(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】カメラ用アクチュエータ、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20230215BHJP
B06B 1/04 20060101ALI20230215BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20230215BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20230215BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230215BHJP
G03B 17/17 20210101ALI20230215BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20230215BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20230215BHJP
【FI】
G02B7/04 E
B06B1/04 Z
G02B7/02 Z
G03B5/00 J
G03B15/00 V
G03B17/17
G03B30/00
H04N5/225 700
(21)【出願番号】P 2018207502
(22)【出願日】2018-11-02
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 政大
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083575(JP,A)
【文献】特開2016-090778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
B06B 1/04
G02B 7/02
G03B 5/00
G03B 15/00
G03B 17/17
G03B 30/00
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側部材と、
前記固定側部材に対して変位可能に設けられ、レンズ部を保持する可動側部材と、
第一方向及び前記第一方向に直交する第二方向のうちの少なくとも一方の方向に前記可動側部材を変位させる駆動部と、を備え、
前記駆動部は、駆動用マグネット部及び前記一方の方向における前記可動側部材の位置検出に用いられる位置検出用マグネット部と、を有し、
前記可動側部材は、前記駆動用マグネット部及び前記位置検出用マグネット部のそれぞれを前記固定側部材に対向させて固定するための第一マグネット固定部及び第二マグネット固定部を備え、
前記第一マグネット固定部と前記第二マグネット固定部とは、互いに異なる金属部材であ
り、
前記第一マグネット固定部は、磁性金属製のシールド板により構成され、
前記第二マグネット固定部は、非磁性金属製の固定プレートにより構成されている、
カメラ用アクチュエータ。
【請求項2】
前記第一マグネット固定部及び前記第二マグネット固定部は、前記駆動用マグネット部及び前記位置検出用マグネット部を、前記第一方向及び前記第二方向を含む平面に直交する上下方向において前記固定側部材から離間させ、かつ、前記駆動用マグネット部及び前記位置検出用マグネット部の下面を前記固定側部材に対向させて、固定し、
前記第一マグネット固定部及び前記第二マグネット固定部はそれぞれ、前記駆動用マグネット部及び前記位置検出用マグネット部の上面と対面している、請求項
1に記載のカメラ用アクチュエータ。
【請求項3】
前記可動側部材は、樹脂製の本体を有し、
前記第一マグネット固定部及び前記第二マグネット固定部は、前記本体に固定されている、請求項1
又は2に記載のカメラ用アクチュエータ。
【請求項4】
前記第一マグネット固定部及び前記第二マグネット固定部は、板状である、請求項
3に記載のカメラ用アクチュエータ。
【請求項5】
前記第一マグネット固定部及び前記第二マグネット固定部はそれぞれ、前記本体に係止される係止部を有する、請求項
4に記載のカメラ用アクチュエータ。
【請求項6】
前記第一マグネット固定部及び前記第二マグネット固定部はそれぞれ、前記本体に接着されている、請求項
5に記載のカメラ用アクチュエータ。
【請求項7】
請求項1~
6の何れか一項に記載のカメラ用アクチュエータと、
レンズ部の後段に配置された撮像素子と、
を備えるカメラモジュール。
【請求項8】
請求項
7に記載のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールを制御する制御部と、
を有するカメラ搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ用アクチュエータ、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンやデジタルカメラなど、カメラモジュールを搭載した薄型のカメラ搭載装置が知られている。カメラモジュールは、1以上のレンズを有するレンズ部と、レンズ部により結像された被写体像を撮像する撮像素子とを備える(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたカメラモジュールは、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うオートフォーカス機能(以下「AF機能」と称する、AF:Auto Focus)、及び、カメラに生じる手振れを補正する振れ補正機能(以下「OIS機能」と称する、OIS:Optical Image Stabilization)を有する。このようなカメラモジュールは、レンズ部を光軸の方向に移動させるためのオートフォーカス用アクチュエータ、及び、レンズ部を光軸の方向に直交する平面内で移動させるための振れ補正用アクチュエータを有する。
【0004】
また、特許文献2に開示されたカメラモジュールの場合、オートフォーカス用アクチュエータ及び振れ補正用アクチュエータがそれぞれ、レンズ部を保持する可動側部材に固定されたマグネット部と、マグネット部に対向した状態で固定側部材に設けられたコイル部とを有するボイスコイルモーターにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-92285号公報
【文献】国際公開2016/166730号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような特許文献2に開示されたカメラモジュールにおいて、カメラモジュールに衝撃が加わった場合でも、ボイスコイルモーターを構成するマグネット部が、可動側部材から脱落しにくい構造が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、ボイスコイルモーターを構成するマグネット部が、可動側部材から脱落することを防止できるカメラ用アクチュエータ、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るカメラ用アクチュエータの一態様は、固定側部材と、固定側部材に対して変位可能に設けられ、レンズ部を保持する可動側部材と、第一方向及び第一方向に直交する第二方向のうちの少なくとも一方の方向に可動側部材を変位させる駆動部と、を備える。また、可動側部材は、第一方向及び第二方向のうちの何れか一方における可動側部材の位置検出に用いられるマグネット部を固定側部材に対向させて固定するためのマグネット固定部を備える。そして、マグネット固定部においてマグネット部が取り付けられる取付面は、金属製である。
上述のようなカメラ用アクチュエータを実施する場合に、駆動部は、駆動用マグネット部及び上記一方の方向における可動側部材の位置検出に用いられる位置検出用マグネット部を含んでもよい。
又、可動側部材は、マグネット固定部として、駆動用マグネット部及び位置検出用マグネット部のそれぞれを固定側部材に対向させて固定するための第一マグネット固定部及び第二マグネット固定部を有してもよい。
又、第一マグネット固定部と第二マグネット固定部とは、互いに異なる金属部材により構成されてよい。
又、第一マグネット固定部は、磁性金属製のシールド板により構成されてよい。
更に、第二マグネット固定部は、非磁性金属製の固定プレートにより構成されてよい。
【0009】
本発明に係るカメラモジュールの一態様は、上述のカメラ用アクチュエータと、レンズ部の後段に配置された撮像素子と、を備える。
【0010】
本発明に係るカメラ搭載装置の一態様は、上述のカメラモジュールと、当該カメラモジュールを制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ボイスコイルモーターを構成するマグネット部が、可動側部材から脱落することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るカメラモジュールの斜視図である。
【
図2】
図2は、カメラモジュールのプリズムモジュールを一部の部材を省略した状態で示す斜視図である。
【
図3】
図3は、一部の部材を省略したプリズムモジュールを
図2と別角度から見た状態で示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第一ベースにホルダを組み付けた状態の斜視図である。
【
図7】
図7は、揺動支持バネのみを取り出して示す斜視図である。
【
図8】
図8は、プリズムモジュールの断面図である。
【
図11】
図11は、第二ベースを省略したレンズモジュールの側面図である。
【
図12】
図12は、第二ベースを省略したレンズモジュールを、
図11と反対側から見た状態で示す側面図である。
【
図14】
図14は、一部の部材を省略したレンズモジュールに関する、
図11のA
1矢視図である。
【
図15】
図15は、スプリングを組付状態の配置のまま取り出して示す斜視図である。
【
図16】
図16は、FPC、AFアクチュエータ、及び後側OISアクチュエータの斜視図である。
【
図17】
図17は、
図16と別角度から見た、FPC、AFアクチュエータ、及び後側OISアクチュエータの斜視図である。
【
図22】
図22は、第二ベース、AFアクチュエータ、及び後側OISアクチュエータの斜視図である。
【
図23】
図23は、
図22とは別角度から見た、第二ベース、AFアクチュエータ、及び後側OISアクチュエータの斜視図である。
【
図27】
図27A及び
図27Bは、カメラモジュールを搭載したカメラ搭載装置の一例を示す正面図及び背面図である。
【
図28】
図28A及び
図28Bは、車載用カメラモジュールを搭載したカメラ搭載装置としての自動車を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
[実施形態1]
図1~
図26Bを参照して、本発明の実施形態1に係るカメラモジュールについて説明する。以下、カメラモジュール1の概要について説明した後、カメラモジュール1が備えるプリズムモジュール2、レンズモジュール3、及び撮像素子モジュール4の具体的構造について説明する。なお、本発明に係るカメラアクチュエータ、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置は、後述する全ての構成を備えてもよいし、一部の構成を備えなくてもよい。
【0015】
<カメラモジュール>
カメラモジュール1は、例えばスマートフォンM(
図27A、
図27B参照)、携帯電話機、デジタルカメラ、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、又は、車載カメラなどの薄型のカメラ搭載装置に搭載される。
【0016】
以下、本実施形態のカメラモジュール1を構成する各部については、カメラモジュール1に組み込まれた状態を基準として説明する。また、本実施形態のカメラモジュール1の構造を説明するにあたり、各図に示した直交座標系(X,Y,Z)を使用する。
【0017】
カメラモジュール1は、カメラ搭載装置で実際に撮影が行われる場合に、例えばX方向が左右方向、Y方向が上下方向、Z方向が前後方向となるように搭載される。被写体からの光は、
図2に一点鎖線α(第一光軸ともいう。)で示すように、Z方向+側(プラス側)からプリズムモジュール2のプリズム23に入射する。プリズム23に入射した光は、
図2及び
図10Aに一点鎖線β(第二光軸ともいう。)で示すように、プリズム23の光路屈曲面231(
図8参照)で屈曲して、プリズム23よりも後段(つまり、X方向+側)に配置されたレンズモジュール3のレンズ部33へと導光される。そして、レンズ部33(
図10A参照)により結像された被写体像が、レンズモジュール3の後段に配置された撮像素子モジュール4(
図1参照)により撮像される。
【0018】
上述のカメラモジュール1は、プリズムモジュール2に組み込まれた第一振れ補正装置24(
図2及び
図8参照)、及び、レンズモジュール3に組み込まれた第二振れ補正装置35(
図11及び
図12参照)により、振れ補正(OIS:Optical Image Stabilization)を行う。また、上述のカメラモジュール1は、レンズモジュール3に組み込まれたAF装置34(
図11及び
図12参照)によりレンズ部33をX方向に変位させて、オートフォーカスを行う。
【0019】
以下、
図1~
図26Bを参照して、本実施形態のカメラモジュール1が備える、プリズムモジュール2、レンズモジュール3、及び、撮像素子モジュール4について説明する。
【0020】
<プリズムモジュール>
図1~
図8を参照してプリズムモジュール2について説明する。プリズムモジュール2は、第一カバー21、第一ベース22、プリズム23、及び、第一振れ補正装置24を備える。
【0021】
<第一カバー>
第一カバー21は、
図1に示すように、例えば合成樹脂製又は非磁性金属製である。このような第一カバー21は、Z方向両側及びX方向+側が開口した箱状部材である。被写体側からの光は、第一カバー21のZ方向+側の開口部を通過して第一カバー21の内部空間に侵入可能である。以上のような第一カバー21は、後述する第一ベース22にZ方向+側から組み合わされている。
【0022】
<第一ベース>
図5及び
図6を参照して第一ベース22について説明する。第一ベース22は、Z方向+側及びX方向+側がそれぞれ開口した箱状部材である。第一ベース22は、Z方向-側の底壁部229に、ベース側開口部220を有する。
【0023】
ベース側開口部220には、前側OISアクチュエータ244の第一コイル244c及び第一ホール素子244eが配置されている。
【0024】
第一ベース22は、第一振れ補正装置24のホルダ241を、Y方向に平行な第一軸を中心とした揺動を可能に支持している。このために、第一ベース22は、後述する揺動ガイド部材245を保持するための第一受部225c及び第二受部225dを有する。
【0025】
第一受部225cは、第一ベース22におけるY方向+側の第一側壁部224aに設けられている。一方、第二受部225dは、第一ベース22におけるY方向-側の第二側壁部224bに設けられている。
【0026】
このような第一受部225cと第二受部225dとは、互いにY方向に対称な形状を有する。具体的には、第一受部225c及び第二受部225dはそれぞれ、第一側壁部224a及び第二側壁部224bのZ方向+側の端面(上面)にのみ開口する円柱状の凹部である。
【0027】
第一側壁部224aは、上面のY方向内端縁と第一受部225cとの間に第一堰部224c1を有する。一方、第二側壁部224bは、上面のY方向内端縁と第二受部225dとの間に第一堰部224c2を有する。このような第一堰部224c1及び第一堰部224c2はそれぞれ、第一受部225c及び第二受部225dに、揺動ガイド部材245を固定する接着剤の、Y方向中央側への流出防止に寄与する。
【0028】
第一側壁部224aは、上面における第一受部225cのY方向外側半部の一部を囲む部分に第二堰部224d1を有する。一方、第二側壁部224bは、上面における第二受部225dのY方向外側半部の一部を囲む部分に第二堰部224d2を有する。このような第二堰部224d1及び第二堰部224d2はそれぞれ、第一受部225c及び第二受部225dに、揺動ガイド部材245を固定する接着剤の、Y方向外側への流出防止に寄与する。
【0029】
第一側壁部224aは、上面における第二堰部224d1よりもY方向外側部分に、バネ配置空間224e1、224e2を有する。本実施形態の場合、バネ配置空間224e1とバネ配置空間224e2とは、X方向に離隔している。
【0030】
一方、第二側壁部224bは、上面における第二堰部224d2よりもY方向外側部分に、バネ配置空間224f1、224f2を有する。バネ配置空間224f1とバネ配置空間224f2とは、X方向に離隔している。バネ配置空間224e1、224e2及びバネ配置空間224f1、224f2にはそれぞれ、後述する揺動支持バネ243(
図7参照)の連続部243iの一部(具体的には基端側連続部243m)が配置されている。
【0031】
第一側壁部224aは、上面における第二堰部224d1よりもY方向外側部分に、X方向+側から順に3個の凸部224g1、224g2、224g3を有する。凸部224g1と凸部224g3とは、X方向において離隔し、かつ、Y方向において同位置に配置されている。凸部224g2は、Y方向において、凸部224g1及び凸部224g3よりも外側(
図6中の下側)に配置されている。
【0032】
バネ配置空間224e1は、凸部224g1と凸部224g2との間に設けられている。一方、バネ配置空間224e2は、凸部224g2と凸部224g3との間に設けられている。
【0033】
第二側壁部224bは、上面における第二堰部224d2よりもY方向外側部分に、X方向+側から順に3個の凸部224h1、224h2、224h3を有する。凸部224h1と凸部224h3とは、X方向に離隔し、かつ、Y方向において同位置に配置されている。凸部224h2は、凸部224h1及び凸部224h3よりもY方向外側(
図6中の上側)に配置されている。
【0034】
バネ配置空間224f1は、凸部224h1と凸部224h2との間に設けられている。一方、バネ配置空間224f2は、凸部224h2と凸部224h3との間に設けられている。
【0035】
第一側壁部224a及び第二側壁部224bはそれぞれ、上面におけるX方向両端部に、第一位置決め凸部226及び第二位置決め凸部227を有する。第一位置決め凸部226及び第二位置決め凸部227はそれぞれ、後述する一対の揺動支持バネ243(
図7参照)と係合して、一対の揺動支持バネ243を位置決めしている。
【0036】
<第一振れ補正装置>
図4、
図5、及び、
図8を参照して第一振れ補正装置24について説明する。第一振れ補正装置24は、Y方向に平行な第一軸を中心にプリズム23を揺動させて、当該第一軸を中心とした回転方向の振れ補正を行う。第一振れ補正装置24は、第一ベース22と第一カバー21とで覆われた第一収容空間223(
図8参照)に配置されている。このような第一振れ補正装置24は、駆動部の一例に該当する。
【0037】
第一振れ補正装置24は、一対の揺動ガイド部材245、一対の揺動支持バネ243、ホルダ241、及び前側OISアクチュエータ244を備える。
【0038】
第一振れ補正装置24において、ホルダ241は、第一ベース22に揺動可能に支持されている。この状態でホルダ241は、前側OISアクチュエータ244の駆動力に基づいて第一軸を中心に揺動する。制御部5(
図18参照)の制御下で前側OISアクチュエータ244が駆動すると、ホルダ241及びプリズム23が、Y方向に平行な第一軸を中心に揺動する。これにより、当該第一軸を中心とした回転方向の振れが補正される。以下、第一振れ補正装置24が備える各部材の具体的構造について説明する。
【0039】
<揺動ガイド部材>
図5及び
図6を参照して一対の揺動ガイド部材245について説明する。一対の揺動ガイド部材245はそれぞれ、例えば、セラミック製、金属製、合成樹脂製の球体である。一対の揺動ガイド部材245のうちの一方(つまり、Y方向+側)の揺動ガイド部材245は、第一ベース22の第一受部225cに配置されている。一方、他方(つまり、Y方向-側)の揺動ガイド部材245は、第一ベース22の第二受部225dに配置されている。
【0040】
一対の揺動ガイド部材245はそれぞれ、第一受部225c及び第二受部225dに接着剤により固定されている。この状態において、一対の揺動ガイド部材245のZ方向+側の半部は、揺動ガイド面として機能する。揺動ガイド面は、第一受部225c及び第二受部225dよりもZ方向+側に突出している。
【0041】
なお、揺動ガイド部材245は、球体に限らず、例えば、半球体、円柱、又は、半円柱であってもよい。また、揺動ガイド部材245は、第一ベース22と一体でもよい。すなわち、揺動ガイド部材は、第一ベース22の一部により構成されてもよい。
【0042】
<揺動支持バネ>
図5及び
図7を参照して、一対の揺動支持バネ243について説明する。一対の揺動支持バネ243は、後述するホルダ241を、第一ベース22に対して揺動可能に支持している。一対の揺動支持バネ243はそれぞれ、金属製の板バネであって、一対の揺動ガイド部材245のZ方向+側に配置されている。
【0043】
以下、一対の揺動支持バネ243のうち一方(つまり、Y方向+側)の揺動支持バネ243について説明する。他方(つまり、Y方向-側)の揺動支持バネ243は、一方の揺動支持バネ243とY方向に対称である。
【0044】
一方の揺動支持バネ243は、一対の第一係止部243a、243b、第二係止部243c、捩じれ許容部243g、及び、バネ側ガイド面243hを有する。
【0045】
一対の第一係止部243a、243bのうち一方(つまり、X方向+側)の第一係止部243aは、一方の揺動支持バネ243におけるX方向+側の端部に配置されている。このような一方の第一係止部243aは、第一貫通孔243dを有する。
【0046】
一方、他方(つまり、X方向-側)の第一係止部243bは、一方の揺動支持バネ243におけるX方向-側の端部に配置されている。このような他方の第一係止部243bは、第一貫通孔243eを有する。一対の第一係止部243a、243b同士は、X方向に延在した連続部243iにより接続されている。
【0047】
連続部243iは、後述する捩じれ許容部243gよりもX方向+側に配置された連続部要素243j、及び、捩じれ許容部243gよりもX方向-側に配置された連続部要素243kを有する。連続部要素243jは、捩じれ許容部243gと第一係止部243aとを接続している。一方、連続部要素243kは、捩じれ許容部243gと第一係止部243bとを接続している。
【0048】
以下、連続部要素243jについて説明する。連続部要素243jは、基端側連続部243m及び蛇行連続部243nを有する。基端側連続部243mと蛇行連続部243nとは、接続されている。
【0049】
基端側連続部243mは、連続部要素243jにおいて、捩じれ許容部243gに近い側の端部に設けられている。基端側連続部243mの一端(捩じれ許容部243gに近い側の端部)は、捩じれ許容部243gに接続されている。
【0050】
蛇行連続部243nは、略S字状である。蛇行連続部243nの一端(捩じれ許容部243gに近い側の端部)は、基端側連続部243mに接続されている。蛇行連続部243nの他端(捩じれ許容部243gから遠い側の端部)は、第一係止部243aに接続されている。連続部要素243kは、連続部要素243jとX方向に対称である。このため、連続部要素243kについては、連続部要素243jの構成部材と同一符号を付して、説明を省略する。
【0051】
一対の第一係止部243a、243bのZ方向-側の面は、第一ベース22の第一側壁部224aにおけるZ方向+側の端面に接着固定されている。この状態で、第一貫通孔243dには、第一ベース22の第一位置決め凸部226が挿通されている(
図5参照)。また、第一貫通孔243eには、第一ベース22の第二位置決め凸部227が挿通されている(
図5参照)。
【0052】
なお、他方(Y方向-側)の揺動支持バネ243の場合、一対の第一係止部243a、243bのZ方向-側の面は、第一ベース22の第二側壁部224bにおけるZ方向+側の端面に接着固定されている。
【0053】
第二係止部243cは、第一係止部243a、243b同士のX方向における間部分に、X方向の隙間を介して設けられている。第二係止部243cは、一対の第二貫通孔243fを有する。
【0054】
第二係止部243cのZ方向+側の面は、後述するホルダ241の張出し部241q、241rの裏面に形成されたバネ座面(不図示)に接着固定されている。この状態で、一対の第二貫通孔243fにはそれぞれ、ホルダ241の張出し部241q、241rの裏面に形成された一対のホルダ側位置決め凸部(不図示)が挿通されている。なお、他方(Y方向-側)の揺動支持バネ243の場合、第二係止部243cのZ方向+側の面は、ホルダ241の張出し部241q、241rの裏面に形成されたバネ座面(不図示)に接着固定されている。
【0055】
捩じれ許容部243gは、Y方向に延在した板状部材であって、連続部243iのX方向中間部(具体的には、各基端側連続部243mの一端)と、第二係止部243cとを接続している。このような捩じれ許容部243gは、捩じれることにより、第二係止部243cの、第一係止部243a、243bに対する捩じれを許容する。
【0056】
また、捩じれ許容部243gは、弾性変形することにより、第一係止部243a、243bと第二係止部243cとのZ方向の相対変位を許容する。
【0057】
バネ側ガイド面243hは、第二係止部243cの裏面(つまり、Z方向-側の面)により構成されている。このようなバネ側ガイド面243hは、上述した揺動ガイド部材245の揺動ガイド面と当接している。
【0058】
一対の揺動支持バネ243は、自由状態(非組付状態ともいう。)において、全体的に平坦な板状部材である。一方、組付状態において、一対の揺動支持バネ243は、捩じれ許容部243gの弾性変形に基づいて、第二係止部243cが第一係止部243a、243bよりもZ方向+側に配置される。
【0059】
具体的には、組付状態において、捩じれ許容部243gは、第二係止部243cに向かうほどZ方向+側に向かうように弾性変形する。このような弾性変形に基づいて、一対の揺動支持バネ243のバネ側ガイド面243hは、揺動ガイド部材245をZ方向-側に付勢する。
【0060】
以上のような一対の揺動支持バネ243の組付状態において、バネ配置空間224e1、224e2、及び、バネ配置空間224f1、224f2にはそれぞれ、一対の揺動支持バネ243の基端側連続部243mが配置されている。さらに、バネ配置空間224e1、224e2及びバネ配置空間224f1、224f2には、基端側連続部243mを覆うようにゲル状の制振部材27が配置されている(
図5参照)。
【0061】
制振部材27は、一対の揺動支持バネ243の共振の抑制に効果的である。共振を抑制する観点から、制振部材27は、一対の揺動支持バネ243において使用時に最も大きく変形する部分の近くに設けるのが好ましい。使用時に最も大きく変形する部分は捩じれ許容部243gである。このため、制振部材27は、一対の揺動支持バネ243における捩じれ許容部243gに近い部分を覆うのが好ましい。
【0062】
<ホルダ>
図4及び
図8を参照して、ホルダ241について説明する。ホルダ241は、例えば、合成樹脂製であって、第一ベース22に対してプリズム23を揺動可能な状態で保持している。
【0063】
ホルダ241は、載置面241a、一対の対向壁部241f、241g、及び一対の張出し部241q、241rを備える。
【0064】
載置面241aは、プリズム23の光路屈曲面231に裏側(Z方向-側)から対面する。載置面241aは、例えば、光路屈曲面231と平行な面を有する。なお、載置面241aは、本実施形態の構造に限定されず、例えば、プリズム23の位置決めを可能な形状を有するボスなどでもよい。
【0065】
一対の対向壁部241f、241gはそれぞれ、XZ平面に平行な板状部材であって、Y方向に離隔した状態で配置されている。このような一対の対向壁部241f、241gは、載置面241aをY方向から挟んで配置されている。
【0066】
一対の張出し部241q、241rはそれぞれ、一対の対向壁部241f、241gに設けられている。このような一対の張出し部241q、241rはそれぞれ、ホルダ241を、第一ベース22に対して揺動可能に支持している。
【0067】
具体的には、一方(つまり、Y方向+側)の張出し部241qは、対向壁部241fのY方向+側面に、当該側面からY方向+側に張り出している。
【0068】
一方、他方(つまり、Y方向-側)の張出し部241rは、対向壁部241gのY方向-側面に、当該側面からY方向-側に張り出している。また、一対の張出し部241q、241rはそれぞれ、裏面(つまり、Z方向-側の面)に、平坦面状のバネ座面(不図示)を有する。バネ座面は、X方向に離隔した2箇所に、Z方向-側に突出した一対のホルダ側位置決め凸部(不図示)を有する。
【0069】
バネ座面にはそれぞれ、一対の揺動支持バネ243の第二係止部243cのZ方向+側の面が接着固定されている。この状態で、一対のホルダ側位置決め凸部はそれぞれ、揺動支持バネ243の一対の第二貫通孔243fに挿通されている。この構造により、ホルダ241は、第一ベース22に対して揺動可能に支持されている。
【0070】
なお、ホルダ241の張出し部241q、241rのY方向における外端部は、第一ベース22のY方向における両端面よりも、Y方向における中央側に位置している。このような構成は、ホルダ241の小型・軽量化に寄与する。
【0071】
<前側OISアクチュエータ>
図5及び
図8を参照して、光路屈曲部材を変位させるためのアクチュエータである前側OISアクチュエータ244について説明する。前側OISアクチュエータ244は、第一軸を中心にホルダ241を揺動させる。第一軸とは、Y方向に平行な軸である。具体的には、第一軸とは、一対の揺動ガイド部材245の揺動ガイド面と、一対の揺動支持バネ243のバネ側ガイド面243hとの当接部を通るY軸に平行な軸である。
【0072】
前側OISアクチュエータ244は、プリズム23の光路屈曲面231及びホルダ241とZ方向(つまり、第一光軸の方向)に重なるようにプリズム23及びホルダ241の裏側(つまり、Z方向-側)に配置されている。前側OISアクチュエータ244は、第一マグネット244a、第一コイル244c、及び、第一ホール素子244eを備える。
【0073】
第一マグネット244aは、可動側部材であるホルダ241の裏側面(つまり、Z方向-側の面)に固定されている。第一マグネット244aは、X方向に隣り合う2個のマグネット素子からなる。これら各マグネット素子はそれぞれ、Z方向に着磁され、片側に一つの磁極を有する。各マグネット素子の磁極の向きは、互いに反対である。
【0074】
第一コイル244c及び第一ホール素子244eは、第一ベース22の裏側面に固定された、フレキシブルプリント回路基板(以下、FPC)25の表面(つまり、Z方向+側の面)に固定されている。
【0075】
第一コイル244c及び第一ホール素子244eは、第一ベース22のベース側開口部220に配置されている。なお、第一コイル244cは、長円形状のいわゆる空心コイルである。第一ホール素子244eは、第一コイル244cの径方向の内側に配置されている。
【0076】
以上のような構成を有する前側OISアクチュエータ244は、制御部5(
図18参照)の制御下で、第一軸を中心にホルダ241を揺動させる。
【0077】
<レンズモジュール>
次に、
図1及び
図9A~
図26Bを参照してレンズモジュール3について説明する。レンズモジュール3は、第二カバー31、第二ベース32、レンズ部33、AF装置34、及び、第二振れ補正装置35を備える。
【0078】
<第二カバー>
図1、
図9A、及び、
図9Bを参照して第二カバー31について説明する。第二カバー31は、例えば合成樹脂製又は非磁性金属製であり、X方向両側及びZ方向-側(つまり、裏側)が開口した箱状部材である。
【0079】
具体的には、第二カバー31は、天板部31a、前板部31b、後板部31c、第一側板部31d、及び、第二側板部31eを有する。
【0080】
天板部31aは、矩形状の板部材である。このような天板部31aは、第二カバー31におけるZ方向+側に配置されている。天板部31aは、X方向における一端部(プリズムモジュール2(
図1参照)側の端部であって、X方向-側の端部)に切欠部31fを有する。
【0081】
切欠部31fは、天板部31aのX方向-側の端部から、X方向+側に向かって切り欠かれている。このような切欠部31fは、平面視で、Y方向に長い矩形状である。
【0082】
前板部31bは、矩形状の板状部材であって、天板部31aのX方向-側の端部から、Z方向-側に延在している。前板部31bは、中央部を含む部分に、前側開口部31gを有する。前側開口部31gは、レンズ部33のX方向-側の端面が、X方向-側に露出可能な大きさを有する。プリズムモジュール2からの光は、前側開口部31gを通過してレンズ部33に入光する。
【0083】
また、前側開口部31gは、天板部31aの切欠部31fと連続している。従って、前側開口部31gのZ方向+側の縁部は、天板部31aと前板部31bとにより形成される角部31hに存在しない。このような構成は、前側開口部31gの加工を容易にすることができる。
【0084】
後板部31cは、矩形状の板状部材であって、天板部31aのX方向+側の端部から、Z方向-側に延在している。後板部31cは、中央部を含む部分に、後側開口部31iを有する。後側開口部31iは、レンズ部33のX方向+側の端面が、X方向+側に露出可能な大きさを有する。レンズ部33からの光は、後側開口部31iを通過して撮像素子モジュール4に入光する。
【0085】
第一側板部31dは、矩形状の板状部材であって、天板部31aのY方向+側の端部から、Z方向-側に延在している。また、第二側板部31eは、矩形状の板状部材であって、天板部31aのY方向-側の端部から、Z方向-側に延在している。以上のような第二カバー31は、後述する第二ベース32にZ方向+側から組み合わされている。
【0086】
<第二ベース>
図10A、
図10B、及び、
図19~
図23を参照して第二ベース32について説明する。第二ベース32は、既述の第二カバー31と組み合わされることにより、レンズ部33、AF装置34、及び、第二振れ補正装置35を配置可能な第二収容空間32c(
図1参照)を形成している。
【0087】
第二ベース32は、下側ベース要素32aと上側ベース要素32bとが組み合わされて構成されている。
【0088】
第二ベース32は、底面部32d及び一対の第二側壁部32g、32hを有する。底面部32dは、合成樹脂製の基部と、当該基部にインサート成形された金属製の補強プレート32kとを有する。このような補強プレート32kは、底面部32dの高剛性化及び薄肉化に寄与する。
【0089】
第二ベース32の補強プレート32kは、後述するレンズガイド341よりもZ方向-側に、レンズガイド341に対して重なるように配置されている。具体的にはレンズガイド341がオートフォーカスの動作の際に移動可能な範囲(つまり、X方向に移動可能な範囲)及び振れ補正の動作の際に移動可能な範囲(つまり、Y方向に移動可能な範囲)の何れの位置に存在する場合でも、補強プレート32kのZ方向+側に、レンズガイド341が存在する。このため、補強プレート32kの表面(つまり、Z方向+側の面)は、常にレンズガイド341により覆われて露出しない。これにより、補強プレート32kによる反射光が、レンズ部33、ひいては後述する撮像素子モジュール4の撮像素子に入光しないようにしている。
【0090】
第二ベース32は、底面部32dにおける補強プレート32kのY方向両側部分に、それぞれ底面貫通孔32e、32f(
図19、
図20参照)を有する。
図22及び
図23に示すように、底面貫通孔32e、32fにはそれぞれ、後述するAFアクチュエータ345の第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bが配置されている。
【0091】
第二側壁部32g、32hはそれぞれ、底面部32dのY方向両端部からZ方向+側に延在している。第二側壁部32gは、
図21Aに示すように、下側ベース要素32aの第二下壁要素32a1と、上側ベース要素32bの第二上壁要素32b1とが組み合わされて構成されている。また、第二側壁部32hは、下側ベース要素32aの第二下壁要素32a2と、上側ベース要素32bの第二上壁要素32b2とが組み合わされて構成されている。
【0092】
図22及び
図23に示すように、第二側壁部32g、32hはそれぞれ、コイル載置部32i、32jを有する。このようなコイル載置部32i、32jにはそれぞれ、後述する第二振れ補正装置35の第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bが載置されている。本実施形態の場合、コイル載置部32i、32jは、上側ベース要素32bの第二上壁要素32b1、32b2の上面に設けられている。
【0093】
コイル載置部32iは、Z方向において、レンズガイド341の第一張出部34a1と第二張出部34a3(
図11参照)との間に配置されている。また、コイル載置部32jは、Z方向において、レンズガイド341の第一張出部34a2と第二張出部34a4(
図12参照)との間に配置されている。
【0094】
上側ベース要素32bの第二上壁要素32b1は、一対の接続孔321i、322i(
図21B参照)を有する。接続孔321iは、第二上壁要素32b1のX方向+側の端部に設けられている。接続孔322iは、第二上壁要素32b1のX方向-側の端部に設けられている。接続孔321i、322iはそれぞれ、Z方向において、第二上壁要素32b1を貫通している。このような接続孔321i、322iの内側には、はんだ(不図示)が配置されている。
【0095】
接続孔321i、322iの内側に設けられたはんだは、コイル載置部32iに配置された第一OISコイル352bと、第二上壁要素32b1よりもZ方向-側に配置されたFPC344の第一ターミナル部34d1(
図11及び
図16参照)とを、接続している。このようなはんだはそれぞれ、ディスペンサーなどにより、接続孔321i、322iのZ方向-側の開口部から、接続孔321i、322iに供給される。
【0096】
上側ベース要素32bの第二上壁要素32b2は、一対の接続孔321j、322j(
図21B参照)を有する。接続孔321jは、第二上壁要素32b2のX方向+側の端部に設けられている。接続孔322jは、第二上壁要素32b2のX方向-側の端部に設けられている。接続孔321j、322jはそれぞれ、Z方向において、第二上壁要素32b2を貫通している。このような接続孔321j、322jの内側には、はんだ(不図示)が配置されている。
【0097】
接続孔321j、322jの内側に設けられたはんだは、コイル載置部32jに配置された第二OISコイル353bと、第二上壁要素32b2よりもZ方向-側に配置されたFPC344の第二ターミナル部34d2(
図12及び
図17参照)とを、接続している。このようなはんだは、ディスペンサーなどにより、接続孔321j、322jのZ方向-側の開口部から、接続孔321j、322jに供給される。
【0098】
また、
図22に示すように、コイル載置部32iと底面部32dとの間には、後述するAFアクチュエータ345の第一AFマグネット346aが配置されている。また、
図23に示すように、コイル載置部32jと底面部32dとの間には、AFアクチュエータ345の第二AFマグネット347aが配置されている。第一AFマグネット346a及び第二AFマグネット347aは、後述するレンズガイド341に保持されている。
【0099】
本実施形態の場合、底面貫通孔32e、32fとコイル載置部32i、32jとがZ方向に所定の距離間隔をあけて重なっている。従って、底面貫通孔32e、32fに配置されている第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bと、コイル載置部32i、32jに載置されている第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bとは、Z方向に所定の距離間隔をあけて重なっている。
【0100】
また、第二側壁部32gは、Y方向+側の側面におけるX方向両端部に、後述するスプリング3421、3423を配置するためのスプリング配置部32m1、32m3(
図10A及び
図20参照)を有する。一方、第二側壁部32hは、Y方向-側の側面におけるX方向両端部に、後述するスプリング3422、3424を配置するためのスプリング配置部32m2、32m4(
図10B及び
図19参照)を有する。
【0101】
また、第二ベース32は、X方向+側端部に、基準部32nを有する。基準部32nは、第二ベース32のX方向+側の端部に設けられた板状部材である。基準部32nは、中央部に、レンズ部33を通過した光を撮像素子モジュール4に導光する貫通孔を有する。基準部32nのX方向+側の側面は、後述する撮像素子モジュール4のX方向の基準面となる。このような基準部32nは、撮像素子モジュール4を位置決めするための部材である。
【0102】
また、基準部32nは、X方向-側の側面に、後述するレンズガイド341のX方向の基準面となる第一基準面32n1(
図20及び
図26B参照)を有する。このような第一基準面32n1は、後述のキャリブレーションの際の基準でもある。
【0103】
<レンズ部>
レンズ部33は、後述するレンズガイド341に保持された状態で、第二収容空間32c(
図1参照)に配置されている。このようなレンズ部33は、
図10A~
図12に示すように筒状のレンズバレル33A、及び、レンズバレル33Aに保持された1以上のレンズ33Bを有する。一例として、レンズ部33は、レンズバレル33AのX方向-側の端部とレンズバレル33AのX方向+側の端部との間に固定された、例えば光学3倍以上の望遠レンズ群を有する。なお、レンズ部33の構造は、上述の構造に限定されない。
【0104】
<AF装置>
図10A~
図18を参照して、AF装置34について説明する。AF装置34は、オートフォーカスを目的として、レンズ部33をX方向に変位させる。具体的には、AF装置34は、レンズガイド341、第一支持機構342、FPC344、及び、AFアクチュエータ345を有する。AF装置34は、駆動部の一例に該当する。
【0105】
<レンズガイド>
図11~
図14を参照して、レンズガイド341について説明する。
図11は、一部の部材を省略した状態のレンズモジュール3を、Y方向+側から見た図である。
図12は、一部の部材を省略した状態のレンズモジュール3を、Y方向-側から見た図である。
図14は、第二ベース32を省略した状態のレンズモジュール3を、X方向-側から見た図である。
【0106】
レンズガイド341は、筒状のレンズ保持部341a、一対の第一張出部34a1、34a2、及び一対の第二張出部34a3、34a4を有する。レンズガイド341は、全体が合成樹脂製である。なお、レンズガイド341は、金属製であってもよい。また、レンズガイド341は、合成樹脂製の部分と、金属製の部分とを有してもよい。
【0107】
このようなレンズガイド341は、X方向(つまり、第二光軸の方向)及びY方向の変位を可能な状態で、第二収容空間32cに配置されている。レンズガイド341は、可動側部材の一例に該当する。また、レンズガイド341は、可動側部材の本体の一例に該当すると捉えてもよい。
【0108】
レンズ保持部341aは、レンズバレル33Aを保持可能な収容空間を有する。
【0109】
一対の第一張出部34a1、34a2はそれぞれ、筒状のレンズ保持部341aの外周面の2箇所から、Y軸方向において互いに反対方向に延在している。
【0110】
一対の第二張出部34a3、34a4はそれぞれ、筒状のレンズ保持部341aの外周面のうち、一対の第一張出部34a1、34a2よりもZ方向+側の2箇所から、Y軸方向において互いに反対方向に延在している。
【0111】
一方(Y方向+側)の第一張出部34a1と一方(Y方向+側)の第二張出部34a3とは、Z方向において空間34b1を介して重なっている。他方(Y方向-側)の第一張出部34a2と他方(Y方向-側)の第二張出部34a4とは、Z方向において空間34b2を介して重なっている。
【0112】
レンズガイド341は、後述するAFアクチュエータ345の第一AFマグネット346aを保持する第一マグネット保持部34a5(
図13参照)、及び、第二AFマグネット347aを保持する第一マグネット保持部34a6(
図13参照)を有する。具体的には、第一マグネット保持部34a5、34a6はそれぞれ、一対の第一張出部34a1、34a2に設けられている。
【0113】
第一マグネット保持部34a5、34a6はそれぞれ、Z方向両側が開口した矩形枠状である。このような第一マグネット保持部34a5、34a6はそれぞれ、第二ベース32の一対のコイル載置部32i、32j(
図22及び
図23参照)のZ方向-側に配置されている。また、一対の第一マグネット保持部34a5、34a6と第二ベース32の底面貫通孔32e、32fとは、Z方向に平行な同一直線上に設けられている。一対の第一マグネット保持部34a5、34a6は、底面貫通孔32e、32fよりもZ方向+側に設けられている。
【0114】
レンズガイド341は、後述する後側OISアクチュエータ351の第一OISマグネット352aを保持する第二マグネット保持部34a7(
図11参照)を有する。また、レンズガイド341は、後側OISアクチュエータ351の第二OISマグネット353aを保持する第二マグネット保持部34a8(
図12参照)を有する。具体的には、第二マグネット保持部34a7、34a8はそれぞれ、一対の第二張出部34a3、34a4に設けられている。
【0115】
一対の第二マグネット保持部34a7、34a8はそれぞれ、Z方向-側が開口した凹部である。このような一対の第二マグネット保持部34a7、34a8と、第二ベース32のコイル載置部32i、32jとは、Z方向に平行な同一直線上に設けられている。一対の第二マグネット保持部34a7、34a8は、コイル載置部32i、32jよりもZ方向+側に設けられている。
【0116】
レンズガイド341は、第一マグネット保持部34a5の近傍に、AFアクチュエータ345の第一X位置検出マグネット346dを保持する第三マグネット保持部34b3(
図11参照)を有する。また、レンズガイド341は、第一マグネット保持部34a6の近傍に、AFアクチュエータ345の第二X位置検出マグネット347dを保持する第三マグネット保持部34b4(
図12参照)を有する。
【0117】
具体的には、第三マグネット保持部34b3、34b4はそれぞれ、一対の第一張出部34a1、34a2のうち、第一マグネット保持部34a5、34a6よりもX方向-側に設けられている。なお、第三マグネット保持部34b3、34b4の位置は、第一マグネット保持部34a5、34a6の近傍であれば、上述の位置に限定されない。
【0118】
レンズガイド341は、第一マグネット保持部34a5の近傍に、後側OISアクチュエータ351の第一Y位置検出マグネット352cを保持する第四マグネット保持部34b5(
図13参照)を有する。また、レンズガイド341は、第一マグネット保持部34a6の近傍に、後側OISアクチュエータ351の第二Y位置検出マグネット353cを保持する第四マグネット保持部34b6(
図13参照)を有する。
【0119】
具体的には、一対の第四マグネット保持部34b5、34b6はそれぞれ、一対の第一張出部34a1、34a2のうち、第一マグネット保持部34a5、34a6よりもX方向+側に設けられている。なお、一対の第四マグネット保持部34b5、34b6の位置は、第一マグネット保持部34a5、34a6の近傍であれば、上述の位置に限定されない。
【0120】
レンズガイド341がX方向+側に最も変位した状態において、レンズガイド341のX方向+側の端面(以下、「レンズガイド側基準面」という。)は、基準部32nの第一基準面32n1に当接する。
【0121】
レンズガイド341のレンズガイド側基準面と、第一基準面32n1とはそれぞれ、YZ平面に平行な平坦面である。従って、レンズガイド側基準面と第一基準面32n1とが当接(面接触)した状態において、レンズガイド341は、X方向(つまり、第二光軸の方向)に対してY方向及びZ方向に傾斜しない状態(以下、「レンズガイド341の基準状態」という。)となる。
【0122】
<固定プレート>
図11~
図13、及び、
図24A~
図24Cを参照して、固定プレート36A、36Bについて説明する。なお、
図24A~
図24Cには、組付状態に対応する固定プレート36Aが示されている。固定プレート36Bは、組付状態において、
図24A~
図24Cに示す固定プレート36Bと、Y方向において対称である。固定プレート36A、36Bはそれぞれ、マグネット固定部の一例に該当する。
【0123】
固定プレート36Aは、第三マグネット保持部34b3に配置された第一X位置検出マグネット346d及び第四マグネット保持部34b5に配置された第一Y位置検出マグネット352cを、レンズガイド341に固定するための部材である。固定プレート36A、36Bは、レンズガイド341とともに、可動側部材を構成すると捉えてよい。
【0124】
固定プレート36Aは、
図24A~
図24Cに示すように、第一固定部361と、第二固定部362と、接続部363と、を有する。固定プレート36Aは、全体が非磁性金属製である。
【0125】
第一固定部361は、XY平面に平行な板状である。第一固定部361は、上面(Z方向+側の面)に、第一固定面364を有する。また、第一固定部361は、下面(Z方向-側の面)に、第二固定面365を有する。第一固定部361は、第一係止部366a及び第二係止部366bを有する。
【0126】
第一係止部366aは、第一固定部361の第一端部(X方向+側の端部)に設けられている。第二係止部366bは、第一固定部361の第二端部(X方向-側の端部)に設けられている。第一係止部366a及び第二係止部366bは、レンズガイド341に係止される係止部の一例に該当する。
【0127】
第一固定部361は、第四マグネット保持部34b5に配置された第一Y位置検出マグネット352cよりも上方に配置されている。
【0128】
また、第一固定部361がレンズガイド341に対して上述のように配置された状態で、第一係止部366a及び第二係止部366bは、レンズガイド341と、Z方向に係合している。このような係合により、第一固定部361は、レンズガイド341に対するZ方向-側への移動を規制されている。
【0129】
また、第一固定部361の第一固定面364は、レンズガイド341に接着剤により接着されている。具体的には、第一固定面364は、レンズガイド341における、第四マグネット保持部34b5よりも上方に設けられた部分に接着剤により接着されている。以上のように、第一固定部361は、レンズガイド341に対する接着及び係合によりZ方向-側への移動を規制された状態で、レンズガイド341に固定されている。
【0130】
第一固定部361の第二固定面365は、第一Y位置検出マグネット352cの上面に接着剤により接着されている。このような第二固定面365は、取付面の一例に該当する。このようにして、第一固定部361は、第一Y位置検出マグネット352cをレンズガイド341に固定している。なお、固定プレート36Aが省略された場合には、取付面は、レンズガイド341に直接設けられてもよい。
【0131】
第二固定部362は、XY平面に平行な板状である。第二固定部362は、上面(Z方向+側の面)に、第三固定面367を有する。また、第二固定部362は、下面(Z方向-側の面)に、第四固定面368を有する。第二固定部362は、第三係止部369a及び第四係止部369bを有する。
【0132】
第三係止部369aは、第二固定部362の第一端部(X方向+側の端部)に設けられている。第四係止部369bは、第二固定部362の第二端部(X方向-側の端部)に設けられている。第三係止部369a及び第四係止部369bは、レンズガイド341に係止される係止部の一例に該当する。
【0133】
第二固定部362は、第三マグネット保持部34b3に配置された第一X位置検出マグネット346dよりも上方に配置されている。
【0134】
また、第二固定部362がレンズガイド341に対して上述のように配置された状態で、第三係止部369a及び第四係止部369bは、レンズガイド341と、Z方向に係合している。このような係合により、第二固定部362は、レンズガイド341に対するZ方向-側への移動を規制されている。
【0135】
また、第二固定部362の第三固定面367は、レンズガイド341に接着剤により接着されている。具体的には、第三固定面367は、レンズガイド341における、第三マグネット保持部34b3よりも上方に設けられた部分に接着剤により接着されている。以上のように、第二固定部362は、レンズガイド341に対する接着及び係合によりZ方向-側への移動を規制された状態で、レンズガイド341に固定されている。
【0136】
第二固定部362の第四固定面368は、第一X位置検出マグネット346dの上面に接着剤により接着されている。このような第四固定面368は、取付面の一例に該当する。このようにして、第二固定部362は、第一X位置検出マグネット346dをレンズガイド341に固定している。
【0137】
接続部363は、第一固定部361と第二固定部362とを接続している。具体的には、接続部363は、第一固定部361と第二固定部362とを、X方向に接続している。接続部363は、省略されてもよい。
【0138】
本実施形態の場合、接続部363は、位置決め凸部363a、363bを有する。位置決め凸部363a、363bはそれぞれ、接続部363の第一側面(Y方向における内側面)に設けられている。第一側面は、組付状態において、後述のシールド板7AのY方向における外側面76(
図16参照)に対向する面である。
【0139】
位置決め凸部363a、363bは、接続部363の第一側面においてX方向に離れた2箇所位置に設けられている。このような位置決め凸部363a、363bは、接続部363の第一側面からシールド板7Aの外側面76に向かって突出している。
【0140】
位置決め凸部363a、363bは、固定プレート36Aがレンズガイド441に組み付けられる際、シールド板7Aの外側面76と当接して、固定プレート36Aの組付けをガイドする。このような位置決め凸部363a、363bは、固定プレート36Aを組付ける作業の効率向上に寄与する。なお、組付状態において、位置決め凸部363a、363bと、シールド板7Aの外側面76とは、離れている。換言すれば、組付状態において、位置決め凸部363a、363bと、シールド板7Aの外側面76との間には、Y方向の隙間が存在する。
【0141】
なお、固定プレート36Aは、第一Y位置検出マグネット352cに接着される面(第二固定面365)、及び、第一X位置検出マグネット346dに接着される面(第四固定面368)が金属製で、その他の部分が非金属製(例えば、合成樹脂製)であってもよい。
【0142】
固定プレート36Bは、第三マグネット保持部34b4に配置された第二X位置検出マグネット347d及び第四マグネット保持部34b6に配置された第二Y位置検出マグネット353cを、レンズガイド341に固定するための部材である。固定プレート36Bは、レンズガイド341とともに、可動側部材を構成すると捉えてよい。
【0143】
固定プレート36Bは、固定プレート36Aと同様に、第一固定部361と、第二固定部362と、接続部363と、を有する。固定プレート36Bは、全体が非磁性金属製である。このような固定プレート36Bの構造は、固定プレート36Aの構造と同様であるため、構造についての説明は省略する。
【0144】
固定プレート36Bの第一固定部361は、第四マグネット保持部34b6に配置された第二Y位置検出マグネット353cよりも上方に配置されている。固定プレート36Bの第一固定部361は、第二Y位置検出マグネット353cをレンズガイド341に固定している。
【0145】
固定プレート36Bの第二固定部362は、第三マグネット保持部34b4に配置された第二X位置検出マグネット347dよりも上方に配置されている。固定プレート36Bの第二固定部362は、第二X位置検出マグネット347dをレンズガイド341に固定している。
【0146】
<第一支持機構>
図10A~
図12、及び、
図15を参照して、第一支持機構342について説明する。第一支持機構342は、レンズガイド341を第二ベース32に、第二ベース32に対する変位を可能な状態で弾性的に支持している。
【0147】
第一支持機構342は、複数個(本実施形態の場合4個)のスプリング3421~3424を有する。スプリング3421~3424は、レンズガイド341を第二ベース32に弾性的に支持している。この状態で、レンズ部33は、第二ベース32に対してX方向及びY方向に変位できる。
【0148】
また、第一支持機構342は、レンズガイド341の第二ベース32に対するZ方向への変位を、所定範囲に規制している。所定範囲とは、スプリング3421~3424の弾性変形に基づいてレンズガイド341が変位可能な範囲である。
【0149】
スプリング3421は、レンズガイド341のX方向+側かつY方向+側の端部を第二ベース32に支持している(
図10A参照)。スプリング3422は、レンズガイド341のX方向+側かつY方向-側の端部を第二ベース32に支持している(
図10B参照)。
【0150】
スプリング3423は、レンズガイド341のX方向-側かつY方向+側の端部を第二ベース32に支持している(
図10A参照)。さらに、スプリング3424は、レンズガイド341のX方向-側かつY方向-側の端部を第二ベース32に支持している(
図10B参照)。
【0151】
スプリング3421~3424はそれぞれ、
図15に示すように、第一固定部342b、第二固定部342c、及び、接続部342dを有する。なお、
図15には、組付状態における配置のままのスプリング3421~3424が示されている。
【0152】
第一固定部342bは、可動側部材であるレンズガイド341に固定されている。第二固定部342cは、固定側部材である第二ベース32に固定されている。
【0153】
接続部342dは、第一固定部342bと第二固定部342cとを接続している。接続部342dは、例えば、少なくとも一部が湾曲した(具体的には、蛇行状に曲げ成形された)線状部材からなる。
【0154】
具体的には、接続部342dはそれぞれ、Z方向+側から順に、第一曲げ部342eと第二曲げ部342fとを有する。このようなスプリング3421~3424はそれぞれ、第二ベース32のスプリング配置部32m1~32m4(
図10A及び
図10B参照)に配置されている。
【0155】
第一曲げ部342eは、蛇行状に折り曲げられた部分であり、接続部342dにおける一端部(Z方向+側の端部)に設けられている。このような第一曲げ部342eは、第二ベース32に対してレンズ部33がZ方向に変位する際、接続部342dの長さ方向(Z方向)に弾性変形する。
【0156】
なお、第一曲げ部342eの位置は、本実施形態の位置に限定されない。第一曲げ部342eは、接続部342dの一方側の半部(つまり、第一固定部342b側の半部)に設けられると好ましい。また、第一曲げ部342eは、本実施形態のように、接続部342dの一端部に設けられると、より好ましい。図示は省略するが、組付状態において、第一曲げ部342eはそれぞれ、ゲル状の制振部材に覆われてもよい。
【0157】
第二曲げ部342fは、接続部342dにおける他端部(Z方向-側の端部)に設けられ、蛇行状に折り曲げられた線状部材である。第二曲げ部342fは、第二ベース32に対してレンズ部33がZ方向に変位する際、接続部342dの長さ方向(Z方向)に弾性変形する。第二ベース32に対してレンズ部33がZ方向に変位する際の第二曲げ部342fの変位量は、第一曲げ部342eの変位量よりも小さい。
【0158】
また、第二ベース32に対してレンズ部33がX方向に変位する際、接続部342dは、第二固定部342c側の端部近傍を支点に揺動するように変位する。従って、接続部342dにおいて当該支点から遠い(換言すれば、第一固定部342bに近い)部分ほど、第二ベース32に対してレンズ部33がX方向に変位する際の変位量が大きい。
【0159】
なお、第二曲げ部342fの位置は、本実施形態の位置に限定されない。第二曲げ部342fは、接続部342dの他方側の半部(つまり、第二固定部342c側の半部)に設けられると好ましい。また、第二曲げ部342fは、本実施形態のように、接続部342dの他端部に設けられると、より好ましい。また、本実施形態において、第二曲げ部342fは、省略されてもよい。すなわち、接続部342dは、一箇所にのみ曲げ部を有する構成でもよい。なお、図示は省略するが、第二曲げ部342fはそれぞれ、ゲル状の制振部材に覆われてもよい。
【0160】
本実施形態の場合、接続部342dは、X方向において方向性を有する。スプリング3421とスプリング3422とは、X方向において同方向となるように配置されている。換言すれば、スプリング3421とスプリング3422とは、例えば、Y方向+側から見た場合に、少なくとも接続部342dが重なるように配置されている。
【0161】
スプリング3423とスプリング3424とは、X方向において同方向となるように配置される。換言すれば、スプリング3423とスプリング3424とは、例えば、Y方向+側から見た場合に、少なくとも接続部342dが重なるように配置されている。
【0162】
スプリング3421とスプリング3423とは、X方向において、接続部342dが同方向を向くように配置されている。スプリング3422とスプリング3424とは、X方向において、接続部342dが同方向を向くように配置されている。ただし、変形例として、スプリング3421とスプリング3423とは、Y方向から見た場合に接続部342dがZ軸を対称軸として線対称の関係であってもよい。また、スプリング3422とスプリング3424についても、Y方向から見た場合に接続部342dがZ軸を対称軸として線対称の関係であってよい。このような変形例の場合にも、スプリング3421とスプリング3422、及び、スプリング3423とスプリング3424は、X方向において同方向となるように配置されていると好ましい。
【0163】
また、本実施形態の場合、
図15に示すように、例えば、Z方向+側から見てレンズガイド341の対角位置に配置されたスプリング3421の中心とスプリング3424の中心とを結んだ直線をL
1とし、スプリング3422の中心とスプリング3423の中心とを結んだ直線をL
2とした場合に、直線L
1と直線L
2との交点(分散配置の中心位置ともいう。)が、後述する基準位置における可動側部材の重心Gと一致又はほぼ一致している。
【0164】
各スプリング3421~3424の中心とは、例えば、各スプリング3421~3424のZ方向の中央位置かつX方向中央位置である。また、レンズガイド341の基準位置とは、オートフォーカス機能によりレンズガイド341がX方向に変位していない状態、かつ、後述する第二振れ補正装置35によりY方向に変位していない状態をいう。このような構成により、上記可動側部材の重心Gを通りかつZ方向に平行な直線L3まわりのレンズガイド341の共振が低減される。
【0165】
なお、上述のような各スプリング3421~3424は、以下のようにして配置されている。上記重心Gを通り第二光軸の方向(つまり、X方向)に平行な直線を直線L
4(
図15参照)とした場合に、X方向+側の一対のスプリング3421、3422は、上記直線L
4に関して対称、かつ、重心GからX方向+側(
図15の右側)に所定距離だけ離れた2箇所位置に配置される。一方、X方向-側の一対のスプリング3423、3424は、上記直線L
4に関して対称、かつ、重心GからX方向-側(
図15の左側)に上記所定距離だけ離れた2箇所位置に配置される。これにより、上記直線L
1と上記直線L
2との交点が、上記重心Gに一致する。
【0166】
[FPC]
図16~
図18、
図22、及び、
図23を参照して、FPC344について説明する。FPC344は、フレキシブルプリント回路基板であって、第二ベース32(
図10A及び
図10B参照)に固定されている。
【0167】
FPC344は、FPC基部344aと、第一ターミナル部34d1、第二ターミナル部34d2、第三ターミナル部34d3、第一コイル固定部34d4、第二コイル固定部34d5、第一コントローラ固定部34d6、第二コントローラ固定部34d7、ホール素子固定部34d8、及び、AF駆動制御回路344b(
図18参照)を有する。
【0168】
FPC基部344aは、XY平面に平行な板状部材であって、第二ベース32(
図10A及び
図10B参照)に固定されている。
【0169】
第一ターミナル部34d1及び第二ターミナル部34d2はそれぞれ、FPC基部344aのX方向+側の端部においてY方向に離れた2箇所から、Z方向+側に延在している。第一ターミナル部34d1は、第一OISコイル352bに電気的に接続されている。一方、第二ターミナル部34d2は、第二OISコイル353bに電気的に接続されている。
【0170】
第三ターミナル部34d3は、撮像素子モジュール4が実装されているセンサ基板6(
図18)に接続される。
図18に示すように、第三ターミナル部34d3は、電源端子T1、接地端子T2、データ信号端子T3、第一クロック端子T4、及び第二クロック端子T5を有する。FPC344がセンサ基板6に接続された状態で、このような第三ターミナル部34d3の各端子はそれぞれ、センサ基板6の基板側回路6aにおいて対応する各端子接続される。
【0171】
第一コイル固定部34d4及び第二コイル固定部34d5はそれぞれ、FPC基部344aのZ方向+側の面において、レンズガイド341の第一マグネット保持部34a5、34a6とZ方向に対向する位置に設けられている。具体的には、第一コイル固定部34d4と第二コイル固定部34d5とは、FPC基部344aのZ方向+側の面において、第二光軸を中心にY方向における一方側(Y方向+側)と、Y方向における他方側(Y方向-側)とに離れて設けられている。
【0172】
このような第一コイル固定部34d4及び第二コイル固定部34d5にはそれぞれ、第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bが固定されている。第一コイル固定部34d4及び第二コイル固定部34d5はそれぞれ、第二ベース32の底面貫通孔32e、32f(
図19、
図20参照)に配置されている。
【0173】
第一コントローラ固定部34d6及び第二コントローラ固定部34d7はそれぞれ、FPC基部344aのZ方向+側の面において、第一コイル固定部34d4及び第二コイル固定部34d5の近傍に設けられている。具体的には、第一コントローラ固定部34d6及び第二コントローラ固定部34d7はそれぞれ、FPC基部344aのZ方向+側の面において、第一コイル固定部34d4及び第二コイル固定部34d5よりもX方向-側の近傍に設けられている。
【0174】
このような第一コントローラ固定部34d6及び第二コントローラ固定部34d7にはそれぞれ、第一AFコントローラ346c及び第二AFコントローラ347cが固定されている。
【0175】
ホール素子固定部34d8は、FPC基部344aのZ方向+側の面において、レンズガイド341の第四マグネット保持部34b6(
図12参照)とZ方向に対向する位置に設けられている。ホール素子固定部34d8には、後述する後側OISアクチュエータ351のOISホール素子353dが固定されている。
【0176】
AF駆動制御回路344bは、
図18に示すように、第一電源ラインL1、第二電源ラインL2、第一接地ラインL3、第二接地ラインL4、第一データ信号ラインL5、第二データ信号ラインL6、第一クロックラインL7、第二クロックラインL8、第一コイル給電ラインL9、L10、及び、第二コイル給電ラインL11、L12を有する。
【0177】
第一電源ラインL1は、センサ基板6に実装された制御部5から第一AFコントローラ346cに供給される電流の伝送線路である。第一電源ラインL1の一端は、第三ターミナル部34d3の電源端子T1に接続されている。第一電源ラインL1の他端は、第一AFコントローラ346cの入力側電源端子(不図示)に接続されている。
【0178】
第二電源ラインL2は、センサ基板6に実装された制御部5から第二AFコントローラ347cに供給される電流の伝送線路である。第二電源ラインL2の一端は、第三ターミナル部34d3の電源端子T1に接続されている。第二電源ラインL2の他端は、第二AFコントローラ347cの電源入力端子(不図示)に接続されている。以上のように、第一電源ラインL1と第二電源ラインL2とは、途中で分岐している。
【0179】
第一接地ラインL3は、グラウンド用の伝送線路である。第一接地ラインL3の一端は、第三ターミナル部34d3の接地端子T2に接続されている。第一接地ラインL3の他端は、第一AFコントローラ346cの接地端子(不図示)に接続されている。
【0180】
第二接地ラインL4は、グラウンド用の伝送線路である。第二接地ラインL4の一端は、第三ターミナル部34d3の接地端子T2に接続されている。第二接地ラインL4の他端は、第二AFコントローラ347cの接地端子(不図示)に接続されている。第一接地ラインL3と第二接地ラインL4とは、途中で分岐している。
【0181】
第一データ信号ラインL5は、制御部5と第一AFコントローラ346cとの間における制御信号の伝送線路である。第一データ信号ラインL5の一端は、第三ターミナル部34d3のデータ信号端子T3に接続されている。第一データ信号ラインL5の他端は、第一AFコントローラ346cの入力側データ信号端子(不図示)に接続されている。
【0182】
第二データ信号ラインL6は、制御部5と第二AFコントローラ347cとの間における制御信号の伝送線路である。第二データ信号ラインL6の一端は、第三ターミナル部34d3のデータ信号端子T3に接続されている。第二データ信号ラインL6の他端は、第二AFコントローラ347cの入力側データ信号端子(不図示)に接続されている。第一データ信号ラインL5と第二データ信号ラインL6とは、途中で分岐している。
【0183】
第一クロックラインL7は、制御部5と第一AFコントローラ346cとの間におけるクロック信号の伝送線路である。第一クロックラインL7の一端は、第三ターミナル部34d3の第一クロック端子T4に接続されている。第一クロックラインL7の他端は、第一AFコントローラ346cのクロック端子(不図示)に接続されている。
【0184】
第二クロックラインL8は、制御部5と第二AFコントローラ347cとの間におけるクロック信号の伝送線路である。第二クロックラインL8の一端は、第三ターミナル部34d3の第二クロック端子T5に接続されている。第二クロックラインL8の他端は、第二AFコントローラ347cのクロック端子(不図示)に接続されている。
【0185】
第一コイル給電ラインL9、L10は、第一AFコントローラ346cと第一AFコイル346bとを接続する伝送線路である。
【0186】
第一コイル給電ラインL9の一端は、第一AFコントローラ346cの出力側電源端子における第一端子(不図示)に接続されている。第一コイル給電ラインL9の他端は、第一AFコイル346bの一端に接続されている。
【0187】
第一コイル給電ラインL10の一端は、第一AFコントローラ346cの出力側電源端子における第二端子(不図示)に接続されている。第一コイル給電ラインL10の他端は、第一AFコイル346bの他端に接続されている。
【0188】
第二コイル給電ラインL11、L12は、第二AFコントローラ347cと第二AFコイル347bとを接続する伝送線路である。
【0189】
第二コイル給電ラインL11の一端は、第二AFコントローラ347cの出力側電源端子における第一端子(不図示)に接続されている。第二コイル給電ラインL11の他端は、第二AFコイル347bの一端に接続されている。
【0190】
第二コイル給電ラインL12の一端は、第二AFコントローラ347cの出力側電源端子における第二端子(不図示)に接続されている。第二コイル給電ラインL12の他端は、第二AFコイル347bの他端に接続されている。
【0191】
以上のようなAF駆動制御回路344bは、第三ターミナル部34d3を介して、センサ基板6に接続される。これにより、第一AFコントローラ346c及び第二AFコントローラ347cは、センサ基板6に実装された制御部5に接続される。
【0192】
[AFアクチュエータ]
図11、
図12、及び
図17を参照して、AFアクチュエータ345について説明する。AFアクチュエータ345は、オートフォーカスの際、レンズガイド341をX方向(第二光軸の方向)に変位させる。AFアクチュエータ345は、駆動機構の一例に該当する。
【0193】
AFアクチュエータ345は、Y方向+側に配置された第一AFアクチュエータ346と、Y方向-側に配置された第二AFアクチュエータ347とを有する。
【0194】
第一AFアクチュエータ346は、第一AFマグネット346a、第一AFコイル346b、第一X位置検出マグネット346d、及び、第一AFコントローラ346cを有する。
【0195】
第二AFアクチュエータ347は、第二AFマグネット347a、第二AFコイル347b、第二X位置検出マグネット347d、及び、第二AFコントローラ347cを有する。
【0196】
このような第一AFアクチュエータ346及び第二AFアクチュエータ347は、第一AFマグネット346a及び第二AFマグネット347aが、レンズガイド341に固定されるとともに、第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bが、第二ベース32に固定されたムービングマグネット型のアクチュエータである。
【0197】
なお、第一AFアクチュエータ346及び第二AFアクチュエータ347は、ムービングコイル型のアクチュエータであってもよい。以下、AFアクチュエータ345を構成する各部の配置について説明する。
【0198】
第一AFマグネット346a及び第二AFマグネット347aはそれぞれ、レンズガイド341の第一マグネット保持部34a5、34a6に配置されている。第一AFマグネット346aは、後述のシールド板7Aを介して、レンズガイド341に固定されている。また、第二AFマグネット347aは、後述のシールド板7Bを介して、レンズガイド341に固定されている。
【0199】
この状態で第一AFマグネット346a及び第二AFマグネット347aはそれぞれ、第二ベース32の一対のコイル載置部32i、32j(
図10A及び
図10B参照)のZ方向+側に配置されている。本実施形態の場合、第一AFマグネット346a及び第二AFマグネット347aはそれぞれ、Y方向に隣り合うように並べられた2個のマグネット要素(符号省略)からなる。これら各マグネット要素は、Z方向に着磁され、磁極の向きが反対になるように配置されている。
【0200】
また、第一AFマグネット346a及び第二AFマグネット347aはそれぞれ、X方向に長く、かつ、例えば、Y方向から見た(
図11及び
図12に示す状態)の形状が略矩形状の直方体である。
【0201】
第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bはそれぞれ、オートフォーカス時に給電される長円形状のいわゆる空心コイルである。第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bはそれぞれ、長軸がY方向に一致した状態で、FPC344の第一コイル固定部34d4及び第二コイル固定部34d5に基板(不図示)を介して固定されている。
【0202】
図18に示すように、第一AFコイル346bは、第一コイル給電ラインL9、L10を介して、第一AFコントローラ346cと接続されている。第一AFコイル346bの電流値は、第一AFコントローラ346cにより制御される。
【0203】
第一X位置検出マグネット346d及び第二X位置検出マグネット347dは、Z方向に着磁され、例えば、Y方向から見た(
図11及び
図12に示す状態)の形状が略矩形状の直方体である。このような第一X位置検出マグネット346d及び第二X位置検出マグネット347dはそれぞれ、レンズガイド341の一対の第三マグネット保持部34b3、34b4に保持されている。第一X位置検出マグネット346d及び第二X位置検出マグネット347dはそれぞれ、位置検出マグネットの一例に該当する。
【0204】
上述のように、第一X位置検出マグネット346dは、固定プレート36Aの第一固定部を介して、レンズガイド341に固定されている。また、第二X位置検出マグネット347dは、固定プレート36Bの第一固定部を介して、レンズガイド341に固定されている。
【0205】
第一AFコントローラ346cは、FPC344の第一コントローラ固定部34d6に固定されている。このような第一AFコントローラ346cは、
図18に示すように、第一検出部346eと、第一駆動制御部346fとを有する。
【0206】
第一検出部346eは、第一AFマグネット346aと第一X位置検出マグネット346dとの間の磁束(位置に関する情報ともいう。)を検出する。第一検出部346eは、検出値を、第一駆動制御部346fに送る。
【0207】
第一駆動制御部346fは、第一検出部346eから受け取った検出値に基づいて、第一AFマグネット346aのX方向における位置(第一位置ともいう。)を求める。そして、第一駆動制御部346fは、第一検出部346eから受け取った検出値に基づいて、第一AFコイル346bの電流値を制御する。なお、第一AFコントローラ346cは、第二AFコイル347bの電流値に関する制御は行わない。
【0208】
以上のように第一AFアクチュエータ346においては、第一検出部346eの検出値に基づいて、クローズドループ制御が行われる。なお、第一駆動制御部346fは省略されてもよい。この場合には、第一駆動制御部346fが行う処理は、例えば、センサ基板6に実装された制御部5により行われてもよい。
【0209】
また、第二AFコントローラ347cは、FPC344の第二コントローラ固定部34d7に固定されている。このような第二AFコントローラ347cは、
図18に示すように、第二検出部347eと、第二駆動制御部347fとを有する。
【0210】
第二検出部347eは、第二AFマグネット347aと第二X位置検出マグネット347dとの間の磁束(位置に関する情報ともいう。)を検出する。第二検出部347eは、検出値を、第二駆動制御部347fに送る。
【0211】
第二駆動制御部347fは、第二検出部347eから受け取った検出値(位置に関する情報)に基づいて、第二AFマグネット347aのX方向における位置(第二位置ともいう。)を求める。また、第二駆動制御部347fは、第二検出部347eから受け取った検出値に基づいて、第二AFコイル347bの電流値を制御する。なお、第二AFコントローラ347cは、第一AFコイル346bの電流値に関する制御は行わない。
【0212】
以上のように第二AFアクチュエータ347においては、第二AFコントローラ347cの検出値に基づいて、クローズドループ制御が行われる。なお、第二駆動制御部347fは省略されてもよい。この場合には、第二駆動制御部347fが行う処理は、例えば、センサ基板6に実装された制御部5により行われてもよい。
【0213】
上述のような構成を有する第一AFアクチュエータ346及び第二AFアクチュエータ347の場合、第一AFコントローラ346c及び第二AFコントローラ347cの制御下で、第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bに電流が流れると、第一AFマグネット346a及び第二AFマグネット347aをX方向に変位させるローレンツ力(推力)が生じる。
【0214】
このような推力は、第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bに流れる電流の向きを制御することにより切り換わる。これにより、レンズガイド341の変位方向を切り換えられる。
【0215】
本実施形態の構成は、第一AFアクチュエータ346の第一AFコイル346bの電流値と、第二AFアクチュエータ347の第二AFコイル347bの電流値とを独立して制御することにより、第一AFアクチュエータ346が発生する推力と、第二AFアクチュエータ347が発生する推力とを異ならせることができる。
【0216】
具体的には、第一AFアクチュエータ346が発生する推力と、第二AFアクチュエータ347が発生する推力とが同じ場合には、AFアクチュエータ345が発生する推力は、X方向の第一推力のみからなる。一方、第一AFアクチュエータ346が発生する推力と、第二AFアクチュエータ347が発生する推力とが異なる場合には、AFアクチュエータ345が発生する推力は、X方向の第一推力と、可動側部材の重心Gまわりのモーメントである第二推力とを有する。
【0217】
このような第二推力は、オートフォーカスの際、レンズガイド341をX方向から逸脱させようとする外力に抗する抵抗力となる。これにより、AFアクチュエータ345は、オートフォーカスの際、レンズガイド341のX方向からの逸脱量を少なく又はゼロにできる。なお、上述の外力については、後述する。
【0218】
また、本実施形態の場合、AFアクチュエータ345は、後述する第二振れ補正装置35が振れ補正を行う際に、可動側部材(レンズガイド341)をY方向から逸脱させるように作用する外力に抗する抵抗力を生成する第二駆動機構部でもある。
【0219】
つまり、AFアクチュエータ345は、後述する第二振れ補正装置35が振れ補正を行う際に、第一AFコントローラ346c及び第二AFコントローラ347cにより、第一AFマグネット346a及び第二AFマグネット347aのX方向における位置を検出する。
【0220】
そして、第一AFコントローラ346c及び第二AFコントローラ347cはそれぞれ、検出値に基づいて、第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bの電流値を制御する。これにより、AFアクチュエータ345は、第二振れ補正装置35が振れ補正を行う際、レンズガイド341をY方向から逸脱させようとする外力に対する抵抗力を生成する。この結果、AFアクチュエータ345は、振れ補正の際、レンズガイド341のY方向からの逸脱量を少なく又はゼロにできる。
【0221】
<第二振れ補正装置>
図11、
図12、及び、
図17を参照して、第二振れ補正装置35について説明する。第二振れ補正装置35は、駆動部であって、レンズ部33をY方向に変位させることにより、Y方向の振れ補正を行う。このような第二振れ補正装置35は、上述の第二収容空間32c(
図1参照)に配置されている。
【0222】
第二振れ補正装置35は、上述したレンズガイド341、上述した複数個のスプリング3421~3424、上述したFPC344、及び、後側OISアクチュエータ351を有する。
【0223】
レンズガイド341、スプリング3421~3424、及び、FPC344は、AF装置34と共通である。
【0224】
後側OISアクチュエータ351は、Y方向+側に配置された第一OISアクチュエータ352と、Y方向-側に配置された第二OISアクチュエータ353とを有する。
【0225】
図11に示すように、第一OISアクチュエータ352は、第一AFアクチュエータ346に対して、Z方向に所定の距離間隔をあけて重なった状態で配置されている。このような第一OISアクチュエータ352は、第一OISマグネット352a、第一OISコイル352b、及び、第一Y位置検出マグネット352cを有する。
【0226】
図12に示すように、第二OISアクチュエータ353は、第二AFアクチュエータ347に対して、Z方向に所定の距離間隔をあけて重なった状態で配置されている。このような第二OISアクチュエータ353は、第二OISマグネット353a、第二OISコイル353b、第二Y位置検出マグネット353c、及び、OISホール素子353dを有する。
【0227】
第一OISアクチュエータ352及び第二OISアクチュエータ353と、第一AFアクチュエータ346及び第二AFアクチュエータ347とを上述のように配置することにより、後側OISアクチュエータ351の駆動力の中心が、AFアクチュエータ345の駆動力の中心に一致又は近くなる。この構成により、オートフォーカス及び振れ補正の際、レンズガイド341がチルト変位(つまり、Y方向又はZ方向に平行な軸を中心とした揺動変位)しにくくなる。
【0228】
上述のような後側OISアクチュエータ351は、第一OISマグネット352a及び第二OISマグネット353aがレンズガイド341に固定されるとともに第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bが第二ベース32に固定されたムービングマグネット型のアクチュエータである。ただし、後側OISアクチュエータ351はムービングコイル型のアクチュエータであってもよい。
【0229】
第一OISマグネット352a及び第二OISマグネット353aはそれぞれ、レンズガイド341の第二マグネット保持部34a7及び第二マグネット保持部34a8に保持されている。
【0230】
本実施形態の場合、第一OISマグネット352a及び第二OISマグネット353aはそれぞれ、Y方向に隣り合うように並べられた2個のマグネット要素(符号省略)からなる。これら各マグネット要素は、Z方向に着磁され、磁極の向きが反対になるように配置されている。
【0231】
第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bはそれぞれ、振れ補正時に給電される長円形状のいわゆる空心コイルである。第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bはそれぞれ、長軸がX方向に一致した状態で、第二ベース32のコイル載置部32i、32jに固定されている。この状態で、第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bはそれぞれ、第一OISマグネット352a及び第二OISマグネット353aとZ方向に所定の距離間隔をあけて重なっている。
【0232】
上述のように第一OISアクチュエータ352(第一OISマグネット352a及び第一OISコイル352b)の少なくとも一部は、Z方向において、レンズガイド341の第一張出部34a1と第二張出部34a3との間に配置されている。一方、第二OISアクチュエータ353(第二OISマグネット353a及び第二OISコイル353b)の少なくとも一部は、Z方向において、レンズガイド341の第一張出部34a2と第二張出部34a4との間に配置されている。このような構成は、レンズモジュール3、延いてはカメラモジュール1の低背化に効果的である。
【0233】
第一Y位置検出マグネット352cは、レンズガイド341の第四マグネット保持部34b5に保持されている。また、第二Y位置検出マグネット353cは、レンズガイド341の第四マグネット保持部34b6に保持されている。第一Y位置検出マグネット352c及び第二Y位置検出マグネット353cは、位置検出マグネットの一例に該当する。
【0234】
既述のように、第一Y位置検出マグネット352cは、固定プレート36Aの第二固定部を介して、レンズガイド341に固定されている。また、第二Y位置検出マグネット353cは、固定プレート36Bの第二固定部を介して、レンズガイド341に固定されている。
【0235】
OISホール素子353dは、
図12に示すように、FPC344のホール素子固定部34d8(
図16参照)に固定されている。OISホール素子353dは、第二Y位置検出マグネット353cの磁束(位置に関する情報ともいう。)を検出し、検出値を、センサ基板6に実装された制御部5(
図18参照)に送る。制御部5は、OISホール素子353dから受け取った検出値に基づいて、第二Y位置検出マグネット353c(つまり、レンズガイド341)のY方向における位置を求める。
【0236】
以上のような構成を有する後側OISアクチュエータ351の場合、制御部5の制御下で、FPC344を介して第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bに電流が流れると、第一OISマグネット352a及び第二OISマグネット353aをY方向に変位させるローレンツ力が生じる。第一OISマグネット352a及び第二OISマグネット353aはそれぞれレンズガイド341に固定されているため、上記ローレンツ力に基づいてレンズガイド341が、Y方向に変位する。なお、第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bに流れる電流の向きを制御することにより、レンズガイド341の変位方向が切り換わる。
【0237】
なお、本実施形態の場合、後側OISアクチュエータ351と、AFアクチュエータ345とのクロストークを防止するために、第一OISマグネット352aと第一AFマグネット346aとのZ方向における間に、磁性金属製のシールド板7Aが設けられている(
図16、
図17、及び、
図25A~
図25C参照)。また、第二OISマグネット353aと第二AFマグネット347aとのZ方向における間に、磁性金属製のシールド板7B(
図16、
図17、及び、
図25A~
図25C参照)が設けられている。
【0238】
<シールド板>
図16、
図17、及び、
図25A~
図25Cを参照して、シールド板7A、7Bについて説明する。シールド板7Aは、本体71と、第一係止部72と、第二係止部73と、を有する。シールド板7A、7Bは、全体が磁性金属製である。シールド板7A、7Bはそれぞれ、マグネット固定部の一例に該当する。
【0239】
本体71は、XY平面に平行な板状である。本体71は、上面(Z方向+側の面)に、第一固定面74を有する。本体71は、下面(Z方向-側の面)に、第二固定面75を有する。
【0240】
第一係止部72は、本体71の第一端部(X方向+側端部)に設けられている。第一係止部72は、本体71の第一端部からX方向+側に突出している。第二係止部73は、本体71の第二端部(X方向-側端部)に設けられている。第二係止部73は、本体71の第二端部からX方向-側に突出している。
【0241】
上述のようなシールド板7Aは、第一マグネット保持部34a5に配置された第一AFマグネット346aよりも上方(Z方向+側)に配置されている。
【0242】
シールド板7Aがレンズガイド341に対して上述のように配置された状態で、本体71の第一固定面74は、レンズガイド341に接着剤により接着されている。具体的には、第一固定面74は、レンズガイド341における、第一マグネット保持部34a5よりも上方に設けられた部分に接着剤により接着されている。このような接着により、シールド板7Aは、レンズガイド341に対して固定されている。
【0243】
また、第一係止部72及び第二係止部73は、レンズガイド341と、Z方向に係合している。このような係合により、シールド板7Aは、レンズガイド341に対するZ方向-側への移動を規制されている。第一係止部72及び第二係止部73は、レンズガイド341と係止する係止部の一例に該当する。
【0244】
本体71の第二固定面75は、第一AFマグネット346aの上面に接着剤により接着されている。このような第二固定面75は、取付面の一例に該当する。このようにして、シールド板7Aは、第一AFマグネット346aをレンズガイド341に固定している。
【0245】
シールド板7Bは、シールド板7Aと同様に、本体71と、第一係止部72と、第二係止部73と、を有する。このようなシールド板7Bの構造は、シールド板7の構造と同様であるため、構造についての説明は所略する。
【0246】
シールド板7Bは、第一マグネット保持部34a6に配置された第二AFマグネット347aよりも上方(Z方向+側)に配置されている。シールド板7Bがレンズガイド341に対して上述のように配置された状態で、シールド板7Bは、シールド板7Aと同様の態様により、第二AFマグネット347aをレンズガイド341に対して固定している。
【0247】
なお、第一AFマグネット346aとシールド坂7Aとの接着、及び、第二AFマグネット347aとシールド板7Bとの接着に用いられる接着剤は、第一X位置検出マグネット346d及び第一Y位置検出マグネット352cと固定プレート36Aとの接着、並びに、第二X位置検出マグネット347d及び第二Y位置検出マグネット353cと固定プレート36Bとの接着に用いられる接着剤と同じである。つまり、可動側部材を変位させる駆動部のマグネットと可動側部材との接着に用いられる接着剤は、可動側部材の位置検出に用いられるマグネットと可動側部材(具体的には、マグネット固定部)との接着に用いられる接着剤と同じである。
【0248】
<撮像素子モジュール>
撮像素子モジュール4は、レンズ部33よりもX方向+側に配置されている。撮像素子モジュール4は、例えばCCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサーなどの撮像素子を含んで構成される。撮像素子モジュール4の撮像素子は、レンズ部33により結像された被写体像を撮像し、被写体像に対応する電気信号を出力する。撮像素子モジュール4にはセンサ基板6が電気的に接続され、センサ基板6を介して撮像素子モジュール4への給電及び撮像素子モジュール4で撮像された被写体像の電気信号の出力が行われる。このような撮像素子モジュール4は、従来から知られている構造のものを採用できる。
【0249】
<第二振れ補正装置及びAF装置の動作>
以下、
図18及び
図26Bを参照して、本実施形態の第二振れ補正装置35及びAF装置34の動作について説明する。なお、第一振れ補正装置24の動作については、説明を省略する。
【0250】
第二振れ補正装置35において振れ補正を行う場合には、第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bへの給電が行われる。具体的には、第二振れ補正装置35では、カメラモジュール1のY方向の振れが相殺されるように、振れ検出部(図示略、例えばジャイロセンサー)からの検出信号に基づいて、第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bの電流値が制御される。このような制御は、例えば、制御部5により行われる。このとき、OISホール素子353dの検出値を制御部5にフィードバックすることで、レンズガイド341の変位を正確に制御することができる。
【0251】
第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bに給電すると、第一OISコイル352bに流れる電流と第一OISマグネット352aの磁界、及び、第二OISコイル353bに流れる電流と第二OISマグネット353aの磁界との相互作用により、第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bにローレンツ力が生じる(フレミング左手の法則)。
【0252】
本実施形態の場合、ローレンツ力の方向は、Y方向における一方又は他方の何れかの方向(特定方向ともいう。)である。第一OISコイル352b及び第二OISコイル353bは、第二ベース32に固定されているので、第一OISマグネット352a及び第二OISマグネット353aに反力が働く。この反力がOIS用ボイスコイルモーターの駆動力となり、第一OISマグネット352a及び第二OISマグネット353aを保持するレンズガイド341がXY平面内でY方向に変位し、振れ補正が行われる。
【0253】
上述のような振れ補正は、レンズガイド341を、例えば、
図26Aの矢印A
Y1のようにY方向に平行に変位させると好ましい。ところが、振れ補正の際、レンズガイド341の変位をY方向から逸脱させるような外力(例えば、
図26Aの矢印A
fの方向のモーメント)が、レンズガイド341に作用する場合がある。このような外力が作用すると、レンズガイド341に作用する推力が、第二振れ補正装置35が生成するY方向に平行な推力(第一推力)のみだと、レンズガイド341は、
図26Aの矢印A
Y2のように、Y方向から逸脱した方向に変位してしまう。なお、上述の外力は、例えば、上述の第一支持機構342を構成するスプリング3421~3424における分散配置の中心位置(
図15の直線L
1と直線L
2との交点)と、上述の可動側部材の重心Gとのずれに起因して生じる可能性がある。あるいは、上述の外力は、例えば、第一支持機構342を構成するスプリング3421~3424の個体差に起因して生じる可能性がある。このような外力は、上述のモーメントだけでなく、例えば、X方向を向いた力の場合もある。あるいは、外力は、モーメント及びX方向を向いた力を含む場合もある。
【0254】
これに対して、本実施形態の場合、振れ補正の際、制御部5の制御下で、AFアクチュエータ345を駆動して、上記外力に抗する抵抗力(第二推力。)を生成する。具体的には、振れ補正の際、AFアクチュエータ345は、第一AFコントローラ346c(つまり、第一検出部346e)により第一AFマグネット346aの位置を検出するとともに、第二AFコントローラ347c(つまり、第二検出部347e)により第二AFマグネット347aの位置を検出する。
【0255】
そして、第一AFコントローラ346c(つまり、第一駆動制御部346f)は、制御部5から受け取った制御信号(例えば、振れ補正のための変位方向及び変位量)、及び、第一検出部346eの検出値に基づいて、第一AFコイル346bの電流値(以下、第一電流値という。)を制御する。これとともに、第二AFコントローラ347c(つまり、第二駆動制御部347f)は、第二検出部347eの検出値に基づいて、第二AFコイル347bの電流値(以下、第二電流値という。)を制御する。これにより、AFアクチュエータ345は、第一AFアクチュエータ346の推力と第二AFアクチュエータ347の推力とに基づいて上述の抵抗力(例えば、モーメント)を生成する。
【0256】
なお、第一電流値及び第二電流値は、例えば、事前に行われたキャリブレーションにより、第一駆動制御部346f及び第二駆動制御部347fに記憶された予備データから選択される。この予備データは、例えば、第二振れ補正装置35によりレンズガイド341をY方向に変位させた場合の、変位方向(例えば、
図26Aの矢印A
Y1の方向)、変位量D
1(
図26A参照)、レンズガイド341のY方向からの逸脱方向(例えば、
図26Aの矢印A
Yの方向)、及びレンズガイド341のY方向からの逸脱量D
2(
図26A参照)からなる振れ補正用パラメータと、この補正用パラメータに対応付けて記憶された上記逸脱量D
2をゼロにする第一電流値及び第二電流値とを含む。上述のキャリブレーションは、レンズガイド341のY方向における全ストロークの範囲で、上記振れ補正用パラメータに対応する第一電流値及び第二電流値を求める。
【0257】
上述の外力に対してAFアクチュエータ345が生成する抵抗力は、例えば、
図26Aの矢印A
rの方向の回転モーメントである。そして、AFアクチュエータ345は、生成した抵抗力を、レンズガイド341に作用させる。この結果、第二振れ補正装置35が生成するY方向(特定方向ともいう。)に平行な推力と、AFアクチュエータ345により生成された抵抗力との合力が作用したレンズガイド341は、上記外力が作用している状態において、
図26Aの矢印A
Y1のようにY方向に平行に変位できる。
【0258】
また、AF装置34においてオートフォーカスを行う場合には、第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bへの給電が行われる。本実施形態の場合、第一AFコイル346bにおける電流値は、第一AFコントローラ346cによって制御される。また、第二AFコイル347bにおける電流値は、第二AFコントローラ347cによって制御される。
【0259】
具体的には、第一AFコントローラ346cは、制御部5から第一データ信号ラインL5を介して受け取った制御信号と、第一AFコントローラ346cの第一検出部346eの検出値に基づいて、第一AFコイル346bの電流値(第一電流値)を制御する。
【0260】
また、第二AFコントローラ347cは、制御部5から第二データ信号ラインL6を介して受け取った制御信号と、第二AFコントローラ347cの第二検出部347eの検出値に基づいて、第二AFコイル347bの電流値(第二電流値)を制御する。
【0261】
第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bに給電すると、第一AFコイル346bに流れる電流と第一AFマグネット346aの磁界、及び、第二AFコイル347bに流れる電流と第二AFマグネット347aの磁界との相互作用により、第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bにローレンツ力が生じる。
【0262】
第一AFコイル346bから発生するローレンツ力と、第二AFコイル347bから発生するローレンツ力の向き及び大きさが等しい場合、これら各ローレンツ力の合力の方向は、X方向における一方又は他方の何れかである。第一AFマグネット346a及び第二AFマグネット347aは、第二ベース32に固定されているので、第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bに反力が働く。この反力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、第一AFコイル346b及び第二AFコイル347bを保持するレンズガイド341がX方向(第二光軸の方向)に移動し、オートフォーカスが行われる。
【0263】
上述のようなオートフォーカスは、レンズガイド341を、例えば、
図26Aの矢印A
x1のようにX方向に平行に変位させると好ましい。ところが、オートフォーカスの際、レンズガイド341の変位をX方向から逸脱させるような外力(例えば、
図26Aの矢印A
fの方向のモーメント)が、レンズガイド341に作用する場合がある。このような外力が作用すると、レンズガイド341に作用する推力が、X方向に平行な推力(第一推力)のみだと、レンズガイド341は、
図26Aの矢印A
X2のように、X方向から逸脱した方向に変位してしまう。このような外力は、上述のモーメントだけでなく、例えば、Y方向を向いた力の場合もある。あるいは、外力は、モーメント及びY方向を向いた力を含む場合もある。
【0264】
これに対して、本実施形態の場合、オートフォーカスの際、第一AFアクチュエータ346が生じる推力と、第二AFアクチュエータ347が生じる推力とを異ならせることにより、X方向に平行な推力(第一推力)と、上記外力に抗する抵抗力(第二推力)とを含むような推力を生成する。具体的には、オートフォーカスの際、AFアクチュエータ345は、第一AFコントローラ346c(つまり、第一検出部346e)により第一AFマグネット346aの位置を検出するとともに、第二AFコントローラ347c(つまり、第二検出部347e)により第二AFマグネット347aの位置を検出する。
【0265】
そして、AFアクチュエータ345は、第一AFコントローラ346c(つまり、第一駆動制御部346f)により第一AFコイル346bの電流値を制御するとともに、第二AFコントローラ347c(つまり、第二駆動制御部347f)により第二AFコイル347bの電流値を制御する。これにより、第一AFアクチュエータ346が生じる推力と、第二AFアクチュエータ347が生じる推力とを異ならせる。このような推力の違いに基づいて、AFアクチュエータ345は、X方向に平行な推力(第一推力)と、上述の抵抗力(第二推力)とを含む推力を生成する。具体的には、X方向に平行な推力は、第一AFアクチュエータ346が生じる推力と、第二AFアクチュエータ347が生じる推力との合力である。また、上述の抵抗力(第二推力)は、第一AFアクチュエータ346が生じる推力と、第二AFアクチュエータ347が生じる推力との差異に基づいて生じるモーメント(
図26Aの矢印A
r参照)である。
【0266】
なお、上記第一電流値及び上記第二電流値は、例えば、事前に行われたキャリブレーションにより、第一駆動制御部346f及び第二駆動制御部347fに記憶された予備データから選択される。この予備データは、例えば、AFアクチュエータ345によりレンズガイド341をX方向に変位させた場合の、変位方向(例えば、
図26Aの矢印Ax
1の方向)、変位量D
3(
図26A参照)、レンズガイド341のX方向からの逸脱方向(例えば、
図26Aの矢印A
Xの方向)、及びレンズガイド341のX方向からの逸脱量D
4(
図26A参照)からなるAF用パラメータと、このAF用パラメータに対応付けて記憶された上記逸脱量D
4をゼロにする第一電流値及び第二電流値とを含む。上述のキャリブレーションは、レンズガイド341のX方向における全ストロークの範囲で、上記AF用パラメータに対応する第一電流値及び第二電流値を求める。
【0267】
上述の外力に対してAFアクチュエータ345が生成する抵抗力は、例えば、
図26Aの矢印A
rの方向の回転モーメントである。そして、AFアクチュエータ345は、生成した推力(第一推力と第二推力との合力)を、レンズガイド341に作用させる。この結果、このような推力が作用したレンズガイド341は、上記外力が作用している状態において、
図26Aの矢印A
x1のようにX方向に平行に変位できる。
【0268】
なお、
図26Bに二点鎖線で示すように、レンズガイド341には、停止状態において、Y方向及びZ方向(具体的には、基準部32nの第一基準面32n1)に対して、傾斜させるような力が作用する場合がある。このような力は、組み付けの誤差、又は、第一支持機構342を構成するスプリング3421~3424の個体差などに起因して生じる。このような傾きが存在すると、オートフォーカスの際、レンズガイド341がこの傾きを維持したまま変位してしまう。
【0269】
そこで本実施形態の場合、
図26Bに実線で示すように、レンズガイド341のX方向+側の端面を基準部32nの第一基準面32n1に当接させた状態(つまり、レンズガイド341の基準状態)を基準として、上述のキャリブレーションを行う。これにより、上述のオートフォーカスの際、レンズガイド341は、基準部32nの第一基準面32n1に対して傾斜していない状態(つまり、
図26Bの実線で示すレンズガイド341の状態)を維持しつつ、X方向に変位できる。また、以上のような構成によれば、カメラモジュール1の組立工程において、プリズムモジュール2とレンズモジュール3との間のアクティブアライメントの作業を省略又は簡略化できる可能性がある。
【0270】
[本実施形態の作用・効果について]
本実施形態に係るカメラモジュール1の場合、第一X位置検出マグネット346d、第二X位置検出マグネット347d、第一Y位置検出マグネット352c、及び、第二Y位置検出マグネット353cが、金属製の固定プレート36A、36Bを介して、合成樹脂製のレンズガイド341に固定されている。このような各マグネット346d、347d、352c、353cを、金属製の固定プレート36A、36Bに接着する場合、その接着強度は、上記各マグネット346d、347d、352c、353cを合成樹脂製のレンズガイド341に接着する場合の接着強度よりも高い。
【0271】
また、固定プレート36A、36Bは、レンズガイド341に対する係合及び接着により、Z方向-側への移動を規制された状態で、レンズガイド341に固定されている。このような構成は、固定プレート36A、36Bがレンズガイド341から脱落することの防止、延いては、上記各マグネット346d、347d、352c、353cがレンズガイド341から脱落することの防止に効果的である。
【0272】
[付記]
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0273】
上述の各実施形態は、カメラモジュールが、固定側部材に対して可動側部材を弾性的に支持する第一支持機構と、固定側部材に対して可動側部材をXY平面内での変位可能かつZ方向への変位不能に支持する第二支持機構とを備えている。
【0274】
ただし、本発明を実施する場合に、第一支持機構とともに、レンズガイド341を第二ベース32に、第二ベース32に対するXY平面内での変位を可能な状態で支持する第二支持機構を設けてもよい。このような第二支持機構は、レンズガイド341を、第二ベース32に対するZ方向への変位を規制した状態で支持してよい。
【0275】
また、例えば、上述の各実施形態では、カメラモジュール1を備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンを挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部を有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器は、例えば自動車を含む。
【0276】
図28A、
図28Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。
図28Aは自動車Vの正面図であり、
図28Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュール1を搭載する。
図28A及び
図28Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用などとして使用される。
【0277】
また、本発明におけるAF用ボイスコルモーター及びOIS用ボイスコイルモーターの構成は、上述の各実施形態で示したものに限定されない。
【0278】
また、固定側部材に対して可動側部材を支持する支持機構として、上述の各実施形態で示した第一支持機構342のスプリング3421~3424に代えて、例えば、エラストマなどからなる弾性支持部材を適用することもできる。
【0279】
本発明は、OIS機能を有さず、AF機能のみを有するレンズ駆動装置にも適用できる。また、本発明は、AF機能を有さず、OIS機能のみを有するレンズ駆動装置にも適用できる。
【0280】
今回開示された上述の各実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0281】
本発明に係るカメラ用アクチュエータ及びカメラモジュールは、例えば、スマートフォン、携帯電話機、デジタルカメラ、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、車載カメラなどの薄型のカメラ搭載装置に搭載できる。
【符号の説明】
【0282】
1 カメラモジュール
2 プリズムモジュール
21 第一カバー
22 第一ベース
220 ベース側開口部
223 第一収容空間
224a 第一側壁部
224b 第二側壁部
224c1、224c2 第一堰部
224d1、224d2 第二堰部
224e1、224e2、224f1、224f2 バネ配置空間
224g1、224g2、224g3、224h1、224h2、224h3 凸部
225c 第一受部
225d 第二受部
226 第一位置決め凸部
227 第二位置決め凸部
229 底壁部
23 プリズム
231 光路屈曲面
24 第一振れ補正装置
241 ホルダ
241a 載置面
241f、241g 対向壁部
241q、241r 張出し部
243 揺動支持バネ
243a、243b 第一係止部
243c 第二係止部
243d、243e 第一貫通孔
243f 第二貫通孔
243g 捩じれ許容部
243h バネ側ガイド面
243i 連続部
243j、243k 連続部要素
243m 基端側連続部
243n 蛇行連続部
244 前側OISアクチュエータ
244a 第一マグネット
244c 第一コイル
244e 第一ホール素子
245 揺動ガイド部材
25 FPC
27 制振部材
3、3B レンズモジュール
31 第二カバー
31a 天板部
31b 前板部
31c 後板部
31d 第一側板部
31e 第二側板部
31f 切欠部
31g 前側開口部
31h 角部
31i 後側開口部
32 第二ベース
32a 下側ベース要素
32b 上側ベース要素
32c 第二収容空間
32d 底面部
32e、32f 底面貫通孔
32g、32h 第二側壁部
32a1、32a2 第二下壁要素
32b1、32b2 第二上壁要素
32i、32j コイル載置部
321i、322i、321j、322j 接続孔
32k 補強プレート
32m1、32m2、32m3、32m4 スプリング配置部
32n 基準部
32n1 第一基準面
33 レンズ部
34 AF装置
341 レンズガイド
341a レンズ保持部
34a1、34a2 第一張出部
34a3、34a4 第二張出部
34a5、34a6 第一マグネット保持部
34a7、34a8 第二マグネット保持部
34b1、34b2 空間
34b3、34b4 第三マグネット保持部
34b5、34b6 第四マグネット保持部
342 第一支持機構
3421、3422、3423、3424 スプリング
342b 第一固定部
342c 第二固定部
342d 接続部
342e 第一曲げ部
342f 第二曲げ部
344 FPC
344a FPC基部
34d1 第一ターミナル部
34d2 第二ターミナル部
34d3 第三ターミナル部
34d4 第一コイル固定部
34d5 第二コイル固定部
34d6 第一コントローラ固定部
34d7 第二コントローラ固定部
34d8 ホール素子固定部
344b AF駆動制御回路
L1 第一電源ライン
L2 第二電源ライン
L3 第一接地ライン
L4 第二接地ライン
L5 第一データ信号ライン
L6 第二データ信号ライン
L7 第一クロックライン
L8 第二クロックライン
L9、L10 第一コイル給電ライン
L11、L12 第二コイル給電ライン
T1 電源端子
T2 接地端子
T3 データ信号端子
T4 第一クロック端子
T5 第二クロック端子
344c OIS駆動制御回路
345 AFアクチュエータ
346 第一AFアクチュエータ
346a 第一AFマグネット
346b 第一AFコイル
346c 第一AFコントローラ
346d 第一X位置検出マグネット
346e 第一検出部
346f 第一駆動制御部
347 第二AFアクチュエータ
347a 第二AFマグネット
347b 第二AFコイル
347c 第二AFコントローラ
347d 第二X位置検出マグネット
347e 第二検出部
347f 第二駆動制御部
35 第二振れ補正装置
351 後側OISアクチュエータ
352 第一OISアクチュエータ
352a 第一OISマグネット
352b 第一OISコイル
352c 第一Y位置検出マグネット
353 第二OISアクチュエータ
353a 第二OISマグネット
353b 第二OISコイル
353c 第二Y位置検出マグネット
353d OISホール素子
36A、36B 固定プレート
361 第一固定部
362 第二固定部
363 接続部
363a、363b 位置決め凸部
364 第一固定面
365 第二固定面
366a 第一係止部
366b 第二係止部
367 第三固定面
368 第四固定面
369a 第三係止部
369b 第四係止部
4 撮像素子モジュール
5 制御部
6 センサ基板
6a 基板側回路
7A、7B シールド板
71 本体
72 第一係止部
73 第二係止部
74 第一固定面
75 第二固定面
76 外側面
V 自動車
VC 車載用カメラモジュール