(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】LED照明器具の保護装置
(51)【国際特許分類】
H02H 3/08 20060101AFI20230215BHJP
F21S 8/08 20060101ALI20230215BHJP
F21V 25/04 20060101ALI20230215BHJP
F21V 25/10 20060101ALI20230215BHJP
H05B 45/54 20200101ALI20230215BHJP
H02H 9/04 20060101ALI20230215BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230215BHJP
【FI】
H02H3/08 P
F21S8/08 100
F21V25/04
F21V25/10
H05B45/54
H02H9/04 A
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020020265
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2022-03-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000123608
【氏名又は名称】かがつう株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 博行
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 和弘
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-114341(JP,A)
【文献】特開2017-199587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/08
F21S 8/08
F21V 25/04
F21V 25/10
H05B 45/00、47/00
H02H 9/04
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源である交流電力源から交流2線にて電力供給される交流電力を整流回路にて変換した直流電力を照明用LEDの点灯制御回路へ供給する入力回路は
、
前記交流2線に印加される
誘導雷サージに対して所定の動作電圧にて非導通状態から導通状態へ切り替わるサージ保護素子回路と
、
前記サージ保護素子回路の上流側(入力側)で前記交流2線に配置され前記
誘導雷サージに対
して前記サージ保護素子回路
が非導通状態から導通状態へ切り替わる正常動作状態では溶断せず前記サージ保護素子回路の故障時の短絡電流によって溶断する
ことによって前記サージ保護素子回路の故障時の保護
専用の第1ヒューズと
、
前記第1ヒューズ及び前記サージ保護素子回路の下流側(出力側)で前記交流2線の少なくとも一方に配置され前記点灯制御回路の正常動作状態では溶断せず前記サージ保護素子回路の下流側(出力側)の回路に生じる部品の故障時の電流増加又は短絡電流によって溶断する前記点灯制御回路
を含む前記サージ保護素子回路の下流側(出力側)の回路の故障時の保護を目的とする適正容量の
溶断電流値に設定された第2ヒューズを備え
、
前記サージ保護素子回路は、前記交流2線に渡り直列接続された第1動作電圧の第1サージ保護素子及び第2サージ保護素子を備え、前記第1サージ保護素子と前記第2サージ保護素子の中間部が第3サージ保護素子を介してアースラインに接続された構成であ
り、
前記サージ保護素子回路の下流側(出力側)の回路は、前記整流回路及び前記点灯制御回路を含み、前記第2ヒューズは、前記整流回路の上流側で前記サージ保護素子回路の下流側(出力側)の前記交流2線の少なくとも一方に配置されており、前記第2ヒューズが溶断する溶断電流値よりも前記第1ヒューズが溶断する溶断電流値の方が大きい設定であり、前記所定の動作電圧は、前記整流回路及び前記点灯制御回路を含む前記サージ保護素子回路の下流側(出力側)の回路の各部品の耐電圧より低く設定された動作電圧である、
ことを特徴とするLED照明器具の保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)の発光によって道路面等の被照明部を照明するLED照明器具の保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路灯や公園灯等のように屋外に設置される照明器具は、照明用LED(発光ダイオード)を光源とする発光部によって、道路面等を照明する。この照明用LEDの点灯制御部(整流回路及びLED点灯制御回路を含む)には半導体などの電子部品が使用されており、照明器具への入力電圧は100V又は200Vのように所定電圧の印加にて、照明器具が正規の動作をするように設計される。
【0003】
このような照明器具は、落雷による誘導作用によって照明器具の電力ラインへ誘導雷サージと称する雷サージが発生した場合、この雷サージによって照明用LEDの点灯制御部(整流回路及びLED点灯制御回路を含む)が破損することがあり、これを雷サージ保護装置によって防止している。
【0004】
雷サージ保護装置の一つとして、照明器具への外部電源である交流電源の入力回路の電源2線間にバリスタなどのサージアブソーバが用いられているものがある(特許文献1)。
特許文献1は、雷サージ保護回路50として、サージアブソーバ51と、複数のバリスタ52とを有し、サージアブソーバ51の一端は、アース線Gに接続され、複数のバリスタ52の一端は、サージアブソーバ51の他端に接続され、バリスタ52の他端は、複数の電源線11にそれぞれ接続されている。
この保護回路50は、電源線11とアース線Gとの間の対地間電圧が予め定められた過電圧閾値を上回ると、非導通状態から導通状態となり、電源線11とアース線Gとを短絡させることにより、LEDの制御電源やLEDを保護する。
【0005】
また、他のサージアブソーバ回路50として、外部電源である交流電源Eの活性側配線および非活性側配線の2線のそれぞれにヒューズF1、F2が接続され、これらヒューズF1、F2の下流側(出力側)にサージ保護素子としてのバリスタZ1、Z2が直列に接続され、これらバリスタZ1、Z2の中間端子がサージ保護素子としてのバリスタZ3を介してアース接続されものがある(特許文献2)。
特許文献2の保護回路50は、誘導雷が交流電源Eに印加されると、ヒューズF1またはヒューズF2を通じてバリスタZ1、Z2間、バリスタZ1、Z3間、バリスタZ2、Z3間に印加されるが、これらバリスタZ1、Z2、Z3によってサージが所定値以下の電圧に制限され、電源基板や光源モジュールを保護する。
また、サージエネルギーがバリスタZ1、Z2、Z3の耐圧を超えると、ヒューズF1、F2が切れ、電源基板や光源モジュールを保護する。
【0006】
特許文献1は、サージアブソーバ51と複数のバリスタ52で構成された雷サージ保護回路50の導通による一段階の保護だけであるが、特許文献2は、バリスタZ1、Z2、Z3によりサージが所定値以下の電圧に制限される保護に加えて、ヒューズF1、F2が切れることによる保護の二段階の保護が得られる点で、特許文献1よりも保護が厚い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-47542号公報
【文献】特開2018―133234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2では、ヒューズとサージ保護素子の組み合わせによって、雷サージによってサージ保護素子が非導通状態から導通状態に切り替わることにより、サージ保護素子の所定値以下の電圧に制限され、LEDの制御電源やLEDを保護する。また、定格電流を超える電流が流れた場合にはヒューズが溶断することにより、LEDの制御電源やLEDを保護する。
【0009】
照明器具の保護としては、特許文献1や特許文献2のような雷サージに対する保護だけでなく、照明用LEDの点灯制御部(整流回路及びLED点灯制御回路を含む)の故障により短絡電流が流れた場合の保護も必要である。
【0010】
本発明は、このような点に鑑み、照明器具内部の電気回路が短絡故障した場合の保護と、雷サージに対する保護の両方を達成する技術を提供する。
【0011】
このため、本発明は、サージ保護素子回路によって誘導雷サージのように比較的低いサージに対する保護が達成できると共に、サージ保護素子回路の破損時の保護と、点灯制御部の故障時の保護の二つの目的に応じて二種類のヒューズを設けるものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の本発明は、
外部電源である交流電力源2から交流2線L1、L2にて電力供給される交流電力を整流回路6にて変換した直流電力を照明用LED7の点灯制御回路4へ供給する入力回路3は、前記交流2線L1、L2に印加されるサージに対して所定の動作電圧にて非導通状態から導通状態へ切り替わるサージ保護素子回路9Aと、前記サージ保護素子回路9Aの上流側(入力側)で前記交流2線L1、L2に配置され前記サージに対する前記サージ保護素子回路9Aの正常動作状態では溶断せず前記サージ保護素子回路9Aの故障時の短絡電流によって溶断する第1ヒューズF1、F2と、前記サージ保護素子回路9Aの下流側(出力側)で前記交流2線L1、L2の少なくとも一方に配置され前記点灯制御回路4の正常動作状態では溶断せず前記サージ保護素子回路9Aの下流側(出力側)の回路に生じる部品の故障時の電流増加又は短絡電流によって安全に溶断する適正容量の第2ヒューズF3を備え、前記第2ヒューズF3が溶断する溶断電流値よりも前記第1ヒューズF1、F2が溶断する溶断電流値の方が大きい設定である。
【0013】
第2の本発明は、
外部電源である交流電力源2から交流2線L1、L2にて電力供給される交流電力を整流回路6にて変換した直流電力を照明用LED7の点灯制御回路4へ供給する入力回路3は、前記交流2線L1、L2に印加されるサージに対して所定の動作電圧にて非導通状態から導通状態へ切り替わるサージ保護素子回路9Aと、前記サージ保護素子回路9Aの上流側(入力側)で前記交流2線L1、L2に配置され前記サージに対する前記サージ保護素子回路9Aの正常動作状態では溶断せず前記サージ保護素子回路9Aの故障時の短絡電流によって溶断する第1ヒューズF1、F2と、前記第1ヒューズF1、F2及び前記サージ保護素子回路9Aの下流側(出力側)で前記交流2線L1、L2の少なくとも一方に配置され前記点灯制御回路4の正常動作状態では溶断せず前記サージ保護素子回路9Aの下流側(出力側)の回路に生じる部品の故障時の電流増加又は短絡電流によって溶断する適正容量の第2ヒューズF3を備え、前記第2ヒューズF3が溶断する溶断電流値よりも前記第1ヒューズF1、F2が溶断する溶断電流値の方が大きい設定であり、
前記サージ保護素子回路9Aは、前記交流2線L1、L2に渡り直列接続された第1動作電圧の第1サージ保護素子Z1及び第2サージ保護素子Z2を備え、第1サージ保護素子Z1と第2サージ保護素子Z2の中間部が第3サージ保護素子Z3を介してアースラインに接続された構成である。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、サージ保護素子回路9Aによって誘導雷サージのように比較的低いサージに対する保護が達成できると共に、サージ保護素子回路9Aの故障時の保護と、照明用LED7の点灯制御部の故障時の保護の二つの目的に応じてヒューズを分けた処が特徴である。
このため、第1ヒューズF1、F2は、前記サージ保護素子回路9Aの破損時の保護専用ヒューズを目的とした回路構成をなし、第2ヒューズF3は、点灯制御回路4のインバータ回路等の部分の故障時の保護専用ヒューズを目的とした回路構成をなすことにより、上記二つの目的を達成したLED照明器具の保護に適する。
【0015】
第1サージ保護素子Z1、第2サージ保護素子Z2及び第3サージ保護素子Z3によって、電力供給回路の交流2線及びアースラインの全てに対応する保護回路構成である。また、交流2線L1、L2のそれぞれに第1ヒューズF1、F2が接続される。これにより、アースラインから見て交流2線L1、L2の何れに雷サージが印加されても対応でき、また、アース(地表や積雪)から上空に向かって対空放電があった場合にも対応できるため、雷サージに対して安定した保護動作が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るLED照明器具の点灯装置の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るLED照明器具の保護装置は、
外部電源である交流電力源2から交流2線L1、L2にて電力供給される交流電力を整流回路6にて変換した直流電力を照明用LED7の点灯制御回路4へ供給する入力回路3は、前記交流2線L1、L2に印加されるサージに対して所定の動作電圧にて非導通状態から導通状態へ切り替わるサージ保護素子回路9Aと、前記サージ保護素子回路9Aの上流側(入力側)で前記交流2線L1、L2に配置され前記サージに対する前記サージ保護素子回路9Aの正常動作状態では溶断せず前記サージ保護素子回路9Aの故障時の短絡電流によって溶断する第1ヒューズF1、F2と、前記サージ保護素子回路9Aの下流側(出力側)で前記交流2線L1、L2の少なくとも一方に配置され前記点灯制御回路4の正常動作状態では溶断せず前記サージ保護素子回路9Aの下流側(出力側)の回路に生じる部品の故障時の電流増加又は短絡電流によって溶断する適正容量の第2ヒューズF3を備え、第2ヒューズF3が溶断する溶断電流値よりも第1ヒューズF1、F2が溶断する溶断電流値の方が大きい設定であり、
前記サージ保護素子回路9Aは、前記交流2線L1、L2に渡り直列接続された第1動作電圧の第1サージ保護素子Z1及び第2サージ保護素子Z2を備え、第1サージ保護素子Z1と第2サージ保護素子Z2の中間部が第3サージ保護素子Z3を介してアースラインに接続された構成である。
以下、本発明の実施形態の詳細について図面を参照して説明する。
【0018】
本発明に係るLED照明器具LKの一つの形態は、例えば、本出願人の出願に係る特開2018-049694に示すように、後部に支柱等への取り付け部を備え、内部に照明用の発光素子としてのLEDと、発光素子用の電力を供給する電源部(入力回路)と、発光素子の発光による照度と照明器具LKの周囲の外光による照度とを検知するよう配置された光センサが検出する照度に基づき発光素子の点灯及び消灯を制御する制御部(点灯制御回路)とを備え、これらで点灯装置を構成する周知の形態である。
【0019】
図1には、本発明に係るLED照明器具LKの点灯装置1の回路構成を示す。
点灯装置1は、点灯制御回路4と、発光素子としての照明用LED7の直列回路で構成する発光部5と、外部電源である交流電力源2から交流2線L1、L2にて電力供給される交流電力を整流回路6にて変換した直流電力を照明用LED7の点灯制御回路4へ供給する入力回路3と、を備える。
【0020】
入力回路3は、前記交流2線L1、L2に印加されるサージに対して所定の動作電圧にて非導通状態から導通状態へ切り替わるサージ保護素子回路9Aと、前記サージ保護素子回路9Aの上流側(入力側)で前記交流2線L1、L2に配置され前記サージに対する前記サージ保護素子回路9Aの正常動作状態では溶断せず前記サージ保護素子回路9Aの故障時の短絡電流によって溶断する第1ヒューズF1、F2と、前記サージ保護素子回路9Aの下流側(出力側)で前記交流2線L1、L2の少なくとも一方に配置され前記点灯制御回路4の正常動作状態では溶断せず前記サージ保護素子回路9Aの下流側(出力側)の回路に生じる部品の故障時の電流増加又は短絡電流によって溶断する適正容量の第2ヒューズF3を備える。
第2ヒューズF3は、交流2線L1、L2の双方に接続されてもよいが、動作上からは交流2線L1、L2の少なくとも一方が溶断されるように接続されればよい。
【0021】
第2ヒューズF3が溶断する溶断電流値よりも第1ヒューズF1、F2が溶断する溶断電流値の方が大きい設定である。サージ保護素子回路9Aは、前記交流2線L1、L2に渡り直列接続された第1動作電圧の第1サージ保護素子Z1及び第2サージ保護素子Z2と、これらサージ保護素子Z1、Z2の中間部が第3サージ保護素子Z3を介してアースラインL3に接続された構成である。
【0022】
入力回路3は、第2ヒューズF3の下流側(出力側)に第2サージ保護回路10と、交流を直流に変換する整流回路6と、第3サージ保護回路11を備える。C1とC2はコンデンサ、R1とR2はリアクタで点灯装置1のノイズ低減と力率改善の効果がある。
【0023】
第1サージ保護回路9は、交流2線L1、L2のそれぞれに接続した第1ヒューズF1、F2と、前記第1ヒューズF1、F2の下流側(出力側)で前記交流2線に渡り直列接続された第1サージ保護素子Z1及び第2サージ保護素子Z2と、これらサージ保護素子Z1とZ2の接続ラインである中間部が第3サージ保護素子Z3を介して照明器具LKの金属製本体に接続され、この金属製本体はアースラインL3に接続されている。
【0024】
第1サージ保護素子Z1及び第2サージ保護素子Z2は、例えばバリスタで構成され、同等の所定の動作電圧(以下、第1動作電圧と称す)にて非導通(高インピーダンス状態)から導通状態(低インピーダンス状態)へ切り替わる動作をする。
第3サージ保護素子Z3は、例えばアレスタで構成され、第1動作電圧より高い所定の動作電圧(以下、第2動作電圧と称す)にて非導通(高インピーダンス状態)から導通状態(低インピーダンス状態)へ切り替わる動作をする。
第1サージ保護素子Z1、第2サージ保護素子Z2及び第3サージ保護素子Z3によって、印加されるサージによって交流2線L1、L2の少なくとも一方の電圧が上昇した場合、所定の動作電圧にて非導通状態から導通状態へ切り替わる第1サージ保護素子回路9Aを構成する。
【0025】
第1サージ保護回路9、第2ヒューズF3、及び第2サージ保護回路10を総称してサージ保護装置8として示す。
第2サージ保護回路10は、第1サージ保護回路9及び第2ヒューズF3の下流側(出力側)で、交流2線L1、L2に渡り所定の動作電圧(以下、第3動作電圧と称す)にて非導通状態から導通状態へ切り替わる第4サージ保護素子Z4を備える。第4サージ保護素子Z4によって、第1サージ保護素子回路9Aの動作電圧よりも高い所定の動作電圧にて非導通状態から導通状態へ切り替わる第2サージ保護素子回路10Aを構成する。
第2サージ保護回路10は、第2サージ保護素子回路10A及び第2ヒューズF3を含めた呼称でもよい。
【0026】
第3動作電圧は、第1動作電圧及び第2動作電圧よりも高い設定である。これによって、第1サージ保護回路9の動作電圧は、第2サージ保護回路10の動作電圧よりも低く設定されており、実施形態では、第2サージ保護回路10の動作電圧に対して第1サージ保護回路9の動作電圧は、約半分の設定である。
【0027】
また、第1ヒューズF1の溶断電流値と第1ヒューズF2の溶断電流値は同等に設定されており、その溶断電流値は、誘導雷程度の低いサージ電流では第1ヒューズF1、F2が溶断し難い高い常数に設定されており、その場合のサージは対応する第1サージ保護素子回路9Aのサージ保護素子Z1、Z2及びZ3の導通によって点灯装置1の回路を保護する。
このような動作確保のために、第1ヒューズF1、F2が溶断する溶断電流値は、第2ヒューズF3が溶断する溶断電流値より高く(大きく)設定される。実施形態では、第1ヒューズF1、F2の溶断電流値は、第2ヒューズF3の溶断電流値の数倍の設定であり、一つの実施形態のLED照明器具では、約1.5倍~2倍の設定で良好な結果を得ている。
【0028】
これによって、落雷時に通常発生する誘導雷サージ、即ち、交流2線L1、L2に印加され第1ヒューズF1及び又はF2を通る誘導雷サージに対して、交流2線L1、L2間では、第1サージ保護素子Z1及び第2サージ保護素子Z2の導通動作によって、サージエネルギーが吸収され、点灯装置1の回路が保護される。また、交流2線L1とアースラインL3間では、第1サージ保護素子Z1及び第3サージ保護素子Z3の導通動作によって、サージエネルギーが吸収され、点灯装置1の回路が保護される。また、交流2線L2とアースラインL3間では、第2サージ保護素子Z2及び第3サージ保護素子Z3の導通動作によって、サージエネルギーが吸収され、点灯装置1の回路が保護される。
【0029】
一方、第1サージ保護素子Z1、第2サージ保護素子Z2及び第3サージ保護素子Z3は、エネルギー耐量を超えるサージが印加される場合には、第1サージ保護素子Z1、第2サージ保護素子Z2及び第3サージ保護素子Z3が短絡故障時に、その時の短絡電流によってヒューズF1及び又はF2が溶断することによってサージ入力経路が遮断され、点灯装置1の回路が保護される。
このように、第1サージ保護素子Z1、第2サージ保護素子Z2及び第3サージ保護素子Z3が短絡故障、またはヒューズF1及び又はF2が溶断した場合は、それらの交換を行う。
【0030】
サージ保護装置8の下流側(出力側)の回路が、サージ印加時や回路の短絡時に保護されるようにするために、上記の各動作電圧値や溶断電流値は、サージ保護装置8の下流側(出力側)の回路の耐電圧や耐電流を考慮して、それよりも低く設定する。
即ち、サージが印加されない通常状態において、第1サージ保護回路9の下流側(出力側)の回路、即ち、照明用LED7の点灯制御部(整流回路6及び点灯制御回路4を含む)が破損せず短絡しない場合、第2保護ヒューズF3は溶断しないように設定している。従って、照明用LED7の点灯制御部の各部品の耐電圧は、第1サージ保護素子Z1、第2サージ保護素子Z2及び第3サージ保護素子Z3の動作電圧より高い設定であるため、第1サージ保護素子Z1、第2サージ保護素子Z2及び第3サージ保護素子Z3が導通しないことは、その動作電圧よりも低いサージが印加されたということを意味し、この場合は、照明用LED7の回路は破損せず、結果的に第1ヒューズF1、F2、及び第2保護ヒューズF3は溶断しないので、点灯装置1は安定した動作を維持できる。
【0031】
このように、第1ヒューズF1、F2は、第1サージ保護素子回路9Aのサージ保護素子が正常動作することを保障し、第1サージ保護素子回路9Aのサージ保護素子が故障にて短絡した場合は、その時の短絡電流によって溶断しLED照明器具内部の電気回路を保護する。
また、第2保護ヒューズF3は、サージ保護素子回路9Aの下流側(出力側)の回路に生じる部品の故障時の電流増加又は短絡電流によって溶断するよう、適正容量の溶断電流値に設定されている。
このため、サージ保護素子回路9Aの下流側(出力側)の回路の正常動作が保障され、サージ保護素子回路9Aの下流側(出力側)の回路が故障し電流増加が生じた場合は、第2保護ヒューズF3の溶断にてLED照明器具内部の電気回路が保護され、点灯装置1が保護される。
また、コンデンサC1、C2、及びリアクタR1、R2によって、入力回路3内に異常高電圧が発生した場合は、サージ保護素子Z4の導通によってLED照明器具内部の電気回路を保護する。
【0032】
なお、第1サージ保護素子回路9Aがサージに対して動作しなかった場合は、第2サージ保護回路10により保護する。即ち、交流2線L1、L2に印加される比較的高い雷サージに対して、導通状態へ動作すべき第1サージ保護素子Z1、第2サージ保護素子Z2及び第3サージ保護素子Z3が導通状態へ切り替わらなかった場合、ヒューズF3を通して交流2線L1、L2に印加される雷サージに対して、第4サージ保護素子Z4の導通動作によって、サージエネルギーが吸収され、点灯装置1の回路が保護される。一方、エネルギー耐量を超えるサージが印加される場合には、第4サージ保護素子Z4が短絡故障してヒューズF3が溶断することによってサージ入力経路が遮断され、点灯装置1の回路が保護される。
【0033】
このように、交流2線L1、L2に印加されるサージに対して、第2サージ保護回路10よりも先に第1サージ保護回路9が動作する。このため、第1サージ保護回路9により誘導雷サージに対する保護を行う。もし、第1サージ保護回路9のサージ保護素子が故障して所定のサージに対して動作しなかった場合、第1サージ保護回路9の動作電圧よりも高い動作電圧で動作する第2サージ保護回路10によりLED照明器具内部の電気回路を保護する。
【0034】
同様に、交流2線L1、L2に印加される比較的高い雷サージに対して、第5サージ保護素子Z5が導通動作した場合は、点灯制御回路4及び照明用LED7が保護される。
【0035】
また、第5サージ保護素子Z5は第4サージ保護素子Z4と同様の動作をし、第2サージ保護回路10で防止できなかったサージに対する保護を行う。
【0036】
上記から判明するように、通常、照明用LEDの点灯制御部(整流回路及びLED点灯制御回路を含む)が破損せず短絡しない場合、第2保護ヒューズF3は溶断しないように設定している。従って、照明用LED7の点灯制御部(整流回路6及びLED点灯制御回路4を含む)の各部品の耐電圧は、第1サージ保護素子Z1及び第2サージ保護素子Z2の動作電圧より高く設定するため、第1サージ保護素子Z1及び第2サージ保護素子Z2が導通しないことは、その動作電圧よりも低いサージが印加されたということを意味し、この場合は、照明用LED7の点灯制御部(整流回路6及びLED点灯制御回路4を含む)は破損せず、結果的に第2保護ヒューズF3は溶断しないので、照明器具は安定した動作を維持できる。
本発明は、雷サージ以外のサージに対しても同様の保護ができる。
【0037】
本発明は、上記実施形態に限定されず、雷サージ以外のサージに対しても同様の保護ができ、本発明の技術思想の範囲内で変更可能な技術範囲を包含するものである。
【符号の説明】
【0038】
1・・・・・点灯装置
2・・・・・交流電力源
3・・・・・入力回路
4・・・・・点灯制御回路
5・・・・・発光部
6・・・・・整流回路
7・・・・・照明用LED
8・・・・・サージ保護装置
9・・・・・第1サージ保護回路
9A・・・・第1サージ保護素子回路
10・・・・第2サージ保護回路
10A・・・第2サージ保護素子回路
11・・・・第3サージ保護回路
F1・・・・第1ヒューズ
F2・・・・第1ヒューズ
Z1・・・・第1サージ保護素子
Z2・・・・第2サージ保護素子
Z3・・・・第3サージ保護素子
Z4・・・・第4サージ保護素子
Z5・・・・第5サージ保護素子
L1、L2・交流2線
L3・・・・アースライン
LK・・・・照明器具