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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】正に帯電したナノバブル分散液
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/12 20060101AFI20230215BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20230215BHJP
   A01G 22/15 20180101ALI20230215BHJP
   A01G 22/05 20180101ALI20230215BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20230215BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20230215BHJP
   B01F 23/2375 20220101ALN20230215BHJP
【FI】
C12N1/12 A
A01G31/00 601A
A01G22/15
A01G22/05
A01G7/00 604Z
C12N1/00 G
B01F23/2375
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017236437
(22)【出願日】2017-12-08
(65)【公開番号】P2019103958
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】509332671
【氏名又は名称】大平 猛
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大 平 猛
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-142599(JP,A)
【文献】特開2009-246042(JP,A)
【文献】国際公開第2014/050910(WO,A1)
【文献】特開2010-162517(JP,A)
【文献】特表2007-515470(JP,A)
【文献】特開2015-097509(JP,A)
【文献】特開2009-131770(JP,A)
【文献】特開2012-108073(JP,A)
【文献】特開2016-053004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 23/237-2375
A01G 7/00-06、22/00-67、31/00-06
A01H 13/00
C12N 1/00、1/12-13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中に分散され、平均粒径が10nm乃至500nmであり、ゼータ電位が+10乃至+200mVである正に帯電した微細気泡を、10乃至1010個/cc含む正に帯電したナノバブル分散液であって、
前記正に帯電した微細気泡は、二酸化炭素ガスを封入したナノバブルであり、野生型のクラミドモナス(NIES-2235株 Chlamydomonas reinhardtii)の増殖速度を増加させるよう用いられることを特徴とする正に帯電したナノバブル分散液。
【請求項2】
液体中に分散され、平均粒径が10nm乃至500nmであり、ゼータ電位が+10乃至+200mVである正に帯電した微細気泡を、10 乃至10 10 個/cc含む正に帯電したナノバブル分散液であって、
前記正に帯電した微細気泡は、空気を封入したナノバブルであり、小松菜LED光合成栽培モデルの小松菜の成長、及び大根光合成モデルの大根の成長を促進させるように用いられることを特徴とする正に帯電したナノバブル分散液。
【請求項3】
液体中に分散され、平均粒径が10nm乃至500nmであり、ゼータ電位が+10乃至+200mVである正に帯電した微細気泡を、10 乃至10 10 個/cc含む正に帯電したナノバブル分散液であって、
前記正に帯電した微細気泡は、空気又は二酸化炭素を封入したナノバブルであり、ハウス栽培のトマトの収穫量を増大させるよう用いられることを特徴とする正に帯電したナノバブル分散液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電したナノバブル分散液、その製造方法、及び製造装置、並びに該ナノバブル分散液を用いて微生物及び植物の成長の速度を制御する方法に係り、より詳しくは、帯電性を有するナノバブル分散液、該ナノバブル分散液を容易かつ安価に製造する製造方法、及び製造装置、並びにそのナノバブル分散液を用いて微生物及び植物成長の速度を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直径1マイクロメーター未満の気泡(いわゆるナノバブル)を含む液体は、バブルの浮力が相対的に小さいためバブルが液中に長期間とどまること、及び負の帯電性を帯びていること等の性質に着目され、シリコンウエハの洗浄、養殖業の効率化等の分野において活用されてきた。
【0003】
また、ナノバブルの発生については、特許文献1に示されているように、水中で発生させる方法が提案された。
また更に、ナノバブルを用いて生物の生理活性に変化を及ぼす技術が注目されてきた。例えば特許文献2に、植物の成長を促進させるなどの目的で利用が可能な旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4144669号公報
【文献】特開2009-131769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまでのナノバブル技術においては、(1)ナノバブルの製造に係る価格やエネルギーコストが高すぎること、(2)正の帯電を持つナノバブルを発生させることができなかったこと、(3)生物に与える影響が不明確であったことから、経済性と共に技術を実施できる分野が限られていた。
【0006】
(1)ナノバブルの製造に係るコストについて
従来は、気液混相流の中でファンを高速回転させる方法、気液混相流に高圧をかけて漏斗状の管に導入しキャビテーションを発生させる方法等が提案されてきたが、装置の構造が複雑になり、装置一台あたりの価格が高額になるため、ナノバブル技術を実施できる分野が限定されていた。
また、液相中でナノバブルを発生させていたため、液体により可動部が大きな抵抗を受けることとなり、多くのエネルギーを浪費し、経済性の観点から技術が実施できる分野が限定されていた。
【0007】
(2)正の帯電を持つナノバブルについて
従来は、負に帯電したナノバブルしか発生させることができず、こうしたナノバブルは、正に帯電したイオンや物質表面にしか結合しないため、技術が実施できる分野が限定されていた。
【0008】
(3)生物に与える影響について
従来は、負に帯電したナノバブルしか発生させることができず、ナノバブルが生物に与える影響が、ナノバブル内に封入されたガスの影響によるものなのか、ナノバブルが有する負の帯電によるものなのか、それともナノバブルが物理的に衝突することによるものなのか、結論付けることが困難であった。
【0009】
かかる課題を解決するために本発明は、正及び負に帯電したナノバブルを提供することを第1の課題とする。
また本発明は、正及び負に帯電したナノバブルの微生物及び植物の生長に対する影響を明確化することを第2の課題とする。
【0010】
更に本発明は、へき地や山間部の農業施設においてもナノバブル技術の実施が可能なような、運搬可能で、ナノバブルを使用現地において製造できるナノバブル製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するための本発明の正に帯電したナノバブル分散液は、液体中に分散され、平均粒径が10nm乃至500nmであり、ゼータ電位が+10乃至+200mVである正に帯電した微細気泡を、10 乃至1010個/cc含む正に帯電したナノバブル分散液であって、正に帯電した微細気泡は、二酸化炭素ガスを封入したナノバブルであり、野生型のクラミドモナス(NIES-2235株 Chlamydomonas reinhardtii)の増殖速度を増加させるよう用いられることを特徴とする。
【0012】
液体中に分散され、平均粒径が10nm乃至500nmであり、ゼータ電位が+10乃至+200mVである正に帯電した微細気泡を、10 乃至10 10 個/cc含む正に帯電したナノバブル分散液であって、前記正に帯電した微細気泡は、空気を封入したナノバブルであり、小松菜LED光合成栽培モデルの小松菜の成長、及び大根光合成モデルの大根の成長を促進させるように用いられることを特徴とする。
【0013】
液体中に分散され、平均粒径が10nm乃至500nmであり、ゼータ電位が+10乃至+200mVである正に帯電した微細気泡を、10 乃至10 10 個/cc含む正に帯電したナノバブル分散液であって、前記正に帯電した微細気泡は、空気又は二酸化炭素を封入したナノバブルであり、ハウス栽培のトマトの収穫量を増大させるよう用いられることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項1に記載の正に帯電したナノバブル分散液は、ナノバブルの正の帯電性に依存する酸化力を持ち、一定時間後には分解される酸化剤として用いられることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項1に記載の正に帯電したナノバブル分散液を用いて、植物研究のモデル生物の一つであるクラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii)の増殖速度を増加させることを特徴とする。
また、本発明の請求項1に記載の正に帯電したナノバブル分散液を用いて、光合成下の水耕栽培の小松菜及び大根の成長を促進させることを特徴とする。
また、本発明の請求項1に記載の正に帯電したナノバブル分散液を用いて、ハウス栽培のトマトの収穫量を増大させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
従来は、液相中でナノバブルを発生させていたため、可動部が液体により大きな抵抗を受けることになり、多くのエネルギーを消費し、経済合理性の観点から技術が実施できる分野が限定されていた。
しかしながら、本発明においては、ナノバブルを発生させる機構を気相内に置くことができるようになり、エネルギーの消費量が減少したため、技術を実施できる分野が大幅に拡がった。
【0017】
本発明のナノバブル製造装置は、簡素な構造でナノバブルを発生させることができるため、技術を実施できる分野が大幅に拡がった。また、小型車両で搬送できる程度の大きさになったため、使用現場でナノバブルを容易かつ安価に製造できるので、へき地や山間部の農業施設においてもナノバブル技術の実施が可能になった。
【0018】
本発明においては、素材と液体との組み合わせを変化させることによって、正の帯電を持つナノバブル及び負の帯電を持つナノバブルを作り分けることが可能になり、用途に応じて正又は負のナノバブルを供給することが可能になった。
また、正及び負の帯電を持つナノバブルを作り分けることが可能になったことにより、ナノバブルが物質に電子を付与又は受容する性質があることが明らかになった。
【0019】
ナノバブルが電子を付与又は受容する性質を有することにより、水と空気のみから所要の酸化力又は還元力を持ち、一定時間後には分解される酸化剤及び還元剤を製造することが可能になった。これにより、酸化剤又は還元剤を大量に用いれば土壌から溶脱させて除去することが理論上は可能でも、後に深刻な二次汚染が生じることから実施が困難であった土壌中の塩分除去や放射性物質の除去なども、ナノバブル技術によって実施可能になった。
【0020】
更に本発明は、正に帯電したナノバブルを発生させることができることから、ナノバブルの持つ帯電性が生物に与える影響について、比較対照実験を行うことが可能となった。この結果、正又は負に帯電したナノバブルを活用し、微生物及び植物の増殖・成長等を促進又は抑制することが可能になった。本発明で示されているナノバブルを、例えば、水道水又は培養液等に導入し、微生物若しくは植物の根又は葉に吸収させることで、成長の促進又は抑制効果が期待できる。
【0021】
一方、微生物には、医薬品の製造、バイオ燃料の製造、醸造など社会にとって有用なものもあれば、病原菌等の有害なものも存在するが、これらの微生物を適切なタイミングで抑制・増殖させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例1のプラスに帯電したナノバルブのゼータビューである。
図2】本発明の実施例1のマイナスに帯電したナノバルブのゼータビューである。
図3】クラミドモナスに空気を封入したナノバブル用いて光合成させた時に得られたクロロフィル生産量を測定したグラフである。
図4】クラミドモナスに二酸化炭素ガス中を封入したナノバブル用いて光合成させた時に得られたクロロフィル生産量を測定したグラフである。
図5】クラミドモナスに空気を封入したナノバブル用い、12時間の暗期を設けてクロロフィル生産量を測定した時に得られたクロロフィル生産量を測定したグラフである。
図6】小松菜LED光合成栽培モデルにおいて、正及び負に帯電したナノバルブの成長促進効果を比較した図である。
図7】トマトのハウス栽培モデルにおける正に帯電したナノバブルの効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に記載する。この記載は本発明を説明するためのものであって、この記載によって本発明の技術範囲を限定するものではない。本発明は、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で、多様に変更して実施することが可能である。
【0024】
本発明の正又は負に帯電したナノバブルは、平均粒径が10乃至500nmであることが好ましく、50~300nmであることがより好ましい。平均粒径が500nmを越えると気泡の浮力が大きくなってバブル同士が会合しやすくなって分散液が不安定化することがあり、平均粒径が10nm未満のバブルは、本発明の方法では作るのが困難なことがある。
【0025】
また、本発明の正又は負に帯電したナノバブルは、ゼータ電位が10~200mV又は-10~-200mVであることが好ましく、50~150mV又は-50~-150mVであることが好ましい。10mV~-10mV(但し-10mVは除く)のナノバブルは、帯電した効果が充分でないことがあり、-200mV以下又は200mVを越えて帯電させることは困難なことがある。
【0026】
更に、本発明のナノバブル分散液に含まれる帯電した気泡の個数は、105~1010個/ccであることが好ましく、10~10個/ccであることがより好ましい。ナノバブル分散液に含まれる帯電した気泡の個数が10個/cc未満では、帯電した効果が充分でないことがあり、10個/ccを越えるナノバブル分散液を製造するのが困難なことがある。
【0027】
本発明の帯電したナノバブルは、正に帯電させることがより好ましい。負に帯電したナノバブルも帯電していないナノバブルより優れた性質を示すが、正に帯電したナノバブルは、負に帯電したナノバブルより優れた性質を有することが多い。
【0028】
(ナノバブル分散液の製造)
以下において、用いられたナノバブルは、気泡となる気体雰囲気中において、マイクロメーターサイズに微細化された液体を更に破砕することによって、前記液体に囲まれた帯電したナノバルブを生成させ、これを、重力、遠心力、電磁気力、等を用いて捕集することによって前記液体に帯電したナノバブル分散液を製造できる。
【0029】
気体雰囲気に電場を印加してマイナス側を接地することによってマイナスに帯電したナノバルブを生成させ、破砕する部材を接地することによってプラスに帯電したナノバルブを生成させることができる。
図1に、本発明の実施例1のプラスにナノバブルのゼータ電位とそのゼータ電位を有するバブルの頻度(ゼータビュー)を示し、図2に実施例2のマイナスに帯電したナノバルブのゼータビューを示す。
【0030】
(帯電したナノバブルの効果)
本発明の帯電したナノバブルは、陽イオン性物質または陰イオン性物質と結合又は乖離する物質を製造する方法を提供する。
また、本発明の帯電したナノバブルは、ナノバブルが電子を付与又は受容する性質を有することにより、水と空気のみから所要の酸化力又は還元力を持ち、一定時間後には分解される酸化剤及び還元剤を製造することが可能になった。
【0031】
更に本発明の帯電したナノバブルは、正に帯電したナノバブルを発生させることができることから、ナノバブルの持つ帯電性が生物に与える影響について、比較対照実験を行うことが可能となった。この結果、正又は負に帯電したナノバブルを活用し、微生物及び植物の増殖・成長等を促進又は抑制することが可能になった。本発明で示されているナノバブルを、例えば、水道水又は培養液等に導入し、微生物若しくは植物の根又は葉に吸収させることで、成長の促進又は抑制効果が期待できる。
【0032】
[実施例1]プラスに帯電したナノバブルの製造
密閉した空気雰囲気中にマイクロメーターサイズに微細化された水を供給し、隣設する回転体同士が相互に反対方向に回転するよう設置された複数の回転体を用いてマイクロメーターサイズに微細化された水を更に破砕し、生成したミストを捕集することによって、水に囲まれプラスに帯電したナノバブルを得ることができた。得られたナノバブルの直径別密度及び電荷別密度をマイクロトラックベル社のナノバブル電荷測定を用い、ZetaView+T.Ohdaira 荷電ディスク法で計算して測定し、気泡の平均粒径は、兵庫県のSpring 9に設けられ、Omega Lenzを備えるUltra-high voltage electron microscopeを用いて測定した。
プラスに帯電したナノバブルの電荷別密度(ゼータビュー)を図1に示す。
【0033】
[実施例2]マイナスにチャージしたナノバブルの製造
密閉した空気雰囲気中に高電圧を印加してマイナス側を接地し、マイクロメーターサイズに微細化された水を供給し、隣同士が反対方向に回転し設置された複数の回転体を用いてマイクロメーターサイズに微細化された水を更に破砕し、生成したミストを捕集することによって、水に囲まれマイナスに帯電したナノバブルを得ることができた。図2に、帯電したナノバブルの電荷別密度を示す。
【0034】
(ナノバブル分散液を用いて微生物及び植物の成長の速度を制御する方法)
[実施例3]空気を封入したナノバブル用いた場合
野生型のクラミドモナス(NIES-2235株 Chlamydomonas reinhardtii.以下、単に「クラミドモナス」という。)を用い、空気を封入し正に帯電したナノバブルを含む培養液(プラス群)、負に帯電したナノバブルを含む培養液(マイナス群)、ナノバブルを含まない培養液(対照群)の3種類に分け、各群のクロロフィル生産量を測定した。
【0035】
・培養株:クラミドモナス
微生物学名(NIES株番号):NIES-2235株
培地:C培地(寒天もボトルも同じC培地)
購入元:国立研究開発法人国立環境研究所 微生物系統保存施設
・クラミドモナスを、平型シャーレを用いて、距離25cmの上面からシャーレ内の微生物に対し、光合成に最適とされる、620ナノメートルから630ナノメールの波長ピークを有する光を連続照射した。培地はHSM寒天培地を用いた。
・ナノバブル試料
プラス群、実施例1に記載した方法で、但し空気中で正に帯電したナノバブルを用いて培地を製造した。
マイナス群、実施例2に記載した方法で、但し空気中で負に帯電したナノバブルを用いて培地を製造した。
対照群、ナノバブルを含まない蒸留水を用いて培地を作成した。
・培養したクラミドモナスは一定時間おきにアセトンによるクロロフィル抽出法を用いて抽出し、得られたクロロフィルを分光光度計(NanoDrop社製:ND-1000)によって測定した。
・測定結果を図3に示す。
図3に示すように、プラス群は対称群と比較し、誘導期及び対数増殖期において増殖速度が有意に増加した。マイナス群は対称群と比較し、増殖速度が減少した。
【0036】
[実施例4]二酸化炭素ガスを封入したナノバブル用いた場合
実施例3と同様に、但しナノバブル試料のプラス群およびマイナス群を二酸化炭素ガス中で製造し、各群のクロロフィル生産量を測定した。
測定結果を図4に示す。実施例1と同様に、プラス群は対称群よりも速く増殖し、マイナス群は対称群よりも遅くなった。
【0037】
[実施例5]空気を封入したナノバブル用い、暗期を12時間とした場合
実施例3と同様に、但し12時間の暗期を設けてクロロフィル生産量を測定した。
測定結果を図5に示す。
図5に示すように、プラス群は対称群よりも速く増殖したが、マイナス群は対称群と同様の増殖速度となった。
【0038】
[実施例6]小松菜LED光合成栽培モデル
小松菜を用いて水耕栽培に帯電したナノバブル水の効果を比較した。
栽培条件
温度 LED消灯時 20℃、LED点灯時 27℃
液状肥料 Hyponext
ナノバブル水 実施例1、2に準じて作成した。
バブル平均粒子径 180nm(100~200nm)
バブル密度 3.0×10(個/cc)
ナノバブル電荷測定横置 マイクロトラックベル社
計算方法 ZetaView+T.Ohdaira 荷電ディスク法
種まき後、28日目の写真を図6に示す。
【0039】
[実施例7]大根光合成モデルによる成長差
大根を用いて水耕栽培に帯電したナノバブル水の効果を比較した。結果を表1に示す。
表1に示すように、プラスナノバブルを用いた場合は、コントロールに比べて1.7~2.2倍の成長速度を示し、マイナスナノバブルを用いた場合は、コントロールに比べて1.1~1.2倍の成長速度を示した。
【0040】
[表1]
【0041】
[実施例8]トマトのハウス栽培モデルにおける収穫量
表7に、2017年4月からプラスに帯電したナノバブル発生機を導入したトマトのハウス栽培モデルにおける、2016年12月16日から2017年6月16日までの累積集荷量を示す。
図7に示すように、プラスに帯電したナノバブル発生機を導入した2017年4月から収穫量が顕著に増加し、2017年4月まではコントロールと同じ収穫量だったのが、2
017年6月16日までの2か月間で11%の増収となった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7