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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】蓋体付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20230215BHJP
【FI】
B65D77/20 J
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022123641
(22)【出願日】2022-08-02
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】P 2022013023
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320007734
【氏名又は名称】株式会社KY7
(72)【発明者】
【氏名】林 裕義
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-062825(JP,A)
【文献】特開平02-233361(JP,A)
【文献】実開昭55-139073(JP,U)
【文献】米国特許第02102440(US,A)
【文献】米国特許第04433793(US,A)
【文献】米国特許第05020686(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0123741(KR,A)
【文献】国際公開第97/029976(WO,A1)
【文献】特開2018-203331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 17/00-17/42
B65D 77/20
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部と前記開口部の端縁から外側の部分で形成される上端縁部とを有する容器と、
前記容器に対して前記容器の前記上端縁部に接合される接合領域を形成することが可能となるように形成されており、前記接合領域に対応する部分を有する本体を備え、前記本体は、前記本体を前記容器の前記開口部の端縁に接合させた状態で前記開口部を露出させるように上方向に回動される部分として定められた第1の部分と、該第1の部分を除く第2の部分とを有し、前記第2の部分に対して前記第1の部分を回動させることを規制された非回動状態における前記第1の部分と前記第2の部分の境界部は、前記第2の部分に対して前記第1の部分を前記上方向に回動させた状態として定められる上方変位状態を形成する場合に前記第1の部分の回動軸となるヒンジ部と、前記上方変位状態を形成する場合に前記第1の部分と前記第2の部分との分離を生じさせようとする位置を定める案内部とを有し、且つ、前記本体は、前記ヒンジ部を前記回動軸として前記第2の部分よりも下方向に前記第1の部分を押し下げた状態として定められる下方変位状態を形成できるように構成されている蓋体と、を備え、
前記容器は、前記開口部から下方向に向かって開口径が小さくなるように形成されており、
前記容器の前記上端縁部と前記蓋体の前記接合領域とを接合する接合部が形成されており、
前記下方変位状態において、前記第1の部分の前記案内部が前記容器の内周面に接触する、
蓋体付き容器。
【請求項2】
前記ヒンジ部の少なくとも一方の端部は、前記本体の平面視上、前記接合領域に重なる位置に形成されている、
請求項1に記載の蓋体付き容器。
【請求項3】
前記本体は、前記接合領域の内縁から外側の領域に対応する部分を有する環状の外側部と前記外側部よりも内側の部分で形成される内側部とを有し、
前記案内部の少なくとも一部は、前記内側部に形成されている、
請求項1記載の蓋体付き容器。
【請求項4】
前記本体の平面視上、前記外側部が、前記開口部の前記端縁よりも外側に位置している、
請求項3に記載の蓋体付き容器。
【請求項5】
前記本体の平面視上、前記ヒンジ部の少なくとも一方の端部が、前記開口部の前記端縁よりも外側に位置している、
請求項1記載の蓋体付き容器。
【請求項6】
前記非回動状態では、前記本体の平面視上、前記案内部は、前記案内部の延びる方向に沿って前記ヒンジ部と前記案内部との境界から離間するにつれて、前記接合領域に対応した部分から離間するように形成されている、
請求項1記載の蓋体付き容器。
【請求項7】
前記第1の部分に、タブ部材が接合されている、
請求項1記載の蓋体付き容器。
【請求項8】
前記本体の平面視上、前記タブ部材と前記第1の部分との接合部分として定められるタブ接合部は、前記ヒンジ部よりも前記案内部の前端に近い位置に形成されている、
請求項7に記載の蓋体付き容器。
【請求項9】
前記タブ部材は、該タブ部材の一端部を前記第1の部分に接合されており、
前記タブ部材は、該タブ部材の他端部に摘み部を形成している、
請求項7記載の蓋体付き容器。
【請求項10】
前記タブ部材の前記一端部よりも、前記タブ部材の他端側が、前記本体の中心側に位置している、
請求項9に記載の蓋体付き容器。
【請求項11】
前記タブ部材は、係止部を有する、
請求項7記載の蓋体付き容器。
【請求項12】
前記第2の部分は、前記係止部を受入れ可能な形状に形成された係止受部を有する、
請求項11に記載の蓋体付き容器。
【請求項13】
前記本体は、該本体の外周縁の一部に外方向に延出された延出部を備えており、
前記第1の部分の一部は、前記接合領域を横断しており、且つ、前記延出部に連なっている、
請求項1記載の蓋体付き容器。
【請求項14】
前記本体の平面視上、前記第1の部分には、前記延出部から前記ヒンジ部に向かった位置、且つ、前記開口部の前記端縁よりも内側の位置に折り曲げ補助部が形成されている、
請求項13に記載の蓋体付き容器。
【請求項15】
前記本体は、紙系素材により形成されている、
請求項1記載の蓋体付き容器。
【請求項16】
前記容器は、前記開口部から下方向に向かって開口径が小さくなるように形成されている、
請求項1記載の蓋体付き容器。
【請求項17】
前記容器は、前記上端縁部にフランジ部を有する、
請求項1記載の蓋体付き容器。
【請求項18】
前記接合部は、圧着又は熱融着により形成されている、
請求項に記載の蓋体付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋体付き容器として、特許文献1に示すような口部の縁部に蓋体を融着させた容器が知られている。このような容器は、コーヒーなどの飲料、みそ汁及び各種の総菜などの内容物を収容する等の様々な用途で使用されている。このような蓋体付き容器において使用される蓋体としては、プラスチックを用いたフィルム材が広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-101357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓋体付き容器の内部に飲料などの液体が収容された場合、蓋体の内容物を摂取するために、使用者は、蓋体を形成するフィルム材を剥して容器の口部を露出させる。この場合、その後、露出した口部の部分を再び蓋体で覆われた状態(再閉蓋状態と呼ぶことがある)にしようとしても、蓋体で口部を覆った状態が解除されやすい。さらには、蓋体で口部を塞いで蓋体と口部との間に大きさの隙間ができやすい。このような場合、蓋体と口部の隙間から液体が漏れ出やすくなる。
【0005】
したがって、蓋体には、蓋体付き容器で用いられた場合における再閉蓋状態の安定性を向上させる点で改善が求められる。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、再閉蓋状態の安定性に優れた蓋体付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、次の(1)から(18)にかかる発明を要旨としている。
【0008】
(1)開口部と前記開口部の端縁から外側の部分で形成される上端縁部とを有する容器と、前記容器に対して前記容器の前記上端縁部に接合される接合領域を形成することが可能となるように形成されており、前記接合領域に対応する部分を有する本体を備え、前記本体は、前記本体を前記容器の前記開口部の端縁に接合させた状態で前記開口部を露出させるように上方向に回動される部分として定められた第1の部分と、該第1の部分を除く第2の部分とを有し、前記第2の部分に対して前記第1の部分を回動させることを規制された非回動状態における前記第1の部分と前記第2の部分の境界部は、前記第2の部分に対して前記第1の部分を前記上方向に回動させた状態として定められる上方変位状態を形成する場合に前記第1の部分の回動軸となるヒンジ部と、前記上方変位状態を形成する場合に前記第1の部分と前記第2の部分との分離を生じさせようとする位置を定める案内部とを有し、且つ、前記本体は、前記ヒンジ部を前記回動軸として前記第2の部分よりも下方向に前記第1の部分を押し下げた状態として定められる下方変位状態を形成できるように構成されている蓋体と、を備え、前記容器は、前記開口部から下方向に向かって開口径が小さくなるように形成されており、前記容器の上端縁部と蓋体の接合領域とを接合する接合部が形成されており、前記下方変位状態において、前記第1の部分の前記案内部が前記容器の内周面に接触する、蓋体付き容器。
(2)前記ヒンジ部の少なくとも一方の端部は、前記本体の平面視上、前記接合領域に重なる位置に形成されている、上記(1)に記載の蓋体付き容器。
(3)前記本体は、前記接合領域の内縁から外側の領域に対応する部分を有する環状の外側部と前記外側部よりも内側の部分で形成される内側部とを有し、前記案内部の少なくとも一部は、前記内側部に形成されている、上記(1)記載の蓋体付き容器。
(4)前記本体の平面視上、前記外側部が、前記開口部の前記端縁よりも外側に位置している、上記(3)記載の蓋体付き容器。
(5)前記本体の平面視上、前記ヒンジ部の少なくとも一方の端部が、前記開口部の前記端縁よりも外側に位置している、上記(1)記載の蓋体付き容器。
(6)前記非回動状態では、前記本体の平面視上、前記案内部は、前記案内部の延びる方向に沿って前記ヒンジ部と前記案内部との境界から離間するにつれて、前記接合領域に対応した部分から離間するように形成されている、上記(1)記載の蓋体付き容器。
(7)前記第1の部分に、タブ部材が接合されている、上記(1)記載の蓋体付き容器。
(8)前記本体の平面視上、前記タブ部材と前記第1の部分との接合部分として定められるタブ接合部は、前記ヒンジ部よりも前記案内部の前端に近い位置に形成されている、上記(7)記載の蓋体付き容器。
(9)前記タブ部材は、該タブ部材の一端部を前記第1の部分に接合されており、前記タブ部材は、該タブ部材の他端部に摘み部を形成している、上記(7)記載の蓋体付き容器。
(10)前記タブ部材の前記一端部よりも、前記タブ部材の他端側が、前記本体の中心側に位置している、上記(9)記載の蓋体付き容器。
(11)前記タブ部材は、係止部を有する、上記(7)記載の蓋体付き容器。
(12)前記第2の部分は、前記係止部を受入れ可能な形状に形成された係止受部を有する、上記(11)記載の蓋体付き容器。
(13)前記本体は、該本体の外周縁の一部に外方向に延出された延出部を備えており、
前記第1の部分の一部は、前記接合領域を横断しており、且つ、前記延出部に連なっている、上記(1)記載の蓋体付き容器。
(14)前記本体の平面視上、前記第1の部分には、前記延出部から前記ヒンジ部に向かった位置、且つ、前記開口部の前記端縁よりも内側の位置に折り曲げ補助部が形成されている、上記(13)に記載の蓋体付き容器。
(15)前記本体は、紙系素材により形成されている、上記(1)記載の蓋体付き容器。
(16)前記容器は、前記開口部から下方向に向かって開口径が小さくなるように形成されている、上記(1)記載の蓋体付き容器。
(17)前記容器は、前記上端縁部にフランジ部を有する、上記(1)記載の蓋体付き容器。
(18)前記接合部は、圧着又は熱融着により形成されている、上記(1)に記載の蓋体付き容器。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、再閉蓋状態の安定性に優れた蓋体付き容器が提供される。
【0010】
本発明では、蓋体付き容器の内部に飲料などの液体が収容された場合に、使用者が蓋体の内容物を摂取するためには、例えば、ヒンジ部を軸として蓋体の第1の部分を折り返して上方変位状態が形成されることで、容器の口部を露出させる露出口が形成された後、第1の部分を本体よりも下側に押し込んで下方変位状態が形成されることで、容器の内周面に第1の部分の外周縁を接した状態を形成することができる。これにより、第1の部分と容器の内周面で容器の内部空間の一部が再び閉鎖された状態(再閉蓋状態)を形成することができる。したがって、容器の内部に液体等が外部に漏れ出る虞を抑制することができる。
【0011】
また、蓋体が紙系素材を有するものである場合、第1の部分に撓みを生じさせることができ、容器の内周面に対してより強く第1の部分の外周縁を接した状態を形成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1Aは、第1の実施形態にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。図1Bは、図1AのA-A線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図2図2は、第1の実施形態の蓋体を容器に取り付けた状態の一実施例を説明するための断面図である。
図3図3は、第1の実施形態の蓋体を容器に取り付けた状態の一実施例を説明するための平面図である。
図4図4Aは、第2の実施形態にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。図4Bは、図4AのB-B線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図5図5は、第2の実施形態の蓋体を容器に取り付けた状態の一実施例を説明するための断面図である。
図6図6は、第2の実施形態の蓋体を容器に取り付けた状態の一実施例を説明するための平面図である。
図7図7Aは、第1の実施形態の変形例1にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。図7Bは、図7AのC-C線縦断面の状態を模式的に示す図である。
図8図8A図8Bは、第1の実施形態の変形例2にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
図9図9Aは、第1の実施形態の変形例5にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。図9Bは、第1の実施形態の変形例4にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
図10図10A図10Bは、第1の実施形態の変形例6にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
図11図11Aは、第2の実施形態の変形例1にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。図11Bは、図11AのD-D線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図12図12Aは、第2の実施形態の変形例2にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。図12Bは、図12AのE-E線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図13図13Aは、第3の実施形態に係る蓋体の一実施例を説明するための平面図である。図13Bは、図13AのF-F線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかる蓋体について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明にかかる蓋体は、コーヒーカップのような各種の飲料物を入れる容器(カップ)に対して用いられる蓋体を例として挙げて説明するが、飲料物を入れる容器の蓋体に限定されるものではなく、飲料物以外の食料品(例えば、総菜類やおにぎり等)を収容する容器の蓋体としても適用することが可能である。また、本発明にかかる蓋体は、飲食物以外の各種物品、例えばボルトやナット等といった部品や、上記した以外の物品を収容することのできる容器にも適用することができる。さらに、本発明にかかる蓋体は、平面視したときの形状が円形状であるものの例を用いて以下においては説明するが、蓋体の形状は平面視したときに円形状であるものに限定されることはなく、楕円形状、矩形状、三角形状などの多角形状、面取り矩形状、面取り多角形状等、円形状以外の各種の形状にも適用することができる。
【0014】
以下、本発明に関係した第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、及び適用例について、順次、図面を参照しながら説明する。説明の順序は、最初に説明をするものから順に、1.第1の実施形態、2.第2の実施形態、3.第3の実施形態、及び4.適用例である。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
以下の説明は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容は、これらの実施の形態等に限定されるものではない。また、以下の説明において、説明の便宜を考慮して、前後、左右、上下等の方向及び水平面の方向を示すが、本発明の内容はこれらの方向に限定されるものではない。図1から図6の例では、Z軸方向を上下方向(上側が+Z方向、下側が-Z方向)であるものとし、Z軸方向を法線とする平面上に定められた互いに直交するX軸及びY軸に沿った方向をX軸方向及びY軸方向とし、さらにX軸とY軸で貼られた平面であるXY平面が水平面であるものとし、これらに基づき説明を行う。図1から図6の各図に示す大きさ等の相対的な大小比率は便宜上の記載であり、実際の大小比率を限定するものではない。
【0016】
[1 第1の実施形態]
[1-1 構成]
(蓋体)
第1の実施形態にかかる蓋体1は、図2等を用いて後述するように容器101の開口部102の端縁から外側方向の部分として特定される上端縁部103に沿って接合されて用いられるものである。したがって、蓋体1は、開口部102を有する容器101に対して上端縁部103に接合される接合領域Rを形成することが可能となるように形成される。また、蓋体1は、容器101の開口部102に接合された状態において開口部102を覆うように、上端縁部103に取り付けられた状態(上端縁部103に接合された状態)を形成することが可能な形状に形成される。蓋体1は、図1に示すように、容器101の開口部102の上端側に形成された上端縁部103に接合される接合領域Rを有する。図1は、蓋体1の一実施例を示す図である。容器101としては、開口部102の端縁に可撓性を有するものがより好ましく用いられる。ただし、これらのことは容器101が、金属製の容器など可撓性の少ないあるいはほとんど認められないような容器であることを禁止するものではない。
【0017】
(蓋体の材質)
蓋体1の材質は、特に限定されないが、紙系素材であることが好ましい。紙系素材としては、繊維原料のスラリーを網上に抄き取り、乾燥ないし押圧乾燥、抄紙してシート状にして得られる、いわゆる紙や、パルプ系繊維等からなる原料シートを粉砕機で粉砕して得られる粉砕パルプ等の開繊繊維原料を空気流によって積繊し、積繊体の繊維相互をバインダーで固定して得られるいわゆるエアレイドシート等、植物繊維、その他の繊維を膠着させて製造される所謂紙類の他、化学繊維紙、合成紙、耐水紙、コート紙、代替紙、羊皮紙、羊毛紙、ガラス繊維紙、ストーンペーパー、陶紙等や、これらを複数枚積層したもの等が挙げられる。また、紙系素材としては、パルプだけからなるもののほか、非パルプ系の天然繊維や合成繊維、再生繊維等の繊維を含むものであっても良いが、パルプを50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、更に80質量%以上含むものが好ましいが、特にパルプ100質量%からなるものが好ましい。紙系素材は、合成樹脂や天然樹脂のフィルムや不織布、木箔等の木質系素材等、さらにはアルミ箔等の素材との複合材料も用いることができるが、複合材料とする場合、複合材料全体としてパルプを50質量%以上含有することが好ましく、特に80質量%以上のパルプを含むものが好ましい。パルプ含有分の高いほど、紙系素材が生分解されやすくなるため好ましい。
【0018】
なお、蓋体1は、全体を上記した紙系素材で形成されていることが好適である。したがって、少なくとも本体2は紙系素材で形成されていることが好適である。ただし、このことは一部もしくは全部が紙系素材とは異なる材質で形成されていることを禁止するものではない。例えば、蓋体1は、本体2を紙系素材と樹脂製のフィルム材の積層体などで形成されてよい。この場合、本体2のうちフィルム材の配置された面を容器101側に向けた状態で押圧法、ヒートシール法や超音波溶着法などのシール方法を適宜用いることで、蓋体1を容器101に接合することが容易となる。これらの点を考慮し、蓋体1は、紙系素材を含む積層体でも好ましく用いられる。そして本体2についても紙系素材を含む積層体でも好ましく用いられる。
【0019】
蓋体1は、図1A図1B等に示すように、本体2を備える。蓋体1では、本体2に接合領域Rが含まれる。図1A図1Bは、それぞれ蓋体1の他の実施例の一つを示す平面図と断面図である。
【0020】
(接合領域)
接合領域Rは、容器101の開口部102の上端に形成される端縁106から外側方向の部分として特定される上端縁部103に蓋体1が取り付けられた場合に、蓋体1の面のうち開口部102に対する対向面のうち上端縁部103に接合される領域を示す。また、蓋体1において、本体2のうち接合領域Rを形成する部分を接合領域対応部8と呼ぶ。接合領域Rは、図1A図1Bの例では、容器101の開口部102に応じた形状で開口部102に沿っておおむね環状に形成される領域に対応している。またこの場合、接合領域対応部8は、接合領域Rを含む環状部分として定められる。蓋体1と容器101との接合領域Rが、連続的に接合されていない場合には、隣り合う接合領域Rで挟まれた部分についても接合領域対応部8に含まれるものとする。
【0021】
接合領域Rの幅(内外方向に沿った幅)(すなわち接合領域対応部8の幅)は、開口部102の上端縁部103の幅と同じ又はその幅よりも細い幅であることが通常である。ただし、このことは接合領域Rの幅が、開口部102の上端縁部103の幅よりも太いことを禁止するものではない。また、接合領域Rは、本体2の外周縁71よりも内側に形成されてもよいし、本体2の外周縁71まで形成されていてもよい。
【0022】
蓋体1の平面視上(すなわち本体2の平面視上)、接合領域Rの内縁端(すなわち接合領域対応部8の内縁端8A)は、図1の例では、開口部102の端縁からやや外側に位置しているが、これは一例であり、開口部102の端縁106の直上からおおきく外側に位置してもよいし、開口部102の端縁106の直上に位置してもよいし、開口部102の端縁106の直上よりも内側であってもよい。なお、蓋体1の平面視上とは、図1A図1BにおいてはZ軸方向に沿って+Z側から-Z側に向かう方向を視線方向として蓋体1を見た場合を示すものとする。本体2の平面視上についても、蓋体1の平面視上と同様に+Z側から-Z側に向かう方向を視線方向として本体2を見た場合を示す場合として定められる。
【0023】
なお、蓋体1の平面視上、本体2のうち、接合領域Rの内側の領域は、内側領域Rnと称呼されることがある。また、接合領域Rの上とは、蓋体1の平面視上、蓋体1の接合領域Rに対応した部分の上面側(露出面70側)であることを示すものとする。
【0024】
(本体)
本体2は、図1Aに示すように、蓋体1を容器101の開口部102の上に取り付けられた状態において開口部102と上端縁部103を覆う。本体2は、接合領域Rに対応する部分(接合領域対応部8)を有しており、接合領域Rを含む外側部72と、外側部72の内縁72Aから内側の部分で構成された内側部73とを有する。なお、内外方向については、本体2の中心CTから外側に向かう方向を外側方向とし、本体2の外周縁71から中心CTに向かう方向を内側方向とする。
【0025】
(外側部)
蓋体1の平面視上における、本体2のうち、接合領域Rの内縁(すなわち接合領域対応部8の内縁端8A)から外側の部分を、外側部72と称呼する。
【0026】
(内側部)
蓋体1の平面視上における、接合領域Rの内側(すなわち接合領域対応部8の内側)とは、蓋体1のうち接合領域Rを形成する部分の内側を形成する部分を示すものとする。この部分を、内側部73と称呼する。
【0027】
(第1の部分と第2の部分)
本体2は、第1の部分3と第2の部分4を備える。図1の例では、第1の部分3と第2の部分4との境界で構成される境界部5は、案内部6とヒンジ部7とを有する。案内部6とヒンジ部7との組み合わせで、第1の部分3の回動を容易化する変位容易化構造を形成することができる。
【0028】
(第1の部分)
第1の部分3は、本体2のうち、その本体2を容器101の上端縁部103に接合させた状態で開口部102を露出させるように上方向に回動される部分として定められた部分を示す。ここに、第1の部分3が回動するとは、第1の部分3が後述するヒンジ部7を軸として回転するように変位することを示す。第1の部分3が回動する場合には、第1の部分3の形状に変形が伴ってもよい。第1の部分3を上方向に回動させることは、例えば、第1の部分3を引き上げることで実現することができる。第1の部分3の形状は特に限定されないが、図1A等の例では、蓋体1の平面視上、おおむね半円状の形状に形成されている。また、この例では、第1の部分3は、内側部73(すなわち接合領域対応部8の内側)に形成されている。
【0029】
(第2の部分)
第2の部分4は、本体2のうち第1の部分3を除く部分を示す。
【0030】
(境界部)
本体2において、境界部5は、非回動状態における第1の部分3と第2の部分4の境界として定めた部分を示す。非回動状態とは、本体2の状態のうち、第2の部分4に対して第1の部分3を回動させことを規制された状態を示すものとする。例えば、非回動状態は、蓋体1の未使用時においては第1の部分3を回動させていない状態となる。
【0031】
(案内部とヒンジ部)
境界部5は、案内部6とヒンジ部7とを有する。
【0032】
ヒンジ部7は、上方変位状態を形成する場合に第1の部分3の回動軸となる部分で定められる。なお、上方変位状態は、第2の部分4に対して第1の部分3を上方向(図1Bの例では+Z側の変位をもたらす方向、+F方向)に回動させた本体2の状態として特定される。なお、第1の部分3を上方向に回動させるとは、第1の部分3を水平面(図1Aの例では本体2の上面(露出面70)にも対応し、X軸とY軸で張られたXY平面に対応する)に対して垂直に交差する平面の面方向に沿った方向に回動する場合のほか、第1の部分3を水平面に対して斜めに交差する平面の面方向に沿った方向に回動する場合も含まれる。
【0033】
案内部6は、上方変位状態を形成する場合に第1の部分3と第2の部分4との分離を生じさせようとする位置を定める。案内部6は、上方変位状態を形成する場合に第1の部分3と第2の部分4との分離を生じることを予定された位置を規定する部分として定められる。
【0034】
(案内部)
図1A図1Bの例においては、案内部6は、境界部5のうち、ヒンジ部7の端部(一方の端部7A、他方の端部7B)を基端として、ヒンジ部7から離れる方向に延びる部分として特定される。この例では、案内部6の一方の端部6Aがヒンジ部7の一方の端部7Aに繋がり、案内部6の他方の端部6Bがヒンジ部7の他方の端部7Bと繋がっている。また、案内部6は、ヒンジ部7から離れる方向に凸状の形状に形成され、前端部6Cを有しており、また、線状(曲線状)に延びている。ただし、これは一例であり、案内部6の形状は、凸状に限定されず、また、案内部6は、図1Aに示すような線状(曲線状)とは異なる状態で形成さてもよい。
【0035】
(案内部と接合領域との位置関係)
図1Aの例では、案内部6は、接合領域Rの内側に形成されており、すなわち内側部73に形成されている。案内部6は、第1の部分3を第2の部分4に対して回動させる場合に、第1の部分3と第2の部分4との分離構造が形成される部分となることができる。
【0036】
(案内部と開口部との位置関係)
また、図1Aの例では、案内部6は、容器101に蓋体1を接合した状態で、おおむね容器101の開口部102の端縁106の直上(+Z方向側)よりやや内側に沿った位置となるように形成されている。ただし、これは一例であり、案内部6の少なくとも一部が、開口部102の端縁106の直上に位置してもよく、また、端縁106に沿っていなくてもよく、案内部6は、蓋体1の平面視上、開口部102の端縁106よりもおおきく内側に位置してもよいが、第1の部分3を下方向に回動させて下方変位状態を形成した場合に第1の部分3を容器101の内周面104Aに接触させやすくする観点からは、開口部102の端縁106の直上又は端縁106よりも外側に位置していることが好ましい。
【0037】
案内部6の構造は、特に限定されないが、上記したように脆弱化構造となっている。ただし、このことは、案内部6が切込構造以外の構造であることを規制するものではない。例えば、案内部6は、切込構造を有してもよい。
【0038】
なお、本明細書において、切込構造は、容器101に蓋体1を取り付けた場合に開口部102に対する非対向面(露出面70)側から対向面(裏面)まで全体に貫通したスリット状の貫通構造を示す。脆弱化構造は、例えばミシン目構造やハーフカット構造のように、その構造を付与されていない部分に比べて変位させるために要する力を少なくすることができるような構造部分を示す。ミシン目構造は、露出面70から裏面まで貫通する切込部と、切り込みを避けた連続部とが交互に形成された構造を示す。ハーフカット構造は、本体2を形成する材料の厚み方向に貫通することを避けながら部分的に切り込まれた部分的切り込み部を形成した構造(部分的切込構造)を示す。なお、ハーフカット構造は、本体2を構成する材料に対する切り込みの深さを特に限定されない。
【0039】
案内部6では、部分的に構造が異なってもよい。例えば、案内部6の前端部6C近傍ではハーフカット構造が形成されており、そのほかの部分では切込構造が形成されてもよい。案内部6の前端部6C付近が接合領域対応部8に位置している場合、案内部6の全体が切込構造であっても、意図せず第1の部分3が開くことが容器101と蓋体1との接合構造(接合部151)によって抑制されている。
【0040】
(ヒンジ部)
図1A図1Bの例に示すように、境界部5は、ヒンジ部7を有している。この例では、案内部6のそれぞれの端部6A、6Bに対してヒンジ部7の端部7A、7Bがつながっている。ヒンジ部7の構造は、切込構造以外であれば特に限定されず、非形成構造でもよいし、脆弱化構造でもよい。非形成構造とは、切込構造及び脆弱化構造の形成を省略されている部分であることを示すものとする。すなわち、ここにいう非形成構造は、第1の部分3を上方向又は下方向に回動させた際にヒンジ部7が顕在化するように本体2が構成されていることを示す。
【0041】
蓋体1の使用時には、第1の部分3を第2の部分4に対して立ち上げられる。このとき、おおむね案内部6に沿って第1の部分3と第2の部分4が分離しながらヒンジ部7を軸として第1の部分3が第2の部分4に対して回動しながら徐々に立ち上がる。ヒンジ部7は、第1の部分3と第2の部分4の分離部分をスムーズに形成する観点からは脆弱化構造を形成していることが好ましい。ただし、これは一例であり、上述したようにヒンジ部7を非形成構造としてもよい。
【0042】
(ヒンジ部と接合領域との位置関係)
図1Aの例では、ヒンジ部7は、接合領域Rの内側に形成されており、すなわち内側部73に形成されている。ただしこれは一例であり、ヒンジ部7は、蓋体1の平面視上、その少なくとも一方の端部(7A、7B)が接合領域Rの直上に形成されてもよいし、接合領域Rの外側に形成されてもよい。
【0043】
(ヒンジ部と開口部との位置関係)
また、図1Aの例では、ヒンジ部7の端部7A、7Bは、容器101に蓋体1を接合した状態で、おおむね容器101の開口部102の端縁106の直上よりもやや内側の位置となるように形成されている。ただし、これは一例であり、ヒンジ部7の少なくとも一方の端部(7A、8B)が、開口部102の端縁106の直上に形成されてもよいし、端縁106の直上よりも外側の位置に形成されてもよい。ヒンジ部7の端部7A、7Bは、第1の部分3を下方向に回動させて下方変位状態を形成した場合に第1の部分3を容器101の内周面104Aに接触させやすくする観点からは、蓋体1の平面視上、開口部102の端縁106の直上又は端縁106よりも外側に位置していることが好ましい。
【0044】
(露出口)
なお、図2に示すように第1の部分3が変位された状態(上方変位状態)では、開口部102から空間部105を露出させる露出口10が形成される。蓋体1によれば、飲料やお味噌汁等の液体類を空間部105に注入された容器101の開口部102に蓋体1を取り付けられた場合に、使用者が蓋体1の露出口10を飲み口として容器101の内部の液体類を摂取することができる。
【0045】
(下方変位状態)
本体2は、図1B図2に示すように、下方変位状態を形成できるように構成されている。ここに、下方変位状態とは、本体2の状態のうち、ヒンジ部7を回動軸として第2の部分4よりも下方向(図1Bの例では-Z側の変位をもたらす方向、-F方向)に第1の部分3を押し下げた状態(下方向に第1の部分3を回動させた状態)として定められる。第1の部分3を下方向に回動させるとは、第1の部分3を水平面(図1Aの例では、本体2の上面(露出面70)にも対応し、XY平面に対応する)に対して垂直に交差する平面の面方向に回動する場合のほか、第1の部分3を水平面に対して斜めに交差する平面の面方向に回動する場合も含まれる。図1A図1Bの例では、第1の部分3を下方向に回動させる場合には、第1の部分3がヒンジ部7を回動軸として-F方向に回動する。
【0046】
本体2の第1の部分3が上方変位状態となるように回動した後に第1の部分3が露出口10を再び塞ぐように第1の部分3が下方向に押し下げられた場合に、第1の部分3は非回動状態に対応する位置に戻される。さらに、第1の部分3が下方向に押されることで、ヒンジ部7を回動軸として第2の部分4よりもさらに下方向に第1の部分3を押し下げた状態として定められる。特に、蓋体1の全体が、紙系素材を有する構造となっている場合には、本体2も紙系素材を有するため、第1の部分3に撓みが生じた状態を形成することができ、第1の部分3に下方向の撓みを有する状態で、第2の部分4よりもさらに下方向に第1の部分3を押し下げた状態を形成することができる。なお、後述するタブ部材21が第1の部分3に設けられている場合には、第1の部分3のうちタブ部材21を接合させている部分(後述するタブ接合部22)は、第1の部分3のうち他の設けられている部分(タブ接合部22以外の部分)よりもこしが強い。このように、タブ部材21が第1の部分3に設けられている場合には、第1の部分3にこしの強さに差を付与することができるため、特に効率的に、タブ部材21を接合したタブ接合部22の部分の近傍を下方に突出させるように第1の部分3に下方向の撓みを有する状態を形成できる。このため、蓋体1を容器101に接合した状態で下方変位状態が形成された場合に第1の部分3における撓みからの回復力により、第1の部分3をより強く容器101の内周面104Aに接触させることが可能となる。
【0047】
(タブ部材)
図1A図1Bなどの例に示すように、蓋体1は、第1の部分3にタブ部材21を取り付けられていることが好ましい。第1の部分3におけるタブ部材21の取り付け位置や取り付け方向は特に限定されるものはないが、図1A図1Bの例では、タブ部材21は、第1の部分3の先端寄り(前端寄り)の位置(すなわち案内部6の前端部6Cの近傍)において第1の部分3と接合している。このとき、タブ部材21と第1の部分3との接合部分はタブ接合部22と称呼される。この例では、タブ接合部22は、タブ部材21の一端部21Aに形成されている。また、この例では、第1の部分3の先端寄りの位置に、タブ接合部22が形成されている。タブ部材21を第1の部分3に接合するための方法(すなわちタブ接合部22の形成方法)は、超音波接合やヒートシール、接着剤による接合などといった各種の方法を例示することができる。タブ接合部22の形成方法としては、上記したもののうち接合のしやすさや接合の強度等といった観点から、超音波接合が好ましい。第1の部分3におけるタブ接合部22の形成位置は、タブ部材21を持ち上げることで第1の部分3を立ち上げることを容易とする観点からは、第1の部分3の中央部からずれた位置であることが好ましい。また、この観点から、第1の部分3にヒンジ部7から離れた位置、且つ、本体2の中央部から離れた位置に取り付けられていることが好ましい。すなわち、タブ部材21は、第1の部分3の先端寄りの位置に取り付けられていることが好ましい。
【0048】
第1の部分3において、タブ部材21がヒンジ部7よりも離れた先端寄りの位置において接合されていれば、ヒンジ部7(支点)に対する力点までの距離を広げることができる。
【0049】
(摘み部)
図1Aの例では、タブ部材21は、タブ部材21の一端部21Aを第1の部分3に接合されており、タブ部材21の他端部21Bに摘み部を形成している。摘み部24は、タブ部材21をつまむことができる程度の大きさと形状に形成されていれば、特にその形状や構造を限定されるものではない。
【0050】
(タブ部材の向き(取り付け方向))
蓋体1においては、図1Aの例では、タブ部材21の一端部21Aよりも、タブ部材の他端側が、前記本体の中心側に位置している。ただしこれは一例であり、タブ部材の向きは図1Aの例に示す方向以外の向きとなっていてもよい。例えば、タブ部材の一端部よりも、タブ部材の他端側が、本体の外側に向けられるように位置していてもよい。
【0051】
[1-2 作用及び効果]
第1の実施形態にかかる蓋体1は、図2に示すように、容器101の上端縁部103に接合されて用いられることができるものである。したがって、蓋体1は、開口部102を有する容器101に対して上端縁部103に接合される接合領域Rを形成することが可能となるように形成される。容器101は、開口部102から下方向に向かって開口径が小さくなるように、すなわち下方向に向かって先細り形状となるように形成されているものを好適に用いることができる。また、容器101と蓋体1との接合力をより強める観点から、容器は、上端縁部にフランジ部を有するものであることが好適である。なお、これらのことは蓋体1を取りつけられる容器101の形状を限定するものではない。ただし、容器のスタッキング性を考慮すれば、容器は、その外周面についても、底面部にむかって先細りする形状に形成されていることが好適である。また、フランジ部は、図1では、外方向に延び出た平面状の構造となっているが、フランジ部の構造はこれに限定されない。フランジ部の形状は、外向きにカールが形成された構造を有してもよい。
【0052】
第1の実施形態にかかる蓋体1によれば、下方変位状態を形成可能となるように第1の部分3が形成されており、容器101に蓋体1を接合した状態で、蓋体1の平面視上、案内部6が開口部102の端縁106の近傍に形成されている。容器101の内周面104Aが底部107に向かって先細り形状となっている場合には、図3に示すように、想定領域の少なくとも一部を容器101の内周面104Aよりも外側に位置させるか、または、想定領域が容器101の内周面104Aに接するようにすることができる。ただし、想定領域とは、第1の部分3に撓みを生じることなく第1の部分3を下方向に押し下げた場合に想定される案内部6の通過する領域を示す。図3は、蓋体1を容器101に取り付けた場合に、蓋体1の本体2が下方変位状態を形成している状態の一実施例を示す平面図である。
【0053】
また、想定領域の一部が容器101の内周面104Aよりも外側に位置する場合おいて、第1の部分3が紙系素材等に例示されるような撓み性を有する素材で形成されている場合には、第1の部分3が第2の部分4に対してよりも下方向に変位させた場合に、第1の部分3に撓みを生じながら、第1の部分3の外周縁(案内部6に対応する部分)を容器101の内周面104Aに接触させた状態を形成することが可能となる。また、想定領域が容器101の内周面104Aに接する場合には、第1の部分3が第2の部分4に対してよりも下方向に変位させた場合に、第1の部分の外周縁(案内部6に対応する部分)を容器101の内周面104Aに接した状態を形成することが可能となる。このような場合、図2図3に示すように、容器101の空間部105のうち蓋体1の下側面(露出面70とは逆側の面)と容器101の内周面104Aで囲まれた空間の部分(部分空間)が閉鎖され、容器101の空間部105の少なくとも一部(部分空間)を再閉鎖した状態を形成することができる。なお、第1の部分3が第2の部分4に対して上方向に回動した状態(上方変位状態)で、露出口10が形成された状態を開蓋状態と呼ぶことがある。また、第1の部分3が下方に回動した状態(下方変位状態)となって、空間部105の部分空間がおおむね閉鎖された(閉鎖された)状態(すなわち蓋体1で空間部105の部分が覆われた状態)を閉蓋状態と呼ぶ。一旦、開蓋状態が形成された後に再び閉蓋状態となった状態(空間部105の部分空間が再閉鎖された状態)を再閉蓋状態と呼ぶ。なお、図2において、上方変位状態の一例として+F方向に第1の部分3を回動させた状態を第1の部分3を実線で示した位置からおおむね上側の部分に破線で示している。また、図2には、下方変位状態の一例として-F方向に第1の部分3を回動させた状態を第1の部分3を実線で示した位置からおおむね下側の部分に破線で示している。これは、図5についても同様である。
【0054】
次に、第1の実施形態にかかる蓋体1の変型例について述べる。変形例には、上記に示す蓋体1の実施例にさらに構成を追加したものや削除したもの等について例示される。
【0055】
[1-3 変型例]
(変形例1)
第1の実施形態にかかる蓋体1においてタブ部材21が設けられている場合にあっては、タブ部材21に係止部が設けられていてもよい。このような形態を、第1の実施形態の変型例1と称呼する。
【0056】
(係止部)
係止部は、蓋体1において第1の部分3を引き上げた場合に第1の部分3の位置を維持することを可能とする係止構造を形成する部分である。第1の実施形態の変型例1にかかる蓋体1においては、係止部の構成は特に限定されない。
【0057】
例えば、係止部は、図7A図7Bに示すように、保持部23を例示することができる。保持部23としては、タブ部材21の面方向に対して下向きに突出することができるように形成されている構造を例示できる。ここでは、係止部が保持部23である場合を例として説明を続ける。なお、このことは、係止部を保持部23とする場合に蓋体1を限定するものではない。係止部は、蓋体1や容器101の所定の位置に対して係止されることで、タブ部材21の変位を規制できるような構造であればよい。
【0058】
(保持部)
保持部23は、タブ部材21における一端部21Aと他端部21Bとの間の位置に形成されていることが好ましい。また、タブ部材21に切込み線23Aを入れることによってタブ部材21を折り曲げた際に爪状に突出した部分を形成できるように構成されたものを例示することができる。保持部23の形状は三角形状を例示することができるが、これに限定されない。例えば、保持部23の形状は半円形状や四角形状などの多角形状、楕円形状などの形状を任意に採用して用いることができる。
【0059】
(係止受部)
第1の実施形態の変型例1においては第2の部分4に、係止受部が設けられてもよい。係止受部は、第2の部分において係止部を受入れ可能な形状に形成されている。係止受部の位置は、係止部の位置に応じて定めされてよい。係止受部の形成位置については、タブ部材21を引き上げることで第1の部分3を立ち上げ、さらに第2の部分4の上面側に折り返し、そして第1の部分3とともにタブ部材21を第2の部分4の上面側に重ねた場合(上方変位状態を形成した場合)に、係止部に対して向かい合う位置に、係止受部が形成されていることが好適である。
【0060】
係止受部は、特に限定されるものではないが、図7A図7Bの例では、第2の部分の所定の位置に形成された線状の切り込み(差し込み部26)で形成されている。差し込み部26は、本体2の厚み方向に沿って本体2を貫通する切り込み部分となっている。差し込み部26に保持部23が差し込まれることで、タブ部材21の位置が維持されやすくなり、上方変位状態を維持しやすくなる。なお、差し込み部26は、係止受部の一例であり、係止受部の構成は、差し込み部26に限定されない。例えば、蓋体1において係止部が形成されているのとは反対側に位置する端縁部に保持部23を引っ掛ける等して係止することとしてもよいし、これ以外の構成であってもよい。
【0061】
(変形例2)
第1の実施形態にかかる蓋体1では、蓋体1の平面視上、ヒンジ部7の少なくとも一部が接合領域Rの外周端(すなわち接合領域対応部8の外端8B)よりも内側に形成されており、図1Aの例では、ヒンジ部7が、接合領域Rの外周端よりも内側に形成されていた。
【0062】
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、図1Aの例に限定されず、図8A図8Bに示すように、ヒンジ部7の少なくとも一方の端部(端部7Aと端部7Bの少なくともいずれか一方)が、蓋体1の平面視上、接合領域Rに重なるように配置されてよい。このとき、接合領域Rに重なるヒンジ部7の端部(端部7Aと端部7Bの少なくともいずれか一方)を除く他の部分が、内側部73に形成されていてもよい。このような形態を、第1の実施形態の変型例2と称呼する。変形例2では、ヒンジ部7が接合領域Rの外周端(接合領域対応部8の外端8B)よりも内側に形成されている状態となっている。この場合、案内部6については、図8Aに示すように案内部6の一部を接合領域Rの内側(内側部73)に位置させていてもよいし、図8Bに示すように案内部6を接合領域Rに位置させていてもよい。
【0063】
第1の実施形態の変型例2によれば、例えばヒンジ部7の端部7Aが接合領域Rに位置している場合で、ヒンジ部7の端部7Aと案内部6の端部6Aが繋がっている場合には、案内部6の端部6Bを接合領域Rに位置させることができる。これにより、蓋体1を容器101に取り付けた状態で蓋体1を下方変位状態とすることで容器101を蓋体1で再閉鎖する際において、案内部6の端部6Bでもより確実に容器101の空間部105の部分空間を閉鎖した状態とすることができる。これは、ヒンジ部7の端部7Bが接合領域Rに位置している場合で、ヒンジ部7の端部7Bと案内部6の端部6Bが繋がっている場合についても同様である。
【0064】
(変形例3)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、本体2を容器101の上端縁部103に接合させた場合に、本体2の平面視上(蓋体1の平面視上)、ヒンジ部7の少なくとも一方の端部(端部7Aと端部7Bの少なくともいずれか一方)が、開口部102の端縁106よりも外側に位置していてもよい。
【0065】
(変形例4)
図1Aの例では、案内部6が、接合領域Rの外周端よりも内側に形成されていた場合の例が示されている。第1の実施形態にかかる蓋体1は、これに限定されず、案内部6の一部が外側部72に形成されていてもよい。このような形態を、第1の実施形態の変型例4と称呼する。第1の実施形態の変型例4では、案内部6の一部が内側部73に形成されている。第1の実施形態の変型例4においては、例えば、図9Bに示すように、案内部6の前端部6Cを含む所定の部分が外側部72に形成され、案内部6のその他の部分が内側部73に形成されてもよい。この場合、案内部6の一部が外側部72に形成されていることで、蓋体1の平面視上、案内部6の一部を接合領域Rに重なる位置とすることができ、第1の部分3の一部を接合領域Rに位置させることができるようになる。これにより、案内部6が切込構造を有していても、意図せずに第1の部分3が回動することが規制される。
【0066】
(変形例5)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、本体2を容器101の上端縁部103に接合させた場合に、図9Aに示すように、接合領域対応部8と案内部6との離間距離がヒンジ部7に近い位置(端部6A、6B)から案内部6の前端部6Cに向かって徐々に変化するように形成されていてもよい。このような形態を、第1の実施形態の変型例5と称呼する。第1の実施形態の変型例5にかかる蓋体1では、非回動状態では、本体2の平面視上、案内部6は、案内部6の延びる方向に沿ってヒンジ部7と案内部6とがつながる位置(端部6A、6B)から離れた位置ほど、接合領域Rに対応した部分から離間するように形成されている。
【0067】
第1の実施形態にかかる蓋体1によれば、本体2を容器101の上端縁部103に接合させた場合に、蓋体1が下方変位状態とされた際、第1の部分3のうちヒンジ部7に近い部分でより密接に容器101の内周面104Aに対して第1の部分3を密着させた状態を形成することが容易となる。
【0068】
(変形例6)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、図1Aの例では、第1の部分3と第2の部分4との境界部5のヒンジ部7の位置を本体2の中央付近に配置しているが、ヒンジ部7の位置は、本体2の中央付近とは異なる位置とされてよい。ただし、蓋体1を容器101の上端縁部103に接合させた場合にあって、下側変位状態を形成した場合に、第1の部分3の外周縁が容器101の内周面104Aに接するようにヒンジ部7の位置が定められる。第1の部分3は、図10Aに示すように、ヒンジ部7の位置が案内部6の前端部6Cにより近い位置に配置されてもよい。第1の部分3は、図10Bに示すように、ヒンジ部7の位置が案内部6の前端部6Cにより遠い位置に配置されてもよい。
【0069】
次に、第2の実施形態について説明する。
【0070】
[2 第2の実施形態]
[2-1 構成]
(蓋体)
第2の実施形態にかかる蓋体1は、図4A図4Bに示すように第1の実施形態と同様に、本体2を有しており、本体2に接合領域Rが形成される。また、第2の実施形態にかかる蓋体1は、第1の実施形態と同様に、内側部73と外側部72とを有する。ただし、第2の実施形態にかかる蓋体1においては、第1の実施形態で説明されたタブ部材21が省略されてよい。第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0071】
第2の実施形態にかかる蓋体1は、延出部11が形成されており、第1の部分3の一部が接合領域Rを横断し、且つ、第1の部分3うち接合領域Rを横断した部分が延出部11に連なっている(繋がっている)。
【0072】
(延出部)
延出部11は、本体2の外周縁71のうち所定の一部分から外側に向かって突出した部分である。この延出部11は、第1の部分3を第2の部分4に対して回動させる際に第1の部分3を引き上げる摘みとして機能することができるような大きさ及び形状に形成されている。例えば、延出部11の先端部11Aやその近傍の部分をつまんだ状態で引き上げることで延出部11の変位に伴って、後述するように延出部11に連なる第1の部分3が引き上げられる。
【0073】
(第1の部分と第2の部分)
第2の実施形態では、本体2は、第1の部分3と第2の部分4を有しているが、第1の部分3が上記したように延出部11に繋がっているように形成されている。第1の部分3と第2の部分4の境界部5は、第1の実施形態と同様に案内部6とヒンジ部7を有する。ただし、案内部6は、第1の実施形態と異なり、本体2において延出部11とヒンジ部7との間の領域(間部領域RW)を横断することを避けるように形成されている。図4Aの例では、案内部6として、案内部6の一方の端部6Aを基端とする第1の案内部60と、案内部6の他方の端部6Bを基端とする第2の案内部61とが形成されている。第1の案内部60は、その基端(端部6A)からヒンジ部7から離れるように間部領域RWに近づく方向に向かって弧状に延び、間部領域RWのやや外側の位置で延出部11に向かって曲がり、本体2の外周縁(蓋体1の外周縁71)まで延び出ている。第2の案内部61は、第1の案内部60と同様に、第2の案内部61の基端(端部6B)からヒンジ部7から離れるように間部領域RWに近づく方向に向かって弧状に延び、間部領域RWのやや外側の位置で延出部11に向かって曲がり、本体2の外周端(蓋体1の外周縁71)まで延び出ている。ただし、これは一例であり、第1の案内部60と第2の案内部61の構成は、この例に限定されるものではない。なお、図4Aにおいては、間部領域RWは、2点鎖線で囲まれた領域で示されている。このことは、図11A図12Aについても同様である。
【0074】
例えば、第1の案内部60は、端部6Aからヒンジ部7から離れるように間部領域RWに近づく方向に向かって弧状に延び、間部領域RWのやや外側の位置に端部を形成していてもよい。第2の案内部61についても、第1の案内部60と同様に、端部6Bからヒンジ部7から離れるように間部領域RWに近づく方向に向かって弧状に延び、間部領域RWのやや内側の位置に端部を形成していてもよい。この場合、未使用時には第2の部分4と第1の部分3とが部分的に境界の喪失した状態となっており、上方変位状態又は下方変位状態の形成に合わせて(延出部11を引き上げて案内部6に沿って本体2の一部を立ち上げ、露出口10を露出させる場合に)第1の部分3が形成される。
【0075】
第2の実施形態にかかる蓋体1では、第1の実施形態と同様に、図5図6に示すように、下方変位状態を形成可能となるように第1の部分3が形成されている。図5は、蓋体1を容器101に取り付けた場合の一実施例を示す断面図である。図6は、蓋体1を容器101に取り付けた場合に、蓋体1の本体2が下方変位状態を形成している状態の一実施例を示す平面図である。
【0076】
[2-2 作用及び効果]
第2の実施形態にかかる蓋体1は、第1の実施形態と同様に、容器101の上端縁部103に接合されて用いられることができるものである。
【0077】
第2の実施形態にかかる蓋体1によれば、蓋体1の使用時(容器101の上端縁部103に接合されて用いられる場合)には、延出部11を引き上げることで第1の部分3が第2の部分4に対して立ち上げられる。このとき、おおむね案内部6に沿って第1の部分3と第2の部分4が分離しながらヒンジ部7を軸として第1の部分3が第2の部分4に対して回動しながら徐々に立ち上がる。このとき、第2の実施形態にかかる蓋体1では、上方変位状態が形成される。
【0078】
第2の実施形態にかかる蓋体1によれば、第1の実施形態と同様に、下方変位状態を形成可能となるように第1の部分3が形成されている。また、容器101に蓋体1を接合した状態で、蓋体1の平面視上、案内部6が開口部102の端縁106の近傍に形成されている。このため、例えば、第1の部分3が第2の部分4に対してよりも下方向に変位させた場合に、図6に示すように、第1の部分3の外周縁(案内部6に対応する部分)を容器101の内周面104Aに接触させた状態を形成することが可能となる。なお、延出部11は、第1の部分3に繋がっており、第1の部分3に追従するように形状に撓みや変形を付与されながら、容器101の内周面104Aに接触させた状態を形成することができる。
【0079】
したがって第2の実施形態にかかる蓋体1によれば、上方変位状態を形成することで開蓋状態を形成した後に、再閉蓋状態を形成することができる。
【0080】
次に、第1の実施形態にかかる蓋体1の変型例について述べる。
【0081】
[2-3 変型例]
(変形例1)
第2の実施形態にかかる蓋体1においては、図11A図11Bに示すように、折り曲げ補助部が形成されていてもよい。このような形態を、第1の実施形態の変型例1と称呼する。
【0082】
(折り曲げ補助部)
折り曲げ補助部12は、蓋体1を容器101の上端縁部103に接合した状態で、蓋体1に下方変位状態を形成する際に、延出部が第1の部分3に対して立ち上がる位置を案内する部分となっている。
【0083】
折り曲げ補助部12は、本体2を容器101の上端縁部103に接合させた場合に、本体2の平面視上、第1の部分3には、延出部11からヒンジ部7に向かった位置(間部領域RWの内側の位置)、且つ、開口部102の端縁106よりも内側の位置(本体2の中央寄りの位置)に折り曲げ補助部12が形成されている。折り曲げ補助部12は、図11の例では、切込構造を有しているが、これに限定されず、脆弱化構造を有してもよい。
【0084】
(変形例2)
第2の実施形態にかかる蓋体1においては、延出部11に係止部が設けられていてもよい。係止部は、第1の実施形態の変型例1で説明した係止部と同様に構成されてよい。例えば、係止部は、図12A図12Bに示すように、保持部30でもよい。保持部30は、第1の実施形態の変型例1で説明した保持部23と同様に形成されてよい。ただし、保持部30は、突出する方向が保持部23とは逆向きであることが好適である。
【0085】
(係止受部)
第2の実施形態の変型例2においては第2の部分に、係止受部が設けられてもよい。係止受部は、第1の実施形態の変型例1で説明した係止受部と同様に構成されてよい。例えば、係止受部は、図12A図12Bに示すように、差し込み部31でもよい。差し込み31は、第1の実施形態の変型例1で説明した差し込み部26と同様に形成されてよい。ただし、差し込み部31を形成される位置は、ヒンジ部7を軸として第1の部分3を折り返して第2の部分4に第1の部分3を向かい合わせた場合に保持部30に向き合わせることが可能な位置であることが好適である。保持部30に向き合わせることが可能な位置となる場合には、第1の部分3を撓ませた状態で差し込み部31と保持部30とを向い合せることができる場合も含まれる。
【0086】
[3 第3の実施形態]
[3-1 構成]
(蓋体)
第3の実施形態にかかる蓋体1は、図13A図13Bに示すように、本体2に接合領域Rに低接着性領域RPEが形成され、低接着性領域RPEとヒンジ部7との間の領域(間部領域RV)を横断することを避けるように案内部6が形成されており、且つ、延出部11を省略したことを除き、第2の実施形態にかかる蓋体1と同様に形成されている。図13Aの例では、低接着性領域RPEは、一点鎖線で囲まれた領域で示されている。
【0087】
(接合領域)
第3の実施形態にかかる蓋体1は、本体2の接合領域Rに低接着性領域RPEが形成されている。低接着性領域RPEは、接合領域Rにおいて低接着性領域RPEの外側の接着性と低接着性領域RPEの接着性を比較した場合に、接着性の低い部分(剥離容易な部分)として特定される。
【0088】
(案内部)
案内部6は、低接着性領域RPEとヒンジ部7との間の領域(間部領域RV)を横断することを避けるように形成されている。これは、例えば、案内部6として、第2の実施形態で説明したように第1の案内部60と第2の案内部61を形成することで実現することができる。図13A図13Bの例では、第1の案内部60と第2の案内部61はいずれも間部領域RVのやや内側で曲がって本体2の外縁部71に向かって延び、低接着性領域RPEを横断している。ただし、これは一例であり、案内部6の構成は、図13A図13Bに限定されない。なお図13Aの例では、間部領域RVは、二点鎖線で囲まれた領域で示されている。
【0089】
[3-2 作用及び効果]
第3の実施形態にかかる蓋体1は、第2の実施形態と同様に、容器101の上端縁部103に接合されて用いられることができるものである。第3の実施形態にかかる蓋体1では、第2の実施形態で説明した延出部11にかえて外側部72のうち低接着性領域RPEから外側の領域を摘み部として用いることで、第2の実施形態で説明したように、上方変位状態及び下方変位状態を形成することができる。そして、第3の実施形態にかかる蓋体1によれば、第2の実施形態と同様に、再閉蓋状態を形成することができる
【0090】
[4 適用例]
第1の実施形態から第2の実施形態にかかる蓋体1は、図2図5等に示すように蓋体付き容器150に用いることができる。図2図5は、それぞれ第1の実施形態、第2の実施形態にかかる蓋体1を、開口部102を有する容器101の開口部102の端縁106から外側の部分である上端縁部103に接合させた実施例を示す断面図である。蓋体付き容器150は、容器101と蓋体1とが接合する接合部151を有しており、接合部151を形成する蓋体1の領域が接合領域Rとなる。蓋体1と容器101との接合方法は特に限定されず、圧着法や、熱融着法(ヒートシール)等の接合方法と適宜用いることができる。以下では第1の実施形態にかかる蓋体1を蓋体付き容器150に使用した場合を例として説明する。
【0091】
図2等に示す例では、容器101は、上方向にむかって径が太くなるような(下方向に向かって先細りするような)筒状の側壁104と底部107を有し内部に空間部105を形成する容器本体110と、容器本体110の上端(側壁104の上端)で開口した開口部102を有する。図示しないが、容器101の開口部102は円形状に形成されている。ただし、ここに示す容器101は一例であり、容器101の構成を限定するものではない。たとえば、容器101は開口部102を矩形状に形成されてもよい。容器101は、蓋体1で開口部102を被覆できるものであればよい。また、容器101の内部(空間部105)に収納されるものは、特に限定されず、例えば液体状のもの、固形状のもの、またはそれらの組み合わせなどを例示することができる。
【0092】
図2に示す容器では、開口部102の端縁106から外側の部分で形成される上端縁部103は、フランジ部108を有している。フランジ部108は、図2図5等に示すように容器本体110を形成する部材を外向きに巻きまわされたカール部であってもよいし
、外側方向に平面上に延びる部分(つば部)として形成されてもよい。
【0093】
また、第1の実施形態にかかる蓋体1は、開口部102を有する容器101との組み合わせとされてもよい。
【0094】
上記した[4 適用例]で示したことは、第1の実施形態にかかる蓋体1を用いる場合に限定されず、図5に示すように第2の実施形態にかかる蓋体1を用いる場合にも適用できる。また、[4 適用例]で示したことは、第3の実施形態についても同様に適用されてよい。
【0095】
これまで説明したように、本発明にかかる蓋体1は、このような多くの態様の蓋体1に対して適用することができる。また、上記した以外の態様の蓋体1に対しても適用することが可能である。以上、本発明にかかる蓋体について詳細に説明したが、上記したのは本発明かかる蓋体を例示したに過ぎず、これらに限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更してよい。また、上記した蓋体の構成は、それぞれの例の蓋体の構成を独立して用いてもよいし、それぞれの例の蓋体の構成を適宜組み合わせて適用してもよい。
【0096】
本発明は、下記に示す技術的思想を包含するものである。
(1)開口部を有する容器に対して前記開口部の端縁から外側の部分で構成された上端縁部に接合される接合領域を形成することが可能となるように形成されており、
前記接合領域に対応する部分を有する本体を備え、
前記本体は、前記本体を前記容器の前記開口部の端縁に接合させた状態で前記開口部を露出させるように上方向に回動される部分として定められた第1の部分と、該第1の部分を除く第2の部分とを有し、
前記第2の部分に対して前記第1の部分を回動させることを規制された非回動状態における前記第1の部分と前記第2の部分の境界部は、前記第2の部分に対して前記第1の部分を前記上方向に回動させた状態として定められる上方変位状態を形成する場合に前記第1の部分の回動軸となるヒンジ部と、前記上方変位状態を形成する場合に前記第1の部分と前記第2の部分との分離を生じさせようとする位置を定める案内部とを有し、
且つ、前記本体は、前記ヒンジ部を前記回動軸として前記第2の部分よりも下方向に前記第1の部分を押し下げた状態として定められる下方変位状態を形成できるように構成されている、
蓋体。
(2)前記ヒンジ部の少なくとも一方の端部は、前記本体の平面視上、前記接合領域に重なる位置に形成されている、
上記(1)に記載の蓋体。
(3) 前記本体は、前記接合領域の内縁から外側の領域に対応する部分を有する環状の外側部と前記外側部よりも内側の部分で形成される内側部とを有し、
前記案内部の少なくとも一部は、前記内側部に形成されている、
上記(1)または(2)に記載の蓋体。
(4) 前記本体を前記容器の前記上端縁部に接合させた場合に、前記本体の平面視上、前記外側部が、前記開口部の前記端縁よりも外側に位置している、
上記(3)に記載の蓋体。
(5) 前記本体を前記容器の前記上端縁部に接合させた場合に、前記本体の平面視上、前記ヒンジ部の少なくとも一方の端部が、前記開口部の前記端縁よりも外側に位置している、
上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の蓋体。
(6)前記本体を前記容器の前記上端縁部に接合させた場合に、前記非回動状態では、前記本体の平面視上、前記案内部は、前記案内部の延びる方向に沿って前記ヒンジ部と前記案内部との境界から離間するにつれて、前記接合領域に対応した部分から離間するように形成されている、
上記(1)から(5)のいずれか1項に記載の蓋体。
(7)前記第1の部分に、タブ部材が接合されている、
上記(1)から(6)のいずれか1項に記載の蓋体。
(8)前記本体の平面視上、前記タブ部材と前記第1の部分との接合部分として定められるタブ接合部は、前記ヒンジ部よりも前記案内部の前端に近い位置に形成されている、
上記(7)に記載の蓋体。
(9)前記タブ部材は、該タブ部材の一端部を前記第1の部分に接合されており、
前記タブ部材は、該タブ部材の他端部に摘み部を形成している、
上記(7)または(8)に記載の蓋体。
(10)前記タブ部材の前記一端部よりも、前記タブ部材の他端側が、前記本体の中心側に位置している、
上記(9)に記載の蓋体。
(11)前記タブ部材は、係止部を有する、
上記(7)から(10)のいずれか1項に記載の蓋体。
(12)前記第2の部分は、前記係止部を受入れ可能な形状に形成された係止受部を有する、
上記(11)に記載の蓋体。
(13)前記本体は、該本体の外周縁の一部に外方向に延出された延出部を備えており、
前記第1の部分の一部は、前記接合領域を横断しており、且つ、前記延出部に連なっている、
上記(1)から(6)のいずれか1項に記載の蓋体。
(14)前記本体を前記容器の前記上端縁部に接合させた場合に、前記本体の平面視上、前記第1の部分には、前記延出部から前記ヒンジ部に向かった位置、且つ、前記開口部の前記端縁よりも内側の位置に折り曲げ補助部が形成されている、
上記(13)に記載の蓋体。
(15)前記本体は、紙系素材により形成されている、
上記(1)から(14)のいずれかに記載の蓋体。
前記容器は、前記開口部から下方向に向かって開口径が小さくなるように形成されている、
上記(1)から(15)のいずれか1項に記載の蓋体。
(17)
前記容器は、前記上端縁部にフランジ部を有する、
上記(1)から(16)のいずれか1項に記載の蓋体。
(18)
前記下方変位状態において、前記第1の部分の前記案内部が前記容器の内周面に接触する、
上記(1)から(17)のいずれか1項に記載の蓋体。
(19)
前記開口部と前記開口部の端縁から外側の部分で形成される上端縁部とを有する容器と、
(1)から(18)のいずれか1項に記載の蓋体と、を備え、
容器の上端縁部と蓋体の接合領域とを接合する接合部が形成されている、
蓋体付き容器。
(20)
接合部は、圧着又は熱融着により形成されている、
上記(19)に記載の蓋体付き容器。
(21)
前記容器は、前記開口部から下方向に向かって開口径が小さくなるように形成されている、
上記(19)または(20)に記載の蓋体付き容器。
(22)
前記容器は、前記上端縁部にフランジ部を有する、
上記(19)から(21)のいずれか1項に記載の蓋体付き容器。
(23)
前記下方変位状態において、前記第1の部分の前記案内部が前記容器の内周面に接触する、
上記(19)から(22)のいずれか1項に記載の蓋体付き容器。
(24)
前記開口部と前記開口部の端縁から外側の部分で形成される上端縁部とを有する容器と、
上記(1)から(18)のいずれか1項に記載の蓋体とを有する、
蓋体と容器の組み合わせ。
【符号の説明】
【0097】
1 :蓋体
2 :本体
3 :第1の部分
4 :第2の部分
5 :境界部
6 :案内部
6A :端部
6B :端部
6C :前端部
7 :ヒンジ部
7A :端部
7B :端部
8 :接合領域対応部
8A :内縁端
8B :外端
10 :露出口
11 :延出部
11A :先端部
12 :折り曲げ補助部
21 :タブ部材
21A :一端部
21B :他端部
22 :タブ接合部
23 :保持部
23A :切込み線
24 :摘み部
26 :差し込み部
30 :保持部
31 :差し込み部
60 :第1の案内部
61 :第2の案内部
70 :露出面
71 :外周縁
72 :外側部
72A :内縁
73 :内側部
101 :容器
102 :開口部
103 :上端縁部
104 :側壁
104A :内周面
105 :空間部
106 :端縁
107 :底部
108 :フランジ部
110 :容器本体
150 :蓋体付き容器
151 :接合部
R :接合領域
RPE :低接着性領域
RV :間部領域
RW :間部領域
Rn :内側領域

【要約】      (修正有)
【課題】再閉蓋性に優れた蓋体、及び蓋体と容器の組み合わせを提供する。
【解決手段】蓋体は、開口部を有する容器に対して開口部の端縁から外側の部分である上端縁部に接合される接合領域が形成され、接合領域に対応する部分を有する本体を備え、本体を容器の開口部の端縁に接合した状態で開口部が露出するように上方向に回動する第1の部分と、該第1の部分を除く第2の部分とを有し、第2の部分に対して第1の部分を回動することを規制した非回動状態での第1の部分と第2の部分の境界部は、第2の部分に対して第1の部分を上方向に回動した状態である上方変位状態を形成する場合に第1の部分の回動軸となるヒンジ部と、上方変位状態を形成する場合に第1の部分と第2の部分との分離を生じる位置を案内する案内部とを有し、本体は、ヒンジ部を回動軸として第2の部分より下方向に第1の部分を押し下げた状態となる下方変位状態を形成するように構成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13