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特許7227274セラミック多層部品及びセラミック多層部品の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】セラミック多層部品及びセラミック多層部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/18 20060101AFI20230214BHJP
   H01C 7/10 20060101ALI20230214BHJP
   H01C 17/065 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
H01C7/18
H01C7/10
H01C17/065 500
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020560387
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2019066476
(87)【国際公開番号】W WO2019243578
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-10-27
(31)【優先権主張番号】102018115085.7
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホーフシュテッター, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ホーフリヒター, アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ファイヒティンガー, トーマス
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-353068(JP,A)
【文献】特開平11-186001(JP,A)
【文献】特開2004-296709(JP,A)
【文献】特開昭64-065825(JP,A)
【文献】特開平10-208971(JP,A)
【文献】国際公開第2009/001842(WO,A1)
【文献】特開2013-258229(JP,A)
【文献】特開2016-072484(JP,A)
【文献】特開平06-267789(JP,A)
【文献】特開平10-064703(JP,A)
【文献】特開平02-251120(JP,A)
【文献】特開平05-003135(JP,A)
【文献】特開平05-021211(JP,A)
【文献】特開昭63-146409(JP,A)
【文献】特開2000-021679(JP,A)
【文献】特開2006-332601(JP,A)
【文献】特開平09-069463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/18
H01C 7/10
H01C 17/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック層(2)と、それらの間に配置され、少なくとも1つの第1の電極層(3)を含む電極層(3,4)とを有する積層体(1)を備えるセラミック多層部品(100)であって、
前記セラミック層及び前記電極層は、積層方向(S)に沿って互いに重なり合って配置されており、
少なくとも1つの第1の電極層(3)が、主延在方向(H)に沿って、第1の端部領域(31)から第2の端部領域(32)まで延びており、
前記積層体は、当該積層体を前記積層方向に対して垂直な方向において境界付ける外面(5、6、9、10)を備え、
前記少なくとも1つの第1の電極層は前記第1の端部領域で第1の外面(5)に隣接し、前記第2の端部領域は前記積層体の内部を延び、
前記少なくとも1つの第1の電極層は、前記主延在方向に沿って減少する通電容量を有し、
前記少なくとも1つの第1の電極層は、主延在方向に減少する比導電率を有する、多層部品。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の電極層は、少なくとも、第1の比導電率を有する第1の材料と、前記第1の比導電率よりも小さな第2の比導電率を有する第2の材料と、から成る混合物を含み、前記第1の材料の前記第2の材料に対する比率(R)は、主延在方向に減少する、請求項1に記載の多層部品。
【請求項3】
前記比率は、少なくとも1つの部分領域において連続的に減少する、請求項2に記載の多層部品。
【請求項4】
前記比率は、少なくとも1つの部分領域において段階的に減少する、請求項2又は3に記載の多層部品。
【請求項5】
前記第1の材料は金属を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の多層部品。
【請求項6】
前記第2の材料は導電性であり、金属を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載の多層部品。
【請求項7】
前記第1及び/又は第2の材料は、Ni、Cu、Ag、Pdから選択される、請求項2~6のいずれか1項に記載の多層部品。
【請求項8】
前記第2の材料は電気絶縁性であり、セラミックを含む、請求項2~5のいずれか1項に記載の多層部品。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の電極層は、前記第2の端部領域よりも前記第1の端部領域の近くに位置する重心(C)を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の多層部品。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1の電極層は、前記第1の端部領域において、前記第2の端部領域よりも、大きな厚さ及び/又は大きな幅を有し、
前記少なくとも1つの第1の電極層の前記厚さ及び/又は前記幅は、少なくとも1つの部分領域において段階的に減少する、請求項9に記載の多層部品。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の電極層は、前記第1の端部領域において、前記第2の端部領域よりも、大きな厚さ及び/又は大きな幅を有し、
前記少なくとも1つの第1の電極層の前記厚さ及び/又は前記幅は、少なくとも1つの部分領域において連続的に減少する、請求項10に記載の多層部品。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1の電極層は、積層方向において前記電極層の内部まで達する開口(11)を備え、
前記開口は、前記主延在方向に沿って増加する占有密度を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の多層部品。
【請求項13】
記第1の外面上には、前記少なくとも1つの第1の電極層を電気的に接触させる第1の外部電極(7)が配置されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の多層部品。
【請求項14】
少なくとも1つの第2の電極層(4)が、主延在方向(H’)に沿って、前記第2の電極層の第1の端部領域(41)から第2の端部領域(42)まで延びており、
前記第1の外面とは異なる第2の外面(6)上には、前記少なくとも1つの第2の電極層を電気的に接触させる第2の外部電極(8)が配置されており、
前記少なくとも1つの第2の電極層は、前記第1の端部領域で前記第2の外面に隣接しており、
前記少なくとも1つの第2の電極層及び前記少なくとも1つの第1の電極層は、同様に設計されている、請求項13に記載の多層部品。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載のセラミック多層部品の製造方法であって、前記少なくとも1つの第1の電極層は、多層スクリーン印刷によって、不均質スクリーン印刷によって、又は、インクジェット印刷によって、製造される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
セラミック多層部品及びセラミック多層部品の製造方法が提示される。
【背景技術】
【0002】
セラミック多層部品は、通常、部材のアクティブなボリューム内へ電流を導くために、金属製の内部電極を利用する。この場合、内部電極は、作動中に電極の損傷をもたらす可能性のある電流密度が存在しないよう設計されていなければならない。例えば、MLV(多層バリスタ)のような過電圧保護素子の場合、電流密度は10GA/m以上に達する可能性がある。電流密度を臨界レベル未満に保持し、外部電極への十分な電気接続を保証することを可能とするために、内部電極の特定の最小断面積が必要である。
【0003】
NTC材料(NTC:負の温度係数)及びPTC材料(PTC:正の温度係数)をベースとする多層構造のセラミック熱センサに対しても、内部電極の特定の最小断面積が必要である。なぜなら、そのようなセンサの測定信号を歪ませないために、内部電極の抵抗は、全抵抗に対して無視し得る程度の比率しか有してはならないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定の実施形態の少なくとも1つの課題は、セラミック多層部品を提示することである。更なる実施形態の少なくとも1つの課題は、セラミック多層部品の製造方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの課題は、独立請求項に記載の物及び方法によって解決される。当該物及び方法の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項で明らかにされ、更に以下の記載及び図面から明らかになる。
【0006】
一実施形態によれば、セラミック多層部品は、セラミック層と、それらの間に配置された電極層とを有する積層体を備える。
【0007】
少なくとも1つの更なる実施形態によれば、セラミック多層部品の製造方法において、セラミック層と、それらの間に配置された電極層とを有する積層体が製造される。
【0008】
以下に記載される特徴及び実施形態は、セラミック多層部品及びセラミック多層部品の製造方法に、同じように関係する。
【0009】
セラミック多層部品は、特に積層方向を有することができ、当該積層方向に沿って、積層体の層、すなわちセラミック層及び電極層が配置されている。セラミック層は、所望の機能性を有する1つ又は複数のセラミック材料を含むか又はそれから成ることができる。特に、積層体は、積層方向において2つの電極層の間に、導電性の又は半導体のセラミック材料を含むか又はそれから成るセラミック層を備えることができる。例えば、1つ又は複数のセラミック層は、バリスタ材料、サーミスタ材料、特にPTC又はNTCサーミスタ材料、及び/又は、誘電体材料を含むことができ又はそれから成ることができる。それに応じて、セラミック多層部品は、例えば過電圧保護素子として又はセラミック熱センサとして設計され得る。更に、積層体は、積層方向において、例えば誘電体セラミック層で終端することができる。積層体のセラミック層及び/又は電極層は、特に好ましくは、バインダー及び/又は他の有機及び/又は無機材料を有するペーストから、いわゆるグリーンシートとして製造され、互いに積み重ねられ、続いて焼結されることができる。
【0010】
更に、積層体は、積層方向に対して垂直な方向において当該積層体を境界付ける外面を備える。積層方向において、積層体は、下面及び上面で終端することができる。例えば、多層部品は、積層方向に沿ったビューにおいて、長方形の断面を有することができ、その結果、積層体は、相応して4つの外面を有することができ、直方体として設計することができる。少なくとも1つ又は複数の外面上に外部電極を塗布することができ、それらによって、積層体内に配置された電極層を接触させることができる。
【0011】
少なくとも1つの更なる実施形態によれば、積層体は、主延在方向を有する少なくとも1つの第1の電極層を備える。少なくとも1つの第1の電極層は、主延在方向に沿って、第1の端部領域から第2の端部領域まで延びることができる。主延在方向は、特に、積層方向に対して垂直であることができる。更に、主延在方向は、1つの外面に対して垂直な方向であることができる。主延在方向に沿って、少なくとも1つの第1の電極層は、主延在方向に対して垂直な他の全ての方向よりも大きな広がりを有する。
【0012】
特に好ましくは、少なくとも1つの第1の電極層は、第1の端部領域で、特に主延在方向に対して垂直な外面である積層体の第1の外面に隣接することができる。更に、少なくとも第1の外面上に、少なくとも1つの第1の電極層と電気的に接触し、それにより少なくとも1つの第1の電極層を電気的に接触させる、1つの第1の外部電極を配置することができる。少なくとも1つの第1の電極層は、特に、第1の外部電極に隣接することができ、第1の端部領域で、第1の外部電極と直接的に接触することができる。
【0013】
少なくとも1つの第1の電極層の第1の端部領域は、特に、給電ゾーンを形成することができ、当該給電ゾーンを介して、セラミック多層部品の作動中に、少なくとも1つの第1の電極層へ又は少なくとも1つの電極層から、電流を導くことができる。これは、特に好ましくは、第1の端部領域と電気的に接触している上述した第1の外部電極を介して行うことができる。
【0014】
更なる実施形態によれば、少なくとも1つの第1の電極層は、主延在方向に沿って減少する通電容量を有する。これは、特に、少なくとも1つの第1の電極層が、第1の端部領域において、第2の端部領域におけるよりも高い最大電流に耐えることができることを意味し得る。最大電流は、電極層の局所的な損傷が全く生じない局所的な電流強度を示す。
【0015】
更なる実施形態によれば、少なくとも1つの第1の電極層は、主延在方向に減少する比導電率を有する。少なくとも1つの第1の電極層は、主延在方向に減少する比導電率によって、小さくなる通電容量を有することができる。特に、少なくとも1つの第1の電極層は、第1の端部領域において、第2の端部領域におけるよりも高い比導電率を有することができる。これは、例えば、少なくとも1つの第1の電極層が、少なくとも、第1の比導電率を有する第1の材料及び第2の比導電率を有する第2の材料を含むか又はこれらから成る混合物を含み、第2の比導電率が第1の比導電率よりも小さいこと、並びに、第1の材料の第2の材料に対する比率が主延在方向に小さくなること、によって達成することができる。換言すれば、少なくとも1つの第1の電極層は、第1の端部領域において、第2の端部領域におけるよりも、第2の材料と比較して高い比率の第1の材料を含む。その際、少なくとも1つの第1の電極層は、第1の端部領域において第2の材料を含まなくてもよく、及び/又は、第2の端部領域において第1の材料を含まなくてもよい。これに代えて、第1の端部領域及び/又は第2の端部領域において、第1及び第2の材料が、少なくとも1つの第1の電極層に共に含まれていてもよい。
【0016】
第1及び第2の材料を含むか又はこれらから成る様々な混合物は、例えば、少なくとも1つの第1電極層を製造するために塗布されたグリーンシート中における、第1の材料を含むか又はそれから成る焼結粒子の局所的に変化する比率、及び、第2の材料を含むか又はそれから成る焼結粒子の局所的に変化する比率を通じて、製造することができる。
【0017】
更なる実施形態によれば、第1の材料の第2の材料に対する比率は、少なくとも1つの第1の電極層の少なくとも一部の領域において、主延在方向に沿って減少する。少なくとも1つの部分領域は、ここおよび以下において、第1の端部領域、第2の端部領域、第1の端部領域と第2の端部領域との間の領域、又は、上述した領域から成る組み合わせを含むか又はそれらによって形成することができる。第1の材料の第2の材料に対する比率の減少は、例えば連続的であることができる。換言すれば、第1の材料の比率は連続的に減少することができ、第2の材料の比率は連続的に増加することができる。代替的に又は付加的に、比率の減少は、少なくとも1つの部分領域において、段階的に、すなわち少なくとも1つ又は複数の段階において、行うこともできる。第1の材料の第2の材料に対する比率の段階は、第1及び/又は第2の材料の比率の急激な変化によって引き起こされ得る。
【0018】
更なる実施形態によれば、第1の材料は金属を含む。例えば、第1の材料は、Ni、Cu、Ag及びPdから選択される1つ又は複数の金属を含むことができ又はそれらから成ることができる。第2の材料は、第1の材料と同様に、導電性であることができる。例えば、第2の材料は、同様に金属、例えば前述の金属のうちの1つ又は複数を含むことができるが、その組成は、第2の材料が、前述したように、第1の材料よりも低い比導電率を有するようなものである。より低い比導電率は、第2の材料が電気絶縁性であることをも意味し得る。例えば、第2の材料は、電気絶縁性のセラミック材料、例えば二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムを含むことができ又はそれらから成ることができる。
【0019】
更なる実施形態によれば、少なくとも1つの第1の電極層は、第2の端部領域よりも第1の端部領域の近くに位置する重心を有する。これは、少なくとも1つの第1の電極層が、主延在方向に沿って、少なくとも1つの第1の電極層を、主延在方向に沿って測定された同一の長さの2つの半体に分割する、幾何学的中心を有することを意味し得る。幾何学的中心に関して、少なくとも1つの第1の電極層は、相応して、第2の端部領域に面する半体よりも、第1の端部領域に面する半体に、より多くの材料、特により多くの導電性の材料を有している。第1の端部領域により近い、より多くの材料、特により多くの導電性の材料によって、この領域における通電容量は、第2の端部領域により近い領域よりも大きくなり得る。
【0020】
例えば、少なくとも1つの第1の電極層は、第1の端部領域において、第2の端部領域よりも大きな厚さを有することができる。したがって、少なくとも1つの第1の電極層の厚さは、主延在方向に沿って減少することができる。セラミック多層部品の積層体の層の厚さは、ここおよび以下において、特に積層方向に測定することができる。例えば、少なくとも1つの第1の電極層の厚さは、少なくとも1つの部分領域において段階的に減少することができる。これは、特に、少なくとも1つの第1の電極層の厚さが、少なくとも1つの部分領域において1つ又は複数の段階で減少すること、すなわち1つ又は複数の急激な減少を有することを意味し得る。これに代えて、少なくとも1つの第1の電極層の厚さは、少なくとも1つの部分領域において連続的に減少することもできる。
【0021】
主延在方向に小さくなる厚さに代えて又はそれに加えて、少なくとも1つの第1の電極層は、第1の端部領域において、第2の端部領域よりも大きな幅を有することができる。それに応じて、幅は、主延在方向に沿って減少することができる。ここおよび以下において、セラミック多層部品の積層体の層の幅は、積層方向に対して垂直かつ少なくとも1つの第1の電極層の主延在方向に対して垂直な方向に測定することができる。例えば、少なくとも1つの第1の電極層の幅は、少なくとも1つの部分領域において段階的に減少することができる。これは、特に、少なくとも1つの第1の電極層の幅が、少なくとも1つの部分領域において1つ又は複数の段階で減少すること、すなわち1つ又は複数の急激な減少を有することを意味し得る。これに代えて、少なくとも1つの第1の電極層の幅は、少なくとも1つの部分領域において連続的に減少することもできる。
【0022】
代替的に又は付加的に、少なくとも1つの第1の電極層は、積層方向において少なくとも1つの第1の電極層の内部に達する開口を備えることができる。特に、開口は、少なくとも1つの第1の電極層を貫通することができ、隣接するセラミック層の材料で、又は、それとは異なるセラミック材料、例えば誘電体セラミック材料で充填することができる。特に、開口は、主延在方向に沿って増加する占有密度を有することができる。換言すれば、少なくとも1つの第1の電極層は、第1の端部領域の近くよりも第2の端部領域の近くにより多くの開口を備える。
【0023】
少なくとも1つの第1の電極層を製造するために、特に好ましくは、電極層の幾何学的形状及び/又は電極層の組成に関して上述したバリエーションを製造することができる方法、例えば、多層スクリーン印刷、不均質スクリーン印刷又はインクジェット印刷を利用することができる。例えば、少なくとも1つの第1の電極層の様々に変化する厚さは、多層スクリーン印刷によって作り出すことができる。この場合、局所的に変化する複数回の印刷によって、対応する平面領域に厚さを適合させることができる。更なる加工オプションとして、同様に少なくとも1つの第1の電極層の異なる厚さの領域を作り出すために適している可能性のある不均質スクリーン印刷のために、スクリーンに狙いを定めてキャビティを作り込む又は設けることができる。スクリーンのキャビティの局所的に異なる密度及び/又はサイズを通じて、局所的な材料スループットを適合させることができ、その結果、同様に、少なくとも1つの第1の電極層の異なる厚さの領域を作り出すことができる。インクジェット印刷によって、特に3Dインクジェット印刷によって、異なる厚さの領域も、異なる材料組成を有する領域も、作り出すことができる。異なる幅の領域は、上述した措置によって及び/又は少なくとも1つの電極層の材料を塗布する際に適切なマスクを使用することによって、達成され得る。
【0024】
更なる実施形態によれば、セラミック多層部品の積層体は、複数の第1の電極層を備える。第1の電極層は、積層方向に重なり合って、かつ、セラミック層によって互いに分離されて、配置されることができる。全てが第1の外部電極を介して電気的に接触され得る第1の電極層の各々は、上述した特徴のうちの1つまたは複数を有し得る。好ましくは、2つ以上又は特に好ましくは全ての第1の電極層は、同様に設計されることができ、すなわち、特に同一の幾何学的特徴及び/又は同一の組成特徴を有することができる。
【0025】
更なる実施形態によれば、セラミック多層部品の積層体は、主延在方向に沿って第1の端部領域から第2の端部領域まで延びる少なくとも1つの第2の電極層を備える。第1の外面とは異なる第2の外面上に、少なくとも1つの第2の電極層を電気的に接触させる第2の外部電極を配置することができ、当該少なくとも1つの第2の電極層は、第1の端部領域で第2の外面に隣接する。したがって、少なくとも1つの第1の電極層の主延在方向と、少なくとも1つの第2の電極層の主延在方向とは、異なっていてもよい。特に好ましくは、2つの主延在方向は、互いに平行かつ逆方向に向けられている。
【0026】
少なくとも1つの第2の電極層は、少なくとも1つの第1の電極層について上述した特徴のうちの1つ又は複数を有することができ、第1及び第2の電極層は、特に好ましくは、積層体内の異なる平面に配置することができる。少なくとも1つの第2の電極層及び少なくとも1つの第1の電極層は、特に好ましくは、同様に設計されることができる。更に、複数の第2の電極層が存在していてもよい。好ましくは、2つ以上又は特に好ましくは全ての第2の電極層は、同様に設計されることができ、すなわち、特に同一の幾何学的特徴及び/又は同一の組成を有することができる。複数の第1及び/又は第2の電極層が存在する場合、これらは、特に好ましくは、積層方向において交互に重なり合って配置することができる。
【0027】
外面までの距離が大きくなるにつれて小さくなる通電容量を有する少なくとも1つの電極層を有する、ここに記載されるセラミック多層部品と比較して、公知の多層部品においては、通常、内部電極は、一定の厚さ及び長方形の面、並びに、均質な材料組成を有するものとして製造され、内部電極の最小の可能な厚さ及び幅は、給電ゾーン、すなわち外部電極との接点において想定される電流密度を考慮して必要とされる通電容量によって、使用される電極材料組成に応じて設定されている。しかしながら、内部電極に印加される電流は、内部電極に沿って隣接するセラミック材料内に連続的に分散され得るので、電流密度は、内部電極の給電ゾーンまでの距離が増加するにつれて減少し、内部電極の給電ゾーンと反対側の端部においては、通常、臨界レベルよりはるかに低い。通常の内部電極設計では、この点は考慮されておらず、その寸法が給電ゾーンで必要とされる寸法によって決定される内部電極は、給電ゾーンとは反対側で過大なサイズとされている。これとは対照的に、ここに記載されたセラミック多層部品における少なくとも1つの第1の電極層の幾何学的形状及び/又は材料組成分布の、ここに記載された狙いを定めた適合を通じて、電極層の製造における材料消費を最適化し、ひいては材料使用量及び/又はコストを低減することが可能であり得る。材料消費の低減及びこれと関連するコスト節約に加えて、同一の部材容積でのパルス・ロバスト性及び通電容量の可能な改善に、更なる利点が存在し得る。特に好ましくは、少なくとも1つの第1の電極層の通電容量は、隣接するセラミック層内への電流分配を考慮して、少なくとも1つの第1の電極層内の電流密度が主延在方向に沿って実質的に一定であるように、上述した措置によって適合させることができる。
【0028】
更なる利点,有利な実施形態及び発展形態が、以下において図面と関連して説明される実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施例によるセラミック多層部品の概略図である。
図2A】更なる実施例による多層部品の概略図である。
図2B】更なる実施例による多層部品の概略図である。
図2C】更なる実施例による多層部品の概略図である。
図2D】更なる実施例による多層部品の概略図である。
図3A】更なる実施例による多層部品の概略図である。
図3B】更なる実施例による多層部品の概略図である。
図4A】更なる実施例による多層部品の概略図である。
図4B】更なる実施例による多層部品の概略図である。
図5A】更なる実施例による多層部品の電極層の組成に関する概略図である。
図5B】更なる実施例による多層部品の電極層の組成に関する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施例及び図面において、同一の、同様の、又は、同等に機能する要素には、それぞれ同一の参照符号が付されている可能性がある。図示された要素及びそれらの互いの大きさの比率は縮尺どおりではなく、むしろ、例えば層、部品、部材及び領域のような個々の要素は、より良好な図示の可能性及び/又はより良好な理解のために、誇張して大きく示されている可能性がある。
【0031】
以下の図面は、それぞれ、純然たる例示として、過電圧保護素子、特にいわゆる多層過電圧保護素子として設計されたセラミック多層部品100の実施例を示している。これに代えて、セラミック多層部品を例えば熱センサとして具現することも、セラミック材料の適切な選択を通じて可能である。
【0032】
図1には、セラミック多層部品100の実施例が概略的な断面図で示されており、当該セラミック多層部品100は、積層方向Sに沿って重なり合って配置されたセラミック層2及び電極層3、4を有する積層体1によって形成された基体を備えている。積層体1は、積層方向Sに対して垂直な方向において積層体1を境界付ける外面を備えている。図1では、対向する外面5、6を認識することができる。後に続く図2A~2D及び4Aでは、更に外面9、10も認識することができる。例えば、多層部品100は、積層方向Sに沿ったビューにおいて長方形の断面を有することができ、その結果、積層体1は相応して4つの外面を有することができ、直方体として設計され得る。積層方向において、積層体1は、下面及び上面で終端している。
【0033】
多層部品100は、上述したように、純然たる例示として、過電圧保護素子として、特に多層過電圧保護素子として設計されており、当該多層過電圧保護素子においては、少なくとも積層方向Sにおいて電極層3、4の間に配置されたセラミック層2が、バリスタ材料を含むか又はそれから成っている。積層方向Sにおいて、積層体1は、セラミック層2で終端することができ、当該セラミック層2は、同様に、バリスタ材料又は代替的に誘電体材料を含むことができる。電極層3、4は、好ましくは、例えばNi、Cu、Ag及びPdから選択される1つ又は複数の金属を含むことができ又はそれらから成ることができる。
【0034】
セラミック多層部品100を製造するために、セラミック層2及び電極層3、4は、例えばグリーンシートの形態の適切なペーストから製造され、重なり合って塗布され、共に焼結されることができる。このために、例えば、必要に応じてマスクの使用下でスクリーン印刷又はインクジェット印刷のような印刷プロセスを利用することができ、それによって、バインダーと混合された焼結粒子の形態の所望の材料を有するペーストを塗布することができる。図1では、破線によってセラミック層2の間の層境界が示されており、これらの層境界は、それぞれ塗布された層を示すことが意図され、焼結プロセスのため、完成した多層部品100にはもはや存在しない。特に、電極層3、4に関しては、多層スクリーン印刷、不均質スクリーン印刷及び/又は3Dインクジェット印刷のような方法を利用することもできる。例えば、セラミック層2は、1μm~200μmの厚さ、すなわち積層方向Sに沿った広がりを有することができる。電極層3、4は、例えば、0.1μm~10μmの厚さを有することができる。
【0035】
少なくとも1つ以上の外面上に外部電極を塗布することができ、それらによって、積層体内に配置された電極層3、4を接触させることができる。図示された実施例では、以下において第1の外面5及び第2の外面6とも称される、図1において認識可能な外面5,6の上に、単層又は多層で設計することができる第1の外部電極7及び第2の外部電極8が塗布されている。例えば、外部電極7、8は、Cu、Cr、Ni、Ag及びAuから選択される1つ又は複数の金属を含むことができる。外部電極7、8は、例えば、蒸着又はスパッタリングすることができる。好ましくは、外部電極7、8は、Cr/Cu/Au層又はCr/Cu/Ag層又はCr/Ni/Ag層又はCr/Ni/Ag層を含む層の連続を備えることができる。外部電極7、8は、好ましくは、以下において第1の電極層3とも称され得る電極層3、又は、以下において第2の電極層4とも称され得る電極層4と、直接的に接触しており、その結果、電極層3、4は、外部電極7、8を介して電気的に接触される。
【0036】
純然たる例示として、多層部品100は、図1において、1つの第1の電極層3及び2つの第2の電極層4と共に示されている。これに代えて、2つ以上の第1の電極層3及びただ1つの又は2つより多くの第2の電極層4が存在していてもよく、これらは、好ましくは、積層方向Sにおいてセラミック層2によって互いに分離された状態で交互に重ね合わされて塗布することができる。したがって、セラミック多層部品100は、少なくとも1つの第1の電極層3及び少なくとも1つの第2の電極層4を備えることができる。
【0037】
少なくとも1つの第1の電極層3は、第1の外面5及び第1の外部電極7に隣接する第1の端部領域31から、主延在方向Hに沿って第2の端部領域32まで延びており、一方、第2の電極層4は、相応して、第2の外面6及び第2の外部電極8に隣接する第1の端部領域41から、主延在方向Hに平行で逆向きの主延在方向H’に沿って第2の端部領域42まで延びている。第1の端部領域31、41は、特に給電ゾーンを形成することができ、当該給電ゾーンを介して、セラミック多層部品100の作動中、電流の方向に応じて、電流を電極層の内部へ又は電極層から外部へ導くことができる。相応する純然たる例示としての電流が、図1において、第1の電極層3と第2の電極層4との間の矢印によって示されている。第1の電極層3に印加される電流は、主延在方向Hに沿って連続的にセラミック内に分散され得るので、電流強度は、第1の電極層3の第1の端部領域31によって形成された給電ゾーンへの距離が増加するにつれて、減少する。それに応じて、少なくとも1つの第1の電極層3は、主延在方向Hに沿って通電容量が減少するように設計されている。したがって、少なくとも1つの第1の電極層3は、第1の端部領域31において、第2の端部領域32におけるよりも高い最大電流に耐えることができる。以下の図面では、少なくとも1つの第1の電極層3の相応する具現のための実施例が示されている。第2の電極層4は、好ましくは、第1の電極層3と同様に設計することができる。同様に、複数の第1の電極層においても、これらは、好ましくは同様に設計することができる。
【0038】
図2A~2Dは、積層方向に対して垂直に少なくとも1つの第1の電極層3を通って延びる断面に沿った、図1のものと同様の多層部品100の断面図を示している。図示された実施例において、少なくとも1つの第1の電極層3は、第2の端部領域32よりも第1の端部領域31の近くに位置する重心Cを有するが、重心Cの位置は、図では概略的にのみ示されている。少なくとも1つの第1の電極層3は、更に、破線によって示されているように、主延在方向Hに沿って幾何学的中心を有し、当該幾何学的中心は、少なくとも1つの第1の電極層3を主延在方向Hに沿って等しい長さの2つの半体に分割している。したがって、幾何学的中心から見ると、重心Cは、第1の端部領域31に隣接する半体に位置している。それに応じて、少なくとも1つの第1の電極層3は、第2の端部領域32に面する半体よりも、第1の端部領域31に面する半体に、より多くの材料、特により多くの導電性の材料を有している。それにより、第1の端部領域31における通電容量が、第2の端部領域32における通電容量よりも大きいことが達成され得る。
【0039】
図2A~2Dの実施例において、上述した重心Cの位置は、少なくとも1つの第1の電極層3が、第1の端部領域31において、第2の端部領域32におけるよりも大きな幅を有することによってもたらされる。これは、積層方向Sに対して垂直かつ少なくとも1つの第1の電極層3の主延在方向Hに対して垂直な方向において測定される幅が、主延在方向Hに沿って減少することを意味する。例えば、幅は、少なくとも1つの部分領域において連続的に減少することができる。図2Aには、第1の電極層3が示されており、その幅は、主延在方向Hの全長にわたって直線的かつ連続的に小さくなっている。第1の電極層3は、このために、図示されているように台形状に設計することができる。更に、少なくとも1つの第1の電極層3の幅は、少なくとも1つの部分領域において、段階的に減少することができる。図2Bに示された実施例において、第1の電極層3の幅は、例えば1段階で、図2Cに示された実施例においては複数の段階で、減少している。図2Dに示されているように、幅の減少は、多角形状に形成された電極層のみに限定されることはなく、直線ではない辺を有する平面も含むことができる。図示された電極層形態を作り出すために、例えば、マスクベースの印刷プロセス又はインクジェット印刷プロセスを利用することができる。
【0040】
図3A及び3Bの実施例において、少なくとも1つの第1の電極層3は、第1の端部領域31において、第2の端部領域32におけるよりも大きな厚さを有している。先の実施例と同様に、重心Cが、第2の端部領域32よりも第1の端部領域31の近くに位置することにより達成することができる。例えば、少なくとも1つの第1の電極層3の厚さは、図3A及び3Bに示されているように、少なくとも1つの部分領域において段階的に減少することができる。例えば、第1の電極層3の厚さは、図3Aに示されているように1段階で、又は図3Bに示されているように複数の段階で、減少することができる。段階的に減少する厚さを作り出すために、例えば、多層スクリーン印刷プロセスを利用することができる。この場合、対応する平面領域を複数回印刷することによって、様々に変化する厚さを作り出すことができる。更に、不均質スクリーン印刷プロセスを利用することもでき、当該プロセスにおいては、スクリーンのキャビティの密度及び/又は大きさを通じて、材料スループットを適合させることができる。更に、3Dインクジェット印刷プロセスも利用することができる。特に、後者によれば、連続的に減少する厚さも作り出すことが可能であり得る。図3A及び3Bに示された電極層は、積層方向Sに沿った上面図において、例えば、長方形の断面、又は、前の図に関連して説明された減少する幅を伴う断面を有することができる。
【0041】
図4A及び4Bには、開口11を備えた少なくとも1つの第1の電極層3を有するセラミック多層部品100の実施例が示されており、当該開口11は、積層方向Sにおいて少なくとも1つの第1の電極層3の内部まで達し、特に好ましくは少なくとも1つの第1の電極層3を貫通している。開口11は、隣接するセラミック層2の材料、又は、それとは異なるセラミック材料、例えば誘電体セラミック材料で充填することができる。図4Aに示されているように、開口11は、主延在方向Hに沿って増加する占有密度を有し、その結果、少なくとも1つの第1の電極層3は、第2の端部領域32の近くで第1の端部領域31の近くよりも多くの開口を有し、それにより、ここでも第1の端部領域31の方向への重心Cのシフトが達成される。図4Aに示された開口11の数及び配置は、純然たる例示として理解されるべきである。開口直径が、第1の端部領域31からの距離が増加するにつれて大きくなることも可能である。
【0042】
図4Bに示されているように、開口11は、図3A及び3Bの実施例に関連して説明したように、様々に変化する厚さと組み合わせることもできる。更に、図2A~2Dの実施例に関連して説明したように、様々に変化する幅との代替的な又は付加的な組み合わせも可能である。上述し、図4Bに示されているように、特に第1及び第2の電極層3、4は、同様に設計することができる。
【0043】
先の実施例で説明したように、多層部品の電極層は、幅及び/又は厚さに関して主延在方向に次第に小さくなる形状を有することができ、代替的に又は付加的に、主延在方向に大きくなる占有密度又は大きくなる開口直径を有する開口を、電極層材料を低減するために備えることができ、それにより、効率的な材料消費を達成することができる。電極層の幾何学的な設計は、特に、主延在方向に小さくなる通電容量にもかかわらず、想定される通常の作動条件に応じて、電極層内の局所的な電流密度が、好ましくは一定に又は常に臨界レベル未満に維持されるように行うことができる。
【0044】
上述した幾何学的なバリエーションに代えて又はそれに加えて、少なくとも1つの第1の電極層は、主延在方向に減少する比導電率を有することができ、それにより、主延在方向に小さくなる通電容量も達成することができる。特に、少なくとも1つの第1の電極層は、第1の端部領域において、第2の端部領域におけるよりも高い比導電率を有することができる。これは、少なくとも1つの第1の電極層が、少なくとも、第1の比導電率を有する第1の材料及び第2の比導電率を有する第2の材料を含むか又はこれらから成る混合物を含み、第2の比導電率が第1の比導電率よりも小さいこと、並びに、第1の材料の第2の材料に対する比率が主延在方向に小さくなること、によって達成することができる。それに応じて、少なくとも1つの第1の電極層は、第1の端部領域において、第2の端部領域におけるよりも、第2の材料と比較して高い比率の第1の材料を含む。その際、少なくとも1つの第1の電極層は、第1の端部領域において第2の材料を含まなくてもよく、及び/又は、第2の端部領域において第1の材料を含まなくてもよい。これに代えて、第1の端部領域及び/又は第2の端部領域において、第1及び第2の材料が、少なくとも1つの第1の電極層に共に含まれていてもよい。第1及び第2の材料を含むか又はこれらから成る様々な混合物は、例えば、少なくとも1つの第1の電極層を製造するために塗布されたグリーンシート中における、第1の材料を含むか又はそれから成る焼結粒子の局所的に変化する比率、及び、第2の材料を含むか又はそれから成る焼結粒子の局所的に変化する比率を通じて、達成することができる。第1及び第2の材料の様々に変化する比率を作り出すために、好ましくは3Dインクジェット印刷プロセスを利用することができる。
【0045】
図5A及び5Bに示されているように、第1の材料の第2の材料に対する比率Rは、それに応じて、少なくとも1つの第1の電極層の少なくとも一部の領域において、主延在方向Hに沿って減少する。第1の材料の第2の材料に対する比率Rの減少は、図5Aに示されているように、段階的、すなわち図示されるように1つの段階で又は代替的に複数の段階で、であってもよい。更に、比率Rの減少は、例えば、図5Bに示されているように、連続的であってもよい。
【0046】
第1の材料は、特に好ましくは、金属、特にNi、Cu、Ag及びPdから選択される1つ又は複数の金属であることができる。第2の材料は、第1の材料と同様に、導電性であることができ、例えば金属、例えば前述の金属のうちの1つ又は複数を含むことができるが、その組成は、第2の材料が第1の材料よりも低い比導電率を有するようなものである。更に、第2の材料は、電気絶縁性であってもよく、例えば、二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムのような電気絶縁性セラミック材料を含むか又はそれら成っていてもよい。
【0047】
図面に関連して記載された特徴及び実施例は、全ての組み合わせが明示的に記載されていなくても、更なる実施例に従って互いに組み合わせることができる。更に、図面に関連して記載された実施例は、代替的に又は付加的に、一般的な部分の記載による更なる特徴を備えていてもよい。
【0048】
本発明は、実施例を参照した記載によって、これらに限定されない。むしろ、本発明は、全ての新しい特徴、及び、特に特許請求の範囲における全ての特徴の組み合わせを含む全ての特徴の組み合わせを、たとえ当該特徴又は組み合わせ自体が特許請求の範囲又は実施例において明示的に提示されていない場合であっても、含む。
【符号の説明】
【0049】
1 積層体
2 セラミック層
3 第1の電極層
4 第2の電極層
5 第1の外面
6 第2の外面
7 第1の外部電極
8 第2の外部電極
9,10 外面
11 開口
31,41 第1の端部領域
32,42 第2の端部領域
100 セラミック多層部品
C 重心
H,H’ 主延在方向
R 比率
S 積層方向
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B