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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】ひび割れ検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20230215BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
F04B39/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021149317
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 旭
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 孟晃
(72)【発明者】
【氏名】久保田 崇聖
(72)【発明者】
【氏名】伊東 陽介
(72)【発明者】
【氏名】松本 暢二
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-230295(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150607(WO,A1)
【文献】特開2012-042369(JP,A)
【文献】特開2021-043882(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009007(WO,A1)
【文献】特開2004-092556(JP,A)
【文献】実開平02-076677(JP,U)
【文献】実開昭54-048988(JP,U)
【文献】特開2004-045273(JP,A)
【文献】国際公開第2019/216834(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
F04B 39/00-39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(10)のターミナル(14)を撮像する撮像部(20)と、
前記撮像部(20)が撮像した前記ターミナル(14)の画像データに基づいて前記ターミナル(14)における検査対象(14c)のひび割れの有無を判定する制御部(40)とを備え
前記撮像部(20)は、前記ターミナル(14)に光を照射する照明装置(30)を有し、
前記制御部(40)は、
前記照明装置(30)の反射光が映り込んだ映り込み部(R)の位置が異なる複数の前記画像データを取得し、
前記映り込み部(R)が小さくなるように複数の前記画像データを合成し、前記画像データとしての合成画像データを生成し、
前記合成画像データに基づいて前記ターミナル(14)における検査対象(14c)のひび割れの有無を判定す
ひび割れ検査システム。
【請求項2】
前記照明装置は、リング照明(31,32)である
請求項に記載のひび割れ検査システム。
【請求項3】
前記照明装置(30)は、複数の前記リング照明(31,32)であり、
複数の前記リング照明(31,32)は、その外径が互いに異なるとともに、同軸に配置される
請求項に記載のひび割れ検査システム。
【請求項4】
前記照明装置(30)は、前記ターミナル(14)に対して異なる方向から光を照射するように構成される
請求項に記載のひび割れ検査システム。
【請求項5】
前記照明装置(30)は、前記ターミナル(14)に対して互いに異なる方向から光を照射する複数のスポット照明(35)である
請求項に記載のひび割れ検査システム。
【請求項6】
前記照明装置(30)は、前記検査対象(14c)の色と補色の関係にある色の光を照射する
請求項1~5のいずれか1つに記載のひび割れ検査システム。
【請求項7】
前記撮像部(20)は、異なる方向から前記ターミナル(14)を撮像する
請求項1~のいずれか1つに記載のひび割れ検査システム。
【請求項8】
前記ターミナル(14)は、端子部(14b)と該端子部(14b)の全周を囲むように設けられた絶縁部(14c)とを含み、
前記検査対象は、前記絶縁部(14c)であり、
前記制御部(40)は、前記画像データにおける前記絶縁部(14c)のひび割れを示す部分が前記端子部(14b)の外周から前記絶縁部(14c)の外周まで繋がっていた場合に、ひび割れ有りと判定する
請求項1~のいずれか1つに記載のひび割れ検査システム。
【請求項9】
前記制御部(40)は、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記検査対象のひび割れの有無を判定する
請求項1~のいずれか1つに記載のひび割れ検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ひび割れ検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷媒回路を備える冷凍装置や空気調和装置が知られている。特許文献1には、冷媒回路を構成する圧縮機が開示されている。圧縮機は、ケーシングと、該ケーシングに収容された電動機と、該電動機へ給電するための配線が接続されるターミナルとを備える。ターミナルは、ボディと、該ボディに挿通されたターミナルピン(端子部)と、ターミナルピンの外周面とボディとの間に設けられた絶縁ガラス部(絶縁部)とを有する。絶縁ガラス部は、ボディとターミナルピンの間を電気的に絶縁する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-210908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなターミナルを備える圧縮機を製造する際には、製造ラインにおいて、作業者が目視によってターミナルにおける絶縁部のひび割れの有無を検査している。このような作業者による目視検査では、作業者によって検査基準が異なったり、ひび割れの有無の判断が難しい場合があるため、検査の品質が安定しないという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、ターミナルのひび割れ検査の品質を安定させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、ひび割れ検査システム(100)を対象とする。第1の態様のひび割れ検査システム(100)は、圧縮機(10)のターミナル(14)を撮像する撮像部(20)と、前記撮像部(20)が撮像した前記ターミナル(14)の画像データに基づいて前記ターミナル(14)における検査対象(14c)のひび割れの有無を判定する制御部(40)とを備える。
【0007】
第1の態様では、制御部(40)がターミナル(14)における検査対象(14c)のひび割れの有無を判定するので、人が目視で検査する場合に比べ、検査結果にばらつきが生じにくい。これにより、ひび割れ検査の品質を安定させることができる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記撮像部(20)は、前記ターミナル(14)に光を照射する照明装置(30)を有する。
【0009】
第2の態様では、照明装置(30)によってターミナル(14)に光が照射されるので、検査対象(14c)のひび割れ部分が判別しやすくなる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、前記制御部(40)は、前記照明装置(30)の反射光が映り込んだ映り込み部(R)の位置が異なる複数の前記画像データを取得し、前記映り込み部(R)が小さくなるように複数の前記画像データを合成し、前記画像データとしての合成画像データを生成し、前記合成画像データに基づいて前記ターミナル(14)における検査対象(14c)のひび割れの有無を判定する。
【0011】
第3の態様では、照明装置(30)の反射光が映り込んだ映り込み部(R)の位置が異なる複数の画像データを合成することにより、映り込み部(R)が小さい合成画像データが生成される。生成された映り込み部(R)の小さい合成画像データに基づいて検査対象(14c)のひび割れの有無が判定されるので、検査対象(14c)の全体を検査することができる。
【0012】
第4の態様は、第2または第3の態様において、前記照明装置(30)は、リング照明(31,32)である。
【0013】
第4の態様では、リング照明(31,32)を用いることにより、ターミナル(14)に対して均一に光を照射できる。
【0014】
第5の態様は、第4の態様において、前記照明装置(30)は、複数の前記リング照明(31,32)であり、複数の前記リング照明(31,32)は、その外径が互いに異なるとともに、同軸に配置される。
【0015】
第5の態様では、複数のリング照明(31,32)は、その外径が互いに異なるとともに、同軸に配置されるので、映り込み部(R)の位置が異なる画像データを簡単に取得できる。
【0016】
第6の態様は、第2または第3の態様において、前記照明装置(30)は、前記ターミナル(14)に対して異なる方向から光を照射するように構成される。
【0017】
ここで、ターミナル(14)に対して一方向から光を照射すると、ターミナル(14)の構造によっては検査対象(14c)に光が当たらない影の部分ができてしまう。第6の態様では、ターミナル(14)に対して異なる方向から光を照射するので、ターミナル(14)の構造に応じて適切な方向から光を照射できる。
【0018】
第7の態様は、第6の態様において、前記照明装置(30)は、前記ターミナル(14)に対して互いに異なる方向から光を照射する複数のスポット照明(35)である。
【0019】
第7の態様では、各スポット照明(35)の点灯と消灯を切り替えることにより、スポット照明(35)を移動させることなく、ターミナル(14)に対して異なる方向から光を照射できる。
【0020】
第8の態様は、第2~第7のいずれか1つの態様において、前記照明装置(30)は、前記検査対象(14c)の色と補色の関係にある色の光を照射する。
【0021】
第8の態様では、照明装置(30)が検査対象(14c)の色と補色の関係にある色の光を照射するので、撮像された画像データにおけるひび割れを示す部分が際立って表示される。これにより、検査対象(14c)のひび割れ部分を判定しやすくなる。
【0022】
第9の態様は、第1~第8のいずれか1つの態様において、前記撮像部(20)は、異なる方向から前記ターミナル(14)を撮像する。
【0023】
ここで、ターミナル(14)に対して一方向から撮像すると、ターミナル(14)の構造によっては画像データにおける検査対象(14c)に影ができてしまいひび割れを判定しにくい。第9の態様では、異なる方向からターミナル(14)を撮像するので、撮像された画像データを合成することで、検査対象(14c)全体のひび割れを検査できる。
【0024】
第10の態様は、第1~第9のいずれか1つの態様において、前記ターミナル(14)は、端子部(14b)と該端子部(14b)の全周を囲むように設けられた絶縁部(14c)とを含み、前記検査対象は、前記絶縁部(14c)であり、前記制御部(40)は、前記画像データにおける前記絶縁部(14c)のひび割れを示す部分が前記端子部(14b)の外周から前記絶縁部(14c)の外周まで繋がっていた場合に、ひび割れ有りと判定する。
【0025】
第10の態様では、制御部(40)が画像データにおけるひび割れを示す部分が端子部の外周から絶縁部の外周まで繋がっていた場合にひび割れ有りと判定するので、絶縁部(14c)にひび割れのある不良品を自動で選別することができる。
【0026】
第11の態様は、第1~第10のいずれか1つの態様において、前記制御部(40)は、機械学習により生成された学習済モデルを用いて、前記検査対象のひび割れの有無を判定する。
【0027】
第11の態様では、機械学習により生成したモデルを用いて検査対象(14c)のひび割れの有無を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、実施形態1に係る検査システムの概略の正面図である。
図2図2は、検査システムのブロック図である。
図3図3は、圧縮機の概略の構成を示す正面図である。
図4図4は、ターミナルを拡大した平面図である。
図5図5は、検査システムの動作を示すフローチャートである。
図6図6は、撮像動作を示すフローチャートである。
図7図7は、照明装置の映り込みを模式的に示した説明図である。
図8図8は、前処理における合成を示す説明図である。
図9図9は、前処理における切り取りおよびマスクを示す説明図である。
図10図10は、ひび割れ線の補正を示す説明図である。
図11図11は、ひび割れ有りと判定された場合を示す説明図である。
図12図12は、ひび割れ無しと判定された場合を示す説明図である。
図13図13は、実施形態2に係る検査システムの概略の正面図である。
図14図14は、実施形態2の図4に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0030】
《実施形態1》
実施形態1のひび割れ検査システム(100)について説明する。
【0031】
(1)ひび割れ検査システムの構成
本実施形態に係るひび割れ検査システム(以下、検査システムともいう)(100)は、圧縮機(10)のターミナル(14)における検査対象(14c)のひび割れの有無を検査する。本例の検査対象は、絶縁部(14c)である。検査システム(100)は、例えばターミナル(14)の製造ラインで用いられる。検査システム(100)は、カメラ(21)によって撮像されたターミナル(14)の画像データから絶縁部(14c)の傷や亀裂であるひび線(K)を抽出し、抽出したひび線(K)に基づいて絶縁部(14c)のひび割れの有無を判定する。圧縮機の構成については、後述する。
【0032】
図1に示すように、検査システム(100)では、ターミナル(14)を台座(P)の上に載せて検査を行う。図2に示すように、検査システム(100)は、撮像部(20)と、制御部(40)と、端末装置(45)とを有する。
【0033】
(1-1)撮像部
撮像部(20)は、カメラ(21)と、照明装置(30)とを有する。カメラ(21)は、圧縮機(10)のターミナル(14)の上方に配置される。カメラ(21)は、その軸心がターミナル(14)の中心を通る中心線(X)と概ね一致するように配置される。カメラ(21)は、レンズを下方に向けた状態で固定される。カメラ(21)は、圧縮機(10)のターミナル(14)を撮像する。カメラ(21)のレンズは、テレセントリックレンズである。テレセントリックレンズを有するカメラ(21)を用いることで、画像データの歪みや照明装置(30)の映り込みを低減できる。
【0034】
照明装置(30)は、ターミナル(14)に光を照射する。照明装置(30)は、上下方向において、ターミナル(14)とカメラ(21)との間に配置される。照明装置(30)は、互いに外径が異なる複数のリング照明(31,32)で構成される。リング照明(31,32)は、複数の光源が円環状に配置された照明装置である。リング照明(31,32)は、点灯と消灯とを切り替え可能に構成される。本例の照明装置(30)は、2つのリング照明(31,32)で構成される。以下の説明では、2つのリング照明(31,32)のそれぞれを、第1照明(31)および第2照明(32)という。
【0035】
第1照明(31)は、ターミナル(14)の上方に配置される。第2照明(32)は、第1照明(31)の上方に配置される。第2照明(32)の上方には、カメラ(21)が配置される。第1照明(31)と第2照明(32)とは、同軸上に配置される。詳細には、ターミナル(14)の中心を通る中心線(X)上に、第1照明(31)の中心、第2照明(32)の中心、およびカメラ(21)の軸心が位置する。第1照明(31)の外径は、第2照明(32)の外径よりも大きい。具体的には、第1照明(31)の光源の直径は、第2照明(32)の光源の直径よりも大きい。
【0036】
第1照明(31)および第2照明(32)は、ターミナル(14)の絶縁部(14c)の色と補色の関係にある色の光を照射する。具体的には、絶縁部(14c)の色は青緑色であるので、第1照明(31)および第2照明(32)は赤色の光を照射する。このように、検査対象である絶縁部(14c)の色と補色の関係にある色の光を照射することにより、撮像されたターミナル(14)の画像データにおける絶縁部(14c)は黒色に映し出される。そして、画像データにおける絶縁部(14c)のひび線(K)は白色に映し出される。これにより、撮像された画像データにおいて、ひび線(K)が際立って表示される。
【0037】
撮像部(20)と制御部(40)とは、第1通信線(W1)を介して互いに接続される。第1通信線(W1)は、有線または無線である。撮像部(20)は、制御部(40)の指令に基づき、各リング照明(31,32)の点灯および消灯を切り替えるとともに、カメラ(21)でターミナル(14)を撮像する。カメラ(21)が撮像する画像データは、モノクロの静止画である。モノクロの画像データでは、絶縁部(14c)とひび線(K)とのコントラストの差が大きく表示されるので、ひび割れの有無の判定を行いやすくなる。撮像部(20)は、撮像したターミナル(14)の画像データを、第1通信線(W1)を介して制御部(40)に送信する。
【0038】
(1-2)制御部
制御部(40)は、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0039】
制御部(40)は、撮像部(20)が取得したターミナル(14)の画像データを受信する。制御部(40)は、画像データに基づいてターミナル(14)の絶縁部(14c)のひび線(K)を抽出する。制御部(40)は、抽出したひび線(K)に基づき絶縁部(14c)のひび割れの有無を判定する。
【0040】
制御部(40)は、記憶部(41)を有する。記憶部(41)は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)などを含む。記憶部(41)は、カメラ(21)が取得した画像データを順次記憶する。
【0041】
(1-3)端末装置
端末装置(45)は、パーソナルコンピュータなどの作業者が使用する端末である。端末装置(45)は、タブレットやスマートフォンなどであってもよいし、検査用の専用端末であってもよい。
【0042】
制御部(40)と端末装置(45)とは、第2通信線(W2)を介して互いに接続される。第2通信線(W2)は、有線または無線である。制御部(40)と端末装置(45)とは、ネットワークを介して互いに接続されてもよい。
【0043】
制御部(40)が絶縁部(14c)にひび割れが有ると判定した場合、制御部(40)は、そのことを示す信号を端末装置(45)に出力する。報知部としての端末装置(45)は、画面の表示、光、音などによって、絶縁部(14c)にひび割れがあることを作業者に報知する。
【0044】
(2)圧縮機の概要
次に、圧縮機(10)の概要について図3を参照しながら説明する。
【0045】
圧縮機(10)は、回転式流体機械である。圧縮機(10)は、いわゆる高圧ドーム式である。圧縮機(10)は、ケーシング(11)と、吸入管(12)と、吐出管(13)と、ターミナル(14)とを有する。ケーシング(11)は、中空の密閉容器である。ケーシング(11)は、胴体(11a)と、底部(11b)と、頂部(11c)とを有する。胴体(11a)は、軸方向の両端が開放する縦長の円筒状に形成される。底部(11b)は、胴体(11a)の長手方向(軸方向)の一端(図3における下端)側の開放部を閉塞する。頂部(11c)は、胴体(11a)の長手方向(軸方向)の他端(図3における上端)側の開放部を閉塞する。
【0046】
吸入管(12)は、胴体(11a)に固定される。吸入管(12)は、胴体(11a)の下部を径方向に貫通する。吸入管(12)には、アキュムレータ(15)が設けられる。アキュムレータ(15)は、液冷媒を貯める容器である。吸入管(12)は、圧縮機構のシリンダの内部へ冷媒を導く。
【0047】
吐出管(13)は、頂部(11c)に固定される。吐出管(13)は、頂部(11c)を軸方向に貫通する。吐出管(13)は、圧縮機構で圧縮された冷媒をケーシングの外部へ導く。
【0048】
ターミナル(14)は、ケーシング(11)の頂部(11c)に固定される。ターミナル(14)は、電源回路の電力を電動機に導くためのものである。図4に示すように、ターミナル(14)は、1つのボディ部(14a)と、3つの端子部(14b)と、3つの絶縁部(14c)とを有する。
【0049】
ボディ部(14a)は、円柱形状に構成される。端子部(14b)は、ボディ部(14a)の端面から上方に延びるロッドである。各端子部(14b)は、ボディ部(14a)の周方向に沿って互いに間隔を空けて配置される。絶縁部(14c)は、ボディ部(14a)と端子部(14b)とを電気的に絶縁するガラス製の部材である。各絶縁部(14c)は、対応する端子部(14b)の全周を囲むように円環状に形成される。
【0050】
ケーシング(11)の内部には、電動機と、駆動軸と、圧縮機構とが収容される(図示省略)。電動機が駆動軸を回転駆動すると、圧縮機構のシリンダの内部でピストンが回転する。これにより、流体(冷媒)は吸入管(12)からシリンダの内部に流入する。圧縮機構は冷媒を圧縮する。圧縮機構で圧縮された冷媒は、ケーシング(11)の内部に流出した後、吐出管(13)を介してケーシング(11)の外部へ流出する。
【0051】
(3)検査システムの動作
次に、検査システム(100)の動作について詳細に説明する。検査システム(100)では、撮像動作(A)、前処理(B)、補正処理(C)、および判定処理(D)が順に行われる。検査システム(100)は、カメラ(21)の下方にターミナル(14)が配置されると、図5および図6に示すステップに従い、制御部(40)が絶縁部(14c)のひび割れの有無を判定する。
【0052】
(3-1)撮像動作
ステップST1において、制御部(40)は、撮像部(20)に撮像動作を実行させる。ところで、照明装置(30)から光を照射した状態でターミナル(14)を撮像すると、取得された画像データには照明装置(30)の反射光が映り込んでしまう。照明装置(30)の反射光が映り込むと、画像データにおいて反射光が映り込んだ部分のひび割れの有無を判定できない。そこで、制御部(40)は、撮像動作において、照明装置(30)の反射光が映り込んだ映り込み部(R)の位置が異なる複数のターミナル(14)の画像データを取得する。
【0053】
具体的には、図6に示すように、まずステップST11において、制御部(40)は、照明装置(30)を第1状態にする。第1状態では、第1照明(31)が点灯し、第2照明(32)が消灯している。次に、ステップST12において、制御部(40)は、カメラ(21)にターミナル(14)を撮像させ、照明装置(30)が第1状態のときのターミナル(14)の画像データ(以下、第1画像データという)を取得する。
【0054】
次に、ステップST13において、制御部(40)は、照明装置(30)を第2状態にする。第2状態では、第1照明(31)が消灯し、第2照明(32)が点灯している。次に、ステップST14において、制御部(40)は、カメラ(21)にターミナル(14)を撮像させ、照明装置(30)が第2状態のときのターミナル(14)の画像データ(以下、第2画像データという)を取得する。
【0055】
最後に、ステップST15において、制御部(40)は、照明装置(30)を第3状態にする。第3状態では、第1照明(31)および第2照明(32)が消灯している。なお、撮像動作(A)においてステップST11において照明装置(30)を第2状態にし、ステップST13において照明装置(30)を第1状態にしてもよい。
【0056】
図8(A)は第1画像データの一例であり、図8(B)は第2画像データの一例である。図8(A)では、各絶縁部(14c)における端子部(14b)の周囲に、第1照明(31)の反射光が映り込んだ映り込み部(R)が円環状に白く映される。図8(B)では、各絶縁部(14c)の外周寄りの位置に、第2照明(32)の反射光が映り込んだ映り込み部(R)が円環状に白く映される。
【0057】
ここで、図7にターミナル(14)の端子部(14b)の基端部を拡大した図を示す。図7では、説明を分かりやすくするため、第1照明(31)および第2照明(32)の一部を模式的に表している。図7に示すように、絶縁部(14c)は、端子部(14b)から外周に向かって径方向に離れるに従って下方に凹んで湾曲している。このため、外径の大きな第1照明(31)の光は、絶縁部(14c)の表面における傾斜の急な部分(端子部(14b)寄りの位置)で反射しカメラ(21)に入る。そのため、第1画像データの映り込み部(R)は、絶縁部(14c)の端子部(14b)寄りの位置に映し出される。一方、外径の小さな第2照明(32)の光は、絶縁部(14c)の表面における傾斜の緩やかな部分(外周寄りの位置)で反射しカメラ(21)に入る。そのため、第2画像データの映り込み部(R)は、絶縁部(14c)の外周寄りの位置に映し出される。このように、外径の異なる複数の照明装置(30)を用いて絶縁部(14c)を撮像することで、表面が湾曲した絶縁部(14c)の映り込み部(R)の位置が異なる画像データを取得できる。
【0058】
(3-2)前処理
次に、ステップST2~ステップST4において、前処理(B)が行われる。前処理(B)では、映り込み部(R)が小さくなるように、撮像動作で取得された複数の画像データを合成し、画像データとしての合成画像データを生成する。
【0059】
ステップST2において、制御部(40)は、第1画像データと第2画像データとを合成して、合成画像データを生成する。具体的には、図8に示すように、第1画像データにおける各絶縁部(14c)の映り込み部(R)周辺の領域に、第2画像データにおける該第1画像データの映り込み部(R)周辺の領域に対応する領域の画像データを貼り付けて、合成画像データとしての第3画像データを生成する(図8(C)を参照)。これにより、合成画像データにおける各絶縁部(14c)の映り込み部(R)を小さくできる。なお、第2画像データの映り込み部(R)周辺の領域に第1画像データにおける該第2画像データの映り込み部(R)に対応する領域の画像データを貼り付けてもよい。
【0060】
次に、図9に示すように、ステップST3において、制御部(40)は、第3画像データから各絶縁部(14c)を切り取る(図9(B)を参照)。具体的には、制御部(40)は、第3画像データを分割して、各絶縁部(14c)が映し出された3つの合成分割画像データを生成する(以下、第4画像データという)。
【0061】
次に、ステップST4において、制御部(40)は、各第4画像データにマスク処理をする。具体的には、制御部(40)は、各第4画像データから不要な領域を削除する。この不要な領域は、例えば、ボディ部(14a)の領域である。これにより、図9(C)に示すように、1つの絶縁部(14c)が映し出された3つの第5画像データ(合成画像データ)が生成される。
【0062】
(3-3)補正処理
次に、ステップST5~ステップST6において、補正処理が行わる。補正処理では、各第5画像データにおける絶縁部(14c)のひび割れを示す部分であるひび線(K)を検知し、ひび割れの判定を行いやすいように補正する。
【0063】
ステップST5において、制御部(40)は、各第5画像データのうち白く細い直線をひび線(K)として検出する。制御部(40)は、検出したひび線(K)の幅が太くなるように第5画像データを加工し、第6画像データを生成する。この処理により、ひび線(K)が強調される。
【0064】
ステップST6において、制御部(40)は、各第6画像データのひび線(K)を補正する。具体的には、図10に示すように、制御部(40)は、各第6画像データで検出されたひび線(K)の長さを伸ばす。これにより、ひび線(K)が補正された第7画像データが生成される。この処理により、画像データに映し出されにくいひび線(K)の伸長方向両端部分を補完できる。
【0065】
(3-4)判定処理
次に、ステップST7~ステップST11において、判定処理(D)が行われる。判定処理(D)では、合成画像データに基づいて絶縁部(14c)のひび割れの有無を判定する。
【0066】
ステップST7において、制御部(40)は、第7画像データにおいてひび線(K)が端子部(14b)の外周から絶縁部(14c)の外周まで繋がっているか否かを判定する。具体的には、まず第7画像データにおいて端子部(14b)の中心部を指定し、第7画像データ上において指定した部分と同じ色(白色)の部分を所定の色(例えば、青色)で塗りつぶす。
【0067】
図11はひび割れ有りと判定した画像データの一例であり、図12はひび割れ無しと判定した画像データの一例である。図11および図12では、塗りつぶしの色をグレーとしている。
【0068】
図11に示すように、第7画像データにおいて、ひび線(K)が端子部(14b)の外周から絶縁部(14c)の外周まで繋がっている場合、絶縁部(14c)の外側の領域が所定の色で塗りつぶされる。絶縁部(14c)の外側の領域が所定の色で塗りつぶされると、第7画像データ全体において所定の色が付された部分の面積は大きくなる。
【0069】
一方、図12に示すように、第7画像データにおいて、ひび線(K)が端子部(14b)の外周から絶縁部(14c)の外周まで繋がっていない場合、絶縁部(14c)の外側の領域は所定の色で塗りつぶされない。絶縁部(14c)の外側の領域が所定の色で塗りつぶされないと、第7画像データ全体において所定の色が付された部分の面積は小さくなる。
【0070】
このように、制御部(40)は、第7画像データにおいて所定の色で塗りつぶされた面積が所定値以上の場合には、ひび線(K)が端子部(14b)の外周から絶縁部(14c)の外周まで繋がっていると判定し、ひび割れ有りと判定する(ステップST8)。ステップST8においてひび割れ有りと判定すると、ステップST9において、制御部(40)は、ひび割れ有りという情報を含む第1信号を端末装置(45)に出力する。第1信号は、絶縁部(14c)にひび割れが有ることを示したターミナル(14)の画像データ(色付けされた第7画像データ)を含む。
【0071】
端末装置(45)に第1信号が入力されと、端末装置(45)は、画面の表示、光、音などによって、ターミナル(14)の絶縁部(14c)にひび割れがあることを作業者に報知する。加えて、端末装置(45)は、絶縁部(14c)にひび割れが有ることを示した画像データを画面に表示する。これにより、作業者は、ひび割れの有る箇所を知ることができる。
【0072】
一方、制御部(40)は、第7画像データにおいて所定の色で塗りつぶされた面積が所定値よりも小さい場合には、ひび線(K)が端子部(14b)の外周から絶縁部(14c)の外周まで繋がっていないと判定し、ひび割れ無しと判定する(ステップST10)。
【0073】
ひび割れの判定が終了すると、ステップST11において、制御部(40)は、ひび割れの判定の用いた画像データを記憶部(41)に保存する。記憶部(41)に画像データを保存することにより、ターミナル(14)のひび割れが発生するタイミングや原因を分析する際に用いることができる。
【0074】
(4)特徴
(4-1)本実施形態の検査システム(100)では、制御部(40)が撮像部(20)が撮像したターミナル(14)の画像データに基づいて絶縁部(14c)のひび割れの有無を判定する。このため、絶縁部(14c)のひび割れの有無を作業者が目視で行う場合に比べて、検査結果にばらつきが生じにくく、ひび割れ検査の品質を安定させることができる。更に、目視検査のような単純な作業が減るので、作業者への負担が軽減される。
【0075】
(4-2)撮像部(20)は、ターミナル(14)に光を照射する照明装置(30)を有する。このため、絶縁部(14c)を明るく照らすことができ、絶縁部(14c)のひび線(K)を検出しやすくなる。
【0076】
(4-3)制御部(40)は、照明装置(30)の映り込み部(R)の位置が異なる複数の画像データを取得する。制御部(40)は、映り込み部(R)が小さくなるように複数の画像データを合成し、画像データとしての合成画像データを生成する。制御部(40)は、合成画像データに基づいて絶縁部(14c)のひび割れの有無を判定する。このため、制御部(40)では、照明装置(30)の映り込み部(R)が少ない画像データが生成されるので、絶縁部(14c)の全体が映し出される。これにより、絶縁部(14c)全体に対してひび割れの有無を検査できる。
【0077】
(4-4)照明装置(30)は、リング照明である。このため、ターミナル(14)に対して均一に光を照射できる。
【0078】
(4-5)複数のリング照明は、その外径が互いに異なるとともに、同軸に配置される。このため、照明装置(30)の映り込み部(R)の位置が異なる複数の画像データを簡単に取得できる。
【0079】
(4-6)照明装置(30)は、絶縁部(14c)の色と補色の関係にある色の光を照射する。このため、撮像された画像データにおける絶縁部(14c)は黒色に映し出されるとともに、ひび線(K)が白色に映し出される。これにより、ひび線(K)が際立って映し出されるので、ひび割れの有無を判断しやすくなり、ひび割れの有無の判定精度を向上させられる。
【0080】
(4-7)制御部(40)は、画像データにおけるひび線(K)が端子部(14b)の外周から絶縁部(14c)の外周まで繋がっていた場合に、ひび割れ有りと判定する。このため、絶縁部(14c)にひび割れのある不良品を自動で判別することができる。
【0081】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。本実施形態の検査システム(100)は、実施形態1の検査システム(100)において、撮像部(20)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の検査システム(100)について、実施形態1の検査システム(100)と異なる点を説明する。
【0082】
ここで、図13および図14に示すように、本実施形態のターミナル(14)は、端子板(14d)を有する。端子板(14d)は、各端子部(14b)の先端に固定される。このようにターミナル(14)が端子板(14d)を有する場合、照明装置(30)からターミナル(14)に光を照射すると、端子板(14d)によって絶縁部(14c)に影ができてしまうことがある。そこで、本実施形態の撮像部(20)では、照明装置(30)はターミナル(14)に対して異なる方向から光を照射するように構成される。
【0083】
(1)撮像部の構成
具体的には、本例の照明装置(30)は、複数のスポット照明で構成される。スポット照明は、1つの光源で構成された照明装置である。本例の照明装置(30)は、6つのスポット照明(35)で構成される。
【0084】
6つのスポット照明(35)は、ターミナル(14)の上方に配置される。6つのスポット照明(35)は、ターミナル(14)が載置された台座(P)の上面と概ね平行な水平面上に配置される。6つのスポット照明(35)は、該スポット照明(35)を上から見たときに、ターミナル(14)を中心に、ターミナル(14)の周囲を囲むようにそれぞれ配置される。言い換えると、各スポット照明(35)は、隣り合うスポット照明(35)と周方向に所定の間隔を空けて配置される。スポット照明(35)は、点灯と消灯とを切り替え可能に構成される。6つのスポット照明(35)は、各スポット照明(35)の点灯と消灯とを切り替えることにより、ターミナル(14)に対して互いに異なる方向から光を照射する。
【0085】
図13に示すように、撮像部(20)のカメラ(21)は、検査システム(100)を正面から見たときに、ターミナル(14)の中心を通る中心線(X)から時計回り方向に所定の角度だけ傾いた状態で配置される。本例の所定角度は、約15°である。
【0086】
カメラ(21)は、検査システム(100)を上から見たときに、上記の所定角度を維持した状態で、時計回り方向または反時計回り方向に移動可能に構成される。これにより、カメラ(21)は異なる方向からターミナル(14)を撮像できる。
【0087】
(2)検査システムの動作
本実施形態の検査システム(100)の動作は、実施形態1の検査システム(100)の動作に対して、撮像動作(A)が異なる。以下の説明では、6つのスポット照明(35)のそれぞれを、周方向に順に第1~第6照明という。また、カメラ(21)は、例えば、検査システム(100)を上から見たときに、ターミナル(14)の中央を中心に初期位置を0°としたときに、時計回り方向に0°、120°および240°の各位置で撮像を実行する。このときの撮像方向をそれぞれ第1~第3方向という。なお、ここで示す撮像を実行する角度は単なる一例である。
【0088】
本実施形態の撮像動作(A)では、制御部(40)は、カメラ(21)が初期位置に配置された状態で、第1照明のみを点灯させて、カメラ(21)に第1方向からターミナル(14)を撮像させる。次に、制御部(40)は、第1照明を消灯させ、第2照明のみを点灯させ、カメラ(21)でターミナルを撮像する。このように制御部(40)は、第1~第6照明を順に点灯させて、カメラ(21)でターミナルを撮像し、第1方向における6つのターミナル(14)の画像データを取得する。
【0089】
次に、制御部(40)は、カメラ(21)の位置を、初期位置から時計回り方向に120°移動させる。そして、制御部(40)は、カメラ(21)が120°移動した状態で、初期位置と同様に、第1~第6照明を順に点灯させて、カメラ(21)に第2方向からターミナル(14)を撮像させる。これにより、制御部(40)は、第2方向における6つのターミナル(14)の画像データを取得する。
【0090】
次に、制御部(40)は、カメラ(21)の位置を、初期位置から時計回り方向に240°の位置に移動させ、その状態で初期位置と同様に、制御部(40)は、第1~第6照明を順に点灯させて、カメラ(21)でターミナル(14)を撮像する。これにより、制御部(40)は、第3方向における6つのターミナル(14)の画像データを取得する。
【0091】
そして、次の前処理(B)において、制御部(40)は、撮像動作(A)で取得した複数の画像データを合成して、ターミナル(14)の端子部(14b)による影が小さく且つ照明装置(30)の映り込み部(R)が小さい合成画像データを生成する。
【0092】
このように、端子板(14d)を有するターミナル(14)のように絶縁部(14c)に影ができやすい構造のターミナル(14)であっても、複数の方向から光を照射するとともに、複数の方向から撮像することにより、端子板(14d)による影が小さく且つ照明装置(30)の映り込み部(R)が小さい合成画像データを生成することができる。これにより、絶縁部(14c)の全体の状態を確認でき、絶縁部(14c)の全体に対してひび割れの有無を判定できる。
【0093】
(3)特徴
(3-1)本実施形態の検査システム(100)では、照明装置(30)は、ターミナル(14)に対して異なる方向から光を照射するように構成される。ところで、ターミナル(14)に対して一方向から光を照射すると、例えば端子板(14d)を有するターミナル(14)のようにターミナル(14)の構造によっては光が当たらず絶縁部(14c)に影ができてしまう。これに対し、本例ではターミナル(14)に対して複数の異なる方向から光を照射するので、ターミナル構造に応じて適切な方向から光を照射できる。これにより、ターミナル(14)の画像データを合成することで影の領域を小さくすることができ、絶縁部(14c)の全体を検査することができる。
【0094】
(3-2)照明装置(30)は、ターミナル(14)に対して互いに異なる方向から光を照射するスポット照明(35)である。互いに異なる方向から光を照射するスポット照明(35)の点灯と消灯とを切り替えることにより、スポット照明(35)を移動させることなく、ターミナルに対して異なる方向から光を照射できる。
【0095】
(3-3)撮像部(20)は、異なる方向からターミナル(14)を撮像する。ここで、ターミナル(14)に対して一方向から撮像すると、例えば端子板(14d)を有するターミナル(14)のようにターミナル(14)の構造によっては、絶縁部(14c)に影ができてしまう。これに対し、本例では、複数の異なる方向からターミナル(14)を撮像するので、ターミナル(14)の画像データを合成することで、影の領域を小さくすることができ、絶縁部(14c)の全体を検査することできる。
【0096】
(4)変形例
(4-1)変形例1:照明装置の構成
本実施形態の検査システム(100)では、照明装置(30)は、1つのスポット照明(35)で構成されてもよい。この場合には、1つのスポット照明(35)は、検査システム(100)を上から見たときに、ターミナル(14)の周囲を周方向に移動可能に構成される。言い換えると、1つのスポット照明(35)は、周方向に移動することにより、ターミナル(14)に対して異なる方向から光を照射する。
【0097】
これにより、端子板(14d)を有するターミナル(14)のように、光を照射したときに影ができやすいような構造のターミナル(14)においても、絶縁部(14c)の全体の状態を確認でき、絶縁部(14c)の全体に対してひび割れの有無を判定できる。
【0098】
(4-2)変形例2:台座の構成
本実施形態の検査システム(100)では、ターミナル(14)を載せる台座(P)は、検査システム(100)を上から見たときに、時計回り方向または反時計回り方向に回転可能に構成されてもよい。これにより、カメラ(21)の位置を移動させることなく、複数の異なる方向からターミナル(14)を撮像できる。
【0099】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0100】
上記各実施形態の検査システム(100)の制御部(40)は、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、絶縁部(14c)のひび割れの有無を判定してもよい。学習済みモデルを用いて絶縁部(14c)のひび割れの有無を判定することにより、絶縁部(14c)におけるひび割れの有無の判定精度を向上させることができる。
【0101】
上記各実施形態の検査システム(100)の判定処理(D)において、制御部(40)がひび割れ有りと判定した場合には、制御部(40)がひび割れ有りと判定されたターミナル(14)を製造ラインからラインアウトさせてもよい。
【0102】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、及びその他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0103】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上説明したように、本開示は、ひび割れ検査システムについて有用である。
【符号の説明】
【0105】
100 ひび割れ検査システム
10 圧縮機
14 ターミナル
14b 端子部
14c 絶縁部(検査対象)
20 撮像部
30 照明装置
31,32 リング照明
35 スポット照明
40 制御部
【要約】
【課題】ターミナルのひび割れ検査の品質を安定させる。
【解決手段】ひび割れ検査システム(100)は、圧縮機(10)のターミナル(14)を撮像する撮像部(20)と、撮像部(20)が撮像したターミナル(14)の画像データに基づいてターミナル(14)における検査対象(14c)のひび割れの有無を判定する制御部(40)とを備える。
【選択図】図1
図1
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図10
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