(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】紙ログ製造用巻き返し機
(51)【国際特許分類】
B65H 26/08 20060101AFI20230214BHJP
B65H 23/188 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
B65H26/08
B65H23/188
(21)【出願番号】P 2020570021
(86)(22)【出願日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 IT2019050122
(87)【国際公開番号】W WO2020003329
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】102018000006607
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】506180062
【氏名又は名称】フューチュラ エス ピー エー
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアーニ、ジョヴァッキーノ
(72)【発明者】
【氏名】ベッティ、ガブリエレ
(72)【発明者】
【氏名】タマニーニ、マノロ
(72)【発明者】
【氏名】パレンティ、シモーネ
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-053244(JP,A)
【文献】特開平02-086535(JP,A)
【文献】特開昭61-037654(JP,A)
【文献】特開2016-202801(JP,A)
【文献】実開平01-085357(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/00-18/28
B65H 23/18-23/198
B65H 26/00-26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1巻き取りローラ(R1)及び第2巻き取りローラ(R2)によって紙を巻くための巻き取りステーション(W)と、第3巻き取りローラ(R3)と、を含む、紙材料のログを製造するための巻き返し機であって、
前記第1及び第2巻き取りローラ(R1,R2)は、1つ又は複数の紙プライからなる紙ウェブ(3)がその間を通って供給されそしてログ(L)を形成するように当該ステーション(W)において巻き取られるように作用するニップ(N)の範囲を、それぞれの外面において、定めるように適合されており、
前記第3巻き取りローラ(R3)は、前記ウェブ(3)が供給される方向(F3)に対して、前記第1及び第2巻き取りローラ(R1,R2)の下流に配置され、
前記第2巻き取りローラ(R2)は、前記第1巻き取りローラ(R1)よりも低い位置に配置され、
前記第1巻き取りローラ(R1)、第2巻き取りローラ(R2)及び第3巻き取りローラ(R3)は、それぞれの回転軸の周りを回転し、前記第1巻き取りローラ(R1)、第2巻き取りローラ(R2)及び第3巻き取りローラ(R3)の回転軸は水平で且つ互いに平行であり、そして前記ウェブ(3)が供給される方向(F3)に対して横方向に配向されており、
前記第3巻き取りローラ(R3)はアクチュエータ(A3)に接続され、当該アクチュエータは、前記ウェブ(3)がニップ(N)に対して接近離間運動して移動することを可能にし、その結果、前記ログの製造中に第3巻き取りローラ(R3)の位置が他の2つの巻き取りローラ(R1,R2)に対して変動し、
そして前記巻き取りローラ(R1,R2,R3)の各々は、対応する電気モータ(M1,M2,M3)に接続されたそれ自体の軸の周りを回転し、
当該巻き返し機は、一連の予め設定された検出時間で前記巻き取りステーション(W)において形成されるログ(L)による上記時間において仮定された一連の直径値(DE)を検出可能な光学手段(5,50)を有する検出システムと、前記電気モータ(M1,M2,M3)及び前記光学手段(5,50)に接続されたプログラム可能な電子ユニット(UE)と、をさらに含み、
前記プログラム可能な電子ユニット(UE)は、前記光学手段(5,50)によって測定された直径値(DE)を一連の対応する予め設定された直径値(DT)と比較し且つこれらの値(DE,DT)間の一連の差(e1,e2,...,en)を計算するようにプログラムされており;
前記プログラム可能な電子ユニット(UE)は、完成したログ(LK)の実際の直径(DEK)の値、即ち、各々のログ(LK)の巻き付けが完了した時の各々のログ(LK)の直径に関する信号を前記光学手段から受信し;
前記プログラム可能な電子ユニット(UE)は、前記一連の差を形成する値(e1,e2,...,en)の経時的な傾向に関連するパラメータ(a)を決定し;
前記プログラム可能な電子ユニット(UE)は、前記パラメータ(a)の値に応じて、前記第1及び第2巻き取りローラ
(R1,R2)の相対速度を変化させ;
前記パラメータ(a)が所定の値(aN)及び(aP)の間にあり、(aN)及び(aP)がゼロ値を含む値域の終端である場合に、前記
プログラム可能な電子ユニット(UE)は、前記巻き取りステーション(W)に到達する前記紙ウェブ(3)の厚さを調整するための調整手段(T3;EM;EX)に接続され、前記調整手段(T3;EM;EX)に従い前記厚さの自動的な調整が行われ;
前記自動的な調整は、前記光学手段(5,50)によって検出された完成ログの直径(DEK)に基づいて、完成ログの検出された直径(DEK)がそれぞれ予め設定された直径(DTK)よりも大きいか又は小さい場合に、完成ログの検出された直径(DEK)に基づいて前記紙ウェブの厚さを減少又は増加させることによって行われることを特徴とする巻き返し機。
【請求項2】
前記値域の終端は、それぞれ、aN=-0.1であり、aP=+0.1であることを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項3】
前記紙ウェブ(3)の厚さを調整するための前記調整手段(T3;EM;EX)は、前記巻き返し機(RW)の上流の前記紙ウェブ(3)に作用し、且つ前記プログラム可能な電子ユニット(EU)に接続されて当該電子ユニットによって制御される張力装置(T3)を含むことを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項4】
前記紙ウェブ(3)の厚さを調整するための前記調整手段(T3;EM;EX)は、前記巻き返し機(RW)の上流の前記紙ウェブ(3)に作用し、前記プログラム可能な電子ユニット(EU)に接続されたアクチュエータ(EA)を備え、且つ当該電子ユニットによって制御されるエンボス加工装置(EM)を含むことを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項5】
前記紙ウェブ(3)の厚さを調整するための前記調整手段(T3;EM;EX)は、前記巻き返し機(RW)の上流の前記紙ウェブ(3)に作用し、前記プログラム可能な電子ユニット(EU)に接続されたアクチュエータ(X3)を備え、且つ当該電子ユニットによって制御されるカレンダ加工装置(EX)を含むことを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項6】
前記紙ウェブ(3)の厚さを調整するための前記調整手段(T3;EM;EX)は、前記巻き返し機(RW)の上流の前記紙ウェブ(3)に作用し、前記プログラム可能な電子ユニット(EU)に接続されたアクチュエータ(EA)を備え、且つ当該電子ユニットによって制御されるエンボス加工装置(EM)を含み、
前記
プログラム可能な電子ユニット(UE)は、完成したログの検出された直径(DEK)が依然として予め設定された直径(DTK)と実質的に異なっている場合に、前記張力装置(T3)に最初に作用して、前記エンボス加工装置(EM)に連続的に作用することを特徴とする請求項3記載の巻き返し機。
【請求項7】
前記紙ウェブ(3)の厚さを調整するための前記調整手段(T3;EM;EX)は、前記巻き返し機(RW)の上流の前記紙ウェブ(3)に作用し、前記プログラム可能な電子ユニット(EU)に接続されたアクチュエータ(X3)を備え、且つ当該電子ユニットによって制御されるカレンダ加工装置(EX)を含み、
前記
プログラム可能な電子ユニット(UE)は、完成したログの検出された直径(DEK)が依然として完成したログの予め設定された直径(DTK)と実質的に異なっている場合に、最初に前記張力装置(T3)に作用し、そして前記カレンダ加工装置(EX)に連続的に作用することを特徴とする請求項3記載の巻き返し機。
【請求項8】
前記光学手段(5,50)によって検出された一連の直径のそれぞれの径(DE)は、前記一連の検出時間において前記光学手段(5,50)によって検出された前記ログ(L)の一端の端部(EL)の一連の画像の3点(H)の検出時に、前記検出システム(5,50)によって決定されることを特徴とする請求項1記載の巻き取り機。
【請求項9】
完成したログの前記検出された直径(DEK)は、前記光学手段(5,50)によって検出された前記ログ(LK)の一端の端部(EL)の画像の少なくとも4点(K1,K2,K3,K4)を検出し、そして引き続いて行われる前記少なくとも4点(K1,K2,K3,K4)の各セットを通過する全ての円周の直径の決定とともに、前記光学手段(5,50)によって決定されることを特徴とする請求項1記載の巻き取り機。
【請求項10】
前記プログラム可能な電子ユニット(UE)が、実際に測定された直径の値、理論的基準値に対する誤差の値、経時的な誤差の傾向、及び
第1巻き取りローラと比較した前記巻き取りステーションの前記
第2巻き取りローラの速度において決定されたあらゆる変動、からなる表示事項のうちの1つ以上が表示される表示手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙ログを製造するための巻き返し機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トイレットペーパーのロールまたはキッチンペーパーのロールが得られる紙材料ログの製造は1つ以上の重ねられた紙プライによって形成された紙ウェブを、それに沿って種々の操作が行われてからログの形成に進む所定の通路上に供給することを含み、これには、それを分離可能なシートに分割するプレ切断線を形成するためのウェブの横方向のプレ切り込みが含まれることが知られている。
【0003】
ログの形成は通常「コア」と呼ばれる厚紙チューブの使用を伴い、その表面上に所定量の接着剤が分配されて、一般に「巻き返し機」と呼ばれるログを製造する装置に漸次導入されるコア上の紙ウェブの結合を可能にし、そこにはコア上のウェブの巻き取りを決定する巻き取りローラが配置される。コアがその凹状構造のために、一般に「クレードル」と呼ばれる末端部分を含む対応する通路に沿って通過するときに、接着剤はコア上に分配される。
【0004】
さらに、ログの形成はそれぞれのコアの長手方向軸の周りの回転を引き起こす巻き取りローラの使用を意味し、それにより、同じコア上のウェブの巻き取りを決定する。当該作業は所定数のシートがコア上に巻かれたときに終了し、最後のシートのフラップを、そのように形成されたロールの下にある1つに接着する(いわゆる「フラップ接着」操作)。当該コアに巻かれる所定枚数のシートに到達すると、完成されているログの最後のシートは、例えば、対応するプレ切断線に向けられた圧縮エアの噴流の手段によって、次のログの最初のシートから分離される。この時点で、ログは巻き返し機から取り外される。
【0005】
特許文献1は、上述の作業方式に従って作業する巻き返し機を開示している。次いで、このようにして製造されたログは、バッファマガジンに搬送され、バッファマガジンは1つ以上の切断機に供給し、当該切断機によって、ログの横方向切断が行われて、所望の長さのロールが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特に、巻き返し機内のログの直径の検査に関し、そして、例えば、巻き取りローラの表面摩耗及び/又は巻き取りローラの表面上の破片の存在及び/又は用紙の表面特性に起因する位置の起こり得る誤差を補正するために、巻き取りローラに到達する紙の厚さを自動的に調整するための制御装置を提供することを目的とする。換言すれば、本発明は、ログの実際の直径の測定値と対応する予め設定された値との比較に基づいて、ログを形成するために巻かれる紙ウェブの厚さを自動的に調整することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この効果は、請求項1に示される特徴を有する巻き返し機を提供することによって達成される。他の特徴は、本従属クレームの主題である。
【発明の効果】
【0009】
本発明が提供する利点の中には、例えば、巻き返し機の制御が経時的に一定であり、機械を運転するオペレータの経験に依存しないこと、市販の光学装置を使用することができること、制御システムの費用が本発明によって提供される利点に関連して非常に低いことが挙げられる。
本発明のこれら及びさらなる利点及び特徴は、例示として提供される以下の記載及び添付の図面に基づいて全ての当業者によってよりよく理解されるであろうが、これらの例示は限定的な意味で考慮されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】形成段階におけるログ(L)及び概略的に図示された巻き返し機の上流に配置された紙変換プラントの一部を有する紙材のログを製造するための巻き返し機を示す概略側面図である。
【
図3A】異なる巻き取り形状の側部から見た形成中のログを概略的に表す図面である。
【
図3B】異なる巻き取り形状の側部から見た形成中のログを概略的に表す別の図面である。
【
図3C】異なる巻き取り形状の側部から見た形成中のログを概略的に表す更なる別の図面である。
【
図4】プログラム可能な電子ユニット(UE)に関する簡略化されたブロックダイアグラムである。
【
図5】本発明に係る巻き返し機において実行される可能な制御に関する図面である。
【
図6】本発明によるログ直径の測定を示す図面である。
【
図7A】本発明によるログ直径の測定を示す別の図面である。
【
図7B】本発明によるログ直径の測定を示す更なる別の図面である。
【
図7C】本発明によるログ直径の測定を示す他の図面である。
【
図8】本発明に係る巻き返し機において実行される検査に関する図面である。
【
図9】本発明に係る巻き返し機において実行される検査に関する別の図面である。
【
図10】紙ウェブの厚さ(T)が、当該紙ウェブが受けるエンボス加工の影響によってどのように変化し得るかを概略的に示す図面である。
【
図11】巻き返し機の上流に配置される可能な紙処理装置を概略的に示し、特に、エンボス加工装置(EM)を配置した場合の図面である。
【
図12】巻き返し機の上流に配置される可能な紙処理装置を概略的に示し、特に、カレンダ加工装置(EX)を配置した場合の図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る制御システムは、例えば、
図1及び
図2に示す形式の巻き返し機(RW)の動作を制御するために適用可能である。巻き返し機は、それぞれの外面で、ニップ(N)を画定するようになっている第1巻き取りローラ(R1)及び第2巻き取りローラ(R2)によって紙を巻き取るためのステーション(W)を備え、当該ニップ(N)を通して、1つまたは複数の紙プライによって形成された紙ウェブ(3)が供給され、そしてログ(L)を形成するために管状コア(4)の周りに巻き取られるようになっている。
【0012】
ウェブ(3)には、一連の横方向の切り込みが設けられており、この切込によりウェブ自体が連続した個々のシートに分割され且つ個々のシートの分離が容易になる。
【0013】
横方向の切り込みは、巻き取りステーション(W)の上流の紙ウェブ(3)が通過する通路に沿って配置された一対のプレ切断ローラによって、それ自体公知の方法で作られる。各ログ(L)は、コア(4)に巻き付けられる所定数のシートからなる。
【0014】
ログの形成中、ログの直径は、ウェブ(3)の所定の長さに対応する最大値まで、又は所定の枚数のシートまで増加する。巻き取りステーション(W)には、ウェブ(3)が通過する方向に対して、第1及び第2巻き取りローラ(Rl,R2)の下流に第3巻き取りローラ(R3)が設けられている。
【0015】
さらに、第2巻き取りローラ(R2)は、第1巻き取りローラ(Rl)よりも低い位置に配置されている。添付図面に示す例によれば、第1ローラ(R1)、第2ローラ(R2)及び第3ローラ(R3)の回転軸は水平であり、互いに平行であり、即ち、ウェブ(3)が通過する方向に対して横方向に配向されている。
【0016】
第3ローラ(R3)は第2ローラ(R2)に対して接離自在に移動することができるアクチュエータ(A3)に連結されており、即ち、第3ローラを前述のニップ(N)に対して接離自在に移動させることができるようになっている。前記ローラ(R1,R2,R3)の各々はその長手軸を中心に回転し、当該長手軸はそれぞれの駆動部材(M1,M2,M3)に連結されている。
【0017】
コア(4)はコンベアによってニップ(N)内に連続的に導入され、当該コンベアは、
図1に図示された実施形態に示されるように、電動ベルト(7)と協働する固定プレート(40)の下に配置された当該電動ベルト(7)を含み、当該電動ベルトがコア(4)を直線通路(45)に沿って回転させることによって移動させる。
【0018】
前記直線通路は、導入装置(RF)が配置されたコア供給部と、第1巻き取りローラ(R1)の下に配置されたクレードル(30)との間に展開している。前記通路(45)に対応して、ノズル(6)は各コア(4)に塗布される接着剤を供給するように配置され、各新しいログの最初のシートがコア自体に接着し、最後のログシートを下にあるシートに接着することを可能にする。上述した形式の巻き返し機の動作は、それ自体公知である。
【0019】
前記巻き返し機(RW)の上流、特に、前記ウェブ(3)の横断方向切り込みを提供する予備切断ローラ(RC)の上流に、前記紙ウェブ(3)を検査及び/又は処理するために他の装置を設けることができる。
【0020】
これらの装置は、前記巻き取りステーション(W)に向かって進行する前記ウェブの張力を検査するように設計されたロードセル(LC)と、前記ウェブ(3)の張力の値を決定することが可能な張力装置(T3)とを備えることができる。
【0021】
前記ロードセル(LC)の上流には、前記紙ウェブを処理するためのさらなる装置を設けることができる。
図11及び12は、そのような手段の2つの可能な実施形態を示す。
【0022】
図11は、互いに対向して配置され、矢印(F3)で示す通路に沿って(RW)方向に向けられた前記紙ウェブのエンボス加工を行うように構成されたスチールローラ(SR)とゴム製ローラ(RR)とから構成されるエンボス加工装置(EM)を概略的に示す。前記紙ウェブに働くエンボス加工圧力はアクチュエータ(EA)によって調整され、当該アクチュエータは、以下にさらに開示されるように、処理ユニット(UE)に接続され且つ当該同一の処理ユニットによって制御される。
【0023】
前記紙ウェブがエンボス加工されない場合、紙変換プラントは、前記巻き返し機(RW)の上流に、
図12に概略的に示されているようなカレンダ加工装置(EX)を備えることができる。前記カレンダ加工装置(EX)は、互いに対向して配置された2つのローラ(X1,X2)から構成され、そして矢印(F3)によって示される通路に沿って前記巻き返し機(RW)に向かって進行する前記紙ウェブのカレンダ加工を実行することができる。前記ローラが紙ウェブに加える圧力はアクチュエータ(X3)によって調整され、当該アクチュエータは前記処理ユニットに接続されかつ当該処理ユニットによって制御される。
【0024】
前記コア(4)を前記巻き取りステーション(W)に供給するための装置、並びに前記コア(4)上に接着剤を分配するための方法および手段、並びに前記ロードセル(LC)、前記張力装置(T3)、前記エンボス加工装置(EM)及び前記カレンダ加工装置(EX)は、他の任意の方法で製造することも可能であると想定される。
【0025】
前記モータ(M1,M2,M3)及び前記アクチュエータ(A3)は、以下でさらに説明するように、プログラム可能な電子ユニット(UE)によって制御される。
【0026】
本発明によれば、例えば、形成されるログの一端の画像を撮影するように適合されたカメラ(5)を備える光学視覚システムを使用することができる。したがって、カメラ(5)によって検出された各ログ(L)の画像は、その端部が所謂「端部検出」アルゴリズムを使用して実行される光強度の不連続解析によって検出される2次元形状に対応する。これらのアルゴリズムは画像の端部が2つの異種領域間の境界とみなすことができ且つ本質的に物体の輪郭が光強度の急激な変化に対応する原理に基づいている。実験試験は、OMRON FH L 550制御装置を備えたOMRON FHSM 02カメラを使用して、出願人によって行われた。
【0027】
前記カメラ(5)は、当該同一カメラで生成された信号を受信するプログラム可能な電子ユニット(UE)に接続されている。前記カメラはログの直径をプログラム可能なユニット(UE)に与える。この例では、コントローラ(50)が前述のように検出された端部(EL)の3つの点(H)を通過する円周の方程式を計算し且つその直径を計算するようにプログラムされている。実際には、形成される前記ログの外周上に配置された3つの点(H)の確認が対応する直径の達成を決定する。
【0028】
前記カメラ(5)は形成されるログの直径についての対応する値を得るために、前記ユニット(UE)によって所定の時間間隔で所定回数操作される。つまり、フォトカメラ(5)はログ(L)の形成時に複数の検出を行い、これらの経時的な検出の分布は一定でなくてもよい。
【0029】
実際に、ログの形成全体に対する最適な検出はログの形成の初期部分においてかなりの部分の検出を実行することによって決定され得ることが実証されており、例えば、本発明者らは、巻き取り全体の実質的に30%に対応する巻き取りの初期部分における検出の約70%を実行し、そして巻き取りの残りの70%の部分において検出の残りの部分(約30%)を実行することがより効果的であると信じている。
【0030】
実際には、前記ログ(L)の形成中に、前記カメラ(5)は形成されるログの実際の直径(DE)の対応する一連の値を決定する一連の検出を実行する。PLC制御システム(
図4のブロックPLでマークされている)を含むことが可能な前記処理ユニット(UE)は、検出から得られた値(DE)を、前記ログが対応する巻き取り段階で持つべき対応する事前設定基準値(DT)と比較する。実際には、前記システムが、実際に測定された直径の一連の値(DE)を、対応する一連の予め設定された基準直径(DT)と比較する。
【0031】
上述のデータ処理は、所謂「戻り」の自動調整のために使用され、即ち、前記下部ローラ(R2)の速度を前記上部ローラ(R1)の速度に対してどのように変更しなければならないかを自動的に確立するために使用され、そして前記ローラ(R1,R2)の両方のモータ(M1,M2)が前記処理ユニット(UE)によって制御される。実際には、前記ログ(L)の成長段階で、即ち、巻き取りステーション(W)の前記ローラに対応する前記ログの形成中に、前記カメラ(5)は所定の時間に連続した複数のショットを撮影する。
【0032】
カメラで撮影された各写真画像(即ち、図面に示された3点Hの各検出)に対して、有効径(DE)の値が決定され、そしてこの値が各検出に対して、対応する予め設定された基準値又は各制御ユニット(PL)の処理ユニット(UE)に記憶される理論的直径(DT)と比較される。処理ユニット(UE)は、実際の直径(DE)と対応する理論的直径(DT)との間の比較に基づいて、各検出および各比較について、経時的な、即ち、前記ログの巻き取り中のログの直径に関連する誤差を決定する。
【0033】
図6は、実際に測定された直径値(DE)と予め設定された理論値(DT)の経時的な可能性のある傾向を定性的に示す2つの曲線を示す。この例では、巻き取り中に誤差が徐々に減少すると仮定する。
【0034】
図3A-Cの概略的図面は、3つの異なる時間における誤差検出の可能な3つの状況を表す。
図3Aにおいて、点の位置(H)に基づいて測定された直径は理論上の直径(点線の円周)よりも小さい。
図3Bにおいて、検出された直径は理論上の直径よりも大きい。
図3Cにおいて、検出された直径は理論上の直径と一致する。図面において、符号(CL)はログの中心を示す。
【0035】
図5において、符号(ED)は、上記2つの直径(DT,DE)の間の差を表す。
【0036】
図7A、7B及び7Cは異なる連続時間(tl,t2,...,tn)で検出された直径の誤差(el,e2,...,en)の3つの可能な傾向を表し、そこでは各時間において、誤差は、検出された直径(DE)と予め設定された理論的直径(DT)との間の差によって付与され、そして直線(r)は、例えば、最小二乗法を上記セットの値(e1,e2,...,en)に適用する前記ユニット(UE)によってその方程式が決定される線である。いずれの場合も、誤差(e1,e2,...,en)の時間的進行を示すのに適した前述の値(e1,e2,...,en)の間に線形相関が確立され、当該相関は、
図7A,7B及び7Cに概略的に示されるように、前記誤差が経時的に減少するか、増加するか、または一定のままであるかを確立することを可能にする。
図7A、7B及び7Cのグラフにおいて測定が行われる時間は、図面を単純化するために等間隔で示されているが、先に述べたように、大部分の検出は好ましくは巻き取りの初期部分において行われる。
【0037】
前述した傾向は、時間軸に対する直線(r)の勾配(a)で表される。
【0038】
実際には、前記誤差(e1,e2,...,en)が減少する傾向がある場合、前記線は
図7Aに概略的に示されるように、負の勾配(a)を有する。
【0039】
前記誤差(e1,e2,...,en)が増加する傾向がある場合、前記線は
図7Bに概略的に示されるように、正の勾配(a)を有する。
【0040】
最後に、前記誤差(e1,e2,...,en)が実質的に一定の値を有する場合、前記線は
図7Cに概略的に示されるように、実質的にゼロの勾配(a)を有する。
【0041】
前記線(r)の勾配(a)に応じて、前記処理ユニット(UE)は、上記で定義された戻りの対応する補正を決定することができる。
【0042】
例えば、ゼロより低い(a)値(
図7(A)のように)の場合、前記処理ユニット(UE)は戻りを増加させる、即ち、前記ローラ(R1)に対する前記ローラ(R2)の回転速度の減少を決定する。
【0043】
ゼロより大きい(a)の値(
図7Bに示すように)の場合、前記処理ユニット(UE)は戻りを減少させる、即ち、ローラ(R1)に対するローラ(R2)の回転速度の増加を決定する。
【0044】
(a)の値が実質的にゼロに等しい場合(
図7Cのように)、例えば、-0.1と+0.1との間の値の場合、処理ユニット(UE)は、いかなる補正も実行しない。前述の値(a)は、より一般的には、前記一連の差を形成する値(e1,e2,...,en)の経時的な傾向に関連するパラメータを表す。(a)が前記線(r)の勾配である上述の例によれば、前記パラメータがゼロ値を含む所定の範囲の値の外部にある場合に、前記処理ユニット(UE)は前記第1及び第2のローラ(R1,R2)の相対速度を修正する。
【0045】
この修正は、ログ巻き取り周期の完了後に行われるので、後続のログに影響を及ぼす。
【0046】
前記処理ユニット(UE)は、例えば、検出された実際の直径の値、理論的基準値に対する誤差の値、経時的な誤差の傾向、及び上側ローラに対する巻き取りステーションの下側ローラの可能な速度変動、を表示することができる表示手段を備えることができる。
【0047】
前記同一の処理ユニットはパラメータ(a)が値aNと値aPとの間、即ち、aN≦a≦aPである場合に、さらなる自動調整を実行することができ、ここで、aN及びaPは、ゼロを含む範囲の終端である。例えば、aN=-0.1及びaP=+0.1。
【0048】
この場合、
図8及び
図9に概略的に示されるように、完成したログ(LK)の実際の直径について検査が行われる。
【0049】
前記カメラ(5)によって生成された画像は、完成したログ(LK)の端部(EK)を検出するために処理可能である。前記カメラ(5)に関連付けられたコントローラ(50)は、前記端部(EK)の1セットの4点(Kl,K2,K3,K4)の3点を通る3個の円周の方程式を計算するようにプログラムされている。本発明によれば、前記コントローラ(50)は前記円周の各々の直径を計算し、そして前記円周の全ての中でより小さい直径を有する円周の有効直径(DE)のみを前記ログ(LK)の有効直径(DE)と仮定するようにプログラムされている。
【0050】
このようにして決定された直径値(DEK)は、前記ユニット(UE)によって予め設定された値(DTK)と比較される。
【0051】
このようにして決定された直径の値(DEK)と予め設定された値(DTK)との差(EDK)、即ち、当該値EDK=DEK-DTKは、完成ログの直径の誤差(LK)、即ち、完成ログの直径に関する誤差とみなされる。
【0052】
図9の図面では、4点(Kl,K2,K3,K4)が使用され、3つの円が生成される。実線で描かれた円は直径が最も小さい円(中心CE)、一点鎖線で描かれた円は直径が中間の円(中心C3)、そして破線で描かれた円は直径が最大の円(中心C1)である。点「K4」は、一般的にログの残りの部分から距離を置くことができる、ログの最終端部上の点である。
【0053】
この段階で前記ログは完成し、即ち、前記第3ローラ(R3)もはや前記ログに圧力を加えない。前記直径(DEK)を測定する時間は、前記アクチュエータ(A3)が前記完成したログから前記第3ローラ(R3)を移動させる時間と一致する。検出された誤差(EDK)が所定の値よりも大きい場合、前記処理ユニット(UE)は、誤差(EDK)の正又は負の符号に応じて、以下でさらに説明するように、異なる構造にすることが可能な紙厚さ調整手段に作用する前記処理巻き取りステーション(W)に到達する前記紙ウェブ(3)の厚さの調整を制御する。
【0054】
(EDK)が正であり、所定の限度値よりも大きい場合、即ち、DEK>DTKである場合、前記ユニット(UE)は、前記巻き取りステーション(W)に到達する前記紙ウェブ(3)の厚さの低減を指令する。逆に、(EDK)が負であり、その絶対値が所定の限度値よりも大きい場合、即ち、DEK<DTKである場合、前記ユニット(UE)は、巻き取りステーション(W)に到達する前記紙ウェブ(3)の厚さの増大を指令する。
【0055】
例えば、DEK>DTKの場合、前記処理ユニット(UE)は、最初に張力装置(T3)に作用して、紙ウェブが受ける張力を増大させ、このようにして、前記紙ウェブ(3)は、より大きな張力を受け、従って、そのログの厚さが減少する。例えば、張力を100gr/mだけ増加させる。
【0056】
前記張力装置(T3)の介在にも拘わらず、DEKが再度限度を超えてDTKよりも大きくなる場合で、前記紙ウェブがエンボス加工装置(EM)に由来する場合には、エンボス加工特性を変更することができる。
【0057】
特に、通常どのエンボス加工装置(EM)にも設けられており且つエンボス加工装置のローラ(RR,SR)の軸間距離を調整できるアクチュエータ(EA)を制御することにより、前記エンボス加工装置(EM)の前記ゴムローラ(RR)が前記スチールローラ(SR)に及ぼす圧力を低減することができる。
【0058】
前記紙(3)がカレンダ加工装置(EX)から来る場合、前記紙ウェブの厚さを減少するために、前記処理ユニット(EU)は、紙変換プラントで使用される任意のカレンダ加工装置に通常設けられている前記アクチュエータ(X3)に作用する2本のカレンダ加工ローラ(XI,X2)間の圧力の上昇を指令し、当該カレンダ加工装置の前記ローラ間の距離を調整する。
【0059】
上述したように、(EDK)が負であり、その絶対値が所定の限度値よりも大きい場合、すなわち、DEK<DTKである場合、前記ユニット(UE)は、巻き取りステーション(W)に到達する紙ウェブ(3)の厚さの増大を指令する。
【0060】
例えば、DEK<DTKである場合、前記処理ユニット(UE)は、最初に前記紙が受ける張力を減少させることによって前記張力装置(T3)に作用し、このようにして、前記紙ウェブ(3)は、より低い張力を受け、従って、その厚さが増加する。例えば、張力を100gr/mだけ減少させる。
【0061】
前記張力装置(T3)の介在にも拘わらず、DEKが再び限界値を超えてDTKよりも低くなる場合で、前記紙がエンボス加工装置(EM)から来る場合、エンボス加工特性を変更することが可能である。
【0062】
特に、上記で開示したものと同様に、前記アクチュエータ(EA)により、前記エンボス加工装置(EM)のゴムローラ(RR)がスチールローラ(SR)に及ぼす圧力を高めることができる。
【0063】
前記紙(3)がカレンダ加工装置(EX)から来る場合、前記紙ウェブの厚さを増加するために、前記処理ユニット(EU)は、前記アクチュエータ(X3)に作用する2本のカレンダ加工ローラ(XI,X2)間の圧力の低下を指令する。
図10の図面は、エンボス加工された2つの紙プライによって形成された紙ウェブ(3)の厚さ(T)を示す。
【0064】
前記紙(3)の厚さ(T)を増加させることにより、他の全ての条件が等しくなり、前記完成したログの直径(LK)が増加する。逆に、前記紙の厚さ(T)が減少すると、前記完成したログの直径(LK)は減少する。
【0065】
実際には、実施の詳細が、いずれの場合であっても、採用された解決策の概念の範囲から逸脱することなく、記載され且つ図示された個々の要素及びそれらの相互の配置に関して均等な方法で変更することができ、従って、添付のクレームによる本特許によって与えられる保護範囲内に含まれるものである。