IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JFE建材株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-連結装置 図1
  • 特許-連結装置 図2
  • 特許-連結装置 図3
  • 特許-連結装置 図4
  • 特許-連結装置 図5
  • 特許-連結装置 図6
  • 特許-連結装置 図7
  • 特許-連結装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】連結装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/00 20060101AFI20230215BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20230215BHJP
   F16B 21/04 20060101ALI20230215BHJP
   E02D 17/08 20060101ALI20230215BHJP
   E21D 5/10 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
F16B5/00 F
F16B5/06 Q
F16B21/04 H
E02D17/08 A
E21D5/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019007994
(22)【出願日】2019-01-21
(65)【公開番号】P2020118188
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩
(72)【発明者】
【氏名】鎌崎 祐治
(72)【発明者】
【氏名】久保田 悟史
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-037924(JP,A)
【文献】実開昭57-001903(JP,U)
【文献】実開平06-018706(JP,U)
【文献】国際公開第2011/001943(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00
F16B 5/06
F16B 21/04
E02D 17/08
E21D 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ねられたライナープレートを連結する連結装置であって、
ライナープレートに形成された孔に挿通自在に形成された挿通部と、
前記挿通部の前記孔への挿通方向に沿って、前記挿通部からライナープレートの厚さ以上の間隔をあけて設けられ、前記孔への挿通を規制する規制部と、を備え、
前記挿通部は、一方のライナープレートの孔に挿通された第1の状態から前記挿通方向を軸として回転させた第2の状態において前記一方のライナープレートの孔への挿通が規制されるとともに、前記第2の状態で他方のライナープレートの孔に挿通自在で、前記他方のライナープレートの孔に挿通された前記第2の状態から前記挿通方向を軸として回転させた第3の状態において前記他方のライナープレートの孔への挿通が規制されるように形成されており、
前記規制部における前記一方のライナープレートとの対向面、前記挿通部における前記他方のライナープレートとの対向面のうち、少なくとも一方に傾斜部が形成されていることを特徴とする連結装置。
【請求項2】
前記傾斜部は複数形成されていることを特徴とする請求項に記載の連結装置。
【請求項3】
前記傾斜部は、前記規制部と前記挿通部の一方に2つ形成されており、
互いの傾斜部は、前記規制部と前記挿通部の他方に最も近づいた位置において連続していることを特徴とする請求項に記載の連結装置。
【請求項4】
前記規制部に設けられ、前記挿通部を前記挿通方向に沿った軸線回りに回転させる操作部を備えることを特徴とする請求項1からまでのいずれか一項に記載の連結装置。
【請求項5】
前記一方のライナープレートの孔と前記他方のライナープレートの孔は、前記挿通部の挿通方向から見た際に、一部が前記挿通方向に重なっていることを特徴とする請求項1からまでのいずれか一項に記載の連結装置。
【請求項6】
前記一方のライナープレートの孔と前記他方のライナープレートの孔は同じ形状であり、一方の孔は他方の孔に対して、挿通される前記挿通部の前記挿通方向を軸として回転させた状態にあることを特徴とする請求項に記載の連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ねられた連結対象物を連結する連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台風や地震等により地上の構造物が倒れないようにするために、構造物の足下には強固な基礎が構築されている。基礎には、長さが数十メートルにもおよぶ杭を用いることがあり、杭を埋めるために相応の深さの立坑を掘削する。
基礎に用いられる杭を地中深くにまで埋める深礎工法においては、立坑の内壁が崩壊することを防止するために、立坑の内壁に沿って土留を構築する必要がある。土留は、例えば、土留材としてライナープレートを用い、立坑の内壁面に沿って、ライナープレートを立坑の周方向(横断面方向)及び高さ方向(深さ方向)に複数連結して構築する。
ライナープレートを連結する連結装置としては、ボルト及びナットが用いられる。ボルトをライナープレートのフランジに形成された挿通孔に挿通して、ボルトにナットを螺合させることで隣接するライナープレート同士を連結している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-257070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、立坑の内壁面に土留を構築する場合、立坑の内壁面に設置する複数のライナープレートをボルト及びナットにより互いに連結する連結箇所は、数千箇所を超えることがある。連結箇所の全てにおいて、手作業によりボルトをフランジの挿通孔に挿通して、ボルトにナットを螺合させることは、作業者への負担が大きく、施工効率の向上が困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、作業者の負担を軽減し、施工効率を向上することができる連結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、重ねられた連結対象物を連結する連結装置であって、各連結対象物に形成された孔に挿通自在に形成された挿通部と、前記挿通部の前記孔への挿通方向に沿って、前記挿通部から連結対象物の厚さ以上の間隔をあけて設けられ、前記孔への挿通を規制する規制部と、を備え、前記挿通部は、前記一の連結対象物の孔に挿通された第1の状態から前記挿通方向を軸として回転させた第2の状態において前記一の連結対象物の孔への挿通が規制されるとともに、前記第2の状態で前記他の連結対象物の孔に挿通自在で、前記他の連結対象物の孔に挿通された前記第2の状態から前記挿通方向を軸として回転させた第3の状態において前記他の連結対象物の孔への挿通が規制されるように形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、前記規制部に設けられ、前記挿通部を前記挿通方向に沿った軸線回りに回転させる操作部を備えることが好ましい。
【0008】
また、前記一の連結対象物の孔と前記他の連結対象物の孔は、前記挿通部の挿通方向から見た際に、一部が前記挿通方向に重なっていることが好ましい。
【0009】
また、前記一の連結対象物の孔と前記他の連結対象物の孔は同じ形状であり、一方の孔は他方の孔に対して、挿通される前記挿通部の前記挿通方向を軸として回転させた状態にあることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業者の負担を軽減し、施工効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】周方向及び高さ方向に互いに連結されたライナープレートの斜視図である。
図2】(a)は、高さ方向に互いに連結される長手フランジ部同士を離した状態で示す部分拡大図であり、(b)は、高さ方向に互いに重ねられた長手フランジ部を示す部分拡大図である。
図3】(a)は、連結装置を上側から見た斜視図であり、(b)は、連結装置を下側から見た斜視図である。
図4】(a)は、連結装置の側面図であり、(b)は、連結装置の正面図である。
図5】(a)は、ライナープレートの挿通孔に連結装置を挿通させる前の状態を示す斜視図であり、(b)は、ライナープレートの挿通孔に連結装置の挿通部を挿通させた状態を示す斜視図であり、(c)は、ライナープレートの挿通孔に連結装置の挿通部を挿通させて連結装置を90度回転させた状態を示す斜視図である。
図6】(a)は、ライナープレートの2つの挿通孔に連結装置の挿通部を挿通させる前の状態を示す斜視図であり、(b)は、ライナープレートの2つの挿通孔に連結装置の挿通部を挿通させた状態を示す斜視図であり、(c)は、ライナープレートの2つの挿通孔に連結装置の挿通部を挿通させて連結装置を90度回転させた状態を示す斜視図である。
図7】(a)は、ライナープレートの挿通孔に連結装置の挿通部を挿通させた状態を下側から示す斜視図であり、(b)は、ライナープレートの2つの挿通孔に連結装置の挿通部を挿通させた状態を下側から示す斜視図であり、(c)は、ライナープレートの2つの挿通孔に連結装置の挿通部を挿通させて連結装置を90度回転させた状態を下側から示す斜視図である。
図8】(a)は、挿通部に一つの傾斜面を形成した連結装置の側面図であり、(b)は、挿通部に二つの傾斜面を形成した連結装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一つの例示であり、本発明の範囲において種々の形態をとりうる。
【0013】
<ライナープレート>
図1は、周方向及び高さ方向に互いに連結されたライナープレート100の斜視図である。図2(a)は、高さ方向に互いに連結される長手フランジ部121a,121b同士を離した状態で示す部分拡大図であり、図2(b)は、高さ方向に互いに重ねられた長手フランジ部121a,121bを示す部分拡大図である。
ライナープレート100は、例えば、立坑の内壁面に沿って設けられる。ライナープレート100は、立坑の内壁面の崩落を防ぐ土留を構築する部材であり、例えば、鋼板等から形成されている。
図1に示すように、ライナープレート100は、立坑の内壁面に面するプレート面部110と、プレート面部110の縁部に立設されたフランジ部120と、を有する。
【0014】
プレート面部110は、その主面が立坑の内壁に面して配置されている。プレート面部110は、平面視矩形状に形成されており、例えば、鋼板をその短手方向に沿って波形状に湾曲させるとともに、その長手方向に沿って円弧状に湾曲させて形成されている。なお、プレート面部110は、波形状又は円弧形状に湾曲させて形成したものに限られず、平板状に形成されていてもよい。
【0015】
フランジ部120は、プレート面部110の縁部に設けられており、長手フランジ部121と、短手フランジ部122と、を有する。長手フランジ部121(121a,121b)は、プレート面部110の長手側の2つの縁部に設けられており、プレート面部110に一体に形成されている。長手フランジ部121は、プレート面部110を成形する際に、長手側の縁部をその主面に直交するように折り曲げることで形成されている。長手フランジ部121は、立坑の内側に向かって延在している。なお、長手フランジ部121は、プレート面部110に一体に形成される場合に限られず、プレート面部110に溶接等によって接合されていてもよい。
長手フランジ部121aは、土留が構築される際に、ライナープレート100の下側となる縁部に設けられており、高さ方向にライナープレート100を重ねて土留を構築する際に、重ね合わせたライナープレート100の上側に配置される。
長手フランジ部121bは、土留が構築される際に、ライナープレート100の上側となる縁部に設けられており、高さ方向にライナープレート100を重ねて土留を構築する際に、重ね合わせたライナープレート100の下側に配置される。
【0016】
図1及び図2に示すように、長手フランジ部121aには、その長手方向に沿って所定の間隔をあけて複数の孔(挿通孔)130aが形成されており、長手フランジ部121bには、その長手方向に沿って所定の間隔をあけて複数の孔(挿通孔)130bが形成されている。挿通孔130a,130bには、高さ方向に隣接するライナープレート100同士を互いに連結する連結装置1(詳細は後述する)が矢印P方向(以下、挿通方向Pという)から挿通される。各孔130a,130bは、それぞれ同じ大きさの長円状に形成されている。
【0017】
挿通孔130aは、図2(a)に示すように、長手フランジ部121aの上面121aaから下面121abへ貫通し、挿通孔130bは、長手フランジ部121bの上面121baから下面121bbへ貫通している。
挿通孔130aは、長手フランジ部121aの長手方向に沿って延びるように形成されており、挿通孔130bは、長手フランジ部121bの短手方向に沿って延びるように形成されている。
挿通孔130aと挿通孔130bとは、挿通孔130aの中心о1を通る中心軸x1と、挿通孔130bの中心о2を通る中心軸x2とが一致し、かつ挿通孔130aと挿通孔130bとの一部が重なり合うように配置される。すなわち、挿通孔130aと挿通孔130bとは、長手フランジ部121aの下側の所定の位置に長手フランジ部121bを配置すると、互いに挿通方向Pに沿った中心軸x1,x2を中心に90度回転した位置関係となるように形成されている。
さらに、図2(b)に示すように、挿通孔130aの中心軸x1と挿通孔130bの中心軸x2とを一致させて長手フランジ部121aの下側の所定の位置に長手フランジ部121bを配置すると、挿通方向Pから見た際に、挿通孔130aと挿通孔130bの一部が重なり合い、挿通方向Pの上側aから下側bへ貫通する貫通部分150が形成される。
【0018】
図1に示すように、短手フランジ部122は、例えば、プレート面部110に溶接によって接合できる鋼板から形成されている。短手フランジ部122は、プレート面部110の短手側の2つの縁部に溶接等によって接合され、プレート面部110の主面に対して立設されている。各短手フランジ部122の長手方向両端部は、それぞれ長手フランジ部121の端部に溶接等によって接合されている。各短手フランジ部122には、その長手方向に沿って、所定の間隔をあけて複数の挿通孔140が形成されている。挿通孔140には、周方向に隣接するライナープレート100同士を互いに連結する連結具が挿通される。挿通孔140は、短手フランジ部122の長手方向に沿って所定の間隔をあけて複数形成されている。
【0019】
このように、一つのライナープレート100は、一つのプレート面部110と、二つの長手フランジ部121(121a,121b)と、二つの短手フランジ部122と、を有する。高さ方向及び周方向に隣接するライナープレート100同士は、それぞれの長手フランジ部121及び短手フランジ部122同士の主面方向が互いに平行となるように配置されている。
隣接するライナープレート100は、互いの短手フランジ部122が立坑の延在方向(軸線方向)に連続するのではなく、ライナープレート100の長手方向の長さの半分程度、立坑の周方向にずらして千鳥状に配置されている。
【0020】
<連結装置>
次いで、図3及び図4を参照して、重ねられたライナープレート100を互いに連結する連結装置1について説明する。図3(a)は、連結装置1を上側から見た斜視図であり、図3(b)は、連結装置1を下側から見た斜視図である。図4(a)は、連結装置1の側面図であり、図4(b)は、連結装置1の正面図である。
土留の高さ方向(軸線方向)に隣接するライナープレート100同士は、連結装置1によって互いに連結されている。隣接するライナープレート100同士は、長手フランジ部121aの挿通孔130aに連結装置1を挿通して90度回転し、その後、長手フランジ部121bの挿通孔130bに連結装置1を挿通して90度回転することにより連結される。
また、長手フランジ部121aと長手フランジ部121bのそれぞれの挿通孔130a,130bは、中心軸x1,x2が一致し、かつ一部が重なり合うように重ねられており、この挿通孔130a,130bに連結装置1が挿通される。
【0021】
図3に示すように、連結装置1は、ライナープレート100の連結に際して十分な強度を発揮できる材料、例えば、鋼材等から形成されている。連結装置1は、高さ方向(上下)に重ねられたライナープレート100の長手フランジ部121a,121bを互いに連結する。
連結装置1は、規制部12と、挿通部13と、連結部14と、操作部15とを備えている。
【0022】
(規制部)
図3に示すように、規制部12は、連結されるライナープレート100の長手フランジ部121aに当接することで、挿通孔130a,130bへの挿通が規制されるように形成されている。図4に示すように、規制部12は、挿通部13の挿通孔130a,130bへの挿通方向Pに沿って、挿通部13から長手フランジ部121aと長手フランジ部121bとを重ね合わせた厚さE以上の間隔をあけて設けられている。
規制部12は、二つの長円形状の部材を互いの長手方向中央部で直交させた略プロペラ状に一体に形成されている。規制部12の上面12aには操作部15が設けられており、規制部12の下面12bには連結部14が設けられている。
規制部12は、本体部21と、本体部21から外方に向けて延出した4つの延出部22,23,24,25とを有している。
本体部21は、連結装置1により長手フランジ部121a,121b同士を連結する際に、二つの挿通孔130a,130bが重なり合う領域(貫通部分)150に対向する位置に配置される。
【0023】
4つの延出部22~25のうち、第1の延出部22と第2の延出部23は、連結装置1により長手フランジ部121a,121b同士を連結すると、長手フランジ部121aの上面121aa側に接触可能に形成されている。具体的には、図4(a)に示すように、第1の延出部22の先端22aから第2の延出部23の先端23aまでの長さFは、挿通孔130a,130bの幅方向の長さA(図2(a)参照)より大きく形成されている。
4つの延出部22~25のうち、第3の延出部24と第4の延出部25は、連結装置1により長手フランジ部121a,121b同士を連結すると、挿通孔130aに対向する位置に配置される。図4(b)に示すように、第3の延出部24の先端24aから第4の延出部25の先端25aまでの長さGは、第1の延出部22の先端22aから第2の延出部23の先端23aまでの長さFと同一の長さであり、挿通孔130a,130bの長手方向の長さB(図2(a)参照)より若干小さく形成されている。
したがって、規制部12は、連結装置1を90度回転させた場合に、4つの延出部22~25のうち、いずれか2つの延出部22,23(又は24,25)が長手フランジ部121aの上面121aaに接触するように形成されている。すなわち、規制部12は、挿通孔130a,130bを貫通することはなく、連結装置1は、規制部12によってライナープレート100に係止される。
【0024】
(挿通部)
図3及び図4に示すように、挿通部13は、各挿通孔130a,130bへ挿通自在に形成されている。より具体的には、挿通部13は、長円状に形成されており、挿通孔130a,130bに対して相補的な形状とされている。挿通部13の上面13a側には連結部14が設けられている。
具体的には、図4(b)に示すように、挿通部13の先端32aから挿通部13の先端32bまでの長さHは、挿通孔130a,130bの長手方向の長さB(図2(a)参照)より若干小さく形成されている。
【0025】
挿通部13は、長手フランジ部121a(一の連結対象物)の挿通孔130aに挿通された第1の状態(図5(b)参照)から挿通方向Pを軸として90度回転させた第2の状態(図5(c)参照)において、長手フランジ部121aの挿通孔130aへの挿通が規制される。
挿通部13は、第2の状態(図5(c)参照)で長手フランジ部121b(他の連結対象物)の孔130bに挿通自在で、長手フランジ部121bの挿通孔130bに挿通された第2の状態(図6(b)参照)から挿通方向Pを軸として90度回転させた第3の状態(図6(c)参照)において、長手フランジ部121bの挿通孔130bへの挿通が規制されるように形成されている。
【0026】
挿通部13は、長手フランジ部121a,121b同士を連結すると、長手フランジ部121bの下面121bb側に挿通部13の上面13aが接触可能に形成されている。長手フランジ部121bの下面121bb側に挿通部13の上面13aが接触可能となるように、挿通部13の先端32aから挿通部13の先端32bまでの長さHは、挿通孔130a,130bの幅方向の長さA(図2(a)参照)より大きく形成されている。
なお、挿通部13の先端32aから挿通部13の先端32bまでの長さHは、第1の延出部22の先端22aから第2の延出部23の先端23aまでの長さF、及び、第3の延出部24の先端24aから第4の延出部25の先端25aまでの長さGと同一の長さである。
【0027】
(連結部)
図4に示すように、連結部14は、規制部12と挿通部13とを連結している。
連結部14の上面14a側(一端側)は、規制部12の下面12bに連結されており、連結部14の下面14b側(他端側)は、挿通部13の上面13aに連結されている。具体的には、連結部14は、四角柱状に形成されており、上面14a側(一端側)が規制部12の本体部21の中心に連結され、下面14b側(他端側)が挿通部13の長手方向中央部分と連結されている。連結部14は、その軸線が連結装置1の回転軸と同軸上に位置している。
連結部14は、挿通孔130a,130bに挿通自在で、かつ、両挿通孔130a,130bによって形成される貫通部分150内で回転自在となる大きさに形成されている。
【0028】
具体的には、図4(b)に示すように、第1の延出部22の先端22a側に面する連結部14の側面41aと、第2の延出部23の先端23a側に面する連結部14の側面41bとの間の長さIは、挿通孔130a,130bの幅方向の長さA(図2(a)参照)より小さく、挿通孔130a,130bの長手方向の長さB(図2(a)参照)より小さく形成されている。
また、第3の延出部24の先端24a側に面する側面41cと、第4の延出部25の先端25a側に面する側面41dとの間の長さJは、貫通部分150の縦の長さC(図2(b)参照)及び横の長さD(図2(b)参照)より小さく形成されている。
また、連結部14の挿通方向Pに沿う高さ方向の長さKは、重ね合わせた長手フランジ部121a,121bの挿通方向Pに沿う厚さ方向の長さE(図2(b)参照)より若干大きく形成されている。
【0029】
(操作部)
図3及び図4に示すように、操作部15は、挿通部13を挿通方向Pに沿った軸線回りに回転させる操作を行うものである。操作部15は、四角柱状に形成されており、規制部12の本体部21に連結されている。
操作部15の上面15aは、挿通方向P(図2(a)参照)の上流側に配置されており、挿通方向Pの下流側に配置された操作部15の下面15bは、規制部12の本体部21に連結されている。
操作部15の上面15aと下面15bとの間の側面51a~51dのうち、側面51aは第1の延出部22の先端22a側に面し、側面51bは第2の延出部23の先端23a側に面し、側面51cは第3の延出部24の先端24a側に面し、側面51dは第4の延出部25の先端25a側に面している。
図4(a),(b)に示すように、側面51a及び側面51bの挿通方向Pに直交する幅方向Lの長さは、側面51c及び側面51dの挿通方向Pに直交する幅方向Mの長さより大きく形成されている。
操作部15は、治具を嵌合させ、その治具を回転させることにより連結装置1を回転させることができる。
【0030】
<ライナープレートの連結方法>
次に、図5図7を参照して、高さ方向に隣り合うライナープレート100同士を連結する方法について説明する。図5(a)は、ライナープレート100の挿通孔130aに連結装置1を挿通させる前の状態を示す斜視図であり、図5(b)はライナープレート100の挿通孔130aに連結装置1の挿通部13を挿通させた状態を示す斜視図であり、図5(c)はライナープレート100の挿通孔130aに連結装置1の挿通部13を挿通させて連結装置1を90度回転させた状態を示す斜視図である。図6(a)はライナープレート100の挿通孔130a及び挿通孔130bに連結装置1の挿通部13を挿通させる前の状態を示す斜視図であり、図6(b)はライナープレート100の挿通孔130a及び挿通孔130bに連結装置1の挿通部13を挿通させた状態を示す斜視図であり、図6(c)はライナープレート100の挿通孔130a及び挿通孔130bに連結装置1の挿通部13を挿通させて連結装置1を90度回転させた状態を示す斜視図である。図7(a)はライナープレート100の挿通孔130aに連結装置1の挿通部13を挿通させた状態を下側から示す斜視図であり、図7(b)はライナープレート100の挿通孔130a及び挿通孔130bに連結装置1の挿通部13を挿通させた状態を下側から示す斜視図であり、図7(c)はライナープレート100の挿通孔130a及び挿通孔130bに連結装置1の挿通部13を挿通させて連結装置1を90度回転させた状態を下側から示す斜視図である。
【0031】
例えば、立坑の内壁面に土留を構築する場合、立坑を掘り下げるにつれて新たに連結するライナープレート100を下側から既設のライナープレート100に連結することによりライナープレート100を高さ方向に連結していく。
ライナープレート100を連結する場合、図5(a)に示すように、既設のライナープレート100の長手フランジ部121aの挿通孔130aに対して、挿通方向Pに沿って長手フランジ部121aの上方から挿通部13を挿通孔130aに挿通する。
【0032】
挿通孔130aへの挿通部13の挿通は、図5(b)に示すように、挿通部13の側面33a,33bが長手フランジ部121aの挿通孔130aの長手方向に沿った縁部に面するように挿通する。挿通部13が挿通孔130aを通過すると、挿通部13に連続する連結部14も挿通孔130aに挿通される(図5(b)、図7(a)参照)。また、規制部12の第1の延出部22と第2の延出部23は、長手フランジ部121aの上面121aa側に接触する。
規制部12が長手フランジ部121aの上面121aa側に接触して連結装置1の挿通が規制された後、操作部15に治具を嵌合させて連結装置1を矢印R方向に90度回転させる(図5(b)参照)。なお、図5図7においては、挿通部13の側面33bがプレート面部110側に面するように挿通部13を挿通する場合で説明しているが、挿通部13の側面33aがプレート面部110側に面するように挿通部13を挿通してもよい。
【0033】
連結装置1を矢印R方向に90度回転させると、図5(c)に示すように、挿通部13の側面33a,33bが長手フランジ部121aの挿通孔130aの短手方向に沿った縁部に面する。また、連結部14は挿通孔130a内で90度回転され、規制部12の第3の延出部24と第4の延出部25は、長手フランジ部121aの上面121aa側に接触する。
【0034】
次に、新たに連結するライナープレート100を下側から既設のライナープレート100に連結するために、新たに連結するライナープレート100をジャッキ等により吊り上げて既設のライナープレート100の下側から接近させる。具体的には、図6(a)に示すように、長手フランジ部121aの下側から新たなライナープレート100の長手フランジ部121bを近接させ、挿通孔130aの中心о1を通る中心軸x1と、挿通孔130bの中心о2を通る中心軸x2とが一致するように接近させる(図2(b)参照)。
【0035】
長手フランジ部121bを近接させた後、図6(b)に示すように、挿通部13を挿通孔130bに挿通する。このとき、連結装置1は90度回転された状態であり、挿通孔130bは、挿通孔130aに対して90度回転した位置関係となるように形成されているため、長手フランジ部121bを近接させると、挿通部13は挿通孔130bに挿通される(図7(b)参照)。また、連結部14は、貫通部分150を挿通する(図2(b)参照)。
【0036】
そして、連結装置1を矢印R方向に90度回転させると、図6(c)に示すように、挿通部13の側面33a,33bが長手フランジ部121aの挿通孔130aの長手方向に沿った縁部に面し、長手フランジ部121bの下面121bb側に挿通部13の上面13aが接触する(図7(c)参照)。また、連結部14は、貫通部分150内で90度回転し、規制部12の第1の延出部22と第2の延出部23は、長手フランジ部121aの上面121aa側に接触する。その後、操作部15から治具を外す。
これにより、上下のライナープレート100における長手フランジ部121aと長手フランジ部121bは、規制部12と挿通部13とによって挟持された状態となり、ライナープレート100同士が互いに連結される。
【0037】
以上のような連結装置1により、従来のボルト及びナットを使用したライナープレートの連結技術に比べて、ライナープレート100同士を極めて簡単にかつ迅速に連結することができるようになる。つまり、(1)上側のライナープレート100の挿通孔130aに挿通部13を挿通して90度回転させ、(2)下側のライナープレート100の挿通孔130bに挿通部13を挿通して90度回転させる、だけで簡単にライナープレート100同士を連結することができる。
これにより、立坑内の狭い作業空間において、ライナープレート100を連結する作業者の負担を大幅に軽減することができ、施工効率が向上し、作業時間が短縮される。
【0038】
また、従来のボルト及びナットを使用したライナープレートの連結構造では、ライナープレートにそれぞれ形成された挿通孔同士は、上下方向に重ねると整合する形状に形成されているため、ライナープレート同士の位置がずれると挿通孔が小さくなり、挿通孔にボルトを挿通しにくくなる。しかしながら、上記のライナープレート100は、ライナープレート100の長手フランジ部121a,121bに形成された挿通孔130aと挿通孔130bとは、挿通孔130aの中心о1を通る中心軸x1と、挿通孔130bの中心о2を通る中心軸x2とが一致し、かつ挿通孔130aと挿通孔130bとの一部が重なり合うように配置されている。このため、ライナープレート100同士の位置がずれることにより挿通孔が小さくなることを防止することができる。
【0039】
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
例えば、挿通孔130a,130bの形状及び挿通部13の形状は、長円形状であったが楕円形状や多角形状であってもよい。すなわち、挿通孔130a,130bの形状及び挿通部13の形状は、三角形、四角形、正方形、五角形等、正円以外の形状であればよい。
【0040】
また、規制部12の形状は、連結装置1を2回回転させた際に、長手フランジ部121aの上面121aa側に接触する形状であれば他の形状でもよい。
また、操作部15に治具を嵌合させて連結装置1を回転させている場合に限らず、作業者が手で回転させてもよい。
また、連結装置1を矢印R方向、すなわち時計回りに回転させているが、反時計回りに回転させもよい。
また、操作部15により連結装置1を回転させる際の回転角度も任意であって、挿通孔130a,130b、規制部12及び挿通部13の形状に応じて変更可能である。
【0041】
また、ライナープレート100の長手フランジ部121a,121bに面する規制部12の下面12b、挿通部13の上面13aの少なくとも一方に複数の凸部を設けたり、表面を粗く形成することにより、長手フランジ部121a,121bとの摩擦力を高めて連結装置1を外れにくくし、ライナープレート100の連結を強固にすることもできる。
また、挿通部13における長手フランジ部121bとの対向面、規制部12における長手フランジ部121aとの対向面のうち、少なくとも一方に、傾斜面(傾斜部)を形成してもよい。例えば、図8(a)に示すように、挿通部13の上面に一つの傾斜面13cを形成する。傾斜面13cは、連結装置1aの回転操作方向R上流側から下流側(図8(a)における右側から左側)に向かうにつれて徐々に規制部12の下面12bから離間するように傾斜している。この場合、連結装置1aを回転させる方向はR方向に限定されるが、回転操作を容易にし、回転完了後には連結装置1aを外れにくくし、ライナープレート100の連結を強固にすることもできる。
【0042】
また、図8(b)に示すように、挿通部13の上面に二つの傾斜面13d,13eを形成する。傾斜面13dは、挿通部13の幅方向の中央位置から連結装置1bの回転操作方向R1上流側から下流側(図8(b)における右側から左側)に向かうにつれて徐々に規制部12の下面12bから離間するように傾斜している。傾斜面13eは、挿通部13の幅方向の中央位置から連結装置1bの回転操作方向R2上流側から下流側(図8(b)における左側から右側)に向かうにつれて徐々に規制部12の下面12bから離間するように傾斜している。ここで、傾斜面13dと傾斜面13eは、規制部12の下面12bに最も近づいた位置において連続するように形成されている。この場合、連結装置1bは、R1方向とR2方向のいずれにも回転させることが可能であり、回転操作を容易にし、回転完了後には連結装置1bを外れにくくし、ライナープレート100の連結を強固にすることもできる。
また、連結部14は、規制部12及び挿通部13に突き合わせて互いを連結する場合に限らず、規制部12の下面12bに形成された孔及び挿通部13の上面13aに形成された孔に連結部14のそれぞれの端部を嵌め込んで連結するようにしてもよい。これにより、連結部14による規制部12と挿通部13との連結を強固にすることができ、外れにくくなる。
【符号の説明】
【0043】
1 連結装置
12 規制部
13 挿通部
14 連結部
15 操作部
21 本体部
22 第1の延出部
23 第2の延出部
24 第3の延出部
25 第4の延出部
100 ライナープレート
110 プレート面部
120 フランジ部
121 長手フランジ部
121a 長手フランジ部
121b 長手フランジ部
122 短手フランジ部
130a 挿通孔
130b 挿通孔
140 挿通孔
150 貫通部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8