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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】創薬研究用培養器具
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20230215BHJP
   C12N 5/077 20100101ALI20230215BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20230215BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
C12M3/00 A
C12N5/077
C12N5/071
C12Q1/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021507437
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(86)【国際出願番号】 JP2020012570
(87)【国際公開番号】W WO2020189794
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2019048228
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】中山 功一
【審査官】幸田 俊希
(56)【参考文献】
【文献】特許第6439223(JP,B2)
【文献】国際公開第2008/123614(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/207907(WO,A1)
【文献】PLOS ONE,2018年,13(12),e0209162 (pp. 1-17),https://doi.org/10.1371/journal.pone.0209162
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
C12N 5/00-5/28
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞収容容器と、基板に針状体が配置された剣山状部材とを有する細胞培養器具であって、
前記細胞収容容器の底面中央部は凸部を形成して当該中央部と側壁との間は凹部を形成するとともに、当該凹部の底面に、前記針状体が貫通する貫通孔が設けられ、
前記針状体は、前記貫通孔の位置に対応づけて配列されており、
前記細胞収容容器の底面側又は上面側から、前記針状体の先端側の一部が貫通孔を貫通するように前記剣山状部材を配置させてなる、細胞培養器具。
【請求項2】
細胞収容容器と、基板に針状体が配置された剣山状部材とを有する細胞培養器具であって、
前記細胞収容容器の底面中央部は凸部を形成して当該中央部と側壁との間は凹部を形成し、
前記針状体は、前記凹部の底面の位置に対応づけて配列しており、
前記細胞収容容器の上面側から、前記針状体の先端を前記凹部の底面に向けて前記剣山状部材を配置させてなる、細胞培養器具。
【請求項3】
前記細胞収容容器及び剣山状部材がアレイ状に複数配列された、請求項1又は2に記載の細胞培養器具。
【請求項4】
細胞収容容器が、細胞非接着コーティング処理されたものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞培養器具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞培養器具の細胞収容容器に細胞懸濁液を投入した後、細胞が針状体を巻き込むように細胞を凝集させることを特徴とする、細胞構造体の製造方法。
【請求項6】
細胞が肝細胞又は心筋細胞である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞培養器具の細胞収容容器に細胞懸濁液を投入した後、細胞が針状体を巻き込むように細胞を凝集させて細胞構造体を構築し、当該細胞培養器具中の細胞構造体に被検物質を接触させ、当該細胞に対する毒性又は当該細胞の代謝活性を試験することを特徴とする、細胞試験方法。
【請求項8】
細胞が肝細胞又は心筋細胞である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞培養器具を含む、細胞試験装置。
【請求項10】
細胞が肝細胞又は心筋細胞である請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創薬研究用に特化した、細胞の立体構造体の培養器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、細胞凝集塊(スフェロイド)を、剣山状に配列させた針に仮固定することにより、細胞の立体構造体を製造する技術が知られている(特許文献1)。この技術によれば、細胞だけで立体化できる点が特徴である。
以前から、通常の平面培養よりもスフェロイド培養の方が細胞活性が高いことは知られているが、上記技術で立体化された細胞構造体は、細胞が三次元化しているため、代謝活性が高く、また培養液に細胞が直接接しているため栄養ガス交換効率が高い。
【0003】
このため、細胞の立体構造体を、薬剤の毒性試験などに使用する試みがなされており、他のヒト肝臓細胞培養法では検出できなかった薬剤のヒト特異的肝毒性が検出可能となった(非特許文献1)。また心筋細胞により構築された立体構造体についても、拍動解析ツールとして利用できる可能性がある。
【0004】
しかし、剣山にスフェロイドを刺すには専用の装置(バイオ3Dプリンター)が必要であり、当該装置は高額であるため、入手することが困難である。
創薬研究では、スフェロイドの個数として9個あれば十分に薬理活性を解析することができるため、多数のスフェロイドを扱うバイオ3Dプリンターを使用するまでもない(スペックが大きい)。
他方、創薬を行うには、大量の検体を一気に処理することが必要である。このため、少量の細胞で大規模に解析できるスクリーニング系が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4517125号
【非特許文献】
【0006】
【文献】Kizawa et,al BBR 2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
創薬を行うためには、少量の細胞で大規模に解析できるスクリーニング系が求められている。また、創薬試験用として、シンプルかつ安価な細胞構造体の作製方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、底面の中央部を凸状とし、中央部と側壁との間に凹部を形成した細胞収容容器を用いることにより、上記課題を解決することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)細胞収容容器と、基板に針状体が配置された剣山状部材とを有する細胞培養器具であって、
前記細胞収容容器の底面中央部は凸部を形成して当該中央部と側壁との間は凹部を形成するとともに、当該凹部の底面に、前記針状体が貫通する貫通孔が設けられ、
前記針状体は、前記貫通孔の位置に対応づけて配列されており、
前記細胞収容容器の底面側又は上面側から、前記針状体の先端側の一部が貫通孔を貫通するように前記剣山状部材を配置させてなる、細胞培養器具。
(2)細胞収容容器と、基板に針状体が配置された剣山状部材とを有する細胞培養器具であって、
前記細胞収容容器の底面中央部は凸部を形成して当該中央部と側壁との間は凹部を形成し、
前記針状体は、前記凹部の底面の位置に対応づけて配列しており、
前記細胞収容容器の上面側から、前記針状体の先端を前記凹部の底面に向けて前記剣山状部材を配置させてなる、細胞培養器具。
(3)前記細胞収容容器及び剣山状部材がアレイ状に複数配列された、(1)又は(2)に記載の細胞培養器具。
(4)細胞収容容器が、細胞非接着コーティング処理されたものである、(1)~(3)のいずれか1項に記載の細胞培養器具。
(5) (1)~(4)のいずれか1項に記載の細胞培養器具の細胞収容容器に細胞懸濁液を投入した後、細胞が針状体を巻き込むように細胞を凝集させることを特徴とする、細胞構造体の製造方法。
(6)細胞が肝細胞又は心筋細胞である、(5)に記載の方法。
(7) (5)又は(6)に記載の方法により製造された細胞構造体に被検物質を接触させ、当該細胞に対する毒性又は当該細胞の代謝活性を試験することを特徴とする、細胞試験方法。
(8)細胞が肝細胞又は心筋細胞である(7)に記載の方法。
(9)(1)~(4)のいずれか1項に記載の細胞培養器具を含む、細胞試験装置。
(10)細胞が肝細胞又は心筋細胞である(9)に記載の装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、シンプルかつ安価な細胞構造体の製造が可能となり、これにより、細胞毒性等の創薬試験を行うことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の細胞培養器具の一態様を示す図である。
図2】本発明の細胞培養器具の中央断面図である。
図3】細胞が針状体を巻き込みながらスフェロイドを形成する態様を示す図である。
図4】本発明の細胞培養器具を用いて細胞構造体を製造する態様を示す図である。
図5】細胞収容容器を針状体の長手方向にスライドさせた態様を示す図である。
図6】細胞構造体が針状体の先端部にリング状になって保持された態様を示す図である。
図7】剣山状部材の針状体の先端を、細胞収容容器の上面から凹部に向けて配置させた態様を示す図である。
図8】本発明の細胞培養器具をアレイ状に複数配置させた態様を示す図である。
図9】本発明の細胞培養器具を含む細胞試験装置を示す図である。
図10】実施例により細胞構造体を製造した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、細胞収容容器と、基板に針状体が配置された剣山状部材とを有する細胞培養器具であって、
前記細胞収容容器の底面中央部は凸部を形成して当該中央部と側壁との間は凹部を形成するとともに、当該凹部の底面に、前記針状体が貫通する貫通孔が設けられ、
前記針状体は、前記貫通孔の位置に対応づけて配列されており、
前記細胞収容容器の底面側又は上面側から、前記針状体の先端側の一部が貫通孔を貫通するように前記剣山状部材を配置させてなる、細胞培養器具を提供する。
【0013】
本発明の細胞培養器具の一態様を図1に示す。
図1Aは、本発明の細胞培養器具の斜視図であり、細胞培養器具1は、細胞収容容器10と、基板20に針状体21が配置された剣山状部材2とを備える。
細胞収容容器10の底面の中央は凸部11を形成し、側壁12との間で凹部13を形成する。底面中央部が凸部となり、側壁との間に凹部を形成する形状はいわゆるメキシカンハットに似ていることから、本明細書では、細胞収容容器10を「メキシカンハット型培養容器」又は単に「ハット型培養容器」ともいう。
図1Bは、細胞培養器具10を上から見た平面図であり、この態様では、基板20に針状体21を10本配置して、細胞収容容器10の貫通孔14(後述)に針状体21を貫通させている(針状体21の配置は、貫通孔14の位置に対応している)。
【0014】
図2は、細胞培養器具1の中央断面図である。図2Aにおいて、細胞収容容器10の底面13には、剣山状部材2の針状体21が貫通する貫通孔14が設けられている。従って、針状体21は、例えば基板20の法線方向であって貫通孔14の位置に対応するように基板20上に配置される。図2Bは、剣山状部材2を、細胞収容容器10の底面部から針状体21の一部を貫通孔14に貫通させた態様を示す。
【0015】
本発明においては、細胞収容容器10の凹部13が、細胞を収容する細胞収容部を形成し、凹部13に細胞懸濁液を投下すると、細胞は自然に凝集して針状体を巻き込みながらスフェロイドを形成する。
図3は、細胞が針状体を巻き込みながらスフェロイドを形成する態様の模式図である。
【0016】
図3Aは、針状体21が存在しないときのスフェロイド形成の態様を示す図であり、細胞懸濁液31中のばらばらの細胞32は、自然に凝集してスフェロイド33を形成する。本発明においては、図3Bに示す通り、針状体21を使用することで細胞32が針状体21を巻き込みながらスフェロイド33を形成する。針状体21は例えば等間隔で複数本配列しているので、形成されたスフェロイド33同士が融合して細胞構造体34が製造される。
【0017】
ここで、本発明において使用される細胞の種類は特に限定されるものではなく、スフェロイドを形成する任意の細胞を使用することができる。スフェロイドを形成する細胞としては、幹細胞(ES細胞、臍帯血由来細胞、未分化間葉系幹細胞、成体間葉系幹細胞等)などの未分化細胞又はその分化型細胞が挙げられる。これらの細胞が由来する組織は、例えば、関節軟骨、骨、脂肪組織、靱帯、腱、歯、耳介、鼻、肝臓、すい臓、血管、神経、心臓などが挙げられ、中でも肝臓細胞、心筋細胞などが好ましい。また、スフェロイドは、必ずしも単一の種類の細胞の凝集体として形成される必要はなく、スフェロイドが形成される限り、複数種類の細胞種(例えば肝臓細胞と血管内皮細胞とを混合したもの)から形成されてもよい。
また、スフェロイド及び細胞構造体を形成するまでの培養期間は、細胞培養器具1の大きさにより異なるが、一般的培養条件(例えば37℃、5%CO雰囲気下)で概ね2日~4日である。
【0018】
針状体21の素材として、ステンレス製、ポリプロピレン製、ナイロン製等のものを使用できるが、これらに限定されるものではない。
また、細胞収容容器10は、フッ素等により細胞非接着コーティングされたもの(例えばポリジメチルシロキサン製)であることが好ましい。但し、フッ素加工されたもののほか、ポリヒドロキシエチルメタクリレートポリマー加工されたものを使用することもでき、さらには、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン製のもの等を用いることもできる。
【0019】
図4は、図3Bに説明した細胞構造体34の形成メカニズムに基づき、本発明の細胞培養器具1を用いて細胞構造体34を製造する態様を示す。
まず、本発明の細胞培養器具1よりも大きな容器40に培養液を浸し、この中に細胞培養器具1を入れる。培養器具1は、剣山状部材2の針状体21の先端側の一部が細胞収容容器10の貫通孔14を貫通している態様となっている。細胞収容容器10の凹部13に細胞懸濁液31を投入すると、細胞が針状体21を巻き込みながらスフェロイドを形成するとともに、スフェロイド同士が融合して細胞構造体34を形成する。図1図4では、細胞収容容器10の外周の形状は円形であり、凹部13は、底面中央部の凸部11の周囲を円形状に取り囲んでいる。このため、製造される細胞構造体の形状はリング状となる。
【0020】
本発明においては、細胞収容容器10の外周の形状は円形に限定されるものではなく、四角形、五角形、六角形、八角形などの多角形とすることができる。また、針状体21の本数(貫通孔14の数)も限定されるものではなく、例えば2本~20本とすることができる。細胞収容容器10が円形の場合、その直径や凹部13の直径も特に限定されるものではなく、例えば0.6mm~30.0mmとすることができる。
【0021】
図5は、本発明の細胞培養器具1において、細胞収容容器10を針状体21の長手方向にスライドさせた態様を示す。
細胞を培養するときは、図5Aに示すように、針状体21の先端側の一部が貫通孔14をわずかに突出するように細胞収容容器10を配置しておく。細胞構造体34が構築された後は、細胞収容容器10を下方(基板20側)にスライドする(図5B)。これにより、細胞構造体34は、針状体21の先端部にリング状になって保持される(図6)。このように、細胞収容容器10を下方にスライドすることで、細胞構造体34の細胞収容容器10への設置面積が少なくなり、細胞構造体34に対して解析を即時に行うことができる。例えば図6に示す細胞構造体34の状態で、細胞収容容器10及び/又は培養容器40内に被検物質を投入した後、細胞構造体34の活性や動き、あるいは細胞構造体34に対する毒性などを試験することができる。
【0022】
図1、2等は、剣山状部材2の針状体21を、細胞収容容器10の底面側から凹部13を貫通させた態様であるが、図7は、剣山状部材2の針状体21の先端を、細胞収容容器10の上面から凹部13に向けて配置させた態様である。この場合は、貫通孔14は設ける必要がないが、貫通孔14を設けるか否かは任意である。但し、針状体21を固定させるために、細胞収容容器10の凹部13に、貫通しない程度の穴(図示せず)を設け、当該穴に針状体21を差し込む態様としてもよい。図7Aに示すように、剣山状部材2を図1の態様とは逆向きに配置して細胞懸濁液を投入し、スフェロイド形成、及び細胞構造体34を形成させた後に、剣山状部材2の向きを元に戻す(上向きにする)ことで、針状体21の先端部に細胞構造体34が保持された態様とすることができる。なお、この場合は基板20は除去しておくことができる。
【0023】
図8は、本発明の細胞培養器具1を、アレイ状に複数配置させた態様を示す図である。
図8では、細胞収容容器10の形状は方形としてあり、4か所(四隅)の凹部に針状体21が貫通している。このように、本発明の複数の細胞培養器具1をアレイ状の配置とすることにより、細胞構造体34を多数製造することができ、各種試験を一度に行うことができる。なお、アレイ状の配置は、一体成型することが可能である。
【0024】
図9は、本発明の細胞培養器具1を含む細胞試験装置9を示す図であり、細胞試験装置9には、細胞培養器具1を基板90に設置するとともに、細胞培養液供給部91、被検物質供給部92が設置されている。細胞試験装置9には、針状体21に電極(図示せず)を接続することもできる。
これにより、細胞構造体の代謝活性や、心筋細胞の拍動などを三次元で試験することができる。
従って、本発明は、細胞構造体に被検物質を接触させ、当該細胞に対する毒性又は当該細胞の代謝活性を試験することを特徴とする、細胞試験方法を提供する。
【0025】
被検物質は、天然又は人為的に合成された各種ペプチド、タンパク質(酵素や抗体を含む)、核酸(ポリヌクレオチド(DNA,RNA)、オリゴヌクレオチド(siRNA等)、ペプチド核酸(PNA)など)、低分子化合物、又は高分子有機化合物等を例示することができる。
また「接触」とは、本発明の細胞構造体に被検物質を接触させることを意味し、細胞構造体を含む培養容器中に被検物質を投入すること、被検物質を含む培地で細胞構造体を培養することなどが挙げられる。
【0026】
実施例
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
【0027】
方法
ポリジメチルシロキサン(PDMS)樹脂で作製したハット型容器(直径4mm)に針(0.17mm)を4本立て(図10A)、細胞懸濁液(細胞数:5x10個)を投入した(図10B)。細胞は、ヒト線維芽細胞を用いた。
【0028】
3日後、細胞が凝集して針を巻き込む様子が示された(図10C)。
ハット型容器を下にスライドすることにより、リング状の細胞構造体が針の先端部に保持された(図10D、E)。本発明においては、この状態で薬理試験に使用することもできるが、図10Fに示すように、細胞構造体を針から抜いて薬理試験を行うこともでき、また病理組織を作製することも可能である。
[符号の説明]
1:本発明の細胞培養器具、2:剣山状部材、9:細胞試験装置
10:細胞収容容器、11:凸部、12:側壁、13:凹部、14:貫通孔
20:基板、21針状体、
31:細胞懸濁液、32:細胞、33:スフェロイド、34:細胞構造体
40:培養容器
90:基板、91:細胞培養液供給部、92:被検物質供給部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10