(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】フロアーポリッシュ用組成物
(51)【国際特許分類】
C09G 1/10 20060101AFI20230214BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
C09G1/10
C11D3/37
(21)【出願番号】P 2021112824
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2022-06-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594150213
【氏名又は名称】ミッケル化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】杉原 弘之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 充
(72)【発明者】
【氏名】河原 和希
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-064592(JP,A)
【文献】米国特許第04151138(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09G 1/00
C11D 3/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)酸基含有樹脂エマルジョン、
(b)ワックスエマルジョン、
(c)ニッケル含有架橋成分、並びに、
(d)亜鉛含有架橋成分及び/又はカルシウム含有架橋成分を含
み、
架橋成分中のニッケルと亜鉛とカルシウムの架橋点の総数100モル%中、ニッケルの架橋点の割合は、5モル%以上、75モル%以下であり、亜鉛の架橋点の割合は、15モル%以上、50モル%以下であり、カルシウムの架橋点の割合は、60モル%以下であることを特徴とするフロアーポリッシュ用組成物。
【請求項2】
更に、(e)造膜助剤を含む請求項1に記載のフロアーポリッシュ用組成物。
【請求項3】
更に、(f)界面活性剤を含む請求項1又は2に記載のフロアーポリッシュ用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアーポリッシュ用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
硬質表面、例えば店舗等の床は、清潔性、安全性を確保するため、床用洗浄剤を用いて定期的に洗浄されている。従来から店舗等の床として、清掃・管理が容易な塩ビ等の樹脂製のタイルが用いられている。
【0003】
樹脂製のタイルはその表面にワックス(フロアーポリッシュともいう)が塗られており、ワックス上に付着した汚れを洗浄し、かつ定期的にワックスを塗り替えることによりメンテナンスされている。近年では、ワックスを床面に塗布、乾燥等して被膜とした際の意匠性(美観)も重要視されている。
【0004】
フロアーポリッシュ用組成物としては、例えば、カルボキシル基含有樹脂のエマルジョンと、ワックスのエマルジョンおよび可塑剤ならびに融合剤と、シラノール基含有樹脂のエマルジョンと、無機物および/または有機物の微粒子とを含有することを特徴とする水性艶出し剤組成物が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
またエチレン系不飽和モノマーの重合により製造された酸価20~200の重合体を含む重合体エマルジョンであって該重合体の酸官能基に対して0.05~0.9化学等量のカルシウム化合物が架橋した被覆材組成物が開示されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-231917号公報
【文献】特開平7-166136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の水性艶出し剤組成物、及び、上記特許文献2に記載の被覆材組成物は、光沢を充分なものとしながら、床面に塗布、乾燥等して被膜とした際の耐久性をより優れたものとするための工夫の余地があった。なお、特許文献1には、無機物の微粒子は、架橋剤として作用するものではなく、微粒子状で被膜内に存在することが明記されている(引用文献1の段落番号[0047])。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためにされたものであり、光沢を充分なものとしながら、耐久性が非常に優れる被膜を形成できるフロアーポリッシュ用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、光沢が充分なものでありながら、耐久性が非常に優れる被膜を形成できるフロアーポリッシュ用組成物を提供するために種々検討し、架橋剤に着目した。そして、(a)酸基含有樹脂エマルジョン、(b)ワックスエマルジョン、(c)ニッケル含有架橋成分、並びに、(d)亜鉛含有架橋成分及び/又はカルシウム含有架橋成分を含むフロアーポリッシュ用組成物とすると、光沢が充分なものでありながら、耐久性が非常に優れる被膜を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、(a)酸基含有樹脂エマルジョン、(b)ワックスエマルジョン、(c)ニッケル含有架橋成分、並びに、(d)亜鉛含有架橋成分及び/又はカルシウム含有架橋成分を含む。
【0011】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物が、(c)ニッケル含有架橋成分、並びに、(d)亜鉛含有架橋成分及び/又はカルシウム含有架橋成分を含むとは、ニッケル含有架橋成分と亜鉛含有架橋成分の組合せ、又は、ニッケル含有架橋成分とカルシウム含有架橋成分の組合せのいずれかを少なくとも含むことをいう。本明細書中、(c)ニッケル含有架橋成分と(d)亜鉛含有架橋成分及び/又はカルシウム含有架橋成分を合わせて少なくとも2種の架橋成分とも言う。
本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、これら少なくとも2種の架橋成分を含むことで、光沢が充分に優れたものとなるとともに、床面に塗布、乾燥等して被膜とした際の架橋の態様が好適なものとなり、得られる被膜の耐久性が非常に優れたものとなる。
得られる被膜の耐久性が非常に優れたものとなる理由としては、ニッケルイオンが亜鉛イオン、カルシウムイオンのいずれに対してもイオン半径が小さいことから、架橋した際にポリマーの密度が高いものになるためであると推定される。
【0012】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、更に、(e)造膜助剤を含むことが好ましい。
本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、更に、(f)界面活性剤を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、光沢が充分なものでありながら、耐久性が非常に優れる被膜を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本発明のフロアーポリッシュ用組成物)
本発明のフロアーポリッシュ用組成物が含む、(a)酸基含有樹脂エマルジョン、(b)ワックスエマルジョン、(c)ニッケル含有架橋成分、(d)亜鉛含有架橋成分及び/又はカルシウム含有架橋成分について、以下に説明する。次いで、本発明のフロアーポリッシュ用組成物における好ましい成分、任意成分についても説明する。
【0015】
(a)酸基含有樹脂エマルジョンにおける酸基は、特に限定されないが、例えば、カルボン酸(塩)基、ヒドロキシル基、スルホン酸(塩)基が好ましいものとして挙げられる。すなわち、(a)酸基含有樹脂エマルジョンが、カルボン酸(塩)基、ヒドロキシル基、及び、スルホン酸(塩)基からなる群より選択される少なくとも1種を構造中に有することが好ましい。
【0016】
(a)酸基含有樹脂エマルジョンは、その種類は特に限定されないが、例えば、酸基含有アクリル系樹脂エマルジョン、酸基含有ウレタン系樹脂エマルジョン、及び、酸基含有エポキシ系樹脂エマルジョンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
酸基含有アクリル系樹脂エマルジョンは、(メタ)アクリル酸(塩)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル由来の単量体単位を有し、必要に応じて酸基を導入したポリマーのエマルジョンであり、例えば、カルボン酸(塩)基を有する、(メタ)アクリル酸(塩)由来の単量体単位を有するポリマーのエマルジョンであることが好ましい。
【0018】
酸基含有アクリル系樹脂のエマルジョンは、一般に公知の乳化重合により製造することができる。そして、乳化重合等の重合に用いるビニル系単量体は、(メタ)アクリル酸(塩)及び/又は(メタ)アクリル酸エステルを含むものである。
(メタ)アクリル酸(塩)としては、アクリル酸、メタクリル酸、これらの金属塩が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
上記ビニル系単量体は、更に、(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体を含んでいても良い。(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド等の、(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
【0019】
酸基含有アクリル系樹脂のエマルジョンは、例えば、スチレン由来の単量体単位を有する酸基含有スチレンアクリル系樹脂のエマルジョンであることが好ましい。
酸基含有スチレンアクリル系樹脂中のスチレン由来の単量体単位の含有割合は、酸基含有スチレンアクリル系樹脂の固形分中、30質量%以上、95質量%以下であることが好ましく、45質量%以上、90質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上、80質量%以下であることが更に好ましい。
なお、本明細書中、固形分とは、水、溶剤を除いた不揮発成分をいう。
【0020】
酸基含有ウレタン系樹脂エマルジョンは、従来から水性艶出し剤として用いられてきた各種の水性のウレタン系樹脂エマルジョン、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物を骨格構造とする水性樹脂に、カルボン酸(塩)基等の酸基を導入したものを用いることができる。このような酸基含有ウレタン系樹脂エマルジョンは、例えば、ジオールやジイソシアネートにカルボン酸(塩)基等の酸基を有するジオール類を加え、重合することにより得ることができる。
【0021】
酸基含有ウレタン系樹脂には、組成によっては黄変タイプと無黄変タイプがあるが、美観の点から長期間被膜が変色しないことが望ましいため、脂肪族及び脂環式のイソシアネートを用いた無黄変タイプのウレタン系樹脂が好適に用いられる。
【0022】
更に、酸基含有ウレタン系樹脂のエマルジョンの製造において用いられる有機溶剤としては、メチルエチルケトンやトルエン、アセトンのような有機溶剤は、安全性や臭気の点に問題があるので好ましくなく、例えば、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)やカルビトール系の溶剤等が好適に用いられる。
【0023】
酸基含有エポキシ系樹脂エマルジョンは、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂に多価カルボン酸等を反応させてカルボン酸(塩)基等の酸基を導入した変性エポキシ樹脂を、界面活性剤を用いて乳化させたものを使用できる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のビフェニル型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノールや水添ビスフェノールA等から得られる脂環式エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物であるエポキシ化物、及びビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂;及びフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
【0024】
(a)酸基含有樹脂エマルジョンとしては、アルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、プライマルE-1531C(ダウ・ケミカル日本(株)製)が挙げられる。
【0025】
(a)酸基含有樹脂エマルジョンは、中でも、酸基含有アクリル系樹脂のエマルジョンであることが好ましい。
(a)酸基含有樹脂エマルジョンは、亜鉛、カルシウム等の本発明に係る架橋成分を介してポリマーの酸基間が予め架橋されたものであってもよい。
【0026】
(a)酸基含有樹脂エマルジョン(例えば、酸基含有アクリル系樹脂エマルジョン)の最低被膜形成温度(MFT°)は、30~100℃であることが好ましい。
MFT°とは、樹脂エマルジョンが、連続的に被膜が形成される最低温度のことをいい、MFT°以下では被膜が形成されずに粉状になってしまう。
【0027】
(a)酸基含有樹脂エマルジョンの固形分の質量割合は、本発明のフロアーポリッシュ用組成物の固形分100質量%中、50~95質量%であることが好ましい。該質量割合は、より好ましくは55~95質量%であり、更に好ましくは60~95質量%である。
上記質量割合は、(a)酸基含有樹脂エマルジョンとして複数の酸基含有樹脂エマルジョンを使用した場合は、その合計の質量割合である。
【0028】
(b)ワックスエマルジョンに用いられるワックスとしては、従来の艶出し剤に用いられているほとんどすべてのワックスを単独で用いるか、併用することができる。すなわち、天然及び合成の炭化水素ワックスやこれらの変性物、酸化物等の他、鉱物油及び植物性油ワックスやこれらの変性物等を広く使用することができる。ここで、天然ワックスとしては、例えば、牛脂、豚脂等の水添硬化ロウ、ラノリン、ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックスの他、大豆油やヒマシ油に水素添加して得られるワックス、カルナバロウ、キャンデリラロウ、木ロウ、ヌカロウ等の植物性ワックス、更に、モンタンワックス、セリシンロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物性ワックスを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を使用できる。また、合成ワックスとしては、例えば、分子量500~5000程度のポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロブッシュ法によるワックス、及び、これらの合成ワックスの酸化物や酸変性物等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を使用できる。これらのワックスは、乳化剤を用いてエマルジョンにしたものを用いることができる。
【0029】
(b)ワックスエマルジョンの固形分の質量割合は、本発明のフロアーポリッシュ用組成物の固形分100質量%中、0.1~20質量%であることが好ましい。該質量割合は、より好ましくは0.5~15質量%であり、更に好ましくは1~15質量%であり、特に好ましくは2~15質量%である。
上記質量割合は、(b)ワックスエマルジョンとして複数のワックスエマルジョンを使用した場合は、その合計の質量割合である。
【0030】
(c)ニッケル含有架橋成分は、樹脂とは別個の化合物(架橋剤)であってもよく、(a)酸基含有樹脂エマルジョン等におけるポリマーの酸基間等を架橋する架橋成分(架橋剤由来の架橋成分)であってもよい。なお、上記特許文献1にも記載されるように、無機物の微粒子(溶解していない微粒子)は、そのままでは架橋成分として作用するものではなく、架橋成分として作用させるためには、配合前にアルカリ液に溶解させる等して、本発明のフロアーポリッシュ用組成物中で溶解するようにすることが必要である。
【0031】
(c)ニッケル含有架橋成分としては、炭酸ニッケル、塩基性炭酸ニッケル、水酸化ニッケル、グルコン酸ニッケル、ニッケルアンモニウム錯体等のニッケル含有架橋剤、これら架橋剤由来の架橋成分等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、ニッケル含有架橋成分を含み、ニッケル(Ni)錯体の含有量が、組成物の固形分中、0.001~25質量%であることが好ましく、0.005~5質量%であることがより好ましく、0.01~2.5質量%であることが更に好ましい。
【0032】
本発明に係る少なくとも2種の架橋成分中のカルシウムとニッケルと亜鉛の架橋点の総数100モル%中、ニッケルの架橋点の割合は、ブラックヒールマーク性をより優れたものとする観点からは、75モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であることがより好ましく、50モル%以下であることが更に好ましい。
上記ニッケルの架橋点の割合は、0モル%を超えるものであればよいが、例えば1モル%以上であることが好ましく、3モル%以上であることがより好ましく、5モル%以上であることが更に好ましい。
なお、本明細書中、「本発明に係る少なくとも2種の架橋成分中のカルシウムとニッケルと亜鉛の架橋点の総数」は、カルシウム含有架橋成分、ニッケル含有架橋成分、亜鉛含有架橋成分のいずれか1つを用いない場合は、他の2つの金属含有架橋成分における当該金属の架橋点の総数をいう。
架橋点の数は、金属のモル数と価数の積である。
【0033】
(d)亜鉛含有架橋成分及び/又はカルシウム含有架橋成分は、(c)ニッケル含有架橋成分と同様に、樹脂とは別個の化合物(架橋剤)であってもよく、(a)酸基含有樹脂エマルジョン等におけるポリマーの酸基間等を架橋する架橋成分(架橋剤由来の架橋成分)であってもよい。
【0034】
亜鉛含有架橋成分としては、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛等の有機酸塩化合物等の亜鉛含有架橋剤、これら架橋剤由来の架橋成分等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
本発明のフロアーポリッシュ用組成物が、亜鉛含有架橋成分を含む場合、亜鉛(Zn)錯体の含有量が、組成物の固形分中、0.001~30質量%であることが好ましく、0.005~6質量%であることがより好ましく、0.01~3.0質量%であることが更に好ましい。
【0035】
カルシウム含有架橋成分としては、水酸化カルシウム等のカルシウム含有架橋剤、これら架橋剤由来の架橋成分等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
本発明のフロアーポリッシュ用組成物が、カルシウム含有架橋成分を含む場合、カルシウム(Ca)錯体の含有量が、組成物の固形分中、0.001~25質量%であることが好ましく、0.005~5質量%であることがより好ましく、0.01~2.5質量%であることが更に好ましい。
【0036】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物が、亜鉛含有架橋成分とニッケル含有架橋成分の組合せを含む場合、本発明に係る少なくとも2種の架橋成分中の亜鉛とニッケルのモル比は1:3~10:1の範囲内であることが好ましい。該モル比は、中でも、1:2~9:1の範囲内であることがより好ましい。
【0037】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物が、カルシウム含有架橋成分とニッケル含有架橋成分の組合せを含む場合、本発明に係る少なくとも2種の架橋成分中のカルシウムとニッケルのモル比は1:2~10:1の範囲内であることが好ましい。該モル比は、中でも、2:3~7:3の範囲内であることがより好ましい。
【0038】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物が、亜鉛含有架橋成分とカルシウム含有架橋成分の組合せを含む場合、本発明に係る少なくとも2種の架橋成分中の亜鉛とカルシウムのモル比は1:4~4:1の範囲内であることが好ましい。該モル比は、中でも、5:7~10:7の範囲内であることがより好ましい。
【0039】
本発明に係る少なくとも2種の架橋成分中のカルシウムとニッケルと亜鉛の架橋点の総数100モル%中、カルシウムの架橋点の割合は、90モル%以下であることが好ましく、50モル%以下であることがより好ましく、35モル%以下であることが更に好ましく、30モル%以下であることが特に好ましい。
上記カルシウムの架橋点の割合は、その下限値は特に限定されず、0モル%であってもよい。
【0040】
本発明に係る少なくとも2種の架橋成分中のカルシウムとニッケルと亜鉛の架橋点の総数100モル%中、亜鉛の架橋点の割合は、90モル%以下であることが好ましく、50モル%以下であることがより好ましい。
上記亜鉛の架橋点の割合は、その下限値は特に限定されず、0モル%であってもよいが、例えば10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
【0041】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物が、ニッケル含有架橋成分、亜鉛含有架橋成分、及び、カルシウム含有架橋成分を含むこともまた好ましい実施形態の1つである。この場合、本発明のフロアーポリッシュ用組成物におけるニッケル錯体、亜鉛錯体、カルシウム錯体の好ましい含有量は、上述した通りであり、例えば、本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、固形分中、ニッケル(Ni)錯体の含有量が0.01~2.5質量%であり、亜鉛(Zn)錯体の含有量が0.01~3.0質量%であり、カルシウム(Ca)錯体の含有量が0.01~2.5質量%であることがより好ましい。また、本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、固形分中、ニッケル(Ni)錯体,亜鉛(Zn)錯体、及び、カルシウム(Ca)錯体の合計含有量が0.03~10質量%であることが更に好ましく、0.1~5質量%であることが更に好ましく、0.2~2質量%であることが特に好ましい。更に、ニッケル含有架橋成分と亜鉛含有架橋成分とカルシウム含有架橋成分中の金属のモル比は、上述した好ましいモル比とすることがより好ましい。
【0042】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、更に、(e)造膜助剤を含むことが好ましい。
(e)造膜助剤は、造膜を補助する機能を有するものであり、高沸点溶剤(水溶性溶剤)が好適に用いられる。
中でも、本発明のフロアーポリッシュ用組成物において、(e)造膜助剤は、グリコールエーテル系化合物、リン酸エステル系化合物、クエン酸エステル系化合物、及び、安息香酸エステル系化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
グリコールエーテル系化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
【0043】
リン酸エステル系化合物としては、例えば、トリフェニルフォスフェート、トリブトキシエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、その他の有機リン酸エステル類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
【0044】
クエン酸エステル系化合物としては、例えば、トリエチルクエン酸、アセチルトリエチルクエン酸、トリブチルクエン酸、アセチルトリブチルクエン酸、アセチルトリヘキシルクエン酸、ブチルトリヘキシルクエン酸等、各種のものが挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
安息香酸エステル系化合物としては、例えば、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル等、各種のものが挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
【0045】
その他の造膜助剤として、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、2-ピロリドン、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレン、リンゴ酸エステル類、ベンゾネートエステル類、プロパンジオールエステル類、フタル酸エステル類;乳酸エステル類、ポリオキシアルキルエーテル類、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルメチルカルビトール、ヘキシレングリコール、ベンジルアルコール、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、3-メチル-3メトキシブタノール等を用いることができる。
【0046】
(e)造膜助剤の含有量としては、本発明のフロアーポリッシュ用組成物の固形分に対して、10質量%以上、80質量%以下が好ましい。含有量が10質量%未満では、低温での成膜性に劣り、被膜にクラック等が発生し、レベリング性が劣るものとなるおそれがあり、80質量%を超えると、被膜が過度に柔らかくなり、汚れが付着しやすく、乾燥性に劣るものになるおそれがある。
【0047】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、更に、(f)界面活性剤を含むことが好ましい。
本発明のフロアーポリッシュ用組成物において、(f)界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤及び/又はジアルキルスルホコハク酸塩を含むことが好ましい。
【0048】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、プルロニック(登録商標)型ブロックポリマー、リバースプルロニック(登録商標)型ブロックポリマー、テトロニック型ブロックポリマー、リバーステトロニック型ブロックポリマー、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンメチルエーテル脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、脂肪酸ジエタノールアミド、キラヤサポニン、ノニオン系のフッ素系界面活性剤等が挙げられる。これらの中では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ノニオン系のフッ素系界面活性剤が望ましい。
【0049】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。また、オキシアルキレン基の繰り返し数は2~20であることが望ましく、5~10であることがより望ましい。
アルキル基の種類は特に限定されないが、炭素数6~20の直鎖又は分岐のアルキル基であることが望ましく、炭素数7~16の直鎖又は分岐のアルキル基であることがより望ましく、炭素数8~13の直鎖又は分岐のアルキル基であることが更に望ましい。
【0050】
ノニオン系のフッ素系界面活性剤は、例えば、パーフロオロアルキル基を有するもの、パーフロオロアルケニル基を有するもの等が挙げられる。
【0051】
ジアルキルスルホコハク酸塩は、特に限定されないが、そのアルキル基が炭素数4~20の直鎖又は分岐のアルキル基であることが望ましく、炭素数5~16の直鎖又は分岐のアルキル基であることがより望ましく、炭素数6~10の直鎖又は分岐のアルキル基であることが更に望ましい。
ジアルキルスルホコハク酸塩としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸塩、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸塩等が好ましい。
塩は、アルカリ金属塩が好ましい。
【0052】
また(f)界面活性剤として、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等も適宜使用できる。なお、(f)界面活性剤は、反応性の二重結合を有していても良く、有してなくても良い。
【0053】
(f)界面活性剤(例えば、ノニオン系界面活性剤)は、中でも、HLB値が10~20の範囲内であることが好ましい。HLB値は、より好ましくは15~17である。
なお、本明細書中、HLB値は、HLB=20×(親油部の式量の総和)/(親水部の式量の総和)で求められる(グリフィン法ともいう)値である。
【0054】
(f)界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、本発明のフロアーポリッシュ用組成物の固形分中、0.01~2.0質量%であることが好ましい。
例えば、ノニオン系界面活性剤の含有量が、本発明のフロアーポリッシュ用組成物の固形分中、0.01~2.0質量%であることが好ましい。
またジアルキルスルホコハク酸塩の含有量が、本発明のフロアーポリッシュ用組成物の固形分中、0.01~1.0質量%であることが好ましい。
【0055】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、更に、(g)シリコーン系化合物を含むことが好ましい。
(g)シリコーン系化合物は、シリコーンオイル、シリカ、これらを混合したものが挙げられる。
(g)シリコーン系化合物の含有量は、特に限定されないが、本発明のフロアーポリッシュ用組成物の固形分中、0.01~1.0質量%であることが好ましく、0.01~0.9質量%であることがより好ましく、0.01~0.8質量%であることが更に好ましい。
【0056】
その他、本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、上述した(a)~(g)以外の成分を含んでいても良い。例えば、本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム等の無機酸化物の微粒子、防腐剤、消臭剤、消泡剤、スリップ剤、キレート剤、可溶化剤、濡れ性向上剤、粘度調整剤、腐食防止剤、色粉、安定化剤、酸成分、糖類、蛍光増白剤等を含んでいても良い。
【0057】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、更に、水を含むことが好ましい。
水としては、水道水、蒸留水、純水及びイオン交換水等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
水の含有量は、本発明のフロアーポリッシュ用組成物中、10~50質量%であることが好ましく、15~45質量%であることがより好ましく、20~40質量%であることが更に好ましい。
【0058】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、pHが6.0~8.5であることが好ましい。該pHは、6.5~8.0であることがより好ましい。
本発明のフロアーポリッシュ用組成物のpHが上記範囲内であると、より扱いやすく安全となる。
本明細書中、pHの測定は、溶液である本発明のフロアーポリッシュ用組成物に対し、市販のpHメーター等を用いて行えばよいが、例えば、堀場製作所製、D-21型を用いて測定することができる。
【0059】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、上記各成分を、例えば、常温常圧下で、攪拌装置を有する容器にそれぞれの成分を計量して投入し、攪拌することで容易に得ることができる。例えば、水に(e)造膜助剤を添加して混合した後、(a)酸基含有樹脂エマルジョン、(b)ワックスエマルジョン、(c)、(d)の少なくとも2種の架橋成分等を加え、混合することにより製造することができる。
【0060】
上記のようにして得られた本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、(c)、(d)の少なくとも2種の架橋成分の働きにより、架橋の態様が好適なものとなり、耐久性に非常に優れる被膜を形成できる。
【0061】
(本発明のフロアーポリッシュ用組成物の製造方法)
本発明のフロアーポリッシュ用組成物の製造方法は、本発明のフロアーポリッシュ用組成物が得られる限り特に限定されず、上述した(a)~(d)の成分、並びに、必要に応じて上述した(e)~(g)の成分及びその他の成分を適宜混合することで本発明のフロアーポリッシュ用組成物を調製できる。
例えば、本発明は、本発明のフロアーポリッシュ用組成物を製造する方法であって、該製造方法は、フロアーポリッシュ用組成物のpHを6.0~8.5に調整するために、pHが2.0~7.0の樹脂エマルジョンを、フロアーポリッシュ用組成物100質量%中、3.0~20質量%となるように配合する工程、及び、α-ヒドロキシ酸及び/又はグルコン酸を、フロアーポリッシュ用組成物100質量%中、0.01~1.0質量%となるように配合する工程を含むことを特徴とするフロアーポリッシュ用組成物の製造方法であってもよい。
【0062】
pHが2.0~7.0の樹脂エマルジョンとしては、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。
なお、pHが2.0~7.0の樹脂エマルジョンのpHは、上述した本発明のフロアーポリッシュ用組成物のpHの測定方法と同様の方法で測定することができる。
本発明のフロアーポリッシュ用組成物の製造方法により、pHを簡便に調整でき、本発明のフロアーポリッシュ用組成物を好適に得ることができる。
【0063】
また本発明のフロアーポリッシュ用組成物の製造方法において、ニッケル含有架橋成分、亜鉛含有架橋成分、又は、カルシウム含有架橋成分と、HLBが10~20(好ましくは、15~17)のノニオン系界面活性剤を0.01~2.0質量%含有した水系溶液とを配合する工程を含むことが好ましい。
配合工程は、架橋部分と水系溶液とを同時に配合するものであってもよく、順次配合するものであってもよい。順次配合する場合、配合の順序は、特に限定されない。また、配合の前後、途中で、他の成分を配合しても構わない。
なお、水系溶液は、水、水溶性溶剤、及び、水分散性溶剤(水溶性ではないものの、水と混合して静置した際に水と分離せず、水中に分散し得る溶剤)からなる群より選択される少なくとも1種からなるものをいう。
【0064】
本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、屋内外で使われている素材の、一時保護も含めた水性樹脂保護剤で、例えば、建築物の塗装面、金属面、木質面、石質面、プラスチック面、ガラス、床面、壁、木工製品等に使用することができる。更に、自動車車両あるいは鉄道車両、航空機等の塗装表面や金属表面等の車両外板に塗布して被膜を形成することにより、基材に対して外気や汚れ、光、埃、水分等を遮断し、光沢を与え基材本来の美観を保ち、老化や劣化を防ぐために広く使用することができる。
【0065】
このように、本発明のフロアーポリッシュ用組成物は、各種の基材や用途に利用できるが、中でも顕著に本発明の効果が現われる用途は、文字通りフロアー(床)用である。本発明のフロアーポリッシュ用組成物を、プラスチック系タイルやコンポジションタイル、石質系床材、木質系床材等の各種床材に塗布し乾燥させるだけで、床面に光沢を与え、耐久性に非常に優れる被膜を得ることができる。なお、長期間の使用で被膜が汚れ床材の美観や保護性に問題が出れば、剥離剤を用いて容易に剥離することも可能である。
【実施例】
【0066】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお実施例において、特に断らない限り「部」は「重量部」を「%」は「質量%」をそれぞれ意味する。
【0067】
(フロアーポリッシュ用組成物の調製)
表1、表2に示す処方に従い、(a)酸基含有樹脂エマルジョン、(b)ワックスエマルジョン、(c)ニッケル含有架橋成分、(d)亜鉛含有架橋成分及び/又はカルシウム含有架橋成分、並びに、その他の成分を混合して、実施例1~14及び比較例1~5に係るフロアーポリッシュ用組成物を得た。なお、表中に示す成分は剤自体の量(有姿の量)であり、各成分としては以下のものを用いた。
また(c-1)~(c-3)の架橋剤は、それぞれ、金属イオン濃度が、(金属のモル数×価数=架橋点の数)が1mol%になるように調整したものである。すなわち、(c-1)の亜鉛架橋剤は、Zn2+のイオンが0.5mol%含まれ、(c-2)のカルシウム架橋剤は、Ca2+のイオンが0.5mol%含まれ、(c-3)のニッケル架橋剤は、Ni2+のイオンが0.5mol%含まれる。更に、実施例1~14及び比較例1~5に係るフロアーポリッシュ用組成物のpHは、すべて6.0~8.5の範囲内であった。
(a-1):アルマテックスE-602BF(有効成分40%)(スチレンアクリル共重合体〔非架橋〕、三井化学(株)製)
(a-2):アルマテックスE-361BF(有効成分45%)(スチレンアクリル共重合体〔非架橋〕、三井化学(株)製)
(a-3): プライマルE-1531C(有効成分38%)(アクリル系ポリマー、ダウ・ケミカル日本(株)製)
(b-1):ハイテックE-6500(有効成分35%)(酸化ポリエチレンエマルジョン、東邦化学工業(株)製)
(b-2):ハイテックE-8000(有効成分35%)(酸化ポリエチレンエマルジョン、東邦化学工業(株)製)
(c-1):亜鉛架橋剤([Zn(NH3)4]CO3含有水溶液)
(c-2):カルシウム架橋剤(Ca(OH)2含有水分散液)
(c-3):ニッケル架橋剤([Ni(NH3)4]CO3含有水溶液)
(d-1):ジエチレングリコールモノエチルエーテル
(d-2):トリブトキシエチルフォスフェート
(e):フタージェント150(フッ素系界面活性剤、(株)ネオス製)
(f):FSアンチフォーム92(乳化型消泡シリコーン系消泡剤、東レ・ダウコーニング(株)製)
【0068】
次に、実施例及び比較例のフロアーポリッシュ用組成物について、下記の評価項目について性能評価を行なった。その結果を下記の表1、表2に示す。
(光沢度)
JIS K3920を採用し、フロアーポリッシュ用組成物を、1回当りの塗布量15ml/m2で3回塗布し、60゜の光沢度(%)を測定した。
【0069】
(耐ブラックヒールマーク性)
JIS K 3920を採用して下記基準で評価した。
○:ブラックヒールマークの付着は全く無い。
△:ブラックヒールマークの付着が若干有る。
×:ブラックヒールマークの付着が著しい。
なお、△以上であれば、良好である。
【0070】
【0071】
【0072】
表1に示したように、実施例1~14のフロアーポリッシュ用組成物を用いて、光沢が充分に優れるとともに、耐久性が非常に優れる被膜を形成できた。これら組成物がニッケル含有架橋成分とともに、亜鉛含有架橋成分及び/又はカルシウム含有架橋成分を含むためであると考えられる。少なくとも、金属含有架橋成分の架橋点中のニッケル含有架橋成分の架橋点が75mol%以下の範囲内で、本発明の顕著な効果が発揮されることが分かった。
一方、表2に示したように、比較例1~5のフロアーポリッシュ用組成物は、ニッケル含有架橋成分とともに、亜鉛含有架橋成分及び/又はカルシウム含有架橋成分を含むものではないところ、得られた被膜の光沢が劣るものであるか、又は、耐久性が非常に優れるとはいえないものであった。