(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】ガラスシートを成形するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
C03B 23/03 20060101AFI20230215BHJP
C03B 27/044 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
C03B23/03
C03B27/044
(21)【出願番号】P 2019565562
(86)(22)【出願日】2018-06-01
(86)【国際出願番号】 GB2018051504
(87)【国際公開番号】W WO2018220394
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-13
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】サイモン コリン スミス
【審査官】中村 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-208824(JP,A)
【文献】特表2007-506637(JP,A)
【文献】実開昭55-164333(JP,U)
【文献】国際公開第2015/064978(WO,A1)
【文献】特表平03-504003(JP,A)
【文献】国際公開第2015/083734(WO,A1)
【文献】特開平01-024034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/00-23/26
C03B 27/00-27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスシートを成形する方法であって、
(i)前記ガラスシートを支持するための成形支持体を提供するステップと、
(ii)少なくとも第1および第2の金型部材を備えるプレス曲げ装置を提供するステップであって、前記第1および第2の金型部材の各々が前記成形支持体に対して可動である、ステップと、
(iii)前記ガラスシートを加熱するステップと、
(iv)前記ガラスシートを前記成形支持体上に位置付けするステップと、
(v)前記成形支持体および前記プレス曲げ装置のうちの少なくとも一方を他方に向かって移動させて、前記成形支持体と前記第1の金型部材との間で前記ガラスシートをその第1の領域で押圧するステップと、
(vi)前記第2の金型部材を前記第1の金型部材に対して移動させて、前記ガラスシートをその第2の領域で押圧するステップと、
(vii)前記第1の金型部材を前記成形支持体に対して移動させて、前記第1の金型部材と前記成形支持体との間で前記ガラスシートをその前記第1の領域でさらに押圧するステップと、を含み、
前記ガラスシートの前記第1の領域が、前記ガラスシートの周辺領域であり、かつ前記ガラスシートの前記第2の領域が、前記ガラスシートの中央領域である、方法。
【請求項2】
ステップ(v)の前またはステップ(v)の間、前記プレス曲げ装置が、前記ガラスシートにその前記第2の領域で接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(vii)の間、前記第2の金型部材が、前記成形支持体に対して移動して、前記ガラスシートをその前記第2の領域でさらにプレス曲げする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(vii)の間、前記第2の金型部材も、前記第1の金型部材に対して移動する、又は、ステップ(vii)の間、前記成形支持体に対する前記第1および第2の金型部材の前記移動が同調する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記成形支持体が、前記ガラスシートをその周辺領域の周りで支持するための少なくとも1つのレールを備え、および、ステップ(v)の間、前記ガラスシートが、周辺領域で前記第1の金型部材と前記成形支持体との間で押圧される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ステップ(vi)の間、前記ガラスシートが、その中央領域で押圧されながら、前記ガラスシートが、前記第1の金型部材と前記成形支持体との間で押圧される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の金型部材が、成形表面を有し、前記ガラスシートが、ステップ(v)の間に前記第1の金型部材の前記成形表面に面し、更に、前記第1の金型部材が、その前記成形表面に少なくとも1つの開口部を有し、前記第1の金型部材の前記成形表面の前記少なくとも1つの開口部が、少なくとも1つの真空源と流体連通しており、前記少なくとも1つの真空源が、ステップ(vii)の後に、前記ガラスシートの前記第1の領域の一部で少なくとも1つの負圧領域を提供するように動作可能であり、かつ/または前記第1の金型部材の前記成形表面の前記少なくとも1つの開口部が、少なくとも1つの流体源と流体連通して、前記流体がステップ(vii)の後に、前記第1の金型部材の前記成形表面の前記少なくとも1つの開口部を通して流され得る、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第2の金型部材が、成形表面を有し、前記ガラスシートが、ステップ(vi)の間に前記第2の金型部材の前記成形表面に面し、更に、前記第2の金型部材が、その前記成形表面に少なくとも1つの開口部を有し、前記第2の金型部材の前記成形表面の前記少なくとも1つの開口部が、少なくとも1つの真空源と流体連通しており、前記少なくとも1つの真空源が、ステップ(vii)の後に、前記ガラスシートの前記第2の領域の一部で少なくとも1つの負圧領域を提供するように動作可能であり、かつ/または前記第2の金型部材の前記成形表面の前記少なくとも1つの開口部が、少なくとも1つの流体源と流体連通して、前記流体がステップ(vii)の後に、前記第2の金型部材の前記成形表面の前記少なくとも1つの開口部を通して流され得る、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記プレス曲げ装置が、前記第1および第2の金型部材の間に少なくとも1つ(第1)の隙間が存在するように構成されており、更に、前記第1の隙間が、少なくとも1つの真空源と流体連通し、前記少なくとも1つの真空源が、前記第1の隙間に対向する前記ガラスシートの一部に少なくとも1つの負圧領域を提供するように動作可能であり、前記第1の隙間に対向する前記ガラスシートの前記一部が、前記ガラスシートの前記第1および第2の領域の間にあり、かつ/または前記第1の隙間が、少なくとも1つの流体源と流体連通して、前記流体がステップ(vii)の後に、前記第1の隙間を通して流され得る、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第1の金型部材が、金型部材カバーを有して、ステップ(v)の間に前記第1の金型部材の前記金型部材カバーが、前記第1の金型部材と前記ガラスシートとの間にあり、および/または、前記第2の金型部材が、金型部材カバーを有して、ステップ(vi)の間に前記第2の金型部材の前記金型部材カバーが、前記第2の金型部材と前記ガラスシートとの間にある、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ステップ(vi)の間、前記第2の金型部材が、前記第1の金型部材に対して2mm超だけ移動される、および/または、前記第1の金型部材が、前記成形支持体に面する成形表面を有し、前記第2の金型部材が、前記成形支持体に面する成形表面を有し、ステップ(v)の前に前記プレス曲げ装置は、前記第1および第2の金型部材の前記成形表面が、2mm超だけ互いに変位するように構成されている、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ステップ(iii)の間、前記ガラスシートが、580℃~700℃のプレス曲げに好適な温度に加熱される、かつ/または、ステップ(iv)が、ステップ(iii)の前に行われる、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
ステップ(vii)に続いて、前記曲げられたガラスシートが、前記ガラスシートの主表面のうちの少なくとも1つに向けられた冷却流体のジェットで前記ガラスシートを急冷することにより熱強化される、および/または、ステップ(vii)に続いて、前記曲げられたガラスシートが、中間層材料の少なくとも1枚のシートを備える中間層構造を使用して、別のガラスシートに積層される、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第1の金型部材が、環状リングである、および/または、前記第2の金型部材が、前記第1の金型部材内に少なくとも部分的に配備される単一構造の金型である、および/または、前記第2の金型部材が、前記第1の金型部材内に半径方向に配備される、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ガラスシートを成形するための装置であって、
成形表面を各々有する少なくとも第1および第2の金型部材を備えるプレス曲げ装置を備え、前記プレス曲げ装置が、
前記第1の金型部材の前記成形表面および前記第2の金型部材の前記成形表面が整列されて、成形支持体上に支持されるときに前記ガラスシートを最終形状に押圧するための成形表面を有する前記プレス曲げ装置を提供するように前記第1および第2の金型部材が配置される、第1の構成と、
前記第1の金型部材の前記成形表面が、前記第2の金型部材の前記成形表面に対して変位している、第2の構成と、を有し、
前記第1および第2の金型部材が、互いに対して可動であり、
前記プレス曲げ装置が、プレス曲げ動作の間に前記第1および第2の金型部材の位置を制御するための制御手段をさらに備え、
前記制御手段が、前記第1および第2の金型部材の互いに対する位置を制御して、請求項1~14のいずれ
かの方法
におけるステップ(v)、(vi)、(vii)のそれぞれを
全て実行するように構成されている、装置。
【請求項16】
前記第1および/または第2の金型部材の前記成形表面が、そこに少なくとも1つの開口部を有し、それぞれの前記成形表面の前記少なくとも1つの開口部が、少なくとも1つの負圧源と流体連通し、および、前記制御手段が、前記少なくとも1つの負圧源を制御して、請求項1~14のいずれかに記載の方法におけるステップ(vii)の後に、前記少なくとも1つの開口部に負圧の少なくとも1つの領域を生成するように構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記プレス曲げ装置が前記第1の構成内にあるとき、前記プレス曲げ装置が、前記第1の金型部材の前記成形表面と前記第2の金型部材の前記成形表面との間に少なくとも第1の隙間が存在するように配置される、請求項15または請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記制御手段が、前記少なくとも1つの負圧源を制御して、請求項1~14のいずれかに記載の方法におけるステップ(vii)の後に、所望の時点で前記第1の隙間に負圧の少なくとも1つの領域を生成するように構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
請求項15~18のいずれかに記載の装置と、その上にガラスシートを支持するための成形支持体とを備える、アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスシートを成形する方法およびガラスシートを成形するための装置に関する。
【0002】
相補的な成形表面を有する一対の成形部材の間で平らなガラスシートを曲げるか成形することは、当技術分野で周知されている。典型的には、熱軟化ガラスシートは、リング金型上で支持され、リング金型と上部の単一構造の全表面金型との間で曲げられる。
【0003】
US2015/0000340A1は、ガラスを成形するための装置に関し、この装置は、下部金型、固定金型、および上部金型を含む。ディスプレイガラス分野の同様の技術には、KR10-2015-0048450AおよびUS2015/0274570A1が含まれる。
【0004】
JPS638229Aは、成型可能に加熱されたガラスをガイドリングに固定し、プランジャーをガラスに対して押圧し、ガラスを開放部分に押し込むことにより、滑らかな表面および安定した寸法を有する超薄ガラスの中空品にプレートガラスを成型することに関する。
【0005】
US5,401,286は、熱軟化ガラスシートを成形するための柔軟なリング金型に関し、ここで、支持されたガラスシートの最初の懸垂および成形の間にリング金型を支持し、金型を概して平面形状に維持するのに役立つ複数のポストを有する内部リングが提供される。
【0006】
環状金型および全面金型を含むプレス曲げステーションはWO2005/033026A1に記載されている。負圧源に選択的に接続された穴は、プレス曲げ加工の間に環状金型が加熱されたガラスシートと接触したときに、環状金型の構成により決定される全面金型の一部分に置かれる。加熱されたガラスシートは、負圧により穴を通して全面金型に引き寄せられて、その形状を得る。全面金型は、少なくとも1枚の細かいメッシュの布、すなわち、ステンレス織布により覆われ得る。
【0007】
車両の窓の窓ガラスとして特定の用途を有し得るある特定の複雑な曲げられたガラス形状を製造する場合、単一構造のプレス曲げ部材を使用してガラスを所望の形状に曲げることができない場合がある。単一構造のプレス曲げ部材を使用するある特定の形状については、プレス曲げ動作の間にガラス縁部の一部が座屈し、少なくとも光学歪みを生じるガラスの縁部のしわに繋がることがわかっている。
【0008】
先行技術では、このタイプの問題は、US5,122,177に記載されているように、ガラスシートを下部のリング金型上で支持し、1つを超える可動部品から作製された上部のプレス曲げ部材を使用することにより克服され得る。US5,122,177には、曲げられるガラスシートの縁部がどのように成形フレーム上に支持されるかが記載されており、ガラスシートは、その周縁部で最初にクランプされ、続いて、ガラスシートの中央領域が所望の弯曲に押圧される。
【0009】
同様の二部金型がUS2015/0007612A1に記載されている。
【0010】
しかしながら、先行技術に記載されているような二部プレス曲げ部材を使用するとき、ある特定の所望の曲げられたガラス形状について、プレス曲げ動作は、ガラスシートが成形中に破損する場合があるように、曲げ動作の間にガラスシートに非常に高い応力を導入し得ることがわかっている。
【0011】
本発明は、上記の問題を少なくとも部分的に克服することを目的とする。
【0012】
したがって、第1の態様から、本発明は、(i)ガラスシートを支持するための成形支持体を提供するステップと、(ii)少なくとも2つ(第1および第2)の金型部材を備えるプレス曲げ装置を提供することであって、第1および第2の金型部材の各々が成形支持体に対して可動である、提供するステップと、(iii)ガラスシートを加熱するステップと、(iv)ガラスシートを成形支持体上に位置付けするステップと、(v)成形支持体およびプレス曲げ装置のうちの少なくとも一方を他方に向かって移動させて、成形支持体と第1の金型部材との間でガラスシートをその第1の領域で押圧するステップと、(vi)第2の金型部材を第1の金型部材に対して移動させて、ガラスシートをその第2の領域で押圧するステップと、(vii)第1の金型部材を成形支持体に対して移動させて、第1の金型部材と成形支持体との間でガラスシートをその第1の領域でさらに押圧するステップと、を含む、ガラスシートを成形する方法を提供する。
【0013】
誤解を避けるために、第1の金型部材は成形支持体に対して可動であり、第2の金型部材は成形支持体に対して可動であり、第1の金型部材は第2の金型部材に対して可動である。
【0014】
ステップ(v)の間、ガラスシートは、ステップ(vi)の間に第2の金型部材がガラスシートをプレス曲げするのに十分な力で成形支持体と第1の金型部材との間で押圧されるが、ステップ(v)の間では、第1の金型部材は、成形支持体に対してガラスシートにその第1の領域で最終的な所望の弯曲を与えるような最終的な位置にない。
【0015】
ステップ(vii)の間、ガラスシートは、成形支持体と第1の金型部材との間で押圧されて、ガラスシートにその第1の領域で最終的な所望の弯曲を提供する。
【0016】
ステップ(v)の間、ガラスシートの第1の領域を部分的にクランプするだけで、第1の金型部材と成形支持体との間でガラスシートを第1の領域でさらに押圧するステップ(vii)を追加すると、成形プロセスの間にガラス破損の量が低減することがわかった。
【0017】
好ましくは、ステップ(v)の前、プレス曲げ装置は、ステップ(v)の前またはステップ(v)の間にプレス曲げ装置は、ガラスシートにその第2の領域で接触しないように構成されている。
【0018】
好ましくは、ステップ(v)の前またはステップ(v)の間、プレス曲げ装置は、ガラスシートにその第2の領域で接触する。特に、好ましくは、ステップ(v)の前またはステップ(v)の間、第2の金型部材は、ガラスシートにその第2の領域で接触する。
【0019】
好ましくは、ステップ(vii)の間、第2の金型部材も成形支持体に対して移動されて、ガラスシートをその第2の領域でさらに押圧する。ステップ(vii)の間、第2の金型部材が成形支持体に対して移動されるとき、第2の金型部材も第1の金型部材に対して移動し得る。
【0020】
好ましくは、ステップ(vii)の間、第2の金型部材が成形支持体に対して移動されるとき、成形支持体に対する第1および第2の金型部材の移動は同調される。
【0021】
好ましくは、ガラスシートの第1の領域は、ガラスシートの周辺領域である。好ましくは、周辺領域は、ガラスシートの全周囲の周りに延びる。
【0022】
好ましくは、ガラスシートの第2の領域は、ガラスシートの中央領域である。
【0023】
好ましくは、ガラスシートの第1の領域はガラスシートの周辺領域、特にガラスシートの全周囲の周りに延びる周辺領域であり、ガラスシートの第2の領域はガラスシートの中央領域であり、ガラスシートの中央領域は、ガラスシートの周辺領域の内側にある。
【0024】
好ましくは、成形支持体は、ガラスシートをその周辺領域の周りで支持するための少なくとも1つのレールを備える。好ましくは、成形支持体は、ガラスシートを周辺領域で支持するためのリング型の雌金型である。
【0025】
好ましくは、ステップ(v)の間、ガラスシートは、周辺領域で第1の金型部材と成形支持体との間で押圧される。成形支持体がガラスシートをその周辺領域の周りで支持するための少なくとも1つのレールを備えるとき、ステップ(v)の間にガラスシートは、ガラスシートの周辺領域で第1の金型部材と成形支持体の少なくとも1つの成形レールとの間で押圧されることが好ましい。
【0026】
好ましくは、ステップ(vi)の間、ガラスシートは、その中央領域で押圧されながら、ガラスシートは、第1の金型部材と成形支持体との間で押圧される。成形支持体がガラスシートをその周辺領域の周りで支持するための少なくとも1つのレールを備えるとき、ステップ(vi)の間にガラスシートはその中央領域で押圧されながら、ガラスシートは、第1の金型部材と成形支持体の少なくとも1つの成形レールとの間で押圧されることが好ましい。
【0027】
好ましくは、第1の金型部材は、成形表面を有し、ガラスシートは、ステップ(v)の間に第1の金型部材の成形表面に面する。好ましくは、第1の金型部材は、その成形表面に少なくとも1つの開口部を有し、第1の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部は、少なくとも1つの真空源と流体連通し、少なくとも1つの真空源は、ステップ(vii)の後に、ガラスシートの第1の領域の一部に少なくとも1つの負圧領域を提供するように動作可能である。第1の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部と流体連通している少なくとも1つの真空源はまた、ステップ(v)、(vi)、および(vii)のうちの少なくとも1つの間にガラスシートの第1の領域の一部に少なくとも1つの負圧領域を提供するために使用され得る。第1の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部はまた、例えば、圧縮空気などの流体源とも流体連通し得、ステップ(vii)の後のガラスシートの第1の領域の一部への少なくとも1つの負圧領域の提供に続いて、流体は、第1の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部を通って流され得る。
【0028】
好ましくは、第2の金型部材は、成形表面を有し、ガラスシートは、ステップ(vi)の間に第2の金型部材の成形表面に面する。好ましくは、第2の金型部材は、その成形表面に少なくとも1つの開口部を有し、第2の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部は、少なくとも1つの真空源と流体連通し、少なくとも1つの真空源は、ステップ(vii)の後、ガラスシートの第2の領域の一部に少なくとも1つの負圧領域を提供するように動作可能である。第2の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部と流体連通している少なくとも1つの真空源はまた、ステップ(v)、(vi)、および(vii)のうちの少なくとも1つの間にガラスシートの第2の領域の一部に少なくとも1つの負圧領域を提供するために使用され得る。第2の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部はまた、例えば、圧縮空気などの流体源とも流体連通し得、ステップ(vii)の後のガラスシートの第2の領域の一部への少なくとも1つの負圧領域の提供に続いて、流体は、第2の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部を通って流され得る。
【0029】
好ましくは、プレス曲げ装置は、第1および第2の金型部材の間に少なくとも1つ(第1)の隙間が存在するように構成されている。好ましくは、第1の隙間は、少なくとも1つの真空源と流体連通し、少なくとも1つの真空源は、第1の隙間に対向するガラスシートの一部に少なくとも1つの負圧領域を提供するように動作可能であり動作可能であり、第1の隙間に対向するガラスシートの一部は、ガラスシートの第1および第2の領域の間にある。第1の隙間はまた、例えば、圧縮空気などの流体源と流体連通し得、ステップ(vii)の後の第1の隙間に対向するガラスシートの一部への少なくとも1つの負圧領域の提供に続いて、流体は、第1の隙間を通って流され得る。
【0030】
ガラス曲げの間にガラスの1つ以上の選択された領域に負圧を使用することにより、例えば、WO2005000026A1およびWO2009002375A1に記載されているように、ガラス曲げプロセスが改善され得る。典型的には、ガラスの曲げの間のガラスの1つ以上の選択された領域への負圧の提供に続いて、負圧源が終了した後、空気、すなわち、圧縮空気は、ガラスシートと接触している成形表面の開口部を通って吹き付けられて、該成形表面からガラスシートを除去するのを支援する。
【0031】
好ましくは、第1の金型部材は、少なくとも1つの開口部を有する成形表面を有し、第2の金型部材は、少なくとも1つの開口部を有する成形表面を有し、第1の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部および第2の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部と流体連通している少なくとも1つの真空源が存在し、ここで、ステップ(vii)に続いて、少なくとも1つの真空源を使用して、ガラスシートの第1の領域の一部に少なくとも1つの負圧領域、およびガラスシートの第2の領域の一部に少なくとも1つの負圧領域を提供する。
【0032】
好ましくは、第1の金型部材は、ステップ(v)の間に第1の金型部材の金型部材カバーが第1の金型部材とガラスシートとの間になるように金型部材カバーを有する。好ましくは、第1の金型部材の金型部材カバーは、布、より好ましくは通気性布を含む。好ましくは、布は、ステンレス鋼、ガラス繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、またはそれらのブレンド、グラファイトを含有するポリベンゾオキサゾール(PBO)繊維、およびこれらの繊維の様々な織布のうちの少なくとも1つを含む。通常、第1の金型部材が金型部材カバーを有するとき、第1の金型部材の金型部材カバーは、ステップ(v)、(vi)、および(vii)の間に第1の金型部材とガラスシートとの間にある。
【0033】
好ましくは、第2の金型部材は、ステップ(v)の間に第2の金型部材の金型部材カバーが第2の金型部材とガラスシートとの間になるように金型部材カバーが提供される。好ましくは、第2の金型部材の金型部材カバーは、布、より好ましくは通気性布を含む。好ましくは、布は、ステンレス鋼、ガラス繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、またはそれらのブレンド、グラファイトを含有するポリベンゾオキサゾール(PBO)繊維、およびこれらの繊維の様々な織布のうちの少なくとも1つを含む。通常、第2の金型部材が金型部材カバーを有するとき、第2の金型部材の金型部材カバーは、ステップ(v)、(vi)、および(vii)の間に第2の金型部材とガラスシートとの間にある。
【0034】
好ましくは、第1および第2の金型部材は各々、それぞれの金型部材カバーを有し、さらに、第1の金型部材の金型部材カバーおよび第2の金型部材の金型部材カバーは、単一の金型カバーの部分である。ステップ(v)の間、単一の金型カバーは、ガラスシートに面する。好ましくは、単一の金型カバーは、布、より好ましくは通気性布を含む。好ましくは、布は、ステンレス鋼、ガラス繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、またはそれらのブレンド、グラファイトを含有するポリベンゾオキサゾール(PBO)繊維、およびこれらの繊維の様々な織布のうちの少なくとも1つを含む。通常、第1および第2の金型部材が各々、それぞれの金型部材カバーを有するとき、第1および第2の金型部材のそれぞれの金型部材カバーは、ステップ(v)、(vi)、および(vii)の間、それぞれ第1の金型部材とガラスシートおよび第2の金型部材とガラスシートとの間にある。
【0035】
好ましくは、ステップ(vi)の間、第2の金型部材は、第1の位置から第2の位置に移動され、第2の金型部材の第1の位置は、第2の金型部材の第2の位置に対して2mm超、好ましくは4mm~20mm、より好ましくは5mm~10mmだけ変位している。
【0036】
好ましくは、ステップ(vi)の間、第2の金型部材は、第1の金型部材に対して2mm超、好ましくは第1の金型部材に対して4mm~20mm、より好ましくは第1の金型部材に対して5mm~10mmだけ移動される。
【0037】
好ましくは、第1の金型部材は、成形支持体に面する成形表面を有し、第2の金型部材は、成形支持体に面する成形表面を有し、ステップ(v)の前に、プレス曲げ装置は、第1および第2の金型部材の成形表面が、2mm超、好ましくは4mm~20mm、より好ましくは5mm~10mmだけ互いに変位するように構成されている。
【0038】
ステップ(iii)の間、ガラスシートは、プレス曲げ、特に一対の相補的な成形部材間のプレス曲げにより成形され得るように、ガラスシートが好適に柔らかくなる(すなわち、好適に低い粘度を有する)温度まで加熱される。好ましくは、ステップ(iii)の間、ガラスシートは均一に加熱されるが、ガラスシートの選択された領域は、異なる温度に加熱され得る。
【0039】
好ましくは、ステップ(iii)の間、ガラスシートは、580℃~700℃の温度に加熱される。
【0040】
好ましくは、ガラスシートは、成形支持体上にガラスシートを位置付けする前に加熱される。しかしながら、ガラスシートは、成形支持体上に位置付けされ、次いで、加熱され得る。ガラスシートは、成形支持体上に位置付けされる前に第1の温度まで加熱され、その後、成形支持体上にある間、第2の温度まで加熱され得る。
【0041】
好ましくは、ガラスシートは、ガラスシートの積層内、特に入れ子のペアの1枚のシートである。
【0042】
好ましくは、ステップ(vii)に続いて、曲げられたガラスシートは、ガラスシートの主表面のうちの少なくとも1つに向けられた冷却流体のジェットでガラスシートを急冷することにより熱強化される。
【0043】
好ましくは、ステップ(vii)に続いて、曲げられたガラスシートは、中間層材料の少なくとも1枚のシートを備える中間層構造を使用して別のガラスシートに積層される。好適な中間層材料には、ポリビニルブチラール、エチレンビニル酢酸コポリマー、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、またはエチレンおよびメタクリル酸のコポリマーが含まれる。
【0044】
好ましくは、ガラスシートは、ガラスシートをその周辺の少なくとも一部の周りで支持するための上部成形表面を有するリング金型上に支持される。
【0045】
好ましくは、第1の金型部材は、環状リングである。
【0046】
好ましくは、第2の金型部材は、第1の金型部材内に少なくとも部分的に配備される単一構造の金型である。
【0047】
好ましくは、第2の金型部材は、第1の金型部材内に半径方向に配備される。
【0048】
好ましくは、プレス曲げ装置は、3つ以上の金型部材を備える。
【0049】
好ましくは、第1の金型部材、第2の金型部材、および成形支持体のうちの少なくとも1つに加熱手段が提供される。
【0050】
好ましくは、第1の金型部材および第2の金型部材のうちの少なくとも1つは、セラミック、アルミニウム、ステンレス鋼、または鉄、特に鋳鉄のうちの少なくとも1つを含む。
【0051】
好ましくは、成形支持体は、プレス曲げ装置と垂直に整列している。
【0052】
本発明の第1の態様による方法は、曲げられたガラスシートが1つ以上の方向に弯曲するように、平らなガラスシートを曲げるために使用され得る。好ましくは、1つ以上の方向のうちの少なくとも1つの弯曲の半径は、300mm~20000mm、より好ましくは1000mm~8000mmである。曲げられたガラスシートが2つ以上の方向に弯曲しているとき、好ましくは、2つ以上の弯曲方向のうちの2つは、互いに直交している。
【0053】
ガラスシートに好適なガラス組成物は、ソーダ石灰シリカガラス組成物である。
【0054】
典型的なソーダ石灰シリカガラス組成物は、(重量で)69~74%のSiO2、0~3%のAl2O3、10~16%のNa2O、0~5%のK2O、0~6%のMgO、5~14%のCaO、0~2%のSO3、0.005~2%のFe2O3である。ガラスはまた、通常2%までの量で存在するであろう他の添加剤、例えば、精製助剤を含有し得る。ソーダ石灰シリカガラス組成物は、透過光で見たときにガラスに所望の色を与えるために、Co3O4、NiO、およびSeなどの他の着色剤を含有し得る。透過したガラスの色は、BS EN410などの認識された標準に関して測定され得る。
【0055】
本発明はまた、第2の態様から、成形表面を各々有する少なくとも2つ(第1および第2)の金型部材を備えるプレス曲げ装置を備えるガラスシートを成形するための装置を提供し、プレス曲げ装置が、第1の金型部材の成形表面および第2の金型部材の成形表面が整列されて、成形支持体上に支持されるときにガラスシートを最終形状に押圧するための成形表面を有するプレス曲げ装置を提供するように第1および第2の金型部材が配置される、第1の構成と、第1の金型部材の成形表面が、第2の金型部材の成形表面に対して変位している、第2の構成と、を有し、第1および第2の金型部材は、互いに対して可動であり、プレス曲げ装置が、プレス曲げ動作の間に第1および第2の金型部材の位置を制御するための制御手段をさらに備え、制御手段が、第1および第2の金型部材の互いに対する位置を制御して、本発明の第1の態様に記載の方法のステップ(v)、(vi)、および(vii)のうちの少なくとも1つを実行するように構成されている。
【0056】
好ましくは、第1の金型部材の成形表面は、そこに少なくとも1つの開口部を有し、第1の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部は、少なくとも1つの負圧源、特に少なくとも1つの真空源と流体連通している。好ましくは、制御手段はまた、少なくとも1つの負圧源も制御して、本発明の第1の態様による方法のステップ(vii)の後に、第1の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部に負圧の少なくとも1つの領域を生成する。好ましくは、制御手段はまた、少なくとも1つの負圧源も制御して、本発明の第1の態様による方法のステップ(v)、(vi)、および(vii)のうちの少なくとも1つの間に第1の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部に負圧の少なくとも1つの領域を生成する。
【0057】
好ましくは、第2の金型部材の成形表面は、そこに少なくとも1つの開口部を有し、第2の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部は、少なくとも1つの負圧源、特に少なくとも1つの真空源と流体連通している。好ましくは、制御手段はまた、少なくとも1つの負圧源も制御して、本発明の第1の態様による方法のステップ(vii)の後に、第2の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部に負圧の少なくとも1つの領域を生成する。好ましくは、制御手段はまた、少なくとも1つの負圧源も制御して、本発明の第1の態様による方法のステップ(v)、(vi)、および(vii)のうちの少なくとも1つの間に第2の金型部材の成形表面の少なくとも1つの開口部に負圧の少なくとも1つの領域を生成する。
【0058】
好ましくは、プレス曲げ装置が第1の構成内にあるとき、プレス曲げ装置が、第1の金型部材の成形表面と第2の金型部材の成形表面との間に少なくとも1つ(第1)の隙間が存在するように配置され、より好ましくは、第1の隙間は、少なくとも1つの負圧源、特に真空源と流体連通している。好ましくは、制御手段はまた、少なくとも1つの負圧源も制御して、本発明の第1の態様による方法のステップ(vii)の後に、第1の隙間に負圧の少なくとも1つの領域を生成する。好ましくは、制御手段はまた、少なくとも1つの負圧源も制御して、本発明の第1の態様による方法のステップ(v)、(vi)、および(vii)のうちの少なくとも1つの間に第1の隙間に負圧の少なくとも1つの領域を生成する。
【0059】
好ましくは、第1の金型部材および第2の金型部材のうちの少なくとも1つは、セラミック、アルミニウム、ステンレス鋼、または鉄、特に鋳鉄のうちの少なくとも1つを含む。
【0060】
好ましくは、第1の金型部材は、環状リングである。
【0061】
好ましくは、第2の金型部材は、第1の金型部材内に少なくとも部分的に配備される単一構造の金型である。
【0062】
好ましくは、第2の金型部材は、第1の金型部材内に半径方向に配備される。
【0063】
好ましくは、第1の金型部材は、環状リングであり、第2の金型部材は、第1の金型部材内に半径方向に配備される。
【0064】
好ましくは、第1および/または第2の金型部材の成形表面は、布、好ましくは通気性布を含む。好ましくは、布は、ステンレス鋼、ガラス繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、またはそれらのブレンド、グラファイトを含有するポリベンゾオキサゾール(PBO)繊維、およびこれらの繊維の様々な織布のうちの少なくとも1つを含む。
【0065】
好ましくは、第1の金型部材および第2の金型部材のうちの少なくとも1つに加熱手段が提供される。
【0066】
第3の態様から、本発明は、本発明の第2の態様によるプレス曲げ装置と、ガラスシートを上で支持するための成形支持体とを備えるアセンブリを提供する。
【0067】
好ましくは、プレス曲げ装置は、成形支持体に対して垂直に配備される。
【0068】
好ましくは、プレス曲げ装置は、成形支持体と整列される。
【0069】
好ましくは、成形支持体は、上部成形表面を有し、成形支持体の上部成形表面は、第1の構成のプレス曲げ装置の成形表面と相補的である。
【0070】
好ましくは、成形支持体は、凹状の上部成形表面を有する。
【0071】
好ましくは、成形支持体は、ガラスシートをその周辺の少なくとも一部の周りで支持するための上部成形表面を有するリング金型である。
【0072】
好ましくは、アセンブリは、少なくとも3つの構成、以下、プレス曲げ装置が第1の配置内にあり、成形支持体に対して第1の距離だけ離間しているアセンブリのための第1の構成と、プレス曲げ装置が第2の配置内にあるアセンブリのための第2の構成と、プレス曲げ装置が第3の配置内にあるアセンブリのための第3の構成と、を有し、ここで、第1および第2の金型部材の成形表面は整列しているが、プレス曲げ部材が、成形支持体に対して第1の距離とは異なる第2の距離だけ離間している。好ましくは、第1の配置は、第2の配置と同じである。
【0073】
使用時には、プレス曲げ装置が支持体に対して垂直に配備されるように、アセンブリを構成することが好ましい。
【0074】
本発明の実施形態は、ここで、添付の図面を参照して、単なる例として説明される(縮尺通りではない)。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】ガラスシートを曲げるための第1の構成のプレス曲げステーションの概略側面図を示す。
【
図2】第1の配置の二部プレス曲げ部材の概略等角図を示す。
【
図3】
図2の二部プレス曲げ部材が第2の配置にある概略等角図を示す。
【
図4】
図3に示される、下部支持フレームに対して間隔を空けた関係にある二部プレス曲げ部材の下面図の概略等角図を示す。
【
図5】
図1に示されるプレス曲げステーションの拡大部分の概略図を示す。
【
図6】
図1のプレス曲げステーションの第2の構成における概略側面図を示す。
【
図7】
図1のプレス曲げステーションの第3の構成における概略側面図を示し、ここで、二部プレス曲げ部材の第1および第2の部分は、最終的な曲げ位置に移動していない。
【
図8】
図1のプレス曲げステーションの第4の構成における概略側面図を示し、ここで、二部プレス曲げ部材の第1および第2の部分は、最終的な曲げ位置に移動している。
【
図9】
図1のプレス曲げステーションの第5の構成における概略側面図を示し、ここで、二部プレス曲げ部材の第1および第2の部分は、
図7および
図8と同じ配置であるが、両方とも垂直方向に移動されており、二部プレス曲げ部材の成形表面上に支持された曲げられたガラスシートが示される。
【
図10】下部支持体上にガラスシートがある
図1に示されるプレス曲げステーションの一部の拡大概略図を示す。
【
図11】二部プレス曲げ部材が下方に移動して、ガラスシートにその中央領域で接触した後の
図10に示されるプレス曲げステーションの一部の拡大概略図を示す。
【
図12】
図6に示されるプレス曲げステーションの一部の拡大概略図を示す。
【
図13】
図7に示されるプレス曲げステーションの一部の拡大概略図を示す。
【
図14】
図8に示されるプレス曲げステーションの一部の拡大概略図を示す。
【
図15】
図1に示されるプレス曲げステーションを組み込んだガラス曲げラインの概略側面図を示す。
【
図16】(第1の実施形態について)二部プレス曲げ部材の第1および第2の部分の成形表面の垂直位置の時間変化を示すグラフである。
【
図17】軸が拡大された
図16に示される二部プレス曲げ部材の第1および第2の部分の成形表面の垂直位置の時間変化を示すグラフである。
【
図18】(第2の実施形態について)二部プレス曲げ部材の第1および第2の部分の成形表面の垂直位置の時間変化を示すグラフである。
【
図19】軸が拡大された
図18に示される二部プレス曲げ部材の第1および第2の部分の成形表面の垂直位置の時間変化を示すグラフである。
【
図20】
図8に示されるものと同様のプレス曲げステーションの概略側面図を示すが、単一の布が二部プレス曲げ部材の第1および第2の金型部材を覆っている。
【
図21】
図8に示されるものと同様のプレス曲げステーションの概略側面図を示すが、第1の布が二部プレス曲げ部材の第1の金型部材を覆い、異なる第2の布が第2の金型部材を覆っている。
【0076】
図1は、ガラスシートを曲げるためのプレス曲げステーション1の側面概略図を示す。プレス曲げプレスステーション1は、下部3および上部5を含む。
【0077】
プレス曲げステーション1の下部3は、成形支持体を含み、ガラスシートをその上で支持する。この例では、成形支持体は、基部9を有するフレーム7であり、第1および第2の直立部11、13はそこから上方に延びる。環状リングの形態の下部支持体15は、第1および第2の直立部11、13に取り付けられている。従来技術のように、下部支持体15は、ガラスシートを上に支持するための上部成形表面15aを有し、すなわち、ガラスシート(図示なし)は、下部支持体15の上部成形表面15aの周辺領域の周りで支持される。
【0078】
典型的には、当技術分野では、下部3は、曲げフレームまたは雌曲げフレームと呼ばれる。実質的に環状の支持リング15の代わりに、完全な接触支持体が、直立部11、13の端部に取り付けられ得る。
【0079】
図1の例では、下部支持体15の上部成形表面は凹面である。下部支持体15はまた、「成形レール」または単に「レール」と呼ばれ得る。
【0080】
図1には2つの直立部11、13のみが示されるが、実際には、下部支持体15が取り付けられる複数の直立部があり得る。
【0081】
プレス曲げステーション1の上部5は、第1の金型部材17と第2の金型部材19とを備える二部プレス曲げ部材6を備えるプレス曲げ装置を含む。このタイプの二部金型の例は、US5,122,177、WO2012166365A1、およびUS2015/0007612A1に記載されている。
【0082】
図2、3、4、および5をさらに参照すると、第1の金型部材17は、下部成形表面21を有する環状リングである。第2の金型部材19は、第2の金型部材19が第1の金型部材17に対して垂直に移動し得るように、第1の金型部材17の中央開口部内に嵌合する単一構造の金型部材である。第2の金型部材19は、第1の金型部材17内に半径方向に配備される。
【0083】
第1の金型部材17は、外部周壁18aと対向する内部周壁18bとを有する。第2の金型部材19は、外部周壁20を有する。第2の金型部材19の外部周壁20は、第1の金型部材17の内部周壁18bに面し、そこから隙間40だけ離間している。
図1の断面図では、隙間40は、2つの隙間39および41で表される。
【0084】
第2の金型部材19は、下部成形表面23を有する。成形表面21、23は、ガラスシートがフレーム7、すなわち、支持体15の上部成形表面15a上に支持されるとき、かつ第1および第2の金型部材がある特定の所定の配置にあるとき、成形表面21、23が接触するガラスシートの領域にガラスシートの所望の弯曲を提供するように構成されている。
【0085】
図4により明確に示されるように、下部支持体15の片側は、直立部11、11’、および11’’’に、反対側は直立部13、13’、および13’’に取り付けられる。直立部11、11’、11’’、13、13’、13’’は、基部9から上方に延び、一端が基部9に接続され、反対側が下部支持体15に接続される。追加の直立部が使用され得る。直立部間の補強クロスメンバーも使用され得る。
【0086】
さらに
図5を参照すると、第2の金型部材19の外部周縁20aが第1の金型部材17の内部周縁18cと整列するとき、二部プレス曲げ部材6は、点線24で示されるように、所望の最終的な成形表面に対応する成形表面を有する。この例では、二部プレス曲げ部材6の成形表面は、下部支持体15の上部成形表面15aと相補的であるように構成された凸状成形表面である。所望の最終的な成形表面24は、下部支持体15の上部成形表面15a上に支持されたガラスシートを最終的な所望の形状に成形するための最終的な所望の位置における点線25として示される。
【0087】
図1および
図5を参照すると、第1の金型部材17は、二部プレス曲げ部材の成形表面が二部プレス曲げ部材の所望の最終的な成形表面ではなくなるように、第2の金型部材19に対して変位している。第2の金型部材19の外部周縁20aは、第1の金型部材17の内部周縁18cから量43だけ変位している。
【0088】
第1の金型部材17は、線形アクチュエータ31および33により垂直方向(矢印30で示される)に可動である。線形アクチュエータ31、33の移動は、第1の金型部材17の両側が同時に上下に移動するように同調される。
【0089】
第2の金型部材19は、線形アクチュエータ35により垂直方向30に可動である。
【0090】
第1の金型部材17および第2の金型部材19の両方は、互いに垂直方向に独立して可動である。
【0091】
線形アクチュエータ31、33、および35は、好適なガントリ37に取り付けられ、ガントリはフレーム7に対して空間的に固定されている。
【0092】
線形アクチュエータ31、33、および35の移動は、コンピュータに基づくシステムなどの好適な制御手段(図示なし)により制御され得る。
【0093】
図1(および
図1の左側の一部の拡大図である
図5)に示される構成では、第1の金型部材の成形表面21は、点線25で表される最終的な所望の位置から、一方の側においては垂直距離27、および他方の側においては垂直距離27’だけ変位している。距離27および27’は、同じであることが好ましい。
【0094】
第2の金型部材19の成形表面23は、点線25で表される最終的な所望の位置から垂直距離29だけ変位している。
【0095】
上述されるような、成形表面21に対して成形表面23が量43だけ変位された第1の構成が
図1に示される。変位43に起因して、二部金型6は、フレーム7上に支持されたガラスシートを最終的な所望の形状に曲げるように配置されていない。
【0096】
図1では、第1の金型部材17の内部周壁18bと第2の金型部材19の外部周壁20との間の2つの隙間39、41が示される。これらの2つの隙間39、41は、
図2~4に例示されるように、第1および第2の金型部材17、19の間に延びる連続的な隙間40の部分である。隙間40は、好適な真空源と流体連通して、隙間に負圧領域を提供することによりガラスシートの成形を支援することができる。見てわかるように、隙間40は、二部プレス曲げ部材6の成形表面まで延びている。
【0097】
図6は、
図1に示される構成とは異なる構成のプレス曲げステーション1を示す。この第2の構成では、ガラスシート50は、フレーム7上に位置付けされており、本発明によるプレス曲げプロセスの途中である。ガラスシート50は、二部プレス曲げ部材6に面する主表面52と、基部9に面する(結果的に、フレーム7および下部支持体15に面する)対向する主表面54とを有する。ガラスシート50の主表面54は、下部支持体15の上部成形表面15a(この構成ではラベル付けされていないが、
図1を参照されたい)と接触している。
【0098】
図1に示される構成から開始して、第1の金型部材17および第2の金型部材19の両方は、それぞれの線形アクチュエータ31、33、および35を励磁することによりフレーム7に向かって下方に移動している。第1および第2の金型部材17、19の両方の下方への移動は同調されて、第1および第2の金型部材17、19が、その間の相対的な移動なしに下方に移動する。
【0099】
フレーム7に向かう第1および第2の金型部材17、19の下方への移動は、各段階での第1および第2の金型部材の間の相対的な移動を伴うかまたは伴わない1つ以上の段階であり得る。一例では、下方への移動の第1の段階で、第1および第2の金型部材の下方への速度は、第1の速度u1であり、下方への移動の第1の段階に続く下方への移動の第2の段階では、第1および第2の金型部材の下方への速度は、第2の速度u2である。第1および第2の金型部材17、19が、下方への移動の第2の段階よりも下方への移動の第1の段階でより速く動くように、u1>u2を有することが好ましい。
【0100】
図1および
図6を参照すると、
図6に示されるような第2の構成では、第1の金型部材17の成形表面21は、ガラスシート50の主表面52とその周辺領域で接触している。第1の金型部材17および第2の金型部材19の特定の配置に起因して、第2の金型部材19の成形表面23も、ガラスシート50の第2の主52表面とその中央領域で接触しており、その中央領域は、ガラスシートの周辺領域の内側にある。第1および第2の金型部材17、19の最終的な所望の位置にはまだ到達していない。
【0101】
図7では、プレス曲げステーション1は、
図1および6に示される構成とは異なる別の構成で示される。この構成の前は、プレス曲げステーション1は、
図6に示される構成であった。
【0102】
図7に示されるこの第3の構成では、第2の金型部材19は、第2の金型部材19の成形表面23がガラスシート50の主表面52にその中央領域でさらに接触して、ガラスシート50の中央領域をプレス曲げするように、線形アクチュエータ35を励磁することにより下方に移動している。この例では、成形表面23は、成形表面21と整列して示される(その結果、
図5を参照すると、変位43はゼロである)。
【0103】
この第3の構成では、第1および第2の金型部材17、19は、二部プレス曲げ部材6に最終的な所望の成形表面を提供するように配置されるが、第1および第2の金型部材17、19の最終的な所望の位置にはまだ到達していない。
図5を参照すると、変位43はゼロであるが、成形表面21および成形表面23が点線25で示される最終的な位置に到達していないため、垂直距離27および垂直距離29の両方は、ゼロより大きい。
【0104】
第1および第2の金型部材17、19の最終的な所望の位置は、第1および第2の金型部材17、19をフレーム7に向かってさらに下方に移動させて、ガラスシート50をその周辺および中央領域でさらにプレス曲げすることにより到達され得る。この例では、第1および第2の金型部材の最終的な所望の位置に移動する際、このさらなる移動ステップの間に成形表面23が成形表面21と整列したままであるような、第1および第2の金型部材の間に相対的な移動はない。これについては、
図8を参照してさらに説明されるが、図の縮尺に起因して、異なる構成を表すことは困難である。
【0105】
図8に示される第4の構成では、第1の金型部材17の成形表面21は、第2の金型部材19の成形表面23と整列される。
図5を参照すると、変位43は、ゼロである。この配置の二部プレス曲げ部材6は、フレーム7上に支持されたガラスシート50を最終的な所望の形状に押圧するための押圧表面を有し、プレス曲げは、二部プレス曲げ部材6の所望の成形表面も所望の位置にあるように構成されている。
図5を参照すると、この第4の構成では、成形表面21および成形表面23の両方は、点線25上にある。
図7に示される構成から開始して、第1および第2の金型部材の両方は同時に、成形表面21、23が
図7に示される構成から
図8に示される構成に移動する際に整列したままになるように、所望の最終的な位置に移動された。
【0106】
図8に示される構成では、隙間39、41は、隙間39、41に面するガラスシートの少なくとも近傍でガラスシート50の主表面52に負圧領域を提供するための真空源(図示なし)と流体連通している。
【0107】
真空源は、ガラスシート50の曲げを改善するために、任意の所望の時間の間、隙間39、41に真空を適用し得る。プレス曲げステーションが上述の第4の構成に到達した後に、隙間39、41に真空源を適用することが好ましい。真空は、段階的に適用され得、ある段階では別の段階と比較して異なるレベルの真空が適用される。真空段階の持続時間は、同じでも異なっていてもよい。1つ以上の真空段階での真空の持続時間は、0.05~5秒であり得る。
【0108】
図9では、プレス曲げステーション1は、別(第5)の構成で示される。この第5の配置では、第1および第2の金型部材17、19の成形表面が整列しているため、二部プレス曲げ部材6は、
図8に示されるのと本質的に同じように配置される(
図5を参照すると、変位43はゼロである)。しかしながら、
図8に示されるプレス曲げステーション1の構成とは対照的に、二部金型6が線形アクチュエータ31、33、35の好適な発動/励磁によりフレーム7に対して持ち上げられているため、
図9に示されるプレス曲げステーション1の構成は異なる。第1および第2の金型部材17、19は、ガントリ37に向かって同じ速度で矢印30’の方向に上方に移動されており、すなわち、ガントリ37に向かう上方の第1および第2の金型部材17、19の移動は、第1および第2の金型部材の間の相対的な運動がない状態で同調される。
【0109】
曲げられたガラスシート50は、隙間39、41(したがって、隙間40、
図2~4を参照されたい)に真空が適用されることにより、二部プレス曲げ部材6の下側で支持されて、隙間(複数可)に対向するガラスシートの主表面52に負圧の領域を作るように示される。
【0110】
隙間39、41に真空が適用されることに加えて、第1の金型部材17の成形表面21はそこに、真空源(隙間39、41に真空を提供するために使用されるのと同じ真空源であり得る)と流体連通している開口部を有してもよい。成形表面21の開口部と流体連通している真空源はまた、二部プレス曲げ部材6の下側でガラスシート50を支持するためにも使用され得る。
【0111】
さらに、隙間39、41、および/または第1の金型部材17の成形表面21の開口部に真空が適用されることに加えて、第2の金型部材19の成形表面23はそこに、真空源(隙間39、41に真空を提供するために使用されるのと同じ真空源であり得る)と流体連通している開口部を有してもよい。成形表面23の開口部と流体連通している真空源は、二部プレス曲げ部材6の下側でガラスシート50を支持するために使用され得る。
【0112】
フレーム7(すなわち、下部支持体15の上部成形表面15aの上方)と二部プレス曲げ部材6との間に配備されたキャリアリング58が示される。曲げ動作の好適な時点で、隙間39、41(または、隙間40)に適用された真空は、曲げられたガラスシート50が二部プレス曲げ部材6の下側でもはや支持されず、代わりにそこから落下して、キャリアリング58により支持されるように終了する。隙間39、41(または、隙間40)はまた、隙間39、41での真空が終了した後、流体、すなわち圧縮空気が隙間39、41を通って、ガラスシート50に向かって流れて、第1および第2の金型部材17、19それぞれの成形表面21、23からの曲げられたガラスシート50の除去を支援するように、圧縮空気などの好適な流体源とも流体連通してもよい。
【0113】
フレーム7と二部プレス曲げ部材6との間から離れるようにキャリアリング58を矢印60の方向に移動させるための好適なアクチュエータ(図示なし)が提供される。その後、曲げられたガラスシートは、その後の焼鈍または強化のために好適な搬送手段(図示なし)上に集積され得る。
【0114】
上述されるように、図には示されていないが、第1の金型部材17の成形表面21および/または第2の金型部材19の成形表面23は、そこに少なくとも1つの開口部を有し得、該開口部は、真空源などの少なくとも1つの負圧源と流体連通している。
【0115】
隙間40で生成される負圧領域に加えて、第1の金型部材17の成形表面21の各開口部もしくは第1の金型部材17の成形表面21、および/または第2の金型部材19の成形表面23の各開口部もしくは第2の金型部材19の成形表面23に追加の負圧領域が存在し得、ガラスシートを曲げるときに改善された形状制御を可能にする。
【0116】
第1の金型部材17の成形表面21が、真空を提供するための1つ以上の開口部をそこに有する場合(例えば、隙間39、41に関して上述されるように)、成形表面21の任意の数の該開口部はまた、圧縮空気などの好適な流体源とも流体連通し得、真空が終了した後に、流体を、該開口部を通してガラスシートに向かって流すことにより、成形表面21からの曲げられたガラスシートの除去を支援する。
【0117】
同様に、第2の金型部材19の成形表面23が(例えば、隙間39、41に関して上述されるように)真空を提供するための1つ以上の開口部をそこに有する場合、成形表面23の任意の数の該開口部はまた、圧縮空気などの好適な流体源とも流体連通し得、真空が終了した後に、流体を、該開口部を通してガラスシートに向かって流すことにより、成形表面23からの曲げられたガラスシートの除去を支援する。
【0118】
本発明による成形プロセスの間の第1および第2の金型部材17、19の一連の動きをさらに例示するために、
図1(フレーム7上のガラスシート50を除く)、6、7、および8の左側部分が拡大され、追加の図として提供される。前述の図のこれらの拡大部は、それぞれ
図10、12、13、および14に示される。追加の
図11は、第1の金型部材17の成形表面21がガラスシート50にその周辺領域で接触する前に、第2の金型部材19の成形表面23がガラスシート50にその中央領域で接触するとき、成形動作の間の瞬間を示すために含まれる。
【0119】
図1および
図10を参照すると、ガラスシート50は、下部支持体15の成形表面15a上に支持されているように示される。ガラスシートは、当技術分野で既知の方法を使用して成形表面15a上に好適に位置付けされている。ガラスシート50は、第1の主表面52と、第2の対向する主表面54とを有する。第2の主表面54は、下部支持体15の上部成形表面15aに接触する。ガラスシートは熱軟化されており、その中央領域でわずかに垂れ下がり得る。
【0120】
ガラスシート50の上方に位置付けされた二部プレス曲げ部材6の一部が示される(6’で示される)。第1の金型部材17は、ガラスシート50の第1の主表面52に面する成形表面21を有し、第2の金型部材19は、ガラスシート50の第1の主表面52に面する成形表面23を有する。
【0121】
上述されるように、成形表面21、23は、縁部18cおよび20aが整列されていないため、変位43により互いにオフセットされる。
【0122】
この図に示されるように、成形表面21、23はどちらもガラスシート50に接触していない。
【0123】
図11では、第1および第2の金型部材17、19の両方は一緒に下方に移動して、それらの間に相対的な移動がなく、すなわち、
図10に示される構成から始まって、第1および第2の金型部材17、19の両方が同じ速度で矢印30の方向に移動した。そのため、成形表面21、23は、まだ整列されておらず、上記の変位43が依然として存在する(この場合、変位43は、
図10と同じである)。この構成では、成形表面23は、ガラスシート50の第1の主表面52にちょうど接触している。しかしながら、二部プレス曲げ部材6’の第1および第2の金型部材17、19の特定の配置のため、第2の金型部材19に対する第1の金型部材17の位置は、成形表面21がガラスシート50の第1の主表面52にまだ接触していない状態にある(しかし、成形表面23は、ガラスシート50の第1の主表面52に既に接触している)。
【0124】
二部プレス曲げ部材6’の第1および第2の金型部材17、19の異なる配置が使用され得、ここで、第2の金型部材19は、第1の金型部材17に対して配置されて、第1の金型部材17の成形表面21は、第2の金型部材19の成形表面23がガラスシートの第1の主表面52に接触する前に、ガラスシートの第1の主表面52に接触する。この代替実施形態における第2の金型部材の位置は、成形表面23aを有する19aとして仮想線で示される。第1および第2の金型部材は、第1および第2の金型部材の両方がフレームに向かって同じ速度で下方に移動するのと同時に、それらのそれぞれの成形表面がガラスシート50の第1の主表面52に接触するように、配置され得ることが容易に明らかであろう。
【0125】
図6の左側の一部の拡大図である
図12は、ガラスシート50が、第1の成形部材17と下部支持体15との間で、その周辺領域で部分的に押圧されていることを示す。第1および第2の金型部材の両方が、同じ速度で(矢印30の方向に)下方に移動し続けているため(
図10または11に示される配置で開始するとき)、ガラスシート50も第2の金型部材19によりその中央領域でわずかに押圧される。しかしながら、第1および第2の金型部材の成形表面は、上述されるように、ゼロではない変位43を依然として有する。
【0126】
図7の左側の一部の拡大図である
図13は、
図12に示される配置後の二部プレス曲げ部材6’を示し、ここで、第1の金型部材17は、下部支持体15に対して静止したままであり、第2の金型部材19は、さらに下方(矢印30の方向)に移動して、ガラスシート50をその中央領域でプレス曲げする。ガラスシート50は、第1の金型部材17と下部支持体15との間で部分的に押圧されることにより、その周辺領域で十分に保持される。この構成では、第1および第2の金型部材17、19の成形表面21、23の間に変位はない(変位43は、ゼロである)。したがって、二部プレス曲げ部材6’は、所望の最終的な成形表面を有するが、二部プレス曲げ部材は、ガラスシート50を所望の形状に完全にプレス曲げするための最終的な位置にはない。これは、以下の
図14に示される。
【0127】
図8の左側の一部の拡大図である
図14は、
図13に示される構成後の二部プレス曲げ部材6’を示し、ここで、金型部材17および第2の金型部材19の両方は、同時に下方(矢印30の方向)に移動しており、すなわち、第1の金型部材17と第2の金型部材19との間に相対的な移動はない。また、第1および第2の金型部材の成形表面の間に変位はない(変位43は、ゼロである)。二部プレス曲げ部材6’は、所望の最終的な成形表面を有し(変位43がゼロであるため)、最終的な位置(
図5の点線25を参照されたい)に移動して、ガラスシート50を所望の形状に完全にプレス曲げする。この最終的なプレス曲げステップの後、真空が隙間39(および、隙間41、
図8を参照されたい)で生成されて、ガラスシート50を二部金型6’の下側に保持し、かつ上述されるように曲げられたガラスシートの形状制御を改善することができる。
【0128】
図15は、
図1に示されるタイプのプレス曲げステーション1を組み込んだガラス曲げライン70の部分の概略断面図を示し、その動作は
図1~14を参照して説明される。
【0129】
ガラス曲げライン70は、加熱炉72と、加熱されていてもいなくてもよいプレス曲げ部74と、焼鈍炉76と、を備える。
【0130】
ローラー搬送ベッド78は、加熱炉72、プレス曲げ部74、および焼鈍炉76を通って延びて、ガラスシート50の搬送経路を画定する。ローラー搬送ベッドは、ガラスシート50を矢印82の方向に搬送するように構成された(すなわち、間隔を空けた平行関係にある)複数のローラー80を備える。この例では、ガラスシート50は、ローラー80と接触しているように示されるが、ガラスシート50は、好適なキャリッジ(図示なし)上に位置付けされ得、キャリッジは、ローラー80と接触している。ローラー80の代替として、またはローラー80に加えて、空気浮上装置を使用して、ガラスシートを矢印82の方向に搬送することができる。
【0131】
加熱炉72では、ガラスシート50が曲げに好適な温度に加熱される。炉は、必要に応じて、電気加熱、ガス加熱、対流加熱、およびマイクロ波加熱、ならびにそれらの組み合わせなどの任意の好適な加熱手段を組み込み得る。
【0132】
プレス曲げセクション74の内部にはプレス曲げステーション1がある。ガラスシート50がフレーム7と二部プレス曲げ部材6との間に搬送されるとき、ガラスシートは、
図1~14を参照して説明されているように、その後のプレス曲げのためにフレーム7上に集積されることにより位置付けされる。ガラスシートを搬送ローラー80からフレーム7に移送するための方法は先行技術で知られており、例えば、搬送ローラーのいくつかは、ドロップローラーとして構成され得るか、または真空プラテンは、熱軟化ガラスシートを、好適に構成されたフレーム7上に集積するための搬送ローラーから懸垂するために使用され得る。
【0133】
図15および
図1を参照すると、線形アクチュエータ31、33、35による二部プレス曲げ部材6の2つの第1および第2の金型部材17、19の相対的な移動を制御するためのコンピュータなどの制御手段84と電気通信している二部プレス曲げ部材6が示される。制御手段84は、ガラス曲げライン70の他の部分、例えば、搬送ローラーベッド78と電気通信して、ローラー80および/またはキャリアリング58の移動を制御するアクチュエータ(図示なし)の速度を制御し得る。
【0134】
キャリアリング58は、プレス曲げ部74と焼鈍炉76との間に示され、好適なアクチュエータ(図示なし)により、すなわち矢印60の方向に移動することにより、
図9に示される位置と
図15に示される位置との間で可動である。キャリアリング58により支持された曲げられたガラスシートは、二部プレス曲げ部材6とフレーム7との間(すなわち、プレス曲げ部74の内側)からプレス曲げ部74の外側に移動され、ここで、曲げられたガラスシートは、次いで、その後の焼鈍、すなわち、周囲温度への制御された冷却のために、焼鈍炉76に搬送される搬送ローラーベッド78の一部78’上に集積され得る。
【0135】
図では、二部プレス曲げ部材6が前述されるように露出した成形表面21と23とを有するように示されるが、好ましい実施形態では、第1および第2の金型部材17、19の一方または両方には保護カバーが提供されて、金型部材(複数可)の成形表面を損傷および摩耗から保護し得る。下部支持体15にもこのような保護カバーが提供されて、上部成形表面15aを覆うことができる。カバーが使用されるとき、好ましくは、カバーは、例えば、ステンレス鋼、ガラス繊維、ポリフェニレンテレフタルアミド繊維(例えば、Kevlar(商標))、Kevlar(商標)がブレンドされた材料、グラファイトを含有するポリベンゾキサーレ(polybenzoxale)(PBO)繊維(例えば、Zylon(商標))、またはこれらの繊維の様々な織布からなる布を含む。
【0136】
保護カバーを使用して、各成形表面21、23を覆う場合、成形表面21および成形表面23の両方を覆う単一のカバーを使用することが好ましい。
【0137】
成形表面21および23の両方を覆う保護カバーが使用される場合、保護カバーは、前述されるように第1および第2の金型部材が可動するように十分に柔軟でなければならない。
【0138】
さらに、成形表面21および23の両方を覆う保護カバーが使用される場合、保護カバーは、例えば、前述されるように、第1および第2の金型部材の間の隙間40に、または第1および第2の金型部材のそれぞれの成形表面に存在し得る任意の開口部に、そこを通って真空の提供が可能になるように十分に多孔性または通気性があることが好ましい。
【0139】
各成形表面21、23に個別の保護カバーを使用することができる。これには、第1および第2の金型部材の間の隙間が保護カバーの材料により妨げられ得ないという利点がある。
【0140】
図1、6、7、および8(または、
図10~14)に示される構成の間を移動する際の、第1および第2の金型部材17、19の下方への移動が、
図16および17(第1の例)ならびに
図18および19(第2の例)で例示される。
図16~19は、
図1および
図5の線25で表される該部分の成形表面の最終的な所望の位置に対する第1および第2の金型部材17、19の垂直位置を示す。
【0141】
図16~19では、軸90は秒単位の時間であり、軸92はmm単位の距離である。
【0142】
図16および17では、点線は、該成形表面21の最終的な所望の位置に対する第1の金型部材17の成形表面21の垂直変位を表す。実線は、該成形表面23の最終的な所望の位置に対する第2の金型部材19の成形表面23の垂直変位を表す。成形表面21、23の最終的な所望の位置(それらが整列されるときについて、
図5、7、および13、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい)は、ゼロの基準データ点に対して-200mmの垂直変位にある。成形表面21は、時間=ゼロでゼロ基準データ点にあり、成形表面23は、時間=ゼロでゼロ基準データ点に対して+10mmにある。つまり、成形表面21の最終的な所望の位置では、200mmの下方への全体的な垂直移動がある一方、成形表面23では、210mmの下方への全体的な垂直移動がある。
【0143】
図16および
図17を参照すると、第1の実施形態における第1および第2の金型部材17、19の相対的な移動が記載される。
【0144】
時間t=0(すなわち、点AおよびA’)で、二部プレス曲げ金型6は、第1の金型部材17の成形表面21が第2の金型部材19の成形表面23に対して10mmだけ変位するように、配置される。
図5を参照すると、距離27(したがって、距離27’、
図1を参照されたい)は200mmであり、距離29は210mmであり、変位43は10mmである。
【0145】
0.5秒後(点B、B’で)、プレス曲げ動作が開始され、第1の金型部材17および第2の金型部材19の両方が、フレーム7上に支持されたガラスシート50に向かって下方に垂直移動する(例えば、
図10を参照されたい)。第1および第2の金型部材17、19の両方は、同じ速度(=v1)で下方に移動するため、この下方への移動段階中、第1および第2の金型部材17、19の成形表面21、23の間に相対的な移動はなく、すなわち、点B-CおよびB’-C’では、第1および第2の金型部材17、19の移動が同調され、変位43は10mmに固定されたままである。
【0146】
1.2秒後(点C、C’で)、ガラスシート50の表面に近づくにつれて、第1および第2の金型部材17、19の下方への速度が(速度v2に)低減される。第1および第2の金型部材17、19の同調された下方への垂直移動は、点D、D’に到達するまで速度v2で継続される。
【0147】
2.1秒後(点Dで)、第2の金型部材19は、速度v2で下方に垂直移動し続ける。しかしながら、点D’(点Dと時間的に一致する)で、第1の金型部材17の下方への垂直移動は停止される。プレス曲げステーションは、
図6(または
図12)に示される構成になっている。この時点で、ガラスシート50の主表面52は、ガラスシート50がフレーム7の下部支持体15と第1の金型部材17との間で部分的に押圧されるように、第1の金型部材17の成形表面21と接触している。
【0148】
次の0.2秒間にわたって、第2の金型部材19は、速度v2で下方に移動し続けて、ガラスシート50が静的な第1の金型部材17により部分的に押圧されたまま、ガラスシート50をその中央領域でプレス曲げする。つまり、点D’と点E’との間で、第1の金型部材17は、フレーム7に対して静止したままであり、ガラスシートをその周辺領域で部分的に押圧する。
【0149】
2.3秒後(点E’で)、第1の金型部材17の移動は、第1の金型部材17および第2の金型部材19の両方が同時に最終的な所望の位置(点F、F’)に到達するように、選択された下方への速度(=v3)で再開される。つまり、点Eと点Fとの間で、第2の金型部材19は、速度v2で下方に垂直移動し続ける一方、点E’と点F’との間では、第1の金型部材が、速度v3で下方に垂直移動する。
【0150】
点E’と点F’との間の第1の金型部材17の下方への移動は、下部支持体15の上部成形表面15aと第1の金型部材の成形表面21との間でガラスシートの周辺領域をさらに押圧する。つまり、周辺領域では、ガラスシートは、下部支持体15と第1の金型部材17との間でさらに押圧されながら、ガラスシートは、第2の金型部材19により中央領域でさらにプレス曲げされる。
【0151】
第1の金型部材17が点D’とE’(それぞれ点DとEに対応する)との間で静止しているため、第2の金型部材19は、点DとEとの間で下方に垂直移動し続けると、第1および第2の金型部材17、19の成形表面21、23の分離が減少することは明らかである。
図5を参照すると、変位43は、点DとEとの間で減少する。
【0152】
2.5秒後(点F、F’で)、第1および第2の金型部材17、19の両方は、最終的な所望の位置に到達し、ガラスシート50は、最終的な所望の形状にプレス曲げされる。プレス曲げステーションは、
図8または
図14に示される構成になっている。点F、F’で、二部曲げ部材6は、最終的な所望の弯曲を有する成形表面を有する。
【0153】
本発明の第1の態様による方法のこの特定の(
図16および
図17に例示されるような)例では、第1および第2のプレスの成形表面の初期分離(変位43)は、10mmである。第1の金型部材17は、成形表面21の位置が成形表面21の最終的な位置から2mm離れるような位置まで下方に垂直移動された。次いで、成形表面21、23は上述されるように移動されて、点F、Fにより示される最終的な位置に同時に到達したのは、第1および第2の金型部材17、19の両方の最初の下方への垂直移動が開始した2秒後、すなわち、点B、B’の2秒後である。
【0154】
点D’で第1の金型部材17を停止し、次いで、点E’で第1の金型部材の下方への移動を再開することにより、第2の金型部材19の成形表面23が最終的な位置、すなわち点F、F’に到達すると同時に、成形表面21を最終的な位置まで移動させるための第1の金型部材17のさらなる下方への移動、つまり、プレス曲げ動作の間にガラスシート50に生じる過渡応力が、第1の金型部材17が事前に停止することなく最終的な位置に移動するときと比較して低減されたことがわかった。つまり、第1の金型部材が点D’で停止することなく、代わりに第1の金型部材17の成形表面21が最終的な所望の位置(すなわち、ゼロデータから-200mm)になるまで速度v2で継続すると、プレス曲げ動作の間により多くのガラス破損があった。
【0155】
第1および第2の金型部材17、19の修正された下方への移動を使用して、別の試験を実施した。
【0156】
この第2の例は、
図18および19を参照して説明される。
図18および19では、点線は、該成形表面21の最終的な所望の位置に対する第1の金型部材17の成形表面21の垂直変位を表す。実線は、該成形表面23の最終的な所望の位置に対する第2の金型部材19の成形表面23の垂直変位を表す。成形表面21、23の最終的な所望の位置(それらが整列されているときについては、
図5、7、および13、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい)は、ゼロの基準データ点に対して-200mmの垂直変位にある。成形表面21は、時間=ゼロでゼロ基準データ点にあり、成形表面23は、時間=ゼロでゼロ基準データ点に対して+10mmにある。つまり、成形表面21の最終的な所望の位置では、200mmの全体的な下方への移動があったが、成形表面23では、210mmの全体的な下方への移動であった。
【0157】
図18および19では、点D、D’まで(2.1秒で)、この第2の例での第1および第2の金型部材17、19の移動は、第1の例と同じである(
図16および17に例示されるように)。つまり、点BとC(および、B’とC’)との間で、第1および第2の金型部材17、19の両方は、(変位43を10mmに固定して)速度v1で下方に垂直移動し、点CとD(ならびに、C’とD’)との間で、第1および第2の金型部材17、19の両方は、(再度、変位43を10mmに固定して)v2の速度で下方に垂直移動する。
【0158】
この第2の例では、点Dで、第2の金型部材19は、点Fで最終的な位置に到達するまで、同じ速度v2で下方に垂直移動し続ける。この第2の例での第2の金型部材19は、
図16および
図17に関して記載される第1の例と同じ方法で下方に移動する。
【0159】
第1の例のように、第2の例では、第1の金型部材が点Dに到達するとき(2.1秒後)、その下方への移動が停止される。しかしながら、第1の例とは対照的に、第1の金型部材は、第1の金型部材17の成形表面21および第2の金型部材の成形表面23が(点G、G’で)整列するまで、静止したままである。
図5を参照すると、点G、G’で、変位43はゼロであり、成形表面21、23は整列している。二部プレス曲げ部材6は、最終的な所望の成形表面(
図5の点線24で表される)を有するが、最終的な所望の成形表面は、所望の最終的な位置(
図5の点線25で表される)にない。
【0160】
この時点で、変位43がゼロ(約2.43秒)であるとき、点G’で、第1の金型部材17の下方への移動が再開されて、第1の金型部材の成形表面21および第2の金型部材の成形表面23は、最終的な所望の位置に移動される。
【0161】
点G’と点F’との間で、第1および第2の金型部材17、19の移動は、2つの成形表面21、23の間に相対的な垂直移動がないように、再度同調される。第1および第2の金型部材17、19は、最終的な位置F、F’がゼロ基準データ点から垂直距離-200mmで到達されるまで、同じ速度(=v2)で下方に垂直移動する。成形表面21、23は整列され、変位43はゼロである。
【0162】
次いで、プレス曲げステーションは
図8(および
図14)にも示されるような構成になるが、プレス曲げ動作の間の第1および第2の金型部材の間の相対的な移動は、本方法の第1の例と比較して異なる(
図16および17を参照して上述されるように)。上述の第2の例は、
図10~14に例示される。
【0163】
本発明によるこのような方法は、自動車用途の弯曲ガラスシート、例えば、フロントガラスのプライ、またはサイドライト、バックライト、もしくはルーフライト、すなわち、サンルーフのための窓ガラスとして使用するために、最初に平らなガラスシートを最終的な弯曲に曲げるのに部分的に有用である。2つのこのような弯曲したガラスシートは、ポリビニルブチラール(PVB)などの接着性中間層材料のうちの少なくとも1つのプライにより一緒に接合されて、車両のフロントガラスに使用され得る。
【0164】
図20は、二部プレス曲げ部材6の第1および第2の金型部材17、19を覆う単一の布16が存在することを除いて、
図1~8を参照して説明されるようなプレス曲げステーション1と本質的に同じである別のプレス曲げステーション1’の概略側面図を示す。
【0165】
プレス曲げステーション1’は、
図8のプレス曲げステーション1と本質的に同じ構成で示される。しかしながら、第1および第2の金型部材は単一の布16で覆われているため、第1の金型部材17の成形表面は布16で覆われて、布16は、ガラスシート50の主表面52と直接接触している。そのため、第1の金型部材17の成形表面21および第2の金型部材19の成形表面23は、ガラスシート50の主表面52と間接的に接触している。
【0166】
好ましくは、布16は、通気性布である。好ましくは、布16は、ステンレス鋼、ガラス繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、またはそれらのブレンド、グラファイトを含有するポリベンゾオキサゾール(PBO)繊維、およびこれらの繊維の様々な織布のうちの少なくとも1つを含む。
【0167】
図21は、第1の金型部材17を覆う第1の布16’および第2の金型部材19を覆う第2の布16’’があること、すなわち、布16’が第1の金型部材17の成形表面21を覆い、布16’’が第2の金型部材19の成形表面23を覆っていることを除いて、
図1~8を参照して説明されるようなプレス曲げステーション1と本質的に同じである別のプレス曲げステーション1’’の概略側面図を示す。2つの布カバーを収容するために、第1の金型部材17の外部周壁18aおよび内部周壁18b、ならびに第2の金型部材19’の外部周壁20まで延びる布を収容するためのわずかにより小さい成形表面を有する第2の金型部材19’が提供される。そのため、隙間39’、41’は、
図1の隙間39、41よりわずかに幅広い。また、2つの布16’、16’’が使用されるため、隙間39’および41’は、二部プレス曲げ部材106(第2の金型部材19’は、二部プレス曲げ部材6の第2の金型部材19とは異なるため106と示される)の成形表面の近くの布により妨げられない。2枚以上の布を使用すると、ガラスシートを曲げる際の継続的な使用に起因して布が摩耗するため、布の選択された領域を交換するだけでよいという利点も提供される。単一の布を使用すると、布が摩耗すると布全体を交換する必要がある一方、少なくとも第1および第2の布を使用するときは、必要に応じてこれらの布のうち1枚を交換するだけでよい。
【0168】
プレス曲げステーション1’’は、
図8のプレス曲げステーション1と本質的に同じ構成で示される。しかしながら、第1の金型部材17は布16’で覆われ、第2の金型部材19’は布16’’で覆われているため、布16’および16’’は、ガラスシート50の第1の主表面52と直接接触している。そのため、第1の金型部材17の成形表面21および第2の金型部材19の成形表面23はそれぞれ、布16’および16’’を介してガラスシート50の第1の主表面52と間接的に接触している。
【0169】
好ましくは、布16’、16’’のうちの少なくとも1つは、通気性布である。好ましくは、布16’および/または16’’は、ステンレス鋼、ガラス繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、またはそれらのブレンド、グラファイトを含有するポリベンゾオキサゾール(PBO)繊維、およびこれらの繊維の様々な織布のうちの少なくとも1つを含む。
【0170】
本発明によるガラスシートを成形する方法を使用し、かつ曲げられたガラスシートの周辺領域のしわを改善するとき(単一の単一構造の上部プレス曲げ部材の使用と比較して)、成形動作、すなわち、プレス曲げ動作の間のガラス破損のリスクが低減した。
【0171】
本明細書で提供される例は、二部プレス曲げ部材のみに関するが、プレス曲げ装置は、3つ以上の独立して可動な金型部材を有するプレス曲げ部材を備えてもよく、例えば、ガラスシートの2つの対向する横方向周辺領域がステップ(v)の間に押圧され得、ステップ(vi)の間にガラスシートの2つの対向する横方向周辺領域の間のガラスシートの中央領域が押圧され得る。