(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】細胞培養物を処理する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
C12N 1/00 20060101AFI20230214BHJP
C12M 1/12 20060101ALI20230214BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20230214BHJP
C12M 3/06 20060101ALN20230214BHJP
【FI】
C12N1/00 K
C12M1/12
C12N5/071
C12M3/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022001359
(22)【出願日】2022-01-07
(62)【分割の表示】P 2020073759の分割
【原出願日】2014-09-16
【審査請求日】2022-01-07
(32)【優先日】2013-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500034653
【氏名又は名称】ジェンザイム・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ライト
(72)【発明者】
【氏名】マーシェラ・ユー
(72)【発明者】
【氏名】ジン・イン
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン・コンスタンティノフ
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0111486(US,A1)
【文献】特開昭63-151306(JP,A)
【文献】特開平05-031335(JP,A)
【文献】特表2009-543565(JP,A)
【文献】国際公開第2012/128703(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/124326(WO,A1)
【文献】特開昭61-088872(JP,A)
【文献】特開昭60-000804(JP,A)
【文献】特開2010-011792(JP,A)
【文献】特表平08-503615(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0166290(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0167612(US,A1)
【文献】Conversion of Bioreactors to Continuous Perfusion Using Hollow Fiber Cell Separators,Practical Aspects,Spectrum Laboratories, Inc,1989年,p.1-29,URL: www.spectrumlabs.com/lit/CPAG.pdf,URL: http://jp.spectrumlabs.com/lit/Bioreactors.pdf(日本語版)
【文献】Katharina Blaschczok et al.,Chemie Ingenieur Technik,2012年11月19日,Vol.85, No.1-2,p.144-152
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C12M
B01D
C02F
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物細胞培養物を処理する方法であって、
(a)開回路濾過システムを提供する工程であって、該システムは:
哺乳動物細胞培養物を含む冷蔵貯蔵タンクと、
第1および第2の入口を有するタンジェントフロー濾過(TFF)ユニットと、
冷蔵貯蔵タンクとTFFユニットの第1の入口との間で流体連通している第1の導管と、
冷蔵貯蔵タンクとTFFユニットの第2の入口との間で流体連通している第2の導管と、
該システムを通じて流体を流通させるための、該システム内に配置された少なくとも1つのポンプと、
を含み、
該システムは、
流体が、少なくとも1つのポンプを経由して、該システムを通じて冷蔵貯蔵タンクから、または冷蔵貯蔵タンクに向かって、
第1と第2の導管およびTFFユニットを通じて、反転可能に流通できるように、
濾過液が、TFFユニットから収集できるように構成されている、
工程と、
(b)哺乳動物細胞培養物を、冷蔵貯蔵タンクから第1と第2の導管およびTFFユニットを通じて、第1の流れの向きで第1の期間流通させる工程と、
(c)第1の流れの向きを反転させ、哺乳動物細胞培養物を、第1と第2の導管およびTFFユニットを通じて、第2の流れの向きで第2の期間流通させる工程と、
(d)第2の流れの向きを反転させ、哺乳動物細胞培養物を、第1と第2の導管およびTFFユニットを通じて、第1の流れの向きで第3の期間流通させる工程と、
(e)工程(c)~(d)を少なくとも2回繰り返す工程と、
(f)濾過液を収集する工程と、
を含む、前記方法。
【請求項2】
TFFユニットは、単一のクロスフローフィルタを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
TFFユニットは、2つまたはそれ以上のクロスフローフィルタを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
システムは、第1の導管、第2の導管、またはその両方に配置された1つまたはそれ以上の追加のTFFユニットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのポンプは、第1の導管もしくは第2の導管、またはその両方に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのポンプは、任意の2つのTFFユニットの間でシステム内に配置されている、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのポンプは、冷蔵貯蔵タンク内に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのポンプは、低乱流ポンプ(LTP)である、請求項1および5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
システムは、第1および第2のLTPを含み、該第1のLTPは、哺乳動物細胞培養物を第1の方向で流通させ、該第2のLTPは、哺乳動物細胞培養物を第2の方向で流通させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
システムは、単一のLTPを含み、該単一のLTPは、哺乳動物細胞培養物を第1の方向で第1の期間および第3の期間中流通させ、哺乳動物細胞培養物を第2の方向で第2の期間中流通させる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
(i)濾過液は、哺乳動物細胞を含まない;および/または
(ii)哺乳動物細胞培養物は、分泌型組み換えタンパク質を含み、濾過液は、該分泌型組み換えタンパク質を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
分泌型組み換えタンパク質は、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、増殖因子、サイトカイン、もしくは酵素、またはその組合せである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
酵素はα-ガラクトシダーゼである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
分泌型組み換えタンパク質を濾過液から単離する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
単離する工程は、1つまたはそれ以上のマルチカラムクロマトグラフィシステム(MCCS)を通じて単離する工程を含む、一体化した連続的なプロセスを用いて実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
単離した組み換えタンパク質を、薬学的に許容される賦形剤またはバッファーと混合することにより、治療用原薬を処方する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
哺乳動物細胞培養物もしくは濾過液、またはその両方は、滅菌状態にある、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年9月16日付け出願の米国仮特許出願第61/878,502号に対する優先権を主張し、その全内容を参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は、細胞培養物を処理する方法およびバイオテクノロジー、ならびにより具体的には、潅流バイオリアクタ内で細胞培養物を連続的に処理する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
哺乳動物細胞は、治療用タンパク質を製造するのに多くの場合用いられる。いくつかの処理法では、哺乳動物細胞は、潅流バイオリアクタ内で培養され、組み換えタンパク質を含むある容積の細胞培養物がバイオリアクタから除去され、そして新規培養培地が添加されてその容積に置き換わる。かかる潅流式培養法では、除去された細胞培養物は多くの場合濾過され、哺乳動物細胞がさらなる組み換えタンパク質製造用として、バイオリアクタ内で保持される一方、組み換えタンパク質を含む培養培地(時に「使用済み培地」と呼ばれる)が回収される。
【0004】
潅流バイオリアクタから細胞培養物を濾過する従来の方法およびデバイスは、いくつかの欠点を有する。例えば、閉システムの交互タンジェントフロー濾過(ATF)では、細胞培養物がバイオリアクタにより管理された増殖条件外で長時間(長期外部滞留時間)を費やすこととなり、また逆流を伴わない伝統的な一方向タンジェントフロー濾過(TFF)では、フィルタ汚損が生じる。したがって、従来の潅流バイオリアクタ法は、細胞培養物がバイオリアクタにより管理された増殖条件外で長時間を費やすことと多くの場合関係し、生存細胞密度、生存率(%)、および培養物の比生産性および容積生産性の低下を引き起こす。さらに、従来法は、多くの場合システムフィルタのフラッシングが不完全となり、フィルタ汚損を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願者らは、クロスフローフィルタ表面を横断する反転可能なタンジェント流体フローをもたらす開回路濾過システム(open circuit filtration system)は、従来型の一方向開回路または二方向閉回路濾過システムとは異なり、生存細胞密度の増加、生存細胞率(%)の増加、比生産性および/または容積生産性の増加、比グルコース消費量の増加、およびフィルタ汚損の低減をもたらすことを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に提示する開回路濾過システムは、例えば他の一方向開回路濾過システム(例えば、一方向TFFシステム)、または二方向閉回路濾過システム(閉回路ATF(商標)システム)と比較して、組み換えタンパク質の生成および収率について、最適条件、例えば1つもしくはそれ以上の細胞培養物の外部容積(リザーバの外部)の減少、交換分画(例えば、第1の導管、TFFユニット、および第2の導管内)の増加、細胞培養物の外部(リザーバ外部)滞留時間の短縮、細胞培養物濾過中の剪断応力の低下、細胞培養物中の細胞生存率の改善、細胞培養物中の生存細胞密度の向上、および/またはフィルタ汚損の減少(フィルタのより良好なフラッシングに起因する)をもたらす。したがって、リザーバ(例えば、バイオリアクタ)、第1および第2の入口を有するタンジェントフロー濾過(TFF)ユニット、リザーバとTFFユニットの第1の入口との間で流体連通している第1の導管、ならびにリザーバとTFFユニットの第2の入口との間で流体連通してい
る第2の導管、ならびに少なくとも1つのポンプが作動すると、流体がシステムを通じて反転可能に流通し、リザーバから第1の導管、TFFユニット、第2の導管を経由してリザーバに戻るようにシステム内に配置された少なくとも1つのポンプを含む開回路濾過システムが本明細書で提供される。細胞培養物を処理する方法であって、(a)開回路濾過システム(例えば、本明細書に記載するいずれかの開回路濾過システム)を提供する工程、(b)細胞培養物を、リザーバからTFFユニットを通じて、第1の流れの向きで第1の期間流通させる工程、(c)第1の流れの向きを反転させ、細胞培養物を、TFFユニットを通じて、第2の流れの向きで第2の期間流通させる工程、(d)第2の流れの向きを反転させ、培養物を、TFFユニットを通じて、第1の流れの向きで第3の期間流通させる工程、(e)工程(c)~(d)を少なくとも2回繰り返す工程、および(f)濾過液を収集する工程を含む、方法も提供される。
【0007】
細胞培養物を処理する方法が本明細書で提供される。これらの方法は以下の工程を含む:(a)開回路濾過システムを提供する工程であって、該システムは、細胞培養物を含むリザーバ、第1および第2の入口を有するタンジェントフロー濾過(TFF)ユニット、リザーバとTFFユニットの第1の入口との間で流体連通している第1の導管、ならびにリザーバとTFFユニットの第2の入口との間で流体連通している第2の導管、ならびに該システムを通じて流体を流通させるための、該システム内に配置された少なくとも1つのポンプを含み、ここで、該システムは、流体が、少なくとも1つのポンプを経由して、システムを通じてリザーバから、またはリザーバに向かって、第1および第2の導管およびTFFユニットを通じて、反転可能に流通可能できるように、濾過液が、TFFユニットから収集できるように構成されている、工程;(b)細胞培養物を、リザーバからTFFユニットを通じて、第1の流れの向きで第1の期間流通させる工程、(c)第1の流れの向きを反転させ、細胞培養物を、TFFユニットを通じて、第2の流れの向きで第2の期間流通させる工程;(d)第2の流れの向きを反転させ、培養物を、TFFユニットを通じて、第1の流れの向きで第3の期間流通させる工程;(e)工程(c)~(d)を少なくとも2回繰り返す工程;ならびに(f)濾過液を収集する工程。いくつかの例では、リザーバは、バイオリアクタまたは冷蔵貯蔵タンクである。いくつかの例では、第1および第2の導管の一方または両方は、生体適合性チューブを含む。TFFユニットは、単一のクロスフローフィルタ(例えば、管状クロスフローフィルタ)を含んでもよく、2つまたはそれ以上のクロスフローフィルタを含んでもよい。
【0008】
いくつかの例では、システムは、第1の導管、第2の導管、またはその両方に配置された1つまたはそれ以上の追加のTFFユニットを含む。いくつかの例では、クロスフローフィルタは、約0.2マイクロメートルの平均ポアサイズを有する。
【0009】
いくつかの例では、少なくとも1つのポンプが、第1の導管または第2の導管、またはその両方に配置されている。さらなる例では、少なくとも1つのポンプが、任意の2つのTFFユニット間でシステム内に配置されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポンプが、リザーバ内で、第1または第2の流体導管の近位に配置されている。本明細書に記載するすべての方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのポンプは、低乱流ポンプ(LTP)(例えば、蠕動ポンプ)である。いくつかの例では、システムは、第1および第2のLTPを含み、第1のLTPは、細胞培養物を第1の方向で流通させ、第2のLTPは、細胞培養物を第2の方向で流通させる。いくつかの実施形態では、システムは、単一のLTPを含み、該単一のLTPは、細胞培養物を第1の方向で第1および第3の期間中流通させ、細胞培養物を第2の方向で第2の期間中流通させる。
【0010】
本明細書に記載するどの方法でも、第1、第2、および第3の期間は、約30秒~約15分である。いくつかの実施形態では、細胞培養物は、(a)、(b)、および(c)のうちの1つまたはそれ以上において、約0.5L/分~約80L/分(例えば、約3.0
L/分~約60L/分)の速度で流通する。
【0011】
いくつかの実施形態では、(b)および(c)を単回反復すると、その結果、交換分画は50%を上回る。いくつかの例では、濾過液は、哺乳動物細胞を含まない。いくつかの実施形態では、細胞培養物は、分泌型組み換えタンパク質を含み、濾過液は、分泌型組み換えタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、分泌型組み換えタンパク質は、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、増殖因子、サイトカイン、もしくは酵素、またはその組合せである。いくつかの実施形態は、分泌型組み換えタンパク質を濾過液から単離する工程をさらに含む。例えば、単離する工程は、少なくとも1つのマルチカラムクロマトグラフィシステム(MCCS)を通じて単離する工程を含む、一体化した連続プロセスを用いて実施可能である。いくつかの実施形態は、単離された組み換えタンパク質を薬学的に許容される賦形剤またはバッファーと混合することにより治療用原薬を処方する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞培養物または濾過液またはその両方は、滅菌状態にある。いくつかの例では、方法は、約14日間~約80日間、連続的に実施される。
【0012】
リザーバ、第1および第2の入口を有するタンジェントフロー濾過(TFF)ユニット、リザーバとTFFユニットの第1の入口との間で流体連通している第1の導管、ならびにリザーバとTFFユニットの第2の入口との間で流体連通している第2の導管、ならびにシステム内に配置された少なくとも1つのポンプを含み、該少なくとも1つのポンプを作動すると、流体がシステムを通じて反転可能に流通し、リザーバから、第1の導管、TFFユニット、第2の導管を経由して、リザーバに戻る、開回路濾過システムも提供される。いくつかの例では、リザーバは、バイオリアクタまたは冷蔵貯蔵タンクである。いくつかの実施形態では、第1および第2の導管の一方または両方は、生体適合性チューブを含む。いくつかの実施形態では、TFFユニットは、単一のクロスフローフィルタ(例えば、管状クロスフローフィルタ)を含む。いくつかの実施形態では、TFFユニットは、2つまたはそれ以上のクロスフローフィルタを含む。いくつかの例では、システムは、第1の導管、第2の導管、またはその両方に配置された1つまたはそれ以上の追加のTFFユニットを含む。いくつかのシステムでは、クロスフローフィルタは、約0.2マイクロメートルの平均ポアサイズを有する。
【0013】
本明細書に記載するシステムのいくつかの実施形態では、少なくとも1つのポンプが、第1の導管または第2の導管、またはその両方に配置される。他の実施形態では、少なくとも1つのポンプが、任意の2つのTFFユニット間でシステム内に配置される。他の例では、少なくとも1つのポンプが、リザーバ内で、第1または第2の流体導管の近位に配置される。本明細書に記載するどのシステムでも、少なくとも1つのポンプは、低乱流ポンプ(LTP)(例えば、蠕動ポンプ)である。いくつかの実施形態では、システムは、第1および第2のLTPを含み、第1のLTPは、細胞培養物を第1の流れの向きで流通させるように適用されており、第2のLTPは第1の流れの向きを反転させ、細胞培養物を第2の流れの向きで流通させるように適用されている。他の実施形態では、システムは、細胞培養物を第1および第2の流れの向きで反転可能に流通させるように適用された単一のLTPを含む。いくつかの実施形態では、蠕動ポンプのポンプヘッド容積は、約20mL~約250mLである。
【0014】
本明細書に記載するシステムのいくつかの実施形態は、濾過液貯蔵タンク、およびTFFユニットと濾過液貯蔵タンクとの間で流体連通している濾過液導管をさらに含む。本明細書に記載するシステムのいくつかの実施形態は、生物学的製造システムをさらに含み、同システムは、少なくとも1つのマルチカラムクロマトグラフィシステム(MCCS)および入口および出口、TFFユニットと生物学的製造システムの入口との間で流体連通している濾過液導管を含み、デバイスは、濾過液が、少なくとも1つのMCCSを通じて生物学的製造システムの入口に流入し、生物学的製造システムの出口を通じてデバイスから
退出するように構成されている。本明細書に記載するどのシステムでも、TFFユニットは、ハウジング内に配置される。
【0015】
本明細書で用いる場合、名詞の前の単語「1つの(a)」または「複数の(plurality)」は、1つまたはそれ以上の特定の名詞を表す。例えば、慣用句「哺乳動物細胞」は、「1つまたはそれ以上の哺乳動物細胞」を表し、慣用句「複数のマイクロキャリア」は、「1つまたはそれ以上のマイクロキャリア」を意味する。
【0016】
用語「哺乳動物細胞」とは、任意の哺乳動物(例えば、ヒト、ハムスター、マウス、ミドリザル、ラット、ブタ、ウシ、またはウサギ)から得られた細胞、またはそれに由来する任意の細胞を意味する。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、例えば、不死化細胞、分化細胞、または未分化細胞であり得る。
【0017】
用語「細胞培養物」とは、液体培養培地(例えば、本明細書に記載するいずれかの液体培養培地)に懸濁した複数の哺乳動物細胞(例えば、本明細書に記載するいずれかの哺乳動物細胞)を意味する。細胞培養物の細胞密度は、細胞約0.1×106個/mL超(例えば、細胞約1×106個/mL超、細胞約5×106個/mL超、細胞約10×106個/mL超、細胞約15×106個/mL超、細胞約20×106個/mL超、細胞約25×106個/mL超、細胞約30×106個/mL超、細胞約35×106個/mL超、細胞約40×106個/mL超、細胞約45×106個/mL超、細胞約50×106個/mL超、細胞約55×106個/mL超、細胞約60×106個/mL超、細胞約65×106個/mL超、細胞約70×106個/mL超、細胞約75×106個/mL超、細胞約80×106個/mL超、細胞約85×106個/mL超、細胞約90×106個/mL超、細胞約95×106個/mL超、または細胞約100×106個/mL超)であり得る。いくつかの例では、細胞培養物中に存在する哺乳動物細胞は、マイクロキャリア(例えば、本明細書に記載するいずれかのまたは当技術分野において公知のマイクロキャリア)に結合している。
【0018】
用語「バイオリアクタ」とは、当技術分野で公知であり、液体培養培地中で哺乳動物細胞の維持または増殖を可能にする管理された一連の物理的条件下で、細胞培養物をインキュベーションすることができる容器を意味する。例えば、バイオリアクタは、細胞培養物中の哺乳動物細胞が組み換えタンパク質を生成および分泌できるようにする条件下で、細胞培養物をインキュベーションすることができる。例えば、バイオリアクタは、O2およびN2スパージ、保温ジャケット、1つまたはそれ以上の流体ポート、ならびに撹拌システムを一般的に含む。バイオリアクタの非限定的な例は、本明細書に記載されている。さらなるバイオリアクタの例は、当技術分野において公知である。
【0019】
用語「開回路濾過システム」とは、リザーバ(例えば、バイオリアクタ)、およびリザーバより開始し、かつそこで終わる連続的な閉じた流体ループを意味し、同システムはTFFユニットを含み、閉じた流体ループ内の流体(例えば、細胞培養物)は、TFFユニットを通じてリザーバ(第1または第2の流れの向きで)に流入およびそこから流出して、リザーバに戻ることができる。開回路濾過システムは、流体(例えば、細胞培養物)を、TFFユニットを通じてリザーバに、かつ/またはそこからポンプ搬送し、リザーバに戻すのに適する少なくとも1つのポンプも含む。
【0020】
用語「タンジェントフロー濾過ユニット」または「TFFユニット」とは、当技術分野で公知あり、少なくとも1つのハウジング(シリンダー等)、およびフィルタ表面の大部分が、ユニットを経由する流体(例えば、細胞培養物)の流れと並行して位置するように、ハウジング内に位置する少なくとも1つのクロスフローフィルタを含むデバイスを意味する。TFFユニットは、当技術分野において周知であり、商業的に入手可能である。代
表的な市販のTFFユニットとして、Minimate(商標)TFFカプセル(Pall Corporation)、Vivaflow(登録商標)50および200システム(Sartorius)、BioCap25、E0170、E0340、およびE1020カプセル(3M)、ならびにATF4フィルタ(Refine Technology)が挙げられる。ハウジングは、例えば流体が第1の入口/出口を通過し、少なくとも1つのクロスフローフィルタを横断し、第2の入口/出口を通過できるように位置する第1の入口/出口および第2の入口/出口を含み得る。いくつかの例では、開回路濾過システムは、例えば直列および/または並列に接続された複数のTFFユニットを含み得る。例えば、2つまたはそれ以上のTFFユニットを含むシステムは、システム内で隣接して対をなすTFFユニットを流体連結する流体導管を含み得る。他の例では、システムは、流体導管により流体連結した2つまたはそれ以上のTFFユニットからなる2つまたはそれ以上のセットを含み得る。本明細書に記載するまたは当技術分野において公知のどのTFFユニットも、第1の流れの向きおよび第2の流れの向きで流体を受け入れる能力を有する。
【0021】
用語「クロスフローフィルタ」とは、当技術分野において公知であり、TFFユニット内に配置可能なように設計されたフィルタを意味し、同フィルタは、フィルタ表面の大部分が、流体(例えば、細胞培養物)の流れ(例えば、第1および第2の流れの向き)に対して並行となるように配置可能である。例えば、クロスフローフィルタは、タンジェントフロー濾過を可能にする任意の形状、例えば管状または長方形の形状を有し得る。特に有用なクロスフローフィルタは、流体がクロスフローフィルタの表面を横断して第1および第2の方向で流通する際に、流体(例えば、細胞培養物)にもたらされる流体の乱れまたは剪断応力の量が低くなるように設計される。クロスフローフィルタは、例えばSartorius、MembraPure、Millipore、およびPall Corporationから市販されている。
【0022】
用語「低乱流ポンプ」または「LTP」とは、当技術分野において公知であり、流体(例えば、細胞培養物)を、単一の方向(例えば、第1または第2の流れの向き)で、システム内を移動させることができる、または流体(例えば、細胞培養物)内で相当量の剪断応力または流体の乱れを誘発することなく、流体(例えば、細胞培養物)を、2つの方向(第1および第2の流れの向き)でシステム内を反転可能に流通させることができるデバイスを意味する。LTPが、第1と第2の流れの向きを切り替えて流体(例えば、細胞培養物)を流通させるのに用いられる場合、第2の流れの向きは、第1の流れの向きとほぼ逆方向である。LTPの例として、蠕動ポンプが挙げられる。他のLTPの例は、当技術分野において公知である。
【0023】
用語「流れを反転させる」または「流れの向きを反転させる」は、当業者に周知である。例えば、当業者は、流体の流れを反転させるとは、流体の全体的な流れの向きを、全体的な流れの向き(例えば、本明細書に記載するあらゆる方法またはシステム内の細胞培養物の流れの向き)とは一般的に逆方向に変更することを意味すると認識する。
【0024】
用語「交換分画」とは、第1の方向で第1の期間、流体をリザーバの外部にある開回路濾過システムの構成要素を通じて流通させ(例えば、第1の導管、少なくとも1つのTFFユニット、および第2の導管を通じて)、流体を第2の方向で第2の期間流通させた後、リザーバに帰着する流体(例えば、細胞培養物)の割合を意味する。
【0025】
用語「実質的に含まない」とは、特定の物質(例えば、哺乳動物細胞または宿主哺乳動物細胞タンパク質または核酸)に関して、少なくともまたは約90%含まない(例えば、少なくとももしくは約95%、96%、97%、98%、または少なくとももしくは約99%含まない、または約100%含まない)組成物(例えば、液体または固体)を意味す
る。例えば、本明細書に記載する方法を用いて生成した濾過液は、哺乳動物細胞またはマイクロキャリアを実質的に含まないものとすることができる。別の例では、本明細書に記載するいずれかのプロセスを用いて単離された組み換えタンパク質は、宿主哺乳動物細胞タンパク質、核酸、および/または汚染性ウイルスを実質的に含まないものとすることができる。
【0026】
用語「培養」または「細胞培養」とは、管理された一連の物理的条件下の液体培養培地中での哺乳動物細胞の維持または増殖を意味する。
【0027】
用語「液体培養培地」とは、培地中、in vitroで哺乳動物細胞が増殖するのを可能にする、十分な栄養分を含む流体を意味する。例えば、液体培養培地は、アミノ酸(例えば、20種類のアミノ酸)、プリン(例えば、ヒポキサンチン)、ピリミジン(例えば、チミジン)、コリン、イノシトール、チアミン、葉酸、ビオチン、カルシウム、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チミジン、シアノコバラミン、ピルビン酸、リポ酸、マグネシウム、グルコース、ナトリウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛、セレニウム、および他の必須微量金属、および重炭酸ナトリウムのうちの1つまたはそれ以上を含み得る。液体培養培地は、哺乳動物由来の血清を含み得る。いくつかの事例では、液体培養培地は、哺乳動物由来の血清または別の抽出物を含まない(定義された液体培養培地)。液体培養培地は、微量金属、哺乳動物の成長ホルモン、および/または哺乳動物の増殖因子を含み得る。液体培養培地の非限定的な例は、本明細書に記載されており、追加の例は、当技術分野において公知であり、商業的に入手可能である。
【0028】
用語「マイクロキャリア」とは、哺乳動物細胞(例えば、本明細書に記載するまたは当技術分野において公知の哺乳動物細胞のいずれか)の付着を許容するまたは促進する表面を備える、サイズが20μm~約1000μmである粒子(例えば、有機ポリマー)を意味する。マイクロキャリアは、1つまたはそれ以上のポア(例えば、平均直径が約10μm~約100μmのポア)を含み得る。マイクロキャリアの非限定的な例は、本明細書に記載されている。マイクロキャリアの追加の例は、当技術分野において公知である。マイクロキャリアは、例えばポリマー(例えば、セルロース、ポリエチレングリコール、またはポリ-(乳酸-co-グリコール酸))を含み得る。
【0029】
用語「動物由来成分を含まない液体培養培地」とは、動物に由来するあらゆる成分(例えば、タンパク質または血清)を含まない液体培養培地を意味する。
【0030】
用語「血清を含まない液体培養培地」とは、動物血清を含まない液体培養培地を意味する。
【0031】
用語「血清含有液体培養培地」とは、動物血清を含む液体培養培地を意味する。
【0032】
用語「化学的に定義された液体培養培地」とは、実質的にすべての化学成分が既知である液体培養培地を意味する。例えば、化学的に定義された液体培養培地は、ウシ胎仔血清、ウシ血清アルブミン、またはヒト血清アルブミンを含まないが、それは、これらの調製物は、アルブミンや脂質からなる複雑な混合物を一般的に含むためである。
【0033】
用語「タンパク質を含まない液体培養培地」とは、タンパク質(例えば、検出可能なあらゆるタンパク質)を一切含まない液体培養培地を意味する。
【0034】
用語「免疫グロブリン」とは、免疫グロブリンタンパク質(例えば、可変ドメイン配列、フレームワーク配列、または定常ドメイン配列)の少なくとも15個のアミノ酸(例えば、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、または100個のア
ミノ酸)からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。免疫グロブリンは、例えば軽鎖免疫グロブリンの少なくとも15個のアミノ酸、および/または重鎖免疫グロブリンの少なくとも15個のアミノ酸を含み得る。免疫グロブリンは、単離された抗体(例えば、IgG、IgE、IgD、IgA、またはIgM)であり得る。免疫グロブリンは、IgGのサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)であり得る。免疫グロブリンは、抗体フラグメント、例えばFabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、またはscFvフラグメントであり得る。免疫グロブリンは、二重特異性抗体または三重特異性抗体、または二量体、三量体、または多量体抗体、または二機能性抗体、Affibody(登録商標)、またはNanobody(登録商標)でもあり得る。免疫グロブリンは、少なくとも1つの免疫グロブリンドメイン(例えば、融合タンパク質)を含む工学的に作出されたタンパク質でもあり得る。免疫グロブリンの非限定的な例は、本明細書に記載されており、免疫グロブリンの追加の例は、当技術分野において公知である。
【0035】
用語「タンパク質フラグメント」または「ポリペプチドフラグメント」は、長さが少なくとももしくは約4個のアミノ酸、例えば少なくとももしくは約5個のアミノ酸、少なくとももしくは約6個のアミノ酸、少なくとももしくは約7個のアミノ酸、少なくとももしくは約8個のアミノ酸、少なくとももしくは約9個のアミノ酸、少なくとももしくは約10個のアミノ酸、少なくとももしくは約11個のアミノ酸、少なくとももしくは約12個のアミノ酸、少なくとももしくは約13個のアミノ酸、少なくとももしくは約14個のアミノ酸、少なくとももしくは約15個のアミノ酸、少なくとももしくは約16個のアミノ酸、少なくとももしくは約17個のアミノ酸、少なくとももしくは約18個のアミノ酸、少なくとももしくは約19個のアミノ酸、または少なくとももしくは約20個のアミノ酸、または長さが20個を超えるアミノ酸であるポリペプチド配列の一部分を意味する。組み換えタンパク質フラグメントは、本明細書に記載するいずれかの方法を用いて生成可能である。
【0036】
用語「工学的に作出されたタンパク質」とは、生物(例えば、哺乳動物)内に存在する内因性の核酸により本来コードされたものではないポリペプチドを意味する。工学的に作出されたタンパク質の例として、酵素(例えば、工学的に作出された酵素の安定性および/または触媒活性の増加を引き起こす、1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠損、挿入、または付加を伴う)、融合タンパク質、抗体(例えば、二価抗体、三価抗体、または二機能性抗体)、および少なくとも1つの組み換えスキャフォールディング配列を含む抗原結合タンパク質が挙げられる。
【0037】
ある特定の文脈において、用語「単離する(isolate)」または「単離すること(isolating)」とは、濾過液(例えば、本発明に記載されている方法を用いて生成される濾過液)中に存在する1つまたはそれ以上の他の成分、例えば濾過液中に存在するDNA、RNA、および/または他のタンパク質からなる1つまたはそれ以上の成分から、組み換えタンパク質を、少なくとも部分的に精製する、または精製する(例えば、重量として、少なくとももしくは約5%、例えば少なくとももしくは約10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または少なくとももしくは約95%純粋に)ことを意味する。濾過液からタンパク質を単離するための非限定的な方法は、本明細書に記載されており、他は当技術分野において公知である。
【0038】
用語「分泌型タンパク質」または「分泌型組み換えタンパク質」とは、哺乳動物細胞内で翻訳された際に、少なくとも1つの分泌シグナル配列を当初含んでいたが、分泌シグナル配列が、少なくとも部分的に、哺乳動物細胞内で酵素的に切断されることにより、細胞外空間(例えば、液体培養培地)に少なくとも部分的に放出されるタンパク質または組み
換えタンパク質を意味する。
【0039】
慣用句「グラジエント潅流(gradient perfusion)」とは、当技術分野で公知であり、培養期間中の増加性の期間(例えば、約24時間、約1分~約24時間、または24時間を上回る期間)における、当初の培養容積から除去され、またこれに添加されて培養培地容積に生じた増加性の変化(例えば、増加または減少)を指す(例えば、1日当たりの培養培地の再供給速度)。1日当たり、除去および置き換えられる培地
の分画は、培養される特定の細胞、初期の播種密度、および特定の時点における細胞密度に応じて変化し得る。
【0040】
本明細書で用いられる「比生産率」または「SPR」とは、1日当たり哺乳動物細胞1個から生成される組み換えタンパク質の質量または酵素活性を指す。組み換え抗体のSPRは、質量/細胞/日として通常測定される。組み換え酵素のSPRは、ユニット/細胞/日または(ユニット/質量)/細胞/日として通常測定される。
【0041】
本明細書で用いられる「容積生産性率」または「VPR」とは、1日当たり培養物1容積当たり(例えば、バイオリアクタ、容器、またはチューブ容積1L当たり)生成される組み換えタンパク質の質量または酵素活性を指す。組み換え抗体のVPRは、質量/L/日として通常測定される。組み換え酵素のVPRは、ユニット/L/日または質量/L/日として通常測定される。
【0042】
別段規定されていなければ、本明細書で用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解される意味と同一の意味を有する。方法および材料は、本発明での使用を目的として本明細書に記載されている;当技術分野において公知の他の適する方法および材料も使用可能である。材料、方法、および例は単に説明目的であり、制限することを意図しない。本明細書に記載されるすべての出版物、特許出願、特許、配列、データベース登録、および他の参考資料を、そのまま参照によって組み入れる。矛盾する場合、定義を含め、本明細書が統制する。
【0043】
本発明のその他の特徴および長所は、下記の詳細な説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】細胞培養物を処理するのに使用可能である代表的な開回路濾過システムを示す概略図である。示すようなシステムは、第1の導管6内に配置された単一のポンプ8を含む。
【
図2】第2の導管7内に配置された単一のポンプ8を含む代表的な開回路濾過システムを示す概略図である。
【
図3】リザーバ2(例えば、バイオリアクタ)内で、第1の導管6の近位に配置された単一のポンプ8を含む代表的な開回路濾過システムを示す概略図である。
【
図4】2つのTFFユニット3を含み、各ユニットは、2つのクロスフローフィルタ12を含む代表的な開回路濾過システムを示す概略図であり、この場合、2つのTFFユニット3は、第3の導管14により流体連結しており、単一のポンプ8は、第3の導管14内に配置されている。
【
図5】第2の導管7内に配置された単一のポンプ8を含み、ならびにいくつかの圧力センサ14、および流量計15を含む代表的な開回路濾過システムを示す概略図である。
【
図6】第1の導管6内に配置されたポンプ8、および第2の導管7内に配置されたポンプ8を含む代表的な開回路濾過システムを示す概略図である。
【
図7】リザーバ2ならびに第1および第2のサブシステム19を含む、代表的な開回路濾過システムを示す概略図である。
【
図8】代表的なシステムの第1の流れの向きを示す概略図である。
【
図9】第1の期間において第1の流れの向き、期間(t
r1)において第1の流れの向きとは逆の細胞培養物の流れ、第2の期間(t
2)において第2の流れの向き、期間(t
r2)において第2の流れの向きとは逆の細胞培養物の流れ、および第3の期間(t
3)において第1の流れの向きの細胞培養物の流れを示す図である。ダイアグラムFでは、細胞培養物の流速(L/分)を示す。
【
図10】本明細書に記載する方法(GC2008 Set6 TFF V24;グレー)を用いて、またはATF(商標)(Refine Technology)濾過法(GC2008 Set5 ATF(商標)V21;黒)を用いて処理した細胞培養物における生存細胞密度のグラフである。
【
図11】本明細書に記載する方法(グレー)を用いて、またはATF(商標)(Refine Technology)濾過法(黒)を用いて処理した細胞培養物中の生存細胞の割合のグラフである。
【
図12】本明細書に記載する方法(グレー)を用いて、またはATF(商標)(Refine Technology)濾過法(黒)を用いて処理した細胞培養物のキャパシタンス(pF)のグラフである。
【
図13】本明細書に記載する方法(グレー)を用いて、またはATF(商標)(Refine Technology)濾過法(黒)を用いて処理した細胞培養物の平均生存細胞直径のグラフである。
【
図14】本明細書に記載する方法(グレー)を用いて、およびATF(商標)(Refine Technology)濾過法(黒)を用いて処理した細胞培養物において検出された分泌型免疫グロブリン(IgG)のグラフである。
【
図15】本明細書に記載する方法(グレー)を用いて、およびATF(商標)(Refine Technology)濾過法(黒)を用いて処理した細胞培養物の容積生産性(g/L/d)のグラフである。
【
図16】本明細書に記載する方法(グレー)を用いて、およびATF(商標)(Refine Technology)濾過法(黒)を用いて処理した細胞培養物の比生産性(pg/細胞/日)のグラフである。
【
図17】本明細書に記載する方法(グレー)を用いて、またはATF(商標)(Refine Technology)濾過法(黒)を用いて処理した細胞培養物の篩係数(%)のグラフである。
【
図18】本明細書に記載する方法(GC2008 Set6 TFF V24)(グレー)を用いて、またはATF(商標)(Refine Technology)濾過法(黒)を用いて処理した細胞培養物の比グルコース消費量(ng/細胞/日)のグラフである。
【
図19】本明細書に記載する方法(グレー)を用いて、またはATF(商標)(Refine Technology)濾過法(黒)を用いて処理した細胞培養物の比乳酸生成量(ng/細胞/日)のグラフである。
【
図20】本明細書に記載する方法(グレー)を用いて、またはATF(商標)(Refine Technology)濾過法(黒)を用いて処理した細胞培養物の比好気性グルコース消費量(cpmol/細胞/時間)のグラフである。
【
図21】本明細書に記載する方法(グレー)を用いて、またはATF(商標)(Refine Technology)濾過法(黒)を用いて処理した細胞培養物のグルコースからの乳酸収率(mol/mol)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
リザーバ、第1および第2の入口を有するTFFユニット、リザーバとTFFユニットの第1の入口との間で流体連通している第1の導管、ならびにリザーバとTFFユニットの第2の入口との間で流体連通している第2の導管、ならびにシステム内に配置された少
なくとも1つのポンプを含む、開回路濾過システムであって、少なくとも1つのポンプが作動すると、流体は、システムを通じて反転可能に流通し、リザーバから流体導管、TFFユニット、第2の導管を経由してリザーバに戻る、開回路濾過システムが本明細書で提供される。開回路濾過システム(例えば、本明細書に記載する任意の開回路濾過システムのいずれか)を使用する工程を含む、細胞培養物を処理する方法も提供される。本明細書に記載するシステムおよび方法は、例えば、細胞培養物を処理する間に、高い細胞生存率および/または細胞生存率(%)をもたらす。本明細書で提示するシステムおよび方法に関する追加の利点を以下に記載する。
【0046】
開回路濾過システム
本明細書は、本明細書に記載する方法を実施するのに有用な代表的な開回路濾過システムを提示する。これらのシステムは、少なくとも1つのポンプ(システム内の)が作動すると、流体は、システムを通じて反転可能に流通し、リザーバから第1の導管、TFFユニット、第2の導管を経由してリザーバに戻るように設計される。
【0047】
代表的な単一ポンプシステム
システム1の非限定的な例を、
図1に記載する。システム1は、リザーバ2、例えばバイオリアクタ、第1の導管6、第2の導管7、ならびにハウジング11および単一のクロスフロー管状フィルタ12、第1の入口4、および第2の入口5を含むTFFユニット3を含む。単一のクロスフロー管状フィルタ12は、例えば約0.2μmのポアサイズを有し得る。第1の導管6は、リザーバ2と第1の入口4との間で流体連通している。第2の導管7は、リザーバ2と第2の入口5との間で流体連通している。流体導管6および流体導管7は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。TFFユニット3は、
図1に示すような単一のクロスフロー管状フィルタ12、または2つもしくはそれ以上のクロスフローフィルタを含み得る。
【0048】
図1のシステム1は、第1の導管6内に配置されたポンプ8、例えば蠕動ポンプ等の低乱流ポンプ(LTP)も含む。作動すると、ポンプ8は、流体を、システムを通じて反転可能に流通させ、リザーバ2から第1の導管6、TFFユニット3、第2の導管7を経由してリザーバ2に戻す。TFFユニット3のハウジング11は、濾過液出口13を含む。システム1は、濾過液貯蔵タンク10および濾過液出口13と濾過液貯蔵タンク10との間で流体連通している濾過液導管9も含む。濾過液貯蔵タンク10は、例えば冷蔵貯蔵タンクであり得る。濾過液導管9は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。
【0049】
少なくともLTPがシステムの異なる部分に位置している点を除き、
図1に示すシステムと類似した、別の代表的なシステム1を
図2に示す。システム1は、リザーバ2、例えばバイオリアクタ、第1の導管6、第2の導管7、ならびにハウジング11および単一のクロスフロー管状フィルタ12、第1の入口4、および第2の入口5を含むTFFユニット3を含む。単一のクロスフロー管状フィルタ12は、例えば約0.2μmのポアサイズを有し得る。第1の導管6は、リザーバ2と第1の入口4との間で流体連通している。第2の導管7は、リザーバ2と第2の入口5との間で流体連通している。流体導管6および流体導管7は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。TFFユニット3は、
図2に示すような単一のクロスフロー管状フィルタ12を含み得る、または2つもしくはそれ以上セットとなったクロスフローフィルタを含み得る。
【0050】
図2のシステム1は、第2の導管7内に配置されたポンプ8、例えば蠕動ポンプ等の低乱流ポンプ(LTP)も含む。作動すると、ポンプ8は、流体を、システムを通じて反転可能に流通させ、リザーバ2から第1の導管6、TFFユニット3、第2の導管7を経由してリザーバ2に戻す。TFFユニット3のハウジング11は、濾過液出口13を含む。
システム1は、濾過液貯蔵タンク10および濾過液出口13と濾過液貯蔵タンク10との間で流体連通している濾過液導管9も含む。濾過液貯蔵タンク10は、例えば冷蔵貯蔵タンクであり得る。濾過液導管9は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。
【0051】
追加の代表的なシステム1を、
図3に示す。システム1は、リザーバ2、例えばバイオリアクタ、第1の導管6、第2の導管7、ならびにハウジング11および単一のクロスフロー管状フィルタ12、第1の入口4、および第2の入口5を含むTFFユニット3を含む。単一のクロスフロー管状フィルタ12は、例えば約0.2μmのポアサイズを有し得る。第1の導管6は、リザーバ2と第1の入口4との間で流体連通している。第2の導管7は、リザーバ2と第2の入口5との間で流体連通している。流体導管6および流体導管7は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。TFFユニット3は、
図3に示すような単一のクロスフロー管状フィルタ12を含み得る、または2つもしくはそれ以上セットになったクロスフローフィルタを含み得る。
【0052】
図3のシステム1は、リザーバ2、例えばバイオリアクタ内で、第1の導管6の近位に配置された単一のポンプ8、例えば蠕動ポンプ等の低乱流ポンプ(LTP)も含む。作動すると、単一のポンプ8は、流体を、システムを通じて反転可能に流通させ、リザーバ2から第1の導管6、TFFユニット3、第2の導管7を経由してリザーバ2に戻す。TFFユニット3のハウジング11は、濾過液出口13を含む。システム1は、濾過液貯蔵タンク10および濾過液出口13と濾過液貯蔵タンク10との間で流体連通している濾過液導管9も含む。濾過液貯蔵タンク10は、例えば冷蔵貯蔵タンクであり得る。濾過液導管9は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。
【0053】
少なくとも、システムが複数のTFFユニットを含む点を除き、
図1~3で説明したシステムと類似した代表的なシステム1を
図4に示す。システム1は、リザーバ2、例えばバイオリアクタ、第1の導管6、第2の導管7、および2つのTFFユニット3を含み、各TFFユニット3は以下を含む:ハウジング11、第1の入口4、第2の入口5、および2つのクロスフローフィルタ12。2つのTFFユニット3は、第3の導管14により流体連結している。クロスフローフィルタ12のそれぞれは、例えば約0.2μmのポアサイズを有し得る。第1の導管6は、リザーバ2と2つのTFFユニット3のうちの一方の第1の入口4との間で流体連通しており、第2の導管7は、リザーバ2と2つのTFFユニット3のうちの他方の第2の入口5との間で流体連通している。第3の導管は、例えば
図4に示すように、TFFユニット3の第2の入口5と他方のTFFユニット3の第1の入口4との間で流体連通している。流体導管6、7、および14は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。当業者なら理解できるように、TFFユニット3は、代替的に、単一のクロスフローフィルタ、例えば管状クロスフローフィルタを含み得る。
【0054】
図4のシステム1は、第3の導管14内に配置された単一のポンプ8、例えば蠕動ポンプ等の低乱流ポンプ(LTP)も含む。作動すると、単一のポンプ8は、流体を、システムを通じて反転可能に流通させ、リザーバ2から第1の導管6、TFFユニット3、第3の導管14、他方のTFFユニット3、第2の導管7を経由してリザーバ2に戻す。2つのTFFユニット3のそれぞれのハウジング11は、濾過液出口13を含む。システム1は、2つの濾過液貯蔵タンク10および2つの濾過液導管9も含む。単一の濾過液貯蔵タンク10のそれぞれは、濾過液導管9によりTFFユニット3内の濾過液出口13と流体連結される。濾過液貯蔵タンク10は、例えば冷蔵貯蔵タンクであり得る。濾過液導管9は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。
【0055】
追加の代表的なシステム1を
図5に示す。システム1は、リザーバ2、例えばバイオリ
アクタ、第1の導管6、第2の導管7、ならびにハウジング11および単一のクロスフロー管状フィルタ12、第1の入口4、および第2の入口5を含むTFFユニット3を含む。クロスフローフィルタ12は、例えば約0.2μmのポアサイズ、約830ファイバ/フィルタのファイバカウントを有し、IDが1mmおよび長さが30cmのファイバを含み、0.77m
2の濾過面積を有し得る。第1の導管6は、リザーバ2と第1の入口4との間で流体連通している。第2の導管7は、リザーバ2と第2の入口5との間で流体連通している。流体導管6および7は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。流体導管6および7は、内径(ID)が0.5インチの移送チューブであり得る。
【0056】
図5のシステム1は、第2の導管7内に配置された単一のポンプ8、例えば蠕動ポンプ等の低乱流ポンプ(LTP)も含む。ポンプ8は、ツインチャンネルGORE Sta-Pureチューブ(16mmのID、4mmの壁)を備えたWatson-Marlow蠕動ポンプ620Duであり得る。作動すると、単一のポンプ8は、流体を、システムを通じて反転可能に流通させ、リザーバ2から、第1の導管6、TFFユニット3、第2の導管7を経由してリザーバ2に戻す。TFFユニット3のハウジング11は、濾過液出口13を含む。システム1は、濾過液貯蔵タンク10および濾過液出口13と濾過液貯蔵タンク10との間で流体連通する濾過液導管9も含む。濾過液貯蔵タンク10は、例えば冷蔵貯蔵タンクであり得る。濾過液導管9は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。システム1は、第1の導管6、濾過液導管9、および第2の導管7のそれぞれに配置された圧力センサ14も含む。圧力センサ14は、PendoTECH PressureMAT(商標)圧力センサであり得る。システム1は、第2の導管7内に配置された流量計15も含む。流量計15は、EM-TEC BioProTT、非侵襲式リアルタイム流量計であり得る。
【0057】
図5のシステム1は、ポート導管16およびポート17も含み、ポート導管16は、第1の導管6とポート17との間で流体連通している。システム1は、ポート導管16内に配置されたクランプ18も含み得る。ポート17およびポート導管16は、第1の導管6を通じてシステム1に流体を添加するのに使用可能である。
【0058】
代表的な複数ポンプシステム
2つのポンプ8を含むシステム1の非限定的な例を
図6に示す。システム1は、リザーバ2、例えばバイオリアクタ、第1の導管6、第2の導管7、ならびにハウジング11および単一のクロスフロー管状フィルタ12、第1の入口4、および第2の入口5を含むTFFユニット3を含む。単一のクロスフロー管状フィルタ12は、約0.2μmのポアサイズを有し得る。第1の導管6は、リザーバ2と第1の入口4との間で流体連通している。第2の導管7は、リザーバ2と第2の入口5との間で流体連通している。流体導管6および7は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。TFFユニット3は、
図6に示すような単一のクロスフロー管状フィルタ12を含み得る、または2つもしくはそれ以上セットになったクロスフローフィルタを含み得る。
【0059】
図6のシステム1は、第1の導管6内に配置されたポンプ8、例えば蠕動ポンプ等の低乱流ポンプ(LTP)、および第2の導管7内に配置された蠕動ポンプ等の低乱流ポンプ(LTP)、ポンプ8も含む。作動すると、第1の導管6内に配置されたポンプ8は、流体を、システムを通じて第1の方向で流通させ、リザーバ2から、第1の導管6、TFFユニット3、第2の導管7を経由してリザーバ2に戻す。作動すると、第2の導管7内に配置されたポンプ8は、流体を、システムを通じて第2の方向(第1の方向とは逆方向)で流通させ、リザーバ2から、第2の導管7、TFFユニット3、第1の導管6を経由してリザーバ2に戻す。TFFユニット3のハウジング11は、濾過液出口13を含む。システム1は、濾過液貯蔵タンク10、および濾過液出口13と濾過液貯蔵タンク10との
間で流体連通している濾過液導管9も含む。濾過液貯蔵タンク10は、例えば冷蔵貯蔵タンクであり得る。濾過液導管9は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。
【0060】
2つまたはそれ以上のサブシステムを含む代表的なシステム
当業者は、複数のサブシステムをシステムに付加可能である認識する。2つまたはそれ以上のサブシステム19を含む代表的なシステム1を
図7に示す。システム1は、
図7に示すように、リザーバ2;ならびに第1および第2のサブシステム19を含み、各サブシステム19は、第1の導管6、第2の導管7、ならびにハウジング11および単一のクロスフロー管状フィルタ12、第1の入口4、および第2の入口5を含むTFFユニット3を含む。単一のクロスフロー管状フィルタ12は、約0.2μmのポアサイズを有し得る。各サブシステムでは、第1の導管6は、リザーバ2と第1の入口4との間で流体連通している。各サブシステム内の第2の導管7は、リザーバ2と第2の入口5との間で流体連通している。流体導管6および7は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。TFFユニット3は、
図7に示すように、単一のクロスフロー管状フィルタ12をそれぞれ含み得る、または2つもしくはそれ以上セットになったクロスフローフィルタをそれぞれ含み得る。単一のクロスフロー管状フィルタ12は、約0.2μmのポアサイズを有し得る。
【0061】
図7の各サブシステム19は、第1の導管6内に配置された単一のポンプ8、例えば蠕動ポンプ等の低乱流ポンプ(LTP)も含む。作動すると、各サブシステム19内の単一のポンプ8は、流体を、システムを通じて反転可能に流通させ、リザーバ2から、第1の導管6、TFFユニット3、第2の導管7を経由してリザーバ2に戻す。2つのTFFユニット3それぞれのハウジング11は、濾過液出口13を含む。各サブシステム19は、濾過液貯蔵タンク10およびTFFユニット3と濾過液貯蔵タンク10との間で流体連通している濾過液導管9も含む。濾過液貯蔵タンク10は、例えば冷蔵貯蔵タンクであり得る。濾過液導管9は、任意の種類の生体適合性チューブ、例えばシリコーンチューブであり得る。
【0062】
追加の代表的なシステム構造および特徴
リザーバ、導管、TFFユニット、ポンプ、濾過液貯蔵タンク、流量計、圧力センサ、クランプ、ポート、および生物学的製造システムで使用可能である非限定的な代表的構造を以下に記載する。
【0063】
リザーバ
リザーバは、バイオリアクタであり得る。バイオリアクタは、例えば約1L~約10,000L(例えば、約1L~約50L、約50L~約500L、約500L~約1000L、約500L~約5000L、約500L~約10,000L、約5000L~約10,000L、約1L~約10,000L、約1L~約8,000L、約1L~約6,000L、約1L~約5,000L、約100L~約5,000L、約10L~約100L、約10L~約4,000L、約10L~約3,000L、約10L~約2,000L、または約10L~約1,000L)の容積を有し得る。本明細書に記載するバイオリアクタは、いずれも潅流バイオリアクタであり得る。代表的なバイオリアクタは、いくつかの異なる商業ベンダー(例えば、Xcellerex(Marlborough、MA)およびHolland Applied Technologies(Burr Ridge、IL))から購入可能である。
【0064】
二者択一的または付加的に、リザーバは、貯蔵タンクであり得る。例えば、かかる冷蔵貯蔵タンクは、組み換えタンパク質を含む細胞培養物を、約5分間~約1週間(例えば、約5分間~約6日間、約5分間~約5日間、約5分間~約4日間、約5分間~約3日間、
約5分間~約2日間、約5分間~約36時間、約5分間~約24時間、約5分間~約12時間)保持可能である。貯蔵タンク内の細胞培養物は、約15℃~約37℃、約20℃~約37℃、約25℃~約37℃、約30℃~約37℃、または約20℃~約30℃の温度に維持可能である。
【0065】
導管
本明細書に記載する導管は、単純なチューブ、例えば生体適合性チューブであり得る。有用なチューブの非限定的な例として、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(グリセロールセバケート)、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、もしくはポリアンヒドリド、またはこれらを含むコポリマーまたは誘導体、および/または他のポリマーが挙げられる。二者択一的または付加的に、本明細書に記載する導管は、いずれもポリ塩化ビニルを含み得る。導管は、いずれも、例えば約5mm~約50mm(例えば、約10mm~約40mm、約10mm~約35mm、または約10mm~約30mm、約10mm~約20mm)の内径(ID)を有し得る。導管は、溶接可能な移送チューブであり得る。導管の追加の例、ならびに本発明のデバイスおよび方法で使用可能である、導管の特性は、当業者に周知である。
【0066】
TFFユニットおよびクロスフローフィルタ
本明細書に記載するシステムもしくはサブシステム、または方法のいずれかで用いられるTFFユニットは、1つまたはそれ以上のクロスフローフィルタを含み得る。例えば、本明細書に記載するTFFユニットは、単一のクロスフローフィルタ(例えば、管状クロスフローフィルタ)を含み得る。他の例では、TFFユニットは、2つまたはそれ以上(例えば、3、4、5、または6つ)のクロスフローフィルタ(例えば、管状クロスフローフィルタ)を含み得る。TFFユニット内の2つまたはそれ以上のクロスフローフィルタは、同一であってもよく、異なってもよい(例えば、番号、種類、形状、表面積、またはポアサイズが異なる)。具体例では、TFFユニットは、2つの管状クロスフローフィルタを含み得る。TFFユニット中に存在する2つまたはそれ以上のクロスフローフィルタは、湾曲した長方形の形状であり得る。
【0067】
クロスフローフィルタは、約0.1μm~約0.45μm(例えば、約0.15μm~約0.40μm、約0.15μm~約0.35μm、約0.15μm~約0.30μm、約0.15μm~約0.25μm)、または約0.20μmの平均ポアサイズを有し得る。クロスフローフィルタは、ポリエーテルスルホン(PES)から構成されるスペクトルフィルタであり得る。
【0068】
クロスフローフィルタは、約0.1m2~約5m2(例えば、約0.5m2~約4.5m2、約0.5m2~約4.0m2、約0.5m2~約3.5m2、約0.5m2~約3.0m2、約0.5m2~約2.5m2、約0.5m2~約2.0m2、約0.5m2~約1.5m2、または約0.5m2~約1.0m2)の表面積(濾過面積)を有し得る。クロスフローフィルタは、約500ファイバ/フィルタ~約2500ファイバ/フィルタ(例えば、約500ファイバ/フィルタ~約2400ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約2300ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約2200ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約2100ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約2000ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約1900ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約1800ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約1700ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約1600ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約1500ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約1400ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約1300ファイバ/フィルタ、約500ファイ
バ/フィルタ~約1200ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約1100ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約1000ファイバ/フィルタ、約500ファイバ/フィルタ~約900ファイバ/フィルタ、約600ファイバ/フィルタ~約900ファイバ/フィルタ、約700ファイバ/フィルタ~約900ファイバ/フィルタ、または約800ファイバ/フィルタ~約900ファイバ/フィルタ)のフィルタ1つ当たりの合計ファイバ数を有し得る。いくつかの例では、クロスフローフィルタ内のファイバは、約0.05mm~約10mm(例えば、約0.1mm~約9mm、約0.1mm~約8mm、約0.1mm~約7mm、約0.1mm~約6mm、約0.1mm~約5mm、約0.1mm~約4mm、約0.1mm~約3mm、約0.1mm~約2.5mm、約0.1mm~約2.0mm、約0.1mm~約1.5mm、約0.5mm~約1.5mm、または約0.75mm~約1.25mm)の内径を有する。クロスフローフィルタ中に存在するファイバは、約0.2cm~約200cm(例えば、約0.2cm~約190cm、約0.2cm~約180cm、約0.2cm~約170cm、約0.2cm~約160cm、約0.2cm~約150cm、約0.2cm~約140cm、約0.2cm~約130cm、約0.2cm~約120cm、約0.2cm~約110cm、約0.2cm~約100cm、約0.2cm~約90cm、約0.2cm~約80cm、約0.2cm~約70cm、約0.2cm~約60cm、約0.2cm~約55cm、約0.2cm~約50cm、約1cm~約45cm、約1cm~約40cm、約1cm~約35cm、約1cm~約35cm、約1cm~約30cm、約1cm~約25cm、約1cm~約20cm、約1cm~約15cm、約1cm~約10cm、約0.1cm~約5cm、約20cm~約40cm、または約25cm~約35cm)の長さを有し得る。クロスフローフィルタは、フィルタの大部分の表面積が、システム内の流体(例えば、細胞培養物)の流れに対して並行に位置するように、任意の形状を有し得る。例えば、クロスフローフィルタは、管状形状または湾曲した長方形の形状、またはドーナッツ形状を有し得る。本明細書に記載するシステムで使用可能であるクロスフローフィルタの例として、ATF4フィルタ(Refine Technology)が挙げられる。追加のクロスフローフィルタは本明細書に記載されており、当技術分野において公知である。
【0069】
当業者なら理解できるように、TFFユニット内のクロスフローフィルタは、ケーシング(例えば、硬質プラスチックまたは金属ケーシング)内に収容可能である。ハウジングは、任意の形状、円筒状または長方形の形状であり得、1つまたはそれ以上のクロスフローフィルタを保持できるように設計可能である。ハウジングは、1つまたはそれ以上のクロスフローフィルタをハウジングに挿入、またはそこから除去できるようにする面を含み得る。
【0070】
いくつかのシステムは、直列または並列で配置された2つまたはそれ以上のTFFユニットを含む。例えば、2つまたはそれ以上のTFFユニットが直列で配置されているシステムでは、流体導管は、2つの隣接したTFFユニット(例えば、本明細書に記載するまたは当技術分野において公知の代表的なTFFユニットのいずれか)を流体連結させるのに使用可能である。システム内の2つのTFFユニットに関する1つのかかる代表的な配置を
図4に示す。直列で配置されている2つまたはそれ以上のTFFユニットは、システム内の少なくとも1つのポンプが作動して、細胞培養物の反転可能な流れを引き起こし、リザーバ、例えばバイオリアクタから、第1の導管、2つまたはそれ以上のTFFユニット、隣接したTFFユニット間に位置する1つまたはそれ以上の導管、第2の導管を経由してリザーバ、例えばバイオリアクタに戻す限り、任意の方法で設計可能である。2つまたはそれ以上のTFFユニットは、同一(例えば、クロスフローフィルタの番号および種類が同一)であっても異なってもよい(例えば、クロスフローフィルタの番号および種類が異なる)。いくつかの例では、2つまたはそれ以上のTFFユニットそれぞれは、単一の管状クロスフローフィルタを含む。各TFFユニットは、TFFユニットから流出した濾過液が、濾過液貯蔵タンク(例えば、本明細書に記載する濾過液貯蔵タンクのいずれか
)に流入できるようにする濾過液導管と流体連結し得る。いくつかの実施形態では、2つまたはそれ以上のTFFユニットが、単一のハウジング(例えば、本明細書に記載する任意のまたは当技術分野において公知の代表的種類のハウジングのいずれか)内に配置可能である。
【0071】
ポンプ
本明細書に記載するシステムは、1つまたはそれ以上のポンプを含み得る。いくつかの例では、1つまたはそれ以上のポンプは、低乱流ポンプ(LTP)である。LTPは、流体(例えば、細胞培養物)内で相当量の剪断応力および/または流体の乱れを誘発することなく、単一の方向(例えば、第1もしくは第2の流れの向き)で流体(例えば、細胞培養物)を移動させる、または流体(例えば、細胞培養物)を、2つの方向(第1および第2の流れの向き)で反転可能に移動させることが可能なポンプである。LTPが、第1および第2の流れの向きを切り替えて、流体(例えば、細胞培養物)を流通させるのに用いられる際には、第2の流れの向きは、第1の流れの向きとほぼ逆方向ある。
【0072】
LTPポンプの例として蠕動ポンプが挙げられる。蠕動ポンプは、容積が約20mL~約250mL(例えば、約20mL~約240mL、約20mL~約220mL、約20mL~約200mL、約20mL~約180mL、約20mL~約160mL、約20mL~約140mL、約20mL~約120mL、約20mL~約100mL、約20mL~約80mL、約20mL~約60mL、約20mL~約50mL、約20mL~約40mL、約20mL~約30mL、約30mL~約240mL、約30mL~約220mL、約30mL~約200mL、約30mL~約180mL、約30mL~約160mL、約30mL~約140mL、約30mL~約120mL、約30mL~約100mL、約30mL~約80mL、約30mL~約60mL、約40mL~約250mL、約40mL~約240mL、約40mL~約220mL、約40mL~約200mL、約40mL~約180mL、約40mL~約160mL、約40mL~約140mL、約40mL~約120mL、約40mL~約100mL、約40mL~約80mL、約40mL~約60mL、約50mL~約250mL、約50mL~約240mL、約50mL~約220mL、約50mL~約200mL、約50mL~約180mL、約50mL~約160mL、約50mL~約140mL、約50mL~約120mL、約50mL~約100mL、約50mL~約80mL、約50mL~約75mL、約60mL~約250mL、約60mL~約240mL、約60mL~約220mL、約60mL~約200mL、約60mL~約180mL、約60mL~約160mL、約60mL~約140mL、約60mL~約120mL、約60mL~約100mL、約60mL~約80mL、約70mL~約250mL、約70mL~約240mL、約70mL~約220mL、約70mL~約200mL、約70mL~約180mL、約70mL~約160mL、約70mL~約140mL、約70mL~約120mL、約70mL~約100mL、約80mL~約250mL、約80mL~約240mL、約80mL~約220mL、約80mL~約200mL、約80mL~約180mL、約80mL~約160mL、約80mL~約140mL、約80mL~約120mL、約80mL~約100mL、約90mL~約250mL、約90mL~約240mL、約90mL~約220mL、約90mL~約200mL、約90mL~約180mL、約90mL~約160mL、約90mL~約140mL、約90mL~約120mL、約90mL~約100mL、約100mL~約250mL、約100mL~約240mL、約100mL~約220mL、約100mL~約200mL、約100mL~約180mL、約100mL~約160mL、約100mL~約140mL、または約100mL~約120mL)のポンプヘッドを有し得る。蠕動ポンプは、内径が約5mm~約400mm(例えば、約5mm~約380mm、約5mm~約360mm、約5mm~約340mm、約5mm~約320mm、約5mm~約300mm、約5mm~約280mm、約5mm~約260mm、約5mm~約240mm、約5mm~約220mm、約5mm~約200mm、約5mm~約180mm、約5mm~約160
mm、約5mm~約140mm、約5mm~約120mm、約5mm~約100mm、約5mm~約80mm、約5mm~約60mm、約5mm~約55mm、約5mm~約50mm、約5mm~約45mm、約5mm~約40mm、約5mm~約35mm、約5mm~約30mm、約5mm~約25mm、約5mm~約20mm、約5mm~約15mm、約5mm~約10mm、約1mm~約10mm、約10mm~約60mm、約10mm~約35mm、約10mm~約25mm、約10mm~約20mm、約20mm~約60mm、約20mm~約50mm、または約30mm~約50mm)のチューブを有し得る。蠕動ポンプ内のチューブの壁直径は、約1mm~約30mm(例えば、約1mm~約25mm、約1mm~約20mm、約1mm~約18mm、約1mm~約16mm、約1mm~約14mm、約1mm~約12mm、約1mm~約10mm、約1mm~約8mm、約1mm~約6mm、または約1mm~約5mm)であり得る。本発明のシステムおよび方法で使用可能である蠕動ポンプの例として、Watson Marlow 620、およびWatson Marlow 800ポンプが挙げられる。本明細書に記載するどの蠕動ポンプも、ツインチャンネルを有し、および/またはGORE Sta-Pureチューブ(例えば、内径が16mm、および壁が4mmのチューブ)を含み得る。
【0073】
LTPポンプの追加の例は、米国特許第4,037,984号;同第5,033,943号;および同第5,458,459号;米国特許出願公開第2009/0199904号、および国際特許出願番号WO06/021873号に記載されている。LTPポンプの他の例として、回転容積移送式真空ポンプ、ローブポンプ、内接ギアポンプ、およびプログレッシブキャビティポンプが挙げられる。当業者は、他の種類のLTPが市販されており、本明細書に記載するどのシステムおよび方法でも使用可能であることを認識する。
【0074】
いくつかの例では、少なくとも1つのポンプが、第1または第2の導管、またはその両方に配置される。他の例では、少なくとも1つのポンプが、リザーバ内で、第1または第2の流体導管の近位に配置される。2つまたはそれ以上のTFFユニットを含むシステムでは、少なくとも1つのポンプは、2つの隣接したTFFユニット間に配置された導管(例えば、
図4に示す導管14)内に配置可能である。少なくとも1つのポンプが作動すると、その結果、流体がシステムを通じて反転可能に流通し、リザーバから、第1の導管、TFFユニット、第2の導管を経由してリザーバに戻る、または2つもしくはそれ以上のTFFユニットを備えるシステムでは、流体がシステムを通じて反転可能に流通し、リザーバから、第1の導管、2つもしくはそれ以上のTFFユニット、隣接したTFFユニット間の1つもしくはそれ以上の導管、第2の導管を経由して、リザーバに戻る限り、少なくとも1つのポンプが、本明細書に記載するシステム内のどこでも配置可能である。
【0075】
濾過液貯蔵タンク
濾過液貯蔵タンクは、場合により、例えば濾過液を収納するためにシステムに含めることができる。例えば、濾過液は、約1時間~約1週間(例えば、約1時間~約6日間、約1時間~約5日間、約1時間~約4日間、約1時間~約3日間、約1時間~約2日間、約1時間~約36時間、約1時間~約24時間、約1時間~約20時間、約1時間~約16時間、約1時間~約12時間、または約1時間~約6時間)収納可能である。濾過液貯蔵タンクの内部容積は、約50mL~約50L(例えば、約50mL~約45L、約50mL~約40L、約50mL~約35L、約50mL~約30L、約50mL~約25L、約50mL~約20L、約50mL~約18L、約50mL~約16L、約50mL~約14L、約50mL~約12L、約50mL~約10L、約50mL~約9L、約50mL~約8L、約50mL~約7L、約50mL~約6L、約50mL~約5L、約50mL~約4.5L、約50mL~約4.0L、約50mL~約3.5L、約50mL~約3.0L、約50mL~約2.5L、約50mL~約2.0L、約50mL~約1.5L、約50mL~約1.0L、約100mL~約1.0L、または約500mL~約1.0L)であり得る。濾過液貯蔵タンクの内部表面は、生体適合性材料(例えば、当技術分野に
おいて公知の任意の生体適合性材料)を含み得る。濾過液貯蔵タンクは、約10℃~約35℃(例えば、約10℃~約30℃、約10℃~約25℃、約10℃~約20℃、約10℃~約15℃、または約15℃~約25℃)の温度で、濾過液を収納する能力を有する冷蔵貯蔵タンクであり得る。当業者なら理解できるように、いくつかの異なる市販貯蔵タンクが、本明細書に記載するシステムおよび方法において濾過液貯蔵タンクとして使用可能である。
【0076】
流量計
本明細書に記載するシステムのいくつかの例は、1つまたはそれ以上(例えば、2、3、4、または5つ)の流量計を含み得る。例えば、1つまたはそれ以上の流量計は、システム内の1つまたはそれ以上の任意の導管内に配置可能である(例えば、第1の導管、第2の導管、隣接したTFFユニット間の1つもしくはそれ以上の導管、および/または濾過液導管)。例えば、流量計は、2つの隣接したTFFユニット間に配置可能である。いくつかの例では、流量計は、非侵襲的である。当業者は、本発明のシステムおよび方法で使用可能である多様な市販の流量計を理解する。例えば、EM-TEC BioProTT非侵襲式リアルタイム流量計、PT878超音波流量計(Rshydro)、およびSono-Trak超音波非侵襲式流量計(EMCO)が、本発明のシステムおよび方法で使用可能な市販の流量計である。
【0077】
圧力センサ
本明細書に記載するシステムは、1つまたはそれ以上の圧力センサを含み得る。例えば、1つまたはそれ以上の圧力センサは、システム内の導管のいずれか(例えば、第1の導管、第2の導管、隣接したTFFユニット間の1つもしくはそれ以上の導管、および/または濾過液導管)内に配置可能である。例えば、圧力センサは、システム内の2つの隣接したTFFユニット間に配置可能である。当業者は、本発明のシステムおよび方法で使用可能である多様な市販の圧力センサを理解する。本明細書に記載するシステムおよび方法で使用可能である圧力センサの非限定的な例として、PendoTECH PressureMAT圧力センサが挙げられる。
【0078】
クランプ/ポート
本明細書に記載するどのシステムも、場合により、第1または第2の導管と、第1または第2の導管それぞれをポートと流体連結させる該ポートとの間にポート導管を含むことができる。ポートは、流体(例えば、細胞培養物または洗浄溶液)をシステムに送達する、またはシステムから除去する(第1または第2の導管それぞれを通じて)のに使用可能である。クランプは、ポート導管内に配置可能である。多様な、適するクランプが、当技術分野において公知である(例えば、スクリュークランプ)。ポート導管は、導管について上記した特徴の任意の組合せを有し得る。ポートは、当技術分野において一般的に公知の任意の種類のポートであり得る。例えば、ポートは注入ポートであり得る、またはリブ付きスレッド(ribbed threading)を有し得る。
【0079】
生物学的製造システム
本明細書に記載するどのデバイスも、入口および出口を有する少なくとも1つ(例えば、2、3、または4つ)のマルチカラムクロマトグラフィシステム(MCCS)、ならびにTFFユニットまたは濾過液貯蔵タンクの間の濾過液導管を含む、生物学的製造システムを含み得るが、この場合、該デバイスは、濾過液が、生物学的製造システムの入口に流入し、少なくとも1つのMCCSを通過し、生物学的製造システムの出口を通じて該デバイスから退出するように構成される。MCCSは、2つもしくはそれ以上のクロマトグラフィカラム、2つもしくはそれ以上のクロマトグラフ用メンブレン、または少なくとも1つのクロマトグラフィカラムと少なくとも1つのクロマトグラフ用メンブレンとの組合せを含み得る。非限定的な例では、MCCSは、4つのクロマトグラフ用カラム、3つのク
ロマトグラフ用カラムとクロマトグラフ用メンブレン、3つのクロマトグラフ用カラム、2つのクロマトグラフ用カラム、2つのクロマトグラフ用メンブレン、および2つのクロマトグラフ用カラムと1つのクロマトグラフ用メンブレンを含み得る。クロマトグラフィカラムおよび/またはクロマトグラフ用メンブレンの組合せの追加の例が、非限定的に、MCCSで用いられるものと、当業者は想像可能である。MCCS中に存在する個々のクロマトグラフィカラムおよび/またはクロマトグラフ用メンブレンは、同一であってもよく(例えば、形状、容積、樹脂、捕捉機構、およびユニット操作が同一)、異なってもよい(例えば、形状、容積、樹脂、捕捉機構、およびユニット操作が1つまたはそれ以上異なる)。MCCS中に存在する個々のクロマトグラフィカラムおよび/またはクロマトグラフ用メンブレンでは、実施するユニット操作(例えば、捕捉、精製、ポリッシング、ウイルスの不活性化、組み換え治療用タンパク質を含む流体のイオン濃度および/もしくはpHの調整、または濾過のユニット操作)は同一であってもよく、異なってもよい(例えば、捕捉、精製、ポリッシング、ウイルスの不活性化、組み換え治療用タンパク質を含む流体のイオン濃度および/またはpHの調整、ならびに濾過等からなる群より選択されるユニット操作が異なる)。
【0080】
1つまたはそれ以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24)の異なる種類のバッファーが、本明細書に記載する生物学的製造デバイスのいずれかにおいて、1つまたはそれ以上のMCCSの使用中に利用可能である。当技術分野において公知なように、本明細書に記載する生物学的製造システムが用いる1つまたはそれ以上のMCCSで用いられる1つまたはそれ以上の種類のバッファーは、1つまたはそれ以上のMCCS(例えば、第1および第2のMCCS)のクロマトグラフィカラムおよび/またはクロマトグラフ用メンブレン中に存在する樹脂、組み換え治療用タンパク質、ならびに1つまたはそれ以上のMCCSの特定のクロマトグラフィカラムおよび/またはクロマトグラフィメンブレンにより実施されるユニット操作(例えば、本明細書に記載する代表的なユニット操作のいずれか)に依存する。また、本明細書に記載する生物学的処理デバイスのいずれかにおいて、1つまたはそれ以上のMCCSの使用中に利用される容積およびバッファーの種類についても、当業者は決定可能である。例えば、本明細書に記載するプロセスのいずれかにおいて、1つまたはそれ以上のMCCSの使用中に利用されるバッファーの容積および種類は、得られる単離された組み換えタンパク質(例えば、医薬品)に関する下記事項の1つまたはそれ以上について最適化するために選択可能である:組み換え治療用タンパク質の全体的な収率、組み換え治療用タンパク質の活性、組み換え治療用タンパク質の純度レベル、および組み換え治療用タンパク質を含む流体からの生物学的汚染物質除去(例えば、活性なウイルス、マイコバクテリア、酵母菌、細菌、または哺乳動物細胞がないこと)。
【0081】
1つまたはそれ以上のMCCSは、周期的向流分配クロマトグラフィシステム(periodic counter current chromatography system)(PCCS)であり得る。PCCSは、例えば2つまたはそれ以上のクロマトグラフィカラム(例えば、3つのカラムまたは4つのカラム)を含むことができ、そのようなカラムは、2つまたはそれ以上のクロマトグラフィカラムから組み換え治療用タンパク質を連続的に溶出可能となるように切り替えられる。PCCSは、2つもしくはそれ以上のクロマトグラフィカラム、2つもしくはそれ以上のクロマトグラフ用メンブレン、または少なくとも1つのクロマトグラフ用カラムおよび少なくとも1つのクロマトグラフ用メンブレンを含み得る。カラム操作は、負荷、洗浄、溶出、および再生工程から一般的に構成される。PCCSでは、複数のカラムが、循環しながら個別におよび連続的に同一の工程を行うのに用いられる。カラムは、連続的に操作されるので、1つのカラムからの通過画分と洗浄部分は、別のカラムにより捕捉される。このPCCSの特有の特徴は、樹脂を、バッチモードのクロマトグラフィにおいて一般的なように、動的結合容量(dynam
ic binding capacity)ではなく、その静的結合容量(static
binding capacity)近傍で負荷できるようにする。連続的な循環および溶出の結果として、PCCSに流入する流体は、連続的に処理され、組み換え治療用タンパク質を含む溶出物が連続的に生成される。
【0082】
生物学的製造システム内の少なくとも1つのMCCSが実施可能な1つまたはそれ以上のユニット操作は、例えば組み換え治療用タンパク質を捕捉する工程、組み換え治療用タンパク質を含む流体中に存在するウイルスを不活性化する工程、組み換え治療用タンパク質を精製する工程、組み換え治療用タンパク質をポリッシングする工程、組み換え治療用タンパク質を含む流体を保持する工程(例えば、ブレークタンクを用いて)、組み換え治療用タンパク質を含む流体から微粒子状物質を濾過または除去する工程、ならびに組み換え治療用タンパク質を含む流体のイオン濃度および/またはpHを調整する工程を含む。
【0083】
捕捉する工程のユニット操作は、例えば捕捉機構を利用する少なくとも1つのクロマトグラフィカラムおよび/またはクロマトグラフィ樹脂を含む、1つまたはそれ以上のMCCSを用いて実施可能である。捕捉機構の非限定的な例として、タンパク質A結合捕捉機構、抗体または抗体フラグメント結合捕捉機構、基質結合捕捉機構、アプタマー結合捕捉機構、タグ結合捕捉機構(例えば、ポリ-Hisタグに基づく捕捉機構)、および補助因子結合捕捉機構が挙げられる。捕捉は、陽イオン交換もしくは陰イオン交換クロマトグラフィ、または分子篩クロマトグラフィを実施するのに使用可能である樹脂を用いても実施可能である。組み換え治療用タンパク質を捕捉するのに使用可能である樹脂の例は、当技術分野において公知である。
【0084】
組み換え治療用タンパク質を含む流体中に存在するウイルスを不活性化する工程のユニット操作は、1つまたはそれ以上のMCCSを用いて実施可能であり、同MCCSは、例えばクロマトグラフィカラム、クロマトグラフィメンブレン、または約3.0~5.0(例えば、約3.5~約4.5、約3.5~約4.25、約3.5~約4.0、約3.5~約3.8、または約3.75)のpHにて、少なくとも30分間(例えば、約30分間~1.5時間、約30分間~1.25時間、約0.75時間~1.25時間、または約1時間)、組み換え治療用タンパク質を含む流体をインキュベーションする能力を有する貯蔵タンクを含む。
【0085】
組み換えタンパク質を精製する工程のユニット操作は、1つまたはそれ以上のMCCSを用いて実施可能であり、同MCCSは、例えば樹脂を含むクロマトグラフィカラムまたはクロマトグラフ用メンブレンを含み、該樹脂は、例えば捕捉システムを利用する。捕捉機構の非限定的な例として、タンパク質A結合捕捉機構、抗体または抗体フラグメント結合捕捉機構、基質結合捕捉機構、アプタマー結合捕捉機構、タグ結合捕捉機構(例えば、ポリ-Hisタグに基づく捕捉機構)、および補助因子結合捕捉機構が挙げられる。精製する工程も、陽イオン交換もしくは陰イオン交換クロマトグラフィ、または分子篩クロマトグラフィを実施するのに使用可能である樹脂を用いて実施可能である。組み換え治療用タンパク質を精製するのに使用可能である樹脂の例は、当技術分野において公知である。
【0086】
組み換えタンパク質をポリッシングする工程のユニット操作は、1つまたはそれ以上のMCCSを用いて実施可能であり、同MCCSは、例えば樹脂を含むクロマトグラフィカラムまたはクロマトグラフ用メンブレンを含み、該樹脂は、例えば陽イオン交換、陰イオン交換、または分子篩クロマトグラフィを実施するのに使用可能である。組み換え治療用タンパク質をポリッシングするのに使用可能である樹脂の例は、当技術分野において公知である。
【0087】
組み換え治療用タンパク質を含む流体を保持する工程のユニット操作は、MCCSを用
いて実施可能であり、同MCCSは、生物学的製造システム内の1つまたはそれ以上のMCCS内には、少なくとも1つのリザーバ(例えば、ブレークタンク)または最大1、2、3、4、または5つのリザーバ(例えば、ブレークタンク)を含む。例えば、このユニット操作を達成するのに使用可能であるリザーバ(例えば、ブレークタンク)は、約1mL~約1L(例えば、約1mL~約800mL、約1mL~約600mL、約1mL~約500mL、約1mL~約400mL、約1mL~約350mL、約1mL~約300mL、約10mL~約250mL、約10mL~約200mL、約10mL~約150mL、および約10mL~約100mL)の容積をそれぞれ有し得る。本明細書に記載する生物学的製造システムで用いられるリザーバ(例えば、ブレークタンク)の容量は、例えば1mLと約300mLとを含めてこれらの間、例えば1mLと約280mL、約260mL、約240mL、約220mL、約200mL、約180mL、約160mL、約140mL、約120mL、約100mL、約80mL、約60mL、約40mL、約20mL、または約10mLとを含めこれらの間であり得る。生物学的製造システム内のリザーバ(例えば、ブレークタンク)は、それぞれ、少なくとも10分間(例えば、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、または少なくとも6時間)組み換え治療用タンパク質を含む流体を保持することができる。他の例では、生物学的製造システム内のリザーバ(例えば、ブレークタンク)は、総時間として、例えば約5分と約6時間未満とを含めこれらの間、例えば、約5分と約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、または約30分とを含めこれらの間、治療用タンパク質を保持するに過ぎない。生物学的製造システム内のリザーバ(例えば、ブレークタンク)は、組み換え治療用タンパク質を含む流体の保持および冷蔵(例えば、25℃未満、15℃未満、または10未満の温度)の両方で使用可能である。リザーバは、円形シリンダー、楕円形シリンダー、またはほぼ長方形の封止されたおよび非透過性のバッグを含む任意の形状を有し得る。
【0088】
組み換え治療用タンパク質を含む流体を濾過する工程のユニット操作は、例えばフィルタ、または分子篩樹脂を含むクロマトグラフィカラムもしくはクロマトグラフ用メンブレンを含むMCCSを用いて実施可能である。当技術分野において公知なように、多様なサブミクロンフィルタ(例えば、ポアサイズが1μm未満、0.5μm未満、0.3μm未満、約0.2μm、0.2μm未満、100nm未満、80nm未満、60nm未満、40nm未満、20nm未満、または10nm未満のフィルタ)が当技術分野において入手可能であり、これは、任意の析出物質および/または細胞(例えば、析出した、折り畳まれていないタンパク質;析出した望ましくない宿主細胞タンパク質;析出した脂質;細菌;酵母菌細胞;真菌細胞;および/またはマイコバクテリア)を除去する能力を有する。ポアサイズが約0.2μmまたは0.2μm未満のフィルタは、組み換え治療用タンパク質を含む流体から細菌を除去するのに有効であることが公知である。当技術分野において公知なように、分子篩樹脂を含むクロマトグラフィカラムまたはクロマトグラフ用メンブレンは、組み換え治療用タンパク質を含む流体を濾過する工程のユニット操作を実施するのにMCCSでも使用可能である。
【0089】
組み換え治療用タンパク質を含む流体のイオン濃度および/またはpHを調整する工程のユニット操作は、MCCSを用いて実施可能であり、同MCCSは、組み換え治療用タンパク質を含む流体に、新規バッファー溶液を添加するバッファー調整リザーバ(例えば、インライン式バッファー調整リザーバ)を含み、利用する(例えば、単一のMCCS内のカラムの間、または最後から2番目のMCCS内の最後のカラムの後、および組み換え治療用タンパク質を含む流体が次のMCCS(例えば、第2のMCCS)の第1のカラムに供給される前)。当技術分野において認識可能なように、インライン式バッファー調整リザーバは、任意のサイズ(例えば、100mLを上回る)であり得、また任意の緩衝液を収納し得る(例えば、下記事項のうち1つまたはそれ以上に該当する緩衝液:組み換え治療用タンパク質を含む流体と比較して、それよりもpHが高いもしくは低い、組み換え
治療用タンパク質を含む流体と比較して、それよりもイオン(例えば、塩)濃度が高いもしくは低い、および/またはMCCS(例えば、第1または第2のMCCS)内の少なくとも1つのクロマトグラフ用カラム、もしくは少なくとも1つのクロマトグラフ用メンブレン中に存在する樹脂に結合する組み換え治療用タンパク質と競合する薬剤の濃度が高いもしくは低い)。
【0090】
MCCSは、2つまたはそれ以上のユニット操作を実施することができる。例えば、MCCSは少なくとも下記のユニット操作を実施することができる:組み換え治療用タンパク質を捕捉し、組み換え治療用タンパク質を含む流体中に存在するウイルスを不活性化する;組み換え治療用タンパク質を捕捉し、組み換え治療用タンパク質を含む流体中に存在するウイルスを不活性化し、組み換え治療用タンパク質を含む液体のイオン濃度および/またはpHを調整する;組み換え治療用タンパク質を精製し、組み換え治療用タンパク質をポリッシングする;組み換え治療用タンパク質を精製し、組み換え治療用タンパク質をポリッシングし、組み換え治療用タンパク質を含む流体を濾過する、または組み換え治療用タンパク質を含む流体から析出物および/または微粒子状の物体を除去する;ならびに組み換え治療用タンパク質を精製し、組み換え治療用タンパク質をポリッシングし、組み換え治療用タンパク質を含む流体を濾過し、または組み換え治療用タンパク質を含む流体から析出物および/または特定の物体を除去し、組み換え治療用タンパク質を含む液体のイオン濃度および/またはpHを調整する。
【0091】
本発明のデバイスおよび方法で使用可能である生物学的製造システムの追加の代表的な特徴は、2013年3月8日付け出願の米国特許出願第61/775,060号、および2013年7月19日出願の米国特許出願第61/856,390号に記載されている。
【0092】
本発明のシステムにより提供される利点
本明細書に記載するシステムは、下記の利点のうちの1つまたはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、または7つ)を有する細胞培養物の連続濾過をもたらす:他の一方向開回路濾過システム(例えば、一方向TFFシステム)または二方向閉回路濾過システム(閉回路ATF(商標)システム)と比較したときの、細胞培養物の外部容積(リザーバの外部)の低減、交換分画(第1の導管、TFFユニット、および第2の導管内)の増加、細胞培養物の外部滞留時間(リザーバ外部)の短縮、細胞培養物濾過中の剪断応力の低下、細胞培養物の細胞生存率の改善、細胞培養物の生存細胞密度の向上、およびフィルタ汚損の減少。
【0093】
本明細書に記載するシステムの交換分画および外部滞留時間は、下記の式1および2を用いて計算可能である。
交換分画=交換容積/外部容積 (式1)
外部滞留時間=外部容積/(交換速度×交換分画) (式2)
【0094】
例えば、本発明のシステムの、リザーバ、第1の導管、第2の導管、およびTFFユニット内の細胞培養物の総容積に対する、細胞培養物の総外部容積が占め得る割合は、約1%~約7%(例えば、約1.0%~約6.5%、約1%~約6.0%、約1%~約5.5%、または約1%~約5.0%)に過ぎない。本明細書に提示するシステムは、リザーバ外の細胞培養物の滞留時間も、約1秒~約60秒(例えば、約1秒~約55秒、約1秒~約50秒、約1秒~約45秒、約1秒~約30秒、約1秒~約25秒、約1秒~約20秒、約1秒~約15秒、約1秒~約13秒、約1秒~約10秒、約1秒~約8秒、約1秒~約5秒、または約10秒~約14秒)に短縮可能である(外部滞留時間の低下)。下記の表1は、実施例に記載されている代表的なシステムと閉じたシステムの交互タンジェント濾過(ATF4)の外部滞留時間について比較する。
【0095】
【0096】
本発明のシステムは、交換分画について、約50%を上回る(例えば、約55%を上回る、約60%を上回る、約65%を上回る、約70%を上回る、約75%を上回る、約80%を上回る、または約85%を上回る)改善をもたらすことができる。本明細書に記載するシステムは、細胞培養物中で高生存細胞密度を、例えば細胞約30×106個/mLを上回る、細胞約32×106個/mLを上回る、細胞約34×106個/mLを上回る、細胞約36×106個/mLを上回る、細胞約38×106個/mLを上回る、細胞約40×106個/mLを上回る、細胞約42×106個/mLを上回る、細胞約44×106個/mLを上回る、細胞約46×106個/mLを上回る、細胞約48×106個/mLを上回る、細胞約50×106個/mLを上回る、細胞約52×106個/mLを上回る、細胞約54×106個/mLを上回る、細胞約56×106個/mLを上回る、細胞約58×106個/mLを上回る、または細胞約60×106個/mLを上回る生存細胞密度をもたらすことができる。本明細書に記載するシステムは、細胞約65×106個/mLを上回る、細胞約70×106個/mLを上回る、細胞約75×106個/mLを上回る、細胞約80×106個/mLを上回る、細胞約85×106個/mLを上回る、細胞約90×106個/mLを上回る、細胞約95×106個/mLを上回る、細胞約100×106個/mLを上回る、細胞約105×106個/mLを上回る、細胞約110×106個/mLを上回る、細胞約115×106個/mLを上回る、細胞約120×106個/mLを上回る、細胞約125×106個/mLを上回る、細胞約130×106個/mLを上回る、細胞約135×106個/mLを上回る、細胞約140×106個/mLを上回る、細胞約145×106個/mLを上回る、細胞約150×106個/mLを上回る、細胞約155×106個/mLを上回る、細胞約160×106個/mLを上回る、細胞約165×106個/mLを上回る、細胞約170×106個/mLを上回る、細胞約175×106個/mLを上回る、細胞約180×106個/mLを上回る、細胞約185×106個/mLを上回る、細胞約190×106個/mLを上回る、細胞約200×106個/mLを上回る、細胞約210×106個/mLを上回る、細胞約220×106個/mLを上回る、細胞約230×106個/mLを上回る、細胞約240×106個/mLを上回る、または細胞約250×106個/mLを上回る生存細胞密度をもたらすことができる。
【0097】
本明細書に提示するシステムは、最適化された交換速度(本明細書では流速とも呼ばれる)も提供する。当業者なら理解できるように、交換速度が高すぎると、細胞増殖および細胞培養性能に悪影響を及ぼすレベルの剪断応力を引き起こすおそれがあり、交換速度が低すぎると、フィルタ汚損および細胞培養物の外部滞留時間の長期化を引き起こすおそれがある。本明細書に提示するシステムは、本明細書に記載する代表的な流速のいずれかを実現可能にする。
【0098】
本明細書に提示するシステムは、最適化された交換速度(XR)と潅流速度(PR)との比も提供する。当業者なら理解できるように、XR:PRの比が高いシステムおよび方法は、より効率的な細胞培養製造法をもたらす(例えば、潅流プロセス中に利用される細胞培養培地はより少ない)。いくつかの例では、本明細書の代表的なデバイスおよび方法は、約2を上回る(例えば、約3を上回る、約4を上回る、約5を上回る、約6を上回る
、約7を上回る、約8を上回る、約9を上回る、約10を上回る、約11を上回る、約12を上回る、約13を上回る、約14を上回る、約15を上回る、約16を上回る、約17を上回る、約18を上回る、約19を上回る、約20を上回る、約21を上回る、約22を上回る、約23を上回る、約24を上回る、約25を上回る、約50を上回る、約75を上回る、約100を上回る、約125を上回る、約150を上回る、約175を上回る、約200を上回る、約225を上回る、約250を上回る、約275を上回る、約300を上回る、約325を上回る、約350を上回る、約375を上回る、約400を上回る、約425を上回る、約450を上回る、約475を上回る、約500を上回る、約525を上回る、約550を上回る、約575を上回る、または約600を上回る)、または約5~約600(例えば、約10~約550、約10~約500、約10~約450、約10~約400、約10~約350、約10~約300、約10~約250、約10~約200、約10~約150、約10~約100、または約10~約50)のXR:PR比をもたらす。
【0099】
細胞培養物処理法
細胞培養物を処理する方法であって、(a)開回路濾過システムを提供する工程(例えば、本明細書に記載する開回路濾過システムのいずれか)、(b)細胞培養物を、リザーバからTFFユニットを通じて、第1の流れの向きで第1の期間、流通させる工程、(c)第1の流れの向きを反転させ、細胞培養物を、TFFユニットを通じて、第2の流れの向きで第2の期間、流通させる工程、(d)第2の流れの向きを反転させ、そして培養物を、TFFユニットを通じて、第1の流れの向きで第3の期間、流通させる工程、(e)工程(c)~(d)を少なくとも2回(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、または100回、または100回超)繰り返す工程、および(f)濾過液を収集する工程を含む方法も提供される。これらの方法の様々な代表的な態様を以下に記載する。
【0100】
細胞培養物
本明細書に提示する方法において処理される細胞培養物は、液体培養培地中に複数の任意の種類の哺乳動物細胞を含み得る。本明細書に記載するすべての方法のいくつかの例では、哺乳動物細胞は、懸濁培養で増殖する細胞である。他の例では、哺乳動物細胞は、接着細胞(例えば、潅流バイオリアクタ内で増殖するのに、マイクロキャリア等の固体基質を必要とする細胞)である。細胞培養物中に存在し得る哺乳動物細胞の非限定的な例として、下記の細胞が挙げられる:チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO DG44細胞、CHO-K1細胞、Sp2.0、ミエローマ細胞(例えば、NS/0)、B細胞、ハイブリドーマ細胞、T細胞、ヒト胚性腎(HEK)細胞(例えば、HEK 293EおよびHEK 293F)、アフリカミドリザル腎上皮細胞(Vero)、およびMadin-Darbyイヌ(コッカー・スパニエル)腎上皮細胞(MDCK)。細胞培養物中に存在し得る追加の哺乳動物細胞は、当技術分野において公知である。
【0101】
本明細書に記載するいずれかの方法を用いて処理される細胞培養物は、細胞約0.5×106個/mLを上回る、細胞約1.0×106個/mLを上回る、細胞約5.0×106個/mLを上回る、細胞約10.0×106個/mLを上回る、細胞約15.0×106個/mLを上回る、細胞約20.0×106個/mLを上回る、細胞約25.0×106個/mLを上回る、細胞約30.0×106個/mLを上回る、細胞約35.0×106個/mLを上回る、細胞約40.0×106個/mLを上回る、細胞約45.0×106個/mLを上回る、細胞約50.0×106個/mLを上回る、細胞約55.0×106個/mLを上回る、細胞約60.0×106個/mLを上回る、細胞約65.0×106個/mLを上回る、細胞約70.0×106個/mLを上回る、細胞約75.0×106個/mLを上回る、細胞約80.0×106個/mLを上回る、細胞約85.0×106個/mLを上回る、細胞約90.0×106個/mLを上回る、細胞約95.0×10
6個/mLを上回る、細胞約100.0×106個/mLを上回る、細胞約105.0×106個/mLを上回る、細胞約110.0×106個/mLを上回る、細胞約120.0×106個/mLを上回る、細胞約125.0×106個/mLを上回る、細胞約130.0×106個/mLを上回る、細胞約135.0×106個/mLを上回る、細胞約140.0×106個/mLを上回る、細胞約145.0×106個/mLを上回る、細胞約150.0×106個/mLを上回る、細胞約155.0×106個/mLを上回る、細胞約160.0×106個/mLを上回る、細胞約170.0×106個/mLを上回る、細胞約175.0×106個/mLを上回る、細胞約180.0×106個/mLを上回る、細胞約185.0×106個/mLを上回る、細胞約190.0×106個/mLを上回る、細胞約195.0×106個/mLを上回る、細胞約200.0×106個/mLを上回る、細胞約205.0×106個/mLを上回る、細胞約210.0×106個/mLを上回る、細胞約215.0×106個/mLを上回る、細胞約220.0×106個/mLを上回る、細胞約225.0×106個/mLを上回る、細胞約230.0×106個/mLを上回る、細胞約235.0×106個/mLを上回る、細胞約240.0×106個/mLを上回る、細胞約245.0×106個/mLを上回る、または約細胞250.0×106個/mLを上回る生存細胞密度を含み得る。いくつかの例では、細胞培養物は、細胞約30×106個/mL~細胞約100×106個/mL(例えば、細胞約30×106個/mL~細胞約95×106個/mL、細胞約30×106個/mL~細胞約90×106個/mL、細胞約30×106個/mL~細胞約85×106個/mL、細胞約35×106個/mL~細胞約80×106個/mL、細胞約40×106個/mL~細胞約80×106個/mL、細胞約40×106個/mL~細胞約60×106個/mL、または細胞約60×106個/mL~細胞約80×106個/mL)の生存細胞濃度を有する。いくつかの例では、細胞培養物は、細胞約110×106個/mL~細胞約250×106個/mL(例えば、細胞約110×106個/mL~細胞約240×106個/mL、細胞約110×106個/mL~細胞約230×106個/mL、細胞約110×106個/mL~細胞約220×106個/mL、細胞約110×106個/mL~細胞約210×106個/mL、細胞約110×106個/mL~細胞約200×106個/mL、細胞約110×106個/mL~細胞約190×106個/mL、細胞約110×106個/mL~細胞約180×106個/mL、細胞約110×106個/mL~細胞約170×106個/mL、細胞約110×106個/mL~細胞約160×106個/mL、細胞約110×106個/mL~細胞約150×106個/mL、細胞約110×106個/mL~細胞約140×106個/mL、細胞約110×106個/mL~細胞約130×106個/mL、細胞約120×106個/mL~細胞約250×106個/mL、細胞約120×106個/mL~細胞約240×106個/mL、細胞約120×106個/mL~細胞約230×106個/mL、細胞約120×106個/mL~細胞約220×106個/mL、細胞約120×106個/mL~細胞約210×106個/mL、細胞約120×106個/mL~細胞約200×106個/mL、細胞約120×106個/mL~細胞約190×106個/mL、細胞約120×106個/mL~細胞約180×106個/mL、細胞約120×106個/mL~細胞約170×106個/mL、細胞約120×106個/mL~細胞約160×106個/mL、細胞約120×106個/mL~細胞約150×106個/mL、細胞約120×106個/mL~細胞約140×106個/mL、細胞約130×106個/mL~細胞約250×106個/mL、細胞約130×106個/mL~細胞約240×106個/mL、細胞約130×106個/mL~細胞約230×106個/mL、細胞約130×106個/mL~細胞約220×106個/mL、細胞約130×106個/mL~細胞約210×106個/mL、細胞約130×106個/mL~細胞約200×106個/mL、細胞約130×106個/mL~細胞約190×106個/mL、細胞約130×106個/mL~細胞約180×106個/mL、細胞約130×106個/mL~細胞約170×106個/mL、細胞約130×106個/mL~細胞約160×106個/mL、細胞約130×106個/mL~細胞約150×106個/mL、細胞約140×
106個/mL~細胞約250×106個/mL、細胞約140×106個/mL~細胞約240×106個/mL、細胞約140×106個/mL~細胞約230×106個/mL、細胞約140×106個/mL~細胞約220×106個/mL、細胞約140×106個/mL~細胞約210×106個/mL、細胞約140×106個/mL~細胞約200×106個/mL、細胞約140×106個/mL~細胞約190×106個/mL、細胞約140×106個/mL~細胞約180×106個/mL、細胞約140×106個/mL~細胞約170×106個/mL、細胞約140×106個/mL~細胞約160×106個/mL、細胞約150×106個/mL~細胞約250×106個/mL、細胞約150×106個/mL~細胞約240×106個/mL、細胞約150×106個/mL~細胞約230×106個/mL、細胞約150×106個/mL~細胞約220×106個/mL、細胞約150×106個/mL~細胞約210×106個/mL、細胞約150×106個/mL~細胞約200×106個/mL、細胞約150×106個/mL~細胞約190×106個/mL、細胞約150×106個/mL~細胞約180×106個/mL、細胞約150×106個/mL~細胞約170×106個/mL、細胞約160×106個/mL~細胞約250×106個/mL、細胞約160×106個/mL~細胞約240×106個/mL、細胞約160×106個/mL~細胞約230×106個/mL、細胞約160×106個/mL~細胞約220×106個/mL、細胞約160×106個/mL~細胞約210×106個/mL、細胞約160×106個/mL~細胞約200×106個/mL、細胞約160×106個/mL~細胞約190×106個/mL、細胞約160×106個/mL~細胞約180×106個/mL、細胞約170×106個/mL~細胞約250×106個/mL、細胞約170×106個/mL~細胞約240×106個/mL、細胞約170×106個/mL~細胞約230×106個/mL、細胞約170×106個/mL~細胞約220×106個/mL、細胞約170×106個/mL~細胞約210×106個/mL、細胞約170×106個/mL~細胞約200×106個/mL、細胞約170×106個/mL~細胞約190×106個/mL、細胞約180×106個/mL~細胞約250×106個/mL、細胞約180×106個/mL~細胞約240×106個/mL、細胞約180×106個/mL~細胞約230×106個/mL、細胞約180×106個/mL~細胞約220×106個/mL、細胞約180×106個/mL~細胞約210×106個/mL、細胞約180×106個/mL~細胞約200×106個/mL、細胞約190×106個/mL~細胞約250×106個/mL、細胞約190×106個/mL~細胞約240×106個/mL、細胞約190×106個/mL~細胞約230×106個/mL、細胞約190×106個/mL~細胞約220×106個/mL、細胞約190×106個/mL~細胞約210×106個/mL、細胞約200×106個/mL~細胞約250×106個/mL、細胞約200×106個/mL~細胞約240×106個/mL、細胞
約200×106個/mL~細胞約230×106個/mL、細胞約200×106個/mL~細胞約220×106個/mL、細胞約210×106個/mL~細胞約250×106個/mL、細胞約210×106個/mL~細胞約240×106個/mL、細胞約220×106個/mL~細胞約240×106個/mL、または細胞約230×106個/mL~細胞約250×106個/mL)の生存細胞濃度を有する。
【0102】
システム内の細胞培養物の総量(濾過液導管および濾過液貯蔵タンクを例外とする)は、0.2L~約10,000L(例えば、約0.2L~約9,500L、約0.2L~約9,000L、約0.2L~約8,500L、約0.2L~約8,000L、約0.2L~約7,500L、約0.2L~約7,000L、約0.2L~約6,500L、約0.2L~約6,000L、約0.2L~約5,500L、約0.2L~約5,000L、約0.2L~約4,500L、約0.2L~約4,000L、約0.2L~約3,500L、約0.2L~約3,000L、約0.2L~約2,500L、約0.2L~約2,000L、約0.2L~約1,500L、約0.2L~約1,000L、約0.2L~約50
0L、約0.2L~約400L、約0.2L~約300L、約0.2L~約200L、約0.2L~約150L、約0.2L~約100L、約0.2L~約50L、または約0.2L~約10L)であり得る。
【0103】
細胞培養物中に存在する哺乳動物細胞は、組み換えタンパク質(例えば、哺乳動物細胞により分泌される組み換えタンパク質)をコードする組み換え核酸(例えば、哺乳動物細胞のゲノム内で安定的に一体化した核酸)を含み得る。組み換えタンパク質をコードする核酸は、分子生物学および分子遺伝学において公知の多様な方法を用いて、哺乳動物細胞に導入可能である。非限定的な例として、トランスフェクション(例えば、リポフェクション)、トランスダクション(例えば、レンチウイルス、アデノウイルス、またはレトロウイルス感染)、およびエレクトロポレーションが挙げられる。いくつかの事例では、組み換えタンパク質をコードする核酸は、哺乳動物細胞の染色体に安定的に一体化されないが(一過性のトランスフェクション)、一方他の事例では、核酸は一体化される。二者択一的または付加的に、組み換えタンパク質をコードする核酸は、プラスミド中、および/または哺乳動物の人工染色体(例えば、ヒト人工染色体)中に存在し得る。二者択一的または付加的に、核酸は、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、またはアデノウイルスベクター)を用いて細胞に導入可能である。核酸は、プロモーター配列(例えば、強力なプロモーター、例えばβ-アクチンプロモーターおよびCMVプロモーター、または誘導性プロモーター)と作動可能に結合し得る。可溶性組み換えタンパク質をコードする核酸配列は、組み換えタンパク質のN-またはC-末端に位置する分泌シグナルペプチドをコードする配列を含み得るが、同ペプチドは、哺乳動物細胞中に存在する酵素により切断され、その後培養培地中に放出される。核酸を含むベクターは、所望の場合には、選択マーカーも含み得る(例えば、哺乳動物細胞にハイグロマイシン、ピュロマイシン、またはネオマイシン耐性を付与する遺伝子)。
【0104】
細胞培養物中の哺乳動物細胞により分泌されると考えられる組み換えタンパク質の非限定的な例として、免疫グロブリン(軽鎖および重鎖免疫グロブリンを含む)、抗体もしくは抗体フラグメント(例えば、本明細書に記載する抗体フラグメントのいずれか)、酵素(例えば、ガラクトシダーゼ(例えば、α-ガラクトシダーゼ)、ミオザイム、もしくはセレザイム)、タンパク質(例えば、ヒトエリスロポエチン、腫瘍壊死因子(TNF)、もしくはインターフェロンαもしくはβ)、または免疫原性もしくは抗原性タンパク質もしくはタンパク質フラグメント(例えば、ワクチンで用いられるタンパク質)が挙げられる。いくつかの実施形態では、組み換えタンパク質は、少なくとも1つの多官能性組み換えタンパク質スキャフォールドを含む工学的に作出された抗原結合ポリペプチドである(例えば、Gebauerら、Current Opin.Chem.Biol.第13巻:245~255頁、2009年;および米国特許出願公開第2012/0164066号(そのまま参照によって本明細書に組み入れる)に記載されている組み換え抗原結合タンパク質を参照)。抗体である組み換えタンパク質の非限定的な例として、以下のタンパク質が挙げられる:パニツムマブ、オマリズマブ、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アクトクスマブ、アダリムマブ、アデカツムマブ、アフェリモマブ、アフツズマブ、アラシズマブ、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アポリズマブ、アチヌマブ、トシリズマブ、バシリチマブ(basilizimab)、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ビシロマブ、カナキヌマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、デンスマブ(densumab)、エクリズマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エファングマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ゴリムマブ、インフリキシマブ、ナタリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシリズマブ、およびトラスツズマブ。本明細書に記載する方法により製造可能な治療用抗体の追加の例は、当技術分野において公知である。細胞培養物中の哺乳動物細胞により分泌されると考えられる組み換えタンパク質の追加の非限定的な例として下記のタンパク質が挙げられる:アルグルコシダーゼα、ラロニダーゼ、アバタセプト、ガルス
ルファーゼ、ルトロピンα、抗血友病因子、アガルシダーゼβ、インターフェロンβ-1a、ダルベポエチンα、テネクテプラーゼ、エタネルセプト、凝固因子IX、卵胞刺激ホルモン、イミグルセラーゼ、ドルナーゼα、エポエチンα、およびアルテプラーゼ。
【0105】
液体培養培地は、当技術分野において公知である。液体培養培地には、哺乳動物の血清(例えば、ウシ胎仔血清およびウシ血清)、および/または成長ホルモンもしくは増殖因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、および上皮増殖因子)を補充することができる。二者択一的または付加的に、液体培養培地は、化学的に定義された液体培養培地、動物由来成分を含まない液体培養培地、血清を含まない液体培養培地、または血清含有液体培養培地であり得る。化学的に定義された液体培養培地、動物由来成分を含まない液体培養培地、血清液を含まない体培養培地、および血清含有液体培養培地の例は、商業的に入手可能である。
【0106】
液体培養培地は、エネルギー源(例えば、グルコース等の炭水化物)、必須アミノ酸(例えば、基本セットの20種類のアミノ酸とシステイン)、ビタミン、および/または低濃度の必要な他の有機化合物、遊離脂肪酸、および/または微量元素を一般的に含む。液体培養培地には、所望の場合には、例えば、哺乳動物のホルモンまたは増殖因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子)、塩およびバッファー(例えば、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸の塩)、ヌクレオシドおよび塩基(例えば、アデノシン、チミジン、およびヒポキサンチン)、タンパク質および組織加水分解産物、ならびに/またはこれらの任意の組合せ、または他の添加剤を補充することができる。
【0107】
液体培養培地の非限定的な例として、例えばCD CHO、Opti CHO、およびForti CHO(Life Technologies;Grand Island、NYからすべて入手可能)、Hycell CHO培地(Thermo Fisher
Scientific、Inc.;Waltham、MA)、Ex-cell CD CHO融合培地(Sigma-Aldrich Co.;St.Louis、MO)、およびPowerCHO培地(Lonza Group,Ltd.;Basel、スイス)が挙げられる。やはり液体培養培地中に存在し得る培地成分として、化学的に定義された(CD)加水分解産物、例えばCDペプトン、CDポリペプチド(2つまたはそれ以上のアミノ酸)、およびCD増殖因子が挙げられるが、これらに限定されない。液体組織培養培地および培地成分の追加の例は、当技術分野において公知である。
【0108】
接着性哺乳動物細胞を含む細胞培養物は、例えばマイクロキャリアを用いて、潅流バイオリアクタ内で増殖可能である。使用可能である非限定的な代表的マイクロキャリアとして、CytoPore(商標)1およびCytoPore(商標)2(GE Healthcare、Life Sciences、Piscataway、ニュージャージー州から入手可能)が挙げられる。使用可能であるマイクロキャリアの追加の例は、公的に入手可能および当技術分野において公知である。
【0109】
代表的な開回路濾過システムの使用
本明細書に記載するどの開回路濾過システムも、提供される細胞培養物処理法で使用可能である。例えば、本明細書に記載する方法で用いられる開回路濾過システム内のバイオリアクタは、バイオリアクタ(例えば、当技術分野において公知の任意の潅流バイオリアクタ)であっても冷蔵貯蔵タンクであってもよい。本方法で用いられる開回路濾過システムは、生体適合性チューブである1つまたはそれ以上の導管(例えば、第1の導管、第2の導管、隣接したTFFユニット間の1つもしくはそれ以上の導管、および/または濾過液導管)を含み得る。いくつかの例では、開回路濾過システムは、リザーバおよび2つまたはそれ以上のサブシステム(本明細書に記載するような)を備える。
【0110】
本方法で用いられる開回路濾過システムは、本明細書に記載するように、単一のクロスフローフィルタ(例えば、管状クロスフローフィルタ)または2つもしくはそれ以上(例えば、2、3、4、または5つ)のクロスフローフィルタ(例えば、管状クロスフローフィルタ)を有するTFFユニットを含み得る。他の例では、用いられる開回路濾過システムは、2つまたはそれ以上(例えば、2、3、または4つ)のTFFユニットを含む場合があり、この場合、隣接したTFFユニットの各対は、流体導管により流体連結している。TFFユニットは、約0.1m2~約150m2(例えば、約0.1m2~約145m2、約0.1m2~約140m2、約0.1m2~約135m2、約0.1m2~約130m2、約0.1m2~約125m2、約0.1m2~約120m2、約0.1m2~約115m2、約0.1m2~約110m2、約0.1m2~約105m2、約0.1m2~約100m2、約0.1m2~約95m2、約0.1m2~約90m2、約0.1m2~約85m2、約0.1m2~約80m2、約0.1m2~約75m2、約0.1m2~約70m2、約0.1m2~約65m2、約0.1m2~約60m2、約0.1m2~約55m2、約0.1m2~約50m2、約0.1m2~約45m2、約0.1m2~約40m2、約0.1m2~約35m2、約0.1m2~約30m2、約0.1m2~約25m2、約0.1m2~約20m2、約0.1m2~約15m2、約0.1m2~約10m2、または約0.1m2~約5m2)の総濾過面積を提供することができる。TFFユニット中に存在するフィルタは、本明細書に記載するポアサイズ(例えば、約0.2μm)、形状、ファイバ内径、および/またはファイバ長さの任意の組合せを有し得る。
【0111】
本明細書で用いられる開回路濾過システムは、第1の導管または第2の導管、またはその両方に配置された少なくとも1つのポンプを含み得る。少なくとも1つのポンプは、システム内の1つもしくはそれ以上の導管(例えば、1つまたはそれ以上の第1の導管、第2の導管、および/または隣接したTFFユニット間の1つもしくはそれ以上の導管)内にも配置可能である。用いられるシステムは、リザーバ内で、第1または第2の導管の近位(例えば、ポンプから第1の導管または第2の導管がバイオリアクタと連結する位置までの距離として、0.01cm~5cm(例えば、0.01cm~4cm、0.01cm~3cm、0.01cm~2cm、または0.01cm~1cm))に配置された少なくとも1つのポンプを含み得る。いくつかのシステムは、細胞培養物を、第1の方向で第1の期間および第3の期間中流通させ、細胞培養物を第2の方向で第2の期間中流通させる単一のポンプのみを含む。他のシステムは、第1および第2のポンプを含み、この場合、第1のポンプは、細胞培養物を第1の方向で流通させ、第2のポンプは、細胞培養物を第2の方向で流通させる。
【0112】
本方法で用いられるどのシステムでも、少なくとも1つのポンプ(例えば、1、2、3、または4つのポンプ)は、LTP(例えば、蠕動ポンプ等の、本明細書に記載するLTPのいずれか)であり得る。本方法で用いられるシステム中に存在する少なくとも1つのポンプ(例えば、少なくとも1つのLTP)は、本明細書に記載するポンプ(例えば、LTP)の特徴または特性(例えば、ポンプヘッド容積、種類、および/またはチューブ)の任意の組合せを有し得る。方法の一部では、少なくとも1つのポンプが、約10RPM~約100RPM(例えば、約10RPM~約95RPM、約10RPM~約90RPM、約10RPM~約85RPM、約10RPM~約80RPM、約10RPM~約75RPM、約10RPM~約70RPM、約10RPM~約65RPM、約10RPM~約60RPM、約10RPM~約55RPM、約10RPM~約50RPM、約10RPM~約45RPM、約10RPM~約40RPM、約10RPM~約35RPM、約10RPM~約30RPM、約10RPM~約25RPM、または約10RPM~約20RPM)のポンプスピード(RPM)で用いられる。いくつかの例では、本方法は、約0.5L/m2/時間~約40L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約35L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約30L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約25L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約20L/m2/時間、約0.5L/m2/時間
~約15L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約10L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約9L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約8L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約7L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約6L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約5L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約4L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約3L/m2/時間、約0.5L/m2/時間~約2L/m2/時間、または約0.8L/m2/時間~約1.2L/m2/時間の潅流フラックス速度をもたらす。いくつかの例では、少なくとも1つのポンプを使用すると、システム内の剪断速度は、約50s-1~約1000s-1(例えば、約50s-1~約950s-1、約50s-1~約900s-1、約50s-1~約850s-1、約50s-1~約800s-1、約50s-1~約750s-1、約50s-1~約700s-1、約50s-1~約650s-1、約50s-1~約600s-1、約50s-1~約550s-1、約50s-1~約500s-1、約50s-1~約450s-1、約50s-1~約400s-1、約50s-1~約350s-1、約50s-1~約300s-1、約50s-1~約250s-1、約50s-1~約200s-1、約50s-1~約150s-1、または約50s-1~約100s-1)となる。これらの方法で使用可能であるポンプの具体例として、16mmチューブを備えたWatson-Marlow 620蠕動ポンプ、または40mmチューブを備えたWatson-Marlow 800蠕動ポンプが挙げられる。
【0113】
当業者なら理解できるように、システム内の細胞培養物の総容積(濾過液導管および濾過液貯蔵タンク内の濾過液容積を除く)、少なくとも1つのTFFユニットにより提供される総濾過面積、および流速(例えば、第2および第3の期間中の)は、本発明において提供されるシステムおよび方法の1つまたはそれ以上の利点を可能にするしかるべき比(例えば、本明細書に記載する代表的な数値およびパラメータ)で実施される必要がある。
【0114】
フローサイクル
本明細書に記載する方法では、第1、第2、および/または第3の期間は、約20秒~約15分(例えば、約30秒~約15分、約20秒~約14分、約20秒~約13分、約20秒~約12分、約20秒~約11分、約20秒~約10分、約20秒~約9分、約20秒~約8分、約20秒~約7分、約20秒~約6分、約20秒~約5分、約20秒~約4分、約20秒~約3分、約20秒~約2分、約20秒~約115秒、約20秒~約110秒、約20秒~約105秒、約20秒~約100秒、約20秒~約95秒、約20秒~約90秒、約20秒~約85秒、約20秒~約80秒、約20秒~約75秒、約20秒~約70秒、約20秒~約65秒、約20秒~約60秒、約20秒~約55秒、約20秒~約50秒、約20秒~約45秒、約20秒~約40秒、約20秒~約35秒、約20秒~約30秒、約20秒~約25秒、約30秒~約90秒、約35秒~約85秒、約40秒~約80秒、約45秒~約75秒、約50秒~約70秒、約55秒~約65秒、約30秒~約14分、約30秒~約13分、約30秒~約12分、約30秒~約11分、約30秒~約10分、約30秒~約9分、約30秒~約8分、約30秒~約7分、約30秒~約6分、約30秒~約5分、約30秒~約4分、約30秒~約3分、約30秒~約2分、約30秒~約90秒、約30秒~約1分、約1分~約15分、約1分~約14分、約15分~約13分、約1分~約12分、約1分~約11分、約1分~約10分、約1分~約9分、約1分~約8分、約1分~約7分、約1分~約6分、約1分~約5分、約1分~約4分、約1分~約3分、約1分~約2分、または約1分~約90秒)であり得る。いくつかの例では、第1、第2、および第3の期間は、ほぼ同一である。他の例では、第1、第2、および第3の期間は、同一でない。
【0115】
いくつかの例では、第1の期間の第1の流れの向きは、細胞培養物を、リザーバから少なくとも1つのポンプ(例えば、単一のポンプ)が配置された第1または第2の導管を通じて、次に少なくとも1つのTFFユニットを通じて流通させ、次に他の導管を通じてリ
ザーバに戻す(例えば、約30秒~約60分間、約30秒~約50分間、約30秒~約40分間、約30秒~約30分間、約30秒~約20分間、約30秒~約15分間、約30秒~約10分間、または約30秒~約5分間)。かかる例では、第1の期間中の流れは、システム内の少なくとも1つのTFFユニット(およびその中の少なくとも1つのクロスフローフィルタ)を平衡化するのに用いられる。
図8は、システム内の少なくとも1つのTFFユニットの平衡化を目的とする、第1の流れの向きでの細胞培養物の流れを示す概略図である。
【0116】
図9は、細胞培養物を、第1の流れの向きで第1の期間(t
1)、リザーバからTFFユニットを通じて流通させ、期間(t
r1)において第1の流れの向きを反転させ、細胞培養物を、第2の流れの向きで第2の期間(t
2)、TFFユニットを通じて流通させ、期間(t
r2)において第2の流れの向きを反転させ、培養物を、第1の流れの向きで第3の期間(t
3)、TFFユニットを通じて流通させる工程の例を示す。例えば、t
r1および/またはt
r2は、約1秒~約1分間(例えば、約1秒~約55秒間、約1秒~約50秒間、約1秒~約45秒間、約1秒~約40秒間、約1秒~約35秒間、約1秒~約30秒間、約1秒~約25秒間、約1秒~約20秒間、約1秒~約15秒間、約1秒~約10秒間、約1秒~約5秒間、約5秒~約60秒間、約5秒~約55秒間、約5秒~約50秒間、約5秒~約45秒間、約5秒~約40秒間、約5秒~約35秒間、約5秒~約30秒間、約5秒~約25秒間、約5秒~約20秒間、約5秒~約15秒間、約5秒~約10秒間、または約2秒~約10秒間、約2秒~約8秒間、約2秒~約6秒間、または約2秒~約4秒間)であり得る。
【0117】
第1および/または第2の方向の流れ(例えば、第1、第2、および/または第3の期間のいずれか)は、約0.5L/分~約120L/分(例えば、約0.5L/分~約115L/分、約0.5L/分~約110L/分、約0.5L/分~約105L/分、約0.5L/分~約100L/分、約0.5L/分~約95L/分、約0.5L/分~約90L/分、約0.5L/分~約85L/分、約0.5L/分~約80L/分、約0.5L/分~約75L/分、約0.5L/分~約70L/分、約0.1L/分~約65L/分、約0.1L/分~約60L/分、約0.1L/分~約55L/分、約0.1L/分~約50L/分、約0.1L/分~約45L/分、約0.1L/分~約40L/分、約0.1L/分~約35L/分、約0.1L/分~約30L/分、約0.1L/分~約25L/分、約0.1L/分~約20L/分、約0.1L/分~約15L/分、約0.1L/分~約10L/分、または約0.1L/分~約5L/分)の流速をもたらし得る。
【0118】
(i)細胞培養物を第1の流れの向きで第1の期間において流通させる工程、および(ii)細胞培養物を第2の流れの向きで第2の期間において流通させる工程を1回繰り返すと、交換分画は約40%~約95%(例えば、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約45%~約80%、約50%~約80%、約55%~約75%、約60%~約85%、約70%~約95%、または約70%~約85%)となり得る。
【0119】
本明細書に提示する方法では、システム内の細胞培養物の容積(濾過液導管、濾過液貯蔵タンク、および/または生物学的製造システムを除く)は、約0.1L~約50L(例えば、約0.1L~約45L、約0.1L~約40L、約0.1L~約35L、約0.1L~約30L、約0.1L~約25L、約0.1L~約20L、約0.1L~約18L、約0.1L~約16L、約0.1L~約14L、約0.1L~約12L、約0.1L~約10L、約0.1L~約8L、約0.1L~約6L、約0.1L~約4L、約0.1L~約3L、約0.1L~約2L、または約0.1L~約1L)であり得る。本明細書に記載する方法において、細胞培養物がリザーバ(例えば、潅流バイオリアクタ)外部で費やす時間は、5秒~45秒(例えば、約5秒~約40秒、約5秒~約35秒、約5秒~約30
秒、約5秒~約25秒、約5秒~約20秒、約5秒~約15秒、約5秒~約10秒)であり得る。
【0120】
本明細書に提示する方法のいくつかの実施形態は、哺乳動物細胞を含まない濾過液を生成する。本明細書に提示する方法は、分泌型組み換えタンパク質を含む細胞培養物から分泌型組み換えタンパク質(例えば、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、増殖因子、サイトカイン、または酵素)を含む濾過液も生成し得る。いくつかの実施形態では、細胞培養物および/または濾過液は滅菌状態にある。
【0121】
本発明の方法は、単位時間当たり、より大容積の細胞培養物を濾過するために、スケールアップまたはスケールダウン可能である。当業者なら理解できるように、より大型のポンプヘッド容積を有する少なくとも1つのポンプ、およびより大型のチューブ、および/またはTFFユニット内により多数のクロスフローフィルタ、またはより多数のTFFユニット(例えば、より広い総濾過面積)を組み込むことにより、より大容積の細胞培養物が単位時間当たりに処理可能である。これらの変更は、本明細書に記載する方法を実施するのに用いられる開回路濾過システムで実施可能であり、より大スケールのシステムが下記の利点のうちの1つまたはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、または7つ)を有することを保証するために、試験可能である:他の一方向開回路濾過システム(例えば、一方向TFFシステム)または二方向閉回路濾過システム(閉回路ATFTMシステム)と比較したときの、細胞培養物の外部容積(リザーバ外部)の減少、交換分画(例えば、第1の導管、TFFユニット、および第2の導管内)の増加、細胞培養物の外部滞留時間(リザーバ外部)の短縮、細胞培養物濾過中の剪断応力の低下、細胞培養物中の細胞生存率の改善、細胞培養物中の生存細胞密度の向上、およびフィルタ汚損の減少。3つの異なる代表的な方法および各方法を実施するのに用いられる開回路濾過システムに関する物理的および機能的パラメータの例を表2に示す(下記)。
【0122】
本明細書に記載するどの方法も、約14日間~約100日間(例えば、約14日間~約90日間、約14日間~約80日間、約14日間~約70日間、約14日間~約60日間、約14日間~約50日間、約14日間~約40日間、約14日間~約30日間、約14日間~約20日間、約20日間~約100日間、約20日間~約90日間、約20日間~約80日間、約20日間~約70日間、約20日間~約60日間、約20日間~約50日間、約20日間~約40日間、約20日間~約30日間、約30日間~約100日間、約30日間~約90日間、約30日間~約80日間、約30日間~約70日間、約30日間~約60日間、約30日間~約50日間、約30日間~約40日間、約40日間~約100日間、約50日間~約90日間、約50日間~約80日間、約50日間~約70日間、約50日間~約60日間、約60日間~約100日間、約60日間~約90日間、約60日間~約80日間、または約60日間~約70日間)、連続的に実施可能である。
【0123】
【0124】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのTFFユニット内の1つもしくはそれ以上のクロスフローフィルタ内のフィルタファイバに沿った圧力変化、および/または少なく
とも1つのTFFユニットの1つもしくはそれ以上のクロスフローフィルタ内のフィルタメンブレンを横切る圧力変化は、およそ、例えば約1時間~約100日の期間(例えば、約1時間~約95日の期間、約1時間~約90日の期間、約1時間~約85日の期間、約1時間~約80日の期間、約1時間~約75日の期間、約1時間~約70日の期間、約1時間~約65日の期間、約1時間~約60日の期間、約1時間~約55日の期間、約1時間~約50日の期間、約1時間~約45日の期間、約1時間~約40日の期間、約1時間~約35日の期間、約1時間~約30日の期間、約1時間~約25日の期間、約1時間~約20日の期間、約1時間~約15日の期間、約1時間~約10日の期間、約1時間~約5日の期間、約1日~約100日の期間、約1日~約90日の期間、約1日~約85日の期間、約1日~約80日の期間、約1日~約75日の期間、約1日~約70日の期間、約1日~約65日の期間、約1日~約60日の期間、約1日~約55日の期間、約1日~約50日の期間、約1日~約45日の期間、約1日~約40日の期間、約1日~約35日の期間、約1日~約30日の期間、約1日~約25日の期間、約1日~約20日の期間、約1日~約15日の期間、約1日~約10日の期間、約5日~約100日の期間、約5日~約95日の期間、約5日~約90日の期間、約5日~約85日の期間、約5日~約80日の期間、約5日~約75日の期間、約5日~約70日の期間、約5日~約65日の期間、約5日~約60日の期間、約5日~約55日の期間、約5日~約50日の期間、約5日~約45日の期間、約5日~約40日の期間、約5日~約35日の期間、約5日~約30日の期間、約5日~約25日の期間、約5日~約20日の期間、約5日~約15日の期間、約5日~約10日の期間、約10日~約100日の期間、約10日~約95日の期間、約10日~約90日の期間、約10日~約85日の期間、約10日~約80日の期間、約10日~約75日の期間、約10日~約70日の期間、約10日~約65日の期間、約10日~約60日の期間、約10日~約55日の期間、約10日~約50日の期間、約10日~約45日の期間、約10日~約40日の期間、約10日~約35日の期間、約10日~約30日の期間、約10日~約25日の期間、約10日~約20日の期間、約15日~約100日の期間、約15日~約95日の期間、約15日~約90日の期間、約15日~約85日の期間、約15日~約80日の期間、約15日~約75日の期間、約15日~約70日の期間、約15日~約65日の期間、約15日~約60日の期間、約15日~約55日の期間、約15日~約50日の期間、約15日~約45日の期間、約15日~約40日の期間、約15日~約35日の期間、約15日~約30日の期間、約15日~約25日の期間、または約15日~約20日の期間)、本方法を実施している間、実質的に同一のままである(例えば、本方法開始時のフィルタファイバを横切る、またはフィルタメンブレンを横切る初期の圧力変化の約±20%以内、約±19%以内、約±18%以内、約±17%以内、約±16%以内、約±15%以内、約±14%以内、約±13%以内、約±12%以内、約±11%以内、約±10%以内、約±9%以内、約±8%以内、約±7%以内、約±6%以内、約±5%以内、約±4%以内、約±3%以内、約±2.5%以内、約±2.0%以内、約±1.5%以内、約±1.0%以内、または約±0.5%以内)。フィルタファイバまたはフィルタメンブレンを横切る圧力変化が有意に増加すれば、それはシステムの少なくとも1つのTFFユニット内の少なくとも1つのクロスフローフィルタの汚損を示す。
【0125】
リザーバ内の細胞培養物をインキュベーションする工程
いくつかの実施形態は、哺乳動物細胞が組み換えタンパク質を組織培養培地中に分泌できるようにする条件下で、リザーバ(例えば、潅流バイオリアクタ)内の細胞培養物をインキュベーションする工程をさらに含む。例えば、リザーバ中の細胞培養物は、約32℃~約39℃の温度でインキュベーション可能である。当業者は、温度は、インキュベーション中の特定の時点において(例えば、時間毎または日毎に)変更可能であると認識する。例えば、温度は、細胞培養物をリザーバ中に配置した後、約1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、または約20日間以上経過
した時点で、変更またはシフト可能である(例えば、上昇または低下))。例えば、温度は上方にシフト可能である(例えば、最大または約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、または10.0℃の変化)。例えば、温度は、下方にシフト可能である(例えば、最大または約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、または10℃の変化)。リザーバ内の細胞培養物をインキュベーションする工程は、最大でまたは約1%~15%のCO2(例えば、最大でもしくは約14%のCO2、12%のCO2、10%のCO2、8%のCO2、6%のCO2、5%のCO2、4%のCO2、3%のCO2、2%のCO2、または最大でもしくは約1%のCO2)を含む雰囲気中でも実施可能である。さらに、本明細書に記載するどの方法も、加湿された雰囲気(例えば、少なくとももしくは約20%、30%、40%、50%、60%、70%、85%、80%、85%、90%、または少なくとももしくは約95%の湿度、または約100%の湿度)中で、細胞培養物をインキュベーションする工程を含み得る。
【0126】
第1、第2、および第3の期間を繰り返す間に、リザーバ(例えば、潅流バイオリアクタ)内の細胞培養物をインキュベーションする工程は、ある容積の液体培養培地をバイオリアクタに添加する工程を含み得る。例えば、その容積の液体培養培地をバイオリアクタに添加することは、濾過液としてシステムから除去される液体培養培地の損失分を補填し得る。液体培養培地をリザーバに添加する工程は、連続的または定期的に(例えば、3日毎に1回、1日おき、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、もしくは1日6回以上)、または任意のこれらの組合せで実施可能である。リザーバにその容積の液体培養培地を添加する場合、かかる添加は、いくつかの事例では、システム内の細胞培養物の開始容積(濾過液導管および濾過液貯蔵タンク中に存在する濾過液の容積を除く)が24時間の各期間または本方法が実施される全期間にわたり、ほぼ同一であるように実施可能である。当技術分野において公知なように、液体培養培地が濾過液としてシステムから除去される速度(容積/単位時間)およびその容積の液体培養培地がリザーバに添加される速度(容積/単位時間)は、異なってもよい。液体培養培地が濾過液としてシステムから除去される速度(容積/単位時間)およびその容積の液体培養培地が添加される速度(容積/単位時間)は、ほぼ同一であってもよく、異なってもよい。
【0127】
あるいは、濾過液としてシステムから除去される容積、およびリザーバに添加される容積は、本方法の実施中に、24時間(あるいは、0.1時間~約24時間の増加期間、または24時間を上回る増加期間)の各期間において変更(例えば、漸増)可能である。例えば、本方法の実施において、24時間の各期間(あるいは、約1時間~24時間を超える増加期間、または24時間を上回る増加期間)内に濾過液としてシステムから除去される液体培養培地の容積、および添加される液体培養培地の容積は、例えばリザーバ容積または本方法の実施開始時の細胞培養物の総容積の0.5%~約20%の容積からリザーバ容積または本方法の実施開始時の細胞培養物の総容積の約25%~約150%まで増加可能である(例えば、漸増または千鳥式の増加により)。当業者なら理解できるように、24時間の各期間内に、濾過液としてシステムから除去される容積およびリザーバに添加される容積は、好ましくは、リザーバ容積または本方法の実施開始時の細胞培養物の総容積の約100%~約400%(例えば、約100%~約350%、約100%~約300%、約100%~約250%、約100%~約200%、約100%~約150%、約150%~約400%、約150%~約350%、約150%~約300%、約150%~約250%、約150%~約200%、約200%~約400%、約200%~約350%、約200%~約300%、または約200%~約250%)である。
【0128】
当業者は、濾過液としてシステムから除去される液体培養培地、およびリザーバに添加される液体培養培地は、同一種類の培地であり得ると認識する。他の事例では、濾過液としてシステムから除去される液体培養培地、およびリザーバに添加される液体培養培地は、実質的に異なってもよい。液体培養培地の容積は、手作業によりまたは自動化されたシステムを用いて、例えば潅流ポンプにより添加可能である。
【0129】
濾過液から組み換えタンパク質を単離する工程
本明細書に記載するどの方法も、濾過液から分泌型組み換えタンパク質(例えば、本明細書に記載する組み換えタンパク質のいずれか)を単離する工程をさらに含み得る。流体からポリペプチド(例えば、分泌型ポリペプチド)を単離するための多くの方法が、当技術分野において公知である。例えば、組み換えタンパク質を単離するための方法は、以下の1つまたはそれ以上の工程を含み得る:組み換えタンパク質を含む流体を捕捉する工程、精製する工程、ポリッシングする工程、および/または濾過する工程。当技術分野において周知のように、組み換えタンパク質を単離するのに用いられる具体的な方法は、組み換えタンパク質の生物物理学的な特性に依存する。例えば、組み換え抗体は、タンパク質A樹脂を用いて抗体を捕捉する工程を用い、ある程度精製可能である。
【0130】
いくつかの例では、濾過液中に存在する組み換えタンパク質は、少なくとも1つのマルチカラムクロマトグラフィシステム(MCCS)(例えば、本明細書に記載する1つまたはそれ以上のMCCSのいずれか)を通じて単離する工程を含む、一体化した連続的なプロセスを用いて単離される。一体化した連続的なプロセスは、本明細書に記載する代表的な生物学的製造システムのいずれかを用いて実施可能である。組み換えタンパク質を単離するための代表的な一体化した連続的プロセス、およびかかるプロセスで用いられる生物学的製造システムは、2013年3月8日付け出願の米国特許出願第61/775,060号、および2013年7月19日付け出願の米国特許出願第61/856,390号に記載されている。
【0131】
その結果、単離された組み換えタンパク質は、少なくとももしくは約50重量%純粋、例えば少なくとももしくは約55重量%純粋、少なくとも60重量%純粋、少なくとも65重量%純粋、少なくとも70重量%純粋、少なくとも75重量%純粋、少なくとも80重量%純粋、少なくとも85重量%純粋、少なくとも90重量%純粋、少なくとも95重量%純粋、少なくとも96重量%純粋、少なくとも97重量%純粋、少なくとも98重量%純粋、または少なくとももしくは約99重量%純粋、または99重量%超純粋であり得る。
【0132】
いくつかの方法は、単離した組み換えタンパク質を薬学的に許容される賦形剤またはバッファーと混合することにより治療用原薬を処方する工程をさらに含む。混合は、単離した組み換えタンパク質を含む流体を緩衝液と混合することにより実施可能である。他の例では、混合は、固体緩衝剤を、緩衝液と共に、単離した組み換えタンパク質を含む流体に添加することにより実施可能である。本明細書に包含される混合の別の形態は、単離した組み換えタンパク質を含む固体組成物(例えば、凍結乾燥された粉末またはケーキ)を、緩衝液(例えば、注射用滅菌生理食塩水)と共に溶解することである。治療用原薬は、当技術分野において公知の任意の投与経路(例えば、経口投与、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与、髄腔内投与、または吸入)について処方可能である。
【0133】
実施例
本発明は、下記の実施例にさらに記載されるが、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0134】
本明細書に提示する開回路濾過システムにより達成される処理と、ATF(商標)(Refine Technology)により達成される処理との比較
本明細書に提示する開回路濾過システムにより達成される細胞培養物処理と、ATF(商標)(Refine Technology)(閉回路流通方向切り替え型タンジェント濾過システム)により達成される細胞培養物処理とを比較するために、一連の実験を実施した。これらの実験を実施するのに用いたデバイスを、
図5に一般的に示す。特に、開回路濾過システムで用いたリザーバは、Broadly-James 15Lバイオリアクタであり、第1の導管および第2の導管は、生体適合性、内径0.5インチの溶接可能な移送チューブであり、TFFユニットは、単一の管状クロスフローフィルタ(長さ30cmおよび内径1mmであり、ならびに平均ポアサイズ0.2μmm、ファイバ密度830ファイバ/フィルタ、および濾過面積0.77m
2を有するポリエーテルスルホンファイバから構成される)を含み、少なくとも1つのポンプは、第1および第2の流れの向きで流体を流通させる能力を有する単一のWatson-Marlow蠕動ポンプであり、そのポンプヘッド容積は50mL~100mLであり、内径16mmおよび壁直径4mmを有するツインチャンネルGORE Sta-Pureチューブを備えた。
【0135】
材料および方法
本発明において提供される開回路濾過システムと、Refine Technology製ATF(商標)により達成される処理工程の比較で用いられた実験パラメータの要約を表3および4にまとめる(下記)。これらの実験を実施するのに用いられた方法のさらに詳細な要約を下記に提示する。
【0136】
【0137】
【0138】
潅流バイオリアクタを稼働させるのに用いた条件を表3に列記する。バイオリアクタは、作動容積として10Lを用い、CD-CHO培養培地により2リアクタ容積/日で置き
換えながら、細胞40×10
6個/mLに維持した。本明細書に提示する試験対象の開回路濾過システムは、ATF4と同一のフィルタおよびハウジングを備えたが、本システム(
図5に示す)および開回路システム(ATF4で用いた閉じたシステムではない)を通じて細胞培養物を反転可能に流通させるために、ポンプヘッド容積が50mL~100mLのWatson-Marlow蠕動ポンプ620Duを、培養再循環ポンプとして用いた。ATF4バイオリアクタの潅流速度を、培養20日目に、2リアクタ容積/日から1リアクタ容積/日に変更し、一方、本明細書に提示する試験対象の開回路濾過システムの潅流速度を、32日目に、2リアクタ容積/日から1リアクタ容積/日に変更し、10%のEfficient Feed B(Gibco、Invitrogen)も補給した。
【0139】
結果
本明細書に提示する試験対象の開回路濾過システムの生存細胞密度は、9日目および10日目で細胞40×10
6個/mLに到達したが、対応するATFシステムよりも早期に細胞40×10
6個/mLの細胞密度に到達した(
図10)。本明細書に提示する試験対象の開回路濾過システムの生存細胞の割合(%)は、培養が細胞40×10
6個/mLに到達したとき約90%であったが、70%で安定化するまで3週間にわたり継続的に減少した(
図11)。本明細書に提示する試験対象の開回路濾過システム内の細胞培養物のキャパシタンスは、ATFシステム内の細胞培養物と比較して上昇したが(
図12)、本明細書に提示する試験対象の開回路濾過システムの細胞培養物およびATFシステムの細胞培養物に由来する平均生存細胞直径は類似した(
図13)。
【0140】
本明細書に提示する開回路濾過システム内の細胞培養物、およびATFシステムの細胞培養物の生産性プロファイルを、
図14、
図15、
図16、および
図17に示す。本明細書に提示する開回路濾過システム内の細胞培養物により産生されるIgGの濃度は、ATFシステムと比較して、より遅延した時点において増加した(
図14)。本明細書に提示する開回路濾過システム内の細胞培養物の容積生産性および比生産性は、ATFシステム内の細胞培養物と比較して増加した(それぞれ
図15および
図16)。本明細書に提示する試験対象の開回路濾過システム内の細胞培養物の篩係数は、3週間培養後、約90%に留まり、ATFシステム内の細胞培養物の篩係数を上回った(
図17)。
【0141】
試験対象となった各システムのグルコースおよび乳酸生成プロファイルを
図18、
図19、
図20、および
図21に示す。本明細書に提示する試験対象の開回路濾過システムの細胞培養物の比グルコース消費速度および比乳酸生成速度は、ATFシステム内の細胞培養物の比グルコース消費速度および比乳酸生成速度を上回った(それぞれ
図18および
図19)。さらに、比好気性グルコース消費速度およびグルコースからの乳酸収率については、ATFシステム内の細胞培養物の比好気性グルコース消費速度およびグルコースからの乳酸収率よりも、本明細書に提示する試験対象の開回路濾過システム内の細胞培養物の方が高かった(それぞれ
図20および
図21)。
【0142】
これらのデータから、本発明において提供される開回路濾過システムは、別の閉回路タンジェント濾過システム(Refine Technology製ATF(商標)システム)と比較して、同等または改善した細胞培養物の特性、例えば同等または向上したキャパシタンス、同等または向上した容積生産性および比生産性、同等または向上した篩係数、ならびに同等または向上した比グルコース消費量を有する細胞培養物を提供することが示される。
【実施例2】
【0143】
開回路濾過システムに認められた生存細胞密度
本明細書に提示する開回路濾過システムを用いて達成される最高の生存細胞密度を決定
するために、また場合により、決定された生存細胞密度を、ATF(商標)(Refine Technology)(閉回路流通方向切り替え型タンジェント濾過システム)を類似した条件下で用いて達成される生存細胞密度と比較するために、実験を実施した。これらの実験で用いたデバイスを、
図5に一般的に示す。特に、開回路濾過システムで用いたリザーバは、Broadly-James 15Lバイオリアクタであり、第1の導管および第2の導管は、生体適合性、内径0.5インチの溶接可能な移送チューブであり、TFFユニットは、単一の管状クロスフローフィルタ(長さ30cmおよび内径1mmであり、ならびに平均ポアサイズ0.2μmm、ファイバ密度830ファイバ/フィルタ、および濾過面積0.77m
2を有するポリエーテルスルホンファイバから構成された)を含み、少なくとも1つのポンプは、第1および第2の流れの向きで流体を流通させる能力を有する単一のWatson-Marlow蠕動ポンプであり、そのポンプヘッド容積は50mL~100mLであり、内径16mmおよび壁直径4mmを有するツインチャンネルGORE Sta-Pureチューブを備えた。
【0144】
材料および方法
本発明において提供される開回路濾過システム(および、場合によりRefine Technology製ATF(商標))を用いて達成することができる最高細胞密度を決定するための実験パラメータの要約を表5に示す。これらの実験で用いられた方法のさらに詳細な要約を下記に提示する。
【0145】
【0146】
潅流バイオリアクタを稼働させるのに用いた条件を表5に列記する。作動容積として10Lを用いて、細胞をバイオリアクタ内で増殖させ、CD-CHO培養培地で十分置き換えて、細胞固有の潅流速度として0.05nL/細胞-日を維持した。開回路濾過システムは、ATF4と同一のフィルタおよびハウジングを備えたが、本システム(
図5に示す)および開回路システム(ATF4で用いた閉じたシステムではない)を通じて細胞培養物を反転可能に流通させるために、培養再循環ポンプとしてポンプヘッド容積が50mL~100mLのWatson-Marlow蠕動ポンプ620Duを使用した。細胞培養物の生存細胞密度を、細胞培養物プロセスの稼働期間中、1日1回測定した。
【0147】
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明と共に記載されてきたが、上記説明は、説明を目的としており、本発明の範囲を制限することを意図せず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義されるものと理解されたい。他の態様、長所、および修正形態も、下記の特許請求の範囲に含まれる。