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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】ウェイストゲート統合排気流制御
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/18 20060101AFI20230214BHJP
   F01N 13/10 20100101ALI20230214BHJP
【FI】
F02B37/18 D
F02B37/18 E
F01N13/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020524765
(86)(22)【出願日】2018-11-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 EP2018079922
(87)【国際公開番号】W WO2019096588
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】17201958.0
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516323231
【氏名又は名称】パーキンス エンジンズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PERKINS ENGINES COMPANY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】リチャード クライスワイク
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015105219(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0208680(US,A1)
【文献】特表2005-509791(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102006058102(DE,A1)
【文献】特開2007-046487(JP,A)
【文献】実開昭61-033919(JP,U)
【文献】国際公開第2017/150543(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102006031702(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 33/00-41/10,
F01N 1/00- 1/24, 5/00- 5/04,
13/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジン用の排気マニホールドであって、前記排気マニホールドは、
前記内燃エンジンのシリンダの第1のバンクからのみ排気ガスを受けるように、前記内燃エンジンのシリンダの前記第1のバンクに接続可能な少なくとも1つの第1の排気ガス入口と、
前記内燃エンジンのシリンダの第2のバンクからのみ排気ガスを受けるように、前記内燃エンジンのシリンダの前記第2のバンクに接続可能な少なくとも1つの第2の排気ガス入口と、
ツインらせんターボチャージャのそれぞれの第1及び第2らせんに接続可能な第1及び第2の排気ガス出口と、
前記ターボチャージャをバイパスするバイパス通路に接続可能な少なくとも1つのウェイストゲート出口と、
前記マニホールド内に配置された分流バルブであって、前記第1及び第2の排気ガス入口からの排気ガスを前記第1及び第2の排ガス出口及び前記ウェイストゲート出口の内の少なくとも1つに選択的に導くように構成されている分流バルブと、を備え、
前記分流バルブは、
前記分流バルブが前記排気ガスの全てを各排気ガス入口から第1の排気ガス出口へ分流させ、少なくとも1つのウェイストゲート出口を通る排気ガスの流れを阻止する第1の位置と、
前記分流バルブが各排気ガス入口から前記第1及び第2の排気ガス出口への前記排気ガスの別々の流れをそれぞれ維持し、前記少なくとも1つのウェイストゲート出口を通る排気ガスの流れを阻止する第2の位置と、
前記分流バルブが前記第2の位置の前記排気ガスの別々の流れを維持し、前記少なくとも1つのウェイストゲート出口を通る排気ガスの流れを許容する第3の位置と、の間を選択的に移動するように構成される、排気マニホールド。
【請求項2】
前記分流バルブは、前記排気ガス入口及び前記排気ガス出口の中間にある排気チャンバ内に配置され、前記少なくとも1つのウェイストゲート出口は、前記排気チャンバと流体連通しており、前記分流バルブは、少なくとも1つのウェイストゲート開口を有するバルブ本体を含み、前記少なくとも1つのウェイストゲート出口と少なくとも部分的に整列させて、排気ガスが前記ウェイストゲート出口に導かれるようにしなければならない、請求項1に記載の排気マニホールド。
【請求項3】
前記バルブ本体は、回転可能なベース上に取り付けられた分流板を備える回転バルブ本体であり、前記分流板は、前記排気ガスの流れを分流させ、前記少なくとも1つのウェイストゲート開口は、前記回転可能なベース内に設けられている、請求項に記載の排気マニホールド。
【請求項4】
前記排気マニホールドは、一対のウェイストゲート出口を有し、前記回転可能なベースは、対応する一対のウェイストゲート開口を有し、前記ウェイストゲート開口は、前記分流板のいずれかのに位置し、前記回転可能なベースに設けられている、請求項に記載の排気マニホールド。
【請求項5】
前記バルブ本体は、外壁を有し、かつ、前記バルブ本体を2つの部分に分割する分流板を収容する回転可能な円筒形本体であり、前記バルブ本体の前記壁は、入口及び出口排気ガス開口と、前記少なくとも1つのウェイストゲート開口とを含む、請求項に記載の排気マニホールド。
【請求項6】
前記排気チャンバの外部の周囲に配置され、前記バイパス通路と流体連通するウェイストゲートチャンバをさらに備え、前記少なくとも1つのウェイストゲート出口が前記排気チャンバ及び前記ウェイストゲートチャンバを接続する、請求項に記載の排気マニホールド。
【請求項7】
前記バルブ本体は、外壁を有し、かつ、排気流を導く分流部分を収容する回転可能な円筒形本体であり、前記バルブ本体の前記壁は、入口および出口排気ガス開口と、前記少なくとも1つのウェイストゲート開口とを含む、請求項に記載の排気マニホールド。
【請求項8】
内燃エンジン用のツインらせんターボチャージャであって、前記ターボチャージャは、
排気マニホールドの第1の排気ガス出口からのみ排気ガスを受けるように、前記排気マニホールドの前記第1の排気ガス出口に接続可能な第1の排気ガス入口と、
前記排気マニホールドの第2の排気ガス出口からのみ排気ガスを受けるように、前記第1の排気ガス入口から分離し、前記排気マニホールドの前記第2の排気ガス出口に接続可能な第2の排気ガス入口と、
それぞれの前記第1及び第2の排気ガス入口と流体連通する第1及び第2のらせんと、
前記第1及び第2のらせんをバイパスするバイパス通路に接続可能な少なくとも1つのウェイストゲート出口と、
前記排気ガス入口と前記らせんとの間に位置する分流バルブであって、該分流バルブが前記第1及び第2の排気ガス入口から前記第1及び第2のらせん並びに前記ウェイストゲート出口の内の少なくとも1つに排気ガスを選択的に導くように構成される、分流バルブと、を備え、
前記分流バルブは、
前記分流バルブが前記排気ガスの全てを両方の前記排気ガス入口から前記第1のらせんに分流させ、前記少なくとも1つのウェイストゲート出口を通る排気ガスの流れを阻止する第1の位置と、
前記分流バルブが前記第1及び第2の排気ガス入口から前記第1及び第2のらせんへの前記排気ガスの別々の流れをそれぞれ維持し、前記少なくとも1つのウェイストゲート出口を通る排気ガスの流れを阻止する第2の位置と、
前記分流バルブが前記第2の位置の前記別々の流れを維持し、前記少なくとも1つのウェイストゲート出口を通る排気ガスの流れを許容する第3の位置と、の間を選択的に移動するように構成される、ターボチャージャ。
【請求項9】
前記分流バルブは、前記排気ガス入口及び前記らせんの中間にある排気チャンバ内に配置され、前記少なくとも1つのウェイストゲート出口は、前記排気チャンバと流体連通しており、前記分流バルブは、少なくとも1つのウェイストゲート開口を有するバルブ本体を含み、前記少なくとも1つのウェイストゲート出口と少なくとも部分的に整列させて、排気ガスが前記ウェイストゲート出口に導かれるようにしなければならない、請求項8に記載のターボチャージャ。
【請求項10】
前記バルブ本体は、回転可能なベース上に取り付けられた分流板を備える回転バルブ本体であり、前記分流板は、前記排気ガスの流れを分流させ、前記少なくとも1つのウェイストゲート開口は、前記回転可能なベース内に設けられている、請求項に記載のターボチャージャ。
【請求項11】
前記ターボチャージャは、一対のウェイストゲート出口を有し、前記回転可能なベースは、対応する一対のウェイストゲート開口を有し、前記ウェイストゲート開口は、前記分流板のいずれかのに位置し、前記回転可能なベースに設けられている、請求項1に記載のターボチャージャ。
【請求項12】
前記バルブ本体は、前記バルブ本体を2つの部分に分割する分流板を収容する回転可能な円筒形本体であり、前記バルブ本体の壁は、入口および出口排気ガス開口と、前記少なくとも1つのウェイストゲート開口とを含む、請求項に記載のターボチャージャ。
【請求項13】
前記排気チャンバの外部の周囲に配置され、前記バイパス通路と流体連通するウェイストゲートチャンバをさらに備え、前記少なくとも1つのウェイストゲート出口が前記排気チャンバ及び前記ウェイストゲートチャンバを接続する、請求項1に記載のターボチャージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジンの分野、特にターボチャージ内燃エンジンの排気システムに関する。本発明は、このようなシステムのための排気流量制御バルブであり、バルブは排気流を制御し、統合されたウェイストゲートを含む。
【背景技術】
【0002】
ターボチャージングは、内燃エンジンに関連して長年使用されてきた。比較的近年、ツインらせん(ツインスクロールとしても知られる)ターボチャージャが導入され、ブースト応答性の向上、パワーバンド全体での出力増加、同時に燃費向上が図られている。これらのツインらせんターボチャージャは、タービンをハウジング内に配置し、これにより、別個のらせんを介してエンジン内の別個のバンクのシリンダから順番に排気流を受け取る。排気流のこの交互のシーケンスは、遅れを減少させ、上述した向上をもたらすのに役立つ。
【0003】
ツインらせんターボチャージャの性能をさらに向上させるために、エンジンの状態および性能要件に応じて排気流を任意の時点に一方または両方のらせんに選択的分流できる分流バルブをターボチャージャのハウジングに設けることも知られている。ターボチャージャの過昇圧または過速度の事象を回避するために、ターボチャージャのハウジングにもウェイストゲート、すなわち排気バイパスが設けられており、これを開いて排気流が必要なときにターボチャージャをバイパスできるようにすることができる。ターボチャージャにおけるこのような配置の例は、EP1440222B1に見られる。
【0004】
分流バルブとウェイストゲートの両方を別々の部品として提供することは、ターボチャージャの複雑さとそれに付随するコストを増加させる。さらに、EP´222および他の先行技術では、ターボチャージャのツインらせんが単一の入口通路またはタービンスロートからの排気流を受け取ることが開示されているため、シリンダの別個のバンクからの排気流がスロート内で互いに干渉する可能性があり、従ってツインらせんターボチャージャの性能上の利益が減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、これらの1つ以上の欠点を回避または緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、内燃エンジン用の排気マニホールドが提供され、前記排気マニホールドは、前記内燃エンジンのシリンダの第1のバンクに接続可能な少なくとも1つの第1の排気ガス入口と、前記内燃エンジンのシリンダの第2のバンクに接続可能な少なくとも1つの第2の排気ガス入口と、ツインらせんターボチャージャのそれぞれの第1及び第2らせんに接続可能な第1及び第2の排気ガス出口と、前記ターボチャージャをバイパスするバイパス通路に接続可能な少なくとも1つのウェイストゲート出口と、前記マニホールド内に配置された分流バルブであって、前記第1及び第2の排気ガス入口からの排気ガスを前記第1及び第2の排ガス出口及び前記ウェイストゲート出口の内の少なくとも1つに選択的に導くように構成されている分流バルブと、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による第1及び第2のバンクのシリンダと、ツインらせんターボチャージャと、排気マニホールドとを備える内燃エンジンが提供される。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、内燃エンジン用のツインらせんターボチャージャが提供され、該ターボチャージャは、排気マニホールドの第1の排気ガス出口に接続可能な第1の排気ガス入口と、該第1の排気ガス入口から分離し、前記排気マニホールドの第2の排気ガス出口に接続可能な第2の排気ガス入口と、それぞれの前記第1及び第2の排気ガス入口と流体連通する第1及び第2のらせんと、前記第1及び第2のらせんをバイパスするバイパス通路に接続可能な少なくとも1つのウェイストゲート出口と、前記排気ガス入口と前記らせんとの間に位置する分流バルブであって、該分流バルブが前記第1及び第2の入口から前記第1及び第2のらせん並びに前記ウェイストゲート出口の内の少なくとも1つに排気ガスを選択的に導くように構成される、分流バルブと、を備える。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第3の態様による、排気マニホールドと、ツインらせんターボチャージャとを備える、内燃エンジンが提供される。
【0010】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第2または第4の態様のいずれかによる内燃エンジンを有する車両が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
ここで、本発明の好ましい実施の形態を、以下の図面を参照して、単なる例として説明する。
図1】第1の状態にある場合の排気マニホールドの第1の実施形態による概略断面図である。
図2】第2の状態にある場合の排気マニホールドの第1の実施形態による概略断面図である。
図3】第3の状態にある場合の排気マニホールドの第1の実施形態による概略断面図である。
図4】第1の状態にあるときの排気マニホールドの第2の実施形態による概略断面図である。
図5】第1の状態にある排気マニホールドの第3の実施形態による概略断面図である。
図6】第2の状態にある排気マニホールドの第3の実施形態による概略断面図である。
図7】第3の状態にある排気マニホールドの第3の実施形態による概略断面図である。
図8】第1の状態にあるツインらせんターボチャージャの第1の実施形態による概略断面図である。
図9】第2の状態にあるツインらせんターボチャージャの第1の実施形態による概略断面図である。
図10】第3の状態にあるツインらせんターボチャージャの第1の実施形態による概略断面図である。
図11】第1の状態にあるツインらせんターボチャージャの第2の実施形態による概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
内燃エンジン排気システム用の排気マニホールドの第1の実施形態が、図1~3の概略断面図で示されている。これらの図は、マニホールドの様々な状態を例示する。図1は、マニホールドを使用する際に、エンジンのシリンダバンクとツインらせんターボチャージャ、つまりツインスクロールターボチャージャとの間にどのように接続するかを示している。しかし、それらの要素は明瞭化のために他の図から省略されている。
【0013】
図1を参照すると、マニホールドは一般に10で示されており、内燃エンジン15の第1のシリンダバンク13に公知の方法で接続可能な第1の排気ガス入口12を備えている。マニホールド10はまた、内燃エンジン15の第2のシリンダバンク17に同様に接続可能な第2の排気ガス入口14を備える。これにより、第1及び第2の排気ガス入口12,14は、それぞれ第1及び第2のシリンダバンクから放射される排気ガスを受ける。エンジンは、6又は12シリンダエンジンであってもよく、各バンクは、3又は6のシリンダを備える。
【0014】
また、マニホールド10は、使用時にツインらせんターボチャージャ23の第1および第2らせん19,21のそれぞれに接続可能な別個の第1及び第2の排気ガス出口16,18を備える。ツインらせんターボチャージャは、シリンダ間の排気パルス干渉を防ぐように排気事象を分離する。
【0015】
排気ガス入口12、14及び排気ガス出口16、18の間に配置され、これらと流体連通しているのは、ターボチャージャ23をバイパスする通路に接続可能な少なくとも1つのウェイストゲート出口を有する排気チャンバ20である。図示の実施形態では、チャンバ20は、一対のウェイストゲート出口22、24を有する。
【0016】
また、チャンバ20内には、第1及び第2の排気ガス入口12、14から第1及び第2の排気ガス出口16、18およびウェイスゲート出口22、24の少なくとも一方への排気ガスの流れを制御するようになっている分流バルブ30が配置されている。分流バルブ30は、円のセグメントとして形作られたベース32を有する回転可能なバルブ本体を備え、ここで、ベース32は、既知のアクチュエータ機構(例えば、ソレノイド)の力の下で、回転軸Rを中心に回転することができる。上方に突出する分流板34は、回転可能なベース32上に取り付けられ、排気ガス流を分流するこの分流板である。
また、ベース32には、少なくとも1つのウェイストゲート開口が設けられ、その形状は、チャンバ20内の少なくとも1つのウェイストゲート出口の形状に好ましく対応する。この実施形態では2つのウェイストゲート出口22、24が存在するので、ベース32には対応する一対のウェイストゲート開口36、38が存在する。ウェイストゲート開口36、38は、好ましくは、分流プレート34のいずれかの側に位置する。
【0017】
分流バルブ30の位置によって指示される、図1~3に示されるマニホールド10の3つの状態について、以下に詳細に説明する。
【0018】
排気マニホールドの代替実施形態が図4に示され、一般に110で示される。第1の実施形態と同様に、このマニホールド110は、内燃エンジンの第1のシリンダバンクに公知の方法で接続可能な第1の排気ガス入口112を備える。
【0019】
また、マニホールド110は、使用時にツインらせんターボチャージャのそれぞれの第1及び第2らせんに接続可能な別個の第1及び第2の排気ガス出口116、118を備える。排気ガス入口112、114および排気ガス出口116、118は、ターボチャージャをバイパスする通路に接続可能な少なくとも1つのウェイストゲート出口を有する排気チャンバ120の間に位置し、これと流体連通している。図示の実施形成態では、チャンバ20は、一対のウェイストゲート出口122、124を有し、これら出口は、開いているときに、排気チャンバ120の外側の周りにジャケットの形状で配置されているほぼ環状のウェイストゲートチャンバ140と流体連通している。ウェイストゲート出口122、124が開いているとき、排気がバイパス通路に流れるであろうことは、ウェイストゲートチャンバ140からである。
【0020】
また、チャンバ120内には、第1及び第2の排気ガス入口112、114から第1及び第2の排気ガス出口116、118およびウェイストゲート出口122、124のうちの少なくとも1つへの排気ガスの流れを制御するようになっている分流バルブ130が配置されている。分流バルブ130は、略円筒形状を有する回転可能なバルブ本体132を備え、ここで、本体132は、回転軸R’を中心として既知のアクチュエータ機構(例えばソレノイド)の力の下で回転することができる。本体132および回転軸R’は、マニホールドを通る排気ガスの流れの方向に対してほぼ垂直に存在する。バルブ本体132の内部は、バルブ本体の長さを走行する分流板134によって2つの部分に分かれており、排気ガスの流れを分流するのはこの分流板である。本体132の円筒壁は、一対の排気入口開口133、135と一対の排気出口開口137、139とを有し、これらの開口は、排気ガスがその回転位置に応じてバルブ本体132を通って流れることを可能にする。1つの排気入口開口および1つの排気出口開口が、分流板134のいずれかの側に設けられる。また、本体132は、少なくとも1つのウェイストゲート開口を有し、その形状およびサイズは、チャンバ120内の少なくとも1つのウェイストゲート出口の形状およびサイズに好ましくは対応する。この実施形態では2つのウェイストゲート出口122、124が存在するので、ベース32には対応する一対のウェイストゲート開口136、138が存在する。
【0021】
内燃エンジン排気システム用の排気マニホールドの第3の実施形態が、図5~7の概略断面図で示されている。これらの図は、マニホールドの第1の実施形態に関連して上述したものと同等であるマニホールドの種々の状態を図示する。
【0022】
図5を参照すると、マニホールドは一般に210で示されており、内燃エンジン(図示せず)の第1のシリンダバンクに公知の方法で接続可能な第1及び第2の排気ガス注入口212、213を備えている。また、マニホールド210は、エンジンの第2のシリンダバンク(図示せず)に同様に接続可能な第3及び第4の排気ガス入口214、215を備える。
【0023】
また、マニホールド210は、使用時にツインらせんターボチャージャ(図示せず)の第1及び第2らせんそれぞれに接続可能な別個の第1及び第2排ガス出口216、218を備える。排気入口212、213、214、215及び排気出口216、218間に位置し、これらと流体連通しているのは、ターボチャージャをバイパスする通路に接続可能な少なくとも1つのウェイストゲート出口を有する排気チャンバ220である。図示の実施形態では、チャンバ220は、4つのウェイストゲート出口222を有する。
【0024】
また、チャンバ220内には、排気ガス入口212~215から第1及び第2の排気ガス出口216、218およびウェイストゲート出口222の少なくとも一方への排気ガスの流れを制御するようになっている分流バルブが配置されている。
分流バルブは、外壁232を有する回転可能な円筒形バルブ本体230を備え、ここで、本体は、マニホールドを通る排気流の直接に対して略垂直な回転軸を中心として、既知のアクチュエータ機構(例えば、ソレノイド)の力の下で回転することができる。
本体は、主に中空であり、外壁232は、本体230を通って排気ガスが流れることを可能にする多数の入口開口および出口開口(図示せず)を含む。また、本体230は、図5図7の真横図に示すように、外壁232によって画定される体積の約3分の1を充填する中実の分流部分234を含む。この分流部分234はバルブ本体230の回転位置に応じて排気ガスの流れを分流する。また、本体230には、少なくとも1つのウェイストゲート開口が設けられ、その形状は、チャンバ220内の少なくとも1つのウェイストゲート出口の形状に好ましく対応する。この実施形態では4つのウェイストゲート出口222が存在するので、本体230には4つの対応するウェイストゲート開口236が存在する。分流部分234はまた、バルブが図7に示す第3の状態にあるときに、第3及び第4の排気ガス入口214、215およびウェイストゲート出口222と流体連通している、クロスドリル加工されたウェイストゲート通路238を含む。以下にさらに詳細に説明するように、このウェイストゲート通路238は、分流部分234が第1の一対の入口212、213および第2の一対の入口214、215からの排気が別個に流れ続けているときに、第3及び第4の入口214、215からの排気ガスをウェイストゲート出口222に流すことを可能にする。
【0025】
ツインらせんターボチャージャの第1の実施形態が、図8~10の概略断面図で示されている。分かりやすくするために、図にはターボチャージャへの入口のみが示されている。ターボチャージャの残部は既知の設計であると仮定することができる。
【0026】
図8を参照すると、ターボチャージャは一般に310と示され、排気マニホールド(図示せず)の第1の排気ガス出口に公知の方法で接続可能な第1の排気ガス入口312を備える。ターボチャージャ310は、また、排気マニホールドの第2の排気ガス出口に同様に接続可能な第2の排気ガス入口314を備える。また、ターボチャージャ310は、排気ガスが流れるタービンを収容する別個の第1及び第2らせん316,318を備える。
【0027】
排気入口312、314及びらせん316、318の間に位置し、これと流体連通しているのは、らせんをバイパスする通路に接続可能な少なくとも1つのウェイストゲート出口を有する排気チャンバ320である。図示の実施形態では、チャンバ320は、一対のウェイストゲート出口322、324を有する。
【0028】
また、チャンバ320内には、第1及び第2の排気ガス入口312、314から第1および第2のらせん316、318およびウェイストゲート出口322、324のうちの少なくとも1つへの排気ガスの流れを制御するようになっている分流バルブ330が配置されている。分流バルブ330は、円のセグメントとして形作られたベース332を有する回転可能なバルブ本体を備え、ここで、ベース332は、既知のアクチュエータ機構(例えば、ソレノイド)の力の下で、回転軸Rを中心に回転することができる。上方に突出する分流板334は、回転可能なベース332上にとりつけられ、排気ガス流を分流させるこの分流板である。また、ベース332には、少なくとも1つのウェイストゲート開口が設けられ、その形状は、チャンバ320内の少なくとも1つのウェイストゲート出口の形状に好ましくは対応する。この実施形態では、2つのウェイストゲート出口322、324が存在するので、ベース332には対応する一対のウェイストゲート開口336、338が存在する。ウェイストゲート開口336、338は、好ましくは、分流板334のいずれかの側に存在する。
【0029】
ツインらせんターボチャージャの代替実施形態が図11に示され、一般に410で示されている。ここでも、ターボチャージャの入口のみが示されており、ターボチャージャの残部は既知の設計のものである。図8図10の第1の実施形態と同様に、このターボチャージャ410は、排気マニホールド(図示せず)の第1の排気ガス出口に公知の方法で接続可能な第1の排気ガス入口412を備える。ターボチャージャ410は、また、マニホールドの第2の排気ガス出口に同様に接続可能な第2の排気ガス入口414を備える。
【0030】
また、ターボチャージャ410は、別個の第1及び第2のらせん416、418を備える。排気入口412、414及びらせん416、418の間に位置し、これと流体連通しているのは、らせん416、418をバイパスする通路に接続可能な少なくとも1つのウェイストゲート出口を有する排気チャンバ420である。図示の実施形態では、チャンバ420は、一対のウェイストゲート出口422、424を有し、これら出口は、開放されると、排気チャンバ420の外側の周りにジャケットの形態で配置されているほぼ環状のウェイストゲートチャンバ440と流体連通している。ウェイストゲート出口422、424が開いているとき、排気がバイパス通路に流れるであろうことは、ウェイストゲートチャンバ440からである。
【0031】
また、チャンバ420内には、第1及び第2の排ガス注入口412、414から第1及び第2のらせん416、418およびウェイストゲート出口422、424の内の少なくとも1つへの排気ガスの流れを制御するように構成された分流バルブ430が配置される。
分流バルブ430は、略円筒形状を有する回転可能なバルブ本体432を備え、ここで、本体432は、回転軸R’を中心として既知のアクチュエータ機構(例えばソレノイド)の力の下で回転することができる。本体432及び回転軸R’は、マニホールドを通る排気ガスの流れの方向にほぼ垂直に存在する。バルブ本体432の内部は、バルブ本体の内部の長さを走行する分流板434によって2つの部分に分割されており、排気ガスの流れを分流させるこの分流板である。本体432の円筒壁は、一対の排気入口開口433、435および一対の排気出口開口437、439を有し、これらの開口は、排気ガスがその回転位置に応じてバルブ本体432を通って流れることを可能にする。1つの排気入口開口および1つの排気出口開口が、分流板434のいずれかの側に設けられる。また、本体432は、少なくとも1つのウェイストゲート開口を有し、その形状および大きさは、チャンバ420内の少なくとも1つのウェイストゲート出口の形状および大きさに好ましくは対応する。この実施形態では、2つのウェイストゲート出口422、424が存在するので、ベース432内には、対応する一対のウェイストゲート開口436、438が存在する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
ここで、本発明のマニホールド及びターボチャージャの作動方法について説明する。図4に示すマニホールドの第2の実施形態は、図1と同じ位置にバルブを有し、また、図1図3に示すものと同じである第1、第2、及び第3の位置の間を移動することができることに留意されたい。同様に、ターボチャージャの作動は、図8~10に示す第1の実施形態によって取り上げられた位置を特に参照して説明されるが、図11に示す第2の実施形態は、同じ第1、第2、及び第3の位置の間を移動することもできることに留意されたい。
【0033】
マニホールドの第1及び第2の実施形態の両方における分流バルブが取り得る位置は、エンジンの性能要求およびターボチャージャのブースト圧力に応じて、3つある。分流バルブは、排気流がバルブによって分割されたままで、ウェイストゲートが閉じた状態または少なくとも部分的に開いた状態で、図2又は図3のいずれかに示された状態にデフォルトであってもよい。最も好ましくは、バルブは、ターボチャージャの過回転または過昇圧を防止するために、完全に開放されたウェイストゲート出口によって提供される完全なウェイストゲート付きで、図3に示す状態にデフォルトになる。使用時には、分流バルブ本体を操作するアクチュエータは、エンジンの主電子制御ユニット(ECU)またはそれ以外の主ECUと通信している専用のマニホールド制御部であってもよい制御部と通信しているであろう。主ECUは、例えば、車両のアクセルペダル上の位置センサを介して行うことができる、車両運転者によるエンジンへの加速要求をモニタリングする。主ECUは、ターボチャージャからエンジンに供給されているブースト圧力も監視する。この目的のための感知配置は周知であり、ここではさらに詳しく説明しないであろう。
【0034】
操作者が車両のアクセルペダルを介して加速要求を出す場合、加速要求を満たすために必要なエンジン出力の増加を達成するために、ターボチャージャの急速なスプーリングアップが必要である。これを達成するために、制御部はバルブアクチュエータに図1(及び図4)に示す位置に移動するように指示する。この第1の位置では、バルブ30、130の分流板34、134は、第2排気入口14、114と第2排気出口18、118との間に位置し、「収束」機能を果たすようになっている。これは、シリンダの両バンクからの排気ガス流が第1の出口16,116に収束し、ターボチャージャの第1のらせん19に流入することを意味する。この第1の位置では、ウェイストゲート出口22、24、122、124は、バルブ30、130によって閉じられる。このように排気流のすべてを1 つのらせんに向けることで、タービンの流量容量を効果的に半分にすることで、ターボチャージャの応答性が向上する。
【0035】
エンジンに加速要求が出されず、ターボチャージャのブースト圧力が予め決定された限度未満であるとき、制御部は、図2に示す第2の「定常状態」位置にバルブ30を移動させるようにアクチュエータに指示する。第2の位置では、バルブベース32が回転軸Rを中心として時計回りに回転し、今度は、分流板34が第1及び第2の入口12,14からの排気流を別個に保つように作用する。したがって、シリンダの第1のバンクからの排気流は、第1の入口12に入り、第1の出口16を通ってターボチャージャの第1のらせんに入る。同様に、シリンダの第2のバンクからの排気流は、第2の入口14に入り、第2の出口18を通ってターボチャージャの第2のらせんに入る。第1の位置と同様に、ウェイストゲート出口22、24は、第2の位置にあるバルブ30によって依然として閉じられている。
【0036】
エンジンの作動中の任意の時点において、制御部は、ターボチャージャのブースト圧力、すなわち速度が予め定められた制限値に達したか、またはそれを超えたと判断することができる。圧力を下げるために、および/または速度を低下させるために、制御部は、アクチュエータに、バルブ30を、軸Rを中心として、図3に示される第3の位置にさらに時計回りに動かすように指示する。この第3の位置では、分流板34は、依然として、シリンダのバンクからの2つの排気流を、マニホールド10を通過して、ターボチャージャのそれぞれのらせんの中へと、分離させる。しかしながら、ここで、バルブベース32内のウェイストゲート開口36、38は、チャンバ20内のウェイストゲート出口22、24と位置合わせされ、これにより、マニホールド10の両側の排気流の少なくとも一部が、今度はウェイストゲート通路に入り、ターボチャージャをバイパスする。従って、ターボチャージャのブースト圧力または速度は、あらかじめ決められた圧力制限値で低下および/または維持される。
【0037】
疑問を避けるために、図4に示されるマニホールドの第2の実施形態においても、同じ位置が達成される。第2の実施形態における唯一の相違は、ウェイストゲート出口122、124及びウェイストゲート開口136、138が、それぞれ、チャンバ120及びバルブ130の円周上に位置することである。
【0038】
マニホールドの第1の2つの実施形態と同様に、マニホールドの第3の実施形態における分流バルブが占めることができる位置は3つある。分流バルブは、図6又は図7のいずれかに示される状態にデフォルトであってもよく、排気流はバルブによって分割されたままであり、ウェイストゲートは閉じられているか、または少なくとも部分的に開いている。最も好ましくは、バルブは、ターボチャージャの過回転または過昇圧を防止するために、完全に開放されたウェイストゲート出口によって提供される完全なウェイストゲート付きで、図7に示す状態にデフォルトになる。使用時には、分流バルブ本体を操作するアクチュエータは、エンジンの主電子制御ユニット(ECU)またはそれ以外の主ECUと通信している専用のマニホールド制御部であってもよい制御部と通信しているであろう。主ECUは、例えば、車両のアクセルペダル上の位置センサを介して行うことができる、車両運転者によるエンジンへの加速要求をモニタリングする。主ECUは、ターボチャージャからエンジンに供給されているブースト圧力も監視する。
【0039】
操作者が車両のアクセルペダルを介して加速要求を出す場合、加速要求を満たすために必要なエンジン出力の増加を達成するために、ターボチャージャの急速なスプーリングアップが必要である。これを達成するために、制御部は、バルブアクチュエータに図5に示される位置に移動するように指示する。この第1の位置において、バルブ本体232の分流器部分234は、第1及び第2の入口212、213から流入する排気ガスが第1の出口216を通って流出するのを防止する。代わりに、シリンダの両バンクからの排気ガス流は、第2の出口218に収束し、ターボチャージャのそれぞれのらせんに流入する。この第1の位置では、ウェイストゲート開口236がウェイストゲート出口222と部分的に整列されていないので、ウェイストゲート出口222はバルブ232によって閉じられる。
【0040】
エンジンに加速要求がなく、ターボチャージャのブースト圧力が予め決定された限界の下にあるとき、制御部は、アクチュエータに、図6に示す第2の「定常状態」位置にバルブ本体232を移動させるように指示する。第2の位置において、バルブ本体232は、その回転軸を中心に時計回りに回転し、分流部234は、今度は、第1及び第2の入口212、213からの排気流を第3及び第4の入口214、215のそれから分離した状態に保つように作用する。したがって、第1及び第2の入口212、213からの排気流は、バルブ230を通って第1の出口216に入り、ターボチャージャの第1のらせんに入る。同様に、第3及び第4の入口214、215からの排気流は、バルブ230を通って第2の出口218に入り、ターボチャージャの第2のらせんに入る。第1の位置と同様に、バルブ本体232内のウェイストゲート開口236がウェイストゲート出口222との回転整列から外れたままであるため、ウェイストゲート出口222は依然として閉じられている。
【0041】
前述の実施形態と同様に、制御部は、ターボチャージャのブースト圧力、つまり速度が予め定められた制限値に達した、またはそれを超えたと判断することができる。圧力を下げるために、および/または速度を低下させるために、制御部は、アクチュエータに、バルブ本体232をさらに回転軸を中心として時計回りに回転させて、図7に示される第3の位置にするように指示する。この第3の位置において、本体232内の分流部分234は、マニホールド210を通過してターボチャージャのそれぞれのらせんに入る際に、排気入口一対からの2つの排気流を別々に維持する。しかしながら、ここで、バルブ本体232内のウェイストゲート開口236は、チャンバ220内のウェイストゲート出口222と整列され、第1及び第2の排気入口212、213からの排気流の少なくとも一部が、今度は、ウェイストゲートに入り、ターボチャージャをバイパスするようになる。さらに、ウェイストゲート通路238の入口は、今や、その入口流の一部が分流器部分234内のウェイストゲート通路238を通ってウェイストゲート出口を介しても通過するように、第3及び第4の排気入口214、215と流体連通している。従って、ターボチャージャのブースト圧力または速度は、あらかじめ決められた圧力制限値で低下および/または維持される。
【0042】
マニホールドの実施形態と同様に、ターボチャージャの第1及び第2の実施形態の両方において、エンジンの性能要求およびターボチャージャの昇圧圧力に応じて、分流バルブが占めることができる3つの位置がある。分流バルブは、図9又は図10のいずれかに示される状態にデフォルトであってもよく、排気流はバルブによって分割されたままであり、ウェイストゲートは閉じられているか、または少なくとも部分的に開いている。最も好ましくは、バルブは、ターボチャージャの過回転または過昇圧を防止するために、完全に開放されたウェイストゲート出口によって提供される完全なウェイストゲート付きで、図10に示す状態にデフォルトになる。使用時に、分流バルブ本体を作動させるアクチュエータは、エンジンの主電子制御ユニット(ECU)またはそれ以外の主ECUと通信している専用のターボチャージャ制御部であってもよい制御部と通信しているであろう。主ECUは、例えば、車両のアクセルペダル上の位置センサを介して行うことができる、車両運転者によるエンジンへの加速要求をモニタリングする。主ECUは、ターボチャージャからエンジンに供給されているブースト圧力も監視する。
【0043】
操作者が車両のアクセルペダルを介して加速要求を出す場合、加速要求を満たすために必要なエンジン出力の増加を達成するために、ターボチャージャの急速なスプーリングアップが必要である。これを達成するために、制御部はバルブアクチュエータに図8(及び図11)に示す位置に移動するように指示する。この第1の位置では、バルブ330、430の分流板334、434は、「収束」機能を果たすように第2排気入口314、414と第2排気出口318、418との間に位置する。したがって、両方の入口312、412、314、414からの排気ガスの流れは、第1の出口316、416に収束し、ターボチャージャ310の関連する第1のらせんに流れ込む。この第1の位置では、ウェイストゲート出口322、324、422、424は、バルブ330、430によって閉鎖される。
【0044】
エンジンに加速要求が出されず、ターボチャージャのブースト圧力が予め決定された限界の下にあるとき、制御部は、バルブ330を図9に示す第2の「定常状態」位置に移動させるようにアクチュエータに指示する。第2の位置において、バルブベース332は、回転軸Rを中心に時計回りに回転し、分流板334は、今度は、第1及び第2の入口312、314からの排気流を別個に保つように作用する。こうして、第1の入口312からの排気流は、第1の出口316を通過してターボチャージャの第1のらせんに入る。
同様に、第2の入口314からの排気流は、第2の出口318を通ってターボチャージャの第2のらせんに入る。第1の位置と同様に、ウェイストゲート出口322、324は、第2の位置にあるバルブ330によって依然として閉じられている。
【0045】
エンジンの作動中の任意の時点において、制御部は、ターボチャージャのブースト圧力、すなわち速度が予め定められた制限値に達したか、またはそれを超えたと判断することができる。圧力を下げるために、および/または速度を低下させるために、制御部は、アクチュエータに、バルブ330を、軸Rを中心として、図10に示される第3の位置にさらに時計回りに移動させるように指示する。この第3の位置では、分流板334は、チャンバ320を通過してターボチャージャ310のそれぞれのらせん316、318に入るときに、2つの排気入口流を分離したままにする。しかしながら、ここで、バルブベース332内のウェイストゲート開口336、338は、チャンバ320内のウェイストゲート出口322、324と整列され、その結果、チャンバ320の両側の排気流の少なくとも一部が、今度は、ウェイストゲート通路に入り、ターボチャージャらせん316、318をバイパスする。従って、ターボチャージャのブースト圧力または速度は、あらかじめ決められた圧力制限値で低下および/または維持される。
【0046】
疑わしいことを避けるために、図11に示すターボチャージャの第2の実施例においても同じ位置が達成される。第2の実施形態における唯一の違いは、ウェイストゲート出口422、424およびウェイストゲート開口436、438がそれぞれチャンバ420及びバルブ430の周囲に位置することである。
【0047】
本発明は、過昇圧が検出されたときに統合されたウェイストゲート機能を提供するとともに、加速要求がエンジンに出されたときに収束機能を実行することができる排気マニホールド及びターボチャージャを提供する。単一のバルブ配置を使用して収束器機能とウェイストゲート機能の両方を実行するマニホールドまたはターボチャージャーを提供することで、マニホールドまたはターボチャージャーにこの機能性を追加する複雑さとコストを軽減する。さらに、本発明のマニホールドおよびターボチャージャの両方は、第1の「収束器」位置にあるとき以外は、シリンダのバンクからの排気流を別個に保つ。これは、他方からのどちらの流れにも干渉がないことを意味し、それによってターボチャージャのツインらせんへの最適なガス流を維持する。
【0048】
上述した3つの特定の位置の間を移動するだけでなく、制御部とアクチュエータとが組み合わさって、図示の3つの中間である他の位置にバルブを移動させてもよい。例えば、定常運転を維持しながらターボチャージャの部分的なウェイストゲーティングを達成するために、バルブ本体を回転させて、バルブ本体のウェイストゲート出口およびウェイストゲート開口を完全に整列させるのとは対照的に部分的に整列させることができる。
【0049】
本発明のマニホールドまたはターボチャージャは、1つまたは2つ以上のウェイストゲート出口およびそれぞれのウェイストゲート開口を有していてもよい。例えば、4つのウェイストゲート出口およびそれぞれのウェイストゲート開口が存在し得る。さらに、分流バルブのウェイストゲート開口は、プレートの両側に配置されるのではなく、すべて分流板の同じ側に配置されてもよい。
【0050】
図示されていないが、図5~7に示されているマニホールドのバルブ配置を利用するターボチャージャもまた、本発明の一部を形成する。マニホールドではなく、ターボチャージャでそのバルブ配置を利用する場合の唯一の大きな違いは、4つの入口ではなく、2つの入口しかないことである。例えば、入口212及び215は、その代わりに、入口213及び214によって表される一対のタービン入口のみを備えることはないであろう。出口216、218は、ターボチャージャの2つのらせんに直接接続される。
【0051】
添付の特許請求の範囲によって規定される発明の範囲から逸脱することなく、他の修正及び改良を組み込むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11