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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】通話録音システムおよび通話録音方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 3/58 20060101AFI20230215BHJP
   H04M 3/51 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
H04Q3/58 101
H04M3/51
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018210770
(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公開番号】P2020078000
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】北島 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆司
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-147007(JP,A)
【文献】特開2017-169037(JP,A)
【文献】特開平08-065396(JP,A)
【文献】特開2008-131277(JP,A)
【文献】米国特許第08588111(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-12/22
12/50-12/66
45/00-49/9057
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
H04Q 3/58- 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話を録音する通話録音システムであって、
構内交換機に接続された電話機と、
構内交換機から通話情報を取得する通話情報取得装置と、
構内網での音声パケットをキャプチャして録音する録音装置と、
通話情報と録音情報を保持して、前記録音装置を制御する通話録音情報管理装置とを備え、
前記電話機と前記構内交換機が接続された構内網では、IPプロトコルにより、各々の装置が通信し、
前記通話録音情報管理装置は、録音の対象となるIPアドレスを記憶したテーブルを保持し、
前記録音装置は、前記通話録音情報管理装置に、通話に係る電話機のIPアドレスをパラメータとして、録音の要否の問合せを送信し、
前記通話録音情報管理装置は、録音の対象となるIPアドレスを記憶したテーブルを参照し、前記受信したIPアドレスと録音の対象となるIPアドレスを記憶したテーブルにより、録音の要否の返答を前記録音装置に送信し、
前記録音装置は、前記通話録音情報管理装置から送信された録音の要否に従って、その通話の録音を制御し、
前記録音装置は、通話の開始時には、ネットワーク上を流れて入力される全ての音声パケットを録音することを特徴とする通話録音システム。
【請求項2】
前記録音の対象となるIPアドレスを記憶したテーブルは、内線番号とIPアドレスが対となるテーブルであることを特徴とする請求項1記載の通話録音システム。
【請求項3】
前記通話情報取得装置は、録音の対象とする内線番号のテーブルを保持し、
前記電話機の初期起動時に、前記構内交換機より、各電話機のIPアドレスを取得し、
前記通話録音情報管理装置に、録音の対象とする内線番号とIPアドレス対にして送信することを特徴とする請求項2記載の通話録音システム。
【請求項4】
前記録音装置は、前記通話録音情報管理装置に、通話に係る電話機のIPアドレスをパラメータとして、録音の要否の問合せを送信したときに、
前記通話録音情報管理装置から前記録音の要否の返答が送信されてこなかった場合は、その通話の録音を継続することを特徴とする請求項1記載の通話録音システム。
【請求項5】
通話を録音する通話録音システムの通話録音方法であって、
前記通話録音システムは、
構内交換機に接続された電話機と、
構内交換機から通話情報を取得する通話情報取得装置と、
構内網での音声パケットをキャプチャして録音する録音装置と、
通話情報と録音情報を保持して、前記録音装置を制御する通話録音情報管理装置とを備え、
前記電話機と前記構内交換機が接続された構内網では、IPプロトコルにより、各々の装置が通信するステップと、
前記通話録音情報管理装置が、録音の対象となるIPアドレスを記憶したテーブルを保持するステップと、
前記録音装置は、前記通話録音情報管理装置に、通話に係る電話機のIPアドレスをパラメータとして、録音の要否の問合せを送信するステップと、
前記通話録音情報管理装置は、録音の対象となるIPアドレスを記憶したテーブルを参照し、前記受信したIPアドレスと録音の対象となるIPアドレスを記憶したテーブルにより、録音の要否の返答を前記録音装置に送信するステップと、
前記録音装置は、前記通話録音情報管理装置から送信された録音の要否に従って、その通話の録音を制御するステップと
前記録音装置は、通話の開始時には、ネットワーク上を流れて入力される全ての音声パケットを録音するステップとを有することを特徴とする通話録音方法。
【請求項6】
前記録音の対象となるIPアドレスを記憶したテーブルは、内線番号とIPアドレスが対となるテーブルであることを特徴とする請求項5記載の通話録音方法。
【請求項7】
さらに、前記通話情報取得装置が、録音の対象とする内線番号のテーブルを保持するステップと、
前記通話情報取得装置が、前記電話機の初期起動時に、前記構内交換機より、各電話機のIPアドレスを取得するステップと、
前記通話録音情報管理装置に、録音の対象とする内線番号とIPアドレス対にして送信するステップとを有することを特徴とする請求項6記載の通話録音方法。
【請求項8】
さらに、前記録音装置が、前記通話録音情報管理装置に、通話に係る電話機のIPアドレスをパラメータとして、録音の要否の問合せを送信したときに、
前記録音装置は、前記通話録音情報管理装置から前記録音の要否の返答が送信されてこなかった場合は、その通話の録音を継続するステップを有することを特徴とする請求項5記載の通話録音方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話録音システムおよび通話録音方法に係り、特に、通話を録音するに際して、録音の取りこぼしをすることなく、録音のための計算機リソースを無駄にしないシステムを構築するのに好適な通話録音システムおよび通話録音方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コールセンタなど企業が顧客への電話対応業務をおこなう場合に、通話録音システムにより、通話録音がおこなわれるのが一般的になっている。通話録音の目的は、第一に、応対品質の向上および顧客満足度の向上がある。第二に、オペレータの聞き漏らしをサポートする業務上必須ツールとして活用するためである。また、第三に、顧客とのトラブル防止やオペレータの不正発言の防止としての意義がある。
【0003】
通話録音システムに関しては、例えば、特許文献1においては、各拠点に通話録音サーバを設置し、通話録音制御サーバで、通話録音データの検索および再生をおこなう技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-42128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、受話器をオフフックにして呼が確立した時点で、通話録音を開始するものとしている(段落番号0017)。このように、ネットワーク上に音声パケット(RTP(Real-time Transport Protocol)パケット)が流れた時点で録音を開始することによって、不要な音声パケット(録音対象外の通話)を含む全ての音声パケットを録音しており、録音情報のロストを発生させないことができる。しかしながら、従来技術の録音方法では、不要な音声パケットの録音も行っており、その分の通話録音サーバのサーバリソース(CPU、メモリ、ハードディスク等)および録音リソース(録音処理ソフトウェアのチャネル数)を消費することから、計算機リソースを浪費することになり、そのために計算機リソースを最適化することが困難である。このことから、小規模席数の通話録音システムを構築する場合においても、通話録音サーバのサーバリソース、録音リソースを余分に準備する必要があり、通話録音システム構築のコストが増大する。また、録音に必要のない通話の音声パケットを録音していたため、消費電力が増大し、運用時のコストが増加する。
【0006】
一方、通話録音サーバのリソースを最適化する方法としては、電話機が通話状態となった時点で、録音の要否を判定し、該当電話機の音声パケットの録音を開始する方法がある。しかしながら、この方法では、通話対象の電話機の監視に失敗した場合(ネットワーク遅延、パケットロスト等)には、該当電話機に対する録音開始の遅延や録音未実施により、録音できないケースがあり、録音品質が低下する問題がある。
【0007】
また、通話録音サーバに、録音対象の電話機を識別する情報(例えば、IPアドレス)を設定し、その電話機の音声パケットのみを録音する方法も考えられる。しかしながら、通話システムがDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)などにより、電話機に動的IPアドレスが設定された場合には、設定した録音対象の電話機を識別する情報(IPアドレス)と実際の録音対象の電話機のIPアドレスが不一致となり、録音を行えないケースがある。
【0008】
本発明の目的は、通話を録音するに際して、録音の取りこぼしをすることなく、録音のための計算機リソースを無駄に消費しない通話録音システムおよび通話録音方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る通話録音システムは、好ましくは、通話を録音する通話録音システムであって、構内交換機に接続された電話機と、構内交換機から通話情報を取得する通話情報取得装置と、構内網での音声パケットをキャプチャして録音する録音装置と、通話情報と録音情報を保持して、録音装置を制御する通話録音情報管理装置とを備え、電話機と構内交換機が接続された構内網では、IPプロトコルにより、各々の装置が通信し、通話録音情報管理装置は、録音の対象となるIPアドレスを記憶したテーブルを保持し、録音装置は、通話録音情報管理装置に、通話に係る電話機のIPアドレスをパラメータとして、録音の要否の問合せを送信し、通話録音情報管理装置は、録音の対象となるIPアドレスを記憶したテーブルを参照し、受信したIPアドレスと録音の対象となるIPアドレスを記憶したテーブルにより、録音の要否の返答を録音装置に送信し、録音装置は、通話録音情報管理装置から送信された録音の要否に従って、その通話の録音を制御するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通話を録音するに際して、録音の取りこぼしをすることなく、録音のための計算機リソースをむだに消費しない通話録音システムおよび通話録音方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】通話録音システムの全体構成図である。
図2図1に追加して通話録音システムの処理の流れを示す図である。
図3】通話録音情報管理装置のハードウェア・ソフトウェア構成を示す図である。
図4】録音内線情報テーブルの一例を示す図である。
図5】録音内線IPアドレス対応テーブルの一例を示す図である。
図6】通話情報テーブルの一例を示す図である。
図7】録音情報テーブルの一例を示す図である。
図8】録音対象となる電話機での通話における処理のシーケンス図である。
図9】録音対象とならない電話機での通話における処理のシーケンス図である。
図10】通話録音情報管理装置に障害が発生したときの処理のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1ないし図10を用いて説明する。
先ず、図1ないし図3を用いて、通話録音システムの構成と処理の概要について説明する。
【0013】
先ず、図1を用いて通話録音システムの全体構成を説明する。
通話録音システムは、図1に示されるように、IP-PBX(Private Branch eXchange:構内交換機)400、通話情報取得装置200、通話録音情報管理装置100、通話録音装置300、電話機10、ネットワークスイッチ50から構成され、各々がネットワークスイッチ50により、IPプロトコルにより、構内接続されている。本実施形態の通話録音システムは、顧客等の電話機(図示せず)から公衆網5を介して接続されるIP-PBX400が、ネットワークスイッチ50を介して、構内の電話機10と接続し通話をする場合にその通話を録音することを可能とする。
【0014】
IP-PBX400は、顧客等の電話機からの呼を受けて、構内網と公衆網5のプロトコル変換、回線交換、発着信の呼制御などをおこなう装置である。
【0015】
通話情報取得装置200は、IP-PBX400から、通話情報(通話時刻、内線番号など)を取得する装置である。
【0016】
録音装置300は、電話機10でやりとりされる通話の音声パケット(RTPパケット)を、ネットワークスイッチ50経由で、録音データとして録音する装置である。
【0017】
通話録音情報管理装置100は、通話情報と、録音情報を対応付けて管理し、録音装置を制御するための装置である。
【0018】
ネットワークスイッチ50は、構内網での各機器のネットワーク接続をおこなう装置である。
【0019】
電話機10は、内線番号を付与されており、構内での電話機、または、外部の電話機と接続して通話をおこなう装置である。以下では、内線番号が付与された構内の電話機を、内線電話機10ということにする。
【0020】
通話情報取得装置200は、機能構成として、通話情報取得部210、内線情報取得部220、通話情報・内線情報送信部230、記憶部240を有する。
【0021】
通話情報取得部210は、IP-PBX400から通話情報を取得する機能部である。内線情報取得部220は、IP-PBX400から、電話機10の内線情報、IPアドレス情報を取得する機能部である。通話情報・内線情報送信部230は、取得した通話情報、内線情報を通話録音情報管理装置100に送信する機能部である。記憶部240は、取得した情報および管理のために必要な情報を保持する機能部である。記憶部240は、録音内線情報テーブル550を保持する。
【0022】
通話録音情報管理装置100は、機能構成として、通話情報登録部110、内線情報登録部120、録音内線制御部130、録音情報登録部140、記憶部150を有する。
【0023】
通話情報登録部110は、通話情報取得装置200から送信される通話情報を登録する機能部である。内線情報登録部120は、通話情報取得装置200から受信した内線電話機10の内線番号とIPアドレスの情報を登録する機能部である。録音内線制御部130は、内線電話機10の録音を継続するか否かを判断する機能部である。録音情報登録部140は、通話録音装置300から送信される録音情報560と録音データ570を登録する機能部である。記憶部150は、通話録音装置の制御情報、録音の制御情報、録音ファイルを保持する機能部である。記憶部150は、録音内線IPアドレス対応テーブル510、通話情報テーブル520、録音情報テーブル530、録音ファイル540を保持する。
【0024】
通話録音装置300は、機能構成として、録音制御部310と、録音情報送信部320、記憶部330を有する。
【0025】
録音制御部310は、ネットワーク上の音声パケットをキャプチャして、録音を行う機能部である。録音情報送信部320は、録音情報560、録音データ570を通話録音情報管理装置100に送信する機能部である。記憶部330は、録音に関するデータを保持する機能部である。記憶部330は、録音情報560、録音データ570を保持する。
なお、各テーブルの構造は、後に詳説する。
【0026】
次に、図2を用いて通話録音システムの処理の概要について説明する。
ここで、通話情報録音装置200の録音内線情報テーブル550に、内線1001が録音対象の内線として登録されており、内線1002は録音対象の内線として登録されていないものとする。また、内線1001の電話機には、IPアドレスとして、10.10.10.1が設定されており、内線1002の電話機には、IPアドレスとして、10.10.10.2が設定されているものとする。
【0027】
先ず、各内線電話機10の初期起動のタイミングで、通話情報取得装置200の内線情報取得部220は、IP-PBX400から、内線情報(電話機10(内線番号1001)の内線番号とIPアドレス)を取得する(A00)。
【0028】
次に、通話情報取得装置200の通話情報・内線情報送信部230は、通話録音情報管理装置100に、録音対象となる電話機10の内線情報(録音の対象となる内線番号とIPアドレス)を送信し(A01)、通話録音情報管理装置100の内線情報登録部120は、録音内線IPアドレス対応テーブル510に、録音の対象となる内線番号とIPアドレスを登録する。
【0029】
一方、録音対象内線電話機(内線1001の電話機10)、録音対象外内線電話機(内線1002の電話機10)に関わらず、内線電話機10で通話を開始したタイミングでネットワーク上に音声パケットが流れ、自動的に通話録音装置300で録音を開始する(A04)。この時点で、通話録音装置300のサーバリソース、録音リソースが占有される。
【0030】
また、通話を開始したタイミングで、通話情報取得装置200の通話情報取得部210は、IP-PBX400から、通話情報を取得する(A02a)。次に、通話情報取得装置200の通話情報・内線情報送信部230は、通話録音情報管理装置100に、通話情報を送信し(A03a)、通話録音情報管理装置100の通話情報登録部110は、通話情報テーブル520に、通話情報を登録する。
【0031】
その後、通話録音装置300の録音制御部310は、通話録音情報管理装置100の録音内線制御部130に対して、音声パケットのIPアドレスをパラメータとして送信し、録音対象の内線電話機10か否かの問合せを行う(A05)。
【0032】
通話録音情報管理装置100では、録音内線IPアドレス対応テーブル510と送信されたIPアドレスを比較し、録音内線IPアドレス対応テーブル510内のIPアドレスと一致するものがある場合には、録音継続指示を通話録音装置300に送信し、録音内線IPアドレス対応テーブル510内のIPアドレスと一致するものがない場合には、録音停止指示を通話録音装置300に送信する(A06)。
【0033】
通話録音装置300では、録音停止指示を受け取ると、該当IPアドレスの音声パケットを破棄し、録音を終了する。この時点で、該当通話の録音に関する通話録音装置のサーバリソース、録音リソースを解放する。
【0034】
通話終了時には、通話情報取得装置200の通話情報取得部210は、IP-PBX400から、通話終了時刻を取得する(A02b)。次に、通話情報取得装置200の通話情報・内線情報送信部230は、通話録音情報管理装置100に、通話終了時刻を送信し(A03b)、通話録音情報管理装置100の通話情報登録部110は、通話情報テーブル520に、通話終了時刻を登録する。
【0035】
通話終了後は、通話録音装置300のおける該当通話の録音を停止し、占有していたサーバリソース、録音リソースを解放する。その後、通話録音装置300から通話録音情報管理装置100に対して、録音対象内線電話機10(内線番号1001)の録音情報560と録音データ570の送信を行う(A07)。
【0036】
次に、図3を用いて通話録音情報管理装置のハードウェア・ソフトウェア構成について説明する。
通話録音情報管理装置100のハードウェア構成としては、例えば、図3に示されるサーバ装置のような一般的な情報処理装置で実現される。
【0037】
通話録音情報管理装置100は、CPU(Central Processing Unit)702、主記憶装置704、ネットワークI/F706、表示I/F708、入出力I/F710、補助記憶I/F712が、バスにより結合された形態になっている。
【0038】
CPU702は、通話録音情報管理装置100の各部を制御し、主記憶装置704に必要なプログラムをロードして実行する。
【0039】
主記憶装置704は、通常、RAMなどの揮発メモリで構成され、CPU702が実行するプログラム、参照するデータが記憶される。
【0040】
ネットワークI/F706は、ネットワークと通話録音情報管理装置100を接続するためのインタフェースである。
【0041】
表示I/F708は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置720を接続するためのインタフェースである。
【0042】
入出力I/F710は、入出力装置を接続するためのインタフェースである。図3の例では、キーボード730とポインティングデバイスのマウス732が接続されている。
【0043】
補助記憶I/F712は、HDD(Hard Disk Drive)750やSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を接続するためのインタフェースである。
【0044】
HDD750は、大容量の記憶容量を有しており、本実施形態を実行するためのプログラムが格納されている。通話録音情報管理装置100には、通話情報登録プログラム601、内線情報登録プログラム602、録音内線制御プログラム603、録音情報登録プログラム604がインストールされている。
【0045】
通話情報登録プログラム601、内線情報登録プログラム602、録音内線制御プログラム603、録音情報登録プログラム604は、それぞれ通話情報登録部110、内線情報登録部120、録音内線制御部130、録音情報登録部140の機能を実行するプログラムである。
【0046】
通話情報取得装置200は、図3で示した通話録音情報管理装置100のような一般的なサーバ装置でもよいし、ゲートウェイのようなネットワーク装置にその機能を持たせてもよい。
【0047】
通話録音装置300は、一般的なパーソナルコンピュータのような情報処理装置で録音してもよいし、録音と他の機器とのインタフェース機能を持たせたような専用の装置でもよい。
【0048】
次に、図4ないし図7を用いて本実施形態の通話録音システムで使用されるデータ構造について説明する。
【0049】
録音内線情報テーブル550は、録音の対象となる内線番号を保持するテーブルであり、通話情報取得装置200に保持される。録音内線情報テーブル550は、図4に示されるように、内線番号550aのフィールドよりなる。
【0050】
内線番号550aには、録音の対象となる内線番号が格納される。例えば、内線番号1001は、顧客からの問合せに使用される内線番号であり、この内線番号にかかる電話を録音しなければならない場合などに、その内線番号をこのテーブルに保持する。
【0051】
録音内線IPアドレス対応テーブル510は、録音の対象となる内線番号と内線番号を割振られた内線電話機10のIPアドレスの対応を示すテーブルであり、通話録音情報管理装置100に保持される。録音内線IPアドレス対応テーブル510は、図5に示されるように、内線番号510a、IPアドレス510bの各フィールドよりなる。内線番号510aには、録音の対象となる内線番号が格納される。IPアドレス510bには、内線番号510aの内線電話機10のIPアドレスが格納される。この例では、録音対象となる内線番号1001の内線電話機10のIPアドレスが10.10.10.1であることを示している。
【0052】
通話情報テーブル520は、通話に関する情報を保持するためのテーブルであり、通話録音情報管理装置100に保持される。通話情報テーブル520は、図6に示されるように、通話ID520a、発信電話番号520b、内線番号520c、IPアドレス520d、通話開始時刻520e、終了時刻520fの各フィールドよりなる。
【0053】
通話ID520aには、通話を識別するための識別子が格納される。通話先電話番号520bには、その通話の通話先の電話番号が格納される。内線番号520cには、通話を行った内線の内線番号が格納される。IPアドレス520dには、通話を行った内線電話機10のIPアドレスが格納される。通話開始時刻520e、通話終了時刻520fには、それぞれ通話の開始と終了の時刻が、yyyymmddhhmmssの形式で格納される。
【0054】
録音情報テーブル530は、通話の録音に関する情報を保持するためのテーブルであり、通話録音情報管理装置100に保持される。録音情報テーブル530は、図7に示されるように、録音ID530a、通話ID530b、IPアドレス530c、録音開始時刻530d、録音終了時刻530e、音声ファイル540fの各フィールドよりなる。
【0055】
録音ID530aには、通話の録音を一意に識別するための識別子が格納される。通話ID530bには、録音に係る通話を一意に識別するための識別子が格納される。IPアドレス530cには、録音した通話に係る内線電話機10のIPアドレスが格納される。録音開始時刻530d、録音終了時刻530eには、それぞれ録音の開始と終了の時刻が、yyyymmddhhmmssの形式で格納される。音声ファイル530fには、音声ファイルのファイル名(通話録音情報管理装置100におけるファイルシステム上のパス名)が格納される。
【0056】
次に、図8ないし図10を用いて通話録音システムでの処理の詳細について説明する。
【0057】
先ず、図8を用いて、録音対象となる電話機での通話における処理を説明する。
内線電話機10の初期起動のタイミングで、通話情報取得装置200の内線情報取得部220は、IP-PBX400から内線電話機10のIPアドレスを取得し(図示せず)、通話情報取得装置200の通話情報・内線情報送信部230から、通話録音情報管理装置100の内線情報登録部120に、録音内線情報テーブル550を参照して、録音の対象となる内線番号とIPアドレスの情報を送信する(A101)。
【0058】
通話録音情報管理装置100の内線情報登録部120は、受信した内線番号とIPアドレスの情報を録音内線IPアドレス対応テーブル510に格納する(A102)。
【0059】
通話が開始されると(S01)、通話情報取得装置200の通話情報取得部210は、IP-PBX400から通話に関する情報を取得し(図示せず)、通話情報取得装置200の通話情報・内線情報送信部230から、通話録音情報管理装置100の通話情報登録部110に、通話に関する情報を送信する(A106)。
【0060】
通話録音情報管理装置100の通話情報登録部110は、受信した通話情報を通話情報テーブル520に格納する(A107)。
【0061】
また、通話が開始されると(S01)、通話録音装置300では、その音声パケットを受信し、サーバリソース、録音リソースが占有された状態になる。そして、通話録音装置300の録音制御部310から通話録音情報管理装置100の録音内線制御部130に対して、録音中の音声パケットのIPアドレスを送信して、録音可否の問合せを行う(A103)。
【0062】
通話録音情報管理装置100の録音内線制御部130は、録音内線IPアドレス対応テーブル510の情報を読み出し(A104、A105)、通話録音装置300から受信したIPアドレスと録音内線IPアドレス対応テーブル510に格納されているIPアドレスを比較する(S02)。通話録音装置300から受信したIPアドレスと録音内線IPアドレス対応テーブル510に格納されているIPアドレスを比較した結果、一致するものがあった場合には、その内線電話機10の通話は、録音すべきものであるので、録音継続指示を通話録音装置300の録音制御部310に送信する(A110)。
【0063】
通話録音装置300の録音制御部310は、録音を継続し(S02)、通話が終了する(S03)。
【0064】
通話が終了したタイミングで、通話情報取得装置200の通話情報取得部210は、IP-PBX400から通話終了時刻を取得し(図示せず)、通話情報取得装置200の通話情報・内線情報送信部230から、通話録音情報管理装置100の通話情報登録部110に、通話終了時刻を送信する(A108)。
【0065】
通話録音情報管理装置100の通話情報登録部110は、受信した通話終了時刻を通話情報テーブル520に格納する(A109)。
【0066】
また、通話が終了したタイミングで、該通話録音装置300の録音制御部310は、該当通話の録音を停止し、占有していたサーバリソース、録音リソースを解放する。その後、通話録音装置300の録音情報送信部320から録音情報560、録音データ570を、通話録音情報管理装置100の録音情報登録部140に送信する(A111)。そして、録音情報登録部140は、録音情報560を録音情報テーブル530に格納し、録音データ570を録音ファイル540として記憶する(A112)。
【0067】
次に、図9を用いて、録音対象とならない電話機での通話における処理について説明する。
通話が開始されると(S11)、通話録音装置300では、その音声パケットを受信し、サーバリソース、録音リソースが占有された状態になる。そして、通話録音装置300の録音制御部310から通話録音情報管理装置100の録音内線制御部130に対して、録音中の音声パケットのIPアドレスを送信して、録音可否の問合せを行う(A201)。
【0068】
通話録音情報管理装置100の録音内線制御部130は、録音内線IPアドレス対応テーブル510の情報を読み出し(A202、A203)、通話録音装置300から受信したIPアドレスと録音内線IPアドレス対応テーブル510に格納されているIPアドレスを比較する(S12)。通話録音装置300から受信したIPアドレスと録音内線IPアドレス対応テーブル510に格納されているIPアドレスを比較した結果、一致するものがない場合には、その内線電話機10の通話は、録音すべきものではないので、録音停止指示を通話録音装置300の録音制御部310に送信する(A204)。
【0069】
録音制御部310では、該当内線電話機の録音を停止(音声パケットの受信を停止)(S13)し、占有していたサーバリソース、録音リソースを解放する。
その後に、通話が終了する(S14)。
【0070】
次に、図10を用いて、通話録音情報管理装置に障害が発生したときの処理について説明する。
通話録音情報管理装置100に障害が発生したとする(S31)。これは、通話録音情報管理装置100自体の問題である場合もありうるし、通話録音情報管理装置100と通話録音装置300を接続するネットワークスイッチ50またはネットワークの問題である場合もありうる。
【0071】
通話が開始され(S32)、通話録音装置300は、音声パケットを受信したタイミングで、通話録音装置300の録音制御部310から通話録音情報管理装置100の録音内線制御部130に対して、録音中の音声パケットのIPアドレスを送信して、録音の可否を問い合わせるが、問い合わせの送信に失敗する(A301、A302)。このときには、通話録音情報管理装置100からFailedメッセージが返信されることもありうるし、一定期間、まったく、応答しないこともありうる。
【0072】
この場合に、録音制御部310は、通話録音情報管理装置100の通信不可のため、該当内線電話機を録音対象と推定し、録音を継続する(S33)。
【0073】
通話終了(S34)後に、通話録音情報管理装置100の障害が回復したとする(S35)。
このとき、通話情報取得装置200の通話情報・内線情報送信部230から、通話録音情報管理装置100の通話情報登録部110に、既に、IP-PBX400から取得している通話に関する情報(通話終了時刻を含む)を送信する(A303)。そして、通話録音情報管理装置100の通話情報登録部110は、受信した通話情報を通話情報テーブル520に格納する(A304)。
【0074】
また、障害が回復したタイミングで(これは、通話録音装置300から通話録音情報管理装置100に一定周期ごとに通信のリトライを行うことにより可能になる)、通話録音装置300の録音情報送信部320から録音情報560、録音データ570を、通話録音情報管理装置100の録音情報登録部140に送信する(A305)。そして、録音情報登録部140は、録音情報560を録音情報テーブル530に格納し、録音データ570を録音ファイル540として記憶する(A306)。
【0075】
このように、本実施形態の通話録音システムにおいては、通話録音装置300から通話録音情報管理装置100に対して、該当内線電話機10が録音対象の内線電話機か否かを問合せることができない場合には、該当内線電話機を録音対象内線電話機と推定し、該当通話を録音することにする。この動作により、障害時においても、通話の録音の取りこぼしを防ぐことが可能になり、録音品質の低下を防止することができる。
【0076】
以上のように、本実施形態によれば、通話が開始されると、通話録音装置300は、ネットワーク上を流れる音声パケットの格納を始めるので、録音の取りこぼしをすることはない。そして、その後に、通話録音装置300は、録音に係る内線電話機10のIPアドレスをキーにして、通話録音情報管理装置100に録音の要否を問合せ、録音を継続しないという指示を受けたときには、通話録音装置300のサーバリソースおよび録音リソースを解放するために、計算機リソースをむだに消費することを防止することができる。
【符号の説明】
【0077】
5…公衆網、10…(内線)電話機、50…ネットワークスイッチ、100…通話録音情報管理装置、200…通話情報取得装置、300…通話録音装置、400…IP-PBX、
510…録音内線IPアドレス対応テーブル、520…通話情報テーブル、530…録音情報テーブル、540…録音ファイル、550…録音内線情報テーブル、560…録音情報、570…録音データ
図1
図2
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図4
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図6
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図8
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図10