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特許7227241調合支援装置及びそれを用いた薬剤の調合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】調合支援装置及びそれを用いた薬剤の調合方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230214BHJP
   G06T 7/62 20170101ALI20230214BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20230214BHJP
【FI】
A61J3/00 310B
G06T7/62
G06T7/70 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020524191
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 US2018059641
(87)【国際公開番号】W WO2019103847
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】102017000134813
(32)【優先日】2017-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】15/865,038
(32)【優先日】2018-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505411125
【氏名又は名称】オムニセル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】トロヴァート、ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】スキャヴィナート、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】アマート、ルカ
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527377(JP,A)
【文献】米国特許第8215557(US,B1)
【文献】特開2015-123205(JP,A)
【文献】特開2015-167646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
G06T 7/62
G06T 7/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調合支援装置であって、
物品を支持するための担体であって、担体の材質は赤外光を透過させるものである担体、
担体の少なくとも一部を上から撮影するように配置された赤外線デジタルカメラ、
担体の下に配置された面光源であって、赤外光を生成し、赤外光を担体を通して前記赤外線デジタルカメラに向けるように構成された面光源、
ディスプレイ、
ディスプレイに表示された1つ又は複数のプロンプトを使用して、医薬調合タスクを通して調合支援装置のユーザをガイドするようにプログラムされたコントローラ、
担体の少なくとも一部を上から撮影するように配置された可視光デジタルカメラ、
可視光デジタルカメラに隣接して配置され、可視光デジタルカメラを使用して写真を撮っている間に光を発するようにコントローラによって制御可能な可視光源、及び
担体にガントリの両端部が固定されるように担体に架け渡されたガントリ
を含み、前記赤外線デジタルカメラ、前記可視光デジタルカメラ、及び前記可視光源はガントリに取り付けられている、調合支援装置。
【請求項2】
担体を載せる重量センサをさらに含み、重量センサは、担体及び担体上の任意の物品の重量を示す信号を生成するように構成されている、請求項1に記載の調合支援装置。
【請求項3】
前記可視光デジタルカメラはカラーデジタルカメラである、請求項に記載の調合支援装置。
【請求項4】
担体の下の面光源は、
複数の赤外発光ダイオード、及び
ディフューザ
を含む、請求項1に記載の調合支援装置。
【請求項5】
担体の下の面光源は複数の赤外発光ダイオードを含み、担体は拡散材料でできている、請求項1に記載の調合支援装置。
【請求項6】
粘着ラベルプリンタをさらに含み、コントローラは、医薬調合タスクの完了時に、調合タスク中に調合された医薬を保持する容器に貼付される粘着ラベルを印刷するようにプログラムされている、請求項1に記載の調合支援装置。
【請求項7】
バーコードスキャナと担体の間の物品からバーコードを読み取るように配置されたバーコードスキャナをさらに含む、請求項1に記載の調合支援装置。
【請求項8】
前記バーコードスキャナがガントリに取り付けられている、請求項に記載の調合支援装置。
【請求項9】
コントローラはさらに、
前記赤外線デジタルカメラによって赤外光で撮影された注射器のデジタル写真を分析し、
デジタル写真の分析に基づいて注射器内の液体の量を推定するようにプログラムされている、請求項1に記載の調合支援装置。
【請求項10】
担体は、注射器のバレルフランジを受容するための形状及びサイズの溝を画定している、請求項1に記載の調合支援装置。
【請求項11】
コントローラは、
前記赤外線デジタルカメラによって赤外光で撮影された注射器のデジタル写真を分析し、
デジタル写真の分析に基づいて注射器のサイズを識別し、
注射器のデジタル写真に容量の表示の注釈を付けるようにさらにプログラムされている、請求項1に記載の調合支援装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の調合支援装置を用いて薬剤を調合する方法であって、
面光源と赤外線デジタルカメラとの間の表示領域に注射器を受け入れるステップ、
赤外線デジタルカメラを使用して、注射器が面光源により逆光を照らされるようにして赤外光で注射器のデジタル写真を撮るステップ、及び
デジタル写真を保存するステップ
を含む方法。
【請求項13】
デジタル写真を自動的に分析して、注射器内の液体の体積を計算するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
デジタル写真を自動的に分析して、デジタル写真内の注射器のサイズ及び位置を確認するステップ、及び
デジタル写真に容量の表示の注釈を付けるステップ
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
面光源と赤外線デジタルカメラとの間に注射器を受け入れるステップは、調合支援装置のユーザから注射器を手動で受け取ることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、ディスプレイ上に示される一連のプロンプトを使用して、調合タスクを通して調合支援装置のユーザを導くステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記デジタル写真は第1のデジタル写真であり、前記方法は、
可視光デジタルカメラを使用して調合過程に関与する容器の第2のデジタル写真を撮るステップ、及び
第2のデジタル写真を第1のデジタル写真と関連付けて保存するステップ
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
第2のデジタル写真を撮るステップは、カラー写真を撮ることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
医薬調合装置であって、
物品を支持するための担体であって、担体の材質は赤外光を透過させるものである担体、
担体にガントリの両端部が固定されるように担体に架け渡されたガントリ、
担体の下に配置された赤外線面光源、
外線デジタルカメラ、
可視光デジタルカメラ、
可視光デジタルカメラに隣接して配置された可視光源、
赤外線面光源と赤外線デジタルカメラとの間の表示領域、及び
コントローラであって、赤外線面光源及び赤外線デジタルカメラを制御し、物品が赤外線面光源により逆光を照らされるようにして、表示領域内の物品の第1の写真を撮り、可視光デジタルカメラを使用して表示領域の第2の写真を撮り、さらに可視光源を制御するようにプログラムされているコントローラ
を含み、前記赤外線デジタルカメラ、前記可視光デジタルカメラ、及び前記可視光源はガントリに取り付けられている、医薬調合装置。
【請求項20】
前記医薬調合装置は、ディスプレイを含む調合支援装置であり、
コントローラは、ディスプレイ上に示されるプロンプトを使用して調合タスクを通して装置のユーザをガイドするようにさらにプログラムされている、請求項19に記載の医薬調合装置。
【請求項21】
調合ロボットである、請求項19に記載の医薬調合装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
薬剤調合は、成分の処理又は組み合わせによる患者個別の薬剤の調製である。多くの薬剤、特に錠剤の形で経口投与される薬剤は、現在、様々な形状及び用量で製造されているため、特定の患者に対する医師の処方箋を満たすためにボトルに適切な数の錠剤を入れる以外に、薬局で準備をする必要はほとんどない。しかし、静脈内送達のための薬剤は、例えば病院の薬局において日常的に調合されている。
【0002】
典型的には、医師は、静脈内(IV)送達のために、特定の患者のために特定の薬剤又は薬剤の組合せを処方する。薬局は処方箋を受け取り、適切な量の各処方薬を含むIV溶液を準備する。調合された薬剤は、患者への投与のために病院のフロアに送られる。
【0003】
汚染物質を混入させることなく、正しい薬剤を正しい比率で調製することが最も重要である。調剤者が従うための詳細なプロトコルが展開されることもある。多数の様々な薬剤の中から選択し、種々のパッケージで、多数の用量で調製し、多数の異なる送達ビヒクルで提供する可能性があるため、異なるプロトコルの数は非常に多くなる可能性がある。
【0004】
調合作業の大部分は、薬剤師として登録されていない労働者又はロボットマシンに委託される場合がある。それに応じて各薬剤の調合に関する綿密な記録が保持されるため、薬剤師は、各薬剤が薬局から出される前にどのように作成されたかを確認できる。記録はまた、その正確性について何か疑問があった場合に、後で特定の薬剤の調製を確認することを可能にする。
【発明の概要】
【0005】
一態様によれば、調合支援装置は、物品を支持するための担体を含む。担体の材質は赤外光を透過させるものである。調合支援装置は、担体の少なくとも一部を上から撮影するように配置された赤外線デジタルカメラをさらに含む。調合支援装置はさらに、担体の下に配置された面光源を含む。面光源は、赤外光を生成し、赤外光を担体を通してデジタルカメラに向けるように構成される。調合支援装置はさらに、ディスプレイ及びコントローラを含む。コントローラは、ディスプレイに表示された1つ又は複数のプロンプトを使用して、医薬調合タスクを通して調合支援装置のユーザをガイドするようにプログラムされている。いくつかの実施形態において、調合支援装置は、担体を載せる重量センサをさらに含み、重量センサは、担体及び担体上の任意の物品の重量を示す信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態において、赤外線デジタルカメラは第1のデジタルカメラであり、調合支援装置は、担体の少なくとも一部を上から撮影するように配置された第2のデジタルカメラをさらに含み、第2のデジタルカメラは可視光カメラである。第2のデジタルカメラは、カラーデジタルカメラであり得る。いくつかの実施形態において、調合支援装置は、第2のデジタルカメラに関連付けられ、第1のデジタルカメラを使用して写真を撮っている間に光を発するようにコントローラによって制御可能な可視光源をさらに含む。いくつかの実施形態において、担体の下の面光源は、複数の赤外発光ダイオード、及びディフューザを含む。いくつかの実施形態において、担体の下の面光源は複数の赤外発光ダイオードを含み、担体は拡散材料でできている。いくつかの実施形態において、調合支援装置は、担体に架け渡されたガントリをさらに含み、赤外線デジタルカメラはガントリに取り付けられる。いくつかの実施形態において、調合支援装置は粘着ラベルプリンタをさらに含み、コントローラは、医薬調合タスクの完了時に、調合タスク中に調合された医薬を保持する容器に貼付される粘着ラベルを印刷するようにプログラムされる。いくつかの実施形態において、調合支援装置は、バーコードスキャナと担体の間の物品からバーコードを読み取るように配置されたバーコードスキャナをさらに含む。いくつかの実施形態において、デジタルカメラは第1のデジタルカメラであり、調合支援装置は、担体の少なくとも一部を上から撮影するように配置された第2のデジタルカメラをさらに含み、第2のデジタルカメラは可視光に反応するものであり、ガントリが担体に架け渡されており、第1及び第2のデジタルカメラ及びバーコードスキャナがガントリに取り付けられている。いくつかの実施形態において、コントローラはさらに、デジタルカメラによって赤外光で撮影された注射器のデジタル写真を分析し、デジタル写真の分析に基づいて注射器内の液体の量を推定するようにプログラムされる。いくつかの実施形態において、担体は、注射器のバレルフランジを受容するための形状及びサイズの溝を画定する。いくつかの実施形態において、コントローラは、デジタルカメラによって赤外光で撮影された注射器のデジタル写真を分析し、デジタル写真の分析に基づいて注射器のサイズを識別し、注射器のデジタル写真に容量の表示の注釈を付けるようにさらにプログラムされる。
【0006】
別の態様によれば、薬剤を調合する方法は、赤外線面光源と赤外線デジタルカメラとの間の表示領域に注射器を受け入れることと、赤外線デジタルカメラを使用して、注射器が赤外線面光源により逆光を照らされるようにして赤外光で注射器のデジタル写真を撮ることと、デジタル写真を保存することとを含む。いくつかの実施形態において、方法は、デジタル写真を自動的に分析して、注射器内の液体の体積を計算することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、デジタル写真を自動的に分析して、デジタル写真内の注射器のサイズ及び位置を確認することと、デジタル写真に容量の表示の注釈を付けることとをさらに含む。いくつかの実施形態において、赤外線面光源及び赤外線デジタルカメラは、調合支援装置に含まれており、赤外線面光源と赤外線デジタルカメラとの間に注射器を受け入れることは、調合支援装置のユーザから注射器を手動で受け取ることを含む。いくつかの実施形態において、調合支援装置は、ディスプレイ及びコントローラを含み、方法は、ディスプレイ上に示される一連のプロンプトを使用して、調合タスクを通して調合支援装置のユーザを導くことをさらに含む。いくつかの実施形態において、赤外線面光源及び赤外線デジタルカメラは調合ロボットに含まれており、赤外線面光源と赤外線デジタルカメラとの間に注射器を受け入れることは、ロボット機構から注射器を受け取ることを含む。いくつかの実施形態において、デジタル写真は第1のデジタル写真であり、方法は、可視光カメラを使用して調合過程に関与する容器の第2のデジタル写真を撮ること、及び第2のデジタル写真を第1のデジタル写真と関連付けて保存することをさらに含む。いくつかの実施形態において、第2のデジタル写真を撮ることは、カラー写真を撮ることを含む。
【0007】
別の態様によれば、医薬調合装置は、赤外線面光源、赤外線デジタルカメラ、赤外線面光源と赤外線デジタルカメラとの間の表示領域、及びコントローラを含む。コントローラは、赤外線面光源及び赤外線デジタルカメラを制御し、物品が赤外線面光源により逆光を照らされるようにして、表示領域内の物品の写真を撮るようにプログラムされている。いくつかの実施形態において、医薬調合装置は、ディスプレイを含む調合支援装置であり、コントローラは、ディスプレイ上に示されるプロンプトを使用して調合タスクを通して装置のユーザをガイドするようにさらにプログラムされている。いくつかの実施形態において、医薬調合装置は調合ロボットである。いくつかの実施形態において、医薬調合装置は、コントローラの制御下にある可視光カメラをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
特許又は出願ファイルには、カラーで作成された図面が少なくとも1つ含まれている。カラー図面を含む特許公報又は公開公報のコピーは、要求に応じて、必要な手数料を支払うことにより、官庁から提供される。
図1】本発明の実施形態による調剤薬局を示す。
図2】本発明の実施形態による手動調合ステーションを示す。
図3】本発明の実施形態による調合支援装置を示す。
図4】本発明の実施形態による、図3の調合支援装置の下側斜視図を示す。
図5】本発明の実施形態による、図3の調合支援装置によるバーコードスキャンを示す。
図6】本発明の実施形態による、調合過程のステップを示す。
図7】本発明の実施形態による、調合過程の別のステップを示す。
図8】本発明の実施形態による、調合過程の別のステップを示す。
図9】本発明の実施形態による、調合過程の別のステップを示す。
図10】本発明の実施形態による、可視光カメラを使用して撮影され得る写真を示す。
図11】本発明の実施形態による、赤外線カメラを使用して撮影され得る注射器の写真を示す。
図12】本発明の実施形態による、調合過程の別のステップを示す。
図13】本発明の実施形態による、調合過程の別のステップを示す。
図14】本発明の一実施形態における図3の調合支援装置の面光源及び赤外線カメラの配置を示す。
図15】赤外線カメラを使用して撮影された、図11の写真と同様の写真を示し、本発明の実施形態による画像分析を示している。
図16】本発明の実施形態による図15の画像の縦線に沿ったピクセルの輝度のトレースの例を示す。
図17】本発明の実施形態による、赤外線画像に注釈を付ける方法を示す。
図18】本発明の一実施形態による図3の調合支援装置における可視光カメラの配置を示す。
図19】本発明の実施形態による可視光カメラによって撮影され得るいくつかの注射器の例示的な写真を示す。
図20】本発明の実施形態による図3の調合支援装置の簡略化されたブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態による調剤薬局100を示す。薬局100の作業は、以下により詳細に説明される薬局サーバ101によって調整される。薬局サーバ101は、例えば、医師からの処方箋などの調合薬の注文を受け取る。薬局サーバ101は、受け取った注文の広範な記録、薬剤の調合のための詳細なプロトコル、注文に応じた薬剤の調製の記録、及び他の項目を維持する。薬局サーバ101はまた、ステーション102a及び102bなどの手動調合ステーション、ならびに1つ又は複数のロボット調合機103を含み得る1つ又は複数の調合ステーションにタスクを割り当てる。調合ステーションはまた、例えば注文された各薬剤の調合の記録などの情報を薬局サーバ101に報告してもよい。
【0010】
作業材料は供給店104から調合ステーションに供給される。薬局サーバ101は、供給店104の材料の在庫を維持することができ、薬局100内の薬剤及び供給の動きを追跡することができる。
【0011】
完成した製品は薬剤師によって確認され、薬局100からそれらが使用される場所、例えば看護師が患者に投与するための病室に送達される。上記の説明は非常に一般化されており、実際の調剤薬局は他の多くのシステム及び設備を有し得ることが理解されよう。
【0012】
図2は、本発明の実施形態による手動調合ステーション102aを示す。調合ステーション102aは、表面202上に調合支援装置201を含む。作業中の材料の汚染を回避するのを助け、及び調合ステーション102aのユーザを保護するため、調合支援装置201を、濾過された空気を調合支援装置201上及び表面202上に流す層流フード203の下に配置することができる。
【0013】
図示の例では、調合ステーション102aは、簡単な調合タスクのための供給を受けている。バイアル204で供給される薬剤は、IV点滴バッグ205に加えるためのものである。注射器206は、移送を達成するために使用され得る。
【0014】
調合支援装置201は、調合者がIV点滴バッグ205内に製剤を適切に調製し、プロセスを完全に記録するのを補助するいくつかの特徴及び能力を有する。調合支援装置201は、薬局サーバ101へのネットワーク接続207を有し、調合支援装置201は、調合タスクを実行するのに必要なステップを記述したプロトコルを薬局サーバ101から受信することができる。
【0015】
調合支援装置201ディスプレイ画面208を含み、そこにユーザへの指示が提示されるか、又はそれを介してユーザが情報を入力することができる。例えば、ディスプレイ画面208は、タッチ感受性であり、タッチの位置を識別することができるタッチスクリーンディスプレイであってもよい。調合支援装置201はまた、以下でより詳細に説明するように、それらが計量又は写真撮影される間、物品を保持するための担体を提供するトレイ209を含む。
【0016】
図3は、本発明の実施形態による、トレイ209が取り外された状態の調合支援装置201を示す。図3には、トレイ209及びその内容物を計量するための、例えばロードセルなどの重量センサ301が見られる。面光源302も見られる。面光源302は、二次元拡張又は面光源であり、多くの箇所から、又はその面全体にわたって途切れなく光を放射する。面光源302は、例えば、赤外光でトレイ209の一部を下から照らす赤外光パネルであってもよい。
【0017】
図4は、本発明の実施形態による、調合支援装置201の下側斜視図を示す。ガントリ401はトレイ209に架け渡されている。ガントリ401には、バーコードスキャナ402、可視光カメラ403、赤外線カメラ404が配置されている。可視光カメラ403は、上からトレイ209の少なくとも一部を照らすための1つ又は複数の光源405をさらに含むことができる。光源405は、例えば、可視光カメラ403を取り囲む1つ以上の白色光発光ダイオード(LED)、又は別の種類の光源であってよい。この開示の目的において、約400~700ナノメートルの光波長を含む場合、その光は「可視」光である。可視領域に十分な波長が含まれ、合理的に完全な色認識が可能な場合、光は「白色」である。
【0018】
トレイ209の上の領域は、赤外線カメラ404又は可視光カメラ403によって撮影されるか、又はバーコードスキャナ402によってスキャンされる物品の表示領域と呼ばれ得る。他の実施形態では、物品は必ずしも下から照らされ、上から撮影されなくてもよい。例えば、調合ロボットでは、ロボット機構は、カメラの視野内で撮影される物品を任意の向きで保持することができる。例えば、物品は下からや、水平方向から撮影され得る。
【0019】
バーコードスキャナ402は、トレイ209とバーコードスキャナ402との間の表示領域に保持された物品上のバーコードを読み取るように配置される。可視光カメラ403及び赤外線カメラ404は、トレイ209上の物品の写真を撮る位置である。
【0020】
薬剤の調合中に、重量センサ301、バーコードスキャナ402、可視光カメラ403、及び赤外線カメラ404のうちの1つ又は複数を使用して、薬剤がどのように調合されたかの記録を提供し、エラーを回避することができる。
【0021】
例えば、図2に示される調合タスクを実行するために、薬局サーバ101は、詳細な一連の命令を調合支援装置201に送信し、次いで調合支援装置201は、特定の薬剤を、必要とされる特定の用量で、特定の送達ビヒクルでの送達用に製剤化するのに必要なステップを介してユーザを導く。この例では、タスクには、5000ユニット/mlのヘパリン溶液を含むバイアルから30000ユニットのヘパリン(一般的な抗凝固剤)をIV点滴バッグに移すことが含まれ得る。したがって、移されるべき溶液の体積は6mlである。移す作業に必要なバイアル204及びIV点滴バッグ205は、注射器206とともに調合ステーション102aに供給されている。
【0022】
第1に、調合支援装置201は、バイアル204をバーコードスキャナ402に提示することをユーザに要求する。それにより、バイアル204上の識別バーコードを読み取ることができ、システムが正しい濃度の正しいバイアルが提供されたことを確認することができる。そうでない場合は、エラーメッセージが生成され、調合タスクが停止する。スキャン手順は、スクリーン208に示されたプロンプト例とともに図5に示されている。調合支援装置201は、バーコードが検出されたことを自動的に認識し、次のステップに進むことができる。あるいは、このステップ及びその他のステップで、ユーザからの確認を要求してもよい。
【0023】
図6は、バイアル204の初期重量を収集する調合過程の第2のステップを示す。この目的のために、バイアル204はトレイ209に置かれる。トレイ209は、バイアル204が置かれるべき場所を示すアイコン601を含んでもよく、また、バイアル204の適切な載置を補助するための機械的特徴を含んでもよい。例えば、緩やかなV字形の谷をトレイ209に形成することができる。調合支援装置201は、トレイ209上のバイアル204の重量を自動的に認識し、重量を記録し、調合過程の次のステップに進むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、バイアル204はまた、可視光カメラ403を用いて、周囲光、光源405からの光、又はそれらの組合せを使用して、トレイ209上にある間に撮影されてもよい。
【0025】
図7は、IVバッグ205の初期重量を収集する第3のステップを示す。次に、調合支援装置201は、バイアル204から注射器206に正しい量(6ml)の溶液を引き抜くようにユーザに促すことができる。
【0026】
図8は、図6に示される初期バイアル重量を取得したのと同様の方法で、バイアル204の引き抜き後の重量を取得する第4のステップを示す。システムは、記録管理のため、及び適切な量の溶液が引き抜かれたことを確認するために、バイアル204の2つの重量を比較してバイアル204から引き抜かれた溶液の量を計算することができる。
【0027】
図9は、充填された注射器を写真撮影する第5のステップを示す。この目的のために、トレイ209は、注射器206の載置のためのアイコン901を含んでもよく、トレイ209上の注射器206の正しい載置及び位置合わせを容易にする機械的特徴、例えば、V字形の谷、又は注射器206のバレルフランジの縁を受け入れる形状及びサイズにされた溝902を含んでもよい。他の基準マークが存在してもよい。
【0028】
注射器206は、可視光カメラ403を使用して撮影することができるが、赤外線カメラ404を使用して撮影することが好ましい。図10は、可視光カメラ403を使用して撮影され得る写真を示す。(可視光カメラ403は、図10に示されるよりも大きな視野を有することが好ましいが、説明を容易にするために、注射器206は、より大きな視野から切り出されている。)図10の写真では注射器206を容易に見ることができるが、この写真はグレアスポット1001の影響を受けており、調合支援装置201の制御下にない周囲光源の影響を受けている可能性がある。
【0029】
図11は、赤外線カメラ404を使用して撮影され得る注射器206の写真を示す。トレイ209は赤外線放射を透過させるため、注射器206は、赤外線光源302によって逆光を照らされる。例えば、トレイ209は、赤外線放射を実質的に透過させるものであってもよく、又は半分透過させるものであってもよい。いくつかの実施形態において、トレイ209は、ポリカーボネート又は別の適切なポリマー又はポリマーのブレンドから作製され得る。赤外線カメラ404は、赤外光をカメラ404に通すが、可視スペクトルを遮断する波長選択性光学フィルタを有することができる。したがって、可視光から形成されるグレアスポットは、図11の写真から除外されている。その結果、注射器206の特徴がより明確になる。
【0030】
どの種類のカメラが使用されても、調合支援装置201は、いくつかの目的のいずれかのために、結果として得られる写真を自動的に分析することができる。例えば(図11を参照)、注射器206のプランジャ1101の位置が自動的に認識され、引き抜かれた液体1102の量が、注射器206の既知の寸法に基づいて計算される。いくつかの実施形態において、気泡1103などの気泡が検出され、それらが調製中の薬剤の用量に著しく影響を与えるのに十分な大きさである場合、フラグが立てられ得る。いくつかのプロトコルでは、バイアル204から液体を引き抜く前後の注射器206の重量を用いて、正しい量の液体が注射器206に入れられたことを確認することができる。その場合、調合支援装置201はまた、各計量時に注射器206を撮影し、その写真を分析することで、注射器のキャップ1104が別の計量時には含まれていないのに、ある1回の計量時に誤って含まれてはいないかを検出することができる。トレイ209上の基準マーク1105は、既知の位置に配置され、写真で検出され、写真内の距離を較正するために使用され得る。
【0031】
図12は、注射器206からの溶液の添加後にIVバッグ205が再計量される第6のステップを示す。調合支援装置201は、バッグ205の前後の重量を比較して、正しい量のヘパリン溶液がバッグ205に入れられたことを確認することができる。
【0032】
図13は、(システム内のすべてのチェックにより、調合過程が正しく行われたことが確認されたと仮定して)調合支援装置201が、ラベルプリンタ1303を使用して、バッグ205に配置されるラベル1301を印刷し、ユーザに、ラベル1301をバッグ205に貼るように促す第7のステップを示す。次に、完成した薬剤をそれが使用される場所に送達し、例えば注射器206などの任意の消耗品を処分することができる。ディスプレイ208を使用して、ラベル1301が貼付されていることを確認1302するようにユーザに求めてもよい。いくつかの実施形態において、薬剤師の確認のために、完成したバッグ205の最終写真を撮影してもよい。
【0033】
上記の調合過程は一例にすぎず、異なる薬剤容器を使用したり、過程の検証のために異なる情報又は追加情報を収集したり、あるいは他の点で図示の例とは相違する異なるステップを有する多くの異なる調合ワークフローを実装することができる。
【0034】
上記の例は、調合ワークステーション102aの文脈で示されたが、図1に示されるロボット調合装置103などのロボット調合装置を使用した調合において、同様の過程を行ってもよい。ロボット調合機は、通常は囲われた機械であり、ロボット機構を使用して、バイアル、注射器、バッグなどを扱い、調合薬を調製する。ロボット調合機は、はかり、1つ又は複数のカメラ、攪拌装置、廃棄ポート、材料及び供給物装填ウィンドウ、及び完成した薬剤を送達するための送達ウィンドウを含み得る。ロボット調合機は、調合過程で人的エラーの影響を受けることはないが、成分の不適切な装填、機械的誤動作、プログラミングエラーなどから保護するために、作業において様々な重量及び写真のチェックを行う。
【0035】
調合が手動で行われるかロボットで行われるかにかかわらず、調合過程中に収集されたデータは、例えば薬局サーバ101に保存され、担当の薬剤師が確認することができる。例えば、薬剤師は、正しい薬剤を含有する正しい種類のバイアルがバーコードスキャンによって識別されたことを確認できる。用量は、注射器の写真、バイアルの前後の重量、バッグの前後の重量、又はこれらの任意の組合せを見ることで確認できる。調合過程中に撮影された任意のデジタル写真は、薬剤師による検査に利用可能にされる。例えば、薬剤師は、図11の写真のような写真を見て、注射器206に引き込まれた液体に過剰な気泡が含まれていたかどうかを判断することができる。
【0036】
調合タスクが完了すると、薬局サーバ101は、調合ステーション102aに別の調合タスクを割り当て、新しいタスクに従って調合支援装置201に別のプロトコルをダウンロードしてもよい。
【0037】
図14は、本発明の一実施形態における、調合支援装置201の面光源302及び赤外線カメラ404の配置を示す。
この例では、面光源302は、回路基板1402に取り付けられた赤外線発光ダイオード(LED)1401のアレイを含む。赤外線LED1401からの光は、ディフューザ1403を通過し、上方に散乱される。光の一部は、赤外線カメラ404のレンズ1404に到達し、プリント基板1406に取り付けられた電子アレイ光センサ1405上に画像を形成する。プリント基板1406は、電子アレイ光センサ1405を制御するための信号を受信するために、調合支援装置201内のコントローラと相互作用することができる。
【0038】
赤外線LED1401は、近赤外線波長の、例えば約700~900ナノメートルの光を放出することができる。他の実施形態では、他の波長を使用することができる。ディフューザ1403は、面光源302上に配置された、例えば注射器206などの物品に対し概して均一なバックライトを提供する。面光源302は、調合支援装置201内の電子コントローラによって制御されてもよい。いくつかの実施形態において、トレイ209は拡散材料で作られてもよく、ディフューザ303に加えて、又はそれに代えて、面光源302からの光を拡散するために使用されてもよい。
【0039】
他の実施形態において、他の種類の光源、例えば、片側に散乱特徴を有するエッジライト付き導光板を使用してもよい。この構成では、光源が光を導光板の1つ以上のエッジに向け、光は散乱特徴の1つに当たるまで導光板内の全内部反射によって伝播する。散乱光の一部は、導光板の散乱特徴の反対側から散乱される。散乱特徴は、好ましくは、導光板を出る光の強度が導光板の領域全体でほぼ均一になるように分散されている。ディフューザは、導光板を出る光をさらに拡散させて輝度をさらに均一にするために使用することもできる。
【0040】
電子アレイ光センサ1405は、例えば、電荷結合素子(CCD)センサ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ、又は別の適切な種類のセンサであり得る。一般にこのようなセンサは、いくつかの半導体材料の、材料に光が当たると光の強度に比例して自由電子が生成されるという特性を利用する。センサは、「ピクセル」と呼ばれる特定の感光領域に分割される。画像を捕捉するには、ピクセルをリセットしてから、露光時間にわたり露光する。露光時間の終わりに、各ピクセルに蓄積された電荷の量が測定され、数値に変換される。これらの数値のアレイは「デジタル画像」と呼ばれ、アレイ内の各値は対応するピクセルに当たる光の明るさを表す。
【0041】
CCDセンサでは、蓄積された電荷はセンサから電荷増幅器にシフトされ、その出力はピクセルごとにデジタル化される。CMOSセンサでは、蓄積された電荷はシフトされずに各ピクセルから直接読み取ることができる。
【0042】
電子アレイ光センサ1405は、トレイ209にある対象の特徴を解像するのに十分な任意の数のピクセルを有し得る。いくつかの実施形態において、電子アレイ光センサ1405は、2560×1920ピクセル、すなわち約5メガピクセルのアレイを含むことができる。他の実施形態では、他のアレイサイズを使用することができる。電子アレイ光センサ1405は、面光源302によって放出される赤外線波長の光に反応性である。例えば、電子アレイ光センサ1405は、近赤外光に反応するシリコンベースのセンサであり得る。赤外線カメラ404は、他の波長を排除する光学フィルタ(図示略)を含み得る。光学フィルタは、例えば、対象とする波長の光を通過させるが、他の波長の光、例えば可視光を遮断するダイクロイックフィルタであってもよい。
【0043】
上記で説明したように、赤外線カメラ404は、可視光カメラ403を使用して撮影したトレイ209上の物品の写真よりも、医薬品の調合に関していくつかの点でより鮮明であり得る写真を生成できる。例えば、室内の周囲の光によって引き起こされるグレアスポットを大幅に除去できる。この鮮明さは、赤外線カメラ404を使用して撮影されたデジタル写真を、確認する薬剤師に役立ち得る測定及び注釈のために分析するのを容易にする。
【0044】
図15は、赤外線カメラ404などの赤外線カメラを使用して撮影された図11の写真と同様の写真を示し、本発明の実施形態による画像分析を示す。調合支援装置201内のコントローラは、トレイ209上の基準マーク1105の既知の位置、電子画像センサ1405のピクセル数、及びレンズ1404を含む光学系の倍率に基づき、画像ピクセルで測定された基準マーク1105の相対的な位置を「知る」ことができる。コントローラは、画像内の基準マークの予想される位置の近くにある暗い点のパターンを探すことにより、画像内の基準マークをすばやく見つけることができる。画像内の基準マークのピクセル位置を、参照用に記録してもよい。
【0045】
図15に見られるように、注射器206のバレルフランジ1501は、トレイ209の溝902に配置されており、したがって、バレルフランジ1501は、図15に示される「X」方向で基準マーク1105に対して正確に配置される。次に、コントローラは、基準マーク近くの画像内のピクセルの輝度の値のクエリーを実行して、注射器206の縁を「Y」方向に配置することができる。例えば、縦線1502、1503、及び1504に沿ったピクセルを分析して、注射器206の部品の縁の存在を示す急激な明から暗及び暗から明への遷移を探すことができる。
【0046】
図16は、左下の基準マーク1505から+Y方向に移動する、縦線1502に沿ったピクセルの輝度のトレースの例を示す。幅Wがまたがる遷移は、注射器206の針を含むと推定され得る。針の予想される位置で輝度の低下が検出されない場合、コントローラは、針が注射器206に取り付けられていないと見なすことができる。低下が検出されたと仮定して、幅Wがまたがる領域の中心線は、針の中心線であると推定することができる。幅Wは、注射器の部品の既知の寸法と比較して、針にキャップが存在するか否かを決定することができる。
【0047】
再び図15を参照して、同様のトレースが他の線に沿って実行され、ルアーロック1506の存在及びサイズ、又は注射器206のプランジャ(ラベルなし)の存在及びサイズを検出することができる。検出された寸法は、標準的な注射器の記憶された寸法と比較され、その結果、注射器206のサイズが自動的に決定される。
【0048】
他の実施形態では、他の画像処理技術を使用して、デジタル画像から注射器の位置及びサイズを確認することができる。例えば、事前に準備された注射器の写真を用いて相関処理を実行することができる。以前の写真を現在の写真といくつかの方向及び位置で比較して、現在の写真の注射器と最もよく相関する場所を見つけ、現在の写真の注射器の位置を確認することができる。基準マーク1105もこの方法で見つけることができる。他の実施形態では、合成注射器画像を相関処理で使用することができる。他の多くの技術が可能である。
【0049】
ピクセル空間で注射器206のサイズ及び位置が分かると、コントローラは注射器のデジタル画像に注釈を付けて、薬剤師が画像が撮られた調合作業を確認するのを助けることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、類似の画像処理技術を使用して、デジタル画像内でプランジャ1507を見つけることができる。プランジャ1507の位置、注射器206の位置及び向き、ならびに注射器206のサイズが与えられると、注射器206内の液体の体積の推定値を計算することができる。
【0051】
図17は、本発明の実施形態による、赤外線画像に注釈を付ける1つの方法を示す。注射器206のサイズ及び位置が確認されると、プランジャ位置に基づき注射器内の液体の体積を示す注射器バレル上の目盛り1701の位置を含む、事前に記録された測定値を有する標準注射器にサイズを関連付けることができる。図17では目盛り1701がよく見えるが、常にそうであるとは限らない。トレイ209上の注射器の配置によっては、目盛り1701は、どの画像でも容易に見えない場合がある。例えば、注射器206は、目盛り1701が下を向くようにトレイ209上に配置されている場合や、注射器206内の液体が不透明であり、目盛り1701を隠している場合がある。
【0052】
注射器206の既知のサイズ及び位置を使用して、調合支援装置201は、そのいずれかのカメラによって撮られた画像に注釈を付けて、プランジャ位置の可読性を向上させることができる。図17において、調合支援装置は、画像のいくつかのピクセルを変更して、目盛り1701の計算された位置に対応する線1702を示し、線1702によって表される液体体積を示す文字1703も追加している。他の実施形態では、例えば異なる色を使用して、他の種類の注釈を提供することができる。
【0053】
図18は、本発明の一実施形態における調合支援装置201の可視光カメラ403の配置を示す。可視光カメラ403は、正しい成分が調合タスクで使用されたことの確認、結果として得られる製品の呈するべき外観の最終確認、又はその他の目的で、トレイ209上の物品を撮影するために使用できる。可視光カメラ403はカラーカメラであってもよく、これは処方薬が正いであろうことのさらなる確認として、処方薬の色を記録するために特に有用であり得る。(上記の例の赤外線カメラ404は、記録するのが狭帯域の赤外線波長であることと、そのピクセルにカラーフィルタを有しないため、色を識別できない。)
可視光カメラ403は、その視野内で受けた光を、プリント基板1803に取り付けられた電子センサアレイ光センサ1802に集束させるレンズ1801を含む。可視光カメラ403は、赤外線波長がセンサ1802に到達するのを実質的に防止する二色性フィルタなどの光学フィルタ(図示略)を含むことができる。光源405を使用して、トレイ209を照らす任意の周囲の光を補足してもよい。例えば、光源405は、トレイ209に向けられた白色LEDであり、調合支援装置201内のコントローラによって制御可能とすることができる。
【0054】
電子アレイ光センサ1802は、CCDセンサ、CMOSセンサ、又は上記のような別の適切な種類のセンサとすることができ、トレイ209にある対象の特徴を解像するのに十分なピクセルを有する。例えば、センサ1802は、2560×1920ピクセル、すなわち約5メガピクセルのアレイを含み得る。他のセンササイズを使用してもよい。センサ1802は、好ましくは、可視光カメラ403がカラー画像を記録できるように、個々のピクセル上に配置されたカラーフィルタを含む。例えば、センサ1802は、周知のベイヤーパターンの赤、緑、及び青のフィルタを含み得る。
【0055】
可視光カメラ403及び赤外線カメラ404は、調合支援装置201による制御のための標準インターフェースを含む事前に組み立てられたカメラモジュールとして提供され得る。適切なカメラモジュールは、ドイツのアーレンスブルクにあるBasler AG及びドイツのオーバーズルムにあるIDS Imaging Development Systems GmbHから入手できる。
【0056】
図19は、光源405を使用して可視光カメラ403によって撮影され得る、いくつかの注射器1901a~1901fの例示的な写真を示す。注射器1901a~1901fはそれぞれ異なる色の流体を含む。図19の液体は必ずしも医薬品ではないが、図19は、可視光カメラ403が広範囲の色を識別できることを示し、可視光カメラ403で撮られた写真は、薬剤師が調合された液体が期待された色であることを確認し、調合が正しく行われたという信頼を強化すること、あるいは調合された液体が予期された色ではないことを検出し、調合が正しく行われていない可能性があることを示すことを可能にする。
【0057】
図20は、本発明の実施形態による、調合支援装置201の簡略ブロック図を示す。調合支援装置201は、プロセッサ2002、メモリ2003、及びネットワークインターフェース2004を備えるコントローラ2001を含む。メモリ2003は、動的メモリ、不揮発性メモリ、大容量記憶装置、又は他の種類のメモリを任意の適切な組合せで含み得る。メモリ2003の一部はプロセッサ2002のための命令を保持し、それが実行されると調合支援装置201の動作を制御する。他の種類の情報、例えばデジタル画像の作業用コピー、一時変数、及び他の種類の情報も同様にメモリ2003に格納することができる。ネットワークインターフェース2004により、コントローラ2001は外部と、例えば、上述の薬局サーバ101などのサーバと通信することができる。
【0058】
調合支援装置201はさらに、上述のように、すべてコントローラ2001と通信し、コントローラ2001の制御下にある赤外線カメラ404、バーコードスキャナ402、及び可視光カメラ403を含む。赤外線光源302及び可視光源405もまた、コントローラ2001の制御下にあり、様々な時間にオン及びオフにされる。いくつかの実施形態では、いずれか又は両方の光源によって生成される光の強度は、コントローラ2001の制御下で調整可能であり得る。タッチスクリーンディスプレイ208は、調合支援装置201のユーザに情報を伝達することができ、ユーザから指示を受け取ることができる。
【0059】
ラベルプリンタ1303は、ラベルの印刷のためにコントローラ2001からコマンド及びデータを受け取る。重量センサ301は、トレイ209及びその上の任意の物品の重量を示す信号をコントローラ2001に提供する。
【0060】
調合支援装置201のための他の構造が使用されてもよい。
添付の特許請求の範囲において、「1つ」という用語は、「1つ又は複数」を意味するように意図されている。「含む」という用語、ならびに「含み」などのその変形は、ステップ又は要素の列挙について記載される場合、さらなるステップ又は要素の追加は任意であり、除外されないことを意味するものとする。本明細書に開示される要素及び特徴の実行可能な任意の組合せも開示されていると見なされることを理解されたい。
【0061】
以上、本発明は明確化及び理解の目的で詳細に説明された。しかしながら、当業者は、添付の特許請求の範囲内で特定の変更及び修正を実施できることを理解するであろう。
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