(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】プラスチックカップ
(51)【国際特許分類】
B65D 1/00 20060101AFI20230215BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230215BHJP
B32B 1/02 20060101ALI20230215BHJP
C08L 23/06 20060101ALI20230215BHJP
C08L 23/12 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
B65D1/00 110
B65D1/00 BRA
B32B27/32 E
B32B1/02
C08L23/06 ZAB
C08L23/12 ZBP
(21)【出願番号】P 2018078617
(22)【出願日】2018-04-16
【審査請求日】2020-12-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116828
【氏名又は名称】旭化成パックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(72)【発明者】
【氏名】金井 博明
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢洋
(72)【発明者】
【氏名】松村 忠佳
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-028161(JP,A)
【文献】特開2016-047910(JP,A)
【文献】特開2016-020044(JP,A)
【文献】特許第6259587(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00
B32B 27/32
B32B 1/02
C08L 23/06
C08L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3層からなるプラスチックカップであって、
両外層が化石燃料由来のポリプロピレンを含み、
中間層が
バイオマス由来のポリエチレンと
化石燃料由来のポリプロピレンとのブレンドからなり、その重量比が14:86~40:60であり、
前記中間層がバイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含む樹脂組成物からなり、
前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して10質量%以上30質量%以下で含んでなり、
ヘイズ値がカップの側面で30%以下である、プラスチックカップ。
【請求項2】
ヘイズ値がカップの側面で10%以下である、請求項
1に記載のプラスチックカップ。
【請求項3】
絞り比が1以上であり、ヘイズ値がカップの側面で5%以下である、請求項1
または2に記載のプラスチックカップ。
【請求項4】
前記プラスチックカップが、外層、中間層、外層の3層で構成され、
各層の厚み比が1:10:1~1:60:1である、請求項1~
3のいずれか1項に記載のプラスチックカップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス由来のポリエチレンを特定比率以上含有したプラスチックカップに関する。より具体的には、二酸化炭素排出による環境負荷が小さく、且つ、カップとしての要求性能を化石燃料由来のポリエチレンを使用するのと同等以上に備える、バイオマス由来のポリエチレンを含有するプラスチックカップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、材料分野においてもエネルギーと同様に化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。バイオマスは二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより、再度、二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。昨今、これらのバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックの実用化が急速に進んでおり、各種の樹脂をバイオマス原料から製造する試みも行われている。
【0003】
バイオマス由来の樹脂としては、乳酸発酵を経由して製造されるポリ乳酸(PLA)が先行して商業生産が始まった。しかし、生分解性であることをはじめ、プラスチックとしての性能が現在の汎用プラスチックとは大きく異なるため、製品用途や製品製造方法に限界があり、広く普及するに至っていない。特にPLAを主成分としてプラスチックカップを製造した場合、耐熱性に乏しいために、夏場のトラックでの輸送時にカップが熱により変形してしまう問題が発生する。
【0004】
ここで、汎用プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート樹脂等、様々な種類が用いられている。特にポリエチレンは、フィルム、シート、ボトル等に成形され、包装材等の種々の用途に使用されており、世界中での使用量が多い。そのため、従来の化石燃料由来のポリエチレンを用いることは環境負荷が大きく、ポリエチレンの製造にバイオマス由来の原料を用いて、化石燃料の使用量を削減することが望まれている。
【0005】
こうしたバイオポリエチレンを含有するプラスチック加工品として、例えば特許文献1には、二つの表層の間に中心層を備えたバイオマスプラスチックシート及びブリスターパックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたシートをコップ形状に成型した場合、特に絞り比が深い1以上のカップでは透明性が悪化し、また化石燃料由来のポリエチレンを使用するよりも機械強度が低下してしまう問題があった。
【0008】
従って、本発明は、バイオマス由来のエチレンを用いたカーボンニュートラルなポリエチレンを含み、従来の化石燃料から得られる原料から製造されたプラスチックカップと機械的物性や透明性の点で同等以上のプラスチックカップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、プラスチックカップに含有するポリエチレンの原料であるエチレンに注目し、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、バイオマス由来のエチレンをその原料としたポリエチレンを含有するプラスチックカップは、従来の化石燃料から得られたエチレンを用いて製造されたポリエチレンを含むプラスチックカップと比較して、同等以上の機械物性と透明性を持ち、特に絞り比1以上で透明性と機械物性を両立するとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
【0010】
すなわち、本発明は、下記の通りである。
(1)バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物からなるプラスチックカップであり、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上30質量%以下で含んでなり、ヘイズ値がカップの側面で30%以下である、プラスチックカップ。
【0011】
(2)化石燃料由来のポリプロピレンを、70質量%以上95質量%以下含む、前記(1)に記載のプラスチックカップ。
【0012】
(3)少なくとも3層からなり、両外層が化石燃料由来のポリプロピレンを含み、中間層にバイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含み、前記バイオマス由来のエチレンが前記のプラスチックカップ全層の樹脂組成物全体に対して5質量%以上、30質量%以下であり、化石燃料由来のポリプロピレンが70質量%以上、95質量%以下であり、ヘイズ値がカップの側面で10%以下である、前記(1)または(2)に記載のプラスチックカップ。
【0013】
(4)絞り比が1以上であり、ヘイズ値がカップの側面で5%以下である、前記(1)~(3)のいずれか1つに記載のプラスチックカップ。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、本プラスチックカップがバイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物からなり、バイオマス由来のエチレンを樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなることで、カーボンニュートラルなプラスチックカップを提供できる。従って、従来に比べて化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
【0015】
また、本発明のプラスチックカップは、従来の化石燃料から得られる原料から製造されたプラスチックカップと比較して、機械物性や透明性の点で同等以上であり、特に絞り比1以上で透明性と機械物性を両立することができ、従来のプラスチックカップを代替することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明のプラスチックカップの模式図であり、(a)は絞り比が0.68の形状の場合、(b)は絞り比が1.4の形状の場合に対するものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0018】
バイオマス由来のポリエチレン
バイオマス由来のポリエチレンとは、バイオエタノールから合成されたエチレンを含むモノマーが重合してなるものである。バイオエタノールは、サトウキビやトウモロコシを出発原料とするものである。尚、バイオマス由来のポリエチレンは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよい。
【0019】
バイオマス由来のポリエチレンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα-オレフィンをさらに含んでもよいし、バイオマス由来のα―オレフィンをさらに含んでもよい。
【0020】
上記のα―オレフィンは、炭素数は特に限定されないが、通常、炭素数が3~20のものを用いることができ、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであることが好ましい。
【0021】
本発明のプラスチックカップには、バイオマス由来のポリエチレンとして、限定はされないが高密度ポリエチレン(HDPE)や低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)などを使用することができる。これらのバイオマス由来のポリエチレンは、各々を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
上記のポリオレフィン中のバイオマス由来のエチレンの濃度(以下、「バイオマス度」ということがある)は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素にはC14が一定割合(107pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も107pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。従って、プラスチックカップの樹脂組成物中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、プラスチックカップの樹脂組成物中のC14の含有量をPc14とした場合の、バイオマス度は以下のように求めることができる。
(バイオマス度)(%)=100 × Pc14/107
【0023】
本発明において、理論上プラスチックカップの原料として、全てバイオマス由来のエチレンを用いれば、バイオマス由来のエチレン濃度は100%であり、プラスチックカップのバイオマス度は100%となる。また、化石燃料由来のエチレンを用いれば、バイオマス由来のエチレン濃度は0%であり、プラスチックカップのバイオマス度は0%となる。
【0024】
本発明におけるプラスチックカップは、バイオマス度が100%である必要はない。プラスチックカップの一部にでもバイオマス由来の原料が用いられていれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減するという本発明の趣旨に沿うからである。
【0025】
本発明において、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合方法は、特に限定されず、従来公知の方法によって行うことができる。
【0026】
プラスチックカップ
本発明は、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のエチレンを含む樹脂組成物からなるプラスチックカップであり、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上30質量%以下、好ましくは10質量%以上30質量%以下含む。
【0027】
バイオマス由来のエチレンの含有量が5質量%以上であれば、従来に比べて化石燃料由来の樹脂の量を削減し、環境負荷を減らすことができ、10質量%以上であれば環境負荷を更に削減することができる。またバイオマス由来のエチレンの含有量が30質量%以下であれば、プラスチックカップとしての透明性が良好であり、また、剛性が高く好ましい。
【0028】
本発明のプラスチックカップの樹脂組成物の主成分としては、化石燃料由来の樹脂を使用することができ、PS(ポリスチレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)等が挙げられる。中でも、剛性と軽量性に優れたPP(ポリプロピレン)を使用することが好ましい。化石燃料由来のポリプロピレンの含有量は、70質量%以上、95質量%以下が好ましい。
【0029】
化石燃料由来のポリプロピレン
化石燃料由来のポリプロピレンとは、化石燃料から生成されるプロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンと炭素数4~8のα-オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンと炭素数4~8のα-オレフィンとの共重合体を意味し、ランダム共重合体またはブロック共重合体のいずれであってもよい。炭素数4~8のα-オレフィンの具体例としては、例えば、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらポリプロピレンを構成する単量体成分のうちプロピレン以外のものは、各々を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。これらのポリプロピレンは、各々を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0030】
また、本発明のプラスチックカップは、プラスチックカップの性能を落とさない範囲で、各種添加剤を使用してもよい。
【0031】
本発明プラスチックカップは単層構造でも多層構造でも構わないが、透明性を改善するために多層構造の方が好ましい。多層構造の場合、少なくとも3層からなり、両外層が化石燃料由来のポリプロピレンを含み、中間層にバイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含み、前記バイオマス由来のエチレンの含有量が、前記のプラスチックカップ全層の樹脂組成物全体に対して5質量%以上、30質量%以下であり、化石燃料由来のポリプロピレンが70質量%以上、95質量%以下となることが好ましい。
【0032】
プラスチックカップの作製方法としては公知のシート成型、射出成型、ブロー成型等の手法を用いることができるが、飲料用の薄手のカップは生産性の高いシート成型の手法が好ましい。
【0033】
シート成型の場合は、限定されないが、Tダイからシートを溶融押出し、キャストロールで40~80℃で急冷して固化する。その後、オフライン若しくはインラインにて間接加熱ヒーターを使用してシートを軟化点まで軟化させた後に、真空圧空成型法によりカップの形状に成型する。絞り比が0.5以上の深絞り形状の場合は真空圧空と併用してプラグアシスト成型を行うことが好ましい。シートの成型カップ部と非成型部を切り分ける方法としては、成形時の同時打ち抜きでも、成形後に打ち抜き工程を設けてもどちらでも構わない。
【0034】
多層シート成型の場合の多層化の手法は限定されないが、マルチマニホールド法を使用してもフィードポートブロック法のどちらを使用しても構わない。層構成としては3層が好ましく、層比率としては1:2:1~1:60:1が好ましい。
【0035】
カップを成型する前のシート厚みとしては0.8~2.5mmが好ましく、成形後のカップの側面の厚み分布としては中央部で100~500μmが好ましい。
【0036】
本発明のプラスチックカップの絞り比は、1以上であることが好ましい。絞り比が1以上であれば、カップ形状としての要求を満たし易いのと本発明の機械強度と透明性を両立できる効果を発揮し易い。カップの絞り比は、(カップ高さ)/(開口部短径)で表される。開口部短径とは開口部の形状が円の場合は直径を表し、開口部形状が楕円の場合は短径を、開口部形状が長方形の場合は短辺を、開口部形状が正方形の場合は一辺の長さを表す。例えば
図1(a)の形状1の場合、絞り比:51/75=0.68、
図1(b)の形状2の場合、絞り比:137/96=1.4となる。
【0037】
本発明のプラスチックカップは、側面でのヘイズ値が30%以下であり、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。ヘイズ値が30%以下であれば、内容物の視認性がよい。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。各種物性の評価方法及び使用樹脂は以下の通りである。
【0039】
バイオマス度(%)
バイオマス度とは、石油由来の原料と植物油由来の原料(バイオマス)との混合比率を表す指標であり、放射性炭素(C14)の濃度を測定することにより求められる。カップ中のC14の濃度の測定はASTM D6866のB法を用いて行う。すなわち、測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを精製させる。そしてこのグラファイトを、タンデム加速器をベースとしたC14-AMS専用装置(NEC社製)に装着して、C14の計数、C13の濃度(C13/C12)、C14の濃度(C14/C12)の測定を行い、この測定値から試料炭素C14濃度の割合を算出する。標準試料としては、米国国立標準局(NIST)から提供されるシュウ酸を使用した。
【0040】
絞り比
(カップ高さ)/(開口部短径)で算出する。
【0041】
ヘイズ値(%)
プラスチックカップの側面において高さ方向の中央部がヘイズ値の測定中央部になるようにサンプリングして、以下の測定器を用いて測定した。
測定器:NIPPON DENSHOKU社製
Haze Meter NDH4000
【0042】
引張強度
プラスチックカップの側面において、高さ方向の中央部がサンプルのセンターとなるように、高さ方向に巾10mm、水平方向に長さ50mmの短冊状のサンプルを切り出した。測定器のチャック間を10mmに引張速度を50mm/minで降伏点強度の応力を測定した。
測定器:ミネベアミツミ社製
Techno Graph
【0043】
使用樹脂
化石PP:プライムポリマー社製
F-300SP(ホモタイプ、MFR=3.0)
バイオPE:ブラスケム社製
STS7006(LDタイプ、MI=0.6、密度:0.924g/cm3、バイオマス度:95%)
化石PE: 宇部丸善ポリエチレン社製
F022(LDタイプ、MI=0.8、密度:0.922g/cm3)
【0044】
[実施例1]
化石燃料PPとバイオPEを88/12の重量比でブレンドしたポリマーを30mmφ、L/D35の同方向2軸押出機で押出し、Tダイから厚み1.3mmの単層シートを押出し、50℃のチルロールで冷却した後に、インラインで間接加熱のIRヒーターでシートを軟化点付近まで加熱し、真空圧空プラグアシスト法で形状1(
図1(a)、絞り比:0.68)のコップ形状に成型した。シートの成型部と非成型部は成型時に同時に打ち抜くことで切り離した。得られたカップのバイオマス度は10%であった。
以下、評価結果を表1に示す。
【0045】
[実施例2]
化石燃料PPとバイオPEを68/32の重量比でブレンドしたポリマーを使用した以外は、実施例1と同様にしてカップを作製した。得られたカップのバイオマス度は30%であった。評価結果を表1に示す。
【0046】
[比較例1]
化石燃料PPと化石燃料PEを88/12の重量比でブレンドしたポリマーを使用した以外は、実施例1と同様にしてカップを作製した。得られたカップのバイオマス度は0%であった。評価結果を表1に示す。
【0047】
[比較例2]
化石燃料PPと化石燃料PEを68/32の重量比でブレンドしたポリマーを使用した以外は、実施例2と同様にしてカップを作製した。得られたカップのバイオマス度は0%であった。評価結果を表1に示す。
【0048】
[比較例3]
化石燃料PPとバイオPEを57/43の重量比でブレンドしたポリマーを使用した以外は、実施例1と同様にしてカップを作製した。得られたカップのバイオマス度は40%であった。評価結果を表1に示す。
【0049】
[実施例3]
化石燃料PPとバイオPEを88/12の重量比でブレンドしたポリマーを30mmφ、L/D35の同方向2軸押出機で押出し、Tダイから厚み1.7mmの単層シートを押出し、45℃のチルロールで冷却した後に、インラインの間接加熱のIRヒーターでシートを軟化点付近まで加熱し、真空圧空プラグアシスト法で形状2(
図1(b)、絞り比:1.4)のコップ形状に成型した。シートの成型部と非成型部は成型時に同時に打ち抜くことで切り離した。得られたカップのバイオマス度は10%であった。評価結果を表1に示す。
【0050】
[実施例4]
化石燃料PPとバイオPEを68/32の重量比でブレンドしたポリマーを使用した以外は、実施例3と同様にしてカップを作製した。得られたカップのバイオマス度は30%であった。評価結果を表1に示す。
【0051】
[比較例4]
化石燃料PPと化石燃料PEを88/12の重量比でブレンドしたポリマーを使用した以外は、実施例3と同様にしてカップを作製した。得られたカップのバイオマス度は0%であった。評価結果を表1に示す。
【0052】
[比較例5]
化石燃料PPと化石燃料PEを68/32の重量比でブレンドしたポリマーを使用した以外は、実施例3と同様にしてカップを作製した。得られたカップのバイオマス度は0%であった。評価結果を表1に示す。
【0053】
[実施例5]
化石燃料PPとバイオPEを86/14の重量比でブレンドしたポリマーを30mmφ、L/D35の同方向2軸押出機で押出し、中間層として使用した。
また、化石燃料PPを30mmφ、L/D35の短軸押出機で押出し、両外層用として使用した。フィートポートブロック法で2種3層として、層比率が外層:内層:外層=1:10:1になるように押出量を調整した。Tダイから厚み1.7mmの多層シートを押出し、45℃のチルロールで冷却した後に、インラインの間接加熱のIRヒーターでシートを軟化点付近まで加熱し、真空圧空プラグアシスト法で形状2(
図1(b)、絞り比:1.4)のコップ形状に成型した。シートの成型部と非成型部は成型時に同時に打ち抜くことで切り離した。得られたカップのバイオマス度は10%であった。評価結果を表1に示す。
【0054】
[実施例6]
化石燃料PPとバイオPEを60/40の重量比でブレンドしたポリマーを中間層として使用した以外は、実施例5と同様にしてカップを作製した。得られたカップのバイオマス度は30%であった。評価結果を表1に示す。
【0055】
[比較例6]
化石燃料PPと化石燃料PEを86/14の重量比でブレンドしたポリマーを中間層として使用した以外は、実施例5と同様にしてカップを製作した。得られたカップのバイオマス度は0%であった。評価結果を表1に示す。
【0056】
[比較例7]
化石燃料PPとバイオPEを60/40の重量比でブレンドしたポリマーを中間層として使用した以外は、実施例6と同様にしてカップを作製した。得られたカップのバイオマス度は0%であった。評価結果を表1に示す。
【0057】
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のプラスチックカップはバイオマス由来のエチレンを樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなることで、従来に比べて化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また従来の化石燃料から得られる原料から製造されたプラスチックカップと比較して、機械物性や透明性で同等以上であり、特に絞り比1以上で透明性と機械物性を両立することができ、従来のプラスチックカップを代替することができ特に有用である。