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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】空気清浄装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20230215BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20230215BHJP
   F24F 8/167 20210101ALI20230215BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20230215BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20230215BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20230215BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/18
F24F8/167
F24F8/80 140
F24F8/80 170
F24F8/108 110
F24F8/22
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021092121
(22)【出願日】2021-06-01
(65)【公開番号】P2022184339
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591269712
【氏名又は名称】アンデス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】是川 天一
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-009016(JP,A)
【文献】特開2015-051268(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0136609(US,A1)
【文献】特開2020-134027(JP,A)
【文献】特開2020-162654(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111495183(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-9/22
B01J 10/00-12/02,14/00-19/32
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの内部に吸い込んだ空気を浄化して外部に吹き出す空気清浄装置において、
前記ケーシングの内部で空気が流れる通風路に配置され、一方向へ光を照射する一灯の光源と、
前記光源の光軸上で該光源に対向させて配置され、前記光源から照射された光を光軸の全周方向へ反射させる反射体と、
前記通風路の途中を取り囲むように配置され、前記反射体からの反射光を受けて励起する光触媒体と、を備え、
前記光源は、前記通風路の中心線上に配置され、
前記反射体は、ユニットに一体化されて前記通風路の中心線上に配置され、円錐形の頂点が前記光源の光軸に合致する反射面を備え、
前記ユニットは、その内側で前記反射体との間に空気を通す隙間と、前記反射体からの反射光の一部を遮る遮蔽部と、を備え、
前記ユニットは、上下に離隔した一対の環状部を、それぞれの円周方向に並ぶ支柱部により連結してなり、
一方の環状部の中心に、前記反射体はその反射面を他方の環状部に向けた状態でリブにより支持され、
一方の環状部は、前記遮部として、前記反射体からの反射光ないし前記光源からの直接光のうち前記光源から離れる側へ向かう一部を遮る所定高さの円筒形に形成され、
他方の環状部は、前記光源の配置箇所の周囲に対接させて固定されたことを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
前記ケーシングの内部に、吸い込んだ空気を通過させるフィルターと、該フィルターの上流側に位置するファンと、が配置され、
前記光源および前記ユニットは、前記フィルターと前記ファンとの間における前記通風路に配置されたことを特徴とする請求項に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記ケーシングの内部で前記フィルターと前記ファンとの間に、内側が前記通風路をなす連通部材が配置され、
前記光触媒体は、前記連通部材の内壁に沿って全周に亘り連続して配置されたことを特徴とする請求項に記載の空気清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシングの内部に吸い込んだ空気を浄化して外部に吹き出す空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より空気清浄機は、一般的にはフィルターにより空気中の塵埃を捕集することを主目的としているが、これに加えて光触媒により、空気中の有害物質を分解して除去する機能を備えたものも知られている。例えば特許文献1,2に記載の技術では、直管型の蛍光ランプを光源に使用し、蛍光ランプを全長に亘って囲むように光触媒が担持された筒状の光触媒ユニットが構成されていた。この光触媒ユニットは、装置内で大きく上下方向に延びるように配置されていた。
【0003】
また、現行の空気清浄機で光触媒ユニットに使用される光源としては、従前の蛍光ランプは製造メーカーによる生産中止が相次ぎ、LED(発光ダイオード)が主流となりつつある。LEDを使用する場合、光の照射範囲が光軸を中心に狭い特性により、例えば従前の直管型の光源とするには、その全長に亘って多数のLEDを並べて配置する必要があった。従って、蛍光管より高価なLEDの数が増すごとに、装置全体の製造コストが嵩むという問題があった。
【0004】
このような問題を解決すべく、例えば特許文献3に記載のように、直管型と同様に長手方向に延びた導光部品と、導光部品の端面から紫外光を導入するLEDと、導光部品を取り囲む光触媒チタンメッシュフィルタと、を備えた空気清浄機も既に提案されている。ここで光触媒チタンメッシュフィルタは、特許文献1,2に記載の光触媒ユニットと同様に長く筒状に延びるように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-107271
【文献】特開2000-116760
【文献】特開2020-109328
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1~3に記載の従来技術では、何れの光触媒ユニットも直管型の長く延びる光源(導光部品も含む)を前提としている。そのため、光触媒ユニットは嵩張る構成となり、装置内での実質的な配置スペースが大きくなり、装置内の限られた空間におけるコンパクト化の要請に応じることができず、他の部品との兼ね合いで取り付けが難しい場合があった。
【0007】
また、光触媒ユニットの嵩張る構成により、装置内で空気が流れる流路面積が狭まるだけでなく、空気の流れに乱れ(渦や乱流)が生じる原因となりやすい。そのため、光触媒ユニットによって、送風効率が阻害されることになり、空気清浄装置における必要な風量を確保できなくなる虞があった。その他、特許文献3に記載のように、光源にLEDを使用する場合、光触媒を励起させるために何らかの光の拡散・散乱処理が必要となる。
【0008】
本発明は、以上のような従来技術が有する問題点に着目してなされたものであり、コスト低減が可能となるだけでなく、光触媒に関する構造をコンパクト化できて取り付けも容易となり、装置内における空気の流路面積を狭めることなく、空気の流れの乱れも生じさせないレイアウトを可能とし、送風効率の低下を防いで空気清浄に必要な風量を確保することができる空気清浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明の一態様は、
ケーシングの内部に吸い込んだ空気を浄化して外部に吹き出す空気清浄装置において、
前記ケーシングの内部で空気が流れる通風路に配置され、一方向へ光を照射する一灯の光源と、
前記光源の光軸上で該光源に対向させて配置され、前記光源から照射された光を光軸の全周方向へ反射させる反射体と、
前記通風路の途中を取り囲むように配置され、前記反射体からの反射光を受けて励起する光触媒体と、を備え、
前記光源は、前記通風路の中心線上に配置され、
前記反射体は、ユニットに一体化されて前記通風路の中心線上に配置され、円錐形の頂点が前記光源の光軸に合致する反射面を備え、
前記ユニットは、その内側で前記反射体との間に空気を通す隙間と、前記反射体からの反射光の一部を遮る遮蔽部と、を備え、
前記ユニットは、上下に離隔した一対の環状部を、それぞれの円周方向に並ぶ支柱部により連結してなり、
一方の環状部の中心に、前記反射体はその反射面を他方の環状部に向けた状態でリブにより支持され、
一方の環状部は、前記遮部として、前記反射体からの反射光ないし前記光源からの直接光のうち前記光源から離れる側へ向かう一部を遮る所定高さの円筒形に形成され、
他方の環状部は、前記光源の配置箇所の周囲に対接させて固定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る空気清浄装置によれば、コスト低減が可能となるだけでなく、光触媒に関する構造をコンパクト化できて取り付けも容易となり、装置内における空気の流路面積を狭めることなく、空気の流れの乱れも生じさせないレイアウトを可能とし、送風効率の低下を防いで空気清浄に必要な風量を確保することができる。よって、空気清浄装置の性能を向上させて、商品価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の内部構造を示す縦断面図(図3中のI-I線断面図)である。
図2】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の外観を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の上面部を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の仕切板と連通部材を示す平面図である。
図5図4のV-V線断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の仕切板と連通部材を囲むハウジングを示す正面図である。
図7図6のVII-VII線断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の反射体を含むユニットを上方から見た斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の反射体を含むユニットを下方から見た斜視図である。
図10】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の光触媒体を示す斜視図である。
図11】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の内部における光線の照射ないし反射を示す説明図である。
図12】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の内部で上方に向かう空気の流れを示す縦断面図である。
図13】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の内部で側方に向かう空気の流れを示す縦断面図である。
図14】本発明の実施形態に係る空気清浄装置のファンおよび吹出調整手段のユニットを示す斜視図である。
図15】本発明の実施形態に係る空気清浄装置のルーバーの開閉機構を示す平面図である。
図16】本発明の実施形態に係る空気清浄装置のルーバーの開閉を示す説明図である。
図17】本発明の実施形態に係る空気清浄装置のルーバーを内面から見た斜視図である。
図18】本発明の実施形態に係る空気清浄装置のルーバーを外面から見た斜視図である。
図19】本発明の実施形態に係る空気清浄装置のルーバーを外面から見た正面図である。
図20】本発明の実施形態に係る空気清浄装置のルーバーを左側から見た側面図である。
図21】本発明の実施形態に係る空気清浄装置のルーバーを下側から見た底面図である。
図22】本発明の実施形態に係る空気清浄装置のルーバーを各部位で切断した端面図である。
図23】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の吹出調整手段においてルーバーが最外側角度にあるときの状態を示す平面図、横断面図、底面図である。
図24】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の吹出調整手段においてルーバーが最外側と最内側の間の回動角度にあるときの状態を示す平面図、横断面図、底面図である。
図25】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の吹出調整手段においてルーバーが最内側角度にあるときの状態を示す平面図、横断面図、底面図である。
図26】本発明の実施形態に係る空気清浄装置のルーバーの回動角度と、上方吹出口および側方吹出口の風量割合との相関関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施形態を説明する。
本実施形態に係る空気清浄装置10は、ケーシング11の内部に吸い込んだ空気を浄化して外部に吹き出す装置である。空気清浄装置10は、フィルター20により空気中の塵埃を捕集する機能に加えて、光触媒体120により空気中の有害物質を分解して除去したり脱臭する機能も備えている。以下、空気清浄装置10を、例えば一般家庭やホテルの客室等、比較的限られた空間に設置する場合を想定して、全体的にコンパクトな大きさに構成したものを例に説明する。
【0013】
<空気清浄装置10の概要>
図1は、空気清浄装置10の内部構造を示す縦断面図(図3中のI-I線断面図)である。図2は、空気清浄装置10の外観を示す斜視図である。図3は、空気清浄装置10の上面部16を示す平面図である。図1から図3に示すように、空気清浄装置10は、例えば四角柱状に形成されたケーシング11の内部に、フィルター20やファン30等の関連部品を収納して構成されている。
【0014】
<ケーシング11について>
図2に示すように、ケーシング11は、全体的に内部が空洞の四角柱状であるが、底面より上面にかけて、水平方向の正方形横断面が緩やかに大きくなっている。ケーシング11の底面側は、台座12上に支持されている。ここでケーシング11の底面側は、台座12によって設置場所の床面より上方に離隔する。台座12上に被らない底面側の周囲は、そのまま開口しており、外部から空気を吸い込む吸込口13となっている。なお、ケーシング11および台座12、それに後述する上面部16は、例えば合成樹脂により形成されている。
【0015】
ケーシング11は、本実施形態では四角柱状であるため、その周方向に亘って平面状に区画された4つの側面部14を備えている。各側面部14の下端側にも、それぞれ外部から空気を吸い込む吸込口15が設けられている。吸込口15は、各側面部14の下端側の一定幅の領域に、例えば数多の小孔を密に配置して形成されている。なお、吸込口15は、前記吸込口13と内部で連通している。
【0016】
ケーシング11の上面部16は、正方形の蓋状に形成されて後付けされている。図3に示すように、上面部16の中央には、後述する操作パネル47が配置され、操作パネル47の周囲には、浄化した空気を外部に吹き出す上方吹出口17が設けられている。上方吹出口17は、上面部16のうち操作パネル47を除く全域に、例えば直角三角形の区画を格子状に並べて、この区画ごとに数多のスリットを密に配置したグリルとして形成されている。
【0017】
上方吹出口17は、浄化した空気を上方に向けて吹き出すものである。ここで上方吹出口17は、必ずしも鉛直方向における上方へ空気を吹き出す構成に限定されるものではない。例えば上方吹出口17をなす前記スリットは、上方への吹き出しにある程度の方向性を与える羽根間の隙間として形成しても良い。なお、上面部16において、上方吹出口17が設けられる領域の大きさや位置は、適宜変更し得る設計事項である。
【0018】
また、各側面部14の上端側にも、それぞれ浄化した空気を外部に吹き出す側方吹出口18が設けられている。側方吹出口18は、ケーシング11の周方向に亘り区画された四方の側面部14ごとに配置されている。側方吹出口18は、各側面部14の上端側の一定幅の領域に、例えば数多の小孔を密に配置して形成されている。なお、側方吹出口18は、前記上方吹出口17に近接して直角に隣接しているが、上方吹出口17とは内部では連通しないように仕切られている。これについて詳しくは後述する。
【0019】
側方吹出口18は、浄化した空気を側方に向けて吹き出すものである。ここで側方吹出口18は、必ずしも水平方向における側方へ空気を吹き出す構成に限定されるものではない。例えば側方吹出口18をなす前記数多の小孔の内側に、側方への吹き出しにある程度の方向性を与える何らかの構造を付加しても良い。なお、各側面部14において、それぞれ側方吹出口18が設けられる領域の大きさや位置は、適宜変更し得る設計事項である。
【0020】
<フィルター20について>
図1に示すように、ケーシング11の内部の下側には、フィルター20が収納されている。フィルター20は、例えば不織布や樹脂製の網目状のシート等から円筒形に形成されている。フィルター20は、吸込口13,15から吸い込まれた空気が、外周側より中空部に向けて通過するときに空気中の塵埃を捕集するものである。ここで塵挨とは、綿ゴミ、糸屑、その他、除去されるべき粒子を広く含むものである。
【0021】
フィルター20は、その目詰まりを防ぐために定期的に交換される消耗品である。フィルター20は、ケーシング11の底面側開口より台座12を取り外した状態で、ケーシング11の内部に出し入れ可能である。フィルター20は、その中空部を円筒形の網目構造の取付筒21に嵌めた状態で収納されている。ケーシング11の内部の中段には、フィルター20の収納空間を仕切る仕切板22が設けられている。仕切板22は、ケーシング11の内部に取り付けられたハウジング23の底面として設けられている。ハウジング23は、ケーシング11の内部で各側面部14の内壁に当接させた状態で取り付けられている。なお、ハウジング23の上面は開口している。
【0022】
図4図5に示すように、仕切板22は、その中心がケーシング11の中心線L上に合致する円盤形である。仕切板22の内側は、その中心より放射状および同心円状に設けられた数多のリブの隙間が大部分を占めており、そのまま通風路の一部をなしている。仕切板22の下面側は、フィルター20の中空部の上端開口に合致している。一方、フィルター20の中空部の下端開口は、台座12によって塞がれた状態となる。なお、仕切板22およびハウジング23は、別部品として成形したものを互いに組み合わせている。
【0023】
図1に示すように、ハウジング23の内側で、仕切板22の上側には略筒状の連通部材24が配設されている。連通部材24の下端開口は、仕切板22を間にしてフィルター20の中空部の上端開口と連通している。また、連通部材24の上側には後述するファン30が配設され、連通部材24の上端開口はファン30と連通している。よって、フィルター20の中空部の上端開口は、仕切板22および連通部材24を介してファン30と連通している。
【0024】
図1に示すように、ケーシング11の内部にて、フィルター20の中空部から仕切板22を間にして連通する連通部材24の内側は、下方から上方へ空気が流れる通風路をなしている。通風路の中心線は、ケーシング11の中心線Lと一致している。以下、通風路の中心線も、中心線L(図5参照)として表記する。このような通風路は、ファン30を介して後述するケーシング11の上半部における通風路50に連通している。なお、仕切板22の中心は通風路の中心線L上に位置し、連通部材24の中心線は通風路の中心線Lに合致している。
【0025】
<光触媒について>
空気清浄装置10は、フィルター20により空気中の塵埃を捕集するだけでなく、光触媒体120により空気中の有害物質を分解して除去したり脱臭する機構も備えている。光触媒に関する構成は、一灯の光源であるLED100と、LED100から照射された光を光軸の全周方向へ反射させる反射体110と、反射体110からの反射光を受けて励起する光触媒体120と、を備えている。ここでLED100と反射体110は、何れも通風路に配置されている。
【0026】
<<光源について>>
光源はLED100からなり、例えば表面実装型のLEDチップが同径程度の小型の基板上に実装されたものを採用すると良い。ここでLEDチップは、一般的であるので詳細な説明は省略するが、リード線上に実装された発光素子のみからなり、基板に対して直交する光軸を中心に所定角度の照射範囲で光を出射するものである。本実施形態のLED100は、光触媒を励起させることが目的であり、紫外線を照射するいわゆるUV-LEDと称されるものが適している。
【0027】
紫外線はその波長によって、一般にUV-A、UV-B、UV-Cの3つに分類されるが、波長(nm)の短いUV-Cは、光自体にも強い殺菌作用があるため、光触媒の励起だけでなく空気の清浄作用を高めることができる。なお、LED100は、紫外線を照射可能なものであればLEDチップに限らず、発光素子を略砲弾型のモールドに埋め込んだLEDランプを採用しても良い。
【0028】
図4図5に示すように、LED100は、通風路の中心線L上において、光軸が中心線Lに合致し、光(紫外線)を中心線Lに沿った上方(一方向)へ照射するように配置されている。詳しく言えば、仕切板22の上面側の中心には、小さな円形の取付面部22aが設けられており、取付面部22a上にLED100の基板が取り付けられている。なお、取付面部22aの下面側には、なるべく空気の流れを阻害しないように、空気抵抗を小さくするため略円錐形のカバー22bを、その頂部が下方に向く状態で取り付けている。
【0029】
<<反射体110について>>
図4から図7に示すように、反射体110は、円錐形に形成された反射面111を備えている。反射体110は、ユニット112に一体化されて、通風路の中心線L上に配置され、反射面111の頂点がLED100の光軸に合致している。詳しく言えば、ユニット112は、仕切板22の取付面部22aの上面側を囲むように仕切板22上に取り付けられている。
【0030】
図5に示すように、反射体110の反射面111は、その頂点がLED100から所定間隔だけ離れた状態で対向している。これにより、LED100から照射された光(紫外線)は、図11に示すように、反射体110の全周方向に亘り、LED100の光軸と直交する水平面よりやや下方に向かう角度で反射される。反射面111による具体的な反射範囲は、後述する光触媒体120との位置関係により光学設計されている。なお、反射体110は、例えばユニット112と共に樹脂で一体する場合、少なくとも反射面111をアルミニウム等の金属を蒸着させて鏡面加工すれば良い。
【0031】
図8図9に示すように、ユニット112は、全体的には略円筒形であり、その内側の上部に反射体110が配置されている。詳しく言えば、ユニット112は、上下に離隔した一対の環状部113,114を、それぞれの円周方向に並ぶ支柱部115により連結してなる。上側となる一方の環状部113の中心に、反射体110はその反射面111を下側となる他方の環状部114に向けた状態でリブ116により支持されている。
【0032】
支柱部115は、例えば3つ設けられて円周方向に等間隔に配置されている。リブ116も、例えば3つ設けられて支柱部115から反射体110に放射状に延びるように配置されている。このようなユニット112の内側は、反射体110との間に空気を通す隙間が大部分を占めることになる。また、一対の環状部113,114の間は、空気が通るだけでなく、支柱部115のある箇所を除いて反射体110からの反射光(紫外線)を通す隙間となっている。
【0033】
一方の環状部113は遮蔽部として、反射体110からの反射光ないしLED100からの直接光のうち、LED100から離れる上方へ向かう一部を遮る所定高さの円筒形に形成されている。また、他方の環状部114は、LED100の配置箇所である仕切板22の取付面部22aの周囲に対接させて固定されている。ここで環状部114の固定、すなわちユニット112全体の固定は、各支柱部115の下端を取付面部22aの周囲にネジ止めすると良い。
【0034】
<<光触媒体120について>>
図1図5に示すように、光触媒体120は、ケーシング11の内部で通風路の途中を取り囲むように配置され、反射体110からの反射光を受けて、空気中の有害物質を分解するものである。光触媒体120は、連通部材24の内周壁(内壁)に沿って全周に亘り連続して配置されるため、図10に示すように、大径のリング状に形成されている。光触媒体120は、リング状の多孔質の基材に光触媒材料を付着させて固定したものである。
【0035】
光触媒体120の基材は、金属材料を多孔質に加工してリング状に成形したものであり、その数多の表面に、光触媒材料の原料溶液をバインダーを介して塗布し、乾燥、結晶化させている。一般に光触媒は、太陽や蛍光灯等の光(のうち主に紫外線)の照射によって励起され、空気中の有害物質を分解する物質の総称である。代表的な光触媒としては、酸化チタンが挙げられる。光触媒が分解する有害物質とは、空気中の有機物(ニオイ、菌・ウイルス)のほか、NOxやSOx、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等である
【0036】
本実施形態の光触媒体120では、光触媒の分解機能に加えて脱臭を同時に実現するために、光触媒材料の原料溶液に吸着材を混合したものを基材に塗布している。ここで光触媒材料は、二酸化チタンがベースであり、これに性能向上を目的として金属、金属酸化物等を数種類混合させている。また、吸着材は、例えばゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の素材で構成されており、何れも臭気物質を吸着する性質を備えている。
【0037】
このような光触媒材料および吸着材は、具体的には例えば、本出願人が既に提案している特許6568402号に記載された光触媒ハイブリッド型脱臭材料を利用すると良い。これは、光触媒による有害物質の分解と、脱臭を実現する吸着との機能を、前記した二酸化チタンや吸着材等の物質の特別な混合比の工夫により併せ持つ材料となる。これにより、光触媒体120は、本来の分解機能に加えて吸着機能も併せ持つため、紫外線照射なしでも吸着による脱臭効果を発揮する。すなわち、光触媒体120は、分解機能と吸着機能の相乗効果により優れた脱臭効果を発揮するものである。
【0038】
図1に示すように、光触媒体120は、連通部材24の内周壁に沿って取り付けられており、LED100および反射体110は、光触媒体120の中心に位置することになる。よって、LED100および反射体110は、光触媒体120の全周方向に対して等間隔となり、光触媒体120の内周の全域に対して、ほぼ均等に光を照射することができる。なお、反射体110は、LED100からの光を反射するだけでなく、下方からの空気を周囲の光触媒体120へ積極的に向かわせる風向ガイドの役目も果たしている。
【0039】
<ファン30について>
ファン30は、モーター40によって回転駆動され、吸込口13,15から外部の空気が吸い込まれ、上方吹出口17ないし側方吹出口18から浄化された空気を吹き出す空気の流れを発生させるものである。ファン30は、例えば互いに対向する主壁31と副壁32と間に、複数の羽根33を円周方向に一定間隔で並べて支持した遠心式ファンである。なお、ファン30の材質は、例えば合成樹脂である。
【0040】
本実施形態のファン30は、特に遠心式ファンのうち、複数の羽根33がそれぞれ回転方向と逆方向を向くように構成され、静圧が高く大風量のターボファンに相当する。主壁31は、その中心部に向かって内側に凹むように傾斜した略漏斗状に形成されている。主壁31の中心部には、例えば特別な軸受部材42を介して、モーター40の回転軸41が軸支されている。副壁32は、その中心部が大きく開口しており、開口に向かって下方に傾斜する略漏斗状に形成されている。副壁32の開口は空気の送入口となり、前記連通部材24の上端開口と連通接続されている。
【0041】
ファン30の外周、すなわち主壁31および副壁32の外周の間で、かつ各羽根33の間が、空気の送出口となっている。よって、ファン30が回転すると、副壁32の開口(送入口)より空気が吸い込まれ、ファン30の外周(送出口)より空気は遠心方向に送り出される。ファン30から送り出された空気は、ケーシング11の内部を通って上方に流れるように設計されている。
【0042】
<モーター40について>
図1に示すように、モーター40は、給電された電力によって回転駆動する電動式であり、その回転軸41に固定されたファン30を回転させるものである。モーター40は、筒状のケース43に収納された状態で、ファン30の主壁31の上側に取り付けられている。ここでモーター40およびケース43は、ファン30と一体に組み合わせてユニット化しても良い。また、ケース43の上側には、図14に示すように、平面視で略正方形のハウジング44が配設されている。ここでハウジング44は、上下方向に開口している。
【0043】
<通風路50,51,52について>
図1に示すように、ケーシング11の上半部にて、各側面部14の内壁と、ファン30の外周(送出口)およびケース43の外周との間は、上下に連通してファン30から送り出された空気が上方に向かう通風路50となっている。ファン30の外周(送出口)が対向する位置の各側面部14の内壁に沿って、例えば周方向に仕切ることで空気の流れを円滑にするガイド部材34を設けても良い。
【0044】
ケーシング11の内部にて、ハウジング44は、その四方の側壁外面が各側面部14の内壁との間に隙間を空けて配設され、この隙間が、通風路50の上側より側方吹出口18に向かう側方通風路52をなしている。さらに、ハウジング44の内部には、その中央に一回り小さい略正方形の支持部材45が配設されている。ここで支持部材45は、その四方の側壁外面がハウジング44の四方の側壁内面との間に隙間を空けて配設され、この隙間が、通風路50の上側より上方吹出口17に向かう上方通風路51をなしている。
【0045】
また、支持部材45は、その底面側開口がケース43の上面側開口に合致し、モーター40の上半側に被さるように配設され、ケース43と共にモーター40を収納するものとなる。支持部材45の上面側には、後述する開閉機構が配設され、さらに、操作パネル47を上面とするボックス46が上から被さるように配設されている。
【0046】
操作パネル47は、ケーシング11の上面部16の中央開口を貫通して外部に表出している。操作パネル47には、空気清浄装置10を操作するスイッチや表示部、それに後述するツマミ80が設けられている。なお、モーター40のケース43、ハウジング44、支持部材45、それにボックス46は、それぞれ例えば合成樹脂により一体成形すると良い。
【0047】
図1に示すように、ハウジング44の側壁上端は、上面部16の内側に当接している。上面部16において、ハウジング44の側壁上端に囲まれた内側に、上方吹出口17は位置している。また、ハウジング44の側壁外面が対向する側面部14の上端側に、側方吹出口18は位置している。ハウジング44の側壁は、その内側の上方通風路51と、外側の側方通風路52との仕切りとなっている。よって、ハウジング44の側壁下端が、通風路50から上方通風路51と側方通風路52とが分岐する箇所となる。
【0048】
<吹出調整手段について>
図1に示すように、ケーシング11の内部には、上方吹出口17および側方吹出口18からそれぞれ空気を吹き出す風量割合を調整可能な吹出調整手段が設けられている。吹出調整手段は、ケーシング11の各側面部14の側方吹出口18に対応して設けられた4つのルーバー60を備えている。各ルーバー60は、ハウジング44に設けられており、それぞれ上方吹出口17および側方吹出口18の一方を閉じると共に他方を開く状態に開閉する。
【0049】
<<ルーバー60について>>
図14に示すように、ルーバー60は、例えば合成樹脂により両側方向に長い板状に形成されている。各ルーバー60は、それぞれ上端縁の両端が略水平な回転軸(ネジ)61を介して、ケーシング11の内部で上方通風路51と側方通風路52とが分岐する箇所、すなわちハウジング44の四方の側壁下端に回動可能に軸支されている。各ルーバー60は、ハウジング44の側壁下端より垂下し、それぞれ下端縁がケーシング11の内方向(一方向)および外方向(他方向)に回動するように設定されている。
【0050】
各ルーバー60は、それぞれ下端縁が側面部14の内面に当接し、上方通風路51を全開状態とする一方、側方通風路52を全閉状態とする最外側角度(図12参照)と、それぞれ下端縁がケース43と支持部材45の合わせ目の段部(図1参照)に当接し、上方通風路51を全閉状態とする一方、側方通風路52を全開状態とする最内側角度(図13参照)との間で回動する。各ルーバー60が最内側角度のとき、それぞれの両側端同士は周方向に当接し、四方の上方通風路51は周方向に亘って閉鎖される。
【0051】
各ルーバー60は、後述する開閉機構によって同時に回動可能であり、最外側角度と最内側角度との間で任意の回動角度に無段階に変更して保持することができる。各ルーバー60の回動角度の変更により、上方通風路51と側方通風路52の開口面積の比率を任意に変えることができる。すなわち、各ルーバー60の回動角度を変更することで、上方吹出口17および側方吹出口18からそれぞれ空気を吹き出す風量割合を無段階に調整することができる。この風量割合の調整について、詳しくは後述する。
【0052】
ルーバー60の内外のうち、内面が上方通風路51を臨む面となり、外面が側方通風路52を臨む面となる。図17から図19に示すように、ルーバー60の内外両面には、補強用のリブ62,63がそれぞれの基準面より図示した凹凸をなすように設けられている。リブ62,63は、ルーバー60の内外両面において、通風路50を流れてきた空気のファン30による旋回流と同一方向に沿って延びている。
【0053】
図17に示すように、ルーバー60の内面のリブ62は、ルーバー60の両側方向と斜めに交差する空気の旋回流と同一方向に延びる凸条が、両側方向に等間隔で並んでおり、隣り合う凸条間に、凸条と同一方向へ延びるアール断面の凹みが連なる凹凸をなしている。リブ62は、上方通風路51を流れる空気を、その旋回流と同一方向に沿わせて上方に導くものである。
【0054】
図18に示すように、ルーバー60の外面のリブ63は、前述した内面のリブ62の凹凸に応じて成形時に厚みを一定に保つ結果として形成され、側方通風路52を流れる空気を、その旋回流と同一方向に沿わせて上方に導くものある。このリブ63も、ルーバー60の外面の基準面に対してアール断面に連なっている。なお、本実施形態では、ルーバー60の内外両面にリブ62,63を設けているが、ルーバー60の内外の何れか一方の面だけに、その基準面より突出するリブを設けるようにしても良い。
【0055】
<<開閉機構について>>
図16に示すように、各ルーバー60は、開閉機構によって同時に回動可能に構成されている。各ルーバー60は、その上端側が開閉機構のアーム74に押し引き可能に連結されている。図17図18に示すように、ルーバー60の上端縁の略中央には、開閉機構のアーム74と連結するための連結部64が上方に突設されている。連結部64は、ルーバー60の内面側に若干湾曲しており、その上端に横向きのピン65が突設されている。
【0056】
図15に示すように、開閉機構は、支持部材45の上面の中心に回転軸70を介して軸支され正逆方向に回転するピニオン71と、各ルーバー60に対応した4つのラック72と、を備えている。各ラック72は、それぞれ一端からピニオン71に噛み合い、該ピニオン71の外周に沿って等間隔に並び接線方向に延びる状態で、支持部材45の上面に配設されている。ピニオン71の正逆回転に伴って、各ラック72は、それぞれピニオン71の接線方向に沿って、互いに離隔ないし近接するように同期して直線移動する。
【0057】
支持部材45の上面には、各ラック72を、それぞれが直線移動する軌跡上に案内する各種ガイド等が設けられている。例えば、支持部材45の上面には、各ラック72の軌跡に沿った凹部やレール、各ラック72にあるガイド溝73(図15参照)に相対的に移動可能に嵌合し、各ラック72が直線移動する範囲を規制するピン65等が設けられている。なお、支持部材45は、その四隅がアーム状のリブを介して、ハウジング44の内側に固定されている。ここで支持部材45は、前述したようにハウジング44の側壁内面との間に上方通風路51を空けて配設されている。
【0058】
各ラック72の他端には、それぞれの延長線上に延びて、外側に位置する各ルーバー60に向かうアーム74が一体に設けられている。アーム74は、例えば合成樹脂によりラック72と共に一体成形すると良い。アーム74は、ラック72の一端に連なる箇所で外側に屈曲してから、ラック72の直線移動する方向と平行になり、その先端側が回転軸70の放射方向になるべく平行に近寄るように屈曲して延びる形状に設けられている。このようなアーム74の形状は、隣接するラック72との干渉を回避するための設計である(図23(b)参照)。
【0059】
各アーム74の先端側は、ピニオン71の回転によるラック72の直線移動に伴って、それぞれ対応するルーバー60の上端側に押し引き可能に連結されている。図16に示すように、各アーム74の先端側は、支持部材45の上面の周囲に延出して下方に屈曲している。この屈曲部位に、上下方向に延びるカム溝75が設けられている。アーム74のカム溝75には、ルーバー60の連結部64にあるピン65が相対的に移動可能に嵌合している。このような構成により、ピニオン71を回転させると、ラック72に連なるアーム74がルーバー60の上端側を押し引きし、ルーバー60の回動角度を変更することができる。
【0060】
<<ツマミ80について>>
図1図14に示すように、開閉機構は、ピニオン71を手動で回転させる操作部として、ピニオン71の回転軸70上に固定されたツマミ80を備えている。ツマミ80は、例えば合成樹脂により円筒状に形成されている。ツマミ80の下半部81は、大径で有底の円柱状であり、その底面にピニオン71が一体に固定されている。また、ツマミ80の上半部82は、下半部81より小径であり、操作パネル47の中央にある円孔を貫通して外部に表出する。上半部82の上端には、指で摘まめるリブが設けられている。
【0061】
ツマミ80を、正方向(例えば時計回り方向)へ回転させると、ピニオン71も正方向へ回転する一方、逆方向(例えば反時計回り方向)へ回転させると、ピニオン71も逆方向へ回転するように構成されている。これにより、ツマミ80を手動で回転させることによって、ピニオン71に噛み合っている各ラック72が直線移動し、これに伴い各ルーバー60の回動角度が調整される。
【0062】
ツマミ80の上端にあるリブの形状は、図14に示した直径方向の延びる板状に限定されることなく、指で摘まめる形状であれば適宜変更し得る設計事項である。なお、図3に示すように操作パネル47には、開閉機構の操作部をなすツマミ80のほか、本空気清浄装置10の各種操作を行うスイッチ48a~48d、それに各種情報を表示する表示部49等が設けられている。
【0063】
<空気清浄装置10の作用>
次に、本実施形態に係る空気清浄装置10の作用について説明する。
図1に示すように、空気清浄装置10において、モーター40の駆動によりファン30が回転すると、ケーシング11の内部で、空気はファン30の外周(送出口)より遠心方向に送り出される。ファン30から送り出された空気は、ケーシング11の内部の通風路50を通って上方に流れる。このとき、ケーシング11の内部は負圧となり、底面側にある吸込口13,15から外部の空気が吸い込まれる。
【0064】
ケーシング11の内部に吸い込まれた空気は、フィルター20の外周から内側へ通過して粉塵が除去され浄化される。浄化された空気は、フィルター20の中空部から連通部材24の内側に至る通風路を流れてファン30に引き込まれ、ファン30の外周より吹き出される。このように空気が連通部材24の内側を流れる過程で、光触媒体120により空気中の有害物質は分解されると共に脱臭される。なお、空気清浄装置10の具体的な運転は、ケーシング11の上面部16にある操作パネル47のスイッチ48a~48d(図3参照)を操作することで適宜設定することができる。
【0065】
<<光触媒体120による有害物質の分解と脱臭>>
図11において、仕切板22の中心に配されたLED100から照射された光(紫外線)は、その光軸上に位置する反射体110の円錐形の反射面111に到達し、反射面111の頂点を中心とする全周方向へ反射される。反射体110からの反射光は、LED100の光軸と直交する水平面よりやや下方へ向かい、ユニット112の上下の環状部113,114の間を通って、その周囲を囲う光触媒体120の内周面に照射される。
【0066】
このような反射体110によれば、光源が一灯のLED100だけで、その照射範囲が光軸を中心とする狭いものであっても、周囲の広い範囲に光を反射することができる。よって、複数のLEDを使用する必要はなく、光源のコストを低減することが可能となる。特にLED100と反射体110は、リング状の光触媒体120の中心に位置するため、光触媒体120の内周全域に対してほぼ均等に光を満遍なく照射することができる。なお、LED100からの直接光の一部も、上下の環状部113,114の間を通って、光触媒体120の内周面に照射される。
【0067】
また、ユニット112において、反射体110を取り囲む上側の環状部113は、反射体110からの反射光の一部を遮る遮蔽部として、所定高さの円筒形に形成されている。一般に紫外線は、樹脂に当たるといわゆる樹脂焼けを起こす等、物を劣化させる性質がある。従って、上側の環状部113を遮部として、余計な箇所には紫外線を当てないように照射範囲を狭めると良い。具体的には例えば、図11において、光線を示す各線のうち点線Aで示したものが遮られ、連通部材24の上端開口とファン30の下端開口との接続箇所(図1参照)の劣化を防ぐことができる。なお、LED100からの直接光の一部も、上方の環状部113によって遮られることになる。
【0068】
ところで、LED100や、反射体110を含むユニット112は、通風路の中心線L上に位置するため、空気の流れを阻害する虞がある。そこで、LED100をチップ型にして基板と共に小型化し、仕切板22における取付面部22aの面積も小さくし、さらに取付面部22aの下面側には、空気抵抗を小さくするカバー22bを設ける。また、ユニット112に関しては、上下の環状部113,114の間だけでなく、その内側に反射体110はリブ116を介して中空状態で支持されるため、空気を通す隙間が大部分を占めることになる。従って、通風路を流れる空気の圧力損失を低減することが可能となる。
【0069】
また、仕切板22における取付面部22aの下面側に設けたカバー22bにより、下方からの空気の流れは、周囲の光触媒体120に積極的に導かれることになる。また、反射体110も円錐形の頂点が下方に向かう状態であるため、カバー22bと同様に空気抵抗を小さくするだけでなく、空気の流れを周囲の光触媒体120に導くことができる。また、反射体110をユニット112に一体化したから、一部品として扱いやすくなり、所望の位置に反射体110を確実かつ強固に取り付けることができる。具体的には、下方の環状部114を、LED100を配置した取付面部22aの周囲に対接させた状態でネジで固定すれば良い。
【0070】
図1図5に示すように、反射体110からの反射光を受ける光触媒体120は、大径のリング状に形成されており、連通部材24の内周壁に沿って配置されている。このように、光触媒体120は、通風路の途中を外側から取り囲むように配置されるため、LED100や反射体110と比べて物理的に大きな占有スペースが必要な光触媒体120が空気の流れを阻害することはない。従って、連通部材24の内側における通風路の十分な流路面積を確保することができ、後述する上方の通風路50に至る送風効率の低下を防ぐことができる。
【0071】
図11に示すように、光触媒体120が反射体110からの反射光を受けると、光触媒が励起されて空気中の有害物質を分解する。また、実施形態の光触媒体120では、光触媒材料の原料溶液に吸着材を混合している。これにより、光触媒体120は、本来の有害物質を分解して除去する機能に加えて、臭気成分を吸着して脱臭する機能も併せ持つことになる。従って、本空気清浄装置10によれば、フィルター20により空気中の塵埃を捕集することに加えて、光触媒体120により空気中の有害物質を分解して除去するだけでなく、空気中の悪臭成分を除去することができる。かかる吸着機能による脱臭効果は、LED100の点灯による光触媒の励起の有無に関わらず発揮されることになる。
【0072】
<<ルーバー60の回動(開閉)>>
ケーシング11の内部で、ファン30に連通した通風路50の上方(上流側)は、ハウジング44の側壁によって、内側の上方通風路51と、外側の側方通風路52とに区画されている。通風路50より上方に向かう空気は、吹出調整手段の各ルーバー60の回動角度(開閉)に応じて、上方通風路51と側方通風路52とに分配される。各ルーバー60の回動角度は、開閉機構のツマミ80の手動操作により、任意の角度に無段階に調整することができる。
【0073】
図12に示すように、ルーバー60が、上方通風路51を全開状態とし、かつ側方通風路52を全閉状態とする最外側角度にあるとき、図12中の白抜矢印のように、ファンから送出された空気は、通風路50を通って上方通風路51に導かれる。そして、上方通風路51に導かれた空気は、上方吹出口17に到達してケーシング11の上方に吹き出される。
【0074】
一方、図13に示すように、ルーバー60が、上方通風路51を全閉状態とし、かつ側方通風路52を全開状態とする最内側角度にあるとき、図13中の白抜矢印のように、ファンから送出された空気は、通風路50を通って側方通風路52に導かれる。そして、側方通風路52に導かれた空気は、側方吹出口18に到達してケーシング11の周囲の側方に吹き出される。
【0075】
図23は、ファン30とケース43およびハウジング44のユニットにおいて、各ルーバー60が最外側角度の状態を示す(a)正面図、(b)D-D線断面図、(c)底面図である。図23(b),(c)において、薄墨色で示す部分が、平面視で上方吹出口17が開口している部分であり、この部分を通って空気は上方通風路51に導かれる。なお、各図において、ユニットついての多少の形状の違いは、単に設計変更にすぎない。
【0076】
図24は、図23と同じくユニットにおいて、各ルーバー60が最外側角度から内側に向かい最内側角度寄りの角度まで回動した状態を示す(a)正面図、(b)E-E線断面図、(c)底面図である。図24(b),(c)において、薄墨色で示す部分が、平面視で上方吹出口17が開口している部分であり、図23に示した開口部分と比べて狭まっている。
【0077】
図25も、図23と同じくユニットにおいて、各ルーバー60が最内側角度の状態を示す(a)正面図、(b)F-F線断面図、(c)底面図である。図25(b),(c)に示すように、平面視で上方吹出口17が開口している部分はなく、上方吹出口17は図13に示す全閉状態となっている。このとき、各ルーバー60の両側端は、互いに周方向に当接している。
【0078】
<<開閉機構の操作>>
各ルーバー60は、開閉機構のツマミ80の回転操作よって同時に回動可能であり、最外側角度と最内側角度との間で任意の回動角度に無段階に変更して保持することができる。ここでツマミ80は、操作パネル47の中央の操作しやすい位置にあり、ツマミ80の上端にあるリブを摘まんで容易に回すことができる。
【0079】
使用者がツマミ80を正方向(例えば時計回り)に回転させると、同じ回転軸70上にあるピニオン71も正方向へ回転する。ピニオン71が回転すると、ピニオン71と噛み合う各ラック72に動力が伝達されて、各ラック72は、回転軸70を中心に互いに近接するように同期して直線移動する。このとき、各ラック72は、支持部材45上の各種ガイドによって案内される。また、各ラック72が直線移動する範囲は、ラック72のガイド溝73に移動可能に嵌合したピン65によって規制される。
【0080】
各ラック72の直線移動に伴って、各ラック72に連なるアーム74も直線移動し、アーム74の先端は、回転軸70に対して放射方向に近づく。すると、図16において、ルーバー60の連結部64にあるピン65が、アーム74の移動に伴いカム溝75内を移動しつつ内側に引かれる。これにより、ルーバー60は、その回転軸61を中心として、図16(b)から図16(a)に示すように、側面視でケーシング11の外側に傾き(時計周り)、最外側角度(図12参照)に向かうように調整される。
【0081】
一方、使用者がツマミ80を逆方向(例えば反時計回り)に回転させると、同じ回転軸70上にあるピニオン71も逆方向へ回転する。ピニオン71が回転すると、ピニオン71と噛み合う各ラック72に動力が伝達されて、各ラック72は、回転軸70を中心に互いに離隔するように同期して直線移動する。このとき、前述したように各ラック72は、支持部材45の上面にて移動方向や移動範囲が規制される。
【0082】
各ラック72の直線移動に伴って、各ラック72に連なるアーム74も直線移動し、アーム74の先端は、回転軸70に対して放射方向に遠ざかる。すると、図16において、ルーバー60の連結部64にあるピン65が、アーム74の移動に伴いカム溝75内を移動しつつ外側に押される。これにより、ルーバー60は、その回転軸61を中心として、図16(a)から図16(b)に示すように、側面視でケーシング11の内側に傾き(反時計周り)、最内側角度(図13参照)に向かうように調整される。
【0083】
<<風量割合の調整>>
以上のように、手動によるツマミ80の回転操作によって、各ルーバー60の回動角度を変更することにより、上方通風路51と側方通風路52の開口面積の比率を任意に変えることができる。これにより、上方吹出口17および側方吹出口18からそれぞれ空気を吹き出す風量割合を、無段階に調整することができる。
【0084】
図26は、各ルーバー60の回動角度と、上方吹出口17および側方吹出口18の風量割合との相関関係の一例をグラフ化したものである。図26中の下段は、ケーシング11の内部において各ルーバー60の回動角度を少しずつ変えて示した縦断面図である。図26中の上段は、下段の各ルーバー60の回動角度に対応した風量割合を示す棒グラフである。棒グラフでは、下側の濃い色の部分が上方吹出口17の風量割合(図中「上方」)であり、上側の薄い色の部分が側方吹出口18の風量割合(図中「側方」)である。
【0085】
詳しく言えば、図26(a)に示すように、各ルーバー60が最内側角度(図13参照)にあるとき、上方通風路51は全閉状態となり、側方通風路52は全開状態となる。これにより、通風路50からの空気は、側方通風路52だけを通り、側方吹出口18から吹き出される。この場合の風量割合は、側方吹出口18の風量割合が97.1%であるのに対して、上方吹出口17の風量割合は僅か2.9%となる。なお、上方通風路51が全閉状態であるにも関わらず、上方吹出口17の風量割合が0%にならないのは、多少の隙間が生じるためである。
【0086】
図26(b)に示すように、各ルーバー60を最内側角度よりも少し外側に所定角度だけ回動させると、上方通風路51は少しだけ開いた状態となり、側方通風路52は未だ大きく開いた状態が維持されている。これにより、通風路50からの空気は、ほとんど側方通風路52に導かれて、主に側方吹出口18から吹き出される。この場合の風量割合は、側方吹出口18の風量割合が85.0%であるのに対して、上方吹出口17の風量割合は15.0%となり、上方吹出口17からも空気が吹き出されていることが分かる。
【0087】
図26(c)に示すように、各ルーバー60をさらに外側に所定角度だけ回動させると、その分だけ上方通風路51の開度は上がる一方、逆に側方通風路52の開度は下がった状態となる。従って、通風路50からの空気は、未だ側方通風路52の方に多く導かれて、側方吹出口18から多く吹き出されるが、上方通風路51に導かれて、上方吹出口17から吹き出される風量も増えてくる。この場合の風量割合は、側方吹出口18の風量割合が62.9%と未だ5割以上であるが、上方吹出口17の風量割合も37.1%と増えている。
【0088】
図26(d)に示すように、各ルーバー60を下方へ垂下する角度まで大きく回動させると、今度は上方通風路51の開度の方が、側方通風路52の開度よりも大きくなり、上方通風路51と側方通風路52との開度が逆転する。従って、通風路50からの空気は、側方通風路52よりも上方通風路51により多く分配されることになる、この場合の風量割合は、側方吹出口18の風量割合が23.8%であるのに対して、上方吹出口17の風量割合は76.2%となり、側方吹出口18よりも上方吹出口17からの風量割合の方が大きくなっていることが分かる。
【0089】
図26(e)に示すように、各ルーバー60をさらに外側に回動させて最外側角度(図12参照)にすると、上方通風路51は全開状態となり、側方通風路52は全閉状態となる。これにより、通風路50からの空気は、上方通風路51だけを通り、上方吹出口17から吹き出される。この場合の風量割合は、上方吹出口17の風量割合が98.9%であるのに対して、側方吹出口18の風量割合は僅か1.1%となる。なお、側方通風路52が全閉状態であるにも関わらず、側方吹出口18の風量割合が0%にならないのは、多少の隙間が生じるためである。
【0090】
以上のように、各ルーバー60の回動角度を変更することにより、上方吹出口17および側方吹出口18からそれぞれ空気を吹き出す風量割合を、無段階に調整することができる。すなわち、各ルーバー60が、最内側角度に近い回動角度であるほど、側方吹出口18から吹き出される風量が多くなり、上方吹出口17から吹き出される風量は少なくなる。逆に、各ルーバー60が、最外側角度に近い回動角度であるほど、上方吹出口17から吹き出される風量が多くなり、側方吹出口18から吹き出される風量は少なくなる。
【0091】
<<設置場所に応じた使用>>
上方吹出口17と側方吹出口18との具体的な風量割合は、空気を浄化したい空間における設置場所の状況に応じて適宜調整すれば良い。例えば、空気清浄装置10の設置場所において、直ぐ上方に遮る物がある場合(例えば机の下)、主に側方吹出口18から側方に向けて空気を吹き出すように調整する。これにより、遮蔽物のある上方への無駄な空気に流れを抑えことができ、側方吹出口18から吹き出された空気により、設置場所の空間の水平方向に広範囲に亘る気流を発生させることができる。
【0092】
また、空気清浄装置10の設置場所において、直ぐ側方に遮る物がある場合(例えば部屋の角隅)、主に上方吹出口17から上方に向けて空気を吹き出すように調整する。これにより、側方吹出口18から吹き出された空気が、直ぐ遮蔽物によって気流が抑えられることもなく、上方吹出口17から吹き出された空気により、設置場所の空間の上方から空間全体における空気の循環を促すことができる。
【0093】
もちろん、空気清浄装置10の設置場所の細かな状況や広さ(空間容積)等に応じて、上方吹出口17と側方吹出口18との具体的な風量割合を無段階に適宜調整することができる。これにより、空気清浄装置10から吹き出される空気の無駄な流れを抑えつつ、設置場所の状況により合致した最適な空気の循環を実現することが可能となる。
【0094】
<<吹出調整手段をケーシング11の内部に設けた意義>>
各ルーバー60やその開閉機構を含む吹出調整手段は、全てケーシング11の内部に設けられている。従って、上方吹出口17や側方吹出口18自体の構成は、当該部分においては、従来技術のような風向きを調整する風向板等は一切備えず、単なるスリットや小孔だけで足り、これらの開口より外部に露出する構造は存在しない。よって、これらの吹出口17,18が構造的に脆弱となる虞もなく、装置の外観品質を損なう虞もない。
【0095】
また、上方吹出口17と側方吹出口18とが、異なる位置に別々に設けられているため、本空気清浄装置10では、空気を吹き出す方向が、従来技術のように一カ所だけにまとまった吹出口から広がる角度範囲に限定されることはない。なお、上方吹出口17と側方吹出口18をなすスリットや小孔に関して、単に空気を外部に吹き出す機能に限らず、それぞれの外観にデザイン的な模様を施しても良い。
【0096】
<<ルーバー60のリブ62,63の作用>>
吹出調整手段の主要部をなすルーバー60は、合成樹脂により両側方向に長い板状に形成した場合、強度的に問題があるが、ルーバー60の内外両面に補強用のリブ62,63を設けたことにより、剛性を高めることができる。ここでリブ62,63は、ルーバー60の基準面より凹凸をなすが、通風路50を流れてきた空気の旋回流と同一方向に沿って延びているため、空気の流れを損なうことなく整流も行うことができる。
【0097】
しかも、図19から図22に示すように、リブ62,63は、ルーバー60の基準面に対してアール断面に連なり、滑らかな曲面をなしている。ここで例えば、リブ62,63がルーバー60の基準面に対して直角に連なる場合、その直角の隅が死角となり、空気の渦流や乱流渦が生じやすく淀みとなる虞があるが、前述したアール断面に連なることにより、よりいっそう空気を効率よく導くことができる。
【0098】
<<その他の作用>>
また、本実施形態では、ケーシング11の四方の側面部14の全てに亘り側方吹出口18を設けたが、各側面部14の側方吹出口18のうち少なくとも何れか一つの側面部14の側方吹出口18を選択的に閉鎖可能に構成しても良い。例えば、四方ある各側面部14のうち特定の向きにある1つの側方吹出口18だけから空気を吹き出したい場合には、他の3つの側方吹出口18を予め閉鎖すると良い。ここで「閉鎖」とは、側方吹出口18を覆うことが可能な部材等で覆って、送風できない状態にすることを意味する。
【0099】
<本発明の構成と作用効果>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態から導かれる本発明について、以下に説明する。
【0100】
先ず、本発明は、ケーシング11の内部に吸い込んだ空気を浄化して外部に吹き出す空気清浄装置10において、
前記ケーシング11の内部で空気が流れる通風路に配置され、一方向へ光を照射する一灯の光源100と、
前記光源100の光軸上で該光源100に対向させて配置され、前記光源100から照射された光を光軸の全周方向へ反射させる反射体110と、
前記通風路の途中を取り囲むように配置され、前記反射体110からの反射光を受けて励起する光触媒体120と、を備えたことを特徴とする。
【0101】
このような空気清浄装置10によれば、光触媒により空気中の有害物質を分解して除去する機能を備えるにあたり、光源100が一灯だけでも、反射体110によって周囲の広い範囲に光を照射することが可能となる。従って、複数の光源を備える必要はなくなり、コストを低減することができる。
【0102】
光触媒体120は、通風路の途中を外側から取り囲むように配置されるため、光触媒体120によって空気の流れが阻害されることはなく、十分な流路面積を確保することができる。従って、光触媒体120が通風路における圧力損失を生じさせることはなく、空気清浄の機能に必要な風量を確実に確保することができる。
【0103】
また、本発明として、前記光源100は、前記通風路の中心線L上に配置され、
前記反射体110は、ユニット112に一体化されて前記通風路の中心線L上に配置され、円錐形の頂点が前記光源100の光軸に合致する反射面111を備え、
前記ユニット112は、その内側で前記反射体110との間に空気を通す隙間と、前記反射体110からの反射光の一部を遮る遮蔽部と、を備えることを特徴とする。
【0104】
このような光源100と反射体110の構成および配置によれば、光源100から光を反射体110によって、通風路内の広い範囲に満遍なく照射することが可能となる。また、反射体110をユニット112に一体化したから、一部品として扱いやすくなり、所望の位置に反射体110を確実かつ強固に支持することができる。
【0105】
ユニット112は、その内側で反射体110との間に空気を通す隙間を備えるから、ユニット112を通じても空気を流すことができる。また、ユニット112は、反射体110からの反射光の一部を遮る遮蔽部を備えるから、光を不必要な箇所には当てないようにすることができる。
【0106】
また、本発明として、前記ユニット112は、上下に離隔した一対の環状部113,114を、それぞれの円周方向に並ぶ支柱部115により連結してなり、
一方の環状部113の中心に、前記反射体110はその反射面111を他方の環状部114に向けた状態でリブ116により支持され、
一方の環状部113は、前記遮部として、前記反射体110からの反射光ないし前記光源100からの直接光のうち前記光源100から離れる側へ向かう一部を遮る所定高さの円筒形に形成され、
他方の環状部114は、前記光源100の配置箇所の周囲に対接させて固定されたことを特徴とする。
【0107】
このようなユニット112の構成により、一対の環状部113,114の間だけでなく、その内側でも反射体110はリブ116を介して中空状態で支持されるため、ユニット112の内側は空気を通す隙間が大部分を占めることになる。従って、通風路を流れる空気の圧力損失を低減することが可能となる。
【0108】
一方の環状部113は、そのまま遮部をなすため、簡易な構成により反射体110からの反射光を全周方向に亘る範囲で部分的に遮ることが可能となる。また、他方の環状部114を、光源100の配置箇所の周囲に対接させて固定することにより、反射体110を所望の位置に対して安定した状態で確実に取り付けることができる。
【0109】
また、本発明として、前記ケーシング11の内部に、吸い込んだ空気を通過させるフィルター20と、該フィルター20の上流側に位置するファン30と、が配置され、
前記光源100および前記ユニット112は、前記フィルター20と前記ファン30との間における前記通風路に配置されたことを特徴とする。
【0110】
これにより、フィルター20により塵埃が捕集された空気を、続けて直ぐ光触媒体により有害物質を分解して除去することができ、空気の清浄効率を高めることができる。また、ファン30に接する前の段階で、塵埃の捕集だけでなく有害物質の分解も済ませることができる。
【0111】
また、本発明として、前記ケーシング11の内部で前記フィルター20と前記ファン30との間に、内側が前記通風路をなす連通部材24が配置され、
前記光触媒体120は、前記連通部材24の内壁に沿って全周に亘り連続して配置されたことを特徴とする。
【0112】
これにより、光触媒体120を、通風路を取り囲む状態に確実に取り付けることが可能となる。また、光触媒体120の中心に、光源100や反射体110を配置させることができる。このような配置により、光触媒体120の全周方向に亘る全域に対してほぼ均等に光を照射することが可能となる。
【0113】
<別発明の構成と作用効果>
また、前述した実施形態からは、次のような別発明も導かれる。
すなわち、ケーシング11の内部に吸い込んだ空気を浄化して外部に吹き出す空気清浄装置10において、
前記ケーシング11の上面部16に上方吹出口17が設けられ、前記ケーシング11の側面部14に側方吹出口18が設けられ、
前記ケーシング11の内部にて、前記上方吹出口17および前記側方吹出口18からそれぞれ空気を吹き出す風量割合を調整可能な吹出調整手段を備えることを特徴とする。
【0114】
このように、上方吹出口17と側方吹出口18とは、異なる面部16,14に別々に設けられており、空気を吹き出す方向が、従来技術のように一カ所だけにまとまった吹出口から広がる角度範囲に限定されることはない。これにより、より広い範囲に浄化した空気を循環させることが可能となる。
【0115】
また、吹出調整手段によって、上方吹出口17または側方吹出口18から選択的に浄化した空気を吹き出すことが可能となり、それぞれの風量割合を、設置場所の状況に応じて適宜調整することができる。これにより、設置場所の状況に合わせた最適な空気の循環を実現することができる。
【0116】
しかも、吹出調整手段は、ケーシング11の内部に設けられているから、上方吹出口17や側方吹出口18の構成は、これらの開口以外に従来技術のような風向き調整用の外部に露出した構造を一切備える必要はない。これにより、吹出口17,18自体の構造的な強度や外観品質を高めることができる。
【0117】
また、別発明として、前記吹出調整手段は、前記上方吹出口17および前記側方吹出口18にそれぞれ向かう各通風路51,52の一方を閉じると共に他方を開く状態に開閉するルーバー60を備えることを特徴とする。
【0118】
これにより、1つのルーバー60によって、上方吹出口17に向かう上方通風路51と、側方吹出口18に向かう側方通風路52とを、それぞれ同時に開いたり閉じたりすることが可能であり、吹出調整手段の構成を簡易化することができる。また、ルーバー60は、上方吹出口17や側方吹出口18の傍らではなく、これらに続くケーシング11の内部の通風路51,52に設けられるため、外部に露出することはなく、吹出口17,18自体の構成を簡易化することもできる。
【0119】
また、別発明として、前記側方吹出口18は、前記ケーシング11の周方向に亘って区画された複数の側面部14ごとに配置され、
前記ルーバー60は、前記各側面部14の側方吹出口18に対応して複数設けられたことを特徴とする。
【0120】
これにより、側方吹出口18は、ケーシング11の一側方(例えば前方のみ)からの局所的な吹き出しに限定されることはなく、周方向に亘る区画ごとに、略水平方向に関して広い範囲に空気を吹き出すことが可能となる。また、各側方吹出口18ごとにルーバー60があるため、各側方吹出口18を別々に開閉することも可能となる。
【0121】
また、別発明として、前記各ルーバー60は、それぞれ対応する前記側方吹出口18ごとに、一方向に傾いて側方吹出口18に向かう通風路52を閉じる一方、他方向に傾いて側方吹出口18に向かう通風路52を開くように回動可能に設けられ、
前記各ルーバー60を、それぞれ同時に回動させる開閉機構を備えることを特徴とする。
【0122】
このような各ルーバー60によれば、その一端を回動中心として他端が回動する簡易な構成により、側方吹出口18に向かう側方通風路52を開閉することが可能となり、これと同期して上方吹出口17に向かう上方通風路51も開閉することができる。しかも、開閉機構によって、各ルーバー60を同時に回動させることが可能であり、容易に操作することができる。
【0123】
また、別発明として、前記各ルーバー60は、それぞれ両端が軸支され下端側が内外方向へ回動し、
前記開閉機構は、正逆方向に回転するピニオン71と、前記各ルーバー60に対応した複数のラック72と、を備え、
前記各ラック72は、それぞれ前記ピニオン71に噛み合い、該ピニオン71の外周に沿って等間隔に並び接線方向に延びる状態に配置され、
前記各ラック72に、それぞれの外側に位置する前記各ルーバー60に向かうアーム74が設けられ、
前記各アーム74の先端側は、前記ピニオン71の回転による前記ラック72の直線移動に伴って、それぞれ対応する前記ルーバー60の上端側に押し引き可能に連結されたことを特徴とする。
【0124】
このような開閉機構では、ピニオン71を回転させると、ピニオン71と噛み合う各ラック72に動力が伝達されて、各ラック72は同期して直線移動する。このラック72の直線移動に伴って、ラック72に連なるアーム74がルーバー60を押し引きし、ルーバー60の回動角度を変更することができる。
【0125】
これにより、各ルーバー60を同時に回動させる動作を、極めて簡単な操作で実現することができる。しかも、ピニオン71とラック72とが噛み合う構成であるから、その動作を確実に行わせることができる。
【0126】
また、別発明として、前記開閉機構は、前記ピニオン71を手動で回転させる操作部を備え、
前記操作部は、前記ピニオン71の回転軸上に固定されたツマミ80からなり、
前記ツマミ80は、前記ケーシング11の上面部16の中央を貫通して配置され、
前記ツマミ80を、正方向へ回転させると前記ピニオン71も正方向へ回転する一方、逆方向へ回転させると前記ピニオン71も逆方向へ回転することを特徴とする。
【0127】
このように、各ルーバー60の開閉機構は、操作部によって手動で簡単に操作することができる。特に、操作部のツマミ80を、ピニオン71の回転軸上に固定したから、歯車等の他の伝達部材を介さずに、ツマミ80の回転を直接的にピニオン71に伝えることができる。
【0128】
また、ツマミ80は上面部16の中央の操作しやすい位置にあり、容易に回転させることができる。ここでツマミ80を正方向へ回転させるほど、結果としてルーバー60が一方向に大きく傾き、ツマミ80を逆方向へ回転させるほど、結果としてルーバー60が他方向に大きく傾くことになる。
【0129】
また、別発明として、前記ルーバー60の内外の少なくとも一方の面に、補強用のリブ62,63が設けられ、
前記リブ62,63は、前記通風路において空気が流れる方向に沿って延び、前記ルーバー60の面に対してアール断面に連なることを特徴とする。
【0130】
このようなリブ62,63により、ルーバー60自体の補強のみならず、空気の流れの整流も容易に実現することができる。また、リブ62,63は、ルーバー60の内外両面の基準面に対して、アール断面に連なるため、リブ62,63の凹凸を原因とする空気の渦流や乱流渦の発生を防ぐことができ、空気の流れを損なう虞もない。
【0131】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、空気清浄装置10は、一般家庭で利用されるものに限らず、他の様々な屋内施設において使用できるものである。また、空気清浄装置10には、フィルター20や光触媒に加えて、他に電気集塵機やマイナスイオン発生機、オゾン発生器等を適宜組み合わせても良い。
【0132】
また、ケーシング11の形状は、四角柱状で4つの側面部14を備えたものとは限らず、他に例えば、三角柱状で3つ側面部を備えたもの、あるいは五角形以上の断面形状のものあっても良い。さらに、円筒状のケーシング11の外周を、その周方向に並ぶ円弧形断面の複数の側面部として区画したものでも構わない。
【0133】
また、前記吹出調整手段は、上方吹出口17および側方吹出口18の上流側の通風路を開閉するルーバー60から構成したが、別の構成として、上方吹出口17および側方吹出口18の開口面積を、それぞれ直接的に何らかの開閉手段によって調整できるように構成しても良い。また、各側方吹出口18の開口面積は、本実施形態では同一に設定したが、四方で異なるものであっても良い。
【0134】
また、前記吹出調整手段のルーバー60と、その開閉機構をなすラック72およびアーム74の数は、4つに限定されるものではない。また、操作部をなすツマミ80は、ピニオン71の回転軸に直結するものに限らず、例えば別々の軸上に並べて配置し、互いに歯車等の伝達手段を介して、ツマミ80の回転がピニオン71に伝達するように構成しても良い。また、ツマミ80の代わりに、モーターの電動力によりピニオン71を回転するように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明に係る空気清浄装置は、一般家庭で用いられるものに限られず、例えばホテルの客室等の様々な施設で利用することができるものである。
【符号の説明】
【0136】
10…空気清浄装置
11…ケーシング
12…台座
13…吸込口
14…側面部
15…吸込口
16…上面部
17…上方吹出口
18…側方吹出口
20…フィルター
21…取付筒
22…仕切板
23…ハウジング
24…連通部材
30…ファン
40…モーター
43…ケース
44…ハウジング
45…支持部材
46…ボックス
47…操作パネル
50…通風路
51…上方通風路
52…側方通風路
60…ルーバー
70…回転軸
71…ピニオン
72…ラック
73…ガイド溝
74…アーム
80…ツマミ
100…LED(光源)
110…反射体
111…反射面
120…光触媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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