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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】開閉機構
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20230215BHJP
【FI】
A47J27/00 103P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019099295
(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公開番号】P2020192075
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】藤原 武志
【審査官】武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-164777(JP,A)
【文献】特開2011-217769(JP,A)
【文献】特開2013-101813(JP,A)
【文献】中国実用新案第204467838(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作可能である開閉ボタンと、
掛止部を有し、付勢部によって上方に向かって付勢される係止部材と、を備え、
前記開閉ボタンは、少なくとも3つの突起部を有し、
前記係止部材は、前記開閉ボタンの押圧により少なくとも1つの前記突起部によって押圧される被押圧部をさらに有し、
前記突起部は、前記被押圧部に対向して配設されており、
前記掛止部は、前記被押圧部が押し下げられると開放方向に回動する、開閉機構。
【請求項2】
前記開閉ボタンは、横長の形状であり、
前記係止部材は、軸によって枢支されており、
前記突起部は、前記開閉ボタンの長手方向に沿って配設され、前記軸と略平行関係にある、請求項1に記載の開閉機構。
【請求項3】
前記突起部は、前記開閉ボタンの中央部から両端に向かうほど前記被押圧部との距離が長くなるように配設される、請求項1または2に記載の開閉機構。
【請求項4】
前記少なくとも3つの突起部は、中央側に配設される前記突起部ほど前記被押圧部との距離が短くなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の開閉機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
上蓋に設けられた横長の凹部内に配設される蓋開閉ボタンを圧下すると、押圧部が受け片を圧下してフックを回動させ、係止爪が係止部から離脱して、蓋体がヒンジ部を軸に開放する炊飯器が過去に提案されている(例えば、特開2007-75411号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-75411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、開閉ボタンの形状は、デザイン性を考慮して多種多様である。しかし、横長形状の開閉ボタンにおいて、開閉ボタンの端側を押し下げても開閉ボタンが傾くだけで蓋が開かないことがある。これは、被押圧部を押圧する突起部は開閉ボタンの中央部にのみ配設されており、開閉ボタンの中央部を押し下げた場合は突起部が被押圧部を押圧するが、開閉ボタンの端側を押し下げた場合は突起部が被押圧部を押圧しないことがあるためである。開閉ボタンの端側を押し下げて蓋が開かない場合、開閉ボタンの中央部を押し下げなおす必要があり、このような作業を煩わしく感じる者もいる。また、突起部と被押圧部を一体化した場合、開閉ボタンの押し下げによって、軸を中心として開閉ボタンは被押圧部と共に円軌道を描く。この結果、円軌道を描くための空間を設ける必要があり、デザイン性を著しく損ねることとなる。
【0005】
本発明の課題は、横長形状の開閉ボタンの端側を押し下げても安定して蓋を開くことができ、さらにデザイン性を損なわない開閉機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る開閉機構は、
押圧操作可能である開閉ボタンと、
掛止部を有し、付勢部によって上方に向かって付勢される係止部材と、を備え、
前記開閉ボタンは、少なくとも3つの突起部を有し、
前記係止部材は、前記開閉ボタンの押圧により少なくとも1つの前記突起部によって押圧される被押圧部をさらに有し、
前記突起部は、前記被押圧部に対向して配設されており、
前記掛止部は、前記被押圧部が押し下げられると開放方向に回動する。
【0007】
上記構成によれば、突起部が被押圧部を押圧する箇所を増やすことができる。このため、この開閉機構では、開閉ボタンの中央部だけでなく端側にも突起部を配設することで、開閉ボタンの端側を押し下げても蓋を開くことができる。
【0008】
本発明では、
前記開閉ボタンは、横長の形状であり、
前記係止部材は、軸によって枢支されており、
前記突起部は、前記開閉ボタンの長手方向に沿って配設され、前記軸と略平行関係にあると好適である。
【0009】
上記構成によれば、突起部が開閉ボタンの長手方向に並んでおり、開閉ボタンの端側を押し下げても端側の突起部が被押圧部を押圧する。このため、この開閉機構では、安定して蓋を開くことができる。
【0010】
本発明では、
前記突起部は、前記開閉ボタンの中央部から両端に向かうほど前記被押圧部との距離が長くなるように配設されると好適である。
【0011】
上記構成によれば、開閉ボタンの端側を押し下げた際、端側の突起部だけでなく中央部の突起部も被押圧部を押圧可能となる。このため、この開閉機構では、より安定して蓋を開くことができる。
【0012】
本発明では、
前記少なくとも3つの突起部は、中央側に配設される前記突起部ほど前記被押圧部との距離が短くなると好適である。
【0013】
上記構成によれば、端側の突起部が被押圧部を押圧した際、端側の突起部だけでなく中央側の突起部も被押圧部を押圧可能となる。このため、この開閉機構では、より安定して蓋を開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の正面図である。
図2図1のI-I断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する開閉機構の上方分解斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する開閉機構の下方分解斜視図である。
図5図3および図4のボタンカバーの底面図である。
図6図3および図4のボタン本体の底面図である。
図7】本発明の実施形態に係る炊飯器を構成する蓋体の内側を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の構造>
本発明の実施の形態に係る炊飯器100は、誘導加熱式の圧力炊飯器であって、図1および図2に示されるように、主に、本体110、内鍋130、蓋体140およびヒンジ機構150から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0016】
1.本体
本体110は、図1図2に示されるように、主に、筐体111、取っ手112、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、操作パネル117、電源回路基板118、制御回路基板119および自動巻取式電源コードユニット120から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0017】
(1)筐体
筐体111は、図1図2に示されるように、主に、側壁111a、底壁111b、肩部材111cおよび保護枠111dから構成されており、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、電源回路基板118、制御回路基板119および自動巻取式電源コードユニット120等を収容している。また、肩部材111cの前側の上側には操作パネル117が配設されている。以下、筐体111の各構成要素について詳述する。
【0018】
側壁111aは、略長方形を呈する囲い壁であって、図1および図2に示されるように本体110の側面を覆っている。
【0019】
底壁111bは、略方形の板状体であって、図1および図2に示されるように側壁111aの下側に嵌め込まれており、側壁111aの下側の開口を覆っている。そして、この底壁111bには、図2に示されるように、筐体111の外部の空気を内部に吸い込むための吸気口Os、および、筐体111の内部の空気を外部に排出するための排気口(図示せず)が形成されている。なお、図2に示されるように、吸気口Osの直上には、送風ファン115が配設されている。この送風ファン115が駆動されると、吸気口Osを通って外部の空気が筐体111の内部に吸い込まれ、それによって生じる空気流れにより内部の加熱空気が排気口から系外に排出される。
【0020】
肩部材111cは、略方形状の枠体であって、図1および図2に示されるように側壁111aの上側に嵌合されており、側壁111aの上側の開口の縁部を覆っている。そして、図2に示されるように、この肩部材111cの下側には、保護枠111dが取り付けられている。なお、図2に示されるように、保護枠111dは保護枠フランジ部FP(後述)で肩部材111cに取り付けられている。
【0021】
保護枠111dは、内鍋130の外周を保護すると共に肩部材111cの形状を保つ役目を担う部材であって、図2に示されるように、主に、内鍋収容部PAおよび保護枠フランジ部FPから形成されている。内鍋収容部PAは、内鍋130の外周を覆う椀状の部位である。保護枠フランジ部FPは、上述の通り、肩部材111cの下側に配設されており、肩部材111cを外側に向かって張ることにより肩部材111cの形状を維持している。
【0022】
(2)取っ手
取っ手112は、使用者が炊飯器100を手で持ち運ぶために設けられている部材であって、本体部(図示せず)および軸部(図示せず)から構成されている。本体部はコの字状を呈している。軸部は本体部の両端から内側に向かって延びている。なお、この炊飯器100において、この軸部は、側壁111aの長手方向中央の上部に形成される孔(図示せず)を通って、保護枠111dに形成される嵌合部(図示せず)に嵌合されている。
【0023】
(3)断熱材
断熱材は、保護枠111dの内鍋収容部PAの側壁および誘導加熱コイル113の外周に巻き付けられており、炊飯時において内鍋130から生じる熱が内鍋収容部PAの外側に流出するのを抑制する役割を担っている。
【0024】
(4)誘導加熱コイル
誘導加熱コイル113は、内鍋130を誘導加熱する誘導加熱源であって、図2に示されるように保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁部および側壁下端部の外側に配設されている。
【0025】
(5)サーミスタ
サーミスタ114は、温度センサであって、図2に示されるように、保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁部の中央部に形成された開口を通って、上方に向かって突出している。なお、このサーミスタ114は、コイルバネ等の付勢部材によって上方に付勢されている。すなわち、このサーミスタ114は、上下方向に沿って出没自在な状態とされている。また、このサーミスタ114は、内鍋検知センサ(図示せず)に組み込まれている。内鍋検知センサは、炊飯器内に内鍋130が存在するか否かを判断するためのものであって、サーミスタ114が下端位置まで下がると、検知信号を制御回路基板119のマイクロコンピュータに送信する。マイクロコンピュータは、検知信号を受信すると、炊飯器内に内鍋130が存在すると判断する。なお、マイクロコンピュータが、炊飯器内に内鍋130が存在しないと判断した場合、炊飯運転が開始されない。ところで、このサーミスタ114は、図2に示されるように略円盤状のカバー部材127によって支持されている。このカバー部材127は、保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁にネジ止めされている。
【0026】
(6)送風ファン
送風ファン115は、上述の通り、筐体111の底壁111bに形成される吸気口Osの直上に、回転軸が略上下方向に沿うようにして配設されている(図2参照)。すなわち、この送風ファン115が駆動されると、外部の空気が吸気口Osから吸い込まれて筐体内に流入し、そのまま上方に向かって送られる。上方に向かって送られた外部の空気は、ヒートシンク116を通って電源回路基板118および制御回路基板119などに供給されて、それらの部材等を冷却する。
【0027】
(7)ヒートシンク
ヒートシンク116は、外部の空気と効率よく熱交換を行わせる部品である。
【0028】
(8)操作パネル
操作パネル117は、炊飯器100の運転方法を決定して実行するためのものであって、図1および図2に示されるように、主に、パネル本体117aおよび押圧ボタンBT等から構成されており、上述の通り、肩部材111cの前側の上側に配設されている。
【0029】
(9)電源回路基板
電源回路基板118は、電源回路を構成する基板であって、いくつかの発熱部品を実装している。なお、この電源回路基板118は、後述する制御回路基板119と同様に筐体111の前側空間SPfに収容されている。
【0030】
(10)制御回路基板
制御回路基板119は、制御回路を構成する基板であって、マイクロコンピュータ等の電子部品を実装している。この制御回路基板119は、図2に示されるように筐体111の前側空間SPfに収容されており、ヒートシンク116の上方、操作パネル117の下側に配設されている。
【0031】
(11)自動巻取式電源コードユニット
自動巻取式電源コードユニット120は、電源コードおよび自動巻取機構(図示せず)等から構成されており、図2に示されるように筐体111の後側の空間に収容されている。電源コードは、差込プラグ(図示せず)および電気線(図示せず)から構成されている。差込プラグ(図示せず)は、電気線の先端に配設されている。電気線は、伸展自在に自動巻取機構に巻回されている。
【0032】
2.内鍋
内鍋130は、上方に開口する椀状の鍋であって、肩部材111cの開口に挿通されると共に、保護枠111dの内鍋収容部PAに所定の隙間をもって収容される。なお、ここで、内鍋130は、種々のアルミニウム合金およびステンレス合金の多層体(クラッド材)であって、誘導加熱コイル113によって誘導加熱され得る。
【0033】
3.蓋体
蓋体140は、図1および図2に示されるように、主に、外装体141、開閉機構142、圧力調整機構143、補強部材(図示せず)および内蓋145から構成されている。蓋体140は、ヒンジ機構150を介して本体110に回動自在に取り付けられている。
【0034】
(1)外装体
外装体141は、図1および図2に示されるように、略直方体状の部材であって、開閉ボタン組立体142a、圧力調整機構143およびレバー部材146等を収容している。なお、ここで、ボタンカバー142bは、図1および図2に示されるように、上面が外装体141の上側に露出するように外装体141に配設されている。また、ここで、この外装体141は、使用時の内圧に耐えることができるように補強部材によって補強されている。この外装体141の下面には、着脱自在に内蓋145が配設されている。
【0035】
(2)開閉機構
開閉機構142は、図3および図4に示されるように、主に、開閉ボタン組立体142a、開閉ボタン支持体142e、第2コイルバネ142fおよびレバー部材146から構成されている。
【0036】
開閉ボタン組立体142aは、図3および図4に示されるように、主に、ボタンカバー142b、ボタン本体142cおよび第1コイルバネ142dから構成されている。なお、ボタンカバー142bは、平面視においてボタン本体142cの長手方向の両端部に配設される一対の第1コイルバネ142dによって上方に向かって付勢されている。
【0037】
ボタンカバー142bは、図3図5に示されるように、周壁を有する角丸長方形状であり、底面視において短手方向の中央を通る長手方向に沿った線上の両端部近傍に配設される一対の挿通棒142gを有すると共に、長手方向の周壁から下方に向かって延びる4つの係合爪部Naを有している。挿通棒142gは、ボタンカバー142bが押し下げられていない状態において、ボタン本体142cの上側挿通孔HLa(後述)および開閉ボタン支持体142eの下側挿通孔HLb(後述)を通っている。また、挿通棒142gは、第1コイルバネ142dおよび第2コイルバネ142f(後述)によって介装されている。係合爪部Naは、ボタンカバー142bが押し下げられていない状態において、外装体141に形成される係合爪受孔(図示せず)と係合している。このため、ボタンカバー142bは、後述するレバー部材146のコイルバネ接触部146fの下側に設置されるコイルバネ(図示せず)の付勢力によって外装体141から押し出されない。
【0038】
ボタン本体142cは、図3図4および図6に示されるように、短手方向の中央を通る長手方向に沿った線上の両端部に一対の上側挿通孔HLaを有すると共に、下面において同一線上の一対の上側挿通孔HLaの間に突起部Pa、PbおよびPcを備えている。また、ボタン本体142cは、開閉ボタン支持体142e(後述)の平面視において長手方向の両端部に配設される一対の第2コイルバネ142fによって上方に向かって付勢されている。ボタン本体142cは、使用者によってボタンカバー142bが押し下げられると、第2コイルバネ142fの付勢力に逆らってボタンカバー142bと共に押し下げられる。また、突起部Pa、PbおよびPcの配列方向は、後述するレバー部材146を枢支する軸受け孔146eを挿通する軸(図示せず)と略平行関係にある。なお、ボタンカバー142bが押し下げられていない状態において、突起部Paは被押圧部146bとわずかに接触するように設計されており、突起部Pbおよび突起部Pcは被押圧部146bと接触しないように設計されている。
【0039】
開閉ボタン支持体142eは、図3および図4に示されるように、短手方向の中央を通る長手方向に沿った線上の両端部に一対の下側挿通孔HLbを有する。また、開閉ボタン支持体142eには、図3および図4に示されるように、開口部OPが形成されている。開口部OPには、レバー部材146の被押圧部146b(後述)が挿入される。
【0040】
上述の通り、ボタンカバー142bの挿通棒142gは、ボタンカバー142bが押し下げられていない状態において、ボタン本体142cの上側挿通孔HLaおよび開閉ボタン支持体142eの下側挿通孔HLbを通っている。すなわち、ボタンカバー142bは、使用者によって押し下げられた際に、一定の範囲まで傾くことを許容しつつ極端に傾くことがないように設計されている。
【0041】
レバー部材146は、図3および図4に示されるように、胴体部146a、被押圧部146b、延設板部146c、爪部146dおよびコイルバネ接触部146fから構成されている。被押圧部146bは、図3に示されるように、胴体部146aの中央部の後側から上方に向かって延びたあと後方に向かって延びており、ボタン本体142cの突起部Pa、PbおよびPcと対向している。延設板部146cは、胴体部146aの前側から下方に延びており、左右一対である。爪部146dは、各延設板部146cの下部から後方に向かって延びている。コイルバネ接触部146fは、図3に示されるように、胴体部146aの右側端部の後側から上方に向かって延びたあと後方に向かって延びている。また、レバー部材146は、金属板部材であって、左右一対の軸受け孔146eを挿通する軸(図示せず)によって外装体141に枢支されていると共に、コイルバネ接触部146fの下側に設置されるコイルバネ(図示せず)によって上方に向かって付勢されている。なお、被押圧部146bは、左右一対の軸受け孔146eを挿通する軸よりも後方に位置するように設計されている。
【0042】
そして、使用者が蓋体140を閉状態としようとするとき、使用者は開閉機構142を操作する必要がなく、そのまま蓋体140を本体110に向かって倒し込めばよい。このとき、レバー部材146の爪部146dが、肩部材111cに形成される傾斜面(図示せず)に接触しながら下方に移動していく。この間、レバー部材146の延設板部146cおよび爪部146dは、コイルバネ接触部146fの下側に設置されるコイルバネ(図示せず)の付勢力に逆らって前方に向かって回動する。そして、爪部146dが、肩部材111cに形成される爪受孔(図示せず)まで達すると、コイルバネ接触部146fの下側に設置されるコイルバネの付勢力により爪部146dがその爪受孔に嵌り込む。このようにして蓋体140が閉状態となる。一方、蓋体140を開状態とするとき、使用者はボタンカバー142bを押し下げる。使用者がボタンカバー142bの中央部を押し下げた場合、ボタン本体142cが、第2コイルバネ142fの付勢力に逆らってボタンカバー142bと共に押し下げられる。この際、ボタン本体142cの突起部Paがレバー部材146の被押圧部146bを押圧することになり、レバー部材146の延設板部146cおよび爪部146dがコイルバネ接触部146fの下側に設置されるコイルバネの付勢力に逆らって前方に向かって回動する。このとき、爪受孔に嵌り込んでいた爪部146dが爪受孔から引き出される。そして、ヒンジ機構150の付勢力により蓋体140が上方に持ち上げられ、蓋体140が開状態となる。また、使用者がボタンカバー142bの端側を押し下げた場合、ボタン本体142cが、第2コイルバネ142fの付勢力に逆らってボタンカバー142bと共に押し下げられる。この際、ボタン本体142cの突起部Pbおよび突起部Pcのどちらか一方だけでなく突起部Paもレバー部材146の被押圧部146bを押圧することになり、レバー部材146の延設板部146cおよび爪部146dがコイルバネ接触部146fの下側に設置されるコイルバネの付勢力に逆らって前方に向かって回動する。このとき、爪受孔に嵌り込んでいた爪部146dが爪受孔から引き出される。そして、ヒンジ機構150の付勢力により蓋体140が上方に持ち上げられ、蓋体140が開状態となる。
【0043】
(3)圧力調整機構
圧力調整機構143は、蓋体140が閉状態とされ圧力炊飯運転されている状態において、内鍋130の内部の圧力を1.03~1.3気圧に調整する機構であって、主に、調圧ボール(図示せず)、調圧ボール収容部143a、往復動アクチュエータ143bおよび作用ロッド143cから構成されている。調圧ボールは、調圧ボール収容部143aに収容されており、下側外装部材141bに形成されている調圧孔(図示せず)の上側に配設されている。そして、この調圧ボールは、作用ロッド143cの押棒部(図示せず)に押されていない状態において調圧孔を塞ぐように弁座に鎮座して内鍋130の内圧を調整し(内鍋130の内圧が所定値以上になると、この調圧ボールが押し上げられ、一時的に内圧が低下させられる。)、押棒部に押された状態において調圧孔を常時開放する。往復動アクチュエータ143bは、ソレノイドを利用した電磁式ピストンであり、図7に示されるようにそのピストンPTの先端に作用ロッド143cが取り付けられている。なお、ここで、往復動アクチュエータ143bのピストンPTが後退すると作用ロッド143cが前方に移動し、往復動アクチュエータ143bのピストンPTが前進すると作用ロッド143cが後方に移動する。そして、作用ロッド143cが前方に移動すると、調圧ボールが、調圧孔を塞ぐように弁座に鎮座する状態となる(すなわち圧力炊飯運転状態となる)と共に、作用ロッド143cの開閉ロック部(後述)RCによりレバー部材146の回動運動が規制されて蓋体140が開かない状態となる。一方、作用ロッド143cが後方に移動すると、作用ロッド143cの押棒部(後述)によって調圧ボールが調圧孔から押し除けられ、調圧孔を常時開放する状態となると共に、作用ロッド143cの開閉ロック部RCによるレバー部材146の回動運動の規制が解除されて蓋体140が開く状態となる。作用ロッド143cは、図7に示されるように、主に、押棒部、延設部EPおよび開閉ロック部RCから形成されている。押棒部は、調圧ボール収容部143aに出没自在であって、上述の通り、圧力炊飯運転以外において調圧ボールを押して調圧孔を常時開放する役目を担っている。延設部EPは、押棒部と開閉ロック部RCとを物理的に連結する部位であって、平面視において略L字形を呈している。開閉ロック部RCは、図7に示されるように、延設部EPの前端に設けられている部位であって、レバー部材146のコイルバネ接触部146fの下側の隙間に出没自在とされている。なお、この開閉ロック部RCは、圧力炊飯運転時すなわち作用ロッド143cが前方に移動するとき、前述の隙間に進入し、作用ロッド143cが後方に移動するとき、前述の隙間から抜き出ることになる。なお、本実施の形態において、この圧力調整機構としては、特に限定されず、従前のものが採用されてもかまわない。
【0044】
(4)補強部材
補強部材は、蓋体140の強度を高めるためのものである。なお、本実施の形態において、補強部材は、特に限定されず、金属板そのものであってもよいし、金属板を複雑形状にしたものであってもよい。
【0045】
(5)内蓋
内蓋145は、図2に示されるように内鍋130の上部を覆って密閉するための部材である。
【0046】
4.ヒンジ機構
ヒンジ機構150は、上述の通り、蓋体140が本体110に対して回動自在となるように蓋体140を本体110に取り付けている。なお、上述の通り、このヒンジ機構150は、蓋体140を開方向に向かって付勢している。
【0047】
<本発明の実施の形態に係る開閉ボタン組立体の特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係るボタン本体142cでは、突起部Paはボタン本体142cの下面の中央に配設されている。そして、突起部Pbおよび突起部Pcは、ボタンカバー142bを押し下げることによってボタンカバー142bと共にボタン本体142cが押し下げられる際に、被押圧部146bの端側と接触するようにボタン本体142cの下面にそれぞれ配設されている。また、ボタンカバー142bが押し下げられていない状態において、突起部Paは被押圧部146bとわずかに接触するように設計されており、突起部Pbおよび突起部Pcは被押圧部146bと接触しないように設計されている。このため、この開閉ボタン組立体142aでは、ボタンカバー142bの中央部を押し下げた場合はボタン本体142cの突起部Paが被押圧部146bを押圧し、ボタンカバー142bの端側を押し下げた場合はボタン本体142cの突起部Pbおよび突起部Pcのどちらか一方だけでなく突起部Paも被押圧部146bを押圧する。このため、この開閉ボタン組立体142aでは、ボタンカバー142bの端側を押し下げても蓋体140が開かない場合にボタンカバー142bの中央部を押し下げなおす必要がなく、ボタンカバー142bのどの位置を押し下げても、炊飯器100の蓋体140を開くことができる。
【0048】
(2)
本発明の実施の形態に係るボタンカバー142bでは、横長形状のボタンを採用している。このため、このボタンカバー142bは、デザイン性に優れている。
【0049】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係るボタン本体142cでは突起部Pa、突起部Pbおよび突起部Pcが配設されていたが、突起部の配設個数は特に限定されず、3つ以上であればよい。かかる場合、突起部は、ボタン本体142cの下面の中央から両端に向かうほど突起部と被押圧部146bとの距離が長くなるように設計されるとよい。
【0050】
(B)
先の実施の形態に係るボタン本体142cでは突起部Paはボタン本体142cの下面の中央に配設されていたが、突起部Paは中央に配設されなくてもよい。かかる場合、突起部Paは、突起部Pbおよび突起部Pcのどちらか一方とボタン本体142cの下面の中央との間に配設されるとよい。その場合、ボタン本体142cの下面の中央を挟んで対称となるように別の突起部が配設されることが好ましい。なお、突起部Pbおよび突起部Pcのどちらか一方に近くなるよりもボタン本体142cの下面の中央に近くなるように突起部Paが配設されることが好ましい。
【0051】
(C)
先の実施の形態に係る開閉ボタン組立体142aでは、ボタンカバー142bが押し下げられていない状態において、ボタン本体142cの突起部Paは、被押圧部146bとわずかに接触するように設計されていたが、被押圧部146bと接触しないように突起部Paの長さを設計してもよい。かかる場合、ボタン本体142cの突起部Pbと被押圧部146bとの距離およびボタン本体142cの突起部Pcと被押圧部146bとの距離が突起部Paと被押圧部146bとの距離よりも長くなるように設計する必要がある。
【0052】
(D)
先の実施の形態に係るボタン本体142cでは、突起部Pa、PbおよびPcはボタン本体142cの下面において短手方向の中央を通る長手方向に沿った線上に3つ配設されていたが、突起部Pa、PbおよびPcはボタン本体142cの下面において短手方向の中央以外を通る長手方向に沿った線上に3つ配設されてもよい。
【0053】
(E)
先の実施の形態に係るボタン本体142cでは突起部Pa、PbおよびPcは略半円柱形状を呈していたが、突起部Pa、PbおよびPcは、略半球状であってもよいし、略直方体形状であってもよい。
【0054】
(F)
先の実施の形態に係るボタンカバー142bでは角丸長方形状のボタンカバーが採用されていたが、ボタンカバーの形状は縦長形状以外であればよい。例えば、長方形状、楕円形状、星型等であってもよい。かかる場合、採用するボタンカバーの形状によって、ボタン本体または開閉ボタン支持体の形状を調整するとよい。
【0055】
(G)
先の実施の形態に係る開閉ボタン組立体142aでは、ボタンカバー142b、ボタン本体142cおよび第1コイルバネ142dそれぞれに分解可能であったが、第1コイルバネを省いてボタンカバーとボタン本体を不可分一体とした開閉ボタン組立体を採用してもよい。
【0056】
(H)
先の実施の形態に係るレバー部材146はコイルバネ接触部146fの下側に設置される1つのコイルバネによって上方に向かって付勢されていたが、胴体部146aのもう一方の後端部にもコイルバネ接触部を設けて下側にコイルバネを設置してもよい。
【0057】
(I)
本実施形態では本発明が炊飯器に適用されたが、本発明は、蓋体が本体に対して回動自在であり、かつ開閉ボタンを有するあらゆる電化製品や容器、例えば、ホームベーカリー、加湿器、電気ケトル、ポット等に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
142 :開閉機構
142a :開閉ボタン組立体(開閉ボタン)
146 :レバー部材(係止部材)
146b :被押圧部
146d :爪部(掛止部)
146e :軸受け孔
Pa,Pb,Pc:突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7