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特許7227280多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システム及び方法
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  • 特許-多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/66 20130101AFI20230214BHJP
   G02F 2/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
H04B10/66
G02F2/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020570608
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 CN2018105464
(87)【国際公開番号】W WO2020015110
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】201810796223.1
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520346963
【氏名又は名称】シーアン インスティテュート オブ オプティクス アンド プリシジョン メカニクス, チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシズ
【氏名又は名称原語表記】XI’AN INSTITUTE OF OPTICS AND PRECISION MECHANICS, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.17 Xinxi Road, New Industrial Park, Xi’an Hi-Tech Industrial Development Zone, Xi’an, Shaanxi 710119 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ホァン シンニン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シエ シァオピン
(72)【発明者】
【氏名】スウ ユィロン
(72)【発明者】
【氏名】フゥ ホイ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥァン タオ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ドゥオルイ
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/083575(WO,A1)
【文献】特開2006-270909(JP,A)
【文献】特開2009-232330(JP,A)
【文献】特開2010-283727(JP,A)
【文献】特表2009-506666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システムであって、制御コマンドユニット、低雑音高利得光増幅器、光スイッチ、フィルタ、光遅延干渉計I、光遅延干渉計Q、第1バランス検出器、第2バランス検出器、逆コーディングスイッチユニット、パラレル/シリアル変換ユニット及びデータ処理ユニットを備え、
前記制御コマンドユニットはそれぞれ前記光スイッチ、前記逆コーディングスイッチユニット、前記パラレル/シリアル変換ユニットに接続され、
前記光遅延干渉計I、前記光遅延干渉計Qは並列接続して設けられ、
高速レーザー信号は前記低雑音高利得光増幅器によって前記光スイッチに入力され、
前記光スイッチは第1出力ポート、第2出力ポート及び第3出力ポートを備え、前記第1出力ポートが前記フィルタに接続され、前記第2出力ポートが前記光遅延干渉計Iに接続され、前記第3出力ポートがカプラーを通過してそれぞれ前記光遅延干渉計I及び前記光遅延干渉計Qに接続され、
前記フィルタは前記第1バランス検出器の1つの入力ポートに接続され、前記光遅延干渉計Iの2つの出力ポートは前記第1バランス検出器の2つの入力ポートに接続され、前記光遅延干渉計Qの2つの出力ポートは前記第2バランス検出器の2つの入力ポートに接続され、
前記第1バランス検出器、前記第2バランス検出器は前記逆コーディングスイッチユニット、前記パラレル/シリアル変換ユニット、前記データ処理ユニットを順次通過して電気信号を出力し、
前記光遅延干渉計Iと前記光遅延干渉計Qとの位相シフト差がπ/2であることを特徴とする多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システム。
【請求項2】
ループ制御ユニットをさらに備え、
前記データ処理ユニットは前記ループ制御ユニットによってそれぞれ前記光遅延干渉計I及び前記光遅延干渉計Qに接続されることを特徴とする請求項1に記載の多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システム。
【請求項3】
前記低雑音高利得光増幅器は雑音係数≦4.5dB、利得≧40dBの1550nmバンド光増幅器であり、
前記光スイッチは1×3型1550nmバンドの光学スイッチデバイスであり、変調フォーマットコマンドに応じて、入力された光信号をいずれかの指定された出力ポートにトランスペアレント伝送することができ、
前記フィルタは中心波長及びフィルタリング帯域幅がいずれも調整可能な1550nmバンドのバンドパス光学フィルタであり、
前記光遅延干渉計I及び前記光遅延干渉計Qは1550nmバンドの1-bit光遅延干渉計であり、
前記第1バランス検出器及び前記第2バランス検出器は1550nmバンドの光バランス検出器であることを特徴とする請求項2に記載の多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システム。
【請求項4】
請求項1に記載の多変調フォーマットの互換性を備えた前記高速レーザー信号位相ロックフリー受信システムに基づく信号受信方法であって、
前記制御コマンドユニットは必要な高速レーザー信号の変調フォーマットに応じて、対応する変調コマンドを前記光スイッチ、前記逆コーディングスイッチユニット及び前記パラレル/シリアル変換ユニットに送信するステップ[1]と、
前記低雑音高利得光増幅器は入力された高速レーザー信号に対して低雑音係数、高電力利得の光電力増幅処理を行うステップ[2]と、
前記光スイッチは前記制御コマンドユニットにより発生した変調コマンドを受信すると、前記ステップ[2]で処理された高速レーザー信号に対して出力ポート選択を行い、トランスペアレント伝送を行うステップ[3]と、
前記ステップ[3]で異なる出力ポートから出力された異なる変調フォーマットの高速レーザー信号に対して、前記フィルタ又は前記光遅延干渉計I又は前記光遅延干渉計Qを選択して情報復調を行うステップ[4]と、
前記ステップ[4]で復調された異なる変調フォーマットの高速レーザー信号を受信し、前記第1バランス検出器又は前記第2バランス検出器を選択して光電変換を行って高速電気信号を形成するステップ[5]と、
前記逆コーディングスイッチユニットは前記制御コマンドユニットにより発生した変調コマンドを受信すると、前記ステップ[5]で発生した高速電気信号に対して逆コーディング判断を行い、前記パラレル/シリアル変換ユニットに伝送するステップ[6]と、
前記パラレル/シリアル変換ユニットは前記制御コマンドユニットにより発生した変調フォーマットコマンドを受信すると、高速電気信号に対してパラレル/シリアル変換判断を行い、前記データ処理ユニットに伝送して処理するステップ[7]と、
前記データ処理ユニットは前記ステップ[7]で発生した高速電気信号に対してクロック抽出、データ整形を行って、品質が良好な復調後の高速電気信号を出力するステップ[8]と、を含むことを特徴とする多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システムに基づく信号受信方法。
【請求項5】
ループ制御ユニットは前記ステップ[]で発生した高速電気信号をフィードバック制御信号とし、前記光遅延干渉計I及び前記光遅延干渉計Qの位相シフトを制御し、それらの位相差を終始π/2に維持するループ制御ステップ[9]をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システムに基づく信号受信方法。
【請求項6】
前記ステップ[3]では、出力ポート選択の具体的なプロセスは、
受信した変調フォーマットコマンドがIMである場合、前記第1出力ポートから出力され、受信した変調フォーマットコマンドがBPSK、DPSKのうちのいずれかである場合、前記第2出力ポートから出力され、受信した変調フォーマットコマンドがQPSK、DQPSKのうちのいずれかである場合、前記第3出力ポートから出力されるステップを含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システムに基づく信号受信方法。
【請求項7】
前記ステップ[4]では、情報復調の具体的な選択条件は、
IM変調フォーマットである場合、前記フィルタによってバンドパスフィルタリングを行うステップと、
BPSK、DPSK変調フォーマットのうちのいずれかである場合、前記光遅延干渉計Iによって1-bit遅延干渉復調を行うステップと、
QPSK、DQPSK変調フォーマットのうちのいずれかである場合、カプラーによって前記光遅延干渉計I及び前記光遅延干渉計Qに入り、それぞれ1-bit遅延干渉復調を行うステップと、を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システムに基づく信号受信方法。
【請求項8】
前記ステップ[5]では、光電変換の選択条件は、
IM変調フォーマットを受信した場合、前記第1バランス検出器の1つの入力ポートによって光電変換を行うステップと、
BPSK、DPSK変調フォーマットのうちのいずれかを受信した場合、前記第1バランス検出器によって光電変換を行うステップと、
QPSK、DQPSK変調フォーマットのうちのいずれかを受信した場合、前記第1バランス検出器及び前記第2バランス検出器によって光電変換を行うステップと、を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システムに基づく信号受信方法。
【請求項9】
前記ステップ[6]では、逆コーディング判断プロセスは、
受信した変調フォーマットコマンドがBPSK、QPSKのうちのいずれかである場合、「排他的論理和」論理に基づく差分逆コーディング処理を行って出力するステップと、
受信した変調フォーマットコマンドがIM、DPSK、DQPSKのうちのいずれかである場合、トランスペアレント伝送を行うステップと、を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システムに基づく信号受信方法。
【請求項10】
前記ステップ[7]では、パラレル/シリアル変換判断プロセスは、
受信した変調フォーマットコマンドがQPSK、DQPSKのうちのいずれかである場合、入力された2つのパラレル高速電気信号を1つのシリアル高速電気信号に変換するステップと、
受信した変調フォーマットコマンドがIM、BPSK、DPSKのうちのいずれかである場合、トランスペアレント伝送を行うステップと、を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システムに基づく信号受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザー通信分野に属し、具体的には、多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー通信はデータレートが高く、干渉防止及び傍受防止能力が高く、機密性に優れた等の顕著な利点を有し、地上バックボーンネットワーク伝送の主なリンク形式となっており、商用100G光モジュールは徐々に成熟しており、2018年、OFCカンファレンスでは400G光モジュールが展示された。また、世界における宇宙レーザーリンク伝送の実現可能性の検証を重ねたところ、近年、世界各国はレーザーリンクに基づく宇宙情報ネットワーク構築計画を相次いで打ち出し、例えば、米国NASAの「レーザー通信中継デモンストレーション(LCRD)」計画、欧州宇宙機関(ESA)の「データ中継システム(EDRS)」計画、日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって構築された「光データ中継衛星(JDRS)」計画が挙げられる。中国2016年に打ち上げられた墨子号も、2017年に打ち上げられた実践13号衛星等もレーザー通信端末が搭載されていた。
【0003】
地上の大容量光伝送バックボーンネットワークでも、宇宙の高速レーザー通信システムでも、異なるアクセス端末はそれ自体のデータ伝送のニーズに応じて、異なるデータ変調フォーマットを選択する。例えば、強度変調(IM)フォーマットのシステムは構造が最も簡単であるが、受信システムの光電力に対する要件が高く、2相位相偏移変調フォーマット(BPSK、DPSK)の受信システムの感度はIMシステムよりも半分低下するが、バランス検出技術を必要とし、より高次の変調フォーマット(QPSK、DQPSK)は同一のシンボルレートで、より多くのデータを伝送できるが、システムの複雑さが向上し、受信システムの光信号対雑音比に対する要件がさらに高い。
【0004】
従来のレーザー通信システムでは、中継ノードにおける単一のレーザー端末が1種の特定の変調フォーマットのレーザー信号の受信のみをサポートでき、異なる変調フォーマットのレーザーリンクがレーザー情報ネットワークの中継ノードにアグリゲーションする場合、従来の受信方式では、データの復調を実現するように、変調フォーマットごとに対応する受信システムを設置する必要がある。中継ノードでは単一規格のレーザー信号の受信方式は高速レーザー情報ネットワークノードの互換性及び拡張性を制限し、また、中継ノードで複数種の高速レーザー信号の中継をサポートするために、通信規格ごとに1つのレーザー通信端末を個別に設置する必要があり、システムの性能アップグレードの価格コスト及びリソースコストは巨大である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のレーザー情報ネットワークでは中継ノードが単一のレーザー通信規格のみをサポートすることによってネットワークの互換性が制限され拡張性が悪いという問題を克服するために、本発明はIM、BPSK、DPSK、QPSK及びDQPSK等のレーザー通信システムにおける主流の多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システム及び方法を提供し、従来のレーザー通信ネットワークの中継ノードでの通信規格の互換性を大幅に向上させ、システムの性能アップグレードの価格及びリソースコストを削減させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システムを提供し、制御コマンドユニット、低雑音高利得光増幅器、光スイッチ、フィルタ、光遅延干渉計I、光遅延干渉計Q、第1バランス検出器、第2バランス検出器、逆コーディングスイッチユニット、パラレル/シリアル変換ユニット及びデータ処理ユニットを備え、
前記制御コマンドユニットはそれぞれ前記光スイッチ、前記逆コーディングスイッチユニット、前記パラレル/シリアル変換ユニットに接続され、
前記光遅延干渉計I、前記光遅延干渉計Qは並列接続して設けられ、
高速レーザー信号は前記低雑音高利得光増幅器によって前記光スイッチに入力され、
前記光スイッチは第1出力ポート、第2出力ポート及び第3出力ポートを備え、前記第1出力ポートが前記フィルタに接続され、前記第2出力ポートが前記光遅延干渉計Iに接続され、前記第3出力ポートがカプラーを通過してそれぞれ前記光遅延干渉計I及び前記光遅延干渉計Qに接続され、
前記フィルタは前記第1バランス検出器の1つの入力ポートに接続され、前記光遅延干渉計Iの2つの出力ポートは前記第1バランス検出器の2つの入力ポートに接続され、前記光遅延干渉計Qの2つの出力ポートは前記第2バランス検出器の2つの入力ポートに接続され、
前記第1バランス検出器、前記第2バランス検出器は前記逆コーディングスイッチユニット、前記パラレル/シリアル変換ユニット、前記データ処理ユニットを順次通過して電気信号を出力し、
前記光遅延干渉計Iと前記光遅延干渉計Qとの位相シフト差はπ/2である。
【0007】
さらに、該システムはループ制御ユニットを備え、前記データ処理ユニットは前記ループ制御ユニットによってそれぞれ前記光遅延干渉計I及び前記光遅延干渉計Qに接続される。
【0008】
さらに、前記低雑音高利得光増幅器は、雑音係数≦4.5dB、利得≧40dBの1550nmバンドの光増幅器であり、
前記光スイッチは1×3型1550nmバンドの光学スイッチデバイスであり、変調フォーマットコマンドに応じて、入力された光信号をいずれかの指定された出力ポートにトランスペアレント伝送することができ、
前記フィルタは中心波長及びフィルタリング帯域幅がいずれも調整可能な1550nmバンドのバンドパス光学フィルタであり、
前記光遅延干渉計I及び前記光遅延干渉計Qは1550nmバンドの1-bit光遅延干渉計であり、
前記第1バランス検出器及び前記第2バランス検出器は1550nmバンドの光バランス検出器である。
【0009】
多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号位相ロックフリー受信システムの構造説明に基づいて、以下、該システムを用いた信号受信方法を説明し、
前記制御コマンドユニットは必要な高速レーザー信号の変調フォーマットに応じて、対応する変調コマンドを前記光スイッチ、前記逆コーディングスイッチユニット及び前記パラレル/シリアル変換ユニットに送信するステップ[1]と、
前記低雑音高利得光増幅器は入力された高速レーザー信号に対して低雑音係数、高電力利得の光電力増幅処理を行うステップ[2]と、
前記光スイッチは前記制御コマンドユニットにより発生した変調コマンドを受信すると、前記ステップ[2]で処理された高速レーザー信号に対して出力ポート選択を行い、トランスペアレント伝送を行うステップ[3]と、
前記ステップ[3]で異なる出力ポートから出力された異なる変調フォーマットの高速レーザー信号に対して、前記フィルタ又は前記光遅延干渉計I又は前記光遅延干渉計Qを選択して情報復調を行うステップ[4]と、
前記ステップ[4]で復調された異なる変調フォーマットの高速レーザー信号を受信し、前記第1バランス検出器又は前記第2バランス検出器を選択して光電変換を行って高速電気信号を形成するステップ[5]と、
前記逆コーディングスイッチユニットは前記制御コマンドユニットにより発生した変調コマンドを受信すると、前記ステップ[5]で発生した高速電気信号に対して逆コーディング判断を行い、前記パラレル/シリアル変換ユニットに伝送するステップ[6]と、
前記パラレル/シリアル変換ユニットは前記制御コマンドユニットにより発生した変調フォーマットコマンドを受信すると、高速電気信号に対してパラレル/シリアル変換判断を行い、前記データ処理ユニットに伝送して処理するステップ[7]と、
前記データ処理ユニットは前記ステップ[7]で発生した高速電気信号に対してクロック抽出、データ整形を行って、品質が良好な復調後の高速電気信号を出力するステップ[8]と、を含む。
【0010】
好ましくは、前記方法は、ループ制御ステップ[9]をさらに備え、前記ループ制御ユニットは前記ステップ[]で発生した高速電気信号をフィードバック制御信号とし、前記光遅延干渉計I及び前記光遅延干渉計Qの位相シフトを制御し、それらの位相差を終始π/2に維持する。
【0011】
前記ステップ[3]では、出力ポート選択の具体的なプロセスは、
受信した変調フォーマットコマンドがIMである場合、前記第1出力ポートから出力され、受信した変調フォーマットコマンドがBPSK、DPSKのうちのいずれかである場合、前記第2出力ポートから出力され、受信した変調フォーマットコマンドがQPSK、DQPSKのうちのいずれかである場合、前記第3出力ポートから出力されるステップを含む。
【0012】
前記ステップ[4]では、情報復調の具体的な選択条件は、
IM変調フォーマットである場合、前記フィルタによってバンドパスフィルタリングを行うステップと、
BPSK、DPSK変調フォーマットのうちのいずれかである場合、前記光遅延干渉計Iによって1-bit遅延干渉復調を行うステップと、
QPSK、DQPSK変調フォーマットのうちのいずれかである場合、カプラーによって前記光遅延干渉計I及び前記光遅延干渉計Qに入り、それぞれ1-bit遅延干渉復調を行うステップと、を含む。
【0013】
前記ステップ[5]では、光電変換の選択条件は、
IM変調フォーマットを受信した場合、前記第1バランス検出器の1つの入力ポートによって光電変換を行うステップと、
BPSK、DPSK変調フォーマットのうちのいずれかを受信した場合、前記第1バランス検出器によって光電変換を行うステップと、
QPSK、DQPSK変調フォーマットのうちのいずれかを受信した場合、前記第1バランス検出器及び前記第2バランス検出器によって光電変換を行うステップと、を含む。
【0014】
前記ステップ[6]では、逆コーディング判断プロセスは、
受信した変調フォーマットコマンドがBPSK、QPSKのうちのいずれかである場合、「排他的論理和」論理に基づく差分逆コーディング処理を行って出力するステップと、
受信した変調フォーマットコマンドがIM、DPSK、DQPSKのうちのいずれかである場合、トランスペアレント伝送を行うステップと、を含む。
【0015】
前記ステップ[7]では、パラレル/シリアル変換判断プロセスは、
受信した変調フォーマットコマンドがQPSK、DQPSKのうちのいずれかである場合、入力された2つのパラレル高速電気信号を1つのシリアル高速電気信号に変換するステップと、
受信した変調フォーマットコマンドがIM、BPSK、DPSKのうちのいずれかである場合、トランスペアレント伝送を行うステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
(1)本発明に係る多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号受信システム及び方法は、レーザー情報ネットワークの中継ノードで通信規格の互換性及びデータレートの拡張性の向上を実現するとともに、レーザー受信端末の体積、重量、消費電力及び価格コストの制御に寄与する。
【0017】
(2)本発明は、光スイッチ及び並列接続に設けられた光遅延干渉計I、光遅延干渉計Qを使用することで、IM、BPSK、DPSK、QPSK、DQPSK等の5種のレーザー通信規格の互換性を備えた高速レーザー信号の受信復調を実現し、コアデバイスの共有率を大幅に向上させ、複数種の通信規格の互換性を備えた受信端末の複雑さを大幅に低下させる。
【0018】
(3)本発明は、逆コーディングスイッチユニット及び2つの並列接続された光遅延干渉計を組み合わせて使用することで、BPSK、QPSK変調フォーマットの互換性備えた復調を実現し、いずれの位相ロック機構も不要であり、デバイス成熟度が高く、ループ制御が簡単で、プロセス実現リスクが低い等の優れた利点を有する。
【0019】
(4)本発明は2つの並列接続された光遅延干渉計を使用することで4種の位相変調レーザー通信規格の互換性を備えた高速レーザー信号のアナログ復調を実現し、データ復調レートも適応的に互換性を備え、すなわち、異なるデータレート(例えば、1.25Gbit/s、2.5Gbit/sさらに10Gbit/s)の位相変調レーザー信号に対して適応的なアナログ復調を行うことができ、高速レーザー通信受信機の互換性をさらに向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のシステムの原理模式図である。
図2】光遅延干渉計の復調の原理模式図である。
図3】光遅延干渉計I及び光遅延干渉計Qを並列接続した後の復調の原理模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示されるシステムの一実施例の原理模式を参照しながら、該実施例の具体的なシステムの構造は、主に制御コマンドユニット、低雑音高利得光増幅器、光スイッチ、フィルタ、光遅延干渉計I、光遅延干渉計Q、バランス検出器1#(すなわち、第1バランス検出器)、バランス検出器2#(すなわち、第2バランス検出器)、逆コーディングスイッチユニット、パラレル/シリアル変換ユニット、データ処理ユニット及びループ制御ユニットを備え、
制御コマンドユニットはそれぞれ光スイッチ、逆コーディングスイッチユニット、パラレル/シリアル変換ユニットに接続され、
光遅延干渉計I、光遅延干渉計Qは並列接続して設けられ、
高速レーザー信号は低雑音高利得光増幅器によって光スイッチに入力され、
光スイッチはポート「1」(すなわち、第1出力ポート)、ポート「2」(すなわち、第2出力ポート)及びポート「3」(すなわち、第3出力ポート)を備え、ポート「1」がフィルタに接続され、ポート「2」が光遅延干渉計Iに接続され、ポート「3」がカプラーを通過してそれぞれ光遅延干渉計I及び光遅延干渉計Qに接続され、
フィルタはバランス検出器1#(すなわち、第1バランス検出器)の1つの入力ポートに接続され、光遅延干渉計Iの2つの出力ポートはバランス検出器2#の2つの入力ポートに接続され、光遅延干渉計Qの2つの出力ポートはバランス検出器2#の2つの入力ポートに接続され、
バランス検出器1#、バランス検出器2#は逆コーディングスイッチユニット、パラレル/シリアル変換ユニット、データ処理ユニットを順次通過して電気信号を出力し、
光遅延干渉計Iと光遅延干渉計Qとの位相シフト差はπ/2であり、
データ処理ユニットはループ制御ユニットによってそれぞれ光遅延干渉計I及び光遅延干渉計Qに接続される。
【0022】
本実施例では、各デバイスの主なパラメータは以下の通りである。
【0023】
1、低雑音高利得光増幅器は雑音係数≦4.5dB、利得≧40dBの1550nmバンドの光増幅器であり、
2、光スイッチは1×3型1550nmバンドの光学スイッチデバイスであり、変調フォーマットコマンドに応じて、入力された光信号をいずれかの指定された出力ポートにトランスペアレント伝送することができ、
3、フィルタは中心波長及びフィルタリング帯域幅がいずれも調整可能な1550nmバンドのバンドパス光学フィルタであり、
4、光遅延干渉計I及び光遅延干渉計Qは1550nmバンドの1-bit光遅延干渉計であり、
5、バランス検出器1#及びバランス検出器2#は1550nmバンドの光バランス検出器である。
【0024】
前記システムの構造についての説明をもとに、以下、該実施例を用いて信号受信を行う方法を説明し、具体的には、ステップ1~9を含む。
【0025】
1.制御コマンドユニットは必要な高速レーザー信号の変調フォーマットに応じて、対応する変調コマンドを光スイッチ、逆コーディングスイッチユニット、パラレル/シリアル変換ユニットに送信する。
【0026】
2.低雑音高利得光増幅器は入力された1550nmバンドの高速レーザー信号に対して雑音係数が4.5dB以下、電力利得が40dB以上の光電力増幅を行い、高速レーザー信号を出力する。
【0027】
3.光スイッチユニットはステップ1で発生した変調コマンドを受信すると、ステップ2で発生した1550nmバンドの高速レーザー信号に対して出力ポート選択を行う。
具体的なプロセスは、受信した変調フォーマットコマンドがIMである場合、ポート「1」から出力され、受信した変調フォーマットコマンドがBPSK、DPSKのうちのいずれかである場合、ポート「2」から出力され、受信した変調フォーマットコマンドがQPSK、DQPSKのうちのいずれかである場合、ポート「3」から出力されるステップを含む。
【0028】
4.図1に示すように、多規格の互換性を備えた復調プロセスはステップ4.1~4.3を含む。
【0029】
4.1IM変調フォーマットの場合、フィルタはステップ3でポート「1」から出力された1550nmバンドの高速レーザー信号に対してバンドパスフィルタリングを行い、帯域外雑音を除去して出力する。
【0030】
4.2BPSK、DPSK変調フォーマットの場合、光遅延干渉計Iはステップ3でポート「2」から出力された1550nmバンドの高速レーザー信号に対して1-bit遅延干渉復調を行い、位相変調情報を強度情報に変換して出力する。
【0031】
4.3QPSK、DQPSK変調フォーマットの場合、ステップ3でポート「3」から出力される1550nmバンドの高速レーザー信号を、カプラーを経由して光遅延干渉計I及び光遅延干渉計Qに入力し、それぞれ1-bit遅延干渉復調を行い、位相変調情報を強度情報に変換して出力する。
【0032】
なお、光遅延干渉計の原理は、具体的には、以下の通りである。
【0033】
図2に示すように、光遅延干渉計(DLI)は入力信号光を3dBビームスプリッターで上下2つに分割し、一方は1つのシンボル時間Ts遅延し、他方の信号は1つの位相シフトφDLIを得て、その後、これら2つの信号光はさらに1つの3dBカプラーによって結合されて出力され、3dBカプラーは結合された上下2つの光路の間に1つの180°の位相シフトを導入し、DLIの入力端子に信号Ein1を入力すると、DLI出力端子は
【0034】
【数1】
【数2】
を得て、入力信号の振幅をa(t)、変調位相をφ(t)、レーザー装置の位相雑音をφns(t)とすると、入力信号
【数3】
がDLIを通過して出力する光電力は、
【数4】
【数5】
で示され、ここで、Δφ(t)=φ(t)-φ(t-Ts)は隣接する2つのビットの変調位相差であり、Δφns(t)=φns(t)-φns(t-Ts)はレーザー装置の位相雑音による位相変化であり、位相変調の振幅を定数に維持すべきであり、すなわち、a(t)=a(t-Ts)であり、電力表現式からわかるように、レーザー装置の位相雑音を無視する場合、DLIの出力信号によって位相変調情報Δφ(t)を得ることができる。
【0035】
図3に示すように、2つの光遅延干渉計を並列接続し、それぞれIブランチ及びQブランチとマークする場合、Iブランチ及びQブランチの入力ライトフィールドが90°位相差を有し、
【数6】
である。上記DLIの伝送特性からわかるように、Iブランチの2つの出力ライトフィールドは、
【数7】
であり、ここで、φDLI1はIブランチのDLIの位相シフト成分であり、この場合、上式に対応する光電流は、
【数8】
で示され、Δφ(t)及びΔφns(t)はそれぞれ隣接する変調シンボル間の位相差及びレーザー源位相雑音による位相誤差を示し、バランス検出器で検出を行う時、2つのブランチの光電流を減算し、この場合、上式の前の2項が相殺し、最終的に出力光電流
【数9】
を得る。同様な計算ステップによって、Qブランチに対してバランス検出器によって光電変換を行い、出力光電流
【数10】
を得る。ここで、
【数11】
はQブランチのDLIの位相シフト成分φ-π/2を示す。レーザー源の位相雑音の影響を無視する場合、出力光電流は、
【数12】
で示され、上記式からわかるように、Iブランチ及びQブランチのDLIの位相シフト成分
【数13】
及び
【数14】
を異なる値にするようにそれぞれ制御することで、直交位相変調の相関データ復調を実現することができ、この原理を利用して、2つの並列接続された1-bit光遅延干渉計に基づいて複数種の位相変調通信規格の互換性を備えた衛星高速レーザー信号の復調を実現し、例えば、
【数15】
及び
【数16】
の値をそれぞれ-π/4及び-5π/4とすると、DQPSK変調方式の相関データ復調を実現することができる。
【0036】
5.光電変換プロセスはステップ5.1~5.3を含む。
【0037】
5.1IM変調フォーマットの場合、ステップ4.1で発生した1550nmバンドの高速レーザー信号をバランス検出器1#により高速電気信号に光電変換して出力する。
【0038】
5.2BPSK、DPSK変調フォーマットの場合、ステップ4.2で発生した復調後の高速レーザー信号をバランス検出器1#により高速電気信号に光電変換して出力する。
【0039】
5.3QPSK、DQPSK変調フォーマットの場合、ステップ4.3で発生した復調後の高速レーザー信号をバランス検出器1#及びバランス検出器2#により高速電気信号に光電変換して出力する。
【0040】
6.逆コーディングスイッチユニットはステップ1で発生した変調コマンドを受信すると、ステップ5で発生した高速電気信号に対して逆コーディング判断及び処理を行い、具体的なプロセスは、受信した変調フォーマットコマンドがBPSK、QPSKのうちのいずれかである場合、ステップ5で発生した高速電気信号に対して「排他的論理和」論理に基づく逆コーディング処理を行って出力するステップと、受信した通信規格コマンドがIM、DPSK、DQPSKのうちのいずれかである場合、トランスペアレント伝送を行うステップと、を含む。
【0041】
7.パラレル/シリアル変換ユニットはステップ1で発生した変調コマンドを受信すると、ステップ6で発生した高速電気信号に対してパラレル/シリアル変換判断及び処理を行い、具体的なプロセスは、受信した変調フォーマットコマンドがQPSK、DQPSKのうちのいずれかである場合、ステップ6で発生した2つのパラレル高速電気信号を1つのシリアル高速電気信号に変換して出力するステップと、受信した通信規格コマンドがIM、BPSK、DPSKのうちのいずれかである場合、トランスペアレント伝送を行う。
【0042】
8.データ処理ユニットはステップ7で発生した高速電気信号に対してクロック抽出を行い、データ整形を行った後、品質が良好な復調後の高速電気信号を出力する。
【0043】
9.ループ制御ユニットはステップ8で発生した高速電気信号をフィードバック制御信号とし、光遅延干渉計I及び光遅延干渉計Qの位相シフトを制御し、それらの位相差を終始π/2に維持し、それにより外部の熱、振動、光信号伝送経路の不整合等によって光遅延干渉計Iと光遅延干渉計Qとの位相差がπ/2の関係からずれることをよく回避し、さらに実際の生産作業に適用できる。
【0044】
明らかなように、制御コマンドユニットは光スイッチ、光遅延干渉計I及び光遅延干渉計Qの位相差を制御することで、IM、BPSK、DPSK、QPSK、DQPSKの5種の変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号の復調を実現し、複雑な位相ロック機構が不要である。
【0045】
前記実施例からわかるように、本発明に係る位相ロックフリー機構の多変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号受信の解決手段はIM、BPSK、DPSK、QPSK、DQPSKの5種の変調フォーマットの互換性を備えた高速レーザー信号の受信及び復調を実現する。異なるパラメータの組合せを制御することで、コアデバイスの共有率を向上させ、通信システムの変調フォーマットの互換性を拡張し、さらにシステムの実現の複雑さ及び部品点数を大幅に低下させ、高速レーザー通信ネットワークの中継ノードに使用されると、互換性及び拡張性の向上を確保するだけでなく、従来のレーザー通信システムのアップグレードの価格及びリソースコストを削減させる。
図1
図2
図3