(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】タッチパネルディスプレイ用のコンピュータプログラム、それを備えたタッチパネルディスプレイ制御装置、および受付方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04847 20220101AFI20230215BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20230215BHJP
A61C 19/04 20060101ALI20230215BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20230215BHJP
【FI】
G06F3/04847
A61C19/00 B
A61C19/04 A
G06F3/0488
(21)【出願番号】P 2020005838
(22)【出願日】2020-01-17
【審査請求日】2021-05-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】山下 誠一郎
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022533(JP,A)
【文献】特許第6043420(JP,B1)
【文献】特開2018-061690(JP,A)
【文献】特開2013-231772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04847
A61C 19/00
A61C 19/04
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用装置を操作するためのタッチパネルディスプレイ用のコンピュータプログラムであって、
前記医療用装置は、歯科の根管拡大を行うための切削工具を回転駆動させるモータを有する治療器具であり、前記治療器具を制御する量的パラメータは、前記モータの回転数、前記切削工具のトルク値、前記切削工具の回転をストップさせる根管長の位置、および、前記切削工具の回転を逆転させる根管長の位置の少なくとも1つを含み、
前記タッチパネルディスプレイを制御するコンピュータに、
前記量的パラメータの設定をユーザが行うための操作部として、スクロール方向に数値が移動可能であって前記スクロール方向における中央部に設定値が配置され前記中央部以外に複数の設定候補値が配置されたスクロールアイコンと、前記スクロールの前記中央部の側方に配置されたボタンアイコンとを前記タッチパネルディスプレイに同時に表示させ、
前記タッチパネルディスプレイにおいて、いずれかの前記設定候補値を前記中央部へと移動させて前記設定値とする前記スクロールアイコンに対するスワイプまたはフリック操作が検出された場合に、当該スワイプまたはフリック操作を受け付ける第1受付処理を実行させ、
前記タッチパネルディスプレイにおいて、いずれかの前記設定候補値を前記中央部に配置される前記設定値とする前記ボタンアイコンに対するタップ操作が検出された場合に、当該タップ操作を受け付ける第2受付処理を実行させる、タッチパネルディスプレイ用のコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータに、
前記タッチパネルディスプレイにおいて前記ボタンアイコンに対する長押し操作が検出された場合に、当該長押し操作を受け付ける第3受付処理を更に実行させる、請求項
1に記載のタッチパネルディスプレイ用のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記ボタンアイコンは、前記スクロールアイコンに含まれる前記設定値を示す文字または図形の少なくとも何れかの側方に隣接して配置された増加用ボタンおよび減少用ボタンを含む、請求項1
または2に記載のタッチパネルディスプレイ用のコンピュータプログラム。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載のタッチパネルディスプレイ用のコンピュータプログラムを記憶する記憶部と、
前記タッチパネルディスプレイと、
前記コンピュータと、を備えたタッチパネルディスプレイ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチパネルディスプレイ用のコンピュータプログラム、それを備えたタッチパネルディスプレイ制御装置、および受付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および2に記載されるように、タッチパネルディスプレイを用いて医療用装置を操作することができるシステムが知られている。たとえば特許文献1に記載された歯内治療システムは、ハンドピースと、ハンドピースと通信することができる演算表示ユニットとを備えている。演算表示ユニットは、タッチ画面式タブレットコンピュータ等である。歯科医師は、歯科治療に関するデータ(ファイルの組に関するデータ、ファイルの順番に関するデータ、または既に患者に対して行った治療に関するデータ)を、演算表示ユニット内で自らプログラムすることができる。特許文献2に記載された医療用システムは、医療用装置と、医療用装置を操作するためのスマートフォン等のような端末装置とを備えている。端末装置は、医療用装置と同等かそれ以上の表示機能および操作機能を持っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-518223号公報
【文献】特開2016-214496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、端末装置等のタッチパネルディスプレイを用いて医療用装置を操作する際、歯科医師や医師等のユーザは、手または指でタッチパネルディスプレイを操作する。タッチパネルディスプレイを用いてユーザが量的パラメータを設定する場合、タッチパネルディスプレイには、たとえば数値を表示するスクロールアイコン等が表示される。スクロールアイコンにおける数値設定は、たとえばスワイプ操作等、画面に触れた手または指を画面上で滑らせる操作によって行われる。ところが、タッチパネルディスプレイを用いる環境によっては、このような操作を行い難い場合もあり得る。
【0005】
本開示は、ユーザにとってのタッチパネルディスプレイの操作性を向上できるタッチパネルディスプレイ用のコンピュータプログラム、それを備えたタッチパネルディスプレイ制御装置、および受付方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、医療用装置を操作するためのタッチパネルディスプレイ用のコンピュータプログラムであって、タッチパネルディスプレイを制御するコンピュータに、医療用装置を制御する量的パラメータの設定をユーザが行うためのスクロールアイコンとボタンアイコンとをタッチパネルディスプレイに同時に表示させ、タッチパネルディスプレイにおいてスクロールアイコンに対するスワイプまたはフリック操作が検出された場合に、当該スワイプまたはフリック操作を受け付ける第1受付処理を実行させ、タッチパネルディスプレイにおいてボタンアイコンに対するタップ操作が検出された場合に、当該タップ操作を受け付ける第2受付処理を実行させる。
【0007】
また本開示の別の態様は、医療用装置を操作するためのタッチパネルディスプレイにおいて所定の操作を受け付ける受付方法であって、医療用装置を制御する量的パラメータの設定をユーザが行うためのスクロールアイコンとボタンアイコンとをタッチパネルディスプレイに同時に表示させる表示工程と、タッチパネルディスプレイにおいてスクロールアイコンに対するスワイプまたはフリック操作が検出された場合に、当該スワイプまたはフリック操作を受け付ける第1受付工程と、タッチパネルディスプレイにおいてボタンアイコンに対するタップ操作が検出された場合に、当該タップ操作を受け付ける第2受付工程と、を備える。
【0008】
これらのタッチパネルディスプレイ用のコンピュータプログラムおよび受付方法によれば、量的パラメータの設定をユーザが行うためのスクロールアイコンとボタンアイコンとが、同時にタッチパネルディスプレイに表示される。ユーザは、スクロールアイコンに対して、手または指でスワイプ操作またはフリック操作を行うことができる。第1受付処理または第1受付工程において、フリック操作が受け付けられ、量的パラメータの設定が行われる。タッチパネルディスプレイを用いる環境によっては、このような操作を行い難い場合がある。「タッチパネルディスプレイを用いる環境」には、温度または湿度等の外的環境と、ユーザの手または指の状態、その他、ユーザの体調または好み等の内的環境とが含まれ得る。たとえば、湿度が高い場合、またはユーザが手にシリコーン製またはゴム製の手袋をはめている場合には、指先が画面上を滑り難い。あるいは、ユーザは、スクロールアイコンのスクロール動作を好まないかも知れない。そのような場合に、第2受付処理または第2受付工程において、タップ操作が受け付けられ、量的パラメータの設定が行われる。手または指を画面上で滑らせる操作に加え、手または指で画面を押さえる操作によっても量的パラメータを設定することができるので、ユーザにとってのタッチパネルディスプレイの操作性を向上できる。
【0009】
上記したタッチパネルディスプレイ用のコンピュータプログラムは、コンピュータに、タッチパネルディスプレイにおいてボタンアイコンに対する長押し操作が検出された場合に、当該長押し操作を受け付ける第3受付処理を更に実行させてもよい。この場合、第3受付処理において、長押し操作が受け付けられ、量的パラメータの設定が行われる。これにより、タップ操作に基づく動作とは異なる動作、たとえばスクロールアイコンをより速くスクロールさせるといった動作を表示させることができる。よって、ユーザにとってのタッチパネルディスプレイの操作性を更に向上できる。
【0010】
ボタンアイコンは、スクロールアイコンに含まれる設定値を示す文字または図形の少なくとも何れかの側方に隣接して配置された増加用ボタンおよび減少用ボタンを含んでもよい。この場合、スクロールアイコンとボタンアイコンの増加用ボタンおよび減少用ボタンとが互いに近い位置に配置されるので、操作方法に迷った場合や操作方法を切り替える場合でも、操作性に優れる。
【0011】
本開示の更に別の態様として、上記したタッチパネルディスプレイ用のコンピュータプログラムのいずれかを記憶する記憶部と、タッチパネルディスプレイと、コンピュータと、を備えたタッチパネルディスプレイ制御装置が提供されてもよい。このタッチパネルディスプレイ制御装置によれば、量的パラメータの設定をする際の操作性を向上できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のいくつかの態様によれば、ユーザにとってのタッチパネルディスプレイの操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一実施形態に係るタッチパネルディスプレイ制御装置が適用された医療用システムを示す図である。
【
図2】タブレット、根管長測定器、およびチェアユニットからなる根管治療システムの概略構成を示す図である。
【
図3】タブレットのタッチパネルディスプレイを示す図である。
【
図4】
図4(a)はタッチパネルディスプレイにおける第1量的パラメータの設定画面の立上げ操作を示す図、
図4(b)は第1量的パラメータの設定画面を示す図である。
【
図5】タブレットの制御部によって実行される処理を示すフロー図である。
【
図6】
図6(a)は
図4(b)の設定画面における第1量的パラメータの一設定例を示す図、
図6(b)は
図4(b)の設定画面における第1量的パラメータの他の設定例を示す図である。
【
図7】
図7(a)はタッチパネルディスプレイにおける第2量的パラメータの設定画面の立上げ操作を示す図、
図7(b)は第2量的パラメータの設定画面を示す図である。
【
図8】
図8(a)は
図7(b)の設定画面における第2量的パラメータの一設定例を示す図、
図8(b)は
図7(b)の設定画面における第2量的パラメータの他の設定例を示す図である。
【
図9】
図9(a)はタッチパネルディスプレイにおける第3量的パラメータの設定画面の立上げ操作を示す図、
図9(b)は第3量的パラメータの設定画面を示す図である。
【
図10】
図10(a)は
図9(b)の設定画面における第3量的パラメータの一設定例を示す図、
図10(b)は
図9(b)の設定画面における第3量的パラメータの他の設定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
まず
図1および
図2を参照して、本実施形態に係るタブレット(タッチパネルディスプレイ制御装置)30が適用された歯科診療システム(医療用システム)Sについて説明する。歯科診療システムSは、たとえば、患者の歯牙の根管壁を切削することで根管拡大を行うための歯科治療システムである。歯科診療システムSは、1つ又は複数の医療用装置を備え得る。歯科診療システムSは、たとえば、根管拡大を行うための治療器具であるインスツルメント2を有する小型の根管長測定器(医療用装置)10と、診療台22上の患者に対して根管拡大等を行うための治療器具である複数のインスツルメント21を有するチェアユニット(医療用装置)20とを備える。歯科診療システムSは、更に、根管長測定器10から離れた位置、例えば、チェアユニット20に備わるトレーテーブル29で用いられ、根管長測定器10およびチェアユニット20におけるディスプレイ12およびモニタ29aと同様の項目・内容を表示するタブレット30とを備える。
【0016】
歯科診療システムSは、根管拡大以外のあらゆる歯科診療に適用されてよい。本明細書において、歯科診療とは、歯科に関する診察および治療を包含する概念である。
【0017】
根管長測定器10は、ユーザである歯科医師が根管治療を行う際に使用される装置である。根管長測定器10は、インスツルメント2の駆動制御に関するユーザからの入力を受け付ける操作部13を有する。根管長測定器10は、歯科治療に関する諸々の情報をディスプレイ12に表示する。操作部13およびディスプレイ12は、インスツルメント2の駆動モードの設定を行うために用いられ得る。またディスプレイ12は、インスツルメント2の駆動状態と歯牙の治療状態を表示する。なお、本明細書において、「ユーザ」は、根管長測定器10またはチェアユニット20を用いて歯科診療を行う歯科医師を含むが、当該歯科医師以外の歯科医師、若しくは歯科助手などをも含む概念である。
【0018】
根管長測定器10は、口腔電極ケーブル4bに接続された口腔電極3と、インスツルメントケーブル4aに接続されたインスツルメント2とを備える。インスツルメントケーブル4aおよび口腔電極ケーブル4bは、
図1に示されるように、装置本体に接続された1本のケーブル4の途中から分岐するように設けられてもよい。これらのケーブル4(インスツルメントケーブル4aおよび口腔電極ケーブル4b)内には、インスツルメント2を駆動するための電源供給用リード線や、各種の信号を伝送するための信号用リード線等が通っている。
【0019】
インスツルメント2は、ユーザが手に持って根管拡大を行うためのハンドピース7と、ハンドピース7の基端側に着脱自在に接続されたモータユニット6とを含む。ハンドピース7は、その先端に設けられたヘッド部7aを含んでおり、ヘッド部7aには切削工具(ファイル又はリーマ等)8が保持されている。モータユニット6には、ハンドピース7内の回転力伝達機構を介して切削工具8を回転駆動させるエンドモータが内蔵されている。切削工具8は、根管長、すなわち根管内における切削工具8の先端の位置を検出するための根管長測定回路の第1の電極として機能する。口腔電極3は、その先端に設けられたフック部3aを含んでいる。フック部3aは、根管拡大が行われる際、患者の口角に引っ掛けられ、根管長測定回路の第2の電極として機構する。
【0020】
根管長測定器10によって、患者に対する治療中において根管長が測定される。歯牙の根管内に挿入された切削工具8と、患者の口角に掛けられた口腔電極3とによって、閉回路が形成される。切削工具8と口腔電極3との間のインピーダンスを計測することによって、歯牙の先端位置(根尖)から切削工具8の先端までの距離が測定される。この測定された距離を根管長とする。根管長測定回路は、たとえば根管長測定器10内に形成される。
【0021】
チェアユニット20は、ユーザである歯科医師が患者(図示せず)に対して歯科診療を行う際に使用される装置である。チェアユニット20は、根管長測定器10と同様、歯科医師が根管治療を行う際に使用されてもよい。チェアユニット20は、患者を支持する診療台22と、診療台22の側方に設けられ患者が口をゆすぐためのスピットン23と、診療台22の上方に配置されて患者の口腔を照らす無影灯24と、診療台22等を駆動させるためにユーザによって操作されるフットペダル28と、を備える。
【0022】
スピットン23には、給水栓25等の機器が取り付けられている。無影灯24は、診療台22および給水栓25の側方に立設された支柱26と、支柱26に連結された複数のアーム部27とによって支持されている。無影灯24の側部をユーザが把持して移動させることで、複数のアーム部27が自在に動き、無影灯24を所定の位置で停止させることができるようになっている。フットペダル28は、診療台22内の駆動機構に対して電気的に接続されている。チェアユニット20は、更に、ユーザの側方近傍に配置されてトレーテーブル29を備える。トレーテーブル29の水平な載置面には、歯科診療に関わる物品が載置される。トレーテーブル29の前部(ユーザに対面する部分)には、切削工具8と同様の工具類を有する複数のインスツルメント21が保持されている。トレーテーブル29の後部(ユーザとは反対側の部分)には、モニタ29aが設けられている。
【0023】
トレーテーブル29は、たとえばその前面において、インスツルメント21の駆動制御に関するユーザからの入力を受け付ける操作部13を有する。チェアユニット20は、歯科治療に関する諸々の情報をモニタ29aに表示する。モニタ29aを含むトレーテーブル29は、インスツルメント21の駆動モードの設定を行うために用いられ得る。またモニタ29aは、インスツルメント21の駆動状態と歯牙の治療状態を表示する。
【0024】
ユーザは、根管長測定器10またはチェアユニット20を使用する際、根管長測定器10の操作部13、または、チェアユニット20のトレーテーブル29(モニタ29a)を用いて、あらゆる量的パラメータの設定を行うことができる。量的パラメータとは、根管長測定器10およびチェアユニット20の各部を制御するためのパラメータであり、たとえば、インスツルメント2およびインスツルメント21における切削工具8の動作に関するパラメータである。歯科診療システムSでは、ユーザは、端末装置であるタブレット30を用いて、これらの量的パラメータを設定することができる。
【0025】
タブレット30は、ユーザによって利用される端末である。
図2に示されるように、タブレット30は、制御部31、タッチパネルディスプレイ32、メモリ33、スピーカ34、および無線通信部35を備えている。タブレット30は、無線通信部35を備えることにより、根管長測定器10およびチェアユニット20の各無線通信部(図示せず)との間で無線通信可能である。タブレット30と、根管長測定器10およびチェアユニット20との間の無線通信は、たとえばBluetooth(登録商標)およびWi-Fiを含む公知のあらゆる無線通信手段であってよい。なお、タブレット30と、根管長測定器10およびチェアユニット20との間で有線通信が行われてもよい。
【0026】
制御部31は、CPU等のプロセッサと、RAMおよびROM等を含む記憶装置とを備えたコンピュータである。制御部31は、タッチパネルディスプレイ32を制御する。制御部31は、ユーザによって入力された量的パラメータの設定値に基づき、根管長測定器10またはチェアユニット20に信号を送信することにより、根管長測定器10またはチェアユニット20が当該設定値に従って動作する。根管長測定器10およびチェアユニット20は、タブレット30から送信される量的パラメータの設定値を示す信号を入力し、根管長測定器10およびチェアユニット20の各部をそれぞれ制御する制御部を備えている。これらの制御部は、操作部を介して入力されたインスツルメント2,21の制御モード及びユーザ設定モード等に基づいて、インスツルメント2,21を制御する。また制御部は、インスツルメント2,21の駆動状態と歯牙の治療状態を示す信号に基づいて、ディスプレイ12およびモニタ29aをそれぞれ表示制御する。ユーザは、タッチパネルディスプレイ32を視認することで、治療の状況が適切であるか否かを確認したり、所望の治療状態が実現されているかを確認したりできる。
【0027】
また、タブレット30の制御部31は、根管長測定器10またはチェアユニット20から送信された信号を受信してミラーリング制御を行うことにより、タッチパネルディスプレイ32を表示制御する。ミラーリング制御により、タブレット30にも、根管長測定器10のディスプレイ12またはチェアユニット20のモニタ29aに表示される表示項目および内容と同様の表示がなされる。タブレット30のタッチパネルディスプレイ32は、根管長測定器10の操作部13またはチェアユニット20の操作部と同様の機能を備えてもよい。
【0028】
続いて、
図3を参照して、タブレット30のタッチパネルディスプレイ32について説明する。タッチパネルディスプレイ32は、ユーザによる入力を受け入れることができる表面を含むスクリーン32aを有する。スクリーン32a上においてユーザの手または指等が接触すると、その接触に応じて、スクリーン32aに表示された文字または図形に対する入力(具体的には、スワイプ、フリック、タップ、長押し等の各種操作)が可能となる。タッチパネルディスプレイ32における検出方式は、特に限定されないが、静電容量式、抵抗式、赤外線式等を含む公知の方式であってよい。タッチパネルディスプレイ32の表示デバイスは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを有してもよい。
【0029】
タブレット30のタッチパネルディスプレイ32には、ミラーリング制御により、ディスプレイ12およびモニタ29aと同様の表示がなされる。タッチパネルディスプレイ32には、ユーザによって選択された設定モードを表示する操作モード表示部41と、測定した根管長を詳細に表示する多数の要素を含むドット表示部42と、根管長を複数のゾーンに分けて段階的に表示するゾーン表示部43と、切削工具8の回転数等を表示する数値表示部44と、切削工具8に加わるトルク値を表示するための多数の要素を含むドット表示部46とが設けられている。タッチパネルディスプレイ32には、実行されている制御モードを示すための制御モード文字表記48と制御モード図形47とが設けられている。
【0030】
続いて、歯科診療システムSにおいて設定される量的パラメータについて説明する。量的パラメータは、根管長測定器10またはチェアユニット20等の医療用装置のスピーカにおける音量を含む。量的パラメータは、根管切削拡大におけるエンドモータの回転数を含んでよく、切削工具8のトルク値を含んでもよい。また量的パラメータは、切削工具8を自動的にストップ(オートストップ)させる根管の長さ(位置)や、切削工具8を自動的に反転(アピカルリバース)させる根管の長さ(位置)を含んでよい。量的パラメータは、根管長測定器10またはチェアユニット20等の医療用装置におけるディスプレイ12またはモニタ29aのLED光量を含んでよい。
【0031】
続いて、
図4、
図5および
図6を参照して、本実施形態におけるタッチパネルディスプレイ32用のコンピュータプログラムおよびタッチパネルディスプレイ32において所定の操作を受け付ける受付方法について説明する。タブレット30のメモリ33は、以下に詳述するタッチパネルディスプレイ32を制御するためのコンピュータプログラムを記憶する。コンピュータプログラムは、たとえばアプリケーションプログラムである。メモリ33は、上述した各種の量的パラメータに関する設定情報を記憶する。なお、メモリ33は、根管長測定器10およびチェアユニット20の各種制御を行うための他のコンピュータプログラムを記憶してもよい。メモリ33の代わりに、制御部31のROMが用いられてもよい。
【0032】
制御部31は、オペレーティングシステムおよびコンピュータプログラムを実行する。タブレット30の各機能要素(各処理)は、制御部31またはメモリ33にコンピュータプログラムを読み込ませてそのコンピュータプログラムを実行させることで実現される。コンピュータプログラムは、タブレット30の各機能要素を実現するためのコードを含む。制御部31はコンピュータプログラムに従って、タッチパネルディスプレイ32および無線通信部35を動作させ、メモリ33等におけるデータの読み出しおよび書き込みを行う。この処理によりタブレット30の各機能要素が実現される。処理に必要なデータまたはデータベースはメモリ33等に格納されてもよい。コンピュータプログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、コンピュータプログラムは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0033】
以下、何種類かの量的パラメータに関して、設定操作およびそれに対する受付処理を説明する。以下の説明では、根管長測定器10を操作する場合の例について説明する。
図4(a)は、タッチパネルディスプレイ32における第1量的パラメータの設定画面の立上げ操作を示す図であり、
図4(b)は、第1量的パラメータの設定画面を示す図である。
図5は、タブレット30の制御部31によって実行される処理を示すフロー図である。ここで、第1量的パラメータとは、エンドモータの回転数である。
図4(a)に示されるように、ユーザ50の指51が、回転数を示す数値表示部44の部分に触れ、当該部分をタップ操作する。
図5に示されるように、制御部31は、量的パラメータ設定操作を検出する(ステップS01)。次に、制御部31は、タッチパネルディスプレイ32の表示を量的パラメータの設定画面へと遷移させる(ステップS02)。このように、通常画面の中で設定したい量的パラメータの部分をタップ操作することで、画面が遷移し、当該量的パラメータの設定画面がタッチパネルディスプレイ32に表示される。
【0034】
図4(b)に示されるように、ステップS02において、制御部31は、根管長測定器10におけるエンドモータの回転数の設定をユーザが行うためのスクロールアイコン60とボタンアイコン70とを、タッチパネルディスプレイ32に同時に表示させる(表示工程)。スクロールアイコン60は、画面における上下方向に延びる。このスクロールアイコン60のスクロール方向は、画面における上下方向である。
図4(b)に示される例では、スクロールアイコン60は、100~500r/minの数値が表示されている縦長(長方形状)の領域である。スクロールアイコン60内の上下方向の中央部には、設定値60A(図示される例では250r/min)が強調表示される。設定値60Aの下側には、より大きい1つ又は複数の設定候補値60B(図示される例では50r/min刻みで3つ)が表示される。設定値60Aの上側には、より小さい1つ又は複数の設定候補値60C(図示される例では100r/min刻みで3つ)が表示される。
【0035】
さらに、スクロールアイコン60の側方には、増加用ボタン71および減少用ボタン72からなるボタンアイコン70が表示される。「側方」とは、スクロールアイコン60のスクロール方向に直交する方向(図示される例では左右方向)における側方である。たとえば、スクロールアイコン60の右側に、ボタンアイコン70が配置される。本実施形態では、スクロールアイコン60に含まれる設定値60Aを示す文字の右側方に隣接して、増加用ボタン71および減少用ボタン72が配置される。増加用ボタン71および減少用ボタン72は画面の上下方向に配列されており、増加用ボタン71は減少用ボタン72の下側に配置されている。なお、この設定画面の下部には、設定が完了した際に押されるOKボタン73と、通常画面に戻る場合に押されるキャンセルボタン74とが表示されている。
【0036】
続いて、制御部31は、スクロールアイコン60またはボタンアイコン70が操作されたか否かを判断する(ステップS03)。たとえば、
図6(a)に示されるように、ユーザ50の指51が設定画面における設定値60Aの部分に触れ、当該部分から開始して指51をスクリーン32aに接触させたまま上方または下方に向けてスワイプ操作またはフリック操作する。この場合、制御部31は、指51の動きを検出して、スクロールアイコン60が操作されたと判断し(ステップS03;YES)、そのスワイプ操作またはフリック操作を受け付ける(ステップS04;第1受付工程/第1受付処理)。制御部31は、スクロールアイコン60において表示される量的パラメータを変更させる(ステップS05)。たとえば、指51により上方に向けてスワイプ操作またはフリック操作されたことを検出した場合、制御部31は、スクロールアイコン60をスクロールさせ、より大きい設定候補値60Bが設定値60Aの位置に順次表示されるように表示制御を行う。指51により下方に向けてスワイプ操作またはフリック操作されたことを検出した場合、制御部31は、スクロールアイコン60をスクロールさせ、より小さい設定候補値60Cが設定値60Aの位置に順次表示されるように表示制御を行う。
【0037】
この量的パラメータの変更表示制御において、制御部31は、スワイプ操作とフリック操作におけるスクロール速度を異ならせてもよい。たとえば、スワイプ操作の場合には、指51の移動速度と略同じ速度でスクロールアイコン60をスクロールさせ、フリック操作の場合には、予め定められた所定の速度でスクロールアイコン60をスクロールさせてもよい。スワイプ操作の場合には、スクリーン32aに接触する指51の動きが停止するか、又は指51がスクリーン32aから離れた時点で、制御部31は、スクロールアイコン60のスクロールを停止させてもよい。フリック操作の場合には、制御部31は、スクロールアイコン60が所定数の変更表示を行った後に、スクロールを停止させてもよい。
【0038】
本実施形態では、量的パラメータの設定操作として、スクロールアイコン60のスワイプ操作またはフリック操作以外に選択の余地(代替操作)が提供される。すなわち、
図6(b)に示されるように、ユーザ50の指51が設定画面におけるボタンアイコン70の増加用ボタン71または減少用ボタン72の部分に触れ、タップ操作する。この場合、制御部31は、指51の接触および接触時間を検出して、ボタンアイコン70が操作されたと判断し(ステップS03;YES)、そのタップ操作を受け付ける(ステップS04;第2受付工程/第2受付処理)。制御部31は、スクロールアイコン60において表示される量的パラメータを変更させる(ステップS05)。たとえば、指51により増加用ボタン71がタップ操作された(
図6(b)参照)ことを検出した場合、制御部31は、スクロールアイコン60をスクロールさせ、より大きい設定候補値60Bが設定値60Aの位置に順次表示されるように表示制御を行う。指51により減少用ボタン72がタップ操作されたことを検出した場合、制御部31は、スクロールアイコン60をスクロールさせ、より小さい設定候補値60Cが設定値60Aの位置に順次表示されるように表示制御を行う。
【0039】
この量的パラメータの変更表示制御において、制御部31は、増加用ボタン71または減少用ボタン72が1回タップ操作される毎に、1つ(一段)の変更表示を行ってもよい。
【0040】
あるいは、ユーザ50の指51が設定画面におけるボタンアイコン70の増加用ボタン71または減少用ボタン72の部分に一定時間以上触れ、長押し操作した場合には、制御部31は、指51の接触および接触時間を検出して、ボタンアイコン70が操作されたと判断し(ステップS03;YES)、その長押し操作を受け付けてもよい(ステップS04;第3受付工程/第3受付処理)。制御部31は、スクロールアイコン60において表示される量的パラメータを変更させる(ステップS05)。たとえば、指51により増加用ボタン71が長押し操作されたことを検出した場合、制御部31は、スクロールアイコン60をスクロールさせ、より大きい設定候補値60Bが設定値60Aの位置に順次表示されるように表示制御を行う。指51により減少用ボタン72が長押し操作されたことを検出した場合、制御部31は、スクロールアイコン60をスクロールさせ、より小さい設定候補値60Cが設定値60Aの位置に順次表示されるように表示制御を行う。これらの長押し操作に対しては、制御部31は、接触時間が長くなるほどスクロール速度が大きくなるような表示制御を行ってもよい。
【0041】
なお、制御部31は、スクロールアイコン60における設定値60A以外の任意の位置におけるタップ操作または長押し操作を受け付けてもよい。より大きい設定候補値60Bの位置に対するタップ操作が行われた場合には、制御部31は、より小さい設定候補値60Cが設定値60Aの位置に1つ(一段)ずつ表示されるように表示制御を行ってもよい。より小さい設定候補値60Cの位置に対するタップ操作が行われた場合には、制御部31は、より大きい設定候補値60Bが設定値60Aの位置に1つ(一段)ずつ表示されるように表示制御を行ってもよい。指51により大きい設定候補値60Bの位置が長押し操作されたことを検出した場合、制御部31は、スクロールアイコン60をスクロールさせ、より小さい設定候補値60Cが設定値60Aの位置に順次表示されるように表示制御を行ってもよい。指51により小さい設定候補値60Cの位置が長押し操作されたことを検出した場合、制御部31は、スクロールアイコン60をスクロールさせ、より大きい設定候補値60Bが設定値60Aの位置に順次表示されるように表示制御を行ってもよい。これらの長押し操作に対しては、制御部31は、接触時間が長くなるほどスクロール速度が大きくなるような表示制御を行ってもよい。
【0042】
ステップS03において、スクロールアイコン60もボタンアイコン70も操作されていないと判断した場合(ステップS03;NO)、制御部31は、ステップS03の判断処理を繰り返す。
【0043】
ステップS05に続いて、制御部31は、OKボタン73またはキャンセルボタン74が押されたか否かを判断する(ステップS06)。OKボタン73が押されたと判断した場合、制御部31は、量的パラメータとして、設定値60Aをメモリ33に記憶させる(ステップS07;パラメータ設定工程)。そして、制御部31は、タッチパネルディスプレイ32の表示を通常画面へと遷移させる(ステップS08)。これにより、タッチパネルディスプレイ32における一連の操作の受付処理が終了する。ステップS06において、キャンセルボタン74が押されたと判断した場合、制御部31は、タッチパネルディスプレイ32の表示を通常画面へと遷移させる(ステップS08)。ステップS06において、OKボタン73もキャンセルボタン74も押されなかったと判断した場合(ステップS06;NO)、制御部31は、制御部31は、ステップS03の判断処理を繰り返す。
【0044】
続いて、
図7~
図10を参照して、他の量的パラメータの設定操作およびそれに対する受付処理を説明する。
図7(a)は、タッチパネルディスプレイ32における第2量的パラメータの設定画面の立上げ操作を示す図であり、
図7(b)は、第2量的パラメータの設定画面を示す図である。ここで、第2量的パラメータとは、切削工具8のトルク値である。以下の説明では、
図4~
図6を参照して行った上記説明と同じ部分を省略する。
【0045】
図7(a)に示されるように、ユーザ50の指51が、トルク値を示すドット表示部46の部分に触れ、当該部分をタップ操作する。このタップ操作により画面が遷移し、
図7(b)に示されるように、制御部31は、根管長測定器10における切削工具8のトルク値の設定をユーザが行うためのスクロールアイコン60とボタンアイコン70とを、タッチパネルディスプレイ32に同時に表示させる(表示工程)。すでにトルク値として記憶されている値が、設定値60Aとして強調表示される。設定値60Aの上側には、より大きい1つ又は複数の設定候補値60Bが表示される。設定値60Aの下側には、より小さい1つ又は複数の設定候補値60Cが表示される。
【0046】
さらに、スクロールアイコン60の側方には、増加用ボタン71および減少用ボタン72からなるボタンアイコン70が表示される。このスクロールアイコン60のスクロール方向は、画面における上下方向である。スクロールアイコン60に含まれる設定値60Aを示す図形(図示された例では塗りつぶされたバー)の左側方に隣接して、増加用ボタン71および減少用ボタン72が配置される。増加用ボタン71および減少用ボタン72は画面の上下方向に配列されており、増加用ボタン71は減少用ボタン72の上側に配置されている。
【0047】
図8(a)に示されるように、スクロールアイコン60のスワイプ操作またはフリック操作により、スクロールアイコン60上を、設定値60Aが上下に移動する。この場合のスワイプ操作は、設定値60Aを示す図形を移動させるドラッグ・アンド・ドロップ操作である。またスクロールアイコン60上の設定値60A以外の任意の位置をタップ操作することで、その位置に、設定値60Aを示す図形を移動させ、設定値を変更することができる。
【0048】
さらには、
図8(b)に示されるように、代替操作としてのボタンアイコン70のタップ操作が可能である。増加用ボタン71を指51でタップ操作することで、設定値60Aを示す図形の位置が上方へと移動し、トルクの設定値が増大する。減少用ボタン72を指51でタップ操作することで、設定値60Aを示す図形の位置が下方へと移動し、トルクの設定値が減少する。ボタンアイコン70の長押し操作によれば、設定値60Aを示す図形の位置の移動速度を大きくすることができる。
【0049】
図9(a)は、タッチパネルディスプレイ32における第3量的パラメータの設定画面の立上げ操作を示す図であり、
図9(b)は、第3量的パラメータの設定画面を示す図である。ここで、第3量的パラメータとは、切削工具8を自動的にストップ(オートストップ)させる根管の長さ(位置)、または、切削工具8を自動的に反転(アピカルリバース)させる根管の長さ(位置)である。
【0050】
図9(a)に示されるように、ユーザ50の指51が根管の長さ(位置)を示すドット表示部42の部分に触れ、当該部分をタップ操作する。このタップ操作により画面が遷移し、
図9(b)に示されるように、制御部31は、根管長測定器10における根管の長さ(位置)の設定をユーザが行うためのスクロールアイコン60とボタンアイコン70とを、タッチパネルディスプレイ32に同時に表示させる(表示工程)。すでに根管の長さ(位置)として記憶されている値が、設定値60Aとして強調表示される。設定値60Aの下側には、より大きい1つ又は複数の設定候補値60Bが表示される。設定値60Aの上側には、より小さい1つ又は複数の設定候補値60Cが表示される。なお、この根管の長さ(根管長)の説明において、「大きい」は「深い」と同義であり、「小さい」は「浅い」と同義である。
【0051】
さらに、スクロールアイコン60の側方には、増加用ボタン71および減少用ボタン72からなるボタンアイコン70が表示される。このスクロールアイコン60のスクロール方向は、画面における上下方向である。スクロールアイコン60に含まれる設定値60Aを示す図形(図示された例では塗りつぶされたバー)の右側方に隣接して、増加用ボタン71および減少用ボタン72が配置される。増加用ボタン71および減少用ボタン72は画面の上下方向に配列されており、増加用ボタン71は減少用ボタン72の下側に配置されている。
【0052】
図10(a)に示されるように、スクロールアイコン60のスワイプ操作またはフリック操作により、スクロールアイコン60上を、設定値60Aが上下に移動する。この場合のスワイプ操作は、設定値60Aを示す図形を移動させるドラッグ・アンド・ドロップ操作である。またスクロールアイコン60上の設定値60A以外の任意の位置をタップ操作することで、その位置に、設定値60Aを示す図形を移動させ、設定値を変更することができる。
【0053】
さらには、
図10(b)に示されるように、代替操作としてのボタンアイコン70のタップ操作が可能である。増加用ボタン71を指51でタップ操作することで、設定値60Aを示す図形の位置が下方へと移動し、根管の長さ(位置)の設定値が増大する。減少用ボタン72を指51でタップ操作することで、設定値60Aを示す図形の位置が上方へと移動し、根管の長さ(位置)の設定値が減少する。ボタンアイコン70の長押し操作によれば、設定値60Aを示す図形の位置の移動速度を大きくすることができる。
【0054】
以上説明した本実施形態のタッチパネルディスプレイ32用のコンピュータプログラムおよび受付方法によれば、量的パラメータの設定をユーザが行うためのスクロールアイコン60とボタンアイコン70とが、同時にタッチパネルディスプレイ32に表示される。ユーザは、スクロールアイコン60に対して、指51でスワイプ操作またはフリック操作を行うことができる。第1受付処理すなわち第1受付工程において、フリック操作が受け付けられ、量的パラメータの設定が行われる。タッチパネルディスプレイ32を用いる環境によっては、このような操作を行い難い場合がある。たとえば、湿度が高い場合、またはユーザが手にシリコーン製またはゴム製の手袋をはめている場合には、指先が画面上を滑り難い。あるいは、ユーザは、スクロールアイコン60のスクロール動作を好まないかも知れない。そのような場合に、第2受付処理すなわち第2受付工程において、タップ操作が受け付けられ、量的パラメータの設定が行われる。指51を画面上で滑らせる操作に加え、指51で画面を押さえる操作によっても量的パラメータを設定することができるので、ユーザにとってのタッチパネルディスプレイ32の操作性が向上している。
【0055】
また、タッチパネルディスプレイ32においてボタンアイコン70に対する長押し操作が検出された場合に、制御部31に、当該長押し操作を受け付ける第3受付処理を更に実行させている。第3受付処理において、長押し操作が受け付けられ、量的パラメータの設定が行われる。これにより、タップ操作に基づく動作とは異なる動作、たとえばスクロールアイコン60をより速くスクロールさせるといった動作を表示させることができる。よって、ユーザにとってのタッチパネルディスプレイ32の操作性を更に向上できる。
【0056】
ボタンアイコン70は、スクロールアイコン60に含まれる設定値60Aを示す文字の側方に隣接して配置された増加用ボタン71および減少用ボタン72を含む。スクロールアイコン60とボタンアイコン70の増加用ボタン71および減少用ボタン72とが互いに近い位置に配置されるので、操作方法に迷った場合や操作方法を切り替える場合でも、操作性に優れている。
【0057】
本実施形態のタッチパネルディスプレイ32用のコンピュータプログラムを記憶するメモリ33と、タッチパネルディスプレイ32と、制御部31と、を備えたタブレット30によれば、量的パラメータの設定をする際の操作性を向上できる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。スクロールアイコンおよびボタンアイコンの表示形態は、適宜に変更可能である。スクロールアイコンのスクロール方向(設定値の移動方向)が、画面の左右方向であってもよい。端末装置としてのタブレット30のタッチパネルディスプレイ32に限られず、根管長測定器10等の医療用装置がタッチパネルディスプレイを備え、そのタッチパネルディスプレイに、本開示のコンピュータプログラムまたは受付方法が適用されてもよい。
【0059】
本発明は、歯科診療以外のあらゆる医療用装置および医療用システムに適用されてよい。医療用装置を制御する量的パラメータを、タッチパネルディスプレイを用いて設定し得る医療用装置である限り、本発明は、どのような装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
10…根管長測定器(医療用装置)、30…タブレット(タッチパネルディスプレイ制御装置)、31…制御部(コンピュータ)、32…タッチパネルディスプレイ、60…スクロールアイコン、60A…設定値、70…ボタンアイコン、71…増加用ボタン、72…減少用ボタン、S…歯科診療システム(医療用システム)。