422から半径方向内向き且つ前方外向きに延びる張り出した前方面426によって画定される先細りのプロファイルを有してもよい。後方リム408の内径は、前方リム410の内径より小さくてもよい。この構成により、レンズ500は、前方リム410によって画定される円形開口部404を通して配置されて、後方リム408上に着地又は載置されてもよく、張り出した前方壁426は張り出した後方壁428と共に、レンズ500のタブ504及び506を凹部412の深い部分の中にガイドするファンネルとして機能してもよい。一対の正方形の縁部417は、環状リング402の後方周囲の周りに延びて、レンズ500上への細胞増殖(後嚢混濁又はPCO)を低減するのを手助けしてもよい。
【0035】
図6を参照すると、レンズ500の上面(前方)図が示される。レンズ500は、光学部分502と、1つ以上のタブ504及び506とを含んでもよい。図示するように、タブ504は固定されているが、タブ506は作動されてもよい。一例では、タブ504は、タブ506よりも半径方向への変形(例えば、圧縮及び/又は膨張)に対して、より高い抵抗力を有する。固定タブ504は、貫通穴508を含んでもよく、それにより、プローブ(例えば、シンスキーフック)又は類似の装置を使用して穴508と係合させてタブ504を操作してもよい。作動可能タブ506は、ベース400の穴404の中への送達のための圧縮位置と、ベース400の凹部412の中への展開のための(図示した)非圧縮伸長位置との間を作動されてもよく、それにより、ベース400とレンズ500との間に噛み合い接続が形成される。作動可能タブ506は凹部412の中に挿入されてもよく、固定タブ504の凹部412の中への進入を容易にする圧縮位置と、固定タブ504を凹部412の中に更に挿入して、ベース400とレンズ500との間に噛み合い接続を形成する非圧縮伸長位置との間で作動させてもよいことも企図される。
【0036】
作動可能タブ506は、異なる(例えば、反対の)方向に半径方向外向きに延びる2つのアーム510及び512を含んでもよい。一例では、方向間に鈍角が形成されてもよい。各アーム510、512は、光学部品502の縁部に接続された一端と、中間アーム511に接続された他端とを有してもよい。ヒンジ部分が、アーム510及び512の端部を光学部品502に接続してもよく、アーム510及び512の他の端部を中間アーム511に接続してもよい。アーム510、511、及び512の各々は、1つ以上の直線部分を含んでもよい。一例では、中間アーム511は、中間アーム511の中間部分で遭遇する2つの直線部分を含んでもよい。中間アーム511は、示されるように、その中間部分に頂点を有するように半径方向内向きに角度を付けられてもよい。頂点はヒンジ部分であってもよい。光学部品502の一部とアーム510、511、及び512とは、作動可能タブ506を通る孔の周りにリングを形成してもよい。その孔の寸法は、作動可能タブ506が圧縮状態と伸長状態との間を移動するにつれて変化してもよい。
【0037】
この構成では、作動可能タブ506は、その圧縮状態と伸長状態との間を移動する時、3つのアーム510、511、512の全てに沿って曲がってもよく、及び/又はヒンジ部分に沿って曲がってもよいが、ベース400の凹部412の中への最初の挿入のために、単一の部分(中間アーム511の頂点)を提供してもよい。リム514は、光学部品502の周辺部の周りに延び、アーム510及び512を避けて終端してもよく、従って、アーム510及び512が光学部品502の縁部に対して十分に圧縮されることが可能になる。光学部品502の縁部は平面状であってもよく、アーム510及び/又はアーム512の1つ以上の平面に接触してもよい。レンズ500のリム514は、ベース400の後方リム408の内径よりも大きい外径を有してもよく、それにより、レンズ500はベース400の開口部404を通って落下することがなく、またレンズ500は、ベース400の後方リム408によって、その周囲の周りで円周方向に支持される。プローブによる操作を容易にするために、ガイド穴516を備えるガセットを2つのアーム510と512との間に配置してもよい。同様に、固定タブ504にガイド穴508を設けて、プローブ(例えば、シンスキーフック)又は類似の装置が、固定タブ504を操作してベース400の凹部412の中に入れるためのアクセスを提供してもよい。ノッチ518を固定タブ504に設けて、ノッチが穴508の反時計回り方向にある場合に前面が上(下ではなく)にあることを視覚的に示す非対称性を提供してもよい。
【0038】
ベース400及びレンズ500は、本明細書に記載される代替実施形態を含めて、疎水性アクリル材料を極低温で切削加工及び研磨することによって形成されてもよい。任意選択的に、ベース400は、2つの(前方及び後方)構成要素を形成し、これらを接着剤で一体に接続することによって製造されてもよい。例えば、2つの構成要素は、紫外線硬化性接着剤により一体に接続された親水性アクリル樹脂を極低温で切削加工したものであってもよい。代替として、2つの構成要素は、接着剤で一体に接続された異なる材料から形成されてもよい。例えば、前方構成要素は眼球組織に接着しない親水性アクリル樹脂で形成されていてもよく、後方構成要素は眼球組織に接着する疎水性アクリル樹脂で形成されてもよい。
【0039】
更なる代替形態として、ベース400は第1の構成要素を極低温で切削加工し、第2の構成要素をオーバーモールドすることによって製造されてもよい。第1の構成要素は、オーバーモールドされた場合に噛み合う形状的フィーチャを含んでもよく、従って構成要素を接続するための接着剤が不要となる。例えば、ベース400は、親水性アクリル樹脂を極低温で切削加工して後方構成要素を形成し、シリコーンなどの成形可能材料の前方構成要素をオーバーモールドすることによって製造されてもよい。
【0040】
単一の構成要素から作製されているか、接着剤で接続された2つの構成要素から作製されているか、又は1つの構成要素が他の構成要素の上に成形された2つの構成要素から作製されているかのいずれであっても、タブ504、506を凹部412に対して見えるようにする機能を強化して、タブ504、506が凹部412の前方、内部、又は後方にあるかどうかをより良好に判断するために、環状リング402の全て又は一部は着色を含んでいてもよい。この実施形態では、環状リング402は第1の色であってもよく、タブ504、506は第2の(異なる)色であってもよい。代替として、環状リング402が前方構成要素及び後方構成要素を含む場合、前方構成要素及び後方構成要素のいずれか又は両方は第1の色であってもよく、タブ504、506は第2の(異なる)色であってもよい。例として、環状リング402は青色(青色染料モノマー添加剤)であってもよく、タブ504、506は自然(透明)色であってもよい。この例では、前方から後方に見た場合、前方リム410は後方リム408よりも大きな内径を有するので、後方リム408の内側部分は淡青色に見える場合があり、前方リム410と後方リム408とのオーバーラップは濃青色に見える場合がある。この色の違いにより、凹部412に対するタブ504、506の位置は視覚的により明らかになり、ベース400への光学部品500の組み立てを、より容易に促進することができる。
【0041】
前述の説明から理解されるように、光学部品500は、従来のIOLと同様のサイズにしてもよく、ベース400は、光学部品500がその中に収まることが可能なように、わずかに大きくてもよい。従来の装填カートリッジが、ベース400及び光学部品500の両方に使用されてもよい。しかし、図7図7Cを参照して記載されたように、修正された装填カートリッジ40をベースに使用することが望ましい場合がある。
【0042】
図7及び図7Aを特に参照すると、装填カートリッジ40は、第1の折畳みウィング42、ロック機構を有する第2の折畳みウィング44、及びウィング42、44が閉じられた時にベース400を保持するように構成されたチャンバ46を含む。図7Aの線B-Bに沿って見た断面図である図7Bを参照すると、チャンバ46の近位幅がチャンバ46の遠位幅よりも広くなるように、チャンバの側面は肩部48を含んでもよい。限定ではなく例として、近位幅は約7.9mmであってもよく、遠位幅は約6.6mmであってもよい。この構成は先細りのチャンバ管腔を画定し、プランジャ30がベース400を遠位方向に押すにつれて、比較的大きなベース400は徐々に圧縮されて、ノズル管腔56の近位部分の中に入る。加えて、図7Cで分かるように、肩部48は、ベース400の環状リング402に当接し、それによりベース400に対するバックストップを提供して、特に、プランジャ30の先端部70がベース400の近位側に係合する時に、装填カートリッジ40内でのベース400の軸線(長手方向)位置を維持する。ベース400の折畳みノッチ414は、装填カートリッジ40の長手方向軸線と整列されて、装填カートリッジ40のウィング42、44が閉じられた時に、ベース400の直径方向の折畳みを均一にするためのヒンジを提供してもよい。
【0043】
前述のように、ベース400及び/又は光学部品500は、装填カートリッジ40のチャンバ46に装填又は事前装填されてもよい。事前装填されている場合、図8図8Bに示すように、包装及び出荷中は、ホルダ100を使用して、ベース400又は光学部品500を装填カートリッジ40のチャンバ46内に保持することができる。ホルダ100は、保持板102、コネクタ部104、アーム106、及び抜け止めピン108を含んでもよい。保持板102は、チャンバ46内のベース400又は光学部品500の全て又は一部を覆ってもよい。コネクタ部104は、カートリッジ44のウィング44に取り付けられてもよく、アーム106は、1つ以上のスロットを介してカートリッジ40の他のウィング42と係合してもよい。抜け止めピン108は、図8Bに示すように、環状リング402とベース400のトレーリング又は近位ハプティック402との間に位置するように、保持板102の近位縁部から後退した位置において保持板102の側縁部から延びてもよい。この構成は、カートリッジの肩部48と組み合わされると、ベース400を保持し、包装及び輸送中のあらゆる方向への動きを限定する。
【0044】
本開示の前述の議論は、例示及び説明を目的として提示されたものである。前述した内容は、本開示を本明細書に開示された形態に限定することを意図していない。本開示には、1つ以上の実施形態、並びに特定の変形形態及び修正形態の説明が含まれているが、例えば、本開示を理解した後に当業者の技能及び知識内にあり得るような、他の変形形態及び修正形態は本開示の範囲内にある。意図していることは、代替的な、交換可能な及び/又は等価な構造、機能、範囲、又はステップを含む代替的な実施形態を、そのような代替的な、交換可能な及び/又は等価な構造、機能、範囲、又はステップが本明細書に開示されているか否かに関わらず、また、いかなる特許可能な対象も公に提供することを意図することなく、許容される範囲で、特許請求の範囲に含める権利を得ることである。
【0045】
本明細書では、本開示の原理が、特定用途のための例示的実施形態を参照して記載されているが、本開示はそれに限定されないことを理解されたい。当業者及び本明細書で提供される教示を利用できる者は、追加修正、応用、実施形態、及び同等物の置換の全てが、本明細書に記載される実施形態の範囲内に含まれることを認識するであろう。それに応じて、本発明は、前述の説明によって限定されると見なされるべきではない。
図1A
図1B
図2
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図5A
図6
図7
図7A
図7B
図7C
図8
図8A
図8B