(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系樹脂発泡粒子、その製造方法及びポリオレフィン系樹脂の発泡成形体
(51)【国際特許分類】
C08J 9/18 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
C08J9/18 CES
(21)【出願番号】P 2020509312
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2019013569
(87)【国際公開番号】W WO2019189564
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】201810296323.8
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】福澤 淳
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-024860(JP,A)
【文献】登録実用新案第3152823(JP,U)
【文献】国際公開第2012/077721(WO,A1)
【文献】特開2010-031243(JP,A)
【文献】特開2009-167236(JP,A)
【文献】特開平04-148907(JP,A)
【文献】特開昭62-241932(JP,A)
【文献】特開平05-032812(JP,A)
【文献】特開平04-142340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00- 9/42
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤で発泡させて得られる発泡粒子であって、
前記ポリオレフィン系樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂と、添加剤であるAg系ゼオライトと、を含有し、
前記Ag系ゼオライトの平均粒径は1.0μm~10.0μmであり、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、前記Ag系ゼオライトの含有量が0.2重量部~3.0重量部であり、
前記発泡粒子の嵩密度が20g/L~55g/Lであることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
【請求項2】
前記発泡剤は、水及び/または炭酸ガスであることを特徴とする、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
【請求項3】
前記発泡粒子の平均気泡径は、60μm~250μmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
【請求項4】
前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂及び/またはポリエチレン系樹脂を含む樹脂から選択されるものであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
【請求項5】
ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤の存在下で発泡させる工程を含むポリオレフィン系樹脂発泡粒子を製造する方法において、
前記ポリオレフィン系樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、Ag系ゼオライト0.2重量部~3.0重量部を含むポリオレフィン系樹脂組成物からなり、
前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、嵩密度が20g/L~55g/Lであり、
前記Ag系ゼオライトの平均粒径は1.0μm~10.0μmであることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項6】
前記「ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤の存在下で発泡させる工程」は、1段発泡工程であり、
前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、前記1段発泡工程で得られる第1段発泡粒子であることを特徴とする、請求項5に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項7】
前記発泡剤は、水及び/または炭酸ガスであることを特徴とする、請求項5または6に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項8】
前記発泡粒子の平均気泡径は、60μm~250μmであることを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子、又は、請求項5~8のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたポリオレフィン系樹脂発泡粒子を型内に充填した後、型内発泡成形させて得られるものであることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂の発泡成形体。
【請求項10】
ゼオライトの、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造に用いられる使用であって、
前記ゼオライトはAg系ゼオライトであり、
前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂及び/またはポリエチレン系樹脂を含む樹脂から選択されるものであり、
前記ポリオレフィン系樹脂を発泡して得られたポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、嵩密度が20g/L~55g/Lであ
り、
前記Ag系ゼオライトの平均粒径は1μm~10μmであり、前記Ag系ゼオライトは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.2重量部~3.0重量部を含有することを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造に用いられるゼオライトの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子発泡材の技術分野に属し、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子、当該発泡粒子の製造方法、及び当該ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を型内発泡させて得られるポリオレフィン系樹脂の発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系樹脂の発泡成形体は、未発泡の成形品に比べて軽量であるメリットから、緩衝包装材、回収可能な容器、保温輸送容器(例えば、生鮮魚介類の輸送箱、テイクアウト用輸送箱等)、自動車部品(例えば、ツールボックス、床コア材料等)などの用途に広く使われている。
【0003】
ポリオレフィン系樹脂の発泡成形体は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子(以下、単に「発泡粒子」とも称する。)を型内発泡成形することにより、得ることができる。ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂粒子(以下、単に「樹脂粒子」とも称する。)に発泡剤を含浸させた後、当該ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡することにより、得ることができる。
【0004】
従来の製造方法では、発泡剤として水及び/または炭酸ガスを使用してポリオレフィン系樹脂発泡粒子を製造する場合、軽量性を高めるためにはポリエチレングリコール、グリセリンなどの親水性有機物の添加剤が使用されてきた(例えば特許文献1)。有機物の添加剤を使用した場合に、廃水のCODが高くなり、環境対策として廃水処理が必要であった。
【0005】
従来の製造方法においては、合成ゼオライトまたは天然ゼオライトを添加することで、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの使用量を低減する方法もあった(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-031243号公報
【文献】特開2009-167236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来技術は、得られるポリオレフィン系樹脂発泡粒子の軽量性、環境負荷および型内発泡成形性の観点からは、さらなる改善の余地があった。
【0008】
本発明の一実施形態は、先行技術にある上記課題を解決するためになされたものであり、その主な目的は、発泡剤を用いてポリオレフィン系樹脂発泡粒子を製造する場合、特に発泡剤として水及び/または炭酸ガスを用いて軽量なポリオレフィン系樹脂発泡粒子を製造する場合に、親水性有機物の化学添加剤の使用量低減あるいは不使用にすることが実現できることから、廃水のCODが低く、環境負荷が軽減され、優れた型内成形性を有するポリオレフィン系樹脂発泡粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、添加剤としてAg系ゼオライトを使用することで上記課題を解決することができることを見出した。すなわち、本発明者は、Ag系ゼオライトを添加剤として用いてポリオレフィン系樹脂発泡粒子を製造する場合、製造中の環境負荷を低減できるだけではなく、優れた型内成形性を有する軽量なポリオレフィン系樹脂発泡粒子が得られることを、独自に見出した。
【0010】
すなわち、本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤で発泡させて得られる発泡粒子であって、前記ポリオレフィン系樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂と添加剤であるAg系ゼオライトとを含有し、前記Ag系ゼオライトの平均粒径は1.0μm~10.0μmであり、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、前記Ag系ゼオライトの含有量が0.2重量部~3.0重量部であり、前記発泡粒子の嵩密度が20g/L~55g/Lである。
【0011】
また、本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤の存在下で発泡させる工程を含むポリオレフィン系樹脂発泡粒子を製造する方法において、前記ポリオレフィン系樹脂粒子は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、Ag系ゼオライト0.2重量部~3重量部を含むポリオレフィン系樹脂組成物からなり、前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、嵩密度が20g/L~55g/Lであり、前記Ag系ゼオライトの平均粒径は1.0μm~10.0μmである。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係る、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造に用いられるゼオライトの使用は、ゼオライトの、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造に用いられる使用であって、前記ゼオライトはAg系ゼオライトであり、前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂及び/またはポリエチレン系樹脂を含む樹脂から選択されるものであり、前記ポリオレフィン系樹脂を発泡して得られたポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、嵩密度が20g/L~55g/Lである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によれば、軽量であり、環境負荷が小さく、かつ優れた型内発泡成形性を有するポリオレフィン系樹脂発泡粒子を提供できる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は以下に説明した各構成に限定されなく、発明の権利的範囲、すなわち請求の範囲に示した範囲において様々な変更をすることができる。また、異なる実施形態や実施例にそれぞれ記載されている技術的手段を適宜組み合わせてなる実施形態または実施例も全て本発明の技術的範囲に含まれている。
【0015】
さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
【0016】
また、本明細書において特記しない限り、構成単位として、X1単量体に由来する構成単位と、X2単量体に由来する構成単位と、・・・およびXn単量体(nは2以上の整数)とを含む共重合体を、X1/X2/・・・/Xn共重合体とも称する。X1/X2/・・・/Xn共重合体としては、明示されている場合を除き、重合様式は特に限定されず、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。
【0017】
本明細書において、「発泡材」とは、発泡工程を経て得られた材料を意味する。特に、型内発泡成形することで得られた発泡体を「型内発泡成形体」という。
【0018】
〔本発明の一実施形態の技術思想〕
上述したように、親水性有機物を使用する場合、廃水のCODを低減するために、環境対策として廃水処理を行う必要がある。親水性有機物の使用量を低減するため、特許文献2のように合成ゼオライトまたは天然ゼオライトを使用する場合について説明する。この場合、1段発泡工程における発泡効果を向上するためには、すなわち嵩密度の低い一段発泡粒子を得るためには、合成ゼオライト及び/または天然ゼオライトを大量に使用する必要があることを、本発明者は初めて気づいた。また、本発明者は、合成ゼオライト及び/または天然ゼオライトを大量に使用してポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得る場合、得られた発泡粒子の連泡率が大きくなり、その結果発泡粒子の膨張比が低くなること、また、当該発泡粒子から得られる型内発泡成形体の寸法収縮率が大きくなり、表面のしわが目立ちやすく、表面外観の悪化をもたらされることを、独自に見出した。
【0019】
すなわち、本発明の一実施形態に係る目的は、軽量であり、環境負荷が小さく、かつ優れた型内発泡成形性を有するポリオレフィン系樹脂発泡粒子を提供することである。
【0020】
本発明者は前記課題を解決するために鋭意検討した結果、Ag系ゼオライトを使用することで前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0021】
〔ポリオレフィン系樹脂発泡粒子〕
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤で発泡させて得られる発泡粒子であって、前記ポリオレフィン系樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂と、添加剤であるAg系ゼオライトと、を含有し、前記Ag系ゼオライトの平均粒径は1.0μm~10.0μmであり、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、前記Ag系ゼオライトの含有量が0.2重量部~3.0重量部であり、前記発泡粒子の嵩密度が20g/L~55g/Lである。本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、以下、本発泡粒子とも称される。
構成を有するポリオレフィン系樹脂発泡粒子を提供する。
【0022】
本発泡粒子は、上述した構成を有するため、軽量であり、環境負荷が小さく、かつ優れた型内発泡成形性を有するものである。本発泡粒子は、具体的には、添加剤としてAg系ゼオライトを含んでいるため、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの親水性有機物を添加剤として含まない場合であっても、性能に優れるものである。また、本発泡粒子は、その製造において、Ag系ゼオライトを添加剤として用いるため、廃水処理を削減または不要としながら、軽量な発泡粒子を得ることができるので、製造中の環境負荷が低減される、という利点を有する。さらに、本発泡粒子は、表面性に優れ(例えば外観が良好であり、しわが目立たない)、寸法収縮率が低く、かつ融着率に優れる型内発泡成形体を提供できる。
【0023】
<ポリオレフィン系樹脂粒子>
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂粒子は、本発泡粒子を製造するために用いられるものである。すなわち、本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させることで、本発泡粒子を製造する。本発明の一実施形態におけるポリオレフィン系樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂、及びAg系ゼオライトなどの添加剤を含む。
【0024】
本発明の一実施形態において、ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂及び/またはポリエチレン系樹脂を含む樹脂から選択してもよい。前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。それらは1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0025】
ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂及び/またはポリエチレン系樹脂を含む樹脂から選択されるものであることが好ましい。前記構成によると、耐薬品性、耐熱性および圧縮後の歪回復性に優れているという利点を有する。歪回復性に優れているとは、高い歪回復率を有することを意図する。
【0026】
本発明の一実施形態で使用するポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。それらは1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0027】
本発明の一実施形態で使用するポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンのホモポリマーまたは共重合体であってもよく、これらのポリプロピレン樹脂は、部分架橋されているものでもよいし、架橋されていないものでもよい。前記共重合体は、α-オレフィンとプロピレンとからなる共重合体であってもよく、ここで、かかる共重合体は、α-オレフィン/プロピレンランダム共重合体、α-オレフィン/プロピレンブロック共重合体等であってもよい。それらは1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0028】
本発明の一実施形態において使用できるその他のポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、当業界(当技術分野)で通常用いられるポリオレフィン系樹脂であってもよい。ポリオレフィン系樹脂に、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン樹脂が含まれる場合、ポリオレフィン系樹脂の合計質量に対して、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂の合計使用量を70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上にすることが好ましい。
【0029】
ポリオレフィン系樹脂としては、中でも、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得る時の発泡性、および発泡粒子が提供し得るポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形体の表面性が優れることから、プロピレン/エチレンランダム共重合体、プロピレン/エチレン/ブテン-1ランダム共重合体およびプロピレン/ブテン-1ランダム共重合体が好適に使用し得る。また、ポリオレフィン系樹脂としては、プロピレン以外のコモノマー由来の成分の含量が1~5重量%であるものが好適に使用し得る。
【0030】
本発明の一実施形態で用いられるポリオレフィン系樹脂のメルトインデックスに特に制限は無いが、前記メルトインデックスは、0.5g/10分以上30g/10分以下であることが好ましく、より好ましくは2g/10分以上15g/10分以下である。特にポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合、前記メルトインデックスは、最も好ましくは4g/10分以上9g/10分以下である。前記メルトインデックスが0.5g/10分未満の場合、高発泡倍率の発泡粒子を得られない傾向があり、気泡も不均一になる傾向がある。また、前記メルトインデックスが30g/10分を超えると、発泡しやすく高発泡倍率の発泡粒子は得られやすくなる傾向があるが、発泡セルが破泡して発泡粒子の連泡率が高くなる可能性や、気泡も不均一になる可能性がある。なお、本発明の一実施形態におけるポリオレフィン系樹脂のメルトインデックスは、(a)ポリプロピレン系樹脂の場合はASTM D1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定した値であり、(b)ポリエチレン系樹脂の場合はASTM D1238に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定した値である。
【0031】
また、ポリプロピレン系樹脂の融点は、130℃以上165℃以下が好ましく、更には135℃以上155℃以下であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂の融点が130℃未満の場合、耐熱性、機械的強度が十分でない傾向がある。また、ポリプロピレン系樹脂の融点が165℃を超える場合、型内発泡成形時の融着を確保することが難しくなる傾向がある。ここで、ポリプロピレン系樹脂の融点とは、示差走査熱量計によってポリプロピレン系樹脂1~10mgを40℃から220℃まで10℃/分の速度で昇温し、その後40℃まで10℃/分の速度で冷却し、再度220℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線における吸熱ピークのピーク温度をいう。
【0032】
また、ポリエチレン系樹脂の融点は、105℃以上135℃以下が好ましく、更には115℃以上125℃以下であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂の融点は、ポリプロピレン系樹脂に代えて、ポリエチレン系樹脂を使用する以外は、上記ポリプロピレン系樹脂の融点の測定方法と同じ方法にて測定できる。
【0033】
ポリオレフィン系樹脂粒子を用いて製造されたポリオレフィン系樹脂発泡粒子において、当該ポリオレフィン系樹脂粒子の構造は変化するが、ポリオレフィン系樹脂粒子の組成は変化しない。また、ポリオレフィン系樹脂粒子を用いて製造されたポリオレフィン系樹脂発泡粒子を用いて製造されたポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体において、当該ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の構造は変化するが、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の組成は変化しない。したがって、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子またはポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体を解析して得られたコモマー由来の成分の含有率、融点、またはメルトインデックスの値は、それぞれ、それらの原料であるポリオレフィン系樹脂粒子のコモマー由来の成分の含有率、融点、またはメルトインデックスの値であるとみなすことができる。
【0034】
また、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子またはポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体を解析することにより、それらの原料であるポリプロピレン系樹脂粒子に含まれるポリオレフィン系樹脂の組成を解析することができる。
【0035】
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子またはポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の融点は、ポリプロピレン系樹脂に代えて、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子またはポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体をそれぞれ使用する以外は、上記ポリプロピレン系樹脂の融点の測定方法と同じ方法で測定して得られた値とする。
【0036】
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子のメルトインデックスは、次のように測定することができる:(A1)ポリオレフィン系樹脂発泡粒子同士が接触しないように減圧可能なオーブンの中にポリオレフィン系樹脂発泡粒子を静置する;(A2)次に、-0.05~-0.10MPa・Gの圧力下で、かつ、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の融点+20~35℃の温度下で30分間処理することにより、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の内部の空気を除きながら、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子をポリオレフィン系樹脂に戻す;(A3)そして、オーブンから上記ポリオレフィン系樹脂を取り出し、ポリオレフィン系樹脂を十分に冷却する;(A4)その後、ポリオレフィン系樹脂と同じ方法により、上記ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックスを測定する。
【0037】
ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体のメルトインデックスは、次のように測定することができる:(B1)ミキサーなどを用いてポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体を粉砕する;(B2)次に、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の代わりに粉砕されたポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体を用いる以外は、上述したポリオレフィン系樹脂発泡粒子と同じ処理((A1)および(A2))を行い、ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体をポリオレフィン系樹脂に戻す;(B3)そして、オーブンから上記ポリオレフィン系樹脂を取り出し、ポリオレフィン系樹脂を十分に冷却する;(B4)その後、ポリオレフィン系樹脂と同じ方法により、上記ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックスを測定する。
【0038】
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂粒子には、ポリオレフィン系樹脂のほかに、種々の添加剤を添加でき、Ag系ゼオライトを添加することが必須である。Ag系ゼオライトとはAg担持ゼオライトとも呼ばれ、ゼオライトを担体とし、吸着又はイオン交換により、Agイオン又はAgイオンと、亜鉛などの複数の金属イオンとを安定した状態でゼオライトの骨格構造に均一に分布させ、種々の助剤と複合してなる粉末である。Ag系ゼオライトのAgイオンの含有量は、Ag系ゼオライトの質量に対して、0.1~10%であり、また亜鉛および銅などの金属イオンをAgイオンと併用しているAg系ゼオライトも使用することができる。Ag系ゼオライトの市販品としては、株式会社シナネンゼオミックのZEOMIC、ニューストーンインターナショナル株式会社の銀イオン担持ゼオライトが挙げられる。
【0039】
Ag系ゼオライトの平均粒径の範囲は非常に広く、ナノオーダーの平均粒径もあり、ミリメートルオーダー程度の平均粒径もある。本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子を製造するための添加剤としてAg系ゼオライトを使用する場合、平均粒経が1.0μm~10.0μmのAg系ゼオライトを用いることができる。Ag系ゼオライトの平均粒径は1.2μm~5μmであることが好ましく、1.5μm~3.5μmであることがより好ましく、1.5μm~2.5μmであることがさらに好ましい。Ag系ゼオライトの平均粒径が1μmより小さくなると、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の成形体の表面美麗性と寸法収縮率とが悪化する傾向があり、平均粒径が10μmより大きくなると、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の成形体の寸法収縮率が悪化する傾向がある。なお、本発明の一実施形態におけるAg系ゼオライトの平均粒経はレーザー回折-散乱法により測定することができる。成形体の寸法収縮率が悪化するとは、成形体の寸法収縮率が大きいことを意図する。
【0040】
本発明の一実施形態で用いられるAg系ゼオライトの添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.2~3重量部である。さらに外観が良好で、寸法収縮率が低い型内発泡成形体を得るため、Ag系ゼオライトの添加量は、0.2~2.5重量部であることがより好ましい。Ag系ゼオライトの添加量が0.2重量部より小さくなると発泡倍率が高い発泡粒子が得られにくくなる。また、発泡粒子の気泡が粗大化ないし不均一化し、型内発泡成形体の表面平滑性が悪化する傾向がある。Ag系ゼオライトの添加量が3重量部より大きくなると、得られる発泡粒子の気泡が小さくなり過ぎるために得られた発泡粒子を用いて型内発泡成形した型内発泡成形体の表面性が悪くなる傾向がある。また、発泡粒子中の気泡が連泡化し、型内発泡成形を行った後の型内発泡成形体は寸法収縮率が大きいものに成り易い。
【0041】
本明細書において、「添加」」は「使用」とも言える。また、「添加」および「使用」は製造における概念であり、製造により得られた物質における「含有量」ともいえる。そのため、本明細書において、「添加」、「使用」および「含有」、または「添加量」、「使用量」および「含有量」は相互置換可能である。
【0042】
また、添加剤としてAg系ゼオライトを使用する場合、Ag系ゼオライトは吸水性質を有するだけでなく、成核作用も有する。したがって、添加剤としてAg系ゼオライトを使用する場合、親水性の有機化合物の使用量を低減できるか、または親水性の有機化合物の不使用を実現できるだけではなく、発泡核剤などの添加剤の使用量も低減できる。
【0043】
また、銀イオンは抗菌作用を有するため、ポリオレフィン系樹脂粒子にAg系ゼオライトを添加して製造された、発泡成形体も抗菌性能を有する。
【0044】
より具体的には、ポリオレフィン系樹脂粒子にAg系ゼオライトを添加して製造されたポリオレフィン系樹脂発泡粒子、および当該発泡粒子を型内発泡成形して得られた型内発泡成形体も抗菌性能を有する。
【0045】
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、親水性化合物をさらに含んでもよい。親水性化合物とは、分子内にカルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基、ポリオキシエチレン基などの親水性基を有する化合物またはその誘導体を意味し、親水性重合体も含まれる。
【0046】
親水性化合物として、具体的には、例えば、カルボキシ基含有化合物およびヒドロキシ含有化合物等が挙げられる。
【0047】
より具体的には、例えば、カルボキシ基含有化合物としては、ラウリン酸、ラウリン酸ナトリウムが挙げられ、ヒドロキシ含有化合物としては、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。また、その他の親水性有機化合物としては、メラミン、イソシアヌール酸、イソシアヌール酸の縮合物等のトリアジン環を有する有機化合物等が挙げられる。親水性化合物は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0048】
また、親水性重合体とは、(a)ASTM D570に基づいて測定した吸水率が0.5重量%以上の重合体であり、いわゆる吸湿性重合体を含むものと、(b)水に溶解せず、自体の重量の数倍から数百倍の水を吸収でき、圧力をかけても脱水しにくい重合体、すなわち吸水性重合体と、(c)常温または高温状態下で水に溶解する重合体、すなわち水溶性重合体と、を意味する。
【0049】
親水性重合体としては、(a)エチレン/(メタ)アクリル共重合体等のカルボキシ基含有重合体;(b)ナイロン-6、ナイロン-6,6、共重合ナイロンなどのポリアミド;(c)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの非イオン性吸水性重合体;(d)PELESTAT(商品名、三洋化成工業株式会社製)等を代表とするポリエーテル/ポリオレフィン系樹脂ブロック共重合体;(e)AQUACALK(商品名、住友精化株式会社製)等を代表とする架橋ポリエチレンオキサイド系重合体、等が挙げられる。それら親水性重合体は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0050】
しかしながら、親水性重合体を用いた場合、廃水のCODが高くなり、環境対策として廃水処理が必要になる。したがって、本発明の一実施形態においては、親水性重合体を少量添加する、あるいは添加しないことが好ましい。なお、本発明の一実施形態において、添加剤として上記Ag系ゼオライトを使用したため、従来の技術のように親水性重合体を使用しなくても、発泡効果を得ることができる。
【0051】
ポリオレフィン系樹脂粒子には、気泡核の形成を促進する発泡核剤をさらに添加してもよい。本発明の一実施形態で使用する発泡核剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、硫酸バリウムなどの発泡核剤が挙げられる。それらは1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの発泡核剤の中でも、値段が安く、均一な気泡を得やすいことから、タルク、炭酸カルシウム及びステアリン酸カルシウムが好ましい。本発明の一実施形態において、発泡核剤の添加量は、使用する発泡剤の種類によって異なる。一般的には、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、発泡核剤の添加量が0.005重量部~2重量部であることが好ましく、0.01重量部~1重量部であることがさらに好ましい。発泡核剤の添加量が0.005重量部未満の場合、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率を高くすることが困難な傾向があり、気泡の均一度が低下する可能性がある。発泡核剤の添加量が2重量部を超えると、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径が小さくなりすぎて、型内発泡成形性が不良になる傾向がある。本発明の一実施形態では、Ag系ゼオライトが発泡核剤としての効果も有するため、上記の発泡核剤をさらに追加しない場合も発泡が可能である。
【0052】
本発明の一実施形態の効果を阻害しない範囲で、必要に応じてポリオレフィン系樹脂粒子に帯電防止剤、着色剤、難燃剤、熱安定剤、耐光安定剤、輻射伝熱抑制剤などの添加剤を添加してもよい。熱安定剤としては、ヒンダードアミン化合物、リン系化合物、又はエポキシ化合物が挙げられる。耐光安定剤としては、ヒンダードアミン類、リン系安定剤、エポキシ化合物が挙げられ、さらに、フェノール系抗酸化剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、又はベンゾトリアゾール類等が挙げられる。
【0053】
本発明の一実施形態で用いられ得る着色剤としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、鉄黒、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、コバルトバイオレット、コバルトブルー、紺青、群青、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄等の無機顔料;ペリレン系、ポリアゾ系、キナクリドン系、フタロシニアン系、ペリノン系、アントラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の有機顔料が挙げられる。
【0054】
本発明の一実施形態で使用できる帯電防止剤としては、特に制限されないが、例えば、脂肪酸エステル化合物、脂肪族エタノールアミン化合物、脂肪族エタノールアミド化合物などの低分子型帯電防止剤、高分子型帯電防止剤等が挙げられる。これらの帯電防止剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。帯電防止剤としては、例えば、オクタデシルジエタノールアミンモノステアリン酸エステルとオクタデシルジエタノールアミンとの混合物の市販品として、Electro Stripper TS-11B(花王株式会社製)が挙げられ、オクタデシルジエタノールアミンモノステアリン酸エステルとオクタデシルジエタノールアミンと脂肪族アルコールとの混合物の市販品として、Electro Stripper TS-15B(花王株式会社製)等が挙げられる。本発明の一実施形態における帯電防止剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部~3.0重量部が好ましく、0.2重量部~2.0重量部が特に好ましい。帯電防止剤の含有量が0.1重量部より小さくなると、帯電防止性能を発揮することができず、3重量部を超えると、得られた型内発泡成形体の変形収縮率が大きく、成形体の表面の延伸も悪化してしまう傾向がある。当該「変形収縮率」は、「寸法収縮率」と同じ意味で用いられている。
【0055】
本発明の一実施形態で用いられる輻射伝熱抑制剤(近赤外又は赤外領域(例えば、800~3000nm程度の波長域)の光を反射、散乱又は吸収する特性を有する物質)としては、例えば、グラファイト、グラフェン、活性炭、カーボンブラック、酸化チタン、及び金属アルミニウム等が挙げられる。
【0056】
<ポリオレフィン系樹脂粒子の製造方法>
本発明の一実施形態におけるポリオレフィン系樹脂粒子を製造する方法としては、例えば、下記の製造工程(「造粒工程」ともいう)が挙げられる。まず、ドライブレンド法、マスターバッチ法などの混合方法により、ポリオレフィン系樹脂およびAg系ゼオライトと必要に応じてその他添加剤とをブレンドする。次に、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等を用いて得られたブレンド物を溶融混練された後に押出し、押し出されたブレンド物(溶融混練物)をカッター、ペレタイザー等で細断し、円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状などの希望する形状を有するポリオレフィン系樹脂粒子とする。あるいは、上記ブレンド物をダイから直接に水に押出した後に直ちに粒子状に裁断し、冷却してもよい。
【0057】
本発明の一実施形態では、押出機(例えば二軸押出機)を使用する方法を用いたが、それに限定されるものではない。具体的には、予めポリオレフィン系樹脂にAg系ゼオライト添加剤及び発泡核剤、並びに必要に応じて添加するその他の添加剤をブレンドして、ブレンド物調製する。得られたブレンド物を押出機に仕込んで溶融混練を行い、得られた溶融混練物をダイを通してストランド状に押出し、得られた押出し物を水冷後に細断して、ポリオレフィン系樹脂粒子を作製する。あるいは、液状の親水性化合物を用いる場合、押出機の中間部で、液状の親水性化合物を溶融されたポリオレフィン系樹脂に添加して混練してもよい。また、押出機のポリオレフィン系樹脂の供給口で、液状で定量的に親水性化合物を供給してもよい。この際に、原料の蒸散を低減するために、押出機のシリンダーおよびダイス部の温度を300℃以下、より好ましくは280℃以下にすることが好ましい。
【0058】
<ポリオレフィン系樹脂発泡粒子>
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させて得られるものである。
【0059】
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の嵩密度は、20g/L~55g/Lである。嵩密度が32g/L~55g/Lであることが好ましく、嵩密度が35g/L~55g/Lであることがより好ましい。当該嵩密度が20g/L未満の場合、得られるポリオレフィン系樹脂の発泡成形体は収縮あるいは変形しやすくなり、機械的性能が低下する傾向がある。成形体が収縮または変形しやすいとは、成形体の寸法収縮率または変形収縮率が大きい傾向があることを意図する。当該嵩密度が55g/Lを超えると、得られる型内発泡成形体の機械的強度が高くなる傾向があるが、型内発泡成形体の軽量化のメリットが得られず、また得られる型内発泡成形体の柔軟性および緩衝特性が不十となる傾向がある。型内発泡成形体の機械的強度が高くなる傾向があるとは、型内発泡成形体の寸法収縮率を抑えられる傾向があることを意図する。
【0060】
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の平均気泡径は、60μm~250μmであることが好ましく、100μm~190μmであることがより好ましい。当該平均気泡径が60μmより小さくなると、得られる型内発泡成形体の表面美麗性が低下し、圧縮強度も低下する傾向がある。当該平均気泡径が250μmを超えると、気泡径の均一性が低下する傾向があり、発泡成形体の表面美麗性が低下する傾向がある。
【0061】
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の連泡率は、10%以下であることが好ましい。前記連泡率が10%以上である場合、得られる発泡粒子を型内発泡成形したときに、発泡粒子の収縮が生じず、得られるポリオレフィン系樹脂の発泡成形体の表面性が低下する虞がない。ここで、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の連泡率は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子に対して、ASTM D2856-87の手順C(PROCEDURE C)に記載の方法を行い、測定することができる。
【0062】
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の含水率は、0.1質量%以上10%質量以下であることが好ましく、0.7質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。当該含水率が0.1%より小さくなると、発泡倍率の低いポリオレフィン系樹脂発泡粒子しか得られない場合があり、当該含水率が10%を超えると、発泡後のポリオレフィン系樹脂発泡粒子内が低内圧になるため、発泡粒子が収縮しやすく、発泡後にオーブンでエージング(養生とも称される。)を行っても発泡粒子に収縮が残る傾向がある。発泡粒子に収縮が残るとは、発泡粒子が収縮したままであることを意図する。
【0063】
〔ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法〕
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤の存在下で発泡させる工程を含むポリオレフィン系樹脂発泡粒子を製造する方法において、前記ポリオレフィン系樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、Ag系ゼオライト0.2重量部~3.0重量部を含むポリオレフィン系樹脂組成物からなり、前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、嵩密度が20g/L~55g/Lであり、前記Ag系ゼオライトの平均粒径は1.0μm~10.0μmである。本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法を、本製造方法とも称する。
【0064】
本製造方法は、前記構成を有するため、軽量であり、環境負荷が小さく、かつ優れた型内発泡成形性を有するポリオレフィン系樹脂発泡粒子を提供できる。
【0065】
本発明の一実施形態におけるポリオレフィン系樹脂発泡粒子を製造する方法としては、例えば、下記の製造工程(発泡工程)が挙げられる。
【0066】
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、前記のようにして得たポリオレフィン系樹脂粒子、水性媒体、無機系分散剤、分散助剤を含んでなる分散液を耐圧容器中に収容する工程、分散液を攪拌しながら、発泡剤の存在下、前記ポリオレフィン系樹脂粒子の軟化点温度以上に耐圧容器内の温度を昇温する工程、および耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に耐圧容器中の分散液を放出してポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させる工程、を有する製造方法(製造工程)により、製造され得る。
【0067】
「耐圧容器中の分散液」は、「耐圧容器内容物」ともいえる。「耐圧容器の内圧よりも低い圧力域」は、「低圧域」とも称される。
【0068】
耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に耐圧容器内容物を放出する工程では、低圧域に分散液を放出する前のいずれかの段階で二酸化炭素、窒素もしくは空気などの無機ガスを耐圧容器内に圧入することで耐圧容器内の内圧を高め、発泡時の圧力開放速度を調節し、発泡倍率および平均気泡径の調整を行うことができる。
【0069】
本発明の一実施形態において用いる水性媒体としては、例えば、水、アルコール、エチレングリコールなどを用いることができるが、この中でも水を用いることが好ましい。
【0070】
水性媒体の使用量としては特に制限はないが、生産性の観点からはポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対し、100重量部以上500重量部以下が好ましく、より好ましくは130重量部以上300重量部以下であり、最も好ましくは150重量部以上210重量部以下である。水性媒体の使用量が、(a)100重量部未満ではポリオレフィン系樹脂粒子、水性媒体、無機系分散剤、および分散助剤を含んでなる分散液が安定しない場合があり、(b)500重量部を超えると生産性が低下する場合がある。
【0071】
本発明の一実施形態で用いることのできる無機系分散剤としては、特に制限はなく、一般的に用いられている無機系分散剤を使用することができる。具体的には、硫酸バリウム、カオリンおよびタルクなどのシリカ-アルミナを主成分とするアルミノ珪酸塩、酸化アルミニウム、酸化チタン、第三リン酸カルシウムなどのリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛などが挙げられる。
この中でも、少ない使用量で分散効果があり、廃水処理負荷が少ない観点からは、硫酸バリウム、シリカ-アルミナを主成分とするアルミノ珪酸塩、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムが好ましい。
【0072】
このような無機系分散剤の添加量としては、特に制限はなく、分散液の安定化効果が発現するよう適宜調整されるものである。無機系分散剤の添加量は、また、無機系分散剤と分散助剤との添加比率をも勘案して適宜調整されるものである。無機系分散剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対し、0.01重量部以上5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.05重量部以上4重量部以下であり、最も好ましくは0.1重量部以上3重量部以下である。無機系分散剤の添加量が、(a)0.01重量部未満ではポリオレフィン系樹脂粒子の軟化点温度以上にて分散液の安定性が低下する傾向にあり、(b)5重量部を越えると得られるポリオレフィン系樹脂発泡粒子の表面に分散剤が多く付着し、その結果、当該発泡粒子を型内発泡成形したときのポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の融着性が低下する傾向にある。
【0073】
本発明の一実施形態で用いられる分散助剤としては、界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤としては、一般的に用いられているアニオン系、ノニオン系、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることが出来る。この中でも、ポリオレフィン系樹脂粒子、水性媒体、無機系分散剤および分散助剤を含んでなる分散液の安定性の観点からは、界面活性剤として、アニオン系界面活性剤が好ましく、中でも、アルキルスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩などのスルホン酸塩がより好ましく、最も好ましくはアルキルスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩である。
【0074】
このような分散助剤の添加量としては、特に制限はなく、分散液が安定するよう適宜調整されるものである。分散助剤の添加量としては、ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対し、0.001重量部以上0.5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.003重量部以上0.3重量部以下であり、最も好ましくは0.005重量部以上0.2重量部以下である。分散助剤の添加量が、(a)0.001重量部未満では樹脂粒子の軟化点温度以上で分散液の安定性が低下する傾向にあり、(b)0.5重量部を越えると分散液の泡立ちが激しくなり、廃水処理の負荷が大きくなる傾向にある。
【0075】
本発明の一実施形態で用いる発泡剤としては、特に制限はなく、一般的に用いられている発泡剤を使用することができる。発泡剤として具体的には、二酸化炭素、空気、酸素、窒素、水などの無機発泡剤が挙げられ、発泡剤として水を用いる場合は前記水性媒体とし用いられる水を発泡剤として利用することが好ましい。
【0076】
発泡剤は、水及び/または炭酸ガスであることが好ましい。当該構成によると、環境負荷が小さく、燃焼危険性がないという利点を有する。
【0077】
上述した発泡剤の中でも本発明の一実施形態においては、発泡剤として二酸化炭素を用いた場合においてもポリオレフィン系樹脂発泡粒子の気泡径が極端に微細化することはなく、型内発泡成形性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡粒子が得られる。そのため、本発明の一実施形態においては、発泡剤として二酸化炭素を使用することが好ましい態様となる。
【0078】
本発明の一実施形態における発泡剤は、発泡するまでのいずれかの段階で耐圧容器中に導入すればよく、また、数回に分けて導入しても良いが、発泡性の観点からは少なくとも一部の発泡剤を、耐圧容器内の温度を昇温する前に耐圧容器中に導入しておくことが好ましい。たとえば、二酸化炭素を含んでなる発泡剤を添加する場合は、(a)ポリオレフィン系樹脂粒子、水性媒体、無機系分散剤および分散助剤を含んでなる分散液を耐圧容器に収容する工程を実施するとともに、固体の二酸化炭素(ドライアイス)を耐圧容器に投入工程を実施しても良いし、(b)ポリオレフィン系樹脂粒子、水性媒体、無機系分散剤および分散助剤を含んでなる分散液を耐圧容器に収容する工程を実施した後、その直後、あるいは耐圧容器内の温度の昇温中、あるいは耐圧容器内の温度の昇温後など、低圧域に分散液を放出する工程を実施する前のいずれかの段階で、気体あるいは液体の二酸化炭素を耐圧容器内に導入する工程を実施しても良い。あるいはこれらの方法を組み合わせた方法を採用することもできる。発泡性と、得られるポリオレフィン系樹脂発泡粒子の倍率バラツキが小さく、かつ気泡径バラツキが小さくなる観点からは、発泡剤として二酸化炭素と水とを併用して用いることも好ましい態様のひとつである。
【0079】
このような発泡剤の添加量としては、特に制限はなく、発泡倍率などにより適宜調整されるものである。発泡剤の添加量としては、ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対し、0.1重量部以上50重量部以下であることが好ましく、より好ましくは2重量部以上30重量部以下であり、最も好ましくは3重量部以上20重量部以下である。発泡剤の添加量が、(a)0.1重量部未満では発泡倍率が発現しにくい傾向があり、(b)50重量部を超えると得られるポリオレフィン系樹脂発泡粒子の気泡が破れ、連泡化してしまう傾向がある。
【0080】
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法において、「ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤の存在下で発泡させる工程」は、1段発泡工程であり、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、前記1段発泡工程で得られる第1段発泡粒子であることが好ましい。本製造方法では、Ag系ゼオライトを使用するため、1段発泡工程により、小さな環境負荷にて、嵩密度が20g/L~55g/Lであり、かつ優れた型内発泡成形性を有する発泡粒子を、得ることができる。
【0081】
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、嵩密度が20g/L~55g/Lである第1段発泡粒子を得る製造方法ともいえる。
【0082】
前記ポリオレフィン系樹脂の第1段発泡粒子に対して、さらに発泡工程(多段発泡工程とも呼ばれる)を行って処理してもよい。具体的には、無機ガスで加圧することにより、粒子内部の圧力を大気圧以上に上昇させた後、圧力が0.02MPa~0.12MPaの水蒸気を利用して、前記粒子を少なくとも20秒の加熱処理を行うことでさらに発泡させ、より高い発泡倍率を有するポリオレフィン系樹脂の第2段発泡粒子を得ることができる。このようにして、得られたポリオレフィン系樹脂の第2段発泡粒子に対して、さらなる多段発泡工程行い、ポリオレフィン系樹脂の第3段発泡粒子を得ることも可能である。
【0083】
上記のように、多段発泡工程を含む製造方法もまた、本発明の一実施形態に含まれるものである。従って、第2弾発泡粒子及び第3段発泡粒子もまた、本発明の一実施形態の範囲に含まれる。
【0084】
非限定的に、前記発泡工程において使用する発泡剤は、水及び/または炭酸ガス、空気、窒素ガス等であってもよいがそれらに限定されるものではない。それら発泡剤は、1種類を単独で使用してもよいし、複数種を併用してもよい。このような発泡剤は、環境負荷が小さく、燃焼危険性がないものである。低嵩密度の発泡粒子がより容易に得られることから、発泡剤としては、炭酸ガスが最も好ましい。
【0085】
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、以下のような態様であってもよい。すなわち、ポリオレフィン系樹脂粒子を容器内で発泡剤と共に分散媒に分散させる工程、前記ポリオレフィン系樹脂粒子の軟化温度以上の温度まで前記容器内を加熱し、かつ、容器内を加圧する工程、および前記ポリオレフィン系樹脂粒子および前記発泡剤が分散している前記分散媒を前記容器の内圧よりも低い圧力域に放出して、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得る工程、を有し、前記ポリオレフィン系樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、Ag系ゼオライト0.2重量部~3.0重量部を含むポリオレフィン系樹脂組成物からなり、前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、嵩密度が20g/L~55g/Lであり、前記Ag系ゼオライトの平均粒径は1.0μm~10.0μmである、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0086】
<ポリオレフィン系樹脂の発泡成形体及びその製造方法>
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂の発泡成形体は、〔ポリオレフィン系樹脂発泡粒子〕の項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子、又は、〔ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法〕の項に記載の製造方法により製造されたポリオレフィン系樹脂発泡粒子を型内に充填した後、型内発泡成形させて得られるものである。本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂の発泡成形体は、前記構成を有するため、軽量であり、環境負荷が小さく、かつ優れた型内発泡成形性を有する。
【0087】
本発明の一実施形態において、下記の型内発泡成形を行うことで、ポリオレフィン系樹脂の発泡成形体を得ることができる。すなわち、上記した形態で得られたポリオレフィン系樹脂発泡粒子を型内充填し、水蒸気等で加熱して発泡粒子同士を融着させる。
【0088】
型内発泡成形方法として、例えば、
1)無機ガス(例えば、空気または窒素ガス、炭酸ガス等)でポリオレフィン系樹脂発泡粒子を加圧処理し、無機ガスをポリオレフィン系樹脂発泡粒子内に含浸させ、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子に所定の内圧を与えた後、金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、
2)ガスの圧力でポリオレフィン系樹脂発泡粒子を圧縮させて粒子の内圧を高めた状態で金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、又は、
3)特に前処理を行わず、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法を使用することができる。
【0089】
例えば、1)の場合、予め耐圧容器内で空気加圧し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子中に空気を圧入し、発泡粒子内圧を0.08MPa(絶対圧)以上0.3MPa(絶対圧)以下程度にすることにより発泡能を付与し、これを閉鎖しうるが密閉し得ない成形金型内に充填し、水蒸気を加熱媒体として0.05MPa(ゲージ圧)以上0.4MPa(ゲージ圧)以下程度の加熱水蒸気圧で1秒以上120秒以下程度の加熱時間で成形しポリプロピレン系樹脂発泡粒子同士を融着させ、その後、成形金型を水冷により型内発泡成形体取り出し後の型内発泡成形体の変形を抑制できる程度まで冷却することにより、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体とすることができる。得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の表面性、機械物性、寸法安定性などが良好となる点からは、発泡粒子内圧としては0.1MPa(絶対圧)以上0.25MPa(絶対圧)以下が好ましく、加熱水蒸気圧としては0.05MPa(ゲージ圧)以上0.25MPa(ゲージ圧)以下が好ましく、加熱時間としては5秒以上60秒以下が好ましい。
【0090】
このようにして得られたポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形体は、優れた型内成形性を有するため、緩衝包装材、回収可能な容器、保温輸送容器(例えば、生鮮魚介類の輸送箱、テイクアウト用輸送箱など)、自動車部品(例えば、ツールボックス、床コア材料など)などの用途に応用することができる。本発明の一実施形態によると、製造作業中の環境負荷を低減することもできる。
【0091】
本発明の一実施形態は、以下の様な構成であってもよい。
【0092】
〔1〕ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤で発泡させて得られる発泡粒子であって、前記ポリオレフィン系樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂と、添加剤であるAg系ゼオライトと、を含有し、前記Ag系ゼオライトの平均粒径は1.0μm~10.0μmであり、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、前記Ag系ゼオライトの含有量が0.2重量部~3.0重量部であり、前記発泡粒子の嵩密度が20g/L~55g/Lであることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
【0093】
〔2〕前記発泡剤は、水及び/または炭酸ガスであることを特徴とする、〔1〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
【0094】
〔3〕前記発泡粒子の平均気泡径は、60μm~250μmであることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
【0095】
〔4〕前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂及び/またはポリエチレン系樹脂を含む樹脂から選択されるものであることを特徴とする、〔1〕~〔3〕のいずれか一つに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
【0096】
〔5〕ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤の存在下で発泡させる工程を含むポリオレフィン系樹脂発泡粒子を製造する方法において、前記ポリオレフィン系樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、Ag系ゼオライト0.2重量部~3.0重量部を含むポリオレフィン系樹脂組成物からなり、前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、嵩密度が20g/L~55g/Lであり、前記Ag系ゼオライトの平均粒径は1.0μm~10.0μmであることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0097】
〔6〕前記「ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤の存在下で発泡させる工程」は、1段発泡工程であり、前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、前記1段発泡工程で得られる第1段発泡粒子であることを特徴とする、〔5〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0098】
〔7〕前記発泡剤は、水及び/または炭酸ガスであることを特徴とする、〔5〕または〔6〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0099】
〔8〕前記発泡粒子の平均気泡径は、60μm~250μmであることを特徴とする、〔5〕~〔7〕のいずれか一つに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0100】
〔9〕〔1〕~〔4〕のいずれか一つに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子、又は、〔5〕~〔8〕のいずれか一つに記載の製造方法により製造されたポリオレフィン系樹脂発泡粒子を型内に充填した後、型内発泡成形させて得られるものであることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂の発泡成形体。
【0101】
〔10〕ゼオライトの、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造に用いられる使用であって、前記ゼオライトはAg系ゼオライトであり、前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂及び/またはポリエチレン系樹脂を含む樹脂から選択されるものであり、前記ポリオレフィン系樹脂を発泡して得られたポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、嵩密度が20g/L~55g/Lであることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造に用いられるゼオライトの使用。
【0102】
〔11〕前記Ag系ゼオライトの平均粒径は1μm~10μmであり、前記Ag系ゼオライトは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.2重量部~3.0重量部を含有することを特徴とする、〔10〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造に用いられるゼオライトの使用。
【実施例】
【0103】
以下の実施例より本発明の一実施形態をさらに説明するが、それらに限定されるものではない。
【0104】
以下、実施例、比較例及び参考例で使用した評価方法について説明する。
【0105】
<含水率>
発泡直後の発泡粒子を用い、空気気流で当該発泡粒子表面に付着した水を吹き飛ばして当該発泡粒子を脱水させた。その後、当該発泡粒子の重量(W1)を測定した。別途、当該発泡粒子を80℃のオーブンで12時間乾燥した後の重量(W2)を測定した。下記の式(1)より含水率を算出した。
含水率(%)=(W1-W2)/W2×100 ・・・式(1)
<嵩密度の測定>
標準大気圧下(0.1MPa)、23℃で容器の内容積(内容積V[L])を測定した。その後、得られた発泡粒子を当該容器に入れて、バイブレータで30秒間容器に振動をかけながら、発泡粒子を当該容器に充填した。発泡粒子は、発泡粒子の上面が容器の上端面より高くなるように入れ、発泡粒子を充填した後、当該容器の上端面と発泡粒子の表面とが面一になるように、直立状態の直板で当該容器の上端面を掻き取った。次に、容器に残った発泡粒子の重量W[g]を量った。23℃、0.1MPa(標準大気圧)におけるポリオレフィン系樹脂発泡粒子の嵩密度は、式(2)により算出した。
嵩密度(g/L)=W÷V ・・・式(2)
<平均気泡径>
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の気泡膜(セル膜)が破壊されないようにポリオレフィン系樹脂発泡粒子のほぼ中央を切断し、その切断面をマイクロスコープ[キーエンス製:VHXデジタルマイクロスコープ]を用いて観察し、観察写真を撮像した。マイクロスコープでの観察写真において、表層部を除く部分に、長さ1000μmに相当する線分を引き、該線分が通る気泡数nを測定し、気泡径を1000/n (μm)で算出した。同様の操作を10個の発泡粒子で行い、それぞれ算出した気泡径の平均値を、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の平均気泡径とした。
【0106】
<成形体の表面美麗性>
得られた型内発泡成形体の縦350mm×横450mm面を目視で観察し、以下の基準により表面美麗性を判断した。
◎(表面外観が美麗):しわが無く、粒間がほとんどない
○(表面外観が良好):しわや粒間が若干見られる
△(表面外観が合格):僅かなしわ、粒間あるがヒケは無し
×(表面外観が不合格):表面にしわまたはヒケが目立つ。
なお、「ヒケ」は表面の凹みを意味し、「sink mark」と称される場合もある。
【0107】
<成形体の寸法収縮率>
得られた評価対象の型内発泡成形体に対して、デジタルキャリパー(Mitutoyo製)を用いて長軸の長さ(金型の450mm方向)を測定した。対応する金型の寸法をL0とし、発泡成形体の寸法をL1とし、下記の式(3)により金型に対する寸法収縮率を算出し、以下の基準により評価した。
金型に対する寸法収縮率=(L0-L1)÷L0×100 (3)
◎:金型に対する寸法収縮率が3.5%以下。
○:金型に対する寸法収縮率が3.5%超え、かつ5%以下。
×:金型に対する寸法収縮率が5%超える。
【0108】
<成形体の融着率>
型内発泡成形体の融着率は、型内発泡成形体を切断して得られた切断面に現れる発泡粒子において、材料破壊が発生した発泡粒子の数の割合である。具体的には、ユーティリティナイフで発泡成形体の厚さ方向に沿って型内発泡成形体に約10mmの切れ込みを入れた後、型内発泡成形体を破断させ、破断面を観察し、破断面に存在する発泡粒子の数(n)と材料破壊が発生した発泡粒子の数(b)を測定し、(b)と(n)との比(b/n)をパーセンテージで表し、融着率(%)とした。
融着率が60%以上のものを合格として、60%未満のものを不合格とする。
【0109】
<廃水のCODcr>
ポリオレフィン系樹脂粒子の軟化点温度以上に昇温し、次いで耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に耐圧容器中の分散液を放出してポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させるとき、発泡粒子とともに排出される廃水のCOD値を、ISO 6060規格に基づいて測定した。
【0110】
実施例、比較例及び参考例において、使用したものは下記通りであり、特に精製等を行わないままで使用した。
【0111】
実施例、比較例及び参考例において、ポリオレフィン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂を使用した。使用したポリプロピレン系樹脂は、市販品としてメーカー(日本ポリプロ株式会社、サンアロマー、株式会社プライムポリマー、LGケミカル、Borearisなど)から取得したものである。
【0112】
実施例1
[ポリオレフィン系樹脂粒子の作製]
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製、エチレン含有率3.0重量%、MI=6g/10分、融点144℃)100重量部に対し、平均粒径が2μmのAgゼオライト(富士ケミカル社製、BM-102NS、以下Aと略称する)0.5重量部をドライブレンドした。その後、ドライブレンドして得られた混合物を二軸押出機に供給し、約220℃のシリンダー温度で溶融混練し、押出機の先端に設置している直径1.6mmの円筒のダイからストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。ポリプロピレン系樹脂粒子の平均粒重量が1.2mgであった。
【0113】
[ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の作製]
容量が0.3m3の耐圧容器に、得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部(80kg)、水200重量部、難水溶性無機化合物として第三リン酸カルシウム(太平化学産業株式会社製)0.6重量部、および界面活性剤としてアルカンスルフォン酸ナトリウム(花王株式会社製、LATEMUL PS)0.04重量部を仕込み、仕込んだ原料を攪拌しながら発泡剤として炭酸ガス6重量部を耐圧容器内へ添加し、分散液を調製した。耐圧容器内の温度を150℃まで昇温し、耐圧容器の内容物を150℃の発泡温度に加熱した。炭酸ガスを追加圧入して耐圧容器内を3.0MPa(ゲージ圧)の発泡圧力まで昇圧し、前記発泡温度、発泡圧力で30分保持した後、耐圧容器下部のバルブを開き、3.6mmφで1穴の開口オリフィスを通して、耐圧容器の内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子について含水率を測定した。その後、得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を乾燥機内に送り、約80℃の熱風で発泡粒子内の水分を飛ばした。得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度と平均気泡径とを測定し、その結果を表1に示す。
【0114】
[型内発泡成形品の作製]
得られた発泡粒子を耐圧容器内に投入し、空気で加圧し、約0.2MPa(絶対圧)の空気内圧とした後、450mm×350mm×50mmの金型内に充填し、0.30MPa(ゲージ圧)の飽和水蒸気により型内発泡成形を行い、型内発泡成形体を得た。更に、得られた型内発泡成型体を大気圧下で約1時間放置した後、75℃に設定したオーブンを使用して大気圧下、24時間乾燥することにより、ポリプロピレン樹脂の板状の型内発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン樹脂発泡成形体について、表面美麗性の評価、成形体の寸法収縮率及び成形体の融着率の測定を行い、その結果を表1に示す。
【0115】
実施例2
Aの代わりに、平均粒径が1.5μmの銀-亜鉛ゼオライト(富士ケミカル社製、BM-102NSC、以下Bと略称する)を使用した以外、実施例1と同様にして樹脂粒子の作製、樹脂発泡粒子の作製及び型内発泡成形を行った。ポリプロピレン樹脂発泡粒子及びポリプロピレン樹脂発泡成形体への評価結果は、表1に示す。
【0116】
実施例3
0.5重量部のAの代わりに、0.2重量部のAを使用した以外、実施例1と同様にして樹脂粒子の作製、樹脂発泡粒子の作製及び型内発泡成形を行った。ポリプロピレン樹脂発泡粒子及びポリプロピレン樹脂発泡成形体への評価結果は、表1に示す。
【0117】
実施例4
0.5重量部のAの代わりに、1.0重量部のAを使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂粒子の作製、樹脂発泡粒子の作製及び型内発泡成形を行った。ポリプロピレン樹脂発泡粒子及びポリプロピレン樹脂発泡成形体への評価結果は、表1に示す。
【0118】
実施例5
0.5重量部のAの代わりに、2.5重量部のAを使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂粒子の作製、樹脂発泡粒子の作製及び型内発泡成形を行った。ポリプロピレン樹脂発泡粒子及びポリプロピレン樹脂発泡成形体への評価結果は、表1に示す。
【0119】
実施例6
0.5重量部のAの代わりに、3.0重量部のAを使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂粒子の作製、樹脂発泡粒子の作製及び型内発泡成形を行った。ポリプロピレン樹脂発泡粒子及びポリプロピレン樹脂発泡成形体への評価結果は、表1に示す。
【0120】
比較例1
Aの代わりに、0.1重量部のタルク(林化成株式会社製、TALCAN PAWDER PK-S)を使用した以外、実施例1と同様にして樹脂粒子の作製、樹脂発泡粒子の作製及び型内発泡成形を行った。ポリプロピレン樹脂発泡粒子及びポリプロピレン樹脂発泡成形体への評価結果は、表1に示す。
【0121】
比較例2
Aの代わりに、平均粒径が3μmの合成ゼオライト(日本化学社製、ゼオスターNA100P、以下Cと略称する)を使用した以外、実施例1と同様にして樹脂粒子の作製、樹脂発泡粒子の作製及び型内発泡成形を行った。ポリプロピレン樹脂発泡粒子及びポリプロピレン樹脂発泡成形体への評価結果は、表1に示す。
【0122】
比較例3
Aの代わりに、平均粒径が2μmの天然ゼオライト(日東粉化社製、SP#600、以下Dと略称する)を使用した以外、実施例1と同様にして樹脂粒子の作製、樹脂発泡粒子の作製及び型内発泡成形を行った。ポリプロピレン樹脂発泡粒子及びポリプロピレン樹脂発泡成形体への評価結果は、表1に示す。
【0123】
比較例4
0.5重量部のCの代わりに、3重量部のCと0.1重量部のタルク(林化成株式会社製、TALCAN PAWDER PK-S)を使用した以外、比較例2と同様にして樹脂粒子の作製、樹脂発泡粒子の作製及び型内発泡成形を行った。ポリプロピレン樹脂発泡粒子及びポリプロピレン樹脂発泡成形体への評価結果は、表1に示す。
【0124】
比較例5
Aの代わりに、平均粒径が0.3μmのAgゼオライト(市販、以下Eと略称する)を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂粒子の作製、樹脂発泡粒子の作製及び型内発泡成形を行った。ポリプロピレン樹脂発泡粒子及びポリプロピレン樹脂発泡成形体への評価結果は、表1に示す。
【0125】
比較例6
Aの代わりに、平均粒径が20μmのAgゼオライト(市販、以下Fと略称する)を使用した以外、実施例1と同様にして樹脂粒子の作製、樹脂発泡粒子の作製及び型内発泡成形を行った。ポリプロピレン樹脂発泡粒子及びポリプロピレン樹脂発泡成形体への評価結果は、表1に示す。
【0126】
参考例1
Aの代わりに、グリセリン(LION株式会社製、グリセリン#300、以下Gと略称する)0.2重量部とタルク(林化成株式会社製、TALCAN PAWDER PK-S)0.1重量部を使用した以外、実施例1と同様にして樹脂粒子の作製、樹脂発泡粒子の作製及び型内発泡成形を行った。ポリプロピレン樹脂発泡粒子及びポリプロピレン樹脂発泡成形体への評価結果は、表1に示す。
【0127】
実施例1~6では、発泡粒子の嵩密度が55g/L以下の軽量な発泡粒子が得られており、この本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子を使用した場合、外観が良好で、しわが無い発泡成形体を得ることができ、そして、成形体の寸法収縮率と成形体の融着率はいずれも良好であったことがわかった。また、発泡粒子へ発泡させるときの廃水のCODcrは200ppm以下と低いものであり、環境負荷が軽減されていることがわかった。
【0128】
比較例1では、親水性有機化合物もAg系ゼオライトも入れていないため、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の嵩密度を本発明の一実施形態の範囲内にすることができず、製品(発泡粒子)の発泡が不十分で、それにより、本発明の一実施形態に係る製品(発泡粒子)と比較して、成形体の単位体積重量が明らかに高く、軽量性のメリットが発現していないことがわかった。
【0129】
比較例2、4では合成ゼオライトを使用した。合成ゼオライトの添加量が低い場合、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の嵩密度は高くなり、軽量化できておらず且つ成形体の寸法収縮率および融着率もよくない。ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の嵩密度を下げるため、比較例4は合成ゼオライトの添加量を増やした。しかしながら、比較例4では発泡粒子の連泡率が大きくなり、その結果、得られた型内発泡成形体の寸法収縮率が大きくなり、表面のしわが目立つようになり、かつ表面外観(表面性)が悪化してしまった。
【0130】
実施例1、2と比較例2、3との比較から、添加剤の添加量が同じである場合、合成ゼオライトまたは天然ゼオライトを添加した場合と比べ、Ag系ゼオライトを添加した後に得られたポリオレフィン系樹脂発泡粒子のほうが、成形体外観性、寸法収縮率及び成形体の融着率などの性能においていずれも優れていることがわかった。
【0131】
実施例1および2と比較例5および6とは、Agゼオライトの粒径が異なる以外、その他の条件はすべて同じであった。実施例1および2と比較例5および6との比較から、本発明の一実施形態で要求されるAg系ゼオライトの平均粒径の範囲を満足する場合には、外観が良好で、しわが無い発泡成形体、並びに成形体の寸法収縮率及び成形体の融着率がいずれも良好なポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得ることができることがわかった。
【0132】
実施例1~6と参考例1の比較から、発泡粒子へ発泡させるとき,実施例1~6では廃水のCODcrが200ppm以下であるが、参考例1では廃水のCODcrは700ppmと高くなり、廃水のCOD低減処理が必要なレベルとなっていた。本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子を使用した場合、環境負荷を増大させる親水性有機化合物および発泡核剤を使用しない場合であっても、親水性有機化合物および発泡核剤を使用した場合と同等な性能を有するポリオレフィン系樹脂発泡成形体を得ることができることがわかった。
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明の一実施形態によれば、軽量であり、環境負荷が小さく、かつ優れた型内発泡成形性を有するポリオレフィン系樹脂発泡粒子を提供できる。そのため、本発明の一実施形態は、緩衝包装材、回収可能な容器、保温輸送容器(例えば、生鮮魚介類の輸送箱、テイクアウト用輸送箱等)、自動車部品(例えば、ツールボックス、床コア材料等)などの用途に好適に利用できる。