(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】債権管理装置、債権管理方法、及び債権管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/03 20230101AFI20230215BHJP
【FI】
G06Q40/03
(21)【出願番号】P 2018185721
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 勝也
(72)【発明者】
【氏名】古池 正彦
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-090689(JP,A)
【文献】特開2017-182284(JP,A)
【文献】特開2017-049673(JP,A)
【文献】特開2003-248754(JP,A)
【文献】特開2005-242528(JP,A)
【文献】特開2003-016261(JP,A)
【文献】特開2002-366756(JP,A)
【文献】特開2002-073981(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0304185(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部及び記憶部を備えた債権管理装置であって、
前記記憶部は、
債権毎の、口座番号、期首残高、毀損額、及び債権属性のデータを含む債権明細を記憶する債権明細記憶手段と、
債権毎の、債務者区分、口座番号、与信残高、及び債権属性のデータを含む現在残高明細を記憶する現在残高明細記憶手段と、
を備え、
前記制御部は、
前記債権明細および前記現在残高明細に基づいて、債務者区分及び債権属性毎の貸倒実績率を算出する貸倒実績算出手段を備えたことを特徴とする債権管理装置。
【請求項2】
前記貸倒実績算出手段は、前記債権明細および前記現在残高明細に基づいて、債権属性毎の貸倒実績率を算出することを特徴とする請求項1に記載の債権管理装置。
【請求項3】
前記債権属性は、商品、資金使途、
及び職種の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の債権管理装置。
【請求項4】
制御部及び記憶部を備えた情報処理装置で実行される債権管理方法であって、
前記記憶部は、
債権毎の、口座番号、期首残高、毀損額、及び債権属性のデータを含む債権明細を格納する債権明細記憶手段と、
債権毎の、債務者区分、口座番号、与信残高、及び債権属性のデータを含む現在残高明細を記憶する現在残高明細記憶手段と、
を備え、
前記制御部で実行される、
前記債権明細および前記現在残高明細に基づいて、債務者区分及び債権属性毎の貸倒実績率を算出する貸倒実績算出ステップを含むことを特徴とする債権管理方法。
【請求項5】
制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための債権管理プログラムであって、
前記記憶部は、
債権毎の、口座番号、期首残高、毀損額、及び債権属性のデータを含む債権明細を格納する債権明細記憶手段と、
債権毎の、債務者区分、口座番号、与信残高、及び債権属性のデータを含む現在残高明細を記憶する現在残高明細記憶手段と、
を備え、
前記制御部において、
前記債権明細および前記現在残高明細に基づいて、債務者区分及び債権属性毎の貸倒実績率を算出する貸倒実績算出ステップを実行させるための債権管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、債権管理装置、債権管理方法、及び債権管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関では一般貸倒引当金を求めるにあたり、債務者区分(正常先、その他要注意先、要管理先)別に求めた貸倒実績率と各区分別の与信残高合計より算出している。従来、例えば、債権の信用リスクを査定する資産査定システムとして、例えば、特許文献1がある。かかる特許文献1のシステムでは、信用リスクに応じた債務者の区分及び債権の分類等の自己査定作業を含む資産査定の基礎となる基礎データを取り込む基礎データ取込部と、債務者を特定した資産査定作業の起票を自動又は作業者の指示に応じた手動にて随時のタイミングで制御する随時起票制御部とを備えている。かかる資産査定システムはさらに、資産査定作業が起票された場合に、基礎データと、作業者の知識に応じて入力される入力データと、基礎データ及び前記入力データから導出する導出データとを含む当該起票に応じた起票関連日での随時の査定データの作成を支援する随時査定支援部と、期末関連日に基礎データを新たに取り込むと共に当該基礎データと直近の査定データとに基づいて前記債務者毎に資産査定作業の起票又は直近の査定データの一部更新を制御する期末関連日処理部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、債務者区分別でしか貸倒リスクを分析することができない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、多面的に貸倒リスクを分析することが可能な債権管理装置、債権管理方法、及び債権管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた債権管理装置であって、前記記憶部は、債権毎の、口座番号、期首残高、毀損額、及び債権属性のデータを含む債権明細を記憶する債権明細記憶手段と、債権毎の、債務者区分、口座番号、与信残高、及び債権属性のデータを含む現在残高明細を記憶する現在残高明細記憶手段と、を備え、前記制御部は、前記債権明細および前記現在残高明細に基づいて、債務者区分及び債権属性毎の貸倒実績率を算出する貸倒実績算出手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記貸倒実績算出手段は、前記債権明細および前記現在残高明細に基づいて、債権属性毎の貸倒実績率を算出することにしてもよい。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記債権属性は、商品、資金使途、職種、及び貸出条件の少なくとも1つであることにしてもよい。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置で実行される債権管理方法であって、前記記憶部は、債権毎の、口座番号、期首残高、毀損額、及び債権属性のデータを含む債権明細を格納する債権明細記憶手段と、債権毎の、債務者区分、口座番号、与信残高、及び債権属性のデータを含む現在残高明細を記憶する現在残高明細記憶手段と、を備え、前記制御部で実行される、前記債権明細および前記現在残高明細に基づいて、債務者区分及び債権属性毎の貸倒実績率を算出する貸倒実績算出ステップを含むことを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための債権管理プログラムであって、前記記憶部は、債権毎の、口座番号、期首残高、毀損額、及び債権属性のデータを含む債権明細を格納する債権明細記憶手段と、債権毎の、債務者区分、口座番号、与信残高、及び債権属性のデータを含む現在残高明細を記憶する現在残高明細記憶手段と、を備え、前記制御部において、前記債権明細および前記現在残高明細に基づいて、債務者区分及び債権属性毎の貸倒実績率を算出する貸倒実績算出ステップを実行させるための債権管理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多面的に貸倒リスクを分析することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施の形態の概要を説明するための説明図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る債権管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、債権属性=商品とした場合の貸倒実績率の算出について説明するための図である。
【
図4】
図4は、債権属性=資金使途とした場合の貸倒実績率の算出について説明するための図である。
【
図5】
図5は、債権属性=職種とした場合の貸倒実績率の算出について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る債権管理装置、債権管理方法、及び債権管理プログラムの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
[1.概要]
図1を参照して、本実施の形態の概要を説明する。
図1は、本実施の形態の概要を説明するための図である。
【0015】
金融機関では一般貸倒引当金を求めるにあたり、債務者区分(正常先、その他要注意先、要管理先)別に求めた貸倒実績率と各区分別の与信残高合計より算出している。具体的には、金融検査マニュアルに基づき、債務者区分別に貸倒実績率を計算していた。しかしながら、近年、金融機関は地域産業力強化や地方創生にも引き続き前向きに取り組んでおり、その過程では、成長分野における事業リスクの顕在化、事業の再生・再構築に伴う金融支援、産業の新陳代謝などに伴って、与信ポートフォリオに過去の実績には反映されていない新たなリスクやコストが内包されている可能性がある。こうした点を踏まえると、貸倒引当金の算定にあたっては、足もとのポートフォリオ特性やリスクテイク姿勢の変化が先行きのリスクやコストに及ぼし得る影響を、適切に織り込んでいくことが重要である。
【0016】
そこで、本実施の形態では、引当金算出の手法の一つとして、債務者区分に債権属性(債権分類)を加味することでグループ別での貸倒実績率及び引当金算出を行うものである。
【0017】
図1は、通常(金融検査マニュアルに基づいた)の貸倒引当金の算出方法を説明するための図である。
図1において、
図1(A)は、顧客情報を示している。顧客情報は、期首債務者区分、店番(貸付支店番号)、及び顧客番号等を含んでいる。
【0018】
図1(B)は、債権明細を示している。債権明細は、科目(貸出科目番号:例えば、50:証書貸付、60:目的別カードローン)、口座番号(貸出口座番号)、期首残高(期首における債権残高)、及び毀損額を含んでいる。
【0019】
図1(C)は、現在残高明細を示している。現在残高明細は、債務者区分、口座番号(貸出口座番号)、及び与信残高を含んでいる。債権明細及び現在残高明細に基づいて、
図1(D)に示すように、債務者区分毎に貸倒実績率及び引当金を算出する。
図1(D)では、債務者区分毎の期首残高、毀損額、貸倒実績率、現在残高、引当金が算出されている。
図1(D)において、貸倒実績率は、貸倒実績率=(毀損額/期首残高)×100で算出する。引当金は、引当金=現在残高×貸倒実績率/100で算出する。現在残高は、債権明細とは別で管理している与信残高の合計を各債務者区分別に集計して算出する。
【0020】
図1(D)に示す例では、債務者区分「正常先」が貸倒実績率「0.75」、債務者区分「その他要注意」が貸倒実績率「7.41」、債務者区分「要管理先」が貸倒実績率「11.82」となっている。
【0021】
従来の貸倒実績率計算では、要管理先の貸倒実績率が高いことは確認できるが、内包するリスクが見えず、対策を講じることが困難と言える。
【0022】
そこで、本実施の形態では、現行の債務者区分別の考え方から、債権属性(例えば、商品、資金使途、職種、貸出条件等)を追加して、債権属性を加味した考え方を取り入れることで、グループ(細分)化した引当金を算出することにより、将来のリスク、コストへの対応を図ることができる。また、引当金算出以外においても債権属性別に集計、貸倒実績率の算出を行うことで、別の観点から将来に向けての対応を図ることができる(商品別戦略の策定等)。
【0023】
以下、具体的な構成及び動作について説明する。
【0024】
[2.構成]
本実施形態に係る債権管理装置100の構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、債権管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
債権管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、債権管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
債権管理装置100は、
図2に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。債権管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、債権管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、債権管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する記憶部106に格納されるデータは、サーバ200に格納されてもよい。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112又はマウス112として記載する場合がある。また、ユーザがモニタ114に表示して、入力装置112で操作等をすることを、「UIを介したユーザ操作」と記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。
【0030】
記憶部106は、顧客情報ファイル106aと、債権明細ファイル106bと、現在残高明細ファイル106cとを備えている。
【0031】
顧客情報ファイル106aは、顧客情報を格納するためのファイルである。顧客情報は、期首債務者区分(正常先、その他注意先、要管理先)、店番(貸付支店番号)、及び顧客番号等のデータを含んでいてもよい(
図3(A)参照)。
【0032】
債権明細ファイル106bは、債権明細を格納するためのファイルである。債務明細は、科目(貸出科目番号:例えば、50:証書貸付、60:目的別カードローン)、口座番号(貸出口座番号)、期首残高(期首における債権残高)、毀損額、及び、債権属性(商品、資金使途、職種、貸出条件等)等のデータを含んでいてもよい(
図3(B)参照)。
【0033】
現在残高明細ファイル106cは、現在残高明細を格納するためのファイルである。現在残高明細は、債務者区分、口座番号(貸出口座番号)、与信残高、及び債権属性(商品、資金使途、職種、貸出条件等)等のデータを含んでいてもよい(
図3(C)参照)。
【0034】
制御部102は、債権管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、貸倒実績算出部102aと、
データ更新部102bと、を備えている。
【0035】
貸倒実績算出部102aは、債権明細ファイル106bの債権明細及び現在残高明細に基づいて、債務者区分及び債権属性毎の貸倒実績率を算出する。また、貸倒実績算出部102aは、債権明細ファイル106bの債権明細及び現在残高明細に基づいて、債務者区分及び債権属性毎の貸倒実績率を算出する。債権属性は、例えば、商品、資金使途、債務者、及び貸出条件の少なくとも1つであることにしてもよい。
【0036】
データ更新部102bは、例えば、オペレータの操作等に基づいて、顧客情報ファイル106aの顧客情報、債権明細ファイル106bの債権情報、及び現在残高明細ファイル106cの現在残高明細等のデータを最新のものに更新する。
【0037】
[3.処理の具体例]
本実施形態に係る債権管理装置100の制御部102の処理の具体例について、
図2~
図5を参照して詳細に説明する。
図3~
図5は、本実施形態に係る債権管理装置100の制御部102の処理の具体例を説明するためのサンプルデータである。
【0038】
(1)債権属性=商品とした場合
図3を参照して、債権属性=商品とした場合の貸倒実績率の算出について説明する。
図3は、債権属性=商品とした場合の貸倒実績率の算出について説明するための図である。
【0039】
図3において、
図3(A)は顧客情報の一例を示しており、顧客情報は、期首債務者区分、店番、及び顧客番号のデータを含んでいる。
図3(B)は債権明細を示しており、債権明細には、債権属性である商品(一般融資、カードローン、教育ローン、新商品)の項目を追加している。債権明細は、科目、口座番号、期首残高、毀損額、及び債権属性である商品(一般融資、カードローン、教育ローン、新商品)等のデータを含んでいる。
図1(C)は、現在残高明細を示している。現在残高明細には、債権属性である商品(一般融資、カードローン、教育ローン、新商品)の項目を追加している。現在残高明細は、債務者区分、口座番号、与信残高、及び商品等のデータを含んでいる。
【0040】
貸倒実績算出部102aは、債権明細及び現在残高明細に基づいて、
図3(D)に示すような、債務者区分及び商品毎に、貸倒実績率及び引当金を含む情報を作成する。
図3(D)に示す情報では、債務者区分及び商品区分毎の期首残高、毀損額、貸倒実績率、現在残高、引当金が算出されている。
図3(D)に示す例では、債務者区分「その他要注意」及び商品「教育ローン」が、貸倒実績率「9.11」、債務者区分「その他要注意」及び商品「新商品」が、貸倒実績率「5.28」、債務者区分「要管理先」及び商品「新商品」が、貸倒実績率「21.88」となっている。この例では、貸倒実績率(リスク)は、債務者区分だけではなく商品も影響していることが分かる。
【0041】
貸倒実績算出部102aは、債権明細及び現在残高明細に基づいて、
図3(E)に示すような、商品毎に貸倒実績率を含む情報を作成する。
図3(E)に示す情報では、商品区分毎の期首残高、毀損額、貸倒実績率が算出されている。
図3(E)に示す例では、商品「新商品」が、貸倒実績率「13.09」、商品「教育ローン」が、貸倒実績率「9.11」となっている。この例では、新商品に対する貸倒実績率(リスク)が特に高いため、対策をとる必要がある。
【0042】
(2)債権属性=資金使途とした場合
図4を参照して、債権属性=資金使途とした場合の貸倒実績率の算出について説明する。
図4は、債権属性=資金使途とした場合の貸倒実績率の算出について説明するための図である。
【0043】
図4において、
図4(A)は顧客情報の一例を示している。
図4(B)は債権明細を示しており、債権明細には、債権属性である資金使途(不動算購入、耐久消費財購入、教育費、生活資金その他、医療費等)の項目を追加している。債権明細は、科目、口座番号、期首残高、毀損額、及び資金用途等のデータを含んでいる。
図4(C)は、現在残高明細を示している。現在残高明細には、債権属性である資金使途(不動算購入、耐久消費財購入、教育費、生活資金その他、医療費等)の項目を追加している。現在残高明細は、債務者区分、口座番号、与信残高、及び資金使途等のデータを含んでいる。
【0044】
貸倒実績算出部102aは、債権明細及び現在残高明細に基づいて、
図4(D)に示すような、債務者区分及び資金使途毎に、貸倒実績率及び引当金を含む情報を作成する。
図4(D)に示す情報では、債務者区分及び資金使途毎の期首残高、毀損額、貸倒実績率、現在残高、引当金が算出されている。
図4(D)に示す例では、債務者区分「その他要注意」及び資金使途「教育費」が、貸倒実績率「9.11」、債務者区分「要管理先」及び資金使途「生活資金その他」が、貸倒実績率「21.88」となっている。この例では、貸倒実績率(リスク)は、債務者区分だけではなく資金使途も影響していることが分かる。
【0045】
貸倒実績算出部102aは、債権明細及び現在残高明細に基づいて、
図4(E)に示すような、資金使途毎に貸倒実績率を含む情報を作成する。
図4(E)に示す情報では、資金使途毎の期首残高、毀損額、貸倒実績率が算出されている。
図4(E)に示す例では、資金使途「生活資金その他」が、貸倒実績率「13.09」となっている。この例では、資金使途が「生活資金その他」の者に対する貸倒実績率(リスク)が高いため、対策をとる必要がある。
【0046】
(3)債権属性=職種とした場合
図5を参照して、債権属性=職種とした場合の貸倒実績率の算出について説明する。
図5は、債権属性=職種とした場合の貸倒実績率の算出について説明するための図である。
【0047】
図5において、
図5(A)は顧客情報の一例を示している。
図5(B)は債権明細を示しており、債権明細には、債権属性である債務者の職種(会社員、会社役員、自営業等)の項目を追加している。債権明細は、科目、口座番号、期首残高、毀損額、及び職種等のデータを含んでいる。
図5(C)は、現在残高明細を示している。現在残高明細には、債権属性である債権属性である債務者の職種(会社員、会社役員、自営業等)の項目を追加している。現在残高明細は、債務者区分、口座番号、与信残高、及び職種等のデータを含んでいる。
【0048】
貸倒実績算出部102aは、債権明細及び現在残高明細に基づいて、
図5(D)に示すような、債務者区分及び職種毎に、貸倒実績率及び引当金を含む情報を作成する。
図5(D)に示す情報では、債務者区分及び職種毎の期首残高、毀損額、貸倒実績率、現在残高、引当金が算出されている。
図5(D)に示す例では、債務者区分「その他要注意」及び職種「会社員」が、貸倒実績率「10.65」、債務者区分「要管理先」及び職種「自営業」が、貸倒実績率「21.88」となっている。この例では、貸倒実績率(リスク)は、債務者区分だけではなく職種も影響していることが分かる。
【0049】
貸倒実績算出部102aは、債権明細及び現在残高明細に基づいて、
図5(E)に示すような、職種毎に貸倒実績率を含む情報を作成する。
図5(E)に示す情報では、職種毎の期首残高、毀損額、貸倒実績率が算出されている。
図5(E)に示す例では、職種「自営業」が、貸倒実績率「6.28」となっている。この例では、職種が「自営業」の者に対する貸倒実績率(リスク)が高いため、対策をとる必要がある。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態によれば、貸倒実績算出部102aは、債権明細および前記現在残高明細に基づいて、債務者区分及び債権属性毎の貸倒実績率を算出することとしたので、多面的に貸倒リスクを分析することが可能となる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、貸倒実績算出部102aは、債権明細および現在残高明細に基づいて、債権属性毎の貸倒実績率を算出することとしたので、債権属性毎の貸倒リスクを分析することが可能となる。
【0052】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0053】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0054】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0055】
また、債権管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0056】
例えば、債権管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU及び当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて債権管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0057】
また、このコンピュータプログラムは、債権管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0058】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0059】
また、「プログラム」とは、任意の言語又は記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成及び読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0060】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0061】
また、債権管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータ又はワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、債権管理装置100は、当該装置に本実施の形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0062】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0063】
100 債権管理装置
102 制御部
102a 貸倒実績算出部
102b データ更新部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 顧客情報ファイル
106b 債権明細ファイル
106c 現在残高明細ファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク