(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】脚付家具
(51)【国際特許分類】
A47B 3/08 20060101AFI20230215BHJP
A47C 4/04 20060101ALI20230215BHJP
A47C 11/00 20060101ALI20230215BHJP
A47C 7/00 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
A47B3/08 Z
A47C4/04 C
A47C11/00
A47C7/00 A
(21)【出願番号】P 2018221273
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-09-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.展示会名:2018YAMAZENハードウェアショー 展示日:平成30年9月4日~7日 2.販売場所:別紙参照 販売日:平成30年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】595130034
【氏名又は名称】株式会社山善
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 徹二
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-063501(JP,U)
【文献】実開昭57-154335(JP,U)
【文献】登録実用新案第3087415(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 3/00-3/091
A47C 4/04
A47C 11/00
A47C 7/00
A47C 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と、該天板部の一面の両側のうち少なくとも一方側に軸支された脚部と、前記天板部の一面に設けられて前記天板部と前記脚部を連結する連結機構部とを備え、前記脚部は、前記天板部の一面に折畳まれた折畳状態と、前記天板部の一面から突出した立脚状態とに切替自在とされた脚付家具であって、
一端が前記天板部の一面の中央側に軸支され、他端が前記脚部へ向けて延長される第一杆状部材と、一端が前記第一杆状部
材の他端に共通軸を介して軸支され、他端が前記脚部に軸支された第二杆状部材とを備え、
前記脚部が折畳状態へ切替わると、前記第一杆状部
材と前記第二杆状部材とが屈曲して連結するよう前記第一杆状部材および第二杆状部材が回動し、
前記脚部が立脚状態へ切替わると、前記第一杆状部材と前記第二杆状部材とが略直線状に連結するよう前記第一杆状部材および第二杆状部材が回動するよう構成され、
前記第一と第二の一方の杆状部材は、前記共通軸から長さ方向に突設された突出部を備え、
前記第一と第二の他方の杆状部材は、前記共通軸から長さ方向において前記突出部と同じ方向に延長された延設部を備え、
前記第一杆状部材と前記第二杆状部材の軸支部分に設けられ、前記第一杆状部材または前記第二杆状部材の軸支による回動を規制するよう、前記突出部と前記延設部の一方の部位に配置された爪軸周りに回動する爪部材とを備え、
該爪部材は、前記第一杆状部材と前記第二杆状部材との屈曲側への回動を前記突出部と前記延設部の他方の部位に係止することで規制する規制姿勢と、規制を解除して前記第一杆状部材および前記第二杆状部材の回動を許容すべく回避した解除姿勢とに切替え可能に構成されたことを特徴とする脚付家具。
【請求項2】
前記脚部は前記天板部の板面の一面の長さ方向の一方側において幅方向の両側に離間して一対で配置され、前記第二杆状部材は、前記第一杆状部材の他端と一対の前記脚部との間に一対で配置され、
前記爪部材は、前記第一杆状部材の他端と前記第二杆状部材と一端との軸支部分において、前記第二杆状部材のうちの一方に軸支されて、前記第一杆状部材および前記第二杆状部材の軸支部分の回動を規制する請求項1に記載の脚付家具。
【請求項3】
前記略直線状に連結した前記第一杆状部材と前記第二杆状部材との軸支部分に外嵌する筒状部材が、前記第一杆状部材に移動可能に設けられた請求項1または請求項2に記載の脚付家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子等の脚付家具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、従来の椅子(脚付家具の一例)が開示されている。特許文献1に記載の椅子は、矩形の天板の下面に、一辺に離間して設けた一方の一方脚部と、天板のうち他辺に離間して設けた他方の他方脚部とを備え、一方脚部および他方脚部はそれぞれ一対で配置される。また、椅子は、天板の下面に対して立脚した立脚状態、天板の下面に収容された折畳状態とに切替える切替機構部を備えている。
【0003】
それぞれの切替機構部は、一方脚部と他方脚部とで対称構成であるので、一方の切替機構部について説明する。切替機構部は、天板の中央部において、下面に沿って他方脚部に延長されたレール部材と、レール部材に外嵌されてレール部材に対してスライドするスライド機構部と、スライド部材の両側に基端が連結され、両側の一方脚部に先端が連結された一対の連結アームとを備える。
【0004】
スライド機構部は、レール部材の挿通口を有しレール部材に外嵌されてスライド自在とされるスライド部材と、スライド部材内でレール部材に巻付けられた付勢手段(ばね)と、スライド部材の内側部分から外側部分へ延長されて付勢手段を圧縮または圧縮解除する摩擦部材と、摩擦部材のうちスライド部材の外側部分へ延長された領域に連結されたレバーを備えている。また、付勢手段は、スライド部材の挿通口の一端をばね座とするとともに、摩擦部材の内側部分をばね座としている。また、レバーは、摩擦部材の外側部分を把持してスライド部材に隣接して設けられるとともに、レール部材の軸心方向に摺動自在である。
【0005】
上記のような切替機構部では、レバーをレール部材の軸心方向にスライドさせる動作に伴って、摩擦部材の内側部分が付勢手段の圧縮を解除して、スライド部材に対してレール部材をスライド不能とさせたり(以下、ロック状態)、摩擦部材の内側部分が付勢手段を圧縮して、スライド部材に対してレール部材をスライド可能とさせたり(以下、ロック解除状態)する。
【0006】
そして、特許文献1の椅子では、ロック状態にある脚部の折畳状態から、ロック解除状態として、スライド部材をレール部材の軸心方向にスライドさせることで脚部を回動させて、脚部を立脚状態としている。また特許文献1には、脚部を折畳状態へ向かって回動させようとする外力が大きく作用しても、その回動を防ぐことができる、との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の椅子では、切替機構部において、ロック解除状態およびロック状態として、天板に対して脚部を立脚状態および折畳状態としている。しかしながら、切替機構部は、レール部材と、スライド機構部と、連結アームとを備え、しかもスライド機構部は、上記のようなスライド部材と、付勢手段、摩擦部材、レバーを備えた構成を有している。
【0009】
このような切替機構部は、構成が複雑である。また、切替機構部の構成が複雑であるから、切替機構部の精度も不安定になりがちである。したがって、特許文献1の椅子では、脚部を折畳状態へ向かって回動させようとする外力が作用してその回動を防ぐことができるとの記載はあるものの、脚部に外力が作用すると、脚部を立脚状態から折畳状態へ戻してしまう懸念がある。
【0010】
そこで本発明は、簡単な構成であっても、脚部の立脚状態を確実に保持できる脚付家具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の脚付家具は、天板部と、該天板部の一面の両側のうち少なくとも一方側に軸支された脚部と、前記天板部の一面に設けられて前記天板部と前記脚部を連結する連結機構部とを備え、前記脚部は、前記天板部の一面に折畳まれた折畳状態と、前記天板部の一面から突出した立脚状態とに切替自在とされ、一端が前記天板部の一面の中央側に軸支され、他端が前記脚部へ向けて延長される第一杆状部材と、一端が前記第一杆状部の他端に軸支され、他端が前記脚部に軸支された第二杆状部材とを備え、前記脚部が折畳状態へ切替わると、前記第一杆状部と前記第二杆状部材とが屈曲して連結するよう前記第一杆状部材および第二杆状部材が回動し、前記脚部が立脚状態へ切替わると、前記第一杆状部材と前記第二杆状部材とが略直線状に連結するよう前記第一杆状部材および第二杆状部材が回動するよう構成され、前記第一杆状部材と前記第二杆状部材の支軸部分に設けられ、前記第一杆状部材または前記第二杆状部材の軸支による回動を規制する爪部材とを備え、該爪部材は、前記第一杆状部材と前記第二杆状部材とが屈曲側への回動を前記第一杆状部材と前記第二杆状部材の係止によって規制する規制姿勢と、規制を解除して前記第一杆状部材および前記第二杆状部材の回動を許容すべく回避した解除姿勢とに切替え可能に構成されたことを特徴としている。
【0012】
上記本発明の構成を有する脚付家具は、脚部を折畳状態から立脚状態へ回動すると、第一杆状部材および第二杆状部材が屈曲した状態から展開して直線状に連結した立脚状態となり、連結機構部においては、第一杆状部材または第二杆状部材に配置された爪部材を、第一杆状部材と第二杆状部材との軸支部分に係止した規制姿勢とすることで、第一杆状部材および第二杆状部材が規制され、脚部の回動も規制され、天板部の安定が保持される。
【0013】
本発明の脚付家具では、前記脚部は前記天板部の板面の一面の長さ方向の一方側において幅方向の両側に離間して一対で配置され、前記第二杆状部材は、前記第一杆状部材の他端と一対の前記脚部との間に一対で配置され、前記爪部材は、前記第一杆状部材の他端と前記第二杆状部材と一端との軸支部分において、前記第二杆状部材のうちの一方に軸支されて、前記第一杆状部材および前記第二杆状部材の軸支部分の回動を規制した構成を採用することができる。
【0014】
上記構成を有する脚付家具では、軸支部分に配置された爪部材を回動させることで、第一杆状部材および第二杆状部材が規制姿勢となり、前記回動とは反対方向に爪部材を回動させることで、第一杆状部材および第二杆状部材を回避した解除姿勢とすることができる。
【0015】
本発明の脚付家具では、前記略直線状に連結した前記第一杆状部材と前記第二杆状部材との軸支部分に外嵌する筒状部材が、前記第一杆状部材に移動可能に設けられた構成を採用することができる。
【0016】
上記構成の脚付家具では、規制姿勢の、爪部材による第一杆状部材または第二杆状部材の回動規制に加えて、第一杆状部材に移動可能に設けられた筒状部材を、第一杆状部材および第二杆状部材の軸支部分に外嵌することで、第一杆状部材および第二杆状部材の軸支部分の回動を規制する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の脚付家具では、第一杆状部材または第二杆状部材に配置された爪部材を、第一杆状部材と第二杆状部材との軸支部分に係止した規制姿勢とすることで、第一杆状部材および第二杆状部材が天板部における一面側へ回動するのを規制するから、脚部においても天板部の一面側へ回動するのを規制され、簡単な構成であっても、板面の一面の両側に軸支された脚部の立脚状態が保持される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態のベンチにおいて、脚部を立脚状態とした正面図である。
【
図4】同天板部どうしを折畳んで二つ折りにした斜視図である。
【
図5】同爪部材の斜視図であり、(a)は爪部材を回動する前の斜視図、(b)は爪部材のロック状態の斜視図である。
【
図6】同天板部の一面を上にした筒状部材の配置を示す正面図であり、(a)は第一杆状部材にスライド可能とした正面図、(b)は第一杆状部材と第二杆状部材に嵌合した後の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る脚付家具を、ガーデンベンチ等のベンチ(椅子)において、
図1ないし
図6を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、ベンチ1は、複数人の使用者が腰掛けることが可能なベンチ本体2を備えている。ベンチ本体2は、平板上(板状)に形成された一対の天板部3,3を備える。ここでベンチ1の構造の便宜上、使用者が腰掛ける天板部3,3の板面を他面4とし、他面4に平行な板面の面を天板部3,3の一面5とする。
【0021】
天板部3,3は、その二方で一面5側に立設される壁部6,6と、壁部6,6の端部を連結して天板部3,3の一面5側に立設される連設壁部8,8とを備えている。二枚の天板部3,3は、連設壁部8,8に平行な本体支軸9を介して、天板部3,3の中心で回動自在に構成されている。以下、連設壁部8,8に平行な方向をベンチ1の幅と特定し、壁部6,6に沿った方向をベンチ1の長さ(軸方向)と特定する。
【0022】
ベンチ1は、ベンチ本体2を、家屋の庭園(以下、基準面Dとする)に支持させるための支持装置10を備える。この支持装置10は、各天板部3,3の一面5に備え、また、長さ方向に一対で配置されている。すなわち、支持装置10は、ベンチ1に四箇所設けられている。支持装置10の構成は、ベンチ1の長さ方向で略同一であり、配置が異なるのみであるので、一箇所の支持装置10の説明で他の支持装置10の構成の説明を兼用する。
【0023】
図2に示すように、支持装置10は、脚部11と、連結機構部12とを備える。脚部11は回動部材13を備え、回動部材13は、連設壁部8寄りに配置されている。回動部材13は、連設壁部8の近傍で、天板部3の幅方向に沿って配置された回動支軸(図示せず)周りに回動自在に軸支されている。また、回動部材13は円筒状のパイプから構成され、その外径は、壁部6,6、連設壁部8の高さよりも低く設定されている。
【0024】
脚部11は、回動部材13の外周に固定された一対の脚14,14を備える。脚14,14は、円筒状のパイプから構成されている。脚14,14の外径は、壁部6,6、連設壁部8の高さよりも低く設定されている。脚14,14の基端は、回動部材13において幅方向に離間した位置に配置され、脚14,14の先端は、基端よりも幅方向に離間して配置される。また、脚14,14の先端から基端までは、天板部3の長さの半分よりも短く設定されている。脚14,14どうしの離間位置は、壁部6,6どうしの離間位置よりも小さく設定されている。脚14,14の軸方向途中は、補強部材15によって補強され、補強部材15は、脚14,14の外側に配置されている。
【0025】
前述のように、回動部材13は、天板部3の幅方向に沿って配置された回動支軸周りに回動自在に軸支されていることから、脚部11は、
図3に示すとおり、回動部材13周りの回動により天板部3の一面5に折畳まれた折畳状態X1(後に詳述する)と、
図2に示すように、天板部3の一面5から直角となるよう突出した立脚状態X2(後に詳述)とに切替自在とされる。
【0026】
図2,
図3に示すように、連結機構部12は、天板部3と脚部11とを連結するよう構成されている。連結機構部12は、ベース部材16と、第一杆状部材17と、第二杆状部材18,18と、爪部材19と、筒状部材20とを備える。
【0027】
ベース部材16は、天板部3の長さ方向、且つ幅方向の略中心に配置され、天板部3の一面5に固定された幅方向両側の取付部21と、取付部21に対し天板部3の一面5から突出するよう形成された突出部22とを備える。
【0028】
第一杆状部材17は、略円筒状のパイプから形成されている。第一杆状部材17の外径は、壁部6,6、連設壁部8の高さよりも低く設定されている。第一杆状部材17の基端である第一基端23は、天板部3の一面に軸支されている。具体的には、第一基端23は、ベース部材16の突出部22に、天板部3の幅方向に沿って配置された第一基端軸24を介して連結されている。
【0029】
第一基端軸24は、突出部22の長手方向の一端側に配置され、これに伴い、第一基端23は突出部22の長手方向の一端側に配置されている。つまり、第一杆状部材17は、第一基端軸24周りに軸支されて、第一基端軸24周りに回動可能である。また、
図2に示すように、第一杆状部材17の先端である第一先端25は、脚部11の方向に向けられる。この第一先端25の先は、円弧状に形成した円弧面25aである。なお、第一杆状部材17の第一基端23および第一先端25は、幅方向に対して扁平に形成されている。
【0030】
第二杆状部材18,18は、第一杆状部材17の第一先端25と両脚14,14とを連結するものであり、したがって第二杆状部材18,18は一対で設けられる。第二杆状部材18,18は、幅方向に対して扁平な板状体から形成されている。また、第二杆状部材18,18の幅寸法は、壁部6,6、連設壁部8の高さよりも小さく設定されている。
【0031】
第二杆状部材18,18の基端は、第一杆状部材17の先端に軸支されている。具体的には、第二杆状部材18,18の基端である第二基端26,26は、天板部3の幅方向に沿って配置されて第一先端25と共通の共通軸27周りに軸支されている。つまり第二杆状部材18,18は、共通軸27周りに回動可能である。また、共通軸27の配置位置は、第一杆状部材17の第一先端25からわずかに第一基端23側へ離間した位置であり、第二杆状部材18,18の第二基端26,26が軸支される。
【0032】
第二杆状部材18,18の先端である第二先端28は、それぞれ脚14,14の軸方向途中部分に連結されている。具体的に、第二杆状部材18,18の第二先端28は、天板部3の幅方向に沿って配置される第二先端軸29,29周りに軸支されている。つまり、第二杆状部材は、脚14,14周りに回動可能である。
【0033】
図2の部分拡大図に明確なように、脚部11の立脚状態X2において、第一杆状部材17の第一先端25は、第二杆状部材18,18の第二基端26,26からわずかに脚14,14側に伸びている。この第一先端25から伸びている部分は、突出部34と称する。前述のように、円弧状に形成した円弧面25aである。また、第二杆状部材18,18は脚14,14に伸びているから、第二杆状部材18,18は、第一杆状部材17の第一先端25を挟んで幅方向外側に広がる部分を備えている。この広がり部分は、第二杆状部材18,18が備えた延設部30,30である。
【0034】
爪部材19は、一方の第二杆状部材18に配置されて、脚部11の立脚状態X2において、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18の軸支部分を規制するよう構成されている。
【0035】
爪部材19は、本体片31と、爪片(爪に相当する)32とを備える。本体片31は板状に形成されている。本体片31は第二杆状部材18に配置され、第一杆状部材17の第一先端25の近傍位置で、延設部30に対して直交する爪軸33周りに回動自在に配置されている。この爪軸33により、本体片31は延設部30の板面に平行に回動する。
【0036】
爪片32は本体片31の端部に、本体片31と直交するよう一体形成されている。脚部11の立脚状態X2において、本体片31の寸法長さは、爪軸33の中心においては、爪片32が第一先端25の円弧面25aに届く長さであり、爪片32の寸法長さは、爪軸33の軸心方向では円弧面25a、すなわち突出部34に届く長さに設定されている。
【0037】
筒状部材20は、第一杆状部材17を囲んで、第一杆状部材17にスライド可能に設けられている。筒状部材20の軸心方向の長さは、第一杆状部材17の軸心方向の長さよりも充分に小さく設定されており、第一杆状部材17にスライド可能に設けられながらも、第一杆状部材17の第一先端25と、第二杆状部材18,18の延設部30,30に対して噛込み可能な内径に設定されている。
【0038】
上記のような支持装置10が、二つの天板部3,3の長手方向のそれぞれについて設けられている。但し、前述のように、支持装置10の第一杆状部材17の基端である第一基端23は、ベース部材16の突出部22の長手方向の一端側に配置され、第一杆状部材17は第一基端軸24周りに軸支されたが、支持装置10に隣合う支持装置10においては、その第一杆状部材17の基端である第一基端23は、ベース部材16の突出部22の長手方向の他端側に配置されている。
【0039】
上記構成を備えたベンチ1では、回動部材13、第一杆状部材17、第二杆状部材18,18が回動することで、脚14,14(脚部11)を天板部3の一面5に折畳んだ折畳状態X1とすることができる。
【0040】
具体的に述べると、第一杆状部材17を天板部3の一面5に沿うよう第一基端軸24周りに回動し、第二杆状部材18,18を天板部3の一面5に沿うよう共通軸27周りに回動すると、第二杆状部材18,18の先端である第二先端28は、第二先端軸29,29周りに軸支されて回動可能になっており、回動部材13は回動支軸周りに回動自在に軸支されているから、第一杆状部材17、第二杆状部材18,18が回動することで回動部材13も回動する。
【0041】
そして、回動部材13の外径は、壁部6,6、連設壁部8の高さよりも低く設定され、第一杆状部材17の外径は、壁部6,6、連設壁部8の高さよりも低く設定され、第二杆状部材18,18の幅寸法は、壁部6,6、連設壁部8の高さよりも小さく設定され、脚14,14の外径は、壁部6,6、連設壁部8の高さよりも低く設定され、脚14,14の先端から基端までは、天板部3の長さの半分よりも短く設定され、しかも脚14,14どうしの離間位置は、壁部6,6どうしの離間位置よりも小さく設定されている構成である。
【0042】
このことから、回動部材13、第一杆状部材17、第二杆状部材18,18が回動することで、脚14,14(脚部11)を天板部3の一面5に折畳むことができる(
図3参照)。なお、連結機構部12は、天板部3と脚部11とを連結するよう構成されているから、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18が回動された後に、脚14,14が折畳まれる。
【0043】
また、折畳状態X1の際には、
図3に示すように、筒状部材20は第一杆状部材17にスライド可能とするよう第一基端軸24と共通軸27の間にあり、筒状部材20が第二杆状部材18,18を回避するようにしておく。
【0044】
また、
図3に示すように、爪部材19は、爪軸33周り回動させて、爪部材19の爪片32を第一杆状部材17および第二杆状部材18,18から回避させておく。このように、爪部材19は、爪軸33周り回動させて、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18から回避させて解除姿勢としておくことで、爪部材19があっても邪魔にならない。
【0045】
そして、四箇所の支持装置10の第一杆状部材17、第二杆状部材18,18、回動部材13、および爪部材19をそれぞれの軸に対して回動させることで、各脚部11を折畳状態X1とし、本体支軸9を介して天板部3,3の長手方向中心で閉じ、天板部3,3どうしを折畳んで二つ折りにする(
図4参照)。なお、ベンチ1には、天板部3,3を折畳んで持ち運びできる取手7を有しており、このようにすることで、ユーザによる運搬性にも優れる。
【0046】
ところでベンチ1は、基準面Dに支持させることが可能であり、このためにベンチ本体2の脚部11を立脚状態X2とする。脚部11を立脚状態X2とするには、まず
図4の状態から、本体支軸9を介して、天板部3,3の中心で回動して天板部3,3を開く。天板部3,3を開くと、前述したように、脚部11が折畳状態X1を維持している。
【0047】
例えばベンチ1は、天板部3の一面5を上面(ユーザ側)にして、脚部11を立脚状態X2とすることができる。この場合を説明すれば、ユーザは、脚14,14を回動部材13周りに、天板部3の一面5から上方にわずかに回動したのち、第一基端軸24周りに、第一杆状部材17を天板部3の一面5から上方に回動するとともに、共通軸27周り、および第二先端軸29,29周りに、第二杆状部材18,18を天板部3の一面5から上方に回動する。
【0048】
また、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18は、第一杆状部材17または第二杆状部材18,18を、第一基端軸24、共通軸27、第二先端軸29,29を介して一直線状に回動可能とした状態とする。第一杆状部材17または第二杆状部材18,18を、第一基端軸24、共通軸27、第二先端軸29,29を介して一直線状にした状態であるから、それ以上、脚14,14は外側に回動しない。
【0049】
回動部材13は回動支軸周りに回動自在に軸支されているから、このような第一杆状部材17、第二杆状部材18,18の回動により、脚14,14も、天板部3から一面5に対して直角となるよう突出した立脚状態X2と回動することができる。
【0050】
この立脚状態X2において、
図2、
図5a,bの拡大図に示すように、爪部材19を爪軸33周りに回動させる。そして、爪部材19の本体片31の寸法長さは、爪軸33の中心においては、爪片32が第一先端25の円弧面25aに届く長さであり、爪片32の寸法長さは、爪軸33の軸心方向では、第一先端25の円弧面25a(突出部34)に届く長さに設定されている。このため、爪部材19の本体片31を爪軸33周りに回動させて、爪片32を、第一先端25の裏側(一面5側)に至らせることができる。
【0051】
そして、爪軸33は、本体片31と第二杆状部材18,18(延設部30,30)とに挿通するものであり、爪部材19の本体片31を爪軸33周りに回動させることにより、爪片32が第一先端25(第一杆状部材17)の円弧面25aを、天板部3の一面5側で係止する。つまり、爪部材19をロック状態として、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18の双方が、天板部3の一面5側で係止された状態となる。そして、四箇所の支持装置10の第一杆状部材17、第二杆状部材18,18、および脚部11をそれぞれの軸に対して回動させ、爪部材19をロック状態とする。
【0052】
このようなロック状態としたのち、
図6a,bで示すように、筒状部材20を、第一杆状部材17の第一先端25と、第二杆状部材18,18の延設部30,30に嵌合させる。筒状部材20は、第一杆状部材17を囲んで、第一杆状部材17にスライド可能に設けられているが、第一杆状部材17にスライド可能に設けられながらも、第一杆状部材17の第一先端25と、第二杆状部材18,18の延設部30,30に対して噛込み可能な内径に設定されているから、第一先端25と延設部30,30に容易に嵌合する。
【0053】
そして、爪部材19(爪片32)は、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18の延設部30,30に対し、共通軸27と第一先端25の円弧面25aとの間でロック状態となっているから、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18の軸支部分に係止させることになる。また、筒状部材20も、第一杆状部材17の第一先端25と、第二杆状部材18,18の延設部30,30に嵌合させることから、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18の軸支部分に嵌合させることになる。
【0054】
上記のように、爪部材19により第一杆状部材17および第二杆状部材18,18とし、筒状部材20により第一杆状部材17および第二杆状部材18,18を嵌合して、天板部3,3の他面側を上方にすれば、ベンチ1は、脚部11を立脚状態X2として基準面Dに支持させることができる。
【0055】
そして、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18は外側に回動しないことから、脚14,14は外側に回動しない。また、爪部材19によって天板部3の一面5側で第一杆状部材17および第二杆状部材18,18を係止して、脚14,14は、爪部材19によって傾倒を防止する規制姿勢とすることができる。このため、脚部14,14は、第一杆状部材17または第二杆状部材18,18が、第一基端軸24、共通軸27、第二先端軸29,29に対して回動自在な構成であっても、脚14,14を内側に回動させない。よって、脚14,14に対して、長手方向の不測の外力が働いても傾倒させることがなく、脚14,14は立脚状態X2を保持できる。また、爪部材19を備えて、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18を係止したので、簡単な構成であっても第一杆状部材17と第二杆状部材18,18の規制姿勢を保持できる。さらに、筒状部材20は、第一杆状部材17と第二杆状部材18,18に嵌合することで、脚14,14に対する傾倒を防止するよう規制が働いた規制姿勢が確実になる。
【0056】
また、ベンチ1は複数人が腰掛けるように、一対の天板部3,3を備えるが、各天板部3,3には長手方向に離間した、二箇所の脚部11と支持装置10を有しているから、複数人が腰掛けていても、脚部11が傾倒することはない。
【0057】
脚部11の立脚状態X2を、天板部3の一面5に折畳まれた折畳状態X1とするには、例えば、天板部3,3の他面4側を基準面Dに位置させ、筒状部材20を第一基端軸24と共通軸27の間から第一杆状部材17にスライド可能な状態とする。また、爪部材19においては、爪軸33周りに爪部材19を規制姿勢とは反対の方向に回動させる。これにより規制姿勢が解除される。
【0058】
その後は、第一杆状部材17または第二杆状部材18,18を第一基端軸24、共通軸27、第二先端軸29,29周りに、一面5側に向けて回動させる。このようにして、脚14,14が回動部材13周りの内側に回動される。また、爪部材19は、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18から回避させて解除姿勢としておくことで、爪部材19があっても邪魔にならず、立脚状態X2を折畳状態X1とすることができる。
【0059】
本実施形態は、第一杆状部材17に対し、共通軸27を介して第二杆状部材18,18を二本配置して二つの脚14,14に連結した構成であり、一方の延設部30に対して爪軸33周りに爪部材19を回動させて、第二杆状部材18の延設部30および第一杆状部材17の第一先端25の、天板部3の一面5側で係止する。このため本実施形態では、簡単な構成であっても第一杆状部材17および第二杆状部材18,18の規制姿勢を保持して、脚部11における立脚状態X2を保持することができる。
【0060】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、爪部材19の本体片31は、第二杆状部材18に配置する場合を挙げた。しかしながら、爪部材19は、例えば第一杆状部材17の第一先端25に配置してもよい。この場合、爪部材19は、第一先端25に対して直交する爪軸33周りに回動自在に配置し、本体片31は爪軸33周りの回動により、第一先端25と延設部30,30のうちの一方とに、天板部3の一面5側で係止させることができる。
【0061】
上記実施形態では、筒状部材20を設けて第一杆状部材17と第二杆状部材18,18とを嵌合した。しかしながら本発明では、筒状部材20を省くこともできる。この場合では、爪部材19が、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18の軸支部分を係止して、第一杆状部材17および第二杆状部材18,18の回動を規制する規制姿勢となる。
【0062】
上記実施形態では、ベンチ1としての構成を説明した。しかしながら、天板部と、天板部の板面の一面の両側に軸支された脚部と、天板部の一面に設けられて天板部と脚部を連結する連結機構部とを備えるものであれば、例えばテーブルとしても、本発明を適用することができる。また上記実施形態では、複数人の使用者が腰掛けることが可能なベンチ本体2の例を説明し、天板部3,3が二つに畳まれる例で説明した。しかしながら、天板部3が一箇所だけ備えたベンチ1にも、本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0063】
1…ベンチ、2…ベンチ本体、3,3…天板部、4…他面、5…一面、6,6…壁部、8,8…連設壁部、9…本体支軸、10…支持装置、11…脚部、12…連結機構部、13…回動部材、14,14…脚、15…補強部材、16…ベース部材、17…第一杆状部材、18,18…第二杆状部材、19…爪部材、20…筒状部材、21…取付部、22…突出部、23…第一基端、24…第一基端軸、25…第一先端、25a…円弧面、26,26…第二基端、27…共通軸、28…第二先端、29,29…第二先端軸、30,30…延設部、31…本体片、32…爪片、33…爪軸、34…突出部、D…基準面、X1…折畳状態、X2…立脚状態