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特許7227499ゲームプログラム、ゲームシステム、及びコンピュータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、ゲームシステム、及びコンピュータ
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/216 20140101AFI20230215BHJP
   A63F 13/65 20140101ALI20230215BHJP
   A63F 13/69 20140101ALI20230215BHJP
   A63F 13/847 20140101ALI20230215BHJP
【FI】
A63F13/216
A63F13/65
A63F13/69
A63F13/847
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020071725
(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公開番号】P2021166671
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-02-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(72)【発明者】
【氏名】奥山 幹樹
(72)【発明者】
【氏名】津原 一成
(72)【発明者】
【氏名】川上 智司
(72)【発明者】
【氏名】田中 大将
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-016287(JP,A)
【文献】特開2021-129607(JP,A)
【文献】イングレス INGRESS,アプリ超攻略 モンスト大特集号 ,日本,株式会社宝島社,2016年01月29日,第28-35頁
【文献】岡安 学 MANABU OKAYASU,iPhone&Android対応 INGRESSを一生遊ぶ! ,日本,株式会社宝島社 蓮見 清一,2016年03月23日,第34頁、第59頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F 13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム装置と接続可能なサーバ装置により実行されるゲームプログラムであって、
前記サーバ装置を、
仮想空間内にイベントを発生させ、前記仮想空間内に配置される第一オブジェクトに含まれる複数の部位のそれぞれと、現実社会における特定エリアとを関連付けた部位情報をゲーム装置に送信するイベント発生手段と、
前記第一オブジェクトに含まれる前記複数の部位のうち影響を与える対象とするべき部位に対応する地点を、ユーザに割り振る手段として機能させ
前記第一オブジェクトは、敵オブジェクトであり、
前記影響は、前記敵オブジェクトの前記部位の破壊である
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
前記部位に対応する地点の割り振りは、前記ユーザのパラメータに基づいて実行される
ことを特徴とする請求項に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記サーバ装置を、
前記ゲーム装置から位置情報を取得する位置取得手段と、
ユーザによる前記ゲーム装置の操作情報を取得する操作取得手段と、
前記操作取得手段により取得された前記操作情報と、前記イベント発生手段により送信された前記部位情報と、前記位置取得手段により取得された、前記ゲーム装置の前記位置情報とに基づいて、前記部位に対応する地点にて当該部位に影響を与える操作がなされたかを判定する判定手段として更に機能させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記サーバ装置を、
前記位置情報に基づいて、前記特定エリア内に存在する前記ゲーム装置を判断するユーザ判断手段と、
前記特定エリア内に存在する前記ユーザのユーザ情報を参照し、前記影響を与える対象とするべき前記部位に対応する前記地点を報知させるための報知情報を生成する報知手段として更に機能させ、
前記報知情報は、ユーザを誘導するための情報である
ことを特徴とする請求項に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記部位に前記影響を与える操作は、前記部位を攻撃するための攻撃操作であって、
前記判定手段は、
前記攻撃操作により前記部位についての特定条件が満たされた場合、前記攻撃操作を行った前記ユーザの前記ユーザ情報に報酬を関連付ける
ことを特徴とする請求項に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記特定条件の満たされ易さが、前記部位に応じて異なる
ことを特徴とする請求項に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
1又は複数のコンピュータを備えたゲームシステムであって、
前記コンピュータを
仮想空間内にイベントを発生させ、前記仮想空間内に配置される第一オブジェクトに含まれる複数の部位のそれぞれと、現実社会における特定エリアとを関連付けた部位情報をゲーム装置に送信するイベント発生手段と、
前記第一オブジェクトに含まれる前記複数の部位のうち影響を与える対象とするべき部位に対応する地点を、ユーザに割り振る手段として機能させ
前記第一オブジェクトは、敵オブジェクトであり、
前記影響は、前記敵オブジェクトの前記部位の破壊である
ことを特徴とするゲームシステム。
【請求項8】
仮想空間内に配置される第一オブジェクトに含まれる複数の部位のそれぞれと、現実社会における特定エリアとを関連付けた部位情報をゲーム装置に送信するイベント発生手段と、
前記第一オブジェクトに含まれる前記複数の部位のうち影響を与える対象とするべき部位に対応する地点を、ユーザに割り振る手段として機能させ
前記第一オブジェクトは、敵オブジェクトであり、
前記影響は、前記敵オブジェクトの前記部位の破壊である
ことを特徴とするコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を利用するゲームプログラム、ゲームシステム、及びコンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)の位置情報を利用したゲーム(以下、「位置ゲーム」という。)が開発されている。
【0003】
特許文献1には、従来の位置ゲームの一例として、コンピュータのプロセッサが、ゲームにおいて使用される地図データにおいて、ユーザが特定のエリアに移動することでプレイ可能なクエストをユーザに設定するステップと、ユーザの位置情報を取得するステップと、取得されるユーザの位置情報に基づいて、クエストにおいて指定される特定のエリアにユーザが位置している場合に、ユーザにクエストのプレイを可能とさせるステップと、を実行することを含む技術が記載されている。このうち、クエストは、複数のユーザによりプレイ可能なものを含む。ユーザにクエストのプレイを可能とさせるステップは、複数のユーザそれぞれについて取得される位置情報に基づいて、クエストにおいて指定される特定のエリアに位置するユーザが協同してクエストをプレイすることを可能とさせることを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-64708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の位置ゲームでは、戦闘等のイベントが行われる場所までユーザが集合するものの、イベント中は、結局、個々のユーザのゲーム装置で、同じモンスターとの戦闘が行われるだけで、興趣性が薄かった。すなわち、巨大なモンスター等のオブジェクトと戦闘等をするようなイベントであっても、エリア内での位置が異なる部位単位で、攻撃等の影響を与えることはできなかった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、上述の問題点を解消し、一人ではできない設定を付与することで、他プレイヤと協力してゲームを進行することにより、より興趣のあるゲームプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明のゲームプログラムは、ゲーム装置と接続可能なサーバ装置により実行されるゲームプログラムであって、前記サーバ装置を、仮想空間内にイベントを発生させ、前記仮想空間内に配置される第一オブジェクトに含まれる複数の部位のそれぞれと、現実社会における特定エリアとを関連付けた部位情報をゲーム装置に送信するイベント発生手段と、前記第一オブジェクトに含まれる前記複数の部位のうち影響を与える対象とするべき部位に対応する地点を、ユーザに割り振る手段として機能させ、前記第一オブジェクトは、敵オブジェクトであり、前記影響は、前記敵オブジェクトの前記部位の破壊であることを特徴とする。
本発明のゲームプログラムは、前記部位に対応する地点の割り振りは、前記ユーザのパラメータに基づいて実行されることを特徴とする。
本発明のゲームプログラムは、前記サーバ装置を、前記ゲーム装置から位置情報を取得する位置取得手段と、ユーザによる前記ゲーム装置の操作情報を取得する操作取得手段と、前記操作取得手段により取得された前記操作情報と、前記イベント発生手段により送信された前記部位情報と、前記位置取得手段により取得された、前記ゲーム装置の前記位置情報とに基づいて、前記部位に対応する地点にて当該部位に影響を与える操作がなされたかを判定する判定手段として更に機能させることを特徴とする。
本発明のゲームプログラムは、前記サーバ装置を、前記位置情報に基づいて、前記特定エリア内に存在する前記ゲーム装置を判断するユーザ判断手段と、前記特定エリア内に存在する前記ユーザのユーザ情報を参照し、前記影響を与える対象とするべき前記部位に対応する前記地点を報知させるための報知情報を生成する報知手段として更に機能させ、前記報知情報は、ユーザを誘導するための情報であることを特徴とする。
本発明のゲームプログラムは、前記部位に前記影響を与える操作は、前記部位を攻撃するための攻撃操作であって、前記判定手段は、前記攻撃操作により前記部位についての特定条件が満たされた場合、前記攻撃操作を行った前記ユーザの前記ユーザ情報に報酬を関連付けることを特徴とする。
本発明のゲームプログラムは、前記特定条件の満たされ易さが、前記部位に応じて異なることを特徴とする
発明のゲームシステムは、1又は複数のコンピュータを備えたゲームシステムであって、前記コンピュータを仮想空間内にイベントを発生させ、前記仮想空間内に配置される第一オブジェクトに含まれる複数の部位のそれぞれと、現実社会における特定エリアとを関連付けた部位情報をゲーム装置に送信するイベント発生手段と、前記第一オブジェクトに含まれる前記複数の部位のうち影響を与える対象とするべき部位に対応する地点を、ユーザに割り振る手段として機能させ、前記第一オブジェクトは、敵オブジェクトであり、前記影響は、前記敵オブジェクトの前記部位の破壊であることを特徴とする
発明のコンピュータは、仮想空間内に配置される第一オブジェクトに含まれる複数の部位のそれぞれと、現実社会における特定エリアとを関連付けた部位情報をゲーム装置に送信するイベント発生手段と、前記第一オブジェクトに含まれる前記複数の部位のうち影響を与える対象とするべき部位に対応する地点を、ユーザに割り振る手段として機能させ、前記第一オブジェクトは、敵オブジェクトであり、前記影響は、前記敵オブジェクトの前記部位の破壊であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、仮想空間内の第一オブジェクトに含まれる部位と、現実社会における特定エリア内の地点とを関連付けた部位情報を用いて、ゲーム装置の位置情報と、操作情報とから部位への影響を判断するようにして、一人ではできない設定を付与することで、他プレイヤと協力してゲームを進行することにより、より興趣のあるゲームプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係るゲームシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図2図1に示すゲームシステムの機能的構成を示すブロック図である。
図3図2に示すアカウント設定及びゲームデータの詳細を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係るゲーム進行処理のフローチャートである。
図5図4に示す部位攻撃処理の例を示す図である。
図6図4に示す特別報酬処理の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
本発明の実施形態に係るゲームシステムXについて、図面を参照して説明する。
図1によると、本実施形態のゲームシステムXは、サーバ装置1(コンピュータ)及び複数のゲーム装置2(コンピュータ)にて構成される。
ゲームシステムXでは、例えば、スマートフォン等のゲーム装置2にインストールされるアプリケーションソフトウェア(Application Software、ネイティブ(Native)アプリ、以下、単に「アプリ」という。)を実行することで、サーバ装置1との間で通信を行い、ユーザにゲームを実行(プレイ)させる。
【0011】
本実施形態で説明されるゲームの概要について説明する。本実施形態のゲームは、位置情報を用いた位置ゲームの一種である。
このゲームにおいては、ユーザは、例えば、ゲームの「クエスト」等のシナリオ(ステージ)を受注(選択)等し、プレイヤキャラクタを操作して、ゲーム上で提示された目的地312(図3)に向かう。目的地312に到達した後、各種のゲーム内イベント(以下、単に「イベント」という。)が発生する。この各種イベントでは、プレイヤキャラクタのオブジェクト(以下、「プレイヤ」という。)と、敵キャラクタのオブジェクト(以下、「モンスター」という。)とが、現実空間に対応した仮想空間上で戦闘する。または、イベントとして、謎解きをしたり、所有や装備が可能なゲームオブジェクト(以下、「アイテム」という。)を取得したり、NPC(Non-Player Character)や他のユーザと出会ったりするようなものも用意される。本実施形態においては、巨大なモンスターと戦闘するようなイベントも用意される。
そして、イベントが終了すると、さらなる目的地312が提示されることもある。ユーザが最終的な目的地312に到着すると、シナリオ上で倒すことを目的としているような特別なモンスター(以下、「ボスキャラ」という。)との戦い等のイベントが発生し、これに勝利等し、条件を満たした場合に、シナリオ(ステージ)が終了となる。終了時には、映像や音声によるエンディングの演出があり、アイテムやコイン(ゲーム内通貨)等のオブジェクト等を取得することができる。つまり、本実施形態のゲームは、位置情報212(図2)を利用したロールプレイングゲームやアクションゲーム等のゲームである。
【0012】
<ハードウェア構成について>
本実施形態のゲームシステムXのハードウェア構成について説明する。
ここでは、サーバ装置1のハードウェア構成、及び、このサーバ装置1とネットワーク3を介して互いに通信接続される複数のゲーム装置2のハードウェア構成について説明する。ネットワーク3は、LAN、無線LAN、WAN、携帯電話網、インターネット等である。
【0013】
・サーバ装置1のハードウェア構成
サーバ装置1は、制御部10、記憶部11、及び接続部12を備える。
記憶部11及び接続部12は、それぞれ、専用のバス及びインターフェイス等を介して、サーバ装置1の制御部10に接続される。
【0014】
制御部10は、サーバ装置1の動作を制御する。制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサ)等を含む情報処理部であってもよい。
【0015】
記憶部11は、一時的でない記録媒体であり、主記憶部及び補助記憶部を含む。主記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)として、DRAMやSRAM等を用いてもよい。補助記憶部は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等を含んでいてもよい。このうち、ROMは、EEPROM、フラッシュメモリ、3D Xポイント等の各種不揮発性で書き換え可能な半導体メモリを用いてもよい。加えて、HDDの代わりに、SSD(Solid State Drive)やeMMC(embedded Multi Media Card)等の半導体メモリを用いることも可能である。
【0016】
接続部12は、サーバ装置1と各ゲーム装置2との間で、各種プロトコルによりデータを送受信するために、ネットワーク3に接続するためのLANボードや無線送受信機等を含むネットワーク接続部である。
【0017】
ゲーム装置2には、操作部25、表示部26、及び音声入出力部27が備えられている。
このゲーム装置2は、ゲームプログラム210(図2)及び各種データに基づいてゲームを進行させる。
ゲーム装置2は、他のゲーム装置2及びサーバ装置1との間で、ネットワーク3又は近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)等を介して、互いにデータ通信をすることが可能である。
【0018】
ゲーム装置2は、制御部20、記憶部21、接続部22、画像処理部23、音声処理部24、操作部25、表示部26、音声入出力部27、及び位置取得部28を備える。
記憶部21、接続部22、画像処理部23、音声処理部24、操作部25、位置取得部28は、専用のバス及びインターフェイス等を介して、制御部20に接続される。
【0019】
制御部20は、ゲーム装置2の動作を制御する。制御部20は、例えば、CPU、MPU、DSP、GPU、ASIC等を含む情報処理部であってもよい。
【0020】
記憶部21は、主記憶部及び補助記憶部を含む。主記憶部は、例えば、RAMとして、DRAMやSRAM等を用いてもよい。補助記憶部は、ROM、HDD等を含んでいてもよい。このうち、ROMは、各種不揮発性で書き換え可能な半導体メモリを用いてもよい。HDDの代わりに、半導体メモリを用いてもよい。
【0021】
接続部22は、ネットワーク3に接続され、サーバ装置1と各ゲーム装置2との間で、又はゲーム装置2同士で、データを各種プロトコルで送受信する。接続部22は、ネットワーク3に接続するためのLANボードや無線送受信機等を含むネットワーク接続部である。さらに、接続部22として、Bluetooth(登録商標)やNFC、USB(Universal Serial Bus)、その他の無線又は有線接続を行うインターフェイス等を備えていてもよい。
【0022】
画像処理部23は、制御部20の指示に従って、仮想空間及び各オブジェクト等を含む二次元又は三次元のゲーム画像を、例えば、フレーム単位で描画(レンダリング)する。画像処理部23にて描画されたゲーム画像は、ゲーム画面として、表示部26に表示される。画像処理部23は、GPUやDSP等の情報処理部であってもよい。画像処理部23は、専用のメモリを備えていてもよい。
【0023】
音声処理部24は、制御部20の指示に対応して、音声データを再生及び合成し、D/A(Digital to Analog)変換してゲーム音声として出力する。ゲーム音声は、音声処理部24に接続された音声入出力部27のスピーカやイヤホン出力端子等から音声出力される。音声処理部24は、音声入出力部27のマイクロフォンから入力した音声信号をA/D(Analog to Digital)変換して、入力することも可能である。
【0024】
操作部25は、タッチパネル及び各種センサにより、操作入力に関するデータを送受信することが可能である。ユーザは、操作部25により、ゲーム装置2へ操作指示を行う。
または、操作部25は、専用又は汎用のコントローラと接続されてもよい。コントローラに設けられたスティックやボタンやタッチパッド等を操作することにより、操作部25を介して、ゲーム装置2へ操作信号が入力される。このコントローラと操作部25とは、無線又は有線で接続される。この無線又は有線の接続は、USB、Bluetooth(登録商標)等であってもよい。
【0025】
表示部26は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ等の表示手段である。
本実施形態において、操作部25と表示部26とは、一体的に形成されており、表示部26でユーザがオブジェクト等をタッチした座標等を検知可能である例について説明する。
【0026】
音声入出力部27は、スピーカ、イヤホン、マイクロフォン等と、これらの端子やインターフェイス等を含む。
【0027】
位置取得部28は、位置情報212(図2)を取得する回路等である。この回路は、例えば、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)を含む衛星測位システムの受信機及びアンテナを含む。
【0028】
上述のサーバ装置1及びゲーム装置2の各部は、本実施形態のゲームプログラム110(図2)及びゲームプログラム210を実行するハードウェア資源となる。
【0029】
なお、ゲーム装置2において、制御部20及び画像処理部23は、GPU内蔵CPU等やチップ・オン・モジュールパッケージのように、一体的に形成されていてもよい。
また、制御部10、制御部20、及び画像処理部23は、RAMやROMやフラッシュメモリ等を内蔵していてもよい。
【0030】
・ゲームシステムXの制御の流れについて
次に、図2により、ゲームシステムXを実現するサーバ装置1及びゲーム装置2における、ゲーム実行時の制御の流れについて説明する。
【0031】
まず、ゲーム装置2は、ユーザの操作に基づいて、ゲームアプリであるゲームプログラム210を、アプリがダウンロード可能なアプリ用サーバ(図示せず)からダウンロードする。更新(アップデート)用のゲームプログラム210が存在する場合も、このアプリ用サーバからダウンロードされ、インストールされる。
【0032】
インストール後、ゲームプログラム210が初回起動されると、ゲーム装置2とサーバ装置1とは、ネットワーク3を介して互いに通信を行う。
そして、サーバ装置1において、各ユーザ及び/又はゲーム装置2には、それぞれ異なるアカウント情報(図3)が付与される。このアカウント情報は、例えば、ユーザID(Identification、識別符号)を含む固有の識別情報である。元々、ユーザがアカウント情報を付与されていた場合は、そのアカウント情報を設定することも可能である。この固有の識別情報は、偽造防止用に固有鍵や公開鍵等でハッシュ化されていてもよい。後述するログイン情報301のハッシュ値により、このアカウント情報の認証が可能である。
サーバ装置1は、各アカウント情報を含む、ゲームのプレイ上に必要なデータであるゲームデータ211を作成して、ゲーム装置2へ送信する。
【0033】
ゲーム装置2は、サーバ装置1から、ゲームデータ211を受信して、これを記憶部21に格納する。
その後、ゲーム装置2は、ゲームプログラム210及びゲームデータ211に基づいて、ゲーム進行を行う。
このゲーム進行において、ゲーム装置2は、操作部25によりユーザの指示を取得してゲームを実行する。この際、ゲーム装置2は、ゲーム演出として、ゲーム画像及びゲーム音声を、表示部26及び音声入出力部27等に出力する。
【0034】
ここで、ゲーム装置2は、ゲームの開始時のみならず、ゲーム進行の特定タイミングでサーバ装置1にゲーム進行状況に関するデータを送信する。この特定タイミングとしては、例えば、アイテム消費、モンスターとの対戦終了、フラグの取得、シナリオ(ステージ)のクリア等のデータ更新時が挙げられる。
【0035】
サーバ装置1は、このゲーム進行状況に関するデータをゲーム装置2から受信して解析する。この解析されたデータは、記憶部11のアカウントDB112のアカウント設定300に、アカウント毎に格納される。
【0036】
このように、ゲームシステムXは、アプリを介して、所定のタイミングでサーバ装置1とゲーム装置2で相互に通信を行い、サーバ装置1とゲーム装置2とで同期をとってゲームを進行させる。
【0037】
<ゲームシステムXの機能的構成について>
次に、ゲームシステムXを実現するサーバ装置1の制御部10及びゲーム装置2の制御部20の機能的構成、及びデータの詳細構成について説明する。
【0038】
・サーバ装置1の制御部10の機能的構成
サーバ装置1の制御部10は、記憶部11に格納されたゲームプログラム110を実行することにより、イベント発生手段100、ユーザ判断手段101、報知手段102、位置取得手段103、操作取得手段104、及び判定手段105として機能する。
【0039】
イベント発生手段100は、仮想空間内にイベントを発生させる。この上で、イベント発生手段100は、部位情報410をゲーム装置2に送信する。ここで、本実施形態のモンスターは、第一オブジェクトの一例である。本実施形態の特定エリアは、地図データ310上のエリア設定311(図3)に対応したエリアであり、目的地312である例について説明する。加えて、本実施形態では、部位は複数である例について説明する。
【0040】
ユーザ判断手段101は、位置情報212に基づいて、特定エリア内に存在するゲーム装置2を判断する。すなわち、ユーザ判断手段101は、ゲーム装置2に対応づけられたユーザを検索し、特定エリア内にいるかどうか判断する。このため、ユーザ判断手段101は、位置取得手段103にて取得された位置情報212を用いる。加えて、ユーザ判断手段101は、ゲーム装置2から、アカウント情報を取得して、ユーザをゲームに接続させることも可能である。その他にも、ユーザ判断手段101は、ゲーム装置2からゲーム進行状況に関するデータを取得して、アカウントDB112のアカウント設定300に設定する。
【0041】
報知手段102は、特定エリア内に存在するユーザのアカウント設定300を参照し、報知情報113を生成する。本実施形態においては、報知手段102は、アカウント設定300に含まれるユーザが操作し、仮想空間内で動作するプレイヤの職業等を含む能力値を含むパラメータを参照して、報知情報113を生成する。ここで、本実施形態のプレイヤは、本実施形態の第一オブジェクトであるモンスターとは異なる第二オブジェクトの一例である。仮想空間内でのプレイヤの動作は、例えば、モンスターとの戦闘の操作に対応した行動である。報知手段102は、この報知情報113の作成により、攻撃すべき部位の位置にユーザを誘導することが可能となる。
【0042】
位置取得手段103は、ゲーム装置2のそれぞれについて、現実世界における現在の位置を示す位置情報212を取得する。
【0043】
操作取得手段104は、ユーザによるゲーム装置2の操作情報323を取得する。本実施形態においては、操作取得手段104は、モンスターに影響を与える操作を含む操作情報323を取得する。ここで、本実施形態において、モンスターに影響を与える操作は、攻撃するための操作(以下、「攻撃操作」という。)である例について記載する。
【0044】
判定手段105は、操作取得手段104により取得された操作情報323と、イベント発生手段100により送信された部位情報410と、ゲーム装置2の位置情報212とに基づいて、部位に関連付けられた地点にて当該部位に影響を与える操作がなされたかを判定する。本実施形態において、この当該部位に影響を与える操作は、部位を攻撃するための攻撃操作である。すなわち、ゲーム装置2のユーザは、特定エリア内で、複数部位のいずれかを攻撃可能である。
【0045】
判定手段105は、攻撃操作により、部位についての特定条件が満たされた場合、その際に攻撃操作を行ったユーザ(以下、「部位破壊ユーザ」という。)に特別の報酬を与える。この特定条件は、本実施形態においては、部位を破壊や攻撃不能状態にする例について記載する。
ここで、本実施形態では、特定条件の満たされ易さが、部位に応じて異なる。このため、部位毎に異なる報酬を与えるように構成することが可能である。そして、判定手段105は、特別の報酬を与える際、通常のイベントでの報酬よりも良い報酬を、アカウント情報に応じて、アカウント設定300に関連付ける、すなわち設定する。
【0046】
・サーバ装置1の記憶部11に格納されたデータの説明
サーバ装置1は、記憶部11に、本発明のゲームシステムXを実現するためのゲームプログラム110、ゲームデータ111、アカウントDB112、及び報知情報113を格納している。
【0047】
ゲームプログラム110は、サーバ装置1を上述の機能的手段として動作させるためのプログラムである。
【0048】
ゲームデータ111は、ゲーム装置2にゲームをプレイさせるために必要なデータである。このゲームデータ111、及び下記で説明するアカウント設定300から、ゲーム装置2に格納されるゲームデータ211が作成される。
ゲームデータ111の詳細については後述する。
【0049】
アカウントDB112は、アカウント毎のアカウント設定300を格納している。アカウント設定300は、アカウント毎のアカウント情報やゲーム進行状況に関する情報を含む。
アカウント設定300の詳細についても後述する。
【0050】
報知情報113は、影響を与える対象とするべき部位に対応する地点を報知させるための情報である。本実施形態では、報知情報113は、仮想空間内の特定エリア上の攻撃可能な部位に関連付けられた、現実空間上の位置に、ユーザを誘導するための情報である例について記載する。この報知情報113は、後述する差分データに伴って、又は、差分データとは別に、ゲーム装置2へ送信される。
【0051】
この他にも、記憶部11には、ファームウェア、OS(Operating System)、各種デーモン(サービス)を含む制御プログラム、サービス用の各種データ等も含まれている。
【0052】
・ゲーム装置2の制御部20の機能的構成
ゲーム装置2の制御部20は、記憶部21に格納されたゲームプログラム210を実行することにより、位置操作送信手段200及びゲーム実行手段201として機能する。
【0053】
位置操作送信手段200は、ゲーム装置2の現実世界での現在の位置を示す位置情報212をサーバ装置1へ送信する。位置操作送信手段200は、ゲーム実行時には、実時間(リアルタイム)で、逐次、位置情報212を、サーバ装置1に送信可能である。
加えて、位置操作送信手段200は、ゲームを実行する際に、ユーザのアカウント情報をサーバ装置1へ送信し、サーバ装置1との通信を維持する。この通信において、位置操作送信手段200は、ゲーム進行状況に関するデータを、ゲーム進行の特定タイミングでサーバ装置1に送信する。
【0054】
ゲーム実行手段201は、操作情報323(図3)及びゲームデータ211を基に、ゲームを進行させ、ゲーム進行に基づいた表示を表示部26に表示させる。そして、ゲーム実行手段201は、サーバ装置1により発生させたゲームのイベントを、表示部26に表示させる。
【0055】
・ゲーム装置2の記憶部21に格納されたデータの説明
ゲーム装置2は、記憶部21に、本発明のゲームシステムXを実現するためのゲームプログラム210、ゲームデータ211、及び位置情報212を格納する。
【0056】
ゲームプログラム210は、ゲーム装置2を上述の機能的手段として動作させるためのプログラムである。
【0057】
ゲームデータ211は、ゲーム装置2でゲームをプレイする上で必要なデータである。このゲームデータ211は、ゲーム進行状況に関するデータ、ゲームをプレイするために必要な各種データである。ゲームデータ211は、サーバ装置1により、ゲームデータ111及びアカウント設定300の各種データが選択されて作成される。ゲームデータ211により、ユーザのアカウント情報に対応したゲームのプレイが実現可能となる。
ゲームデータ211の詳細についても後述する。
【0058】
位置情報212は、位置取得部28から取得された、ゲーム装置2の現実世界での現在の座標(位置)を示す情報である。位置情報212は、地図データ310(図3)上での座標情報として提供されてもよい。
さらに、位置情報212は、ゲームの進行に係る各種情報である付加情報を含んでいてもよい。この付加情報は、ゲームのアプリの実行や休止の状況データ、ユーザが歩行中であるか、乗り物にのって移動中であるか等のデータ等が含まれていてもよい。
【0059】
これら以外にも、記憶部21には、例えば、他のゲーム装置2に送信するアカウント情報、フレンドに関する情報、及び他のゲーム装置2から受信した他のアカウント情報等が含まれている。
【0060】
・サーバ装置1及びゲーム装置2に格納されたデータの詳細
次に、図3により、上述のアカウント設定300、ゲームデータ111、及びゲームデータ211の詳細について説明する。
【0061】
まず、図3(a)により、アカウント設定300の一例の詳細について説明する。
アカウント設定300は、ユーザ毎の情報を格納する、本実施形態のユーザ情報の一例である。
アカウント設定300は、ユーザのアカウント毎に、ログイン情報301、パーティ情報302、及び進行状況情報303を含んでいる。
【0062】
ログイン情報301は、ユーザのアカウント情報、アカウント情報に対応したハッシュ値や秘密鍵、電子メールアドレス等を含み、ゲーム実行時のユーザ認証に必要な情報である。これに加え、ログイン情報301は、ユーザがアプリを起動した日時及び時間を示すプレイ時間情報、パスワード等も含んでいてもよい。このパスワードは、ユーザのプロフィール等の変更に使用されるパスワード等を含んでいてもよい。
加えて、ログイン情報301は、ユーザのゲーム上の名称やニックネーム等を含む名前情報も含んでいる。
【0063】
パーティ情報302は、ユーザのプレイヤキャラクタ同士、又はNPCがゲーム進行上で共同してイベント等を実行する際のパーティ(仲間)の情報である。パーティ情報302は、例えば、各ユーザ及び/又はゲーム装置2のアカウント情報が含まれている。
本実施形態においては、パーティ情報は、特定エリアに集合し、同じ巨大なモンスターと戦闘する他のユーザのプレイヤの情報も格納可能である。
【0064】
進行状況情報303は、アカウント情報毎のゲーム進行状況に関する情報である。この進行状況情報303は、当該アカウント情報に対応づけられたゲームの進行状況のデータ、及びオブジェクトのデータ等を含んでいる。このうち、ゲームの進行状況のデータは、ゲームのシナリオにおけるイベントやステージの進行、フラグの回収状況等を示すデータ等を含み、イベントデータ320の作成時に参照される。オブジェクトのデータは、アカウント毎に所有するオブジェクトの種類、所持数、装備状況等のデータを含む。このオブジェクトは、プレイヤキャラクタ及びアイテム等を含む。加えて、各オブジェクトは、名称、能力値、属性、ランク、特殊攻撃等のパラメータが設定されている。能力値は、体力、攻撃力、防御力、スキルレベル、ジョブ(職業)、キャラクタのランク等も含む。さらに、アイテムの場合、武器、防具等の装備品、回復用アイテム、合体や合成用アイテム、その他の特殊なアイテムが、IDやフラグ等によりオブジェクトの種類として設定される。このうち、特殊なアイテムは、レアなアイテム(レアアイテム)を含む。
【0065】
次に、図3(b)により、ゲームデータ111の詳細について説明する。
ゲームデータ111は、地図データ310、エリア設定311、目的地312、及びイベント設定313を含んでいる。
【0066】
地図データ310は、位置情報212に対応した地図のデータである。地図データ310は、現実世界(現実社会)の地図のデータから、ゲーム内の仮想空間のマップ(地図)に対応して加工されたデータ等を用いることが可能である。すなわち、地図データ310では、地図のデータに含まれる現実空間の座標(位置)の情報が、ゲーム内の仮想空間での座標(位置)に対応づけられている。ここで、現実社会の地図のデータは、クラウド上の地図サービスのサーバ(図示せず)からダウンロードしたり、管理者により用意されたりした電子地図のデータ等を用いて作成することが可能である。
【0067】
エリア設定311は、位置情報212に対応する地図データ310上の複数の領域(以下、「エリア」という。)の設定データである。このエリアは、例えば、地図上の県、市町村、区、旧藩や国名等の地理単位、地図の番地や建物や土地の単位、道路や河川等で区分された単位等、現実空間の位置の情報に基づいた座標(位置)データの単位で設定される。具体的には、エリア設定311は、各エリアを、例えば地図データ310上の多角形(ポリゴン)の座標(位置)データとして設定可能である。すなわち、各エリアの形状は、ポリゴンの位置データであってもよい。エリア設定311に含まれるこれらの位置データは、エリアIDにより区別される。加えて、エリア設定311は、各エリアについて算出された面積、そのエリアの種類や建物があるか、入ることができるか、道に接続されているか、道の交通量は多いか少ないか等の情報についても設定されていてもよい。
【0068】
目的地312は、イベントが発生するエリアの範囲の情報、及び、名称や区分等のエリアを識別するための識別情報等を含む。この範囲の情報は、位置情報212に対応した、地図データ310上の現実空間の位置の情報を含む。具体的には、これらの位置の情報は、地図等のデータから抽出された、例えばポリゴンの位置データ、エリア設定311に設定されたエリアID等として設定することが可能である。
本実施形態の目的地312は、例えば、エリア内の仮想空間の少なくとも一部を占有するように配置された巨大なモンスターと戦闘するイベントが設定された特定エリアを含む。
【0069】
イベント設定313は、ゲーム進行上のイベントに関連する各種データである。イベント設定313は、例えば、イベントの種類や発生頻度(エンカウント率)、イベント終了条件、当該イベントで取得可能なアイテムの種類及び出現頻度、ゲーム進行のシナリオのデータ、プレイヤキャラクタやモンスターのシナリオ実行時の各種データ、その他のゲーム上のイベントに必要なデータを含む。
【0070】
ここで、本実施形態のゲーム進行上のイベントは、特定のタイミング及び出現頻度で発生するもの、及び、目的地312等の設定位置に到達した場合に実行されるもの、及び常時実行されるものを含む。さらに、イベントの種類は、ボスキャラとの戦いやエンディングのような特別なものも含む。イベント終了条件としては、例えば、特定時間の経過、発生させたモンスターの全滅又はユーザの逃亡、モンスターの本体の耐久値がゼロになった等の条件を設定可能である。本実施形態では、全ての部位の耐久値がゼロになった場合も、イベントの終了条件とすることが可能である。また、ユーザの逃亡は、ユーザが目的地312から離れたり、イベントにおいて「逃亡」を選択したりすることを含む。ゲーム進行のシナリオのデータは、地図データ310上の位置に対応した、各イベントの種類のテーブル、シナリオの文章(テキスト)、プレイヤキャラクタやノンプレイヤキャラクタ(NPC)のオブジェクトの台詞、動作、表情の変化等のデータを含む。
【0071】
さらに、本実施形態のイベント設定313は、モンスターデータ400を含んでいる。
モンスターデータ400は、特定エリアの設定、イベントで出現するモンスターの種類、本体の耐久値、本体の能力値、出現頻度(確率)等の情報を含む。このうち、特定エリアの設定は、本実施形態では、目的地312のうち、特定エリアに設定されたエリアIDを含む。出現するモンスターの情報は、シナリオ上で設定された通常のモンスター、及びボスキャラ等に関するデータも含む。
【0072】
ここで、本実施形態のモンスターデータ400は、部位情報410を含んでいる。
部位情報410は、仮想空間内のモンスターに含まれる複数の部位のそれぞれと、特定エリアとを関連付けた情報である。この上で、部位情報410は、この特定エリア内にある地点の情報を含んでいる。この地点は、例えば、ポリゴンの位置データで設定される。より具体的には、部位情報410は、例えば、特定エリアのエリアIDと、巨大なモンスターの各部位の地点を示す位置データとを含んでいる。加えて、部位情報410は、部位毎に、部位の耐久値、部位の耐久値をゼロ以下にした際の報酬(以下、「部位破壊ボーナス」という。)の設定、部位の攻撃手段や他の能力値等の情報を含んでいる。この部位破壊ボーナスは、モンスター毎、部位毎に異なるものが設定されることでユーザが攻撃する部位を選択しやすくしてもよく、逆に、ランダムに設定されていてもよい。さらに、部位情報410は、部位の耐久値が極端に低かったり、その部位を攻撃するとモンスター本体の耐久値が通常よりも減ったりする「弱点」が設定されていてもよい。加えて、部位情報410は、特定の部位について、部位破壊ボーナスに他の部位よりも大きな報酬(以下、「特別報酬」という。)が設定されていてもよい。この弱点や特別な報酬の部位は、イベント毎、特別エリア毎等で、ランダムに設定することも可能である。さらに、部位情報410は、初期段階で攻撃可能な部位と、後の段階で攻撃可能な部位についての段階データも含んでいてもよい。この段階データは、例えば、地面や手前への設置部位を所定程度攻撃すると、その上や奥の部位を攻撃可能とするような設定である。
【0073】
加えて、本実施形態のイベント設定313は、イベントのアニメーション動画、静止画、背景画像等のデータを含んでいてもよい。これらは、イベントの種類に応じて、設定可能である。
【0074】
この他にも、ゲームデータ111は、ゲームで登場する全オブジェクト(ゲームオブジェクト)の種類やパラメータのデータ、各オブジェクトの画像データ、モデリングデータ、メニューやホーム画面のデータ、文字データ、音声データ等、ゲームデータ211の基となるデータについても含む。
【0075】
次に、図3(c)により、ゲームデータ211の詳細について説明する。
ゲームデータ211は、イベントデータ320、オブジェクトデータ321、進行状況データ322、及び操作情報323を含んでいる。
【0076】
イベントデータ320は、ゲーム進行上のイベントのデータである。イベントデータ320は、サーバ装置1にてイベントの発生時に、イベント設定313から作成される。
【0077】
オブジェクトデータ321は、アカウント情報毎のプレイヤキャラクタ、敵キャラクタ、NPC、アイテム等の各種オブジェクトに関するデータである。これらのオブジェクトには、ゲーム上の各種属性が設定され、イベントと対応づけられることもある。オブジェクトデータ321は、オブジェクトの種類と所持数等のデータも含んでいる。
【0078】
ここで、本実施形態においては、オブジェクトデータ321は、特定エリアで巨大なモンスターとの戦闘のイベントが発生した場合、このモンスターデータ400に対応したデータも含んでいる。
【0079】
さらに、オブジェクトデータ321は、各種のパラメータが設定されている。このパラメータは、例えば、オブジェクト毎に、キャラクタの名称、能力値、属性、ランク、特殊攻撃等のパラメータが設定されていてもよい。この能力値は、耐久値(ヒットポイント)、攻撃力、防御力、スキルレベル、及びランク等を含む。アイテムの場合、武器、防具等の装備品、回復用アイテム、合成用アイテム、その他の特殊なアイテムが、種類としてIDにより設定される。装備品については、武器としては、例えば、銃や弓や爆弾等の投射系の武器、剣や斧やバールといった打撃系の武器等のカテゴリー上のIDも設定される。防具としては、例えば、全身鎧、ハーフプレート、兜、手袋、脚鎧等のカテゴリー上のIDも設定される。特殊なアイテムは、レアなアイテム(レアアイテム)、イベントにおけるフラグを取得できるアイテムのIDも設定されてもよい。
これに加え、オブジェクトデータ321は、スコア、獲得ポイント、ゲーム内通貨、又は特別なアイテム等(以下、これらを単に「ゲーム媒体」という。)のデータ等も含んでいる。
さらに、オブジェクトデータ321はゲームプログラム210やゲームデータ211の更新に伴い、拡張され得る。
【0080】
進行状況データ322は、サーバ装置1により、アカウント設定300及びゲームデータ111を基に作成された、アカウント情報毎のゲーム進行状況に関するデータである。
進行状況データ322は、アカウント情報、アカウント情報毎のパーティのデータ、シナリオ(ステージ)のデータ等を含んでいる。このアカウント情報は、上述したように、ID(識別符号)を含む固有の識別情報等である。アカウント情報は、ユーザ毎に設定されても、ゲーム装置2毎に設定されてもよい。
加えて、進行状況データ322は、ゲームのシナリオにおけるイベントやステージの進行、フラグの回収状況等を示すデータを含んでいる。さらに、進行状況データ322は、位置情報212に対応した地図データ310の一部を、ゲームマップデータとして含んでいる。
【0081】
操作情報323は、操作部25から取得されるユーザの指示の情報である。操作情報323は、ボタンの押下、この押下の強さやタイミング、タッチパッドやタッチパネルのタッチ位置、カメラやレーダーや超音波センサ等により取得したジェスチャー等から算出される。操作情報323は、例えば、モンスター及びその部位を攻撃する際の攻撃方法、タイミングの指示、GUI(Graphical User Interface)でのメニューやボタンでの指示等の情報も含む。
【0082】
これらに加えて、ゲームデータ211は、各オブジェクトの画像データ、モデリングデータ、メニューやホーム画面のデータ、文字データ、音声データ等、ゲームをプレイするために必要な各種データを含んでいる。
【0083】
<ゲーム進行処理について>
次に、図4図6を用いて、本実施形態のゲームシステムXにより実行されるゲーム進行処理について説明する。
【0084】
本実施形態のゲーム進行処理においては、まず、ゲーム装置2にて、現在の位置を示す位置情報212をサーバ装置1へ送信して、ログインさせる。サーバ装置1では、位置情報212を受信する。そして、各ゲーム装置2について、ゲームのイベントの目的地312の範囲内であるか否かを判断する。範囲内であると判定された場合、イベントを発生させる。この際、部位情報410をゲーム装置2に送信する。ゲーム装置2では、発生されたゲームのイベントを表示させ、ゲームを進行させる。サーバ装置1では、ゲーム装置2の操作情報323を取得し、部位情報410と、ゲーム装置2の位置情報212とに基づいて、部位に関連付けられた地点にて当該部位に攻撃操作がなされたかを判定する。この上で、特定条件が満たされた場合、攻撃操作を行ったユーザに報酬を与える。
【0085】
以下で、図4のフローチャートを参照して、サーバ装置1及びゲーム装置2によるゲーム進行処理の各処理のフローの詳細をステップ毎に説明する。
【0086】
(ステップS200)
まず、ゲーム装置2のゲーム実行手段201及び位置操作送信手段200は、ゲーム開始処理を行う。
ゲーム実行手段201は、ユーザによってゲームを開始する操作が行われたことを検知する。この操作は、例えば、操作部25のタッチパネルにより、アプリをアプリ一覧やショートカット等から起動するタッチ、スワイプ等により行われる。
すると、位置操作送信手段200が、ネットワーク3を介してサーバ装置1と通信を開始する。位置操作送信手段200は、アカウント情報をサーバ装置1へ送信する。
【0087】
(ステップS100)
ここで、サーバ装置1のユーザ判断手段101及びイベント発生手段100が、接続処理を行う。
ユーザ判断手段101は、送信されたアカウント情報に基づいて、アカウント設定300のログイン情報301を参照してユーザの認証を行う。この認証は、アカウント情報と、ハッシュ値や秘密鍵とにより行われてもよい。
認証が成功した場合、イベント発生手段100は、アカウント情報に対応付けられたアカウント設定300及びゲームデータ111に基づいて、ゲームデータ211を作成する。
そして、ユーザ判断手段101は、ゲームデータ211を、ゲーム装置2に送信する。この際に、ユーザ判断手段101は、例えば、ゲームデータ211の全てではなく、ゲーム装置2で格納していない差分データを送信してもよい。この差分データには、上述のゲームマップデータも含まれる。
【0088】
(ステップS201)
次に、ゲーム装置2の位置操作送信手段200が、位置送信処理を行う。
位置操作送信手段200は、位置取得部28により取得されたGNSSのデータから、現実世界での現在の位置を示す位置情報212を算出し、サーバ装置1へ送信する。
本実施形態においては、この位置情報212は、エリア内のどの位置にいるかを示す高精度な情報も含まれている。
【0089】
(ステップS101)
ここで、サーバ装置1の位置取得手段103、ユーザ判断手段101が、ユーザ判断処理を行う。
位置取得手段103は、ゲームを実行中のゲーム装置2から送信された位置情報212を、ゲームのプレイ中には、継続的に受信し、アカウント情報と対応づけて記憶部11のアカウント設定300に、一時的に格納している。
ユーザ判断手段101は、これらの位置情報212に基づいて、イベント設定313のモンスターデータ400に設定された特定エリア内に存在するゲーム装置2を判断する。すなわち、ユーザ判断手段101は、イベントの目的地312のうち、巨大なモンスターとの戦闘を行うイベントが設定された特定エリアに到着したゲーム装置2に対応づけられたユーザを検索する。
【0090】
(ステップS102)
次に、特定エリアに存在するユーザについて、イベント発生手段100が、イベント発生処理を行う。
イベント発生手段100は、仮想空間内で、巨大なモンスターとの戦闘のイベントを発生させる。この際、イベント発生手段100は、ゲームデータ111のイベント設定313を参照して、シナリオにおける各種イベントを選択して、ゲームデータ211に反映させる。
なお、イベント発生手段100は、設定された確率でモンスターを出現させてプレイヤキャラクタとの戦闘を行わせたり、謎解きをさせたり、アイテムを取得させたり、NPCや他のユーザと出会わせたりといったイベントを発生することも可能である。
【0091】
図5(a)は、地図データ310上の特定エリアSとして設定された目的地312にて、巨大なモンスターMと、ユーザU1及びユーザU2との戦闘のイベントが発生した例を示している。
【0092】
(ステップS103)
次に、報知手段102が報知処理を行う。
報知手段102は、報知情報113を生成する。具体的には、報知手段102は、特定エリア内に存在するユーザのアカウント設定300を参照する。本実施形態では、報知手段102は、例えば、進行状況情報303を参照し、イベントを発生させた際に、特定エリア内でユーザが巨大なモンスターのどの部位を攻撃するか、アカウント情報毎に割り振る報知情報113を作成する。
【0093】
報知手段102は、この割り振りを、イベント発生時に、ユーザがプレイヤを選択し、攻撃の準備をするまで、所定秒~所定分だけ待ってから行ってもよい。
この上で、本実施形態において、報知手段102は、例えば、ユーザがゲーム装置2を操作し、仮想空間内でのプレイヤの準備が完了し、攻撃態勢に入っている等の動作を行っている状態を検知する。
そして、報知手段102は、進行状況情報303のオブジェクトのデータに記録されたプレイヤの能力値等のパラメータを参照する。参照後、報知手段102は、このパラメータに基づいて、攻撃対象とするべき部位に対応する地点を割り振る。具体的には、報知手段102は、例えば、モンスターデータ400の部位情報410の段階データを参照し、初期段階で攻撃可能な部位を選択する。この上で、報知手段102は、プレイヤの能力値等と、部位の耐久値、部位の攻撃手段や他の能力値等とを比較する。そして、報知手段102は、近い位置で、攻撃により部位の耐久値を減らしやすい部位を選択して、その地点にユーザを誘導するような報知情報113を作成する。この割り振りは、例えば、部位の攻撃方法と他の能力値と、プレイヤの能力値との関係を学習させた人工ニューラルネット、強化学習、ベイジアンネットワーク、決定木等のAI(人工知能)、モンテカルロ法、αβ法等を用いて行うことが可能である。具体的には、例えば、プレイヤの体力、攻撃力、防御力、スキルレベル、ジョブ(職業)、キャラクタのランク等による、各部位の「相性」の推定値を算出してもよい。
【0094】
図5(b)は、特定エリアS上で、巨大なモンスターに部位P1~P9が設定され、これに対応した地点にユーザを誘導する概念を示している。この例では、報知手段102は、剣による直接攻撃の能力値が高いユーザU1のプレイヤを、地面についたモンスターの胴体である部位P4の地点に割り振る。一方、報知手段102は、魔法による間接攻撃の能力値の高いユーザU2のプレイヤを、モンスターの直接攻撃力が高い脚の部位P8に割り振る。
【0095】
ここで、報知手段102は、まだプレイヤの動作を行っている状態が検知されず、準備が完了していないと推定される場合、初期段階で攻撃可能な部位をランダムに設定した報知情報113を作成してもよい。または、ユーザの特定エリア中の位置から、最も近い部位の地点に誘導するような報知情報113を作成してもよい。
さらに、報知手段102は、戦闘中で、部位への攻撃が一段落した際に、後の段階で攻撃可能な部位を、上述のパラメータに基づいて割り当てることが可能である。加えて、イベント発生手段100が、特定エリアに到達した他のユーザをイベントに参加させた際に、報知手段102が、攻撃対処の部位を、その時点の巨大なモンスターの各部位の耐久値等の状態から、適切な部位を割り当てる報知情報113を作成する。
なお、報知手段102の報知情報113に関わらず、ユーザは、プレイヤを自由に選んだ部位の地点に移動させて攻撃することも可能である。
【0096】
(ステップS202)
次に、ゲーム装置2のゲーム実行手段201及び位置操作送信手段200が、位置操作送信処理を行う。
ゲーム実行手段201は、操作部25からユーザの指示を操作情報323として取得し、これを基に、ゲームを進行させる。これにより、イベントでは、モンスターとの戦い等が行われる。
位置操作送信手段200は、位置情報212をサーバ装置1へ送信する。すなわち、位置操作送信手段200は、位置の高精度な変化等を含む位置情報212を、実時間(リアルタイム)で送信することが可能である。
【0097】
この上で、位置操作送信手段200は、操作部25によるユーザの操作情報323を取得し、サーバ装置1へ送信する。具体的には、位置操作送信手段200は、仮想空間内でのプレイヤによる部位への攻撃操作等、プレイヤがモンスターに影響を与える操作を行っている場合、この情報も操作情報323に含めて、サーバ装置1へ送信する。この操作は、例えば、ユーザが部位に対応した現実空間上の地点に到達し直接攻撃したり、投射武器や魔法等で部位への間接攻撃をしたりした操作等が含まれる。
【0098】
(ステップS104)
次に、位置取得手段103及び操作取得手段104が、位置操作取得処理を行う。
位置取得手段103は、ゲーム装置2から位置情報212を取得し、一時的に記憶部11に格納する。
加えて、操作取得手段104は、ユーザによるゲーム装置2の操作情報323を取得し、一時的に記憶部11に格納する。この上で、操作取得手段104は、操作情報323に含まれている、モンスターに影響を与えるための操作、例えば、部位への攻撃操作を検索して取得する。
【0099】
(ステップS105)
次に、判定手段105が、部位に当たったか否かを判定する。
判定手段105は、操作情報323と、部位情報410と、位置情報212とに基づいて、部位に関連付けられた地点にて当該部位に影響を与える操作がなされたかを判定する。本実施形態においては、判定手段105は、攻撃操作により部位に攻撃が当たったかについての当たり判定を行い、当たった場合、Yesと判定する。判定手段105は、当たらなかった場合には、Noと判定する。
Yesの場合、判定手段105は、処理をステップS106に進める。
Noの場合、判定手段105は、処理をステップS107に進める。
【0100】
(ステップS106)
部位に当たった場合、判定手段105が、部位攻撃処理を行う。
判定手段105は、当たった部位について、攻撃の方法や程度、プレイヤの能力値と部位の能力値との差等に基づいて、耐久値を減らす等の処理を行い、部位情報410に設定する。
さらに、判定手段105は、部位情報410の各部位の攻撃方法による反撃等も行い、プレイヤの耐久値等を減らすことも可能である。
【0101】
(ステップS107)
次に、サーバ装置1のイベント発生手段100が、ゲーム情報処理を行う。
イベント発生手段100は、ゲームデータ211の進行状況データ322について、ゲーム装置2で格納していない差分データを作成する。この際、イベント発生手段100は、上述のイベントが発生されている場合には、このイベントが適用された差分データを作成する。本実施形態においては、上述の部位攻撃処理の結果も反映された差分データを作成する。
そして、イベント発生手段100は、作成された差分データをゲーム装置2に送信する。この差分データには、上述のゲームマップデータも含まれる。
【0102】
(ステップS203)
ここで、ゲーム装置2のゲーム実行手段201が、描画処理を行う。
ゲーム実行手段201は、サーバ装置1からゲームの進行状況データ322の差分データを取得して、記憶部21の進行状況データ322に設定する。
ゲーム実行手段201は、この進行状況データ322に基づいて、ゲーム進行を行う。そして、ゲーム実行手段201は、制御されたゲーム進行に基づいたゲーム画像を表示部26に表示させる。
【0103】
ここで、ゲーム実行手段201は、イベントについての表示も行う。たとえば、巨大なモンスターが、特定エリアのプレイヤの向かう先に存在している場合、その表示も行う。この際、ゲーム実行手段201は、報知情報113を取得して、ユーザを部位の地点へ誘導することが可能である。この誘導は、例えば、上述のゲームマップデータに表示された矢印、モンスターやプレイヤがレンダリングされたゲーム画像に表示された矢印、音声によるガイダンス等により行うことが可能である。
ユーザが攻撃操作等をしている場合、ゲーム実行手段201は、そのゲーム画像を、表示部26に表示させることも可能である。
これらに付随して、ゲーム実行手段201は、音声処理部24からゲーム音声を出力させることも可能である。
【0104】
ここで、上述したようなゲームの設定やプレイ時の特定タイミングで、ゲーム実行手段201は、サーバ装置1に、ゲームデータ211の進行状況データ322のうち、変化があった差分データを送信することも可能である。
サーバ装置1では、この差分データをアカウント設定300にアカウント情報に対応付けて格納する。
【0105】
(ステップS108)
ここで、判定手段105が、イベントを終了するか否かを判定する。
判定手段105は、イベント設定313を参照し、イベントの終了条件になったか否かを判定する。たとえば、判定手段105は、プレイヤの攻撃により、モンスターの本体の耐久値や全ての部位の耐久値がゼロ(0)以下になりプレイヤに倒された場合、パーティが全滅、逃亡、特定時間の経過等の場合には、Yesと判定する。判定手段105は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、判定手段105は、処理をステップS109に進める。
Noの場合、判定手段105は、処理をステップS103に戻して、巨大なモンスターとの戦いのイベント等を続けさせる。
【0106】
(ステップS109)
イベント終了の場合、判定手段105が、部位についての特定条件を満たすか否かを判定する。
判定手段105は、イベントに参加した全てのユーザについて、部位についての特定条件を判定する。具体的には、判定手段105は、特定条件として、例えば、一つ以上の部位を破壊や攻撃不能状態にした部位破壊ユーザについては、特定条件を満たすとして、Yesと判定することが可能である。
判定手段105は、それ以外のユーザの場合には、特定条件を満たさないとして、Noと判定する。
Yesの場合、判定手段105は、処理をステップS110に進める。
Noの場合、判定手段105は、ゲーム進行処理を終了する。
【0107】
(ステップS110)
特定条件を満たす場合、判定手段105が、特別報酬処理を行う。
判定手段105は、部位破壊ユーザに、部位破壊ボーナスを付加する。このため、判定手段105は、この与えられた報酬を、アカウントDB112のアカウント設定300に、アカウント情報に対応付けて格納する。すなわち、アカウント設定300に、報酬を関連づける。
ここで、部位情報410に特別な報酬が設定された部位を破壊した部位破壊ユーザに対しては、判定手段105は、特別報酬を付加する。この報酬は、通常の部位破壊ボーナスよりも良い報酬であり、例えば、ゲーム媒体、通常よりレア度の高いアイテム(レアアイテム)、新たなプレイヤキャラクタ、その他のゲーム内で価値の高いゲームオブジェクト等であってもよい。さらに、特別報酬は、ゲーム上の特典、称号等であってもよい。
【0108】
図6の画面例500は、部位破壊ボーナスにて、特別報酬を得た例を示している。この例では、図5のモンスターMの部位P1~P9のうち、弱点である部位P2の耐久値をゼロにした部位破壊ユーザに対して、特別報酬が付加された例を示す。この例において、特別報酬は、追加のゲーム媒体と、「水宝珠」のレアアイテムである。
【0109】
加えて、判定手段105は、イベントに参加したユーザ全員に対して、部位破壊ユーザのログイン情報301の名前情報を報知することも可能である。この部位破壊ユーザについては、モンスターの討伐照明部位を掲げるアニメーションを表示したり、勝ちどきを上げたり、他のユーザやNPC等により盛り上げる演出等を行ったりすることも可能である。これにより、部位破壊ユーザの名誉心を満足させる。
以上により、本発明の実施の形態に係るゲーム進行処理を終了する。
【0110】
[発明の効果]
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、位置ゲームにおいては、戦闘等のイベントが行われる場所までユーザが集合するものの、イベント中は、結局、個々のユーザのゲーム装置で、同じモンスターとの戦闘が行われるだけで、興趣性が薄かった。これは、例えば、エリアに横たわるような巨大なモンスターを用意しても、この巨大なモンスターの部位の仮想空間内の位置と、ユーザの現実空間の位置とを連動させることができないためであった。すなわち、巨大なモンスター等のオブジェクトと戦闘等をするようなイベントであっても、エリア内での位置が異なる部位に対して、攻撃等を行うことはできなかった。
【0111】
これに対して、本実施形態のゲームプログラム110は、ゲーム装置2と接続可能なサーバ装置1により実行されるゲームプログラムであって、サーバ装置1を、仮想空間内にイベントを発生させ、モンスター(第一オブジェクト)に含まれる複数の部位のそれぞれと、現実社会における特定エリアとを関連付けた部位情報410をゲーム装置2に送信するイベント発生手段100として機能させることを特徴とする。
このように構成することで、ユーザと協力して、巨大なモンスター等のオブジェクトと戦闘等をするようなイベントであっても、エリア内での位置が異なる部位に対して、攻撃等を行うことが可能となる。よって、一人ではできない設定を付与することで、他プレイヤと協力してゲームを進行することにより、より興趣のあるゲームプログラムを提供することができる。
【0112】
本実施形態のゲームプログラムは、サーバ装置1を、ゲーム装置2から位置情報212を取得する位置取得手段103と、ユーザによるゲーム装置2の操作情報323を取得する操作取得手段104と、操作取得手段104により取得された操作情報323と、イベント発生手段100により送信された部位情報410と、位置取得手段103により取得された、ゲーム装置2の位置情報212とに基づいて、部位に関連付けられた地点にて当該部位に影響を与える操作がなされたかを判定する判定手段105として更に機能させることを特徴とする。
【0113】
このように構成し、例えば、目的地312の地形に沿ってモンスターを配置し、部位の地点とユーザの位置情報212、操作情報323とを連動させることで、特定エリア内でも異なる地点に対応した部位を攻撃することが可能となる。これにより、どの部位を攻撃して、最終的には全体を攻撃するかといった戦略性を高め、イベントの興趣性を高めることができる。結果として、ゲームに対するユーザのプレイ意欲を高めることができる。
【0114】
また、従来、人気の高い位置ゲームにおいては、イベントが実行される目的地312に、多数のユーザが集合することがあった。しかしながら、せっかくユーザが集まっても、各自がイベントを実行しているだけで、協力して一つの行動をすることはなく、周囲のユーザとの関わりが少なかった。
【0115】
これに対して、本実施形態のゲームプログラムは、サーバ装置1を、位置情報212に基づいて、特定エリア内に存在するゲーム装置2を判断するユーザ判断手段101と、特定エリア内に存在するユーザのユーザ情報であるアカウント設定300を参照し、影響を与える対象とするべき部位に対応する地点を報知させるための報知情報113を生成する報知手段102として更に機能させることを特徴とする。
【0116】
このように構成することで、報知情報113により、複数のユーザを別々の部位に誘導等して、協力して巨大なモンスター等と戦闘することができる。
これにより、ユーザ同士の連帯感を生み出すことができる。さらに、モンスターとの戦闘等のイベントを、通常よりも有利に進めることができる。これにより、せっかく目的地312に来たのにモンスターを倒せない等の困難な状況を克服したり、協力すれば倒しやすくなったりする等、ユーザ同士で助け合うことができる。さらに、ユーザ同士の協力によって、戦いの成否が決まるため、連帯感を生み出すことができる。結果として、ゲームに対するユーザのプレイ意欲を高めることができる。
【0117】
本実施形態のゲームプログラムは、部位に影響を与える操作は、部位を攻撃するための攻撃操作であって、判定手段105は、攻撃するための操作により部位についての特定条件が満たされた場合、攻撃するための操作を行ったユーザのユーザ情報であるアカウント設定300に報酬を関連付けることを特徴とする。
このように構成することで、例えば、部位破壊ユーザに部位破壊ボーナスを与えることができる。これにより、ユーザの部位破壊についての意欲を高めることができる。さらに、部位毎に部位破壊ボーナスが異なる場合、ユーザ毎に、どの部位を選んで攻撃するかについての戦略性を更に高めることが可能となる。加えて、モンスター毎に、弱点が異なったり、ランダム性があったりすることで、興趣性を高めることができる。さらに、特別報酬等により、より興趣性を高めることも可能である。
【0118】
本実施形態のゲームプログラムは、特定条件の満たされ易さが、部位に応じて異なることを特徴とする。
このように構成し、例えば、部位毎に耐久値、攻撃方法、他の能力値等が異なることで、合理的に部位破壊ボーナスを異なるものとすることが可能となる。これにより、ユーザの部位の攻撃について戦略性を持たせて、より興趣性を高めることができる。
【0119】
[他の実施形態]
図2図6において説明した制御手段及び処理手順は一例であり、本発明の実施形態はこれらには限られない。処理手順等は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0120】
上述の実施形態では、特定エリアが一つのエリアである例について記載した。
しかしながら、特定エリアは、複数のエリアに跨がっていてもよい。加えて、特定エリアは、シナリオの進行等に従って別エリアに変化したり、エリアの大きさが変化したりしてもよい。
さらに、地点についても、モンスター等の動きにより、部位が動き、これに伴い、地点も動いてもよい。たとえば、地点が、ユーザの位置情報212の位置に近づいていく等、戦闘等に際して変化してもよい。この場合、地点を示すポリゴンの位置データが変形しても、近づいてもよい。この場合、段階データも変化してもよい。
このように構成することで、特定エリア、地点についての様々な構成に対応でき、ゲームの戦略性を高め、ユーザのプレイ意欲を惹起することができる。
【0121】
上述の実施形態では、報知情報113として、ユーザを部位に誘導するための情報を用いる例について記載した。
しかしながら、報知情報113として、部位の攻撃方法や能力値等の説明を示す情報を用いたり、部位の段階データを提示するような情報を用いたりすることも可能である。さらに、部位の能力値や攻撃方法等が、ユーザの能力値等に対して大きい場合、ユーザを部位から避難するような情報を報知情報113として提示することも可能である。
このように構成することで、部位についてのユーザの攻撃の判断をしやすくし、戦略性を高め、ユーザのプレイ意欲を惹起できる。
【0122】
上述の実施形態では、サーバ装置1で報知手段102を作成し、報知情報113を、イベントに参加したユーザに提示する例について記載した。
しかしながら、イベントに参加したユーザが報知情報113を作成して、他のユーザに攻撃する部位を割り当てることも可能である。すなわち、図5(b)に示したような特定エリア内の部位の配置を参照して、どの部位を攻撃するか、ユーザ同士で指示をすることも可能である。この場合、一人のユーザが「軍師」として他ユーザを誘導しても、パーティのリーダーが「俺の後についていけ」等と誘導してもよい。加えて、この報知情報113は、チャットやメッセンジャーによるメッセージ等の文字データ、音声データ等を含んでいてもよい。
このように構成することで、複数のユーザで、イベントに参加して、モンスター等を討伐する際に協力することが可能となる。よって、ゲームの戦略性を高め、ユーザのプレイ意欲を惹起できる。
【0123】
上述の実施形態では、第一オブジェクトがモンスター、第二オブジェクトがプレイヤである例について記載した。
しかしながら、これ以外の第一オブジェクト及び第二オブジェクトに対して、操作等を行ったり影響を与えたりすることも可能である。たとえば、第一オブジェクト及び第二オブジェクトは、モンスター以外のNPCや、その他のキャラクタのオブジェクト、背景や移動可能なオブジェクト等であってもよい。
加えて、第一オブジェクトに影響を与える操作は、攻撃以外にも、オブジェクトを、押したり引いたり、なでたり、触ったり、動かしたり、別のオブジェクトを組み立てたり、組み合わせたりする操作も含んでいてもよい。
さらに、特定条件は、このパズル、謎解き、組み立て、組み合わせ等に関するイベント上の条件であってもよい。たとえば、パズルが解けたり、組み合わせが正しいはめ込み方をしたりした等の場合に、特定条件を満たすと判断可能である。
これにより、パズルを解いたり、謎解きをしたり、組み立てたり、組み合わせたりといった、戦闘以外のゲーム上のイベントの状況に対応可能である。さらに、第二オブジェクトをプレイヤとして、プレイヤ同士の戦闘や勝負等のイベントについても、適用可能である。
【0124】
上述の実施形態には、オブジェクトとしてプレイヤキャラクタを例にして記載されているが、本発明の実施形態はこれには限られない。例えば、オブジェクトは、カード又はアイテム等のゲーム媒体であってもよい。
【0125】
上述の実施形態には、スマートフォン用のロールプレイングゲーム及びアクションゲームのようなアプリを例にして記載されているが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、アクションゲーム、シューティングゲーム、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、及びパズルゲーム等、様々な種類のゲームに適用することができる。
【0126】
・システム構成のバリエーション
サーバ装置1及びゲーム装置2の各制御部の動作は、上述の実施形態に記載された例に限られない。
たとえば、上述の本実施形態のゲームシステムXは、サーバ装置1とゲーム装置2とを備えるように記載したものの、ゲーム装置2(コンピュータ)のみで実行することも可能である。この場合、ゲーム装置2の記憶部21に格納するプログラムとして、ゲームプログラム110及びゲームプログラム210の機能を備えて、ピア・トゥー・ピアで接続可能にする機能を備えていてもよい。さらに、記憶部21に、アカウント設定300、ゲームデータ111及びゲームデータ211に対応するデータを含んでいてもよい。
さらに、上述の各機能手段を、サーバ装置1ではなく、ゲーム装置2のうち一つを「ホストコンピュータ」として実行するような構成も可能である。さらに、NAS(Network Attached Storage)やIoT用の小型コンピュータ、ホームサーバ、家電製品、その他のホストコンピュータ等により実行することも可能である。
このように構成することで、管理者等が用意する専用のサーバ装置1を用いずに、ゲーム装置2同士、又はゲーム装置2と各種ホストコンピュータとを介して、部位毎の攻撃を協同して行うことが可能となる。
【0127】
さらに、上述の各手段は、サーバ装置1及びゲーム装置2のいずれかで任意に実行しても、それぞれの機能を分担して一部又は任意の組み合わせで実行してもよい。加えて、本発明のコンピュータは、サーバ装置1及びゲーム装置2のいずれか若しくは両方、又はそれ以外の装置を含んでいてもよい。さらに、上述の機能構成の一部又は任意の組み合わせをICやプログラマブルロジックやFPGA(Field-Programmable Gate Array)等でハードウェア的、回路的に構成してもよい。
【0128】
上述の実施形態では、本実施形態のゲームプログラム210がネイティブアプリケーションである例について記載されたものの、ウェブアプリとして構成されていてもよい。すなわち、ゲームプログラム210は、ウェブブラウザー等で実行可能なアプリであってもよい。この場合は、記憶部21に格納されるゲームプログラム210及びゲームデータ211は、毎回、RAM等に一時的に格納されてもよい。
さらに、上述の実施形態では、ゲーム装置2において、ゲームプログラム210自体はアプリ用サーバからダウンロードするように記載した。しかしながら、ゲームプログラム210をサーバ装置1からダウンロードするようにしてもよい。また、ゲームプログラム210は、ゲーム装置2において、光学記録媒体やその他の記録媒体から読み込まれ、記憶部21にインストールされてもよい。
【0129】
上述の実施形態には、ゲーム装置2としてスマートフォンやゲーム専用機等の携帯端末装置を用いた例が記載されているものの、本発明の実施形態はこれには限られない。たとえば、ゲームセンター等に提供されるアーケードゲーム筐体に接続される位置端末、VR(Virtual Reality)ゴーグル等を用いて本発明を実現することも可能である。
【0130】
この場合、現実空間に重ねて、巨大なモンスターや部位等を表示することができ、VRゴーグル等により、どの地点に行けば良いか誘導することも可能である。
【0131】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本発明の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、及び他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【0132】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0133】
1 サーバ装置
2、2b ゲーム装置
3 ネットワーク
10、20 制御部
11、21 記憶部
12、22 接続部
23 画像処理部
24 音声処理部
25 操作部
26 表示部
27 音声入出力部
28 位置取得部
100 イベント発生手段
101 ユーザ判断手段
102 報知手段
103 位置取得手段
104 操作取得手段
105 判定手段
110、210、210b ゲームプログラム
111、211、211b ゲームデータ
112 アカウントDB
113 報知情報
200 位置操作送信手段
201 ゲーム実行手段
212 位置情報
300 アカウント設定
301 ログイン情報
302 パーティ情報
303 進行状況情報
310 地図データ
311 エリア設定
312 目的地
313 イベント設定
320 イベントデータ
321 オブジェクトデータ
322 進行状況データ
323 操作情報
400 モンスターデータ
410 部位情報
500 画面例
S 特定エリア
M モンスター
P1~P9 部位
U1、U2 ユーザ
X ゲームシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6