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特許72279251-[5-(2-フルオロフェニル)-1-(ピリジン-3-イルスルホニル)-1H-ピロ-ル-3-イル]-N-メチルメタンアミンモノフマル酸塩の製造法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】1-[5-(2-フルオロフェニル)-1-(ピリジン-3-イルスルホニル)-1H-ピロ-ル-3-イル]-N-メチルメタンアミンモノフマル酸塩の製造法
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/333 20060101AFI20230215BHJP
   C07D 207/46 20060101ALI20230215BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230215BHJP
   B01J 31/24 20060101ALI20230215BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230215BHJP
【FI】
C07D207/333
C07D207/46 CSP
C07D401/12
A61P1/04
A61K31/4439
B01J31/24 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019562062
(86)(22)【出願日】2018-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2018047697
(87)【国際公開番号】W WO2019131695
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2017251749
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000228590
【氏名又は名称】日本ケミファ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515242434
【氏名又は名称】ジャパンソファルシム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】大井 勲
(72)【発明者】
【氏名】岩田 真
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106366071(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106187852(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106146466(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105440019(CN,A)
【文献】国際公開第2010/098351(WO,A1)
【文献】特表2008-522952(JP,A)
【文献】特開平01-104042(JP,A)
【文献】ZWEIG Joshua E., et al.,Isomer-Specific Hydrogen Bonding as a Design Principle for Bidirectionally Quantitative and Redshift,Journal of the American Chemical Society,2017年07月,Vol.139(32),p.10956-10959
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】
で表されるピロ-ル誘導体において、ピロ-ル環の窒素原子に保護基を導入し、
下記一般式(II):
【化2】
(式中、Pは保護基を表す)で表されるN保護ピロ-ル誘導体を得、さらにホルミル化により下記一般式(III)
【化3】
で表されるピロ-ル-3-カルボキシアルデヒド誘導体を得、さらに脱保護反応することを特徴とする、下記式(IV)
【化4】
で表される5-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒドの製造方法。
【請求項2】
前記Pで表される保護基が、シリル系保護基である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記Pで表される保護基が、トリイソプロピルシリル基である請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
記式(I)のピロール誘導体が、
下記一般式(V):
【化5】
(式中、Lは脱離基を表す)で表されるオルトフルオロベンゼン誘導体を、金属触媒存在下、ピロ-ルと反応させることにより得られたものである請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記金属触媒がパラジウム触媒である請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法により前記式(IV)で表される化合物次いで前記式(IV)で表される化合物を、無機塩基または有機塩基の存在下、ピリジン-3-スルホニルクロリドまたはその塩と反応させ、下記式(VI)
【化6】
で表されるピロ-ル誘導体を得、さらにメチルアミンと縮合させた後、還元反応することを特徴とする、下記式(VII):
【化7】
で表される1-[5-(2-フルオロフェニル)-1-(ピリジン-3-イルスルホニル)-1H-ピロ-ル-3-イル]-N-メチルメタンアミンの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の製造方法により前記式(VII)で表される化合物を得、フマル酸を添加することを特徴とする1-[5-(2-フルオロフェニル)-1-(ピリジン-3-イルスルホニル)-1H-ピロ-ル-3-イル]-N-メチルメタンアミンモノフマル酸塩の製造方法。
【請求項8】
2-(2-フルオロフェニル)-1-(トリイソプロピルシリル)-1H-ピロ-ル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸分泌抑制薬である1-[5-(2-フルオロフェニル)-1-(ピリジン-3-イルスルホニル)-1H-ピロ-ル-3-イル]-N-メチルメタンアミンモノフマル酸塩及びその中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記式で示される1-[5-(2-フルオロフェニル)-1-(ピリジン-3-イルスルホニル)-1H-ピロ-ル-3-イル]-N-メチルメタンアミンモノフマル酸塩(以下、ボノプラザンフマル酸塩)は、カリウムイオン競合型アシッドブロッカ-であり、カリウムイオンのH+,K±ATPaseへの結合を阻害し、胃酸分泌を抑制することから、胃・十二指腸潰瘍等の治療や予防、ヘリコバクタ-・ピロリ除菌時の胃内pH調整に用いられている。ボノプラザンフマル酸塩は既存のプロトンポンプインヒビタ-と比較して、酸に対して安定であり、有効濃度への到達が速やかで、服用から作用発現までが早く胃酸を長時間にわたって強く抑制することが知られている。
【0003】
【化1】
【0004】
ボノプラザンフマル酸塩の製造方法については、例えば特許文献1には、合成中間体であるピロ-ル-3-カルボキシアルデヒド誘導体について、下記式で示されるシアノ化合物からピロ-ル体を経て合成する方法が開示されている。
【0005】
【化2】
【0006】
この方法では[2-(2-フルオロフェニル)-2-オキソエチル]プロパンジニトリル(a)を原料としている。この原料は、特許文献2記載の方法により製造できることが記載されており、臭化2-フルオロフェナシルからマロノニトリルの反応により合成することが開示されている。また、臭化2-フルオロフェナシルは、一般公知の方法により製造できることが記載されている。具体的な記載はないが、例えば酢酸中で臭素と反応させる方法(非特許文献1)や、塩化アルミニウムの存在下、臭素と反応させる方法などが知られている(非特許文献2)。原料の合成に2工程を要するため、目的化合物の製造に多工程が必要となる。またこれらの反応では、毒性や環境への影響が懸念されるマロノニトリルや腐食性、刺激性の強い臭素を必要とすることから、より人体及び環境への安全に配慮した製造方法が望まれる。また、5-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒドは、原料より収率53%~60%で合成されており、収率の改善も望まれる。
従って、人体や環境への影響の少なく、より短工程で収率の良い製造方法が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5819494号公報
【文献】特許第3140818号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】Organic Synthesis,Coll,Vol.1,127(1941)
【文献】Organic Synthesis,Coll,Vol.2,480(1943)
【文献】Synthesis, 49(16), 3692‐3699; 2017
【文献】Journal of Organic Chemistry, 75(9), 3109‐3112; 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ボノプラザンフマル酸塩の製造における合成中間体ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒド誘導体の製造法及び当該誘導体を用いた新規なボノプラザンフマル酸塩の工業的製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、入手容易なフルオロヨードベンゼンとピロールによるカップリング反応、およびピロ-ル環上窒素原子の適切な保護による位置選択的なホルミル化反応を用いることでピロ-ル-3-カルボキシアルデヒド誘導体を高収率かつ簡便に製造する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち
[1]本発明は、下記一般式(I)、
【0012】
【化3】
で表されるピロ-ル誘導体において、ピロ-ル環の窒素原子に保護基を導入し、
下記式(II):
【0013】
【化4】
(式中、Pは保護基を表す)で表されるN保護ピロ-ル誘導体を得、さらにホルミル化により下記式(III)
【0014】
【化3】
で表されるピロ-ル-3-カルボキシアルデヒド誘導体を得、さらに脱保護反応により下記式(IV)
【0015】
【化4】
で表される5-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒドの[2]また本発明は、前記Pで表される保護基が、シリル系保護基である前記[1]記載の製造方法に関するものである。
[3]また本発明は、前記Pで表される保護基が、トリイソプロピルシリル基である前記[1]又は[2]記載の製造方法に関するものである。
[4]また本発明は、前記一般式(I)のピロール誘導体が、
下記式(V):
【0016】
【化5】
(式中、Lは脱離基を表す)で表されるオルトフルオロベンゼン誘導体を、金属触媒存在下、ピロ-ルと反応させることにより得られたものである前記[1]~[3]記載の化合物(I)の製造方法に関するものである。
[5]また本発明は、前記金属触媒がパラジウム触媒である前記[4]記載の製造方法に関するものである。
[6]また本発明は、前記製造方法により得られた一般式(IV)で表される5-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒドを、無機塩基または有機塩基の存在下、ピリジン-3-スルホニルクロリドまたはその塩と反応させ、
下記式(VI):
【0017】
【化6】
で表されるピロ-ル誘導体を得、さらにメチルアミンと縮合させた後、還元反応により、下記式(VII):
【0018】
【化7】
で表される1-[5-(2-フルオロフェニル)-1-(ピリジン-3-イルスルホニル)-1H-ピロ-ル-3-イル]-N-メチルメタンアミンの製造方法に関するものである。
[7]また本発明は、前記製造方法により得られた一般式(VII)の化合物とフマル酸による1-[5-(2-フルオロフェニル)-1-(ピリジン-3-イルスルホニル)-1H-ピロ-ル-3-イル]-N-メチルメタンアミンモノフマル酸塩の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、ピロールや2-フルオロヨードベンゼンなどの入手容易な原料を用い、安価で短時間かつ短工程で5-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒドを良好な収率(70%以上)で得ることが可能であり、従来法よりも経済性及び生産性が高く工業的生産に適する。さらに遷移金属触媒の使用に関しても極少量に抑え、かつ上流工程で用いることで、より最終物への金属不純物残留に対する懸念を低減することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
前記一般式(V)中、Lで表される脱離基としては、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基やトリフルオロメタンスルホニルオキシ基のような低級アルカンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基やp-トルエンスルホニルオキシ基のようなアリールスルホニルオキシ基等を挙げることができる。
【0021】
前記一般式(II)及び(III)中、Pで表されるピロ-ル環窒素保護基としては、シリル系保護基あるいはアルキル系保護基、ヘテロアリール系保護基、アシル系保護基、カ-バメ-ト系保護基等が挙げられ、シリル系保護基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基等が挙げられ、好ましくはtert-ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等が挙げられる。
アルキル系保護基としてはアリル基、ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基、tert-ブチル基、トリフェニルメチル基、ベンジル基、4-メトキシベンジル基などが挙げられる。
ヘテロアリール系保護基としては2-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ピラジル基、2-ピリミジル基、2-トリアジル基が挙げられる。
カ-バメ-ト系保護基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、tert-アミロキシカルボニル基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、p-クロロベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基、p-ニトロベンジルオキシカルボニル基、p-フェニルアゾベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシフェニルアゾベンジルオキシカルボニル基、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル基、p-ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル基、ジイソプロピルメチロキシカルボニル基、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
また、その他の保護基としてメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、p-トルエンスルホニル基等のアリ-ルスルホニル基、アセチル基などのアルキルアシル基、ベンゾイル基などのアリールアシル基を用いることができる。
これらの保護基のうち、保護基としては収率等の点からシリル系保護基が好ましく、特に好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基が挙げられ、さらに好ましくはトリイソプロピルシリル基である。
【0022】
本発明において、化合物(V)から化合物(I)を得る反応において用いられる金属触媒としては、ニッケル触媒やパラジウム触媒等を用いることができる。
本発明に用いられるニッケル触媒としては、ビス(1,5-シクロオクタジエニル)ニッケル等の0価のニッケル触媒、ニッケルクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルクロリド等の2価のニッケル触媒等が挙げられ、必要に応じてトリフェニルホスフィン、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、Xantphos、ビス[2- (ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル(以下、DPEPhos)、(±)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(以下、(±)-BINAP)等のホスフィン配位子、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等を加えることができる。
本発明に用いられるパラジウム触媒としては、パラジウム炭素、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム等の0価のパラジウム触媒あるいは塩化パラジウム、酢酸パラジウム、(ジクロロビス(トリ-o-トリルホスフィン))パラジウム等の2価のパラジウム触媒が挙げられ、必要に応じてトリフェニルホスフィン、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、Xantphos、DPEPhos、(±)-BINAP等のホスフィン配位子等を加えることができる。
本発明に用いられる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの3級アミン、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素カリウム、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド(以下、LDA)、リチウムヘキサメチルジシラジド(以下、LiHMDS)、エチルマグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムなどの金属塩基等を加えることができる。
【0023】
本発明におけるボノプラザンフマル酸塩の製造における合成中間体ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒド誘導体の製造法及び当該誘導体を用いたボノプラザンフマル酸塩の製造法を次に示す。
【0024】
【化10】
【0025】
(化合物(I)の製造)
化合物(I)は非特許文献3や非特許文献4に記載のクロスカップリング反応などにより製造することができる。例えば、根岸カップリング反応を用いることでハロゲン化されていない無置換のピロールを用いることができ、窒素又はアルゴン等の不活性ガス雰囲気下1~3当量の前述の塩基、好ましくは金属塩基、より好ましくは水素化ナトリウムのジエチルエ-テル、シクロプロピルメチルエ-テル、テトラヒドロフラン、4-メチルテトラヒドロピラン、ジオキサン、モノグライム、ジグライム等のエ-テル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等の溶媒懸濁液に1~3当量のピロール/前記溶媒の溶液を-10℃~室温で滴下し10分~1時間撹拌した後、1~3当量のハロゲン化亜鉛(塩化亜鉛、臭化亜鉛)等の無機亜鉛、ジピバロイル亜鉛等の有機亜鉛(好ましくは、ハロゲン化亜鉛、特に好ましくは塩化亜鉛)を加え室温で10分~1時間攪拌する。次に、1~3当量の化合物(V)、0.0001~1.0当量(好ましくは0.001~0.003当量)のパラジウム等の前記触媒と0.0001~1.0当量(好ましくは0.001~0.003当量)の前記ホスフィン配位子を加え、室温~150℃(好ましくは90~130℃)で5分~24時間反応させることにより化合物(I)を製造することができる。
【0026】
(化合物(II)の製造)
化合物(II)は化合物(I)に保護基を導入することにより製造することができ、保護基の導入は選択する保護基により製造方法は異なるが、一般公知の方法を採用することができる。例えばシリル系の保護基の導入にあっては、1~1.5当量の前述の塩基、好ましくは金属塩基、より好ましくは水素化ナトリウムのジエチルエ-テル、シクロプロピルメチルエ-テル、テトラヒドロフラン、4-メチルテトラヒドロピラン、ジオキサン、モノグライム、ジグライム等のエ-テル類又はN,N-ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒、好ましくはエーテル類等の溶媒懸濁液に、化合物(I)を-10℃~室温で滴下した後、クラウンエーテルやテトラエチレンジアミン、ジメチルイミダゾリジノン等の金属キレート剤、好ましくはジメチルイミダゾリジノンを加え、次いで1~1.5当量の保護基導入試薬を滴下し5分~3時間反応させることにより、化合物(II)を製造することができる。
また、カ-バメ-ト系保護基を導入する場合には、カ-バメート系保護基の種類により反応条件は異なるが、例えば化合物(I)に対しtert-ブトキシカルボニル(Boc基)、tert-アミロキシカルボニル(Aoc基)あるいはベンジルオキシカルボニル(Z基)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基等を導入する場合には、ジオキサン、ジオキサン/水、塩化メチレン、テトラヒロドフラン等の溶媒中、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基の存在下、ジ-tert-ブチルジカルボネ-ト((Boc)O)やtert-ブトキシカルボニルクロリド、ベンジルオキシカルボニルクロリド、tert-アミロキシカルボニルクロリド、9-フルオレニルメチルオキシカルボニルクロリド、クロロギ酸2,2,2-トリクロロエチル 、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド、tert-ブトキシカルボニルアジド、ベンジルオキシカルボニルアジド等の一般公知のBoc基等の導入試薬1~1.5当量を0℃~100℃で5分~10時間反応させることにより製造することができる。
【0027】
(化合物(III)の製造)
化合物(III)は一般公知のホルミル化反応、例えばVilsmeier反応やRieche反応、Daff反応、Reimer―Tiemann反応などにより製造することができ、例えばVilsmeier反応ではN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルホルムアニリド(MFA)、N-ホルミルモルホリン、N,N―ジイソプロピルホルムアミド等のN,N-二置換ホルムアミドとオキシ塩化リン、塩化オキサリル、塩化チオニル、トリフェニルホスフィン-臭素、ヘキサクロロトリホスファザトリエン等の酸塩化物からVilsmeier試薬((クロロメチレン)ジメチルイミニウムクロリド)を調製または市販品を購入し、これと化合物(II)を溶媒、例えばオキシ塩化リン;またはジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、テトラメチルヒドロピラン、ジオキサン等のエーテル類又は酢酸エチル、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒、好ましくはエーテル系溶媒、芳香族炭化水素類、非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒、より好ましくはテトラメチルヒドロピラン中、0~100℃(好ましくは40~80℃)で0.5~12時間攪拌後反応させることにより、化合物(III)を製造することができる。
【0028】
(化合物(IV)の製造)
化合物(IV)は化合物(III)の脱保護反応より製造することができる。脱保護反応は保護基により異なるが、一般公知の方法を用いることができ、例えば、保護基がシリル系保護基の場合には、テトラヒドロフラン等の溶液中-10℃~室温でテトラブチルアンモニウムフルオライドやHFピリジン錯体、HFトリエチルアミン錯体等のフッ素源を反応させることにより製造することができる。また、塩酸やトリフルオロ酢酸等の酸性条件下、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性条件下でも同様にシリル系保護基の脱保護反応が進行し、化合物(IV)を製造することができる。脱保護試薬は化合物(III)に対し3~10当量(好ましくは5当量)の水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。
また、カ-バメ-ト系の保護基の場合には、カ-バメ-ト系保護基の種類により反応条件は異なるが、一般公知の方法により行うことができ、例えば水素雰囲気下、パラジウム黒、パラジウム炭素等の存在下、接触還元により、あるいは酢酸/臭化水素、トリフルオロ酢酸、塩酸/有機溶媒等を保護基に合わせて適宜選択することにより行うことができる。
また化合物(IV)は化合物(II)から化合物(III)を単離することなくワンポットの操作で製造することができる。この場合、前記化合物(II)から化合物(III)の反応終了後、反応系中に前記脱保護のための試薬を加えることにより行うことができる。
また化合物(IV)は、化合物(I)から化合物(II)、化合物(III)を単離することなくワンポットの操作で製造することもでき、例えば前記化合物(III)の製造における反応終了後、その反応系に前記化合物(IV)の製造における反応試薬を加え、反応終了後、さらに反応系に上記脱保護反応のための試薬を加え、同様に反応させることにより、化合物(IV)を製造することができる。いずれの製造における試薬の量関係は、前記と同様の量を用いることができる。
【0029】
(化合物(VI)の製造)
1~1.5当量の水素化ナトリウム/テトラヒドロフランの懸濁液に-10℃~室温で化合物(IV)のテトラヒドロフラン等の溶液を滴下して加え、0.5~1時間撹拌した後、さらにクラウンエ-テルやテトラメチルエチレンジアミン、ジメチルイミダゾリジノン等の金属キレート剤の存在下、-10℃~室温で0.5~1時間攪拌し、続いてピリジン-3-スルホニルクロリドを加え、0℃で0.5時間攪拌する。さらにピリジン-3-スルホニルクロリドを加え、-10℃~室温で0.5~1時間撹拌することにより、化合物(VI)を製造することができる。
また化合物(VI)は、化合物(IV)のジクロロメタンやアセトニトリル等の溶液中、0℃~室温でトリエチルアミンやN,N-ジイソプロピルアミン等の塩基、触媒量の4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン-3-スルホニルクロリドを添加し室温~100℃で0.5~12時間攪拌することにより製造することができる。
【0030】
(化合物(VII)の製造)
化合物(VI)のメタノ-ル等の溶液に0℃~室温でメチルアミンのメタノ-ル等の溶液を滴下して加え、0.5~1時間攪拌し、これを0℃~室温で水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を1~3当量加え、0.5~1時間反応させることにより、化合物(VII)を得ることができる。
【0031】
(ボノプラザンフマル酸塩の製造)
化合物(VII)の酢酸エチル、メタノ-ル等の溶液に0℃~室温でフマル酸のメタノ-ル等の溶液を加え、0.5~1時間攪拌し、析出した結晶をろ取し、必要に応じてメタノール/水で再結晶することにより、ボノプラザンフマル酸塩を製造することができる。
【実施例
【0032】
以下に実施例、比較例および試験例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
実施例1
2-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ルの製造
水素化ナトリウム(60%流動パラフィンに分散、1.2g,30.0mmol)とテトラヒドロフラン(10mL)の懸濁液に氷冷下ピロ-ル(2.1mL,30.0mmol)を滴下し0.5時間撹拌した後、塩化亜鉛(4.1g,30.0mmol)を加え室温で0.5時間攪拌した。続いて酢酸パラジウム(11mg,0.05mmol)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル(15mg,0.05mmol)及び1-フルオロ-2-ヨ-ドベンゼン(1.1mL,10.0mmol)を加え脱気後、60℃で6時間撹拌した。反応混合物を0℃で冷却しつつ水を滴下し、不溶物をろ過した後、酢酸エチルで分液した。水層に酢酸エチルを加え再度抽出した後、有機層を合わせ飽和食塩水で洗浄した。減圧下溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ-で精製し減圧下乾燥することにより表題化合物(1.18g,収率74%)を得た。
【0034】
Mass(ESI):m/zcalcdforC10H7FN[M-H]-:160.06;found:160.18;1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):6.30-6.33(m,1H),6.64-6.67(m,1H),6.90-6.93(m,1H),7.07-7.16(m,1H),7.13-7.17(m,2H),7.60-7.65(m,1H),9.05(brs,1H).
【0035】
実施例2
2-(2-フルオロフェニル)-1-(トリイソプロピルシリル)-1H-ピロ-ルの製造
水素化ナトリウム(60%流動パラフィンに分散,64mg,1.61mmol)とテトラヒドロフラン(2mL)の懸濁液に氷冷下2-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ル(172mg,1.07mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を滴下し0.5時間撹拌した後、15-クラウン-5-エ-テル(0.32mL,1.61mmol)を加え0℃で0.5時間攪拌した。続いてトリイソプロピルシリルクロリド(0.35mL,1.61mmol)を滴下し室温で4時間撹拌した。0℃まで冷却し水を滴下し酢酸エチルで分液した。水層に酢酸エチルを加え再度抽出した後、有機層を合わせ飽和食塩水で洗浄した。減圧下溶媒を留去後、シリカゲルカラムで精製し減圧下乾燥することにより表題化合物(272mg,収率80%)を得た。
【0036】
Mass(ESI):m/zcalcdforC19H28FNNaSi[M+Na]+:340.19;found:340.16;1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.01(d,J=6.9Hz,18H),1.13-1.21(m,3H),6.25(dd,J=3.2,1.2Hz,1H),6.37(t,J=3.2Hz,1H),6.93(dd,J=2.8,2.0Hz,1H),7.03-7.12(m,2H),7.29-7.37(m,2H).
【0037】
実施例3
5-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒドの製造
2-(2-フルオロフェニル)-1-(トリイソプロピルシリル)-1H-ピロ-ル(100mg,0.32mmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液に氷冷下Vilsmeier試薬(123mg,0.96mmol)を加え40℃で0.5時間攪拌した。溶媒を減圧下留去した後に水酸化ナトリウム水溶液(1.0M,3mL)を加え室温で6時間撹拌し、酢酸エチルを加え分液した。水層に酢酸エチルを加え再度抽出した後、有機層を合わせ飽和食塩水で洗浄した。シリカゲルカラムで精製し減圧下乾燥することにより表題化合物(48mg,収率80%)を得た。
【0038】
Mass(ESI):m/zcalcdforC11H8FNNaO[M+Na]+:212.05;found:212.03;1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):7.07(dd,J=2.0,1.2Hz,1H),7.12-7.26(m,3H),7.53(dd,J=2.8,1.2Hz,1H),7.64(dt,J=7.6,1.6Hz,1H),9.45(brs,1H),9.86(s,1H).
【0039】
実施例4
5-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒドの製造
水素化ナトリウム(60%流動パラフィンに分散、1.2g,30.0mmol)と4-メチルテトラヒドロピラン(10mL)の懸濁液に氷冷下ピロ-ル(2.1mL,30.0mmol)を滴下し0.5時間撹拌した後、塩化亜鉛(4.1g,30.0mmol)を加え室温で0.5時間攪拌した。続いて酢酸パラジウム(11mg,0.05mmol)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル(15mg,0.05mmol)及び1-フルオロ-2-ヨ-ドベンゼン(1.1mL,10.0mmol)を加え、100℃で0.5時間撹拌した。反応混合物を0℃で冷却しつつ28%アンモニア水を滴下し、不溶物をろ過した後、酢酸エチルで分液した。減圧下溶媒を留去後、2-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ルを粗生成物として得た。
水素化ナトリウム(60%流動パラフィンに分散,600mg,15mmol)とテトラヒドロフラン(10mL)及びジメチルイミダゾリジノン(2mL)の懸濁液に得られた2-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ルの粗生成物のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を氷冷下滴下し0.5時間撹拌した。続いてトリイソプロピルシリルクロリド(3.2mL,15mmol)を滴下し室温で2時間撹拌した。0℃まで冷却しつつ水を滴下し酢酸エチルで分液した。減圧下溶媒を留去後、ヘプタンと水で再度分液操作を行い減圧下溶媒を留去することにより、2-(2-フルオロフェニル)-1-(トリイソプロピルシリル)-1H-ピロ-ルを粗生成物として得た。
得られた2-(2-フルオロフェニル)-1-(トリイソプロピルシリル)-1H-ピロ-ルの粗生成物のジクロロメタン(50mL)溶液に氷冷下Vilsmeier試薬(3.8g,30mmol)を加え40℃で0.5時間攪拌した。溶媒を減圧下留去した後に水酸化ナトリウム水溶液(1.0M,100mL)を加え室温で6時間撹拌し、酢酸エチルを加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、減圧下溶媒を留去した。ヘプタン及び酢酸エチルで再結晶を行い、減圧下乾燥することにより表題化合物(1.34g,収率70%)を得た。
【0040】
実施例5
5-(2-フルオロフェニル)-1-(ピリジン-3-イルスルホニル)-1H-ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒドの製造
水素化ナトリウム(60%流動パラフィンに分散,32mg,0.79mmol)とテトラヒドロフラン(2mL)の懸濁液に氷冷下5-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒド(100mg,0.53mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を滴下し0.5時間撹拌した後、15-クラウン-5-エ-テル(0.16mL,0.79mmol)を加え0℃で0.5時間攪拌した。続いてピリジン-3-スルホニルクロリド(95μL,0.79mmol)を添加し、0℃で0.5時間攪拌した。さらにピリジン-3-スルホニルクロリド(95μL,0.79mmol)を加え、0℃で0.5時間攪拌した。水を滴下し酢酸エチルで分液した。水層に酢酸エチルを加え再度抽出した後、有機層を合わせ飽和食塩水で洗浄した。減圧下溶媒を留去後、シリカゲルカラムで精製し減圧下乾燥することにより表題化合物(167mg,収率95%)を得た。
【0041】
Mass(ESI):m/zcalcdforC16H11FN2NaO3S「M+Na」+:353.04;found:353.00;1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):6.68(d,J=1.7Hz,1H),7.01-7.05(m,1H),7.16-7.18(m,2H),7.37-7.40(m,1H),7.45-7.51(m,1H),7.69-7.72(m,1H),8.15(d,J=1.8Hz,1H),8.58(d,J=1.7Hz,1H),8.82(dd,J=4.8,1.5Hz,1H),9.90(s,1H).
【0042】
実施例6
1-[5-(2-フルオロフェニル)-1-(ピリジン-3-イルスルホニル)-1H-ピロ-ル-3-イル]-N-メチルメタンアミンフマル酸塩の製造
5-(2-フルオロフェニル)-1-(ピリジン-3-イルスルホニル)-1H-ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒド(100mg,0.30mmol)のメタノ-ル(3mL)溶液に室温でメチルアミンのメタノ-ル溶液(2.0M,1.06mL,2.12mmol)を滴下し、0.5時間攪拌した。0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(34mg,0.91mmol)を加え0.5時間攪拌した。0℃で1規定塩酸(3mL)を滴下し、室温で0.5時間攪拌した。飽和重曹水、酢酸エチルを加え分液した。水層に酢酸エチルを加え再度抽出した後、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄した。有機層を濃縮した後、酢酸エチル(3mL)を加え、フマル酸(39mg,0.30mmol)のメタノ-ル(0.3mL)溶液を添加した。室温で30分間攪拌後、析出した結晶をろ過し、酢酸エチルとメタノ-ルで洗浄し、粗生成物を得た。得られた粗結晶をメタノ-ル及び水から再結晶し、析出した結晶をろ取後減圧下乾燥することにより表題化合物(90mg,収率64%)を得た。
【0043】
Mass(ESI):m/zcalcdforC17H17FN3NaO2S「M+H」+:346.09;found:346.11;1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm):2.39(s,3H),3.76(s,2H),6.44(d,J=2.0Hz,1H),6.47(s,2H),7.10-7.13(m,1H),7.20-7.26(m,2H),7.50-7.56(m,1H),7.60-7.67(m,2H),7.85-7.89(m,1H),8.56(d,J=2.8Hz,1H),8.87-8.89(m,1H).3H未検出。
【0044】
実施例7
5-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒドの製造
水素化ナトリウム(60%流動パラフィンに分散、8.8g,220.0mmol)と4-メチルテトラヒドロピラン(100mL)の懸濁液に氷冷下ピロ-ル(15.7mL,220.0mmol)を滴下し0.5時間撹拌した後、塩化亜鉛(30.3g,220.0mmol)を加え室温で0.5時間攪拌した。続いて酢酸パラジウム(56.1mg,0.25mmol)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル(74.6mg,0.25mmol)及び1-フルオロ-2-ヨ-ドベンゼン(11.5mL,100.0mmol)を加え、約100℃で1時間撹拌した。氷冷下、反応混合物に水酸化ナトリウム水溶液(5.0N,220.0mmol)を滴下し、室温で0.5時間攪拌した。不溶物をろ過、トルエン(100mL)を用いて洗浄した後、有機層を分離して水層をトルエン(100mL)を用いて抽出した。有機層を合わせ蒸留水(167mL)及び飽和食塩水(167mL)で洗浄した。減圧下溶媒を留去後、残渣にトルエン(167mL)を加えた。減圧下溶媒を留去することにより、2-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ルを粗生成物(20.9g)として得た。
水素化ナトリウム(60%流動パラフィンに分散,4.4g,110.0mmol)とテトラヒドロフラン(100mL)及びジメチルイミダゾリジノン(32.6mL,300.0mmol)の懸濁液に得られた2-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ルの粗生成物のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を氷冷下滴下し、テトラヒドロフラン(10mL)で洗いこみ、0.5時間撹拌した。続いてトリイソプロピルシリルクロリド(23.5mL,110.0mmol)を滴下し室温で1時間撹拌した。氷浴下、蒸留水(17mL)を滴下し、さらに蒸留水(167mL)を加えた。酢酸エチル(84mL)を用いて2回抽出を行い、蒸留水(167mL)及び飽和食塩水(167mL)で洗浄した。減圧下溶媒を留去後、残渣にトルエン(167mL)を加えた。減圧下溶媒を留去後、減圧下溶媒を留去することにより、2-(2-フルオロフェニル)-1-(トリイソプロピルシリル)-1H-ピロ-ルを粗生成物(45.2g)として得た。
ジクロロメタン(100mL)に塩化オキサリル(17.2mL,200.0mmol)を加え、DMF(15.5mL,200.0mmol)を氷冷下滴下し、0.5時間撹拌した。得られた2-(2-フルオロフェニル)-1-(トリイソプロピルシリル)-1H-ピロ-ルの粗生成物の4-メチルテトラヒドロピラン(100mL)溶液を一度で加え約50℃で3時間攪拌した。氷冷下、水酸化ナトリウム水溶液(5.0M,100mL)を加え室温で終夜撹拌した。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(200mL)で分液した。有機層を合わせ、飽和食塩水(200mL)で洗浄後、減圧下溶媒を留去した。得られた固体残渣に酢酸エチル(47mL)を加え、約70℃にて溶解後、ヘプタン(300mL)を加えた。室温下放冷後、氷浴下で1時間撹拌し、析出した結晶をろ取、冷却した酢酸エチル:ヘプタン(1:6,70mL)で洗浄した。減圧下にて50℃、1.5時間乾燥することにより表題化合物(13.6g,収率72%)を得た。
【0045】
実施例8
5-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ル-3-カルボキシアルデヒドの製造(2-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ルからのワンポット合成)
2-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ル(10.0g,62.0mmol)の4-メチルテトラヒドロピラン(62mL)溶液にジメチルイミダゾリジノン(20.0mL,186mmol)を加えた後、水素化ナトリウム(60%流動パラフィンに分散,2.7g,68.2mmol)を氷冷下ゆっくりと加え10分間撹拌した。続いてトリイソプロピルシリルクロリド(14.6mL,68.2mmol)を滴下し氷冷下2時間撹拌した。塩化オキサリル(10.6mL,124mmol)とDMF(9.65mL,124mmol)から調整したVilsmeier試薬のジクロロメタン(90mL)溶液に、2-(2-フルオロフェニル)-1H-ピロ-ルの反応溶液を氷冷下一度で加え、4-メチルテトラヒドロピラン(20mL)で洗いこみ、約60℃で2時間攪拌した。氷冷下、水酸化ナトリウム水溶液(2.0M,310mL)を加え室温で終夜撹拌した。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(120mL)で分液した。有機層を合わせ、飽和食塩水(120mL)で洗浄後、減圧下溶媒を留去した。得られた固体残渣に酢酸エチル(29mL)を加え、約70℃にて溶解後、ヘプタン(180mL)を加えた。室温下放冷後、氷浴下で1時間撹拌し、析出した結晶をろ取、冷却した酢酸エチル:ヘプタン(1:6,42mL)で洗浄した。減圧下にて50℃、1.5時間乾燥することにより表題化合物(8.30g,収率71%)を得た。