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特許7227253回折導波路要素及び回折導波路ディスプレイ
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  • 特許-回折導波路要素及び回折導波路ディスプレイ 図1A
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  • 特許-回折導波路要素及び回折導波路ディスプレイ 図2C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】回折導波路要素及び回折導波路ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20230214BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20230214BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/18
H04N5/64 511A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020533563
(86)(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 FI2018050905
(87)【国際公開番号】W WO2019122508
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】20176161
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】520184365
【氏名又は名称】ディスペリックス オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロムステット、カシミール
(72)【発明者】
【氏名】オルッコネン、ユーソ
(72)【発明者】
【氏名】スンナリ、アンティ
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0131551(US,A1)
【文献】国際公開第2017/207987(WO,A1)
【文献】特開2015-099238(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186046(WO,A1)
【文献】特表2015-529833(JP,A)
【文献】特表2015-523586(JP,A)
【文献】国際公開第2016/162606(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
G02B 27/01
G02B 5/18
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナル・ディスプレイ・デバイスのための回折導波路要素であって、前記要素は、
導波路平面内で延在するディスプレイ導波路(10)と、
前記ディスプレイ導波路(10)上又は前記ディスプレイ導波路(10)内に配置され、光線を前記ディスプレイ導波路(10)内に回折し結合するための入力結合回折光学要素(31)であって、結合された前記光線は、前記ディスプレイ導波路(10)内で伝搬ホップ長をもって伝搬する、入力結合回折光学要素(31)と、
前記ディスプレイ導波路(10)上又は前記ディスプレイ導波路(10)内に配置され、前記ディスプレイ導波路(10)から回折し結合された前記光線を結合するための出力結合回折光学要素(33)と、
前記出力結合回折光学要素(33)の上流の光線増倍要素(12A、12C)と
を備え、
前記光線増倍要素(12A、12C)は、前記入力結合回折光学要素(31)に入射する光線を、前記導波路平面内でその少なくとも1次元で空間的に変位された複数の平行光線に分割することができ、前記入射光の伝搬方向の前記複数の平行光線の密度は、ホップ長より高く、
前記光線増倍要素(12A)は、前記ディスプレイ導波路(10)の厚さより薄い厚さを有し、前記入力結合回折光学要素(31)の上流に配置され、前記入力結合回折光学要素(31)に整列する増倍導波路を備え、或いは
前記光線増倍要素(12C)は、前記ディスプレイ導波路の対向面上に配置され、且つ前記入力結合回折光学要素(31)によって前記導波路内に回折する前記光の伝搬経路上に配置された2つの回折格子(14A、14B)を有する前記ディスプレイ導波路内のゾーンであり、前記入力結合回折光学要素(31)によって前記ディスプレイ導波路(10)内で結合された前記光線を分割するために、前記入力結合回折光学要素(31)の下流に配置されている、回折導波路要素。
【請求項2】
前記光線増倍要素(12A、12C)は、入射光線を、少なくとも2つ、例えば少なくとも4つの、前記ホップ長内の変位されたビームに増倍するように構成される、請求項1に記載の要素。
【請求項3】
前記光線増倍要素(12A、12C)は、前記入力結合回折光学要素(31)に入射する各光線を、2次元の複数の平行光線に分割するように構成される、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項4】
前記光線増倍要素(12A、12C)は、前記入射光線の所定の入射角より大きい前記光線のみを分割するように構成される、請求項1から3までのいずれかに記載の要素。
【請求項5】
前記光線増倍要素(12A、12C)は、少なくとも2つの異なる増倍率を、それぞれ、前記入射光線の少なくとも2つの異なる入射角に提供するように構成される、請求項1から4までのいずれかに記載の要素。
【請求項6】
回折導波路ディスプレイであって、前記回折導波路ディスプレイは、
請求項1から5までのいずれかに記載の回折導波路要素と、
複数のレーザー光線を前記入力結合回折光学要素(31)に投影するように構成される画像プロジェクタと
を備え、前記光線は、前記光線増倍要素(12A、12C)内で空間的に増倍される、回折導波路ディスプレイ。
【請求項7】
前記画像プロジェクタは、レーザー・プロジェクタである、請求項6に記載のディスプレイ。
【請求項8】
前記レーザー・プロジェクタは、前記複数の光線を異なる角度で前記入力結合回折光学要素に提供するための微小電気機械ミラーを備える、請求項7に記載の回折導波路ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回折導波路に関するものである。この種の導波路は、パーソナル・ディスプレイ・デバイス、例えばヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD:Head-Mounted Displays)及びヘッド・アップ・ディスプレイ(HUD:Head-Up-Displays)において使用可能である。
【背景技術】
【0002】
導波路は、多くの現代のパーソナル・ディスプレイ・デバイスの鍵となる画像形成要素である。表示される画像は、回折格子を用いて導波路の中で変更可能であるのと同様に、導波路内に結合可能且つ導波路から結合可能である。例えば、プロジェクタからの画像を導波路内に結合するための入力結合格子、導波路の1つ又は複数の平面内の次元で光場を拡大するための射出瞳拡大格子、及び、導波路の画像をユーザの目に結合する出力結合格子が提供されうる。
【0003】
回折導波路要素に関連した1つの問題は、そこから出力結合される画像の縞模様である。これは、全反射を介して導波路内で進む光線が、ビューアの瞳孔の直径より長いバウンド周期、すなわちホップ長を有しうるからである。この場合、画素は、瞳孔のそばで回折し、それゆえ、ユーザが見ることができない。この効果は、レーザー・プロジェクタが画像形成のために用いられるとき、(導波路で垂線に対して)高い入射角において特に目立つ。なぜなら、各画像画素は狭いビームのみから成るからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述した問題を解決し、縞模様を防止又は減少させ、より整合された画像を提供するのを支援する解決法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、導波路の入力結合回折光学要素に関連して、入射光線を導波路内で互いに変位されて伝搬する複数の平行光線に分割することができる光線増倍要素を提供するというアイディアに基づく。増倍器は、少なくとも1つの光線、好ましくは複数の光線がビューアの瞳孔に対してすべての入射角で出射することにより、縞模様が防止されるように設計可能である。光線増倍要素は、入射光線を1次元又は2次元に分割するように構成可能である。
【0006】
特に、本発明は、独立請求項において述べられることによって特徴付けられる。
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、パーソナル・ディスプレイ・デバイスのための回折導波路要素を提供し、要素は、導波路平面内で延在するディスプレイ導波路と、ディスプレイ導波路上又はディスプレイ導波路内に配置され、光線をディスプレイ導波路内に回折し結合するための入力結合回折光学要素と、ディスプレイ導波路上又はディスプレイ導波路内に配置され、ディスプレイ導波路から回折し結合された光線を結合するための出力結合回折光学要素と、を備える。さらに、出力結合回折光学要素の光学的に上流に光線増倍要素が提供され、光線増倍要素は、入力結合格子に入射する光線を、それらが出力結合回折光学要素に入射する前に、導波路平面内で空間的に変位された複数の平行光線に分割することができる。光線増倍要素は、入力結合回折光学要素の上流又は下流に提供されてもよい。
【0008】
特に、最初の光線及び増倍された光線を含む複数の平行光線の密度は、ディスプレイ導波路内の入射光線の伝搬の方向の入射光線のホップ長より高い。これは、光場の本当の光線の高密度化が起こることを確実にする。
【0009】
第2の態様によれば、本発明は、回折導波路ディスプレイを提供し、回折導波路ディスプレイは、上記の種類の回折導波路要素と、複数のレーザー光線を前記入力結合回折光学要素に投影するように構成される画像プロジェクタと、を備え、光線は、光線増倍要素内で空間的に増倍される。画像プロジェクタによって放射される最初の単一ビームは、出力結合格子から並列の多重光線ビームとして出射する。
【0010】
特に、光線増倍要素内で起こる、各特定の角度での増倍された光線の空間変位は、ディスプレイ導波路内の光線のホップ長と異なるので、光線の追加の空間拡散が起こる。典型的な実施例では、変位は、導波路内のホップ長より小さい。
【0011】
本発明は、重要な利点を提供する。光線増倍器は、導波路内で伝搬する光線のバウンド密度を増加させ、それゆえ、出力結合格子で単位面積当たり出力結合された光線の数を増加させる。これは、ビューアの瞳孔に対して出射する少なくとも1つの光線が確実に存在するようにするか、又は、その確率を増加させる。したがって、縞模様は、防止されるか又は少なくとも減少し、整合し、より均一な(縞のない)画像が見られる。
【0012】
本発明は、特に、以前は縞模様の傾向があった高い入射角を有するディスプレイの性能を改善する。
【0013】
本発明は、従来の射出瞳拡大(EPE:Exit Pupil Expander)格子と異なるので、複数の平行光線の密度は、入射光の伝搬方向にホップ長より高いことに留意されたい。従来技術に従うEPEは、最初の伝搬方向の光場の密度を高めることができず、横方向だけしか高めることができない。
【0014】
本発明は、全体の導波路設計をほとんど又はまったく変えずに、比較的単純な光線増倍要素によって実施可能である。プロジェクタを変える必要はない。
【0015】
従属請求項は、本発明の選択された実施例に向けられる。
【0016】
いくつかの実施例では、光線増倍要素は、前記ディスプレイ導波路より小さい厚さを有する平面増倍導波路を備える。増倍導波路は、入力結合回折光学要素と直接相互作用し、少なくとも1次元の光線増倍を生ずるように位置決め可能である。追加の格子又はマイクロミラーの配置は、例えば、他の次元で増倍を生ずるように提供可能である。いくつかの実施例では、増倍導波路は、入力結合回折光学要素に整列したディスプレイ導波路の表面の上又は下に配置される。したがって、導波路の取り付け面積を増加させずに、増倍を達成することができる。
【0017】
いくつかの実施例では、光線増倍要素は、入射光線の分割を実行又は促進するように構成される1つ又は複数のマイクロミラー要素又は回折格子を備える。
【0018】
いくつかの実施例では、増倍要素は、2つの回折格子を有するディスプレイ導波路内のゾーンであり、2つの回折格子は、ディスプレイ導波路の対向面上に配置されるとともに、前記入力結合回折光学要素によって導波路内に回折する光の伝搬経路上に配置される。回折格子又はより一般的には回折光学要素は、これらに当たる光線に必要な変位を生じさせる。
【0019】
いくつかの実施例では、光線増倍要素は、入射光線の所定の入射角より大きい光線のみを分割するように構成される。同様に、光線増倍要素は、少なくとも2つの異なる増倍率をそれぞれ入射光線の少なくとも2つの異なる入射角に提供するように構成可能である。
【0020】
典型的な実施例では、導波路要素は、特定の入射角を有する各単一光線がユーザによって見られる画像の単一の画素に対応するレーザー照明された要素である。したがって、画像プロジェクタは、レーザービーム・プロジェクタ、例えば走査ビーム・プロジェクタである。
【0021】
次に、本発明の実施例及びその利点は、添付の図面を参照してより詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】ビューアの瞳孔に対して出射しない入射光線及び出射する入射光線を有する従来の導波路の断面図を示す。
図1B】ビューアの瞳孔に対して出射しない入射光線及び出射する入射光線を有する従来の導波路の断面図を示す。
図2A】本発明の実施例による、異なるある種類の光線増倍要素を有する導波路の断面図を示す。
図2B】本発明の実施例による、別の種類の光線増倍要素を有する導波路の断面図を示す。
図2C】本発明の実施例による、別の種類の光線増倍要素を有する導波路の断面図を示す。
図3】本発明の一実施例による導波路の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義
本願明細書における回折光学要素は、可視光波長、すなわち、典型的には1μm未満のオーダで少なくとも1次元を有する規則的又は不規則な特徴を含み、したがって大きな光の回折を生ずる格子及び他の光学構造体を意味する。実例は、線格子(1次元の格子)及び2次元の格子を含む。格子は、単一領域格子(格子領域にわたり同じ微細構造及び光学応答性を有する)又は多数領域格子(すなわち異なる微細構造及び光学応答性を有するゾーンを含む)とすることができる。
【0024】
「ホップ長」は、導波路内で全反射を介して導波路の同じ表面上で伝搬する光の2つの連続するバウンド点の間の距離である。
【0025】
選択した実施例の説明
本願明細書において述べられるビーム増倍器は、例えば、拡張現実(AR:Augmented Reality)導波路がレーザー光によって照明されるとき必要である。この種の導波路によって生成される画像が、オブザーバの目に途切れずに見えるために、各FOV角度に対応する少なくとも1つのレーザービームが常に瞳孔を照明することが必要である。通常、人の眼の瞳孔は、2mmを超える直径を有し、これは、すべての状況において途切れない画像を確実にするために、出力結合領域において、ビームをこの距離未満で互いに切り離さなければならないことを意味する。しかしながら、通常の導波路構造では、射出瞳拡大器の後のビーム間距離は、5mmと同じ大きさになりうるので、ビームは、追加で(EPE機能に)再分割されなければならない。この追加の再分割が、本光線増倍器の目的である。
【0026】
最初に、本発明の根本的な問題を示すために、図1Aは、入力結合格子31及び出力結合格子33を有する平面導波路構造10を示す。入射光線11Aは、入力結合格子31によって導波路10に内に回折され、そこで、全反射を介して伝搬する。入射光線11Aの入射角は、導波路の垂線に対して比較的高く、それによって、回折角も高く、ホップ長(バウンド周期)dも長い。長い周期のため、出力結合格子33の領域において導波路から出射する光線15A、15Bは、ビューアの目の瞳孔20をはずす。特定角度の光線は、見られるために、その角度のために視界22のゾーン内で出射しなければならない。
【0027】
図1Bは、入射光線11Bの入射角はより低く、回折角もより低く、ホップ長dもより短くしている変更された状況を示す。ここで、1つの出射光線16は、瞳孔20に当たる。目が移動する場合であっても、出射光線15A、16、15Bの少なくとも1つは、常に瞳孔20に当たる。
【0028】
一般的に言うと、本ビーム増倍要素は、ディスプレイ要素の主導波路とは別の構成要素でもよいし、又は、導波路機能の一部として統合されてもよい。それは、格子の組合せを用いて、及び/又は、導波路厚を制御して実現可能である。非限定的な実例が後述される。
【0029】
いくつかの実施例では、ビーム増倍要素は、主ディスプレイ導波路の厚さより小さい厚さを有する追加の導波路を利用する入力結合格子の上流に提供される。
【0030】
これに従って、図2Aは、光線増倍要素12Aが導波路10上に提供される実施例を示す。本願明細書において、要素12Aは、主導波路10より薄く且つ面積が小さい増倍導波路を備える。入力結合格子は、増倍要素の下流で増倍導波路とディスプレイ導波路10との間に位置する。入射光線11は、短いバウンド周期で増倍導波路内にバウンドし、あらゆるバウンドで入力結合格子31において、光の一部は、ディスプレイ導波路10内に回折される。したがって、光線は増倍され、少なくとも1つ、本願明細書では2つの光線16A、16Bは、瞳孔20に対して出射する。
【0031】
図2Bは、光線増倍要素12Bが、2つの薄い増倍導波路31A、31Bとその間の中間DOE31Cとによって形成される実施例を示す。入射光11が増倍要素12Bに入射するとき、光線が主導波路10内に逃げ、主導波路10内で伝搬し、出力結合格子33の方に向かうときに光線の量が増倍されるように、薄い部分は相互作用する。この実例では、4つの光線16A~Dが、目の瞳孔20に当たる。
【0032】
いくつかの実施例では、異なる厚さを有する2つ以上の薄い層が提供される。さらなる実施例では、少なくとも一対の層の間にゼロ次格子(ゼロ次の回折次数のみを有する格子)が提供される。
【0033】
いくつかの実施例では、光は、積層された薄い層内で異なる方向に伝搬し、これはまた、効率的なビーム増倍構成を提供する。
【0034】
図2Cは、光線増倍要素12Cが、ディスプレイ導波路10の対向面上に配置される2つの増倍格子14A、14Bを備える実施例を示す。格子は、光線を低い角度に回折させるように構成され、再びその結果、1つ又は複数のビーム16A、16Bは、瞳孔20の方に出射する。最初の入力結合された光線が導波路10の第1の側(ここでは底側)で第1の増倍格子14Aに当たるとき、それの第1の部分は、全反射を介して「垂直に」続き、それの第2の部分は、反射する回折によって導波路10の第2の部分(ここでは上側)で第2の増倍格子14Aの方に向けられる。その点から、第2の光線は、再び反射して回折され、第1の光線と同じ伝搬角度だが、そこから変位されて続く。したがって、両方の光線は、視界22の瞳孔管内に「適合する」。
【0035】
一実施例では、増倍格子14A、14Bは、互いに類似し、すなわち、同じ格子周期及び配向(又はさらに一般的には格子ベクトル)を有する。
【0036】
図2Cの実例では、増倍率は2であるが、光線増倍要素12C、すなわちその中の増倍格子14A、14Bの幅を拡大することによって、2より大きい増倍率を達成することができる。
【0037】
図2Cの実例では、単に説明を簡単にするために、1次元の光線増倍が示される。しかしながら、多数領域格子及び/又は2次元周期の格子を用いて、2次元の増倍を達成することができる。
【0038】
一実施例では、増倍格子14A、14Bは、実質的に同じ光学的機能を実行するいくつかの光学要素と置き換えられる。例えば、半透明ミラーの配置によって、同一角度を維持するビーム分割効果を達成することができる。
【0039】
いくつかの実施例では、増倍要素は、より厚い主導波管層の上の薄い導波管層として出力結合格子の領域で提供される。光が主導波路から薄い導波路に漏れると、そのホップ長は短縮する。ホップ長がより短いほど、薄い層上に存在する出力結合格子/DOEによって出力結合される出射光線の距離は短縮する。
【0040】
増倍率を増加させるために、光線増倍要素に類似であるか又は異なる種類のカスケードもまた提供されてもよい。
【0041】
典型的な実施例では、増倍要素は、少なくとも4、特に少なくとも9、例えば4から100の増倍率を高い入射角のビーム、すなわち、ディスプレイ要素のFOV限界角度のビームに提供することができる。特に、増倍要素は、2mmの直径を有する瞳孔領域当たり少なくとも9つのビームを、ディスプレイ・デバイスのFOV内のすべての角度のために提供するように構成されてもよい。
【0042】
図3は、本発明を導波路10の平面図として示す。ここで、光線増倍要素12は、入力結合格子31に整列され、最初のビーム11を、2次元に変位されるとともに同一方向に伝搬する追加のビーム11’に複製する。ビーム11、11’は、射出瞳拡大(EPE)格子32の方に進み、射出瞳を1次元又は2次元で増加させる。EPE格子32から、光線は、出力結合格子33の方に続き、出力結合格子33から出力結合したビーム16、16’は、最初のビームが複製されたビーム11、11’に対応し、全出力結合格子33にわたり拡大され、互いに平行に出射する。したがって、画像の整合性、すなわち相対的な画素位置は維持され、画像の均一性は改善される。破線円19は、最初の瞳孔サイズ、すなわち、本願明細書では、出力結合格子33において数回複製される入力結合格子31の面積を示す。
【0043】
この実例では、示された増倍率は2×2、すなわち4であるが、他の対称又は非対称の増倍率もまた、上述した実例から理解されるように、同様に実施可能である。
【0044】
明確にするために、示された実例は、1つの入射角のみのための光線増倍効果を示す。しかしながら、同じ効果は、入力結合格子及び光線増倍要素に当たる広範囲にわたる角度で見られる。最適に光線増倍要素を画像プロジェクタに対して適切に位置決めし、寸法決定することによって、角度範囲は制御可能であり、異なる増倍率が異なる角度のために提供可能である。
【0045】
いくつかの実施例では、少なくともいくつかの高い入射角のための増倍率は、少なくともいくつかの低い入射角のための増倍率(ホップ長が本質的により短く、問題により関連していない)より大きく構成される。
【0046】
本発明の実施例は、さまざまなパーソナル・ディスプレイ・デバイス、拡張現実(AR)、仮想現実(VR:Virtual Reality)及び複合現実感(MR:Mixed Reality)デバイスにおいて、例えば、ニアアイ・ディスプレイ(NED:Near-to-the-Eye Displays)及び他のヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)並びにヘッド・アップ・ディスプレイ(HUD)において、それらの異なる形で利用可能である。
【0047】
詳細にここで述べられないが、導波路又はその個々の層はまた、入力結合、射出瞳拡大器及び出力結合格子に加えて、他の回折光学要素、例えばビーム・リダイレクション格子も備えてもよい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3