(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】LED構造及び連続消毒用照明器具
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20230215BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20230215BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20230215BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20230215BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230215BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/00 L
F21V33/00 400
F21Y113:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019559401
(86)(22)【出願日】2018-01-15
(86)【国際出願番号】 FI2018050025
(87)【国際公開番号】W WO2018130750
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-12-17
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】522392830
【氏名又は名称】カリクスピュア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ユーハ ランタラ
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0014715(US,A1)
【文献】特開2007-031503(JP,A)
【文献】特表2011-513996(JP,A)
【文献】特開2015-126160(JP,A)
【文献】特表2007-536729(JP,A)
【文献】特表2016-523443(JP,A)
【文献】特開2010-080935(JP,A)
【文献】特表2015-515133(JP,A)
【文献】特表2016-531432(JP,A)
【文献】特開2005-101458(JP,A)
【文献】特開2009-010315(JP,A)
【文献】特開2008-066297(JP,A)
【文献】特開2013-012711(JP,A)
【文献】特開2005-354027(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0258828(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105304801(CN,A)
【文献】特開平09-008361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光構造を用いて照明及び消毒を提供する方法であって、
該発光構造は、
発光領域として構成された空洞を備える基板と、
前記空洞の中に取り付けられ、405nmの第1の波長でピークを示す第1の放射を放射するように構成された第1の発光半導体源であって、第1の放射は殺菌、又は、抗菌特性を有する、第1の発光半導体源と、
前記空洞の中に取り付けられ、470nmの第2の波長でピークを示す第2の放射を放射するように構成された第2の発光半導体源と、
前記第1の発光半導体源及び前記第2の発光半導体源の頂部の上に形成される波長変換材料層であって、前記波長変換材料層は白色光を発生するように構成される、波長変換材料層と、を備え、
前記発光構造からの発光スペクトルは、前記第1の放射、前記第2の放射、及び前記白色光の総和を含み、前記発光スペクトルは、前記第1の波長においてピークを有し、かつ、前記第2の波長においてピークを有し、前記発光スペクトルは、450nmにおいて発光ピークを有さず、
前記方法は、
表面又は物体が消毒を必要とすることを決定するステップと、
前記発光構造を用いて、前記表面又は前記物体に前記発光スペクトルを提供し、露出した表面又は物体を照明し消毒するステップと、を有
し、
人間がいない前記第2の放射を消すことができる間に、前記第1の放射のみを用い、人間がいる前記第2の放射を維持する間に、前記第1の放射の強度を低くする、方法。
【請求項2】
前記波長変換材料層は、前記第1の放射の少なくとも10%が前記波長変換材料層を透過することを可能にするように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記波長変換材料層は、前記第1の放射により白くされるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の放射のピークが、30nmより下の半値全幅を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記発光構造は、前記第1の発光半導体源及び前記第2の発光半導体源を電気制御インターフェースに接続するための電気回路層をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電気回路層は、前記基板の頂部に形成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記電気制御インターフェースは、3つのワイヤを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の発光半導体源及び前記第2の発光半導体源のそれぞれは、前記電気制御インターフェースにおいて独立に制御される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記発光スペクトルの可視部分の演色評価数(CRI)は70を超え、色温度は2000Kと8000Kとの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも5%の光出力が365nmと430nmとの間で発光される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記波長変換材料層を通る前記第1の放射の透過率は17mWから24mWの間であり、一方、全光出力は116mWから126mWの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の発光半導体源が、GaN半導体チップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記発光スペクトルは、470nmから750nmの波長範囲の白色光のピークを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記白色光のピークは、少なくとも50nmの半値全幅を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光による消毒用に用いる人工照明の配置及び方法に関する。特に、本発明は、殺菌効果を提供する光エレクトロニクス及び白色発光ダイオード(LED)の技術分野に関する。本発明は、統合LED構造及び連続的に動作する消毒照明器具のアプリケーションに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線(UV)源は、消毒に良く適しており、殺菌及び抗菌効果を有することはよく知られている。遠紫外線(UVC)源は、細菌の表面上の成長を効果的に防ぐことが知られており、殺菌源として広く用いられる。しかしながら、水銀灯などのUVC源の使用の欠点は、UVCライトは人間に有害であり、したがって、人々のいる所での使用を妨げる事実である。遠紫外線の消毒のしわざのメカニズムは、DNA分子の分解であることが知られており、これは260~290nmの間の特に強い吸収を有する。
【0003】
異なる物理的メカニズムに基づくけれども、より長い波長も殺菌効果を有することも知られている。365nmのUVA光は細菌の成長を抑止することが知られており、青/紫色光も類似の成長阻害効果を生じる。青/紫色光の波長では殺菌効果はより小さいけれども、連続的に動作する消毒光において活用することができる。405nmの光は細胞に活性酸素種(ROS)の生成を引き起こすことがよく知られている。これらの負の電荷を持つ酸素イオンは、次いで、細胞の代謝を防ぎ、例えば、細菌のコロニーの成長を効果的に抑制する。消毒光の強さは一番に重要であるが、消毒の能力を究極的に画定するのは、J/m2を単位として表され、表面の上に、又は、物体の上に蓄積される全線量である。
【0004】
露光時間が十分に長いが、実用的な価値が、なお高い限りは、適切な発光スペクトルを有するどんなにより低い強度源でも、消毒用に用いることができる。しかしながら、再び、人間がいることが、そのような光の境界を設定する。国際規制安全ガイドラインが、非電離放射線防御の国際委員会(ICNIRP)及びIEC標準IEC-62741(非特許文献1)により定められる。再び、ICNIRPは紫外線の波長を100~400nmに定める。
【0005】
発光源が短い波長の発光、例えば、410nmより短い場合の発光を有する場合、かつ、短い波長の発光が優勢な強度又は色である場合、人間は一般に不快感を経験する。
【0006】
既知の植物育成及び光合成用育成照明は、時には、白色光源を伴う、青色及び赤色光源で構成される。したがって、それらは、殺菌及び抗菌機能に関する問題に対処しない。
【0007】
LED及びUV殺菌灯に適用する光源は、CN104056289A(特許文献1)に開示される。しかしながら、再び、そのようなアセンブリは、UV光の人間に対する有害な効果により、一般照明には適切ではない。
【0008】
閉じた環境での消毒機能を有するLED源は、EP2554583A1(特許文献2)に示される。再び、そのような300nmより短い波長を発光する源は、UV光の人間に対する有害な効果により、一般照明には適切ではない。
【0009】
発明者の研究所試験により、405nmの発光を有する個々の空間的に分離したLED及び個々の白色光LEDの組合せは、不快感を引き起こす光源をもたらす。個々にパッケージ化されたLEDに基づく光源は、スムーズで均一な光照射野を生じない。特に、集中的な短い波長の発光を有する点源は、かく乱される。短い波長の点源が、白色光LEDの間で、明確に視覚的に見えない源を提供することが必要である。しかしながら、白色光LEDの405nmのLEDへの物理的重ね合わせは容易ではなく不可能である。
【0010】
空間的に源を混ぜ合わせる例はUS8398264(特許文献3)に示される。均一な発光を供給し、源の平面で個々の短い波長の発光体が直接見えることを避けるために、拡散プレートをフレネルタイプレンズと共に用いる。既知の拡散器の集まりは複雑で高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】CN104056289A(中国特許第104056289A号明細書)
【文献】EP2554583A1(欧州特許第2554583A1号明細書)
【文献】US8398264(米国特許第8398264号明細書)
【非特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記に論じた課題を解決するために、本発明の目的は、消毒機能を有し調整できる発光スペクトルを有する統合発光ダイオード構造を用いて、白色光照明の方法を提供することである。
【0014】
特定の実施態様の一側面は、白色光源として機能し、基板、少なくとも1つ又は複数の発光領域、及び、電気的2つ又は3つのワイヤ制御インターフェースを備える統合LED構造を提供することである。
【0015】
別の目的は、優勢な強度又は色である短い波長の発光を有する放射源から、人間が感じる不快感を防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、基板と、該基板の上に空洞として画定された発光領域と、前記空洞の中に取り付けられた、殺菌及び抗菌の特性を有する第1のタイプの発光半導体源と、前記空洞の中に取り付けられた、波長変換材料を引き起こして白色光を発生させる機能を有する第2のタイプの発光半導体源と、を備えるLED構造を提供する概念に基づく。
【0017】
別の実施態様において、LED構造は、基板と、該基板の上に空洞として画定された発光領域と、前記空洞の中に取り付けられた発光半導体源と、該発光半導体源の頂部の上に形成される、波長変換材料層と、前記発光半導体源を電気制御インターフェースに接続するためにオプションとして前記基板の頂面の上にある電気回路層と、を備える。
【0018】
別の実施態様において、LED構造は、基板と、該基板の上に空洞として画定された発光領域と、前記空洞の中に取り付けられた発光半導体源と、該発光半導体源の頂部の上に形成される、波長変換材料層と、前記発光半導体源を電気制御インターフェースに接続する電気回路層と、を備え、前記発光半導体源は、紫外線の波長より上で410nmより下の、好ましくは、ほぼ405nmのピークの波長の発光を有し、該発光の半値全幅は30nmより下である。
【0019】
典型的に、前記発光半導体源の頂部の上に形成される、波長変換材料層、及び、前記発光半導体源を電気制御インターフェースに接続する電気回路層がある。
【0020】
本発明は、少なくとも1つの統合LED源を備え、白色光照明及び連続消毒機能性を促進する照明器具であって、前記少なくとも1つの統合LED源は、360nmから430nmまでの範囲において
30nmより小さい半値全幅の、人間の目に見えない第1の発光と、430nmから700nmまでの範囲で最大の発光を有する白色光として、人間の目に見える第2の発光ピークと、を有する、照明器具も提供する。
【0021】
もっと具体的に言うと、本発明は、独立請求項の特徴部分で述べたことにより、特徴付けられる。
【0022】
かなりの優位性が得られる。
【0023】
したがって、本発明は、連続消毒プロセスを達成する統合LED構造及び照明器具を提供する。
【0024】
本発明は、人間に有害でもなく、不快感も生じない白色光源として、人間に視覚的に見える光源又は照明器具により、消毒を可能にする。この目標は短い波長の発光を白色光の発光に重ね合わせることにより達成される。そのような白色光源又は照明器具は、同時に照射される表面及び物体を消毒する手段を提供しながら、全般照明の目的に適切である。前記発光領域は、典型的に、発光を供給する発光体として、技術的に信頼でき、経済的に実行可能な1つ又は数個のLED半導体ダイオードを備える。
【0025】
本発明で開示したように、405nmの波長での電磁放射の使用は安全である。開示した新しいタイプのLED源は、短い波長の可視光のかく乱効果を避ける。
【0026】
特定の実施形態において、本発明は、物体の消毒のために、及び、シミュレーションした植物の光合成のためにも提供する光源も達成する。したがって、本統合LED構造は、殺菌及び抗菌、抗ウイルス(殺菌)の効果を有する消毒、並びに、光合成の効果を提供するために、白色光源の中へ組み込むことができる。
【0027】
本発明は、開示した統合LED構造及び照明器具により可能となる全般照明及び光合成照明に消毒機能性を提供する。
【0028】
空間的統合により、互いに非常に近接して波長変換層の下に埋め込まれた405nmの発光源及び450nmの青色発光源の両方とも有する統合LED構造を与える。望ましい実施形態において、2つの発光、すなわち、405nmの放射及び白色発光の独立制御が備えられる。これにより、必ずしも白色光を要しない状況において、白色発光を消すことができる間に、405nmの放射のみを最大の強度で用いることができる。逆に、例えば、人間、又はいくつかのアプリケーションにおいては動物、がいるときに、適切なレベルの白色光照明を維持する間に、405nmの放射強度を低くすることができ、又は、完全に消すことができる。
【0029】
統合LED構造を用いて、CRI及びCCTなどの白色光の品質パラメータは、405nmの発光が光束又は照度に無視できるほどの寄与であるので、一定のままである。
【0030】
統合構造は、白色光源に非常に近接して殺菌及び抗菌効果を有する発光体を空間的に取り付ける手段を備え、いくつかの実施形態において、それらを組み合わせることさえする。殺菌の短い波長の強度を白色光の強度に対して適切に選ぶとき、光源は人間の目には通常の白色光源として見える。さらに、空間的配置は、405nmの発光が、白色光の重ね合わせにより、人間には区別できないことを保証する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、添付のダイアグラム図を参照して、限定されない例により、さらに説明される。
【0032】
【
図1】青色ハザード光のスペクトル重み関数を示すグラフである。
【
図2】405nmの発光ダイオードの典型的な発光スペクトル及び405nmのレーザーダイオードの典型的な発光スペクトルを有する、青色ハザード光のスペクトル重み関数を示すグラフである。
【
図3】1つのLED源において、空間的に組み合わせた白色発光体及び低い波長の発光体を有し、スペクトルを空間的に組み合わせた、連続消毒照明器具用のLED源の写真である。
【
図4】本発明の実施形態による、統合LED構造の概略上面側面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、統合LED構造の概略断面概略図である。
【
図6】本発明の実施形態による、統合LED構造の典型的な発光スペクトルを表わすグラフである。
【
図7】本発明の実施形態による、統合LED構造の典型的な発光スペクトルを表わすグラフである。
【
図8】本発明の実施形態による、統合LED構造の概略上面側面図である。
【
図9】本発明の実施形態による、統合LED構造の概略断面概略図である。
【
図10】本発明の実施形態による、統合LED構造の典型的な発光スペクトルを表わすグラフである。
【
図11】本発明の実施形態による、統合LED構造の典型的な発光スペクトルを表わすグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の説明は単に限定されない例であり、本例の特定の詳細は本発明の精神から逸脱しないで変更することができることを当業者は理解するであろう。
【0034】
本技術は、統合LED構造及び、例えば、連続消毒プロセスを可能にするための照明器具を提供する。
【0035】
一実施形態において、第1に人間に有害ではなく、第2に不快感を生じない白色光源として、人間に明らかに見える光源又は照明器具により、消毒を達成する。そのような白色光の光源又は照明器具は、露光した表面又は物体を消毒する手段を同時に提供しながら、一般の照明目的に適切である。
【0036】
本技術は、物体の消毒及びシミュレーションした植物の光合成にも提供する光源も達成する。開示した統合LED構造は、殺菌の、抗菌の、抗ウイルス性の(殺菌の)、抗ウイルス性の効果を有する消毒、及び、光合成の効果を提供するために、白色光源に統合することができる。
【0037】
したがって、消毒の機能性は、開示した統合LED構造及び照明器具により可能となった一般照明及び光合成照明に対して達成することができる。
【0038】
一実施形態において、発光領域は、白色発光手段を提供するために、波長変換材料を備える。発光領域は、いくつかの好ましい実施形態において、1つ以上のタイプの波長変換材料を備える。高効率、又は、高演色評価数(CRI)、又は、望ましい色補正温度(CCT)を達成するために、材料は、互いに垂直に、又は、互いに隣接する異なる材料で水平に、又は、混合した材料の層で、層にすることができる。
【0039】
発光体は、いくつかの場合において、共通の電流駆動スキームを可能にするために、電気的に直列に又は並列に接続される。制御インターフェースは、次いで、共通の駆動電流を供給するための少なくとも1つの電線を有し、及び、電源に戻って電流経路を閉じるための少なくとも1つの接地線を有する。しかしながら、いくつかの場合において、発光体は、独立の強度制御を可能にする電気的接続はされない。制御インターフェースは、次いで、駆動電流を独立に供給するための少なくとも3つの電線を有し、及び、電源に戻って電流経路を閉じるための少なくとも1つの接地線を有する。
【0040】
一実施形態において、統合LEDコンポーネント又はパッケージは、電気回路に関して独立であることもできる2つの異なるタイプの半導体発光体を有する。公称動作点において、電流は両方の発光体に対して同時に調整されるが、しかしながら、独立の電流である電気回路は別個に調整され、発光は両方の場合に白色光のように見えるが、発光スペクトルは、450nmにおける、又は、の近くの青色発光、及び、405nmにおける、又は、の近くの紫色発光を有する分光的に観測できる二重ピーク構造を有している。
【0041】
405nmの発光の強度がAであり、450nmの発光の強度がBである場合、A/Bの比率は、2つの独立の駆動電流を用いて自由に調整することができる。公称状況において、405nmの発光が人間には区別できるものであり、前に論じたように、安全限度内であるように、A/Bの比率は調整される。光源は、白色光を発光し、連続消毒の機能性を提供するために、405nmの低い強度の発光を与える。
【0042】
一実施形態において、強度の制御は、人間がいることに依存して、ダイナミックに活用される。人間がいない第1の場合において、A/Bの比率は最大にすることができる。人間がいる第2の場合において、強度Aは低い値に調整することができ、安全基準に適合する。したがって、典型的な場合に、少なくとも2つの動作の設定点がある。第1の動作の設定点において、駆動電流は、405nmの発光体に対して、例えば、350mAへチューンアップされ、一方、450nmの発光体に対して、駆動電流は0mAへチューンダウンされ得る。第2の動作の設定点において、駆動電流は、405nmの発光体に対して、例えば、50mAへチューンダウンされ、450nmの発光体に対して、駆動電流は350mAへチューンアップされる。したがって、なお、白色発光を維持しながら、LEDは抗菌及び殺菌効果を有する照明を提供している。このような強度のチューニングは、人間がいるときに安全性を確実にするために、かつ、405nmにおける高強度発光の露光を避けるために、有益である。
【0043】
いくつかの好ましい使用のモードにおいて、特定の全発光がターゲットの表面に蓄積した後に、405nmの発光を調整するために、ダイナミック強度チューニングを活用することができる。これは、検出回路を用いて特定の波長の信号を積分し、統合LED構造の出力を適切に制御するために必要なフィードバックを供給することにより、検出することができる。これは、エネルギー消費を低減し、405nmの発光体の不必要な使用を避けることにより、LEDの寿命を長くするため、有益である。
【0044】
白色光源の完全な発光は、405nmの発光体の発光、450nmの発光体の発光、及び、450nmの発光体の発光により引き起こされる波長変換材料からの発光の総和から形成される。
【0045】
いくつかの実施形態において、統合LED構造は、好ましくは410nmの波長より下の短い波長の発光を有するただ1つのタイプの発光体、及び、発光体の頂部の上に形成される波長変換材料層を備える。
【0046】
完全な白色光源の発光のいくつかの好ましい実施形態において、発光スペクトルは、405nmの発光体からの発光、及び、405nmの発光により引き起こされる波長変換材料からの発光の総和から形成される。
【0047】
好ましくは、発光体は高い強度の発光が可能であり、それにより、紫外線の波長より上で410nmより下の、好ましくは、ほぼ405nmのピークの発光が可能な発光体の頂部の上に形成される波長変換材料層は、高い強度の発光により白くすることができる。
【0048】
一実施形態において、波長変換材料層は、紫外線の波長より上で410nmより下の低い吸収を有するように適合することができる。好ましくは、吸収は、少なくとも405nmの波長の発光において、又は、の近くで、低い。波長変換材料の吸収は、波長変換材料層を通って送られるべき半導体発光源の発光の少なくとも10%を可能にするように適合すべきである。このように、LED構造は、波長変換材料層の低い吸収の波長において、効率の良い消毒を提供することができる。
【0049】
評価すべきことは、適合した波長変換材料層が、波長変換材料層の白くすることを引き起こす高い強度の発光を支えることができることである。
【0050】
好ましい実施形態において、波長変換材料は、一般照明応用に適切なCRI及びCCTの特徴を有する白色光スペクトルを供給する、例えば、YAG:Ceのリンベースの材料である。波長変換材料は、この場合に、410nmより下の発光の過度の吸収を避けるために、360から410nmの波長の範囲において、比較的低い吸光係数を有する。
【0051】
前記発光領域は、前記基板の頂面の上の埋められた浅い空洞として形成することができる。いくつかの好ましい実施形態において、LED構造は、異なる高さの埋められた空洞にいくつかの発光領域を備えることができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、短い波長の発光体は、殺菌効果又は抗菌効果を有する発光波長を有する。好ましい実施形態において、短い波長の発光又は強度は、人間の皮膚、人間の目、又は、人間の健康一般に、有害な効果を有しないか、又は、無視できるほどである。
【0053】
いくつかの実施形態において、短い波長の発光体は、殺菌効果又は抗菌効果を有する発光波長を有し、その発光体は、植物の光合成を支え、増進し、繁殖させる波長においても発光している。
【0054】
上記で参照したように、さらなる一実施形態において、LED構造は、基板、基板の上に空洞として画定された発光領域、空洞の中に取り付けられた発光半導体源、発光半導体源の頂部の上に形成された波長変換材料層、及び、オプションとして基板の頂部の上にあり、前記発光半導体源を電気制御インターフェースに接続するための電気回路層を備える。本実施形態の特定の実施形態は、以下を含む。
【0055】
-LED構造、ここで、波長変換材料層は、紫外線の波長より上で410nmより下の発光波長において、波長変換材料層を通って送られるべき発光の少なくとも10%を可能にする低い吸収を有するように適合される。
【0056】
-LED構造、ここで、波長変換材料層は、発光半導体源の高い強度の発光により白くされる。
【0057】
-空洞の中に取り付けられ、ほぼ470nmのピークの波長の発光を有する第2の発光半導体源を備えるLED構造。
【0058】
-LED構造、ここで、発光半導体源は、365から410nmの範囲の波長のピークの発光を有し、発光の半値全幅は30nmより下である。
【0059】
-LED構造、ここで、発光領域は、425から750nmの範囲の波長の発光帯を有し、450から650nmの範囲の波長のピークの発光を有する、波長変換材料を備え、発光の半値全幅は少なくとも50nmである。
【0060】
-LED構造、ここで、365から430nmの範囲の波長のピークの発光を有し、405nmに近くに配置される中心発光を有する、ただ1つのタイプの発光半導体源があり、発光の半値全幅は30nmより下である。
【0061】
-LED構造、ここで、第1のタイプの発光半導体源は、365から430nmの範囲の波長のピークの発光を有し、発光の半値全幅は30nmより下であり、波長変換材料のローカルな発光のピークは450から750nmの範囲の波長にある。
【0062】
-LED構造、ここで、第1のタイプの発光半導体源は、365から430nmの範囲の波長のピークの発光を有し、発光の半値全幅は30nmより下であり、波長変換材料の第3の発光のピークは450から750nmの範囲の波長にある。
【0063】
-LED構造、ここで、可視スペクトルのCRIは70を超え、色温度は2000Kと8000Kとの間であり、少なくとも5%の光出力が365nmと430nmとの間の範囲の波長で発光される。
【0064】
上記で参照したように、さらなる一実施形態において、LED構造は、基板、基板の上に空洞として画定された発光領域、空洞の中に取り付けられた殺菌及び抗菌の特性を有する少なくとも2つの発光半導体源を備える。発光半導体源の両方は、波長変換材料を引き起こして白色光を発生させ、発光半導体源の内の少なくとも1つは、紫外線の波長より上で410nmより下の、好ましくは、ほぼ405nmのピークの波長の発光を有し、発光の半値全幅は30nmより下である。波長変換材料層は、発光半導体源により引き起こされるように、発光半導体源の頂部の上に形成される。本実施形態の特定の実施形態は、以下を含む。
【0065】
-LED構造、ここで、波長変換材料層は、紫外線の波長より上で410nmより下の発光波長において、波長変換材料層を通って送られるべき発光の少なくとも10%を可能にする低い吸収を有するように適合される。
【0066】
-LED構造、ここで、波長変換材料層は、発光半導体源の高い強度の発光により白くされる。
【0067】
-空洞の中に取り付けられ、ほぼ470nmのピークの波長の発光を有する第2の発光半導体源を備えるLED構造。
【0068】
一実施形態において、1つ以上のLED構造は、方法を提供するために、照明器具において構成することができる。方法は以下を有する。
-人間がいるときに、人間の目に見えない白色発光の背景において、抗菌の及びオプションの殺菌の低い強度の発光を有する白色光照明を供給するように、光源が調整される。
-人間がいない状況において、白色光照明は消され、一方、抗菌の及びオプションの殺菌の発光を最大にする。
【0069】
図に示す実施形態を見るに、なお、一実施形態(黄色のリン光体)において、LED構造は、基板100、空洞の壁101の内側の発光領域、波長変換材料層102、405nmの波長を中心とした主発光を有する発光体103、450nmの波長を中心とした主発光を有する発光体104、及び、3つのワイヤ制御インターフェース105を備える。
【0070】
発光領域は、385nmと430nmとの間で発光し、5から20nmの半値全幅(FWHM)の発光を有する第1のタイプのLED半導体チップ203を備える。発光領域は、430nmと500nmとの間で発光する第2のタイプのLED半導体チップ204と、500nmと700nmとの間のピークの発光を有し、約100nmの半値全幅の発光を有する波長変換材料層202とも備える。
【0071】
制御インターフェースは、3つのワイヤ構造を有し、前記2つの半導体チップの独立制御を可能にする。
【0072】
LED構造は
図5に示すようにスペクトルを発光する。405nmにおいて発光する第1の半導体チップの電流を制御することにより、スペクトルは、
図6(点線及び破線)に示すように、ダイナミックにチューニングすることができる。又は、
図6(実線)に示すように、波長変換材料を変えることによる。
【0073】
別の実施形態(UVリン光体)において、LED構造は、基板300、空洞の壁301の内側の発光領域、波長変換材料層302、365nm及び430nmの波長を中心とした主発光を有する2つの発光体303、及び、2つのワイヤ制御インターフェース305を備える。
【0074】
発光領域は、405nmで発光し、約14nmの半値全幅(FWHM)の発光を有する単一のタイプのLED半導体チップ403を備える。発光領域は、405nmで比較的高い吸光係数を有し、500nmと700nmとの間のピークの発光を有し、通常30nmより大きい半値全幅(FWHM)の発光を有する波長変換材料層402も備える。
【0075】
制御インターフェースは、2つのワイヤ構造を有し、前記発光体チップの電気的制御を可能にする。
【0076】
LED構造は
図10に示すようにスペクトルを発光する。5630パッケージタイプの標準表面実装型デバイス(SMD)の白色発光に完全に埋め込まれた405nmの発光を有する空間的に組み合わせたLEDを用いての別の組のテストを実行した。本実施形態の概略表示を
図8及び9に示す。
【0077】
405nmの波長で中心の発光をする2つのGaN半導体チップが最初に5630パッケージに取り付けられ、ワイヤボンディングされた。チップは互いに極めて接近していた。波長変換層が、次に、これらの2つのチップの上に、5630パッケージの空洞の中へ分配された。波長変換層の厚さ及びリンの濃度は、最適の厚さ及び濃度を見出すために、変えられた。5つのサンプルは、したがって、CRI、CCT及び効率に関して、少し変化する特徴を有する。405nmは波長変換層に完全に埋め込まれたので、405nmの発光を白色発光と視覚的に区別することはできなかった。
【0078】
上記の構造のスペクトルを
図11に示す。図の実線の曲線はサンプルLEDの典型的な測定されたスペクトルを示す。
【0079】
405nmの発光の波長変換層を通る高い透過が可能であり、17mWと24mWとの間であることが測定され、一方、全光出力は116mWから126mWであることが測定された。これらのサンプルユニットは、33%から36%への電気から光への変換効率を持っていた。白色光のCRIは、4954Kから6918KのCCTを有して、83から95であった。
【0080】
以下の表はこれらのLEDのサンプルの測定されたテスト結果を示す。
【表1】
【0081】
上述の実施形態は、白色発光には405nmの発光のピークがないという追加の利点を有する。周知のように、青の波長は有害である(青色有害)と考えられている。本実施形態でより安全な白色光照明が提供される。
【0082】
開示された本発明の実施形態は、本明細書に開示された特定の構造、プロセスステップ、又は、材料に限定されるものではなく、関連技術の当業者により認識されるようなそれらの均等物に拡張されることを理解すべきである。
【0083】
本明細書に用いられた専門用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のために用いられており、それに限定される意図はない。
【0084】
本明細書を通じての「一実施形態」又は「実施形態」の言及は、実施形態に関連して説明した特定の機能、構造又は特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じての様々なところでの「一実施形態において」又は「実施形態において」の語句が現われることは、必ずしも全て同じ実施形態を言及していない。
【0085】
本明細書で用いられるように、複数の、項目、構造要素、構成要素、及び/又は、材料を、便宜上、共通のリストに示すことができる。しかしながら、これらのリストは、まるでリストの各メンバーが別個の独特なメンバーとして個々に同定されるかのように、解釈されるべきである。したがって、そのようなリストのどの個々のメンバーも、反対の指示がない限り、単に共通のグループにいることだけに基づいて、同じリストの任意の他のメンバーの事実上の同等として解釈すべきでない。さらに、本発明の様々な実施形態及び実施例は、それらの様々なコンポーネントの代替と共に本明細書で参照することができる。そのような実施形態、実施例及び代替は、互いの事実上の同等として解釈すべきでなく、本発明の別個の自立した表現として考慮すべきである。
【0086】
さらに、説明した機能、構造又は特徴は、任意の適切な方法で、1つ以上の実施形態において組み合わせることができる。以下の記載において、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、長さ、幅、形状などの例などの多くの特定の詳細が提供される。関連する当業者は、しかしながら、本発明は、1つ以上の特定の詳細が無くて、又は、他の方法、コンポーネント、材料などを有して、実行することができることを認識するであろう。他の例において、周知の構造、材料又は動作は、本発明の不明瞭な側面を避けるために、詳細には、示さないし、又は、説明しない。
【0087】
前述の例は1つ以上の特定のアプリケーションにおいて、本発明の原理の例示であるが、実施の形式、使用法及び詳細の多数の変更は、発明力の練習無しで、本発明の原理及び概念から逸脱せずに、することができることは、当業者には明らかであろう。したがって、以下に述べる特許請求の範囲によることを除いて、本発明は限定されることを意図しない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の統合LEDは、限定されないが、食物の生産及び処理サイト、飛行機及び病院における例のアプリケーションを有する。白色光照明を有し、同時に消毒機能性を有する機能は、感染症病気を非常に低減することができる。特に興味深いアプリケーションは、家庭内使用の冷蔵庫である。そのような閉じた環境において、低コストのエネルギー効率の良い統合LED構造は、非常に効率的な方法で、適用することができる。冷蔵庫のドアが閉じられる間に、短い波長の消毒の発光は高い強度に点灯することができ、白色光は消灯することができる。再び、誰かがドアを開く間に、短い波長の発光は消灯することができ、白色光は点灯することができる。
【0089】
白色光を用いての連続消毒用の別のアプリケーションは、食料品店での果物、野菜、魚及び肉の机に見出される。そのようなところの連続消毒の白色光の使用により、新鮮な生産物の保存可能期間を向上しながら、感染症の広がりのリスクを低減するであろう。
【0090】
患者の部屋及び航空機の中だけでなく病院の手術室においても、消毒機能性を有する白色光は、感染症のリスクを低減するために、適用することができる。
【0091】
温室及び食品工場の別の使用により、植物用の光合成(いわゆる生長)を提供し、同時に、植物用に殺菌又は抗菌効果を提供する。
【符号の説明】
【0092】
100 基板
101 空洞の壁
102 波長変換材料層
103、104 発光体
105 制御インターフェース
200 基板
201 空洞の壁
202 波長変換材料層
203、204 半導体チップ
300 基板
301 空洞の壁
302 波長変換材料層
303 発光体
305 制御インターフェース
400 基板
401 空洞の壁
402 波長変換材料層
403 半導体チップ