(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】一酸化窒素送達中のドーズの希釈を最小にするためのカニューレ
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20230215BHJP
A61M 15/08 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
A61M16/06 C
A61M15/08
(21)【出願番号】P 2019148918
(22)【出願日】2019-08-14
(62)【分割の表示】P 2015545524の分割
【原出願日】2013-12-04
【審査請求日】2019-09-11
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-06
(32)【優先日】2012-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516160429
【氏名又は名称】マリンクロット ホスピタル プロダクツ アイピー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フラナガン,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】フリード,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コールマン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】メグラッソン,マーティン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ナイデュ,マネッシュ
(72)【発明者】
【氏名】シャー,パラグ
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】内藤 真徳
【審判官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0135757(US,A1)
【文献】特表平5-505119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その必要のある患者に送達される治療ガスのための鼻カニューレであって、前記鼻カニューレは、
一酸化窒素を備える第1の治療ガスをその必要のある患者に送達するための一酸化窒素ルーメンである第1のルーメンと、
酸素を備える第2の治療ガスを前記患者に送達するための酸素ルーメンである第2のルーメンと、
カニューレ鼻当てと、
を備え、
前記一酸化窒素ルーメン及び前記酸素ルーメンは、前記カニューレ鼻当てに集まり、前記カニューレ鼻当ては、前記一酸化窒素ルーメン及び前記酸素ルーメンに関する前記患者への別個の流路を可能にし、これにより、前記一酸化窒素及び前記酸素は、前記カニューレ鼻当て内で混合せず、前記一酸化窒素ルーメンは、前記酸素ルーメンの内径よりも小さいが、前記カニューレ鼻当てにある一酸化窒素流路の内径よりは大きい内径を有する、鼻カニューレ。
【請求項2】
前記鼻カニューレは、前記患者への二酸化窒素の送達を低減する、請求項
1に記載の鼻カニューレ。
【請求項3】
肺高血圧症の治療における使用のための、請求項1
又は2に記載の鼻カニューレ。
【請求項4】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の二次性の肺高血圧症、肺動脈性肺高血圧症(PAH)としての肺高血圧症、特発性肺線維症(IPF)の二次性の肺高血圧症、及びサルコイドーシスの二次性の肺高血圧症のうちの少なくとも1つの治療における使用のための、請求項1~
3の何れか一項に記載の鼻カニューレ。
【請求項5】
前記第1のルーメンが、長さにおいて6フィート乃至8フィートであり、0.01インチ乃至0.10インチの内径を有する、請求項1~
4の何れか一項に記載の鼻カニューレ。
【請求項6】
前記カニューレ鼻当てにある一酸化窒素流路は、第1のプロング、第2のプロング及びバックプレーンを備え、前記第1のプロングは、前記バックプレーンを介して前記第2のプロングと流体連通しており、前記第1のプロング、前記第2のプロング及び前記バックプレーンの総体積は0.035ml未満である、請求項1~
5の何れか一項に記載の鼻カニューレ。
【請求項7】
前記鼻カニューレが、
【数1】
の低い酸素移動速度を有する壁材を含む、請求項1~
6の何れか一項に記載の鼻カニューレ。
【請求項8】
前記第1のルーメン又は前記第2のルーメンは、トリガルーメンでもある、請求項1~
7の何れか一項に記載の鼻カニューレ。
【請求項9】
トリガルーメンである第3のルーメンをさらに備える、請求項1~
7の何れか一項に記載の鼻カニューレ。
【請求項10】
(i)前記第1のルーメンと流体連通する少なくとも1つの逆止め弁、(ii)カニューレキー、(iii)掃気材料、及び(iv)可撓性支持ブリッジのうちの1つ以上をさらに備える、請求項1~
9の何れか一項に記載の鼻カニューレ。
【請求項11】
前記第1のルーメンは、前記第1の治療ガスを前記患者の両方の鼻孔に送達する、請求項1~
10の何れか一項に記載の鼻カニューレ。
【請求項12】
前記第2のルーメンは、前記第2の治療ガスを前記患者の両方の鼻孔に送達する、請求項1~
11の何れか一項に記載の鼻カニューレ。
【請求項13】
請求項1~
12の何れか一項に記載の鼻カニューレを備える一酸化窒素送達システム。
【請求項14】
一酸化窒素を備える第1のガス源、及び酸素を備える第2のガス源をさらに備える、請求項
13に記載の一酸化窒素送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、一酸化窒素療法の正確度及び/又は精度を改善すること、吸入される一酸化窒素の希釈を低減すること、及び/又は確実に患者の鼻内で混合することに関する。
【背景技術】
【0002】
一酸化窒素(NO)ガスは、吸入されるときに、肺の血管を拡張させ、血液の酸素化を改善し、肺高血圧症を減らす。このため、肺高血圧症を伴う患者の吸気ガスに治療ガスとして一酸化窒素が提供される。
【0003】
通常、吸入されるNOは、ICUベンチレータ結合/依存又は麻酔患者用の呼吸用チューブ、若しくは患者の自発呼吸のための鼻カニューレによって、周囲圧力で又はその付近で、キャリアガス中で高圧源(例えば、加圧シリンダ)から患者に送達される。鼻カニューレを通じて患者に正確かつ一貫したドーズを送達することは、流量が脈動的であるときには、例えばドーズの希釈が起こることがあるため特に困難な場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、一酸化窒素送達装置の送達導管内のドーズの希釈を防ぐための新しい方法及び装置、並びにこうした装置の製造方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、鼻孔の一方又は両方へのNOの送達を可能にしながら、NO療法中の逆行性の流れ及び/又は酸素、空気、及び/又は他のガスの透過を最小にする改善された鼻カニューレに関係する。こうしたカニューレは、カニューレ壁を通じた酸素の拡散を制限するカニューレ材料及び/又はコーティングを使用することよって送達されるドーズの希釈を低減する、及び/又は共に送達されるO2及びNOの混合を防ぐカニューレ構成を使用する、及び/又はカニューレの患者側の端を通る逆行性の流れを低減することができる。
【0006】
本発明の態様はまた、NOドーズの希釈を最小にする方法に関係する。本発明の他の態様は、これらの鼻カニューレ及び/又は投与方法を用いる治療方法に関係がある。本発明の他の態様は、マルチルーメンカニューレ及びそれらの鼻当ての製造方法に関係する。
【0007】
例示的な実施形態では、本発明の鼻カニューレは、少なくとも1つの治療ガスを必要とする患者に少なくとも1つの治療ガスを送達するためのものとすることができる。鼻カニューレは、第1のルーメン、第2のルーメン、及び第3のルーメンを含むことができる。鼻カニューレは、カニューレ鼻当ても含むことができる。第1のルーメンは、第1の治療ガスを必要とする患者に第1の治療ガスを送達することができるものとすることができ、第2のルーメンは、圧力変化センサ及び/又は呼吸センサに圧力変化を伝送することができるものとすることができ、第3のルーメンは、患者に第2の治療ガスを送達することができるものとすることができ、及び/又はカニューレ鼻当ては、第1のルーメン、第2のルーメン、及び第3のルーメンに関する患者への別個の流路を含むことができる。少なくとも1つの治療ガスは一酸化窒素とすることができる。
【0008】
例示的な実施形態では、本発明の鼻カニューレは、患者に送達される治療ガス用に用いることができる。鼻カニューレは、第1のルーメン、第2のルーメン、及び/又は第3のルーメンを含むことができる。第1のルーメンは、患者に第1の治療ガスを送達するための第1の治療ガスルーメンとすることができ、第2のルーメンはトリガルーメンとすることができ、第3のルーメンは、患者に第2の治療ガスを送達するための第2の治療ガスルーメンとすることができる。さらに、カニューレ鼻当ては、第1の治療ガスルーメン、トリガルーメン、及び/又は第2の治療ガスルーメンに関する患者への別個の流路を可能にすることができる。
【0009】
例示的な実施形態では、鼻カニューレは、患者に送達される第1の治療ガス及び第2の治療ガスのうちの1つ以上の希釈を低減することができ、及び/又は患者に第1の治療ガス及び/又は第2の治療ガスを送達するために少なくとも1つのシステムと流体連通する状態で配置されるように構成することができる。鼻カニューレは、一酸化窒素と酸素の混合を抑制することができ、及び/又は鼻カニューレは、患者への二酸化窒素の送達を低減することができる。
【0010】
例示的な実施形態では、第1の治療ガス及び第2の治療ガスのうちの1つ以上が肺高血圧症の治療のために患者に送達される。例示的な実施形態では、鼻カニューレは、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の二次性の肺高血圧症、肺動脈性肺高血圧症(PAH)としての肺高血圧症、特発性肺線維症(IPF)の二次性の肺高血圧症、及び/又はサルコイドーシスの二次性の肺高血圧症の治療のために患者に第1の治療ガス及び/又は第2の治療ガスを送達することができる。第1の治療ガスと第2の治療ガスは、異なるガス又は同じガスとすることができる。例示的な実施形態では、第1の治療ガスは一酸化窒素とすることができ、第2の治療ガスは酸素とすることができ、及び/又は一酸化窒素を送達するための第1の治療ガスルーメンは、酸素を送達するための第2の治療ガスルーメン及び/又はトリガルーメンよりも小さくすることができる。例示的な実施形態では、第1の治療ガスルーメンは、一酸化窒素の送達用とすることができ、及び/又は約0.01インチ~約0.10インチの内径を有する約6フィート~約8フィートの長さとすることができる。例示的な実施形態では、トリガルーメンは、約0.05インチ~約0.20インチの内径を有する約6フィート~約8フィートの長さとすることができる。
【0011】
例示的な実施形態では、第1の治療ガスは一酸化窒素とすることができ、及び/又はカニューレ鼻当ては、第1の治療ガスルーメンの内径よりも小さい場合がある内径を有することができる一酸化窒素流路を含むことができる。例示的な実施形態では、第1の治療ガスは一酸化窒素とすることができ、及び/又はカニューレ鼻当ては、一酸化窒素のパルスの最小パルス体積の約10%未満であり得る体積を有する一酸化窒素流路を含むことができる。カニューレは、
【数1】
とすることができる低い酸素移動速度を有する壁材を含むことができる。
【0012】
例示的な実施形態では、カニューレは、患者に第1の治療ガスを送達するための別の第1の治療ガスルーメンとすることができる第4のルーメンをさらに含むことができる。さらに、第1のルーメンは、患者の1つの鼻孔に第1の治療ガスを送達することができ、第4のルーメンは、患者の別の鼻孔に第1の治療ガスを送達することができる。例示的な実施形態では、カニューレは、第1の治療ガスルーメンと流体連通する少なくとも1つの逆止め弁、カニューレキー、掃気材料、及び/又は患者の鼻中隔への当たりを和らげる可撓性支持ブリッジを含むことができる。
【0013】
例示的な実施形態では、本発明の鼻カニューレは、患者に送達される治療ガス用に用いることができる。鼻カニューレは、第1のルーメン、第2のルーメン、及び第3のルーメンを含むことができる。第1のルーメンは、患者に第1の治療ガスを送達するための第1の治療ガスルーメンとすることができ、第2のルーメンはトリガルーメンとすることができ、及び/又は第3のルーメンは、患者に第2の治療ガスを送達するための第2の治療ガスルーメンとすることができる。第1の治療ガスルーメン、トリガルーメン、及び第2の治療ガスルーメンはカニューレ鼻当てに集まることができる。カニューレ鼻当ては、第1の治療ガスルーメン、トリガルーメン、及び/又は第2の治療ガスルーメンに関する患者への別個の流路を可能にすることができる。第1の治療ガスルーメンは、第2の治療ガスルーメンの内径及びトリガルーメンの内径よりも小さくすることができる内径を有することができ、及び/又は第1の治療ガスルーメンは、カニューレ鼻当てでの第1の治療ガスルーメンに関する流路の内径よりも大きくすることができる内径を有することができる。
【0014】
例示的な実施形態では、鼻カニューレは、患者に送達される第1の治療ガス及び/又は第2の治療ガスの希釈を低減することができ、及び/又は患者に第1の治療ガス及び/又は第2の治療ガスを送達するために少なくとも1つのシステムと流体連通する状態で配置されるように構成することができる。鼻カニューレは、一酸化窒素と酸素の混合を抑制することができ、及び/又は鼻カニューレは、患者への二酸化窒素の送達を低減することができる。
【0015】
例示的な実施形態では、第1の治療ガス及び第2の治療ガスのうちの1つ以上が肺高血圧症の治療のために患者に送達される。例示的な実施形態では、鼻カニューレは、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の二次性の肺高血圧症、肺動脈性肺高血圧症(PAH)としての肺高血圧症、特発性肺線維症(IPF)の二次性の肺高血圧症、及び/又はサルコイドーシスの二次性の肺高血圧症の治療のために患者に第1の治療ガス及び/又は第2の治療ガスを送達することができる。例示的な実施形態では、第1の治療ガスルーメンは、一酸化窒素の送達用とすることができ、約0.01インチ~約0.10インチの内径を有する約6フィート~約8フィートの長さとすることができる。トリガルーメンは、約0.05インチ~約0.20インチの内径を有する約6フィート~約8フィートの長さとすることができる。
【0016】
例示的な実施形態では、第1の治療ガスは一酸化窒素とすることができ、カニューレ鼻当ては、一酸化窒素のパルスの最小パルス体積の約10%未満とすることができる体積を有する一酸化窒素流路を含むことができる。カニューレは、
【数2】
とすることができる低い酸素移動速度を有する壁材を含むことができる。例示的な実施形態では、カニューレは、第1の治療ガスルーメンと流体連通する少なくとも1つの逆止め弁、カニューレキー、掃気材料、及び/又は患者の鼻中隔への当たりを和らげる可撓性支持ブリッジを含むことができる。
【0017】
例示的な実施形態では、本発明の鼻カニューレは、患者に送達される治療ガス用に用いることができる。鼻カニューレは、第1のルーメン、第2のルーメン、及び第3のルーメンを含むことができる。第1のルーメンは、患者に一酸化窒素ガスを送達するための第1の治療ガスルーメンとすることができ、第2のルーメンはトリガルーメンとすることができ、第3のルーメンは、患者に酸素ガス及び空気ガスのうちの1つ以上を送達するための第2の治療ガスルーメンとすることができる。第1の治療ガスルーメン、トリガルーメン、及び/又は第2の治療ガスルーメンは、カニューレ鼻当てに集まることができ、カニューレ鼻当ては、第1の治療ガスルーメン、トリガルーメン、及び/又は第2の治療ガスルーメンに関する患者への別個の流路を可能にすることができる。患者に一酸化窒素を送達するための第1の治療ガスルーメンの流路は、一酸化窒素のパルスの最小パルス体積の約10%未満とすることができるカニューレ鼻当てでの体積を有することができる。第1の治療ガスルーメンは、第2の治療ガスルーメンの内径及びトリガルーメンの内径よりも小さくすることができる内径を有することができ、及び/又は第1の治療ガスルーメンは、カニューレ鼻当てでの第1の治療ガスルーメンに関する流路の内径よりも大きくすることができる内径を有することができる。
【0018】
例示的な実施形態では、肺高血圧症を治療するための方法は、一酸化窒素ガスを必要とする患者に一酸化窒素ガスを投与することを含むことができ、一酸化窒素は鼻カニューレを通じて投与することができ、鼻カニューレは、第1のルーメン、第2のルーメン、及び第3のルーメンを含むことができる。例示的な実施形態では、一酸化窒素は肺高血圧症の治療用である。例示的な実施形態では、鼻カニューレは、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の二次性の肺高血圧症、肺動脈性肺高血圧症(PAH)としての肺高血圧症、特発性肺線維症(IPF)の二次性の肺高血圧症、及び/又はサルコイドーシスの二次性の肺高血圧症の治療のために患者に一酸化窒素を送達することができる。
【0019】
例示的な実施形態では、一酸化窒素は、吸息の早期にパルスする及び/又は吸息の上期に送達することができる。例示的な実施形態では、一酸化窒素は、自発呼吸の患者にパルス吸入によって投与することができ、一酸化窒素は、吸息の始まりに投与することができ、一酸化窒素のドーズは約0.010mg/kg/hrとすることができ、及び/又はドーズは、260ミリ秒未満のパルス幅にわたって吸息の始まりに投与することができる。例示的な実施形態では、方法は、患者に酸素を投与することをさらに含むことができる。
【0020】
例示的な実施形態では、本発明の一酸化窒素を投与する方法は、肺高血圧症を治療するために用いることができる。方法は、患者に一酸化窒素ガスを投与することを含むことができ、一酸化窒素は、鼻カニューレを通じて投与することができる。鼻カニューレは、第1のルーメン、第2のルーメン、及び第3のルーメンを含むことができる。第1のルーメンは、患者に一酸化窒素ガスを送達するための第1の治療ガスルーメンとすることができ、第2のルーメンはトリガルーメンとすることができ、第3のルーメンは、患者に酸素ガスを送達するための第2の治療ガスルーメンとすることができる。さらに、カニューレ鼻当ては、第1の治療ガスルーメン、トリガルーメン、及び/又は第2の治療ガスルーメンに関する患者への別個の流路を可能にすることができる。第2のルーメンは、吸息の始まり及び/又は圧力の変化の感知用とすることができる。
【0021】
例示的な実施形態では、鼻カニューレは、患者に送達される第1の治療ガス及び第2の治療ガスのうちの1つ以上の希釈を低減することができ、及び/又は患者に第1の治療ガス及び/又は第2の治療ガスを送達するために少なくとも1つのシステムと流体連通する状態で配置されるように構成することができる。一酸化窒素を送達するための第1の治療ガスルーメンは、酸素を送達するための第2の治療ガスルーメンとトリガルーメンとの両方よりも小さくすることができる。第1の治療ガスルーメンは、NOのカニューレ通過時間を減らすことによって一酸化窒素の希釈を低減するために実質的に小さいが、また一方では、大きな背圧を生じない及び一酸化窒素パルスを実質的に歪めないのに十分なだけ実質的に大きいように選択可能な内寸を有することができ、及び/又はトリガルーメンは、実質的に小さいが、また一方では、圧力信号の遅延及び歪みを減らすのに十分なだけ実質的に大きいように選択可能な内寸を有することができる。カニューレ鼻当ては、第1の治療ガスルーメンの内寸よりも小さくすることができる内径を有することができる一酸化窒素流路を含むことができる。
【0022】
例示的な実施形態では、カニューレは、第1の治療ガスルーメンと流体連通する少なくとも1つの逆止め弁、カニューレキー、掃気材料、及び/又は患者の鼻中隔への当たりを和らげる可撓性支持ブリッジを含むことができる。カニューレは、
【数3】
とすることができる低い酸素移動速度を有する壁材を含むことができる。例示的な実施形態では、カニューレは、患者に第1の治療ガスを送達するための別の第1の治療ガスルーメンとすることができる第4のルーメンをさらに含むことができる。さらに、第1のルーメンは、患者の1つの鼻孔に第1の治療ガスを送達することができ、第4のルーメンは、患者の別の鼻孔に第1の治療ガスを送達することができる。
【0023】
本発明の種々の実施形態の特徴及び利点は、添付図と併せて取り上げられるときの以下の詳細な説明を参照するとより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な鼻カニューレを示す図である。
【
図2A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る患者への送達中のNOガスの例示的な流れ方向を示す図である。
【
図2B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な逆行性流路を示す図である。
【
図3A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なモノルーメンカニューレを示す図である。
【
図3B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なモノルーメンカニューレを示す図である。
【
図4】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なデュアルルーメンカニューレ及び/又はNOルーメン、酸素ルーメン、及びトリガルーメンの例示的な気体経路を示す図である。
【
図5A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なデュアルルーメンカニューレ及び/又はNOルーメン、酸素ルーメン、及びトリガルーメンの例示的な気体経路を示す図である。
【
図5B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るデュアルルーメンカニューレの例示的なカニューレ鼻当て及び/又は気体経路を示す図である。
【
図6A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るトリルーメンカニューレ内のNOルーメン、酸素ルーメン、及びトリガルーメンの例示的な気体経路を示す図である。
【
図6B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るトリルーメンカニューレ内のNOルーメン、酸素ルーメン、及びトリガルーメンの例示的な気体経路を示す図である。
【
図6C】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るトリルーメンカニューレの例示的なカニューレ鼻当て及び/又は気体経路を示す図である。
【
図7】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るトリルーメンカニューレの例示的なカニューレ鼻当て及び/又は気体経路を示す図である。
【
図8A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るクワッドルーメンカニューレ内のNOルーメン、酸素ルーメン、及びトリガルーメンの例示的な気体経路を示す図である。
【
図8B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るクワッドルーメンカニューレ内のNOルーメン、酸素ルーメン、及びトリガルーメンの例示的な気体経路を示す図である。
【
図8C】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るクワッドルーメンカニューレの例示的なカニューレ鼻当て及び/又は気体経路を示す図である。
【
図8D】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るクワッドルーメンカニューレの例示的なカニューレ鼻当て及び/又は気体経路を示す図である。
【
図9A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なダックビル逆止め弁を示す図である。
【
図9B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なアンブレラ及び/又はフラッパ逆止め弁を示す図である。
【
図9C】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なアンブレラ及び/又はフラッパ逆止め弁を示す図である。
【
図10】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るNOを送達するためのアンブレラ弁又はフラッパ弁を有する例示的な鼻カニューレを示す図である。
【
図11A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るNO送達ラインに組み込まれる例示的な弁を示す図である。
【
図11B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るNO送達ラインに組み込まれる例示的な弁を示す図である。
【
図12】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る詰まった鼻孔から患者の他の鼻孔への例示的な流れを示す図である。
【
図13】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る各鼻孔への周囲空気の流れへのNOの注入を示す図である。
【
図14A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るデュアルチャネル送達システムの例示的な構成を示す図である。
【
図14B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るデュアルチャネル送達システムの例示的な構成を示す図である。
【
図15】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るデュアルチャネル送達システムの例示的ないくつかの実施形態に関する例示的な装置構成要素を示す図である。
【
図16】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るトリルーメン鼻当てを有する例示的な鼻カニューレを示す図である。
【
図17】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る組み立て前の例示的なトリルーメン鼻当てを示す図である。
【
図18】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る組み立てられた成形トリルーメン鼻当ての例示的な鼻のプロングを示す図である。
【
図19A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るNOルーメンがトリガルーメンの近位に及びその内部にある例示的な鼻のプロングの斜視図である。
【
図19B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るNOルーメンがトリガルーメンの近位に及びその内部にある例示的な鼻のプロングの二次元表現を示す図である。
【
図20】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な鼻カニューレを示す図である。
【
図21A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なデュアル「D」形状パラチューブを示す図である。
【
図21B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る幾何学的突起及び/又はインサートを有する例示的なルーメンを示す図である。
【
図21C】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る幾何学的突起及び/又はインサートを有する例示的なルーメンを示す図である。
【
図22A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な鼻カニューレ装置接続ピースの図である。
【
図22B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な鼻カニューレ装置接続ピースの図である。
【
図22C】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な鼻カニューレ装置接続ピースの図である。
【
図22D】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な鼻カニューレ装置接続ピースの図である。
【
図22E】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な鼻カニューレ装置接続ピースの図である。
【
図23】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な酸素接続ピースを示す図である。
【
図24】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なレジューサ及び/又は付加的なラインホルダを示す図である。
【
図25A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての図である。
【
図25B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての図である。
【
図25C】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての図である。
【
図25D】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての前面上部右側斜視図である。
【
図25E】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての下面図である。
【
図25F】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての上面図である。
【
図25G】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての第1の側面図である。
【
図25H】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての第2の側面図である。
【
図25I】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての正面図である。
【
図25J】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての背面図である。
【
図25K】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての前面上部右側斜視図である。
【
図25L】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての下面図である。
【
図25M】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての上面図である。
【
図25N】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての第1の側面図である。
【
図25O】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての第2の側面図である。
【
図25P】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての正面図である。
【
図25Q】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての背面図である。
【
図26A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての鼻孔部の断面図である。
【
図26B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての鼻孔部の断面図である。
【
図26C】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての鼻孔部の断面図である。
【
図26D】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なカニューレ鼻当ての鼻孔部の断面図である。
【
図27】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なキーイング要素を示す図である。
【
図28】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的なキースロットを有するNOの送達装置及びキーイング要素を有する鼻カニューレを示す図である。
【
図29】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係るパルス送達を伴う吸う呼吸の間の例示的な逆行性の流れを例示的に示す図である。
【
図30】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る吸う呼吸と吐く呼吸との両方の間の例示的な逆行性の流れを例示的に示す図である。
【
図31】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る種々の例示的なカニューレ構成に関する例示的な逆行性の流れを例示的に示す図である。
【
図32A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る
図31のテスト1~テスト3に関する例示的なカニューレ構成を示す図である。
【
図32B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る
図31のテスト1~テスト3に関する例示的なカニューレ構成を示す図である。
【
図32C】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る
図31のテスト1~テスト3に関する例示的なカニューレ構成を示す図である。
【
図33A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な治療ガス送達装置の前面上部右側斜視図である。
【
図33B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な治療ガス送達装置の正面図である。
【
図33C】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な治療ガス送達装置の背面図である。
【
図33D】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な治療ガス送達装置の第1の側面図である。
【
図33E】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な治療ガス送達装置の第2の側面図である。
【
図33F】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な治療ガス送達装置の上面図である。
【
図33G】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る例示的な治療ガス送達装置の下面図である。
【
図34A】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る別の例示的な治療ガス送達装置の後面上部左側斜視図である。
【
図34B】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る別の例示的な治療ガス送達装置の前面上部右側斜視図である。
【
図34C】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る別の例示的な治療ガス送達装置の上面図である。
【
図34D】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る別の例示的な治療ガス送達装置の下面図である。
【
図34E】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る別の例示的な治療ガス送達装置の正面図である。
【
図34F】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る別の例示的な治療ガス送達装置の背面図である。
【
図34G】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る別の例示的な治療ガス送達装置の第1の側面図である。
【
図34H】本発明の例示的ないくつかの実施形態に係る別の例示的な治療ガス送達装置の第2の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、一般に、例えば、一酸化窒素(NO)などの吸入される治療ガスの希釈を低減すること及び/又は患者の鼻に送達する前の吸入される治療ガスの混合を制限することによって、とりわけ、一酸化窒素療法の正確度及び/又は精度を改善することができるシステム、装置、材料、及び方法に関する。本明細書で説明されるように、NOの希釈は、限定はされないがNOと酸素及び/又は空気との混合などの種々の因子に起因して起こることがある。意図されるNOドーズの希釈を低減するために、種々の例示的な鼻カニューレ、気体構成、製造方法、及び使用方法などが開示される。例えば、本発明の種々の例示的な鼻カニューレ、気体構成、製造方法、及び使用方法などは、NOと酸素及び/又は空気の混合を減少させることができ(例えば、患者の鼻に送達される前などに)、これにより、意図されるNOドーズの希釈を低減する。
【0026】
NOの送達の固有の性質に起因して、患者にNOドーズを正確かつ的確に確実に送達するために多くの因子を考慮する必要がある。酸素(O2)などの他のガスの投与とは異なり、NOのドーズは、とりわけ、ドーズ体積が1ml未満(例えば、周囲に失われることがある実質的に小さいドーズ)であり得る及び/又はNOが周囲空気中に存在するO2及び/又は共に投与されるO2と反応して二酸化窒素(NO2)を生成することがあるため、特に希釈されやすいことがある。さらに、NOの送達のタイミングも、他のガス(例えば、O2送達)のタイミングよりも重要なことがあり(例えば、有効性のために)、ゆえに、NOの希釈を低減し、患者の呼吸の始まりをできるだけ早く正確に確実に判断できるようにする、及び/又はNOドーズ波形がNO送達装置から鼻カニューレを通じて患者に移動している間に確実に著しく歪まないようにする必要がある。さらに、例えば、鼻カニューレは長期にわたって用いられる場合があるため、鼻カニューレの設計に患者の快適さを織り込む必要がある場合がある。
【0027】
本発明の種々のカニューレ、システム、及び方法は、患者に医薬ガスを送達するための及び/又は患者に医薬ガスのパルスを送達するための種々のシステムを用いる、修正する、及び/又はこれらと関連付けることができる。例えば、本発明の種々のカニューレ、システム、及び方法は、
図33A~
図34Hに例示的に示される少なくとも治療ガス送達システムを用いる、修正する、及び/又はこれらと関連付けることができる。本開示の種々のカニューレ、システム、及び方法は、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる、「System and Method of Administering a Pharmaceutical Gas To a Patient」と題する米国特許第7,523,752号の教示を用いる、修正する、及び/又はこれと関連付けることができる。
【0028】
図1を参照すると、通常、送達システム100を用いて、鼻カニューレ101を介して患者にNOを送達することができる。鼻カニューレ101は、例えば治療ガス(例えばNO)送達装置103からキャリアガス中の比較的低い体積パーセント濃度のNOを受け入れることができ、及び/又は鼻カニューレ101は、酸素/周囲空気供給部105から酸素及び/又は周囲空気(時には単に酸素、O2などと呼ばれる)を受け入れることができる。窒素はNOと反応しないため、通常用いられるキャリアガスは窒素であるが、ヘリウムなどの他の不活性キャリアガスを用いることができる。
【0029】
患者へのNO/N2混合ガス(時には単に一酸化窒素、NOなどと呼ばれる)の送達は、通常、NOガスが、例えば、ICUベンチレータ結合/依存及び/又は麻酔患者用の送達チューブを介して、及び/又は患者の自発呼吸のための鼻カニューレを介して、周囲圧力で又はその付近で、高圧NO源(例えば、加圧シリンダ、NOの送達装置103に関連付けられる加圧シリンダなど)から患者に移動することを必要とする。本明細書で開示される種々の技術及び/又は本発明の実施形態は、いくつかの例を挙げると、送達チューブ、及び/又は鼻カニューレ、並びにノーズピロー及び/又はノーズマスクなどの他の同様の装置のために用いることができることが理解されるであろう。簡単にするために、時には、カニューレだけが示される及び/又は説明される。これは単に簡単にするためであって、決して限定となることを意図していない。
【0030】
この上述のNOの通過は、理想的には、ガスが患者の上気道に入るまでは、周囲空気、酸素、二酸化炭素などの他のガスとの接触がないであろう。しかしながら、実際には、これは容易に達成されない場合がある。単なる例として、酸素及び/又は周囲空気は、限定はされないが以下のようないくつかの時点で送達システム100に入ることがある。
・送達装置103内の通過時間中(例えば、エラストマーOリングなどの気体境界部を通じた送達装置の内部気体中への酸素の拡散などに起因する)、
・NOガスの鼻カニューレ101の通過中(例えば、カニューレ壁、鼻当て、コネクタ、レジューサ、結合ジョイントなどにわたる拡散による)、
・駆動圧力勾配が鼻カニューレNO供給ルーメン内の流れを逆行させて鼻カニューレ101内で周囲空気及び/又は吐き出されるガスとの混合を生じることがあるときの吸息/呼息サイクル中、
・NOと空気/O2が患者の鼻孔内で混合されるときの吸息/呼息サイクル中、
・送達装置への高圧源(例えば、加圧シリンダなど)の接続中(例えば、シリンダ交換時に送達気体中に少量のガスが取り込まれることなどがあるため)、及び
・NOとキャリアガスとの実質的に純粋な混合物が求められることがあるが、容易に達成されない場合がある、高圧NO源のシリンダに充填する製造作業中。
【0031】
パルスNO療法中のNOの希釈は、実質的にほんの小さい体積のNOが患者に送達される場合があるので、問題となることがある。例えば、NO含有ガスは、1ミリリットル(ml)未満であり得るパルスで投与されることがある。実質的に小さいパルス体積により、例えば小さいNOドーズは容易に希釈され得るので、逆行性の流れ及び/又は拡散したガスの小さい体積でさえも影響が大きいことがある。もちろん、NOのより大きい体積も希釈されることがある。
【0032】
O2拡散に起因するNO/O2接触の最小化
NO通過時間の最小化
本発明の1つ以上の実施形態は、カニューレを通る通過時間を最小にすることでNOのO2との接触時間を最小にすること、カニューレ壁にわたる酸素の通過を最小にすること、及び/又はNOと接触するO2の量を最小にすることによって、NO/O2接触の源(例えば、NO/O2接触の上記の源のうちの1つ以上)に対処し、これにより、意図されるNOドーズの希釈(例えば、NOのO2との混合などによる)に対処する、鼻カニューレに関係する。以下でかなり詳細に説明される、少なくとも意図されるNOドーズの希釈に対処する、
図1を参照すると、いくつかの例を挙げると、限定はされないが、トリガルーメン104、NOルーメン106、O2/空気ルーメン108、及び/又はこれらの任意の組み合わせ及び/又はさらなる分離に関連するカニューレ壁などのカニューレ101の任意のルーメン壁にわたる酸素の通過を最小にすることができる。また、少なくとも意図されるNOドーズの希釈への対処は、いくつかの例を挙げると、限定はされないが、カニューレ鼻当て102、キーイング部材110、レジューサ112、接続ピース114、酸素接続ピース116、及び/又はこれらの任意の組み合わせ及び/又はさらなる分離に関連するカニューレ壁などのカニューレ101の任意の壁にわたる酸素の通過を最小にすることができる。
【0033】
小さいIDのNOルーメン
1つ以上の実施形態では、例えば、意図されるNOドーズの希釈を低減するために、NO用のより小さい内径(ID)の送達チューブ/ルーメンを含むカニューレを提供することができる。このより小さいIDのチューブは、カニューレを通るNO分子の通過時間を減少させることができる。これは次に、カニューレの壁にわたって拡散し、内部NOをNO2に酸化することがある酸素との混合に利用可能な時間を減少させることができる。
【0034】
単なる例として、カニューレを通るNO通過時間を最小にすることによって意図されるNOドーズの希釈を低減するために、NO用の送達チューブ/ルーメンのIDは、約0.01インチ~約0.10インチ及び/又は約0.03インチ~約0.08インチとすることができる。例示的な実施形態では、NO用の送達チューブ/ルーメンのIDは、結果的に大きな背圧及び/又はNOパルス形状の歪み及び/又はNO波形の歪み(かなり詳細に後述される)を生じない状態で、NOの通過時間を確実に減少させる(例えば、NOの希釈を低減するなど)ように選択することができる。通過時間を減少させるために、並びに背圧及び/又は歪みを著しく生じないために、例えば、約6フィート~8フィートの長さを有するカニューレに関して、NO用の送達チューブ/ルーメンのIDは、約0.03インチよりも実質的に小さくなくてもよい。抵抗及び/又は歪みは、チューブのIDとチューブの長さとの両方の関数とすることができるので、より短い長さに関してより小さいIDが用いられてもよく、及び/又はより長い長さに関してより大きいIDが用いられてもよい。
【0035】
例示的な実施形態では、NOの送達用のより短いチューブ/ルーメンのID(例えば、カニューレ鼻孔部、より短い鼻カニューレなど)は、大きな背圧及び/又はNOパルス形状及び/又は波形の歪みが生じることなく、上述のように同じく実質的に小さいIDを有する場合があるNO用の送達チューブ/ルーメンよりも実質的により小さいチューブIDを有することができる。
【0036】
例示的な実施形態では、限定はされないが、NOルーメンを通るNOの送達速度の増加などの他の技術を用いてO2へのNOの可能な露出時間を最小にすることができる。NOルーメンを通るNOの速度は、例えば、システム内の圧力勾配を増加させること及び/又はチューブの直径を減少させることによって増加させることができる。O2へのNOの露出時間を減少させるためにNO速度を増加させることができるが、速度は、パルス形状が実質的に歪まず、患者が不快を経験しないように、及び/又は任意の他の競合するメトリックを織り込むことによって最小にされる必要があることがある。
【0037】
上記の教示のいずれか(例えば、NO用の送達チューブルーメンの小さいIDなど)は、本明細書で説明される他の気体構成、カニューレ構成、及び/又は教示及び/又は実施形態のいずれかと組み合わせることができることが理解されるであろう。例えば、上記の教示(例えば、NO用の送達チューブ/ルーメンの小さいIDなど)は、本明細書で説明される後述のモノルーメンカニューレ、デュアルルーメンカニューレ、トリルーメンカニューレ、クワッドルーメンカニューレ、及び/又は任意の他の教示及び/又は実施形態と共に用いることができる。
【0038】
酸素の拡散を制限する、及び/又はO2及び/又はNO2を除去する材料
現在、鼻カニューレを構築するための一般的な材料としてポリ塩化ビニル(PVC)及び/又はシリコーンを用いることが多いが、酸素がこれらの鼻カニューレのルーメン壁を通して拡散することがある。カニューレの壁にわたる酸素の拡散、透過、及び/又は移動に起因して起こる酸素の接触を最小にするために、酸素の拡散速度、透過率、及び/又は酸素移動速度(OTR)を最小にするカニューレ壁材を選択することができる。例示的な実施形態では、カニューレ壁は、低い酸素拡散係数、透過度、及び/又は酸素移動速度(OTR)を有する材料を含むことができる。単なる例として、カニューレ壁は、例えば、以下の単位を用いる約0.001~約10の酸素移動速度(OTR)を有することができる材料を含むことができる。
【数4】
式中、
「cc」は、材料の四方にわたる酸素の立法センチメートル(ml)を指し、
「ミル」は、材料の四方の1ミル(0.001インチの厚さ)を指し、
「ATM」は、周囲雰囲気圧力の数値を指し、
「24時間」は、酸素が流れることができる持続時間を指し、
「100インチ
2」は、材料の二乗の表面積を指す。
【0039】
時には、カニューレの壁及び/又はカニューレの材料にわたる酸素の拡散、透過、及び/又は移動を説明するときに、拡散速度、拡散係数、透過率、及び透過度、及び/又はOTRのうちの少なくとも1つに対してだけ言及がなされる場合がある。上記の用語のいずれかへの言及は、適用可能なときに、上記の用語のいずれかと共に用いる及び/又は置き換えることなどが可能であることが理解されるであろう。簡単にするために、時には、上記の用語のうちの1つだけ及び/又はいくつかが説明される。これは単に簡単にするためであって、決して限定となることを意図していない。
【0040】
例示的な実施形態では、カニューレ材料(例えば、カニューレチュービング、カニューレ鼻当てなどの材料)は、患者の快適さと共にO2の透過に対処するために調整及び/又は変更することができる。
【0041】
例示的な実施形態では、カニューレは、ポリウレタン及び/又は類似の軟質材料を用いて構築することができる。例示的な実施形態では、ポリウレタン及び/又は類似の軟質材料は、酸素拡散抵抗を強化するための添加剤、及び/又は酸素拡散抵抗を提供するガスが充填されたNOの送達用のカニューレの少なくとも一部の付近に同軸方向に存在するチューブを含むことができる。カニューレは、チューブを同軸方向にコーティングすること及び/又は2つ以上の材料を共押出しすること(例えば、チューブを形成するなどのために)によって構築することができる。もちろん、構築するための他の方法及び/又は技術は本開示の範囲内である。
【0042】
構築するために用いることができる及び/又は所望の酸素の透過特性を有することができる少なくともいくつかの材料の例は、いくつかの例を挙げると、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリアミド(PA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン12、及び/又は類似の材料などのポリマーを含むがこれらに限定されない。さらに、PVCは、酸素の透過、拡散係数などを減少させるために組み込まれる耐酸素ポリマーなどの1つ以上の材料及び/又は添加剤と共にカニューレ材料として用いることができる。耐酸素ポリマーは、例えば共押出しを通じて、ポリウレタン、PVC、及び/又は他のカニューレ材料と共に組み込むことができる。単なる例として、こうした押出しは、共押出しダイで及び/又は他の公知の技術を用いて達成することができる。
【0043】
酸素の進入に対するチュービング/ルーメン障壁は、限定はされないが以下のようないくつかの可能な形態のうちの1つをとることができる。
・低い酸素透過特徴を有する少なくとも1つの材料を用いることができる同種の及び/又は単一の材料の押出し、
・2つ以上のポリマーの共押出し、この場合、ポリマーのうちの1つ以上は低い酸素透過特徴を有する、
・材料/チュービング上の表面処理/表面コーティング、この場合、こうしたコーティングは低い酸素透過特徴を有することができる、
・ブレンド、及び
・スカベンジャー/ゲッター/ピュリファイア。
【0044】
低い酸素透過性を有する同種の及び/又は単一の材料の押出し:例示的な実施形態では、ポリ塩化ビニル(PVDC、商標名Saran(登録商標))、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ナイロン6、ナイロン12、及び/又は低い酸素透過性を有する任意の同種の及び/又は単一の材料の押出しなどの材料をカニューレ材料のために用いることができる。これらの特性を有する他の材料が想定され、代替の低い酸素透過性の押出し適合材料の使用はこの発明の範囲内である。
【0045】
2つ以上のポリマーの共押出し:例示的な実施形態では、チューブ・イン・チューブ及び/又は多層サンドイッチ構成を、2つ以上のポリマーの共押出しを用いて構築することができる。例えば、少なくとも1つが低い酸素透過特性を有する、2つ以上のポリマーを、チューブ・イン・チューブ又は多層サンドイッチ構成で構築するべく共押出しすることができる(例えば、当該技術分野では公知の一般的な共押出し方法を用いて)。低い酸素透過性の層は、本明細書で開示されるポリマー(例えば、前のセクションで列挙されたものなど)及び/又は類似の特徴を有する他のポリマーを含むことができる。これらのポリマーは、他のポリマーと良好に共押出しされる又はされない場合があるので、中間又は所謂タイ層ポリマーを押出す必要がある場合がある。例示的な共押出しポリマーは、PVC/EVOH/PVDC、PVC/EVOH/PFDF、フッ素化ポリウレタン/EVOH/PVDC及びフッ素化ポリウレタン/EVOH/PVDF、PVC/PVDC、ポリウレタン/PVDC、PVC/ナイロン6、PVC/ナイロン12、PVC/PVDC/ナイロン6、PVC/PVDC/ナイロン12、ポリウレタン/PVDC/ナイロン6、ポリウレタン/PVDC/Nylon12、タイ層ポリマー、これらの任意の組み合わせ及び/又は分離、及び/又は2つ以上のポリマーの共押出しと共に用いることができる任意の他の材料を含むことができるがこれらに限定されない。
【0046】
例示的な実施形態では、共押出しは、例えば、酸素の透過及び/又は拡散を低減するために及び/又は構築する目的で特定の順序で層状にすることができる。例えば、(例えば、カニューレの構成要素の接合などに)用いられる接着剤がPVCをPVCに結合する場合、こうした接着剤に曝される共押出物の外側層はPVCとすることができる。さらに、限定はされないがEVOHなどの付加的なポリマー(例えば、水蒸気と接触するときに減少した特性を有する場合がある)を、内部の化合物と水蒸気との接触を最小にするべく疎水性及び/又は耐水性の外側押出し層及び/又は内側押出し層の内部にサンドイッチすることができる。
【0047】
チュービング上の表面処理/表面コーティング:例示的な実施形態では、低い酸素透過性のための表面コーティング(例えば、表面処理、表面コーティングなど)を鼻カニューレ構造体に適用することができる。こうしたコーティングは、数ミクロン(以下)の厚さの薄層に蒸着することができるそれらの昇華温度よりも高く加熱される、真空蒸着された二酸化ケイ素(シリカ)及び/又はアルミニウム(例えば、アルミニウムの酸化物など)コーティングを含むことができるがこれらに限定されない。例えば、シリカコーティングは、約0.001ミクロン~約10ミクロン、及び/又は約0.01ミクロン~約1ミクロン、及び/又は約0.04ミクロンとすることができる。
【0048】
例示的な実施形態では、シリカコーティングをプラスチック上に層状に蒸着することができ、これはプラスチックの可撓性が大きく影響され得ないように十分なだけ実質的に薄くすることができる。こうした材料の蒸着のために任意の適切な技術を用いることができることが理解されるであろう。例えば、化学気相蒸着処理を用いて低コストで蒸着を達成することができる。もちろん、これらのコーティングのために、限定はされないが、電子ビーム及び熱による蒸着、DCマグネトロンスパッタリング、プラズマ支援反応性スパッタリング、これらの任意の組み合わせ及び/又はさらなる分離、及び/又は蒸着することができる任意の技術などの他の蒸着方法を用いることもできる。
【0049】
例示的な実施形態では、限定はされないが、熱硬化性エポキシ-アミンコーティング、エポキシ-アミンコーティングなどの他のコーティングを用いることができる。コーティングは、本明細書で説明される技術及び/又は公知の技術を用いて適用及び/又は提供することができる。
【0050】
ブレンド:例示的な実施形態では、材料は、1つの又は他の材料の有益な特性を得るために一緒にブレンドする及び/又はカニューレ材料として用いることができる。例示的な実施形態では、タイ層の必要なしに共押出しで互いに付着させることができるナイロン6及びEVOHは、ブレンドされるカニューレ材料として用いることができる。他のブレンドは、ナイロン6とアモルファスナイロン及びナイロン6とHDPEを含むことができるがこれらに限定されない。もちろん、他のブレンドを用いることができる。
【0051】
例示的な実施形態では、後の材料を先の材料の上に被覆することができる。単なる例として、2つの材料が異なる溶解温度のために共押出しに適合しないとき、1つのポリマーを最初に押出すことができ、第2の操作で第2のポリマーを加熱し、最初のポリマー上に被覆することができる。
【0052】
スカベンジャー/ゲッター:例示的な実施形態では、スカベンジャーをルーメンの内部に被覆することができる(例えば、スカベンジャーの懸濁液中の液体をルーメンの内部に焼き出すことによって、蒸着プロセスによってルーメンの内部上にスカベンジャーを析出させることによって、液体又は気体スカベンジャー源を用いてルーメンの内面に吸収/吸着させることによって、スカベンジャーをカニューレの内面に化学的に結合することなどによって)、及び/又はスカベンジャーは、酸素及び/又は二酸化窒素を掃気するために、例えば、プラグ(例えば、ガスの通過を可能にする少なくとも1つの穴を有するプラグなど)として装置コネクタ及び/又は鼻当て内にパッケージすることができる。こうしたスカベンジャーは、活性アルミナ、アスコルビン酸、及び/又は任意の他の掃気化合物などの化合物を含むことができるがこれらに限定されない。こうした手法の潜在的な欠点は、掃気材料の有限の寿命を含む。この欠点は、カニューレの使用時間を設計に織り込むことによって克服することができる。少なくとも1つのさらなる潜在的な欠点は、ガスがスカベンジャーを通過するための任意のプラグ構成がガス波形を歪めることがあることであり得る。これに照らして、説明されるプラグは、こうした波形の歪みを最小にするように設計されてもよい。ルーメンの内部を被覆するのに任意の方法を用いることができる。例として、スカベンジャーと共に濃縮される液体(例えば、アスコルビン酸)をチューブに通し、次いで、チューブの内壁上に蒸着され得るように乾燥させることができる。
【0053】
例示的な実施形態では、活性アルミナを、例えば、ルーメンの内部のコーティングとして、プラグフィッティングとしてカニューレ内で用いることができ、及び/又は例えば、二酸化窒素の取り込みのために任意の他の方法で用いることができる。ルーメンの内部に被覆されたアルミナの薄層による効果は、酸素の透過率の低減だけでなく、二酸化窒素の取り込みの成功でもあり得る。活性アルミナ及び/又は他のスカベンジャーは、例えば、患者の鼻孔に近接した領域でチューブに嵌め込まれるプラグの形態とすることもできる。プラグは、圧力低下を最小にする及び/又は一酸化窒素パルス波の形状を維持するように設計されてもよい。活性アルミナの高い表面積は、混合ガスから二酸化窒素を効果的に除去することができる。さらに、スカベンジャーは、装置内に、例えば、装置コネクタに存在することもできる。このように、スカベンジャーは、カニューレの一部とすることができ、及び/又は除去可能であってもよい(例えば、カニューレを変えるときに除去され得るように)及び/又はスカベンジャーの設計寿命をカニューレの予想される及び/又は実際の持続時間に合致させることができる。
【0054】
本発明は、活性アルミナに限定されないこと、及び高い表面積、実質的な二酸化窒素除去能力、適正な孔径、形状を維持できるのに十分な物理的強度を有する、及び/又はカニューレから脱離又は結合解除し得る粉末及び/又は他の材料を生じ得ない任意の材料が除去材料として機能できることが理解されるであろう。呼吸器系への吸引を防ぐべく脱離する化合物をくい止めるのに内部フィルタリングが用いられてもよいことがさらに理解される。除去材料の例は、表面上に固体ベースサイトを有することができるゼオライト、シリカ-アルミナ、活性炭/石炭、及び吸着剤を含むがこれらに限定されない。簡単にするために、時には、活性アルミナが除去材料として説明される。これは単に簡単にするためであって、決して限定となることを意図していない。
【0055】
例示的な実施形態では、例えば、二酸化窒素を取り込む及び/又はこれを一酸化窒素に還元するその能力を強化するために、除去材料の表面上に還元剤をコーティングすることができる。こうした還元剤は、アスコルビン酸を含むがこれらに限定されない。
【0056】
例示的な実施形態では、透過/障壁特性を変化させるために、限定はされないが、酸化型プラスチック(例えばPET又はポリアミド)、ナノクレイ、これらの任意の組み合わせ及び/又はさらなる分離、及び/又は任意の他の添加剤などの添加剤をポリマーに添加することができる。添加剤は、酸素を掃気する及び/又はポリマーマトリクス内の透過への障壁を提供するように作用することができ、そのいずれも結果的に材料を透過する酸素を減少させることができる。酸化型プラスチック(例えばPET又はポリアミド)は、ポリマーマトリクスを透過し得る酸素と反応することができる。膜を透過し得る酸素は、カニューレを通過する及び/又はNOと反応する前に、酸化型プラスチックと反応することができる。ナノクレイ(例えば、プレート状の形態を有する傾向がある場合がある)は、例えば、ポリマーマトリクス内で適切に分散されるときに透過への障壁を提供することができる。分散されるときに、プレートの周りに拡散が起こる必要があることがあり、これは結果的にポリマーを通る蛇行路を生じることができ、これにより、ガス透過性を効果的に減少させる。
【0057】
上記の教示のいずれか(例えば、材料など)は、本明細書で説明される他の気体構成、カニューレ構成、及び/又は教示及び/又は実施形態のいずれかと組み合わせることができることが理解されるであろう。例えば、上記の教示(例えば、材料など)は、本明細書で説明される後述のモノルーメンカニューレ、デュアルルーメンカニューレ、トリルーメンカニューレ、クワッドルーメンカニューレ、及び/又は任意の他の教示及び/又は実施形態と共に用いることができる。
【0058】
構成
逆行性の流れ
図2A~
図2Bを参照すると、驚いたことに、希釈の別の源は、周囲空気及び/又は吐き出されるガスが鼻カニューレ(例えば、カニューレ鼻当て200及び/又はこの付近)に流れる現象(例えば、逆行性の流れ、クロスフローなど)によって引き起こされることがあることが分かった。このガスは、鼻カニューレの2つのカニューレ鼻孔部(例えば、カニューレ鼻孔部202/203)に流れ、存在する一酸化窒素ガスを移動させる及び/又は一酸化窒素ガスをカニューレの外に押し出すことがあり、ゆえに、移動された及び/又は押し出された一酸化窒素が患者に送達されない場合がある及び/又はガスの流れ及び/又は他のガスと混ざり、これにより、意図されるNOドーズを希釈する場合がある。さらに、逆行性の流れは、限定はされないが、吸息と呼息との両方の間の鼻孔部間の圧力差などの因子に依拠することがある。鼻孔部間の圧力差は、いくつかの例を挙げると、限定はされないが、人の呼吸パターン、人の鼻孔の閉塞及び/又は部分的閉塞(例えば、
図12に示すように)、鼻孔の位置、及び呼吸中の鼻の流れ間のミスバランスの度合いなどの因子に応じて変化することがある。したがって、本発明の1つ以上の実施形態は、逆行性の流れ及び/又は鼻カニューレ内の逆行性の流れから生じる希釈を最小にすることができる鼻カニューレに関係する。
【0059】
図2Aに示すように、通常のパルス送達中に、NOは、カニューレ鼻当て200の両方の鼻孔部202/203から流れ出る。しかしながら、少なくともパルス間の静的相中に、逆行性の流れが生じることがある。例えば、静止相中に、周囲空気又は吐き出される空気が、
図2Bに示すように、円運動して流れる及び/又は1つのカニューレ鼻孔部202で逆流して他のカニューレ鼻孔部203で出ることがある。この逆行性の流れは、鼻孔及び/又は流路内のNOの希釈及び/又は洗い流しを生じることがあり、結果的に、送達されるドーズの遅延及び/又は低減を引き起こすことがある。さらに、この逆行性の流れにより、結果的に、空気及び/又は吐き出されるガスの流れの中の酸素がNOとより多く混ざることがある、及び/又は鼻カニューレ内の一酸化窒素と反応してNO濃度を希釈するNO2生成を引き起こす場合がある。したがって、逆行性の流れ(例えば、結果的に、NOドーズを希釈する及び既知の呼吸刺激物などとして作用することがあるNO2を生成する場合がある)を低減するために、吐き出されるガス及び/又は周囲ガスのいずれかと混ざる可能性のある一酸化窒素の体積が最小にされてもよい。
【0060】
上記に注目すると、逆行性の流れから生じる希釈の量は、逆行性の流れが生じる場合があるカニューレ鼻当て(例えば、流路)でのNOの送達に関連するルーメン(例えば、NOルーメン、組み合わされたNO及びトリガルーメン、組み合わされたNO、トリガ、及びO2/空気ルーメンなど)の体積に依存することがある。逆行性の流れが生じる場合があるセグメントは、任意の形状を有することができる。簡単にするために、逆行性の流れが生じるこのセグメントは、時には、「U」形状などとして説明される。これは単に簡単にするためであって、決して限定となることを意図していない。
【0061】
例示的な実施形態では、鼻当て(例えば、流路)でのNOの送達に関連するルーメン(例えば、NOルーメン、組み合わされたNO及びトリガルーメン、組み合わされたNO、トリガ、及びO2/空気ルーメンなど)の最適化されるID寸法(例えば、IDサイズ、ID形状など)は、「U」形状の領域の体積が減少するように選択することができ、これにより、逆行性の流れに関連する可能性のある体積交換及び/又は逆行性の流れから生じる希釈を最小にする。さらに、例示的な実施形態では、こうした最適なID寸法は、送達されるNOガスの体積に応じて変えることができる。単なる例として、一酸化窒素送達装置は、0.35mlの最小ドーズ体積を有するNO含有ガスのパルスを送達することができる。ドーズ体積の正確度を保証するために、逆行性の流れに起因して失われることがあるドーズの割合はほんのわずか(例えば、10%、5%、20%など)であることが好ましい場合がある。
【0062】
本発明の1つ以上の実施形態は、NOの損失が生じる場合に逆行性の流れに起因して失われる(例えば、呼息相中に周囲へ失われる)NOの量が容認可能な量であることを保証するために、この「U」形状の内部体積を、最小ドーズ体積のほんのわずかな割合(例えば、10%、5%、20%など)(例えば、治療ガスの0.35mlパルスに関して0.035ml)に制限する。上記の例に続いて、0.035mlの10%最小ドーズ体積に関して、0.315インチのプロング長さ及び0.63インチのプロング間隔のとき、「U」セグメント内のルーメンのIDは、0.046インチ以下であってもよい。したがって、0.046インチよりも著しく大きいルーメンのIDは、0.35mlの最小ドーズ体積に関するドーズ体積の正確度を維持するのに有利ではない場合がある。
【0063】
この構成の数学は、いくつかの例を挙げると、限定はされないが、適切により大きい又はより小さい最小ドーズ体積を有するシステム、異なるプロング長さ及び/又はシステムプロング間隔を有するシステムなどのシステムにおける変化によって修正することができることが理解されるであろう。当業者は、ドーズ体積の10%を超過しないように「U」形状のセグメント内の所望の体積を提供するのに必要なIDを求めるために必要な計算を行うことができる。さらに、ドーズに関する必要とされる正確度に応じて、クロスフローのために利用可能な内部「U」体積又は他の体積は、いくつかの例を挙げると、ドーズ体積の50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満とすることができるがこれらに限定されない。
【0064】
例えば、「U」形状が2つの鼻孔部及びバックプレーンからなる場合、「U」体積が最小ドーズ体積の20%を超過しないような最大寸法は、次式を用いて計算することができ、バックプレーンは、鼻当ての内部のルーメン及び/又は「U」形状のベースをなすルーメンの長さを指す。
最小ドーズ体積>5[2π(プロング直径/2)2*(プロング長さ)+π(バックプレーン直径/2)2*(バックプレーン長さ)]
【0065】
したがって、最小ドーズが既知の場合、カニューレ「U」区域の寸法を計算することができる。20%以外のドーズ正確度に関しては、5である体積比係数を、体積比係数が[100/(ドーズ正確度%)]に等しい状態で適宜変化させることができる。
【0066】
例示的な実施形態では、呼息中及び/又は吸入前に(例えば、送達装置などによって感知及び/又は検出される)、鼻当て内のU形状の体積は、U体積に実質的に等しいNOのパルスでパージすることができる。これは、U体積を実質的にNOで満たすことができる(例えば、呼息後)。さらに、このU体積を満たすNOを、次の吸息中に患者に送達し、例えば、最適な臨床的有効性(例えば、後述の)を提供するためにNOを患者に早期に確実に送達することができる。
【0067】
例示的な実施形態では、鼻のプロングでのNOルーメンを通る流れへの抵抗を増加させることができるように鼻のプロング内のNOの送達ルーメン(例えば、NO流路)のIDを少なくとも減少させることによって逆行性の流れを減少させることができる。この構成に注目すると、同じ圧力差の下で、鼻のプロングのNOルーメン内の流れを、より大きいルーメンを有するプロングと比べて減少させることができる。これは、例えば、より小さいIDのNOルーメンは、ポアズイユの法則によってルーメンの半径の4乗に反比例することがあるガスの流動抵抗をもたらすことがあるので、少なくともこれらの条件下で、結果的にクロスフローの減少をもたらすことができる。
【0068】
例示的な実施形態では、例えば、かなり詳細に後述するように弁及び/又は逆止め弁を用いることによって逆行性の流れを減らすことができる。
【0069】
時には、本明細書で説明されるNOルーメンは、0.35mlの最小パルス体積に関して最適化される及び/又は10%ドーズエラーを許容し、結果的にNOルーメン内に許容可能なU形状の体積を生じる(例えば、0.035mlの)ものとして説明される場合がある。例示的な実施形態では、この最小パルス体積及び/又は最適なパルス体積範囲の変化は、少なくともNOルーメンのサイズに影響する場合がある。例えば、より高い一酸化窒素濃度が用いられることに起因して、例えば、最小パルス体積がより小さいならば、NOルーメンの内径及び/又は「U」体積は、10%エラー目標を保証するべく減少されてもよい。例えば、NOルーメン及び/又は「U」体積は、限定はされないがパルス形状などの最適化のための種々のメトリクスを考慮に入れて減少されてもよい。さらに、例えば、より低濃度の一酸化窒素の使用に起因して、例えば、最小パルス体積が増加するならば、NOルーメンの内径及び/又は「U」体積が増加されてもよい。例えば、NOルーメン及び/又は「U」体積は、限定はされないがパルス形状などの最適化のための種々のメトリクスを考慮に入れて増加されてもよい。NOルーメン及び/又は「U」体積が大きすぎる場合(例えば、約0.1ml~約0.5ml)、NOの送達の固有の性質に起因して、小さい体積パルスを正確に送達することができない場合があり、送達が遅延する場合があり、希釈が起こる場合があり、及び/又は他の問題が起こる場合があることが理解されるであろう。
【0070】
遅延及び/又は歪みの最小化
一酸化窒素送達システム(例えば、一酸化窒素ガスを患者にパルスする場合がある)が最適な臨床的有効性を有するためには、できるだけ吸息相の早期に及び/又は所望の流れ波形(例えば、パルス形状)で患者に一酸化窒素のパルス又は流れを送達することが必要な場合がある。これに注目すると、例えば、患者からの圧力信号は、患者の吸う力及び/又は患者の吸息の始まりの指標として用いることができるので、気体遅延は最小にされてもよい及び/又はされるべきである。また、例えば、波形形状及び/又はタイミングは臨床的有効性に結び付けられる場合があるので、パルス波形又は流れ波形の歪みは、最小にされてもよい及び/又はされるべきである。したがって、本発明の1つ以上の実施形態は、例えば、患者からカニューレを通過して装置に戻るときの圧力信号の遅延及び/又は歪みを最小にする及び/又は流れ波形の歪みを最小にする鼻カニューレ構成に関係する。
【0071】
例示的な実施形態では、トリガ(例えば、トリガルーメン;組み合わされたトリガ及びNOルーメン;組み合わされたトリガ、NO、及びO2/空気ルーメンなど)と関連付けられるカニューレのルーメンは、カニューレ通過時の圧力信号の遅延及び/又は歪みを最小にするように構成することができる。カニューレ通過時の圧力信号の遅延及び/又は歪みを最小にするために、トリガに関連するルーメンの断面を、遅延及び/又は歪みを低減するように選択することができ、及び/又は断面サイズを、遅延及び/又は歪みを低減するように増加させる及び/又は最大にすることができる。
【0072】
例示的な実施形態では、NOの送達に関連するカニューレのルーメン(例えば、NOルーメン;組み合わされたNO及びトリガルーメン;組み合わされたNO、トリガ、及びO2/空気ルーメンなど)は、流れ波形の歪みを最小にするように構成することができる。流れ波形の歪みを最小にするために、NOの送達に関連するルーメンの断面を増加させる及び/又は最小にすることができ、及び/又は断面の形状を、遅延及び/又は歪みを低減するように選択することができる。さらに、例示的な実施形態では、流れ波形の歪みを最小にするために、NOの送達に関連するルーメンは、減少した順応性を有する、すなわち、増加した剛性を有するように作製することができる。例えば、流れ波形の歪みを最小にするために、NOの送達に関連するルーメンは、実質的に剛性の材料で作製することができる。材料の剛性は、少なくとも患者の快適さを依然として織り込みつつ、順応性が減少するように選択することができる。
【0073】
競合するメトリクス
少なくともいくつかの実施形態では、カニューレは、1つのルーメンをNOの送達用及びトリガ用とすることができるように構成することができる(例えば、モノルーメンカニューレ、デュアルルーメンカニューレなど)。こうした構成は、NOの送達とトリガとの両方のためのルーメンを、NOドーズの希釈が最小限であり、かつ、トリガ信号が実質的にヒトの呼吸のスペクトルバンド(例えば、0~4Hz)にわたる減衰なしに装置に伝搬することを可能にするように最適化することを必要とすることがある。これは、これらが最適化のための競合するメトリクスであり得るので実質的に難しいことがある。例えば、吸息相の早期にNOのパルス及び/又は流れを送達する、気体遅延を低減する、流れ波形の歪みを低減する、圧力信号の遅延及び/又は歪みを低減する、鼻当てでのNO混合体積及び/又はNO酸化を低減する、及び/又は任意の他の所望の特性(例えば、組み合わされたNO/トリガルーメンに関する)に対処するために、ルーメンのIDの幾つかの競合するメトリクスを、限定はされないが以下のように最適化することができる。
a.NO2生成を減少させる→ルーメンのIDを減少させる、
b.NOのドーズ体積の正確度を維持する→ルーメンのIDを減少させる、
c.NO流れの歪みを低減する→ルーメンのIDを増加させる、及び
d.トリガ信号の減衰又は遅延を最小化する→ルーメンのIDを増加させる。
【0074】
例示的な実施形態では、組み合わされたNO/トリガルーメン構成を有する本発明のカニューレは、例えば、吸息相の早期にNOのパルス及び/又は流れを送達する、気体遅延を低減する、流れ波形の歪みを低減する、圧力信号の遅延及び/又は歪みを低減する、鼻当てでのNO混合体積及び/又は鼻当てでのNO酸化を低減するために、NO/トリガルーメンの最適な幾何学的形状(例えば、形状、サイズなど)の妥協を必要とすることがある。こうした妥協は、組み合わされたNO/トリガルーメンを有する本発明のカニューレ(例えば、モノルーメンカニューレ、デュアルルーメンカニューレなど)にとって必要な場合がある。しかしながら、本発明の少なくとも3つのルーメンを有するカニューレ構成(例えば、トリルーメンカニューレ、クワッドルーメンカニューレなど)は、後述するように、NOの送達と信号のトリガとの両方に専用のルーメンを可能にすることができ、少なくともいくつかの場合、専用のO2/空気送達ルーメンを可能にすることができる。したがって、NOの送達用及びトリガ用の専用のルーメンを有する本発明のカニューレ(例えば、トリルーメンカニューレ、クワッドルーメンカニューレなど)に関して、信号減衰を確実に少なくとも最小にするためにより大きいトリガルーメンを有することが有益な場合があり、一方、少なくともNOの希釈を低減するためにより小さいNOルーメンを有することが有益な場合があるので、最適化されたNOルーメンは、最適化されたトリガルーメンよりも小さくすることができる。したがって、組み合わされたNO/トリガルーメンを有する本発明のカニューレ(例えば、モノルーメンカニューレ、デュアルルーメンカニューレなど)、並びに専用のNO送達ルーメン及び専用のトリガルーメンを有する本発明のカニューレ(例えば、トリルーメンカニューレ、クワッドルーメンカニューレなど)は、最適化されたときに異なる幾何学的形状を有することができる。
【0075】
単なる例として、ドーズ体積の正確度を保証することに加えて(例えば、逆行性の流れから生じる希釈を最小にすることに関して上述した)、組み合わされたNO/トリガルーメンのIDは、例えば、患者から装置へのガスの流れの歪み及び/又は必要以上の信号伝搬遅延を低減する及び/又はもたらさないように設計することができる(例えば、圧力信号の遅延及び/又は歪みを最小にすることに関して上述した)。こうした歪み及び/又は遅延は、気体チューブが一次気体ローパスフィルタとして作用し、より高周波数の信号成分を減衰させる場合がある際に起こる場合がある。内径の修正は、フィルタリング効果のバンドパス特徴を変化させることができる。しかしながら、前述のように、内径(例えば、Uでの)は、システムの必要とされるドーズ送達正確度に基づいて特定の最大IDに固定することができる。
【0076】
少なくとも上記に照らして、例示的な実施形態では、圧力信号の可能性のある周波数減衰の影響を最小にするために、(1)本発明のカニューレの組み合わされたNO/トリガルーメンの上流(装置に近い)直径を、カニューレのバンドパス特徴を広げる(例えば、最適化する)ように調整することができる、及び/又は(2)NOのパルス送達(例えば、送達装置による)の開始のトリガは、通常の閾値圧トリガ戦略を有する場合があり(例えば、圧力信号はカニューレ構造体の気体フィルタリング効果によって減衰及び/又は遅延される場合がある)、したがって、この閾値圧トリガを、患者の吸う力を示す圧力勾配パターンに基づく圧力勾配に基づくトリガ戦略で補う/置き換えることが有利な場合がある。顕著な信号減衰の存在下でのこうした圧力勾配に基づくトリガ戦略は、患者の吸う力により反応しやすいであろう(例えば、より早く)。圧力信号の可能性のある減衰/遅延の影響を最小にするために、本発明のカニューレの組み合わされたNO/トリガルーメンの下流の直径を、カニューレのバンドパス特徴を広げる(例えば、最適化する)ように調整することができるが、これは、カニューレ鼻当てのサイズの増加の望ましくない副作用を生じる場合があり、これは次に、カニューレを患者にとってあまり快適でないものにする場合があることが理解されるであろう。
【0077】
例示的な実施形態では、組み合わされたNO/トリガルーメンの上流の直径は、必要とされない圧縮可能な体積が鼻当て制約(例えば、0.046インチのID制約など)の上流で確実に利用不可能であり得るようにカニューレのバンドパス特徴を広げるように調整することができる。これにより、カニューレ内の圧縮可能な体積を減少させる及び/又はカニューレのバンドパス特徴を効果的に増加させることができる。
【0078】
例示的な実施形態では、ドーズ送達のトリガ(例えば、送達装置による)を、患者の吸う力を示す圧力勾配のパターンに基づくものとすることができ、及び/又はチュービングのフィルタリング特徴によって勾配の大きさを減らすことができるが、勾配は、アルゴリズム的トリガ決定(例えば、送達装置による)のために依然として存在することがある。例示的な実施形態では、トリガ方法論は、圧力閾値に基づかないものとすることができ、むしろ、トリガ方法論は、患者へのドーズの全体として時を得た送達を改善するために用いることもできる、圧力勾配トレンドに基づくものとすることができる。こうしたトリガ実装は随意的とすることができることが理解されるであろう。
【0079】
モノルーメンカニューレ
図3Aを参照すると、例示的な実施形態では、鼻カニューレは、酸素を送達する及び/又は送達装置303をトリガするのに用いられるのと同じルーメン内で一酸化窒素を送達することができる少なくとも1つのルーメン(すなわち、モノルーメンカニューレ300)を有することができる。モノルーメンカニューレ300を用いて、シングルルーメン内で、NO307のドーズが流れの中に間欠的にパルスされる状態で酸素及び/又は周囲空気の流れ305を患者に送達することができる。この同じルーメンはトリガに用いられてもよい。この技術を用いると、例えば、O2及び/又は空気は各NOパルス後のカニューレ鼻当てを効果的に一掃することができるので、及び又はシングルルーメンは弁の閉鎖時に装置での閉じたシステムとすることができ、したがって、カニューレルーメンへの流れを防ぐことができるので、逆行性の流れを実質的に減少させることができる。しかしながら、この技術を用いると、酸素及び/又は空気305がカニューレ300のルーメン内でNO307と接触し、反応し(例えば、NO2を生成し)、これにより、意図されるNOドーズを希釈することがある。
【0080】
例示的な実施形態では、NOをO2及び/又はキャリアガスからバッファする(例えば、隔離する)のに用いることができるキャリアガスは、送達されるドーズの有効体積を増加させるため、例えばカニューレ内のNOの通過時間を減らすために用いることができる。このバッファガスは、NOドーズ中に拡散する及び/又はNOドーズを囲む(例えば、空間的に前後に)ことができる。
【0081】
図3Bを参照すると、例示的な実施形態では、NO/O2ルーメン内の酸素及び/又は空気305によるNO307の希釈を低減するために、NO307と酸素305との間にバッファ剤309を送達することができる。単なる例として、第1の酸素を、NO/O2ルーメンを通じて送達することができ、次いで、バッファ剤(例えば、不活性ガス、窒素ガスなど)を送達することができ、次いで、NOを送達することができ、次いで、別のバッファ剤を送達することができ、次いで、酸素を送達することができる。バッファ剤は、NOと酸素との相互作用を低減し、これにより、例えばNO2生成によって引き起こされるNOの希釈を低減することができる。
【0082】
例示的な実施形態では、カニューレ内でNOを輸送するためにバッファガスを用いるときに、NOパルスドーズの形状を実質的に歪めずにNOとO2との接触量及び接触時間を最小にすることができる。例示的な実施形態では、バッファガスは、任意の随伴したO2へのバッファとして作用することができる及び/又は送達されるガスの体積を増加させることができるように実質的にO2を含有しないものとすることができ、これにより、カニューレにおけるNOドーズの時間が減少する。例示的な実施形態では、バッファガスは酸素を含むことができるが、カニューレルーメンの直径は、O2に曝されるNOドーズの断面を最小にできるように十分なだけ小さくすることができ、及び/又は直径は、ドーズのパルス形状が確実に実質的に歪められ得ないように十分なだけ大きくすることができる。
【0083】
例示的な実施形態では、バッファガスは、酸素濃縮器システムが空気からO2を除去した後に残るO2を含有しない混合ガスを用いることによって提供することができる。
【0084】
開示されるバッファは、任意のマルチルーメンカニューレ(例えば、デュアルルーメンカニューレ、トリルーメンカニューレ、クワッドルーメンカニューレなど)と共に用いることができ、この場合、NOとO2は同じルーメン内で送達され得ることが理解されるであろう。例えば、デュアルルーメンカニューレは、トリガルーメンと、組み合わされたNO/O2ルーメンとを有することができ、バッファがNOとO2を分離する状態でNOがO2に間欠的にパルスされてもよい。
【0085】
例示的な実施形態では、モノルーメン(例えば、組み合わされたNO/O2ルーメン、組み合わされたNO/O2/トリガルーメンなど)の内径は、例えば、残留ガスの混合を減少させるために実質的に小さく構成することができる。前述のように、異なる機能(例えば、NOの送達、トリガ、O2送達など)を含むルーメンは、最適化のための競合するメトリクスを有することがある。最適化のために、モノルーメンの断面の寸法は、これらの競合するメトリクスの少なくともいくつかの間で妥協を必要とすることがある。例えば、モノルーメンは、組み合わされたNO/トリガルーメン及び/又は組み合わされたNO/O2/トリガを有するので、モノルーメンの最適な幾何学的形状(例えば、形状、サイズなど)は、例えば、吸息相の早期にNOのパルス及び/又は流れを送達する、気体遅延を低減する、流れ波形の歪みを低減する、圧力信号の遅延及び/又は歪みを低減する、鼻当てでのNO混合体積及び/又は鼻当てでのNO酸化を低減するために、少なくともいくつかの競合するメトリクス間の妥協を必要とすることがある。少なくとも最適化のための競合するメトリクスを考慮すると、少なくともいくつかの実施形態では、モノルーメン(例えば、組み合わされたNO/O2ルーメン、組み合わされたNO/O2/トリガルーメンなど)の内径は約0.07インチ未満とすることができる。
【0086】
デュアルルーメンカニューレ
図4を参照すると、例示的な実施形態では、鼻カニューレは、酸素を送達することができる(例えば、酸素/空気供給部405から)少なくとも1つのルーメン406とは別のルーメン(例えば、NOルーメン404)内で一酸化窒素を送達することができる、及び/又は送達装置(例えば、送達装置403)をトリガすることができる、少なくとも2つのルーメン(すなわち、デュアルルーメンカニューレ400)を有することができる。NOルーメンは、NOを含む治療ガスをNOの送達装置403から(例えば、カニューレ鼻当て402で)患者に運ぶことができる。2つのルーメンは、各ルーメンに関する別個の流路を有することができる単一のカニューレ鼻当て(例えば、カニューレ鼻当て402)に集まることができる。
【0087】
例示的な実施形態では、一酸化窒素を含有するガスを運ぶルーメン(例えば、デュアルルーメンカニューレの)は、他のルーメン(例えば、トリガルーメン、酸素ルーメンなど)よりも小さい場合がある実質的に小さい内径を有することができる。少なくともこれらの実施形態では、NOを運ぶルーメンに関して実質的に小さい内径を有することで、カニューレは、少なくとも以下の機構によって希釈を低減することができる:(i)より小さいIDに起因する小さいIDのNO輸送ルーメンへの逆行性の流れの減少により酸素とNOの混合を最小にすること、(ii)小さいIDのNO輸送ルーメンを有することによって単位長さ当たりのNOガスの体積を減らすことができるので、ガス混合のバルク体積を最小にすること、及び/又は(iii)小さいIDのNO輸送ルーメンは、NOの送達中のO2/NOの混合を効果的に最小にすることができるガスの流れの細いジェットをもたらすことができる及び/又は鼻腔の中の遥かに遠くまでNOの送達中のO2/NOの混合を最小にすることができる。本明細書で説明される他のマルチルーメンカニューレ(例えば、トリルーメンカニューレ、クワッドルーメンカニューレなど)で用いられるNOの送達用のルーメンのIDを減少させることによって、希釈を低減するための同様の機構を達成することができる。
【0088】
例示的な実施形態では、小さいルーメンの直径を、装置の流れ送達機構に対する交絡する上流の影響を生じることなく適切にできるだけ小さくすることができるように最小化することができる。例えば、1つ以上の実施形態では、NOルーメンは、約0.01インチ~約0.10インチ及び/又は約0.03インチ~約0.08インチの範囲内のIDを有してもよい。さらに、1つ以上の実施形態では、酸素ルーメン及び/又はトリガルーメン(例えば、専用のトリガルーメンなど)は、約0.05インチ~約0.20インチ及び/又は約0.08インチの範囲内のIDを有してもよい。
【0089】
図5A~
図5Bを参照すると、例示的な実施形態では、デュアルルーメンカニューレは、酸素の送達用の第1のルーメン502と、NOの送達及び送達装置505のトリガセンサに関する圧力信号の伝送用の第2のルーメン504とを有することができる。この構成では、第1のルーメン502は、酸素を酸素貯蔵器/濃縮器507からカニューレの鼻当て506に運ぶことができる。第2のルーメン504は、NOを一酸化窒素送達装置から患者に送達することができ、及び/又は圧力に基づくトリガ信号を患者から一酸化窒素送達装置のトリガセンサに送達することができる。両方のルーメンは、両方の鼻孔部508/510につながり(例えば、T字に)、したがって両方の鼻孔部508/510と妨げなしに流体連通するように構築することができる。
【0090】
酸素の輸送用の第1のルーメンは、ルーメン内径の幾何学的形状が業界基準と一致するように構築することができる。例えば、定格6LPMの酸素送達能力を有する鼻カニューレは、鼻当てで又は鼻当ての付近でおよそ0.08インチの酸素ルーメン内径を有することができる。したがって、1つ以上の実施形態では、酸素ルーメンは、約0.05インチ~約0.20インチ及び/又は約0.08インチの範囲内の内径を有することができる。
【0091】
NOの輸送及びトリガ用の第2のルーメンは、競合するメトリクスの妥協に基づいて構築することができる(例えば、前述のように)。例えば、第2のルーメンはNOの輸送とトリガを組み合わせるので、第2のルーメンの最適な幾何学的形状(例えば、形状、サイズなど)は、例えば、吸息相の早期にNOのパルス及び/又は流れを送達する、気体遅延を低減する、流れ波形の歪みを低減する、圧力信号の遅延及び/又は歪みを低減する、鼻当てでのNOの混合体積及び/又は鼻当てでのNO酸化を低減するために、少なくともいくつかの競合するメトリクス間の妥協を必要とすることがある。少なくとも最適化のための競合するメトリクスを考慮すると、少なくともいくつかの実施形態では、デュアルルーメンカニューレの組み合わされたNO/トリガルーメンの幾何学的形状は、約0.08インチの範囲内とすることができる。例示的な実施形態では、第2のルーメンの内径は、ドーズ体積の正確度を考慮することによって決定することができ、第2のルーメンは、システムのバンドパス性能を最適化する(例えば、広げるなど)ように調整することができる上流チュービングと共に、約0.01インチ~約0.10インチの範囲内のIDを有することができ、及び/又は第2のルーメンは、約0.01インチ~約0.06インチの範囲内のIDを有することができる。
【0092】
例示的な実施形態では、デュアルルーメンカニューレは、NOを送達するための第1のルーメンと、O2を送達する及び送達装置のトリガセンサに関する圧力信号を伝送するための第2のルーメンとを有することができる。この構成では、NOルーメンは実質的に小さくすることができる(例えば、トリルーメンカニューレの後述のNOルーメンと類似の寸法を有する)、及び/又は組み合わされたO2及びトリガルーメンは、鼻当てで約0.07インチ~約0.14インチ及び/又は約0.03インチ~約0.08インチの範囲内の内径を有することができる。例示的な実施形態では、デュアルルーメンカニューレは、NO及びO2送達用の第1のルーメンと、送達装置のトリガセンサに関する圧力信号の伝送用の第2のルーメンとを有することができる。この構成では、NO及びO2送達用の第1のルーメンは、例えばモノルーメンカニューレを参照して本明細書で説明されるのと同じルーメン内でNO及びO2を送達するための類似の技術を用いることができる。
【0093】
トリルーメンカニューレ
図6A~
図7を参照すると、例示的な実施形態では、鼻カニューレは、少なくとも3つのルーメン(すなわち、トリルーメンカニューレ600)を有することができ、1つのルーメンは、例えば、送達装置(例えば、送達装置603)から該ルーメン(例えば、NOルーメン604)内で一酸化窒素を送達することができ、別のルーメンは、例えば送達装置(例えば、送達装置603)のトリガ用とすることができ(例えば、トリガルーメン606)、別のルーメンは、例えば、O2/空気源(例えば、貯蔵器及び/又は濃縮器605)から該ルーメン(例えば、O2ルーメン608)内でO2を送達することができる。3つのルーメンは、各ルーメン及び/又は少なくとも1つのルーメンに関する別個の流路を有することができる単一のカニューレ鼻当て(例えば、カニューレ鼻当て602)に集まることができる。
【0094】
NOルーメンは、NOを含む治療ガスをNOの送達装置603から患者に(例えば、カニューレ鼻当て602で鼻孔部610/612を介して)運ぶことができる専用のルーメンとすることができる。酸素ルーメンは、酸素に富むガス(例えば、酸素に富む空気、実質的に純粋な酸素など)を酸素源から患者に(例えば、カニューレ鼻当て602で鼻孔部610/612を介して)運ぶことができる専用のルーメンとすることができる。酸素源は、酸素パルシング装置(例えば、酸素貯蔵器など)及び/又は定流量式酸素装置(例えば、酸素濃縮器など)とすることができ、及び/又は酸素に富むガスを送達するNOの送達装置上のポートとすることができる。トリガルーメンは、患者からNOの送達装置603へのトリガ信号の伝搬を可能にする専用のルーメンとすることができる。
【0095】
例示的な実施形態では、鼻カニューレは、酸素ルーメンを酸素源(例えば、酸素パルシング装置、酸素貯蔵器、定流量式酸素装置、酸素濃縮器など)に接続することができ、及び/又は鼻カニューレは、酸素ルーメンを酸素源に接続しなくてもよい(例えば、酸素補助を受けない患者に関して)。酸素補助を受けない患者に関しては、酸素ルーメンは除去されてもよく、及び/又は部分的に除去されてもよい。例えば、酸素ルーメンは、酸素源への接続を提供するルーメン部分(例えば、レジューサの酸素ピグテールオフ)が除去され得る状態で、患者の頭部の周りに進むカニューレの酸素側を支持するように部分的に保存されてもよい。酸素ルーメンの除去及び/又は部分的除去は、本明細書で説明される他のマルチルーメンカニューレ(例えば、デュアルルーメンカニューレ、クワッドルーメンカニューレなど)と同様に行うことができる。
【0096】
図6C及び
図7を参照すると、例示的なカニューレは、鼻当て(例えば、ノーズブリッジフィッティングなど)で3つのルーメンを含むことができ、及び/又は気体経路及び/又はルーメンは、カニューレの鼻当て及び/又は鼻孔部内にあってもよい隔壁及び/又はダイヤフラムによって分離することができる。NO供給部は、よりガス抵抗の低い源を通って、カニューレの鼻孔部に含まれることがあるより抵抗の高いオリフィスへ、鼻当てを横断することができる。例示的な実施形態では、各ルーメンは、別個のルーメン内の流体の流れの混合を防ぐために、カニューレの鼻当て内の及び/又はカニューレの鼻孔部内のダイヤフラム隔壁によって分離されてもよい。
【0097】
3つのルーメンを、マルチルーメンチューブを製造する単一のダイを通じて押出すことができ、単一のマルチキャビティ押出しで押出すことができ、別々に押出し、本明細書で開示されるパラチューブ配列に一緒に取り付けることができ、及び/又は任意の他の適切な技術を用いて押出すことができる。同様の技術を、本明細書で説明される他のマルチルーメンカニューレ(例えば、デュアルルーメンカニューレ、クワッドルーメンカニューレなど)に用いることができる。
【0098】
図7を参照すると、例示的な実施形態では、NOの送達ルーメン/チューブ604は、鼻カニューレの鼻当て602に入るところで及び/又は入った直後に内径(ID)を少なくとも一度減少することができる。したがって、1つ以上の実施形態では、気体抵抗は、鼻カニューレの鼻孔部内の方が、NOをNOの送達装置からカニューレ鼻当てに運ぶチュービング内よりも大きい場合がある。例示的な実施形態では、NOの送達専用ルーメンのより小さいIDのチュービングは、限定はされないが以下のような利点を可能にすることができる:
・短いガス通過時間、
・吸息/呼息相のルーメンへの周囲空気の逆行性の流れの低減(例えば、拡散速度が、より小さいIDと共に減少し得るガス分子の平均自由行程長さに従うことを示す、クヌーセン拡散に従う低減)、
・流れへのガス抵抗の増加(例えば、より小さいIDのチュービングは、ポアズイユの法則によってチュービング半径の4乗に反比例することがあるガスの流動抵抗をもたらす)、及び
・NOの送達ルーメンのT字ループにおける体積の減少。
【0099】
上記は、いくつかの例を挙げると、逆行性の流れの可能性を減らす、逆行性の流れの体積を減らす、及び/又はカニューレ内のNOと酸素を含む他のガスとの接触及び/又は接触時間を減らすことができる。これは次に、NOの希釈を減らすことができ、及び/又はこれにより、送達されるNOドーズの精度を高める。したがって、例示的な実施形態では、NOルーメンのIDは、約0.01インチ~約0.10インチ及び/又は約0.07インチとすることができる。
【0100】
例えば、クロスフローを少なくとも減少させる及び/又は患者の快適さを高めるために、NOルーメンのIDを最大IDから最小IDに減少させることができる。例示的な実施形態では、NOルーメンの最小IDと最大IDとの比は、いくつかの例を挙げると、1:1、1:1.2、1:1.3、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、1:5、1:5.5、1:6、1:7、1:8、1:9、及び/又は1:10とすることができるがこれらに限定されない。NOルーメンの最小IDと最大IDとの同様の比は、NOの送達専用のルーメン及び/又はNOの送達とトリガが組み合わされたルーメンを有することができる本明細書で説明される他のマルチルーメンカニューレ(例えば、デュアルルーメンカニューレ、トリルーメンカニューレ、クワッドルーメンカニューレなど)に用いることができる。
【0101】
トリガルーメンのIDは、NOルーメンのIDよりも比較的かなり大きくすることができる。トリガルーメンのIDは、圧力信号をパルスNOを送達するのに用いることができるNOの送達装置への信号の大きさの損失及び/又は位相遅延ができる限り最小である状態で、吸入時のトリガ圧力低下をこのカニューレルーメンを通じて伝送することができるように、実質的により大きくすることができる。したがって、例示的な実施形態では、トリガルーメンのIDは、約0.05インチ~約0.20インチ及び/又は約0.08インチとすることができる。例示的な実施形態では、NOルーメンのIDとトリガルーメンのIDとの比は、いくつかの例を挙げると、1:1、1:1.2、1:1.3、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、1:5、1:5.5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、及び/又は1:30とすることができるがこれらに限定されない。
【0102】
例えば、酸素の流動抵抗を最小にするため、及び/又はガスの流れの影響(例えば、ベルヌーイの原理などからの)に起因してトリガ圧力信号に干渉するように作用することがある鼻孔部でのガスの流速を減少させるため、及び/又は酸素の送達に関連する「ノイズ」を減少させるべく高速酸素通過に伴う高周波(例えば、可聴範囲)共振を減少させるために、酸素ルーメンは、NOルーメンよりも大きくすることもできる。したがって、例示的な実施形態では、酸素ルーメンのIDは、約0.05インチ~約0.20インチ及び/又は約0.08インチとすることができる。例示的な実施形態では、NOルーメンのIDと酸素ルーメンのIDとの比は、いくつかの例を挙げると、1:1、1:1.2、1:1.3、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、1:5、1:5.5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、及び/又は1:30とすることができるがこれらに限定されない。
【0103】
クワッドルーメンカニューレ
図8A~
図8Dを参照すると、例示的な実施形態では、鼻カニューレは、少なくとも4つのルーメンを有することができ(すなわち、クワッドルーメンカニューレ800)、2つのルーメンは、例えば、送達装置(例えば、送達装置803)から該ルーメン(例えば、NOルーメン804A及び804B)内で一酸化窒素を送達することができ、別のルーメンは、例えば送達装置(例えば、送達装置803)のトリガ用とすることができ(例えば、トリガルーメン806)、別のルーメンは、例えば、O2/空気源(例えば、貯蔵器及び/又は濃縮器805)から該ルーメン(例えば、O2ルーメン808)内でO2を送達することができる。4つのルーメンは、各ルーメン及び/又は少なくとも1つのルーメンに関する別個の流路を有することができる単一のカニューレ鼻当て(例えば、カニューレ鼻当て802)に集まることができる。
【0104】
例示的な実施形態では、上述の気体構成のように、この構成は、NO、酸素、及びトリガの気体経路を分離することができる。さらに、例示的な実施形態では、各鼻孔へのNO流の送達経路は、個別及び別個に保つ、及び/又はそれらの独自の気体送達源をNOの送達装置に有することができる。
【0105】
図8Dを参照すると、上記の構成を有する例示的なクワッドルーメンカニューレは、カニューレ鼻当てで構築することができ、クワッドルーメンカニューレは、例えば、トリルーメンカニューレと同様になされ得る際に、カニューレのルーメンをカニューレ鼻当てと装置との間の単一のアンビリカルに融合することができる。トリルーメンカニューレ(例えば、少なくとも
図7を参照して説明される)と同様に、NOの送達ルーメン/チューブ804A及び804Bは、チュービングが鼻カニューレの鼻当て802に入るところで及び/又は入った直後に内径(ID)を少なくとも一度減少することができる。したがって、1つ以上の実施形態では、気体抵抗は、鼻カニューレの鼻孔部内の方が、NOをNOの送達装置からカニューレ鼻当てに運ぶチュービング内よりも大きい場合がある。
【0106】
例示的な実施形態では、トリガルーメン806、酸素ルーメン808、NOルーメン804A及び804Bの寸法は、トリルーメンカニューレにおけるそれぞれのルーメンと同様とすることができ、及び/又はこれらのルーメンの幾何学的形状は、トリルーメンカニューレに関して上述したように同様の利点を提供することができる。
【0107】
上記の利点に加えて、クワッドルーメンカニューレ構成は、とりわけ、呼息中のNO供給ラインの接続された(例えば、T字の)送達ループを通じたガスの移動を防ぐことができる。これは、NO/酸素の接触を減少させることができ、及び/又はクロスフローを減少させる又は実質的になくすことができる。少なくともいくつかの場合、クワッドルーメンカニューレの使用は、各NOルーメン用の専用の気体回路を必要とすることがある。
【0108】
例示的な実施形態では、クワッドルーメンカニューレ構成は、2つのトリガルーメン(例えば、2つの各鼻孔につき1つ)並びにNOの送達ルーメン及びO2送達ルーメンを含むことができる。もちろん、他の構成が本発明の範囲内である。
【0109】
逆止め弁及び弁
1つ以上の実施形態では、鼻カニューレ(例えば、本明細書で開示されるシングルルーメンカニューレ、マルチルーメンカニューレ、鼻カニューレのいずれかなど)は、一酸化窒素送達ラインに存在する及び/又はこれと流体連通することができる1つ以上の逆止め弁を含むことができる。さらに、例示的な実施形態では、一酸化窒素送達ラインに存在する及び/又はこれと流体連通する1つ以上の逆止め弁は、説明されるマルチルーメン構成のいずれかと組み合わせることができる。逆止め弁は、とりわけ、吸息/呼息中のNO供給ルーメンへの逆行性のガス移動を防ぐために用いることができる。逆止め弁は、NOの送達経路内のいくつかの地点に配置する及び/又はNOの送達経路と流体連通することができる任意の低クラッキング圧の逆止め弁とすることができる。こうした逆止め弁は、ダックビル弁、アンブレラ弁、及び/又は任意の他の弁を含むことができるがこれらに限定されない。
【0110】
図9Aを参照すると、本発明の鼻カニューレに従って用いることができる、例示的なダックビル弁902が、及び/又は
図9B~
図9Cを参照すると、例示的なアンブレラ弁904が例示的に示される。これらの逆止め弁は、例えば、それらがNOの送達ルーメンに嵌る及び/又はNOの送達ルーメンと流体連通する寸法を有することができる及び/又は成形及び/又は製造プロセス中にルーメン出口を適切に形状設定する及び/又はこれにスリットを形成することによってそれらがルーメン自体の外に構築され得るように、小型の逆止め弁とすることができる。
【0111】
図10を参照すると、1つ以上の実施形態では、NOの送達カニューレ及び/又はルーメンは、カニューレ鼻当て1002に存在し得る及び/又はNOのパルスが装置NOパルシング中に概して鼻/口領域に送達されることを可能にし得る小さいフラッパ及び/又はアンブレラ逆止め弁1000を有することができる。この構成は、吸入時にNOが開いた鼻孔部のいずれか及び/又は両方に流れることを可能にすることができる及び/又はNOルーメンへの逆行性の流れを制約することができる(例えば、呼息中に)。O2及び/又はトリガルーメンは、例えば、酸素の流れに起因するトリガルーメンの性能に対する信号対ノイズ比のどのような悪影響も減少させるためにNOルーメンと組み合わせる又は別個に保つことができる。フラッパ弁を有するこうした構成は、NOの送達経路への酸素の逆行性の流れを防ぐことができ、これにより、ドーズの希釈の可能性を低減する。ダイヤフラム及び/又は他の障壁は、例えば、混合を防ぐためにカニューレ鼻当てでNO送達ラインをO2/トリガラインから分離することができる。
【0112】
1つ以上の実施形態では、鼻カニューレは、移動可能とする又は固定することができる及び/又は必要なときに能動的に又は受動的に動かすことができる不透過性及び/又は半透過性膜を組み込むことができる。さらに、膜は、例えば、NOが患者に送達される必要があるまで、NO含有ガス又は物質をO2含有ガス又は物質から分離することができる。この膜は、NO含有ガスとO2含有ガスとの接触時間、表面積、及び/又は拡散速度を減らすことができる。これは、意図されるNOの送達濃度を希釈することがあるNO2の生成を減らすことができる。
【0113】
図11Aを参照すると、本発明の1つ以上の実施形態では、NO含有カニューレ、NOルーメン、及び/又はカニューレの鼻当ての実質的に端及び/又は端付近にある常時閉の弁1100(例えば、ダックビル弁、フラップ弁、圧力弁など)は、例えば、弁の開放がトリガされ得るまで(例えば、患者による吸入によって生じる圧力の低下によって又は患者にNO含有ガスを送達することを試みる際に送達装置によって生じる正圧によって)、空気がカニューレ内部のNO含有ガスと接触するのを防ぐことができる。弁の開放がトリガされるときに、NOを患者に送達することができる。
【0114】
1つ以上の実施形態では、システムは、他の方法ではこの混合物中でNO2を生成することがあるO2含有ガス又は物質と接触する、ガス又は他のNO含有物質を追い出すために用いる及び/又は提供することができる。システムは、その後、最小限のNO2を有する又はNO2を有さないNO含有ガス又は物質の別の部分が患者に送達されることを可能にすることができる。
【0115】
図11Bを参照すると、本発明の1つ以上の実施形態では、システム及び/又は鼻カニューレは、例えば、患者へのカニューレ開口部とは別個のオリフィスを通じてNO2を含有し得る一定の又は調節可能な量の混合ガスを汲み出すために作動させることができる電気機械式弁システム1104を含む、及び/又はこれと流体連通することができる。次いで、NO含有ガス又は物質を患者に送るためにシステムを作動させることができる。
【0116】
上記の教示のいずれか(例えば、逆止め弁、逆止め弁構成、膜、弁、電気機械式弁システムなど)は、本明細書で説明される他の気体構成、カニューレ構成、及び/又は教示及び/又は実施形態のいずれかと組み合わせることができることが理解されるであろう。例えば、上記の教示(例えば、逆止め弁構成など)は、本明細書で説明されるモノルーメンカニューレ又はマルチルーメンカニューレ及び/又は本明細書で説明される任意の他の教示及び/又は実施形態と共に用いることができる。
【0117】
源への接続中のNO/O2接触の最小化
本発明の1つ以上の実施形態は、三方弁を用いて送達装置(例えば、酸素/NO接触の上記の源のうちの1つ以上)への高圧源(例えば、加圧シリンダなど)の接続中のNO/O2接触を低減し、これにより、意図されるNOドーズの希釈を低減する、鼻カニューレ及び/又はシステムに関係する。例えば、本発明の鼻カニューレ及び/又はシステムは、酸素を除去する(例えば、吹き払う)べくキャニスタを接続すると三方弁が周囲に開かれるように構成することができる周囲への1つのポートを有する三方弁を含むことができる。
【0118】
比例的鼻孔送達
図12~
図13を参照すると、本発明の1つ以上の実施形態は、気体薬剤(例えば、パルスされる一酸化窒素などの形態の)を鼻カニューレを通じて送達するときの少なくとも部分的に閉塞した鼻の通路(例えば、
図12に示すように)に起因する薬剤損失(例えば、周囲環境への)の問題に対処する鼻カニューレ及び/又はシステムに関係する。こうした問題の単なる例として、鼻の片側(例えば、鼻1201)が閉塞され(例えば、閉塞1203)、薬剤がどちらの鼻孔(例えば、鼻孔1205)にどれくらい進むかを区別せずに薬剤がカニューレ/送達システム1200を通じて鼻の両側に送達されている場合、閉塞した鼻孔に起因する薬剤損失が存在することがある。加えて、使用されない治療ガスと接触する場合がある他の物質及び/又は化合物との反応などの他の望ましくない結果が存在する場合がある。
【0119】
この不適切なドーズは、送達装置を出て、患者に到達する前に下流のいくつかの地点で分流する場合がある、シングルルーメンを通じてパルスされるとき(例えば、患者の呼吸パターン及びリズムに同期して送達されるとき)などの治療薬を設定された制限された量で送達するときに、特に問題となることがある。さらに、これは、シングルルーメンを通じて薬剤ドーズをパルシングし、その後、分流するときに、ドーズが分流部の下流の鼻の詰まりを考慮せずに2つのストリームに等しく又は実質的に等しく分流することがあるので、特に問題となることがある。したがって、ドーズの大部分(例えば、半分まで)が患者に送達されない場合がある、及び/又は詰まった又は閉塞した鼻孔の近傍にとどまる場合がある。
【0120】
本発明の1つ以上の実施形態は、例えば、送達が鼻孔内の空気及びガスの流れに比例する及び/又は鼻孔内の抵抗に反比例する状態で各鼻孔部への治療ガスのほぼ比例的な送達を提供することによって上記の問題を解決する又は最小にする鼻カニューレ及び/又はシステムに関係する。これは、治療ガスを患者の鼻に、その後患者の肺に比例的に分流する及び/又は引き込むべく各鼻孔への空気/ガスの流量に概してほぼ比例し得る患者の呼吸の駆動力を用いることによって達成することができる。このシステムは、設計された、設定された、又は適切なドーズを、いずれか又は両方の鼻孔の部分的な又は完全な詰まり(恒久的又は一時的のいずれか)が患者に送達される薬剤の量に影響しないように各鼻孔内の空気の流れに比例して(又は各鼻孔内の抵抗に反比例して)確実に送達することができるような方法で患者にドーズを送達することができる。
【0121】
例えば、カニューレ/ルーメンは、送達されるドーズを、患者の呼吸によって駆動される吸気の流れに噴射及び/又は送達すること、この場合、こうした流れは各鼻孔に進む空気の量に比例して薬剤送達点の下流で分流する、若しくは他方の鼻孔の流れが所定の閾値を下回る場合に、送達される薬剤も比例的及び/又はほぼ比例的に分流するように、一方の鼻孔に単純に送達することができるように、若しくは、前述のガスの流れへのより流れの良い鼻孔に基づくすべての構成で又は構成なしに一方又は他方の鼻孔に誘導することができるように、所望の量の治療ガスを送達するように設計することができる。周囲空気(例えばカニューレの鼻当ての単純な穴を通る)から各鼻孔への流路を、この流路が各鼻孔につながる分流点に移る前に薬剤の送達点/領域/体積と交わるようにすることによって、患者へのストリームにおける空気の流れを達成することができる。
【0122】
例示的な実施形態では、例示的なカニューレ/ルーメン構成は、各鼻孔に進む周囲空気の流れにNOを注入することによって各鼻孔へのNOの送達を可能にすることができ(例えば、
図13に示すように)、及び/又は構成は、閉塞していない鼻孔にNOを案内するのを助ける及び/又は案内するのに用いられるように設計することができる2つの鼻孔部間の有益なクロスフローを可能にすることができる(例えば、
図12に示すように)。送達カニューレ/ルーメンは、治療ガスが患者への空気の流れの経路外に確実に随伴する又は流れることができないように設計することができる。送達カニューレ/ルーメン、及び患者への吸気の流路は、周囲の空気ストリームへの薬剤の注入点での背圧又は部分的により低い圧力又は他の破壊的なフローパターンの発生によって空気ストリームへの薬剤の送達が確実に妨害されない又は加速されないように設計することができる。送達カニューレ/ルーメン、吸気の流路、鼻孔への空気の流れの分流、及び鼻孔部内の個々のルーメンピースは、薬剤を鼻孔内の空気の流れに比例して又は実質的に比例して鼻孔部へ随伴させる及び運ぶことができるように、患者への空気又は酸素の他の源に対する空気の適切な流れが確実に存在できるように設計することができる。
【0123】
独立した鼻孔送達
本発明の1つ以上の実施形態は、例えば、各鼻孔内の駆動力の量を検出及び/又は判定し、各鼻孔部に送達される薬剤の量を調節することによって、部分的に又は完全に詰まった鼻孔に起因する不適切なドーズの問題に対処する鼻カニューレ及び/又はシステムに関係する。これは、各鼻孔内の比例的及び/又は実質的に比例的なドーズを保証するべく弁、バッフル、フラップ、及び/又は任意の他の装置を用いることによって達成することができる。
【0124】
少なくとも上記に対処して、デュアルチャネルシステム(例えば、クワッドルーメンカニューレなどのマルチルーメンカニューレと共に働く場合がある)は、各鼻孔につき1つの、少なくとも2つの独立した流路を用いることができる。例示的な実施形態では、これらの独立した流路は、例えば、両方の鼻孔への全ての流れを合計すると適切なドーズとなる状態で各鼻孔の吸い込みに比例する流れを送達するように流路を構成することによって、及び/又は閉塞した鼻孔の流れの吸い込みが予め設定された閾値を下回る場合に単独で働く方(例えば、流れの吸い込みの良い鼻孔)に送達するように流路を構成することによって、各鼻孔の吸気の吸い込みに合わせた薬剤の流れを有することができる。
【0125】
図14A~
図14Bを参照すると、こうしたデュアルチャネルシステムを実装するために、単一の(グローバル)コントローラモジュール(例えば、送達装置に関連する制御モジュールなど)によって結合される2つの独立した流れ送達チャネルを有する必要がある場合がある。これらの送達チャネルのそれぞれは、関心ある特定の鼻孔からの圧力及び/又は流れ信号、並びにガスを鼻孔に送達する能力を必要とすることがある。単なる例として、
図14Aに示されるように、カニューレ1400は、各鼻孔に関して別個の感知ルーメン1402及び送達ルーメン1404を有することができる(例えば、デュアルルーメンカニューレ、トリルーメンカニューレ、クワッドルーメンカニューレなど)。別の例として、
図14Bに示されるように、カニューレ1410は、トリガ又は呼吸検出信号を判定及び/又は検出し、
図14Bに示されるようにカニューレ(例えば、シングルルーメンカニューレ、デュアルルーメンカニューレなど)の同じルーメンを通じて薬剤を送達することができる、各鼻孔用の組み合わされた感知及び送達ルーメン1412を有することができる。
【0126】
図15を参照すると、例示的な実施形態では、ルーメンの上記の構成を支持する(例えば、上述のように)ためにカニューレに関する気体システム1500(例えば、送達装置)が実装される必要がある場合があり、及び/又は(1)各チャネルを独立して又は気体を分けて監視することができる圧力センサ1502及び/又は一体の流量センサ1504、及び/又は(2)ソフトウェアで制御される(オン・オフ型)ソレノイド弁及び/又はソフトウェアで制御される比例的ソレノイド弁1506を有し得る流れ送達機構を有する構成を必要とする場合がある。圧力及び/又は流量センサを用いる構成は、各送達チャネルの専用の圧力及び/又は流量センサ、及び/又は送達チャネル間で交替する及び/又は各チャネルの圧力及び/又は流れ読取値を分けて判断及び/又は検出することができる弁で切り換えられる圧力及び/又は流量センサを含むことができる。圧力及び/又は流れは、1つ以上のセンサを用いて(例えば、圧力センサ1502、一体の流量センサ1504などを用いて)独立して及び/又は区別をつけて測定することができる。さらに、適切な量の治療ガスを送達するために1つ以上の弁を作動させることができる(例えば、独立して、タンデムに、比例的になど)。
【0127】
例示的な実施形態では、気体チャネルは、例えば、適正な全ドーズを保証するために両方のチャネルを独立して制御することができるコントローラ及び/又は組み込み(グローバル)コントローラモジュールによって制御することができる。このコントローラは、圧力又は流量センサ(例えば、2つの別個の圧力センサ、2つの圧力測定値を分けて得ることができる単一の圧力センサなど)から入力を受信することができ、適正なドーズ計画を達成するために両方のソレノイド弁を制御することができる。
【0128】
マルチルーメン鼻カニューレの製造
上述のように、マルチルーメンカニューレの個々のルーメンを別々に製造し、次いで、互いに取り付けることができ(例えば、パラチューブ配列など)、及び/又は複数のルーメンを、マルチルーメンチューブを製造する単一のダイを通じて押出しすることができる。
【0129】
1つ以上の実施形態によれば、本明細書で説明されるマルチルーメンカニューレのマルチルーメン鼻当ては、モールディング技術を用いて製造することができる。例えば、カニューレは、酸素ルーメン、一酸化窒素ルーメン、及びトリガルーメンを分離するためにトリプルルーメンのカニューレ鼻当てを有するように製造することができる。
【0130】
図16を参照すると、1つ以上の実施形態では、トリルーメンカニューレの鼻当て1602は、約0.08インチの内径の2つのルーメン(例えば、酸素ルーメン1608及び/又はトリガルーメン1066に関して)と、約0.045インチのより小さい内径の1つのルーメン(例えば一酸化窒素ルーメン1604に関して)との3つのルーメンを含むことができる。この構成は、例えば、小さいルーメンは、多くの使用に足りるように設計されるモールディングツールにおいて堅牢となる(例えば、屈曲せずに実質的に多数のショットに耐えることができる)には小さすぎる場合がある噴射器ピン(外径約0.045インチの)を必要とする場合があるため、通常の射出成形技術によって容易に成形されない場合がある。
【0131】
図17を参照すると、マルチルーメンカニューレ鼻当てを製造するために、ウレタン、PVC、シリコーン、及び/又は他の低デュロメータのエラストマーの少なくとも2つのハーフ(例えば、1701及び1702)を有することができるモールドを用いることができ、この場合、大きいルーメン1704及び1705の内部)(例えば、酸素ルーメン、トリガルーメンなど)は、より大きい噴射器/コアピン(約0.08インチの外径)によって画定され、小さいハーフルーメンの凹部(例えば、1706及び1708)は、小さいルーメン(例えば、NOルーメン)の外形を画定する。これらの2つのハーフを、次いで、鼻当て全体を形成するために、折り畳み、好ましくはRF溶接及び/又は溶媒結合などの残留物又はフラッシュを生じない結合技術で一緒に結合することができる。
【0132】
例示的な実施形態では、小さいIDのルーメンがハーフの凹部によって画定されるときの噴射器ピンの制限を避けるために、2つのハーフは、例えば、折り畳む及び結合するプロセス中にハーフを一緒に保持し、全体の位置合わせを提供する連結部(例えば、連結部1709)と共に、ワンショットで平らに成形することができる。成形されたハーフは、或る場合には、一緒に折り畳まれるときにハーフを適正に位置合わせすることができるように、一体の穴及び対をなす円筒形タブ又は他の相補的部材(例えば、タブ1710及び対のタブ1712)を含むことができる。連結部はまた、例えば、2つのハーフ上の適切な相補的割り出し部材がNOルーメンの外壁をなす2つの部分を確実に適正に位置合わせすることができる場合は、随意的とすることができる。組み立てられた鼻当ては、3つのルーメンの入力を可能にすることができ、鼻当て本体の内部で各ルーメンの入力に接続することができる(例えば、T字に)。もちろん、鼻当ては、任意の適切な技術を用いて構築することができる。単なる例として、実質的に小さいNOルーメンを有する鼻当ては、液体シリコーンゴム射出成形(例えば、より堅牢なモールドツールが達成され得る低圧モールディング技術)を用いて、及び/又は低圧モールディング技術を用いて構築することもできる。さらに、実質的に小さいNOルーメンを有する鼻当ては、小さいモールドピンを有するパーツを含む小さいパーツの高分解能生産のために用いられ得る当該技術分野では公知のマイクロモールディング技術を用いて構築することができる。単なる例として、実質的に小さいNOルーメンを有する鼻当ては、当該技術分野では公知のマイクロモールディング技術を用いて構築することができる。
【0133】
図18を参照すると、2つのハーフが組み立てられた後の
図17のマルチルーメンカニューレ鼻当ての鼻孔部(例えば、鼻孔部1716)の斜視図が例示的に示される。
【0134】
ルーメンのIDは、上述のように調整することができる。例えば、酸素ルーメンのIDは約0.05インチ~約0.20インチの範囲とすることができ、トリガルーメンのIDは約0.05インチ~約0.20インチの範囲とすることができ、NOルーメンのIDは約0.01インチ~約0.10インチの範囲とすることができる。1つ以上の実施形態では、酸素ルーメンのIDとトリガルーメンのIDは、両方とも約0.07インチ~約0.09インチの範囲内及び/又は約0.08インチとすることができ、NOルーメンのIDは、約0.035インチ~約0.055インチの範囲内及び/又は約0.045インチとすることができる。
【0135】
図19A~
図19Bを参照すると、鼻孔部1900内で及び/又は鼻孔部1900の前で、小さいNOルーメン1902は、例えば、NOパルスの機能によってより大きいトリガルーメン(パージ能力がない場合がある)のどのような先端の詰まりも吹き飛ばす/追い出すことができるように、より大きいトリガルーメン1904の近位に及び/又は内部に出ることができる。この幾何学的形状は、より大きいトリガルーメン内のすべての及び/又は実質的にすべてのNOが呼息中に確実に呼吸器系に到達することができる及び/又は呼息中に一掃され得るように後に残らないように設計することができる。
【0136】
例示的な鼻カニューレ
図20を参照すると、例示的ないくつかの実施形態によれば、酸素の送達用、NOの送達用、及び呼吸のトリガ用の3つの別個のルーメンを含む鼻カニューレ2001が示される。鼻カニューレは、患者の鼻との間に介在する鼻当て2002を含むことができる。NOルーメン2003はNOを患者に輸送することができ、トリガルーメン2004は圧力信号を伝送することができる。NOルーメン2003とトリガルーメン2004との両方は、それらの組み合わされたチューブが単一のチューブ「パラチューブ」2003/2004に見えるように、チューブ(例えば、D形状のチューブ)とすることができる。パラチューブ2003/2004は、鼻カニューレ接続ピース2014によってNOの送達装置に接続することができる。鼻カニューレ2001は、かなり詳細に後述されるキーイング部材2010、レジューサ2012、及び/又は酸素接続ピース2016をさらに含むことができる。
【0137】
図21Aを参照すると、「パラチューブ」は、2つのチューブ(例えば、2つのD形状のチューブ)によって形成することができる。単なる例として、D形状のチューブは、別々に押出す、及び/又は例えば、単一のチューブのように見える単一のパラチューブを形成するべく接着すること(例えば、接着剤、グルーなど)及び/又は結合すること(例えば、加熱、溶融など)によって後の操作で接合することができる。さらに、チューブハーフ間の平坦な境界面は、その後の結合操作のためにチューブの互いに対する簡単な位置合わせを可能にする舌及び溝型構成を有するように変更することができる。別の例として、D形状のチューブは、一操作で押出し、後で端で分割することができる(例えば、スプライサを用いて)。さらに、D形状のチューブの押出しは、同じ材料及び/又は異なる材料で行うことができる。例えば、D形状のNOチューブは、耐酸素材料で構築することができ、及び/又は他のD形状のチューブは、PVC及び/又はチューブを構築するのに通常用いられる他の材料で構築することができる。パラチューブ2003/2004は、鼻カニューレ接続ピース2014によってNOの送達装置に接続することができる。
【0138】
図21B及び
図21Cを参照すると、例示的な実施形態では、チューブ(例えば、NOルーメン2003、トリガルーメン2004、酸素ルーメン2008、組み合わされたルーメンなど)及び/又はパラチューブの内径は、例えば、チューブのよじれ及び/又はチューブのつぶれに起因する完全なチューブの閉塞を防ぐために、幾何学的突起(例えば、ナブ、リブなど)及び/又はインサート(例えば、タブなど)を含むことができる。この幾何学的突起は、それらがチューブ及び/又はパラチューブ内に対称に及び/又は非対称に存在することができるように半径方向に間隔をおいて配置することができる。
【0139】
図20、及び
図22A~
図22Eを参照すると、鼻カニューレ接続ピース2014は、患者と装置とを確実に流体連通するように構築することができる。接続ピースは、装置に差し込むことができ、及び/又は一方向の接続が必要とされ得るように(例えば、逆方向に設置することができないように)設計することができる。さらに、接続ピースは、限定はされないが、挿入を確認するためにIR感知/検出と共に用いることができるカラースタンプされた領域及び/又は区別のつく状態で反射する領域などの付加的な特徴を含むことができ、及び/又は接続ピースは、例えば、チュービングがコネクタを出る際のチュービングのよじれを防ぐために接続ピースと一体であってもよい張力逃がし部2202(例えば、
図22C~
図22Eに示す)を含むことができる。もちろん、交差を確実に感知/検出するために他の技術を用いることができる。鼻カニューレ接続ピース2014は、要素の少なくとも取り扱い及び除去を助けるためにうね(ribbing)及び/又は実質的に軟質の外側部、例えば、よじれを防ぐためのものとすることができる張力逃がし部を含むことができる。鼻カニューレ接続ピース2014は、いくつかの例を挙げると、そのソケット内のコネクタの収まりをユーザが確実に感知する又は見ることができるように構築することができる。
【0140】
図20及び
図23を参照すると、例示的な実施形態では、酸素接続ピース2016は、限定はされないが、酸素貯蔵器及び/又は濃縮器などの外部の酸素供給装置への接続を可能にすることができる。酸素接続ピース2016は、例えば、使いやすさ及び/又は酸素供給装置との接続を保証するために工業規格寸法を有するように設計することができる。さらに、酸素ルーメン2008は、酸素接続ピース2016によって酸素貯蔵器又は他の酸素送達装置に接続することができる。
【0141】
図20及び
図24を参照すると、NOルーメン2003、トリガルーメン2004、及び酸素ルーメン2008は、それぞれ、カニューレ鼻当て2002によって、関係のある接続ピース2014及び2016よりも小さい内径及び/又は外径を有することがある。したがって、レジューサ2012は、鼻カニューレルーメンの異なる寸法及び/又は断面外形を有する部分を接続するのに用いられてもよい。さらに、レジューサ2012はまた、例えば、いくつかの例を挙げると、酸素ピグテールが提供されないときに、カニューレの中に周囲空気を受け入れるときに、及び/又は鼻カニューレが酸素源に取り付けられないときに、酸素ルーメンを終端するのに用いられてもよい。
【0142】
例示的な実施形態では、チューブ(例えば、NOルーメン2003、トリガルーメン2004、酸素ルーメン2008、組み合わされたルーメンなど)は、限定はされないが、結合、接着剤(例えば、エポキシ、シアノアクリレートなど)、溶媒結合、インサート成形などの任意の技術を用いて、及び/又は任意の他の技術によってカニューレ鼻当て2002及び/又は装置コネクタ(例えば、接続ピース2014及び2016)に取り付けることができる。
【0143】
図24を参照すると、レジューサ2012は、例えば、患者に最も近いチュービングを患者の快適さ(例えば、可撓性の増加、外寸の減少など)のために最適化することができるように、及び/又は、例えば、患者の頭部の近位に位置するチュービング直径を最小にすることによって患者の快適さを最適化するべくカニューレの各ルーメンの気体性能を複数の直径を用いて最適化することができるように、異なる寸法(例えば、異なる外径、異なる内径など)のチューブ間の遷移及び/又は接続を可能にすることができる。
【0144】
鼻当て
図25A~
図25Qを参照すると、種々の例示的なカニューレ鼻当て2002の種々の図が例示的に示される。
図25Aは、酸素ルーメン2008をカニューレ鼻当て2002に接続するカニューレ鼻当て2002の側部を示す。
図25Bは、NOルーメン2003及びトリガルーメン2004用の2つのD形状の開口部を示す。
図25Cは、NO用の中央ルーメンと酸素及びトリガ用の2つの外側ルーメンとを有する鼻カニューレ接続ピースの各プロングを示す。
【0145】
例示的な実施形態では、カニューレ鼻当て、及び/又はカニューレ鼻当て及び/又はカニューレの少なくとも一部は、構造的一体性及び気体一体性(例えば、カニューレ鼻当て、カニューレ鼻当ての少なくとも一部、カニューレの少なくとも一部などの)を保証しながら快適さを提供するように選択される材料特性(例えば、デュロメータなど)を有することができる。例えば、構造的一体性及び気体一体性を保証しながら快適さを提供するために、カニューレ鼻当て、及び/又はカニューレ鼻当て及び/又はカニューレの少なくとも一部は、約30~70デュロメータ及び/又は約50デュロメータ(ショアA)有することができる。
【0146】
例示的な実施形態では、例えば、酸素ルーメン2008及びトリガルーメン2004の分割ラインはオフセットすることができる(例えば、NOの送達ルーメン2003の中心を通して位置合わせされない)ので、カニューレ鼻当て2002は、鼻孔部にとって十分な剛性を可能にすることができ、さらには鼻孔部が部分的に圧縮可能となることを可能にする、「トルネード」2515設計の3つのルーメンを含むことができる。この圧縮性は、鼻のプロングが他のトリルーメンカニューレプロング設計よりも高い可撓性及び快適さとなることを可能にすることができる。
【0147】
例示的な実施形態では、トルネードは、より小さいNOルーメン2004を内包することもでき、鼻孔部は、最適な及び/又は所望の挿入距離を保証する及び/又は快適さを増加するように設計することができ、鼻カニューレは、基部から端にかけてテーパすることができる及び/又は弓形(例えば、鼻の穴の方に内向きの)にすることができる。例示的な実施形態では、この最適な及び/又は所望の挿入距離は、約0.1インチ~約0.6インチ及び/又は約0.40インチとすることができる。
【0148】
例示的な実施形態では、酸素ルーメンの出口の幾何学的形状(例えば、カニューレ鼻当てでの)は、例えば、酸素ルーメンの出口のテーパによって可聴周波数ノイズ(例えば、約20hz~15khz)を減少させるように設計することができる。さらに、ノイズの減少は、酸素の流れに起因する可聴範囲の振動及びノイズを防ぐべく酸素輸送ルーメンのデュロメータを修正することによって、及び/又はノイズ(例えば、振動、共振など)を発生しない酸素ルーメンの幾何学的形状を選択することによって達成することもできる。
【0149】
図26A~
図26Cを参照すると、断面図は、鼻カニューレ鼻孔の種々の例示的な構成を示す。例えば、
図26Aは、「トルネード」パターンを例示的に示す。
図26B~
図26Dは、「トルネード」構成に関する開示される利点のうちの少なくともいくつかを含むことができるさらなる構成を例示的に示す。例えば、他の構成は、鼻孔部にとって十分な剛性を可能にすることができ、鼻孔部が部分的に圧縮可能となることを可能にすることができ、及び/又は開示される上記の利点のうちの少なくともいくつかを提供することができる他の構成がこの発明の範囲内である。
【0150】
例示的な実施形態では、患者の快適さを高めるためにカニューレ鼻当ての鼻孔部の外径を最小にすることができる。この外寸を考慮に入れると、種々のルーメン(例えば、トリガルーメン、NOルーメン、O2ルーメンなど)の寸法は、最適化される(例えば、本明細書で論じられるように)だけでなく患者の快適さを考慮に入れるためにサイズを制限することができるように選択することができる。例えば、これはより大きい外径(例えば、約0.25インチ以上の外径)の鼻孔部を有するように最適化するのに有益な場合があるが、カニューレの鼻孔部は、患者の快適さのために0.2インチ未満及び/又は約0.2インチの外径を有してもよい。
【0151】
単なる例として、患者の快適さ、並びに本明細書で開示される最適化に関するメトリクスの少なくともいくつか及び/又はすべてを考慮に入れると、トリルーメンカニューレ(例えば、約7フィートの長さを有する)は、約0.069インチのIDを有するNOルーメン、約0.089インチのIDを有するトリガルーメン、及び約0.089インチのIDを有するO2ルーメンを備えるチュービングを有することができ、この場合、ルーメンの少なくとも一部は、カニューレ鼻当てで減少する(例えば、約0.59インチのバックプレーン長さを有する)及び/又はカニューレ鼻当ての鼻孔部で減少する(例えば、再び減少する)(例えば、約0.47インチの長さを有する)。例えば、カニューレ鼻当てで、NOルーメンは約0.049インチのIDに減少することができ、トリガルーメンは約0.089インチのIDを有することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.089インチのIDを有することができる。さらに上記の例に続いて、カニューレ鼻当ての鼻孔部で、NOルーメンは約0.038インチのIDに減少することができ、トリガルーメンは約0.079インチのIDに減少することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.079インチのIDに減少することができる。さらに、レジューサ及び/又は接続ピースの前に、NOルーメンは約0.069インチのIDを有することができ、トリガルーメンは約0.089インチのIDを有することができ、O2ルーメンは約0.132インチのIDを有することができる。
【0152】
単なる例として、患者の快適さ、並びに本明細書で開示される最適化に関するメトリクスの少なくともいくつか及び/又はすべてを考慮に入れると、トリルーメンカニューレ(例えば、約3フィートの長さを有する)は、約0.064インチのIDを有するNOルーメン、約0.084インチのIDを有するトリガルーメン、及び約0.084インチのIDを有するO2ルーメンを備えるチュービングを有することができ、この場合、ルーメンの少なくとも一部は、カニューレ鼻当てで減少する(例えば、約0.59インチのバックプレーン長さを有する)及び/又はカニューレ鼻当ての鼻孔部で減少する(例えば、再び減少する)(例えば、約0.47インチの長さを有する)。例えば、カニューレ鼻当てで、NOルーメンは約0.044インチのIDに減少することができ、トリガルーメンは約0.084インチのIDを有することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.084インチのIDを有することができる。さらに上記の例に続いて、カニューレ鼻当ての鼻孔部で、NOルーメンは約0.036インチのIDに減少することができ、トリガルーメンは約0.074インチのIDに減少することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.074インチのIDに減少することができる。さらに、レジューサ及び/又は接続ピースの前に、NOルーメンは約0.064インチのIDを有することができ、トリガルーメンは約0.084インチのIDを有することができ、O2ルーメンは約0.127インチのIDを有することができる。
【0153】
単なる例として、患者の快適さ、並びに本明細書で開示される最適化に関するメトリクスの少なくともいくつか及び/又はすべてを考慮に入れると、トリルーメンカニューレ(例えば、約15フィートの長さを有する)は、約0.074インチのIDを有するNOルーメン、約0.094インチのIDを有するトリガルーメン、及び約0.094インチのIDを有するO2ルーメンを備えるチュービングを有することができ、この場合、ルーメンの少なくとも一部は、カニューレ鼻当てで減少する(例えば、約0.59インチのバックプレーン長さを有する)及び/又はカニューレ鼻当ての鼻孔部で減少する(例えば、再び減少する)(例えば、約0.47インチの長さを有する)。例えば、カニューレ鼻当てで、NOルーメンは約0.054インチのIDに減少することができ、トリガルーメンは約0.094インチのIDを有することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.094インチのIDを有することができる。さらに上記の例に続いて、カニューレ鼻当ての鼻孔部で、NOルーメンは約0.04インチのIDに減少することができ、トリガルーメンは約0.084インチのIDに減少することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.084インチのIDに減少することができる。さらに、レジューサ及び/又は接続ピースの前に、NOルーメンは約0.074インチのIDを有することができ、トリガルーメンは約0.094インチのIDを有することができ、O2ルーメンは約0.137インチのIDを有することができる。
【0154】
単なる例として、患者の快適さ、並びに本明細書で開示される最適化に関するメトリクスの少なくともいくつか及び/又はすべてを考慮に入れると、クワッドルーメンカニューレ(例えば、約7フィートの長さを有する)は、約0.069インチのIDを有する少なくとも1つのNOルーメン、約0.089インチのIDを有する少なくとも1つのトリガルーメン、及び約0.089インチのIDを有するO2ルーメンを備えるチュービングを有することができ、この場合、ルーメンの少なくとも一部は、カニューレ鼻当てで減少する(例えば、約0.59インチのバックプレーン長さを有する)及び/又はカニューレ鼻当ての鼻孔部で減少する(例えば、再び減少する)(例えば、約0.47インチの長さを有する)。例えば、カニューレ鼻当てで、NOルーメンは約0.049インチのIDに減少することができ、トリガルーメンは約0.089インチのIDを有することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.089インチのIDを有することができる。さらに上記の例に続いて、カニューレ鼻当ての鼻孔部で、NOルーメンは約0.038インチのIDに減少することができ、トリガルーメンは約0.079インチのIDに減少することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.079インチのIDに減少することができる。さらに、レジューサ及び/又は接続ピースの前に、NOルーメンは約0.069インチのIDを有することができ、トリガルーメンは約0.089インチのIDを有することができ、O2ルーメンは約0.132インチのIDを有することができる。
【0155】
単なる例として、患者の快適さ、並びに本明細書で開示される最適化に関するメトリクスの少なくともいくつか及び/又はすべてを考慮に入れると、クワッドルーメンカニューレ(例えば、約3フィートの長さを有する)は、約0.064インチのIDを有する少なくとも1つのNOルーメン、約0.084インチのIDを有する少なくとも1つのトリガルーメン、及び約0.084インチのIDを有するO2ルーメンを備えるチュービングを有することができ、この場合、ルーメンの少なくとも一部は、カニューレ鼻当てで減少する(例えば、約0.59インチのバックプレーン長さを有する)及び/又はカニューレ鼻当ての鼻孔部で減少する(例えば、再び減少する)(例えば、約0.47インチの長さを有する)。例えば、カニューレ鼻当てで、NOルーメンは約0.044インチのIDに減少することができ、トリガルーメンは約0.084インチのIDを有することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.084インチのIDを有することができる。さらに上記の例に続いて、カニューレ鼻当ての鼻孔部で、NOルーメンは約0.036インチのIDに減少することができ、トリガルーメンは約0.074インチのIDに減少することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.074インチのIDに減少することができる。さらに、レジューサ及び/又は接続ピースの前に、NOルーメンは約0.064インチのIDを有することができ、トリガルーメンは約0.084インチのIDを有することができ、O2ルーメンは約0.127インチのIDを有することができる。
【0156】
単なる例として、患者の快適さ、並びに本明細書で開示される最適化に関するメトリクスの少なくともいくつか及び/又はすべてを考慮に入れると、クワッドルーメンカニューレ(例えば、約15フィートの長さを有する)は、約0.074インチのIDを有する少なくとも1つのNOルーメン、約0.094インチのIDを有する少なくとも1つのトリガルーメン、及び約0.094インチのIDを有するO2ルーメンを備えるチュービングを有することができ、この場合、ルーメンの少なくとも一部は、カニューレ鼻当てで減少する(例えば、約0.59インチのバックプレーン長さを有する)及び/又はカニューレ鼻当ての鼻孔部で減少する(例えば、再び減少する)(例えば、約0.47インチの長さを有する)。例えば、カニューレ鼻当てで、NOルーメンは約0.054インチのIDに減少することができ、トリガルーメンは約0.094インチのIDを有することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.094インチのIDを有することができる。さらに上記の例に続いて、カニューレ鼻当ての鼻孔部で、NOルーメンは約0.04インチのIDに減少することができ、トリガルーメンは約0.084インチのIDに減少することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.084インチのIDに減少することができる。さらに、レジューサ及び/又は接続ピースの前に、NOルーメンは約0.074インチのIDを有することができ、トリガルーメンは約0.094インチのIDを有することができ、O2ルーメンは約0.137インチのIDを有することができる。
【0157】
単なる例として、患者の快適さ、並びに本明細書で開示される最適化に関するメトリクスの少なくともいくつか及び/又はすべてを考慮に入れると、デュアルルーメンカニューレ(例えば、約7フィートの長さを有する)は、約0.07インチのIDを有する組み合わされたNO/トリガルーメンと、約0.089インチのIDを有するO2ルーメンとを備えるチュービングを有することができ、この場合、ルーメンの少なくとも一部は、カニューレ鼻当てで減少する(例えば、約0.59インチのバックプレーン長さを有する)及び/又はカニューレ鼻当ての鼻孔部で減少する(例えば、再び減少する)(例えば、約0.47インチの長さを有する)。例えば、カニューレ鼻当てで、組み合わされたNO/トリガルーメンは約0.05インチのIDに減少することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.089インチのIDを有することができる。さらに上記の例に続いて、カニューレ鼻当ての鼻孔部で、組み合わされたNO/トリガルーメンは約0.04インチのIDに減少することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.079インチのIDに減少することができる。組み合わされたNO/トリガルーメンのこれらの各寸法は、例えば、トリガ信号の減衰を低減するために僅かに(例えば、数千だけ)増加させてもよい。さらに、レジューサ及び/又は接続ピースの前に、組み合わされたNO/トリガルーメンは約0.07インチのIDを有することができ、O2ルーメンは約0.132インチのIDを有することができる。
【0158】
単なる例として、患者の快適さ、並びに本明細書で開示される最適化に関するメトリクスの少なくともいくつか及び/又はすべてを考慮に入れると、デュアルルーメンカニューレ(例えば、約3フィートの長さを有する)は、約0.064インチのIDを有する組み合わされたNO/トリガルーメンと、約0.084インチのIDを有するO2ルーメンとを備えるチュービングを有することができ、この場合、ルーメンの少なくとも一部は、カニューレ鼻当てで減少する(例えば、約0.59インチのバックプレーン長さを有する)及び/又はカニューレ鼻当ての鼻孔部で減少する(例えば、再び減少する)(例えば、約0.47インチの長さを有する)。例えば、カニューレ鼻当てで、組み合わされたNO/トリガルーメンは約0.044インチのIDに減少することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.084インチのIDを有することができる。さらに上記の例に続いて、カニューレ鼻当ての鼻孔部で、組み合わされたNO/トリガルーメンは約0.036インチのIDに減少することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.074インチのIDに減少することができる。組み合わされたNO/トリガルーメンのこれらの各寸法は、例えば、トリガ信号の減衰を低減するために僅かに(例えば、数千だけ)増加させてもよい。さらに、レジューサ及び/又は接続ピースの前に、組み合わされたNO/トリガルーメンは約0.064インチのIDを有することができ、O2ルーメンは約0.127インチのIDを有することができる。
【0159】
単なる例として、患者の快適さ、並びに本明細書で開示される最適化に関するメトリクスの少なくともいくつか及び/又はすべてを考慮に入れると、デュアルルーメンカニューレ(例えば、約15フィートの長さを有する)は、約0.074インチのIDを有する組み合わされたNO/トリガルーメンと、約0.094インチのIDを有するO2ルーメンとを備えるチュービングを有することができ、この場合、ルーメンの少なくとも一部は、カニューレ鼻当てで減少する(例えば、約0.59インチのバックプレーン長さを有する)及び/又はカニューレ鼻当ての鼻孔部で減少する(例えば、再び減少する)(例えば、約0.47インチの長さを有する)。例えば、カニューレ鼻当てで、組み合わされたNO/トリガルーメンは約0.054インチのIDに減少することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.094インチのIDを有することができる。さらに上記の例に続いて、カニューレ鼻当ての鼻孔部で、組み合わされたNO/トリガルーメンは約0.040インチのIDに減少することができ、及び/又はO2ルーメンは約0.084インチのIDに減少することができる。組み合わされたNO/トリガルーメンのこれらの各寸法は、例えば、トリガ信号の減衰を低減するために僅かに(例えば、数千分の1インチだけ)増加させてもよい。さらに、レジューサ及び/又は接続ピースの前に、組み合わされたNO/トリガルーメンは約0.074インチのIDを有することができ、O2ルーメンは約0.137インチのIDを有することができる。
【0160】
トランポリン
例示的な実施形態では、カニューレ鼻当て2002は、鼻中隔への当たりを和らげることができる可撓性支持ブリッジ又は「トランポリン」2517を含むことができる。可撓性支持ブリッジ2517は、例えば、カニューレと鼻中隔との接触表面積の増加によって患者の快適さの増加を提供することができ、及び/又はプロングブリッジを鼻中隔から偏向するように設計することができるので、患者の快適さを高めることができる。
【0161】
例示的な実施形態では、可撓性支持ブリッジ2517は、鼻カニューレのプロングによって両端で支持され得る要素(例えば、浮動性要素)とすることができる。患者の鼻(例えば、鼻中隔)を、鼻カニューレで通常見受けられる中央ブリッジ部材2518(例えば、鼻カニューレの鼻孔部を分離する、鼻カニューレの鼻孔部間の湾曲していることもある硬質プラスチック接続部など)にあてるのではなく、可撓性支持ブリッジ2517を、患者の鼻中隔に接触する要素とすることができ(例えば、中央ブリッジ2518に加えて、中央ブリッジ2518の少なくとも一部を横断する、1つの鼻孔から別の鼻孔を横断するなど)、これにより、患者に少なくとも増加した快適さを提供する。例示的な実施形態では、可撓性支持ブリッジ2517は、カニューレが装着されるときに中央ブリッジ部材2518の方に「曲がる」及び/又は「屈曲」することがある。可撓性支持ブリッジ2517の「曲がり」及び/又は「屈曲」は、患者の動き又はカニューレの動きに起因して鼻中隔にスムーズに一時的に力をかけることができる。「曲がり」及び/又は「屈曲」は、鼻中隔との接触表面積も増加させることができ、これは次に、鼻中隔上の任意の一点での力を減少させることができ、これにより、快適さを改善する(例えば、快適さは、鼻中隔上の点荷重の増加によって悪影響を及ぼされる場合があるため)。
【0162】
例示的な実施形態では、可撓性支持ブリッジ2517は、鼻孔部の挿入深さを、例えば前述のように約0.1インチ~約0.6インチ及び/又は約0.40インチの最適な及び/又は所望の挿入距離に制約することができる。単なる例として、この距離は、中央ブリッジ2518から延びる鼻孔部の長さよりも短くすることができる。
【0163】
例示的な実施形態では、鼻カニューレの鼻当ては、鼻カニューレ接続ピースが上唇に適正に当たるようにすることができるタブ2519を鼻孔部間に含むことができる(例えば、中央ブリッジ2518から延びる)。タブ2519は、例えば、鼻孔部が鼻の穴の方に内向きになるように鼻孔部を方向付けることによって患者の快適さの付加的な尺度を提供することができ、及び/又はより大きい表面積にわたって上唇上に力を分散させることができ、これにより、患者の快適さを改善する。
【0164】
図20及び
図27を参照すると、例示的な実施形態では、鼻カニューレは、以下でさらに詳しく説明されるキーイング部材2010を含むことができる。例示的な実施形態では、キーイング部材2010は、例えば、カニューレが装着者の頭部の周りに確実にフィットするようにすることによって患者の快適さを高めるべく鼻当ての近位のカニューレ区域の長さを調整するのに用いることができる、含めることができる、ボロ(bolo)とすることができ、及び/又はボロの一部とすることができる。
【0165】
例示的な実施形態では、鼻カニューレは、快適さを改善するために、例えば、カニューレチュービング上をスライドすることができる及び/又はカニューレチュービングが耳に巻きつけられる点でカニューレチュービングに組み込むことができる耳パッドをさらに含むことができ、及び/又は耳パッドは、それらがカニューレチュービング上をスライドすることができるように軸方向のスリットを有し得る発泡チューブ押出物とすることができる。
【0166】
この例示的な鼻カニューレは特定の構成要素を有するものとして説明される場合があるが、これらの構成要素のうちのいずれか及びすべては、随意的であってもよく、なくされてもよく、及び/又は組み合わせる及び/又はさらに分離することができる。さらに、鼻カニューレは、本明細書で別途説明される他の構成要素又は材料のいずれかを有してもよい。
【0167】
カニューレキーイング
NOの送達の前に鼻カニューレから空気及び他のガスを一掃するのに用いることができるパージ及び/又は洗い流し処置中に、NO含有ガスを鼻カニューレに流すことによって空気/ガスをパージすることができる。しかしながら、NOと空気中の酸素との反応に起因して、この洗い流し処置はNO2を生じることがある。したがって、パージ及び/又は洗い流し処置中は、例えば、NO2を患者に投与することができないように患者が鼻カニューレを装着していないことが重要なことがある。
【0168】
図20に戻って参照すると、本発明の1つ以上の実施形態は、鼻カニューレ上にキーイング要素2010を提供することができる。こうしたキーイング要素は、カニューレの鼻孔部の5~25インチ以内などの鼻カニューレの鼻孔部の近くに取り付けられてもよい。こうしたキーイング要素の1つ以上の例示的な実施形態は、
図20に示すように要素2010を参照すると見ることができる。キーイング要素は、患者によってカニューレが装着されるときに患者の胸及び/又は首に位置することができるボロとして提供することができる。
【0169】
図28を参照すると、キーイング要素2010は、キースロット又はキーホール2804を有するNOの送達装置2803に差し込まれる必要がある場合があり、及び/又はこれは洗い流し処置中に行われる必要がある場合がある。キーイング装置と鼻孔との近接性に起因して、鼻カニューレの鼻孔部は、キーイング要素がNOの送達装置に差し込まれるときに患者の鼻の孔の中にあることはない。
【0170】
キーホールを有するNOの送達装置及びキーイング要素を有する鼻カニューレの1つ以上の例示的な実装では、NOの送達装置は、以下の機能を行うことができる。
a.NOの送達装置は、患者にカニューレを除去する及びカニューレ上に含まれるキーイング要素をNOの送達装置のキーホールに挿入するように促すことができる。
b.キーホールは、キーホール内のキーの存在を検出することができる。キーの存在を検出するための例示的な方法は、電子検出(例えば、光ビーム検出器、作動されたスイッチ、IR検出、磁気検出など)又は機械的検出(例えば、マイクロスイッチ)を含むがこれらに限定されない。
c.NOの送達装置は、洗い流し処置を行う前にキーが確実にキーホールにあるようにすることができ、キーがキーホール内にない場合は操作を行わないようにプログラムすることができる。
d.NOの送達装置は、次いで、洗い流し処置を行い、ユーザに処置の完了を知らせることができる。
e.NOの送達装置は、NO療法を開始するためにユーザがキーホールからキーを除去することを可能にすることができる。
【0171】
例示的な実施形態では、キーイング要素及び/又はキースロットは、パージ及び/又は洗い流し処置中に患者が鼻カニューレを確実に装着していないようにするために用いることができる。例示的な実施形態では、キーイング要素及び/又はキースロットは、少なくともカニューレの信頼性、少なくともカニューレの有効期限を保証するために用いることができる。例えば、キーイング要素及び/又はキースロットは、カニューレの使用回数を制限する及び/又は患者がカニューレを再使用できないようにするために用いることができる。別の例として、患者がカニューレを確実に使用しないようにする必要がある場合に、キーイング要素及び/又はキースロットは、ユーザが欠陥のあるカニューレを用いることを防ぐのに用いることができる。
【0172】
上記の教示のいずれか(例えば、トランポリン、タブ、パラチューブ、接続ピース、酸素接続ピース、レジューサ、キーイング部材、キーイング、ボロ、カニューレ構造体、鼻当て構造体など)は、本明細書で説明される他の気体構成、カニューレ構成、及び/又は教示及び/又は実施形態のいずれかと組み合わせることができることが理解されるであろう。例えば、上記の教示(例えば、トランポリン、タブ、パラチューブ、接続ピース、酸素接続ピース、レジューサ、キーイング部材、キーイング、ボロ、カニューレ構造体、鼻当て構造体など)は、本明細書で説明されるモノルーメンカニューレ、デュアルルーメンカニューレ、トリルーメンカニューレ、クワッドルーメンカニューレ、及び/又は任意の他の教示及び/又は実施形態と共に用いることができる。
【0173】
実施例
図29~
図30を参照すると、パルス送達を伴う吸う呼吸の間の逆行性の流れの例が
図29に示され、吸う呼吸と吐く呼吸との両方の間の逆行性の流れの例が
図30に示される。
【0174】
図31、並びに
図32A、
図32B、及び
図32Cを参照すると、種々の鼻カニューレ構成に関する逆行性の流れがテストされている。両方の鼻孔部に送達する通常の鼻カニューレは、
図31のテスト1に示すように結果的に顕著な逆行性の流れを生じる。テスト1の鼻カニューレ構成は
図32Aに示される。テスト2に関して、逆行性の流れをなくすことを願って鼻孔部間の距離をおよそ19インチに増加させるために2つの鼻孔部間の相互接続部を閉塞させた。テスト2の鼻カニューレ構成は
図32Bに示される。
図31のテスト2に示すように、逆行性の流れの総体積を減少させることができたが、これはなくされなかった。
図32Cに示すように、鼻孔部間の7フィートの距離を有する経路のさらなる閉塞は、
図31のテスト3に示すように最小のさらなる効果を有した。驚いたことに、逆行性の流れを完全になくしたことをテストした唯一の方法は、各鼻孔部にNOを送達するために別個の回路を使用したとき(すなわち、デュアルチャネル送達システム)であったことが分かった。
【0175】
2013年7月19日に出願された米国特許仮出願第61/856,367号のAppendix 1としての「Exploratory Evaluation of Nitrogen Dioxide Formation in Candidate Nitric Oxide Delivery Lumena」と題する付属書類は、種々の材料で作製されたトリルーメンカニューレのiNO送達ルーメン内に存在することが予想されるNO2の濃度を試験したものであった。2013年7月19日に出願された米国特許仮出願第61/856,367号に付属するAppendix 1は、本発明と矛盾しない程度にその全体が引用により本明細書に組み込まれる。実験技術は、CAPs NO2ベンチを用いて流出NO2成分の近位読取値(チューブなしの回路に基づく)及び遠位読取値をとることができるように並列に配列される複数のチューブ(3つの材料タイプの)を通る2440ppmの一酸化窒素(平衡窒素)ガスの流れを含むものであった。データの信号対ノイズ比を改善するために(すなわちNO2信号強度を増幅するために)並列チューブを使用し、個々のチューブのNO2変化の最終的な数学上の計算を得た。並列チュービングバンクを通る一酸化窒素の流れは、7.57分/チューブの滞留時間に等しく設定した(例えば、長さ84インチ及び内径0.076インチのiNO送達チューブでドーズが0.003mg/kg
*hrに設定される50kgの患者に基づく)。テストされる3つの材料タイプに関する「チューブ毎の」期待されるNO2上昇が以下に示される。
【表1】
【0176】
治療方法
本明細書での本発明は、逆行性の流れを低減し、正確なドーズ送達を保証し、及び/又はNO2生成を最小にし、送達装置と併せて用いることができ、COPDの二次性の肺高血圧症及び/又はPAHとしての肺高血圧症及び/又はIPFの二次性の肺高血圧症及び/又はサルコイドーシスの二次性の肺高血圧症の治療及び又は予防のために用いることができる。
【0177】
安全かつ効果的な使用のために、開示されるカニューレは、開示される送達装置など、及び/又は一酸化窒素と共に用いられてもよい。開示されるカニューレ以外のカニューレを開示される送達装置など及び/又は一酸化窒素と共に用いることは、安全性リスクを高める及び/又は効果的な使用を低減する及び/又はなくす場合があることが当業者には分かるであろう。したがって、本発明のカニューレは、PAH、IPF、及び/又はCOPDのために一酸化窒素を送達するのに必要な場合がある。
【0178】
本明細書で説明される鼻カニューレのいずれかは、一酸化窒素療法でしかるべき病気を治療するのに用いることができる。例えば、カニューレは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は肺動脈性肺高血圧症(PAH)を治療するためにパルスNO療法用とすることができる。これらの病気に関して、適切なドーズ量の送達及び適切なドーズタイミングが非常に重要な場合がある。COPDに関して、NOは、吸息の上期などの吸息の早期にパルスされる必要がある場合がある。NOが、例えば、正しい量で又は正しい時間に送達されない場合、低酸素性血管収縮の逆戻りが起こることがあり、これは患者の状態を悪くすることもある。さらに、治療の突然の中止はリバウンド高血圧症などの深刻な事態につながることがあるので、ドーズ量はPAHにとって非常に重要なことがある。したがって、これらの病気に関するNOドーズの著しい希釈は最小にされるべきである。本明細書で説明されるカニューレ材料、構成、又は方法のいずれかは、NO療法中のNOドーズの希釈を最小にするのに用いることができる。
【0179】
例示的な実施形態では、カニューレのルーメン(例えば、チューブ)は、カニューレ鼻当てと装置との間に実質的に単一要素のアンビリカルをもたらすように患者の方に逆送りすることができる及び/又は互いに取り付けることができ、これは断面を提供することができる。複数のルーメン(例えば、2つのルーメン、3つのルーメン、4つのルーメンなど)を説明するときに、ルーメンのすべてを単一のカニューレに含めることができることが理解されるであろう。
【0180】
例示的な実施形態では、カニューレの要素は、本明細書で開示される技術のいずれかを用いて及び/又は当該技術分野では公知の技術を用いて製造することができる。例えば、本明細書で説明されるカニューレのカニューレルーメン(例えば、チューブ)、鼻当て、キー部材、コネクタ、レジューサ、これらの任意の組み合わせ及び/又はさらなる分離、及び/又は任意の要素は、押出し技術、モールディング技術を用いて、及び/又は任意の他の製造技術を用いて製造することができる。
【0181】
各ルーメン、鼻カニューレ、及び/又は集合的に鼻カニューレルーメンの断面は、ドーズ希釈を最小にするために、限定はされないが、円形、放物線形、長円形、四角形、長方形、三角形、及び/又は任意の他の断面及び/又は任意の他の規則的な又は不規則な形状などの任意の形状とすることができることが理解されるであろう。簡単にするために、時には、幾何学的形状及び/又は断面は、円形、放物線形、及び/又は長円形として説明され、及び/又は断面は、直径、内径などとして説明される。これは単に簡単にするためであって、決して限定となることを意図していない。1つ以上の断面積が円形ではないとき、内径の比は、2つのルーメン区域の表面積の比の平方根とすることができる。
【0182】
上記のいずれかは、治療ガス(例えば、NO)のパルスされる及び/又はパルスされない送達のために用いることができることが理解されるであろう。例えば、治療ガスのパルスされる送達を言及する上記の実施形態のいずれかは、適用可能なときに、治療ガスのパルスされない送達と共に用いることができ、逆もまた同様である。簡単にするために、時には、パルスされる又はパルスされないことへの言及がなされる場合がある。これは単に簡単にするためであって、決して限定となることを意図していない。
【0183】
本明細書の全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、「例示的な実施形態」、「例示的ないくつかの実施形態」、及び/又は「実施形態」への言及は、実施形態と組み合わせて説明された特定の特徴、構造、材料、又は特色が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通した種々の場所での「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、「例示的な実施形態」、「例示的ないくつかの実施形態」、及び/又は「実施形態では」などの文言の出現は、必ずしも本発明の同じ実施形態を言及しない。さらに、特定の特色、構造、材料、又は特徴は、任意の適切な方法で1つ以上の実施形態に組み合わせることができる。
【0184】
説明されるステップのいずれかは、本発明の範囲から逸脱せずに再配列する、分離する、及び/又は組み合わせることができることが理解されるであろう。簡単にするために、ステップは、時には順次に提示される。これは単に簡単にするためであって、決して限定となることを意図していない。
【0185】
さらに、説明される本発明の要素及び/又は実施形態のいずれかは、本発明の範囲から逸脱せずに再配列する、分離する、及び/又は組み合わせることができることが理解されるであろう。簡単にするために、種々の要素が時には別々に説明される。これは単に簡単にするためであって、決して限定となることを意図していない。
【0186】
本明細書での開示は特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は本発明の原理及び用途の単なる例示であることが理解される。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の方法及び装置に種々の修正及び変形をなすことができることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、付属の請求項及びそれらの均等物の範囲内の修正及び変形を含むことが意図される。