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特許7227902困難な基板上で機能するように設計されたRFIDタグ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】困難な基板上で機能するように設計されたRFIDタグ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20230215BHJP
【FI】
G06K19/077 248
G06K19/077 280
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019522440
(86)(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 US2017058704
(87)【国際公開番号】W WO2018081522
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】15/337,494
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518000176
【氏名又は名称】エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON RETAIL INFORMATION SERVICES LLC
【住所又は居所原語表記】8080 Norton Parkway, Mentor, Ohio 44060 Uni-ted States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】フォースター イアン ジェイ
【審査官】赤穂 州一郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3141971(JP,U)
【文献】特開2016-091229(JP,A)
【文献】特開2014-032618(JP,A)
【文献】特開2009-059287(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0197074(US,A1)
【文献】中国実用新案第201886504(CN,U)
【文献】特開2008-123222(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0283615(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0034739(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0062875(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0091225(US,A1)
【文献】米国特許第06111303(US,A)
【文献】米国特許第06329213(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
困難な基板上で動作するように設計された(無線周波数識別)RFIDタグであって、
熱可塑性基板部品と、
前記熱可塑性基板部品の片面に形成されたRFIDアンテナ構造と、
前記RFIDアンテナ構造に結合されたRFIDチップと、を有し、
前記熱可塑性基板部品は、内部に前記RFIDアンテナ構造が配置されたキャビティに変形され、
このキャビティの開口は、導電体である基層で覆われ、
前記RFIDアンテナ構造の一部は、前記キャビティのリムと前記基層との間に延び、
このRFIDアンテナ構造の延長部が前記基層の外側に延びるように、前記基層が前記キャビティのリム領域よりも小さく構成されている、
ことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記困難な基板表面は、高損失の誘電体表面、有機材料表面又は金属表面を含む、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記RFIDアンテナ構造は、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ又はスロットアンテナを含む、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記RFIDアンテナ構造は、金属箔、銅、アルミニウム、蒸着金属層及び導電性インクのうちの少なくとも1つから形成される、請求項3に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記RFIDアンテナ構造は、前記熱可塑性基板部品上にロールツーロール法で形成される、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記RFIDアンテナ構造は、部分的に前記キャビティのリムに配置される、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記RFIDアンテナ構造は、両端が前記熱可塑性基板部品に結合される、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項8】
前記熱可塑性基板部品は、波形基板を備えている、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項9】
高損失の誘電体表面、有機材料表面又は金属表面などの困難な基板上で動作するように設計されたRFIDタグであって、
熱可塑性基板部品と、
前記熱可塑性基板部品の片面に形成されたRFIDアンテナ構造と、
前記RFIDアンテナ構造に結合されたRFIDチップと、
前記熱可塑性基板部品に形成されたキャビティと、を有し、
前記RFIDアンテナ構造は、前記キャビティの内部に配置されると共に部分的に前記キャビティのリムに配置され、
前記キャビティの開口は、導電体である基層で覆われ、
前記RFIDアンテナ構造の一部は、前記キャビティのリムと前記基層との間に延び、
このRFIDアンテナ構造の延長部が前記基層の外側に延びるように、前記基層が前記キャビティのリム領域よりも小さく構成されている、
ことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項10】
前記RFIDアンテナ構造は、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ又はスロットアンテナを含む、請求項9に記載のRFIDタグ。
【請求項11】
前記熱可塑性基板部品は、波形基板を備えている、請求項9に記載のRFIDタグ。
【請求項12】
困難な基板上で動作するように設計されたRFIDタグの製造方法であって、
熱可塑性基板部品を準備するステップと、
前記熱可塑性基板部品の片面にRFIDアンテナ構造を形成するステップと、
前記RFIDアンテナ構造にRFIDチップを結合するステップと、
前記熱可塑性基板部品をアパーチャ上に配置するステップと、
プラスチック表面を軟化させるために前記熱可塑性基板部品を加熱するステップと、
前記熱可塑性基板部品に真空を適用するステップと、
前記熱可塑性基板部品から前記アパーチャ内に材料を引き込むステップと、
前記RFIDアンテナ構造を備えるブリスターを形成するステップと、
導電体である基層で前記ブリスターの開口を覆うステップと、
を含み、
前記RFIDアンテナ構造の一部は、前記ブリスターのリムと前記基層との間に延び、
このRFIDアンテナ構造の延長部が前記基層の外側に延びるように、前記基層が前記ブリスターのリム領域よりも小さく構成されている、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2016年10月28日に出願された米国実用特許出願公開第15/337,494号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、一般に困難な基板上で動作するように設計された無線周波数識別(RFID)タグデバイスに関する。具体的には、基板に一連のキャビティを形成してアンテナと困難な基板との間に分離距離を定めてロールツーロール法でRFIDタグを形成する。
【背景技術】
【0003】
無線周波数識別(「RFID」)は、電磁エネルギー(「EMエネルギー」)を用いて(RFID「タグ」又はトランスポンダとして知られている)応答デバイスを刺激してデバイス自体を識別し、場合によっては付加的に記憶されたデータを提供するものである。通常、RFIDタグは、メモリとアンテナに接続された動作回路とが形成された、一般に「チップ」と呼ばれる半導体デバイスを含む。通常、RFIDタグはトランスポンダとして機能し、質問器とも呼ばれるリーダから受け取った無線周波数(「RF」)質問信号に応答して、チップメモリに記憶された情報を提供する。パッシブRFIDデバイスの場合には、質問信号のエネルギーが、RFIDデバイスの動作に必要なエネルギーも提供する。
【0004】
RFIDタグは、追跡すべき物品に組み込み又は取り付けることができる。タグは、接着剤、テープ又はその他の手段を用いて物品の外部に取り付けることができる場合もあれば、パッケージに含めたり、物品の容器内に配置したり、又は衣服に縫い込んだりして物品に挿入できる場合もある。RFIDタグは、典型的には検査数字が添えられた数バイトの単純なシリアル番号である一意の識別番号を伴って製造されたチップを含むことができる。ユーザは、このシリアル/識別番号を変更することができず、メーカーは、各シリアル番号が一度しか使用されないことを保証する。この構成は、RFIDタグが読み取り専用であり、その識別番号のみを用いて質問信号に応答するという点で、この技術の低コスト目的を表す。
【0005】
或いは、RFIDタグに含まれるRFIDチップが、製造後に書き込むことができるメモリを含むこともでき、従ってRFIDタグが取り付けられた製品に関する情報をその製品の製造場所、或いはバーコード、パターン又は人が読める特徴などの視覚的特徴が印刷される場所などの他の場所でプログラムして、この情報が印刷情報に関連付けられるようにすることもできる。この場合、RFIDタグは、プログラムされた情報の全部又は一部と、製造場所においてリードオンリメモリ構造にプログラムされていた場合には一意の番号とを用いて質問信号に応答することができる。
【0006】
RFIDタグは、どのようなタイプのチップを使用するかに応じて、一意の番号を用いて又はプログラムされたデータと項目との間の関係によってデータベース内の項目に関連付けることができる。タグの目的は、袋又はその他の容器内の関連する1又は複数の物品にタグを関連付けることである。この情報は、使用事例に応じて1又は2以上の場所において使用することができ、典型例としては、製造施設、輸送車両、店舗、医療施設、薬剤保管場所又はその他の環境が考えられる。RFIDタグ内のデータの使用、及びそのデータにアクセスする場所は、タグを何のために使用すべきかに依存すると理解されるであろう。例えば、施設を通じた物品の追跡は、さらに効率的な分配及び在庫管理システムの生成、並びに施設内のワークフロー改善に役立つことができる。この結果、在庫管理が改善されてコストが低下する。RFIDタグが付いた装置及び物品の位置を必要時に素早く特定し、使用期限又は不良品回収などの他の目的で識別できるように、正確な追跡、在庫管理システム及び分配システムを構築することも望ましい。
【0007】
今日使用されている多くのRFIDタグは、バッテリ又はその他の自律的な電源を有しておらず、代わりにタグを作動させる電力を供給するために、RFIDリーダが供給する質問エネルギーに依拠しなければならないという点でパッシブである。パッシブRFIDタグは、タグの作動及びその記憶データの送信を行うために特定の周波数範囲及び特定の最小強度の電磁エネルギー場を必要とする。別の選択肢としてアクティブRFIDタグも存在するが、このようなタグは、タグを作動させる電力を供給するためにバッテリを伴う必要があり、従ってタグの費用及びサイズが増加し、数多くの用途での使用には望ましくない。
【0008】
タグは、識別すべき物品の物理的サイズ、物品の位置及び物品に容易に到達できる能力などのRFIDタグ適用要件に応じて、RFIDリーダによって短距離又は長距離から読み取られることが必要となり得る。さらに、RFIDタグの読み取り範囲(すなわち、質問信号及び/又は応答信号の範囲)にも限界がある。
【0009】
さらに、高損失の誘電体、例えば肉のような有機材料、並びに金属表面及び/又は導電性表面などの困難な基板にRFIDタグが取り付けられている場合、通常、標準的なRFIDタグは、衣類、段ボール箱などの他の材料上に配置されたものほど効率的に読み取ることができない。多くの商業用途において高損失の誘電体及び金属又はその他のタイプの導電性表面などの困難な基板へのRFIDタグの適用が望ましいことを考えれば、このことは重要な問題である。RFIDタグがこれらの困難な基板上で機能(動作)するために、基板とアンテナ構造との間に分離距離を定めることによって性能を著しく向上させる。さらに、この分離距離を、発泡体又はプラスチック、或いは空気などの好適な誘電体で満たさなければならない。従って、基板とアンテナ構造との間に分離距離を形成することによって高損失の誘電体、及び/又は金属表面又はその他のタイプの導電性表面などの困難な基板近くでのRFIDタグの動作を可能にするRFIDタグデバイス及び/又はシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、高損失の誘電体表面、有機材料表面又は金属表面などの困難な基板上で動作するように設計されたRFIDタグデバイスと、コストを削減して効率的な生産を可能にする関連する製造方法とを開示する。このRFIDタグデバイスは、熱可塑性基板部品の片面に形成されてRFIDチップが結合されたRFIDアンテナ構造を含む。その後、基板部品を、内部にRFIDアンテナ構造を有する一連のキャビティに変形させて、基板とRFIDアンテナ構造との間に分離距離を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、開示する技術革新のいくつかの態様の基本的理解をもたらすために簡略化した概要を示す。この概要は、広範にわたる概説ではなく、主要/重要な要素の識別、或いはその範囲の説明を意図するものではない。この概要の唯一の目的は、後で提示するさらに詳細な説明の前置きとして、いくつかの概念を簡略化した形で示すことである。
【0012】
本明細書に開示して特許請求する主題は、その1つの態様において、高損失の誘電体表面、有機材料表面又は金属表面などの困難な基板上で動作するように設計されたRFIDタグデバイスを含む。RFIDタグデバイスは、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ又はスロットアンテナとすることができるRFIDアンテナ構造を含む。このRFIDアンテナ構造は、ロールツーロール法で熱可塑性基板部品の片面に形成されてこれにRFIDチップが結合される。その後、基板部品は、内部にRFIDアンテナ構造を有する一連のキャビティに変形される。具体的には、RFIDアンテナ構造が全体的にキャビティの上面に配置され、或いは部分的にキャビティの上部に、かつ部分的に縁部/底部に配置される。
【0013】
好ましい実施形態では、キャビティの底面を基層で覆うことができる。基層は、典型的には箔などの導電体である。また、RFIDアンテナ構造の一部は、キャビティのリム上に延びることができる。RFIDアンテナ構造の1つよりも多くの部分がキャビティのリム上に延びて、基板への複数の結合点を形成することもできる。さらに、1つの実施形態では、RFIDアンテナ構造の延長部のうちの1つ又は2つ以上が基層の外側に延びるように、基層がプラスチックキャビティのリム領域よりも小さい。また、RFIDアンテナ構造は、両端を基板に結合することもできる。さらに、熱可塑性基板部品は、RFIDタグの湾曲面への適合を良好にするように波形基板とすることもできる。
【0014】
上述の及び関連する目的を達成するために、本明細書では、以下の説明及び添付図面に関連して、開示する技術革新のいくつかの例示的な態様について説明する。しかしながら、これらの態様は、本明細書に開示する原理を採用できるとともに全てのこのような態様及びその同等物を含むように意図された様々の方法のうちのほんのわずかしか示していない。以下の詳細な説明を図面と共に検討すれば、他の利点及び新規の特徴が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】開示するアーキテクチャによる、熱可塑性基板部品上のRFIDアンテナ構造の上面斜視図である。
図1B】開示するアーキテクチャによる、変形後の熱可塑性基板部品上のRFIDアンテナ構造の上面斜視図である。
図2A】開示するアーキテクチャによる、キャビティの上部内のRFIDアンテナ構造の上面斜視図である。
図2B】切断線2B-2Bにおける図2Aの構造の断面図である。
図3A】開示するアーキテクチャによる、キャビティのリム上に延びるRFIDアンテナ構造の上面斜視図である。
図3B】切断線3B-3Bにおける図3Aの構造の断面図である。
図4A】開示するアーキテクチャによる、複数箇所においてキャビティのリム上に延びるRFIDアンテナ構造の上面斜視図である。
図4B】切断線4B-4Bにおける図4Aの構造の断面図である。
図5A】開示するアーキテクチャによる、熱可塑性基板の両端において結合されたRFIDアンテナ構造の上面斜視図である。
図5B】切断線5B-5Bにおける図5Aの構造の断面図である。
図6A】開示するアーキテクチャによる、キャビティに基層を適用したRFIDアンテナ構造の上面斜視図である。
図6B】切断線6B-6Bにおける図6Aの構造の断面図である。
図7A】開示するアーキテクチャによる、キャビティのリム領域よりも基層の方が小さいRFIDアンテナ構造の上面斜視図である。
図7B】切断線7B-7Bにおける図7Aの構造の断面図である。
図8A】開示するアーキテクチャによる、熱可塑性基板が波形を有するRFIDアンテナ構造の上面斜視図である。
図8B】切断線8B-8Bにおける図8Aの構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、全体を通じて同じ参照番号を用いて同じ要素を示す図面を参照しながら技術革新の説明を行う。以下の説明では、説明を完全に理解できるように、説明目的で数多くの具体的な詳細を示す。しかしながら、この技術革新は、これらの具体的な詳細を伴わずに実施できることが明らかである。その他の場合、周知の構造及びデバイスについては、これらの説明を容易にするためにブロック図形式で示している。
【0017】
本発明は、高損失の誘電体表面、有機材料表面又は金属表面などの困難な基板上で動作するように設計されたRFIDタグデバイスを開示する。このRFIDタグデバイスは、ロールツーロール法で熱可塑性基板部品の片面に形成されてRFIDチップが結合されたRFIDアンテナ構造を含む。その後、基板部品は、内部にRFIDアンテナ構造を有する一連のキャビティに変形される。具体的には、RFIDアンテナ構造が全体的にキャビティの上面に配置され、或いは部分的にキャビティの上部に、かつ部分的に縁部/底部に配置される。
【0018】
最初に図面を参照すると、図1A図1Bに、変形前及び変形後の熱可塑性基板部品104上にRFIDアンテナ構造102を含むRFIDタグ100を示す。RFIDタグ100は、高損失の誘電体表面、有機材料表面(すなわち、肉)及び金属表面などの困難な基板表面上で動作するように設計される。RFIDアンテナ構造102は、熱可塑性基板部品104の片面に形成されて、これにRFIDチップ106が結合される。
【0019】
RFIDアンテナ構造102は、以下に限定するわけではないが、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、スロットアンテナ又はその他の好適な形態のアンテナなどの、当業で周知のあらゆる好適なアンテナを含むことができる。RFIDアンテナ構造102は、金属箔、銅又はアルミニウム、蒸着金属層、又は導電性インク、或いは当業で周知の他のいずれかの好適な材料などの複数の好適な材料から形成することができる。
【0020】
RFIDアンテナ構造102は、本発明の包括的概念に影響を与えることなく、当業で周知のあらゆる好適なサイズ、形状及び構成とすることができる。当業者であれば、図1に示すアンテナ構造102の形状及びサイズは例示目的にすぎず、他の多くの形状及びサイズのアンテナ構造102も十分に本開示の範囲に含まれると理解するであろう。アンテナ構造102の寸法(すなわち、長さ、幅及び高さ)は、良好な性能のための重要な設計パラメータであるが、アンテナ構造102は、使用中の最適な性能及び感度を保証するあらゆる形状又はサイズとすることができる。
【0021】
具体的に言えば、RFIDタグ100は、熱可塑性基板部品104、又は当業で周知の他のいずれかの好適な材料を含む。その後、熱可塑性基板部品104の片面にRFIDアンテナ構造102を形成し、これにRFIDチップ106を結合する。通常、RFIDアンテナ構造102は、ロールツーロール法又は当業で周知の他のいずれかの好適な方法で熱可塑性基板104上に形成される。最終段階として、熱可塑性基板部品104を一連のキャビティ108に変形させ、RFIDアンテナ構造102を全体的にキャビティ108の上面に配置し、或いは部分的にその上部に、かつ部分的に縁部/底部に配置する。
【0022】
具体的に言えば、熱可塑性基板104は第1の面と第2の面とを含み、熱可塑性基板104の第1の面にRFIDアンテナ構造102を形成して、これにRFIDチップ106を結合する。次に、基板104の第2の面をアパーチャ上に配置し、このアパーチャに真空を適用する。その後、基板104を加熱してプラスチックを軟化させると、この時点で基板104の材料がアパーチャ内に引き込まれ、RFIDアンテナ構造102を有するブリスター(又は、キャビティ108)が基板104上に形成される。RFIDアンテナ構造102は、全体的にキャビティ108の上面に配置することも、或いは部分的に上部に、かつ部分的に縁部/底部に配置することもできる。真空形成は、キャビティ型構造の特定の製造方法であるが、押し出し加工、射出成形加工、鋳造加工、機械加工又はレーザフライス加工などの他の好適な方法を使用することも、或いは他のいずれかの好適な方法を用いてキャビティを形成することもできる。
【0023】
さらに、キャビティ108の底面は、典型的にはアルミニウム箔又は導電性インクなどの導電体、或いは他のいずれかの好適な材料である(図6Aに示すような)基層114で覆うこともできる。基層114は、RFIDアンテナ構造102と熱可塑性基板104との間に位置する。基層114は、RFIDタグ100の全ての実施形態に追加することができ、適用時には熱可塑性基板104との改善された結合をもたらす。
【0024】
図2A図2Bに、全体的にキャビティ108の上部に配置されたダイポール又はパッチ型アンテナとしての(図2A図2Bには200として示す)RFIDアンテナ構造102を示す。図示のように、RFIDアンテナ構造102は、RFIDタグ100の下方では熱可塑性基板部品104に接触していない。次に、図3A図3Bに、RFIDアンテナ構造102の一部112がキャビティ108のリム110上に延びた(図3A図3Bには300として示す)RFIDタグ100を示す。リム110上のRFIDアンテナ構造102の領域は、RFIDタグ100の下方の基板材料104に結合される。モノポール又はパッチ型アンテナでは、デバイス下方の表面が導体である時にこの表面が接地板を提供し、導体が存在しなければ、このアンテナはダイポールアンテナの形態と考えられる。
【0025】
次に、図4A図4Bに、RFIDアンテナ構造102の一部112が複数箇所においてリム上に延びる(図4A図4Bには400として示す)別の実施形態を示しており、モノポール又はパッチ型アンテナでは基板104との結合点が複数存在するので、この実施形態はRFIDタグ100の下方の基板104との結合を制御可能に高める。
【0026】
図5A図5Bには、ダイポール又はパッチ型アンテナの両端が基板104に結合されたRFIDアンテナ構造102の(図5A図5Bには500として示す)別の実施形態を示す。次に、図6A図6Bに、キャビティ108に基層114を適用した(図6A図6Bには600として示す)別の実施形態を示す。基層114は、アンテナ102と基板104との間に位置する。基層114の1つの共通形態は、アルミニウム箔又は導電性インク、或いは金属又はプラスチック基層などの導体である。この導体は接地板として機能するが、これは本発明を限定するものではない。基層114は、図1図5に開示する全てのRFIDタグ構造100に追加することができ、適用時には基板104との改善された結合をもたらす。
【0027】
次に、図7A図7Bに、基板104の特性に応じてRFIDアンテナ構造102の延長部116のうちの1つ又は2つ以上が基層114の外側に延びて異なる結合部を形成するように、プラスチックキャビティ108の基板104の領域よりも基層114の方が小さい(図7A図7Bには700として示す)RFIDアンテナ構造102を示す。
【0028】
次に、図8A図8Bに、RFIDタグ100と湾曲面との適合を良好にする波形基板を含む(図8A図8Bには800として示す)RFIDアンテナ構造102を示す。波形118は、基板104の屈曲を可能にする。RFIDアンテナ構造102も、屈曲を可能にして湾曲面に適合するように可撓性又は波形にすることができる。
【0029】
通常、RFIDアンテナ構造102を有する基板は真空成形されるが、異なる特性を有する別の方法を利用することもできる。例えば、基板をアンテナ導体と共に、ただしRFIDデバイスを除いて真空成形し、キャビティの形成後にRFIDデバイスを追加することもできる。これにより、RFIDデバイスに成形を適用することに関連する機械的応力が避けられる。
【0030】
さらに、基板を真空成形してキャビティを形成し、内面又は外面にRFIDインレイ/ラベルを適用することもできる。このようにすると、アンテナとRFIDデバイスの両方が成形過程を受けなくなる。この方法の1つの利点は、ラベルを外面に適用することによって印刷可能面が露出するラベルを使用する点である。
【0031】
別の実施形態では、このRFIDラベルを、真空成形された分離帯への適用前に符号化して印刷する。最後に、RFIDデバイスの基板は、加工中には平坦であるものの熱又は紫外線放射などの外的要因が加わった時にこのデバイスに使用されるキャビティ型構造を形成する形状記憶プラスチックで形成することができる。
【0032】
さらなる実施形態では、RFIDタグ100が、本明細書で説明した手段のいずれかによってキャビティ内に形成され、Tyco社によって市販されている音響磁気電子物品監視装置であるSensormatic(登録商標)の構造を含む。
【0033】
上述した内容は、特許請求する主題の実施例を含む。当然ながら、特許請求する主題を説明する目的で部品又は方法の全ての考えられる組み合わせを説明することはできないが、当業者であれば、特許請求する主題の多くのさらなる組み合わせ及び並べ替えが可能であると認識することができる。従って、特許請求する主題は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲に含まれる全てのこのような代替例、修正例及び変形例を含むように意図される。さらに、詳細な説明又は特許請求の範囲において「含む(includes)」という用語を使用する点について、このような用語は、特許請求の範囲において移行部として使用する際に解釈される「備える(comprising)」という用語と同様に包括的なものであるように意図される。
【符号の説明】
【0034】
100 RFIDタグ
102 RFIDアンテナ構造
104 熱可塑性基板部品
106 RFIDチップ
108 キャビティ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B