(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】持ち上げられた槽を有する極低温液体送り出しシステム
(51)【国際特許分類】
F17C 9/00 20060101AFI20230215BHJP
B65D 88/06 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
F17C9/00 A
B65D88/06 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019206021
(22)【出願日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-20
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519209819
【氏名又は名称】チャート・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ランスキー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・クビツァ
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-508727(JP,A)
【文献】特開2017-089604(JP,A)
【文献】特開平07-174296(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0202609(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 9/00
B65D 88/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 極低温液体を保持する領域を規定するタンクと、
b. 前記タンクの底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体を保持するように構成されている領域を規定し、前記タンクと液体連通している槽と、
c. ポンプと、
d. 前記タンクの前記底部および前記ポンプと液体連通している液体内の第1の供給ラインと、
e. 前記タンクの前記底部と前記ポンプの間で前記第1の供給ライン内に位置する第1の供給弁と、
f. 前記ポンプおよび前記槽と液体連通しているリサイクルラインと、
g. 前記ポンプと前記槽との間で前記リサイクルライン内に位置するリサイクル弁と、
h. 前記ポンプと前記リサイクル弁との間の位置で前記リサイクルラインと液体連通している分配ラインと、
i. 前記分配ライン内の分配弁と、
j. 前記槽の底部および前記ポンプと液体連通している第2の供給ラインと、
k. 前記槽の前記底部と前記ポンプとの間で前記第2の供給ライン内に位置する第2の供給弁と
を備える極低温液体送り出しシステム。
【請求項2】
前記タンクは、水平タンクである、請求項1に記載の極低温液体送り出しシステム。
【請求項3】
前記第2の供給ラインは、前記ポンプと前記第1の供給弁との間の位置で前記第1の供給ラインと液体連通している、請求項1に記載の極低温液体送り出しシステム。
【請求項4】
前記槽は、前記タンクの外側に位置する、請求項1に記載の極低温液体送り出しシステム。
【請求項5】
前記槽は、前記タンクの内側に位置する、請求項1に記載の極低温液体送り出しシステム。
【請求項6】
前記槽は、前記タンクの上部に接続されている、請求項5に記載の極低温液体送り出しシステム。
【請求項7】
前記槽は、前記タンクの側壁に接続されている、請求項5に記載の極低温液体送り出しシステム。
【請求項8】
前記槽は、前記タンクの前記底部に接続されている、請求項5に記載の極低温液体送り出しシステム。
【請求項9】
極低温液体を送り出す方法であって、
a. ポンプおよび極低温液体を保持する領域を規定するタンクと液体連通している第1の供給ライン内の第1の供給弁を開くステップと、
b. 前記槽が前記タンクの底部よりも上に持ち上げられた高さに位置し、前記タンクと液体連通している状態で、前記ポンプおよび極低温液体を保持するように構成された領域を規定する槽と液体連通しているリサイクルライン内のリサイクル弁を開くステップと、
c. 極低温液体を前記タンクの前記底から前記第1の供給ラインおよび前記リサイクルラインを通じて前記槽へポンプで送るステップと、
d. 前記タンクの前記底部内の極低温液体の前記液位が極低温液体を送り出すための前記ポンプの確実な動作を可能にするのに十分である状態で、前記リサイクル弁を閉じるとともに、前記ポンプと前記リサイクル弁との間の位置で前記リサイクルラインと液体連通している分配ライン内の分配弁を開くステップと、
e. 極低温液体を前記タンクの前記底部から前記第1の供給ラインおよび第1の供給弁、前記ポンプ、ならびに前記分配ラインおよび分配弁を通じてポンプで送るステップと、
f. 前記タンクの前記底部内の極低温液体の前記液位が、送り出すための前記ポンプの確実な動作に必要な前記液位を下回ったときに、前記第1の供給弁を閉じるとともに、前記槽の底部および前記ポンプと液体連通している第2の供給ライン内に位置する第2の供給弁を開くステップと、
g. 極低温液体を前記槽の前記底から、かつ前記第2の供給ラインおよび第2の供給弁、前記ポンプ、ならびに前記分配ラインおよび分配弁を通じてポンプで送るステップと
を含む方法。
【請求項10】
h. 送り出しが完了したときに、前記分配弁および前記第2の供給弁を閉じるステップと、
i. 前記第1の供給弁および前記リサイクル弁を開くステップと、
j. 前記ポンプを低速へ切り替え、液体を前記タンクの前記底部から前記槽へポンプで送るリサイクルモードで動作させるステップと、
k. 前記第1の供給弁および前記リサイクル弁を開き、前記第2の供給弁を閉じるステップと、
I. 極低温液体を前記槽の前記底から、かつ前記第2の供給ラインおよび第2の供給弁、前記ポンプ、ならびに前記分配ラインおよび前記分配弁を通じてポンプで送るステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
a. 極低温液体を保持する領域を規定するタンクと、
b. 前記タンクの底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体を保持するように構成されている領域を規定し、前記タンクと液体連通している槽と、
c. 第1のポンプと、
d. 前記タンクの前記底部および前記第1のポンプと液体連通している第1の供給ラインと、
e. 前記タンクの前記底部と前記第1のポンプとの間で前記第1の供給ライン内に位置する第1の供給弁と、
f. 前記第1のポンプおよび前記タンクの上部と液体連通しているリサイクルラインと、
g. 前記第1のポンプと前記タンクの前記上部との間で前記リサイクルライン内に位置するリサイクル弁と、
h. 前記第1のポンプと前記リサイクル弁との間の位置で前記リサイクルラインと液体連通している分配ラインと、
i. 前記分配ライン内の分配弁と、
j. 前記槽の底部および前記第1のポンプと液体連通している第2の供給ラインと、
k. 前記槽の前記底部と前記第1のポンプとの間で前記第2の供給ライン内に位置する第2の供給弁と、
I. 前記第1のポンプよりも比較的小さい第2のポンプと、
m. 前記タンクの前記底部および前記第2のポンプと液体連通している第1の再循環ラインと、
n. 前記タンクの前記底部と前記第2のポンプとの間で前記第1の再循環ライン内に位置する第1の再循環弁と、
o. 前記第2のポンプおよび前記槽と液体連通している第2の再循環ラインと
を備える、極低温液体送り出しシステム。
【請求項12】
前記第2のポンプおよび前記槽と液体連通している前記第2の再循環ライン内に位置する第2の再循環弁をさらに備える、請求項11に記載の極低温液体送り出しシステム。
【請求項13】
a. 極低温液体を保持する領域を規定するタンクと、
b. 前記タンクの底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体を保持するように構成されている領域を規定し、前記タンクと液体連通している槽と、
c. 第1のポンプと、
d. 前記タンクの前記底部および前記第1のポンプと液体連通している第1の供給ラインと、
e. 前記タンクの前記底部と前記第1のポンプとの間で前記第1の供給ライン内に位置する第1の供給弁と、
f. 前記第1のポンプよりも比較的小さい第2のポンプと、
g. 前記タンクの前記底部および前記槽と液体連通しているリサイクルラインと、
h. 前記タンクの前記底部と前記槽との間で前記リサイクルライン内に位置する前記第2のポンプと、
i. 前記タンクの前記底部と前記第2のポンプとの間で前記リサイクルライン内に位置するリサイクル弁と、
j. 前記槽の底部および前記第1のポンプと液体連通している第2の供給ラインと、
k. 前記槽の前記底部と前記第1のポンプとの間で前記第2の供給ライン内に位置する第2の供給弁と、
I. 前記第1のポンプと液体連通している分配ラインと、
m. 前記分配ライン内の分配弁と
を備える極低温液体送り出しシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
[0001]本出願は、2018年12月7日に出願した米国仮出願第62/776,688号、および2019年1月11日に出願した米国仮出願第62/791,285号の利益を主要するものであり、両者の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
[0002]本開示は、一般に、極低温液体送り出しシステムに関し、より詳細には、タンク内のより多くの液体が送り出されることを可能にするタンクおよび持ち上げられた槽を有する極低温液体送り出しシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]極低温流体、すなわち、大気圧で概して150℃未満の沸点を有する流体は、自動車用途および産業用途などの様々な用途に使用されている。典型的には、極低温流体は、体積を減少させ、したがってより実際的かつ経済的な設計のコンテナが使用されることを可能にするために液体として貯蔵される。しばしば、液体は、周囲環境から極低温液体の中への熱伝達を減少させるために、内側容器壁と外側容器壁の間が断熱として真空状態の二重壁のバルクタンクまたはバルクコンテナ内に貯蔵される。
【0004】
[0004]典型的には、液化天然ガス(LNG)などの極低温液体の送り出しは、例えば、LNG燃料自動車が、燃料補給するためにLNG燃料ステーションにやって来たときに、断続的に必要とされる。送り出し中、極低温液体が、タンクからポンプの使用によって取り出され得る。通常、このポンプは、ポンプの十分な冷却を確実にするために別個の容器内で極低温液体中に浸漬される。ポンプは、燃料注入、始動、および稼働するためにある液体圧力ヘッドまたは液体ヘッドを必要とする。通常、この液体ヘッドは、必要正味吸込みヘッド(NPSH:Net Positive Suction Head)と呼ばれ、それは、ポンプの設計パラメータである。
【0005】
[0005]極低温液体送り出しシステム10の先行技術の構成の一例は、LNG燃料補給所として
図1に概略的に示されている。極低温液体送り出しシステム10は、ある供給量の極低温液体14を収容する水平タンク12(その垂直断面積よりも大きい水平断面積を有するタンク)を備え、この極低温液体14の上方には蒸気ヘッドスペース16がある。供給導管またはライン18は、タンク12の底に第1の端部18aで接続されているとともに、容器22中に浸漬されているポンプ20に第2の端部18bで接続されている。供給弁24は、タンク12の底における供給ライン18の第1の端部18aとポンプ20における供給ライン18の第2の端部18bとの間で供給ライン18内に設置されている。リサイクル導管またはライン26は、ポンプ20に第1の端部26aで接続されているとともに、タンク12の上に第2の端部26bで接続されている。リサイクル弁28は、ポンプ20におけるライン26の第1の端部26aとタンク12の上における第2の端部26bとの間でリサイクルライン26内に設置されている。送り出し導管またはライン30は、極低温液体14を送り出すために使用されるとともに、ポンプ20における第1の端部26aとリサイクル弁28との間でリサイクルライン26に接続されている。分配弁32は、送り出された極低温液体14の流れを制御するために分配ライン30に設置されている。
【0006】
[0006]極低温液体14の送り出しが要求されないとき、ポンプ20は、動作しておらず、供給弁24が閉位置にあって冷却状態に維持される。極低温液体14の送り出しが要求されるとき、ポンプ20は、リサイクルモードで始動され、供給弁24およびリサイクル弁28は開位置にあり、一方、分配弁32はい閉じられている。動作パラメータが安定しているときにのみ、分配弁32が開き、リサイクル弁28が閉じる。次いで、必要量の極低温液体14が、分配ライン30および分配弁32を介して送達される。必要量の極低温液体14が送り出された後、ポンプ20は停止させられ、分配弁32は閉じられ、送り出しシステム10は 次の送り出しイベントを待機する。
【0007】
[0007]しかしながら、タンク12およびポンプ20に接続された供給ライン18中を流れる極低温液体は、圧力損失につながる、例えば、供給ライン中の摩擦、および方向および断面の変化を含む流れの障害に打ち勝たなければならない。この圧力損失は、流量の平方に比例し、ポンプのNPSHの要件を満たすのに必要な液体コラムヘッドに影響を与える。液体ヘッドは、ポンプ20の上方のタンク12内の極低温液体14の相対高さXに依存する。
【0008】
[0008]したがって、ポンプが確実に動作するために、タンク内の極低温液体14の液位がポンプ14の吸引点の上方となる高さの相対的な差Xによって確立された利用可能な液体ヘッドは、ポンプのNPSHおよび圧力損失の合計よりも大きいかまたはそれと少なくとも等しくなければならない。タンク12内の極低温液体14の液位がポンプ20によって必要とされる液体ヘッドを提供するのに必要な高さよりも低いとき、ポンプ20は、液体を駆動して送り出すことができず、タンク12内の極低温液体14の一部は、利用することができない。タンク12全体をポンプ20の十分上方に設けることによって、液体ヘッドを増大させることができるが、これは、 送り出しシステムの物理的寸法の増大により、望ましくない。したがって、極低温液体送り出しシステムは、一般に、タンク内の極低温液体の望ましい利用を満たさないことに悩まされており、液体ヘッド、またはタンク内の残りの極低温液体が、所望のものよりも大きい体積であるとき、タンクを補充することが必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009]本明細書中に開示された例示実施形態は、先行技術の送り出しシステムの欠点を克服する有利な極低温液体送り出しシステムを提供する。開示された極低温液体送り出しシステムは、タンクからより多くの極低温液体を送り出すことに関して、タンクの底から極低温流体をポンプで送るときにさもなければ可能であるものよりも大きい利用を提供することができる。システムは、タンクの底よりも上方の高さに位置するとともにタンク内の極低温液体の液位によって与えられる液体ヘッドがポンプの確実な動作に不十分であるときに利用される持ち上げられた槽を備える。そのような状況では、タンク内の極低温液体は、より大きい液体ヘッドを確立するために持ち上げられた槽へポンプで送られ、次いで、この極低温液体は、槽からポンプで送られ、それによってタンク内の極低温液体の利用を増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]一態様では、極低温液体を保持する領域を規定するタンクと、タンクの底部の上方の高さで極低温液体を保持するように構成されている領域を規定するとともにタンクと液体連通している槽と、ポンプとを備える極低温液体送り出しシステムが開示されている。上記システムは、タンクの底部およびポンプと液体連通している第1の供給ラインと、タンクの底部とポンプの間で第1の供給ライン内に位置する第1の供給弁と、ポンプおよび槽と液体連通しているリサイクルラインと、ポンプと槽との間でリサイクルライン内に位置するリサイクル弁と、ポンプとリサイクル弁との間の位置で第2のラインと液体連通している分配ラインと、分配ライン内の分配弁と、槽の底部およびポンプと液体連通している第2の供給ラインと、槽の底部とポンプとの間で第2の供給ライン内に位置する第2の供給弁とをさらに含む。
【0011】
[0011]一態様では、ポンプおよび極低温液体を保持する領域を規定するタンクと液体連通している第1の供給ライン内の第1の供給弁を開くステップと、槽がタンクの底部よりも上に持ち上げられた高さに位置し、タンクと液体連通している状態で、ポンプおよび極低温液体を保持するように構成された領域を規定する槽と液体連通しているリサイクルライン内のリサイクル弁を開くステップと、極低温液体をタンクの底から第1の供給ラインおよびリサイクルラインを通じて槽へポンプで送るステップとを含む極低温液体を送り出す方法が開示されている。上記方法は、タンク内の極低温液体の液位が、極低温液体を送り出すためのポンプの確実な動作を可能にするのに十分である状態で、リサイクル弁を閉じるとともに、ポンプとリサイクル弁との間の位置でリサイクルラインと液体連通している分配ライン内の分配弁を開くステップと、極低温液体をタンクの底から第1の供給ラインおよび第1の供給弁、ポンプ、ならびに分配ラインおよび分配弁を通じてポンプで送るステップとをさらに含む。上記方法は、タンク内の極低温液体の液位が、送り出すためのポンプの確実な動作に必要な液位を下回ったときに、第1の供給弁を閉じるとともに、槽の底部およびポンプと液体連通している第2の供給ライン内に位置する第2の供給弁を開くステップと、極低温液体を槽の底から、かつ第2の供給ラインおよび第2の供給弁、ポンプ、ならびに分配ラインおよび分配弁を通じてポンプで送るステップとをさらに含む。
【0012】
[0012]さらなる態様では、極低温液体を保持する領域を規定するタンクと、タンクの底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体を保持するように構成されている領域を規定し、タンクと液体連通している槽と、第1のポンプとを備える極低温液体送り出しシステムが開示されている。上記システムは、タンクの底部および第1のポンプと液体連通している第1の供給ラインと、タンクの底部と第1のポンプとの間で第1の供給ライン内に位置する第1の供給弁と、第1のポンプおよびタンクの上部と液体連通しているリサイクルラインと、第1のポンプとタンクの上部との間でリサイクルライン内に位置するリサイクル弁と、第1のポンプとリサイクル弁との間の位置でリサイクルラインと液体連通している分配ラインと、分配ライン内の分配弁とをさらに備える。また、システムは、槽の底部および第1のポンプと液体連通している第2の供給ラインと、槽の底部と第1のポンプとの間で第2の供給ライン内に位置する第2の供給弁と、第1のポンプよりも比較的小さい第2のポンプと、タンクの底部および第2のポンプと液体連通している第1の再循環ラインと、タンクの底部と第2のポンプとの間で第1の再循環ライン内に位置する第1の再循環弁と、第2のポンプおよび槽と液体連通している第2の再循環ラインとを備える。
【0013】
[0013]さらに別の態様では、極低温液体を保持する領域を規定するタンクと、タンクの底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体を保持するように構成されている領域を規定し、タンクと液体連通している槽と、第1のポンプとを備える極低温液体送り出しシステムが開示されている。上記システムは、タンクの底部および第1のポンプと液体連通している第1の供給ラインと、タンクの底部と第1のポンプとの間で第1の供給ライン内に位置する第1の供給弁と、第1のポンプよりも比較的小さい第2のポンプと、タンクの底部および槽と液体連通しているリサイクルラインと、タンクの底部と槽との間でリサイクルライン内に位置する第2のポンプとをさらに備える。また、システムは、タンクの底部と第2のポンプとの間でリサイクルライン内に位置するリサイクル弁と、槽の底部および第1のポンプと液体連通している第2の供給ラインと、槽の底部と第1のポンプとの間で第2の供給ライン内に位置する第2の供給弁と、第1のポンプと液体連通している分配ラインと、分配ライン内の分配弁とを備える。
【0014】
[0014]前述の一般的な説明と後述の詳細な説明の両方は、例示であり、説明のために与えられるものに過ぎず、権利主張された主題事項の限定ではないことを理解されたい。本開示のさらなる特徴および目的は、好適な実施形態の以下の説明においておよび添付の特許請求の範囲からより十分に明らかになるであろう。
【0015】
[0015]好適な例示実施形態を説明する際に、添付図面の各図の参照がなされ、同じ部分は同様に参照番号を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】[0016]先行技術の極低温液体送り出しシステムの概略図である。
【
図2】[0017]本発明による極低温液体送り出しシステムの第1の例示実施形態の概略図である。
【
図3】[0018]
図2に示された極低温液体送り出しシステムの第1の例示実施形態の第1の代替部分の概略図である。
【
図4】[0019]
図2に示された極低温液体送り出しシステムの第1の例示実施形態の第2の代替部分の概略図である。
【
図5】[0020]
図2に示された極低温液体送り出しシステムの第1の例示実施形態の第3の代替部分の概略図である。
【
図6】[0021]
図2に示された極低温液体送り出しシステムの第1の例示実施形態の第4の代替部分の概略図である。
【
図7】[0022]
図2に示された極低温液体送り出しシステムの第1の例示実施形態の第5の代替部分の概略図である。
【
図8】[0023]
図2に示された極低温液体送り出しシステムの第1の例示実施形態の第6の代替部分の概略図である。
【
図9】[0024]タンク内の液体を再循環させることができる通常のシステムのポンプとタンクの上部内の槽へ液体を再循環させることができる別個の比較的小さいポンプとを有する本発明による極低温液体送り出しシステムの第2の実施形態の概略図である。
【
図10】[0025]タンクから液体を送り出すのに使用される通常のシステムのポンプとタンクの上部内の槽へ液体を再循環させるのに使用される別個の比較的小さいポンプとを有する本発明による極低温液体送り出しシステムの第3の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0026]図面は原寸に比例していないことを理解されたい。例示の送り出しシステムおよび代替構成の一部の機械的な説明が含まれていないが、そのような詳細は、本開示の観点から当業者の理解の範囲内に十分あるとみなされる。本発明は、図示の例示実施形態に限定されないことも理解されたい。
【0018】
[0027]本発明により構成された極低温液体送り出しシステム110の第1の例示実施形態は、LNG燃料補給所として概略的に示されている
図2に示されている。極低温液体送り出しシステム110は、極低温液体114を保持する領域を規定するタンク112を備え、蒸気ヘッドスペース116は、極低温液体114の上方にある。第1の供給導管またはライン118は、タンク112の底部と第1の端部118aで液体連通しているとともに、別個の容器またはサンプ122中に浸漬されているポンプ120と第2の端部118bで液体連通している。タンク112からの液体は、サンプ122へ流れ、それによってポンプ120の入口と液体連通するようになっているとともに、ポンプ120を液体中に浸漬させるようになっており、ポンプ120の十分な冷却を維持するようになっている。第1の供給弁124は、タンク112の底部における第1の供給ライン118の第1の端部118aとポンプ120における第1の供給ライン118の第2の端部118bとの間で第1の供給ライン118内に位置する。液体ヘッドは、タンク112内の極低温液体114の液位がポンプ120の吸引点の上方となる高さの相対的な差Xによって確立されると理解されよう。また、ポンプ120が確実に動作するために、液体ヘッドは、ポンプのNPSHとポンプ入口へ流れる液体によって受ける圧力損失との合計よりも大きいかまたはそれと少なくとも等しくなければならない。
【0019】
[0028]リサイクル導管またはライン126は、ポンプ120と第1の端部126aで液体連通しているとともに、タンク112の底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体135を保持するように構成された領域を規定する槽134と第2の端部126bで液体連通しており、この槽134は、タンク112と液体連通している。槽134は、タンク112の上部においてタンク112内で吊り下げられ、上向きに広がる開口部を有する。リサイクル弁128は、ポンプ120におけるリサイクルライン126の第1の端部126aと槽134における第2の端部126bとの間でリサイクルライン126内に位置する。
【0020】
[0029]送り出し導管またはライン130は、ポンプ120における第1の端部126aとリサイクル弁128との間の位置でリサイクルライン126と液体連通している。分配弁132は、送り出された極低温液体114の流れを制御するために分配ライン130内に位置する。
【0021】
[0030]第2の供給導管またはライン136は、槽134の底部と第1の端部136aで液体連通しているとともに、ポンプ120と第2の端部118bで液体連通している。第2の供給弁138は、槽134の底部における第1の端部136aとポンプ120における第2の端部136bとの間で第2の供給ライン136内に位置する。極低温液体を槽134から第2の供給ライン136を通じて引き出すときに、槽134内の極低温液体135の液位がポンプ120の吸引点の上方となる高さの相対的な差X’によって確立された液体ヘッドは、極低温液体がタンク112内で低い液位にあるときにさもなければ確立される液体ヘッドより大きくなると理解されよう。適宜、第1およびの第2の供給弁124および138は、三方弁と置き換えられてもよいということも理解されよう。
【0022】
[0031]極低温液体114の送り出しが要求されないとき、ポンプ120は、動作しておらず、第1の供給弁124が開位置にあってサンプ122内の液体によって冷却状態に維持される。
【0023】
[0032]極低温液体114の送り出しが要求されるとき、ポンプ120は、第1の供給弁124およびリサイクル弁128が開位置にあり、分配弁が132が閉位置にある状態で、リサイクルモードで始動され、極低温液体114をタンク112の底部から槽134へポンプで送ることが可能になっている。ポンプ120によって循環させられる極低温液体は、槽134内に一杯になるまで集められる。さらにポンプで送られる液体が槽に入るとき、溢れる液体は、槽の下方に位置するタンク11l2の内部へ向けられる。
【0024】
[0033]システムの動作パラメータが安定しているとき、タンク112の底部内の極低温液体の液位が、ポンプ120の確実な動作を支持するように液体ヘッドを与えるのに十分である場合、リサイクル弁128は閉じられ、分配弁132は開かれる。
図2に示されるように、分配弁132は、分配ライン130内に配置され、この分配ライン130は、ポンプ120とリサイクル弁128との間の位置でリサイクルライン126と液体連通している。次いで、タンク112の底部内の極低温液体の液位が、ポンプ120の確実な動作を支持する液体ヘッドを与えるのに十分である限り、必要量の極低温液体114が、分配ライン130および分配弁132を介して送達される。必要量の極低温液体114が送り出された後、ポンプ120は停止させられ、分配弁132は閉じられ、送り出しシステム110は次の送り出しイベントを待機する。
【0025】
[0034]しかしながら、タンク112内の極低温液体114の液位が、送り出すためのポンプ120の確実な動作に必要な液位を下回るとき、第1の供給ライン118内の第1の供給弁124は閉じられ、槽134の底部およびポンプ120と液体連通している第2の供給ライン136内の第2の供給弁138が開かれる。ここで、液体ヘッドは、槽134内の極低温液体135の液位がポンプ120の吸引点の上方となるかつポンプ120が確実に動作する高さの相対的な差X’に基づいており、液体ヘッドは、ポンプNPSHと圧力損失の合計よりも大きいかまたはそれと少なくとも等しくなければならない。次いで、極低温液体は、槽134の底部から、かつ第2の供給ライン136および第2の供給弁138、ポンプ120、ならびに分配ライン130および分配弁132を通じてポンプで送られる。
【0026】
[0035]送り出しが完了すると、分配弁132および第2の供給弁138は閉じられる。第1の供給弁124およびリサイクル弁128は開かれる。ポンプ120は、リサイクルモードで動作するために低速へ切り替えられる。この低速は、低い流量、例えば、送り出し流量の約3分の1となることを意味する。低いポンプ速度および低い流量により、吸引ラインまたは第2の供給ライン136の圧力損失は、相当低くなる。送り出し速度における圧力損失が1mbであった場合、低速で、それは、1/3^2=0.11mbである。結果として、低速のポンプの動作において、タンク112内のより低い液体液位は、ポンプのNPSH要件を満たすのに十分である。槽134が一杯であるとき、ポンプ120は停止させられ、送り出しシステムは、次の燃料補給要求を待ち、これは、槽134からの液体を用いて実行される。これは、送り出しシステムの物理的寸法を増大させる必要なく、タンク内の極低温液体の利用をかなり大きくすることを可能にする。
【0027】
[0036]したがって、本明細書中の極低温液体送り出しシステム110を用いた極低温液体を送り出す方法が開示されており、ポンプ120と極低温液体114を保持する領域を規定するタンク112とに液体連通している第1の供給ライン118内の第1の供給弁124を開くステップと、ポンプ120と極低温液体を保持するように構成された領域を規定する槽134とに液体連通しているリサイクルライン126内のリサイクル弁128を開くステップであって、上記槽134は、タンク112の底部よりも上に持ち上げられた高さにあり、タンク112と液体連通している、開くステップと、極低温液体をタンク112の底から第1の供給ライン118およびリサイクルライン126を通じて槽134へポンプで送るステップであって、溢れている液体は、下方でタンク112の内部空間へ移動する、ポンプで送るステップとを含むものとして説明され得る。
【0028】
[0037]方法は、システムの動作パラメータが安定しており、タンク112内の極低温液体の液位が極低温液体を送り出すためのポンプ120の確実な動作を可能にするのに十分であるとき、リサイクル弁128を閉じ、ポンプ120とリサイクル弁128との間の位置でリサイクルライン126と液体連通している分配ライン130内の分配弁132を開くステップと、極低温液体をタンク112の底から第1の供給ライン118および第1の供給弁124、ポンプ120、ならびに分配ライン130および分配弁132を通じてポンプで送るステップとをさらに含む。
【0029】
[0038]上記方法は、タンク112内の極低温液体の液位が、送り出すためのポンプ120の確実な動作に必要とされる液位を下回るとき、第1の供給弁124を閉じ、槽134の底部およびポンプ120と液体連通している第2の供給ライン136内に位置する第2の供給弁138を開くステップと、極低温液体を槽134の底から第2の供給ライン136および第2の供給弁138、ポンプ120、ならびに分配ライン130および分配弁132を通じてポンプで送るステップとをさらに含む。この方法は、槽134からの送り出しが完了したときに、分配弁132および第2の供給弁138を閉じるステップと、第1の供給弁124およびリサイクル弁128を開くステップと、ポンプ120を低速へ切り替え、液体をタンク112の底部から槽へポンプで送るリサイクルモードで動作させるステップとをさらに含む。槽が一杯であるとき、ポンプは停止させられ得る。
【0030】
[0039]
図3~
図8は、
図2に示された第1の例示実施形態のいくつかの代替部分を与え、これらは、同様原理によって動作するが、
図2に示された例とは異なって構成された部分を含む。
図2に示された例に対して、
図3~
図8に示された例は、同じポンプ、リサイクルラインおよびリサイクル弁、同じ分配ラインおよび分配弁を用いて動作することが意図されている。
図3~
図8に示された例は、タンク、槽および第2の供給ラインの構成に対して異なり、各々は、第2の供給ラインおよび第2の供給弁をさらに含んでいる一方、第1の供給ラインおよび第1の供給弁は、
図2に示された第1の例と実質的に同じである。
【0031】
[0040]
図3では、タンク212は、極低温液体214を保持する領域を規定するとともに、タンク212の底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体235を保持するように構成された領域を規定する槽234を含む。槽234は、タンク212の側壁から吊り下げられ、槽234の上部に開口を備え、槽234は、タンク212の底部よりも高い液位で極低温液体を保持する潜在性を有する。第1の供給ライン218および第1の供給弁224は、タンク212の底部と液体連通している一方、第2の供給ライン236および第2の供給弁238は、槽234の底部と液体連通しており、リサイクルライン226は、ポンプで送られた流体をタンク212の上部および槽234内の上向き開口を通じて槽234へ向ける。第1の例示実施形態にあるように、適宜、第1および第2の供給弁224および238は、三方弁と置き換えられてもよいということも理解されよう。これらの代替の構成要素を組み込む極低温液体送り出しシステムは、極低温液体送り出しシステム110について上で開示された同じ方法によってならびに同じポンプ送りおよび送り出し構成要素を用いて動作させられる。
【0032】
[0041]
図4では、タンク312は、極低温液体314を保持する領域を規定するとともに、タンク312の底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体335を保持するように構成された領域を規定する槽334を含む。槽334は、タンク312の上壁から吊り下げられ、槽334の上部に開口を備え、槽334は、タンク312の底部よりも高い液位で極低温液体を保持する潜在性を有する。第1の供給ライン318および第1の供給弁324は、タンク312の底部と液体連通している一方、第2の供給ライン336および第2の供給弁338は、槽334の底部と液体連通しており、リサイクルライン326は、ポンプで送られた流体をタンク312の上部および槽334内の上向き開口を通じて槽334へ向ける。第1の例示実施形態にあるように、適宜、第1および第2の供給弁324および338は、三方弁と置き換えられてもよいということも理解されよう。これらの代替の構成要素を組み込む極低温液体送り出しシステムは、極低温液体送り出しシステム110について上で開示された同じ方法によって動作させられる。
【0033】
[0042]
図5では、タンク412は、極低温液体414を保持する領域を規定するとともに、タンク412の底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体435を保持するように構成された領域を規定する槽434を含む。槽434は、タンク412の側壁を組み込み、槽434の上部に開口を備え、槽は、タンク412の底部よりも高い液位で極低温液体を保持する潜在性を有する。第1の供給ライン418および第1の供給弁424は、タンク412の底部と液体連通している一方、第2の供給ライン436および第2の供給弁438は、槽434の底部と液体連通しており、リサイクルライン426は、ポンプで送られた流体をタンク412の上部および槽434内の上向き開口を通じて槽434へ向ける。第1の例示実施形態にあるように、適宜、第1および第2の供給弁424および438は、三方弁と置き換えられてもよいということも理解されよう。これらの代替の構成要素を組み込む極低温液体送り出しシステムは、極低温液体送り出しシステム110について上で開示された同じ方法によってならびに同じポンプ送りおよび送り出し構成要素を用いて動作させられる。
【0034】
[0043]
図6では、タンク512は、極低温液体514を保持する領域を規定するとともに、タンク512の底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体535を保持するように構成された領域を規定する槽534を含む。槽534は、タンク512の側壁を組み込み、槽534の上部に開口を備え、槽は、タンク512の底部よりも高い液位で極低温液体を保持する潜在性を有する。第1の供給ライン518および第1の供給弁524は、タンク512の底部と液体連通している一方、第2の供給ライン536および第2の供給弁538は、槽534の底部と液体連通しており、リサイクルライン526は、ポンプで送られた流体をタンク512の上部および槽534内の上向き開口を通じて槽534へ向ける。第1の例示実施形態にあるように、適宜、第1および第2の供給弁524および538は、三方弁と置き換えられてもよいということも理解されよう。これらの代替の構成要素を組み込む極低温液体送り出しシステムは、極低温液体送り出しシステム110について上で開示された同じ方法によってならびに同じポンプ送りおよび送り出し構成要素を用いて動作させられる。
【0035】
[0044]
図7では、タンク612は、極低温液体614を保持する領域を規定するとともに、タンク612の底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体635を保持するように構成された領域を規定する槽634を含む。槽634は、タンク612の上壁からウェブ637によって吊り下げられ、槽634の上部に開口を備え、槽634は、タンク612の底部よりも高い液位で極低温液体を保持する潜在性を有する。第1の供給ライン618および第1の供給弁624は、タンク612の底部と液体連通している一方、第2の供給ライン636および第2の供給弁638は、槽634の底部と液体連通しており、リサイクルライン626は、ポンプで送られた流体をタンク612の上部および槽634内の上向き開口を通じて槽634へ向ける。第1の例示実施形態にあるように、適宜、第1および第2の供給弁624および638は、三方弁と置き換えられてもよいということも理解されよう。これらの代替の構成要素を組み込む極低温液体送り出しシステムは、極低温液体送り出しシステム110について上で開示された同じ方法によってならびに同じポンプ送りおよび送り出し構成要素を用いて動作させられる。
【0036】
[0045]
図8では、極低温液体送り出しシステム構成要素は、極低温液体714を保持する領域を規定するとともに、タンク712の底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体735を保持するように構成された領域を規定する槽734を含むタンク712を備える。槽734は、タンク712の側壁から(またはタンク712から独立した別の構造から)外部で吊り下げられ、槽734は、タンク712の底部よりも高い液位で極低温液体を保持する潜在性を有する。槽734は、 タンク712の底部よりも上方の高さに位置し、さもなければタンク712内の極低温液体の液位があまりに低くてそうすることができない場合でも、ポンプに十分な液体ヘッドを発生させるために使用することができるようになっている。槽734は、槽734内の液位がその容積を超える場合に、リサイクルライン726を介して槽734に入る極低温液体がタンク712の中に溢れることを可能にする導管または溢れライン737を有する。第1の供給ライン718および第1の供給弁724は、タンク712の底部と液体連通している一方、第2の供給ライン736および第2の供給弁738は、槽734の底部と液体連通しており、リサイクルライン726は、ポンプで送られた流体を槽734の上部を通じて槽734へ向ける。第1の例示実施形態にあるように、適宜、第1および第2の供給弁724および738は、三方弁と置き換えられてもよいということも理解されよう。槽734から溢れライン737を介してタンク712への極低温流体の伝達の変化がなければ、これらの代替の構成要素を組み込む極低温液体送り出しシステムは、極低温液体送り出しシステム110について上で開示された同じ方法によってならびに同じポンプ送りおよび送り出し構成要素を用いて動作させられる。
【0037】
[0046]本発明により構成された極低温液体送り出しシステム810の第2の例示実施形態は、LNG燃料補給所として概略的に示された
図9に示されている。第2の例示実施形態は、第1の例示実施形態と類似するが、システム810は、液体をタンクの底から持ち上げられた槽へ繰り出すための専用である比較的小さいポンプを含み、一方、主ポンプは、液体をタンクへ再循環させるまたは液体を送り出すために使用することができる。
【0038】
[0047]したがって、極低温液体送り出しシステム810は、極低温液体814を保持する領域を規定するタンク812を備え、蒸気ヘッドスペース816は、極低温液体814の上方にある。第1の供給導管またはライン818は、タンク812の底部と第1の端部818aで液体連通しているとともに、別個の容器またはサンプ822中に浸漬されているポンプ820と第2の端部818bで液体連通している。タンク812からの液体は、サンプ822へ流れ、それによってポンプ820の入口と液体連通するようになっているとともに、ポンプ820を液体中に浸漬させるようになっており、ポンプ820の十分な冷却を維持するようになっている。第1の供給弁824は、タンク812の底部における第1の供給ライン818の第1の端部818aとポンプ820における第1の供給ライン818の第2の端部818bとの間で第1の供給ライン818内に位置する。第1の例示実施形態におけるのと同様に、液体ヘッドは、タンク812内の極低温液体814の液位がポンプ820の吸引点の上方となる高さの相対的な差によって確立されると理解されよう。また、ポンプ820が確実に動作するために、液体ヘッドは、ポンプのNPSHとポンプ入口へ流れる液体によって受ける圧力損失との合計よりも大きいかまたはそれと少なくとも等しくなければならない。
【0039】
[0048]リサイクル導管またはライン826は、ポンプ820と第1の端部826aで液体連通しているとともに、タンク812の上部と第2の端部826bで液体連通しており、必要に応じて、主ポンプ820の使用によって極低温液体の再循環を可能にしている。したがって、リサイクル弁828は、ポンプ820におけるリサイクルライン826の第1の端部826aとタンク812上の上部における第2の端部826bとの間でリサイクルライン826内に位置する。
【0040】
[0049]タンク812の底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体835を保持するように構成された領域を規定する槽834が設けられ、槽834は、タンク812と液体連通している。槽834は、タンク812の上部においてタンク812内で吊り下げられ、上向きに広がる開口部を有する。再循環回路は、タンク812の底部と第1の端部840aで液体連通する再循環供給導管またはライン840を備えるとともに、再循環ポンプ842と第2の端部840bで液体連通している。再循環供給弁844は、タンク812の底部における第1の端部840aとポンプ842における第2の端部840bとの間で再循環供給ライン840内に位置する。再循環ポンプ842は、それが送り出しに使用されないので、通常の主ポンプ820よりも低い性能パラメータを有し得る比較的小さいポンプであることが理解されよう。したがって、ポンプ842は、より小さいNPSHも有する。
【0041】
[0050]そして、再循環回路は、再循環ポンプ842におけるリサイクルライン846の第1の端部846aと槽834における第2の端部846bとの間で リサイクルライン846内に位置するリサイクル弁848を有するリサイクルライン846によって完成され得る。
【0042】
[0051]送り出し導管またはライン830は、ポンプ820における第1の端部826aとリサイクル弁828との間の位置でリサイクルライン826と液体連通している。分配弁832は、送り出された極低温液体814の流れを制御するために分配ライン830内に位置する。
【0043】
[0052]第2の供給導管またはライン836は、槽834の底部と第1の端部836aで液体連通しているとともに、ポンプ820と第2の端部818bで液体連通している。第2の供給弁838は、槽834の底部における第1の端部836aとポンプ820における第2の端部836bとの間で第2の供給ライン836内に位置する。極低温液体を槽834から第2の供給ライン836を通じて引き出すときに、槽834内の極低温液体835の液位がポンプ820の吸引点の上方となる高さの相対的な差によって確立された液体ヘッドは、極低温液体がタンク812内で低い液位にあるときにさもなければ確立される液体ヘッドより大きくなると理解されよう。適宜、第1およびの第2の供給弁824および838は、三方弁と置き換えられてもよいということも理解されよう。
【0044】
[0053]第2の例示実施形態のシステム810は、第1の例示実施形態のシステム110と同様に動作し得るが、タンク内の液体が所望の液位未満に降下するときに、比較的小さいポンプ842が動作せられ得、それによって、システムがさもなければ液体を送り出すのに十分なヘッド圧力を与えないときに、持ち上げられた槽834から極低温液体を引き出すことによってタンク812内の極低温液体を利用し続けるようになっている。
【0045】
[0054]本発明により構成された極低温液体送り出しシステム910の第3の例示実施形態は、LNG燃料補給所として概略的に示された
図10に示されている。第3の例示実施形態は、第1および第2の例示実施形態と類似するが、システム910は、液体をタンクの底から持ち上げられた槽へ繰り出すための専用である比較的小さいポンプを含み、一方、主ポンプは、体を再循環させる潜在性を有さず、むしろ極低温液体を送り出すために使用するための専用である。
【0046】
[0055]したがって、極低温液体送り出しシステム910は、極低温液体914を保持する領域を規定するタンク912を備え、蒸気ヘッドスペース916は、極低温液体914の上方にある。第1の供給導管またはライン918は、タンク912の底部と第1の端部918aで液体連通しているとともに、別個の容器またはサンプ922中に浸漬されているポンプ920と第2の端部918bで液体連通している。タンク912からの液体は、サンプ922へ流れ、それによってポンプ920の入口と液体連通するようになっているとともに、ポンプ920を液体中に浸漬させるようになっており、ポンプ920の十分な冷却を維持するようになっている。第1の供給弁924は、タンク912の底部における第1の供給ライン918の第1の端部918aとポンプ920における第1の供給ライン918の第2の端部918bとの間で第1の供給ライン918内に位置する。第1の例示実施形態と同様に、液体ヘッドは、タンク912内の極低温液体914の液位がポンプ920の吸引点の上方となる高さの相対的な差によって確立されると理解されよう。また、ポンプ920が確実に動作するために、液体ヘッドは、ポンプのNPSHとポンプ入口へ流れる液体によって受ける圧力損失との合計よりも大きいかまたはそれと少なくとも等しくなければならない。
【0047】
[0056]タンク912の底部よりも上に持ち上げられた高さで極低温液体935を保持するように構成された領域を規定する槽934が設けられ、槽934は、タンク912と液体連通している。槽934は、タンク912の上部におけるタンク912内で吊り下げられ、上向きに広がる開口部を有する。第3の例示実施形態のシステム910は、ポンプ920を利用するリサイクル回路または再循環回路を含まない。そうではなく、再循環回路は、タンク912の底部と第1の端部940aで液体連通しているとともに、再循環ポンプ942と第2の端部940bで液体連通している再循環供給導管またはライン940を備える。再循環供給弁944は、タンク912の底部における第1の端部940aとポンプ942における第2の端部940bとの間で再循環供給ライン940内に位置する。次いで、再循環回路は、再循環ポンプ942における第1の端部946aおよび槽934における第2の端部946bから延びる リサイクルライン946によって完成され得る。再循環ポンプ942は、それが送り出しに使用されないので、通常の主ポンプ920よりも低い性能パラメータを有し得る比較的小さいポンプであることが理解されよう。したがって、ポンプ942は、より小さいNPSHも有する。
【0048】
[0057]送り出し導管またはライン930は、ポンプ920と液体連通しており、分配弁932は、送り出された極低温液体914の流れを制御するために分配ライン930内に位置する。
【0049】
[0058]第2の供給導管またはライン936は、槽934の底部と第1の端部936aで液体連通しているとともに、ポンプ920と第2の端部 918bで液体連通している。第2の供給弁938は、槽934の底部における第1の端部836aとポンプ920における第2の端部936bとの間で第2の供給ライン936内に位置する。極低温液体を槽934から第2の供給ライン936を通じて引き出すときに、槽934内の極低温液体935の液位がポンプ920の吸引点の上方となる高さの相対的な差によって確立された液体ヘッドは、極低温液体がタンク912内で低い液位にあるときにさもなければ確立される液体ヘッドより大きくなると理解されよう。適宜、第1および第2の供給弁924および938は、三方弁と置き換えられてもよいということも理解されよう。
【0050】
[0059]第2の例示実施形態のシステム910は、第1の例示実施形態のシステム910と同様に動作し得るが、タンク内の液体が所望の液位未満に降下するときに、比較的小さいポンプ942が液体の再循環全てを行い、持ち上げられた槽934に常に供給し、それによりタンク912の底または持ち上げられた槽934からの供給を可能にし、それによって、システムが液体を送り出すのに十分なヘッド圧力を与えないときに、持ち上げられた槽934から極低温液体を引き出すことによってタンク912内の極低温液体を利用し続ける。
【0051】
[0060]要するに、持ち上げられた槽、ならびに第2の供給ラインおよび供給弁を加えることによって、極低温液体がより高い位置へポンプで送られることを可能にし、ポンプが確実に動作するための十分な液体ヘッドを与えるとともに、さもなければタンクから取り出しできない極低温液体を送り出す能力を強化する。また、例示実施形態に示されるように、極低温液体を持ち上げられた槽へポンプで送ることは、システムポンプによってまたは比較的小さい別個のポンプによって実現することができ、より小さいポンプによる場合、システムは、比較的大きいシステムポンプによって極低温液体をタンクへ再循環させることを行っても行わなくてもよい。
【0052】
[0061]タンク内の液体をより良く利用するこれらの解決策は、極低温液体送り出しシステムに使用されるための任意の水平タンクに適用することができるが、この解決策は、極低温液体送り出しシステムに使用するために任意の垂直タンク(水平断面積よりも大きい垂直断面積を有するタンク)に適用されてもよいことも理解されよう。
【0053】
[0062]本開示の好適な実施形態を図示および例示してきたが、添付の特許請求の範囲によって範囲が定められる本開示の趣旨から逸脱することなく本明細書に変更および修正がなされてもよいことが当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0054】
110 極低温液体送り出しシステム、送り出しシステム、システム
112 タンク
114 極低温液体
116 蒸気ヘッドスペース
118 第1の供給導管またはライン、第1の供給ライン
118a 第1の端部
118b 第2の端部
120 ポンプ
122 別個の容器またはサンプ、サンプ
124 第1の供給弁
126 リサイクル導管またはライン、リサイクルライン
126a 第1の端部
126b 第2の端部
128 リサイクル弁
130 送り出し導管またはライン、分配ライン
132 分配弁
134 槽
135 極低温液体
136 第2の供給導管またはライン、第2の供給ライン
136a 第1の端部
136b 第2の端部
138 第2の供給弁
212 タンク
214 極低温液体
218 第1の供給ライン
224 第1の供給弁
226 リサイクルライン
234 槽
235 極低温液体
236 第2の供給ライン
238 第2の供給弁
312 タンク
314 極低温液体
318 第1の供給ライン
324 第1の供給弁
326 リサイクルライン
334 槽
335 極低温液体
336 第2の供給ライン
338 第2の供給弁
412 タンク
414 極低温液体
418 第1の供給ライン
424 第1の供給弁
426 リサイクルライン
434 槽
435 極低温液体
436 第2の供給ライン
438 第2の供給弁
512 タンク
514 極低温液体
518 第1の供給ライン
524 第1の供給弁
526 リサイクルライン
534 槽
535 極低温液体
536 第2の供給ライン
538 第2の供給弁
612 タンク
614 極低温液体
618 第1の供給ライン
624 第1の供給弁
626 リサイクルライン
634 槽
635 極低温液体
636 第2の供給ライン
637 ウェブ
638 第2の供給弁
712 タンク
714 極低温液体
718 第1の供給ライン
724 第1の供給弁
726 リサイクルライン
734 槽
735 極低温液体
736 第2の供給ライン
737 導管または溢れライン、溢れライン
738 第2の供給弁
810 極低温液体送り出しシステム、システム
812 タンク
814 極低温液体
816 蒸気ヘッドスペース
818 第1の供給導管またはライン、第1の供給ライン
818a 第1の端部
818b 第2の端部
820 ポンプ、主ポンプ
822 別個の容器またはサンプ、サンプ
824 第1の供給弁
826 リサイクル導管またはライン
826a 第1の端部
826b 第2の端部
828 リサイクル弁
830 送り出し導管またはライン、分配ライン
832 分配弁
834 槽
835 極低温液体
836 第2の供給導管またはライン、第2の供給ライン
836a 第1の端部
836b 第2の端部
838 第2の供給弁
840 再循環供給導管またはライン
840a 第1の端部
840b 第2の端部
842 再循環ポンプ、ポンプ
844 再循環供給弁
846 リサイクルライン
846a 第1の端部
846b 第2の端部
848 リサイクル弁
910 極低温液体送り出しシステム、システム
912 タンク
914 極低温液体
916 蒸気ヘッドスペース
918 第1の供給導管またはライン、第1の供給ライン
918a 第1の端部
918b 第2の端部
920 ポンプ、通常の主ポンプ
922 別個の容器またはサンプ、サンプ
924 第1の供給弁
930 送り出し導管またはライン
934 槽
935 極低温液体
936 第2の供給導管またはライン、第2の供給ライン
936a 第1の端部
936b 第2の端部
938 第2の供給弁
940 再循環供給導管またはライン
940a 第1の端部
940b 第2の端部
942 再循環ポンプ、ポンプ
944 再循環供給弁
946 リサイクルライン
946a 第1の端部
946b 第2の端部