IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】人工心臓弁
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020523988
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018050779
(87)【国際公開番号】W WO2019089138
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-06-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】62/579,763
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/129,685
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン エル.ベネット
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア エー.スプリンクル
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】村上 聡
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527397(JP,A)
【文献】国際公開第2002/24118(WO,A1)
【文献】米国特許第6454799(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工弁であって、
円筒形を画定し、かつ弁膜フレーム内側面と、弁膜フレーム外側面と、弁膜フレーム流入縁と、を含む弁膜フレームであって、前記弁膜フレームが、更に、弁膜フレーム中心軸線と、前記弁膜フレーム中心軸線に沿って延びる複数の弁膜フレーム交連ポストと、を含み、各弁膜フレーム交連ポストが、前記弁膜フレームが複数のポストスロットを含むように前記交連ポストを通過するポストスロットを画定する、弁膜フレームと、
複数の弁膜と、隣り合う弁膜の間に位置するブリッジ領域と、を備える弁膜構成体であって、各ブリッジが、前記弁膜構成体が複数のブリッジループを画定するようにブリッジループを画定し、各ブリッジループが、前記弁膜構成体が前記複数のポストスロットを通過して延びるように前記弁膜フレーム外側面に隣接して配置され、前記弁膜の各々は折り重ね部分を含み、前記弁膜の各々の前記折り重ね部分は前記弁膜フレームの前記流入縁から前記弁膜フレームの前記外側面まで前記弁膜フレームの周りに巻きつけられている、弁膜構成体と、
複数の外側フレーム交連ポストを含む外側フレームであって、各外側フレーム交連ポストが、前記複数のブリッジループの第1ブリッジループ内に配置され、前記外側フレームが、更に外側フレーム内側面と、外側フレーム外側面と、外側フレーム流入縁と、環状ショルダと、を含み、前記環状ショルダが、前記外側フレーム流入縁に対向して位置するショルダ面を有し、前記弁膜フレームが、前記複数の弁膜の各弁膜の前記折り重ね部分が前記外側フレーム内側面と前記弁膜フレーム外側面との間に挟まれるようにかつ前記弁膜構成体が前記弁膜フレーム流入縁と前記外側フレームの前記ショルダ面との間に位置付けられるように、前記外側フレームによって画定された内部領域内に受け入れられる、外側フレームと、
を備える、人工弁。
【請求項2】
前記外側フレーム交連ポストが、交連ポスト先端を含み、前記弁膜フレームが、前記外側フレーム交連ポスト先端と前記環状ショルダの前記ショルダ面との間に位置付けられる、請求項1に記載の人工弁。
【請求項3】
前記外側フレーム内側面が、第1面と、前記第1面が第2面の第2直径より大きい第1直径を持つように前記第1面から半径方向にオフセットする第2面と、を含み、前記弁膜フレーム外側面の直径が前記外側フレーム内側面の前記第1面の前記第1直径より小さくかつ前記外側フレーム内側面の前記第2面の前記第2直径より大きい、請求項1又は2に記載の人工弁。
【請求項4】
前記弁膜フレームが、前記外側フレームの前記環状ショルダによって支持される、請求項1~3のいずれかに記載の人工弁。
【請求項5】
前記弁膜フレームが前記外側フレームに結合される、請求項1~のいずれかに記載の人工弁。
【請求項6】
前記弁膜フレーム、前記外側フレーム及び前記弁膜構成体が、各々、複数の対応する開口を含み、前記弁膜フレームと前記外側フレームが、前記弁膜フレーム、前記外側フレーム及び弁膜構成体の隣り合う開口を通り抜けて前記外側フレームを前記弁膜フレームに結合するように作用できる固定構造体によって共に結合される、請求項1~のいずれかに記載の人工弁。
【請求項7】
前記固定構造体が縫合糸である、請求項に記載の人工弁。
【請求項8】
更に、前記外側フレームに結合されたソーイングカフを備える、請求項1~のいずれかに記載の人工弁。
【請求項9】
前記弁膜構成体がePTFE複合材を含む、請求項1~のいずれかに記載の人工弁。
【請求項10】
前記ePTFE複合材がペルフルオロメチルビニルエーテル及びテトラフルオロエチレンを含む、請求項に記載の人工弁。
【請求項11】
人工弁であって、
円筒形を画定し、弁膜フレーム内側面と、弁膜フレーム外側面と、弁膜フレーム流入縁とを含む、弁膜フレームであって、前記弁膜フレームが、更に、弁膜フレーム中心軸線と、前記弁膜フレーム中心軸線に沿って延びる複数の弁膜フレーム交連ポストと、を含み、各弁膜フレーム交連ポストが、前記弁膜フレームが複数のポストスロットを含むように、前記交連ポストを通過するポストスロットを画定する、弁膜フレームと、
複数の弁膜と、隣り合う弁膜の間に位置するブリッジ領域と、を備える弁膜構成体であって、各ブリッジが、前記弁膜構成体が複数のブリッジループを画定するようにブリッジループを画定し、各ブリッジループが、前記弁膜構成体が前記複数のポストスロットを通過して延びるように前記弁膜フレーム外側面に隣接して配置され、前記弁膜の各々は折り重ね部分を含み、前記弁膜の各々の前記折り重ね部分は前記弁膜フレームの前記流入縁から前記弁膜フレームの前記外側面まで前記弁膜フレームの周りに巻きつけられている、弁膜構成体と、
外側フレームのベースならびに前記外側フレームのベースから延びおよび前記外側フレームのベースと一体である複数の外側フレーム交連ポストを含む外側フレームであって、各外側フレーム交連ポストが、前記複数のブリッジループの第1ブリッジループ内に配置され、前記外側フレームが、更に、外側フレーム内側面と、外側フレーム外側面と、外側フレーム流入縁と、を含み、前記弁膜フレームが、前記複数の弁膜の各弁膜の前記折り重ね部分が前記外側フレーム内側面と前記弁膜フレーム外側面との間に位置付けられるようにかつ前記弁膜構成体が前記弁膜フレーム流入縁に沿って延びるように、前記外側フレームによって画定された内部領域内に受け入れられる、外側フレームと、
を備える、人工弁。
【請求項12】
前記弁膜フレーム、前記外側フレーム及び前記弁膜構成体が、各々、複数の対応する開口を含み、前記弁膜フレームと前記外側フレームが、前記弁膜フレーム、外側フレーム及び弁膜構成体の隣り合う開口を通り抜けて前記外側フレームを前記弁膜フレームに結合するように作用できる固定構造体によって共に結合される、請求項11に記載の人工弁。
【請求項13】
前記固定構造体が縫合糸である、請求項12に記載の人工弁。
【請求項14】
人工弁を作る方法であって、
複数の弁膜と、隣り合う弁膜の間に位置するブリッジ領域と、を含む弁膜構成体を用意することであって、各弁膜が弁膜折り重ね領域を含む、弁膜構成体を用意することと、
外側フレームのベースならびに前記外側フレームのベースから延びおよび前記外側フレームのベースと一体である複数の外側フレーム交連ポストを含む外側フレームを用意することであって、前記外側フレームが、更に、外側フレーム内側面と、外側フレーム外側面と、外側フレーム流入縁と、環状ショルダとを含み、前記環状ショルダが、前記外側フレーム流入縁に対向して位置するショルダ面を有する、外側フレームを用意することと、
前記ブリッジ領域の各々をブリッジループにするように折ることと、
各外側フレーム交連ポストが複数のブリッジループの1つのブリッジループ内に配置されるように、前記外側フレームの対応する外側フレーム交連ポストの周りに各ブリッジループを配置することと、
前記弁膜の前記折り重ね領域が第1プロファイルを持つように、前記弁膜の前記折り重ね領域を前記外側フレーム内側面に固定することと、
内側面と、外側面と、前記内側面と前記外側面との間に延びる流入縁とを含む弁膜フレームを用意することであって、前記弁膜フレームが、更に、前記外側フレーム交連ポストと合致する複数の弁膜フレーム交連ポストを含み、各弁膜フレーム交連ポストがポストスロットを画定し、前記弁膜の各々は折り重ね部分を含み、前記弁膜の各々の前記折り重ね部分は前記弁膜フレームの前記流入縁から前記弁膜フレームの前記外側面まで前記弁膜フレームの周りに巻きつけられている、弁膜フレームを用意することと、
前記弁膜構成体の隣り合う弁膜が前記弁膜フレーム交連ポストの前記ポストスロットを通過して延びるように、前記外側フレームによって画定された内部領域内に前記弁膜フレームを配置することと、
前記弁膜フレームの弁膜フレーム流入縁が前記弁膜の前記折り重ね領域に異なる第2プロファイルを取らせるように、かつ前記複数の弁膜の各弁膜の前記折り重ね領域が前記外側フレーム内側面と弁膜フレーム外側面との間に位置付けられるように、かつ前記弁膜構成体が前記弁膜フレーム流入縁と前記外側フレームの前記ショルダ面との間に位置付けられるように、前記弁膜フレームを前記外側フレームに固定することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記弁膜フレーム、前記外側フレーム及び前記弁膜の前記折り重ね領域が、各々、複数の開口を含み、前記方法が、更に、前記弁膜フレーム、前記外側フレーム及び前記弁膜の前記折り重ね領域の対応する開口を整列することと、固定構造体を隣り合う開口に通すことと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記固定構造体が縫合糸である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記弁膜フレームが、前記弁膜フレームを前記外側フレームに縫合することによって前記外側フレームに固定される、請求項1416のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記弁膜フレームが、前記弁膜の各々の前記折り重ね部分が前記弁膜フレームの前記流入縁の周りで前記弁膜フレームの前記外側面に折り重ねられるように、前記外側フレームに固定される、請求項14~17のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年10月31日に提出された仮特許出願第62/579763号の利益を主張する2018年9月12日に提出された米国特許出願第16/129685号(その全体が参照により本明細書に援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概略的には人工弁に、具体的には可撓性弁膜式人工心臓弁装置に関する。
【背景技術】
【0003】
弁膜(リーフレット)をフレームに結合するために、個々の弁膜をフレーム(生物学的及び合成)に縫い付けること及び人工弁膜のみの場合にはフレームに重合体を射出成形及び浸漬コーティングすることを含めて多数の製作法が使用されてきた。多くの場合、得られた弁膜は、フレーム上に支持されて、弁膜がフレームに結合される場所である取付け縁とフラップが動けるようにする自由縁とを有するフラップを画定(形成)する。フラップは、流体圧力の影響を受けて動く。作動時に、弁膜は、流入流体圧力が流出流体圧力を上回るとき開放し、流出流体圧力が流入流体圧力を上回るとき閉鎖する。弁膜の自由縁は、流出流体圧力の影響を受けて接合して、弁を閉鎖して、下流血液が弁を通過して逆流するのを防止する。
【0004】
弁膜の開閉の反復的荷重を受ける弁の耐久性は、部分的に、弁膜とフレームとの間の荷重分布に依存する。更に、閉鎖位置のとき弁膜に対してかなりの荷重が生じる。弁膜の機械的故障は、例えば、可撓性弁膜が比較的剛性のフレームによって支持される取付け縁、特に交連ポスト(commissure post)において生じる可能性がある。弁膜開閉の反復的荷重は、部分的には弁膜の材料に応じて、疲労、クリープ又はその他のメカニズムによる材料破損を引き起こす。取付け縁における材料破損は、特に合成弁膜においてよく見られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より耐久性のある可撓性弁膜人工弁が依然として必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施例(「実施例1」)によれば、人工弁は、円筒形を画定(形成)しかつ弁膜フレーム内側面と弁膜フレーム外側面と弁膜フレーム流入縁とを含む弁膜フレームを含む。弁膜フレームは、更に、弁膜フレーム中心軸線と、弁膜フレーム中心軸線に沿って延びる複数の弁膜フレーム交連ポストと、を含み、各弁膜フレーム交連ポストは、弁膜フレームが複数のポストスロットを含むように、交連ポストを通過するポストスロットを画定(形成)する。人工弁は、更に、複数の弁膜と、隣り合う弁膜の間に位置するブリッジ領域と、を備える弁膜構成体を含み、各ブリッジは、弁膜構成体が、複数のブリッジループを画定(形成)するようにブリッジループを画定(形成)し、各ブリッジループは、弁膜構成体が複数のポストスロットを通過して延びるように弁膜フレーム外側面に隣接して配置される。弁膜フレームは、更に、複数の外側フレーム交連ポストを有する外側フレームを含み、各外側フレーム交連ポストは、複数のブリッジループの1つのブリッジループ内に配置される。外側フレームは、更に、外側フレーム内側面と、外側フレーム外側面と、外側フレーム流入縁と、環状ショルダと、を含み、環状ショルダは、外側フレーム流入縁に対向して位置するショルダを有する。弁膜フレームは、弁膜構成体が外側フレーム内側面と弁膜フレーム外側面との間に位置付けられるように、かつ弁膜構成体が弁膜フレーム流入縁と外側フレームのショルダ面との間に位置付けられるように、外側フレームによって形成された内部領域内に受け入れられる。
【0007】
別の実施例(「実施例2」)によれば、実施例1に加えて、外側フレーム交連ポストは、交連ポスト先端を含み、弁膜フレームは、外側フレーム交連ポスト先端と環状ショルダのショルダ面との間に位置付けられる。
【0008】
別の実施例(「実施例3」)によれば、実施例1又は2に加えて、外側フレーム内側面は、第1面と、第1面が第2面の第2直径より大きい第1直径を持つように第1面から半径方向にオフセットされた第2面と、を含み、弁膜フレーム外側面の直径は、外側フレーム内側面の第1面の第1直径より小さく、かつ外側フレーム内側面の第2面の第2直径より大きい。
【0009】
別の実施例(「実施例4」)によれば、実施例1~3のいずれかに加えて、弁膜フレームは、外側フレームの環状ショルダによって支持される。
【0010】
別の実施例(「実施例5」)によれば、実施例1~4のいずれかに加えて、弁膜の各々は、折り重ね部分を含み、弁膜の各々の折り重ね部分は、弁膜フレームの流入縁の周りで弁膜フレームの外側面に折り重ねられる。
【0011】
別の実施例(「実施例6」)によれば、実施例1~5のいずれかに加えて、弁膜フレームは、外側フレームに結合される。
【0012】
別の実施例(「実施例7」)によれば、実施例6に加えて、弁膜フレーム、外側フレーム及び弁膜構成体は、各々、複数の対応する開口を含み、弁膜フレームと外側フレームは、弁膜フレーム、外側フレーム及び弁膜構成体の隣り合う開口を通り抜けて外側フレームを弁膜フレームに結合するように作用できる固定構造体によって共に結合される。
【0013】
別の実施例に(「実施例8」)によれば、実施例1~7のいずれかに加えて、固定構造体は縫合糸である。
【0014】
別の実施例(「実施例9」)によれば、実施例1~8のいずれかに加えて、人工弁は、更に、外側フレームに結合されたソーイングカフを含む。
【0015】
別の実施例(「実施例10」)によれば、実施例1~9のいずれかに加えて、弁膜構成体は、ePTFE複合材を含む。
【0016】
別の実施例(「実施例11」)によれば、実施例9に加えて、ePTFE複合材は、ペルフルオロメチルビニルエーテル及びテトラフルオロエチレンを含む。
【0017】
別の実施例(「実施例12」)によれば、人工弁は、円筒形を画定(形成)しかつ弁膜フレーム内側面と弁膜フレーム外側面と弁膜フレーム流入縁とを含む弁膜フレームを含み、弁膜フレームは、更に、弁膜フレーム中心軸線と弁膜フレーム中心軸線に沿って延びる複数の弁膜フレーム交連ポストとを含み、各弁膜フレーム交連ポストは、弁膜フレームが複数のポストスロットを含むように、交連ポストを通過するポストスロットを画定(形成)する。人工弁は、弁膜構成体を含み、弁膜構成体は、複数の弁膜と、隣り合う弁膜間に位置するブリッジ領域とを備え、各ブリッジは、弁膜構成体が複数のブリッジループを画定(形成)するようにブリッジループを画定(形成)し、各ブリッジループは、弁膜構成体が複数のポストスロットを通過して延びるように弁膜フレーム外側面に隣接して位置する。人工弁は、また、外側フレームを備え、外側フレームは、複数の外側フレーム交連ポストを含み、各外側フレーム交連ポストは、複数のブリッジループの第1ブリッジループ内に配置される。外側フレームは、更に、外側フレーム内側面と、外側フレーム外側面と、外側フレーム流入縁とを含み、弁膜フレームは、弁膜構成体が外側フレーム内側面と弁膜フレーム外側面との間に位置付けられるようにかつ弁膜構成体が弁膜フレーム流入縁に沿って延びるように外側フレームによって画定(形成)された内部領域内に受け入れられる。
【0018】
別の実施例(「実施例13」)によれば、実施例12に加えて、弁膜の各々は折り重ね部分を含み、弁膜の各々の折り重ね部分は、弁膜フレームの流入縁の周りで弁膜フレーム外側面に折り重ねられる。
【0019】
別の実施例(「実施例14」)によれば、実施例12又は13に加えて、弁膜フレーム、外側フレーム及び弁膜構成体は、各々、複数の対応する開口を含み、弁膜フレームと外側フレームは、弁膜フレーム、外側フレーム及び弁膜構成体の隣り合う開口を通り抜けて外側フレームを弁膜フレームに結合するように作用できる固定構造体によって共に結合される。
【0020】
別の実施例(「実施例15」)によれば、実施例14に加えて、固定構造体は縫合糸である。
【0021】
別の実施例(「実施例16」)によれば、人工弁を作る方法は、複数の弁膜と隣り合う弁膜の間に位置するブリッジ領域とを含む弁膜構成体を用意することを含み、各弁膜は、弁膜折り重ね領域を含む。方法は、更に、複数の外側フレーム交連ポストを含む外側フレームを用意することを含み、外側フレームは、更に、外側フレーム内側面と、外側フレーム外側面と、外側フレーム流入縁と、環状ショルダとを含み、環状ショルダは、外側フレーム流入縁に対向して位置するショルダ面を有する。方法は、更に、ブリッジ領域の各々を折り曲げてブリッジループにして、各外側フレーム交連ポストが複数のブリッジループのブリッジループ内に配置されるように外側フレームの対応する外側フレーム交連ポストの周りに各ブリッジループを配置することと、を含む。方法は、更に、弁膜の折り重ね領域が第1プロファイルを持つように弁膜の折り重ね領域を外側フレーム内側面に固定することと、内側面と、外側面と、内側面と外側面との間に延びる流入縁とを含む弁膜フレームを用意することであって、弁膜フレームが、更に外側フレーム交連ポストと合致する複数の弁膜フレーム交連ポストを含み、各弁膜フレーム交連ポストがポストスロットを形成する、用意することと、を含む。方法は、更に、弁膜構成体の隣り合う弁膜が弁膜フレーム交連ポストのポストスロットを通過して延びるように外側フレームによって画定(形成)された内部領域内に弁膜フレームを配置することと、弁膜フレームの弁膜フレーム流入縁が弁膜の折り重ね領域が第2の異なるプロファイルを持つようにしかつ複数の弁膜の各弁膜の折り返し領域が外側フレーム内側面と弁膜フレーム外側面との間に位置付けられるようにかつ弁膜構成体が弁膜フレーム流入縁と外側フレームのショルダ面との間に位置付けられるように、弁膜フレームを外側フレームに固定することと、を含む。
【0022】
別の実施例(「実施例17」)によれば、実施例16に加えて、方法は、固定構造体を介して弁膜フレームを外側フレームに固定することを含む。
【0023】
別の実施例(「実施例18)によれば、実施例16又は17に加えて、方法は、弁膜フレームを外側フレームに縫合することによって弁膜フレームを外側フレームに固定することを含む。
【0024】
別の実施例(「実施例19」)によれば、実施例16~18のいずれかに加えて、弁膜フレーム、外側フレーム及び弁膜の折り重ね領域は、各々、複数の開口を含み、方法は、更に、弁膜フレーム、外側フレーム及び弁膜の折り重ね領域の対応する開口を整列することと、固定構造体を隣り合う開口に通すことと、を含む。
【0025】
別の実施例(「実施例20」)によれば、実施例16~19のいずれかに加えて、弁膜フレームは、弁膜の各々の折り重ね部分が弁膜フレームの流入縁の周りで弁膜フレームの外側面に折り重ねられるように、外側フレームに固定される。
【0026】
別の実施例(「実施例21」)によれば、不全の自然の心臓弁を治療する方法は、実施例1~15のいずれかに従った人工弁を外科的に埋植することを含む。
【0027】
複数の実施形態について開示するが、例示的な実施形態を説明する下記の詳細な説明から、当業者には他の実施形態が明らかになるだろう。したがって、図面及び詳細な説明は、限定的ではなく例示的なものとみなすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
添付図面は、本開示を更に理解するためのものであり、本明細書に援用され、その一部を構成し、本明細書において説明する実施形態を図解し、説明と一緒に、本開示において論じる原則を説明するのに役立つ。
【0029】
図1A図1Aは、1つの実施形態に従った人工心臓弁の流出側斜視図である。
【0030】
図1B図1Bは、図1Aの弁の実施形態の流入側斜視図である。
【0031】
図2図2は、図1Aの弁の実施形態の弁膜フレーム組立体の斜視図である。
【0032】
図3図3は、弁の1つの実施形態の弁膜フレーム、保持要素、弁膜構成体及びベースフレームの側面分解図である。
【0033】
図4図4は、1つの実施形態に従った、平らに広げられた図3の弁の実施形態の図である。
【0034】
図5A図5Aは、図2の実施形態に従った、ブリッジループに形成されたブリッジ領域の斜視図である。
【0035】
図5B図5Bは、図2の実施形態に従った、ブリッジループに形成され保持要素を収容するブリッジ領域の斜視図である。
【0036】
図6図6は、図7の実施形態のブリッジ領域の前面図である。
【0037】
図7図7は、図1Aの弁の実施形態に従った、弁膜フレーム組立体及びベースフレームの斜視図である。
【0038】
図8図8は、別の実施形態に従った、角度αの折り線を示すブリッジ領域の側面図である。
【0039】
図9図9は、いくつかの実施形態に従った、平らに広げた弁膜構成体の図である。
【0040】
図10A図10Aは、いくつかの実施形態に従った、人工心臓弁の流出側斜視図である。
【0041】
図10B図10Bは、いくつかの実施形態に従った、図10Aの人工心臓弁の側面図である。
【0042】
図10C図10Cは、いくつかの実施形態に従った、図10Aの人工心臓弁の流出側の上面図である。
【0043】
図10D図10Dは、図10Bの線10D-10Dに沿って見た人工心臓弁の断面図である。
【0044】
図10E図10Eは、図10Cの線10E-10Eに沿って見た人工心臓弁の断面図である。
【0045】
図11A図11Aは、いくつかの実施形態に従った、人工心臓弁の流出側斜視図である。
【0046】
図11B図11Bは、いくつかの実施形態に従った、図11Aの人工心臓弁の側面図である。
【0047】
図11C図11Cは、いくつかの実施形態に従った、図11Aの人工心臓弁の流出側の上面図である。
【0048】
図11D図11Dは、図11Bの線11D-11Dに沿って見た人工心臓弁の断面図である。
【0049】
図11E図11Eは、図11Cの線11E-11Eに沿って見た人工心臓弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本開示の様々な形態は、意図される機能を果たすように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることが、当業者には容易に分かるはずである。言い換えれば、意図される機能を果たすために、他の方法及び装置を、本明細書に組み込むことができる。又、本明細書において参照する添付図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本開示の様々な形態を図解するために誇張する場合があり、その点で、図面は、限定的なものとして解釈されるべきではないことが分かるはずである。
【0051】
本明細書において、様々な原則及び確信に関連して実施形態を説明するが、説明する実施形態は、理論に束縛されるべきではない。例えば、実施形態は、本明細書において、人工弁に関連して、より具体的には人工心臓弁に関連して説明する。しかし、本開示の範囲内の実施形態は、静脈、動脈、大動脈及び僧帽弁を含めて、同様の構造及び/又は機能を持つ任意の弁又は機構に応用できる。更に、本開示の範囲内の実施形態は、心臓に関わらない用途に応用できる。
【0052】
本明細書において人工弁に関して「弁膜」が使用される場合、一方向弁の可撓性成分であり、弁膜は、圧力差の影響を受けて開放位置と閉鎖位置との間を移動するように作用できる。開放位置のとき、弁膜は、弁を通過して血液が流動できようにする。閉鎖位置のとき、弁膜は、弁を通過する逆流を実質的に遮断する。複数の弁膜を備える実施形態において、各弁膜は、少なくとも1つの隣接する弁膜と協働して、血液の逆流を遮断する。血液における圧力差は、例えば、心室又は心房の収縮によって生じ、このような圧力差は、典型的には、弁膜が閉鎖したとき弁膜の一方の側において流体圧力が増大することによって生じる。弁の流入側の圧力が弁の流出側の圧力より上に上がるとき、弁膜は開放し、血液は弁を通過して流れる。血液が弁を通過して隣接する房室又は血管の中へ流れると、流入側の圧力は流出側の圧力と等しくなる。弁の流出側の圧力が弁の流入側の血液の圧力より上に上がると、弁膜は閉鎖位置へ戻って、弁を通過する逆流を概ね防止する。
【0053】
「膜」は、本明細書において使用される場合、延伸フッ素重合体など(但し、これに限定されない)の単一の材料を含むシートを意味する。「生体適合性材料」は、本明細書において使用される場合、総称的に、生体適合性重合体などの(但しこれに限定されない)の合成材又はウシの心膜などの(但し、これに限定されない)生物学的材料を含めて生体適合性を持つ任意の材料を意味する。
【0054】
「生来の弁孔及び組織孔」は、人工弁を配置できる解剖学的構造を意味する。このような解剖学的構造は、心臓弁が外科的に取り除かれた場所又は取り除かれていない場所を含むが、これに限定されない。人工弁を受け入れできる他の解剖学的構造は、静脈、動脈、導管、シャントを含むが、これに限定されない。更に、弁孔又はインプラント部位は、弁を受け入れることができる合成又は生物学的導管の中の場所を意味できることが分かるはずである。
【0055】
本明細書において使用される場合、「結合」は、直接的か間接的かに関わりなくかつ永久的か一時的かに関わりなく、接合、接続、取付け、付着、張付け又は接着することを意味する。
【0056】
本明細書の実施形態は、心臓弁置換など(但し、これに限定されない)のための人工弁のため様々な装置、システム及び方法を含む。弁は、一方向弁として作動可能であり、弁は弁孔を画定(形成)し、流体圧力差に反応して、弁膜が開いて弁孔の中への流れを可能にし、弁膜が閉鎖して弁孔を閉塞して流れを防止する。
【0057】
図1A及び1Bは、それぞれ、1つの実施形態に従った人工心臓弁の形式の弁100の流出側及び流入側の斜視図である。図1A及び1Bに示される弁100の構成成分は、3つの可撓性弁膜310と、様々な材料で被覆されている3つの交連ポスト210を含む弁膜フレーム200と、様々な材料で被覆されているベースフレーム500と、ソーイングカフ(又は縫合カフ)600と、を含む。いくつかの実施例において、弁膜310の弁膜自由縁312は、接合領域316にY字形に(上から見たとき)集まって、弁100を閉鎖する。いくつかの他の実施例において、弁膜310は、それに加えて又はその代わりに、接合領域において三重点348に集まる。このように、弁100は、流出側(図1A)の血液の圧力が弁の流入側(図1B)の血液の圧力より大きいときに閉じる。弁膜310の弁膜自由縁312は、弁100の流入側の血液の圧力が弁100の流出側の圧力より大きいとき、図1Bに示すように離間して弁100を開放して、流入側から弁100を通過して血液が流れるようにする。
【0058】
図2~5Bは、1つの実施形態に従った、弁100に含まれる各種構成成分を示す。
【0059】
図2は、1つの実施形態に従った弁膜フレーム組立体234の斜視図であり、図3は、その分解図であり、図4は、弁構成成分の要素をより良く図解するために、環状成分を長手方向にカットして開いて置いた分解図である。弁膜フレーム組立体234は、弁膜フレーム200と、弁膜構成体300と、複数の保持要素400と、を備える。
【0060】
弁膜フレーム
弁膜フレーム200は、弁膜構成体300を保持し支持するように作用できる。弁膜フレーム200は、環状であり、軸線xと概ね軸線xに沿って延びる複数の交連ポスト210とを有する円筒形を形成する。いくつかの実施例において、複数の交連ポスト210は、軸線xに対して平行に延びる。いくつかの実施例において、複数の交連ポスト210は、相互に離間する。いくつかの実施例において、交連ポストは、弁膜フレーム200の周りに均等に配分される。様々な実施形態において、各交連ポスト210は、これを通過するポストスロット217を形成し、ポストスロットは、軸線xに対して平行に整列する。交連ポスト210の間には、弁膜自由縁312を除いて弁膜310の周囲の周りで弁膜310に結合しこれを支持するように作用できる弁膜ウィンドウ222が在る。
【0061】
弁膜フレーム200は、弁膜フレーム内側面202と、弁膜フレーム内側面202の反対側の弁膜フレーム外側面204と、を有する円筒形を形成する。弁膜フレーム200は、更に、複数の交連ポスト210を形成する。各交連ポスト210は、ポスト外側面212と、ポスト外側面212の反対側のポスト内側面214と、を有する。交連ポスト210は、間に在るポストスロット217によって分離される第1ポスト脚216と第2ポスト脚218によって形成される。交連先端219は、第1ポスト脚216と第2ポスト脚218を結合する。
【0062】
1つの実施形態によれば、弁膜フレーム200は、図2及び3に示すように、弁100の中心長手軸線Xの周りで環状である。弁膜フレーム200は、弁膜310の形状に従った複数の弁膜ウィンドウ222を形成する。1つの実施形態によれば、弁膜ウィンドウ222の各々は、二等辺台形の3つの辺を形成する2つの弁膜ウィンドウ側面223と弁膜ウィンドウ底面225とを含み、弁膜ウィンドウ底面225は、実質的に平坦である。弁膜底辺325は、弁膜ウィンドウ底面225に結合され、2つの弁膜側辺323の各々は、2つの弁膜ウィンドウ側面223の各々に結合される。隣り合う弁膜ウィンドウ側面223は、隣り合う弁膜ウィンドウ側面223から延びて交連先端219で交わる第1ポスト脚216と第2ポスト脚218とを備える交連ポスト210によって相互接続される。交連ポスト210は、弁膜フレーム200の周りで相互に均等に間隔を置く(又は均等に配分される)が、均等の分配は要求されない。第1ポスト脚216と第2ポスト脚218は、その間にポストスロット217を形成する。
【0063】
弁膜フレーム200は、特に、エッチング、カット、レーザーカット、スタンピング、三次元プリントで環状構造体に加工するか、又は材料シートに加工して、シートをその後環状構造体に形成できる。
【0064】
弁膜フレーム200は、概して生体適合性の任意の弾性変形可能な金属又は重合体材料など(但し、これに限定されない)を含むことができる。弁膜フレーム200は、ニチノール、ニッケルチタン合金などの形状記憶材料を含むことができる。弁膜フレーム200に適する他の材料は、他のチタン合金、ステンレス鋼、コバルトニッケル合金、ポリプロピレン、アセチルホモポリマー、アセチル共重合体、その他の合金又は重合体など(但し、これらに限定されない)又は概して生体適合性で本明細書において説明するように弁膜フレーム200として機能するために適する物理的及び機械的特性を有する他の任意の材料を含む。
【0065】
弁膜構成体
弁膜構成体300は、弁膜310と弁膜310を弁膜フレーム200に結合するための構造体とを備える弁100の部分である。1つの実施形態によれば、弁膜構成体300は、複数の弁膜310と弁膜310の各々の間のブリッジ領域330とを形成する連続的環状リングを形成する。本明細書において使用される場合、「連続的」は、中断又はシームのない即ちシームレスであることを意味する。各ブリッジ領域は、第1弁膜310に隣接するブリッジ第1端332と、第2弁膜310に隣接するブリッジ第2端334とを形成する。弁膜は、弁膜フレーム200に結合されると、弁膜フレーム200から半径方向内向きに延びる。弁膜310の各々は、折り返されて弁膜フレーム200の弁膜フレーム外側面204に当接してこれに結合される折り重ね部分324を形成する。ブリッジ領域330の各々は、ブリッジループ338を画定(形成)し、ブリッジループ338とこれに隣接する弁膜310との間に接合ネック(cooptation neck)340を有する。接合ネック340は、ブリッジループ338が弁膜フレーム200の外側部分に隣接しかつ弁膜310が弁膜フレーム200から半径方向内向きに延びるように、ポストスロット217の1つを通り抜けるように作用できる。
【0066】
可撓性弁膜310を備える弁膜構成体300は、重合体で作ることができる。例えば、予備成形重合体弁膜は、図3及び4に示すような形状にカットされた重合体材料の円筒形から作ることができる。
【0067】
弁膜構成体300は、図3及び4に示すような形状にカットされた重合体材料のシートから作ることができ、その後、結合して環状形にできる。但し、シームを有する弁膜構成体300は、より高い引張強さを示すことができる連続的なシームレス構成体の利点を持たない可能性がある。それでも、保持要素400によって与えられる利点を実現できる。
【0068】
弁膜構成体300を形成できる別の様式(このように形成するために適する弁膜の材料を使用すると仮定して)は、圧縮又は射出成形である。
【0069】
図1Aに示す実施形態によれば、各弁膜310は、折り目326において、2つの弁膜ウィンドウ側面223及び弁膜ウィンドウ底面225に対応する、2つの弁膜側辺323と、弁膜底辺325と、弁膜底辺325に対向する弁膜自由縁312と、を有する実質的に二等辺台形の形状を有する。2つの弁膜側辺323は、弁膜底辺325から分散し、弁膜底辺325は実質的に平坦である。
【0070】
図1Aに示すような弁100の他の実施形態によれば、各弁膜310は、中央領域329と、中央領域329の両側の2つの側領域328と、を含む。中央領域329は、実質的に2つの中央領域側辺327、弁膜底辺325及び弁膜自由縁312によって画定された二等辺台形の形状によって画定される。側領域328の各々は、実質的に三角形の形状を持ち、各々が、中央領域側辺327の1つと、弁膜側辺323の1つと弁膜自由縁312とによって画定される。
【0071】
別の実施形態によれば、弁膜ウィンドウは、U字形(例えば、放物線形)を持つものとして説明できる。弁膜フレームは、概して、弁膜フレームの周りに環状に複数のU字形部分を形成して、複数の交連ポストと複数の弁膜ウィンドウフレーム部分とを画定(形成)する。
【0072】
図4に示すように、弁膜310の各々は、弁膜ベリー部分322と、折り重ね部分324とを有する。各弁膜310の弁膜ベリー部分322は、完成し埋植された弁100において、弁膜310の作動部分である。各弁膜310の折り重ね部分324は、弁膜310を弁膜フレーム200の2つの弁膜ウィンドウ側面223及び弁膜ウィンドウ底面225に固定するために使用される部分である。弁膜フレーム200の各弁膜ウィンドウ側面223及び弁膜ウィンドウ底面225は、図2に示すように、弁膜310の弁膜ベリー部分322と弁膜側辺323及び弁膜底辺325のそれぞれ1つの折り重ね部分324との間に形成される折り目326に当て嵌まる。各弁膜310の弁膜ベリー部分322は、3つの弁膜ベリー部分322の弁膜自由縁312が弁100の内部で寄り集まって又は接合して、図1に示すように弁100を閉鎖するのに充分な材料を、弁膜フレーム200の交連ポスト210の間に含む。
【0073】
弁膜310の各々の間には、図4、5A、5B及び8に示すように、ブリッジ領域330がある。ブリッジ領域330は、図5A、5B、6及び8に示すように、概ね長方形を有し、その中に保持要素400を収容するように2つのループ折り線336で折り曲がるブリッジループ338に形成されるように作用できる。環状弁膜フレーム200は湾曲するので、2つのループ折り線336は、角度αを形成し、これは、1つの実施形態によれば、図6に示すように保持要素の側面402に合致する。
【0074】
弁膜310の形状は、部分的に弁膜フレーム200及び弁膜自由縁312の形状によって画定される。弁膜310の形状は、下で説明するものなど(但し、これに限定されない)の弁100を製造するために使用される構造及び工程などによって画定することもできる。例えば、1つの実施形態によれば、弁膜310の形状は、部分的に、弁膜310に予め決められた形状を与えるための成形及び切り揃え工程を使用する弁膜310の成形に依存する。
【0075】
弁膜310は、概略的に、弁膜310が開閉するとき、U字形部分の弁膜ウィンドウ底面225の周りの弁膜底辺325の周りで屈曲する。1つの実施形態において、弁100が閉鎖するとき、各弁膜自由縁312のほぼ半分は、図1Aに示すように、隣接する弁膜310の弁膜自由縁312の隣接する半分と当接する。図1Aの実施形態の3つの弁膜310は、三重点348で交わる。弁孔150は、弁膜310が閉鎖位置にあるとき閉塞されて、流体の流れを止める。
【0076】
弁膜構成体材料
本明細書において開示する弁膜構成体(例えば、300)は、生体適合性重合体(例えば、合成)及び生物学的組織(例えば、動物由来)などの充分な従動性(compliant)及び可撓性を持つ任意の生体適合性材料を含むことができる。例えば、様々な実施例において、弁膜構成体(例えば、300)は、生体適合性合成材料(例えば、ePTFE及びePTFE複合体又はその他の望ましい材料)で形成される。1つの実施形態において、複合材料は、例えば、概して、米国特許第7306729号(Bacino)明細書において説明されるような多孔質ePTFE膜から作られた延伸フッ素重合体材料を含む。他の実施例において、弁膜構成体(例えば、300)は、ウシの組織、ブタの組織又はこれに類似するものを含めて再利用組織などの天然の材料で形成される。
【0077】
延伸フッ素重合体材料を形成するために使用される延伸可能なフッ素重合体は、PTFEホモポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、PTFEのブレンド、延伸可能な変性PTFE及び/又はPTFEの延伸共重合体を使用できる。適切なフッ素重合体の非限定的例については、例えば、米国特許第5708044号(Branca)明細書、米国特許第6541589号(Baillie)明細書、米国特許第7531611号(Sabol他)明細書、米国特許出願第11/906877号(Ford)明細書及び米国特許出願第12/410050号(Xu他)明細書において説明される。延伸フッ素重合体膜は、所望の弁膜機能を得るために、気孔などの任意の適切な微小構造を含むことができる。弁膜構成体(例えば、300)に使用するために適することができる他の生体適合性重合体は、ウレタン、シリコーン(有機ポリシロキサン)、シリコン-ウレタン共重合体、スチレン/イソブチレン共重合体、ポリイソブチレン、ポリエチレンコポリ(酢酸ビニル)、ポリエステル共重合体、ナイロン共重合体、フッ化炭化水素重合体及びこれらの各々の共重合体又は混合物の群を含むが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書において使用する場合、「エラストマー」は、その元来の長さの少なくとも1.3倍まで伸張されて、解除されたとき急速にほぼその元来の長さまで収縮する能力を持つ重合体又は重合体の混合物を意味する。「エラストマー系材料」は、エラストマーと同様の伸張及び回復特性を発揮するが、必ずしも同じ程度の伸張及び/又は回復を示さない重合体又は重合体の混合物を意味する。「非エラストマー系材料」は、エラストマー又はエラストマー系材料のいずれとも同様ではない即ちエラストマー又はエラストマー系材料と考えられない、伸張及び回復特性を示す重合体又は重合体の混合物を意味する。
【0079】
本明細書において論じるいくつかの実施形態によれば、弁膜構成体(例えば、300)は、複数の気孔及び/又は空間を有する少なくとも1つの多孔質合成重合体膜層と、少なくとも1つの合成重合体膜層の気孔及び/又は空間を充填するエラストマー及び/又はエラストマー系材料及び/又は非エラストマー系材料と、を有する複合材料を含む。他の実施例によれば、弁膜構成体(例えば、300)は、更に、複合材料上にエラストマー及び/又はエラストマー系材料及び/又は非エラストマー系材料の層を備える。いくつかの実施例によれば、複合材料は、約10%~90%(重量)の範囲の多孔質合成重合体膜を含む。
【0080】
多孔質合成重合体膜の例は、気孔及び/又は空間を画定(形成)するノード-フィブリル構造を有する延伸フッ素重合体膜を含む。いくつかの実施例において、延伸フッ素重合体膜は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜である。多孔質合成重合体膜の別の例は、微小多孔質ポリエチレン膜を含む。
【0081】
エラストマー及び/又はエラストマー系材料及び/又は非エラストマー系材料の例は、テトラフルオロエチレンとペルフルオロメチルビニルエーテルの共重合体(TFE/PMVE共重合体)、(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、ウレタン、シリコーン(有機ポリシロキサン)、シリコン-ウレタン共重合体、スチレン/イソブチレン共重合体、ポリイソブチレン、ポリエチレンコポリ(酢酸ビニル)、ポリエステル共重合体、ナイロン共重合体、フッ化炭化水素重合体及びこれらの各々の共重合体又は混合物を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、TFE/PMVE共重合体は、60~20重量パーセントのテトラフルオロエチレンとそれぞれ40~80重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルとを本質的に含むエラストマーである。いくつかの実施例において、TFE/PMVE共重合体は、67~61重量パーセントのテトラフルオロエチレンとそれぞれ33~39重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルとを本質的に含むエラストマー系材料である。いくつかの実施例において、TFE/PMVE共重合体は、73~68重量パーセントのテトラフルオロエチレンとそれぞれ27~32重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルとを本質的に含む非エラストマー系材料である。TFE-PMVE共重合体のTFE及びPMVE構成成分は、重量%で示す。参考のために、PMVEの40、33~39及び27~32のWt%は、それぞれ29、23~28及び18~22のモル%に該当する。
【0082】
いくつかの実施例において、TFE-PMVE共重合体は、エラストマー、エラストマー系及び/非エラストマー系特性を提示する。
【0083】
いくつかの実施例において、複合材料は、更に、約73~約68重量パーセントのテトラフルオロエチレンと約27~約32重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルとを含むTFE-PMVE共重合体の層又はコーティングを含む。
【0084】
いくつかの実施例において、弁膜構成体は、約60~約20重量パーセントのテトラフルオロエチレンとそれぞれ約40~約80重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルとを含むTFE-PMVEを吸収した延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜であり、弁膜構成体は、更に、血液接触面の上に約73~約68重量パーセントのテトラフルオロエチレンとそれぞれ約27~約32重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むTFE-PMVE共重合体のコーティングを含む。
【0085】
上述のように、エラストマー及び/又はエラストマー系材料及び/又は非エラストマー系材料は、エラストマー及び/又はエラストマー系材料及び/又は非エラストマー系材料が延伸フッ素重合体膜内の空隙又は気孔の実質的に全てを占めるように、延伸フッ素重合体膜と組み合わせできる。
【0086】
保持要素
保持要素400は、弁膜構成体300のブリッジ領域330によって形成されたブリッジループ338内に配置されるように作用できる要素であり、ブリッジループ338がポストスロット217を効果的に通り抜けないようにするので、弁膜構成体300は、ポスト外側面において交連ポストに機械的に結合される。保持要素400は、ポストスロット217の幅より大きい幅を有する。保持要素400がブリッジループ338の中に配置されると、ブリッジループ338が、ポストスロット217を通り抜けるのを防止する。ブリッジループ338のサイズは、縫合糸が緩んだり破損した場合に、ブリッジ領域330の一部分がポストスロット217を通過して弁孔150まで延びるのを防止するために、保持要素400のサイズに近く相当(合致)すべきである。
【0087】
1つの実施形態によれば、保持要素400は、交連ポスト210のポスト外側面212において低プロファイルであるように、比較的平坦な概ね長方形を画定(形成)する。環状弁膜フレーム200は湾曲するので、保持要素400の側面は、1つの実施形態によれば、図8に示すように角度αを形成する2本のループ折り線336に相当(合致)する角度で形成される。
【0088】
実施形態によれば、保持要素400は、平坦、比較的平坦又は保持要素400が隣接する交連ポスト210の半径方向外向きの凸面に相当(合致)するように内面において(弁の中心に向かって)凹面とすることができる。各保持要素400は、交連ポスト開口209と整列する複数の保持要素開口408を有し、保持要素400は、間にブリッジ領域330の一部分を挟んで交連ポスト210のポスト外側面212に当てて配置される。縫合糸700など(但し、これに限定されない)の固定構造体は、保持要素400を交連ポスト210に結合するために使用できる。縫合糸は、特にPTFE、PET及びナイロンなど、任意の適切な材料とすることができる。縫合糸700を含むステッチは、前記の整列した交連ポスト開口209及び保持要素開口408及びブリッジ領域330を通り抜けて、各保持要素400及びブリッジ領域330を交連ポスト210に保持できる。この縫合糸700の一部又は全部は、弁膜310の折り重ね部分324を通り抜けることができる。この場合、この縫合糸700は、弁膜310の弁膜ベリー部分322を弁膜フレーム200に固定するのに役立つ。
【0089】
保持要素400に適する材料の例は、チタン、エルジロイ、MP35N、ステンレス鋼、ニチノールなどの様々な生体適合性合金及びアセチル重合体、PTFE及びPEEKなどの様々な生体適合性エンジニアリングプラスチックを含む。
【0090】
弁膜フレーム組立体
弁膜フレーム組立体234は、弁膜フレーム200と弁膜構成体300と保持要素400の組立体である。弁膜構成体300は、弁膜310と、弁膜310を弁膜フレーム200に結合するための構造体と、を含む弁100の部分である。1つの実施形態によれば、弁膜構成体300は、複数の弁膜310及び弁膜310の各々の間のブリッジ領域330を画定(形成)する連続的円筒形を画定(形成)する。各ブリッジ領域は、第1弁膜310に隣接するブリッジ第1端332及び第2弁膜310に隣接するブリッジ第2端334を画定(形成)する。弁膜は、弁膜フレーム200に結合されると、弁膜フレーム200から半径方向内向きに延びる。弁膜310の各々は、弁膜フレーム200の弁膜フレーム外側面204に折り重ねられてこれに当接して、縫合糸、接着剤、熱接着又はその他の手段など(但し、これらに限定されない)の固定構造体で弁膜フレーム外側面に結合される折り重ね部分324を画定(形成)する。ブリッジ領域330の各々は、ブリッジループ338とこれに隣接する弁膜310との間に接合ネック340を持つブリッジループ338を画定(形成)する。接合ネック340は、ブリッジループ338が弁膜フレーム200の外側部分に隣接しかつ弁膜310が弁膜フレーム200から半径方向内向きに延びるように、ポストスロット217の1つを通り抜けるように作用できる。保持要素400は、ブリッジループ338内に配置されて、ブリッジループ338がポストスロット217を通り抜けるのを効果的に防止する。保持要素400は、縫合糸、接着剤、熱接着又はその他の手段などによって交連ポスト210に結合できる。弁膜310の各々の折り重ね部分324は、弁膜フレーム200の流入縁の周りで折り返されて、縫合糸、接着剤、熱接着又はその他の手段などで弁膜フレームに結合される。
【0091】
1つの実施形態によれば、各ブリッジ領域330は、保持要素外側面412の周りに保持要素400の1つの保持要素内側面414まで巻かれて、ブリッジ第1端332は、第1方向から保持要素内側面414を横切って保持要素400を垂直に二分する分割線416近くまで巻かれ、ブリッジ第2端334は、反対方向から保持要素内側面414を横切って分割線416近くまで巻かれる。ブリッジ第1端332とブリッジ第2端334は、相互に隣接して、接合ネック340を形成する。
【0092】
1つの実施形態によれば、弁膜フレーム組立体234は、生来の組織環状体に結合するための手段を備え、弁膜フレーム組立体234は、人工心臓弁100である。1つの実施形態において、ソーイングカフ600は、弁膜フレーム組立体234に結合され、ソーイングカフは、生来の組織環状体に縫合されるように作用できる。別の実施形態において、ソーイングカフ600を備えるベースフレーム500は、弁膜フレーム組立体234に結合される。
【0093】
本明細書において提示するいくつかの実施形態の利点の考えられる1つの特徴付けは、ブリッジ領域330が連続的部材即ちシーム又は中断のない部材であることの効果である。ポストスロット217を通過してブリッジ領域330を引っ張る又は引き出す傾向を持つ力は、ブリッジ領域330が備える材料の引張強さによって対抗される。使用時の弁膜310に対する力は、交連ポスト210において最大であり、弁膜310を交連ポスト210から引き離す傾向を持つ。これらの実施形態によれば、交連ポスト210における弁膜フレーム200への弁膜構成体300の結合は、単に縫合糸700に依存するだけでなく、ブリッジ領域330がポストスロット217を通り抜けるのを防止する保持要素400にも依存する。縫合糸は、概して、時間の経過とともに特に高応力の領域において緩んで機能を果たさなくなる傾向があることが分かるはずである。このような実施形態においては、ブリッジ領域330を交連ポスト210に結合する縫合糸700は、緩んだり機能を果たさなくなる可能性があるが、保持要素400は、ブリッジ領域330がポストスロット217を通り抜けるのを引き続き防止して、弁100の故障を防止する。
【0094】
更に、保持要素400は、弁100の作動時に、ブリッジ領域330の一部分と交連ポスト210のポスト外側面212との間に締付け力を与える。この締付け力は、保持要素400がポストスロット217より大きい結果得られるものであり、ブリッジ領域330がポストスロット217を取り抜けるのを防止する。締付け力は、縫合糸700の強さ又はブリッジ領域330及び交連ポスト210に対する縫合糸の引張力に依存しない。
【0095】
この締付け力は、ブリッジ領域330上に力を配分でき、縫合糸700及び開口999に加えられる可能性のあるピーク応力を減少できる。更に、締付け力は、弁膜310を弁膜フレーム200に縫い付けることだけに依存せずに、弁膜310から弁膜フレーム200への力の一次的伝達方法となる。更に、2つのループ折り線336の角度αは、ブリッジループ338とこれに隣接する弁膜310との間の接合ネック340全体に実質的に均等に応力を分布できるようにして、接合ネック340におけるピーク応力を減少する。
【0096】
これらの実施形態によれば、弁膜310は、図5に示すように弁膜フレーム200から直角に延びる。弁膜310は、ポスト内側面214に対して直角を成す方向にポストスロット217から延びる。したがって、弁膜310は、閉鎖位置へ向かって付勢(バイアス)を示す。これは、弁100が、血液が減速又は逆転する心臓周期のフェーズの間により早く閉鎖する傾向がある点で有利である。より早い閉鎖は、弁100を通過する逆流を減少する傾向がある。
【0097】
設計及び製造工程(様々な構成成分及びこれらの成分の組立て法を含めて)は、荷重をより均等に配分することによって弁膜フレーム-弁膜接合部における応力集中の可能性を大幅に減少する。これらの設計及び製造工程の形態は、(1)広範囲の骨の折れる縫合の負担を減少し、(2)弁の製造結果の一貫性を増し、(3)以上の要因の全ての結果として弁の耐用年数を増大する。
【0098】
縫合糸の代わりに又はそれに加えて、弁膜フレーム200と弁膜構成体の折り重ね部分324との間に化学的結合剤及び/又は接着剤を使用できる。
【0099】
ブリッジ領域330は、多様な様式でポストスロット217に通される。1つの実施形態によれば、ブリッジ領域330は、ポストスロット217を通過して弁膜フレーム内側面202から弁膜フレーム外側面204へ通される狭いブリッジループ338に形成される。保持要素400は、その後ブリッジループ338の中へ挿入されて、ブリッジループ338がポストスロット217を通過して戻るのを防止する。
【0100】
実施形態によれば、弁膜フレーム200、弁膜構成体300及び保持要素400は、縫合糸を受け入れるための調和し半径方向に整列する開口を有する。折り重ね部分324及び保持要素400を収容するブリッジ領域330は、これらの整列する開口を介して縫合することによって、弁膜フレームに結合される。図7の破断線は、例示的な縫合パターンである。
【0101】
ベースフレーム
ベースフレーム500は、図3及び4に示すように、ベースフレーム内側面502とベースフレーム外側面504とを有するベースフレームルーメン550を形成する概ね環状の部材である。ベースフレーム500は、構造的耐荷重支持力を弁膜フレーム200に与えることができる。更に、ベースフレーム500は、埋植部位において受容体組織に積極的に係合するように構成できる。
【0102】
1つの実施形態によれば、ベースフレーム500は、ベースフレーム流入縁520から離れる方向に延びる複数の三角領域526を画定する。弁膜フレーム200は、弁膜フレーム流入縁220上に二等辺三角形の2辺を画定する弁膜フレーム200の隣り合う弁膜ウィンドウ222の2つの弁膜ウィンドウ側面223によって画定される対応する三角形開口256を備えることができる。三角形開口256は、ベースフレーム500の三角形領域526をその中に受け入れるように作用できる。
【0103】
ベースフレーム500は、概略的に生体適合性である任意の金属又は重合体材料を含むことができる。例えば、ベースフレーム500は、ニチノール、コバルトニッケル合金、ステンレス鋼及びポリプロピレン、アセチルホモポリマー、アセチル共重合体、ePTFE、その他の合金又は重合体など(但し、これらに限定されない)の材料、又は上述のように機能するために適する物理的及び機械的特性を有するその他の生体適合性材料を含むことができる。
【0104】
ベースフレーム500は、エッチング、カット、レーザーカット又はスタンピングによって材料のチューブ又はシートに加工し、シートはその後環状構造体に成形できる。
【0105】
実施形態によれば、ベースフレーム500はインプラント部位に積極的に係合するように構成できる。1つの実施形態において、弁100は、更に、図1A及び1Bに示すように、組織孔に縫い付けられるために縫合糸を受け入れるように作用できる、ベースフレーム500の周りに結合されたソーイングカフ600を含む。人工弁を埋植するための従来の外科的技法を使用して、実施形態に従って弁100を埋植できることが分かるはずである。
【0106】
弁100をインプラント部位に結合するための他の要素又は手段が想定される。例えば(限定的でなく)機械的手段及び接着手段など他の手段を使用して、合成又は生物学的導管に弁100を結合できる。
【0107】
別の実施形態において、弁100は、更に図3及び4に示すようにベースフレーム500を備える。ベースフレーム500は、弁膜フレーム200の弁膜フレーム流入縁220に結合される。ベースフレーム500は、縫合糸700を使用してベースフレーム500を弁膜フレーム200に縫合するために使用できるベースフレーム開口508を備える。別個の弁膜フレーム200とベースフレーム500を持つことの利点は、異なる物理的特性を持てることである。例えば、弁膜310を支持する比較的剛性の小さい弁膜フレーム200は、より剛性の弁膜フレーム200に比べて開閉する弁膜310に生じる負荷を小さくできる。比較的低剛性の弁膜フレーム200は、弁膜の加速を減少でき、弁膜310に対する閉鎖応力を減少できる。ベースフレーム500は、生来の組織孔に縫合するためにより適するように、もっと剛性にできる。ベースフレーム500は、例えばインプラント部位において受ける場合がある圧縮力に抵抗できる。
【0108】
弁100の実施形態において、ベースフレーム500と弁膜フレーム200を含むことによって、ベースフレーム500及び弁膜フレーム200の各々に特定の目的に適した異なる物理的特性を与えるための手段を提供できる。1つの実施形態によれば、ベースフレーム500は、弁膜フレーム200に比べて剛性である。ベースフレーム500は、組織孔など(但し、これに限定されない)インプラント部位に係合したとき、生理学的負荷を受けて著しく変形しないために充分な剛性を持つ。
【0109】
ベースフレーム500及び弁膜フレーム200の物理的特性は、部分的に、ベースフレーム500及び弁膜フレーム200のサイズ、形状、厚み及び材料特性に依存する。
【0110】
「剛性」は、本明細書において使用される場合、工学において一般的に使用されるように、ベースによって与えられる変形に対する抵抗の計測値である。「剛性」は、特に、材料特性、対象物の形状及び対象物に対する境界条件の関数である。弁膜フレーム200の剛性(図1A)は、技術上既知の任意の方法によって計測できる。
【0111】
ソーイングカフ
弁100は、図1A及び1Bに示すように、ベースフレーム500に隣接してソーイングカフ600を備えることができる。ソーイングカフ600は、インプラント部位に結合するための縫合糸を受け入れる構造体を与えるように作用できる。ソーイングカフ600は、二重ベロアポリエステル及びシリコーンなど(但し、これらに限定されない)の任意の適切な材料を含むことができる。ソーイングカフ600は、ベースフレーム500の周りの円周上に配置するか又はベースフレーム500に従属して弁周囲に配置できる。ソーイングカフ600は、シリコーンリング及び/又はPTFEフェルトなど(但し、これらに限定されない)のフィラー材料を含むことができる。
【0112】
方法
実施形態は、当業者には既知の方法を利用して実施できる。例えば、1つの実施形態によれば、弁膜は、延伸PTFE複合材の1つ又は複数の層を含むチューブを取得することと、各々ブリッジ領域によって分離される複数の弁膜を含む弁膜構成体をチューブからカットすることと、弁膜の折り重ね部分に折り重ね開口を及びブリッジ領域にブリッジ開口を与えることと、複数の保持要素を取得することであって、各保持要素が保持要素開口を形成する、取得することと、ブリッジ領域の各々をブリッジループに折り曲げて、各ブリッジループと2つの隣接する弁膜との間に接合ネックを画定(形成)することであって、ブリッジループがチューブ軸線から半径方向に離れて延びる、折り曲げて形成することと、保持要素をブリッジループの各々の中に配置することと、ブリッジ開口及びこれと整列する保持要素開口に縫合糸を通して各保持要素をそれぞれのブリッジループに縫合することと、弁膜フレームウィンドウ及びその間の交連ポストを画定(形成)するように金属チューブから弁膜フレームをカットすることであって、各交連ポストが少なくともブリッジ領域の二重厚みを受け入れる寸法を持つポストスロットを画定(形成)する、カットすることと、弁膜ウィンドウフレームに弁膜ウィンドウフレーム開口を及び交連ポストにポスト開口を与えることと、保持要素がポスト外側面に隣接する状態でそれぞれのポストスロットに各接合ネックを配置して、弁膜を弁膜フレームに配置することと、保持要素開口をポスト開口と整列することと、保持要素開口及びこれと整列するポスト開口に縫合糸を通して、各保持要素をそれぞれの交連ポストに縫合することと、折り重ね開口を弁膜ウィンドウフレーム開口と整列して、弁膜フレーム流入縁に沿って弁膜フレーム外側面に対して各弁膜の折り重ね部分を折り重ねることと、折り重ね開口及びこれと整列する弁膜ウィンドウフレーム開口に縫合糸を通して各折重ね部分をそれぞれの弁膜ウィンドウフレームに縫合することと、によって作ることができる。
【0113】
1つの実施形態によれば、方法は、更に、ファブリックのストリップを用意することと、弁膜フレームと弁膜構成体との間にクッションを与えるためにファブリックを弁膜フレームに巻いて縫い付けることと、弁膜フレームの弁膜フレーム流出縁から約3mmまでファブリックを切り揃えることと、を含むことができる。
【0114】
1つの実施形態によれば、方法は、更に、金属チューブからベースフレームをカットしてベースフレーム開口を画定(形成)することと、弁膜フレームの弁膜フレーム流入縁にベースフレームを結合することと、を含むことができる。
【0115】
1つの実施形態によれば、方法は、更に、ファブリックチューブを用意してその流動軸線に沿ってファブリックチューブをベースフレームに挿入することと、ファブリックのファブリック流出縁をベースフレームのベースフレーム流出縁に折り重ねることと、ベースフレームのベースフレーム開口を通る縫合糸を使用してファブリックを所定の場所に縫い付けることと、ファブリックチューブのファブリック流入縁をベースフレームに被せて裏返すことと、ベースフレームの流入縁に沿ってベースフレーム開口を通る縫合糸を使用してファブリックチューブを所定の場所に縫い付けることと、裏返されたファブリックチューブによって画定(形成)されたポケット内部にソーイングカフインサートを配置して、ソーイングカフの周りのファブリックチューブの全ての緩みが取り除かれるようにベースフレームとソーイングカフインサートの間のファブリックチューブにタックを作ることと、ベースフレームと同軸にかつこれに隣接してファブリックチューブ内部に弁膜フレームを配置することと、弁膜フレーム流出縁から約5mmにおいてファブリックチューブを切り揃えて、それぞれの弁膜ウィンドウフレーム開口及びベースフレーム開口を通り抜ける縫合糸を使用して弁膜ウィンドウ底面において弁膜フレームをベースフレームに縫合することと、ファブリックチューブの切り揃えられた縁を弁膜フレーム流出縁に折り重ねて、ほぐれた縁があればこれを隠すために切り揃えた縁を下に折り畳んで、ファブリックチューブを弁膜フレーム上でファブリックに縫い付けることと、を含むことができる。
【実施例
【0116】
例として、弁の1つの実施形態を下記の通りに作った。
【0117】
外科的人工心臓弁を下記のように構成した。折り重ね開口308及びブリッジ開口309を含む弁膜構成体300を、図3に示すパターンに従ってCO2レーザーを使用して弁膜切取り見本(クーポン:coupon)からカットした。
【0118】
図3に示すPEEKから作った3つの保持要素400を、図5及び6に示すように、弁膜構成体300のブリッジ領域330のブリッジループ338に縫い付けた。保持要素400は、弁膜構成体300のブリッジ開口309と整列する保持要素開口408を備える。その結果得られた組立体の部分図を図2に示す。
【0119】
弁膜フレーム200及びベースフレーム500を、それぞれ弁膜フレーム開口208及びベースフレーム開口508を含めて、図3に示すように25mmOD及び0.4mm壁厚みのコバルトクロム(MP35N)チューブからレーザーカットして、電解研磨した。フレームを、汚染物質を除去するためにエタノール超音波バスで洗浄した。弁膜フレーム200と弁膜構成体300との間にクッションを与えるために、3ストリップのポリエステルニットファブリックを、弁膜フレームに巻いて、縫い付けた。ブリッジ領域330における弁膜構成体300の二重厚みを受け入れるのに充分に大きい(約0.254mm)の交連ポスト210のポストスロット217を用意した。残りのポリエステルニットファブリックを図4に示す弁膜フレーム200の弁膜フレーム流出縁224から約3mm切り揃えた。図2に示すように、保持要素400をポスト外側面212に当ててポストスロット217の中で各接合ネック340をスライドすることによって、弁膜構成体300を保持要素400と一緒に弁膜フレーム200に配置した。保持要素開口408を弁膜フレーム200の弁膜フレーム開口208と整列して、図6に示すように縫合糸700で所定の場所に縫い付けた。弁膜構成体300は、取付け縁に沿って折り重ね部分324及び折り重ね開口308を含む。折り重ね部分324を弁膜フレーム200の弁膜フレーム流入縁220に沿って弁膜フレーム外側面204に折り重ねて(折り重ね部分324の折り重ね開口308が弁膜フレーム200の弁膜フレーム開口208と合致する)、図7に示すように縫合糸700で所定の場所に縫い付けた。
【0120】
直径約24mm及び長さ少なくとも10cmのポリエステルニットファブリックのチューブを流動軸線に沿ってベースフレーム500の中へ挿入した。ポリエステルニットファブリックのファブリック流出縁をベースフレーム500のベースフレーム流出縁524に折り重ねて、ベースフレーム500のベースフレーム開口508(図示せず)を通る縫合糸700を使用して、所定の場所に縫い付けた。ポリエステルニットファブリックチューブのファブリック流入縁をベースフレーム500に被せて裏返して、ベースフレーム500のベースフレーム流入縁520に沿ってベースフレーム開口508を通る縫合糸700を使用して所定の場所に縫い付けた。シリコンのソーイングカフインサートを、ベースフレーム500に被せて裏返したポリエステルニットファブリックチューブ内部に配置した。ソーイングカフ600の周りの緩みを全て取り除くように、ベースフレーム500とソーイングカフインサートとの間でポリエステルニットファブリックチューブにタックを作った。
【0121】
弁膜フレーム200、弁膜構成体300及び保持要素400を備える弁膜フレーム組立体234を、ベースフレームに隣接して同軸にポリエステルニットファブリックチューブ内部に配置した。ポリエステルニットファブリックチューブを、弁膜フレーム流出縁224から約5mmで切り揃えた。弁膜フレーム200の3つの弁膜ウィンドウ底面225の各々において3本の縫合糸700を使用して、弁膜フレーム200を弁膜ウィンドウ底面225においてベースフレーム500に縫合した。ポリエステルニットファブリックの切り揃えられた縁を弁膜フレーム流出縁224に折り重ねた。切り揃えられた縁は、ほつれた縁があればそれを隠すために縁の下に折り畳んで、弁膜フレーム上でポリエステルニットファブリックに縫い付けた。
【0122】
別の実施例
図9は、図3と同様であり、弁膜構成体の別の例を長手方向にカットして平らに広げた上面図である。図示するように、弁膜構成体900は、複数の弁膜910を含む。弁膜構成体900は、図3に示すような形状にカットされた重合体材料のシートからカットされ、その後弁膜構成体300に関して上で論じたのと同様に環状形に結合できる。その代わりに、弁膜構成体900は、上述のように1つ又は複数の圧縮又は射出成形工程によって形成できる。弁膜構成体900の作動及び対応する弁膜フレームへの弁膜構成体900の固定は、弁膜構成体300に関して上で論じたのと同様であることが分かるはずである。但し、弁膜構成体900は、弁膜構成体300とは異なる外観であることも分かるはずである。
【0123】
図示するように、弁膜910の各々は、弁膜ベリー部分922と折り重ね部分924とを有する。各弁膜910の弁膜ベリー部分922は、完成し埋植された弁100において、弁膜910の作動部分である。各弁膜910の折り重ね部分924は、弁膜910を弁膜フレーム200に固定するために使用される部分である。いくつかの実施例において、折り目926(上述の折り目326と同様)は、弁膜フレーム200などの対応する弁膜フレーム弁膜の1つ又は複数の部分をその中に受け入れるように、弁膜910のそれぞれ弁膜ベリー部分922と弁膜側辺923及び弁膜底辺925のそれぞれ1つの折り重ね部分924との間に形成できる。
【0124】
いくつかの実施例によれば、各弁膜910は、折り目926において、実質的に二等辺台形を有する。いくつかの実施例において、2つの弁膜側辺923は、弁膜底辺925から分散する。
【0125】
弁100の別の実施形態によれば、各弁膜910は、中央領域929と中央領域929の両側の2つの側領域928とを含む。いくつかの実施例において、中央領域は、弁膜910を弁膜フレームに固定するときに画定される。中央領域929は、概略的に、2つの側領域928、弁膜底辺925及び弁膜自由縁912によって画定された実質的に二等辺台形の形で画定される。弁膜フレームに固定されると、側領域928の各々は、実質的に三角形の形となり、各々中央領域929、弁膜側辺923の一方及び弁膜自由縁912によって画定される。
【0126】
いくつかの実施例において、上に論じたのと同様に、各弁膜910の弁膜ベリー部分922は、3つの弁膜ベリー部分922の弁膜自由縁912が弁100の内部で集まって又は接合して弁100を閉鎖できるように、弁膜フレームの対応する交連ポストの間に充分な材料を含む。
【0127】
同様に、いくつかの実施例において、ブリッジ領域930は弁膜910の各々の間に位置する。いくつかの実施例において、ブリッジ領域930は、弁膜構成体300に関して上で論じたのと同様に、2つのループ折り線936の周りで折り返して、概ね長方形のブリッジループ938に形成されるように作用する。いくつかの実施例において、弁膜構成体は、弁膜構成体300と同様に保持要素400と境界面を成すように作用できる。但し、下で更に論じるように、弁膜構成体900及び300は、保持要素400の代わりに外側フレーム100などの外側フレームと境界面を成すこともできる。
【0128】
いくつかの実施形態によれば、弁膜構成体900は、生体適合性重合体など、生物由来ではなく特定目的のために充分な従動性及び強さを持つ生体適合性材料を含む。1つの実施形態において、弁膜構成体900は、上述のように、エラストマー又はエラストマー系材料と組み合わされて複合材料を形成する膜を含む。他の実施形態において、弁膜構成体900を構成する生体適合性材料は、ウシの心膜など(但し、これに限定されない)の生物材料を含む。
【0129】
弁膜910の形状は、部分的に弁膜910が固定される弁膜フレームの形状及び弁膜自由縁912によって画定される。弁膜910の形状は、又、弁膜構成体300に関して上で論じたように、弁100を製造するために使用される構造及び工程によって画定できる。いくつかの実施形態によれば、弁膜910の形状は、部分的に、予め決められた形状を弁膜910に与えるために成形及び切り揃え工程を使用した弁膜910の成形に依存する。弁膜構成体900の作動は、上述の弁膜構成体300と同様である。
【0130】
上述の実施形態及び実施例は、ブリッジループが弁膜フレームのポストスロットを通り抜けるのを効果的に防止するために、弁膜構成体のブリッジ領域によって形成されたブリッジループ内に個々に配置可能である1つ又は複数の保持要素によって弁膜構成体300及び900などの弁膜構成体を弁膜フレームに固定することを含むが、弁膜構成体のブリッジ領域によって形成されたブリッジループは弁膜フレームを取り囲む外側フレームに固定できることが分かるはずである。下で更に論じるように、このような構造は、ブリッジループとこれに隣接する弁膜との間の接合ネック全体に均等に応力を分散して、接合ネックにおけるピーク応力を減少すると言う利点を与える。このような構造は、又、弁膜フレームの外側面に概して折り重ねられてこれに当接する折り重ね部分(例えば、324及び924)が、弁膜フレームと外側フレームとの間に挟まれる又はその他の方法でその間に位置できるようにする。このような構造は、概略的に、非折り重ね設計に比べて好ましい応力分布を与えることができる。特に、このような構造は、縫合糸が通過する弁膜の開口において応力が集中する既知の縫合方法に比べて、取付け面に沿ってより好ましい応力分布を与えることが分かった。
【0131】
様々な実施例において、本明細書において論じる様々な弁膜構成体は、組織内方成長を支援し助長するように構成される1つ又は複数の部分、領域、区分、ゾーン又はエリアを含むことができる。いくつかの実施例において、弁膜構成体の下層構造体は、組織内方成長を支援するように構成される。他のいくつかの実施例において、1つまたは複数の組織内方成長カーテンは、それに加えて又はその代わりに、弁膜構成体の1つ又は複数の部分に塗布できる。即ち、いくつかの実施例において、構成体(膜又はフィルム又はコーティングなど)は、組織の内方成長及び増殖を支援し促進するように構成される弁膜構成体に塗布できる。
【0132】
図10A~10Eは、弁膜フレーム200と、外側フレーム800と、弁膜構成体900とを含む人工弁100を示す。図10Aは、人工心臓弁100の流出側斜視図である。図10Bは、弁膜フレーム200及び外側フレーム800及び縫合カフ600を被覆するファブリック1000を含む人工心臓弁100の側面図である。図10Cは、弁膜フレーム200及び外側フレーム800及び縫合カフ600を被覆するファブリック1000を持つ人工心臓弁100の流出側上面図である。図10Dは、図10Bの線10D-10Dに沿って見た人工心臓弁100の断面図である。図10Eは、図10Cの線10E-10Eに沿って見た人工心臓弁100の断面図である。
【0133】
外側フレーム800は、弁膜構成体(例えば、300又は900)及び弁膜フレーム200と境界面を成すように構成され、人工弁100の作動時に弁膜構成体を保持し支持するように作用できる。外側フレーム800は、環状構造要素であり、弁膜フレーム200と外側フレーム800が同軸に整列されるように、外側フレーム800によって画定(形成)された内部領域内に弁膜フレーム200を配置できるように構成される。様々な実施例において、外側フレーム800は、人工弁の弁膜構成体と境界面を成して弁膜構成体を外側フレーム800に固定するように構成される複数の交連ポストを含む。例えば、図示するように、外側フレーム800は、複数の交連ポスト810を含む。交連ポスト810は、ベース806から概ね外側フレーム800の中心軸線に沿って外側フレーム交連先端819まで延びる。交連ポスト810は、弁膜フレーム200の交連ポスト210と合致するように相互から離間する。例えば、いくつかの実施例において、交連ポスト810は、交連ポスト810が弁膜フレーム200の交連ポスト210に対して実質的に平行に延びるように、ベース806から延びる。
【0134】
いくつかの実施例において、外側フレーム800は、一緒に組み立てられて外側フレーム800を形成する複数の個別のキーストーンから構成される。即ち、いくつかの実施例において、外側フレーム800は、単一のモノリス構造体ではない。例えば、いくつかの実施例において、2つ又はそれ以上の個別のキーストーンが一緒に組み立てられて、外側フレーム800を形成する。いくつかの実施例において、各キーストーンは、交連ポスト810などの交連ポストを含む。いくつかの実施例において、複数のキーストーンは、外側フレーム800を形成するように一緒に組み立てられる。いくつかの実施例において、キーストーンは1つ又は複数の縫合糸を介して組み立てられる。複数の組立てキーストーンは、連続的環状構造要素即ち外側フレーム800を画定(形成)する。いくつかの実施例において、コイル又はソリッドリングなどのリング要素が、それに加えて又はその代わりに、組み立て済みキーストーンの周囲に配置される。例えば、図10A及び10Eに示すように、リング要素850は、外側フレーム800の周りに配置される。いくつかの実施例において、このようなリング要素は、外側フレーム800に半径方向の剛性又はフープ強度を与えるのに役立つ。
【0135】
又は、いくつかの実施例において、外側フレーム800は、単一モノリスユニットとして形成される。いくつかの実施例において、外側フレーム800は、弁膜構成体300に関連して上で論じたのと同様に、材料シートをカットして、その後、両端を結合して環状形になるように成形できる。当業者は、外側フレーム800は、他の適した工程の中でも、エッチング、カット、レーザーカット、スタンピング、三次元プリント、成形によって、環状構造体に加工するか、又は材料シートに加工し、その後シートを環状構造体に形成できる。又は、弁膜構成体900は、上述のように、1つまたは複数の圧縮又は射出成形工程によって形成できる。外側フレーム800を構成する形式に関係なく、交連ポスト810は、外側フレーム800の周りに相互に概ね均等に離間する。
【0136】
外側フレーム800は、概ね生体適合性の弾性変形可能な金属又は重合体材料等(但しこれに限定されない)を含むことができる。外側フレーム800は、ニチノール、ニッケルチタン合金などの形状記憶材料を含むことができる。外側フレーム800に適する他の材料は、他のチタン合金、ステンレス鋼、コバルトニッケル合金、エルジロイ、MP35Nなどの生体適合性材料、並びにアセチル重合体、PTFE、PET、PEEK、ポリプロピレン、アセチルホモポリマー、アセチル共重合体などの様々な生体適合性プラスチック、他の合金又は重合体、ラピッドプラスチック(SLA)又は焼結金属、又は、本明細書に説明する外側フレーム800として機能するために適する物理的及び機械的特性を有する概ね生体適合性のその他の材料を含むが、これらに限定されない。
【0137】
図10A~10Eに示すように、外側フレーム800は、概略的に、フレーム内側面802とフレーム内側面802の反対側のフレーム外側面804とを含む。同様に、各交連ポスト810は、ポスト外側面812と、ポスト外側面812の反対側のポスト内側面814とを有する。様々な実施例において、ポスト内側面812及び外側面814は、それぞれ、外側フレーム内側面802及び外側面804に相当(合致)する。
【0138】
図10A~10Eに示す人工弁100は、外側フレーム800が弁膜フレーム200と同軸に位置するように構成される。いくつかの実施例において、図示するように、外側フレーム800は、外側フレーム800のベース806が弁膜フレーム200の流入縁220、流出縁224及びウィンドウ底面225の1つ又はそれ以上に隣接するように弁膜フレーム200に隣接して配置される。したがって、いくつかの実施例において、弁膜フレーム200の流入縁220と流出縁224との間の弁膜フレーム外側面204の部分は、図10Eに示すように、外側フレーム800のベース806のフレーム内側面802に隣接してかつ半径方向内側に配置される。このような構造において、図7に示しこれに関連して説明するベースフレーム500を含む配列体と異なり、外側フレーム800は、人工弁の内部領域の一部を形成しない。その代わりに、図10A~10Eに示すように、外側フレーム800のベース806のフレーム内側面802は、図10Eに示すように、弁膜フレーム外側面204の半径方向外側に位置付けられる。図示するように、弁膜910の折り重ね部分924は、弁膜フレーム200と外側フレーム800との間に配置される。具体的には、図示するように、弁膜910の折り重ね部分924は、弁膜フレーム200のフレーム外側面204と外側フレーム800のフレーム内側面802との間に配置される。更に、図示するように、このような構造は、弁膜910の一部分が、人工弁100の流入側に露出できるようにする。
【0139】
上述の保持要素400と同様、外側フレーム800の交連ポスト810は、弁膜構成体を外側フレーム800に固定して人工弁100を形成するように作用する。様々な実施例において、弁膜構成体は、弁膜フレーム200が外側フレーム800に固定される前にかつ/又は弁膜構成体(例えば、900又は300)が弁膜フレーム200に固定される前に、外側フレーム800に固定される。いくつかのこのような実施例において、交連ポスト810は、弁膜構成体を外側フレーム800に固定する前にかつ/又は弁膜構成体を弁膜フレーム200に固定する前に、弁膜構成体(例えば、900又は300)のブリッジループ内(例えば、938又は338)に配置される。具体的には、外側フレーム800の交連ポスト810は、上述のように、弁膜構成体のブリッジ領域330によって形成されたブリッジループ(例えば、938又は338)内に配置されて、ブリッジループ(例えば、938又は338)が弁膜フレーム200のポストスロット217を通り抜けるのを効果的に防止するように作用する。様々な実施例において、各交連ポスト810は、弁膜フレーム200のポストスロット217の幅より大きい幅を持つ。更に、上述のように、ブリッジループ(例えば、938又は338)のサイズは、ブリッジ領域330の余分な材料が引っ張られてポストスロット217を通過して、それによって対応する弁膜の形状を変えるのを防止するために、ブリッジループが配置される交連ポスト810の部分のサイズに相当(合致)すべきである。
【0140】
交連ポスト810は、弁膜フレーム200の交連ポスト210のポスト外側面212において低プロファイルを持つように、概略的に、比較的平坦で長方形の断面を画定(形成)する。いくつかの実施例において、交連ポスト810は、更に、弁膜フレーム200のポストスロット217を通過して延びる対向する接合ネックの間に延びるように構成される突出部を含む。例えば、図10Dに示すように、外側フレーム800の交連ポスト810は、弁膜フレーム200のポストスロット217を通り抜ける接合ネック940の弁膜910の間に延びる突出部816を含む。いくつかの実施例において、突出部は、ポストスロット217を完全に通過して延びることができる。例えば、突出部816は、弁膜フレーム200が外側フレーム800と結合されたとき、突出部816が弁膜フレーム内側面202(例えばポスト内側面214)の半径方向内向きに延びるのに充分な量だけ突出部816がポスト内側面814から離れる方向に延びるように、構成される。いくつかの他の実施例において、突出部は、ポストスロット217の中へ部分的に延びる。例えば、突出部816は、弁膜フレーム200が外側フレーム800に結合されたとき、突出部816が弁膜フレーム外側面204(ポスト外側面212)の半径方向内側に延びるのに充分な量だけ突出部816がポスト内側面814から離れる方向に延びるが、弁膜フレーム内側面202(ポスト内側面214)の半径方向外側で終結するように、構成できる。いくつかの他の実施例において、突出部816は、弁膜フレーム内側面204において又は弁膜フレーム外側面202において、又は弁膜フレーム外側面202の半径方向外側で終結するように構成できる。
【0141】
いくつかの実施例において、このような突出部は、交連ポスト210において隣り合う弁膜の間にギャップを形成できるようにする。いくつかの実施例において、このようなギャップの形成は、交連ポスト210における又はその付近での望ましくなく血行停滞の可能性を最小限に抑えるのに役立つ。したがって、ギャップを形成する突出部の幅は、交連ポスト210に隣接する接合し合う弁膜の間に所望のギャップを得るために増減できることが分かるはずである。弁膜フレーム200の交連ポスト210のポストスロット217の幅は、ポストスロット217がこれを通過して延びる突出部816及び複数の弁膜(例えば、910又は310)を収容するように構成されるように、突出部816の幅に概ね合致することが分かるはずである。但し、いくつかの実施形態において、交連ポスト210において接合し合う弁膜の間にギャップを形成することが望ましくない場合がある。このような場合、外側フレーム800の交連ポスト810は、突出部816を組み込まずに構成できる。
【0142】
実施形態によれば、交連ポスト810は、平坦又は比較的平坦又は交連ポスト810が隣接する交連ポスト210の半径方向外側に凸面に対応するように内面において(人工弁100の中心に向かって)凹面とすることができる。様々な実施例において、保持要素400と同様に、交連ポスト810は、交連ポスト開口209と整合する1つまたは複数の開口を含むことができ、交連ポスト810は、交連ポスト210のポスト外側面212に隣接して配置される。同様に、いくつかの実施例において、縫合糸700など(但し、これに限定されない)の固定構造体を、交連ポスト810を交連ポスト210に結合するために使用できる。例えば、上述のように、縫合糸700を含むステッチを、整列する交連ポスト開口209及び交連ポスト810開口並びに弁膜構成体のブリッジ領域に通して、交連ポスト810、弁膜構成体及び交連ポスト210の各々を結合できる。
【0143】
弁膜フレーム200、外側フレーム800及び縫合カフ600の各々は、相互に結合する前に個別にファブリック1000で巻く又は被覆できる。その代わりに、いくつかの実施例において、ファブリック1000は、弁膜フレーム200、外側フレーム800及び縫合カフ600の1つ又はそれ以上が一緒に結合された後に、弁膜フレーム200、外側フレーム800及び縫合カフ600の1つ又はそれ以上に結合又はその他の方法でその周りに配置できる。例えば、外側フレーム800及び縫合カフ600は、一緒に結合し、その後ファブリック1000で被覆して、その後に、弁膜フレーム200が外側フレーム800と結合される。更に、様々な実施例において、弁膜構成体は、ファブリックが外側フレーム800に結合又はその他の方法でその周りに配置される前に(又はその後に)、外側フレームに固定できる。
【0144】
図11A~11Eに示す人工弁100は、弁膜フレーム200と、外側フレーム1800と、弁膜構成体900とを含む。図11Aは、人工心臓弁100の流出側斜視図である。図11Bは、弁膜フレーム200及び外側フレーム1800及び縫合カフ600を被覆するファブリック1000を含む人工心臓弁100の側面図である。図11Cは、弁膜フレーム200及び外側フレーム1800及び縫合カフ600を被覆するファブリック1000を持つ人工心臓弁100の流出側の上面図である。図11Dは、図11Bの線11D-11Dに沿って見た人工心臓弁100の断面図である。図11Eは、図11Cの線11E-11Eに沿って見た人工心臓弁100の断面図である。
【0145】
様々な実施例において、外側フレーム1800は、人工弁の弁膜構成体と境界面を成して弁膜構成体を外側フレーム1800に固定するように構成される複数の交連ポストを含む。例えば、図示するように、外側フレーム1800は、複数の交連ポスト1810を含む。交連ポスト1810は、ベース1806から概ね外側フレーム1800の中心軸線に沿って外側フレーム交連先端1819まで延びる。交連ポスト1810は、弁膜フレーム200の交連ポスト210と合致するように相互に離間する。例えば、いくつかの実施例において、交連ポスト1810は、交連ポスト1810が弁膜フレーム200の交連ポスト210に対して実質的に平行に延びるように、ベース1806から延びる。
【0146】
いくつかの実施例において、外側フレーム1800は、外側フレーム1800が一緒に組み立てられて外側フレーム1800を形成する複数の個別のキーストーンから構成されるか又は上述のように単一のモノリスユニットとして形成できる点で、上述の外側フレーム800と同様である。同様に、外側フレーム1800は、上述のように概ね生体適合性の任意の弾性変形可能な金属又は重合体材料など(但し、これに限定されない)を含むことができる。
【0147】
図11A~11Eに示すように、外側フレーム1800は、概略的に、フレーム内側面1802と、フレーム内側面1802の反対側のフレーム外側面1804とを含む。同様に、各交連ポスト1810は、ポスト外側面1812と、ポスト外側面1812の反対側のポスト内側面1814とを有する。様々な実施例において、ポスト内側面1812及び外側面1814は、それぞれ外側フレーム内側面1802及び外側面1804に合致する。更に下で論じるように、いくつかの実施例において、フレーム内側面1802は、第1面1802aと、第1面1802aから半径方向にオフセットする第2面1802bと、を含む。
【0148】
図11A~11Eに示す人工弁100は、外側フレーム1800が弁膜フレーム200と同軸に位置するように構成される。いくつかの実施例において、図示するように、外側フレーム1800は、外側フレーム1800のベース1806が弁膜フレーム200の流入縁220、流出縁224及びウィンドウ底面225の1つ又はそれ以上に隣接するように、弁膜フレーム200に隣接して配置される。このように、いくつかの実施例において、弁膜フレーム200の流入縁220と流出縁224との間のフレーム外側面204の部分は、図11Eに示すように、外側フレーム1800のベース1806のフレーム内側面1802に隣接してその半径方向内側に配置される。図11A~11Eに示すように、外側フレーム1800のベース1806のフレーム内側面1802は、図11Eに示すように、弁膜フレーム外側面204の半径方向外側に位置付けられる。更に、いくつかの実施例において、外側フレーム1800は、外側フレーム1800の流入縁1824が人工弁100の流入縁を画定(形成)するように弁膜フレーム200の流入縁220を越えて延びる。即ち、図10A~10Eに図解しこれに関連して上で説明した構造と異なり、人工弁100は、外側フレーム1800が弁膜フレーム200のフレーム外側面204の半径方向外側に位置付けられるように、かつ弁膜フレーム200が外側フレーム1800の外側フレーム交連先端1819と外側フレーム1800の流入縁1824との間に位置するように、構成される。
【0149】
様々な実施例において、外側フレーム1800は、弁膜構成体(例えば、300又は900)及び弁膜フレーム200と境界面を成すように構成され、人工弁100の作動時に弁膜構成体を保持し支持するように作用できる。外側フレーム1800は、環状構造要素であり、弁膜フレーム200及び外側フレーム1800が同軸に整列するように弁膜フレーム200が外側フレーム1800によって画定(形成)された内部領域の一部分内に配置できるように構成される。様々な実施例において、外側フレーム1800のベース1806は、弁膜フレーム200が外側フレーム1800によって画定(形成)された内部領域内に受け入れられたとき、弁膜フレーム外側面204が外側フレーム1800の第1部分に隣接しかつ弁膜フレーム200の流入縁220が外側フレーム1800の第2部分に隣接するように、構成される。
【0150】
具体的には、図11Eに示すように、外側フレーム1800は、第1部分1818と第2部分1820とを含むベース部分1806を含む。様々な実施例において、第1部分1818は、外側フレーム1800のフレーム外側面1804を画定(形成)し、フレーム内側面1802の第1面1802aを画定(形成)する。第2部分1820は、第1部分1818から半径方向内向きに延び、フレーム内側面1802の第1面1802aに対して半径方向内向きにオフセットするフレーム内側面1802の第2面1802bを画定(形成)する。フレーム内側面1802の第1面1802a及び第2面1802bは、概ね外側フレーム1800の長手軸線に沿って延びる。
【0151】
様々な実施例において、ショルダ面1822は、フレーム内側面1802の第1面1802aと第2面1802bとの間に延びる。いくつかの実施例において、ショルダ面1822は、外側フレームの長手軸線を横切って延びる。様々な実施例において、ショルダ面1822は、したがって、フレーム内側面1802の第1面1802aと第2面1802bとの間に位置する環状面である。いくつかの実施例において、ショルダ面1822は、図11Eに示すように、外側フレーム1800の流入縁1824の反対側に位置する。様々な実施例において、フレーム内側面1802の第1面1802aと第2面1802bとの間のオフセット関係は、図11Eに示すように、外側フレーム1800が弁膜フレーム外側面204に隣接する1つ又は複数の部分を含むようにかつ外側フレーム1800が弁膜フレーム200の流入縁220に隣接する1つ又は複数の部分を含むように、弁膜フレーム200が外側フレーム1800によって受け入れできるようにする。
【0152】
いくつかの実施例において、第1部分及び第2部分は、単一のモノリスユニットとして形成される。いくつかの他の実施例において、第1部分と第2部分は、相互から独立して形成される。いくつかのそのような実施例において、第1部分と第2部分は結合されて、外側フレーム1800を形成する。第1及び第2部分は、既知の方法で結合できることが分かるはずである。
【0153】
引き続き図11Eを参照すると、いくつかの実施例において、弁膜910は、弁膜910の折り重ね部分924が弁膜フレーム200と外側フレーム1800との間に位置するように、弁膜フレーム200と外側フレーム1800との間に配置される。具体的には、図11Eに示すように、弁膜910は、弁膜フレーム200のフレーム外側面204と外側フレーム1800のフレーム内側面1802の第1面1802aとの間に配置される。更に、図示するように、弁膜910は、弁膜フレーム200の流入縁220と外側フレーム1800のショルダ面1822との間に配置される。様々な実施例において、弁膜910の折り重ね部分924は、上述の弁膜フレーム200と外側フレーム1800の隣り合う部分の間に位置付けられる。
【0154】
様々な実施例において、弁膜の折り重ね部分924の形状は、少なくとも部分的に弁膜フレーム200と外側フレーム1800との間の位置に基づく。例えば、弁膜フレーム200が外側フレーム1800に固定されるとき、弁膜フレーム流入縁220及び/又は弁膜フレーム外側面204は、弁膜910の折り重ね部分924に係合して、弁膜910の折り重ね部分924が弁膜フレーム流入縁220及び弁膜フレーム外側面204の周りで折れ曲がるようにする。いくつかの実施例において、弁膜構成体(例えば、300又は900)は、弁膜フレーム200と外側フレーム1800を一緒に固定する前に、外側フレーム1800に固定される。様々な実施例において、弁膜構成体は、弁膜910の折り重ね部分924が外側フレーム内側面1802の第1面1802aに固定されるように外側フレームに固定される。したがって、弁膜フレーム200が外側フレーム1800に固定されるとき、外側フレーム1800に固定される弁膜910の折り重ね領域924の部分は、弁膜910の折り返し領域924の残り部分が上述のように弁膜フレーム200及び外側フレーム1800の隣り合う面及び縁の間の領域の中へ引っ張られるように、外側フレーム1800に固定されたままである。様々な実施例において、折り重ね領域924の前記部分が弁膜フレーム200と外側フレーム1800との間に引っ張られるとき、これらの部分は、図11Eに示すように、弁膜フレーム流入縁220から弁膜フレーム外側面204まで弁膜フレーム200の周りに巻きつけられる。
【0155】
言い換えると、様々な実施例において、弁膜フレーム200を外側フレーム1800と固定する前に、弁膜構成体(例えば、900又は300)は、弁膜の折り重ね部分924が第1プロファイルを持つように外側フレーム1800のフレーム内側面1802の第1面1802aに固定される。いくつかの実施例において、弁膜フレーム200を外側フレーム1800と固定するとき、弁膜フレーム流入縁220及び弁膜フレーム外側面204の1つ又はそれ以上は、弁膜910(例えば、弁膜910の折り重ね部分924)に係合して、弁膜910が第2の異なるプロファイルを持つようにする。
【0156】
様々な実施例において、上述のように弁膜構成体を外側フレーム1800と弁膜フレーム200との間で外側フレーム1800に固定することによって、弁膜フレーム200及び外側フレーム1800と境界面を成す弁膜910の表面積は、図7及び図10A~10Eに示す構造に比較して増大する。
【0157】
更に、下で論じるように、図11A~11Cに図解する構造は、外側フレーム1800及び弁膜フレーム200の1つ又はそれ以上が組織内方成長に適する材料で被覆される実施例において、弁膜910の流入側及び流出側が弁膜フレーム及び外側フレームに隣接して位置付けられるようにできる。弁膜(例えば、310及び910)が組織内方成長を支援するように構成された1つまたは複数の領域を含む実施例においては、このような構造は、組織が弁膜とその支持フレーム要素(例えば、外側フレーム及び弁膜フレーム)との間の境界面を横切って成長して、組織が、弁膜の流入側及び流出側のいずれか又は両方において弁膜に及び/又は弁膜を横切って成長するのを促すようにできる。また、このような構造において、ショルダ面1822は、ショルダ面1822と弁膜フレーム200の流入縁220との間に延びる弁膜910の支持体として作用する。いくつかの実施例において、弁膜のためにこのような支持体を与えることによって、増大した下流流体圧力を受けたとき弁膜フレーム200の流入縁220から弁膜910が分離する可能性を最小限に抑えられることが、当業者には分かるはずである。
【0158】
いくつかの実施例において、外側フレーム(例えば、800、1800)及び弁膜フレーム(例えば、200)の1つ又はそれ以上を組織内方成長を支援するために適する物質で被覆することに加えて又はその代わりに、外側フレーム及び/又は弁膜フレームは、組織内方成長を助長するための表面修正を含むことができる。いくつかの実施例において、弁膜フレーム及び外側フレームの1つ又はそれ以上は、多孔質PEEK材料(射出成形可能及び/又は機械加工)又は多孔質PEKK材料(3Dプリント可能)で形成できる。したがって、外側フレーム及び弁膜フレームの1つ又はそれ以上は、内方成長が望まれるところに内方成長を助長するために好ましい孔径及び密度を選択することによって修正できる。いくつかの実施例において、弁膜フレーム及び/又は外側フレームは、更に、1つ又は複数の非成長領域を含む。特定の事例において、外側フレーム及び/又は弁膜フレームを形成する材料の1つ又は複数の部分に、非成長領域を生成するためにフィラー材料を注入できる。フィラー材料は、本明細書において論じるフィラー材料のいずれかを含むことができる。
【0159】
いくつかの実施例において、弁膜フレーム200は、外側フレーム1800の第2部分1820のショルダ面1822上に支持される。即ち、いくつかの実施例において、第2部分1820は、第1部分1818から延びて、弁膜フレーム200を支持するように作用する。
【0160】
上に論じた保持要素400と同様に、外側フレーム1800の交連ポスト1810は、人工弁100を形成するために弁膜構成体を外側フレーム1800に固定するように作用する。様々な実施例において、弁膜構成体は、弁膜フレーム200が外側フレーム1800に固定される前にかつ/又は弁膜構成体(例えば、900又は300)が弁膜フレーム200に固定される前に、外側フレーム1800に固定される。いくつかのこのような実施例において、交連ポスト810は、弁膜構成体を外側フレーム1800に固定する前にかつ/又は弁膜構成体を弁膜フレーム200に固定する前に、弁膜構成体(例えば、900又は300)のブリッジループ(例えば、938又は338)内に配置される。具体的には、上述のように、外側フレーム1800の交連ポスト1810は、弁膜構成体のブリッジ領域330によって形成されたブリッジループ(例えば、938又は338)内に配置され、それによって、ブリッジループ(例えば、938又は338)が弁膜フレーム200のポストスロット217を通り抜けるのを効果的に防止するように作用できる。様々な実施例において、各交連ポスト1810は、弁膜フレーム200のポストスロット217の幅より大きい幅を有する。更に、上述のように、ブリッジループ(例えば、938又は338)のサイズは、ブリッジ領域330の余分な材料がポストスロット217の中へ引っ張られてそれによって対応する弁膜の形状を変えるのを防止するために、ブリッジループが配置される交連ポスト1810の部分のサイズに合致しなければならない。
【0161】
交連ポスト1810は、弁膜フレーム200の交連ポスト210のポスト外側面212上で低プロファイルを持つように、概略的に、比較的平坦な長方形の断面を画定(形成)する。いくつかの実施例において、交連ポスト1810は、更に、弁膜フレーム200のポストスロット217を通過して延びる対向する接合ネックの間に延びるように構成された突出部を含む。例えば、図11Eに示すように、外側フレーム1800の交連ポスト1810は、弁膜フレーム200のポストスロット217を通り抜ける接合ネック940の弁膜910の間に延びる突出部1816を含む。いくつかの実施例において、突出部は、ポストスロット217を完全に通過して延びる。例えば、突出部1816は、弁膜フレーム200が外側フレーム1800と結合されたとき突出部1816が弁膜フレーム内側面202(例えば、ポスト内側面214)の半径方向内側に延びるのに充分な量だけ、突出部1816がポスト内側面1814から離れる方向に延びるように構成できる。いくつかの他の実施例において、突出部は、ポストスロット217の中へ部分的にのみ延びることができる。例えば、突出部1816は、弁膜フレーム200が外側フレーム1800と結合されたとき、突出部1816が弁膜フレーム外側面204(ポスト外側面212)の半径方向内側へ延びながら、弁膜フレーム内側面202(ポスト内側面214)の半径方向外側で終結するのに充分の量だけ、ポスト内側面1814から離れる方向に延びるように、構成できる。いくつかの他の実施例において、突出部1816は、弁膜フレーム内側面204又は弁膜フレーム外側面202又は弁膜フレーム外側面202の半径方向外側で終結するように構成できることが分かるはずである。
【0162】
いくつかの実施例において、このような突出部は、交連ポスト210において隣り合う弁膜の間にギャップが形成できるようにする。いくつかの実施例において、このようなギャップの形成は、交連ポスト210において又はその付近で望ましくない血行停滞が生じる可能性を最小限に抑えるのに役立つことができる。したがって、ギャップを形成する突出部の幅は、交連ポスト210に隣接する接合する弁膜の間に所望のギャップを得るために増減できる。弁膜フレーム200の交連ポスト210のポストスロット217の幅は、ポストスロット217がポストスロットを通過して延びる突出部1816及び複数の弁膜(例えば、910又は310)を収容するように構成されるように、突出部1816の幅に概ね合致することが分かるはずである。ただし、いくつかの実施例において、交連ポスト210において接合する弁膜の間にギャップを形成するのは好ましくない可能性があることも分かるはずである。このような場合、外側フレーム1800の交連ポスト1810は、突出部1816を組み込むことなく構成できる。
【0163】
実施形態によれば、交連ポスト1810は、平坦、比較的平坦、又は交連ポスト1810が隣接する交連ポスト210の半径方向外側の凸面に合致するように内側で(人工弁100の中心へ向かって)凹面とすることができる。様々な実施例において、保持要素400と同様、交連ポスト1810は、交連ポスト開口209と整列する1つ又は複数の開口を含むことができ、この場合、交連ポスト1810は、交連ポスト210のポスト外側面212に隣接して配置される。同様に、いくつかの実施例において、縫合糸700など(但し、これに限定されない)の固定構造体を、交連ポスト1810を交連ポスト210に結合するために使用できる。例えば、上述のように、縫合糸700を含むステッチは、交連ポスト1810、弁膜構成体及び交連ポスト210の各々を一緒に結合するために、整列した交連ポスト開口209及び交連ポスト1810の開口を、かつ弁膜構成体のブリッジ領域を通過して通り抜けることができる。
【0164】
弁膜フレーム200、外側フレーム1800及び縫合カフ600の各々は、相互に結合される前に個々にファブリック1000で巻くか又は被覆できる。又は、いくつかの実施例において、ファブリック1000は、弁膜フレーム200、外側フレーム1800及び縫合カフ600の1つ又はそれ以上が一緒に結合された後に、弁膜フレーム200、外側フレーム1800及び縫合カフ600の1つ又はそれ以上に結合又はその他の方法でその周りに配置できる。例えば、外側フレーム1800と縫合カフ600は、結合して、その後ファブリック1000で被覆し、その後、弁膜フレーム200を外側フレーム1800と結合できる。更に、様々な実施例において、弁膜構成体は、ファブリックが外側フレーム1800に結合又はその他の方法でその周りに配置される前に(又は、その後に)外側フレームに固定できる。
【0165】
以上の説明において、装置及び/又は方法の構造及び機能の詳細と一緒に様々な代替策を含めて多数の特徴及び利点を示した。本開示は、単に例証のためのものであり網羅的であることを意図しない。当業者は、特に、特許請求の範囲を表現する用語の広義の一般的意味によって指示される全範囲まで、本開示の原理の範囲内の組合せを含めて構造、材料、要素、成分、形状、サイズ及び配列に関して修正を加えることができることが、当業者には明らかであろう。これらの様々な修正が特許請求の範囲の主旨及び範囲を逸脱しない範囲まで、前記の修正が特許請求の範囲に包括されることが意図される。
(態様)
(態様1)
人工弁であって、
円筒形を画定し、かつ弁膜フレーム内側面と、弁膜フレーム外側面と、弁膜フレーム流入縁と、を含む弁膜フレームであって、前記弁膜フレームが、更に、弁膜フレーム中心軸線と、前記弁膜フレーム中心軸線に沿って延びる複数の弁膜フレーム交連ポストと、を含み、各弁膜フレーム交連ポストが、前記弁膜フレームが複数のポストスロットを含むように前記交連ポストを通過するポストスロットを画定する、弁膜フレームと、
複数の弁膜と、隣り合う弁膜の間に位置するブリッジ領域と、を備える弁膜構成体であって、各ブリッジが、前記弁膜構成体が複数のブリッジループを画定するようにブリッジループを画定し、各ブリッジループが、前記弁膜構成体が前記複数のポストスロットを通過して延びるように前記弁膜フレーム外側面に隣接して配置される、弁膜構成体と、
複数の外側フレーム交連ポストを含む外側フレームであって、各外側フレーム交連ポストが、前記複数のブリッジループの第1ブリッジループ内に配置され、前記外側フレームが、更に外側フレーム内側面と、外側フレーム外側面と、外側フレーム流入縁と、環状ショルダと、を含み、前記環状ショルダが、前記外側フレーム流入縁に対向して位置するショルダ面を有し、前記弁膜フレームが、前記弁膜構成体が前記外側フレーム内側面と前記弁膜フレーム外側面との間に位置付けられるようにかつ前記弁膜構成体が前記弁膜フレーム流入縁と前記外側フレームの前記ショルダ面との間に位置付けられるように、前記外側フレームによって画定された内部領域内に受け入れられる、外側フレームと、
を備える、人工弁。
(態様2)
前記外側フレーム交連ポストが、交連ポスト先端を含み、前記弁膜フレームが、前記外側フレーム交連ポスト先端と前記環状ショルダの前記ショルダ面との間に位置付けられる、態様1に記載の人工弁。
(態様3)
前記外側フレーム内側面が、第1面と、前記第1面が第2面の第2直径より大きい第1直径を持つように前記第1面から半径方向にオフセットする第2面と、を含み、前記弁膜フレーム外側面の直径が前記外側フレーム内側面の前記第1面の前記第1直径より小さくかつ前記外側フレーム内側面の前記第2面の前記第2直径より大きい、態様1又は2に記載の人工弁。
(態様4)
前記弁膜フレームが、前記外側フレームの前記環状ショルダによって支持される、態様1~3のいずれかに記載の人工弁。
(態様5)
前記弁膜の各々が折り重ね部分を含み、前記弁膜の各々の前記折り重ね部分が、前記弁膜フレームの前記流入縁の周りで前記弁膜フレームの前記外側面に折り重ねられる、態様1~4のいずれかに記載の人工弁。
(態様6)
前記弁膜フレームが前記外側フレームに結合される、態様1~5のいずれかに記載の人工弁。
(態様7)
前記弁膜フレーム、前記外側フレーム及び前記弁膜構成体が、各々、複数の対応する開口を含み、前記弁膜フレームと前記外側フレームが、前記弁膜フレーム、前記外側フレーム及び弁膜構成体の隣り合う開口を通り抜けて前記外側フレームを前記弁膜フレームに結合するように作用できる固定構造体によって共に結合される、態様1~6のいずれかに記載の人工弁。
(態様8)
前記固定構造体が縫合糸である、態様7に記載の人工弁。
(態様9)
更に、前記外側フレームに結合されたソーイングカフを備える、態様1~8のいずれかに記載の人工弁。
(態様10)
前記弁膜構成体がePTFE複合材を含む、態様1~9のいずれかに記載の人工弁。
(態様11)
前記ePTFE複合材がペルフルオロメチルビニルエーテル及びテトラフルオロエチレンを含む、態様10に記載の人工弁。
(態様12)
人工弁であって、
円筒形を画定し、弁膜フレーム内側面と、弁膜フレーム外側面と、弁膜フレーム流入縁とを含む、弁膜フレームであって、前記弁膜フレームが、更に、弁膜フレーム中心軸線と、前記弁膜フレーム中心軸線に沿って延びる複数の弁膜フレーム交連ポストと、を含み、各弁膜フレーム交連ポストが、前記弁膜フレームが複数のポストスロットを含むように、前記交連ポストを通過するポストスロットを画定する、弁膜フレームと、
複数の弁膜と、隣り合う弁膜の間に位置するブリッジ領域と、を備える弁膜構成体であって、各ブリッジが、前記弁膜構成体が複数のブリッジループを画定するようにブリッジループを画定し、各ブリッジループが、前記弁膜構成体が前記複数のポストスロットを通過して延びるように前記弁膜フレーム外側面に隣接して配置される、弁膜構成体と、
複数の外側フレーム交連ポストを含む外側フレームであって、各外側フレーム交連ポストが、前記複数のブリッジループの第1ブリッジループ内に配置され、前記外側フレームが、更に、外側フレーム内側面と、外側フレーム外側面と、外側フレーム流入縁と、を含み、前記弁膜フレームが、前記弁膜構成体が前記外側フレーム内側面と前記弁膜フレーム外側面との間に位置付けられるようにかつ前記弁膜構成体が前記弁膜フレーム流入縁に沿って延びるように、前記外側フレームによって画定された内部領域内に受け入れられる、外側フレームと、
を備える、人工弁。
(態様13)
前記弁膜の各々が、折り重ね部分を含み、前記弁膜の各々の前記折り重ね部分が、前記弁膜フレームの前記流入縁の周りで前記弁膜フレームの前記外側面に折り重ねられる、態様12に記載の人工弁。
(態様14)
前記弁膜フレーム、前記外側フレーム及び前記弁膜構成体が、各々、複数の対応する開口を含み、前記弁膜フレームと前記外側フレームが、前記弁膜フレーム、外側フレーム及び弁膜構成体の隣り合う開口を通り抜けて前記外側フレームを前記弁膜フレームに結合するように作用できる固定構造体によって共に結合される、態様12又は13に記載の人工弁。
(態様15)
前記固定構造体が縫合糸である、態様14に記載の人工弁。
(態様16)
人工弁を作る方法であって、
複数の弁膜と、隣り合う弁膜の間に位置するブリッジ領域と、を含む弁膜構成体を用意することであって、各弁膜が弁膜折り重ね領域を含む、弁膜構成体を用意することと、
複数の外側フレーム交連ポストを含む外側フレームを用意することであって、前記外側フレームが、更に、外側フレーム内側面と、外側フレーム外側面と、外側フレーム流入縁と、環状ショルダとを含み、前記環状ショルダが、前記外側フレーム流入縁に対向して位置するショルダ面を有する、外側フレームを用意することと、
前記ブリッジ領域の各々をブリッジループにするように折ることと、
各外側フレーム交連ポストが前記複数のブリッジループの1つのブリッジループ内に配置されるように、前記外側フレームの対応する外側フレーム交連ポストの周りに各ブリッジループを配置することと、
前記弁膜の前記折り重ね領域が第1プロファイルを持つように、前記弁膜の前記折り重ね領域を前記外側フレーム内側面に固定することと、
内側面と、外側面と、前記内側面と前記外側面との間に延びる流入縁とを含む弁膜フレームを用意することであって、前記弁膜フレームが、更に、前記外側フレーム交連ポストと合致する複数の弁膜フレーム交連ポストを含み、各弁膜フレーム交連ポストがポストスロットを画定する、弁膜フレームを用意することと、
前記弁膜構成体の隣り合う弁膜が前記弁膜フレーム交連ポストの前記ポストスロットを通過して延びるように、前記外側フレームによって画定された内部領域内に前記弁膜フレームを配置することと、
前記弁膜フレームの前記弁膜フレーム流入縁が前記弁膜の前記折り重ね領域に異なる第2プロファイルを取らせるように、かつ前記複数の弁膜の各弁膜の前記折り重ね領域が前記外側フレーム内側面と前記弁膜フレーム外側面との間に位置付けられるように、かつ前記弁膜構成体が前記弁膜フレーム流入縁と前記外側フレームの前記ショルダ面との間に位置付けられるように、前記弁膜フレームを前記外側フレームに固定することと、
を含む、方法。
(態様17)
前記弁膜フレーム、前記外側フレーム及び前記弁膜の前記折り重ね領域が、各々、複数の開口を含み、前記方法が、更に、前記弁膜フレーム、前記外側フレーム及び前記弁膜の前記折り重ね領域の対応する開口を整列することと、固定構造体を隣り合う開口に通すことと、を含む、態様16に記載の方法。
(態様18)
前記固定構成体が縫合糸である、態様17に記載の方法。
(態様19)
前記弁膜フレームが、前記弁膜フレームを前記外側フレームに固定することによって前記外側フレームに固定される、態様16~18のいずれかに記載の方法。
(態様20)
前記弁膜フレームが、前記弁膜の各々の前記折り重ね部分が前記弁膜フレームの前記流入縁の周りで前記弁膜フレームの前記外側面に折り重ねられるように、前記外側フレームに固定される、態様16~19のいずれかに記載の方法。
(態様21)
態様1~15のいずれかに記載の人工弁を外科的に埋植することを含む、不全の自然の心臓弁を治療する方法。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E