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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】投影装置及びその結像モジュール
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20230215BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20230215BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20230215BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20230215BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 D
G02B26/08 A
G02B7/00 B
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019107665
(22)【出願日】2019-06-10
(65)【公開番号】P2020003784
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】201821016359.8
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】魏 仲廷
(72)【発明者】
【氏名】鄭 權得
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-524121(JP,A)
【文献】特開2016-090751(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0151356(US,A1)
【文献】特開2013-171125(JP,A)
【文献】特開2006-184489(JP,A)
【文献】特開2002-350780(JP,A)
【文献】特開2005-345937(JP,A)
【文献】特開2008-268865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
G02B 26/00-26/12
G02B 7/00
7/18-7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像モジュールであって、
前記結像モジュールは、表示素子、プリズム、及び映像変位装置を含み、
前記表示素子は、能動表示面を含み、
前記プリズムは、光学面を含み、
前記映像変位装置は、前記表示素子と前記プリズムとの間に設置され、前記映像変位装置は、光学素子、載置台、ベース、及び少なくとも1つのアクチュエータを含み、前記光学素子は、前記載置台に設置され、前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記ベースに設置され、前記少なくとも1つのアクチュエータの一端は、前記載置台に接続されることで、前記載置台上での前記光学素子が前記ベースに対して搖動するように駆動し、
前記能動表示面から前記光学素子までの距離が第一距離であり、前記能動表示面の中心の法線の所在する線が基準線であり、前記少なくとも1つのアクチュエータの前記基準線上での正投影の線分のうち、前記表示素子に近い端点が基準点であり、前記基準点から前記光学素子までの距離が第二距離であり、且つ前記載置台の前記プリズムに近い辺縁と、前記光学素子との間の距離が間隔である場合、前記第一距離は、前記第二距離よりも小さく、且つ前記第二距離は、前記間隔よりも大きい、結像モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の結像モジュールであって、
照明光束が前記光学面を経由して前記プリズムに入射した後に前記プリズムにより前記光学素子へ投射され、前記照明光束は、前記光学素子を通過した後に前記表示素子に入射し、前記能動表示面は、前記照明光束を受けて前記照明光束を映像光束に変換した後に前記光学素子へ反射し、前記映像光束は、前記光学素子を通過した後に前記プリズムの前記光学面に入射し、前記光学面により投影レンズへ反射される、結像モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の結像モジュールであって、
前記能動表示面の所在する平面は、基準平面であり、前記少なくとも1つのアクチュエータの前記基準平面上での正投影の領域は、前記投影レンズの前記基準平面上での正投影の領域と重畳しない、結像モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の結像モジュールであって、
前記ベースの前記基準平面上での正投影の領域は、前記投影レンズの前記基準平面上での正投影の領域と重畳しない、結像モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の結像モジュールであって、
前記映像変位装置の前記ベース及び/又は前記載置台は、ステンレス鋼材料を含む、結像モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の結像モジュールであって、
前記能動表示面の所在する平面は、基準平面であり、前記ベース及び前記少なくとも1つのアクチュエータの前記基準平面上での正投影の領域は、前記能動表示面の正投影の領域と重畳しない、結像モジュール。
【請求項7】
請求項2に記載の結像モジュールであって、
前記光学素子は、平板ガラスを含み、前記平板ガラスは、入光面及び出光面を含み、前記入光面は、前記出光面に相対し、前記映像光束は、前記入光面から前記光学素子に入射し、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記載置台上での前記光学素子の前記ベースに対しての搖動を駆動しないときに、前記入光面及び前記出光面は、前記能動表示面に平行であり、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記載置台上での前記光学素子の前記ベースに対しての搖動を駆動するときに、前記入光面及び前記出光面は、前記能動表示面に平行でない、結像モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の結像モジュールであって、
前記入光面及び前記能動表示面は、矩形状である、結像モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載の結像モジュールであって、
前記入光面の面積は、前記能動表示面の面積よりも大きい、結像モジュール。
【請求項10】
請求項1に記載の結像モジュールであって、
前記載置台は、第一中空領域を含み、前記光学素子は、前記第一中空領域内に設置され、前記ベースは、第二中空領域を含み、前記載置台は、前記第二中空領域内に位置する、結像モジュール。
【請求項11】
請求項1に記載の結像モジュールであって、
前記少なくとも1つのアクチュエータは、ボイスコイルモータ又は圧電セラミックス装置である、結像モジュール。
【請求項12】
請求項1に記載の結像モジュールであって、
前記少なくとも1つのアクチュエータは、磁石及びコイルを含み、
前記磁石は、前記ベースに設置され、前記コイルは、前記載置台に接続され;又は
前記コイルは、前記ベースに設置され、前記磁石は、前記載置台に接続される、結像モジュール。
【請求項13】
請求項1に記載の結像モジュールであって、
前記表示素子は、デジタルミラーデバイス又はLCoS表示装置である、結像モジュール。
【請求項14】
投影装置であって、
前記投影装置は、照明システム、結像モジュール、及び投影レンズを含み、
前記照明システムは、照明光束を提供し、
前記結像モジュールは、表示素子、プリズム、及び映像変位装置を含み、
前記表示素子は、能動表示面を含み、
前記プリズムは、光学面を含み、
前記映像変位装置は、前記表示素子と前記プリズムとの間に設置され、前記映像変位装置は、光学素子、載置台、ベース、及び少なくとも1つのアクチュエータを含み、前記光学素子は、前記載置台に設置され、前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記ベースに設置され、前記少なくとも1つのアクチュエータの一端は、前記載置台に接続されることで、前記載置台上での前記光学素子が前記ベースに対して搖動するように駆動し、
前記能動表示面から前記光学素子までの距離が第一距離であり、前記能動表示面の中心の法線の所在する線が基準線であり、前記少なくとも1つのアクチュエータの前記基準線上での正投影の線分のうち、前記表示素子に近い端点が基準点であり、前記基準点から前記光学素子までの距離が第二距離であり、且つ前記載置台の前記プリズムに近い辺縁と、前記光学素子との間の距離が間隔である場合、前記第一距離は、前記第二距離よりも小さく、且つ前記第二距離は、前記間隔よりも大きい、投影装置。
【請求項15】
請求項14に記載の投影装置であって、
前記照明光束は、前記光学面を経由して前記プリズムに入射した後に前記プリズムにより前記光学素子へ投射され、前記照明光束は、前記光学素子を通過した後に前記表示素子に入射し、前記能動表示面は、前記照明光束を受けて前記照明光束を映像光束に変換した後に前記光学素子へ反射し、前記映像光束は、前記光学素子を通過した後に前記プリズムの前記光学面に入射し、前記光学面により前記投影レンズへ反射される、投影装置。
【請求項16】
請求項14に記載の投影装置であって、
前記能動表示面の所在する平面は、基準平面であり、前記少なくとも1つのアクチュエータの前記基準平面上での正投影の領域は、前記投影レンズの前記基準平面上での正投影の領域と重畳しない、投影装置。
【請求項17】
請求項16に記載の投影装置であって、
前記ベースの前記基準平面上での正投影の領域は、前記投影レンズの前記基準平面上での正投影の領域と重畳しない、投影装置。
【請求項18】
請求項14に記載の投影装置であって、
前記映像変位装置の前記ベース及び/又は前記載置台は、ステンレス鋼材料を含む、投影装置。
【請求項19】
請求項14に記載の投影装置であって、
前記能動表示面の所在する平面は、基準平面であり、前記ベース及び前記少なくとも1つのアクチュエータの前記基準平面上での正投影の領域は、前記能動表示面の正投影の領域と重畳しない、投影装置。
【請求項20】
請求項15に記載の投影装置であって、
前記光学素子は、平板ガラスを含み、前記平板ガラスは、入光面及び出光面を含み、前記入光面は、前記出光面に相対し、前記映像光束は、前記入光面から前記光学素子に入射し、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記載置台上での前記光学素子の前記ベースに対しての搖動を駆動しないときに、前記入光面及び前記出光面は、前記能動表示面に平行であり、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記載置台上での前記光学素子の前記ベースに対しての搖動を駆動するときに、前記入光面及び前記出光面は、前記能動表示面に平行でない、投影装置。
【請求項21】
請求項20に記載の投影装置であって、
前記入光面及び前記能動表示面は、矩形状である、投影装置。
【請求項22】
請求項21に記載の投影装置であって、
前記入光面の面積は、前記能動表示面の面積よりも大きい、投影装置。
【請求項23】
請求項14に記載の投影装置であって、
前記載置台は、第一中空領域を含み、前記光学素子は、前記第一中空領域内に設置され、前記ベースは、第二中空領域を含み、前記載置台は、前記第二中空領域内に位置する、投影装置。
【請求項24】
請求項14に記載の投影装置であって、
前記少なくとも1つのアクチュエータは、ボイスコイルモータ又は圧電セラミックス装置である、投影装置。
【請求項25】
請求項14に記載の投影装置であって、
前記少なくとも1つのアクチュエータは、磁石及びコイルを含み、
前記磁石は、前記ベースに設置され、前記コイルは、前記載置台に接続され;又は
前記コイルは、前記ベースに設置され、前記磁石は、前記載置台に接続される、投影装置。
【請求項26】
請求項14に記載の投影装置であって、
前記表示素子は、デジタルミラーデバイス又はLCoS表示装置である、投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置及びその結像モジュールに関し、特に、映像変位装置を有する投影装置及びその結像モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
投影装置は、映像を投影スクリーンに投影することで、使用者にその映像を見せるための装置である。投影装置が投射する映像の解像度が増えるときに、投影スクリーン上の映像は、より細かい(高い)画質を有する。今のところ、一般的な表示装置に表示される映像のうち、よくある1080P(1920×1080画素)映像の他に、近年、4K(3840×2160画素)以上の映像も益々普及している。よって、各メーカーは、投影装置の解像度を向上させるために努力している。
【0003】
投影装置の解像度の向上に当たっては、より大きな高解像度結像素子(例えば、LCD、DMD、LCoSなど)を使い、或いは、解像度の向上の目的を達成するために他のアセンブリを増設するのが一般的である。しかし、このようなやり方は、往々にして、投影装置の体積を大きくすることがあり、且つ関連する光学素子又は機械素子もそれに伴って大きくなる必要があり、結果として、コスト及び体積の増加を来すことがある。よって、投影装置の解像度を向上させるときに、如何に投影装置の体積を同時に縮小するかは、当業者に注目されているポイントである。
【0004】
なお、この“背景技術”の部分は、本発明の内容への理解を助けるためだけのものであるため、この“背景技術”の部分に開示されている内容は、当業者に知られていない技術を含む可能性がある。よって、この“背景技術”の部分に開示されている内容は、該内容、又は、本発明の1つ又は複数の実施例が解決しようとする課題が本発明出願前に既に当業者に周知されていることを意味しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、結像モジュールであって、この結像モジュールを応用する投影装置の体積を縮小することができる結像モジュールを提供することにある。
【0006】
本発明のもう1つの目的は、体積が小さい投影装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的及び利点は、本発明に開示されている技術的特徴からさらに理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の1つ又は一部又は全部の目的或いは他の目的を達成するために、本発明の一実施例は、結像モジュールを提供し、それは、表示素子、プリズム及び映像変位装置を含む。表示素子は、能動表示面を含む。プリズムは、光学面を含む。映像変位装置は、表示素子とプリズムとの間に設置される。映像変位装置は、光学素子、載置台、ベース及び少なくとも1つのアクチュエータ(actuator)を含む。光学素子は、載置台に設置される。少なくとも1つのアクチュエータは、ベースに設置される。少なくとも1つのアクチュエータの一端は、載置台に接続され、これにより、載置台上での光学素子がベースに対して搖動(swing)するように駆動し、そのうち、能動表示面から光学素子までの距離が第一距離であり、能動表示面の中心の法線の所在する線が基準線であり、少なくとも1つのアクチュエータの基準線上での正投影の線分のうち、表示素子に近い端点が基準点であり、基準点から光学素子までの距離が第二距離であり、且つ載置台のプリズムに近い辺縁と、光学素子との間の距離が間隔である場合、第一距離は、第二距離よりも小さく、且つ第二距離は、間隔よりも大きい。
【0009】
上述の1つ又は一部又は全部の目的或いは他の目的を達成するために、本発明の一実施例は、投影装置を提供し、それは、照明システム、結像モジュール及び投影レンズを含む。照明システムは、照明光束を提供する。結像モジュールは、表示素子、プリズム及び映像変位装置を含む。表示素子は、能動表示面を含む。プリズムは、光学面を含む。映像変位装置は、表示素子とプリズムとの間に設置される。映像変位装置は、光学素子、載置台、ベース及び少なくとも1つのアクチュエータを含む。光学素子は、載置台に設置される。少なくとも1つのアクチュエータは、ベースに設置される。少なくとも1つのアクチュエータの一端は、載置台に接続され、これにより、載置台上での光学素子がベースに対して搖動するように駆動し、そのうち、能動表示面から該光学素子までの距離が第一距離であり、能動表示面の中心の法線の所在する線が基準線であり、少なくとも1つのアクチュエータの基準線上での正投影の線分のうち、表示素子に近い端点が基準点であり、基準点から光学素子までの距離が第二距離であり、且つ載置台のプリズムに近い辺縁と、光学素子との間の距離が間隔である場合、第一距離は、第二距離よりも小さく、且つ第二距離は、間隔よりも大きい。
【0010】
本発明の実施例における結像モジュールは、投影レンズからプリズムまでの距離及び/又はプリズムから映像変位装置までの距離を大幅に縮小することができるため、この結像モジュールを応用する投影装置の背面焦点距離(back focal length)を大幅に縮小することができる。また、投影装置は、体積が小さく、コストが低く、また、投影装置の光学品質を向上させることもできる。
【0011】
本発明の上述の特徴及び利点をより明らかにするために、以下、実施例を挙げて、添付した図面を参照することにより、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例における投影装置を示す図である。
図2A】本発明の一実施例における結像モジュールを示す図である。
図2B】本発明の一実施例における結像モジュールを示す図である。
図2C】本発明の一実施例における結像モジュールを示す図である。
図2D】本発明の一実施例における結像モジュールを示す図である。
図3】本発明の他の実施例における結像モジュールの一部の素子の相対位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の上述した及び他の技術的内容、特徴、機能及び効果は、添付した図面に基づく以下のような好ましい実施例における詳細な説明により明確になる。なお、以下の実施例に言及されている方向についての用語、例えば、上、下、左、右、前又は後などは、添付した図面の方向に過ぎない。よって、使用されている方向の用語は、本発明を説明するためだけのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0014】
図1は、本発明の一実施例における投影装置を示す図である。図1に示すように、投影装置1は、照明システムL及び結像モジュール10を含む。結像モジュール10は、照明システムLにより提供される照明光束ILの伝播経路に配置され、照明光束ILを映像光束IPに変換し、そして、投影レンズ17により投影面(投影スクリーン又は壁面)に投射して映像画面を形成するために用いられる。照明システムLは、例えば、高圧水銀ランプ、レーザダイオード(laser diode)又は発光ダイオード(light emitting diode)などの素子を含み、照明光束ILを生成するが、本発明は、これに限定されない。
【0015】
図2A図2Dを同時に参照する。図2A図2Dは、図1に示す結像モジュール10を示す図であり、そのうち、図2Aに示すのは、結像モジュール10の立体図であり、図2Bに示すのは、結像モジュール10の分解図であり、図2Cに示すのは、結像モジュール10の断面図であり、図2Dに示すのは、図2Aの結像モジュール10における一部の素子の相対位置である。図2Aに示すように、本実施例の結像モジュール10は、表示素子11、映像変位装置23、プリズム15及び投影レンズ17を含む。
【0016】
図2Bは、各素子の構造の説明の便宜のため、結像モジュール10の表示素子11、映像変位装置23、プリズム(prism)15及び投影レンズ17の分離時の様子を示す。図2Bに示すように、表示素子11は、能動表示面111を含み、そのうち、能動表示面111は、映像変位装置23及びプリズム15に面する。プリズム15は、光学面151を含む。映像変位装置23は、表示素子11とプリズム15との間に設置される。本実施例では、投影レンズ17は、プリズム15の上方に設置され、そのうち、投影レンズ17は、プリズム15の光学面151に面する。映像変位装置23は、光学素子231、載置台232、ベース236及びアクチュエータ233、234を含む。光学素子231は、載置台232に設置される。アクチュエータ233、234は、ベース236に設置される。アクチュエータ233、234の一端は、載置台232に接続され、これにより、載置台232上での光学素子231がベース236に対して搖動するように駆動し、そのうち、ベース236は、投影装置1内に固定される。
【0017】
図2Cは、図2Aに示す結像モジュール10のA方向から見た時の断面図である。図2Cに示すように、照明システムLにより提供される照明光束ILは、プリズム15の光学面151を経由してプリズム15に入射することができ、そして、入射した照明光束ILは、プリズム15の屈折により光学素子231へ伝播することができる。続いて、照明光束ILは、光学素子231を通過した後に表示素子11に入射する。表示素子11の能動表示面111は、照明光束ILを受けて照明光束ILを映像光束IPに変換した後に、光学素子231へ反射する。続いて、映像光束IPは、光学素子231を通過する。映像光束IPは、プリズム15の光学面151に入射し、映像光束IPの入射角がプリズム15の臨界角を超えることで、映像光束IPは、光学面151により投影レンズ17へ反射される。また、アクチュエータ233、234により、載置台232上での光学素子231がベース236に対して搖動するように駆動することができるため、光学素子231は、映像光束IPの映像の特性を変更することができ、それは、映像光束IPの光の伝播経路を変更することを指す。よって、映像変位装置23の設置により、例えば、投影装置1の映像解像度又は投影画面の映像品質などを向上させることができるが、本発明は、これに限定されない。
【0018】
そのうち、プリズム15の光学面151により映像光束IPを投影レンズ17へ反射するときに、例えば、プリズム15の光学面151において全反射を行っても良い。なお、光学面151にメッキ膜を形成し、例えば、半透過半反射膜を形成することで、映像光束IPを投影レンズ17へ投射しても良い。
【0019】
また、結像モジュール10の体積を小さくするために、プリズム15は、設置のときに、できるだけ映像変位装置23に接近し、即ち、できるだけプリズム15から映像変位装置23までの距離d15を小さくし、これにより、投影装置1の背面焦点距離(即ち、能動表示面111から投影レンズ17までの光路長)を縮小することができ、具体的に言えば、背面焦点距離を小さくすることで、比較的小さい体積の投影レンズPを使用することができる(即ち、比較的小さい有効径のレンズを使用することができる)。本実施例では、プリズム15が映像変位装置23にかなり近いときに、投影レンズは、映像変位装置23のアクチュエータ233、234、載置台232及び/又はベース236の邪魔又は機械的干渉にならず、且つ投影装置1の背面焦点距離を短縮することもできる。
【0020】
図2Dは、図2Aに示す結像モジュール10のB方向から見たときの側面図である。そのうち、A方向は、B方向に垂直である。図2Dに示すように、プリズム15は省略され、表示素子11の能動表示面111の所在する平面は、基準平面Sである。能動表示面111の基準平面S上での正投影は、能動表示面領域111pであり、光学素子231の基準平面S上での正投影は、光学素子領域231pであり、アクチュエータ233の基準平面S上での正投影は、アクチュエータ領域233pであり、アクチュエータ234の基準平面S上での正投影は、アクチュエータ領域234pであり、投影レンズ17の基準平面S上での正投影は、投影レンズ領域17pである。本実施例では、アクチュエータ233、234の設置位置上の設計により、アクチュエータ233、234の基準平面S上での正投影のアクチュエータ領域233p、234pは、投影レンズ17の基準平面S上での正投影の投影レンズ領域17pと重畳せず(重なり合わず)、そのうち、いわゆる重畳とは、部分的な重畳も含む。なお、結像モジュール10では、アクチュエータ233、234が光学素子231の任意の側辺に設置されても、アクチュエータ233、234の基準平面S上での正投影のアクチュエータ領域233p、234pは、投影レンズ17の基準平面S上での正投影の投影レンズ領域17pと重畳しない。再び図2Cを参照する。投影レンズ17からプリズム15までの距離は、第三距離d3である。アクチュエータ233、234は、基準平面S上での正投影のアクチュエータ領域233p、234pが投影レンズ領域17pと重畳しないため、アクチュエータ233又は234の邪魔又は機械的干渉を受けることがない。よって、プリズム15から映像変位装置23までの距離d15がかなり近い(小さい)ときにも、本実施例の投影レンズ17は、できるだけプリズム15に接近することができ、これにより、投影装置1の背面焦点距離を大幅に縮小することができる。よって、投影装置1の体積を小さくし、コストを低減することができる。
【0021】
なお、投影レンズ17は、例えば、複数のレンズを含んでも良く、そのうち、レンズ171は、投影レンズ17のうち、プリズム15に最も近いレンズである。レンズ171の基準平面S上での正投影は、レンズ領域171pである。アクチュエータ233、234の位置上の設計により、レンズ171は、できるだけプリズム15に近づくことができ、これにより、投影装置1の背面焦点距離を大幅に縮小することができる。また、投影レンズ17は、設置上で、アクチュエータ233又は234の邪魔又は機械的干渉を受けることがない。
【0022】
図2A図2Cに示す2つのアクチュエータ233、234の位置及び数量は、一例に過ぎず、本発明は、これに限定されない。映像変位装置23は、1つのアクチュエータ又は4つのアクチュエータを含んでも良く、アクチュエータは、基準平面S上での正投影のアクチュエータ領域が投影レンズ17の正投影の投影レンズ領域17pと重畳せず、投影レンズ17ができるだけプリズム15に接近し、アクチュエータ233又は234の邪魔を受けないようにさせることができれば良い。また、アクチュエータ233、234は、例えば、ボイスコイルモータ(Voice Coil Motor、VCM)又は圧電セラミックス装置であっても良いが、本発明は、これに限定されない。本実施例では、アクチュエータ233は、例えば、磁石233a及びコイル233bを含む。本実施例では、コイル233bがベース236に設置され、磁石233aが載置台232に接続されるケースを例として説明する。よって、アクチュエータ233は、作動時に、載置台232が搖動するように駆動することができる。なお、本発明の他の実施例では、アクチュエータの磁石は、ベース236に設置されても良く、コイルは、載置台232に接続されても良いが、本発明は、これに限定されない。アクチュエータ234は、磁石234a及びコイル234bを含み、その作用機能は、アクチュエータ233と同様であるため、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0023】
具体的に言えば、載置台232及びベース236は、例えば、弾性部品235a、235bにより互いに接続されても良い。弾性部品235a、235bは、載置台232及びベース236を固定するために用いられ、アクチュエータ233、234により、載置台232がベース236に対して搖動するように駆動するときに、弾性部品235a、35bは、対応する弾性軸を以て回転することができる。なお、本発明は、弾性部品235a、235bの材質、構造、設置位置又は数量について限定しない。
【0024】
また、図2Dでは、ベース236の基準平面S上での正投影は、ベース領域236pである。本実施例では、ベース236の正投影のベース領域236pは、投影レンズ17の基準平面S上での正投影の投影レンズ領域17pと重畳しない。本実施例の投影レンズ17のうちのレンズ171は、プリズム15に近づき、且つ投影レンズ17は、ベース236の邪魔又は機械的干渉を受けることがないさ。そのうち、ベース236及び/又は載置台232の、投影レンズ17に近い側の厚さは、例えば、ベース236の正投影のベース領域236pが投影レンズ17の基準平面S上での正投影の投影レンズ領域17pと重畳せず、投影レンズ17がベース236により邪魔されない目的を達成するために、かなり薄く形成されても良い。即ち、ベース236の、投影レンズ17に近い側の厚さd236と、載置台232の、投影レンズ17に近い側の厚さd232とがかなり小さくされても良く、これにより、レンズ171は、プリズム15に接近することができ、且つベース236の邪魔を受けることがない。よって、投影装置1の背面焦点距離を大幅に縮小することができる。
【0025】
本発明の他の実施例では、ベース236の正投影のベース領域236pは、例えば、投影レンズ17の基準平面S上での正投影の投影レンズ領域17pに隣接しても良い。
【0026】
また、映像変位装置23のベース236及び/又は載置台232は、例えば、金属材料(ステンレス鋼材料)を含んでも良い。金属材料が例えば、プラスチックなどの材料に比べ、より硬く、且つ靱性も有し、金属材料を含むベース236及び/又は載置台232は、かなり薄く作られても、十分な強度を維持することができる。また、載置台232の材料がステンレス鋼であることで、映像変位装置23全体の剛性を向上させる場合、映像変位装置23の体積を歪むことなく縮小することができる。他の実施例では、ベース236の材質は、ステンレス鋼であっても良い。即ち、ベース236の、投影レンズ17に近い側の厚さd236と、載置台232の、投影レンズ17に近い側の厚さd232とがとても小さくても良く、これにより、投影レンズ17は、できるだけプリズム15に接近することができ、ベース236の邪魔を受けることがない。
【0027】
詳細に言えば、図2Cに示すように、表示素子11の能動表示面111から光学素子231までの距離は、第一距離d1である。能動表示面111の中心の法線の所在する線は、基準線Lである。アクチュエータ233、234の基準線L上での正投影は、線分L1であり、線分L1のうち、表示素子11に近く且つ光学素子231から離れる端点は、基準点P1である。基準点P1から光学素子231までの距離は、第二距離d2である。また、載置台232の、プリズム15に近い辺縁と、光学素子231との間の距離は、間隔d4である。本実施例では、第一距離d1は、第二距離d2よりも小さく、且つ第二距離d2は、間隔d4よりも大きい。図2Dに示すように、載置台232の設計により、アクチュエータ領域233pと光学素子領域231pとの間には長さd233があり、アクチュエータ領域234pと光学素子領域231pとの間には長さd234がある。アクチュエータ233、234のアクチュエータ領域233p、234pと、光学素子231の光学素子領域231pとの間には十分な距離があり、即ち、長さd233及び長さd234が十分に長いので、能動表示面111の能動表示面領域111pは、アクチュエータ領域233p、234pと重畳又は接触することがない。図2Cに示すように、表示素子11は、できるだけ光学素子231に接近することができ、アクチュエータ233又は234の邪魔及び機械的干渉を受けることがない。よって、投影装置1の背面焦点距離は、大幅に縮小することができる。また、比較的小さい背面焦点距離は、投影装置1の体積を縮小し、コストを低減し、また、投影装置1の光学品質を向上させることもできる。
【0028】
また、本実施例では、ベース236の基準平面S上での正投影ベース領域236pは、能動表示面111と重畳することがなく、載置台232の基準平面S上での正投影の載置台領域232pも能動表示面111と重畳することがない。よって、表示素子11は、できるだけ光学素子231に接近することができ、ベース236又は載置台232の邪魔又は機械的干渉を受けることがない。
【0029】
図2Dに示す長さd233及び長さd234は、一例に過ぎず、本発明は、これに限定されない。長さd233、d234は、アクチュエータ233、234の基準平面S上での正投影のアクチュエータ領域233p、234pが能動表示面111の能動表示面領域111pと重畳しないようにすることができれば良い。
【0030】
具体的に言えば、光学素子231は、平板ガラスを含み、平板ガラスは、入光面2311及び出光面2313を含み、入光面2311は、出光面2313に相対する。映像光束IPは、入光面2311から光学素子231に入射し、照明光束ILは、出光面2313から光学素子231に入射する。アクチュエータ233、234により、動載置台232上での光学素子231のベース236に対しての搖動を駆動しないときに、入光面2311及び出光面2313は、能動表示面111に平行である。アクチュエータ233、234により、載置台232上での光学素子231がベース236に対して搖動するように駆動するときに、入光面2311及び出光面2313は、能動表示面111に平行でない。よって、アクチュエータ233、234によって光学素子231がベース236に対して搖動するように駆動されることで、光学素子231は、映像光束IPの映像の特性を変えることができる。例えば、投影装置1の映像解像度又は投影画面の映像品質などを向上させることができるが、本発明は、これに限定されない。
【0031】
具体的に言えば、図2Bに示すように、載置台232は、第一中空領域2321を含み、光学素子231は、第一中空領域2321内に設置される。ベース236は、第二中空領域2361を含み、載置台232は、第二中空領域2321内に位置する。なお、図2A及び図2Bに示す載置台232及びベース236の構造及び形状は、一例に過ぎず、本発明は、これに限定されない。
【0032】
また、光学素子231の入光面2311及び表示素子11の能動表示面111は、例えば、矩形状であっても良い。図2Dに示すように、本実施例では、光学素子231の入光面2311の面積は、能動表示面111の面積よりも大きい。このようにして、載置台232の設計により、長さd233及び長さd234を十分に長くすることで、アクチュエータ233、234と光学素子231との間には十分な距離があり、即ち、能動表示面111は、アクチュエータ233、234に接触することがない。光学素子231の面積を増大する必要なく、表示素子11ができるだけ光学素子231に接近し、アクチュエータ233又は234の邪魔を受けることがないようにさせることができる。よって、光学素子のコストが増加しない前提で、投影装置1の背面焦点距離を大幅に縮小することができる。
【0033】
本発明の実施例では、入光面2311の面積は、能動表示面111の面積よりも大きい。
【0034】
図3は、本発明の他の実施例における結像モジュールの一部の素子の相対位置を示す図である。図3に示すように、図2A~2Dの結像モジュールの構造とはほぼ同じであり、且つ同じ素子を有するが、技術的な相違点は、アクチュエータ233、234が光学素子231の上下の2つの側辺に設置されることにあり、図2A~2Dと同様の技術的特徴があり、即ち、アクチュエータ233、234は、図3に示すように、載置台232の設計により、アクチュエータ領域233pと光学素子領域231pとの間に長さd233があり、アクチュエータ領域234pと光学素子領域231pとの間に長さd234がある。アクチュエータ233、234のアクチュエータ領域233p、234pと、光学素子231の光学素子領域231pとの間に十分な距離があり、即ち、長さd233及び長さd234が十分に長いので、能動表示面111の能動表示面領域111pは、アクチュエータ領域233p、234pと重畳又は接触することがない。表示素子11は、光学素子231に接近することができ、アクチュエータ233又は234の邪魔及び機械的干渉を受けることがない。また、投影レンズ17の基準平面S上での正投影の投影レンズ領域17Pは、アクチュエータ233、234のアクチュエータ領域233p、234pと重畳することがない。言い換えると、投影レンズ17は、映像変位装置23に近づくことができ、投影レンズ17は、映像変位装置23のアクチュエータ233、234と接触することがなく、また、それとの機械的な干渉もないので、投影装置1の背面焦点距離(back focal length)は、大幅に縮小することができる。また、比較的小さい背面焦点距離は、投影装置1の体積を縮小し、コストを低減し、また、投影装置1の光学品質を向上させることもできる。
【0035】
また、投影装置1の表示素子11は、例えば、デジタルミラーデバイス(Digital Micromirror Device、DMD)又はLCoS(Liquid Crystal On Silicon、LCoS)表示装置であっても良い。また、表示素子11の能動表示面111とは、電気信号により表示素子11を駆動して光束変調(modulation)を生じさせることができる表面であり、能動表示面111は、照明光束ILを映像光束IPに変換することができるが、本発明は、これに限定されない。以上のことから、本発明の実施例における結像モジュールは、投影レンズからプリズムまでの距離及び/又はプリズムから映像変位装置までの距離を大幅に縮小することができるため、この結像モジュールを応用する投影装置の背面焦点距離は、大幅に縮小することができる。投影装置は、体積を縮小し、コストを削減し、また、投影装置の光学品質を向上させることができる。また、本発明は、表示素子が映像変位装置の光学素子に近づくときに機械的な干渉が生じ得るという問題を避けるために、本発明の結像モジュールは、従来の設計上の光学素子のサイズを変更しないまま、少なくとも1つのアクチュエータを、光学素子から離れる方向に移動させる。他の実施例では、複数のアクチュエータを用いれば、光学素子の側辺(例えば、4つの側辺)へ移動させることができる。
【0036】
本発明は、前述した好適な実施例に基づいて以上のように開示されたが、前述した好適な実施例は、本発明を限定するためのものでなく、当業者は、本発明の思想と範囲を離脱しない限り、本発明に対して些細な変更と潤色を行うことができるので、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲に定まったものを基準とする。また、本発明の何れの実施例又は特許請求の範囲は、本発明に開示された全ての目的又は利点又は特徴を達成する必要がない。また、要約の一部と発明の名称は、文献の検索を助けるためのみのものであり、本発明の権利範囲を限定するものでない。また、本明細書又は特許請求の範囲に言及されている「第一」、「第二」などの用語は、要素(element)に名前を付け、又は、異なる実施例又は範囲を区別するためのものみであり、要素の数量上での上限又は下限を限定するためのものでない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3