(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】浴槽台
(51)【国際特許分類】
A47K 3/12 20060101AFI20230215BHJP
【FI】
A47K3/12
(21)【出願番号】P 2019073117
(22)【出願日】2019-04-05
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【氏名又は名称】加藤 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
(72)【発明者】
【氏名】土井 健史
(72)【発明者】
【氏名】青山 智行
(72)【発明者】
【氏名】大河原 由梨
(72)【発明者】
【氏名】岩本 楓
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3013759(JP,U)
【文献】特開2003-125966(JP,A)
【文献】特開2007-267823(JP,A)
【文献】特開2003-319884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/12
A61H 33/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台部と、
その台部の下方に設けられた支持脚と、
その支持脚の下端部に取り付けられた脚ゴムと、を備え、
前記支持脚には、上下方向に貫通して延びる中空部が形成され、
前記台部には、前記中空部の真上に前記中空部を上側に開放させる上孔部が形成され、
前記脚ゴムには、前記中空部の真下に前記中空部を下側に開放させる下孔部が形成され
、
前記上孔部は、細長形状を有しているか、又は複数形成されていることを特徴とする浴槽台。
【請求項2】
台部と、
その台部の下方に設けられた支持脚と、を備え、
前記支持脚には、上下方向に貫通して延びる中空部が形成され、
前記台部には、前記中空部の真上に前記中空部を上側に開放させる上孔部が形成され、
前記中空部は、その下端開口となる下孔部を通じて下側に開放され
、
前記上孔部は、細長形状を有しているか、又は複数形成されていることを特徴とする浴槽台。
【請求項3】
前記脚ゴムの底面部に前記脚ゴムと一体に設けられた吸盤を備え、
前記吸盤は前記下孔部に対して前記脚ゴムの底面方向にずらして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の浴槽台。
【請求項4】
前記下孔部は、非円形状とされ、
前記下孔部と前記吸盤とは、前記底面方向のうち、前記下孔部の開口幅が最大となる最大開口幅方向とは異なる方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項3に記載の浴槽台。
【請求項5】
前記支持脚は、その断面が前記下孔部の形状に対応する非円形状とされた筒状体よりなり、
前記脚ゴムと一体で設けられ、前記支持脚に下方から内挿又は外挿されることで前記脚ゴムを前記支持脚に取り付ける取付部を備えることを特徴とする請求項4に記載の浴槽台。
【請求項6】
前記下孔部は、前記支持脚の前記中空部の下端開口に合わせた大きさ及び形状を有して形成されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の浴槽台。
【請求項7】
前記上孔部は、細長形状を有しており、その延びる方向の長さが前記下孔部の最大開口幅よりも大きくされていることを特徴とする請求項
1乃至6のいずれか一項に記載の浴槽台。
【請求項8】
前記上孔部は、円弧状に延びていることを特徴とする請求項
7に記載の浴槽台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室の洗い場や浴槽内において踏み台や腰掛け等として用いられる浴槽台が知られている。一般に、浴槽台は、台部と、その台部を下方から支持する複数の支持脚とを備えている。支持脚は、上下に延びる筒状に形成され、その下端部には脚ゴムが取り付けられている。また、脚ゴムの底面部には吸盤が設けられ、浴槽台を洗い場や浴槽内に配置する際には、その吸盤を洗い場の床面や浴槽の底面に吸着させることで浴槽台を固定することが可能となっている。
【0003】
ところで、浴槽台では支持脚が筒状とされているため、浴槽台を浴槽内で使用する際には支持脚の内部に水が入り込むことが考えられる。そこで特許文献1では、支持脚の内部に入り込んだ水を外部に排出するための排水構造が提案されている。
【0004】
この特許文献1の排水構造では、脚ゴムが、平面視において円形状をなす盤状部と、盤状部から上方に延びる円筒状の挿入部とを有しており、その挿入部が支持脚内に下方から挿入されることで脚ゴムが支持脚の下端部に取り付けられている。挿入部には、その周壁部の下端部に水抜き孔が形成されており、支持脚の下端部には、水抜き孔と連通する水抜きが形成されている。これにより、支持脚の内部に水が入り込んだ場合には、その水が挿入部の水抜き孔と支持脚の水抜きとを通じて外部に排出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述した特許文献1の排水構造では、支持脚の内部に入った水が支持脚の下端部において側方に向けて排出されることになる。このため、浴槽台を浴槽内から取り出す際に、支持脚内の水が速やかに排出されないおそれがある。
【0007】
また、特許文献1の浴槽台(ひいては一般の浴槽台)は、支持脚の上方に台部が設けられているため、支持脚内が台部によって上方から覆われている。このため、浴槽台を浴槽内に沈めて配置する際に、支持脚内の空気が速やかに排出されないおそれがある。その場合、浴槽台に浮力が生じて浴槽台を速やかに沈めることができないおそれがある。
【0008】
このように、特許文献1の浴槽台は、浴槽内で使用する場合において、その使い勝手の面で未だ改善の余地を有しているといえる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、浴槽台を浴槽内で使用する場合において、使い勝手の向上を図ることができる浴槽台を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、第1の発明の浴槽台は、台部と、その台部の下方に設けられた支持脚と、その支持脚の下端部に取り付けられた脚ゴムと、を備え、前記支持脚には、上下方向に貫通して延びる中空部が形成され、前記台部には、前記中空部の真上に前記中空部を上側に開放させる上孔部が形成され、前記脚ゴムには、前記中空部の真下に前記中空部を下側に開放させる下孔部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、支持脚の中空部が脚ゴムに形成された下孔部により下側に開放されているため、中空部に入った水を下孔部を通じて真下に排出することができる。これにより、浴槽台を浴槽内から取り出す際、中空部内の水を速やかに排出することができる。
【0012】
また、支持脚の中空部は台部に形成された上孔部により上側に開放されているため、浴槽台を浴槽内に沈めて配置する際には中空部内の空気を上孔部を通じて速やかに排出することができる。また、中空部の真下に下孔部が形成されているため、浴槽台を浴槽内に沈める際には、その下孔部から中空部に水が導入し易くなっている。そのため、その水の導入によっても中空部内の空気の排出を促すことができる。これにより、浴槽台を浴槽内に沈める際に、浴槽台を速やかに沈めることが可能となる。よって、以上より、浴槽台を浴槽で使用する場合において、その使い勝手を向上させることができる。
【0013】
第2の発明の浴槽台は、台部と、その台部の下方に設けられた支持脚と、を備え、前記支持脚には、上下方向に貫通して延びる中空部が形成され、前記台部には、前記中空部の真上に前記中空部を上側に開放させる上孔部が形成され、前記中空部は、その下端開口となる下孔部を通じて下側に開放されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、支持脚の中空部がその下端開口(下孔部)を通じて下側に開放されているため、中空部に入った水をその下端開口を通じて真下に排出することができる。これにより、浴槽台を浴槽内から取り出す際、中空部内の水を速やかに排出することができる。また、支持脚の中空部は台部の上孔部により上側に開放されているため、浴槽台を浴槽内に沈めて配置する際には中空部内の空気を上孔部を通じて速やかに排出することができる。よって、本発明においても、上記第1の発明と同様、浴槽台を浴槽で使用する場合に、その使い勝手を向上させることができる。
【0015】
第3の発明の浴槽台は、第1の発明において、前記脚ゴムの底面部に前記脚ゴムと一体に設けられた吸盤を備え、前記吸盤は前記下孔部に対して前記脚ゴムの底面方向にずらして配置されていることを特徴とする。
【0016】
一般に、脚ゴムには、その底面部に吸盤が一体に設けられる。そこで本発明では、このような吸盤付きの脚ゴムにおいて、吸盤を下孔部に対して脚ゴムの底面方向にずらして配置している。この場合、吸盤によって下孔部が覆われることがないため、脚ゴムに吸盤が設けられた構成にあっても、中空部内の水を下方に向け速やかに排出することができる。
【0017】
第4の発明の浴槽台は、第3の発明において、前記下孔部は、非円形状とされ、前記下孔部と前記吸盤とは、前記底面方向のうち、前記下孔部の開口幅が最大となる最大開口幅方向とは異なる方向に並んで配置されていることを特徴とする。
【0018】
ところで、支持脚の真下に位置する下孔部に対し吸盤をずらして配置した上述の構成では、支持脚からの下向き荷重が吸盤に上手く伝わらないおそれがある。そこで本発明では、この点に鑑み、下孔部を非円形状とし、その下孔部と吸盤とを、下孔部の開口幅が最大となる最大開口幅方向とは異なる方向に並ぶように配置している。この場合、平面視において吸盤を支持脚の軸線寄りに位置させ易くすることができるため、支持脚からの荷重を吸盤に伝え易くすることができる。これにより、吸盤を下孔部に対してずらして配置した構成にあって、吸盤による吸着力を確保し易くすることができる。
【0019】
第5の発明の浴槽台は、第4の発明において、前記支持脚は、その断面が前記下孔部の形状に対応する非円形状とされた筒状体よりなり、前記脚ゴムと一体で設けられ、前記支持脚に下方から内挿又は外挿されることで前記脚ゴムを前記支持脚に取り付ける取付部を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、支持脚の断面が下孔部の形状に合わせた非円形状とされている。これにより、下孔部が非円形状とされた構成にあって、支持脚の中空部から下孔部を通じて水が排出される際の水の流れを円滑にすることができ、その結果、中空部内の水の排出を円滑に行うことができる。
【0021】
また、脚ゴムと一体で設けられた取付部が断面非円形状の支持脚に下方から内挿又は外挿されることで取り付けられているため、脚ゴムが支持脚の軸線周り方向に回転するのを規制することができる。そのため、吸盤が支持脚の軸線に対して偏った位置に配置される上記の構成にあって、支持脚の軸線周り方向における吸盤の位置を規定することができる。これにより、各支持脚ごとに、支持脚に対する吸盤の位置関係を同じとすることができるため、各支持脚ごとに吸盤位置が変わることで吸盤による吸着バランスが悪くなるといった不都合が生じるのを防止できる。
【0022】
第6の発明の浴槽台は、第3乃至第5のいずれかの発明において、前記下孔部は、前記支持脚の前記中空部の下端開口に合わせた大きさ及び形状を有して形成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、下孔部が支持脚の中空部の下端開口に合わせた大きさ及び形状を有して形成されているため、下孔部を通じて支持脚内(中空部)を清掃し易くすることができる。これにより、脚ゴムを支持脚から取り外すことなく、支持脚内を清掃することが可能となる。
【0024】
第7の発明の浴槽台は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記上孔部は、細長形状を有しているか、又は複数形成されていることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、上孔部が細孔形状を有しているため、使用者が上孔部に誤って指を入れてしまうのを防止することができる。又は、本発明によれば、上孔部が複数形成されているため、各上孔部の大きさを小さくすることができる。そのため、この場合にも、使用者が上孔部に誤って指を入れてしまうのを防止することができる。
【0026】
第8の発明の浴槽台は、第7の発明において、前記上孔部は、細長形状を有しており、その延びる方向の長さが前記下孔部の最大開口幅よりも大きくされていることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、上孔部の長さが下孔部の最大開口幅よりも大きくされているため、細長形状であってもその開口面積を十分に確保することができる。このため、使用者が上孔部に指を入れてしまうのを防止しながら、浴槽台を浴槽内に沈める際には上孔部を通じて中空部内の空気を円滑に排出することができる。
【0028】
第9の発明の浴槽台は、第8の発明において、前記上孔部は、円弧状に延びていることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、上孔部が円弧状に延びているため、上孔部を細長形状としながらも上孔部の長さ範囲の大部分について中空部の真上に位置させることができる。これにより、上孔部を通じた中空部内の空気の排出をより円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】(a)及び(b)ともに支持脚とその支持脚に取り付けられた各種部材とを示す斜視図。
【
図4】(a)及び(b)ともに支持脚の構成を示す斜視図。
【
図5】(a)が脚ゴムとその脚ゴムに取り付けられた取付部材とを斜め上方から見た斜視図であり、(b)が斜め下方から見た斜視図である。
【
図6】脚ゴムが内筒の下端部に取り付けられた状態を示す斜視図。
【
図8】天板部に形成された上孔部を拡大して示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、
図1は浴槽台10を斜め上方から見た斜視図であり、
図2は浴槽台10を斜め下方から見た斜視図である。
【0032】
図1及び
図2に示すように、浴槽台10は、台部11と、その台部11を支持する複数の支持脚12とを備える。台部11は、座部13と、その座部13を下方から支えるフレーム体14とを備える。座部13は、合成樹脂材料により形成され、天板部15と、その天板部15の周縁部から下方に延びる側板部16とを有している。天板部15は、平面視の形状が矩形形状とされ、詳しくは長方形状とされている。また、側板部16は、天板部15の周縁部に沿って環状に形成されている。
【0033】
天板部15の上面には座面シート17が敷設されている。座面シート17はクッション材により形成され、その上面が座面となっている。なお、座面シート17は必ずしもクッション材により形成される必要はなく、ゴム材により形成されてもよい。
【0034】
フレーム体14は、アルミダイカスト(鋳造)により成形された平面視矩形の枠体である。フレーム体14は、座部13の天板部15の下面側に設けられ、その周囲が側板部16により囲まれた状態で配置されている。このフレーム体14に対して座部13が取り付けられている。
【0035】
フレーム体14は、その4隅に上下に延びる筒状をなす筒状部14aを有している。これら各筒状部14aにはそれぞれ支持脚12の上端部が挿入されており、その挿入状態で支持脚12が筒状部14aに固定されている。また、各支持脚12の下端部には脚ゴム18が取り付けられている。
【0036】
続いて、支持脚12に関する構成について
図3及び
図4に基づいて説明する。
図3は、(a)及び(b)ともに、支持脚12とその支持脚12に取り付けられた各種部材とを示す斜視図となっている。なお、
図3(a)と
図3(b)とは支持脚12及び各種部材を異なる方向から見ている。また、
図4は、(a)及び(b)ともに支持脚12の構成を示す斜視図となっている。なお、
図4(a)と
図4(b)とは支持脚12を異なる方向から見ている。
【0037】
図3及び
図4に示すように、支持脚12は、外筒21と、その外筒21の内側に挿入された内筒22とを有している。外筒21と内筒22とはいずれもアルミニウム等の金属材料により形成され、上下方向に延びる筒状をなしている。外筒21は、その上端部が筒状部14aに挿入され、その挿入状態で筒状部14aに固定されている。また、内筒22の下端部には脚ゴム18が取り付けられている。
【0038】
外筒21と内筒22とはいずれも断面(詳しくは長さ方向に対して直交する断面)がD字状をなしている。外筒21の断面と内筒22の断面とはいずれも同じ形状(D字形状)とされており、外筒21の断面が内筒22の断面よりも一回り大きくされている。換言すると、外筒21及び内筒22の各断面は、円弧状をなす円弧部と、円弧部の両端を直線状につなぐ直線部とを有する形状とされている。この場合、内筒22は外筒21の内周面に沿って回転することが規制されている。
【0039】
外筒21は、内筒22に対して上下方向にスライド可能とされている。本浴槽台10では、外筒21を内筒22に対して上下方向にスライドさせることにより、支持脚12の長さを調整することが可能となっている。そして、その支持脚12の長さ調整により台部11の高さ位置を調整することが可能となっている。なお、本実施形態では、支持脚12の長さが最も短い長さに設定されている。この場合、内筒22のほぼ全体が外筒21の内側に収容された状態となる。
【0040】
外筒21には、その下部に固定ピン23を挿通可能な挿通孔24が形成されている。挿通孔24は、外筒21をその長手方向と直交する方向に貫通している。また、内筒22にも、固定ピン23を挿通可能な挿通孔25が形成されている。挿通孔25は、上下方向に所定の間隔(詳しくは等間隔)をおいて複数(具体的には5つ)形成されている。これらの挿通孔25はいずれも内筒22をその長手方向と直交する方向に貫通している。
【0041】
支持脚12の長さを調整する際には、外筒21の挿通孔24を内筒22の各挿通孔25のうちいずれかに位置合わせした状態でそれら各挿通孔24,25に固定ピン23を挿通する。これにより、外筒21が内筒22に対して固定された状態となり、その結果、支持脚12が上記調整した脚長さで保持される。
【0042】
外筒21の外周側にはリング部材26が設けられている。このリング部材26にも固定ピン23を挿通可能な孔部26aが形成されている。固定ピン23は、外筒21及び内筒22の各挿通孔24,25に加え、この孔部26aにも挿通されている。このため、リング部材26は支持脚12に対して上下方向への変位が規制された状態となっている。なお、固定ピン23は、その頭部23aが拡径されている。
【0043】
リング部材26には、その外周面に環状の凹部26bが形成されている。この凹部26bには、C字状の抜け止め部材27が着脱可能に取り付けられている。抜け止め部材27は、固定ピン23の頭部23aを覆った状態でリング部材26に取り付けられ、それにより、固定ピン23が各挿通孔24,25から抜け落ちるのが防止されている。
【0044】
上述したように、支持脚12は、断面D字状の外筒21及び内筒22を有して構成され、全体として、断面D字状の筒状体として形成されている。支持脚12には、外筒21の内部空間と内筒22の内部空間とにより中空部28が形成されている。中空部28は、支持脚12を上下方向に貫通して延びている。支持脚12において中空部28を囲む周壁部には、断面が円弧状をなす円弧壁部12aと、断面が直線状をなす直線壁部12bとが含まれている。各支持脚12はそれぞれ円弧壁部12aを各支持脚12の中心となる中心位置側に向けた状態で配置されている。この場合、各支持脚12は、互いに対角に位置する支持脚12同士が直線壁部12bを向き合わせた状態で配置され、換言すると、互いに対角に位置する支持脚12同士が円弧壁部12aを反対側に向けた状態で配置されている。
【0045】
続いて、脚ゴム18周辺の構成について
図5及び
図6に基づいて説明する。
図5は、(a)が脚ゴム18とその脚ゴム18に取り付けられた取付部材33とを斜め上方から見た斜視図であり、(b)が斜め下方から見た斜視図である。
図6は、脚ゴム18が内筒22の下端部に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0046】
図5及び
図6に示すように、脚ゴム18は、ゴム材により略円盤状に形成されている。脚ゴム18には、その底面部に吸盤31が設けられている。吸盤31は、底面視にて円形状をなしており、ゴム材により脚ゴム18と一体形成されている。吸盤31は、洗い場の床面や浴槽の底面に吸着されるものであり、その吸着により浴槽台10を固定することが可能となっている。
【0047】
脚ゴム18の上面側には取付部材33が取り付けられている。脚ゴム18は、この取付部材33を介して支持脚12の内筒22の下端部に取り付けられている。取付部材33は、硬質樹脂により形成され、平面視にて略円盤状に形成された円盤部34と、その円盤部34から上方に延び内筒22の内側に挿入される挿入部35とを有する。円盤部34は、脚ゴム18の上面に形成された凹部18aに嵌め込まれた状態で取り付けられている。なお、取付部材33が取付部に相当する。
【0048】
挿入部35は、上下方向に延びる筒状をなしている。挿入部35は、その断面(詳しくは上下方向と直交する断面)が支持脚12の内筒22の断面と同じD字形状をなしており、その断面の大きさが内筒22の断面よりも一回り小さくされている。また、挿入部35の内側空間は円盤部34まで延び、その円盤部34の下面において下方に向けて開口されている。なお、挿入部35には、その内側空間を囲む壁部に固定ピン23との干渉を回避するための切り欠き35bが形成されている。
【0049】
挿入部35は、内筒22の内側に下方から挿入されており、その挿入状態で内筒22に取り付けられている。挿入部35には、その外周面から互いに反対側に向けて突出する一対の突部35aが設けられており、内筒22の筒壁22aには、それら各突部35aに対応する位置に一対の孔部37が形成されている。挿入部35が内筒22に挿入された状態では、各突部35aがそれぞれ内筒22の孔部37に入り込んだ状態とされている。これにより、挿入部35ひいては取付部材33が内筒22に対して取り付けられている。そして、これにより、脚ゴム18が取付部材33を介して内筒22に取り付けられている。
【0050】
脚ゴム18には、支持脚12の中空部28の真下にその中空部28を下側に開放させる下孔部41が形成されている。以下、この下孔部41について
図7に基づいて説明する。
図7は、脚ゴム18周辺を拡大して示す底面図である。
【0051】
図7に示すように、下孔部41は、その孔形状が支持脚12の断面形状に対応するD字状をなしている。そのため、下孔部41の周縁部には、円弧状をなす円弧縁部41aと、その円弧縁部41aの両端を直線状につなぐ直線縁部41bとが含まれている。各脚ゴム18の下孔部41は、それら各脚ゴム18の中心となる中心位置側に直線縁部41bが向くように配置されている。
【0052】
下孔部41は、支持脚12の中空部28の下端開口(換言すると内筒22の下端開口)、すなわちD字状をなす当該下端開口に合わせた形状及び大きさを有している。より詳しくは、下孔部41は、中空部28の下端開口と同じ形状及び大きさを有して形成されている。下孔部41は、底面視において、中空部28の下端開口と同じ向きであってかつ同じ位置に位置するよう形成されている。したがって、下孔部41は、底面視において、中空部28の下端開口全体と重複している。
【0053】
脚ゴム18の底面側では、吸盤31が下孔部41に対して脚ゴム18の底面方向にずらして配置されている。吸盤31は、上記底面方向のうち、下孔部41の直線縁部41bと直交する方向に下孔部41と並んで配置されている。この場合、吸盤31は、下孔部41の円弧縁部41a及び直線縁部41bのうち、直線縁部41bに隣接して配置されている。吸盤31がこのように配置されていることで、下孔部41は、その全体(又は略全体)が吸盤31により下方から覆われていない状態とされている。
【0054】
ここで、下孔部41がD字状とされている上記の構成では、円弧縁部41aの円弧中心Cを通って直線状に延び、その両端がそれぞれ下孔部41の周縁部に位置する線分を想定した場合、その線分の長さが下孔部41の開口幅に相当する。D字状の下孔部41においては、下孔部41の開口幅が最小となるのが、下孔部41の開口幅方向が直線縁部41bと直交する方向となる場合である。したがって、この場合における下孔部41の開口幅方向が下孔部41の開口幅が最小となる最小開口幅方向となっている。そのため、吸盤31と下孔部41とはこの最小開口幅方向に並んで配置されているということもできる。なお、以下においては、下孔部41の最小開口幅を最小開口幅W1ともいう。
【0055】
ちなみに、下孔部41の開口幅が最大となる最大開口幅方向は下孔部41の開口幅が円弧縁部41aの直径(円弧半径の2倍)になる方向のことである。また、以下においては、下孔部41の最大開口幅を最大開口幅W2ともいう。
【0056】
各脚ゴム18のうち、対角に位置する脚ゴム18同士を結ぶ方向を対角方向とした場合、それら各脚ゴム18においては吸盤31と下孔部41とが並ぶ並び方向が対角方向と同じ方向となっている。この場合、吸盤31と下孔部41とのうち、吸盤31が対角方向における内側に位置し、下孔部41が外側に位置している。また、脚ゴム18では、吸盤31と下孔部41とが並んで配置されている関係で、それら両者31,41が並ぶ並び方向の長さが上記並び方向と直交する方向の長さよりも長くなっている。
【0057】
続いて、座部13の天板部15に形成された上孔部42について
図8に基づいて説明する。
図8は、天板部15に形成された上孔部42を拡大して示す平面図である。なお、
図8では、説明の便宜上、下孔部41を二点鎖線で示している。
【0058】
図8に示すように、座部13の天板部15には、支持脚12の中空部28の真上にその中空部28を上側に開放させる上孔部42が形成されている。上孔部42は、各支持脚12ごとに設けられており、そのため、天板部15には、その4隅にそれぞれ上孔部42が設けられている(
図1も参照)。
【0059】
上孔部42は、平面視において、円弧状に細長く延びる細長形状とされている。詳しくは、上孔部42は、天板部15の対角線方向において天板部15の中央部側とは反対側に向けて凸となる円弧状をなしている。より詳しくは、上孔部42は、その周縁部として、同一の円弧中心を有することで同心円弧状に延びる一対の円弧縁部42a,42bと、各円弧縁部42a,42bの端部同士を滑らかに繋ぐ円弧状の繋ぎ縁部42c,42dとを有する。
【0060】
上孔部42は、その円弧状に延びている方向の長さLが下孔部41の最大開口幅W2よりも大きくされている(L>W2)。この場合、上孔部42の長さLは、上孔部42において各繋ぎ縁部42c,42dを結ぶ幅方向の中心線を想定した場合、その中心線の長さに相当する。また、上孔部42の幅D、つまり各円弧縁部42a,42bの間の距離は下孔部41の最小開口幅Wlよりも小さくされている。また、上孔部42は、その全体又は略全体が支持脚12の中空部28の真上に位置している。
【0061】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0062】
支持脚12の中空部28が脚ゴム18に形成された下孔部41により下側に開放されているため、中空部28に入った水を下孔部41を通じて真下に排出することができる。これにより、浴槽台10を浴槽内から取り出す際、中空部28内の水を速やかに排出することができる。また、脚ゴム18の底面部に設けられた吸盤31は下孔部41に対して脚ゴム18の底面方向にずらして配置されているため、吸盤31によって下孔部41が覆われることがない。このため、脚ゴム18に吸盤31が設けられた構成にあっても、中空部28内の水を下方に向け速やかに排出することができる。
【0063】
また、支持脚12の中空部28は台部11(具体的には座部13の天板部15)に形成された上孔部42により上側に開放されているため、浴槽台10を浴槽内に沈めて配置する際には中空部28内の空気を上孔部42を通じて速やかに排出することができる。また、中空部28の真下に下孔部41が形成されているため、浴槽台10を浴槽内に沈める際には、その下孔部41から中空部28に水が導入し易くなっている。そのため、その水の導入によっても中空部28内の空気の排出を促すことができる。これにより、浴槽台10を浴槽内に沈める際に、浴槽台10を速やかに沈めることが可能となる。よって、以上より、浴槽台10を浴槽で使用する場合において、その使い勝手を向上させることができる。
【0064】
支持脚12の真下に位置する下孔部41に対し吸盤31をずらして配置した上記実施形態の構成では、支持脚12からの下向き荷重が吸盤31に上手く伝わらないおそれがある。その点、上記の実施形態では、下孔部41をD字形状とし、その下孔部41と吸盤31とを、下孔部41の開口幅が最大となる最大開口幅方向とは異なる方向に並ぶように配置した。この場合、平面視において吸盤31を支持脚12の軸線寄りに位置させ易くすることができるため、支持脚12からの荷重を吸盤31に伝え易くすることができる。これにより、吸盤31を下孔部41に対してずらして配置した構成にあっても、吸盤31による吸着力を確保し易くすることができる。なお、支持脚12の軸線とは、支持脚12の円弧壁部12aの円弧中心を通って支持脚12の長さ方向(上下方向)に延びる線のことである。
【0065】
具体的には、下孔部41と吸盤31とは、下孔部41の開口幅が最小となる最小開口幅方向に並ぶように配置されているため、平面視において吸盤31を支持脚12の軸線寄りにより一層位置させ易くすることができる。このため、支持脚12からの荷重を吸盤31により伝え易くすることができ、その結果、吸盤31による吸着力をより一層確保し易くすることができる。
【0066】
支持脚12の断面が下孔部41の形状に合わせたD字形状とされているため、下孔部41がD字形状とされた構成にあって、支持脚12の中空部28から下孔部41を通じて水が排出される際の水の流れを円滑にすることができ、その結果、中空部28内の水の排出を円滑に行うことができる。
【0067】
また、脚ゴム18と一体で設けられた取付部材33が断面D字形状の支持脚12に下方から内挿されることで取り付けられているため、脚ゴム18が支持脚12の軸線周り方向に回転するのを規制することができる。そのため、吸盤31が支持脚12の軸線に対して偏った位置に配置される上記実施形態の構成にあって、支持脚12の軸線周り方向における吸盤31の位置を規定することができる。これにより、各支持脚12ごとに、支持脚12に対する吸盤31の位置関係を同じとすることができるため、各支持脚12ごとに吸盤31の位置が変わることで吸盤31による吸着バランスが悪くなるといった不都合が生じるのを防止できる。
【0068】
下孔部41が支持脚12の中空部28の下端開口に合わせた大きさ及び形状を有して形成されているため、下孔部41を通じて支持脚12内(中空部28)を清掃し易くすることができる。これにより、脚ゴム18を支持脚12から取り外すことなく、支持脚12内を清掃することが可能となる。
【0069】
上孔部42が細長形状とされているため、使用者が上孔部42に誤って指を入れてしまうのを防止することができる。また、上孔部42は、その長さLが下孔部41の最大開口幅W2よりも大きくされているため、細長形状であってもその開口面積を十分に確保することができる。このため、浴槽台10を浴槽内に沈める際には、上孔部42を通じて中空部28内の空気を円滑に排出することができる。
【0070】
具体的には、上孔部42は円弧状に延びているため、上孔部42を細長形状としながらも上孔部42の長さ範囲の大部分について中空部28の真上に位置させることができる。これにより、上孔部42を通じた中空部28内の空気の排出をより円滑に行うことが可能となる。
【0071】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0072】
・上記実施形態では、下孔部41を支持脚12の中空部28の下端開口に合わせた大きさ及び形状を有して形成したが、下孔部41は必ずしも中空部28の下端開口に合わせて形成する必要はない。例えば、下孔部41を、中空部28の下端開口よりも小さい丸孔として形成してもよい。但し、下孔部41を通じた中空部28内の清掃のし易さを考えると、上記実施形態のように下孔部41を中空部28の下端開口に合わせて形成するのが望ましい。
【0073】
・上記実施形態では、下孔部41と吸盤31とを下孔部41の最小開口幅方向に並ぶよう配置したが、下孔部41と吸盤31とは必ずしもこの方向に並ぶよう配置する必要はない。例えば、下孔部41の開口幅が最小開口幅W1よりも大きくかつ最大開口幅W2よりも小さくなる場合の開口幅方向に下孔部41と吸盤31とが並ぶように配置することが考えられる。この場合にも、吸盤31を支持脚12の軸線寄りに位置させ易くすることができる。
【0074】
・上記実施形態では、下孔部41をD字形状としたが、下孔部41を長方形状や長円形状等、他の非円形状(つまり真円以外の形状)としてもよい。この場合においても、下孔部41と吸盤31とを、下孔部41の最大開口幅方向とは異なる方向に並ぶよう配置することで、吸盤31を支持脚12の軸線寄りに位置させ易くすることができる。
【0075】
例えば、下孔部41を長方形状とした場合、下孔部41と吸盤31とを下孔部41の短辺方向に並ぶよう配置することが考えられる。下孔部41の短辺方向は下孔部41の最小開口幅に相当するため、この場合、下孔部41と吸盤31とは最小開口幅方向に並んで配置されることになる。なお、下孔部41が長方形状の場合、その開口幅は下孔部41の中心を通って両端が下孔部41の周縁部に位置する線分を想定した場合、その線分の長さに相当する。また、この場合、下孔部41の長辺方向が最大開口幅方向に相当する。
【0076】
また、下孔部41を長方形状とした場合、支持脚12の断面形状をその下孔部41の形状に対応する長方形状とするようにしてもよい。
【0077】
・上記実施形態では、支持脚12の断面形状を下孔部41の形状に対応させてD字形状としたが、支持脚12の断面形状は必ずしも下孔部41の形状に対応させる必要はない。例えば、支持脚12の断面形状を円形状にすることが考えられる。つまり、支持脚12を円筒状に形成することが考えられる。
【0078】
・ところで、浴槽台によっては、支持脚12の下端部に脚ゴム18が取り付けられていないものがある。このような浴槽台では、支持脚12の中空部28がその下端開口(請求項2の下孔部に相当)を通じて下側に開放されることになる。このため、中空部28に入った水をその下端開口を通じて真下に排出することが可能となる。つまり、このような浴槽台では、脚ゴム18の下孔部41に代えて、中空部28の下端開口が中空部28内の水を真下に排出する排出口として機能することになる。したがって、かかる浴槽台においても、浴槽台を浴槽内から取り出す際、中空部28内の水を速やかに排出することができる。
【0079】
・上記実施形態では、上孔部42を円弧状に延びるよう形成したが、例えば上孔部42を直線状に延びるよう形成してもよい。この場合にも、上孔部42が細長形状とされているため、使用者が上孔部42に指を入れてしまうのを防止することができる。また、上孔部42は必ずしも細長形状とする必要はなく、例えば円形状や三角形等の多角形状、十字形状等にしてもよい。
【0080】
また、天板部15に上孔部42を複数形成してもよい。この場合、各上孔部42をそれぞれ支持脚12の中空部28の真上に形成し、それら各上孔部42によりそれぞれ中空部28を上側に開放させるようにする。例えば、円形状の上孔部42を2つ又は3つ並べて形成することが考えられる。この場合、各上孔部42の大きさを小さくすることができるため、上孔部42を細長形状とした場合と同様、使用者が上孔部42に指を入れてしまうのを防止することができる。また、上孔部42が複数形成されているため、上孔部42全体でその開口面積を十分に確保することができる。
【0081】
・上記実施形態では、下孔部41の全体が吸盤31により下方から覆われていない状態となっていたが、下孔部41の一部(例えば半分程度)が吸盤31により下方から覆われているようにしてもよい。この場合にも、下孔部41の残りの部分については吸盤31により下方から覆われていないため、支持脚12の中空部28内に入った水を下孔部41から下方に向け速やかに排出することができる。
【0082】
・上記実施形態では、脚ゴム18に吸盤31を1つだけ設けたが、脚ゴム18に吸盤31を複数設けるようにしてもよい。その場合、各吸盤31をそれぞれ下孔部41に対してずらして配置することになる。また、脚ゴム18に吸盤31を設けないようにしてもよい。
【0083】
・上記実施形態では、取付部材33を支持脚12に内挿する構成としたが、取付部材33を支持脚12に外挿する構成としてもよい。この場合においても、取付部材33ひいては脚ゴム18が支持脚12の軸線周り方向に回転するのを規制することができる。
【0084】
また、上記実施形態では、取付部材33(取付部に相当)を脚ゴム18とは別体で形成したが、取付部をゴム材により脚ゴム18と一体形成してもよい。
【0085】
・上記実施形態では、支持脚12を外筒21と内筒22とを有して長さ調整可能に構成したが、支持脚12は必ずしも長さ調整可能とする必要はない。その場合、支持脚12を一の筒状体により形成することが考えられる。また、この場合、その筒状体の内部空間が中空部となる。
【符号の説明】
【0086】
10…浴槽台、11…台部、12…支持脚、18…脚ゴム、28…中空部、31…吸盤、33…取付部としての取付部材、41…下孔部、42…上孔部。