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7227903皮膚、毛髪、爪および/もしくは粘膜の処置ならびに/またはケアに有用な化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】皮膚、毛髪、爪および/もしくは粘膜の処置ならびに/またはケアに有用な化合物
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/00 20060101AFI20230215BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20230215BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61Q 3/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20230215BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230215BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20230215BHJP
【FI】
C07K7/00 ZNA
A61K8/64
A61Q19/00
A61Q5/00
A61Q3/00
A61K38/08
A61P17/00
A61P37/08
A61P29/00
A61P17/04
A61P17/06
A61P37/02
C07K14/705
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019528663
(86)(22)【出願日】2017-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 US2017063871
(87)【国際公開番号】W WO2018102508
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】16382581.3
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】バン デン ネスト, ウィム
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ビエルサ, カタリナ
(72)【発明者】
【氏名】ラポルタ, オルガ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア サンス, ヌリア
(72)【発明者】
【氏名】アルミニャナ ドメネク, ヌリア
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0206752(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0206543(US,A1)
【文献】特表2010-507632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C07K 7/00
C07K 14/00
C07K 7/00
REGISTRY/CAPLUS/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアにおける、式(I):
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-(AA-(AA-Y-Z-R (I)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、
AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの0、1つまたは2つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
aは1であり、bは0または1であり、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、Rは、-NR、-OR、-SRからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、
およびRは、アミノ酸ではない)
の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用であって、該化粧的な非治療的処置および/またはケアが、該皮膚の物理的バリア機能および該皮膚の免疫学的バリア機能の維持および/または改善である、使用。
【請求項2】
皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアにおける、式(I):
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-(AA-(AA-Y-Z-R (I)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、
AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの0、1つまたは2つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
aは1であり、bは0または1であり、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、Rは、-NR、-OR、-SRからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、
およびRは、アミノ酸ではない)
の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用であって、該化粧的な非治療的処置および/またはケアが、該皮膚の物理的バリア機能の維持および/または改善である、使用。
【請求項3】
皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアにおける、式(I):
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-(AA-(AA-Y-Z-R (I)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、
AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの0、1つまたは2つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
aは1であり、bは0または1であり、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、Rは、-NR、-OR、-SRからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、
およびRは、アミノ酸ではない)
の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用であって、該化粧的な非治療的処置および/またはケアが、水および電解質の皮膚からの低下もしくは喪失;皮膚の保湿化の維持および/もしくは改善;皮膚の落屑の予防もしくは低減および/もしくは乾燥皮膚に悩んでいるもしくは乾燥皮膚になる傾向を有する対象における皮膚の落屑の予防もしくは低減である、使用。
【請求項4】
皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアにおける、式(I):
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-(AA-(AA-Y-Z-R (I)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、
AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの0、1つまたは2つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
aは1であり、bは0または1であり、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、Rは、-NR、-OR、-SRからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、
およびRは、アミノ酸ではない)
の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用であって、該化粧的な非治療的処置および/またはケアが、皮膚マイクロレリーフの維持および/もしくは改善、および/または皮膚の柔軟さおよび/もしくは皮膚の滑らかな様態の維持および/もしくは改善である、使用。
【請求項5】
前記化粧的な非治療的処置および/またはケアが、皮膚マイクロレリーフの維持および/または改善である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記化粧的な非治療的処置および/またはケアが、皮膚の柔軟さの維持および/または改善である、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記化粧的な非治療的処置および/またはケアが、皮膚の滑らかな様態の維持および/または改善である、請求項4に記載の使用。
【請求項8】
皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアにおける、式(I):
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-(AA-(AA-Y-Z-R (I)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、
AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの0、1つまたは2つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
aは1であり、bは0または1であり、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、Rは、-NR、-OR、-SRからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、
およびRは、アミノ酸ではない)
の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用であって、該化粧的な非治療的処置および/またはケアが、化学刺激物、汚濁物質および病原体を含む環境危険物質からの、該皮膚の保護である、使用。
【請求項9】
皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアにおける、式(I):
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-(AA-(AA-Y-Z-R (I)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、
AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの0、1つまたは2つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
aは1であり、bは0または1であり、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、Rは、-NR、-OR、-SRからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、
およびRは、アミノ酸ではない)
の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用であって、該化粧的な非治療的処置および/またはケアが、該皮膚の自然免疫防御機構の維持および/または改善である、使用。
【請求項10】
皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアにおける、式(I):
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-(AA-(AA-Y-Z-R (I)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、
AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの0、1つまたは2つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
aは1であり、bは0または1であり、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、Rは、-NR、-OR、-SRからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、
およびRは、アミノ酸ではない)
の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用であって、該化粧的な非治療的処置および/またはケアが、該皮膚の微生物平衡の維持である、使用。
【請求項11】
対象の皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の処置および/またはケアの化粧的な非治療的方法であって、該対象に、化粧的に有効量の式(I):
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-(AA-(AA-Y-Z-R (I)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、
AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの0、1つまたは2つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
aは1であり、bは0または1であり、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、Rは、-NR、-OR、-SRからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、RおよびRは、アミノ酸ではない)
の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を投与することを含み、該処置および/またはケアが、該皮膚の物理的バリア機能および該皮膚の免疫学的バリア機能の維持および/もしくは改善;水および電解質の該皮膚からの喪失の低減;該皮膚の潤いの維持および/もしくは改善、すなわち該皮膚の保湿化の維持および/もしくは改善;皮膚マイクロレリーフの予防、維持および/もしくは改善;該皮膚の柔軟さおよび/もしくは該皮膚の滑らかな様態の維持および/もしくは改善;化学刺激物、汚濁物質および病原体を含めた環境危険物質からの該皮膚の保護;該皮膚の自然免疫防御機構の維持および/もしくは改善;ならびに/または該皮膚の微生物平衡の維持である、方法。
【請求項12】
処置および/またはケアが、皮膚の物理的バリア機能および皮膚の免疫学的バリア機能の維持および/もしくは改善;水および電解質の該皮膚からの喪失の低減;皮膚の潤いの維持および/もしくは改善、すなわち皮膚の保湿化の維持および/もしくは改善;化学刺激物、汚濁物質および病原体を含めた環境危険物質からの皮膚の保護;皮膚の自然免疫防御機構の維持および/もしくは改善;ならびに/または該皮膚の微生物平衡の維持である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記処置および/またはケアが、皮膚マイクロレリーフの予防、維持および/または改善である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記処置および/またはケアが、皮膚の柔軟さの維持および/または改善である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記処置および/またはケアが、皮膚の滑らかな様態の維持および/または改善である、請求項11に記載の方法
【請求項16】
AA~AAの0または1つが置き換えられている、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用、または請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
a=1およびb=0である、請求項1から10および16のいずれか一項に記載の使用、または請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
(i)AA ~AA の1つが置き換えられている場合、AA がAspにより置き換えているか、またはAA がAspにより置き換えられており、(ii)AA ~AA の2つが置き換えられている場合、AA がAspにより置き換えられており、AA がGluにより置き換えられている、請求項17に記載の使用、または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
a=1およびb=1である、請求項1から10および16のいずれか一項に記載の使用、または請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
(i)AA ~AA の1つが置き換えられている場合、AA がAspもしくはGlnにより置き換えられているか、またはAA がLeuにより置き換えられているか、またはAA がGlu、AspもしくはAsnにより置き換えられているか、またはAA がLysもしくはHisにより置き換えられている、請求項19に記載の使用、または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が、R-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Rである、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用、または請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
が、HおよびR-CO-からなる群から選択され、Rが、C~C18アルキル、C~C24アルケニル、C~C24シクロアルキルからなる群から選択され、Rが、-NRまたは-ORであり、RおよびRが、HおよびC~C16アルキルからなる群から独立して選択される、請求項1から10および16から21のいずれか一項に記載の使用、または請求項11から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、乾癬および/または尋常性座瘡の予防または処置における使用などの、皮膚の物理的および/または免疫学的バリア機能の損傷に関連する疾患または障害の処置に使用するための、式(I):
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-(AA-(AA-Y-Z-R (I)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、
AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの0、1つまたは2つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
aは1であり、bは0または1であり、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、Rは、-NR、-OR、-SRからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、
およびRは、アミノ酸ではない)
の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の物理的および免疫学的バリア機能の維持および/または改善に有効な化合物、ならびにこれを含む化粧用組成物および医薬組成物に関する。化合物は、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の処置および/またはケアに有用である。特に、化合物は、皮膚の潤いを維持および/または改善する、ならびに皮膚の微生物平衡を維持するために有用である。
【背景技術】
【0002】
皮膚の主な機能は、宿主内部と環境との間に障壁を形成することである。皮膚は、化学品、紫外線光、機械的損傷および病原性微生物から生物を保護しなければならない。最も重要なのは、皮膚は、水および電解質の喪失を防止する効率的な透過障壁をもたらさなければならないことである。皮膚は、表皮、真皮および皮下組織から構成される。表皮は、4つの層:細胞増殖が起こる未分化基底層、有棘層、顆粒層(SG)および角質層の無細胞層からなる。透過障壁は、主に角質層に局在しているが、顆粒層にも局在している
【0003】
角質層(SC)では、3つの生理学的パラメーターが、バリア機能の質:角質層厚さ、細胞間脂質含量および脂質の組織化に寄与している。パラメーターはすべて、皮膚微細構成またはマイクロレリーフおよび水分含量に密接に関連している。角質層では、角質細胞およびラメラ体が、この透過障壁の実現に必須である。角質細胞は、核の分解、DNAの喪失、ならびにセラミド、コレステロールおよび遊離脂肪酸を含有する中性脂質細胞外マトリックスに対するプラットフォームとして働く特有のコーニファイドエンベロープの形成を伴う、終末分化を受けたケラチノサイトである。角質層の厚さは、落屑と角質細胞の補給との間のバランスに依存する。角質層の細胞間の脂質は、ケラチノサイト分化プロセスの一部として、顆粒層である角質層の下の層から導かれる。ラメラ体は、抗微生物ペプチドなどの極性前駆体脂質およびタンパク質を、顆粒層であるケラチノサイトから角質層の細胞外空間に送達するのに重要な役割を果たす、表皮中の膜二層分泌細胞小器官である。この脂質に基づく「乳鉢」は、身体内に物質が拡散するための主要経路であると考えられる。それは、セラミド(Cer)、コレステロール(Chol)および遊離脂肪酸(FFA)のほぼ等モル濃度の混合物からなる。さらに、少量の硫酸コレステロール(CholS)が存在する。セラミド含有率が高いこの異常な組成物は、皮膚バリア機能の維持にとって必須である。さらに、アトピー性皮膚炎および乾癬などの主な皮膚疾患において、セラミドのレベルがより低いことおよびセラミドのプロファイルの改変が見出されている。ヒト角質層では、4種のスフィンゴイド塩基および3種のアシル鎖型に基づく、11の主要な部分クラスのセラミドが特定されている。アシル鎖長が、非常に重要であることが報告されている。具体的には、皮膚セラミドは専ら非常に長いアシル鎖を有するという事実のため、アシル鎖長が短くなると皮膚の拡散抵抗が恐らく低下すると考えられている。最も豊富に存在する種は、Cer NSである。短鎖セラミドは、様々な実験において、水溶解度の向上したセラミド模倣物として使用されているが、最近の検討により、細胞膜および皮膚における、天然の長鎖セラミドとその短鎖アナログとの間の実質的な差異が示された。角質層セラミド膜の透過性に影響を及ぼす、両親媒性経皮浸透促進剤の活性は、鎖長に非常に依存する。同様に、脂質鎖は、細胞間脂質層の緊密さに影響を及ぼし得る、立体構造(トランスまたはゴーシェ)をとることができ、これにより、角質層における水の輸送に影響を及ぼすことがある。さらに、脂質層の横方向の並びが、重要であることが公知である。斜方晶系と六角形のパッキングとの間のバランスが存在する。どちらの組織体も層状であるが、斜方晶系組織体は、水を脂質相に循環させるために必要である一方、斜方晶系相の割合は、組織に水が流れる速度を低下させる。セラミド中の長いアシル鎖は、緊密に密集した非透過性脂質ラメラの形成に必須であることが報告されている
【0004】
皮膚表面における線は、皮膚マイクロレリーフまたは肌マイクロレリーフとして公知のものを構成する。皮膚マイクロレリーフの異なる様態は、線の方向および深さに応じて一般に分類される。一次および二次線は、別々であり浅く、約200μmの深さにまで到達している。それらの線は、十文字パターンを形成しており、例えば、手首では容易に特定可能である。一次線のマイクロレリーフ特徴は、皮膚の柔軟さおよびその滑らかな様態などの因子に関連している。皮膚マイクロレリーフの線の方向および深さは、老化および様々な環境因子により影響を受ける。例えば、皮膚表面のパターンは、乾燥条件下では粗くなる。角質層の潤い状態は、皮膚マイクロレリーフに影響を及ぼす重要な要因である:皮膚表面の形態は、様々な湿度条件下で変り得、保水剤の施用によって、または潤いによって調節され得る5a。対照的に、しわは、一層容易に目視可能な構造であり、この構造は、皮膚表面上の線よりも複雑で深く、それほど多くはない。しわは、皮膚の下での筋肉の収縮により主に引き起こされ、これが、目を細める、顔をしかめる、および微笑むといった顔の表情を作る際にしわが現れる理由である。
【0005】
角質層は、皮膚障壁の非常に重要な部分を形成し、二次表皮障壁(密着結合バリア)がかなり前に推定されたにもかかわらず、表皮において存在する唯一の障壁であると数十年も考えられた。密着結合(TJ)は、顆粒層(SG)中に存在するマルチタンパク質複合体によって形成されている細胞間接合である。それらは、(i)オクルディン(OCLN)、接合性接着分子(JAM)およびクローディン(CLDN)を含めた内在性膜タンパク質;(ii)アクチン細胞骨格、例えばZOアイソフォームへの膜構成成分を固定する足場タンパク質;ならびに(iii)シグナル伝達分子および転写因子を含む細胞質タンパク質からなる。密着結合は、細胞間密封を主に担っている。密着結合密封は、接合複合体の先端部に物理的障壁を形成することにより、傍細胞経路による細胞間の分子の自由拡散を防止する。密着結合によって創出された密封は、絶対的なものではない;密着結合は、あたかも、それらが孔により穴が空けられたかのごとく挙動し、これにより、イオンおよび未変化小分子が、傍細胞経路を選択的に通過するのを可能にする。これは、上皮機能にとって重要である。密着結合の構造は、二次表皮バリア機能と合致する
【0006】
表皮における密着結合の主要構成成分であるクローディン-1(CLDN1)は、このバリア機能に不可欠であることが報告されている。CLDN1の異常により、ヒト皮膚疾患が引き起こされる。最近の証拠により、一般的な慢性炎症性皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎(AD)は、ヒトにおけるCLDN1発現レベルの低下を伴うことが示されている。アトピー性皮膚炎は、児童の約20%および成人の3%に見られ、その症状には、患者のクオリティオブライフを低下させる、掻痒および湿疹が含まれる。アトピー性皮膚炎の特色を説明するため、免疫グロブリンE(IgE)レベルおよび後天性免疫応答の向上などの免疫学的不均衡が、以前に提唱されたが、最近の検討により、表皮バリア機能は、アトピー性皮膚炎の病理学的特色に決定的に影響を及ぼすことが示された。マウスにおけるCLDN1発現レベルの低下に対するin vivo応答の最近の検討により、CLDN1は、アトピー性皮膚炎において重要な役割を果たし、そのいくつかの特色は、CLDN1発現レベルに関連することが明らかになった。これらの結果により、バリア機能のCLDN1誘発性変化が、アトピー性皮膚炎の病因、重症度および自然経過において潜在的な役割を有しているという強力な証拠が提供され、アトピー性皮膚炎の免疫学的特色が、外部環境に依存することが示唆される。CLDN1は、時間および用量依存的にin vivoでアトピー性皮膚炎の特色を統合し、このことは、アトピー性皮膚炎の病因論に洞察をもたらし、将来の治療の潜在的な標的を示唆する
【0007】
細菌、真菌およびウイルスを含めた微生物、ならびにダニの多様な集まりにより、皮膚にコロニーが形成される。皮膚に存在する一連の微生物群は、皮膚細菌叢と呼ばれる。これらの微生物の多くは無害であり、一部の場合、ヒトゲノムが進化していない生命機能をもたらす。共生微生物は、広範囲の皮膚ニッチを占有し、より病原性または有害な生物による侵入から保護する。ヒト皮膚は、様々な温度、pH、湿度、抗微生物ペプチド(AMP)組成および脂質含量を有する様々なエリアから構成されている。したがって、これらの多様なエリアは、微生物の成長にとって、特有かつ様々なエリアをもたらす。皮膚細菌叢は正の効果をもたらし、宿主に、様々な機構を介する免疫防御に寄与する。皮膚は、多様な微生物との複雑な関係を有する。皮膚ケラチノサイトは、抗微生物ペプチドの分化誘導および個別のシグナル伝達経路の活性化によって、片利共生生物の存在と病原性微生物の存在とを区別して、適応および迅速自然免疫応答を誘発する。生理学的および心理学的ストレス要因は、宿主と細菌叢との間の情報伝達をモジュレートし、こうして、免疫応答に影響を及ぼし、感染を推進する恐れがある
【0008】
皮膚免疫応答は、創傷および感染にきわめて重要であり、やはり、皮膚にコロニー形成する片利共生細菌叢をモジュレートする。生得的保護の主要部分は、Toll様受容体(TLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン(NOD)様受容体(NLR)、レチノイン酸誘発性遺伝子I(RIGI)様受容体(RLR)およびC型レクチン受容体(CLR)を含む、ヒトにおける、パターン認識受容体(PRR)による病原体関連分子パターン(PAMP)の認識である。PAMPによるPRRのライゲーションは、炎症応答を結果としてもたらして、侵入する病原体の効率的な破壊に至る。皮膚におけるこれらの機能を遂行するため、常在免疫系細胞(例えば、表皮ランゲルハンス細胞(LC)、真皮内樹状細胞(DDC)および肥満細胞)、および非免疫系細胞(例えば、ケラチノサイト、メラノサイト、微細血管の内皮細胞、線維芽細胞および脂肪細胞などの間質細胞)は、PRRの配列を有する。皮膚における病原性微生物はまた、デフェンシンおよびカテリシジンなどの抗微生物ペプチドにより死滅し得、これらのペプチドは、ケラチノサイトにより構成的に産生されるか、または炎症応答もしくは微生物構成要素によるパターン認識受容体の直接活性化後に誘発される。Toll様受容体は、細胞表面(TLR1、2、4~6、10)における、またはエンドソーム(TLR3、7~9)内の病原体を認識する一方、(NOD)様受容体および(RIGI)様受容体は、細胞内監視分子として作用する10。Toll様受容体は、その細胞質領域における大きな相同性を共有するインターロイキン-1受容体(IL-1R)のより大きなスーパーファミリーのメンバーである。IL-1RおよびTLRファミリーは、共有している下流のシグナル伝達分子を介して、シグナルを発する。それらは、とりわけ、アダプター分子MyD88を含む11
【0009】
ウイルス感染は、ウイルスの標的としてのケラチノサイトを伴うヒト皮膚において一般的なものである。したがって、十分な抗ウイルス応答を誘発する能力は、自然免疫応答の最早期の間、重要と思われる。ケラチノサイトは、in vitroで、ウイルス感染の間の代謝産物として発生する、合成模倣ウイルスの二本鎖RNAアナログに非常に良好に応答する。対応する受容体は、TLR3およびMDA5であり、これらは、ケラチノサイトを含めた多数の細胞型において発現する。TLR3の活性化は、NF-κB活性化、およびCXCL8/IL8などのNF-κB応答タンパク質の上方調節を直接もたらすか、またはTANK結合性キナーゼ1(TBK1)により、MyD88とは無関係に、IRF3転写因子を最終的に刺激するTRIF活性化を誘因し、続いて、I型インターフェロン(IFN)を産生し、炎症性サイトカインを発現させる。したがって、ケラチノサイトは、皮膚のウイルス感染を効率的に標的とすることを可能にする、幅広い抗ウイルス防御プログラムを備える。出生前の皮膚は、成人皮膚とToll様受容体の同じスペクトルを既に発現している。驚くべきことに、多くのToll様受容体は、成人皮膚よりも、出生前(TLR1~5)および幼児および児童(TLR1および3)の皮膚においてかなり多く発現される12
【0010】
物理的および免疫学的障壁は、表皮中で維持され、これらの障壁間の相互作用は公知である。Toll様受容体の活性化は、培養したケラチノサイトにおいて密着結合を機能的に改変し、このことは、密着結合機能の速やかな増強は、病原体および/またはその分泌生成物のさらなる侵入を防止し、皮膚障壁ホメオスタシスを維持することを示す。例えば、表皮への病原体の浸潤により、TLR2シグナル伝達によって(TLR2またはTLRアダプターMyD88により)、密着結合機能が増強されることが公知である13
【0011】
皮膚細菌叢における、個人内の解剖学的変化に加えて、皮膚微生物相の多様性および存在量は、性別、年齢、時期、民族性、ならびに生理学的傷害および心理学的不安を含めた様々なストレス要因の間で様々となり、様々な微生物の代謝要件および病原性に直接、影響を及ぼす皮膚微小環境内の内分泌および代謝変化を促進する。温度およびUV曝露を含めた天候など環境因子の影響だけでなく、微生物群に対するアルコール摂取および栄養を含めたライフスタイルの影響がまだ解明されていない。
【0012】
頻度の高い洗浄もまた、皮膚障壁を害して、皮膚刺激、および手の皮膚のマイクロバイオームの変化を結果としてもたらすことが報告されている。化粧品、衛生用品、メーキャップおよび保湿剤もまた、皮膚細菌叢の改変にやはり関連している。
【0013】
抗生物質の使い過ぎは、すべての種類の細菌感染の処置において初期のうちのおよびその後も依然としてある重要な節目であり、病原性微生物のある特定の数の抗生物質耐性株をもたらす一般健康問題となり、感染の処置をほとんど不可能にして、したがって、胃腸および皮膚細菌叢が恒久的に不均衡となる。がんを処置するために使用される放射線療法および化学療法もまた、細菌叢に影響を及ぼすことがある。
【0014】
しかし、健常な皮膚細菌叢を不均衡にする外因性因子だけが存在するわけではない。例えば、思春期の間の皮脂の過剰産生などの内在性因子により、潜在的ににきびおよび皮膚細菌叢の不均衡をもたらす、Propionibacterium acnes(P.acnes)による過剰コロニー形成が増強される14。片利共生皮膚細菌であるP.acnesの過剰成長は、尋常性座瘡の進行と関連している。皮膚微生物は、皮膚において天然に産生されるグリセロールの発酵を媒介して、P.acnesの成長に対する阻害効果を増強することができる。その大部分が、ヒトの指紋のマイクロバイオームにおける、Staphylococcus epidermidis(S.epidermidis)として特定されている皮膚微生物は、グリセロールを発酵して、阻害ゾーンを創出し、過剰成長したP.acnesのコロニーを遠ざけることができる15
【0015】
証拠の増加により、ヒト皮膚のマイクロバイオームにおける片利共生微生物が、病原体と闘い、マイクロバイオームのホメオスタシスを維持する一助となることが実証されている。これら微生物は、その1つが過剰成長すると、生物学的均衡を維持する。一部の片利共生細菌の成長により、病原性細菌から宿主が直接および間接的の両方で保護される。直接の効果には、バクテリオシン産生、毒性代謝産物の産生、低還元酸化電位の誘発、必須栄養素の枯渇、競合細菌の付着の防止、転座の阻害および毒素の分解が含まれる。片利共生細菌は、栄養素、ニッチおよび受容体を得るために競合する。例えば、Staphylococcus epidermidisは、ケラチノサイト受容体に結合して、伝染力の強いS.aureusの付着を阻害する。片利共生生物は、バクテリオシンとして公知の種特異的抗生物質を放出することができる。間接的に、細菌は、宿主の抗体産生の増強を誘発する、食作用およびクリアランス機構を刺激する、ならびにインターフェロンおよびサイトカイン産生を増加させることができる16
【0016】
皮膚の微生物相は、疾患状態の間、正常と比べて、様々な病原菌の相対組成の変化として定義される、ディスバイオシスの状態に入る恐れがある。これは、アトピー性皮膚炎において最もよく説明される。アトピー性皮膚炎の病変において、S.aureusのコロニー形成が増大していることが、1970年代に最初に観察された。アトピー性皮膚炎における、皮膚のS.aureusのコロニー形成の増大の他に、16S rRNA DNAの配列決定により、S.epidermidisのコロニー形成の増大が明らかにされた。これは、感染に対する保護的役割を有するように思われる。S.epidermidisはまた、マウスおよびケラチノサイトモデルの両方において、内因性AMPの増幅による、保護的役割を有することが示されている。最後に、S.epidermidisが、鼻腔において、S.aureusのバイオフィルム形成を防止することができる、およびそれ自体、AMPを産生して、他の病原体が皮膚にコロニー形成するのを防止することができるという証拠が存在する。したがって、アトピー性皮膚炎によって影響を受ける皮膚でのS.epidermidisのコロニー形成の増大は、皮膚にとって、アトピー性皮膚炎においてS.aureusのコロニー形成の増大を自然に防止する方法となり得る17
【0017】
皮膚の物理的および/または免疫学的バリア機能を維持するおよび/または改善するように、皮膚を処置する新たな方法が必要とされている。損なわれたバリア機能に関連する皮膚への1つまたは複数の有害効果を予防する、および/または軽減するように、皮膚を処置する新たな方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の態様では、本発明は、式(I)
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-(AA-(AA-Y-Z-R (I)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの最大で2つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であるが、ただし、aが0である場合、bは0であり、aが1である場合、bは0または1とすることができることを条件とし、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
は、-NR、-OR、-SRからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、
およびRは、アミノ酸ではない)
によって表される化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0019】
本発明の化合物は、皮膚によりもたらされる物理的および免疫学的障壁を維持および改善するのに有効であることが見出された。結果として、本発明の化合物は皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の保護、処置および/またはケアに有用である。特に、本発明の化合物は、皮膚の損なわれた物理的バリア機能および/または皮膚の損なわれた免疫学的バリア機能に関連する、皮膚の状態の非治療的および治療的処置に有用である。
【0020】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を、少なくとも1種の化粧品としてもしくは薬学的に許容される賦形剤またはアジュバントと一緒に含む化粧用組成物または医薬組成物を提供する。
【0021】
別の態様では、本発明は、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の処置および/またはケアのための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩、あるいは式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を含む組成物の使用を提供する。
【0022】
一態様では、本発明は、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアのための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/もしくは化粧品として許容されるその塩、またはそれらを含む組成物の化粧的な非治療的使用を提供する。特に、本発明の化合物は、皮膚の潤いの維持および/または改善に有効であることが見出された。
【0023】
一態様では、本発明は、医薬として使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体および/もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらを含む医薬組成物を提供する。特に、本発明は、皮膚のバリア機能の損傷に関連する疾患または障害の処置または予防において使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体および/もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらを含む医薬組成物を提供する。特に、本発明は、アトピー性皮膚炎の処置に使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体および/もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらを含む医薬組成物に関する。
【0024】
本発明はまた、疾患または障害の処置または予防のための医薬の製造のための、式(I)の化合物、その立体異性体および/またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。疾患または障害は、皮膚のバリア機能の損傷に関連し、アトピー性皮膚炎を含む。
【0025】
別の態様では、本発明は、対象の皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の処置および/またはケアの方法であって、対象に、式(I)の化合物、その立体異性体および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩、あるいはそれらを含む組成物を投与するステップを含む方法を提供する。通常、本発明の化合物は、局所的に投与される。
【0026】
一態様では、本発明は、対象の皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の処置および/またはケアの化粧的な非治療的方法であって、対象に、式(I)の化合物、その立体異性体および/もしくは化粧品として許容されるその塩、またはそれらを含む化粧用組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0027】
一態様では、本発明は、疾患または障害の処置の方法であって、対象に、式(I)の化合物、その立体異性体および/もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらを含む医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。疾患または障害は、皮膚のバリア機能の損傷に関連する皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の疾患または障害を含む。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(I):
-W -X -AA -AA -AA -AA -AA -AA -(AA -(AA -Y -Z -R (I)
(式中、
AA はGluであり、AA はGluであり、AA はMetであり、AA はGlnであり、AA はArgであり、AA はArgであり、AA は、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、
AA は、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、
AA 、AA 、AA 、AA 、AA およびAA の0、1つまたは2つが置き換えられているが、ただし、
AA が置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AA が置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AA が置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AA が置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AA が置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AA が置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であるが、ただし、aが0である場合、bは0であり、aが1である場合、bは0または1とすることができることを条件とし、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR -CO-からなる群から選択され、
は、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、R は、-NR 、-OR 、-SR からなる群から選択され、
およびR は、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、
およびR は、アミノ酸ではない)
の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩。
(項目2)
Ac-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-NH ではない、項目1に記載の化合物。
(項目3)
以下の化合物:
-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-R
-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-R
-Glu-Leu-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-R
-Glu-Leu-Glu-Glu--Met-Gln-Arg-Arg-Ala-R 2;
-Glu-Leu-Glu-Glu--Met-Gln-Arg-Arg-R
-Leu-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-Gln-R
-Leu-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-R
-Leu-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-R
-Leu-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-R
-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-Gln-Leu-R
-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-Gln-R ;および
-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-R
の1つではない、項目1に記載の化合物。
(項目4)
AA ~AA の0または1つが置き換えられている、項目1に記載の化合物。
(項目5)
a=b=0であり、好ましくは、(i)AA ~AA の1つが置き換えられている場合、AA がAspもしくはGlnにより置き換えられているか、またはAA がAspもしくはGlnにより置き換えられているか、またはAA がLeuにより置き換えられているか、またはAA がGluもしくはAsnにより置き換えられているか、またはAA がLysにより置き換えられているか、またはAA がLysにより置き換えられており、(ii)AA ~AA の2つが置き換えられている場合、AA がIleにより置き換えられており、AA がGluにより置き換えられているか、またはAA がLysにより置き換えられており、AA がLysにより置き換えられている、前記項目のいずれか一項に記載の化合物。
(項目6)
a=1およびb=0であり、好ましくは、(i)AA ~AA の1つが置き換えられている場合、AA がAspにより置き換えているか、またはAA がAspにより置き換えられており、(ii)AA ~AA の2つが置き換えられている場合、AA がAspにより置き換えられており、AA がGluにより置き換えられている、項目1から3のいずれか一項に記載の化合物。
(項目7)
a=1およびb=1であり、好ましくは、(i)AA ~AA の1つが置き換えられている場合、AA がAspもしくはGlnにより置き換えられているか、またはAA がLeuにより置き換えられているか、またはAA がGlu、AspもしくはAsnにより置き換えられているか、またはAA がLysもしくはHisにより置き換えられている、項目1から3のいずれか一項に記載の化合物。
(項目8)
が、HおよびR -CO-からなる群から選択され、R が、C ~C 18 アルキル、C ~C 24 アルケニル、C ~C 24 シクロアルキルからなる群から選択され、R が、-NR または-OR であり、R およびR が、HおよびC ~C 16 アルキルからなる群から独立して選択される、項目1から6のいずれか一項に記載の化合物。
(項目9)
(i)項目2、または項目2に従属する項目3から8のいずれか一項に記載の化合物、および(ii)Ac-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-NH を含む、化粧用組成物または医薬組成物。
(項目10)
皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアにおける、項目1から8のいずれか一項に記載の化合物または項目9に記載の化粧用組成物の化粧的な非治療的使用。
(項目11)
前記化粧的な非治療的処置および/またはケアが、皮膚の物理的バリア機能および皮膚の免疫学的バリア機能の維持および/または改善である、項目10に記載の化粧的な非治療的使用。
(項目12)
前記化粧的な非治療的処置および/またはケアが、水および電解質の皮膚からの低下もしくは喪失;皮膚の保湿化の維持および/もしくは改善;皮膚の落屑の予防もしくは低減;乾燥皮膚に悩んでいるもしくは乾燥皮膚になる傾向を有する対象における皮膚の落屑の予防もしくは低減;皮膚マイクロレリーフの維持および/もしくは改善;皮膚の柔軟さおよび/もしくは皮膚の滑らかな様態の維持および/もしくは改善;皮膚健康の維持および/もしくは改善;化学刺激物、汚濁物質および病原体を含めた環境危険物質からの皮膚の保護;皮膚の自然免疫防御機構の維持および/もしくは改善;ならびに/または皮膚の微生物平衡の維持である、項目10に記載の化粧的な非治療的使用。
(項目13)
医薬として使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体および/もしくはその薬学的に許容される塩、または項目9に記載の医薬組成物。
(項目14)
アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、乾癬および/または尋常性座瘡の予防または処置における使用などの、皮膚の物理的および/または免疫学的バリア機能の損傷に関連する疾患または障害の処置に使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体および/もしくはその薬学的に許容される塩、または項目9に記載の医薬組成物。
(項目15)
項目1から8のいずれか一項に記載の、式(I)の化合物、その立体異性体および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を、化粧品として有効なまたは薬学的に有効な量で、ならびに少なくとも1つの化粧品として許容される賦形剤またはアジュバントを含む、化粧用組成物または医薬組成物。
(項目16)
化粧品として有効量の項目1から8のいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体および/または化粧品として許容されるその塩、あるいは化粧品として有効量の該化合物、その立体異性体および/または化粧品として許容されるその塩を含む化粧品用組成物を、対象に投与するステップを含む、該対象の皮膚、毛髪、爪および/または粘膜を処置および/またはケアする化粧的な非治療的方法であって、該処置および/またはケアが、皮膚の物理的バリア機能および皮膚の免疫学的バリア機能の維持および/もしくは改善;水および電解質の皮膚からの喪失の低減;皮膚の潤いの維持および/もしくは改善、すなわち皮膚の保湿化の維持および/もしくは改善;皮膚マイクロレリーフの予防、維持および/もしくは改善;皮膚の柔軟さおよび/もしくは皮膚の滑らかな様態の維持および/もしくは改善;皮膚健康の維持および/もしくは改善;化学刺激物、汚濁物質および病原体を含めた環境危険物質からの皮膚の保護;皮膚の自然免疫防御機構の維持および/もしくは改善;ならびに/または皮膚の微生物平衡の維持である、化粧的な非治療的方法。
(項目17)
前記化粧用組成物が項目9に記載の化粧用組成物である、項目16に記載の化粧的な非治療的方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
定義
本発明の文脈において、「皮膚」は、最上層または角質層から最下層または皮下組織(両方を含む)までの皮膚を含む層であると理解される。これらの層は、とりわけ、ケラチノサイト、線維芽細胞、メラノサイト、肥満細胞、ニューロンおよび/または脂肪細胞などの様々なタイプの細胞から構成される。用語「皮膚」はまた、頭皮も含む。用語「皮膚」は、哺乳動物の皮膚を含み、ヒト皮膚を含む。同様に、用語「毛髪、爪および粘膜」は、哺乳動物、例えばヒトの毛髪、爪および粘膜を含む。
【0029】
用語「処置」は、疾患もしくは障害を軽減もしくは排除するため、または前記疾患もしくは障害に関連する1つもしくは複数の症状を低減もしくは排除するため、本発明による化合物の投与を対象とする方法を含む治療的方法を網羅する。用語「処置」はまた、疾患または障害の生理学的結果を軽減または排除することを対象とする治療の方法も網羅する。
【0030】
用語「処置」および「ケア」は、「化粧的」および/または「非治療的」というただし書きを伴う場合、処置またはケアが、そのようなものであり、例えば、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の審美的外観を改善または維持する目的を有することを意味する。特に、処置は、例えば、以下に限定されないが、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の審美的外観に影響を及ぼす、潤い、弾力性、張り、つや、色調または質感のレベルなどの、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧上の特性を改善する目的を有することができる。本明細書の文脈における用語「ケア」は、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の特性の維持を指す。前記特性は、健常な対象(例えば、対象が皮膚の炎症に悩んでいない場合などの、炎症により影響を受けていない皮膚の化粧的な非治療的処置および/もしくはケアにおいて、対象がアトピー性皮膚炎に悩んでいない場合のなどの、アトピー性皮膚炎により影響を受けていない皮膚の化粧的な非治療的処置および/もしくはケアにおいて、対象が接触性皮膚炎に悩んでいない場合などの、接触性皮膚炎により影響を受けていない皮膚の化粧的な非治療的処置および/もしくはケアにおいて、対象が湿疹に悩んでいない場合などの、湿疹(exczema)により影響を受けていない皮膚の化粧的な非治療的処置および/もしくはケアにおいて、ならびに/または対象が乾癬に悩んでいない場合などの、乾癬により影響を受けていない皮膚の化粧的な非治療的処置および/もしくはケアにおいて)と、敏感皮膚を有するもの、および例えば、以下に限定されないが、とりわけ、潰瘍および皮膚への傷害、乾癬、皮膚炎、にきびまたは酒さなどの皮膚、毛髪、爪および/もしくは粘膜の疾患ならびに/または障害を示すものとの両方における、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的処置および/またはケアによって改善または維持を受ける。
【0031】
本発明において使用される用語「予防」は、疾患もしくは障害の出現もしくは発症を予防、遅延もしくは妨害する、または皮膚、粘膜および/もしくは毛髪の化粧上の特性の変化を予防、遅延もしくは妨害する、本発明の化合物の能力を指す。本発明において使用される用語「予防」は、用語「阻害」と互換可能であり、すなわち、それは、疾患もしくは障害の出現もしくは発症を阻害する、または皮膚、毛髪、爪および/もしくは粘膜の化粧上の特性の変化を阻害する、本発明の化合物の能力を指す。
【0032】
本発明の文脈において、用語「老化」は、年齢と共に(経年老化(chronoaging))または太陽(光老化)または、煙草の煙、寒さもしくは風の極端な気候条件、化学的汚染物質もしくは汚濁物質などの環境作因への曝露により、皮膚が受ける変化を指し、外側から目視可能なおよび/または触覚により知覚可能なすべての変化、例えば、以下に限定されないが、しわ、小じわ、表情線、ストレッチマーク、深いしわ、凹凸もしくは粗さ、毛穴の大きさの増大、潤いの喪失、弾力性の損失、張りの喪失、滑らかさの喪失、変形からの回復能の喪失、復元力の喪失、たるんだ頬などの皮膚のたるみ、目の下の隈の出現もしくは二重顎の出現、とりわけ、しみ、発赤、隈、または年齢による斑もしくはそばかすなどの色素沈着過剰エリアの出現などの皮膚の色調の変化、とりわけ、異常分化、超角質化、弾性線維症、角化症、抜け毛、オレンジピールスキン、コラーゲン構造の喪失、およびとりわけ、角質層、真皮、表皮、血管系(例えば、くも状静脈または毛細血管拡張症の出現)の、または皮膚付近のそれらの組織の他の組織学的変化などの、皮膚における不連続性の発生が挙げられる。用語「光老化」は、皮膚の早期老化を結果としてもたらす紫外放射線への皮膚の長期の曝露による一連のプロセスをまとめたものであり、この用語は、以下に限定されないが、しまりのなさ、たるみ、色素沈着における色調の変化またはむら、異常および/または過剰角質化などの、老化と同じ物理的特徴を示す。煙草の煙への曝露、環境汚染への曝露、ならびに寒さおよび/または風などの気候条件などの様々な環境因子の総体もまた、皮膚の老化の原因になる。
【0033】
本明細書では、アミノ酸に使用される略称は、Eur. J. Biochem.、(1984年)、138巻、9~37頁に特定されている、IUPAC-IUB生化学命名法委員会(Commission of Biochemical Nomenclature)の規則に従う。したがって、例えば、Glyは、NH-CH-COOHを表し、Gly-は、NH-CH-CO-を表し、-Glyは、-NH-CH-COOHを表し、-Gly-は、-NH-CH-CO-を表す。したがって、ペプチド結合を表すハイフンが、記号の右側に位置する場合は、アミノ酸の1-カルボキシル基におけるOH(ここでは、従来の非イオン化型で表す)がなく、記号の左側に位置する場合は、アミノ酸の2-アミノ基のHがない。両方の修飾を、同じ記号に適用することができる(表1を参照されたい)。
【表1】
【0034】
本明細書で使用する場合、用語「非環式脂肪族基」は、線状(すなわち、直鎖状および非分岐状)または分岐状の、アルキル、アルケニルおよびアルキニルなどの飽和または不飽和ヒドロカルビル基を含む。非環式脂肪族基は、置換(一置換または多置換)されていても、置換されていなくてもよい。
【0035】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、飽和線状アルキル基と飽和分岐状アルキル基の両方を含み、これらは、置換(一置換または多置換)されていても、置換されていなくてもよい。アルキル基は、単結合によって分子の残りに結合している。アルキル基は、1~24個、好ましくは1~16個、より好ましくは1~14個、さらにより好ましくは1~12個、さらにより好ましくは1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を有する。用語「アルキル」には、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、2-メチルブチル、ヘプチル、5-メチルヘキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ラウリル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびアミルが含まれる。
【0036】
本明細書で使用する場合、用語「アルケニル」は、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含有する基を指し、これは、線状でも分岐状でもよく、置換(-置換または多置換)されていても、置換されていなくてもよい。好ましくは、1つ、2つまたは3つの炭素-炭素二重結合を有する。1つよりも多い炭素-炭素二重結合が存在する場合、二重結合は、コンジュゲートしていても、コンジュゲートしていなくてもよい。好ましくは、アルケニル基は、2~24個、好ましくは2~16個、より好ましくは2~14個、さらにより好ましくは2~12個、さらにより好ましくは2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を有する。アルケニル基は、単結合によって分子の残りに結合している。用語「アルケニル」には、例えば、ビニル(-CH=CH)基、アリル(-CH-CH=CH)基、プレニル基、オレイル基、リノレイル基および同様のものが含まれる。
【0037】
用語「アルキニル」は、1つまたは複数の炭素-炭素三重結合を含有する基を指し、これは、線状でも分岐状でもよく、置換(一置換または多置換)されていても、置換されていなくてもよい。好ましくは、アルキニル基は、1つ、2つまたは3つの炭素-炭素三重結合を有する。三重結合は、コンジュゲートしていても、コンジュゲートしていなくてもよい。アルキニル基は、2~24個、好ましくは2~16個、より好ましくは2~14個、さらにより好ましくは2~12個、さらにより好ましくは2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を有する。アルキニル基は、単結合によって分子の残りに結合している。用語「アルキニル」には、例えば、以下に限定されないが、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、ペンチニル(1-ペンチニルなど)、および同様のものが含まれる。アルキニル基はまた、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含有することができ、アルキニル基には、例えば、以下に限定されないが、ブタ-1-エン-3-イニル基およびペンタ-4-エン-1-イニル基、ならびに同様のものが含まれる。
【0038】
用語「アリシクリル」は、例えば、以下に限定されないが、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基またはシクロアルキニル基などの脂肪族環式(脂環式)基を含むよう本明細書において使用される。用語「アリシクリル」は、炭素原子の1つまたは複数の環を含有するモノラジカルを指し、環は、飽和(例えば、シクロヘキシル)であっても不飽和(例えば、シクロヘキセニル)であってもよいが、ただし、それらは芳香族ではないことを条件とする。より詳細には、脂環式基は、3個またはそれよりも多い、3~24個、3~12個または6~12個の環炭素原子を含有する。脂環式基は、単環式、二環式または三環式環系とすることができ、環は、例えば、縮合していても、あるいは単結合、またはメチレン基もしくは他のアルキレン基などの連結基によって連結していてもよい。脂環式基は、置換(一置換または多置換)されていても、置換されていなくてもよい。一実施形態では、アリシクリル基は、炭素原子からなり、任意選択で1つまたは2つの二重結合を含有する6~12員の環系である。
【0039】
用語「シクロアルキル」は、置換(一置換または多置換)されていても、置換されていなくてもよい飽和の一環式または多環式アルキル基を指す。シクロアルキル基は、3~24個、好ましくは3~16個、より好ましくは3~14個、さらにより好ましくは3~12個、さらにより好ましくは3個、4個、5個または6個の炭素原子を有する。シクロアルキル基は、単結合によって分子の残りに結合しており、シクロアルキル基には、例えば、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、オクタヒドロインデン、デカヒドロナフタレン、ドデカヒドロフェナレンおよび類似のものが含まれる。
【0040】
用語「シクロアルケニル」は、置換(一置換または多置換)されていても、置換されていなくてもよい非芳香族の一環式または多環式アルケニル基を指す。シクロアルケニル基は、5~24個、好ましくは5~16個、より好ましくは5~14個、さらにより好ましくは5~12個、さらにより好ましくは5個または6個の炭素原子を有する。シクロアルケニル基は、単結合によって分子の残りに結合している。好ましくは、シクロアルケニル基は、1つ、2つまたは3つの炭素-炭素二重結合を含有する。1よりも多い炭素-炭素二重結合が存在する場合、二重結合は、コンジュゲートしていても、コンジュゲートしていなくてもよい。シクロアルケニル基には、例えば、以下に限定されないが、シクロペンタ-1-エン-1-イル基および同様のものが含まれる。
【0041】
用語「シクロアルキニル」は、置換(一置換または多置換)されていても、置換されていなくてもよい非芳香族の一環式または多環式アルキニル基を指す。シクロアルキニル基は、8~24個、好ましくは8~16個、より好ましくは8~14個、さらにより好ましくは8~12個、さらにより好ましくは8個または9個の炭素原子を有しており、単結合によって分子の残りに結合している。好ましくは、シクロアルキニル基は、コンジュゲートしているか、またはコンジュゲートしていない1つ、2つまたは3つの炭素-炭素三重結合を含有する。シクロアルキニル基には、例えば、以下に限定されないが、シクロオクタ-2-イン-1-イル基および同様のものが含まれる。シクロアルキニル基はまた、例えば、以下に限定されないが、シクロオクタ-4-エン-2-イニル基および同様のものを含めた、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含有することができる。
【0042】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、3~10員の炭化水素環系を指し、環(単数または複数)中の原子の1個または複数は、ヘテロ原子である(すなわち、炭素原子ではない)。したがって、「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、環原子が、炭素および1個または複数のヘテロ原子からなる、環式基を指す。価数を満足するため、ヘテロ原子は、Hまたは置換基に結合していてもよい。好ましくは、環炭素原子の1個、2個または3個が、ヘテロ原子である。各ヘテロ原子は、O、N、S、PおよびBからなる群、またはO、NおよびSからなる群から独立して選択され得る。ヘテロシクリル基は、置換(一置換または多置換)されていても、置換されていなくてもよい。ヘテロシクリル基は、単環式、二環式または三環式環系とすることができ、環は、例えば、縮合していても、あるいは単結合、またはメチレン基もしくは他のアルキレン基などの連結基によって連結していてもよい。ヘテロシクリルラジカル中に存在する窒素原子、炭素原子または硫黄原子は、任意選択で酸化されていてもよく、窒素原子は、任意選択で四級化されていてもよい。ヘテロシクリルラジカルは、不飽和であっても、部分もしくは完全飽和であってもよい。ヘテロシクリルラジカルは、脂肪族であっても、芳香族であってもよい。一実施形態では、ヘテロシクリルは、脂肪族(ヘテロアリシクリルとしても公知)であり、3~10員の環系であり、環(単数または複数)の原子は、炭素原子、および1~4個、または1個、2個もしくは3個のヘテロ原子からなる。一実施形態では、ヘテロシクリル基は、6~10員の環系であり、環(単数または複数)の原子は、炭素原子、および1~4個のヘテロ原子からなり、環系は、任意選択で1つまたは2つの二重結合を含有する。一実施形態では、ヘテロシクリルは、芳香族(ヘテロアリールとしても公知)であり、6~10員の環系であり、環(単数または複数)の原子は、炭素原子、および1~4個、または1個、2個もしくは3個のヘテロ原子からなる。用語ヘテロシクリルに関する最も高く優先されるものは、5員または6員の環を指すものである。飽和ヘテロアリシクリル基の例は、ジオキサン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリンおよびチオモルホリンである。芳香族ヘテロシクリル基の例は、ピリジン、ピロール、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、イミダゾリン、キノレイン、キノリン、ピリダジンおよびナフチリジンである。
【0043】
用語「アリール基」は、6~30個、好ましくは6~18個、より好ましくは6~10個の間、さらにより好ましくは6個または10個の炭素原子を有する、芳香族基を指す。アリール基は、1つ、2つ、3つまたは4つの芳香族環を含むことができ、炭素-炭素結合により連結されていても、一緒に縮合していてもよく、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、フェニル、ナフチル、ジフェニル、インデニル、フェナントリルまたはアントラニルを含む。アリール基は、置換(一置換または多置換)されていても、置換されていなくてもよい。
【0044】
用語「アラルキル基」は、7~24個の炭素原子を有する、芳香族基により置換されているアルキル基を指し、例えば、以下に限定されないが、-(CH1~6-フェニル、-(CH1~6-(1-ナフチル)、-(CH1~6-(2-ナフチル)、-(CH1~6-CH(フェニル)および類似のものを含む。
【0045】
用語「ヘテロアリールアルキル」は、上で定義したヘテロアリール(芳香族複素環式としても公知)基によって置換されているアルキル基を指し、アルキル基は、1~6個の炭素原子を有しており、ヘテロアリール基は、2~24個の炭素原子および1~3個のヘテロ原子を有する。ヘテロアリールアルキル基には、例えば、以下に限定されないが、-(CH1~6-イミダゾリル、-(CH1~6-トリアゾリル、-(CH1~6-チエニル、-(CH1~6-フリル、-(CH1~6-ピロリジニルおよび同様のものが含まれる。
【0046】
この技術分野において理解されている通り、上述の基のある程度の置換が存在することがある。特に、明確に示されている場合、上で特定されている基のいずれかに置換が存在し得る。上で言及されている置換された基(ラジカル)は、1つまたは複数の置換基により、1つまたは複数の利用可能な位置で置換されている、基(またはラジカル)である。好ましくは、置換は、1つ、2つまたは3つの位置に、より好ましくは、1つまたは2つの位置に、さらにより好ましくは1つの位置に存在する。好適な置換基には、例えば、以下に限定されないが、C~Cアルキル;ヒドロキシル;C~Cアルコキシル;アミノ;アミノ-C~Cアルキル;C~Cカルボニルオキシル;C~Cオキシカルボニル;フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン;シアノ;ニトロ;アジド;C~Cアルキルスルホニル;チオール;C~Cアルキルチオ;フェノキシルなどのアリールオキシ;-NR(C=NR)NRが含まれ、RおよびRは、H、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、アルキニル、C~C10シクロアルキル、C~C18アリール、C~C17アラルキル、3~10員のヘテロシクリル、またはアミノ基の保護基により形成される群から独立して選択される。
【0047】
本明細書で使用する場合、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素または方法ステップを排除しない、用語「含んでいる(comprising)」は、語句「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」を代替的な実施形態として、包含することが意図されており、この場合、「からなる」は、指定されていない任意の要素またはステップを排除し、「から本質的になる」は、考慮中の組成物または方法の本質的または基本的および新規な特徴に物質的に影響しない追加の列挙されていない要素またはステップを含むことを許容する。
本発明の化合物
【0048】
第1の態様では、本発明は、式(I)
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-(AA-(AA-Y-Z-R(I)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの最大で2つ(すなわち、0、1つまたは2つ)が置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であるが、ただし、aが0である場合、bは0であり、aが1である場合、bは0または1とすることができることを条件とし、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
は、-NR、-OR、-SRからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、
およびRは、アミノ酸ではない)
によって表される化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0049】
式(I)の化合物は、鎖に連結されている6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸を含むペプチドである。Rは、ペプチドのアミノ末端(N末端)に結合しており、Rは、ペプチドのカルボキシ末端(C末端)に結合している。
【0050】
は、H、200~35000ダルトンの間に含まれる分子量を有するポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、およびR-CO-からなる群から選択することができ、Rは、C~C24アルキル、C~C24アルケニル、C~C24アルキニル、C~C24シクロアルキル、C~C24シクロアルケニル、C~C24シクロアルキニル、C~C30アリール、C~C24アラルキル、3~10員のヘテロシクリル環、ならびに2~24個の炭素原子および1~3個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する。一実施形態では、Rは、HおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、C~C18アルキル、C~C24アルケニル、C~C24シクロアルキルからなる群、またはC~C16アルキル、C~C18アルケニル、C~Cシクロアルキルからなる群から選択される。R-CO-基は、アセチル(本明細書において、「Ac-」として略記されるCH-CO-)、ミリストイル(本明細書において、「Myr-」として略記されるCH-(CH12-CO-)、およびパルミトイル(本明細書において、「Palm-」として略記されるCH-(CH14-CO-)などのアルカノイル基を含む。一実施形態では、Rは、Hおよびアセチル、tert-ブタノイル、プレニル、ヘキサノイル、2-メチルヘキサノイル、シクロヘキサンカルボキシル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイルおよびリノレオイルからなる群から選択される。一実施形態では、Rは、HおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、C~C16アルキルまたはC~C18アルケニルからなる群から選択される。一実施形態では、Rは、H、アセチル、ミリストイルまたはパルミトイルからなる群から選択される。
【0051】
は、-NR、-OR、-SRからなる群から選択することができ、RおよびRは、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、C~C24アルキル、C~C24アルケニル、C~C24アルキニル、C~C24シクロアルキル、C~C24シクロアルケニル、C~C24シクロアルキニル、C~C30アリール、C~C24アラルキル、3~10員のヘテロシクリル環、ならびに2~24個の炭素原子および1~3個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールアルキルにより形成される群から独立して選択され、アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する。任意選択で、RおよびRは、飽和または不飽和炭素-炭素結合により接合し、窒素原子と環を形成することができる。一実施形態では、Rは、-NRまたは-ORである。一実施形態では、RおよびRは、H、200~35000ダルトンの間に含まれる分子量を有するポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシルおよびヘキサデシルからなる群から独立して選択される。一実施形態では、RおよびRは、HおよびC~C16アルキルからなる群から独立して選択される。一実施形態では、RはHであり、Rは、H、ならびにメチル、エチル、ヘキシル、ドデシルおよびヘキサデシルを含むC~C16アルキルにより形成される群から選択される。一実施形態によれば、Rは、-NRおよび-ORから選択され、RおよびRは、HおよびC~C16アルキルからなる群から独立して選択される。一実施形態では、Rは、-OH、-NHおよび-NHRからなる群から選択され、Rは、C~C16アルキルである。Rは、Cアルキル、すなわち-C13またはC16アルキル、すなわち-C1633とすることができる。
【0052】
一実施形態では、Rは、HおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、C~C18アルキル、C~C24アルケニル、C~C24シクロアルキルからなる群から選択され、Rは、-NRまたは-ORであり、RおよびRは、HおよびC~C16アルキルからなる群から独立して選択される。例示的な実施形態では、RはHであり、Rは、HおよびC~C16アルキルにより形成される群から選択され、例えば、Rは、-OH、-NHおよび-NHRからなる群から選択され、Rは、C~C16アルキルである。
【0053】
一実施形態では、Rは、Hおよびアセチル、tert-ブタノイル、プレニル、ヘキサノイル、2-メチルヘキサノイル、シクロヘキサンカルボキシル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイルおよびリノレオイルからなる群から選択され、Rは、-NRまたは-ORであり、RおよびRは、HおよびC~C16アルキルからなる群から独立して選択される。例示的な実施形態では、RはHであり、Rは、HおよびC~C16アルキルにより形成される群から選択され、例えば、Rは、-OH、-NHおよび-NHRからなる群から選択され、Rは、C~C16アルキルである。
【0054】
一実施形態では、Rは、HおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、C~C16アルキルまたはC~C18アルケニルからなる群から選択され、Rは、-NRまたは-ORであり、RおよびRは、HおよびC~C16アルキルからなる群から独立して選択される。例示的な実施形態では、RはHであり、Rは、HおよびC~C16アルキルにより形成される群から選択され、例えば、Rは、-OH、-NHおよび-NHRからなる群から選択され、Rは、C~C16アルキルである。
【0055】
一実施形態では、Rは、H、アセチル、ミリストイルまたはパルミトイルからなる群から選択され、Rは、-NRまたは-ORであり、RおよびRは、HおよびC~C16アルキルからなる群から独立して選択される。例示的な実施形態では、RはHであり、Rは、HおよびC~C16アルキルにより形成される群から選択され、例えば、Rは、-OH、-NHおよび-NHRからなる群から選択され、Rは、C~C16アルキルである。
【0056】
別の特定の実施形態によれば、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマーの最も好ましい構造は、基(-CH-CH-O)-H(rは、4~795の間に含まれる数である)、および基
【化1】
(式中、sは、1~125の間に含まれる数である)である。
【0057】
本発明の第1の態様では、式(I)の化合物であって、AA~AAの0、1つまたは2つが置き換えられている、すなわち、AA~AAの最大で2つが置き換えられているか、または任意選択で、AA~AAの1つまたは2つが置き換えられている、化合物が提供される。
【0058】
一実施形態では、本発明は、Rの少なくとも1つがHではなく、RがOHではない、式(I)の化合物を提供する。
【0059】
一実施形態では、本発明は、Ac-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-NHではない、式(I)の化合物を提供する。
【0060】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物であって、前記化合物が、R-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Rではない、すなわち、AAがGluであり、AAがGluであり、AAがMetであり、AAがGlnであり、AAがArgであり、AAがArgであり、aは0であり、bは0であり、mは0であり、nは0であり、pは0であり、qは0である化合物ではない、式(I)の化合物を提供する。
【0061】
一実施形態では、本発明は、以下の化合物:
-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-R
-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-R
-Glu-Leu-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-R
-Glu-Leu-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-R2;
-Glu-Leu-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-R
-Leu-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-Gln-R
-Leu-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-R
-Leu-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-R
-Leu-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-R
-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-Gln-Leu-R
-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-Gln-R;および
-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-R
の1つではない、式(I)の化合物を提供する。
【0062】
本発明の第1の態様の一実施形態では、式(I)
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-(AA-(AA-Y-Z-R(I)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、SerおよびGlyからなる群から選択され、AAは、Asp、GluおよびAsnからなる群から選択され、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの最大で2つ(すなわち、0、1つまたは2つ)が置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であるが、ただし、aが0である場合、bは0であり、aが1である場合、bは0または1とすることができることを条件とし、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、
m、n、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
m+n+p+qは、2未満またはそれと等しく、
は、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリール、アラルキルおよびR-CO-からなる群から選択され、Rは、H、非環式脂肪族基、アリシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
は、-NR、-OR、-SRからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、非環式脂肪族基、アリシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、
およびRは、アミノ酸ではない)
の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0063】
本発明の第1の態様の一実施形態では、AA~AAのいずれも置き換えられていない、式(I)の化合物が提供される。一実施形態では、a=0およびb=0である。一実施形態では、a=1およびb=0であり、AA~AAのいずれも置き換えられていない場合、好ましくは、AAは、Ala、Ser、Gly、ThrおよびValからなる群から選択される。一実施形態では、a=1およびb=1であり、AA~AAのいずれも置き換えられていない場合、好ましくは、AAは、Ala、SerおよびGly、Thr、Pro、GluおよびLysからなる群から選択され、AAは、Asp、GluおよびAsnからなる群から選択される。
【0064】
本発明の第1の態様の一実施形態では、AA~AAの1つが置き換えられている、式(I)の化合物が提供される。一実施形態では、a=0およびb=0であり、好ましくは、AA~AAの1つが置き換えられている場合、AAが、AspもしくはGlnにより置き換えられているか、またはAAが、AspもしくはGlnにより置き換えられているか、またはAAが、Leuにより置き換えられているか、またはAAが、GluもしくはAsnにより置き換えられているか、またはAAがLysにより置き換えられているか、またはAAが、Lysにより置き換えられている。一実施形態では、a=1およびb=0であり、好ましくは、AA~AAの1つが置き換えられている場合、AAがAsnにより置き換えられているか、またはAAがAspにより置き換えられている。一実施形態では、a=1およびb=1であり、好ましくは、AA~AAの1つが置き換えられている場合、AAが、AspもしくはGlnにより置き換えられているか、またはAAが、Leuにより置き換えられているか、またはAAが、Glu、AspもしくはAsnにより置き換えられているか、またはAAがLysもしくはHisにより置き換えられている。
【0065】
本発明の第1の態様の一実施形態では、AA~AAの2つが置き換えられている、式(I)の化合物が提供される。一実施形態では、a=0およびb=0であり、好ましくは、AA~AAの2つが置き換えられている場合、AAが、Ileにより置き換えられており、AAが、Gluにより置き換えられているか、またはAAが、Lysにより置き換えられており、AAが、Lysにより置き換えられている。一実施形態では、a=1およびb=0であり、好ましくは、AA~AAの2つが置き換えられている場合、AAがAspにより置き換えられており、AAがGluにより置き換えられている。一実施形態では、a=1およびb=1である。
【0066】
本発明の第1の態様の一実施形態では、a=0およびb=0である、式(I)の化合物が提供される。この実施形態では、本発明の化合物は、鎖に連結されている6個、7個または8個のアミノ酸を含み、以下の式:
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-R (II)
(式中、AA、AA、AA、AA、AA、AA、a、b、W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)により表すことができるペプチド、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を表す。
【0067】
本発明の第1の態様の一実施形態では、a=0およびb=0であり、AA~AAのいずれも置き換えられていない、式(I)の化合物が提供される。この実施形態では、本発明の化合物は、鎖に連結されている6個、7個または8個のアミノ酸を含み、以下の式:
-W-X-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Y-Z-R (III)
(式中、a、b、W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)により表すことができるペプチド、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を表す。
【0068】
本発明の第1の態様の一実施形態では、AA~AAの1つが置き換えられており、a=0およびb=0である、式(I)の化合物が提供される。この実施形態では、本発明の化合物は、以下の式:
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-R (IV)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの1つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)
、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩によって表すことができる。一実施形態では、AAは置き換えられており、したがって、本発明の化合物は、以下の式:
-W-X-AA-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Y-Z-R (V)
(式中、AAは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸であり、W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩によって表すことができる。一実施形態では、AAが、AspまたはGlnにより置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、Leuにより置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、GluまたはAsnにより置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、Lysにより置き換えられている。したがって、本発明は、式(I)
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-R (VI)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、
AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの1つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Leuにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、GluおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)
の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩に関する。
【0069】
本発明の第1の態様の一実施形態では、AA~AAの2つが置き換えられており、a=0およびb=0である、式(I)の化合物が提供される。この実施形態では、本発明の化合物は、以下の式:
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-R (VII)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの2つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)
、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩によって表すことができる。一実施形態では、AAおよびAAが置き換えられており、したがって、本発明の化合物は、以下の式:
-W-X-Glu-Glu-AA-AA-Arg-Arg-Y-Z-R (VIII)
(式中、AAは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸であり、AAは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸であり、W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩によって表すことができる。一実施形態では、AAはIleにより置き換えられており、AAはGluにより置き換えられている。一実施形態では、AAおよびAAが置き換えられている。一実施形態では、AAはLysにより置き換えられており、AAはLysにより置き換えられている。
【0070】
本発明の第1の態様の一実施形態では、a=1およびb=0である、式(I)の化合物が提供される。この実施形態では、本発明の化合物は、鎖に連結されている7個、8個または9個のアミノ酸を含み、以下の式:
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-R (IX)
(式中、AA、AA、AA、AA、AA、AA、AA、a、b、W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)により表すことができるペプチド、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を表す。この実施形態では、AAは、Ala、SerおよびGlyからなる群から選択することができる。一実施形態では、AAは、Alaである。
【0071】
本発明の第1の態様の一実施形態では、AA~AAのいずれも置き換えられておらず、a=1およびb=0である、式(I)の化合物が提供される。この実施形態では、本発明の化合物は、以下の式:
-W-X-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-AA-Y-Z-R (X)
(式中、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩によって表すことができる。一実施形態では、AAは、Ala、Ser、Gly、ThrおよびValからなる群から選択される。
【0072】
本発明の第1の態様の一実施形態では、AA~AAの1つが置き換えられており、a=1およびb=0である、式(I)の化合物が提供される。この実施形態では、本発明の化合物は、以下の式:
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-R (XI)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの1つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)
、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩によって表すことができる。一実施形態では、AAが置き換えられており、したがって、本発明の化合物は、以下の式:
-W-X-AA-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-AA-Y-Z-R (XII)
(式中、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、AAは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸であり、W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩によって表すことができる。一実施形態では、AAが、Asnにより置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、Aspにより置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。したがって、本発明は、以下の式
-W-X-AA-Glu-Met-AA-Arg-Arg-AA-Y-Z-R (XIII)
(式中、
AAはGluであり、AAはGlnであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、
AAおよびAAの1つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asnにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Aspにより置き換えられていることを条件とし、
W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)
によって表される化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩に関する。これらの実施形態では、AAは、Ala、Ser、Gly、ThrおよびValからなる群から選択することができる。
【0073】
本発明の第1の態様の一実施形態では、AA~AAの2つが置き換えられており、a=1およびb=0である、式(I)の化合物が提供される。この実施形態では、本発明の化合物は、以下の式:
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-R (XIV)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの2つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)
、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩によって表すことができる。一実施形態では、AAおよびAAが置き換えられており、したがって、本発明の化合物は、以下の式:
-W-X-AA-Glu-Met-AA-Arg-Arg-AA-Y-Z-R (XV)
(式中、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、AAは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸であり、AAは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸であり、W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩によって表すことができる。一実施形態では、AAはAspであり、AAはGluである。これらの実施形態では、AAは、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択することができ、AAは、Ala、Ser、Gly、ThrおよびValからなる群から選択することができる。さらに、AAは、Alaとすることができる。
【0074】
本発明の第1の態様の一実施形態では、a=1およびb=1である、式(I)の化合物が提供される。この実施形態では、本発明の化合物は、鎖に連結されている8個、9個または10個のアミノ酸を含み、以下の式:
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-R (XVI)
(式中、AA、AA、AA、AA、AA、AA、AA、AA、a、b、W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)により表すことができるペプチド、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を表す。この実施形態では、AAは、Ala、SerおよびGlyからなる群から選択することができる。一実施形態では、AAは、Alaである。
【0075】
本発明の第1の態様の一実施形態では、AA~AAのいずれも置き換えられておらず、a=1およびb=1である、式(I)の化合物が提供される。この実施形態では、本発明の化合物は、以下の式:
-W-X-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-AA-AA-Y-Z-R (XVII)
(式中、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩によって表すことができる。一実施形態では、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、GluおよびLysからなる群から選択される。一実施形態では、AAは、Ala、Ser、Gly、ThrおよびValからなる群から選択される。
【0076】
本発明の第1の態様の一実施形態では、AA~AAの1つが置き換えられており、a=1およびb=1である、式(I)の化合物が提供される。この実施形態では、本発明の化合物は、以下の式:
-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-R(XVIII)
(式中、
AAはGluであり、AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlnからなる群から選択され、AA、AA、AA、AA、AAおよびAAの1つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LeuおよびIleにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AsnおよびAspにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Lysにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)
、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩によって表すことができる。一実施形態では、AAが置き換えられており、したがって、本発明の化合物は、式:
-W-X-AA-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-AA-AA-Y-Z-R (XIX)
(式中、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、AAは、Asp、Glu、AsnおよびGlからなる群から選択され、AAは、Asp、GlnおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸であり、W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩によって表すことができる。一実施形態では、AAが、AspまたはGlnにより置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、Leuにより置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、Glu、AsnまたはAspにより置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、置き換えられている。一実施形態では、AAが、LysまたはHisにより置き換えられている。本発明は、式:
-W-X-AA-Glu-AA-AA-Arg-AA-AA-AA-Y-Z-R (XX)
(式中、
AAはGluであり、AAはMetであり、AAはGlnであり、AAはArgであり、AAは、Ala、Ser、Gly、Thr、Pro、Glu、LysおよびValからなる群から選択され、AAは、Asp、GluおよびAsnからなる群から選択され、
AA、AA、AAおよびAAの1つが置き換えられているが、ただし、
AAが置き換えられている場合、それは、AspおよびGlnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Leuにより置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、Glu、AspおよびAsnにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
AAが置き換えられている場合、それは、LysおよびHisにより形成される群から選択されるアミノ酸により置き換えられていることを条件とし、
W、X、Y、Z、m、n、p、q、RおよびRは、式(I)に関して指定されている通りである)
によって表すことができる化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩に関する。
【0077】
本発明の化合物は、各アミノ酸配列の配列識別子が詳述されている、表2に列挙されている化合物から選択される1つもしくは複数の化合物、それらの立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【表2-1】
【表2-2】
【0078】
特に、本発明の化合物は、各アミノ酸配列の配列識別子が詳述されている、表3に列挙されている化合物から選択される1つもしくは複数の化合物、それらの立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【表3】
【0079】
表2および3のアミノ酸配列において、式(1)による各配列、RおよびRは、それぞれ、HおよびOHである。本発明の化合物は、表2および3の配列の各々を含み、そのNおよびC末端は、それぞれ、式(1)について、本明細書で定義されている、他のR基およびR基によって修飾されている。例えば、本発明の化合物は、C末端アミノ酸残基が、任意選択で、式(1)に関して上で定義されているRで終わっている(修飾されている)、表2および3の配列の各々を含み、Rは、Hではない。同様に、本発明の化合物は、N末端アミノ酸残基が、任意選択で、式(1)に関して上で定義されているRで終わっている(修飾されている)、表2および3の配列の各々を含み、Rは、OHではない。
【0080】
したがって、本発明は、式(I)による化合物であって、配列番号2~41から選択されるアミノ酸配列、あるいはその立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩であり、任意選択で、前記配列が、Rによって修飾されているそのN末端(Rは、Hではない)、および/またはRにより修飾されているそのC末端(Rは、OHではない)を有する、式(I)による化合物を提供する。一実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号2、4、6、8、14、15、30および38から選択される。一実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号3~41または5~41から選択される。一実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号4、6、8、14、15、30および38から選択される。
【0081】
本発明の化合物は、立体異性体、または立体異性体の混合物として存在することができ、例えば、それらを含むアミノ酸は、L-、D-の立体配置を有するか、または互いに独立してラセミとすることができる。したがって、不斉炭素の数、およびどの異性体または異性体混合物が存在するかに応じて、異性体混合物、およびラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物、または純粋なジアステレオマーもしくは鏡像異性体を得ることが可能である。本発明の化合物の好ましい構造は、純粋な異性体、すなわち鏡像異性体またはジアステレオマーである。
【0082】
例えば、AAをGluとすることができると明記されている場合、AAは、L-Glu、D-Glu、または両方の混合物、ラセミまたは非ラセミから選択されることが理解される。本明細書に記載されている調製手順により、当業者は、正しい立体配置を有するアミノ酸を選択することによって、本発明の化合物の立体異性体の各々を得ることが可能となる。
【0083】
本発明の文脈において、用語「アミノ酸」は、それらが天然であろうとなかろうと、遺伝子コードによってコードされるアミノ酸、および非コードアミノ酸を含む。非コードアミノ酸の例は、限定なしに、とりわけ、シトルリン、オルニチン、サルコシン、デスモシン、ノルバリン、4-アミノ酪酸、2-アミノ酪酸、2-アミノイソ酪酸、6-アミノヘキサン酸(aminohexanoyc acid)、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、2-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸、4-クロロフェニルアラニン、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノ酪酸、サイクロセリン、カルニチン、シスチン、ペニシラミン、ピログルタミン酸、チエニルアラニン、ヒドロキシプロリン、アロ-イソロイシン、アロ-トレオニン、イソニペコチン酸、イソセリン、フェニルグリシン、スタチン、β-アラニン、ノルロイシン、N-メチルアミノ酸、α-アミノ酸およびβ-アミノ酸、ならびにそれらの誘導体である。非天然アミノ酸の一覧は、The Peptides、5巻(1983年)、VI章、Gross E.およびMeienhofer J.(編)、Academic Press、New York、USAにおけるD.C. RobertsおよびF. Vellaccioによる論文「Unusual amino acids in peptide synthesis」、または本分野に特化している企業の商業用カタログ中に見出すことができる。
【0084】
本発明の文脈において、W、X、Yおよび/またはZの少なくとも1つが存在する場合、すなわちn、m、pまたはqの少なくとも1つが0ではない場合、W、X、Yおよび/またはZの性質は、本発明の化合物の活性を妨害せず、代わりに、活性に寄与する、または活性に効果を有さないことが理解される。一実施形態では、W、X、YおよびZは、Gly、Ala、IleおよびValからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0085】
本発明の一実施形態では、m、n、pおよびqは、それぞれ、0である、すなわち式(I)(および/または式(II)~(X)のいずれか1つ)の化合物は、鎖に連結されている、6個、7個または8個のアミノ酸、AA~AA、AA~AAまたはAA~AAを含むペプチドである。一実施形態では、m、n、pおよびqの合計は1である、すなわち式(I)(および/または式(II)~(X)のいずれか1つ)の化合物は、鎖に連結されている、7個、8個または9個のアミノ酸を含むペプチドである。一実施形態では、m、n、pおよびqの合計は2である、すなわち式(I)(および/または式(II)~(X)のいずれか1つ)の化合物は、鎖に連結されている、8個、9個または10個のアミノ酸を含むペプチドである。
【0086】
本発明の化合物は、表4に列挙されている化合物の群から選択される1つもしくは複数の化合物、それらの立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0087】
本発明の化合物は、表5に列挙されている化合物の群から選択される1つもしくは複数の化合物、それらの立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【表5-1】
【表5-2】
【0088】
本発明によって提供される化合物の化粧品としてまたは薬学的に許容される塩もまた、本発明の分野内で見出される。用語「化粧品としてまたは薬学的に許容される塩」は、動物、例えば哺乳動物、より詳細には人間におけるその使用に対して認められている塩を意味し、無機、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛もしくはアルミニウムであるか、または有機、とりわけ、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アルギニン、リシン、ヒスチジンもしくはピペラジンであるかのどちらかの塩基付加塩を形成させるために使用される塩、あるいは有機、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、コハク酸塩、オレイン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩もしくはグルコン酸塩であるか、または無機、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、塩化物、硫酸塩、ホウ酸塩もしくは炭酸塩のどちらかである酸付加塩を含む。塩の性質は、重要ではないが、ただし、それは、化粧品としてまたは薬学的に許容されることを条件とする。本発明の化合物の化粧品としてまたは薬学的に許容される塩は、従来技術において周知の従来の方法により得ることができる[Berge S.M.ら、「Pharmaceutical Salts」、(1977年)、J. Pharm. Sci.、66巻、1~19頁]。
本発明の化合物の調製手順
【0089】
本発明の化合物、それらの立体異性体、それらの混合物および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるそれらの塩の合成は、固相ペプチド合成方法[Stewart J.M.およびYoung J.D.、「Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd edition」、(1984年)、Pierce Chemical Company、Rockford、Illinois;Bodanzsky M.およびBodanzsky A.、「The practice of Peptide Synthesis」、(1994年)、Springer Verlag、Berlin;Lloyd-Williams P.ら、「Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins」、(1997年)、CRC、Boca Raton、FL、USA]、溶液中での合成、酵素合成[Kullmann W.「Proteases as catalysts for enzymic syntheses of opioid peptides」、(1980年)、J.Biol.Chem.、255巻(17号)、8234~8238頁]、またはそれらの任意の組合せなどの従来技術で公知の従来の方法に従って行うことができる。化合物はまた、所望の配列を産生するために、遺伝子工学により改変されたもしくは改変されていない細菌株の発酵により、または望ましい配列を含有する遊離ペプチド断片を結果としてもたらす、動物もしくは植物起源、好ましくは植物を用いるタンパク質の制御された加水分解により得ることができる。
【0090】
例えば、式(I)の化合物、それらの立体異性体およびそれらの混合物を得る方法は、段階:
- N末端が保護され、C末端が遊離しているアミノ酸の、N末端が遊離し、C末端が保護された、または固体支持体に結合したアミノ酸とのカップリング、
- N末端の保護基の排除、
- 所望のペプチド配列が得られるまで、配列のカップリングとN末端の保護基の排除の反復、
- C末端保護基の排除、または固体支持体の開裂
を含む。
【0091】
好ましくは、C末端は、固体支持体に結合しており、プロセスは、固相で行われ、したがって、N末端が保護され、C末端が遊離しているアミノ酸の、N末端が遊離し、C末端がポリマー支持体に結合しているアミノ酸とのカップリング、N末端の保護基の排除、およびこの順序を、所望の長さの化合物をこうして得るために必要な回数、反復し、続いて最後に合成された化合物を元のポリマー支持体から開裂させることを含む。
【0092】
アミノ酸の側鎖の官能基は、合成の間ずっと、一時的または恒久的な保護基により都合よく保護されて維持され、ポリマー支持体からのペプチドの開裂プロセスと同時にまたは直交的に保護を解除され得る。
【0093】
あるいは、固相合成は、ペプチドを、ポリマー支持体と、またはポリマー支持体に予め結合させたペプチドもしくはアミノ酸とカップリングする収束戦略を使用して行うことができる。収束合成戦略は、当業者によって広く知られており、Lloyd-Williams P.ら「Convergent Solid-Phase Peptide Synthesis」(1993年)、Tetrahedron、49巻(48号)、11065~11133頁に記載されている。
【0094】
プロセスは、従来技術において公知の標準手順および条件を使用して、無差別的な順序で、N末端およびC末端を脱保護するおよび/またはポリマー支持体からペプチドを開裂する追加の段階を含むことができ、その後に、これらの末端の官能基を修飾することができる。N末端およびC末端の任意選択の修飾は、ポリマー支持体に固定されている式(I)のペプチドを用いて、またはポリマー支持体からペプチドを一旦分離して行うことができる。
【0095】
任意選択で、適切な塩基および溶媒の存在下での求核置換反応による、本発明の化合物のN末端の、R-X化合物との反応により、Rを導入することができ、N-C結合形成に関与しない官能基を有する断片は、一時的または恒久的な保護基により適切に保護される。Rは、上で定義されている通りであり、Xは、脱離基、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、トシル基、メシル基およびハロゲン基である。
【0096】
任意選択でかつ/または追加的に、化合物HRを、適切な溶媒およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)もしくはトリメチルアミンなどの塩基、または1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)もしくは1-ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt)などの添加物、およびとりわけカルボジイミド、ウロニウム塩、ホスホニウム塩もしくはアミジニウム塩などの脱水剤の存在下で、式(I)(式中、Rは-OHである)のペプチドに対応する相補的断片と反応させることにより、または例えば塩化チオニルによるハロゲン化アシルの事前形成により、Rラジカルを導入し、それによって、式(I)の本発明によるペプチドを得ることができ、N-C結合形成に関与しない官能基を有する断片は、一時的または恒久的な保護基により適切に保護される。あるいは、他のRラジカルは、ポリマー担体からペプチド開裂プロセスに同時に組み込むことにより導入してもよい。Rは、-OR、-NRまたは-SRであり、RおよびRは、上で定義されている通りである。
【0097】
当業者は、C末端およびN末端、ならびにそれらのその後の誘導体化の脱保護/開裂ステップは、従来技術で公知のプロセスに従い、様々な順序で行うことができることを容易に理解するであろう。
【0098】
用語「保護基」は、有機官能基を遮断し、制御された条件において除去され得る基に関する。保護基、その相対的な反応性およびそれが不活性のままである条件は、当業者に公知である。
【0099】
アミノ基の代表的な保護基の例は、酢酸アミド、安息香酸アミド、ピバル酸アミドなどのアミド;ベンジルオキシカルボニル(CbzまたはZ)、2-クロロベンジル(ClZ)、パラ-ニトロベンジルオキシカルボニル(pNZ)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、2,2,2-トリクロロエチルオキシカルボニル(Troc)、2-(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル(Teoc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)またはアリルオキシカルボニル(Alloc)、トリチル(Trt)、メトキシトリチル(Mtt)、2,4-ジニトロフェニル(Dnp)、N-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル(Dde)、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソ-シクロヘキシリデン)-3-メチルブチル(ivDde)、1-(1-アダマンチル)-1-メチルエトキシカルボニル(Adpoc)などのカルバメート、とりわけ、好ましくはBocまたはFmocである。
【0100】
カルボキシル基の代表的な保護基の例は、tert-ブチルエステル(tBu)、アリルエステル(All)、トリフェニルメチルエステル(Trtエステル(Trt tester))、シクロヘキシルエステル(cHx)、ベンジルエステル(Bzl)、オルト-ニトロベンジルエステル、パラ-ニトロベンジルエステル、パラ-メトキシベンジルエステル、トリメチルシリルエチルエステル、2-フェニルイソプロピルエステル、フルオレニルメチルエステル(Fm)、4-(N-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)-3-メチルブチル]アミノ)ベンジルエステル(Dmab)などのエステルであり、とりわけ、本発明の好ましい保護基は、All、tBu、cHex、BzlおよびTrtエステルである。
【0101】
三官能性アミノ酸の側鎖は、N末端およびC末端の保護基と直交的な、一時的または恒久的な保護基により、合成プロセスの間に保護することができる。
【0102】
チロシン側鎖のヒドロキシル基は、とりわけ、2-ブロモベンジルオキシカルボニル基(2-BrZ)、tBu、All、Bzlまたは2,6-ジクロロベンジル(2,6-diClZ)により保護され得る。好ましい実施形態では、使用される保護基戦略は、アミノ基が、Bocにより保護され、カルボキシル基が、Bzl、cHxまたはAllエステルにより保護され、チロシン側鎖が、2-BrZまたはBzlにより保護される、戦略である。別の好ましい実施形態では、使用される保護基戦略は、アミノ基が、Fmocにより保護され、カルボキシル基が、tBu、AllまたはTrtエステルにより保護され、チロシン側鎖が、tBuにより保護される、戦略である。
【0103】
トリプトファン側鎖のアミノ基は、例えば、ホルミル基(For)またはBocにより保護され得る。一実施形態では、アミノ基がFmocにより保護されている場合、トリプトファン側鎖は、保護を解除することができる、すなわちアミノ酸は、Fmoc-Trp-OHとして組み込まれており、Bocにより保護され得る場合、すなわち、アミノ酸は、Fmoc-Trp(Boc)-OHとして組み込まれており、またはForにより保護されている場合、すなわちアミノ酸は、Fmoc-Trp(For)-OHとして組み込まれている。一実施形態では、アミノ基は、Bocにより保護されており、トリプトファン側鎖は、Forにより保護することができる、すなわちアミノ酸は、Boc-Trp(For)-OHとして組み込まれている。
【0104】
これらのおよび他の保護基、それらの導入および除去の例は、文献[Atherton B.およびSheppard R.C.、「Solid Phase Peptide Synthesis:A practical approach」、(1989年)、IRL Oxford University Press]に見出すことができる。用語「保護基」はまた、固相合成に使用されるポリマー支持体を含む。
【0105】
合成が固相において全体的にまたは部分的に行われる場合、本発明のプロセスにおいて使用される可能な固体支持体は、ポリスチレン支持体、ポリスチレンにグラフトしたポリエチレングリコールおよび同様のもの、例えば、以下に限定されないが、p-メチルベンズヒドリルアミン樹脂(MBHA)[Matsueda G.R.ら、「A p-methylbenzhydrylamine resin for improved solid-phase synthesis of peptide amides」、(1981年)、Peptides、2巻、45~50頁]、2-クロロトリチル樹脂[Barlos K.ら、「Darstellung geschutzter Peptid-Fragmente unter Einsatz substituierter Triphenylmethyl-Harze」、(1989年)、Tetrahedron Lett.、30巻、3943~3946頁;Barlos K.ら、「Veresterung von partiell geschutzten Peptid-Fragmenten mit Harzen. Einsatz von 2-Chlorotritylchlorid zur Synthese von Leu1-Gastrin I」、(1989年)、Tetrahedron Lett.、30巻、3947~3951頁]、TentaGel(登録商標)樹脂(Rapp Polymere GmbH)、ChemMatrix(登録商標)樹脂(Matrix Innovation,Inc)および同様のものを含み、これらは、5-(4-アミノメチル-3,5-ジメトキシフェノキシ)吉草酸(PAL)[Albericio F.ら、「Preparation and application of the 5-(4-(9-fluorenylmethyloxycarbonyl)aminomethyl-3,5-dimethoxy-phenoxy) valeric acid (PAL) handle for the solid-phase synthesis of C-terminal peptide amides under mild conditions」、(1990年)、J. Org. Chem.、55巻、3730~3743頁]、2-[4-アミノメチル-(2,4-ジメトキシフェニル)]フェノキシ酢酸(AM)[Rink H.、「Solid-phase synthesis of protected peptide fragments using a trialkoxy-diphenyl-methylester resin」、(1987年)、Tetrahedron Lett.、28巻、3787~3790頁]、[Wang S.S.、「p-Alkoxybenzyl Alcohol Resin and p-Alkoxybenzyloxycarbonylhydrazide Resin for Solid Phase Synthesis of Protected Peptide Fragments」、(1973年)、J.Am.Chem.Soc.、95巻、1328~1333頁]および同様のものなどの不安定リンカーを含んでも含まなくてもよく、このリンカーにより、同時の脱保護およびポリマー支持体からの化合物の開裂が可能になる。
用途
【0106】
本発明は、式(I)の化合物が、皮膚の物理的バリア機能および皮膚の免疫学的バリア機能の両方を維持および/または改善するのに有効であるという知見に一部、基づいている。皮膚の物理的バリア機能はまた、本明細書において、皮膚の物理的障壁、皮膚の透過障壁、または単に皮膚障壁と称される。この障壁は、表皮における角質層および密着結合によりもたらされる。皮膚の免疫学的バリア機能は、皮膚の微生物平衡に一部、関連し、感染および日和見病原体に対する自然免疫応答をもたらす皮膚の能力を含む。本発明の化合物は、皮膚のバリア機能に関連する、二重局面の能力を有しており、したがって、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の保護および/または処置および/またはケアに特に有用である。特に、保護、処置および/またはケアは、皮膚の保護、処置および/またはケアである。本発明の文脈において、皮膚は、顔面の皮膚(眼の周囲の皮膚を含む)、襟足、首、デコルタージ(decolletage)、腕、手、脚、足、太もも、腰、臀部、お腹、胴および陰部エリア(特に、男性の陰部エリア)を含めた、全身の皮膚を含む。本発明の文脈において、粘(muocous)膜は、膣エリアの粘膜を含む。
【0107】
一態様では、本発明は、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の処置および/またはケアのための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。処置は、バリア機能が損なわれた皮膚のものとすることができる。損なわれたバリア機能は、外部または環境因子(例えば、温度、湿度、UVへの曝露);化学的損傷(例えば、洗剤、汚濁物質、アレルゲン);物理的損傷(例えば、摩擦、かき傷、火傷)によるものであり得る。損なわれたバリア機能はまた、ホルモンの変化などの内在性または内部因子;医療的処置(例えば、抗生物質、化学放射線療法、皮膚科学的剥離);疾病;心理学的ストレスまたは年齢によるものであり得る。
【0108】
使用は、化粧的、すなわち非治療的であってもよい。本発明は、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアのための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/もしくは化粧品として許容されるその塩、または式(I)の化合物、その立体異性体、および/もしくは化粧品として許容されるその塩を含む化粧用組成物の化粧的な非治療的使用を提供する。
【0109】
一実施形態では、本発明は、皮膚からの水および電解質の喪失を低減するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。皮膚からの水および電解質の喪失は、損なわれた皮膚バリア機能によるものであり得る。さらに、本発明は、皮膚の潤いを維持および/または改善するため、すなわち皮膚の保湿化を維持および/または改善するための、本発明の化合物の使用を提供する。特に、本発明の化合物は、乾燥皮膚の処置において有効であることが見出された。一実施形態では、本発明は、皮膚の落屑を予防または低減するための本発明の化合物の使用を提供する。一実施形態では、本発明は、乾燥皮膚に悩んでいる対象、または乾燥皮膚になる傾向を有する対象において、皮膚の落屑を予防または低減するための本発明の化合物の使用を提供する。本発明は、皮膚からの水および電解質の喪失の低減、皮膚の保湿化の維持および/もしくは改善、皮膚の落屑の予防もしくは低減、ならびに/または乾燥皮膚に悩んでいる、もしくは乾燥皮膚になる傾向を有する対象における皮膚の落屑の予防もしくは低減のための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品として許容されるその塩の化粧的な非治療的使用を提供する。
【0110】
一実施形態では、本発明は、皮膚マイクロレリーフの維持および/もしくは改善、ならびに/または皮膚マイクロレリーフの有害変化の予防のための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。本発明の化合物は、皮膚の潤いおよび皮膚の保湿化を改善および/または維持することにより、皮膚構造、皮膚強度および皮膚密着性の促進および改善に有用である。これにより、皮膚マイクロレリーフへの利益がもたらされる。皮膚マイクロレリーフ有害変化は、皮膚バリア機能の損傷によるものであり得、このような変化は、皮膚の粗さの増大、すなわち皮膚の柔軟さの低下もしくは喪失、および/または皮膚の滑らかな様態(skin’s velvety aspect)の低下もしくは喪失を含む。本明細書で使用する場合、皮膚の粗さの増加とは、皮膚の柔軟さの低下もしくは喪失、および/または皮膚の滑らかな様態の低下もしくは喪失を意味する。皮膚の粗さの増加は、老化の審美的印象を皮膚にもたらす。したがって、一実施形態では、本発明は、皮膚の老化の症状の予防または処置、特に、損なわれたバリア機能による皮膚マイクロレリーフの変化の予防または処置における、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。一実施形態では、本発明は、皮膚の柔軟さおよび/または皮膚の滑らかな様態を維持および/または改善するための、式(I)の化合物の使用を提供する。この結果は、皮膚がより若い様態を有するということである。本発明は、皮膚マイクロレリーフ、特に損なわれたバリア機能による皮膚マイクロレリーフの維持、改善もしくはその有害変化の予防ため、ならびに/または皮膚の柔らかさおよび/もしくは皮膚の滑らかな様態の維持および/もしくは改善のために、式(I)の化合物、その立体異性体および/または化粧品として許容されるその塩の化粧的な非治療的使用を提供する。
【0111】
一実施形態では、本発明は、皮膚の物理的バリア機能および皮膚の免疫学的バリア機能を維持および/または改善するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。その結果、本発明の化合物は、皮膚健康を維持および/もしくは改善する、ならびに/または環境危険物質から皮膚を保護することができる。環境危険物質から保護するとは、環境危険物質に関連する任意の有害効果を軽減するまたは予防することを意味する。環境危険物質は、化学刺激物、汚濁物質および病原体を含む。化合物が、皮膚健康を維持および/もしくは改善する、ならびに/または環境危険物質から皮膚を保護する能力は、皮膚の審美的質の維持および改善に関わりを有する。本発明の化合物は、例えば、皮膚の滑らかな質感の維持および/もしくは改善、皮膚の欠点(傷、こぶ、黒にきび、および白にきびなど)の予防;皮膚の剥離、亀裂および/もしくは粗さの予防を含めた皮膚の潤いの維持および/もしくは改善;皮膚の潤いもしくは構造による皮膚の明度の維持および/もしくは改善;掻痒、灼熱、刺痛、突っ張りもしくはこわばりの感覚の予防を含めた皮膚における良好な感覚の維持および/もしくは改善;ならびに/または皮膚の発赤がないことを含めた均質な皮膚の色調の維持および/もしくは改善のために使用することができる。一実施形態では、本発明は、皮膚の物理的バリア機能および皮膚の免疫学的バリア機能を維持および/または改善するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品として許容されるその塩の化粧的な非治療的使用を提供する。一実施形態では、本発明は、皮膚の物理的バリア機能を維持および/または改善するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品として許容されるその塩の化粧的な非治療的使用を提供する。一実施形態では、本発明は、皮膚健康を維持および/または改善する、ならびに環境危険物質から皮膚を保護するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品として許容されるその塩の化粧的な非治療的使用を提供する。
【0112】
一実施形態では、本発明は、化粧品(メーキャップ顔料および保湿剤を含む)および衛生用品(クレンジング製品を含む)に通常含有される化学刺激物から皮膚を保護するための、式(I)の化合物、その立体異性体および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。化学刺激物とは、皮膚に刺激を引き起こす化学品または薬剤を意味する。このような化学刺激物は、皮膚のバリア機能に損傷を与える恐れがあり、それらは、界面活性剤;酸化剤;溶媒;保存剤;脂肪酸もしくはアルコール;化学日焼け防止剤;エトキシ化化合物および他のホルムアルデヒド放出剤;フレグランス;ならびに/または化学的剥離剤を含む。界面活性剤としては、アルキルスルフェート(ドデシル硫酸ナトリウムまたはラウレス硫酸ナトリウムのような)、アルキルベンゼンスルホネート、四級化アンモニウム塩およびコカミドプロピルベタインが含まれる。酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウムが含まれる。溶媒としては、アセトンおよびエチルアルコールが含まれる。保存剤としては、2-フェノキシエタノール、グリコール(とりわけ、ブチレングリコール、ペンチレングリコールまたはカプリリルグリコール)、メチルイソチゾリノンまたはパラベンが含まれる。脂肪酸またはアルコールとしては、セテアリルアルコール、ステアリルアルコールまたはステアリン酸が含まれる。化学日焼け防止剤としては、オクトクリレンが含まれる。エトキシ化化合物および他のホルムアルデヒド放出剤としては、ブロノポール、ジアゾリジニルウレアおよびイミダゾリジニルウレアが含まれる。フレグランスとしては、ハーブエキス、エッセンシャルオイルおよび香料が含まれる。化学的剥離剤には、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、グリコール酸およびマンデル酸が含まれる。本発明の化合物は、このような刺激物により引き起こされる損傷後の、物理的皮膚バリア機能を回復する、さらに改善することができることが見出された。その結果、本発明の化合物は、特に、化学刺激物を含む局所もしくは経皮化粧用組成物および医薬組成物に有用である。本発明は、化学刺激物から皮膚を保護するために、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品として許容されるその塩の化粧的な非治療的使用を提供する。特に、本発明は、界面活性剤から皮膚を保護するために、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品として許容されるその塩の化粧的な非治療的使用を提供する。
【0113】
一実施形態では、本発明は、汚濁物質および病原体から皮膚を保護するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。汚濁物質とは、外部汚濁物質を意味し、これらには、皮膚アレルゲン;皮膚ケア製品に由来する不純物;浄化処理水中の塩素化化合物;ならびに多環式芳香族炭化水素、揮発性有機化合物、窒素酸化物、粒子状物質および重金属などの空気汚染物質が含まれる。病原体は、細菌、ウイルスおよび/または真菌の1つまたは複数を含むことができる。細菌は、Staphylococcus aureus、Propionibacterium acnes、Propionibacterium granulosum、Pseudomonas aeruginosa、Streptococcus pyogenes、Corynebacterium minutissimum、Corynebacterium tenuis、Corynebacterium xerosis、Pasteurella multocida、Capnocytophaga canimorsus、Bartonella henselae、Bartonella quintana、Bartonella bacilliformis、Klebsiella rhinoscleromatis、Vibrio vulnificus、Acinetobacter spp.、Arcanobacterium haemolyticum、Haemophilus influenza、Erysipelothrix rhusiopathiae、Bacillus anthracis、Helicobacter cinaedi、Gardnerella vaginalisの1つまたは複数とすることができる。ウイルスは、パピローマウイルス、帯状疱疹、単純ヘルペスおよび水痘帯状疱疹の1つまたは複数とすることができる。真菌は、Malassezia spp.(Malassezia dermatis、Malassezia furfur、Malassezia globosa、Malassezia japonica、Malassezia obtusa、Malassezia restricta、Malassezia slooffiae、Malassezia sympodialis、Malassezia yamatoensisのような)、Trichophyton spp.(Trichophyton rubrum、Trichophyton tonsurans、Trichophyton mentagrophytes、Trichophyton interdigitaleのような)、Candida albicansおよびMicrosporum spp.の1つまたは複数とすることができる。本発明の化合物は、皮膚の物理的障壁を維持および改善する、すなわち強化する能力により、汚濁物質および/または病原体から皮膚を保護することができると考えられる。さらに、皮膚の物理的障壁の維持および/または改善、すなわち強化は、本発明の化合物が、密な細胞接合を含めた、細胞-細胞接合を強固にする能力によると考えられる。一実施形態では、本発明は、汚濁物質および病原体から皮膚を保護するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品として許容されるその塩の化粧的な非治療的使用を提供する。
【0114】
一実施形態では、本発明は、皮膚の免疫学的障壁を維持および/または改善するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0115】
一実施形態では、本発明は、皮膚の自然免疫防御機構を維持および/または改善するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。本発明の化合物は、感染から皮膚を保護する、および日和見病原体が、皮膚の上にコロニー形成するのを予防または阻害するのに有用である。これは、皮膚健康、および皮膚健康に関連する皮膚の審美的特性に対する関わりを有する。例えば、これは、掻痒、灼熱、刺痛、突っ張りもしくはこわばりの感覚の予防を含めた、皮膚における良好な感覚;および/または皮膚の発赤がないことを含めた均質な皮膚の色調などの特性の維持および/または改善に対して関わりを有する。一実施形態では、本発明は、皮膚の自然免疫防御機構を維持および/または改善するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品として許容されるその塩の化粧的な非治療的使用を提供する。
【0116】
一実施形態では、本発明は、皮膚の微生物平衡を維持するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。微生物平衡を維持するとは、健常なまたは正常な皮膚に存在する、様々な病原菌(すなわち、様々な微生物群)の相対組成を維持することを意味する。皮膚に存在する一連の微生物群は、皮膚細菌叢として公知である。例えば、式(I)の化合物は、有害な微生物(病原性微生物など)と競合する、有益な効果(片利共生および/または共生微生物など)を生じる皮膚上の微生物の存在を刺激するために使用することができる。一実施形態では、本発明の化合物は、皮膚上のStaphylococcus epidermidisの存在または成長を刺激するために使用され、こうして、S.Aureusおよび/またはP.Acnesなどの望ましくない微生物による皮膚のコロニー形成を阻害することができる。これは、皮膚健康、および皮膚健康に関連する皮膚の審美的特性に対する関わりを有する。例えば、本発明の化合物は、掻痒、灼熱、刺痛、突っ張りもしくはこわばりの感覚の予防を含めた、皮膚における良好な感覚;および/または皮膚の発赤がないことを含めた均質な皮膚の色調などの特性の維持および/または改善に有用である。一実施形態では、本発明は、皮膚の微生物平衡を維持するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩の化粧的な非治療的使用を提供する。一実施形態では、本発明の化合物は、殺細菌剤として使用することができる。殺細菌剤は、単なる物理的作用または機械的作用以外の任意の手段により、細菌を破壊する、抑止する、無害にする、その作用を予防する、またはそうでない場合、細菌に制御効果を及ぼすことを意図して、1種または複数の活性物質を含有するまたは生成することからなる、物質または混合物である。特に、本発明の化合物は、S.Aureusおよび/またはP.Acnesに対する殺細菌剤として使用することができる。
【0117】
本発明の化合物は、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアのために使用することができ、化粧的な非治療的処置および/またはケアには、皮膚の物理的バリア機能および皮膚の免疫学的バリア機能の維持および/もしくは改善;水および電解質の皮膚からの喪失の低減;皮膚の潤いの維持および/もしくは改善、すなわち皮膚の保湿化の維持および/もしくは改善;皮膚マイクロレリーフの維持および/もしくは改善;損なわれたバリア機能による皮膚マイクロレリーフの有害変化の予防;皮膚の柔軟さおよび/もしくは皮膚の滑らかな様態の維持および/もしくは改善;良好な皮膚健康の維持および/もしくは改善;化学刺激物、汚濁物質および病原体を含めた環境危険物質から皮膚を保護する;皮膚の自然免疫防御機構の維持および/もしくは改善;ならびに/または皮膚の微生物平衡の維持が含まれる。本発明の化合物は、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアのために使用することができ、化粧的な非治療的処置および/またはケアには、皮膚の物理的バリア機能および皮膚の免疫学的バリア機能の維持および/もしくは改善;水および電解質の皮膚からの喪失の低減;皮膚の潤いの維持および/もしくは改善、すなわち皮膚の保湿化の維持および/もしくは改善;皮膚マイクロレリーフの維持および/もしくは改善;損なわれたバリア機能による皮膚マイクロレリーフの有害変化の予防;皮膚の柔軟さおよび/もしくは皮膚の滑らかな様態の維持および/もしくは改善、ならびに/または皮膚の微生物平衡の維持が含まれる。本発明の化合物は、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の化粧的な非治療的処置および/またはケアに使用することができ、化粧的な非治療的処置および/またはケアには、皮膚の潤いの維持および/もしくは改善、すなわち皮膚の保湿化の維持および/もしくは改善、ならびに/または皮膚の柔軟さおよび/もしくは皮膚の滑らかな様態の維持および/もしくは改善、ならびに/または皮膚の微生物平衡の維持が含まれる。
【0118】
さらなる態様では、本発明は、皮膚、毛髪、粘膜および/または爪の治療的処置における、本発明の化合物の使用を提供する。したがって、本発明は、医薬として使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体および/もしくはその薬学的に許容される塩、または化合物、その立体異性体および/もしくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。特に、本発明は、皮膚の損なわれた物理的および/または免疫学的バリア機能に伴う疾患または障害の予防または処置において使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体および/もしくはその薬学的に許容される塩、または化合物、その立体異性体および/もしくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、疾患または障害の処置または予防のための医薬の製造のための、式(I)の化合物、その立体異性体および/またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。このような疾患および障害は、敏感皮膚、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹または乾癬を含む。
【0119】
本発明は、皮膚の物理的バリア機能および皮膚の免疫学的バリア機能の維持および/または改善に使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0120】
本発明は、皮膚の物理的バリア機能の維持および/または改善に使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0121】
本発明は、皮膚の自然免疫防御機構の維持および/または改善に使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0122】
本発明は、皮膚の微生物平衡の維持に使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0123】
本発明は、S.Aureusおよび/またはP.Acneによる皮膚のコロニー形成の阻害に使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0124】
本発明は、アトピー性皮膚炎の予防および/または処置に使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0125】
本発明は、尋常性座瘡(にきびとしても公知)の予防および/または処置に使用するための、式(I)の化合物、その立体異性体、および/またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0126】
別の態様では、本発明は、対象の皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の処置および/またはケアの方法であって、有効量の式(I)の化合物、その立体異性体および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩、あるいは化粧品としてまたは薬学的に有効量の本発明の化合物、その立体異性体および/または化粧品として許容されるその塩を含む組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。方法は、本発明の化合物の施用(使用)に関連して、上記の通り、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の処置および/またはケアのためのものとすることができる。特に、処置および/またはケアの方法は、皮膚の処置および/またはケアの方法である。本発明の化合物、またはそれを含む組成物の投与は、局所、または例えば経皮とすることができる。方法は、化粧的な非治療的方法または治療的方法とすることができる。
【0127】
一実施形態では、本発明は、対象における皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の処置および/またはケアの化粧的な非治療的方法であって、化粧品として有効量の本発明の化合物、その立体異性体および/または化粧品として許容されるその塩、あるいは化粧品として有効量の本発明の化合物、その立体異性体および/または化粧品として許容されるその塩を含む化粧用組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。本発明の化合物は、化粧用組成物、例えば、本明細書に記載されている化粧用組成物中に存在することができる。化粧的な非治療的方法は、本発明の化合物の化粧的な非治療的方法の施用(使用)に関連して、上記の通り、皮膚、毛髪、爪および/または粘膜の処置および/またはケアのためのものとすることができる。
【0128】
一実施形態では、本発明は、対象において、疾患または障害を処置または予防する方法であって、治療有効量の本発明の化合物、その立体異性体および/またはその薬学的に許容される塩、あるいは治療有効量の化合物、その立体異性体および/またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。特に、本発明は、敏感皮膚、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹または乾癬を処置する方法であって、治療有効量の本発明の化合物、その立体異性体および/またはその薬学的に許容される塩を皮膚に投与するステップを含む方法を提供する。本発明の化合物、その立体異性体、および/またはその薬学的に許容される塩は、医薬組成物、例えば、本明細書に記載されている医薬組成物中に存在することができる。
【0129】
本発明の上記の方法に関し、局所または経皮施用は、イオントフォレーシス、ソノフォレーシス、電気穿孔法、機械的圧力、浸透圧グラジエント、閉塞的治療、マイクロインジェクションにより、圧力による無針注射により、微小電気パッチ、フェイスマスクまたはそれらの任意の組合せにより行うことができる。
【0130】
本発明の上記の方法に関し、施用または投与の頻度は、各対象の必要性に応じて、大きく変えることができ、施用の奨励は、1か月に1回~1日に10回、好ましくは1週間に1回~1日に4回、より好ましくは1週間に3回~1日に2回、さらにより好ましくは1日1回である。
本発明の化粧用組成物または医薬組成物
【0131】
本発明の化合物は、それを含有する組成物の形態で、化合物と対象の身体における作用部位、好ましくは哺乳動物、好ましくはヒトの作用部位との間の接触を引き起こす、任意の手段によって、その用途のために投与することができる。
【0132】
別の態様では、本発明は、式(I)による化合物、その立体異性体および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を含む化粧用組成物または医薬組成物を提供する。
【0133】
特に、本発明は、式(I)による化合物、その立体異性体、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるその塩を、少なくとも1種の化粧品としてもしくは薬学的に許容される賦形剤またはアジュバントと一緒に含む化粧用組成物または医薬組成物を提供する。これらの組成物は、当業者に公知の従来の手段により調製することができる[「Harry's Cosmeticology」、7版、(1982年)、Wilkinson J.B.、Moore R.J.(編)Longman House、Essex、GB]。
【0134】
本発明の化合物は、それらのアミノ酸配列の性質、またはN末端および/もしくはC末端における任意の可能な修飾により、水に様々な溶解度を有する。したがって、本発明の化合物は、水溶液によって組成物に取り込むことができ、水に溶けないものは、以下に限定されないが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコールもしくはポリエチレングリコールまたはそれらの任意の組合せなどの化粧品としてまたは薬学的に許容される従来の溶媒に可溶化することができる。
【0135】
本発明の組成物は、化粧品としてまたは薬学的(治療的)に有効量の本発明の化合物を含有する。投与されるべき、化粧品としてまたは薬学的(治療的)に有効量の本発明の化合物、およびその投与量は、患者の年齢、状態、処置および/またはケアされる状態、障害または疾患の性質または重症度、投与経路および投与頻度、ならびに使用される化合物の特定の性質を含めた、様々な因子に依存する。
【0136】
用語「化粧品として有効量」および「薬学的に有効量」は、非毒性であるが、所望の効果を実現するための本発明の化合物(単数または複数)の十分な量を意味することが理解される。用語「薬学的に有効な」および「治療的に有効な」は、本明細書において互換的に使用される。本発明の化合物は、化粧品としてまたは薬学的に有効な濃度で、例えば、組成物の総重量に対して、0.00000001重量%~20重量%、0.000001重量%~15重量%、0.00001重量%~10重量%、0.00005重量%~5重量%、0.00005重量%~1重量%、0.00005重量%~0.1重量%、0.00005重量%~0.05重量%、0.00005重量%~0.01重量%、0.00005重量%~0.005重量%、0.0005重量%~0.01重量%または0.0005重量%~0.005重量%の量で、本発明の化粧品組成物または医薬組成物に使用され、所望の効果を実現する。本発明の化合物は、組成物の総重量の少なくとも0.00000001、0.000001、0.00001、0.00005または0.0005重量%とすることができる。
【0137】
式(I)の化合物、それらの立体異性体、それらの混合物および/または化粧品もしくは薬学的に許容されるそれらの塩はまた、化粧品もしくは医薬品送達系および/または持続放出系に組み込むことができる。
【0138】
用語「送達系」は、本発明の化合物が一緒に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤または担体に関する。これらの化粧品または医薬担体は、石油、動物、植物または合成起源の液体を含めた、水、油または界面活性剤などの液体、例えば以下に限定されないが、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油、ヒマシ油、ポリソルベート、ソルビタンエステル、硫酸エーテル、スルフェート、ベタイン、グリコシド、マルトシド、脂肪アルコール、ノノキシノール、ポロキサマー、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、デキストロース、グリセロール、ジギトニンおよび同様のものとすることができる。当業者は、本発明の化合物が投与され得る様々な送達系において使用することができる、希釈剤、アジュバントまたは賦形剤を認識している。
【0139】
用語「持続放出」は、ある期間、好ましくは、必ずしも必要ではないが、ある期間にわたり比較的一定の化合物放出レベルで、本化合物の段階的な放出を実現する、化合物の送達系に関する、従来の意味で使用される。
【0140】
送達または持続放出系の例には、限定なしに、リポソーム、混合型リポソーム、オレオソーム、ニオソーム、エソソーム、ミリ粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子および固体脂質ナノ粒子、ナノ構造脂質担体、スポンジ、シクロデキストリン、ベシクル、ミセル、界面活性剤の混合型ミセル、界面活性剤-リン脂質混合型ミセル、ミリスフェア、マイクロスフェアおよびナノスフェア、リポスフェア、ミリカプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセル、ならびにマイクロエマルションおよびナノエマルションが含まれ、これらは、活性成分のより大きな浸透を実現するため、ならびに/またはその薬物動態および薬力学特性を改善するために添加することができる。好ましい送達または持続放出系は、リポソーム、界面活性剤-リン脂質混合型ミセル、マイクロエマルション、より好ましくは、逆ミセルの内部構造を有する油中水型マイクロエマルション、およびマイクロエマルションを含有するナノカプセルである。
【0141】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、ならびにクリーム、エマルション、ゲル、リポソーム、ナノ粒子および軟膏からなる群から選択される化粧品としてまたは薬学的に許容される担体を含む、化粧用組成物または医薬組成物を提供する。
【0142】
持続放出系は、従来技術に公知の方法により調製することができ、それらを含有する組成物は、例えば、局所もしくは経皮投与(粘着パッチ、非粘着パッチ、閉塞パッチおよび微小電気パッチを含む)により、または全身性投与、例えば以下に限定されないが、経口もしくは非経口経路(経鼻、直腸もしくは皮下埋め込みもしくは注射、または特定の身体部分への直接埋め込みもしくは注射を含む)により投与することができ、好ましくは、比較的一定量の本発明の化合物を放出するべきである。持続放出系に含有される化合物の量は、例えば、組成物が投与される場所、本発明の化合物の放出の速度および期間、ならびに処置および/またはケアされる状態、障害および/または疾患の性質に依存する。
【0143】
本発明の化合物はまた、以下に限定されないが、とりわけ、タルク、ベントナイト、シリカ、デンプンまたはマルトデキストリンなどの、固体有機ポリマーまたは固体無機支持体に吸着させることができる。
【0144】
式(I)の化合物、それらの立体異性体、それらの混合物および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるそれらの塩を含有する組成物はまた、皮膚に直接、接触する布地、不織布地および医療用デバイスに取り込むことができ、こうして、布地、不織布地もしくは医療用デバイスへの結合系の生分解により、またはそれらと身体との間の摩擦によってのどちらかで、身体水分、皮膚のpHもしくは体温により本発明の化合物を放出する。さらに、本発明の化合物は、身体と直接接触する衣服を作製するために使用する、布地および不織布地に取り込むことができる。
【0145】
上記の送達系および/または持続放出系であるもののなかで、布地、不織布地、衣服、医療用デバイスおよび化合物をそれらに固定化するための手段の例は、文献中に見出すことができ、従来技術において公知である[Schaab C.K.(1986年)HAPPI 1986年5月;Nelson G.、「Application of microencapsulation in textiles」、(2002年)、Int. J. Pharm.、242巻(1~2号)、55~62頁;「Biofunctional Textiles and the Skin」、(2006年)Curr. Probl. Dermatol. 33巻、Hipler U.C.およびElsner P.(編)、S. Karger AG、Basel、Switzerland;Malcolm R.K.ら、「Controlled release of a model antibacterial drug from a novel self-lubricating silicone biomaterial」、(2004年)、J. Cont. Release、97巻(2号)、313~320頁]。好ましい布地、不織布地、衣服および医療用デバイスは、帯具、ガーゼ、t-シャツ、靴下、タイツ、下着、ガードル、手袋、おむつ、生理用品、包帯、ベッドカバー、拭き取り繊維、粘着パッチ、非粘着パッチ、閉塞パッチ、微小電気パッチおよび/またはフェイスマスクである。
【0146】
本発明の化合物、それらの立体異性体、それらの混合物および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるそれらの塩を含有する化粧用組成物または医薬組成物は、所望の投与形態に製剤化するために必要な、化粧品としてまたは薬学的に許容される賦形剤を任意選択で含む、局所または経皮施用向けの様々なタイプの組成物で使用することができる。
【0147】
局所または経皮施用向け組成物は、任意の固体、液体、または半固体製剤、例えば、以下に限定されないが、クリーム剤;多重エマルション、例えば、以下に限定されないが、水エマルション中の油および/またはシリコーン、油中水型および/またはシリコーンエマルション、水/油/水もしくは水/シリコーン/水型エマルション、および油/水/油もしくはシリコーン/水/シリコーン型エマルション;無水組成物、水性分散剤、油剤、乳剤、バルサム剤、フォーム剤、ローション剤、ゲル剤、クリームゲル剤、ヒドロアルコール溶液剤、ヒドログリコール溶液剤、ヒドロゲル剤、リニメント剤、血清剤、石鹸剤、シャンプー、コンディショナー、セラム剤、多糖フィルム剤、軟膏剤、ムース、ポマード、散剤、バー、ペンシルおよびスプレー剤または噴霧剤(スプレー剤)(リーブオン型およびリーンスオフ型製剤を含む)で生産することができる。これらの局所または経皮施用製剤は、当業者により公知の技法を使用して、様々なタイプの固体補助剤、例えば、以下に限定されないが、帯具、ガーゼ、t-シャツ、靴下、タイツ、下着、ガードル、手袋、おむつ、生理用品、包帯、ベッドカバー、拭き取り繊維、粘着パッチ、非粘着パッチ、閉塞パッチ、微小電気パッチもしくはフェイスマスクに組み込むことができるか、またはそれらは、とりわけ、液体ファンデーションおよびコンパクトファンデーションなどのメーキャップ用ファンデーション、メーキャップ除去用ローション、メーキャップ除去用乳液、眼の下のコンシーラー、アイシャドウ、リップスティック、リッププロテクター、リップグロスおよびパウダーなどの様々なメーキャップ製品に組み込むことができる。
【0148】
本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、本発明の化合物の経皮吸収を増大する薬剤、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、界面活性剤、アゾン(azone)(1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン)、アルコール、ウレア、エトキシジグリコール、アセトン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを含むことができる。さらに、本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、イオントフォレーシス、ソノフォレーシス、電気穿孔法、微小電気パッチ、機械的圧力、浸透圧グラジエント、閉塞的治療、酸素圧力による注射などの圧力によるマイクロインジェクションもしくは無針注射、またはそれらの任意の組合せにより、処置される局所エリアに施用して、本発明のペプチドのより大きな浸透を実現することができる。施用エリアは、処置および/またはケアされる、状態、障害および/または疾患の性質により決定される。
【0149】
一実施形態では、本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、化粧品(メーキャップおよび保湿剤を含む)および衛生用品(クレンジング製品を含む)に、通常、含有する化学刺激物を含有する。化学刺激物とは、皮膚に刺激を引き起こす化学品を意味する。したがって、本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、界面活性剤;酸化剤;溶媒;保存剤;脂肪酸もしくはアルコール;化学日焼け防止剤;エトキシ化化合物および他のホルムアルデヒド放出剤;フレグランス;ならびに/または化学的剥離剤から選択される1種または複数の化学品を含有することができる。一実施形態では、本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、1つまたは複数の界面活性剤を含有する。
【0150】
さらに、式(I)の化合物、それらの立体異性体、それらの混合物、および/または化粧品としてもしくは薬学的に許容されるそれらの塩を含有する化粧用組成物は、経口投与向けの様々なタイプの製剤で、好ましくは、以下に限定されないが、カプセル剤(ゼラチンカプセル剤、軟質カプセル剤、硬質カプセル剤を含む)、錠剤(糖コーティング錠剤、錠剤を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、咀嚼ガム剤、溶液剤、懸濁液剤、エマルション剤、シロップ剤、エリキシル剤、多糖フィルム剤、ゼリー剤またはゼラチン剤、および当業者によって公知の任意の他の形態などの経口化粧品または薬物の形態で使用することができる。特定の実施形態では、本発明の化合物は、以下に限定されないが、食事バー、または圧縮もしくは非圧縮粉末などの、機能性食品または強化食品の任意の形態に組み込むことができる。これらの粉末は、水、ソーダ、乳製品、ダイズ誘導体に溶解することができるか、または食事バーに組み込むことができる。本発明の化合物は、経口用組成物向けの一般的な賦形剤およびアジュバント、または栄養補助食品、例えば、以下に限定されないが、食品産業において一般的な脂肪構成成分、水性構成成分、保水剤、保存剤、粘着防止剤、風味剤、芳香剤、抗酸化剤および着色剤と共に製剤化することができる。
【0151】
式(I)の化合物、それらの立体異性体、それらの混合物および/または、化粧品としてもしくは薬学的に許容されるそれらの塩を含有する化粧用組成物または医薬組成物は、局所または経皮経路によって、所望の投与形態の製剤に必要な薬学的に許容される賦形剤を含む、経口または非経口経路などの、任意の他の適切な経路によって投与することもできる。本発明の文脈において、用語「非経口」には、経鼻、経耳、経眼、直腸内、尿道内、膣内、皮下、皮内経路、血管内注射(静脈、筋肉内など)、眼内、硝子体、角膜内、髄腔内、髄内、頭蓋内、頸管内、大脳内、髄膜内、関節内、肝内、胸郭内、気管内、鞘内および腹腔内、ならびに任意の別の類似した注射または注入技法が含まれる。当業者は、本発明の化合物を含有する化粧用組成物または医薬組成物が投与され得る、様々な手段を認識している。
【0152】
本発明において記載されている化粧用組成物または医薬組成物に含有されている化粧品としてまたは薬学的に許容されるアジュバントには、化粧用組成物または医薬組成物に一般に使用されている追加成分、例えば、以下に限定されないが、皮膚バリア機能を改善もしくは回復する他の薬剤、ノクターニン調節剤、ミトコンドリア代謝を推進する薬剤、アジポネクチン放出を増強する薬剤、細胞間情報伝達を推進する薬剤、皮膚細胞におけるコネキシンを増加する薬剤、皮膚の自己再生を促進する薬剤、皮膚の過形成性瘢痕を予防する薬剤、DNA保護剤、DNA修復剤、幹細胞保護剤、表皮幹細胞のプールを再活性化する薬剤、ニューロンエキソサイトーシスを阻害する薬剤、抗コリン剤、筋収縮を阻害する薬剤、アンチエージング剤、抗しわ剤、制汗剤、抗炎症および/もしくは鎮痛剤、抗掻痒剤、鎮静剤、麻酔剤、アセチルコリン受容体凝集の阻害剤、アセチルコリンエステラーゼの阻害剤、皮膚弛緩剤、メラニン合成刺激もしくは阻害剤、ホワイトニングもしくは脱色素剤、色素沈着促進剤、セルフタンニング剤、NOシンターゼ抑制剤、5α-レダクターゼ抑制剤、リシルおよび/もしくはプロリルヒドロキシラーゼ抑制剤、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤および/もしくは大気汚染に対する薬剤、反応性カルボニル種捕捉剤、抗糖化剤、解毒剤、抗ヒスタミン剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、乳化剤、エモリエント剤、有機溶媒、液体噴射剤、スキンコンディショナー、保水剤、水分を保持する物質、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、保湿剤、表皮加水分解酵素、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、色素もしくは着色剤、色素剤、バイオポリマー、ゲル化ポリマー、増粘剤、界面活性剤、柔軟剤、乳化剤、結合剤、保存剤、目の下の隈を軽減もしくは処置することが可能な薬剤、角質除去剤、角質溶解剤、落屑剤、抗微生物剤、抗真菌剤、静真菌剤、殺菌剤、静菌剤、真皮もしくは表皮マクロ分子の合成を刺激する薬剤および/もしくはそれらの分解を阻害もしくは防止することが可能な薬剤、コラーゲン合成刺激剤、エラスチン合成刺激剤、デコリン合成刺激剤、ラミニン合成刺激剤、デフェンシン合成刺激剤、シャペロン合成刺激剤、cAMP合成刺激剤、AQP-3調節剤、アクアポリン合成刺激剤、アクアポリンファミリーのタンパク質、ヒアルロン酸合成刺激剤、グリコサミノグリカン合成刺激剤、フィブロネクチン合成刺激剤、サーチュイン合成刺激剤、サーチュイン活性化剤、熱ショックタンパク質、熱ショックタンパク質合成刺激剤、脂質および角質層の構成成分の合成を刺激する薬剤、セラミド、脂肪酸、コラーゲン分解を阻害する薬剤、マトリックスメタロプロテイナーゼを阻害する薬剤、エラスチン分解を阻害する薬剤、カリクレイン、エラスターゼもしくはカテプシンなどのセリンプロテアーゼを阻害する薬剤、線維芽細胞増殖を刺激する薬剤、ケラチノサイト増殖を刺激する薬剤、脂肪細胞増殖を刺激する薬剤、メラノサイト増殖を刺激する薬剤、ケラチノサイト分化を刺激する薬剤、脂肪細胞分化を刺激もしくは遅延させる薬剤、抗過角化症剤、コメド溶解剤、抗乾癬剤、安定化剤、敏感皮膚の処置および/もしくはケアのための薬剤、ファーミング剤、抗ストレッチマーク剤、結合剤、皮脂産生を調節する薬剤、脂肪分解剤もしくは脂肪分解を刺激する薬剤、脂肪生成剤、PGC-1α発現をモジュレートする薬剤、PPARγの活性をモジュレートする薬剤、脂肪細胞のトリグリセリド含有量を増加もしくは低下させる薬剤、抗セルライト剤、PAR-2の活性を阻害する薬剤、治癒を刺激する薬剤、共アジュバント治癒剤、再上皮形成を刺激する薬剤、共アジュバント再上皮形成剤、サイトカイン増殖因子、毛細管循環および/もしくは微小循環に作用する薬剤、新脈管形成を刺激する薬剤、血管透過性に阻害する薬剤、静脈強壮剤(venotonic agent)、細胞代謝に作用する薬剤、真皮-表皮接合を改善する薬剤、発毛を誘導する薬剤、発毛阻害または遅延剤、抜け毛を遅延する薬剤、保存剤、香料、化粧用および/もしくは吸収用および/もしくは体臭マスキング用デオドラント、キレート剤、植物エキス、エッセンシャルオイル、海産物エキス、生物工学的プロセスから得られる薬剤、ミネラル塩、細胞エキス、日焼け止めならびに紫外線Aおよび/もしくはBおよび/もしくは赤外線Aに対して活性な有機もしくは無機光防護剤、またはそれらの混合物であるが、ただし、それらは、組成物の構成成分の残りと、特に本発明の化合物と物理的かつ化学的に適合性であることを条件とする。さらに、これらの追加の成分の性質は、本発明の化合物の利益を許容できないほど変更するべきではない。これらの追加の成分の性質は、植物エキスなどの合成もしくは天然であっても、生物工学的プロセス由来であっても、合成手順および生物工学的の組合せ由来であってもよい。追加の例は、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第12版(2008年)に見出すことができる。本発明の文脈において、生物工学的プロセスは、生物またはその一部において活性成分またはその一部を産生する任意のプロセスであることが理解される。
【0153】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、および薬学的にまたは化粧品として有効量の、保水剤/エモリエント剤/保湿剤;創傷治癒/再上皮化剤;抗しわ/エージング活性剤;ホワイトニング/脱色素剤;敏感皮膚処置剤;抗掻痒剤;抗炎症剤;および/または乾癬、皮膚炎もしくは湿疹の処置のための活性剤からなる群から選択される1種または複数のアジュバントを含む化粧用組成物または医薬組成物を提供する。
【0154】
本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、以下に限定されないが、とりわけ、グリセリン、エチルヘキシルグリセリン、カプリリルグリコール、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコールおよびその誘導体、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、Glycereth-26、Sorbeth-30などのポリオールおよびポリエーテル;パンテノール;ピログルタミン酸およびその塩もしくは誘導体;セリン、プロリン、アラニン、グルタミン酸またはアルギニンなどのアミノ酸;エクトインおよびその誘導体;N-(2-ヒドロキシエチル)アセトアミド;ピロリドンカルボン酸(PCA);N-ラウロイル-ピロリドンカルボン酸;N-ラウロイル-L-リシン;N-アルファ-ベンゾイル-L-アルギニン;ウレア;クレアチン;乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸もしくはサリチル酸などのアルファ-およびベータ-ヒドロキシ酸、ならびにその塩;アクリル酸ポリグリセリル(polyglyceryl acrilate);グルコース、異性化糖、ソルビトール、ペンタエリスリトール、イノシトール、キシリトール、ソルビトール、トレハロースおよびその誘導体、グルクロン酸ナトリウム、カラゲナン(Chondrus crispus)もしくはキトサンなどの糖および多糖;ヒアルロン酸およびその誘導体などのグリコサミノグリカン;その形態のいずれかのaloe vera;ハチミツ;可溶性コラーゲン;レシチンおよびホスファチジルコリン;セラミド;コレステロールおよびそのエステル;トコフェロールおよびそのエステル(酢酸トコフェリルまたはリノール酸トコフェリルなど);セテアリルアルコール、ステアリン酸アルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソセチルアルコールもしくはオクタデカン-2-オールなどの長鎖アルコール;乳酸ラウリル、酢酸ミリスチルもしくは安息香酸C12~C15アルキルなどの長鎖アルコールエステル;ステアリン酸、イソステアリン酸もしくはパルミチン酸(palmytic acid)などの脂肪酸;多不飽和脂肪酸(PUFA);二ステアリン酸ソルビタンなどのソルビタン;モノリシノール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、クエン酸ステアリン酸グリセリル、もしくはカプリル酸およびカプリン酸トリグリセリドなどのグリセリド;パルミチン酸サッカロースもしくはオレイン酸サッカロースなどのサッカロースエステル;二カプリル酸エステルおよび二カプリン酸エステルなどのブチレングリコールエステル;イソステアリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、パルミチン酸セチル、セバシン酸ジ-n-ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ヤシ脂肪酸2-エチルヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチルなどの脂肪酸エステル;スクワレン;ミンクオイル;ラノリンおよびその誘導体;アセチル化ラノリンアルコール;シクロメチコン、ジメチコンもしくはジメチルポリシロキサンなどのシリコーン誘導体;Antarcticine(登録商標)[INCI:Pseudoalteromonas発酵エキス]、Xpertmoist(登録商標)[INCI:グリセリン、Pseudoalteromonas発酵エキス、キサンタンガム、プロリン、アラニン、セリン、エチルヘキシルグリセリン、カプリリルグリコール]、Bodyfensine(登録商標)[INCI:アセチルジペプチド-3アミノヘキサノエート]、Hyadisine(登録商標)[INCI:Pseudoalteromonas発酵エキス]もしくはDiffuporine(登録商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-37](Lipotec/Lubrizolにより販売);Amiporine(登録商標)ER[INCI:グリセリン、Punica Granatum果実エキス]、HPS3(登録商標)[INCI:Padina Pavonica葉状体エキス]もしくはPhytoamine Biocomplexe[INCI:Symphytum Officinaleエキス、Plantago 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Herbaceaエキス、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド](Codifにより販売);Marine Filling Spheres(商標)[INCI:テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、シリカジメチルシリレート、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アテロコラーゲン](Coletica/Engelhard/BASFにより販売);HyaCare(登録商標)[INCI:ヒアルロン酸ナトリウム]もしくはSkinmimics(登録商標)[INCI:セテアレス-25、セチルアルコール、ベヘン酸、コレステロール、セラミドNP、セラミドNS、セラミドEOS、セラミドEOP、セラミドAP、カプロオイルフィトスフィンゴシン、カプロオイルスフィンゴシン](Evonikにより販売);DS-Sphyngomielin M[INCI:スフィンゴ脂質](Doosanにより販売);Syn-Up(商標)[INCI:ベンジルスルホニル D-セリルホモフェニルアラニンアミジノベンズアミド酢酸塩](DSMにより販売);Aqualicia(登録商標)[INCI:加水分解Acacia Macrostachya種子エキス]もしくはSoline(登録商標)[INCI:Helianthus Annuus(ヒマワリ)種子油不けん化物](Laboratoires Expanscienceにより販売);Arct’Alg(登録商標)[INCI:Chondrus Crispusエキス]もしくはGlistin(登録商標)[INCI:グルタミルアミドエチルインドール](Exsymolにより販売);Bonicel(商標)[INCI:Bacillus発酵物](Ganeden Biotechにより販売);Gatuline(登録商標)Renew[INCI:Cryptomeria Japonica芽エキス](Gattefosseにより販売);Biotilys(登録商標)[INCI:Lactobacillus発酵溶解物](Greentechにより販売);Aqua Shuttle[INCI:ソルビトール、Laminaria Digitataエキス、珪藻土](Infinitecにより販売);Aquarize(商標)IS[INCI:加水分解イネエキス]もしくはAqua-Osmoline(商標)[INCI:Ceratonia 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Vulgaris(タチジャコウソウ)花/葉エキス、Buddleja Davidiiエキス]、Hyasol BT[INCI:ヒアルロン酸ナトリウム]、Pentavitin(登録商標)[INCI:異性化糖]もしくはPhytaluronate(登録商標)[INCI:Ceratonia Siliqua(イナゴマメ)ガム](Pentapharm/DSMにより販売);Aquaxtrem(商標)[INCI:Rheum Rhaponticum根エキス]もしくはHydromanil[INCI:加水分解Caesalpinia Spinosaガム、Caesalpinia Spinosaガム](Provitalにより販売)

;Aquarich(登録商標)[INCI:Avena Strigosa種子エキス]、CellActive(登録商標)-Hydro[INCI:Pyrus Malus(リンゴ)果実エキス、ペクチン、Chlorella Vulgaris/Lupinus Albusタンパク発酵物]、CellActive(登録商標)-Men[INCI:タウリン、Chlorella Vulgaris/Lupinus Albusタンパク発酵物、Acanthopanax Senticosus(エゾウコギ)根エキス]、Hydractin(登録商標)-LMF[INCI:Polypodium Vulgare根茎エキス、Cetraria Islandica(アイスランドゴケ)葉状体エキス、Sphagnum Magellanicumエキス]、Myramaze(登録商標)[INCI:Myrothamnus Flabellifoliaエキス、アスコルビン酸]もしくはReforcyl(登録商標)[INCI:グルタミン、デシルグルコシド、フェネチルアルコール、Cistus Incanus花/葉/茎エキス、Gynostemma Pentaphyllum葉/茎エキス](Rahnにより販売);Aqualance(商標)[INCI:エリスリトール、ホマリンHCl]、Hydraprotectol(商標)[INCI:グリセリルポリメタクリレート、アロイリット酸、酵母エキス(Faex)、グリコタンパク質]、Moist24(商標)[INCI:Imperata Cylindrica根エキス]、Optim Hyal(商標)[INCI:加水分解酵母エキス、セチルヒドロキシエチルセルロース、ポリグルクロン酸]、Osmocide(登録商標)4[INCI:グリセリン、アクリレート/C10-30アクリル酸アルキルクロスポリマー]、Renovage(商標)[INCI:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド、テプレノン]、Revidrate(商標)[INCI:パルミチン酸エチルヘキシル、オレイン酸ソルビタン、ソルビタンラウレート、ミリスチルリンゴ酸ホスホン酸]、Subliskin(商標)[INCI:Sinorhizobium Meliloti発酵濾液、セチルヒドロキシエチルセルロース]もしくはVenuceane(商標)[INCI:Thermus Thermophillus発酵物](Sederma/Crodaにより販売);Aquaxyl(商標)[INCI:キシリチルグルコシド無水キシリトール、キシリトール]もしくはSepicalm(商標)S[INCI:ココシルアミノ酸ナトリウム、サルコシン、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム](Seppicにより販売);Cohesium(登録商標)[INCI:Ophiopogon Japonicus根エキス]、Nerenyl(登録商標)[INCI:サッカライド加水分解物]またはPro-Lipiskin(登録商標)[INCI:Pichia Anomalaエキス](Silabにより販売);Hydreis[INCI:加水分解ベータ-グルカン]、Hydrintense[INCI:Porphyridium Cruentumエキス]もしくはRenovHyal[INCI:ヒアルロン酸ナトリウム](Solianceにより販売);SymLift(商標)[INCI:トレハロース、ベータ-グルカン、Hordeum Vulgare種子エキス、ヒアルロン酸ナトリウム](Symriseにより販売);ワセリン;鉱物油;無機および合成ワックス;ビーワックス(cera alba);パラフィン;またはカンデリラワックス(Euphorbia cerifera)、カルナウバワックス(Copernicia cerifera)、シアバター(Butirospermum parkii)、カカオバター(Theobroma cacao)、ヒマシ油(Ricinus communis)、ヒマワリ油(Helianthus annuus)、オリーブ油(Olea europaea)、ココナッツ油(Cocos nucifera)、パーム油(Elaeis guineensis)、コムギ胚芽油(Triticum vulgare)、甘扁桃油(Prunus amygdalus dulces)、マスクローズズ種子油(Rosa moschata)、ワイルドソイビーン油(Glycine soja)、グレープシードオイル(Vitis vinifera)、カレンデュラ油(Calendula officinalis)、ホホバ油(Simmonsis chinensis)、マンゴ油(Mangifera indica)、アボカド油(Persea gratissima)などの植物起源のワックスおよびオイル、ならびに/またはそれらの混合物などの、保水剤、水分を保持する物質、保湿剤およびエモリエント剤により形成される化粧品用または医薬品用アジュバントの群から選択される、化粧品としてまたは薬学的に有効な量の少なくとも1つの化合物、油またはワックスを含むことができる。
【0155】
本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、Aristoloquia clematis、Centella asiatica、Rosa moschata、Echinacea angustifolia、Symphytum officinale、Equisetum arvense、Hypericum perforatum、Mimosa tenuiflora、Persea gratisima、Prunus africanum、Tormentilla erectea、Aloe vera、Polyplant(登録商標)Epithelizing[INCI:Calendula Officinalis、Hypericum Perforatum、Chamomilla Recutita、Rosmarinus Officinalis](Provitalにより販売);Cytokinol(登録商標)LS 9028[INCI:加水分解カゼイン、加水分解酵母タンパク質、リシンHCl](Laboratories Serobiologiques/Cognisにより販売);Deliner(登録商標)[INCI:Zea May(トウモロコシ)核エキス](Coletica/Engelhard/BASFにより販売);Antarcticine(登録商標)[INCI:Pseudoalteromonas発酵エキス]、Decorinyl(登録商標)[INCI:トリペプチド-10シトルリン]、Trylagen(登録商標)[INCI:Pseudoalteromonas発酵エキス、加水分解コムギタンパク質、加水分解ダイズタンパク質、トリペプチド-10シトルリン、トリペプチド-1]、Bodyfensine(登録商標)[INCI:アセチルジペプチド-3 アミノヘキサノエート]、Delisens(商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-49]もしくはDiffuporine(登録商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-37](Lipotec/Lubrizolにより販売);Alpaflor(登録商標)Imperatoria AO[INCI:Peucedanum Ostruthium葉エキス]もしくはOXY 229-BT[INCI:Saccharomyces溶解物](Pentapharm/DSMにより販売);CellActive(登録商標)-Men[INCI:Chlorella Vulgaris/Lupinus Albusタンパク発酵物、タウリン、Acanthopanax Senticosus(エゾウコギ)根エキス](Rahnにより販売);Drieline(商標)[INCI:加水分解水添デンプン、酵母エキス](Lucas Meyer Cosmetics/Unipexにより販売);NAB(登録商標)Rhodiola Extract[INCI:Rhodiola Rosea根エキス](Arch/Lonzaにより販売);Neoskin(商標)[INCI:Mimosa Tenuiflora樹皮エキス](Gattefosseにより販売);またはSymPeptide(商標)222[INCI:ミリストイルペンタペプチド-8]、SymPeptide(商標)225[INCI:ミリストイルペンタペプチド-11]もしくはSymPeptide(商標)230[INCI:ミリストイルヘキサペプチド-4](Symriseにより販売);アラントイン、カドヘリン、インテグリン、セレクチン、ヒアルロン酸受容体、免疫グロブリン、線維芽細胞増殖因子、結合組織増殖因子、血小板由来増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、上皮増殖因子、インスリン様増殖因子、ケラチノサイト増殖因子、コロニー-刺激因子、トランスフォーミング増殖因子ベータ、腫瘍壊死因子-アルファ、インターフェロン、インターロイキン、マトリックスメタロプロテイナーゼ、受容体タンパク質チロシンホスファターゼ、および/またはそれらの混合物のエキスにより形成される群から選択される、化粧品としてまたは薬学的に有効な量の少なくとも1種の創傷治癒を刺激する薬剤、アジュバント創傷治癒剤、再上皮化を刺激する薬剤および/または共アジュバント再上皮形成剤を含むことができる。
【0156】
本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、Vitis vinifera、Rosa canina、Curcuma longa、Theobroma cacao、Ginkgo biloba、Leontopodium alpinumまたはDunaliella salinaのエキスまたは加水分解エキス、とりわけ、Matrixyl(登録商標)[INCI:パルミトイルペンタペプチド-4]、Matrixyl(登録商標)3000(登録商標)[INCI:パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルオリゴペプチド]、Matrixyl(登録商標)Synthe’6(商標)[INCI:ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、パルミトイルトリペプチド-38]、Essenskin(商標)[INCI:カルシウムヒドロキシメチオニン]、Renovage[INCI:テプレノン]、Resistem(商標)[INCI:Globularia Cordifolia発酵物]、Dermaxyl(登録商標)[INCI:パルミトイルオリゴペプチド]、Beautifeye(商標)[INCI、Albizia Julibrissin樹皮エキス、ダルトシド]、Meiritage(商標)[INCI:Astragalus Membranaceus根エキス、Atractylodes Macrocephala根エキス、Bupleurum Falcatum根エキス]、Senestem(商標)[INCI:Plantago Lanceolata葉エキス]、Venuceane(商標)[INCI:Thermus Thermophillus発酵物]もしくはMajestem(商標)[INCI:Leontopodium Alpinumカルス培養エキス](Sederma/Crodaにより販売);Vialox(登録商標)[INCI:ペンタペプチド-3]、Syn(登録商標)Ake(登録商標)[INCI:ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミド]、Syn(登録商標)-Coll[INCI:パルミトイルトリペプチド-5]、Phytaluronate[INCI:ローカストビーン(Ceratonia Siliqua)ガム]、Preregen(登録商標)[INCI:Glycine Soja(ダイズ)タンパク質、オキシドレダクターゼ]、Syn(登録商標)-TC[INCI:トリフルオロ酢酸テトラデシルアミノブチロイルバリルアミノ酪酸ウレア、パルミトイルトリペプチド-5、パルミトイルジペプチド-5ジアミノブチロイルヒドロキシトレオニン]、Syn-Star(商標)[INCI:ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミド]もしくはRegu(登録商標)-Scence[INCI:Asparagus Officinalis茎エキス、グルコノラクトン、グルコン酸カルシウム](Pentapharm/DSMにより販売);Myoxinol(商標)[INCI:加水分解Hibiscus Esculentusエキス]、Syniorage(商標)[INCI:アセチルテトラペプチド-11]、Dermican(商標)[INCI:アセチルテトラペプチド-9]、DN AGE(商標)LS[INCI:Cassia Alata葉エキス]、EquiStat[INCI:Pyrus Malus果実エキス、Glycine Soja種子エキス]、Juvenesce[INCI:エトキシジグリコール、カプリル酸トリグリセリド、レチノール、ウルソール酸、フィトナジオン、イロマスタット]、Shadownyl(商標)[INCI:アルゲエキス]、Epigenist(商標)[INCI:Voandzeia Subterranea種子エキス、マルトデキストリン]、LOX-AGE(商標)[INCI:Cichorium Intybus(チコリ)葉エキス]もしくはPerlaura(商標)[INCI:Polygonum Bistorta根エキス](BASFにより販売);Algisum C(登録商標)[INCI:マンヌロン酸メチルシラノール]、Hydroxyprolisilane CN(登録商標)[INCI:アスパラギン酸メチルシラノールヒドロキシプロリン]もしくはExage[INCI:イミダゾリルエチルジアミノプロパンアミド](Exsymolにより販売);Argireline(登録商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-8]、SNAP-7(商標)[INCI:アセチルヘプタペプチド-4]、SNAP-8(商標)[INCI:アセチルオクタペプチド-3]、Leuphasyl(登録商標)[INCI:ペンタペプチド-18]、Inyline(登録商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-30]、Aldenine(登録商標)[INCI:加水分解コムギタンパク質、加水分解ダイズタンパク質、トリペプチド-1]、Preventhelia(登録商標)[INCI:ジアミノプロピオノイルトリペプチド-33]、Decorinyl(登録商標)[INCI:トリペプチド-10シトルリン]、Decorinol(登録商標)[INCI:トリペプチド-9シトルリン]、Trylagen(登録商標)[INCI:Pseudoalteromonas発酵エキス、加水分解コムギタンパク質、加水分解ダイズタンパク質、トリペプチド-10シトルリン、トリペプチド-1]、Eyeseryl(登録商標)[INCI:アセチルテトラペプチド-5]、ペプチド AC29[INCI:アセチルトリペプチド-30シトルリン]、Relistase(登録商標)[INCI:アセチルアルギニルトリプトフィルジフェニルグリシン]、Thermostressine(登録商標)[INCI:アセチルテトラペプチド-22]、Lipochroman(登録商標)[INCI:ジメチルメトキシクロマノール]、Chromabright(登録商標)[INCI:パルミチン酸ジメチルメトキシクロマニル]、Antarcticine(登録商標)[INCI:Pseudoalteromonas発酵エキス]、dGlyage(登録商標)[INCI:リシンHCl、レシチン、トリペプチド-9シトルリン]、Vilastene(商標)[INCI:リシンHCl、レシチン、トリペプチド-10シトルリン]、Hyadisine(登録商標)[INCI:Pseudoalteromonas発酵エキス]、Hyanify(商標)[INCI:異性化糖]、Diffuporine(登録商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-37]、Silusyne(登録商標)[INCI:ダイズ(Glycine Soja)油、セスキオレイン酸ソルビタン、イソヘキサデカン、ヒアルロン酸ナトリウム、ラウルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク質、アセチルヘキサペプチド-39]、Adifyline(登録商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-38]、Uplevity(商標)[INCI:アセチルテトラペプチド-2]、Juveleven(商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-51アミド]、Argirelox(商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-8、ペンタペプチド-18]、Seacode(商標)[INCI:Pseudoalteromonas発酵エキス]、Eyedeline(商標)[INCI:プランクトンエキス]、Cellynkage(商標)[INCI:異性化糖]もしくはReproage(商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-8](Lipotec/Lubrizolにより販売);Kollaren(登録商標)[INCI:トリペプチド-1、デキストラン](Institut Europeen de Biologie Cellulaireにより販売);Collaxyl(登録商標)IS[INCI:ヘキサペプチド-9]、Laminixyl IS(商標)[INCI:ヘプタペプチド]、Orsirtine(商標)GL[INCI:Oryza Sativa(イネ)エキス]、D’Orientine(商標)IS[INCI:Phoenix Dactylifera(ナツメヤシ)種子エキス]、Phytoquintescine(商標)[INCI:ヒトブツコムギ(Triticum Monococcum)エキス]、Quintescine(商標)IS[INCI:ジペプチド-4]、ペプチドQ10(商標)[INCI:ペンタペプチド-34トリフルオロアセテート]またはTelosense(商標)[INCI:加水分解酵母タンパク質、加水分解ダイズタンパク質](Vincience/ISP/Ashlandにより販売);BONT-L-ペプチド[INCI:パルミトイルヘキサペプチド-19](Infinitec Activosにより販売);Deepaline(商標)PVB[INCI:パルミトイル加水分解コムギタンパク質]、Sepilift(登録商標)DPHP[INCI:ジパルミトイルヒドロキシプロリン]もしくはEphemer(商標)[INCI:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド、Undaria Pinnatifidaエキス](Seppicにより販売);Gatuline(登録商標)Expression[INCI:Acmella Oleraceaエキス]、Gatuline(登録商標)In-Tense[INCI:Spilanthes Acmella花エキス]、Gatuline(登録商標)Age Defense2[INCI:Juglans Regia(クルミ)種子エキス]もしくはGatuline(登録商標)Renew[INCI:Cryptomeria Japonica芽エキス](Gattefosseにより販売);Thalassine(商標)[INCI:アルゲエキス](Biotechmarineにより販売);ChroNOline(商標)[INCI:カプロオイルテトラペプチド-3]もしくはThymulen-4[INCI:アセチルテトラペプチド-2](Atrium/Unipex Innovationsにより販売);Ameliox[INCI:カルノシン、トコフェロール、Silybum Marianum果実エキス]、PhytoCellTec(商標)Malus Domestica[INCI:Malus Domestica果実細胞培養物]、PhytoCellTec(商標)Symphytum[INCI:イソマルト、Symphytum Officinale根細胞培養物、レシチン]、PhytoCellTec(商標)nunatak(登録商標)[INCI:Saponaria Pumilaカルス培養エキス、イソマルト、レシチン]、AnaGain(商標)[INCI:Pisum Sativum(エンドウ)スプラウトエキス]、Dermcom[INCI:Acacia Senegalゴム、Crocus Chrysanthus球根エキス]、Snow Algae Powder[INCI:Chlamydocapsaエキス、マルトデキストリン、レシチン]、RoyalEpigen P5[INCI:ペンタペプチド-48、水素化レシチン、Butyrospermum Parkii(シア)バター]もしくはVin-upLift[INCI:ブドウ酒、Caesalpinia Spinosaガム](Mibelle Biochemistryにより販売);Bioxilift[INCI:Pimpinella Anisumエキス]、SMS Anti-Wrinkle(登録商標)[INCI:Annona Squamosa種子エキス]、Vitagenyl(登録商標)[INCI:Prunus Persica(モモ)葉エキス]、Epigenomyl(登録商標)[INCI:Calendula Officinalis花エキス]、Eternaline(登録商標)[INCI:Helichrysum Stoechasエキス]もしくはFilmexel(登録商標)[INCI:Kappaphycus Alvareziiエキス、Caesalpinia Spinosa果実エキス](Silabにより販

売);Citrustem(商標)[INCI:キサンタンガム、グルコノラクトン、グルコン酸カルシウム]、Melavoid(商標)[INCI:Boerhavia Diffusa根エキス]、Darkout(商標)[INCI:Hypoxis Rooperi根茎エキス、Caesalpinia Spinosaガム]、Linefill(商標)[INCI:カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ジメチルイソソルビド、Sesamum Indicum(ゴマ)種子エキス]もしくはLingostem(商標)[INCI:Vaccinium Vitis-Idaea果実エキス](Provitalにより販売);Novhyal(登録商標)Biotech G[INCI:アセチルグルコサミンリン酸二ナトリウム]、Rubixyl(登録商標)[INCI:ヘキサペプチド-47]もしくはTightenyl(商標)[INCI:アセチルグルコサミンリン酸二ナトリウム、グルクロン酸ナトリウム](Induchem/Givaudanにより販売);Sphingokine(登録商標)NP[INCI:カプロオイルフィトスフィンゴシン](Evonikにより販売);Effipulp(登録商標)[INCI:加水分解アボカドタンパク質、マルトデキストリン]もしくはNeurovity(登録商標)[INCI:Vitex Negundoエキス](Laboratoires Expanscienceにより販売);Progeline(商標)[INCI:デキストラン、トリフルオロアセチルトリペプチド-2]、Adipofill’in(商標)[INCI:オルニチン、リン脂質、糖脂質]、Elix-IR(商標)[INCI:Polygonum Aviculareエキス]もしくはSWT-7(商標)[INCI:Swertia Chirataエキス](Lucas Meyer Cosmetics/Unipexにより販売);Amiperfect[INCI:Gaultheria Procumbens(ヒメコウジ)葉エキス]もしくはRepulpami ER[INCI:Adansonia Digitata果肉エキス、Hibiscus Sabdariffa花エキス](Alban Mullerにより販売);Liftonin(登録商標)-Xpress[INCI:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、Porphyridium Cruentumエキス]もしくはLiftonin(登録商標)-Xpert[INCI:Bulbine Frutescens葉汁](Rahnにより販売);Actiporine 8G[Jania Rubensエキス]、EPS Seafill[INCI:プランクトンエキス]もしくはNeuroguard[INCI:加水分解アルギン](Codifにより販売);Celloxyl(登録商標)[INCI:Uapaca Bojeri葉エキス]もしくはResistress(登録商標)[INCI:Sophora Japonica花エキス濾液](Solabiaにより販売);ProSynergen(商標)DF[INCI:Lactobacillus/Ulkenia Amoeboidea発酵エキス濾液](Lonzaにより販売);SymVital(登録商標)AgeRepair[INCI:Zingiber Officinale(ショウガ)根エキス](Symriseにより販売);Cernilys(登録商標)[INCI:Cedrus Atlantica樹皮エキス]もしくはReverskin(登録商標)[INCI:フィトステロール](Greentechにより販売);Clotholine(登録商標)[INCI:クマロイルメトキシトリプタミン、PEG-8カプリル酸/カプリン酸グリセリド](Sollice Biotechにより販売);Fision(商標)WrinkleFix[INCI:加水分解イネタンパク質、加水分解エンドウマメタンパク質、グリシン、プロリン、加水分解ヒアルロン酸ナトリウム](TRI-K Industriesにより販売);Ca2+チャネルのアンタゴニスト(以下に限定されないが、アルベリン、マンガンまたはマグネシウムの塩など)、ある特定の二級もしくは三級アミン、レチノールおよびその誘導体、イデベノンおよびその誘導体、コエンザイムQ10およびその誘導体、ボスウェリン酸およびその誘導体、GHKおよびその誘導体および/もしくは塩、カルノシンおよびその誘導体、DNA修復酵素(以下に限定されないが、フォトリアーゼまたはT4エンドヌクレアーゼVなど)または塩化物チャネルアゴニスト、ならびに/またはそれらの混合物により形成される群から選択されるの、化粧品としてまたは薬学的に有効な量の少なくとも1つの抗しわ剤および/またはアンチエージング剤を含むことができる。
【0157】
本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、Achillea millefolium、Aloe vera、Aradirachta indica、Asmuna japonica、Autocarpus incisus、Bidens pilosa、Broussonetia papyrifera、Chlorella vulgaris、Cimicifuga racemosa、Emblica officinalis、Glycyrrhiza glabra、Glycyrrhiza uralensis、Ilex purpurea、Ligusticum lucidum、Ligusticum wallichii、Mitracarpus scaber、Morinda citrifolia、Morus alba、Morus bombycis、Naringi crenulata、Prunus domesticus、Pseudostellariae radix、Rumex crispus、Rumex occidentalis、Sapindus mukurossi、Saxifragia sarmentosa、Scutellaria galericulate、Sedum sarmentosum bunge、Stellaria medica、Triticum Vulgare、Arctostaphylos Uva ursiもしくはWhitania somniferaのエキス、および/またはとりわけLipochroman(登録商標)[INCI:ジメチルメトキシクロマノール]、Chromabright(登録商標)[INCI:パルミチン酸ジメチルメトキシクロマニル]もしくはBrighlette(商標)[INCI:プランクトンエキス](Lipotec/Lubrizolにより販売);Whitami[INCI:パパイン、二酸化チタン、Angelica Acutiloba根エキス、Saposhnikovia Divaricata根エキス、チオクト酸、カオリン、アスコルビルグルコシド、Pinus Pinaster樹皮オリゴマープロアントシアニジン](Alban Mullerにより販売);NAB(登録商標)Asafetida Extract[INCI:エトキシジグリコール、Ferula Foetidaエキス](Arch/Lonzaにより販売);Licorice Roots Extract[INCI:甘草(Glycyrrhiza Glabra)エキス](Campo Researchにより販売);Belides(商標)[INCI:Bellis Perennis(ヒナギク)花エキス](CLRにより販売);Algowhite[INCI:Ascophyllum Nodosumエキス](Codifにより販売);Biowhite(商標)[INCI:Saxifraga Sarmentosaエキス、Vitis Vinifera(ブドウ)果実エキス、Morus Bombycis根エキス、Scutellaria Baicalensis根エキス]、Melarrest(登録商標)A[INCI:乳酸、コウジ酸、アスコルビン酸]、Melarrest(登録商標)L[INCI:リン脂質、Glycyrrhiza Glabra(甘草)エキス、コウジ酸、グリチルリチン酸アンモニウム]、Vitagen[INCI:リン酸アスコルビルアミノプロピル]もしくはCollalift[INCI:加水分解モルトエキス](Coletica/Engelhard/BASFにより販売);DC Skin Bright(商標)[INCI:PEG-12ジステアリン酸グリセリル、ジヒドロキシ安息香酸メチル、エトキシジグリコール、ポリエチレン](DC Ingredientsにより販売);DS-Whitekle[INCI:アセチルフィトスフィンゴシン](Doosanにより販売);TEGO Cosmo C 250[INCI:1-メチルヒダントイン-2-イミド]もしくはTEGO Pep 4-Even[INCI:テトラペプチド-30])Evonik Goldschmidtにより販売);Albatin(登録商標)[INCI:アミノエチルホスフィン酸](Exsymolにより販売);Synerlight(商標)[INCI:Actinidia Chinensis(キウイ)果実水、Sophora Angustifolia根エキス]もしくはGatuline(登録商標)Spot-Light[INCI:Actinidia Chinensis(キウイ)果実水、Sophora Flavescens根エキス](Gattefosseにより販売);Clerilys(商標)[INCI:Cucumis Santivus、Morus Albaエキス、Hibiscus Sabdariffaエキス、ブドウ酒エキス](Greentechにより販売);Melanostatine(登録商標)-5[INCI:デキストラン、ノナペプチド-1] (IEB/Unipexにより販売);Actiwhite(商標)[INCI:ジラウリン酸スクロース、ポリソルベート 20、Pisum Sativumエキス]、Active(登録商標)Powder Whiteness[INCI:メタクリル酸ラウリル/ジメタクリル酸グリコールコポリマー、ジカプリルエーテル、二酸化チタン、藻、Waltheria Indica葉エキス、フェルラ酸、ポリグリセリル-2-ジポリヒドロキシステアレート]、Dermawhite(登録商標)NF LS9410[INCI:マンニトール、Waltheria Indica葉エキス、デキストリン、フェルラ酸]、Dermawhite(登録商標)WF[INCI:酒石酸、Saxifraga Sarmentosaエキス、Carica Papaya(パパイヤ)果実エキス、Pisidium Guajava果実エキス]もしくはRadianskin(商標)[INCI:プロピオン酸ヒドロキシフェノキシ](L.Serobiologiques/Cognis/BASFにより販売);Lipobrite(登録商標)HCA-4[INCI:PEG-4、ヒドロキシケイ皮酸](Lipochemicalsにより販売);Whitessence(商標)[INCI:Artocarpus Heterophyllus種子エキス](Lucas Meyer Cosmetics/Unipexにより販売);Emblica(商標)[INCI:Phyllanthus Emblica果実エキス]もしくはRonaCare(登録商標)Pristine Bright(商標)[INCI:メトキシフェニルt-ブチルフェニルプロパンジオール](Merckにより販売);SulforaWhite[INCI:Lepidium Sativumスプラウトエキス]、Delentigo(商標)[INCI:Lepidium Sativumスプラウトエキス、レシチン、ダイズイソフラボン](Mibelleにより販売);Alpha-Arbutin[INCI:アルファ-アルブチン]、Gigawhite[INCI:Malva Sylvestris(ゼニアオイ)エキス、Mentha Piperita葉エキス、Primula Verisエキス、Alchemilla Vulgarisエキス、Veronica Officinalisエキス、Melissa Officinalis葉エキス、Achillea Millefoliumエキス]、Melawhite(登録商標)[INCI:白血球エキス、AHA]、Melfade(登録商標)-J[INCI:Arctostaphylos Uva-Ursi葉エキス、リン酸アスコルビルマグネシウム]もしくはRegu-Fade[INCI:レスベラトール](Pentapharm/DSMにより販売);CellActive(登録商標)White[INCI:ナイアシンアミド、亜鉛PCA、Chlorella Vulgaris/Lupinus Albusタンパク質発酵物、Nasturtium Officinaleエキス]もしくはIllumiscin(登録商標)[INCI:Olea Europaea葉エキス、アスコルビルグルコシド、亜鉛PCA](Rahnにより販売);Arlatone(商標)Dioic DCA[INCI:オクタデセン二酸、BHT]、Etioline(商標)[INCI:Arctostaphylos Uva Ursi葉エキス、Mitracarpus Scaberエキス]、Lumiskin(商標)[INCI:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド、ジアセチルボルジン]、Melaclear(商標)2[INCI:ジチアオクタンジオール、グルコン酸、スティラインズ、ベータ-カロテン]、Lumisphere(商標)[INCI:セチルヒドロキシエチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、トリラウリン、ジアセチルボルジン]、O.D.A.white(商標)[INCI:オクタデセン二酸] Wonderlight(商標)[INCI:Humulus Lupulus(ホップ)球果]、Mediatone(商標)[INCI:オクタデセン二酸]もしくはSenestem(商標)[INCI:Plantago Lanceolata葉エキス](Sederma/Crodaにより販売);Sepiwhite(商標)MSH[INCI:ウンデシレノイルフェニルアラニン]、Sepicalm(商標)VG[INCI:パルミトイルプロリンナトリウム、Nymphaea Alba花エキス]もしくはSea Shine[INCI:アルゲエキス、Undaria Pinnatifidaエキス](Seppicにより販売);Clariskin II[INCI:Triticum Vulgareエキス]、Dermalight(登録商標)[INCI:Tropaeolum Majusエキス]もしくはWhitonyl(登録商標)[INCI:Palmaria Palmataエキス](Silabにより販売);DermaPep(登録商標)A350[INCI:ミリストイルトリペプチド-31]もしくはDermaPep(登録商標)W411[INCI:パルミトイルヘキサペプチド-36、メチルウンデセノイルロイシナト](Miwon Commercialにより販売);Neurolight 61G[INCI:Pancratium Maritimumエキス](Codifにより販売);Azeloglicina(登録商標)[INCI:アゼロイルジグリシン酸カリウム](Sinergaにより販売);Whitesphere Premium[INCI:パルミチン酸スクロース、リノール酸グリセリル、Prunus Amygdalus Dulcis、扁桃油、Glycyrrhiza Glabra(甘草)根エキス、リン酸アスコルビルマグネシウム、Undaria Pinnatifidaエキス]もしくはAxolight[INCI:Triticum Aestivum(コムギフスマ)エキス](Solianceにより販売);SymWhite(登録商標)[INCI:フェニルエチルレゾルシノール]もしくはExtrapone(商標)Nutgrass GW[INCI:Cyperus Rotundus根エキス](Symriseにより販売);Synovea(登録商標)HR[INCI:ヘキシルレゾルシノール](Sytheonにより販売);β-White[INCI:水素化レシチン、オレイン酸ナトリウム、オリゴペプチド-68](Unipexにより販売);Achromaxyl(商標)[INCI:Brassica Napusエキス](Vincience/ISPにより販売);Active.Lite(登録商標)[INCI:Saccharomyces/ブドウ発酵エキス](Active Conceptsにより販売);Brightenyl(商標)[INCI:没食子酸ジグルコシル](Induchem/Givaudanにより販売);Cinde

rellaCare[INCI:Thymus Serpillumエキス](Ichimaru Pharcosにより販売);Darkout(商標)[INCI:Hypoxis Rooperi(根茎エキス、Caesalpinia Spinosaガム]もしくはMelavoid(商標)[INCI:Boerhavia Diffusa根エキス](Provitalにより販売);Kimarine(登録商標)[INCI:Undaria Pinnatifidaエキス](Gelymaにより販売);Omegalight(登録商標)[INCI:サフラワー種子油ピペロニルエステル]もしくはSolawhite(登録商標)[INCI:アルギン酸カルシウム、二酸化チタン、窒化ホウ素、バイオサッカライドガム-4](Solabiaにより販売);Beracare BBA[INCI:Pentaclethra Macroloba種子油](Beracaにより販売);Dermostatyl(商標)IS[INCI:ヘキサペプチド-2](Ashlandにより販売);Et-VC(商標)[INCI:3-O-エチルアスコルビン酸]もしくはGenoWhite(商標)[INCI:アセチルグリシルβ-アラニン](Corumにより販売);Inside Light Poet’s narcissus[INCI:Narcissus Poeticusカルスエキス](Naolysにより販売);Phytessence(商標)White Peony[INCI:Paeonia Lactiflora根エキス](Crodaにより販売);ReGeniStem(商標)Brightening[INCI:Glycyrrhiza Glabra(甘草)根カルス培養エキス、Prunus Armeniaca(アンズ)核油](Lonzaにより販売);Skin Moon(登録商標)[INCI:Citrus Sinensis(オレンジ)果実水、Oryza Sativa(イネ)エキス、Capparis Spinosa果実エキス、Olea Europaea(オリーブ)葉エキス](Bionapにより販売);Sweetone(登録商標)[INCI:サッカライド加水分解物](Laboratoires Expanscienceにより販売);アルブチンおよびその異性体、コウジ酸およびその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体、例えば以下に限定されないが、6-O-パルミトイルアスコルビン酸、ジパルミトイルアスコルビン酸、アスコルビン酸-2-リン酸由来のマグネシウム塩(NAP)、アスコルビン酸-2-リン酸由来のナトリウム(NAP)、アスコルビルグルコシドもしくはテトライソパルミチン酸アスコルビル(VCIP)、とりわけ、レチノールおよびその誘導体(トレチノインおよびイソトレチノインを含む)、イデベノン、ヒドロキシ安息香酸およびその誘導体、フラボノイド、ダイズエキス、レモンのエキス、オレンジのエキス、イチョウウのエキス、キュウリのエキス、ゼラニウムのエキス、クマコケモモのエキス、イナゴマメのエキス、シナモンのエキス、マジョラムのエキス、ローズマリーのエキス、クローブのエキス、甘草の可溶性エキス、ブラックベリー葉のエキス、ナイアシンアミド、リクイリチン、レゾルシノールおよびその誘導体、ヒドロキノン、α-トコフェロール、γ-トコフェロール、アゼライン酸、レスベラトロール、水銀塩、リノール酸塩、α-リポ酸、ジヒドロリポ酸、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、エラグ酸、フェルラ酸、ケイ皮酸、オレアノール酸、アロエシンおよびその誘導体ならびに/またはセリンプロテアーゼ活性の阻害剤、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、トリプターゼの阻害剤、トリプシンもしくはPAR-2活性、ならびに/またはそれらの混合物から選択される、化粧品としてまたは薬学的に有効な量の少なくとも1つのホワイトニングもしくは脱色素剤、またはメラニン合成阻害剤を含むことができる。
【0158】
本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、Abelmoschus esculentus、アマランス種子油、Alkanna tinctoriaの木に由来する油、Aloe vera、Althaea officinalis、Altingia excelsa、Andropogon virginicus、Aralia nudicaulis、Aralia racemosa、Argemone mexicana、Arnica montana、Artemisia vulgaris、Asarum maximum、Barleria prionitis、Calendula officinalis、Camelia sinensis、Caesalpinia digyna、Campsis grandiflora、Capsicum spp.、Carissa congesta、Carthamus oxyacantha、Cassia tora、Centipeda cunninghamii、Chamomilla recutita、Chrysanthemum indicum、Cimicifuga racemosa、Cinnamomum camphora、Clematis vitalba、Cuscuta reflexa、Crinum asiaticum、Diospyros peregrina、Enicostema axillare、Hamamelis virginiana、Harpagophytum procumbens、Hypericum perforatum、Jatropha multifida、Lavandula officinalis、Lavandula latifolia、Lilium candidum、Liquidambar orientalis、Lithospermum officinale、Madhuca longifolia、Malva sylvestris、Martynia annua、Melaleuca alternifolia、Medicago sativa、Michelia champaca、Mikania glomerata、Mimosa pudica、Origanum majorana、Origanum vulgare、Oryza sativa、Phaseolus vulgaris、Phyllanthus urinaria、Phyllanthus virgatus、Pistacia vera、Polygonum hydropiper、Prunus laurocerasus、Rosmarinus officialis、Quercus ilex、Rauvolfia caffra、Ricinus communis、Rubus idaeus、Sagittaria sagittifolia、Salix alba、Sandoricum koetjape、Sapindus mukorossi、Schleichera oleosa、Sesbania grandiflora、Silybum marianum、Spondias dulcisのエキス、Tanacetum parthenium、Thymus vulgaris、Tilia sp.、Toona ciliata、Tragia involucrata、Trichosanthes quinquangulata、Uncaria guianensisもしくはVaccaria pyramidata、Vaccinum myrtillus、Ventilago madraspatana、Veratrum albumまたはXanthium strumariumのエキス;とりわけ、コエンザイムQ10もしくはアルキルグリセロールエーテル、Abyssine(登録商標)[INCI:Alteromonas発酵エキス]、Aldavine(商標)[INCI:Ascophyllum Nodosumエキス、Asparagopsis Armataエキス、ソルビトール]、Neutrazen(商標)[INCI:デキストラン、パルミトイルトリペプチド-8]もしくはMelitane(登録商標)[INCI:デキストラン、アセチルヘキサペプチド-1](Atrium/Unipexにより販売);AquaCacteen(登録商標)[INCI:Opuntia Ficus Indica茎エキス]、CM-グルカン[INCI:カルボキシメチルベータグルカンナトリウム]またはMAXnolia[INCI:Magnolia Officinalis樹皮エキス、Vitis Vinifera/Vitis Vinifera(ブドウ)種子エキス、トコフェロール](Mibelleにより販売);Bacocalmine(商標)[INCI:Bacopa Monnieraエキス]、Calmosensine(商標)[INCI:アセチルジペプチド-1セチルエステル]もしくはPacifeel(商標)[INCI:Mirabilis Jalapaエキス](Sederma/Crodaにより販売);Defensil(登録商標)[INCI:オクチルドデカノール、Echium Plantagineum種子油、Cardiospermum Halicacabumエキス、Helianthus Annuus種子油不けん化物](Rahnにより販売);DS-フィトスフィンゴシン[INCI:フィトスフィンゴシン]、DS-TAPS[INCI:テトラアセチルフィトスフィンゴシン]もしくはDS-Whitekle[INCI:アセチルフィトスフィンゴシン](Doosanにより販売);Elhibin(登録商標)[INCI:Glycine Sojaタンパク質、ココアンホジ酢酸二ナトリウム](Pentapharm/DSMにより販売);Gatuline(登録商標)Derma-Sensitive[INCI:ミリスチン酸オクチルドデシル、Capparis Spinosa果実エキス](Gattefosseにより販売);Glutrapeptide(登録商標)[INCI:ピログルタミルアミドエチルインドール]もしくはGlistin(登録商標)[INCI:グルタミルアミドエチルインドール](Exsymolにより販売);Inhipase(商標)[INCI:Pueraria Lobata根エキス]もしくはSymbiocell(商標)[INCI:Cestrum Latifolium葉エキス](BASFにより販売);Meliprene(登録商標)[INCI:デキストラン、アセチルヘプタペプチド-1](Institut Europeen de Biologie Cellulaire/Unipex Groupにより販売);NAB(登録商標)Arnica Extract[INCI:Arnica Montana花エキス、アルゲエキス](Arch/Lonzaにより販売);Ocaline[INCI:Cucurbita Pepo(パンプキン)種子エキス]、Mariliance[INCI:Rhodosorus Marinusエキス]もしくはSoothex(登録商標)[INCI:Boswellia Serrataガム](Soliance/Givaudanにより販売);フィトスフィンゴシン[INCI:フィトスフィンゴシン](Evonik Goldschmidtにより販売);Protectol[INCI:Betula Alba樹皮エキス、Scrophularia Nodosaエキス](Greentechにより販売);Skinasensyl(商標)[INCI:ココ-グルコシド、アセチルテトラペプチド-15]もしくはEperuline(商標)[INCI:Eperua Falcata樹皮エキス](L.Serobiologiques/Cognis/BASFにより販売);SymSitive(登録商標)1609[INCI:4-t-ブチルシクロヘキサノール]、SymCare(登録商標)O[INCI:4-t-ブチルシクロヘキサノール、ビサボロール、セチルヒドロキシプロリンパルミタミド、プロパミド安息香酸、Brassica Campestris(ナタネ)ステロール、Zingiber Officinale(ショウガ)根エキス]もしくはSymCare(登録商標)W[INCI:4-t-ブチルシクロヘキサノール、PEG-40 水素化ヒマシ油、Trideceth-9、ヒドロキシフェニルプロパミド安息香酸](Symriseにより販売);Stimu-Tex(登録商標)AS[INCI:ビール粕ワックス、Butyrospermum Parkii(シアバター)エキス、Argania Spinosa核油](Pentapharm/DSMにより販売);Timecode(商標)[INCI:パルミトイルグリシン]もしくはSepicalm S[INCI:ナトリウムココイルアミノ酸、サルコシン、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム](Seppicにより販売);Unisooth ST-32[INCI:Tamarindus Indica種子エキス、ステビオサイド](Induchemにより販売);Vital ET(登録商標)[INCI:ラウリミノジプロピオン酸トコフェリルリン酸二ナトリウム](ISPにより販売);Delisens(商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-49]もしくはTelangyn(商標)[INCI:アセチルテトラペプチド-40](Lipotec/Lubrizolにより販売);Ambora extract[INCI:Tambourissa Trichophylla葉エキス]もしくはEmbelia Extract[INCI:Embelia Concinna葉エキス](Bayerにより販売);Caresoft(商標)[INCI:Curculigo Orchioides根エキス](Provitalにより販売);PhytoDefense CLR(商標)[INCI:Glycine Soja(ダイズ)油、ジカプリリルエーテル、Magnolia Grandiflora樹皮エキス、ラウリルアルコール](CLR Chemisches Laboratoriumにより販売);またはSereniks-207[INCI:Tsuga Canadensis葉エキス](Biopharmacopaeにより販売)、および/またはそれらの混合物から選択される、化粧品としてまたは薬学的に有効な量の敏感皮膚の処置のための少なくとも1つの天然エキスまたはエッセンシャルオイルを含むことができる。
【0159】
本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、例えば、以下に限定されないが、Abelmoschus esculentus、Actaea alba、Aglaia odorata、Alkanna tinctoria、Althaea officinalis、Altingia excelsa、Andropogon virginicus、Aralia nudicaulis、Aralia racemosa、Argemone mexicana、Barleria prionitis、Camelia sinensis、Caesalpinia digyna、Campsis grandiflora、Carissa congesta、Carthamus oxyacantha、Cassia tora、Chrysanthemum indicum、Cimicifuga racemosa、Cinnamomum camphora、Clematis vitalba、Cuscuta reflexa、Diospyros peregrina、Enicostema axillare、Hammamelis virginiana、Jatropha multifida、Lavandula officinalis、Lavandula latifolia、Liquidambar orientalis、Lithospermum officinale、Madhuca longifolia、Martynia annua、Medicago sativa、Michelia champaca、Mikania glomerata、Mimosa pudica、Oryza sativa、Phaseolus vulgaris、Phyllanthus urinaria、Phyllanthus virgatus、Pistacia vera、Polygonum hydropiper、Quercus ilex、Rauvolfia caffra、Ricinus communis、Rubus idaeus、Sagittaria sagittifolia、Sandoricum koetjape、Sapindus mukorossi、Schleichera oleosa、Sesbania grandiflora、Spondias dulcis、Tilia sp.、Toona ciliata、Tragia involucrata、Trichosanthes quinquangulata、Vaccaria pyramidata、Ventilago madraspatana、Veratrum albumもしくはXanthium strumariumの抽出物、またはならびにとりわけ抗掻痒剤である1つの合成化合物または生物工学的起源の生成物、例えば、以下に限定されないが、メピラミン(ピリラミン)、アンタゾリン、ジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、ドキシルアミン、クレマスチン、ジメンヒドリネート、フェニラミン、クロルフェナミン(クロルフェニラミン)、デクスクロルフェニラミン、ブロムフェニラミン、トリプロリジン、シクリジン、クロルシクリジン、ヒドロキシジン、メクリジン、セチリジン、レボセチリジン、プロメタジン、テナルジン、アリメマジン(トリメプラジン)、シプロヘプタジン、アザチジン、ケトチフェン、アクリバスチン、アステミゾール、セチリジン、ロラタジン、デスロラタジン、ミゾラスチン、テルフェナジン、フェキソフェナジン、フェキソフェナジン、アゼラスチン、レボカバスチン、オロパタジン、コルチコステロイド(コルチゾン、ヒドロコルチゾンデキサメタゾン、プレドニゾンなど);とりわけ、Neutrazen(商標)[INCI:デキストラン、パルミトイルトリペプチド-8](Atrium/Unipex Innovationsにより販売);Meliprene(登録商標)[INCI:デキストラン、アセチルヘプタペプチド-1](Institut Europeen de Biologie Cellulaire/Unipex Innovationsにより販売);Delisens(商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-49](Lipotec/Lubrizolにより販売);Skinasensyl(商標)[INCI:アセチルテトラペプチド-15](Laboratoires Serobiologiques/Cognis/BASFにより販売);SymSitive(登録商標)1609[INCI:4-t-ブチルシクロヘキサノール](Symriseにより販売);Symbiocell(商標)[INCI:Cestrum Latifolium由来エキス](BASFにより販売);Gatuline(登録商標)Derma-Sensitive[INCI:ミリスチン酸オクチルドデシル、Capparis Spinosa果実エキス](Gattefosseにより販売);MAXnolia[INCI:Magnolia Officinalis樹皮エキス、Vitis Vinifera/Vitis Vinifera(ブドウ)種子エキス、トコフェロール](Mibelle Biochemistryにより販売);Calmosensine(商標)[INCI:アセチルジペプチド-1セチルエステル]もしくはPacifeel(商標)[INCI:Mirabilis Jalapaエキス](Sederma/Crodaにより販売);またはPhytoDefense CLR(商標)[INCI:Glycine Soja(ダイズ)油、ジカプリリルエーテル、Magnolia Grandiflora樹皮エキス、ラウリルアルコール](CLR Chemisches Laboratoriumにより販売)、またはそれらの混合物から選択される、化粧品としてまたは薬学的に有効な量の少なくとも1つの抗掻痒剤を含むことができる。
【0160】
本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、例えば、以下に限定されないが、とりわけ、マデカソサイドのエキス、エキナケアのエキス、アマランス種子オイル、サンダルウッドオイル、ピーチツリーリーフのエキス、Aloe veraのエキス、Arnica montana、Artemisia vulgaris、Asarum maximum、Calendula officinalis、Capsicum、Centipeda cunninghamii、Chamomilla recutita、Crinum asiaticum、Hamamelis virginiana、Harpagophytum procumbens、Hypericum perforatum、Lilium candidum、Malva sylvestris、Melaleuca alternifolia、Origanum majorana、Origanum vulgare、Prunus laurocerasus、Rosmarinus officialis、Salix alba、Silybum marianum、Tanacetum parthenium、Thymus vulgaris、Uncaria guianensisもしくはVaccinum myrtillus、オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸、Neutrazen(商標)[INCI:デキストラン、パルミトイルトリペプチド-8](Atrium Innovations/Unipex Groupにより販売);Delisens(商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド-49](Lipotec/Lubrizolにより販売);Meliprene(登録商標)[INCI:デキストラン、アセチルヘプタペプチド-1](Institut Europeen de Biologie Cellulaire/Unipex Groupにより販売);Skinasensyl(商標)[INCI:アセチルテトラペプチド-15]もしくはAnasensyl(商標)[INCI:マンニトール、グリチルリチン酸アンモニウム、カフェイン、Hippocastanum(セイヨウトチノキ)エキス](BASFにより販売);Calmosensine(商標)[INCI:アセチルジペプチド-1](Sederma/Crodaにより販売);コエンザイムQ10もしくはアルキルグリセリルエーテル、またはそれらの混合物により形成される群から選択される、化粧品としてまたは薬学的に有効な量の少なくとも1つの抗炎症剤および/または鎮痛剤を含むことができる。
【0161】
本発明の化粧用組成物または医薬組成物は、化粧品としてまたは薬学的に有効な量の少なくとも抗乾癬、抗皮膚炎および/または抗湿疹剤、例えば以下に限定されないが、とりわけ、コルチコステロイド(クロベタゾール、ベタメタゾン、デキサタサゾン、ハロベタソール、ジフロラゾン、フルオシノニド、ハルシノニド、アムシノニド、デスオキシメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、モメタゾン、フルチカゾン、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノリド、デゾニド、プレドニカルベート、ヒドロコルチゾン(hidrocortisone)、カルシポトリエン、ビタミンD、アントラリン、カルシトリオールなど)、サリチル酸;コールタール、石炭産業の誘導体および副産物;タール、石油蒸留の誘導体および副産物、タザロテン、抗生物質、アザチオプリン、コルヒチン、5-フルオロウラシル、フマル酸エステル、ヒドロキシウレア、ミコフェノール酸モフェチル、プロピルチオウラシル、スルファサラジン、6-チオグアニン、カルシニューリン阻害剤、例えば、以下に限定されないが、タクロリムスおよびピメクロリムス;または局所施用レチノイド、例えば、排他的ではないが、トレチノイン、ならびに/またはそれらの混合物を含むことができる。
【0162】
本発明の組成物は、用途のいずれかにおける使用、または見出し「用途」において上で議論した使用のためとすることができる。
【0163】
本発明は、以下の非限定例によって例示される。
【実施例
【0164】
一般的方法論
すべての試薬および溶媒は、合成用品質のものであり、さらなる処理を行うことなく使用する。
略称
【0165】
アミノ酸に使用する略称は、Eur. J. Biochem.、(1984年)、138巻、9~37頁に概説されている、1983 IUPAC-IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclatureの推奨に従う。
【0166】
(R)、樹脂;2-ClTrt-(R)、2-クロロトリチル樹脂;Ac、アセチル;AcOH、酢酸;Ala、アラニン;AM、2-[4-アミノメチル-(2,4-ジメトキシフェニル)]フェノキシ酢酸;Arg、アルギニン;Asn、アスパラギン;Asp、アスパラギン酸;Boc、tert-ブチルオキシカルボニル;DCM、ジクロロメタン;DIEA、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン;DIPCDI、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド;DMF、N,N-ジメチルホルムアミド;ESI-MS、エレクトロスプレーイオン化質量分析;Fmoc、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(flluorenylmethyloxycarbonyl);Gln、グルタミン;Glu、グルタミン酸;Gly、グリシン;His、ヒスチジン;HOBt、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLC、高速液体クロマトグラフィー;Ile、イソロイシン;KOH、水酸化カリウム;Leu、ロイシン;Lys、リシン;MBHA、p-メチルベンズヒドリルアミン;MeCN、アセトニトリル;MeOH、メタノール;Met、メチオニン;Myr、ミリストイル;Palm、パルミトイル;Pbf、2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル;Pro、プロリン;Ser、セリン;tBu、tert-ブチル;TFA、トリフルオロ酢酸;Thr、トレオニン;Trt、トリチル;Val、バリン。
化学合成
【0167】
合成プロセスはすべて、多孔性ポリエチレンディスクが取り付けられたポリプロピレンシリンジで行う。すべての試薬および溶媒は、合成用品質であり、任意のさらなる処理を行うことなく使用する。溶媒および可溶性試薬は、吸引によって除去する。Fmoc基は、ピペリジン-DMF(2:8、v/v)(1×1分間、1×5分間、5ml/gの樹脂)[Lloyd-Williams P.ら(1997年)「Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins」CRC、Boca Raton(FL、USA)]を用いて除去する。脱保護、カップリング、および再度の脱保護の段階の間の洗浄は、DMF(3×1分間)を用いて行い、各時間は、樹脂あたり、10ml溶媒/gを使用する。カップリング反応は、樹脂あたり3ml溶媒/gで行う。カップリングの制御は、ニンヒドリン試験[Kaiser E.ら、Anal. Biochem.(1970年)、34巻:595~598頁]またはクロラニル試験[Christensen T.、Acta Chem. Scand.、(1979年)、33B巻、763~766頁]を実施することにより行う。合成反応および洗浄はすべて、25℃で行う。
【0168】
一部のアミノ酸は、保護される側鎖中のそれらの官能基と共に使用する。使用される保護基は:
・ アミノ酸Asp、Glu、ThrおよびSerの保護の場合、tBu、すなわちtert-ブチル
・ アミノ酸Lysの場合、Boc、すなわちtert-ブチルオキシカルボニル
・ アミノ酸Argの場合、Pbf、すなわち2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル、および
・ アミノ酸Asn、GlnおよびHisの場合、Trt、すなわちトリチル
である。
【0169】
HPLCクロマトグラフィー分析は、30℃で温度を安定化させた逆相カラムを使用する、Shimadzu機器(京都、日本)を用いて行う(50×4.6mm、Kromasil C18、3.5μm、Akzo Nobel、Sweden)。溶出は、1.6ml/分の流速で、水(+0.1%TFA)中のアセトニトリル(+0.07%TFA)のグラジエントを使用して行い、検出は、220nmで行う。エレクトロスプレーイオン化質量分析は、移動相としてMeCN:HO 4:1(+0.1%TFA)の混合物、および0.3ml/分の流速を使用する、WATERS Alliance ZQ2000検出器で行う。
(実施例1)
AAがL-Asp、L-AsnまたはL-Gluである、H-AA-O-2-ClTrt-(R)の取得
【0170】
重量は正規化されている。20mlのDCMに溶解した、3.2mmol(1当量)のFmoc-L-Asp(tBu)-OH、Fmoc-L-Asn(Trt)-OHまたはFmoc-L-Glu(tBu)-OHに、0.83当量のDIEAを添加し、官能基化1.6mmol/gを有する乾燥2-クロロトリチル樹脂(3.2mmol)にカップリングする。混合物を5分間撹拌し、この後、1.63当量のDIEAを添加する。混合物を40分間反応させる。残留塩化物基は、2mlのMeOHでの処理によって遮断する。
【0171】
次いで、樹脂を洗浄し、N末端Fmoc基を一般的方法に記載した通り、脱保護する。
AAがL-ArgまたはL-Lysである、H-AA-O-2-ClTrt-(R)の取得
【0172】
重量は正規化されている。10mlのDCMに溶解した、1.6mmol(1当量)のFmoc-Arg(Pbf)-OHまたはFmoc-L-Lys(Boc)-OHに、0.83当量のDIEAを添加し、官能基化1.6mmol/gを有する乾燥2-クロロトリチル樹脂(1.6mmol)にカップリングする。混合物を5分間撹拌し、この後、1.63当量のDIEAを添加する。混合物を40分間反応させる。残留塩化物基は、1mlのMeOHでの処理によって遮断する。
【0173】
次いで、樹脂を洗浄し、N末端Fmoc基を一般的方法に記載した通り、脱保護する。
(実施例2)
AAがL-Gluであり、AAがL-Gluであり、AAがL-Metであり、AAがL-Glnであり、AAがL-Argであり、AAがL-Argであり、AAがAlaであり、AAがL-Aspであり、n、m、pおよびqがそれぞれ、0である、Fmoc-W-X-AA-AA-AA3-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-O-2-ClTrt-(R)の取得
【0174】
重量は正規化されている。0.98mmol/g(0.14mmol)の官能基化を有する、143mgのH-L-Asp(tBu)-O-2-Cl-Trt樹脂を一般的方法に記載されている通り洗浄する。記載されているプロトコールの後、溶媒としてDMFを使用し、5当量のFmoc-Ala-OH(Fmoc-AA-OH)を、5.5当量のDIPCDIおよび5当量のHOBtの存在下で、60分間、ペプチジル樹脂にカップリングする。
【0175】
次いで、樹脂を一般的方法に記載されている通りに洗浄し、Fmoc基の脱保護処理を繰り返して、次のアミノ酸にカップリングする。以前に記載したプロトコールに従い、溶媒としてDMFを使用し、5当量のFmoc-L-Arg(Pbf)-OH(Fmoc-AA-OH)を、5.5当量のDIPCDIおよび5当量のHOBtの存在下で、60分間、ペプチジル樹脂にカップリングする。次いで、樹脂を一般的方法に記載されている通りに洗浄し、Fmoc基の脱保護処理を繰り返して、次のアミノ酸にカップリングする。以前に記載したプロトコールに従い、カップリング、洗浄および脱保護のステップを繰り返し、5当量のFmoc-L-Arg(Pbf)-OH(Fmoc-AA-OH)、5当量のFmoc-L-Gln(Trt)-OH(Fmoc-AA-OH)、5当量のFmoc-L-Met-OH(Fmoc-AA-OH)、5当量のFmoc-L-Glu(tBu)-OH(Fmoc-AA-OH)、および5当量のFmoc-L-Glu(tBu)-OH(Fmoc-AA-OH)を逐次、カップリングし、カップリングステップの間、それらの各々は、5当量のHOBtおよび5.5当量のDIPCDIの存在下にある。
【0176】
合成後、ペプチジル樹脂をDCM(3×1分間)で洗浄する。
【0177】
表5a中で示されているペプチドはすべて、この実施例に記載されているプロトコールに従い合成することができる。
【表5A】
(実施例3)
AAがL-Gluであり、AAがL-Gluであり、AAがL-Metであり、AAがL-Glnであり、AAがL-Argであり、AAがL-Argであり、AAがAlaであり、AAがL-Aspであり、m、n、pおよびqがそれぞれ、0である、Fmoc-W-X-AA-AA-AA3-AA-AA-AA6-AA-AA-Y-Z-AM-MBHA-(R)の取得
【0178】
重量は正規化されている。Fmoc基を除去するため、0.51mmol/gの官能基化を有する230mg(0.12mmol)のFmoc-AM-MBHA樹脂を、記載されている一般的なプロトコールに従い、ピペリジン:DMFで処理する。溶媒としてDMFを使用し、5当量のFmoc-L-Asp(tBu)-OH(Fmoc-AA-OH)を、5.5当量のDIPCDIおよび5当量のHOBtの存在下で、1時間、脱保護樹脂に組み込む。
【0179】
次いで、樹脂を一般的方法に記載されている通りに洗浄し、Fmoc基の脱保護処理を繰り返して、次のアミノ酸にカップリングする。以前に記載したプロトコールに従い、5当量のFmoc-Ala-OH(Fmoc-AA-OH)、および続いて5当量のFmoc-L-Arg(Pbf)-OH(Fmoc-AA-OH)、5当量のFmoc-L-Arg(Pbf)-OH(Fmoc-AA-OH)、5当量のFmoc-L-Gln(Trt)-OH(Fmoc-AA-OH)、5当量のFmoc-L-Met-OH(Fmoc-AA-OH)、5当量のFmoc-L-Glu(tBu)-OH(Fmoc-AA-OH)、および最後に、5当量のFmoc-L-Glu(tBu)-OH(Fmoc-AA-OH)を、各カップリングステップにおいて、5当量のHOBtおよび5.5当量のDIPCDIの存在下で、逐次、カップリングする。
【0180】
合成後、ペプチジル樹脂をDCM(3×1分間)で洗浄する。
【0181】
表5b中で示されているペプチドはすべて、この実施例に記載されているプロトコールに従い合成することができる。
【表5B-1】
【表5B-2】
(実施例4)
Fmoc N末端保護基の除去のための一般的プロセス
【0182】
実施例1、2および3において得たペプチジル樹脂のN末端Fmoc基は、一般的方法(DMF中、20%ピペリジン、1×1分間+1×5分間)に記載した通り脱保護する。ペプチジル樹脂をDMF(5×1分間)、DCM(3×1分間)、ジエチルエーテル(3×1分間)で洗浄し、真空下で乾燥する。
(実施例5)
実施例4において得た、ペプチジル樹脂上に、Rパルミトイル基を導入するためのプロセス
【0183】
107mg(0.7mmol;5当量)または92mg(0.6mmol、5当量)のHOBtおよび127μLのDIPCDI(0.77mmol;5.5当量)または102μL(0.66mmol、5.5当量)のDIPCDIの存在下、実施例4において得られたペプチジル樹脂の各々、それぞれ0.14mmolまたは0.12mmolに、DMF(1ml)に事前に溶解した、180mg(0.7mmol;5当量)または154mg(0.6mmol、5当量)のパルミチン酸を添加する。混合物を3時間反応させて、この後、樹脂をDMF(3×1分間)、DCM(3×1分間)、ジエチルエーテル(3×1分間)で洗浄し、真空下で乾燥する。
(実施例6)
実施例4において得た、ペプチジル樹脂上に、Rミリストイル基を導入するためのプロセス
【0184】
92mgのHOBt(0.6mmol;5当量)および102μLのDIPCDI(0.66mmol;5.5当量)の存在下、実施例5において得られた0.12mmolのペプチジル樹脂の各々に、DMF(1ml)に予め溶解した137mgのミリスチン酸(0.6mmol;5当量)を添加する。混合物を3時間反応させて、この後、樹脂をDMF(3×1分間)、DCM(3×1分間)、ジエチルエーテル(3×1分間)で洗浄し、真空下で乾燥する。
(実施例7)
実施例4において得た、ペプチジル樹脂上に、Rアセチル基を導入するためのプロセス
【0185】
溶媒として2mlのDMFを使用して、25当量のDIEAの存在下、実施例4において得られた0.12mmolまたは0.14mmolのペプチジル樹脂を25当量の無水酢酸で処理する。混合物を30分間反応させて、この後、樹脂をDMF(3×1分間)、DCM(3×1分間)、ジエチルエーテル(3×1分間)で洗浄し、真空下で乾燥する。
(実施例8)
実施例4、5、6および7において得られたペプチジル樹脂のポリマー支持体からの開裂プロセス
【0186】
実施例4、5、6および7において得られた乾燥済みペプチジル樹脂の各々を、撹拌下、室温で2時間、3mlのTFA:HO(95:5、v/v)で処理する。冷ジエチルエーテル20mlに濾液を回収し、次いで、多孔性ポリエチレンディスクが取り付けられたポリプロピレンシリンジにより濾過し、10mlのジエチルエーテルで5回洗浄する。最終沈殿物を真空下で乾燥する。
【0187】
がH、アセチル、パルミトイルまたはミリストイルである、一般式R-W-X-AA-AA-AA3-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-OHまたはR-W-X-AA-AA-AA3-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-NHのペプチドを、この方法に従って得る。
【0188】
O(+0.1%TFA)中のMeCN(+0.07%のTFA)のグラジエントで得られたペプチドのHPLC分析は、すべての場合において、80%を超える純度を示す。得られたペプチドの同一性は、ESI-MSによって確認する。
(実施例9)
置換アミンを有するポリマー支持体および官能基化からの開裂プロセス:AAがL-Gluであり、AAがL-Gluであり、AAがL-Metであり、AAがL-Glnであり、AAがL-Argであり、AAがL-Argであり、AAが結合またはL-Alaであり、AAが結合またはL-Aspであり、m、n、pおよびqがそれぞれ、0である、H-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-NH-(CH-CHの取得
【0189】
KOHの存在下、真空下で予め乾燥した、実施例4において得られた290mgのペプチジル樹脂H-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-O-2-ClTrt-(R)の各々を、2.03mLのAcOHで2時間処理することにより、完全に保護された側鎖を有するペプチドH-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-OHを得る。液相を濾過により分離する。濾液を回収し、次いで、樹脂を1mLのAcOH(1×1分間)で洗浄する。液相をすべて合わせて、凍結乾燥する。
【0190】
0.05mmolまたは0.08mmolの得られた粗製ペプチドの各々をフラスコ中に秤量し、3当量のヘキシルアミン.HOBtおよび4~5mlの無水DMFを添加する。2当量のDIPCDIを添加し、磁気撹拌下、47℃で反応させる。反応を、初期生成物が消失するまでHPLCによりモニタリングし、2~4時間後に完了する。溶媒を蒸発乾固して、DCMと2回、共蒸発させる。得られた残留物を6~10mlのTFA:HO(95:5、v/v)の混合物に溶解し、室温で2時間反応させる。42または70mlの冷ジエチルエーテルを添加し、溶媒を減圧下で蒸発させて、ジエチルエーテルとさらに2回、共蒸発を行う。残留物をHO中の50%MeCN(v/v)の混合物に溶解し、凍結乾燥する。
【0191】
H2O(+0.1%TFA)中のMeCN(+0.07%のTFA)のグラジエントで得られたペプチドのHPLC分析は、すべての場合において、80%を超える純度を示す。得られたペプチドの同一性は、ESI-MSによって確認する。
(実施例10)
置換アミンを有するポリマー支持体および官能基化からの開裂プロセス:AAがL-Gluであり、AAがL-Gluであり、AAがL-Metであり、AAがL-Glnであり、AAがL-Argであり、AAがL-Argであり、AAが結合またはL-Alaであり、AAが結合またはL-Aspであり、m、n、pおよびqがそれぞれ、0である、H-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-NH-(CH15-CHの取得
【0192】
KOHの存在下、真空下で予め乾燥した、実施例4の290mgのペプチジル樹脂H-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-Y-Z-O-2-ClTrt-(R)の各々を、2.03mLのAcOHで2時間処理することにより、完全に保護された側鎖を有するペプチドH-W-X-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-AA-OHを得る。液相を濾過により分離する。濾液を回収し、次いで、樹脂を1mLのAcOH(1×1分間)で洗浄する。液相をすべて合わせて、凍結乾燥する。
【0193】
0.04mmolまたは0.07mmolの得られた粗製ペプチドの各々をフラスコ中に秤量し、3当量のヘキサデシルアミン.HOBtおよび3~5mlの無水DMFを添加する。2当量のDIPCDIを添加し、磁気撹拌下、47℃で反応させる。反応を、初期生成物が消失するまでHPLCによりモニタリングし、2~4時間後に完了する。溶媒を蒸発乾固して、DCMと2回、共蒸発させる。得られた残留物を5~8mlのTFA:HO(95:5、v/v)の混合物に溶解し、室温で2時間反応させる。35または56mlの冷ジエチルエーテルを添加し、溶媒を減圧下で蒸発させて、ジエチルエーテルとさらに2回、共蒸発を行う。残留物をHO中の50%MeCN(v/v)の混合物に溶解し、凍結乾燥する。
【0194】
H2O(+0.1%TFA)中のMeCN(+0.07%のTFA)のグラジエントで得られたペプチドのHPLC分析は、すべての場合において、80%を超える純度を示す。得られたペプチドの同一性は、ESI-MSによって確認する。
(実施例11)
ペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)を含むマイクロエマルションの調製
【0195】
適切な容器中で、ペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)を水[INCI:水(AQUA)](相A1)に溶解し、次いで、個別のレシピエント中で予め混合した、相A2(2-フェノキシエタノール[INCI:フェノキシエタノール]、Structure(登録商標)XL[INCI:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩]、Zemea(商標)[INCI:プロパンジオール]、Amigel(登録商標)[INCI:スクレロチウムガム]およびヒアルロン酸ナトリウム[INCI:ヒアルロン酸ナトリウム];表5cを参照されたい)の成分の混合物を導入する。穏やかに撹拌しながら、得られた混合物を70℃で加熱し、次いで、Cola(登録商標)Fax CPE-K[INCI:セチルリン酸カリウム]を添加する(相A3)。
【0196】
別のレシピエントにおいて、相B:Schercemol(商標)DIS Ester[INCI:セバシン酸ジイソプロピル]およびMontanov(商標)68[INCI:セテアリルアルコール;セテアリルグルコシド]の構成成分を導入し、それらを80℃で加熱して、混合物を撹拌する。強力に撹拌しながら、相Aに相Bをゆっくりと導入する。
【0197】
温度を70~80℃に維持し、試料を30秒間、チタンプローブを用いホモジナイズする。
【表5C】
(実施例12)
実施例11のマイクロエマルションを含む脂質ナノ粒子組成物の調製
【0198】
実施例11において調製したマイクロエマルションを、適切なレシピエント(相A)に導入する。
【0199】
個別に、水[INCI:水(AQUA)]中にN-Hance(登録商標)CG-17 Cationic Guar[INCI:グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド;水(AQUA)]を溶解することにより、相B(表5dを参照されたい)を調製する。強力に撹拌しながら、相Aに相Bを添加する。
【0200】
強力な撹拌下で、相C(Structure(登録商標)XL[INCI:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩]およびAmigel(登録商標)[INCI:スクレロチウムガム])および相D(Heliogel(商標);[INCI:アクリル酸ナトリウムコポリマー;水素化ポリイソブテン;レシチン;ステアリン酸ポリグリセリル-10;ヒマワリ(HELIANTHUS ANNUUS)種子油;トコフェロール])の構成成分を1つずつ、ゆっくりと添加する。
【表5D】
(実施例13)
ペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)を含むリポソームの調製
【0201】
適切な容器中で、水[INCI:水(AQUA)]中にペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)を溶解することにより、相Aを調製する。相AにZemea(商標)[INCI:プロパンジオール]および2-フェノキシエタノール[INCI:フェノキシエタノール](相B)を添加する。
【0202】
前の構成成分のすべてを溶解し、完全な分散液になるまで、強力な撹拌下、レシチン[INCI:レシチン](相C)を少しずつ添加する。最後に得られた組成物を表5eに示す。
【表5E】
【0203】
試料を30秒間、チタンプローブを用いてホモジナイズする。
(実施例14)
陽イオン性ポリマーに結合した実施例3のリポソームの調製
【0204】
実施例3で得たリポソームを、ゆっくりとした撹拌下、95:5(w/w)のリポソーム:陽イオン性ポリマーの比で、SENSOMER(登録商標)CT-50ポリマー[INCI:水(AQUA);塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン;ウレア、乳酸ナトリウム;塩化ナトリウム;安息香酸ナトリウム]に添加する。
(実施例15)
Ac-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)を含有する化粧用組成物(クリーム)の調製
【0205】
好適な容器中で、相A(水、[INCI:水(AQUA)]、Zemea(商標)[INCI:プロパンジオール]およびDermosoft(登録商標)GMCY[INCI:カプリル酸グリセリル])の成分を、回転翼による撹拌下で溶解する。
【0206】
次に、相A1(Carbopol(登録商標)Ultrez21ポリマー[INCI:アクリレート/C10-30アクリル酸アルキルクロスポリマー])を添加し、混合物中で湿らせて分散させる。相A2(キサンタンガム[INCI:キサンタンガム])を添加して、やはり分散させる。続いて、最後に、相A3(Cola(登録商標)Fax CPE-K[INCI:セチルリン酸カリウム])を添加する。次いで、混合物を70~75℃で加熱する。
【0207】
個別の容器中で、相Bの成分(Schercemol(商標)DIA Ester[INCI:アジピン酸ジイソプロピル]、Glucate(商標)SS Emulsifier[INCI:セスキステアリン酸メチルグルコース;ステアリン酸]およびGlucamate(商標)SSE-20 Emulsifier[INCI:セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース])を秤量し、混合物を70~75℃で加熱する。
【0208】
両方の混合物が対応する温度に到達すると、タービンを用いる撹拌下で、合わせた相Aに、相Bをゆっくりと添加することによりエマルションを作製する。
【0209】
混合物を40℃に冷却し、相C(水[INCI:水(AQUA)]、オクタン-1,2-ジオール[INCI:カプリリルグリコール]およびAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)の事前混合物)を添加する。最後に、6.0~6.5へのpH調節のため、相D(水[INCI:水(AQUA)]および水酸化ナトリウム[INCI:水酸化ナトリウム])を、前の混合物に取り込む。
【0210】
成分の全リストを、表6に示す。
【表6】
(実施例16)
Ac-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)を含有する化粧用組成物(クリーム)の調製
【0211】
好適な容器中で、相A(水[INCI:水(AQUA)]、1,2-ジヒドロキシペンタン[INCI:ペンチレングリコール]およびMicrocare(登録商標)BNA[INCI:ベンジルアルコール])の成分を、回転翼による撹拌下で溶解する。
【0212】
次に、相A1(Massocare(登録商標)TCK1[INCI:カルボマー])を添加し、混合物中で湿らせて分散させる。続いて、相A2(Cola(登録商標)Fax CPE-K[INCI:セチルリン酸カリウム])を添加し、やはり分散させる。次いでに、混合物を70~75℃で加熱する。
【0213】
個別の容器で、相Bの成分(Lincol Bas[INCI:安息香酸C12~15アルキル]、Schercemol(商標)DIA Ester[INCI:アジピン酸ジイソプロピル]、Phytocream2000(登録商標)[INCI:ステアリン酸グリセリル;セテアリルアルコール;パルミトイル加水分解コムギタンパク質カリウム]、2-フェノキシエタノール[INCI:フェノキシエタノール]、Astro-Sil 2C350[INCI:ジメチコン]およびビタミンEアセテート[INCI:酢酸トコフェリル])を秤量し、混合物を70~75℃で加熱する。
【0214】
両方の混合物が対応する温度に到達すると、タービンを用いる撹拌下で、合わせた相Aに、相Bをゆっくりと添加することによりエマルションを作製する。
【0215】
混合物を40℃で冷却すると、ここに、相C(Novemer(商標)EC-2 Polymer[INCI:水(AQUA);アクリル酸ナトリウム/メタクリル酸ベヘネス-25クロスポリマー;水素化ポリデセン;ラウリルグルコシド]、続いて相D[水[INCI:水(AQUA)]、オクタン-1,2-ジオール[INCI:カプリリルグリコール]およびAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)の事前混合物]を逐次、添加する。
【0216】
最後に、相E(香料[INCI:フレグランス])を添加し、次いで、6.0~6.5へのpH調節のため、相F(水[INCI:水(AQUA)]および水酸化ナトリウム[INCI:水酸化ナトリウム])を、前の混合物に取り込む。
【0217】
成分の全リストは、表7に見出すことができる。
【表7】
(実施例17)
プラセボ化粧用組成物(クリーム)の調製
【0218】
好適な容器中で、相A(水[INCI:水(AQUA)]、1,2-ジヒドロキシペンタン[INCI:ペンチレングリコール]およびMicrocare(登録商標)BNA[INCI:ベンジルアルコール])の成分を、回転翼による撹拌下で溶解する。
【0219】
次に、相A1(Massocare(登録商標)TCK1[INCI:カルボマー])を添加し、得られた混合物中で湿らせて分散させる。続いて、相A2(Cola(登録商標)Fax CPE-K[INCI:セチルリン酸カリウム])を添加し、やはり分散させる。次いで、混合物を70~75℃で加熱する。
【0220】
個別の容器で、相Bの成分(Lincol Bas[INCI:安息香酸C12~15アルキル]、Schercemol(商標)DIA Ester[INCI:アジピン酸ジイソプロピル]、Phytocream2000(登録商標)[INCI:ステアリン酸グリセリル;セテアリルアルコール;パルミトイル加水分解コムギタンパク質カリウム]、2-フェノキシエタノール[INCI:フェノキシエタノール]、Astro-Sil 2C350[INCI:ジメチコン]およびビタミンEアセテート[INCI:酢酸トコフェリル])を秤量し、混合物を70~75℃で加熱する。
【0221】
両方の混合物が対応する温度に到達すると、タービンを用いる撹拌下で、相Aの混合物に相Bをゆっくりと添加することによりエマルションを作製する。
【0222】
混合物を40℃で冷却すると、ここに、相C(Novemer(商標)EC-2 Polymer[INCI:水(AQUA);アクリル酸ナトリウム/メタクリル酸ベヘネス-25クロスポリマー;水素化ポリデセン;ラウリルグルコシド]を添加する。
【0223】
最後に、相D(香料[INCI:フレグランス])を添加し、次いで、6.0~6.5へのpH調節のため、相E(水[INCI:水(AQUA)]および水酸化ナトリウム[INCI:水酸化ナトリウム])を、前の混合物に取り込む。
【0224】
成分の全リストを、表8に示す。
【表8】
(実施例18)
成人の一次ヒトケラチノサイト細胞(HEKa)の遺伝子発現のプロファイルの検討
【0225】
50μg/mlのペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-NH(PEP-1)、100μg/mlのペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)および50μg/mlのペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-NH(PEP-3)での処置による、一連の遺伝子が顕著に増加/低下する回数を、培養培地(基礎条件)中で成長させた未処置細胞における基底レベルと比較して、成人の一次ヒトケラチノサイト細胞(HEKa)の遺伝子プロファイル内で検討する。
【0226】
HEKa細胞(Life Technologies)をトリプシン処理し、次いで、25cmフラスコに、7.5×10~10×10細胞/フラスコの密度で播種し、Defined Growth Supplement(EDGS、Life Technologies)を含むEpilife培養培地中でインキュベートする。細胞を37℃、5%CO2で、1週間、コンフルエンスまで成長させる。次いで、100μg/mlのペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-NH(PEP-1)、50μg/mlのペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)または50μg/mlのペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-NH(PEP-3)による処置を、37℃、5%CO2で16~24時間行う。培養培地単独中においてインキュベートした未処置細胞を、基礎条件として使用する。各状態を、少なくとも4つのフラスコ中で試験する。
【0227】
最後のインキュベーション後、細胞をウェル中に直接溶解し、製造業者のプロトコールに従い、RNeasyPlus Miniキット(Qiagen)により、RNAを抽出して、各複製物および各状態から精製する。手短に言えば、溶解細胞をホモジナイズし、RNアーゼを不活性化させる。ゲノムDNAを、gDNAエリミネータースピンカラム(Qiagen)の使用によって試料から除去する。次いで、試料を特別なRNA結合カラム(Qiagen)に通し、数回のマイクロ遠心洗浄後、汚染物質および不純物を取り除き、精製RNAを50μlの超純水で溶出する。
【0228】
得られたRNAの純度、完全性および濃度は、分光測光法(Nanodrop)により、およびバイオアナライザー(Agilent Bioanalyzer)を用いて評価する。4つの対照試料および4つの処理済み試料を、純度および完全性の結果に従い選択する。その後、標識付けを行い、試料をヒト遺伝子発現マイクロアレイ(ASurePrint G3、Agilent)でハイブリダイズする。
【0229】
処理により得られた正規化済み値を、基礎条件により得られた正規化済み値と比較し、差次的発現を有する遺伝子を特定する。次に、データのパラメトリック分析を、バイオコンダクターソフトウェアにより行う。次いで、得られた値をGSEA(遺伝子セット分析富化)により評価して、差次的発現を有する遺伝子と一緒にグループ分けする。遺伝子セット分析富化GSEAを行い、2つずつ比較した処理からバイオコンダクターで得られた正規化データを採取して、遺伝子オンコロジー(GO)およびパスウェイデータReactome、KEGGおよびBiocartaで機能分析する。
【0230】
その偽発見率(FDR)に関する最も有意な経路を得る。基礎条件に関して選択された上方調節経路に関して得られたFRDの結果を、表9に示す。
【表9】
【0231】
表9に示される結果は、本発明のペプチドは、試験濃度において、一次ヒトケラチノサイト細胞においてバリア機能に関係する分子経路を上方調節することができることを実証する。
(実施例19)
in vitro表皮モデル試料のリピドームプロファイルに対する処理効果
【0232】
角質層(SC)は、障壁として機能する皮膚の最外層であり、環境的影響および経表皮水分蒸散量から保護する。その特有の形態学は、主にセラミド(>50重量%)、遊離脂肪酸およびコレステロール(15~20重量%の間)を含有する脂質の独特の混合物中包埋されたケラチンが豊富な角質細胞、ならびにトリアシルグリセロールおよびリン脂質の少量の画分からなる[Shin J.ら、A lipidomic platform establishment for structural identification of skin ceramides with non-hydroxyacyl chains. Anal Bioanal Chem(2014年)406巻:1917~1932頁]。
【0233】
セラミドは、スフィンゴイド塩基からなるスフィンゴ脂質であり、この塩基はアミド結合により脂肪酸に連結している。セラミドは、ヒト身体のすべての組織に見出されるが、皮膚中、またはより正確には表皮の最上層である角質層に最も大きな多様性が見出される。検討の一般的な目的は、対照と処理試料との間の潜在的な代謝差異を評価することである。in vitro表皮モデル試料の内因性リピドームプロファイルを、超高速液体クロマトグラフィー-質量分析(UPLC(登録商標)-MS)を使用して検討する。これらの皮膚のような試料に対する処理の効果を評価し、対照と比較する。
【0234】
SkinEthicヒト組織モデル(EpiSkin)を、到着後、直ちにマルチウェルプレート中のそれらのアガロース栄養溶液から取り出し、各ウェルにSkinEthic成長培地(EpiSkin)を予め充填した6ウェルプレートに置く。37℃、5%COでの一晩のインキュベーション後、再構築ヒト表皮(RHE)を、50μg/mlのペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-NH(PEP-1)、Ac-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)またはAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-Asp-NH(PEP-3)または培地(基礎条件)で、37℃および5%COで24時間処理する。24時間の処理後、RHEを凍結し、-20℃で保管する。各処理を、1つの条件あたり、5つのRHEに適用する。
【0235】
表皮膜モデル試料を解凍し、外科用メスを使用して、インサートから取り出し、ホモジナイゼーションチューブに移す。試料を塩化ナトリウム(50mM)およびクロロホルム/メタノール(2/1)(v:v)と混合して、ホモジナイズする。抽出溶媒を、非スパイクヒト血清抽出物中で検出されなかった代謝産物でスパイクする。試料をホモジナイズした後、抽出物を、-20℃で1時間、インキュベートし、15分間、18,000×gで遠心分離する。次いで、有機相を回収し、真空下で乾燥する。最後に、乾燥済み抽出物をアセトニトリル/イソプロパノール(1/1)(v:v)中で再構築し、18,000×gで5分間遠心分離して、UPLC(登録商標)-MS分析用バイアルに移す。
【0236】
用いたクロマトグラフィー分離および質量分析検出条件を表10に要約する。
【表10】
【0237】
データはすべて、MassLynx 4.1ソフトウェア(Waters Corp.、Milford、USA)に関するTargetLynxアプリケーションマネージャーを使用して処理する。分析に含ませた代謝産物に対応する、一組の事前定義した保持時間、質量対電荷比対、Rt-m/zをプログラムに供給する。次いで、関連する抽出イオンクロマトグラム(質量許容差ウィンドウ=0.05Da)をピーク検出し、LCとMSドメインの両方におけるノイズ低減を行い、こうして、真の代謝産物関連特色だけをソフトウェアにより処理する。次いで、クロマトグラフィーのピークエリアのリストを各試料の注入に対して生成し、基礎条件に対する値を算出する。
【0238】
基礎条件(培地中にペプチドを含まない)に対して得られたものに関連する、各ペプチドに対して得られた5つの値の平均を表11に示している。
【表11】
【0239】
結果は、本発明のペプチドが、試験濃度における再構築ヒト表皮の基礎条件に関して、セラミド(Cer_NdS、Cer_NS、Cer_NPおよびCer_AP)の様々な群の量を増加させることにより、角質層のバリア機能を強化することができることを示す。
(実施例20)
リアルタイムPCRアレイを使用するヒト表皮ケラチノサイト(HEKa)における密着結合(TJ)発現プロファイルの検討
【0240】
TJは、クローディン、オクルディンおよび足場タンパク質から構成される細胞-細胞接合を形成することにより、溶質および水が傍細胞空間を通過するのを防止する物理的障壁として働く表皮の顆粒層における構造である。密着結合鎖中のオクルディンおよびクローディンの組み込みおよび会合には、これらの足場タンパク質の局所クラスター形成が必要となる。密着結合足場分子の重要な群は、閉鎖帯タンパク質ZO-1、ZO-2およびZO-3である。
【0241】
密着結合タンパク質(TJP)としても公知のZOタンパク質は、そのPDZドメインを介して、オクルディンおよびクローディンと直接相互作用することができる一方、そのC末端は、アクチンと会合することができ、こうして、細胞骨格との直接的な連結をもたらす。最近、ZO-1(TJP1としても特定されている)またはZO-2(ZO-3ではない)のいずれかが、クローディンのクラスター形成、鎖形成およびバリア機能に重要であることが示された[Niessen C M、「Tight Junctions/Adherens Junctions:Basic Structure and Function」、Journal of Investigative Dermatology(2007年)127巻、2525~2532頁]。
【0242】
この検討の目的は、成人の皮膚から単離した一次ヒト表皮ケラチノサイト(HEKa)における、TJ遺伝子発現を増大させることにより、皮膚バリア機能を増強する本発明のペプチドの能力を調査することである。
【0243】
HEKa細胞(Life Technologies)を6ウェルプレートにおいて、6.0×10細胞/ウェルで播種し、95%空気および5%COの水飽和大気中、37℃で、Defined Growth Supplement(EDGS、Life Technologies)を含むEpilife培養培地中でインキュベートする。これらの条件下で24時間のインキュベーション後、培地を除去し、HEKa細胞を、培地のみ(基礎条件)で、37℃および5%COでインキュベートした2つのウェルを除き、細胞を新しい培養培地中で、本発明のペプチド(表12を参照されたい)50μg/mlでインキュベートする。
【0244】
24時間のインキュベーション後、製造業者のプロトコールによるRNeasy Miniキット(Qiagen)に記載されているプロトコールに従い、ウェル中で細胞を直接溶解する。溶解細胞をホモジナイズし、RNアーゼを不活性化させる。gDNAエリミネータースピンカラム(Qiagen)の使用によって、ゲノムDNAを試料から除去する。次いで、試料を特別なRNA結合カラム(Qiagen)に通し、数回のマイクロ遠心洗浄後、汚染物質および不純物を取り除き、精製RNAを50μlの超純水で溶出する。RNA試料の定量および純度の分析は、RNA溶出後に、バイオフォトメーター(Eppendorf)を用いて行う。1μgの高品質RNAを、最終体積20μl中でiScript advanced(BioRad)で逆転写する。完全反応ミックスを、42℃で30分間サーマルサイクラー(Eppendorf)中でインキュベートし、次いで、反応を85℃で5分間停止する。SYBRgreen supermix(BioRad)、およびSYBR(登録商標)Green(BioRad)で使用するためにカズタマイズしたプレートを使用して、リアルタイムPCRサーモサイクラー(BioRad)においてqPCRにより相補性DNAを増幅する。SYBR Greenは、二本鎖DNA分子に結合して蛍光を発し、この蛍光は、PCR反応で定量され、生成物の量に比例する。BioRad CFX96機器におけるサイクル条件は、95℃で3分間であり、続いて、95℃で5秒間変性を40サイクル、60℃で30秒間アニーリングおよび伸長する。GAPDH(グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ)、TBP(TATA box結合タンパク質)およびHRPT1(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1)を内因性対照として使用する。試料遺伝子および参照遺伝子の発現に関する倍率変化は、CFXマネージャーソフトウェア(BioRad)を使用して、デフォルト閾値を用いる正規化発現(ΔΔ(Ct))法を使用して計算する。
【0245】
基礎条件に対する密着結合遺伝子クローディン1(CLDN1)および密着結合タンパク質1(TJP1)の誘発倍率を表12に示す。
【表12-1】
【表12-2】
【0246】
結果は、本発明のペプチドが、一次ヒト表皮ケラチノサイトにおいて、および試験濃度で、基礎条件に対して、密着結合遺伝子の発現レベルを増大させることができることを示す。
(実施例21)
色素浸透アッセイを使用する再構築ヒト表皮組織(RHE)における密着結合(TJ)の細胞間透過障壁の評価
【0247】
密着結合(TJ)障壁の機能性は、適切に機能するTJ障壁を通過することができない、ある特定のサイズのトレーサー分子を使用して試験することができる。真皮に一旦、インキュベートすると、ビオチン試薬は、細胞間空間全体に拡散するが、顆粒層における機能性TJ障壁を通過しない。したがって、顆粒層の上でのビオチンの拡散は、TJ障壁が破壊されていることを示す。[Schmitz A、Lazic' E、Koumaki D、Kuonen F、Verykiou S、およびRubsam M、「Assessing the In Vivo Epidermal Barrier in Mice:Dye Penetration Assays」、Journal of Investigative Dermatology、(2014年)、13頁]。
【0248】
表面ビオチン化技法を使用するTJ透過アッセイを、真皮側からのEZ-LINスルホ-NHS-LC-LC-ビオチンを用いて、インキュベートした再構築ヒト表皮(RHE)において行った。この検討の目的は、TJの機能的悪化を引き起こすドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在下での、顆粒層全体への色素の拡散を阻害することにより、バリア機能を増強する本発明のペプチドの能力を調査することである。
【0249】
SkinEthicヒト組織モデル(EpiSkin)を、到着後、直ちにマルチウェルプレート中のそれらのアガロース栄養溶液から取り出し、各ウェルにSkinEthic成長培地(EpiSkin)を予め充填した、6ウェルプレートに置く。37℃、5%COでの一晩のインキュベートション後、組織モデルを、成長培地(1ml/ウェル)中の50μg/mlのペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)および0.02mg/mlのドデシル硫酸ナトリウム(SDS、Sigma)溶液で処理する。ペプチドを含まない成長培地(1ml/ウェル)を基礎条件として使用し、成長培地(1ml/ウェル)中の0.02mg/mlのSDS溶液を陽性対照として使用する。試料はすべて、37℃および5%COで24時間インキュベートする。処理はすべて、真皮側から適用する。
【0250】
24時間の処理後、組織モデルを、真皮側から、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、Sigma)中、2mg/mlのEZ-LINスルホ-NHS-LC-LC-ビオチン(ThermoFischer)でインキュベートする。30分間のインキュベーション後、RHE試料を取り出し、組織凍結培地(Leica)に埋包する。凍結ミクロトーム(Leica、CM1950)を使用して約10μm厚さの凍結組織切片を切り出し、コーティングしたスライド上に回収し、最後に-20℃で保管する。
【0251】
加湿チャンバー中、霜を取り除いたスライドを96%エタノール中、4℃で30分間固定し、次いで、アセトンの凍結溶液中に1分間、室温で置き、次いで、PBSですすぐ。スライドを、1%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma)に、15分間浸漬し、次いで、加湿チャンバー中、室温で1時間、コンジュゲートした5μg/mlのストレプトアビジンAlexa Fluor488(ThermoFischer)でインキュベートする。PBSですすいだ後、スライドを4’,6-ジアミノ-2-フェニルインドール(fenilindol)(Dapi、Invitrogen)を含むprolong Gold退色防止試薬にマウントする。
【0252】
Zeiss蛍光顕微鏡による顕微鏡観察を行い、各状態の写真を付属カメラで撮影する。ビオチンの蛍光画像をそのエリアおよびチャネル「EGFP」グリーンの平均強度値(励起:488nmおよび発光:509nm)の積として定量し、基礎条件によって正規化する。各状態からの少なくとも12枚の代表的な画像を回収して、ZENソフトウェア(Zeiss)で分析する。
【0253】
3回の独立した免疫組織化学実験の平均値として、基礎条件に対して得られた値を表13に示す。
【表13】
【0254】
結果は、SDS中のペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NHが、試験濃度において密着結合(TJ)障壁を強化することができることを示す。これは、基礎条件と比較すると、再構築ヒト表皮における角質層へのビオチンの浸透で観察された阻害から結論付けることができる。
(実施例22)
トルイジンブルー拡散アッセイを使用する再構築ヒト表皮(RHE)における角質層の完全性評価
【0255】
皮膚バリア機能は、表皮の上部層である角質層(SC)によって主にもたらされる。SCバリア機能は、組織レベルにおけるSC構造、その組成、および分子レベルでの細胞間脂質セメントの組織化に主に依存する。SC障壁は、外側から色素を適用し、SC全体への色素の拡散を測定することにより評価することができる。最も一般に使用される色素の1つは、トルイジンブルーであり、これは、皮膚障壁の機能不全の調査に使用されてきた[Schmitz A、Lazic' E、Koumaki D、Kuonen F、Verykiou S、およびRubsam M、「Assessing the In Vivo Epidermal Barrier in Mice:Dye Penetration Assays」、Journal of Investigative Dermatology、(2014年)、13頁]。この検討の目的は、SCの機能的悪化を引き起こすことが知られているドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在下での、角質層全体への色素の拡散を低下させることにより、再構築ヒト表皮(RHE)において、SCバリア機能を増強する本発明のペプチドの能力を調査することである。
【0256】
SkinEthicヒト組織モデル(EpiSkin)を、到着後、直ちにマルチウェルプレート中のそれらのアガロース栄養溶液から取り出し、各ウェルに予めSkinEthic成長培地(EpiSkin)を充填した6ウェルプレートに置く。37℃、5%COで一晩のインキュベーション後、組織モデルの上部層を、成長培地中の0.02mg/mlのドデシル硫酸ナトリウム(SDS、Sigma)溶液中のペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)の50μg/ml溶液を100μlを用いて処理し、組織モデルの真皮側を、成長培地中の同じペプチドの50μg/ml溶液1mlで処理する。組織モデルの上部層および真皮側を、基礎条件として成長培地で処理する。別の組織モデルにおいて、陽性対照としてのその使用のため、どちらもペプチドの非存在下で、その上部層を成長培地中の0.02mg/mlのSDS溶液で処理する一方、その真皮側を成長培地単独で処理する。インキュベーションはすべて、37℃および5%COで24時間行う。
【0257】
24時間の処理後、組織モデルの上部層を200μlのメタノールで室温で2分間、さらに処理し、その後、それらを200μlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS、Sigma)で2回すすぐ。次いで、組織モデルの上部層を、室温で10分間、PBS(Sigma)中の200μlの0.1%トルイジンブルー(Sigma)溶液でインキュベートする。インキュベーションの終わりに、組織モデルを200μlのPBSで4回洗浄し、その後、RHE試料を取り出し、組織凍結培地(Leica)に埋包する。凍結ミクロトーム(Leica、CM1950)を使用して約10μm厚さの凍結組織切片を切り出し、コーティングしたスライド上に回収し、最後に-20℃で保管する。凍結組織切片を、室温で5分間で解凍し、次いで、Zeiss光学顕微鏡を使用して切片を観察し、Zenソフトウェアを使用して画像をキャプチャする。各状態からの少なくとも12枚の代表的な画像を回収して、表14に記載されている順位付けに従い点数化する。
【表14】
【0258】
各状態に関して得られた点数を加算し、次いで、画像の合計数で除算する。得られた結果を、表15に示す。
【表15】
【0259】
これらの結果は、SDS中の試験濃度のペプチドAc-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-Ala-NH(PEP-2)が、再構築ヒト表皮における基礎条件と比べて、角質層全体へのトルイジンブルーの浸透の低下により示される通り、角質層障壁を強化することができることを示す。
(実施例23)
リアルタイムPCRアレイを使用するヒト表皮ケラチノサイト(HEKa)における自然および適応免疫応答の発現プロファイルの検討
【0260】
表皮は、有害な化学品および病原体の浸潤を予防する物理的および免疫学的障壁が生じている。皮膚の表皮を含むケラチノサイトは、防御障壁を正常に使用して、病原体の侵入または皮膚上での長期生存を効果的に予防すると同時に、皮膚マイクロバイオームの多様な微生物生態系の生存を可能にする。皮膚の微生物生態系への選択的な検出および応答を担う機構は、Toll様受容体(TLR)およびそのアダプターMyD88などの要素を含んで、微生物の侵入の認識を可能にする。さらに、ケモカイン(CCL)およびサイトカインも、様々な病原体に対する防御として、TLRが誘因するケラチノサイトによって放出される。CCL5は、上述のケモカインCCLの1つである。
【0261】
この検討の目的は、RT PCRアレイを使用して、成人皮膚から単離した一次ヒト表皮ケラチノサイト(HEKa)における、自然および適応免疫応答に関与する遺伝子の発現のモジュレーションを測定することにより、その防御機構を増強する本発明のペプチドの能力を調査することである。このアレイは、病原体の検出に関与する、IL-1RおよびTLR遺伝子を含めた、IL-1RおよびToll様受容体(TLR)シグナル伝達経路に関連する遺伝子を含む。
【0262】
HEKa細胞(Life Technologies)を6ウェルプレートにおいて、6.0×10細胞/ウェルで播種し、95%空気および5%COの水飽和大気中、37℃で、Defined Growth Supplement(EDGS、Life Technologies)を含むEpilife培養培地中でインキュベートする。これらの条件下で24時間のインキュベーション後、培地を除去し、HEKa細胞を、培地のみ(基礎条件)で、37℃および5%COでインキュベートした2つのウェルを維持して、細胞を新しい培養培地中で、本発明のペプチド(表16を参照されたい)50μg/ml(w/v)でインキュベートする。
【0263】
24時間のインキュベーション後、製造業者のプロトコールによるRNeasy Miniキット(Qiagen)に記載されているプロトコールに従い、ウェルで細胞を直接溶解する。溶解細胞をホモジナイズし、RNアーゼを不活性化させる。gDNAエリミネータースピンカラム(Qiagen)の使用によって、ゲノムDNAを試料から除去する。次いで、試料を特別なRNA結合カラム(Qiagen)に通し、数回のマイクロ遠心洗浄後、汚染物質および不純物を取り除き、精製RNAを50μlの超純水で溶出する。RNA試料の定量および純度の分析は、RNA溶出後に、バイオフォトメーター(Eppendorf)を用いて行う。1μgの高品質RNAを、最終体積20μl中でiScript advanced(BioRad)で逆転写する。完全反応ミックスを、42℃で30分間のサーマルサイクラー(Eppendorf)でインキュベートし、反応を85℃で5分間停止する。SYBRgreen supermix(BioRad)、およびSYBR(登録商標)Green(BioRad)と共に使用するためにカズタマイズしたプレートを使用して、リアルタイムPCRサーモサイクラー(BioRad)でqPCRにより相補性DNAを増幅する。SYBR Greenは、二本鎖DNA分子に結合し、蛍光を発し、この蛍光は、PCR反応において、定量されて生成物の量に比例する。BioRad CFX96機器におけるサイクル条件は、95℃で3分間であり、続いて、95℃で5秒間で変性を40サイクル、60℃で30秒間アニーリングおよび伸長する。GAPDH(グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ)、TBP(TATA box結合タンパク質)およびHRPT1(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1)を内因性対照として使用する。試料遺伝子および参照遺伝子の発現に関する倍率変化は、CFXマネージャーソフトウェア(BioRad)を使用して、デフォルト閾値を用いる正規化発現(ΔΔ(Ct))法を使用して計算する。
【0264】
基礎条件に対する自然免疫応答に関与した遺伝子の誘発倍率を表16に示す。分析した遺伝子は、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)、骨髄分化一次応答遺伝子88(MyD88)、核内因子カッパBサブユニット1(NFKB1)およびインターフェロン調節因子3(IRF3)である。
【表16-1】
【表16-2】
【0265】
結果は、本発明のペプチドが、成人皮膚から単離した一次ヒト表皮ケラチノサイトにおいて、および試験濃度で、基礎条件に対して、自然免疫応答に関与する遺伝子の発現レベルをモジュレートすることができることを示す。
(実施例24)
ケラチノサイト(HaCaT)におけるStaphylococcus epidermidisの付着の評価
【0266】
細菌叢は、2つの部分群、すなわち常在性病原菌および一過性病原菌に小分類分けされる。常在性病原菌は、Staphylococcus epidermidisなどの比較的、固定した生物群および種であり、ヒト表皮にほとんど常に見出され、皮膚ホメオスタシスに寄与し、撹乱後それ自体を再確立することが可能である。一時性病原菌は、Staphylococcus aureusなどの、環境から発生して短期間、皮膚だけにしか留まらない種である。病原菌が皮膚表面上の空間および栄養、ならびに皮膚の防御機構としてそれ自体に存在する望ましくない一部の種によるコロニー形成を回避する可能性を求めて闘うので、病原菌間の競争は一定となる。したがって、この実験の主な目的は、Staphylococcus aureusのバイオ粒子の存在下で、ケラチノサイトにおけるStaphylococcus epidermidisの付着を改善する本発明のペプチドの能力を検討することである。
【0267】
95%空気および5%COの水飽和大気中、37℃で24時間、96ウェルプレート中、HaCaT細胞(ケラチノサイト細胞系、Deutsches Krebsforschungszentrum)を播種する(8000個細胞/ウェル、1つの状態あたり4つのウェル)。それらの24時間後、培地を除去し、細胞を培地中、表17に示されているペプチドの1つの50μg/ml溶液で、または培地単独(基礎条件)で、95%空気および5%COの水飽和大気中、37℃で24時、インキュベートする。その処理後、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、Sigma)で洗浄し、次いで、PBS中の緑色の蛍光カルセインAM(Life technologic)およびAlexa Fluor594バイオ粒子であるStaphylococcus aureus(Thermofisher)で、37℃で30分間、光から保護して処理した、Staphylococcus epidermidis(ATCC(登録商標)12228(商標)、微生物株保存機関)の溶液でインキュベートする。インキュベーション期間の終わりに、細胞をPBSで洗浄し、4%(v/v)パラホルムアルデヒド(PFA、Sigma)中で30分間固定する。PBSですすいだ後、分析前に、10分間、PBS中のHoechst 33342、三塩酸塩三水和物(Thermofisher)で核を染色する。
【0268】
Operetta(登録商標)ハイコンテントイメージングシステム(PerkinElmer)を使用して、蛍光顕微鏡により細胞のイメージングを行う。各蛍光画像から、Staphylococcus epidermidisをいくつかのスポットとして定量し、ケラチノサイト核の数、および合計の細菌数(検出されたS.epidermidisのスポットとS.aureusバイオ粒子との和として理解される)に対して正規化する。得られた各値を、基礎条件(非処理ケラチノサイト)に対して正規化する。画像を、ウェルあたり3つの異なるフィールドで撮る。各状態から12枚の代表的な画像を、Harmonyソフトウェア(PerkinElmer)を用いて分析する。
【0269】
処理したケラチノサイトにおける基礎条件に対する、Staphylococcus epidermidisの正規化した割合を表17に示す。
【表17-1】
【表17-2】
【0270】
結果は、本発明のペプチドが、ケラチノサイトにおける、Staphylococcus aureusとの競争において、Staphylococcus epidermidisの付着を増強することができることを示す。
(実施例25)
女性志願者での落屑低下効力の評価に関して実施例16の組成物を用いるin vivoでの検討
【0271】
検討は7日間行い、開始時および生成物の適用の7日後に測定を行う。脚に乾燥皮膚の傾向を示す18歳を超える20名の女性志願者が含まれる。対象は、一方の脚(左または右)の下側の部分に実施例16に記載されている組成物を、およびもう一方の脚の下側に実施例17に記載されているプラセボクリームを施用する。両方のクリームを1日2回(朝および夜)、施用する。対象は、それら自体の参照として働き、様々な時間に得られた結果を、開始時において得られた結果と比較する。さらに、実施例16に記載されている組成物を用いて得られた結果を、実施例17に記載されているプラセボ組成物を用いて得られた結果と比較する。
【0272】
生成物の効力は、以下により評価する:
角質層から角質細胞の層を採取するために皮膚を剥ぎ、フルオレセイン緑色色素で染色して、蛍光を読み取る。結果を表18に示す。
【表18】
【0273】
表18に示される結果は、7日間の処置期間にわたり、実施例16に記載されている組成物は、皮膚の落屑を低減するのに有効であることを実証する。観察された落屑の低減は、実施例16に記載されている組成物の使用により皮膚の保湿化の増大が起こることを示しており、このことは、前記組成物の施用により、皮膚バリア機能の改善も示している。
(実施例26)
白人皮膚タイプの女性志願者における、皮膚障壁の保護における効力の評価に関するin vivoでの検討
【0274】
この検討の目的は、危険な薬剤(すなわち、刺激剤)からの皮膚の障壁保護を改善する本発明のペプチドの能力を実証することである。
【0275】
11日間にわたって検討を行う。20名の白人の女性志願者が検討に含まれる。対象は、実施例16に記載されている組成物、実施例17に記載されているプラセボクリーム、陽性対照(酸化亜鉛懸濁液500mg/ml)または陰性対照(脱イオン水、タイプIIの水)のいずれかを、前腕の手のひら部分の指定エリアに施用する。組成物および対照はすべて、検討の最初の7日間、1日2回(朝および夜)施用する。その後、1%(w/v)でラウリル硫酸ナトリウムの水溶液で皮膚刺激を誘発させる。次いで、誘発させた皮膚の刺激を24時間、パッチで覆う。皮膚障壁の完全性を、Tewameter(登録商標)TM300を用いて経表皮水分蒸散量(TEWL)を測定することによって機器により評価する。TEWLは、皮膚刺激誘発前、ならびにパッチの除去の30分および48時間後に測定する。対象は、それら自体の参照として働き、パッチの除去の48時間後に得られた結果を、志願者の皮膚を刺激する前に得られた結果と比較する。さらに、実施例16の組成物を用いて得られた結果を、プラセボクリームを用いて得られた結果と比較する。
【0276】
結果を表19に示す。
【表19】
【0277】
結果は、実施例16の組成物を施用して7日後に、処置した皮膚は、顕著なTEWLの低下を示し、したがって、本発明の組成物が、皮膚障壁により皮膚にもたらされる保護の増強に有効であることを実証する。
(実施例27)
白人皮膚タイプの女性志願者における、皮膚障壁の回復促進における効力の評価に関するin vivoでの検討
【0278】
この検討の目的は、修復される皮膚障壁の能力を改善する、本発明のペプチドを含む組成物の能力を実証することである。組成物の修復効力を確認するため、皮膚への損傷を引き起こす「テープストリッピング」法を使用する。
【0279】
20名の白人の女性志願者が検討に含まれる。検討の最初に、各試験部位に、皮膚障壁が損なわれるまで(すなわち、皮膚がつやのある層または30~70g/h/mの間の経表皮水分蒸散量(TWEL)の値を示す時)Corneofix(登録商標)テープを使用するテープストリッピングを行う。検討は、4時間行い、開示時(テープストリッピング後)、および実施例16に記載されている組成物または実施例17に記載されているプラセボクリームを、前腕の手のひら部分の指定エリアに施用して4時間後に測定する。対象は、それら自体の参照として働き、実施例16に記載されている組成物を施用して4時間後に得られた結果を、開始時(テープストリッピング後)に得られた結果と比較する。さらに、実施例16の組成物を用いて得られた結果を、実施例17に記載されているプラセボクリームを用いて得られた結果と比較する。
【0280】
皮膚障壁の完全性は、テープストリッピングの直後、および生成物を施用して4時間後に、Tewameter(登録商標)TM300を用いて経表皮水分蒸散量(TEWL)を測定することによって機器により評価する。結果を表20に示す。
【表20】
【0281】
表20に示されている結果は、実施例16の組成物を施用して4時間後に、TEWL平均値が低下し、したがって、本発明の組成物が、皮膚障壁の回復を増強することを実証している。
(実施例28)
白人皮膚タイプの女性志願者における、皮膚の細菌叢改善の評価に関するin vivoでの検討
【0282】
本発明のペプチドが皮膚マイクロバイオームをモジュレートする能力を、皮膚細菌叢のメタゲノム検討により、志願者で評価した。特に、目的は、細菌叢の多様性(すなわちShannon指数)の改善、関連する微生物門の存在、およびマイクロバイオーム機能プロファイルの変化を実証することであった。
【0283】
21名の白人の女性志願者を検討に登録し、検討を7日間行った。対象は、肘窩(左または右)に実施例16に記載されている組成物、およびもう一方の肘窩に実施例17に記載されているプラセボクリームを施用する。例16の組成物およびプラセボを、7日間、1日2回(朝および夜)、施用する。対象は、それら自体の参照として働き、7日間の時点で得られた結果を、開始時において得られた結果と比較する。さらに、実施例16の組成物を用いて得られた結果を、プラセボクリームを用いて得られた結果と比較する。
【0284】
細菌叢分析用の試料は、各エリアにおいて1分間、こすられたスワブを使用して得る。スワブは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、Sigma)溶液中の0.1% Triton(Sigma)溶液中で保存し、DNA抽出および精製まで、-80℃に維持する。微生物のDNA抽出および精製は、製造業者の指示書に従い、組織DNA GPSpinキット(Genetic PCR Solutions)を用いて行う。志願者の皮膚の細菌叢のメタゲノム分析を行うために、16S領域を16S Ion Metagenomics Kit(Life Technologies)を用いて増幅する。増幅された16S領域は、その遅い進化速度のため、系統発生を再構築する際に使用されるリポソームRNAをコードする遺伝子である。個別の2つのPCR反応を、2つの異なるプライマーセットを使用して行う。PCR反応の終わりに、等量の2つのPCR反応物を合わせ、Ion Plus Fragment Library Kit(Thermo-Fisher)およびIon Xpress Barcodes Adapters(Thermo-Fisher)を使用して処理し、DNAライブラリーを作製する。2つのプライマープールの組合せにより、複合混合集団からの細菌の幅広い範囲の配列に基づく特定が可能となる。
【0285】
配列決定を、400-bpキットおよび7つの318チップを使用して、Ion Personal Genome Machine(PGM)により行った。ベースコーリング、およびランのデマルチプレックスは、デフォルトパラメーターによるTorrent Suiteバージョン5.0(Life Technologies)によって行った。FileExporterプラグインを使用して、各試料に対するデマルチプレクッスしたfastqファイルを生成した。フォワードおよびリバース読み取り値に関する平均読み取り長さは、すべての試料について、235bp~238bpの間の範囲であった。得られたデータは、3つの異なる分析を行って分析する:
- イオンリポーター分析:配列決定結果をIon Reporter Server5.2(Thermo-Fisher)にアップロードする。このソフトウェアにより、キュレートしたGreengenes1とプレミアムキュレートしたMicroSEQ(登録商標)ID 16S rRNA参照データベースの両方を使用して、複雑な多重細菌研究用試料中に存在している病原菌の迅速な特定が可能となる。対応するプライマーによって両側が挟まれた配列(完全アンプリコン)を、両方の方向(フォワードおよびリバース)で抽出する。150bp未満の読み取り値は除外する。プライマーを、抽出配列から除去する。最後に、同一配列をグループ分けし、10より少ない配列を有する群を削除する。GreenGenesおよびMicroSEQ(登録商標)ID 16S rRNAデータベース、ならびに門および科レベルでの相対存在量を使用して、各配列群の分類学を割り当てたブラストを評価する。米国臨床検査標準委員会(Clinical and Laboratory Standards Institute:CLSI)のガイドラインの推薦に従い、それは、科レベルの場合、<97%の同一性が要求される。
- QIIME分析:第2の分析は、V3アンプリコンの場合のみ、QIIME2 v1.9.1(Quantitative Insights Into Microbial Ecology)ソフトウェアパッケージを使用して行う。対応するプライマーV3によって両側が挟まれた配列(完全アンプリコン)を、両方の方向(フォワードおよびリバース)で抽出する。150bp未満、および/または20未満の平均品質指数Qを有する読み取り値を除外する。最後に、プライマーを抽出配列から除去する。これらのプライマーの配列は、未知であるが、未加工データを分析した後に容易に得られる。分析は、いくつかの部分からなる:クローズド参照OTUピッキングプロセスでは、読み取り値は、基準配列コレクションに対してクラスター形成してOTUに割当て、次いで、GreenGenes V13-8参照データベースによりOTUへの分類学の割当てを行う。細菌群の多様性は、以下を考慮する、微生物群の生態学的尺度である、Shannon多様性指数により測定する:(1)細菌タイプの豊富度、すなわち合計数、および(2)これらの細菌タイプの均質性、すなわち相対的割合。この指数は、群内の様々な分類群の存在量に基づく試料内の多様性を反映している。
- メタゲノム機能コンテクト予測(Metagenome functional contect prediction):第3の分析は、マーカー遺伝子データ(16S)および参照ゲノムのデータベースを使用するメタゲノムの機能的組成を予測する計算アプローチである、PICRUSt(未観察状態の再構築による群の系統発生学的調査)を使用して行う。PICRUStは、先祖状態再構築アルゴリズムの拡張を使用して、どの遺伝子ファミリーが存在するのかを予測し、次いで、遺伝子ファミリーを合わせて、16S情報を使用する複合メタゲノムを推定する。以前の分析(V3アンプリコン)のOTU表(クローズド参照)から、機能的組成の予測を次のステップに従い行う。
・ OTU表の正規化:各OTUを公知/予測16Sコピー数の存在量により除算することによりOTU表を正規化する。
・ メタゲノムに関する予測機能:最終的なメタゲノム機能的予測値を創出する。各正規化したOTU存在量を、各予測した機能形質存在量で乗算し、試料による機能の表を作成する。
・ 予測を経路へ分解する:数千の予測機能をより多くの分類に分解する(例えば、KOをKEGG経路へ)。
【0286】
表21は、プラセボクリームまたは実施例16の組成物のいずれかで処置した後の微生物門の多様性(すなわちShannon指数)および存在量の変化(最終値-初期値)を示す。
【表21】
【表22】
【0287】
Shannon指数は、豊富度(すなわち、分類学的群の量)を考慮している。低いShannon指数値は、微生物多様性が低いことを示し、これは、健康に乏しい皮膚であることと一般に関連づけられる。活性物により処置した後、皮膚のShannon指数値は、プラセボにより処置された皮膚のShannon指数値と比べて、増大量が多いことを示し、微生物多様性を増強する優れた効力を示しており、ひいては、皮膚健康の改善を示す。この効果は、両方の群(<35y.o.および≧35y.o.)において観察され、<35y.o.の群において多様性が改善されるばかりでなく、≧35y.o.の群でも改善されることが実証された。
【0288】
本発明の組成物は、Proteobacteria(15%)の相対存在量の増加、およびFirmicutes(21%)の存在量の低下により皮膚の微生物のバランスを改善した。
【0289】
表23は、皮膚細菌叢の成長および健康の増強に寄与する経路をモジュレートする、本発明のペプチドを含む組成物の能力を示す。
【表23】
【0290】
活性成分は、皮膚上の細菌の成長を促進する食物の輸送または摂取、および細菌の移動に関連する経路をモジュレートする。その上、活性成分はまた、ひいては、皮膚の改善に寄与することができる、エネルギー、脂質、アミノ酸、ビタミンおよび生体異物の分解に関連するいくつかの代謝経路をモジュレートする。
【化2-1】
【化2-2】
【配列表】
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