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特許7227946フッ化硫黄(VI)化合物およびそれの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】フッ化硫黄(VI)化合物およびそれの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 305/26 20060101AFI20230215BHJP
   C07C 309/78 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/185 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/351 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/4245 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/428 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20230215BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 5/10 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230215BHJP
   C07D 271/06 20060101ALI20230215BHJP
   C07D 277/82 20060101ALI20230215BHJP
   C07D 309/10 20060101ALI20230215BHJP
   C07K 14/575 20060101ALI20230215BHJP
   C07C 313/06 20060101ALI20230215BHJP
   C07B 59/00 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
C07C305/26 CSP
C07C309/78
A61K31/185
A61K31/351
A61K31/4245
A61K31/428
A61K38/08
A61K38/10
A61K38/12
A61K38/17
A61P3/10
A61P5/10
A61P21/00
A61P25/28
C07D271/06
C07D277/82
C07D309/10
C07K14/575
C07C313/06
C07B59/00 ZNA
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020121863
(22)【出願日】2020-07-16
(62)【分割の表示】P 2017516642の分割
【原出願日】2015-06-05
(65)【公開番号】P2020186242
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2020-08-14
(31)【優先権主張番号】62/008,925
(32)【優先日】2014-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501244222
【氏名又は名称】ザ スクリプス リサーチ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャージャー・ドン
(72)【発明者】
【氏名】ケイ・バリー・シャープレス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ダブリュ・ケリー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ・バランチャック
(72)【発明者】
【氏名】ウェンタオ・チェン
【審査官】柳本 航佑
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-220195(JP,A)
【文献】国際公開第2010/113151(WO,A1)
【文献】特開昭51-125225(JP,A)
【文献】特開平02-223570(JP,A)
【文献】国際公開第2006/060654(WO,A2)
【文献】Kreimeyer, Annett; Laube, Bodo; Sturgess, Mike; Goeldner, Maurice; Foucaud, Bernard,Evaluation and Biological Properties of Reactive Ligands for the Mapping of the Glycine Site on the N-Methyl-D-aspartate (NMDA) Receptor,Journal of Medicinal Chemistry,1999年,42(21),,4394-4404
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 305/00-305/26
C07C 309/00-309/89
C07C 313/00-313/38
C07D 201/00-521/00
A61K 31/00- 31/80
A61K 38/00- 38/58
A61P 3/10
A61P 5/10
A61P 21/00
A61P 25/28
C07K 14/575
C07B 59/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)によって表される化合物を製造する方法。
【化1】
[式中、
化合物における少なくとも一つのZが、NまたはNRであり;
該方法は、マイケル付加によりNHまたはNHR置換基を有する抗生物質を、CH=CH-SOFと反応させて、該NHの水素または該NHRの水素を-CHCH-SOFで置き換えることを含み、
Yは、1以上のアリール基、ヘテロアリールアリール基、非芳香族ヒドロカルビル基、非芳香族複素環基から選択される置換されていないか置換されている部分を含む抗生物質であり、それには各Zが独立に共有結合しており;および該抗生物質は、セファロスポリン、シプロフロキサシン、スルファセタミド、アモキシシリン、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、ノルフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、トリメトプリム、ピリメタミン、セファドロキシル、イソニアジド、ストレプトマイシン、モキシフロキサシン、およびアミノサリチル酸からなる群から選択され;
nは1、2、3、4または5であり;
各Zは、独立して、NR、またはNであり;
各Xは、CHCHであり;
ZがNRである場合、mは1であり、および前記Zは抗生物質Yの非芳香族ヒドロカルビル、非芳香族複素環、アリール、またはヘテロアリール部分に共有結合しており;
ZがNである場合、(a)mは2であり、前記Zは抗生物質Yの非芳香族ヒドロカルビル、非芳香族複素環、アリールまたはヘテロアリール部分に共有結合しており;または(b)mは1であり、前記Zは抗生物質Yの芳香族または非芳香族複素環部分における窒素であり;
各Xは、Oであり;および
各Rは独立に、Hまたは、アリール基、ヘテロアリールアリール基、非芳香族ヒドロカルビル基および非芳香族複素環基から選択される置換されているか置換されていない基を含む。]
【請求項2】
抗生物質が、セファロスポリンおよびシプロフロキサシンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗生物質が、セファドロキシルであり、セファドロキシルが少なくとも二つのCH=CH-SOFの均等物と反応し、下記式で表される生産物を製造する、請求項1に記載の方法:
【化2】
【請求項4】
下記式(I)によって表される化合物。
【化3】
[式中、
化合物における少なくとも一つのZが、NまたはNRであり;
Yは、1以上のアリール基、ヘテロアリールアリール基、非芳香族ヒドロカルビル基、非芳香族複素環基から選択される置換されていないか置換されている部分を含む抗生物質であり、それには各Zが独立に共有結合しており;および抗生物質は、セファロスポリン、シプロフロキサシン、スルファセタミド、アモキシシリン、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、ノルフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、トリメトプリム、ピリメタミン、セファドロキシル、イソニアジド、ストレプトマイシン、モキシフロキサシン、およびアミノサリチル酸から選択され;
nは1、2、3、4または5であり;
各Zは、独立して、NR、またはNであり;
各Xは、CHCHであり;
ZがNRである場合、mは1であり、前記Zは抗生物質Yの非芳香族ヒドロカルビル、非芳香族複素環、アリール、またはヘテロアリール部分に共有結合しており;
ZがNである場合、(a)mは2であり、および前記Zは抗生物質Yの非芳香族ヒドロカルビル、非芳香族複素環、アリールまたはヘテロアリール部分に共有結合しており;または(b)mは1であり、および前記Zは抗生物質Yの芳香族または非芳香族複素環部分における窒素であり;
各Xは、Oであり;および
各Rは独立に、Hまたは、アリール基、ヘテロアリールアリール基、非芳香族ヒドロカルビル基および非芳香族複素環基から選択される置換されているか置換されていない基を含む。]
【請求項5】
抗生物質が、セファロスポリンおよびシプロフロキサシンからなる群から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
下記の式で表される、請求項4に記載の化合物。
【化4】
【請求項7】
下記の式(I)で表される、化合物。
【化5】
[式中、
Yは、1以上のアリール基、ヘテロアリールアリール基、非芳香族ヒドロカルビル基、および非芳香族複素環基から選択される置換されていないか置換されている部分を含む生物活性有機コア基であり、それには各Zが独立に共有結合しており;
nは1、2、3、4または5であり;
各Zは独立にO、NR、またはNであり;
ZがOである場合、mは1であり、Xは共有結合であり、前記ZはYのアリールまたはヘテロアリール部分に共有結合しており;
ZがNRである場合、mは1であり、Xは共有結合またはCHCHであり、ZはYの非芳香族ヒドロカルビル、非芳香族複素環、アリール、またはヘテロアリール部分に共有結合しており;
ZがNである場合、(a)mは2であり、XはCHCHであり、ZはYの非芳香族ヒドロカルビル、非芳香族複素環、アリールまたはヘテロアリール部分に共有結合しており;または(b)mは1であり、Xは共有結合またはCHCHであり、Zはコア基Yの芳香族または非芳香族複素環部分における窒素であり;
各Xは独立に、Oであり;
各Rは独立に、Hまたは、アリール基、ヘテロアリールアリール基、非芳香族ヒドロカルビル基および非芳香族複素環基から選択される置換されているか置換されていない基を含み;
該コア基Yは、発情ステロイド、コルチコステロイド、アンフェタミン化合物、ベンゾジアゼピン化合物、バルビツール酸化合物、モルヒネ誘導体、ペナム系抗生物質、セフェム系抗生物質、カルバペネム系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、キノロン系抗生物質、マクロライド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、抗生物質、抗原生動物剤、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬、リジン、セリン、チロシン、ヒスチジン、およびアルギニン、およびリジン、セリン、チロシン、ヒスチジン、およびアルギニンから選択される1以上のアミノ酸残基を含むペプチドからなる群から選択され、
(a)抗生物質は、バンコマイシン、リファマイシン、リファンピシン、テイコプラニン、スルファセタミド、アモキシシリン、ノボビオシン、テトラサイクリン化合物、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、クロロテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ロリテトラサイクリン、デメクロサイクリン、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、ノルフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、トリメトプリム、ピリメタミン、セファドロキシル、抗結核化合物、イソニアジド、リファンピシン;ストレプトマイシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、およびアミノサリチル酸から選択され、
(b)抗原生動物剤は、キニーネ、キノクリン、アトバクオン、メフロキン、スルファドキシン、ヒドロクロロキンヨードキノール、およびパラモマイシンから選択される抗マラリア剤であり、
(c)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ナプロキセン、イブプロフェン、アスピリン、トルメチン、フルルビプロフェン、スリンダク、ピロキシカム、ナブメトン、フルフェナム酸、トルフェナム酸、およびジクロフェナクから選択される非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)であり、
(d)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ブレオマイシン、シタラビン、ダカルバジン、アントラサイクリン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルタミド、ゲムシタビン、イダルビシン、ロイプロリド、メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトキサントロン、ペメトレキセド、ペントスタチン、プロカルバジン、スラミン、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、およびウラシル・マスタード(ウラマスチン)から選択される抗悪性腫瘍薬であり、
(e)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ブプレノルフィン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、ジヒドロモルフォン、およびメチルジヒドロモルヒノンから選択されるアヘン剤であり、
(f)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、プレガバリン、テトラヒドロカンナビノール、フェンタニル、フルピルチン、オキシコドン、アセトアミノフェン、およびサリチルアミドから選択される鎮痛薬であり、
(g)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、フルオキセチン、セルトラリン、デュロキセチン、アモキサピン、マプロチリン、ミアンセリン、ノミフェンシン、トラゾジン、ビロキサジン、アリピラゾール、ブプロピオン、デスベンラファキシン、デュロキセチン、およびパロキセチンから選択される抗うつ薬であり、
(h)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、およびニメスリドから選択されるCOX2阻害剤であり、
(i)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、リコフェロン、およびクロニジンから選択されるCOX-LOX阻害剤であり、
(j)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ナルトレキソン、ナロキソン、およびナルトリンドールから選択されるオピオイド受容体拮抗薬であり、
(k)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、エピガロカテキン没食子酸塩(EGCG)、メマンチン、およびガランタミンから選択されるアルツハイマー病薬であり、
(l)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、アトルバスタチンおよびロスバスタチンから選択されるスタチンであり、
(m)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、およびアポモルヒネから選択される勃起不全薬であり、
(n)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、フォルモテロール、およびメタプロテレノールから選択される抗喘息薬であり、
(o)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、エドロフォニウムおよびタクリンから選択されるコリンエステラーゼ阻害剤であり、
(p)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、フェニレフリン、アンフェタミン、メトキサミン、プレナルテロール、テルブタリン、およびリトドリンから選択される交感神経刺激薬であり、
(q)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ラモトリジンおよびビガバトリンから選択される抗発作薬であり、
(r)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ツボクラリンおよびシサトラクリウムから選択される神経筋遮断薬であり、
(s)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、エゼチミブおよび(3R,4S)-1,4-ビス(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)-2-アゼチジノンから選択される腸ステロイド吸収阻害剤であり、
(t)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、チロキシンおよびソマトスタチンから選択される内分泌薬であり、
(u)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ラロキシフェン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、およびジエチルスチルベストロールから選択されるエストロゲン様物質、作動薬または拮抗薬であり、
(v)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、シドフォビル、ザルシタビン、アデホビル、およびエンタカビルから選択される抗ウィルス剤であり、および
(w)宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ドラセトロンおよびセロトニンから選択されるセロトニン受容体作動薬である。]
【請求項8】
少なくとも一つのZが、Yのヘテロアリール部分、Yのアリール部分およびYの非芳香族炭素から選択される部分に共有結合する、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
式(I)の化合物の前記アリール、ヘテロアリールアリール、非芳香族ヒドロカルビル、または非芳香族複素環部分の1以上が、ヒドロカルビル部分、-OR、-N(R、-N(R、-SR、-OC(=O)R、-N(R)C(=O)R、-SC(=O)R、-OC(=O)OR、-N(R)C(=O)OR、-SC(=O)OR、-OC(=O)N(R、-N(R)C(=O)N(R、-SC(=O)N(R、-OC(=O)SR、-N(R)C(=O)SR、-SC(=O)SR、-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)N(R、-C(=O)SR、-OC(=NR)R、-N(R)C(=NR)R、-SO、-SOOR、-SO(NR、-N(R)SOOR、-N(R)SON(R、-OSOOR、-OSON(R、-P(=O)(OR、-OP(=O)(OR、-OP(=O)R(OR)、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-NO、-N、-N=N-Ar、-CN、ヘテロアリール部分(単一芳香環または複数の縮合芳香環(前記縮合環のうちの少なくとも一つがヘテロ原子を含む)を含むヘテロアリール体など)、非芳香族複素環部分、縮合5員非芳香族炭素環、縮合5員複素環、縮合6員非芳香族炭素環、縮合6員非芳香族窒素含有複素環、およびこれらの2以上のいずれかの組み合わせから選択される1以上の置換基を含み;各Rが独立に、H、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、または非芳香族複素環部分であり;各Rが独立に、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、または非芳香族複素環部分であり;各Arが独立にアリールまたはヘテロアリールである、請求項7または8に記載の化合物。
【請求項10】
Yが、チロシン、または1以上のチロシン残基を含むペプチドである、請求項7から9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
1以上の-Z-X-(S)(O)(X)F基のフッ素(F)が、18F豊富化されている請求項7から10のいずれか1項に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2014年6月6日出願の米国仮特許出願第62/008,925号(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる)に対する優先権の恩恵を主張するものである。
【0002】
政府支援
本発明は、アメリカ国立衛生研究所助成番号U01NS058046およびEB015663、ならびに全米科学財団助成番号CHE1011796からの政府支援によって行われた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、治療的化合物および組成物などのフッ化硫黄(VI)化合物、ならびにその化合物および組成物の使用および製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
「クリック」化学は、10年前に機能性分子組立のための概念的枠組みとして導入され、分子ビルディングブロックを結合する上での炭素-ヘテロ原子連結の重要性を強調するものである(H. C. Kolb, M. G. Finn, K. B. Sharpless, Angew. Chem. 2001, 123, 2056-2075;Angew. Chem. Int. Ed. 2001, 2040, 2004-2021参照)。自然からインスピレーションを得て、クリック反応は、操作的に簡単な酸素および水と調和した条件下で機能し、生成物精製の最小限の必要条件で高収率で生成物を発生する方法と確認された。そのような反応は常に、強い熱力学的推進力および一貫した十分に制御された反応経路の希な組み合わせを有する。これら二つの特徴が協力して、非常に多様な物質を高い信頼性で使用することが可能となる。
【0005】
アジド-アルキン環化付加反応(R. Huisgen, Angew. Chem. 1963, 75, 604-637; Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1963, 1962, 1565-1598参照)は、それの関与する官能基の温和な性質およびCu(I)触媒によってそれの結合能力を動作させることができること(異なった程度で、そして異なった目的で)((a) C. W. Tornoe, C. Christensen, M. Meldal, J. Org. Chem. 2002, 67, 3057-3062. (b) V. V. Rostovtsev, L. G. Green, V. V. Fokin, K. B. Sharpless, Angew. Chem. 2002, 114, 2708-2711; Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 2741, 2596-2599参照)、アルキン成分に歪みをもたらすこと((a) G. Wittig, A. Krebs, Chem. Ber. Recl. 1961, 94, 3260-3275. (b) N. J. Agard, J. A. Prescher, C. R. Bertozzi, J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 15046-15047参照)、またはそれらを空間的に近位に保持すること((a) W. G. Lewis, L. G. Green, F. Grynszpan, Z. Radic, R. P. Carlier, P. Taylor, M. G. Finn, K. B. Sharpless, Angew. Chem. 2002, 114, 1095-1099; Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 1041, 1053-1057. (b) H. D. Agnew, R. D. Rhode, S. W. Millward, A. Nag, W. S. Yeo, J. E. Hein, S. M. Pitram, A. A. Tariq, V. M. Burns, R. J. Krom, V. V. Fokin, K. B. Sharpless, J. R. Heith, Angew. Chem. 2009, 121, 5044-5048; Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 5048, 4944-4948参照)の故に特に有用である。従って、このクリック反応は、高エネルギー性であるにも拘わらず、他の場合には何らかのものと反応する性向が非常に小さい二つの官能基を誘導して互いに反応させる方法を見出すことで登場した。対照的に、ほとんどの他のクリック反応は、少なくとも一つの非常に反応性の高い相手の特性を抑えることで有用な活性ウィンドウを見出すものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】H. C. Kolb, M. G. Finn, K. B. Sharpless, Angew. Chem. 2001, 123, 2056-2075
【文献】Angew. Chem. Int. Ed. 2001, 2040, 2004-2021
【文献】R. Huisgen, Angew. Chem. 1963, 75, 604-637
【文献】Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1963, 1962, 1565-1598
【文献】C. W. Tornoe, C. Christensen, M. Meldal, J. Org. Chem. 2002, 67, 3057-3062.
【文献】V. V. Rostovtsev, L. G. Green, V. V. Fokin, K. B. Sharpless, Angew. Chem. 2002, 114, 2708-2711
【文献】Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 2741, 2596-2599
【文献】G. Wittig, A. Krebs, Chem. Ber. Recl. 1961, 94, 3260-3275.
【文献】N. J. Agard, J. A. Prescher, C. R. Bertozzi, J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 15046-15047
【文献】W. G. Lewis, L. G. Green, F. Grynszpan, Z. Radic, R. P. Carlier, P. Taylor, M. G. Finn, K. B. Sharpless, Angew. Chem. 2002, 114, 1095-1099
【文献】Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 1041, 1053-1057
【文献】H. D. Agnew, R. D. Rhode, S. W. Millward, A. Nag, W. S. Yeo, J. E. Hein, S. M. Pitram, A. A. Tariq, V. M. Burns, R. J. Krom, V. V. Fokin, K. B. Sharpless, J. R. Heith, Angew. Chem. 2009, 121, 5044-5048
【文献】Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 5048, 4944-4948
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
新たなクリックケミストリー法、特には有用かつ一般的ではない官能基およびファーマコフォアを有する生理活性材料の製造が現在もなお必要とされている。本明細書に記載の化合物および方法は、このニーズに取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、「クリック」ケミストリーの新たな態様(フッ化スルホニル交換(SuFEx)と称される)について説明する。SuFExは、フッ化物イオンの固有の水素結合要件と硫黄(VI)およびケイ素中心へのフルオリド結合の熱力学的および動力学的特性との間の相互関係によって可能となる。酸-塩基反応が通常は低い選択性を示すことから、クリック反応には希に酸-塩基化学が関与する。しかしながら、SuFEx変換は例外である。フッ化物イオンの特殊な性質によってそれが可能となり、厳密な空間的および動力学的制約下に「H」または「RSi」による誘導を必要とする。SuFEx化学は、界面(水系/有機)および均一条件を有利に用いる。SO基の極性が弱いことで、SO連結で構築された分子の特性は、連結されるモチーフによってかなり影響され得る。得られるスルホニル/サルフェート連結基ツールボックスも、別のクリック反応である特殊な求電子剤フッ化エテンスルホニルへの求核剤の共役(マイケル)付加(フッ化エチレンスルホニルとも称される)によって大きく強化される。
【0009】
本明細書に記載の化合物は、医薬もしくは治療剤の-OH、-NHもしくは-NHR置換基に代えて少なくとも一つの下記の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含む医薬、他の治療剤、除草剤、農薬、抗微生物剤、動物薬などの生理活性物の類縁体である。場合により、当該類縁体の-Z-X-(S)(O)(X)F置換基が、医薬、治療剤もしくは他の生理活性剤上の別の基、例えば-CF、-OCF、-OMe、-OEt、またはハロゲン(例えば、ClまたはBr)置換基、または医薬もしくは治療剤の炭素上の水素に取って代わる。
【0010】
一部の実施形態において、本明細書に記載の生理活性化合物は、下記式(I)によって表される。
【0011】
【化1】
【0012】
式中、
Yは、1以上のアリール基、ヘテロアリールアリール基、非芳香族ヒドロカルビル基、および非芳香族複素環基から選択される置換されていないか置換されている部分を含む生理活性有機コア基であり、それには各Zが独立に共有結合しており;
nは1、2、3、4または5であり;
各Zは独立にO、NR、またはNであり;
ZがOである場合、mは1であり、Xは共有結合であり、前記ZはYのアリールまたはヘテロアリール部分に共有結合しており;
ZがNRである場合、mは1であり、Xは共有結合またはCHCHであり、ZはYの非芳香族ヒドロカルビル、非芳香族複素環、アリール、またはヘテロアリール部分に共有結合しており;
ZがNである場合、(a)mは2であり、XはCHCHであり、ZはYの非芳香族ヒドロカルビル、非芳香族複素環、アリールまたはヘテロアリール部分に共有結合しており;または(b)mは1であり、Xは共有結合またはCHCHであり、Zはコア基Yの芳香族または非芳香族複素環部分における窒素であり;
各Xは独立に、OまたはNRであり;
各Rは独立に、Hまたはアリール基、ヘテロアリールアリール基、非芳香族ヒドロカルビル基および非芳香族複素環基から選択される置換されているか置換されていない基を含む。
【0013】
式(I)の化合物の各種ヒドロカルビル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環成分上に存在し得る置換基には、例えば、ヒドロカルビル部分(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、またはこれらの2以上のいずれかの組み合わせ)、-OR、-N(R、-N(R、-SR、-OC(=O)R、-N(R)C(=O)R、-SC(=O)R、-OC(=O)OR、-N(R)C(=O)OR、-SC(=O)OR、-OC(=O)N(R、-N(R)C(=O)N(R、-SC(=O)N(R、-OC(=O)SR、-N(R)C(=O)SR、-SC(=O)SR、-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)N(R、-C(=O)SR、-OC(=NR)R、-N(R)C(=NR)R、-SO、-SOOR、-SO(NR、-N(R)SOOR、-N(R)SON(R、-OSOOR、-OSON(R、-P(=O)(OR、-OP(=O)(OR、-OP(=O)R(OR)、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-NO、-N、-N=N-Ar、-CN、ヘテロアリール部分(単一の芳香環もしくは複数の縮合芳香環を含むヘテロアリール物(縮合した環のうちの少なくとも一つがヘテロ原子を含む)など)、非芳香族複素環部分、縮合5員非芳香族炭素環、縮合5員複素環、縮合6員非芳香族炭素環、縮合6員非芳香族窒素含有複素環、およびこれらの2以上のいずれかの組み合わせなどからなる群から選択される1以上の置換基を含む。前記の置換基において、各Rは独立にH、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、または非芳香族複素環部分であり;各Rは独立に、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、または非芳香族複素環部分であり;各Arは独立に、アリールまたはヘテロアリールである。
【0014】
式(I)のある種の化合物は、SO、CH=CHSOFなどの-S(O)(X)F基を含む試薬と化合物Y-(ZH)を反応させることで、例えばClのFによる求核置換(例えば、フッ化物塩もしくは二フッ化物塩を使用)による相当するクロライド含有分子のフルオロ化合物への変換などの本明細書に詳細に記載の他の反応によって製造することができる。一部の実施形態において、Y-(ZH)は、1以上の1級もしくは2級アミノ置換基および/または芳香族OH置換基を含み、試薬に対して反応性である公知の市販薬剤である。他の実施形態において、Y-(ZH)は、水素または別の置換基に代わる、例えば公知の市販薬剤のOMe、OCF、CF、ハロゲンなどに代わる、1以上の1級もしくは2級アミノ置換基および/または芳香族OH置換基を含み、試薬に対して反応性である公知の市販薬剤の類縁体である。
【0015】
一部の実施形態において、式(I)の化合物は、式(II)または式(III)によって表すことができる。
【0016】
【化2】
【0017】
式中、各Xは独立に、OまたはNRである。好ましい実施形態において、XはOであり、当該化合物は、式(III)によって表すことができる。
【0018】
【化3】
【0019】
式(II)および式(III)において、Aは生理活性有機コア基である。一部の実施形態において、Aは少なくとも一つの部分Rを含み、「n」は1、2、3、4または5である。すなわち、式(II)の化合物は、治療活性/医学的活性を有するA基を含み、AのR部分の1以上の-ZH基(すなわち、-OH、-NH、または-NHR)は、ZHと縮合するか、ZH基と別の形で反応して、それからのHの脱離を生じる試薬との反応により、[-Z-(X-S(O)(X)F)基によって置換されている。式(II)の化合物は、コア基Aの治療活性を保持している。各Zは独立にO、NR、またはNであり;各ZはAのR部分に共有結合しており;各Rは独立にヒドロカルビル基を含む。ZがOである場合、mは1であり、各Xは共有結合である。ZがNRである場合、mは1であり、各Xは独立に共有結合またはCHCHである。ZがNである場合、mは2であり、XはCHCHである。各Rは独立に、アリール基、ヘテロアリール基または下記式を有する置換されたアリール基である。
【0020】
【化4】
【0021】
式中、xおよびyは0、1または2であり;Rが置換されたアリールである場合、xおよびyの合計は少なくとも1であり;各RおよびRは独立に、ヒドロカルビル部分、-OR、-N(R、-N(R、-SR、-OC(=O)R、-N(R)C(=O)R、-SC(=O)R、-OC(=O)OR、-N(R)C(=O)OR、-SC(=O)OR、-OC(=O)N(R、-N(R)C(=O)N(R、-SC(=O)N(R、-OC(=O)SR、-N(R)C(=O)SR、-SC(=O)SR、-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)N(R、-C(=O)SR、-OC(=NR)R、-N(R)C(=NR)R、-SO、-SOOR、-SO(NR、-N(R)SOOR、-N(R)SON(R、-OSOOR、-OSON(R、-P(=O)(OR、-OP(=O)(OR、-OP(=O)R(OR)、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-NO、-N、-N=N-Ar、-CN、ヘテロアリール部分、非芳香族複素環部分、およびこれらの2以上のいずれかの組み合わせからなる群から選択される置換基である。あるいは、RおよびRが一体となって、縮合5員非芳香族炭素環、縮合5員複素環、縮合6員非芳香族炭素環、および縮合6員非芳香族窒素含有複素環から選択される環を形成する。前記の置換基において、各Rは独立に、H、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、または非芳香族複素環部分であり;各Rは独立に、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、または非芳香族複素環部分であり;各Arは独立にアリールまたはヘテロアリールである。一部の実施形態において、ZがNである場合、Zはあるいは、コア基Aの芳香族もしくは非芳香族複素環部分中の窒素であることができ、その場合にmは1であり、Xは共有結合もしくは-CHCH-基であることができる。
【0022】
式(II)および(III)の化合物において、各Ar、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、非芳香族複素環部分、縮合5員非芳香族炭素環、縮合5員複素環、縮合6員非芳香族炭素環、および縮合6員非芳香族窒素含有複素環は独立に、置換されていないものであることができるか、炭素以外の少なくとも1個の原子を含む基で置換されていることができる。
【0023】
式(I)および式(II)の化合物の一部の実施形態において、各XはOであり、各Zは独立にO、NR、またはNであり;少なくとも1個のZがOである。式(I)および式(II)の化合物の一部の他の実施形態において、各XはOであり、各Zは独立にO、NRまたはNであり;少なくとも1個のZがNRである。式(I)および式(II)の化合物のさらに他の実施形態において、各XはOであり、各Zは独立にO、NRまたはNであり;少なくとも1個のZがNである。
【0024】
式(I)および式(II)の化合物の一部の実施形態において、各XはOであり、各Xは共有結合であり、各ZはOである。式(I)および式(II)の化合物の一部の他の実施形態において、各XはOであり、各Xは共有結合であり、各ZはNRである。式(I)および式(II)の化合物のさらに他の実施形態において、各XはOであり、各Xは-CHCH-であり、各Zは独立にNRまたはNである。
【0025】
式(III)によって表される化合物の1実施形態において、各mは1であり;各Zは独立にOまたはNRであり;各Xは共有結合である。
【0026】
式(III)によって表される化合物の1実施形態において、各Zは独立にO、NR、またはNであり;少なくとも1個のZがOであり;ZがOである場合、mは1であり、各Xは共有結合であり;ZがNRである場合、mは1であり、各Xは独立に共有結合またはCHCHであり;ZがNである場合、mは2であり、XはCHCHである。
【0027】
式(III)によって表される化合物の1実施形態において、各Zは独立にO、NR、またはNであり;少なくとも1個のZがNRであり;ZがOである場合、mは1であり、Xは共有結合であり;ZがNRである場合、mは1であり、各Xは独立に共有結合またはCHCHであり;ZがNである場合、mは2であり、各XはCHCHである。
【0028】
式(III)によって表される化合物の1実施形態において、各Zは独立にO、NR、またはNであり;少なくとも一つのZがNであり;ZがOである場合、mは1であり、Xは共有結合であり;ZがNRである場合、mは1であり、各Xは独立に共有結合またはCHCHであり;ZがNである場合、mは2であり、各XはCHCHである。
【0029】
式(III)によって表される化合物の1実施形態において、各mは1であり;各ZはOであり;各Xは共有結合である。
【0030】
式(III)によって表される化合物の1実施形態において、各ZはNRであり;各Xは独立に共有結合またはCHCHである。
【0031】
式(III)によって表される化合物の1実施形態において、各mは2であり;各ZはNであり;各XはCHCHである。
【0032】
式(I)、(II)および(III)の化合物の一部の実施形態において、YまたはAは、例えば、酸素、窒素またはこれらの組み合わせ上の1以上の水素が[-X-SOF)によって置換されている抗微生物剤;酸素、窒素またはこれらの組み合わせ上の1以上の水素が[-X-SOF)によって置換されている酵素阻害剤;酸素、窒素またはこれらの組み合わせ上の1以上の水素が[-X-SOF)によって置換されている非微生物疾患治療のための医薬;または病原体を標的とする治療薬(例えば、抗生物質、例えばバンコマイシン、リファマイシン、リファンピシン、テイコプラニン、スルファセタミド、アモキシシリン、ノボビオシン、テトラサイクリン化合物、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、クロロテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ロリテトラサイクリン、デメクロサイクリン、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、ノルフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、抗結核化合物、イソニアジド、リファンピシン、ストレプトマイシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、アミノサリチル酸など;または原生動物剤、例えば抗マラリア剤、キニーネ、キノクリン(quinocrine)、アトバクオン、メフロキン、スルファドキシン、ヒドロクロロキン(hydrochloroquine)ヨードキノール、パラモマイシン(paramomycin)など)を含む。
【0033】
式(I)、(II)および(III)の化合物の一部の実施形態において、YまたはAは、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬、例えば、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID類)、例えばナプロキセン、イブプロフェン、アスピリン、トルメチン、フルルビプロフェン、スリンダク、ピロキシカム、ナブメトン、フルフェナム酸、トルフェナム酸、ジクロフェナクなど;抗悪性腫瘍薬、例えばブレオマイシン、シタラビン、ダカルバジン、アントラサイクリン類(例えば、、ダウノルビシン、ドキソルビシンなど)、エピルビシン、エトポシド、フルタミド、ゲムシタビン、イダルビシン、ロイプロリド、リュープロレリン、メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトキサントロン、ペメトレキセド、ペントスタチン、プロカルバジン、スラミン、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、ウラシル・マスタード(ウラマスチン(uramastine))など;アヘン剤、例えばモルヒネ、ブプレノルフィン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、ジヒドロモルフォン、メチルジヒドロモルヒノン、ブトルファノールなど;鎮痛薬、例えばプレガバリン、テトラヒドロカンナビノール、フェンタニル、フルピルチン、オキシコドン、アセトアミノフェン、サリチルアミドなど;抗うつ薬、例えばフルオキセチン(PROZAC)、セルトラリン(ZOLOFT)、デュロキセチン(CYMBALTA)、アモキサピン、マプロチリン、ミアンセリン、ノミフェンシン、トラゾジン(trazodine)、ビロキサジン、アリピラゾール(aripirazole)、ブプロピオン(ウェルブトリン)、デスベンラファキシン、デュロキセチン、パロキセチンなど;COX2阻害剤、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ニメスリドなど;COX-LOX阻害剤、例えばリコフェロン(licofelone)、クロニジンなど;オピオイド受容体拮抗薬、例えばナルトレキソン、ナロキソン、ナルトリンドールなど;アルツハイマー病薬、例えばエピガロカテキン没食子酸塩(EGCG)、メマンチン、ガランタミンなど;スタチン類、例えばアトルバスタチン(LIPITOR)、ロスバスタチンなど;勃起不全薬、例えばシルデナフィル(VIAGRA)、タダラフィル(CIALIS)、バルデナフィル(LEVITRA)、アポモルヒネなど;抗喘息薬、例えばサルブタモール(アルブテロール)、サルメテロール、テルブタリン、フォルモテロール、メタプロテレノールなど;コリンエステラーゼ阻害剤、例えばエドロフォニウム、タクリンなど;交感神経刺激薬、例えばフェニレフリン、アンフェタミン、メトキサミン、プレナルテロール、テルブタリン、リトドリンなど;抗発作薬、例えばラモトリジン、ビガバトリン、ガバペンチン、プレガバリンなど;神経筋遮断薬、例えばツボクラリン、シサトラクリウムなど;腸ステロイド吸収阻害剤、例えばエゼチミブ、(3R,4S)-1,4-ビス(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)-2-アゼチジノンなど;内分泌薬、例えばチロキシン、ソマトスタチンなど;エストロゲン様物質、拮抗薬および作動薬、例えばラロキシフェン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベスロール(diethylstilbesrol)など;抗ウィルス薬、例えばアシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、シドフォビル、ザルシタビン、アデホビル、エンタカビル(entacavir)など;食欲抑制剤、例えばフェンテルミンなど;抗凝血剤、例えばワーファリン、アセノクマロールなど;降圧剤(antihypertives)およびベータ遮断薬、例えばリシノプリル、ナドロール、アテノロール、アセブトロール、ベタキソロール、カルベジロール、エスモロールなど;セトニン(sertonin)受容体作動薬およびセトニン(sertonin)取り込み阻害剤、例えばセトニン、セルトラリン、ドラセトロン、フルオキセチンなど;利尿薬、例えばヒドロクロロチアジド、ブメタニド、フロセミド、ピノレジノールなど;カルシウムチャンネル遮断薬、例えばベシル酸アムロジピン、ミベフラジン(mibefradin)塩酸塩など;ならびに女性性欲促進化合物、例えばフリバセリン(1-(2-{4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン-1-イル}エチル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン;Sprout Pharmaceuticals)などを含む。他の好適なものには、ペプチド系およびアミノ酸系薬剤、特にはチロシン、2,6-ジメチルチロシン、リジン、およびチロシン、2,6-ジメチルチロシンおよびリジンから選択される1以上の残基を含むペプチド類、例えばロイプロリド(ENANTONE、チロシン含有ペプチド下垂体GnRH受容体拮抗薬)、ガラティラメル(リジン、アラニン、アスパラギン酸およびチロシンのランダムコポリマー、商品名CAPOXONE、免疫調節剤)などがある。医学界で公知のように、特定の分類内の薬剤(例えば、抗生物質、エストロゲン様物質、抗悪性腫瘍薬など)は、複数の種類の疾患もしくは状態の治療用途および適応を有することができる。
【0034】
一部の実施形態において、式(I)、(II)および(III)の化合物、YまたはAは、医薬活性有機コア基、Aと実質的に同じ治療標的に対する活性を示す治療薬である。
【0035】
治療活性を有する式(I)、(II)および(III)の化合物、YまたはAは、医薬として許容される担体、媒体または希釈剤と組み合わせて医薬組成物として製剤することができる。
【0036】
本発明は、式(II)および式(I)の化合物の製造方法も提供する。1実施形態において、式(II)または式(I)の化合物の製造方法は、塩基の存在下に下記式(IV)または(V)の化合物をそれぞれSOと反応させることを含む。
【0037】
【化5】
【0038】
式中、A、Y、mおよびnは式(I)および(II)の化合物について定義の通りであり、ZはOまたはNRである。好適な塩基の例には、(例えば、アルカリ金属水酸化物、例えばNaOH、KOHなど)、アルカリ金属アルコキシド(例えば、、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシドなど)、窒素塩基(好ましくは三級アミン、例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン;アミジン、例えばDBU(1,8-ジアザビシクロ[5.5.0]ウンデカ-7-エンなど);グアニジン、例えばテトラメチルグアニジンなど)などがある。
【0039】
別の実施形態において、各mは2であり、各ZはNであり、各XはCHCHである式(II)または式(I)の化合物の製造方法は、式(IV)または(V)の化合物をそれぞれ、少なくとも1個のN-H結合を含むアミノ化合物と容易に縮合するCH=CH-SOF(「ESF」)と反応することを含む。
【0040】
式(III)の化合物などの式(I)および式(II)の化合物は、多くの有用かつ驚くべき特徴を有する。多くの実施形態において、当該化合物は、コア基YまたはAを含む相当する化合物と実質的に同じ治療標的に対する治療活性を有するが、1以上のさらなる有用な特性、例えば高い溶解度、高い生物学的利用能、対象者または病原体における標的基と共有結合的に連結する能力、親化合物より低い水/オクタノール分配係数(LogP)(特に、-OSOFが親治療化合物における-OCF基に代わっている場合)、およびFの置き換えにより染料(例えば、蛍光染料)、ビオチン、ポリマー(例えば、ポリスチレン樹脂または他の従来のポリマー、ならびに共同所有の同時係属PCT出願番号PCT/US2013/072871(参照によって全体が本明細書に組み込まれる)に記載のポリマー)などの有用基に式(II)の化合物を選択的に付加させるための手段の提供という特性を有する。-OSOF基は、-OCFの生物学的等価物と見なすことができ、特により低いLogPが望まれる場合に-OSOF基は-OCFに代わる魅力的な代替物となる。
【0041】
生理活性自体に加えて、Ar-OSOF基は、ArOHおよびArOSO 化合物の有効な保護基または前駆体を提供する。本明細書に記載の各種形態でのSOF部分は、フェノール性OH基、アミノ基などを有する物質への有機化合物の共有結合的結合、例えば、修飾されたポリスチレンビーズもしくはガラス表面などの表面への結合、またはタンパク質などの別の分子への結合のための手段も提供する(例えば、タンパク質の活性部位におけるアミノ酸残基の求核性側鎖を介して)。-OSOF基は、例えばハロゲン基、トリフレート、メシレートその他の脱離基に代えての求核性芳香族置換反応または他の置換もしくはカップリング反応での脱離基として有用であることもできる。さらに、本明細書に記載の生理活性SOF化合物は、例えば、薬剤についての活性部位への共有結合的結合によって薬剤標的を確認するためのスクリーニング剤として用いることができる。
【0042】
下記の非限定的リストは、本明細書に記載の化合物、組成物、方法および使用の各種実施形態を説明するものである。
【0043】
実施形態1は、下記式(I)によって表される化合物である。
【0044】
【化6】
【0045】
式中、
Yは1以上のアリール基、ヘテロアリールアリール基、非芳香族ヒドロカルビル基、および非芳香族複素環基から選択される置換されていないか置換されている部分を含む生理活性有機コア基であり、それに各Zが独立に共有結合しており;
nは1、2、3、4または5であり;
各Zは独立に、O、NRまたはNであり;
ZがOである場合、mは1であり、Xは共有結合であり、ZはYのアリールまたはヘテロアリール部分に共有結合しており;
ZがNRである場合、mは1であり、Xは共有結合またはCHCHであり、ZはYの非芳香族ヒドロカルビル、非芳香族複素環、アリール、またはヘテロアリール部分に共有結合しており;
ZがNである場合、(a)mが2であり、XがCHCHであり、ZがYの非芳香族ヒドロカルビル、非芳香族複素環、アリール、またはヘテロアリール部分に共有結合しているか;(b)mが1であり、Xが共有結合またはCHCHであり、Zがコア基Yの芳香族または非芳香族複素環部分における窒素であり;
各Xは独立に、OまたはNRであり;
各Rは独立に、Hまたはアリール基、ヘテロアリールアリール基、非芳香族ヒドロカルビル基、および非芳香族複素環基から選択される置換されているか置換されていない基を含む。
【0046】
実施形態2は、各XがOであり、各Zが独立にO、NR、またはNであり;少なくとも1個のZがOである実施形態1の化合物である。
【0047】
実施形態3は、各XがOであり、各Zが独立にO、NR、またはNであり;少なくとも1個のZがNRである実施形態1の化合物である。
【0048】
実施形態4は、各XがOであり、各Zが独立にO、NR、またはNであり;少なくとも1個のZがNである実施形態1の化合物である。
【0049】
実施形態6は、各XがOであり、各Xが共有結合であり、各ZがNRである実施形態1の化合物である。
【0050】
実施形態7は、各XがOであり、各Xが-CHCH-であり、各Zが独立にNRまたはNである実施形態1の化合物である。
【0051】
実施形態8は、少なくとも一つのZがYのヘテロアリール部分に共有結合している実施形態1から7のいずれか一つの化合物である。
【0052】
実施形態9は、少なくとも一つのZがYのアリール部分に共有結合している実施形態1から8のいずれか一つの化合物である。
【0053】
実施形態10は、少なくとも一つのZがYの非芳香族炭素に共有結合している実施形態1から9のいずれか一つの化合物である。
【0054】
実施形態11は、式(I)の化合物のアリール、ヘテロアリールアリール、非芳香族ヒドロカルビル、または非芳香族複素環部分の1以上が、1以上の置換基から選択されるヒドロカルビル部分、-OR、-N(R、-N(R、-SR、-OC(=O)R、-N(R)C(=O)R、-SC(=O)R、-OC(=O)OR、-N(R)C(=O)OR、-SC(=O)OR、-OC(=O)N(R、-N(R)C(=O)N(R、-SC(=O)N(R、-OC(=O)SR、-N(R)C(=O)SR、-SC(=O)SR、-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)N(R、-C(=O)SR、-OC(=NR)R、-N(R)C(=NR)R、-SO、-SOOR、-SO(NR、-N(R)SOOR、-N(R)SON(R、-OSOOR、-OSON(R、-P(=O)(OR、-OP(=O)(OR、-OP(=O)R(OR)、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-NO、-N、-N=N-Ar、-CN、ヘテロアリール部分(縮合環の少なくとも一つがヘテロ原子を含む単一芳香環、または複数の縮合芳香環を含むヘテロアリール材料など)、非芳香族複素環部分、縮合5員非芳香族炭素環、縮合5員複素環、縮合6員非芳香族炭素環、縮合6員非芳香族窒素含有複素環、およびこれらの2以上のいずれかの組み合わせを含み;各Rが独立にH、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、または非芳香族複素環部分であり;各Rが独立にヒドロカルビル、ヘテロアリール、または非芳香族複素環部分であり;各Arが独立にアリールまたはヘテロアリールである実施形態1から10のいずれか一つの化合物である。
【0055】
実施形態12は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含む発情ステロイドである、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「発情ステロイド」は、原型の四環式ステロイド構造の「A環」が、例えば下記に描いたように芳香族であるステロイドを指す。
【0056】
【化7】
【0057】
式中、Rは通常はHまたはアルキルであり、R′は代表的にはOHであり、R″は代表的にはHまたはエチニルであり、当該化合物は、それのA、B、C、またはD環のいずれか上で、または上記の実施形態11に関して本明細書で記載のものなどの1以上の置換基によってR上で置換されていることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基がA、B、C、またはD環のいずれか上、R、R′、R″またはそれらの別の置換基上に、OR、R′もしくはR″に代えて存在していることができる。そのような発情ステロイドの非限定的な例には、例えば、エストラジオール、エストロン、エストリオール、エチニルエストラジオールなどがある。
【0058】
実施形態13は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含むコルチコステロイドである実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「コルチコステロイド」は、下記に描いた原型のコルチコステロイド構造を有するステロイドを指す。
【0059】
【化8】
【0060】
式中、R代表的にはHであり、R′は通常はOHまたはオキソ(=O)であり、R″は代表的には-CHOHであり、当該化合物は、それのA、B、C、またはD環のいずれか上で、または上記の実施形態11に関して本明細書で記載のものなどの1以上の置換基によってR、R′またはR″上で置換されていることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基がA、B、C、またはD環のいずれか上、R、R′またはR″基上で、またはR、R′もしくはR″基に代えて(例えば、ZがOである場合にアリールまたはヘテロアリール置換基に結合)存在していることができる。そのようなコルチコステロイドの非限定的な例には、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニリデン、フルオコルトロン、パラメタゾン(parametasone)、デキサメタゾン、ベタメタゾンなどがある。
【0061】
実施形態14は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含むアンフェタミン化合物である、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「アンフェタミン化合物」は、原型のアンフェタミン核下位構造を含む化合物を指す。
【0062】
【化9】
【0063】
当該化合物は、上記実施形態11に関して本明細書に記載のものなどの1以上の置換基によって、それのいずれかの部分で置換されていることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基はアンフェタミン核のいずれかの部分上に存在していることができ、またはアンフェタミン核上で別の置換基に共有結合的に結合していることができる。そのようなアンフェタミン化合物の非限定的例には、例えば、覚醒剤、例えばアンフェタミン、メトアンフェタミン、アンフェタミニル、フェネチリン、メチルフェニデート、プロリンタン;および食欲減退薬、例えばカチン(ノルプソイドエフェドリン)、アンフェプラモン、メファノレクス(mefanorex)、フェンフルラミンなどがある。
【0064】
実施形態15は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含むベンゾジアゼピン化合物である、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「ベンゾジアゼピン化合物」は、原型のベンゾジアゼピン核下位構造を含む化合物を指す。
【0065】
【化10】
【0066】
式中、R′は代表的にはハロゲンまたはニトロ基であり、R″は代表的にはオキソ(=O)またはNR基であり、当該化合物は、上記の実施形態11に関して本明細書で記載のものなどの1以上の置換基によっていずれかの部分上で置換されていることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基がベンゾジアゼピン核のいずれかの部分に存在することができ、またはベンゾジアゼピン核上の別の置換基に共有結合的に、またはR′もしくはR″に代えて結合していることができる。そのようなベンゾジアゼピン化合物の非限定的な例には、例えば、クロロジアゼピン、デモキセタム、クロルジアゼポキシド、ジアザパム(diazapam)、プラゼパム、オキサゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、ロラゼパム、クロナゼパム、ブロマゼパム、クロバザム、テマゼパム、フルラゼパム、ロルメタゼパム、ニトラゼパムなどがある。
【0067】
実施形態16は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含むバルビツール酸化合物である、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「バルビツール酸化合物」は、原型のバルビツール酸核下位構造を含む化合物を指す。
【0068】
【化11】
【0069】
式中、R基は上記の実施形態11に記載のものなどの置換基であることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基がベンゾジアゼピン核のいずれかの部分に存在することができ、またはアンフェタミン核上の別の置換基に共有結合的に結合しているか、またはR基に代わって結合していることができる。そのようなバルビツール酸化合物の非限定的な例には、例えばビニルビタール、アプロバルビタール、セクブタバルビタール、ペントバルビタール、シクロバルビタール、フェノバルビタールなどがある。
【0070】
実施形態17は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含むモルヒネ誘導体である、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「モルヒネ誘導体」は、原型のモルヒネ核下位構造などの化合物を指す。
【0071】
【化12】
【0072】
式中、Rは代表的にはヒドロキシルまたはアルコキシであり、R′は代表的にはOHまたはオキソであり、当該化合物は核構造のいずれかの部分で、またはRもしくはR′上もしくはそれに代わって含まれている実施形態11に記載のものなどの置換基によって置換されていることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基がモルヒネ核のいずれかの部分上に存在することができ、またはモルヒネ核上またはRもしくはR′に代わって別の置換基に共有結合していることができる。そのようなモルヒネ誘導体の非限定的な例には、例えば、モルヒネ、コデイン、ジアモルヒネ、ジヒドロコデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン、オキシモルフォン、レボルファノールなどがある。
【0073】
実施形態18は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含むペナム(penam)系抗生物質である、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「ペナム(penam)系抗生物質」は、原型のペナム(penam)核構造を含む抗生物質を指す。
【0074】
【化13】
【0075】
当該化合物は、上記の実施形態11に関して本明細書に記載のような1以上の置換基によっていずれかの部分で置換されていることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基がペナム(penam)核のいずれかの部分に存在していることができ、またはペナム(penam)核上の別の置換基に共有結合していることができる。そのようなペナム(penam)系抗生物質の非限定的な例には、例えば、ペニシリン、ベンジルペニシリン(ペニシリンG)、フェノキシメチルペニシリン(ペニシリンV)、オキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、エピシリン、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アパルシリン、カルベニシリン、チカルシリン、テモシリンなどがある。
【0076】
実施形態19は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含むセフェム系抗生物質である、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「セフェム系抗生物質」は、原型のセフェム核構造を含む抗生物質を指す。
【0077】
【化14】
【0078】
当該化合物は、上記の実施形態11に関して本明細書に記載のような1以上の置換基によっていずれかの部分で置換されていることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基がセフェム核のいずれかの部分に存在していることができ、またはセフェム核上の別の置換基に共有結合していることができる。そのようなセフェム系抗生物質の非限定的な例には、例えば、セファロスポリン、セファロチン、セファゾリン、セファゼドン、セファマンドール、セフロキシム、セホチアム、セホタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セホペラゾン、セフィキシム、セフメタゾール、セホニシド、セファピリン、セホラニド、セファレキシン、セファクロル、セフラジン、セファドロキシルなどがある。
【0079】
実施形態20は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含むカルバペネム系抗生物質である、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「カルバペネム系抗生物質」は、原型のカルバペネム核構造を含む抗生物質を指す。
【0080】
【化15】
【0081】
当該化合物は、上記の実施形態11に関して本明細書に記載のような1以上の置換基によっていずれかの部分で置換されていることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基がカルボペネム(carbopenem)核のいずれかの部分に存在していることができ、またはカルバペネム核上の別の置換基に共有結合していることができる。そのようなカルバペネム系抗生物質の非限定的な例には、例えば、チエナマイシン、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ドリペネム、ビアペネム、ラズペネム、テビペネム、レナペネムおよびトモペネムなどがある。
【0082】
実施形態21は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含むテトラサイクリン系抗生物質である、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「テトラサイクリン系抗生物質」は、原型のテトラサイクリン核構造を含む抗生物質を指す。
【0083】
【化16】
【0084】
式中、Rは代表的には水素、ハロゲン(例えば、Cl)、ジアルキルアミノ(例えば、、ジメチルアミノ)であり、R′およびR″は代表的には水素、ヒドロキシルまたはメチルであり、R′″は代表的には水素またはヒドロキシルであり、当該化合物は上記の実施形態11に関して本明細書に記載のような1以上の置換基によっていずれかの部分で置換されていることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基がテトラサイクリン核のいずれかの部分に存在していることができ、またはテトラサイクリン核上の別の置換基に、またはR、R′、R″もしくはR′″に代わって共有結合していることができる。そのようなテトラサイクリン系抗生物質化合物の非限定的な例には、例えば、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デミクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、およびロリテトラサイクリンなどがある。
【0085】
実施形態22は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含むキノロン系抗生物質である、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「キノロン系抗生物質」は、原型のキノロン核構造を含む抗生物質を指す。
【0086】
【化17】
【0087】
式中、Xは代表的にはCまたはNであり、Rは代表的には水素またはメチルであり、R′は代表的には水素またはFであり、R″は代表的にはXがCの場合は水素であり、XがNの場合は非存在であり、R′″は代表的にはアルキル(例えば、エチル)またはシクロアルキル(例えば、シクロプロピル)であり、当該化合物は上記の実施形態11に関して本明細書に記載のような1以上の置換基によっていずれかの部分で置換されていることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基がキノロン核のいずれかの部分に存在していることができ、またはキノロン核上の別の置換基に、またはR、R′、R″もしくはR′″に代わって共有結合していることができる。そのようなキノロン系抗生物質化合物の非限定的な例には、例えば、ノルフロキサシン、シプロフロキサシンおよびエノキサシンなどがある。
【0088】
実施形態23は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含むマクロライド系抗生物質である、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「マクロライド系抗生物質」は、大環状ラクトン核構造を有する抗生物質を指す。一部の実施形態において、マクロライド系抗生物質は原型のエリスロマイシン型核構造を有する。
【0089】
【化18】
【0090】
式中、Rは代表的にはグリコシド(糖)基であり、R′はアミノグリコシド(アミノ糖)基であり、R′″は代表的にはエチルである。マクロライド系抗生物質は、上記の実施形態11に関して本明細書に記載のような1以上の置換基によっていずれかの部分で置換されていることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基がマクロライド核のいずれかの部分に存在していることができ、またはマクロライド核上の別の置換基に共有結合していることができる。そのようなマクロライド系抗生物質化合物の非限定的な例には、例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、フィダキソマイシン、テリスロマイシン、カルボマイシン、ジョサマイシン、キタサマイシン、オレアンドマイシン、ソリスロマイシン、スピラマイシン、ロレアンドマイシン(roleandomycin)などがある。
【0091】
実施形態24は、少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含むアミノグリコシド抗生物質である、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。本明細書で使用される場合、「アミノグリコシド抗生物質」は、それのオリゴ糖鎖に少なくとも1個のアミノ糖成分(例えば、ストレプタミンまたは2-デスオキシストレプタミン)を含むオリゴ糖(代表的には、三糖類または四糖類)抗生物質を指す。アミノグリコシド抗生物質は、上記の実施形態11に関して本明細書に記載のような1以上の置換基によっていずれかの部分で置換されていることができ、-Z-X-(S)(O)(X)F基がアミノグリコシド核のいずれかの部分に存在していることができ、またはアミノグリコシド核上の別の置換基に共有結合していることができる。そのようなアミノグリコシド系抗生物質の非限定的な例には、例えば、ストレプトマイシン、ネオマイシンB、ゲンタマイシン、カナマイシンなどがある。
【0092】
実施形態25は、下記式(VI)または式(VIa)によって表されるトランスチレチン(TTR)結合化合物である、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。
【0093】
【化19】
【0094】
式中、各Rはアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル)またはハロゲン(例えば、Cl、Br)であり、L′は示した通りであり(すなわち、トランスビニル、ジアゾ、または1O,3N,4N-オキサジアゾール-2,5-ジイル)、各式における-OSOF基は、化合物の「A」環上の3、4、または5位に結合していることができる。式(VI)および(VIa)の化合物の一部は、TTR結合部位に不可逆的に結合して、TTRタンパク質三次構造を安定化させることができる。
【0095】
実施形態26は、抗微生物剤、酵素阻害剤、非微生物疾患を治療するための活性を有する医薬、病原体を標的とする医薬、抗生物質、抗原生動物剤、および宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬から選択される生理活性物質の類縁体であり、その類縁体が少なくとも1個の-Z-X-(S)(O)(X)F基を含む実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。
【0096】
実施形態27は、抗生物質がバンコマイシン、リファマイシン、リファンピシン、テイコプラニン、スルファセタミド、アモキシシリン、ノボビオシン、テトラサイクリン化合物、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、クロロテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ロリテトラサイクリン、デメクロサイクリン、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、ノルフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、トリメトプリム、ピリメタミン、セファドロキシル、抗結核化合物、イソニアジド、リファンピシン;ストレプトマイシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、およびアミノサリチル酸から選択される実施形態26の化合物である。
【0097】
実施形態28は、抗原生動物剤がキニーネ、キノクリン(quinocrine)、アトバクオン、メフロキン、スルファドキシン、ヒドロクロロキン(hydrochloroquine)ヨードキノール、およびパラモマイシン(paramomycin)から選択される抗マラリア剤である実施形態26の化合物である。
【0098】
実施形態29は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ナプロキセン、イブプロフェン、アスピリン、トルメチン、フルルビプロフェン、スリンダク、ピロキシカム、ナブメトン、フルフェナム酸、トルフェナム酸、およびジクロフェナクから選択される非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)を含む実施形態26の化合物である。
【0099】
実施形態30は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ブレオマイシン、シタラビン、ダカルバジン、アントラサイクリン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルタミド、ゲムシタビン、イダルビシン、ロイプロリド、メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトキサントロン、ペメトレキセド、ペントスタチン、プロカルバジン、スラミン、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、およびウラシル・マスタード(ウラマスチン(uramastine))から選択される抗悪性腫瘍薬を含む実施形態26の化合物である。
【0100】
実施形態31は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ブプレノルフィン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、ジヒドロモルフォン、およびメチルジヒドロモルヒノンから選択されるアヘン剤を含む実施形態26の化合物である。
【0101】
実施形態32は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、プレガバリン、テトラヒドロカンナビノール、フェンタニル、フルピルチン、オキシコドン、アセトアミノフェン、およびサリチルアミドから選択される鎮痛薬を含む実施形態26の化合物である。
【0102】
実施形態33は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、フルオキセチン、セルトラリン、デュロキセチン、アモキサピン、マプロチリン、ミアンセリン、ノミフェンシン、トラゾジン(trazodine)、ビロキサジン、アリピラゾール(aripirazole)、ブプロピオン、デスベンラファキシン、デュロキセチン、およびパロキセチンから選択される抗うつ薬を含む実施形態26の化合物である。
【0103】
実施形態34は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、およびニメスリドから選択されるCOX2阻害剤を含む実施形態26の化合物である。
【0104】
実施形態35は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、リコフェロン(licofelone)、およびクロニジンから選択されるCOX-LOX阻害剤を含む実施形態26の化合物である。
【0105】
実施形態36は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ナルトレキソン、ナロキソン、およびナルトリンドールから選択されるオピオイド受容体拮抗薬を含む実施形態26の化合物である。
【0106】
実施形態37は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、エピガロカテキン没食子酸塩(EGCG)、メマンチン、およびガランタミンから選択されるアルツハイマー病薬を含む実施形態26の化合物である。
【0107】
実施形態38は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬がアトルバスタチンおよびロスバスタチンから選択されるスタチンを含む実施形態26の化合物である。
【0108】
実施形態39は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、およびアポモルヒネから選択される勃起不全薬を含む実施形態26の化合物である。
【0109】
実施形態40は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、フォルモテロール、およびメタプロテレノールから選択される抗喘息薬を含む実施形態26の化合物である。
【0110】
実施形態41は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、エドロフォニウムおよびタクリンから選択されるコリンエステラーゼ阻害剤を含む実施形態26の化合物である。
【0111】
実施形態42は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、フェニレフリン、アンフェタミン、メトキサミン、プレナルテロール、テルブタリン、およびリトドリンから選択される交感神経刺激薬を含む実施形態26の化合物である。
【0112】
実施形態43は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ラモトリジンおよびビガバトリンから選択される抗発作薬を含む実施形態26の化合物である。
【0113】
実施形態44は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ツボクラリンおよびシサトラクリウムから選択される神経筋遮断薬を含む実施形態26の化合物である。
【0114】
実施形態45は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、エゼチミブおよび(3R,4S)-1,4-ビス(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)-2-アゼチジノンから選択される腸ステロイド吸収阻害剤を含む実施形態26の化合物である。
【0115】
実施形態46は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、チロキシンおよびソマトスタチンから選択される内分泌薬を含む実施形態26の化合物である。
【0116】
実施形態47は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ラロキシフェン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、およびジエチルスチルベストロールから選択されるエストロゲン様物質、作動薬または拮抗薬を含む実施形態26の化合物である。
【0117】
実施形態48は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、シドフォビル、ザルシタビン、アデホビル、およびエンタカビル(entacavir)から選択される抗ウィルス剤を含む実施形態26の化合物である。
【0118】
実施形態49は、宿主対象者における活性部位を標的とする治療薬が、ドラセトロンおよびセトニンから選択されるセトニン(sertonin)受容体作動薬を含む実施形態26の化合物である。
【0119】
実施形態50は、チロシン、2,6-ジメチルチロシン、またはチロシンもしくは2,6-ジメチルチロシンのフェノール性OHが、-OSOFによって置換されているチロシンおよび2,6-ジメチルチロシンから選択される1以上の残基を含むペプチドの類縁体である実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。
【0120】
実施形態51は、O-フルオロスルホニルチロシンまたはO-フルオロスルホニル-2,6-ジメチルチロシンである実施形態50の化合物である。
【0121】
実施形態52は、ペプチドがロイプロリドおよびガラティラメルから選択され、チロシン残基のフェノール性OHに代えて-OSOF基を含むように修飾されている実施形態50の化合物である。
【0122】
実施形態53は、求核性側鎖のヒドロキシルまたはアミノ置換基上の水素に代えてSOFまたは-CHCHSOF基を含む、求核性側鎖を含むアミノ酸の類縁体または求核性側鎖を含む1以上のアミノ酸残基を含むペプチドを含む、実施形態1から11のいずれか一つの化合物である。
【0123】
実施形態54は、アミノ酸がリジン、セリン、チロシン、ヒスチジン、およびアルギニンから選択される実施形態53の化合物である。
【0124】
実施形態55は、求核性側鎖のヒドロキシルまたはアミノ置換基上の水素に代えてSOFまたは-CHCHSOF基を含む、リジン、セリン、チロシン、ヒスチジン、およびアルギニンからなる群から選択されるアミノ酸残基を含むペプチドである実施形態53の化合物である。
【0125】
実施形態56は、式(I)の化合物が生理活性コア基Yと実質的に同じ標的に対する生理活性を有する、実施形態1から55のいずれか一つの化合物である。
【0126】
実施形態57は、-Z-X-(S)(O)(X)F基の1以上のフッ素(F)が、18F豊富である実施形態1から56のいずれか一つの化合物である。
【0127】
実施形態58は、実施形態1から57のいずれか一つの化合物、および医薬として許容される担体、媒体もしくは希釈剤を含む医薬組成物である。
【0128】
実施形態59は、芳香族および/またはヘテロ芳香族OH置換基を有する前駆体を塩基の存在下にSOと反応させて、芳香族および/またはヘテロ芳香族OHの水素をSOFで代えることを含む、少なくとも一つのZがOである実施形態1の化合物の製造方法である。
【0129】
実施形態60は、NHR置換基を有する前駆体を塩基の存在下にSOと反応させることで、NHRのHをSOFに置き換えることを含む、少なくとも1個のZがNRである実施形態1の化合物の製造方法である。
【0130】
実施形態61は、NHまたはNHR置換基を有する前駆体をマイケル付加によってCH=CH-SOFと反応させることでNHの水素またはNHRの水素を-CHCH-SOFで置き換えることを含む、少なくとも1個のZがNまたはNRである実施形態1の化合物の製造方法である。
【0131】
実施形態62は、疾患または状態を治療するための実施形態1から57のいずれか一つの化合物である。
【0132】
実施形態63は、疾患または状態を治療するための実施形態1から57のいずれか一つの化合物の使用である。
【0133】
実施形態64は、疾患または状態を治療するための医薬製造のための、実施形態1から57のいずれか一つの化合物の使用である。
【0134】
実施形態65は、生理活性受容体タンパク質に対するスクリーニングアッセイでの実施形態1から57のいずれか一つの複数の化合物を含むライブラリーの使用である。
【0135】
実施形態66は、実施形態1から56のいずれか一つの化合物を18F豊富の二フッ化物イオンで処理して、当該化合物中の19Fの少なくとも一部を18Fで置き換えることを含む、実施形態57の化合物の製造方法である。
【0136】
実施形態67は、下記式のアミノ保護O-フルオロスルホニル-L-チロシンである。
【0137】
【化20】
【0138】
式中、「Fmoc」は9-フルオレニルメチルオキシカルボニル保護基を表す。
【0139】
実施形態68は、O-フルオロスルホニル-L-チロシン残基を含むペプチドまたはタンパク質の製造のための実施形態67の化合物の使用である。
【0140】
実施形態69は、O-フルオロスルホニル-L-チロシン残基を含むペプチドまたはタンパク質である。
【0141】
実施形態70は、オキシトシン、インドリシン(indolicin)、チモペンチンおよびアルギニンバソプレッシンの類縁体から選択され、それのチロシン残基がO-フルオロスルホニル-L-チロシン残基によって置き換わっている実施形態69のポリペプチドである。
【0142】
実施形態71は、ポジトロン放射型断層撮影法用の造影剤としての実施形態57の化合物の使用である。
【0143】
実施形態72は、化合物を受容体分子における活性部位に共有結合させるための、実施形態1から57のいずれか一つの化合物または実施形態69のペプチドもしくはタンパク質の使用である。
【0144】
実施形態73は、実施形態69のペプチドを炭酸セシウムおよびアンモニアのメタノール中溶液と接触させて、フルオロスルホニル-L-チロシン残基のフルオロ基を選択的に加水分解し、それから硫酸化チロシン残基を形成することを含む、硫酸化ポリペプチドの製造方法である。
【0145】
図1は、スルホニルフルオリドと他のスルホニルハライドの特性を説明する反応を示す図である。(A)酸化および還元の両方に対するArSOFの耐性;(B)熱分解に対するスルホニルフルオリドの相対的に高い安定性;(C、D)エステルエノレートとのフリーデル-クラフツ条件下での反応での塩素化と所望のスルホニル化;(E、F)非活性化条件下でのスルホニルフルオリドと比較したアシルクロライドおよびベンジルブロミドの高い反応性;(G)スルホニルフルオリド反応性を活性化する上での水の力。
【0146】
図2は、SuFEx化学におけるフルオリド安定化および二フルオリド攻撃の重要な役割を示す図である。
【0147】
図3は、アリール(上)およびアルキル(下)スルホニルクロライドおよびフルオリドの一般的合成方法を示す図である。これらの誘導体のC-S結合は、有機求電子剤でのS(IV)の求核攻撃または求電子性S(VI)中心での有機求核剤の攻撃によって生成することができる。
【0148】
図4は、水-有機界面での二フッ化物イオンの特殊な反応性を示す図である。表面の[FHF]分子は、この化学種をかなり安定化させる、主要な水とのH結合相互作用を失う。結果的に、表面もしくは界面での二フッ化物はかなり求核性が高い。ArSOClとの相互作用による置換を示している。M=二フッ化物のカウンターイオン、通常K。二フッ化物とともにかなりの量で存在する[Hイオンも示してある。
【0149】
図5は、カリウム・2フルオリドで製造されるスルホニルフルオリドの例を提供する。
【0150】
図6は、スルホン酸から製造されるアルキル(上)およびアリール(下)スルホニルフルオリドを示す図である。(a)NaN、アセトン、HO、還流、8時間;(b)(COCl)、CHCl、DMF(触媒)、室温(RT)、18時間;(c)KFHF(飽和)、CHCN、RT、6時間.(d)NaSO(1当量)、HO、95℃、16時間。
【0151】
図7は、相当するクロライドから製造されるスルホンイミドイルおよびスルファモイルフルオリドを示す図である。これらの条件下で生成した銀アセチリドを加水分解するのに、反応Cでの酸性後処理が必要とされる。
【0152】
図8は、他の機能性構造へのスルホニルフルオリドの組み込みを可能とする小さい連結分子を示す図である。
【0153】
図9は、窒素、酸素および炭素求核剤の修飾でのESFの合成(上)および使用(下)を示す図である。反応条件:(A)ESF、95:5EtOH:HO、5分から数時間;(B)ESF、溶媒(通常、CHClまたはTHF)、5分から数時間;(C)ESF、PR(10mol%)、CHCl、24時間;(D)ESF、AcOH、還流、2時間;(E)ESF、BuNF(10mol%)、THF;(F)ESF、キニーネ(10mol%)、CHCl
【0154】
図10は、フルオロサルフェートの反応性の二重モードを示す図である。
【0155】
図11は、次の塩基:(A)EtN/CHCl、(B)二相混合物(CHCl/水)中のEtNまたはiPrNEt、(C)NaH/THF、(D)DBU/MeCNの存在下に、気体のSOを用いる従来の手順によって製造されるアリールフルオロサルフェートを示す図である。
【0156】
図12は、アリールシリルエーテルのフルオロサルフェートおよびジアリールサルフェートへのDBU介在変換を示す図である。反応Bにおける点線は、機構ではなく連結性を示すものである。
【0157】
図13は、Pd触媒カップリング反応におけるアリールフルオロサルフェートを示す図である。
【0158】
図14は、エノールフルオロサルフェートの製造を示す図である。
【0159】
図15は、パネルBからDにおいて、N-モノ置換スルファモイルフルオリドの製造を示し;パネルAはN-モノ置換スルファモイルフルオリド生成を生じない1級アミンのSOとの直接反応との比較を提供する図である。
【0160】
図16は、特定の例でのN-ジ置換スルファモイルフルオリドの形成を示す図である。収率は抽出後に単離される分析的に純粋な物質である。(a)DMAP(30mol%)、MgO(5当量)、4/1CHCl/HO、RT、18時間。
【0161】
図17は、(上)二級アミンによるスルファモイルフルオリド置換の例;(下)スルファモイルフルオリド部分の存在下に行われる変換の例を提供する図である。
【0162】
図18は、pHおよび窒素置換基の関数としてのスルホンイミドイルフルオリドの喪失をグラフ表示した図である。
【0163】
図19は、カリウム二フルオリドを用いる、相当するクロライドから製造されるスルホニルフルオリドの例を提供する図である。
【0164】
図20は、大腸菌および枯草菌に対する活性について評価した、抗生物質化合物およびそれのフルオロスルホン化誘導体の構造を示す図である。
【0165】
図21は、受容体活性部位での求核性アミノ酸側鎖とのフルオロサルフェートおよびスルホニルフルオリドの反応をグラフで示す図である。
【0166】
図22は、スクリーニングアッセイ実施形態を模式的に示す図である。
【0167】
図23は、受容体活性部位での、複数の求核性アミノ酸側鎖とのフルオロサルフェートの反応を模式的に示す図である。
【0168】
図24は、受容体活性部位での複数のチオールアミノ酸側鎖とのフルオロサルフェートの反応を模式的に示す図である。
【0169】
図25は、アリール-SFおよびアリール-OSFプローブを用いる標識タンパク質標的のSILAC識別のワークフローを示す図である。FABP5およびCRABP2についての高い重/軽比は、それらがSFおよびOSFプローブによって共有結合的に標識されていることを示す。
【0170】
図26は、組換えFABP5およびCRABP2をSF-3およびOSF-4とともにインキュベートし、修飾部位をタンデム型質量分析によって確認したことを示す図である。Arg-Tyr-Argモジュールにおけるチロシン残基が修飾される。チロシンおよびアルギニン残基の突然変異は、修飾事象を防止または大きく障害する。
【0171】
図27は、SFおよびOSFプローブを用いる競合実験が化学選択的標識を示唆することを示す図である。共有結合阻害剤SF-3-Cl(A)およびOSF-4-E(B)は、SF-3プローブ(A)またはOSF-4(B)それぞれにより生存HeLa細胞でのFABP5/CRABP2の標識に打ち勝つものと考えられる。非共有阻害剤である全トランスレチノイン酸(RA)、P2阻害剤BMS309403(BMS)またはSOAT2阻害剤アバミシベ(Avamisibe)は、アリール-SFおよびアリール-OSFプローブ(C)によって生存HeLa細胞でのFABP5/CRABP2の選択的標識に打ち勝つものと考えられる。
【0172】
図28は、ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0173】
図29は、ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0174】
図30は、ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0175】
図31は、ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0176】
図32は、ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0177】
図33は、ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0178】
図34は、ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0179】
図35は、ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0180】
図36は、SOと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0181】
図37は、SOと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【図面の簡単な説明】
【0182】
図1】スルホニルフルオリドと他のスルホニルハライドの特性を説明する反応を示す図である。
【0183】
図2】SuFEx化学におけるフルオリド安定化および二フルオリド攻撃の重要な役割を示す図である。
【0184】
図3】アリール(上)およびアルキル(下)スルホニルクロライドおよびフルオリドの一般的合成方法を示す図である。
【0185】
図4】水-有機界面での二フッ化物イオンの特殊な反応性を示す図である。
【0186】
図5】カリウム・2フルオリドで製造されるスルホニルフルオリドの例を提供する図である。
【0187】
図6】スルホン酸から製造されるアルキル(上)およびアリール(下)スルホニルフルオリドを示す図である。
【0188】
図7】相当するクロライドから製造されるスルホンイミドイルおよびスルファモイルフルオリドを示す図である。
【0189】
図8】他の機能性構造へのスルホニルフルオリドの組み込みを可能とする小さい連結分子を示す図である。
【0190】
図9】窒素、酸素および炭素求核剤の修飾でのESFの合成(上)および使用(下)を示す図である。
【0191】
図10】フルオロサルフェートの反応性の二重モードを示す図である。
【0192】
図11】次の塩基:(A)EtN/CHCl、(B)二相混合物(CHCl/水)中のEtNまたはiPrNEt、(C)NaH/THF、(D)DBU/MeCNの存在下に、気体のSOを用いる従来の手順によって製造されるアリールフルオロサルフェートを示す図である。
【0193】
図12】アリールシリルエーテルのフルオロサルフェートおよびジアリールサルフェートへのDBU介在変換を示す図である。
【0194】
図13】Pd触媒カップリング反応におけるアリールフルオロサルフェートを示す図である。
【0195】
図14】エノールフルオロサルフェートの製造を示す図である。
【0196】
図15】パネルBからDにおいて、N-モノ置換スルファモイルフルオリドの製造を示し;パネルAはN-モノ置換スルファモイルフルオリド生成を生じない1級アミンのSOとの直接反応との比較を提供する図である。
【0197】
図16】特定の例でのN-ジ置換スルファモイルフルオリドの形成を示す図である。
【0198】
図17】(上)二級アミンによるスルファモイルフルオリド置換の例;(下)スルファモイルフルオリド部分の存在下に行われる変換の例を提供する図である。
【0199】
図18】pHおよび窒素置換基の関数としてのスルホンイミドイルフルオリドの喪失をグラフ表示した図である。
【0200】
図19】カリウム二フルオリドを用いる、相当するクロライドから製造されるスルホニルフルオリドの例を提供する図である。
【0201】
図20】大腸菌および枯草菌に対する活性について評価した、抗生物質化合物およびそれのフルオロスルホン化誘導体の構造を示す図である。
【0202】
図21】受容体活性部位での求核性アミノ酸側鎖とのフルオロサルフェートおよびスルホニルフルオリドの反応をグラフで示す図である。
【0203】
図22】スクリーニングアッセイ実施形態を模式的に示す図である。
【0204】
図23】受容体活性部位での、複数の求核性アミノ酸側鎖とのフルオロサルフェートの反応を模式的に示す図である。
【0205】
図24】受容体活性部位での複数のチオールアミノ酸側鎖とのフルオロサルフェートの反応を模式的に示す図である。
【0206】
図25】アリール-SFおよびアリール-OSFプローブを用いる標識タンパク質標的のSILAC識別のワークフローを示す図である。
【0207】
図26】組換えFABP5およびCRABP2をSF-3およびOSF-4とともにインキュベートし、修飾部位をタンデム型質量分析によって確認したことを示す図である。
【0208】
図27】SFおよびOSFプローブを用いる競合実験が化学選択的標識を示唆することを示す図である。
【0209】
図28】ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0210】
図29】ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0211】
図30】ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0212】
図31】ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0213】
図32】ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0214】
図33】ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0215】
図34】ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0216】
図35】ESFと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0217】
図36】SOと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【0218】
図37】SOと反応することができる生理活性分子の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0219】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、飽和炭化水素部分を指す。好ましくは、アルキル基は、主鎖(例えば、1から12個の炭素原子)に1から20個の炭素原子および例えば30個以下の合計原子を含む。これらの部分は直鎖もしくは分岐鎖であることができ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オクチルなどの基などがある。
【0220】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、二重結合を含む一価炭化水素基を指す。好ましくは、アルケニル基は、主鎖に2から20個の炭素原子(例えば、2から12個の炭素原子)および30個以下の合計炭素原子を含む。アルケニル基は、直鎖もしくは分岐鎖、または環状であることができ、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニル、オクテニル、オレイルなどがある。
【0221】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、三重結合を含む一価炭化水素基を指す。好ましくは、アルキニル基は、主鎖に2から20個の炭素原子(例えば、2から12個の炭素原子)、および30以下の合計炭素原子を含む。アルキニル基は、直鎖もしくは分岐鎖であることができ、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニル、オクチニルなどがある。
【0222】
本明細書で使用される場合、「芳香族」という用語は、個別の交互に来る単結合および二重結合ではなく非局在化したπ電子雲を有する共役平面環を含む化合物または基を指す。「芳香族」という用語は、下記で定義の「アリール」基および「ヘテロアリール」基を包含する。
【0223】
本明細書で使用される場合、「アリール」または「Ar」という用語は、単独で、または別の基の一部として、環部分に6から12個の炭素を含む置換されていても良い単素環芳香族基、好ましくは単環式もしくは二環式の基を指し、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、置換されたフェニル、置換されたビフェニルまたは置換されたナフチルである。
【0224】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、単独で、または別の基の一部として、少なくとも一つの環に少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは各環に5個もしくは6個の原子を有する置換されていても良い芳香族基を指す。ヘテロアリール基は好ましくは、その環に1個もしくは2個の酸素原子および/または1から4個の窒素原子を有し、炭素を介して分子の残りの部分に結合している。ヘテロアリールの例には、フリル、ベンゾフリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル、カルバゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾピリジルなどがある。置換基の例には、次の基:ヒドロカルビル、置換されているヒドロカルビル、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、シアノ、ケタール類、アセタール類、エステル類およびエーテル類のうちの1以上などがある。
【0225】
本明細書で使用される場合、「炭化水素」および「ヒドロカルビル」という用語は、専ら元素である炭素および水素のみからなる有機化合物または基を説明するものである。これらの部分には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、炭素環部分、およびこれらの2以上のいずれかの組み合わせなどがある。これらの部分には、他の脂肪族もしくは環状炭化水素基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分、例えばアルカリール、アルケナリールおよびアルキナリールなどもある。別段の断りがない限り、これらの部分は好ましくは、1から30の合計炭素原子を含む。
【0226】
本明細書で使用される場合、ある基もしくは部分に関連して、「有機」という用語およびそれの文法的な変形形態は、代表的には少なくとも何らかの水素と組み合わせた炭素を含み、1以上の他の元素、例えば酸素、硫黄、窒素、リン、ハロゲン、または周期表のII-A族(例えば、B)、IV-A族(例えば、Si)、V-A族(例えば、As)、VI-A族(例えば、Se)からの別の非金属もしくは半金属を含んでいても良い材料を指す。「有機」という用語は、有機金属材料(例えば、炭素原子に共有結合的に結合した1以上の主族もしくは遷移金属原子を含む)、ならびに錯体でまたは有機部分との塩として金属元素を含む材料として従来記載されている材料も指す。有機部分または基の非限定的な例には、炭化水素、複素環(少なくとも1個の炭素原子および1以上の他の元素を含む少なくとも一つの飽和、不飽和および/または芳香環を含む材料など)、炭水化物(糖類および多糖類など)、アミノ酸類、ポリペプチド類(タンパク質およびペプチド結合を介して一緒に結合した少なくとも2個のアミノ酸基を含む他の材料)、ペプチド類縁体(ペプチド結合以外の結合、例えばエステル結合によって連結された2以上のアミノ酸を含む材料など)、およびそれらの2以上の組み合わせなどがある。
【0227】
本明細書に記載の「置換されている」部分(例えば、置換されているヒドロカルビル、ヘテロアリール、アリールおよび複素環部分)は、少なくとも1個の炭素以外の原子を含む基で置換されている基、例えば、窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、硫黄またはハロゲン原子などのヘテロ原子で置換されている部分である。一部の実施形態において、これらの置換基には、例えば、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、複素環、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、ケタール類、アセタール類、エステル類およびエーテル類の1以上などがある。一部の実施形態では、そのような置換基は、例えば、-OR、-N(R、-N(R、-SR、-OC(=O)R、-N(R)C(=O)R、-SC(=O)R、-OC(=O)OR、-N(R)C(=O)OR、-SC(=O)OR、-OC(=O)N(R、-N(R)C(=O)N(R、-SC(=O)N(R、-OC(=O)SR、-N(R)C(=O)SR、-SC(=O)SR、-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)N(R、-C(=O)SR、-OC(=NR)R、-N(R)C(=NR)R、-SO、-SOOR、-SO(NR、-N(R)SOOR、-N(R)SON(R、-OSOOR、-OSON(R、-P(=O)(OR、-OP(=O)(OR、-OP(=O)R(OR)、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-NO、-N、-N=N-Ar、-CN、ヘテロアリール部分、または非芳香族複素環部分であることができ;各Rは独立に、H、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、または非芳香族複素環部分であり;各Rは独立に、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、または非芳香族複素環部分であり;各Arは独立に、アリールまたはヘテロアリールであり、それは上記のように置換されていることができるか、置換されていないものであることができる。
【0228】
本発明の説明の文脈での「一つの」および「その」という用語および類似の言及の使用(特には、添付の特許請求の範囲の文脈で)は、本明細書で別段の断りがあったり、文脈によって明らかに矛盾していない限り、単数と複数の両方を網羅するものと解釈すべきである。「含む」、「有する」、「包含する」および「含有する」という用語は、別段の断りがない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)として解釈すべきである。本明細書における値の範囲についての記述は、別段の断りがない限り、その範囲内に入る各別個の値を個別に挙げるのを簡潔に表現する方法として使われるためだけのものであり、各別個の値が、それが個別に本明細書で挙げられているかのように本明細書に組み込まれる。測定によって得られる全ての数値(例えば、重量、濃度、物理的次元、除去速度、流量など)は、絶対的に正確な数字と解釈すべきではなく、「約」という用語が明瞭に述べられているか否かとは無関係に、当業界で一般に使用される測定技術の公知の範囲内の値を包含するものと考えるべきである。本明細書で記載の全ての方法は、本明細書において別段の断りがあったり、他の形で文脈によって明瞭な矛盾がない限り、いずれか好適な順序で行うことができる。本明細書で提供のあらゆる例、または例示的な言語(例えば、「~など」)の使用は、本発明のある態様ついての理解をより良くすることのみを目的としたものであって、別段で特許請求されない限りにおいて、本発明の範囲に制限を課するものではない。具体的内容について言及がない場合、それは、本発明の実施に枢要なあらゆる特許請求されていない要素を示すものと解釈すべきである。
【0229】
「医薬としてもしくは薬理的に許容される」は、適宜に動物もしくはヒトに投与した場合に、有害反応、アレルギー反応その他の都合の悪い反応を生じない分子体および組成物を含むものである。ヒト投与の場合、製剤は、FDA生物製剤部基準によって要求される無菌性、発熱性および一般的安全性ならびに純度基準を満足すべきである。
【0230】
本明細書で使用される場合、「医薬として許容される担体」」または「医薬として許容される賦形剤」という用語は、医薬投与と適合するあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、等張剤およびおよび吸収遅延剤などを指す。医薬活性物質溶のそのような媒体および薬剤の使用は、当業界では公知である。組成物は、補充的、追加的または促進的治療機能を提供する他の活性化合物を包含することもできる。
【0231】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、1以上の医薬として許容される担体、媒体または希釈剤とともに製剤される本明細書で開示の少なくとも一つの化合物を含む組成物を指す。
【0232】
「個体」、「患者」または「対象者」は互換的に使用され、哺乳動物などのあらゆる動物、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツ、ウマまたは霊長類、最も好ましくはヒトを含む。開示の化合物は、哺乳動物、例えばヒトに投与することができるが、動物薬治療を必要とする動物などの他の動物、例えば、家畜(例えば、イヌ、ネコなど)、農場動物(例えば、乳牛、ヒツジ、ブタ、ウマなど)および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)に投与することもできる。「調節」には、拮抗作用(例えば、阻害)、作動作用、部分拮抗作用および/または部分作動作用などがある。
【0233】
本明細書において、「治療上有効量」という用語は、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が求めている組織、系または動物(例えば、哺乳動物またはヒト)の生体応答もしくは医学的応答を誘発する対象化合物の量を意味する。本発明の化合物は、治療上有効量を投与して疾患を治療する。あるいは、化合物の治療上有効量は、所望の治療効果および/または予防効果を達成するのに必要な量である。
【0234】
本明細書で使用される場合、「医薬として許容される塩」という用語は、組成物で使用される化合物で存在し得る酸性基もしくは塩基性基の塩を指す。性質が塩基性である本発明の組成物に含まれる化合物は、非常に多様な各種の無機酸および有機酸と塩を形成することができる。そのような塩基性化合物の医薬として許容される酸付加塩を製造するのに用いることができる酸は、無毒性酸付加塩、すなわち、薬理的に許容されるアニオンを含む塩、例えばリンゴ酸、シュウ酸、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸、硫酸、重硫酸、リン酸、過リン酸、イソニコチン酸、酢酸、乳酸、サリチル酸、クエン酸、酒石酸、オレイン酸、タンニン酸、パントテン酸、重酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ゲンシチン酸(gentisinate)、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、糖酸、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸およびパモ酸(すなわち、1,1′-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))アニオンなど(これらに限定されるものではない)を含む塩を形成する酸である。性質が酸性である本組成物に含まれる化合物は、各種薬理的に許容されるカチオンと塩基塩を形成することができる。そのような塩の例には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、特にはカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウムおよび鉄塩などがある。塩基性または酸性部分を含む本組成物に含まれる化合物は、各種アミノ酸と医薬として許容される塩を形成することもできる。本開示の化合物は、酸性基および塩基性基の両方:例えば、一つのアミノ基および一つのカルボン酸基を含むことができる。そのような場合、当該化合物は、酸付加塩、両性イオンまたは塩基塩として存在することができる。
【0235】
本明細書に開示の化合物は、1以上のキラル中心を含むことから、立体異性体として存在する。「立体異性体」という用語は、本明細書で使用される場合、全てのエナンチオマーまたはジアステレオマーからなる。これらの化合物は、不斉炭素原子周囲の置換基の立体配置に応じて記号「(+)」、「(-)」、「R」または「S」によって呼ぶことができるが、当業者であれば、構造がキラル中心を暗に示し得ることは理解できよう。本発明は、これら化合物の各種立体異性体およびそれらの混合物を包含する。エナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物は命名において「(±)」と呼ぶことができるが、当業者であれば、構造がキラル中心を暗に示し得ることは理解できよう。
【0236】
本明細書に開示の化合物は、1以上の二重結合を含むことができることから、炭素-炭素二重結合周囲の置換基の配置から生じる幾何異性体として存在し得る。記号:
【0237】
【化21】
は、本明細書に記載の単結合、二重結合または三重結合であることができる結合を指す。炭素-炭素二重結合周囲の置換基は、「Z」または「E」配置であると呼ばれ、「Z」および「E」という用語はIUPAC基準に従って用いられる。別段の断りがない限り、二重結合を描く構造は、「E」異性体および「Z」異性体の両方を包含する。炭素-炭素二重結合周囲の置換基はあるいは、「シス」または「トランス」と称することができ、「シス」は二重結合の同じ側にある置換基を表し、「トランス」は二重結合の反対側にある置換基を表す。
【0238】
本明細書に開示の化合物は、炭素環または複素環を含むことができることから、環周囲の置換基の配置から生じる幾何異性体として存在し得る。炭素環または複素環周囲の置換基は、「シス」または「トランス」と称することができ、「シス」という用語は環の平面の同じ側にある置換基を表し、「トランス」という用語は環の面の反対側にある置換基を表す。置換基が環の面の同じ側および反対側の両方に配置された化合物の混合物は、「シス/トランス」と称される。
【0239】
想到される化合物の個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーは、不斉中心もしくは立体中心を含む市販の原料から合成的に、またはラセミ混合物の製造とそれに続く当業者に公知の分割方法によって製造することができる。これらの分割方法の例には、(1)キラル補助部へのエナンチオマー混合物の結合、再結晶もしくはクロマトグラフィーによる得られたジアステレオマー混合物の分離および補助部からの光学的に純粋な生成物の遊離、(2)光学活性分割剤を用いる塩形成、(3)キラル液体クロマトグラフィーカラムでの光学的エナンチオマー混合物の直接分離、または(4)立体選択的化学試薬および酵素試薬を用いる速度論的分割がある。ラセミ混合物は、キラル相液体クロマトグラフィーまたはキラル溶媒中での化合物の結晶化などの公知の方法によって、それらの成分エナンチオマーに分割することもできる。単一の反応物が新たな立体中心の形成時または既存のものの変換時に立体異性体の不均等混合物を形成する、立体選択的合成、化学反応もしくは酵素反応が当業界で公知である。立体選択的合成はエナンチオマー選択的変換およびジアステレオマー選択的変換の両方を包含するものであり、キラル補助部の使用が関与し得る。例に関しては、Carreira and Kvaerno, Classics in Stereoselective Synthesis, Wiley-VCH:Weinheim, 2009を参照する。
【0240】
本明細書に開示の化合物は、水、エタノールなどの医薬として許容される溶媒との溶媒和物ならびに非溶媒和物で存在し得る。本発明は溶媒和物と非溶媒和物の両方を包含するものである。1実施形態において、当該化合物は非晶質である。1実施形態において、当該化合物は単一の多形体である。別の実施形態において、当該化合物は多形体の混合物である。別の実施形態において、当該化合物は結晶体である。
【0241】
本発明は、1以上の原子が天然に通常認められる原子質量もしくは質量数と異なる原子質量もしくは質量数を有する原子によって置き換わっている以外、本明細書に記載のものと同じである本明細書で開示の同位体標識化合物も包含する。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体、例えばそれぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clなどがある。例えば、本発明の化合物では、1以上のH原子が重水素で置き換わっていることができる。
【0242】
ある種の同位体標識された開示化合物(例えば、Hおよび14Cで標識されたもの)は、化合物および/または物質の組織分布アッセイで有用である。三重水素化(すなわち、H)および炭素-14(すなわち、14C)同位体が、製造の容易さおよび検出性のために特に好ましい。さらに、重水素(すなわち、H)などの相対的に重い同位体による置換によって、より大きい代謝安定性(例えば、イン・ビボ半減期延長または用量要件の低減)から得られるある種の治療上の利点を得ることができ、従って環境によっては好ましいものであることができる。本発明の同位体標識化合物は、非同位体標識試薬に代えて同位体標識試薬を用いることで、本明細書で実施例に開示のものと類似の手順に従うことで製造することができる。
【0243】
化合物および医薬組成物(例えば、治療薬または医薬、およびその化合物または治療薬もしくは医薬を含む組成物)が本明細書において記載されており、それは下記式(I)によって表される化合物を含む。
【0244】
【化22】
【0245】
式中、
Yは、1以上のアリール基、ヘテロアリールアリール基、非芳香族ヒドロカルビル基、および非芳香族複素環基から選択される置換されていないか置換されている部分を含む生理活性有機コア基であり、各Zが独立に、それに共有結合しており;nは1、2、3、4または5であり;各Zは独立にO、NRまたはNであり;ZがOである場合、mは1であり、Xは共有結合であり、ZはYのアリールまたはヘテロアリール部分に共有結合しており;ZがNRである場合、mは1であり、Xは共有結合またはCHCHであり、ZはYの非芳香族ヒドロカルビル、非芳香族複素環、アリール、またはヘテロアリール部分に共有結合しており;ZがNである場合、(a)mが2であり、XがCHCHであり、ZがYの非芳香族ヒドロカルビル、非芳香族複素環、アリール、またはヘテロアリール部分に共有結合しており;または(b)mが1であり、Xが共有結合またはCHCHであり、Zがコア基Yの芳香族または非芳香族複素環部分における窒素であり;各Xは独立にOまたはNRであり;各Rは独立に、Hまたはアリール基、ヘテロアリールアリール基、非芳香族ヒドロカルビル基、および非芳香族複素環基から選択される置換されているか置換されていない基を含む。
【0246】
一部の実施形態において、式(II)によって表される治療化合物もしくは医薬が記載されている。
【0247】
【化23】
【0248】
式中、
Aは少なくとも一つの置換基Rを含む有機部分であり;nは1、2、3、4または5であり;各Zは独立にO、NRまたはNであり;各Zは、AのR部分に共有結合しており;各Rは独立にヒドロカルビル基を含み;ZがOである場合、mは1であり、およびXは共有結合である。各Xは独立に、OまたはNRであることができる(好ましくは、XはOである)。ZがNRである場合、mは1であり、各Xは独立に共有結合またはCHCHである。ZがNである場合、mは2であり、XはCHCHである。各Rは独立に、下記式を有するアリール基、ヘテロアリール基、および置換されているアリール基である。
【0249】
【化24】
【0250】
各RおよびRは独立に、ヒドロカルビル部分、-OR、-N(R、-N(R、-SR、-OC(=O)R、-N(R)C(=O)R、-SC(=O)R、-OC(=O)OR、-N(R)C(=O)OR、-SC(=O)OR、-OC(=O)N(R、-N(R)C(=O)N(R、-SC(=O)N(R、-OC(=O)SR、-N(R)C(=O)SR、-SC(=O)SR、-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)N(R、-C(=O)SR、-OC(=NR)R、-N(R)C(=NR)R、-SO、-SOOR、-SO(NR、-N(R)SOOR、-N(R)SON(R、-OSOOR、-OSON(R、-P(=O)(OR、-OP(=O)(OR、-OP(=O)R(OR)、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-NO、-N、-N=N-Ar、-CN、ヘテロアリール部分、および非芳香族複素環部分からなる群から選択される置換基である。あるいは、RおよびRが一緒になって、縮合5員非芳香族炭素環、縮合5員複素環、縮合6員非芳香族炭素環、および縮合6員非芳香族窒素含有複素環から選択される環を形成している。各R独立に、H、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、または非芳香族複素環部分である。各Rは独立に、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、または非芳香族複素環部分である。各Arは独立に、アリールまたはヘテロアリールである。各Ar、ヒドロカルビル、ヘテロアリール、非芳香族複素環部分、縮合5員非芳香族炭素環、縮合5員複素環、縮合6員非芳香族炭素環、および縮合6員非芳香族窒素含有複素環は独立に、置換されていないか、炭素以外の少なくとも1個の原子を含む基で置換されている。パラメータxおよびyは0、1または2であり;Rが置換されているアリールである場合、xとyの合計は少なくとも1である。
【0251】
式(II)または式(I)のある種の化合物は、式(IV)または(V)の化合物それぞれを、塩基の存在下にSOと反応させることによって製造することができる。
【0252】
【化25】
【0253】
式中、
A、Y、mおよびnは式(II)および(I)の化合物について定義の通りであり、ZはOまたはNRである。好適な塩基の例には、(例えば、アルカリ金属水酸化物、例えばNaOH、KOHなど)、アルカリ金属アルコキシド(例えば、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシドなど)、窒素塩基(好ましくは三級アミン、例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン;アミジン、例えばDBU;グアニジン、例えばテトラメチルグアニジン)などがある。
【0254】
別の実施形態において、各mが2であり、各ZがNであり、各XがCHCHである式(II)または式(I)の化合物の製造方法は、式(IV)または(V)の化合物それぞれを、CH=CH-SOF(「ESF」)と反応させ、それを、少なくとも1個のN-H結合を含むアミノ化合物と容易に縮合させることを含む。
【0255】
多くの場合でのフルオロスルホニル基(例えば、CHCHSOFとして)またはフルオロスルホニルオキシ(すなわち、-OSOF)基の治療活性化合物(医薬)への組み込みは驚くべきことに、そのような化合物の代謝安定性を高め、生物学的利用能に寄与する。場合により、-SOFまたは-OSOFの組み込みによって、非共有結合薬剤を共有結合薬剤に変換することができる。他の場合、式(II)の化合物の溶解度は、例えばCFまたはOCF基に代わって-OSOFとする場合のように、核を含む親治療薬と比較して高くなる。
【0256】
治療活性化合物は、病原体を標的とする化合物、ならびに宿主対象者(例えば、患者)における作用部位を標的とする化合物であることができる。
【0257】
病原体を標的とし、-SOFまたは-OSOF基の組み込みに好適である治療活性化合物の例には、例えば、抗生物質、例えばバンコマイシン、リファマイシン、リファンピシン、テイコプラニン、スルファセタミド、アモキシシリン、ノボビオシン、テトラサイクリン類(例えば、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、クロロテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ロリテトラサイクリン、デメクロサイクリンなど)、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、ノルフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、トリメトプリム、ピリメタミン、セファドロキシル、抗結核抗生物質(例えば、イソニアジド、リファンピシン;ストレプトマイシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、アミノサリチル酸など);および抗原生動物剤、例えばヨードキノール、パラモマイシン(paramomycin)、抗マラリア剤(例えば、キニーネ(OMeに代えてOSOFとしたもの)、キノクリン(quinocrine)、アトバクオン(例えば、ClのOHによる置き換えまたはOHとの反応による)、メフロキン、スルファドキシン、ヒドロクロロキン(hydrochloroquine)、プログアニル(例えば、ClのOSOFによる置き換えによる)などがある。
【0258】
宿主対象者における活性部位を標的とし、-SO2Fまたは-OSO2F基の組み込みに好適である治療活性化合物の例には、例えば、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えばナプロキセン、イブプロフェン、アスピリン、トルメチン、フルルビプロフェン、スリンダク、ピロキシカム、ナブメトン、フルフェナム酸、トルフェナム酸、ジクロフェナクなど;抗悪性腫瘍薬、例えばブレオマイシン、シタラビン、ダカルバジン、アントラサイクリン類(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシンなど)、エピルビシン、エトポシド、フルタミド、ゲムシタビン、イダルビシン、ロイプロリド、リュープロレリン、メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトキサントロン、ペメトレキセド、ペントスタチン、プロカルバジン、スラミン、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、ウラシル・マスタード(ウラマスチン(uramastine))など;アヘン剤、例えばモルヒネ、ブプレノルフィン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、ジヒドロモルフォン、メチルジヒドロモルヒノン、ブトルファノールなど;鎮痛薬、例えばプレガバリン、テトラヒドロカンナビノール、フェンタニル、フルピルチン、オキシコドン、アセトアミノフェン、サリチルアミドなど;抗うつ薬、例えばフルオキセチン(PROZAC)、セルトラリン(ZOLOFT)、デュロキセチン(CYMBALTA)、アモキサピン、マプロチリン、ミアンセリン、ノミフェンシン、トラゾジン(trazodine)、ビロキサジン、アリピラゾール(aripirazole)、ブプロピオン(ウェルブトリン)、デスベンラファキシン、デュロキセチン、パロキセチンなど;COX2阻害剤、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ニメスリドなど;COX-LOX阻害剤、例えばリコフェロン(licofelone)、クロニジンなど;オピオイド受容体拮抗薬、例えばナルトレキソン、ナロキソン、ナルトリンドールなど;アルツハイマー病薬、例えばエピガロカテキン没食子酸塩(EGCG)、メマンチン、ガランタミンなど;スタチン類、例えばアトルバスタチン(LIPITOR)、ロスバスタチンなど;勃起不全薬、例えばシルデナフィル(VIAGRA)、タダラフィル(CIALIS)、バルデナフィル(LEVITRA)、アポモルヒネなど;抗喘息薬、例えばサルブタモール(アルブテロール)、サルメテロール、テルブタリン、フォルモテロール、メタプロテレノールなど;コリンエステラーゼ阻害剤、例えばエドロフォニウム、タクリンなど;交感神経刺激薬、例えばフェニレフリン、アンフェタミン、メトキサミン、プレナルテロール、テルブタリン、リトドリンなど;抗発作薬、例えばラモトリジン、ビガバトリン、ガバペンチン、プレガバリンなど;神経筋遮断薬、例えばツボクラリン、シサトラクリウムなど;腸ステロイド吸収阻害剤、例えばエゼチミブ、(3R,4S)-1,4-ビス(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)-2-アゼチジノンなど;内分泌薬、例えばチロキシン、ソマトスタチンなど;エストロゲン様物質、拮抗薬および作動薬、例えばラロキシフェン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベスロール(diethylstilbesrol)など;抗ウィルス薬、例えばアシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、シドフォビル、ザルシタビン、アデホビル、エンタカビル(entacavir)など;食欲抑制剤、例えばフェンテルミンなど;抗凝血剤、例えばワーファリン、アセノクマロールなど;降圧剤(antihypertives)およびベータ遮断薬、例えばリシノプリル、ナドロール、アテノロール、アセブトロール、ベタキソロール、カルベジロール、エスモロールなど;セトニン(sertonin)受容体作動薬およびセトニン(sertonin)取り込み阻害剤、例えばセトニン、セルトラリン、ドラセトロン、フルオキセチンなど;利尿薬、例えばヒドロクロロチアジド、ブメタニド、フロセミド、ピノレジノールなど;カルシウムチャンネル遮断薬、例えばベシル酸アムロジピン、ミベフラジン(mibefradin)塩酸塩など;ならびに女性性欲促進化合物、例えばフリバセリン(1-(2-{4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン-1-イル}エチル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン;Sprout Pharmaceuticals)などがある。他の好適な材料には、ペプチド系およびアミノ酸系薬剤、特にはチロシン、2,6-ジメチルチロシン、リジン、およびチロシン、2,6-ジメチルチロシン、およびリジンから選択される1以上の残基を含むペプチド類、例えばロイプロリド(ENANTONE、チロシン含有ペプチド下垂体GnRH受容体拮抗薬)、ガラティラメル(リジン・アラニン・アスパラギン酸およびチロシンのランダムコポリマー、商品名CAPOXONE、免疫調節剤)などがある。医学業界で公知のように、特定の分類(例えば、抗生物質、エストロゲン様物質、抗悪性腫瘍薬など)内に入る薬剤は、複数の種類の疾患もしくは状態のための治療的用途および適応症を有することができる。
【0259】
多くの場合、SOF基は、核の芳香族もしくはヘテロ芳香族OHの水素またはアミノ基の水素の置き換えによる-OSOF基または-NRSOF基の形成によって生理活性核に結合することができる。特に、医薬構造に存在する水素原子を有するアミノ基の場合、水素原子の置き換えによって、NRCHCHSOF基またはN(CHCHSOF)基を導入することができる。これらの置き換えは、前者の場合には実質的にあらゆるOH基もしくはNHR基のSOとの反応により、そして後者の場合にはNHもしくはNHRのESFとの反応によって容易に行われる。他の実施形態において、OSOF基は、メトキシまたはトリフルオロメトキシ基に代わるものとして医薬に結合させることができるか、化学業界で公知である有機合成法により、CHの水素に代えてまたは何らかの他の置換基に代えて医薬に付加することができる。好ましくは、SOF基は、本明細書に記載の芳香族もしくはヘテロ芳香族OHの水素またはアミノ基の水素の置き換えによって医薬に結合させる。-S(O)(NR)F基を含む化合物は、本明細書に記載の公知の従来手段によって製造される相当する-S(O)(NR)ClからのClの置き換えによって得ることができる。
【0260】
本明細書に記載の-S(O)(X)F基(例えば、NCHCHSOF基、NSOF基、OSOF基および/またはS(O)(NR)F基)を含む治療活性化合物は、これらの官能基が親治療薬の生理活性/治療活性をほとんど妨害しないことから、例えば、ヒトおよび動物用の医薬として好適である。さらに、-S(O)(X)F基は、治療薬を選択的に誘導体化して、例えば、色素、ビオチンなどの有用な官能基または診断基を付加するのに有用な手段を提供する。
【0261】
そのような治療化合物は、医薬として許容される担体、媒体もしくは希釈剤、例えば生理的に許容されるpH(例えば、pH7から8.5)の水系緩衝液、ポリマー系ナノ粒子媒体、リポソームなどと組み合わせた医薬組成物として製剤することができる。医薬組成物は、液体、ゲル、固体、クリームまたはペースト製剤などのいずれか好適な製剤で送達することができる。1実施形態において、当該組成物は、式(I)の化合物の持続放出を提供するよう調整することができる。
【0262】
式(I)の医薬化合物を含む医薬組成物は、治療上有効量で対象者もしくは患者に投与することで疾患もしくは状態、例えば、生理活性コア基、Aが活性である疾患もしくは状態を治療することができる。
【0263】
一部の実施形態において、医薬組成物には、経口、直腸、経鼻、局所(口腔および舌下など)、経皮、経膣、または非経口(筋肉、皮下および静脈など)投与に適した形態、吸入もしくは吹送、または羊水への注射による投与に好適な形態などがある。組成物は、適切な場合、別個の用量単位で簡便に提供することができる。本発明の医薬組成物は、製薬業界で公知の方法のいずれかによって製造することができる。一部の好ましい投与様式には、静注(iv)投与、局所投与、皮下投与、および羊水への注射などがある。
【0264】
経口投与に好適な医薬製剤には、所定量の1以上の式(I)の化合物を粉末もしくは顆粒としてそれぞれ含むカプセル、カシェ剤または錠剤などがある。別の実施形態において、経口組成物は、液剤、懸濁液または乳濁液である。あるいは、式(I)の化合物は、ボラス、舐剤またはペーストとして提供することができる。経口投与用の錠剤およびカプセルは、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、保存剤または湿展剤などの従来の賦形剤を含むことができる。錠剤は、所望に応じて、当業界で公知の方法に従ってコーティングすることができる。経口液体製剤には、例えば、水系もしくは油系懸濁液、液剤、乳濁液、シロップまたはエリキシル剤などがある。あるいは、組成物は、使用前に水または別の好適な媒体による再生のための乾燥製品として提供することができる。そのような液体製剤は、懸濁剤、乳化剤、非水系媒体(食用油などであることができる)、保存剤などの従来の添加剤を含むことができる。添加剤、賦形剤などは代表的には、組成物中での所期の用途もしくは機能に好適な範囲の濃度内で経口投与される組成物であって、医薬製剤業界で公知である組成物に含まれる。式(I)の化合物は、医学および製薬業界で公知である通常の方法による測定での治療上有用および有効な濃度範囲内で組成物中に含まれる。例えば、代表的な組成物は、少なくとも約0.01ナノモルから約1モル、好ましくは少なくとも約1ナノモルから約100ミリモルの範囲内の濃度で1以上の式(I)の化合物を含むことができる。
【0265】
非経口投与(例えば、ボラス注射または連続注入による)または羊水への注射用の医薬組成物は、アンプル、充填済み注射器、少量注入での単位製剤で、または複数用量容器中で提供することができ、好ましくは添加された保存剤を含む。非経口投与用の組成物は、懸濁液、液剤もしくは乳濁液であることができ、懸濁剤、安定剤および分散剤などの賦形剤を含むことができる。あるいは、式(I)の化合物は、使用前に、好適な媒体、例えば無菌の発熱物質を含まない水による再生のための、無菌固体の無菌的単離または溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末形態で提供することができる。添加剤、賦形剤などは代表的には、組成物中での所期の用途もしくは機能に好適な範囲の濃度内で非経口投与される組成物であって、医薬製剤業界で公知である組成物に含まれる。式(I)の化合物は、医学および製薬業界で公知である通常の方法によって測定される、治療上有用および有効な濃度範囲内で組成物中に含まれる。例えば、代表的な組成物は、少なくとも約0.01ナノモルから約100ミリモル、好ましくは少なくとも約1ナノモルから約10ミリモルの範囲内の濃度で1以上の式(I)の化合物を含むことができる。
【0266】
表皮(粘膜または皮膚表面)への化合物の局所投与用の医薬組成物は、軟膏、クリーム、ローション、ゲルとして、または経皮貼付剤として製剤することができる。そのような経皮貼付剤は、リナロール、カルバクロール、チモール、シトラール、メントール、t-アネトールなどの浸透促進剤を含むことができる。軟膏およびクリームは、例えば、好適な増粘剤、ゲル化剤、着色剤などを加えて水系もしくは油系の基剤を含むことができる。ローションおよびクリームは、水系もしくは油系の基剤を含むことができ、代表的には1以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、着色剤なども含むことができる。ゲルは好ましくは、水系担体基剤を含み、架橋ポリアクリル酸ポリマー、誘導体化多糖類(例えば、カルボキシメチルセルロース)などのゲル化剤を含む。添加剤、賦形剤などは代表的には、組成物中での所期の用途もしくは機能に好適な範囲の濃度内で表皮に局所投与するための組成物であって、医薬製剤業界で公知である組成物に含まれる。式(I)の化合物は、医学および製薬業界で公知である通常の方法によって測定される、治療上有用および有効な濃度範囲内で組成物中に含まれる。例えば、代表的な組成物は、少なくとも約0.01ナノモルから約1モル、好ましくは少なくとも約1ナノモルから約100ミリモルの範囲の濃度で1以上の式(I)の化合物を含むことができる。
【0267】
口内での局所投与(例えば、口腔または舌下投与)に好適な医薬組成物には、例えばショ糖、アカシアまたはトラガカントなどの風味付けした基剤中に化合物を含むロゼンジ剤;ゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアカシアなどの不活性基剤中にペプチドを含むトローチ;および好適な液体担体中に有効成分を含む洗口剤などがある。口内での局所投与用の医薬組成物は、所望に応じて浸透促進剤を含むことができる。添加剤、賦形剤などは代表的には、組成物中での所期の用途もしくは機能に好適な範囲の濃度内で局所経口投与の組成物であって、医薬製剤業界で公知である組成物に含まれる。式(I)の化合物は、医学および製薬業界で公知である通常の方法によって測定される、治療上有用および有効な濃度範囲内で組成物中に含まれる。例えば、代表的な組成物は、少なくとも約0.01ナノモルから約1モル、好ましくは少なくとも約1ナノモルから約100ミリモルの範囲の濃度で1以上の式(I)の化合物を含むことができる。
【0268】
直腸投与に好適な医薬組成物は、固体もしくは半固体(例えば、クリームまたはペースト)担体または媒体と組み合わせて本発明の化合物を含む。例えば、そのような直腸組成物は、単位用量坐剤として提供することができる。好適な担体または媒体には、カカオバターおよび当業界で一般に使用される他の材料などがある。添加剤、賦形剤などは代表的には、組成物中での所期の用途もしくは機能に好適な範囲の濃度内で直腸投与の組成物であって、医薬製剤業界で公知である組成物に含まれる。式(I)の化合物は、医学および製薬業界で公知である通常の方法によって測定される、治療上有用および有効な濃度範囲内で組成物中に含まれる。例えば、代表的な組成物は、少なくとも約0.01ナノモルから約1モル、好ましくは少なくとも約1ナノモルから約100ミリモルの範囲の濃度で1以上の式(I)の化合物を含むことができる。
【0269】
1実施形態によれば、経膣投与に好適な本発明の医薬組成物は、当業界で公知の担体と組み合わせて本発明の式(I)の化合物を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡剤または噴霧剤として提供される。あるいは、経膣投与に好適な組成物は、液体製剤もしくは固体製剤で送達することができる。添加剤、賦形剤などは代表的には、組成物中での所期の用途もしくは機能に好適な範囲の濃度内で経膣投与の組成物であって、医薬製剤業界で公知である組成物に含まれる。式(I)の化合物は、医学および製薬業界で公知である通常の方法によって測定される、治療上有用および有効な濃度範囲内で組成物中に含まれる。例えば、代表的な組成物は、少なくとも約0.01ナノモルから約1モル、好ましくは少なくとも約1ナノモルから約100ミリモルの範囲の濃度で1以上の式(I)の化合物を含むことができる。
【0270】
鼻腔内投与に好適な医薬組成物も、本発明によって包含される。そのような鼻腔内組成物は、媒体中の式(I)の化合物および液体噴霧剤、分散性粉体または滴剤を送達するための好適な投与機器を含む。滴剤は、やはり1以上の分散剤、可溶化剤もしくは懸濁剤を含む水系もしくは非水系基剤を用いて製剤することができる。液体噴霧剤は、加圧パック、吸入器、噴霧器その他の当該ペプチドを含むエアロゾルを送達する簡便な手段から簡便に送達される。加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素その他の当業界で公知である好適な気体などの好適な推進剤を含む。エアロゾル用量は、定量の当該ペプチドを送達するためのバルブを提供することで制御することができる。あるいは、吸入または吹送による投与のための医薬組成物は、乾燥粉末組成物、例えば、式(I)の化合物および乳糖もしくはデンプンなどの好適な粉末基剤の粉末混合物の形態で提供することができる。そのような粉末組成物は、単位製剤で、例えば、吸入器もしくは吹送器を用いて粉末を投与することができるカプセル、カートリッジ、ゼラチンパックまたはブリスタパックで提供することができる。添加剤、賦形剤などは代表的には、組成物中での所期の用途もしくは機能に好適な範囲の濃度内で経鼻腔投与の組成物であって、医薬製剤業界で公知である組成物に含まれる。式(I)の化合物は、医学および製薬業界で公知である通常の方法によって測定される、治療上有用および有効な濃度範囲内で組成物中に含まれる。例えば、代表的な組成物は、少なくとも約0.01ナノモルから約1モル、好ましくは少なくとも約1ナノモルから約100ミリモルの範囲の濃度で1以上の式(I)の化合物を含むことができる。
【0271】
適宜に、本発明の医薬組成物は、例えば併用療法として、1以上の他の治療薬を含むことができる。
【0272】
スルホニルクロライド類は、最も一般的に使用されるS(VI)求電子剤である。RSOClおよびClSOClは多くの場合、硫黄(VI)と塩素の間の結合の簡易還元がなされないことから、信頼性のある連結単位として役立たない(等式1)。これは、RO-SO-OR′、RNH-SO-NHR′およびArO-SO-NRR′などの無機サルフェート、スルファミド、およびスルファメート連結の形成の試みにおいて最も悪い形で出現する。高機能の分子の迅速な集合のための迅速かつ堅牢な無機連結部を開発する努力は、これらの副反応によって遅れてきた。本明細書に記載のように、スルホニルフルオリドおよび関連する基は、炭素-(C-SOF)およびヘテロ原子-結合(N-SOFおよびO-SOF)種の両方を包含する、多用途の新規なクリックケミストリーの構成要素を構築することを示した。例えば、等式(1)を参照する。
【0273】
【化26】
【0274】
スルホニルフルオリドの特有の安定性-反応性パターンについての理解は、図1中の結果によって示される5種類の寄与因子に基づくものである。
【0275】
(1)還元に対する抵抗性。フッ素は周期表中で最も電気陰性の高い元素であることから、スルホニル-フッ素結合開裂は、フッ化物イオン(希ではあるが、錯形成していないFとして)の形成を伴って専ら異方性である。対照的に、S-Cl結合の等方的切断が非常に一般的である。芳香族の場合、スルフィン酸レベル(ArS(O)OR)への不可逆的還元が、制限された条件下でアルコール類およびアミン類を除く多くの求核剤でArSOClについて容易に起こる。スルホニルブロミドおよびヨージドの方が、スルホニルクロライドより還元およびラジカル反応を受けやすさがかなり高く、ヨージドがイン・サイツで発生するのであれば、スルホニルクロライド、スルホネート類およびスルホン酸類は良好に還元可能である。スルフリル化学における塩素とフッ素の間の差の顕著な例は、親化合物によって提供される。SOClは強力な酸化剤であるが、ナトリウム金属は、いずれの化学種への化学変化も起こすことなく熱SO中で溶融し得る。
【0276】
(2)熱力学的安定性。硫黄(IV)オキシハライドSOFおよびSOClなどのVI以下の酸化状態での全ての硫黄中心での置換は速度論的にアクセス可能であるが、S(VI)置換化学が非常に不活発であることで、それは連結部として優れたものとなる。さらに、スルホニルフルオリド類は、求核置換(加水分解を含む)および熱分解に対して他のスルホニルハライドよりかなり安定であることで、それらは要件の厳しい反応条件下での選択されるスルホニル試薬となる。これらの所見は、SO-Clと比較したSO-Fの測定された結合強度と一致する。SOにおけるS-F結合の等方的結合解離エネルギー(90.5±4.3kcal/mol、81±2kcal/mol)は、SOClにおけるS-Cl結合(46±4kcal/mol)によりはるかに大きい。その差は、SOFClにおけるS-F結合とS-Cl結合の結合強度比較において、同様に大きい規模である(41kcal/mol)。
【0277】
これらの要素により、-SOF基は驚くべきおよび非常に有用な不動性を生じる。脂肪族の例は、メタンジスルホニルフルオリド[(FSOCH、MDSF]によって提供される。この化合物におけるSOF基は、メチレン基のフッ素化における過酷な電気化学酸化条件を生き残り、塩基が介在および触媒するアルキル化および縮合反応が完璧に進行する(等式3)。クロライド類単体(ClSOCHは、このような環境下では分解する。構成要素として、MDSFは、共役塩基を介して炭素で求電子剤と連結し、そして各OS-F結合で求核剤と連結する二重能力の故に特に有用である。重要な点として、スルホニルフルオリド類は、驚くべきことに、水系条件に対して安定である。
【0278】
【化27】
【0279】
(3)硫黄でのエクスクルーシブ反応。-SOClおよび関連基における塩素中心は、それの分極率のゆえに、求核攻撃もしくは還元的攻撃を受けやすいことから、炭素求核剤との反応は通常、スルホニル化経路および塩素化経路の両方から生じる生成物の混合物を与える。
【0280】
(4)フルオリド-プロトン相互作用の特殊な性質。スルホニルフルオリド類の求核置換反応には、付加-脱離経路および直接置換経路の両方とも妥当である。この反応におけるSO中心の関与の詳細は関連があってしかも十分には理解されていないが、SuFEx化学をユニークなものとする主たる特徴は、それが置換プロセスで生じてくるフッ化物イオンの安定化に大きく依存するという点である。他のハライドも同様の効果を受け得るが、フルオリドは、その現象の強さおよび環境的感受性において傑出している。さらに、実際の条件下でそのようなフルオリド安定化を達成する作用剤はHおよびシリル基(図2)であり、それによってSuFExプロセスは生体環境および合成環境の両方で制御可能かつ有用となる。
【0281】
水中でのフッ化物イオンの特殊な性質については以前から認識されてきたが、合成の文脈ではあまり利用されない。図2において、フルオリド安定化における「HX」の役割は、-SOF求電子剤の反応(下記で言及する反応タンパク質との反応でのもの)促進における特定のプロトン性中心の潜在的な働き、および水系環境が酸性安定化をフルオリド中心に伝達するパワーを代表するものである。塩基および脱離基としてのフルオリドの特有の性質を理解するには、ビフルオリドイオン(HFの評価が必須である。ビフルオリド結合は、強力な中心対称3原子-4電子結合であり、顕著な40kcal/molに相当する。ビフルオリド結合は短くかつ強く、以前からのしかし弱い水素結合/水素結合現象と混同すべきではない。従って、フルオリドが水中で酸に遭遇すると、ビフルオリドイオン、[F-H-F]が形成され、それはさらに、[F-H-F-H-F]などのより高次の付加物がかなり量となる平衡状態となる。すなわち、Fはユニークな塩基であり、それは、それ自体の二つの間でプロトンを捕捉することで水中で強い安定化を得る。従って、そのプロトンは、脱離基としてフルオリドを安定化する点で他に類を見ないほどに有効である。下記で記載のビフルオリド求核剤の反応性は、プロトン性溶媒中でのスルホニルフルオリド類の化学における水素結合の有益な役割を補って完全なものとするものである。
【0282】
(5)近縁関係にある官能基
脂肪族スルホニルフルオリド。アリールスルホニルフルオリド類は、<-水素を有するアルキル誘導体より加水分解に対する抵抗性が大幅に高く、芳香環上の電子吸引性置換基はS(VI)の求電子性を高め、それをより反応性とする。<-位に酸性プロトンを有するスルホニルハライド類、例えばフルオリド類は、多くの場合で脱離を介して進行してスルフェン型中間体(RR′C=SO)を形成する反応に従う。良い例が、フェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、細胞溶解物の製造で広く使用されるセリンプロテアーゼ阻害剤である。しかしながら、この反応経路は塩基の存在下でのみ速く、PMSFおよび他の脂肪族スルホニルフルオリドは安定となり、中等度のpHの水溶液中でタンパク質を選択的に修飾することができる。アルキル-SOClと比較してアルキル-SOF化合物のAlCl支援のフリーデル-クラフツ反応性がかなり良好であることも注目すべき点である。従って、現在焦点を当てているのはアリールスルホニル連結部についてであるが、脂肪族誘導体も、SOF基の特有の化学から恩恵を受ける。さらなるCH基を有するPMSF同族体、すなわち、PhCHCHSOFは、酵素的であるかそれ以外のものであるかを問わず、加水分解に対する比較的反応性が低い。
【0283】
スルホンイミドイルフルオリド類。スルホンイミドイルフルオリド類は、スルホニルフルオリド類と同じ有利な特性を有しており、スルホンイミドイルクロライドとの反応性比較は同様に特筆すべきものである。しかしながら、その窒素置換基はスルホンイミドイルフルオリド類にさらなる修飾箇所を提供するものであり、それらの求核剤に対する反応性はその置換基の性質によって大きく変わり得る。アシル、カーボネートおよびスルホニルなどの電子吸引基は、Sの親電子性を高めて、これらの種類の化合物を、多少の幅はあるが反応性においてスルホニルフルオリドと同様のものとする。対照的に、N上にアルキルおよびアリール基を有するスルホンイミドイルフルオリド類は、塩基性条件下であったとしてもスルホニルクロライド類よりはるかに安定である(下記参照)。
【0284】
芳香族および脂肪族分子のスルホニル化の最も一般的なプロセスを図3にまとめてある。これらの大半がスルホニルクロライド類を製造するもので、それら化合物を最も安価で最も入手しやすい物質としている。これらの系でフルオリドをクロライドと交換することは簡単なことのように思われるであろうが、その変換の歴史は、いくつかの教訓的な形で普通ではない。
【0285】
水の存在が効果的であることが認められており、代表的な反応条件には、水-有機二相混合物の還流が関与する。しかしながら、収率が80%を超えることは滅多にない。「裸の」フルオリド(KF、脱水アセトニトリル、18-クラウン-6)を用いることができるが、ビフルオリドアニオン(F-H-F)(例えば、フッ化水素カリウムから)は、スルホニルクロライドからフルオリドへの変換のための他の試薬より常にそしてかなり優れていることで、温和な反応条件の使用、広い物質範囲、簡単な反応設定、楽な生成物単離および簡単な規模拡大が可能となる。ビフルオリドは、それを「水面で」使用する場合、すなわち、高撹拌した水-有機界面で行う反応で使用する場合に特に有効であるように思われる。溶媒和およびH-結合は、フルオリドの状態および反応性にとって重要であることから、水-有機界面での[FHF]は、有機相中において求電子剤に対するより求核性の高い、しかし塩基性が低く溶媒和が少ないフルオリド源を提供するものであり、それは図4に模式的に示してある。強酸(HX)は、水界面でより効果的に提供され得るアニオン(ビフルオリド)の形態を発生させることで、塩基としてではなく求核剤としてのフルオリドの有用性を高める効果を有する。
【0286】
このようにして相当するクロライドから作られるスルホニルフルオリド類の例を図5に示してある。工業用原料を用いる場合、スルホニルフルオリド生成物は、塩基水溶液による洗浄および/または短いシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーによる精製を必要とする場合がある。しかしながら、その粗生成物は、実質的に不純物を含まない。液体のスルホニルクロライドを、単に飽和KFHF水溶液とともに高撹拌する。そうでなければ、アセトニトリル(MeCN)が通常は、選択される共溶媒である。適宜に、THFまたはCHClを希釈剤として用いて疎水性基質を溶解させ、ビフルオリドとの反応が同様に起こる水界面にそれを提供することができる。数時間以内に完全な変換が達成される。多くの場合で起こるように、原料のクロライドおよび生成物のフルオリドがTLCで重なる場合、反応の進行はGC、LCMSまたは19F NMRによってモニタリングすることができる。
【0287】
図3の一般法を用いるアルキル基(W. Qiu, D. J. Burton, J. Fluor. Chem. 1992, 60, 93-100)およびアリールスルホニル基の容易な導入の例を図6に示してある。いずれの場合も、中間体スルホニルクロライドは精製せずに水相の飽和KFHFと反応させた。所望のフルオリド生成物は、必要に応じて、簡単な洗浄、再結晶またはカラムクロマトグラフィーによって容易に精製することができる。フルオリドへのそのようなイン・サイツ変換は、多くの場合、不安定である図6に示した6-メルカプトプリンなどのチオールの酸化によって生じるある種の複素環スルホニルクロライドには特に有利である。最適にはCl酸化段階時に既に存在しているKFHFは、求核剤および緩衝剤の両方として働き、この場合、Het-SO-ClをHet-SO-Fに運び、その後にそれは分解してHet-ClおよびSOとなる。
【0288】
窒素上の電子吸引性置換基を有するスルホンイミドイルクロライド類およびスルファモイルクロライド類は、反応性においてスルホニルクロライドと非常に類似しており(上記参照)、飽和KFHF水溶液によって処理することで相当するフルオリド類に変換することができる(図7、パネルA、B)。窒素上に電子供与基が存在する場合、ビフルオリドは十分な反応性がなく、標準的な条件下では低収率を与える。これらの場合、ボルムの(Bolm′s)フッ化銀/アセトニトリル条件を用いて、分取規模でスルホニルフルオリドを製造する(図7、パネルC、D)。
【0289】
いくつかの有用な試薬を図9に示してあり、それには臭化ベンジル、臭化フェナシル、アシルハライド、イソシアネートおよびヨウ素などの反応性求核性基が関与する。-SOFの反応性が相対的に低いことで、これらの試薬は他の求核性部位を介して選択的に結合することができる。アジド修飾およびアルキン修飾スルホニルフルオリドも、SOF基がいかなる形態の触媒もしくは歪み促進アジド-アルキン連結法も妨害しないことから有用である。
【0290】
SOF基の導入に最も強力な試薬の一つが、エテンスルホニルフルオリド(ESF)、強力なマイケル受容体ならびにディールス-アルダー求ジエン体である。ESFは、最初に1932年にスルホニルクロライドから報告され、1979年に副反応としての脱離に伴って大規模で報告されている2-クロロエチルスルホニルフルオリドからの脱離によって誘導される。ClCHCHSOClからの第一段階で新たなKFHF-修飾(上記参照)を用い、ESFを大量に容易に製造することができる(図8)。エテニルスルホニルクロライド(ESCl)からのESFの関連する大規模製造が、Hedrick(Dow Chemical)によって1950年に特許化されたが、求核剤としてKFHFではなくKFを用いているため比較的低収率となっている(75%)。
【0291】
ESFの反応の例をいくつか、図8に示してある。活性アミン類との反応は通常、室温で数分以内に完了する。アミノ酸などのアミン含有両性イオンの関与により、クリック反応に要求される完全なレベルの普遍性および簡便性が達成される(図8、パネルA)。エタノール水溶液中の原料両性イオンのスラリーを単に撹拌し、必要量のESF(プロリンのような2級アミンの場合は1モル当量、1級アミンの場合は2当量)を加え、新たな両性イオンへの変換に関して撹拌懸濁液をモニタリングする。完了したら、濃縮および濾過によって生成物を回収する。実際には、ほとんどのESF-アミン共役付加の場合、精製が必要なことは希である。ESFについての改良された分取手順の詳細(図8、上)について、下記で説明する。文献にも、同様に有用なはずであるESFのフッ素化誘導体の例が記載されている。ESFは毒性分子であることから、この揮発性化合物を取り扱う上での適切な手順に対して厳重な注意を払うことが推奨される。
【0292】
S(VI)オキシフルオリドファミリーの最も小さい構成員であるSOは、最初にMoissanにおって1901年に報告され、その後、1950年代にDow ChemicalによってVIKANE有害生物防除剤として開発された。常温および常圧では、SOは無色無臭気体であり、空気の3.5倍の重さがある(表1参照)。これらの特性により、高い蒸気圧および有害生物にとって致死的な濃度で空気を飽和する能力と相まって、SOは有効な燻蒸剤となり、現在、昆虫および齧歯類に対して使用されている。2000年以降、SOの世界的な生産は、平均で300万kg/年である。
【0293】
【表1】
【0294】
SOは気体では比較的不活性であり、乾燥している場合は400℃まで安定であるが、空気中で加熱すると分解して、HFおよびSOの有毒なヒュームを生じる。それは、水中で、中性条件下でゆっくりと、塩基性条件下ではより急速に加水分解して、フルオロサルフェートイオンおよびフッ化物イオンを生じる。SOは比較的小さい磁気モーメントおよび四重極モーメントを有し、太陽放射の化学線領域では光分解を受けず、オゾンおよび大気の活性ラジカル(Cl・、OH・)に対して不活性である。やはり、塩化スルフリルとの比較が示唆的である。SOClの方が熱的に安定性が低く(塩素および二酸化硫黄に対して開放系で100℃で分解)、容易に塩素ラジカルを発生する。
【0295】
フェノール類からのフルオロサルフェート(スルホキシルフルオリド類またはスルフロフルオリデート類とも称され、フルオロスルホネートも使用されるが、この用語は少なくとも1個の炭素-硫黄結合を含む化合物のために留保すべきである。)の初期に発表された合成では、高温でClSOF+SOFまたはSOを使用しており、低い結果となっている。上記で記載の有機スルホニルクロライドとは異なり、クロロサルフェート類(ROSOCl)は、KFによる置換の試みに対して反応が乏しい。さらに、クロロサルフェート類は、それらが低温で自己塩素化および他のラジカル分解プロセスを受ける傾向があることから、魅力のない原料である。SOの予め形成されたナトリウムおよびリチウムフェノレートとの反応が、フルオロサルフェート類のより良好な収率を与えることは明らかになっていたが、これらの手順は定着しなかった。従って、SOは、現場でのトン規模の使用と実験室での低い評価の奇妙な組み合わせを代表するものである。
【0296】
塩基存在下でのSOの酸素求核剤との反応によって、フルオロサルフェート類(図10)が得られ、それは以前から、中性もしくは酸性条件下での加水分解に対して非常に安定であることが知られていた。置換基Rの性質に応じて、OSOF単位は、良好な脱離基または堅牢な連結基であることができる。前者の反応性パターンには、塩基存在下にSOを用いる、カルボン酸および1級アルコールのそれぞれアシルおよび脂肪族フルオリドへの変換が含まれる。ブタ膵臓エラスターゼの共有結合性阻害剤として調べたC6-フルオロサルフェートペニシリン類縁体の場合のように、S1置換およびS2置換の両方を困難にする電子吸引性置換基間で分子にカルビノール中心が組み込まれている場合、2級フルオロサルフェートルを製造および単離することができる。さらに、ある種のパールルオロ化脂肪族フルオロサルフェート類は単離可能であり、安定なサルフェートおよびスルファメート連結を形成することが明らかになっている(T. Huang, J. M. Shreeve, Inorg. Chem. 1986, 25, 496-498)。
【0297】
誘導されるアリールオキシフルオロサルフェートが非常に安定であることから、SOのアルコールとの反応は、芳香族基質に関してそれの絶頂に達する。生物学的応用においてさらにより重要な点として、芳香族アルコールは、SOガスによる選択的修飾を受け、脂肪族アルコール、脂肪族および芳香族アミンならびにカルボキシレートは変化を受けないまま残る。非常に多様なフェノール類が、気体SOおよびトリエチルアミンへの曝露によって定量的収率でフルオロサルフェートに変換することができる(図11)。本明細書に記載の反応については、反応フラスコをセプタムで密閉した後に風船でSOを導入し、凝縮相での気体の溶解を促進するために液体を高撹拌しながら反応を行った。生成物を、溶媒の蒸発留去とそれに続く酸水溶液抽出による痕跡量の塩基の除去によって単離した。水-有機二相条件は、バンコマイシンなどの多様に官能化された分子におけるフェノール以外の基の競争的なフルオロスルホン化をほぼ完全に抑制することが認められた。フェノール性ヒドロキシルについてのこの選択性は注目すべきものである(図11、パネルBを参照)。フェノレートアニオンを予め形成すると、立体障害物質の成績は最良となった。標準的な反応条件下では、環状サルフェートが1,2-カテコール類からの唯一の生成物であり、塩化スルフリルを用いる場合に通常得られるよりはるかに高い収率で得られる。
【0298】
フルオロサルフェート類の合成については、これまで信頼できる方法を使うことができなかったことから、それらの化学はほとんど開拓されないままであった。アリール-サルフェート連結(Ar-O-SO-)は、ほとんど評価されていない連結であり、それは現在、生物学および材料科学において非常に多様な標的に用いるには十分な信頼性で形成されている。例えば、サルフェート類はリン酸アイソスターであり、アルカリホスファターゼスーパーファミリーのいくつかの構成員はリン酸移動およびスルフリル移動の両方を交差触媒することができる。ヒドロキシドなどの求核剤に対するアリールフルオロサルフェートの反応性は、類縁のスルホニルフルオリドと比較して大きく低下する。従って、フルオロサルフェートの2級アミンとの支援のない反応には、有機溶媒中での高温が必要である。合成化学用にこれら試薬を活性化する非常に良好な方法は、下記で記載のDBUなどの三級アミン触媒を用いるものである。そのプロセスは、非混和性の緩衝水相とともに高撹拌することで促進することもできる。THFまたはアセトニトリルなどの混和性の共溶媒と水の混合もそのプロセスを助けるが、完了するのに長い時間がかかる。以前に知られていたが広くは評価されていなかった2相プロセスの効果は、速度が同様であるとしても、界面制御二相反応の方が通常、均一系の対応する反応よりクリーンである。アリールフルオロサルフェートへの求核剤の付加などの水耐性もしくは水支援反応を、好ましくは、最初に有機溶媒との二相様式で試みる。OS-F相互作用とF/H相互作用の間の生産的相互作用によって、図2で強調されているように、それは特にSuFEx化学において当てはまる。
【0299】
アリールフルオロサルフェート類の合成および使用には、ケイ素を利用する場合に、別の強力な利用分野がある。アリールシリルエーテル類は、触媒量の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU、図12、反応A)の存在下にスルフリルフルオリドガスによるフルオロサルフェートへの変換のための優れた基質である。トリメチルシリルエーテル類は急速に(数分もしくは数秒以内にほぼ完了)フルオロサルフェート類を与えるが、比較的嵩高いtert-ブチルジメチルシリル基は、反応が完了に達するのに数時間を要する。
【0300】
同様にして、DBUなどのルイス塩基は、安定なサルフェート連結の最も良好な合成を代表するシリルエーテルとフルオロサルフェートの間のカップリングに介在する(図12、反応B)。アリールサルフェートは高収率で生成し、副生成物として不活性な(場合により揮発性)シリルフルオリドのみを生じる。非常に多様な官能基が耐容され得るものであり(図12)、ケイ素での立体的な嵩高さおよび塩基性触媒を失活させることができる酸性プロトンの存在のみによって制限される。
【0301】
芳香族シリルエーテルのフルオロサルフェートおよびジアリールサルフェートへの変換は、アセタール化反応、アルドール反応およびアリル化反応などのプロセスにおける触媒としてのシリルスルホネート(通常はトリフレート)の一般的な使用とは全く異なる。これらおよび多くの他の場合、その反応は基本的には電子欠乏の一つであり、シリルスルホネートのルイス酸性によって加速され;電子豊富なケイ素成分(シリルエノールエーテルまたはアリル)は活性化中間体を捕捉するには十分な求核性を有する。ケイ素-酸素結合は交換され、またはSi-CはSi-Oに交換される。この場合、反応は電子豊富であり、塩基触媒およびスルフリルおよび/またはエキソ中心がより高い配位数を達成し、求核性となる能力によって促進される。スルフリル-F結合は、望ましくない副反応を回避しながら、フッ素を熱力学的に好ましい行き先としてケイ素に送達することを可能とするのに十分な強度を有する。
【0302】
芳香族フルオロサルフェート類の別の重要な特性は、遷移金属触媒カップリング反応に関与する能力である(図13)。ネギシおよびスティルクロスカップリング(G. P. Roth, C. E. Fuller, J. Org. Chem. 1991, 56, 3493-3496)、ならびにパラジウム触媒アルコキシカルボニル化反応((a)G. P. Roth, J. A. Thomas, Tetrahedron Lett. 1992, 33, 1959-1962. (b)G. P. Roth, C. Sapino, Tetrahedron Lett.1991, 32, 4073-4076)における求電子成分としてのフルオロサルフェート類の関与。フェニルフルオロサルフェートとフェニルトリフレートの間の競争試験によって、これらの基が有機スズ試薬とどうようのカップリング速度を有することが明らかになった。フルオロサルフェートも、安価なトリフレート代替物として有用である(M. A. McGuire, E. Sorenson, F. W. Owings, T. M. Resnick, M. Fox, N. H. Baine, J. Org. Chem. 1994, 59, 6683-6686)。当時で最も一般的な手順である相当するフェノールおよびフルオロスルホン酸無水物から製造されるフルオロサルフェートは、50ガロン規模での効率的なパラジウム触媒メトキシカルボニル化に関わる。
【0303】
トリフレート(OTf)のフルオロサルフェート(OSOF)による置き換えも、エノールエーテル類には実用的であることが明らかになっている。従って、フルオロスルホニルエノレートは、スティル(G. P. Roth, C. Sapino, Tetrahedron Lett. 1991, 32, 4073-4076)およびスズキクロスカップリング(L. N. Pridgen, G. K. Huang, Tetrahedron Lett. 1998, 39, 8421-8424)に関与し、アレン類(J. Kant, J. A. Roth, C. E. Fuller, D. G. Walker, D. A. Benigni, V. Farina, J. Org. Chem. 1994, 59, 4956-4966)およびアルキン類(M. Y. Lebedev, E. S. Balenkova, Zh. Org. Khim. 1988, 24, 1156-1161)に対する前駆体として使用することもできる。本発明者らは、SOが、関連するリチウムエノレートまたはシリルエーテルからのフルオロスルホニルエノールエーテル類の合成における有効な試薬であることが見出した(図14)。
【0304】
1級アミン類はSOガスによって急速にフルオロスルホニル化されるが、得られた付加物はN-スルファモイルプロトンの酸性性質により急速な脱離を起こしてアザスルフェン中間体となる。アミンによる捕捉によって、対称に置換されたスルファミド類が得られる(図15、パネルA)。他の手段によるモノ置換されたスルファモイルフルオリドの合成に関しては、いくつかの報告が利用可能である。それらには、アリールスルホンアミド類のホフマン転位(図15、パネルB)、親アルキルスルファモイルクロライド類のハライド交換(図15、パネルC)、およびフッ素化条件下でのアジリジンの開環(図15、パネルD)などがある。これらのプロセスはいずれも、生成物からの上記のHFの脱離を回避するために酸性もしくは中性条件下で行った。
【0305】
対照的に、2級アミン類はSOとスムーズに反応して、非常に安定な化合物であって、類縁のクロライドと比較して極めて堅牢性の高い化合物としてのN-ジ置換スルファモイルフルオリドを与える(図16)。代表的には、DMAPまたはDABCOなどの活性化剤が必要であり、環状アミン類についての0.5当量(発熱反応)から非環状アミン類についての完全当量の範囲である。多様な溶媒を用いることができ、CHClまたはTHFを用いると最も良好な反応速度が得られ、反応のセットアップは、フルオロサルフェート類の合成について上述のものと同一である(図11)。得られたスルファモイルフルオリド類は、簡単な酸性洗浄によって精製される。ジ置換アニリン類などの弱い求核剤は、妥当な期間内ではこれらの条件下でのSOとの反応に関与しない。
【0306】
本発明者らは、N-ジ置換スルファモイルフルオリド類が1週間を超える期間ににわたって塩基性条件下に室温で加水分解に対して安定であることを見出した。この系でのフルオリドの求核的置き換えには、加熱および水などの水素結合性溶媒によるフルオリドの離脱のための何らかの支援が必要である(図17、上図)。その反応は、置換基および求核剤の性質に応じて、S1およびS2の両方の特徴を有する傾向がある。さらに、この種類のスルファモイルフルオリドは、室温で有機溶媒中、アミン類、ホスフィン類、チオール類、有機リチウムおよびグリニャル試薬、水素化物、フェノキシドおよびヒドロキシドなどの広い範囲の求核剤に対して極めて不活性である。図17は、強い求核剤、還元剤、酸化剤、ラジカル、および強酸および強塩基が関与するものなどの各種の有用な合成変換とRNSOF基の適合性の評価結果を示している。
【0307】
三つの重要な特徴が、本明細書に記載のSuFEx反応を特徴付けるものである。第一に、SO-F結合は極めて強力であることから、望ましくない置換(加水分解など)は最小限となる。これによって、生体ポリマーなどの複雑なターゲットの正確な修飾が可能となる。第二に、フルオリドラジカルは近づき難いほどにエネルギッシュであることから、他のスルホニルハライド類の化学を複雑なものとするラジカル経路がスルホニルフルオリド類には存在しない。第三に、二つのパートナーがSO-F結合を形成および活性化する汎用的な方法を提供する。そのプロトンはフルオリドに対して極めて強い水素結合を形成する。それにより、弱酸性の溶媒、添加剤、そして特には界面であっても、SO-F結合の異方性開裂を支援することができる。さらに、ビフッ化物イオン(HF )は、置換反応に関して中等度に求核性のフルオリドの優れた入手源である。非プロトン性条件下では、SiおよびFが性質上最も強い単結合を形成することで、非常に安定なシリルエーテル前駆体からのSO-O結合の急速な形成が可能となることから、ケイ素が有用である。
【0308】
これらの要素によって、炭素-、酸素-、および窒素置換されたスルホニルフルオリド類(スルホニルフルオリド類、フルオロサルフェート類、およびスルファモイルフルオリド類)の強力な合成方法が可能となり、それは広い範囲の安定性に及び、それらを多様な設定で予測可能かつ強力な形で使用することを可能とするものである。合成化学者にとって、フルオロサルフェート基は、安価なトリフレート代替物として機能し得る。医薬品化学に関して、フルオロサルフェート基およびスルファモイルフルオリド基は、有用なファーマコフォアであり、生体分子の制御可能な共有結合性修飾因子である。全ての利用分野において、簡単で安価な容易に規模調節可能な分取方法は非常に有用である。本発明者らは、スルフリルフルオリドガスを用いて本明細書で示したものが多くの有用な目的のためのフルオロスルフリル構成要素の開発を加速するものと考えている。無関係なものを無視し、所望の標的もしくは条件に強く応答する能力により、SOFは、タンパク質表面などの複雑な分子の景色を探索したり、または絶対的な信頼性で小分子連結を作ることができる。
【0309】
ArOSOF基のArOHまたはArO-SO 基への加水分解および変換
生理活性化合物を提供することに加えて、ArOSOF基は、ArOHおよびArOSO 基についての簡単かつ選択的な保護基として、または簡便なArOSO 塩製造手段として利用することもできる。例えば、ArOSOF化合物は、水系サルファイトによって選択的に還元的加水分解を承けて、非常に高い収率で相当するArOH化合物を与えることができる。この容易な加水分解は、単にArOSOF化合物を亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩水溶液(例えば、約20mMから約2M亜硫酸塩水溶液)とともに撹拌することで達成することができる。あるいは、ArOSOF化合物を、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどの炭酸塩(例えば、約2モル当量の炭酸カリウムもしくはセシウム)の存在下に、無水アンモニア/メタノールとの反応によって加水分解してArOSO 塩とすることができる。そのArOSO を形成する反応は急速かつクリーンであり、そのような化合物のほとんどの合成とは異なっている。例えば、これらの手順によって、4-フルオロスルホニルオキシフェニルアセトアミドを容易に、実質的に定量的収率で4-ヒドロキシフェニルアセトアミドおよびフェニルアセトアミド-4-サルフェートに変換した。
【0310】
【化28】
【0311】
下記の非限定的な実施例は、本明細書に記載の組成物および方法の各種特徴および態様をさらに説明するために提供されたものである。
【実施例
【0312】
実施例1(A)。略称。
【0313】
BEMP=2-tert-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチルペルヒドロ-1,3,2-ジアザホスホリン、DBN=1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、DBU=1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、LHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、TCEP=トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、TMS=トリメチルシリル、TBS=tert-ブチルジメチルシリル。
【0314】
実施例1(B)。一般的方法
Hおよび13C NMRスペクトラムはBruker DRX-500、Bruker DRX-600、Bruker AMX-400装置で記録し、化学シフト(δ)は内部標準としての残留CHCl、アセトン、アセトニトリルまたはDMSOに対する百万分率で表す。プロトン磁気共鳴(H NMR)スペクトラムは、600、500、または400MHzで記録した。炭素磁気共鳴(13C NMR)スペクトラムは、150、125、または101MHzで記録した。フッ素磁気共鳴(19F NMR)スペクトラムは、376MHzで記録した。NMR取得は、別段の断りがない限り295Kで行った。略称は、s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;p、五重線;brs、広い一重線である。赤外線スペクトラムは、SMART MIRACLE HATR付属機器を搭載したTHERMONICOLET AVATAR 370フーリエ変換赤外線スペクトル計を用いて純粋な未希釈サンプルとして記録した。融点(mp)は、THOMAS-HOOVER融点装置を用いて測定し、未補正である。GC-MSデータは、電子衝撃(EI+)モードで動作するAGILENT 5975C Inert MSDシステムを搭載したAGILENT 7890A GCシステムで記録した[方法:T=50℃、t=2.25分;T=300℃、昇温=60℃/分、次にT=300℃、t=4分]。HPLCは、0.1%トリフルオロ酢酸/HOおよび0.05%トリフルオロ酢酸/CHCNで溶離を行うAgilent 1100SL質量分析装置(エレクトロスプレーイオン化、ES)を搭載したAGILENT 1100LC/MSDで実施した。高分解能質量分析は、Agilent ES-TOF装置で行った。プレコートMERCK F-254シリカゲルプレートを薄層分析クロマトグラフィー(TLC)に用い、短波長UV光を用い、または過マンガン酸カリウム染色によって肉眼観察した。カラムクロマトグラフィーは、EMD(Merck)シリカゲル60(40から63μm)を用いて実施した。原料はいずれも、Alfa Aesar、Aldrich、Acros、AKScientific、Fisher、LancasterまたはTCI化学会社から購入し、入荷したままの状態で使用した。溶媒は、Aldrich、FisherまたはAcros化学会社から購入し、入荷したままの状態で使用した(追加の脱水、蒸留および特別な取り扱い次述は全く行わなかった。)。
【0315】
実施例1(C)。スルホニルフルオリドと他のスルホニルハライド類の特性を示す反応。
【0316】
【化29】
【0317】
3-(フルオロスルホニル)ベンゾイルクロライド(1-1)。3-(フルオロスルホニル)安息香酸(2.1g;10mmol)を室温でCHCl(20mL)に溶かし、0℃でオキサリルクロライド(1M CHCl中溶液40mL、2当量)を加え、次にDMF(0.2mL)をゆっくり加えた。反応液を室温で6から8時間撹拌した。その後、溶媒および揮発分をロータリーエバポレータによって留去して、3-(フルオロスルホニル)ベンゾイルクロライドを黄色油状物として得て、それを次の段階で直接用いた。
【0318】
3-((3-エチニルフェニル)カルバモイル)ベンゼン-1-スルホニルフルオリド(1-2)。氷浴で冷却して0℃とした後、化合物1-1のCHCl(20mL)中溶液を、3-エチニルアニリン(1.2g、10mmol)/CHCl(20mL)で処理し、次にEtN(1.5mL、11mmol、1.1当量)をゆっくり加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌し、TLCによってモニタリングした。その後、反応液を1N HClで2回洗浄し、CHClで抽出した(100mLで2回)。合わせた有機相をNaSOで脱水し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(3:1ヘキサン:EtOAc、R0.35)によって精製して、所望の生成物を収率95%で(2段階で2.85g)白色固体として得た。融点155-157℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.60(s、1H)、8.40(d、J=8.0Hz、1H)、8.24(d、J=8.0Hz、1H)、7.88-7.84(m、2H)、7.70(m、1H)、7.33(t、J=8.0Hz、1H)、7.26-7.23(m、1H)、3.50(s、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ165.8、139.7、138.0、136.0、134.7(d、J=25Hz)、132.2、131.6、130.0、129.3、128.7、125.3、124.3、122.5、84.0、78.9;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+64.7;ESI-MS(m/z):304[MH]
【0319】
【化30】
【0320】
4-(ブロモメチル)ベンゼン-1-スルホニルフルオリド(1-3)を、収率93%で白色固体として得た(0.9g)。GC-MS分析により、15%のクロロ類縁体による標題化合物への混入が示された(4-(クロロメチル)ベンゼン-1-スルホニルフルオリド)。この混合物を、精製せずに次の段階で用いた。
【0321】
4-(((1R,3S,5S)-3-(4-(((1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-4-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)メチル)ベンゼン-1-スルホニルフルオリド(1-4)。
【0322】
粗4-(ブロモメチル)ベンゼン-1-スルホニルフルオリド(51mg;0.2mmol)および3-トリアゾリル-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタンアミン(Grimster, N.P.; Stump, B.; Fotsing, J.R.; Weide, T.; Talley, T.T.; Yamauchi, J. G.;Nemecz, A.; Kim, C.; Ho, K.-Y.; Sharpless、K.B. J Am Chem Soc 2012, 134, 6732-6740参照)(73mg;0.2mmol)を、室温でCHCN(1mL)中にて混合した。炭酸カリウム(30mg;1.1当量)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌し、LC-MSによってモニタリングした。完了後、反応混合物をロータリーエバポレータによって濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(6/1EtOAc/MeOH)によって精製して、所望の生成物を黄色油状物として得た(99mg、収率93%)。H NMR(400MHz、CDOD)δ8.28(s、1H)、7.97(d、J=8.0Hz、2H)、7.82(d、J=8.0Hz、1H)、7.77(d、J=8.0Hz、2H)、7.56(m、1H)、7.39(d、J=8.0Hz、1H)、7.16(t、J=8.0Hz、1H)、6.14(s、1H)、5.27(s、2H)、4.95(m、1H)、4.90(s、1H)、3.81(s、2H)、3.38(m、2H)、2.34(t、J=4.0Hz、2H)、2.22-2.19(m、2H)、2.08-2.01(m、2H)、1.97(s、1H)、1.84(d、J=12.0Hz、2H);13C NMR(101MHz、CDOD)δ165.4、163.2、150.0、143.0、140.6、132.8、132.5(d、J=25Hz)、131.1、129.5、124.5、124.2、123.3、117.3、115.7、97.6、63.1、60.4、56.1、54.9、38.7、29.7、27.2;19F NMR(376MHz、CDOD)δ+64.6;ESI-MS(m/z):538[MH]
【0323】
実施例1(D)。スルホンイミドイルフルオリド類の加水分解安定性の実証
【0324】
【化31】
【0325】
スルホンイミドイルフルオリド(1mmol)をアセトニトリル(0.1M)に溶かし、等量の緩衝液で希釈して加水分解プロセスを開始し、室温で数時間撹拌した。小分けサンプルを複数の時間点で取り、混合物の組成を質量分析によって分析した。図19は、時間の関数としての原料フルオリドの喪失を示している。
【0326】
実施例1(E)。カリウムビフルオリドで作られたスルホニルフルオリド(図19参照)。
【0327】
KHF水溶液およびCHCNを用いるスルホニルフルオリド類合成の代表的手順。4-ブロモベンゼン-1-スルホニルフルオリド(5-1)。
【0328】
KHF(71g;2.3当量)をHO(200mL)に溶かして、飽和溶液(吸熱反応)を作り、それを4-ブロモベンゼン-1-スルホニルクロライド(100g、1当量)のアセトニトリル(400mL)中溶液で処理した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、GC-MSによってモニタリングした。その後、反応混合物を分液漏斗に移し、有機層を回収した。水相をEtOAc(300mL)で抽出し、合わせた有機抽出液を10%NaCl水溶液(2回)、飽和塩化ナトリウム(1回)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ロータリーエバポレータによって濃縮して、所望の生成物を白色固体として得た(91.5g、収率98%)。融点63から64℃。H NMR:(400MHz、CDCl)δ7.88(dd、J=9.2Hz、2Hz、2H)、7.78(dd、J=9.2Hz、2Hz、2H);13C NMR:(101MHz、CDCl)δ133.1、131.9(d、J=25.5Hz)、131.3、129.8;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+65.9;GC-MS:4.68分;EI(m/z):240/238[M]
【0329】
この手順によって製造したスルホニルフルオリド化合物で、追加の精製を必要としたものはなかった。
【0330】
2-ブロモベンゼン-1-スルホニルフルオリド(5-2):明黄色結晶(1.1g、収率97%)。融点48から49℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.12(dd、J=7.2Hz、2.4Hz、1H)、7.84(dd、J=7.2Hz、1.6Hz、1H)、7.56(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ136.1、135.9、133.8(d、J=23.9Hz)、132.0、127.9、121.0;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+57.4;GC-MS(t):34.8分;EI-MS(m/z):240/238[M]
【0331】
2-メチルベンゼン-1-スルホニルフルオリド(5-3):無色油状物(1.54g、収率90%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.01(d、J=8Hz、1H)、7.64-7.60(m、1H)、7.43-7.38(m、2H)、2.68(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ139.0、135.4、132.9、132.3(d、J=22.2Hz)、130.0、126.7、20.2;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+59.8;GC-MS(t):4.1分;EI-MS(m/z):174[M]
【0332】
4-(フルオロスルホニル)安息香酸(5-4):アセトニトリルに代えてTHFを用いて上記手順によって製造した白色固体(6.9g、収率90%)。融点273-274℃。H NMR(400MHz、CDOD-d)δ8.21-8.18(m、2H)、8.07-8.03(m、2H);13C NMR(101MHz、CDOD-d)δ167.3、138.9、137.6(d、J=25.3Hz)、132.0、129.7;19F NMR(376MHz、CDOD-d)δ+64.2;EI-MS(m/z):205[M]
【0333】
3-(フルオロスルホニル)安息香酸(5-5):アセトニトリルに代えてTHFを用いて上記手順によって製造した白色固体(19.5g、収率96%)。融点152-154℃。H NMR(400MHz、CDOD-d)δ8.45(s、1H)、8.33(d、J=8Hz、1H)、8.12(d、J=8Hz、1H)、7.71(t、J=8Hz、1H);13C NMR(101MHz、CDOD-d)δ166.9、137.7、134.7(d、J=25.3Hz)、134.2、133.2、131.7、130.3;19F NMR(376MHz、CDOD-d)δ+64.5;EI-MS(m/z):205[M]
【0334】
4-ニトロベンゼン-1-スルホニルフルオリド(5-6):白色固体(22.6g、収率97%)。融点75-76℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.49(d、J=8Hz、2H)、8.25(d、J=8Hz、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ151.9、138.4(d、J=27.3Hz)、130.1、125.0;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+66.0;GC-MS(t):4.9分;EI-MS(m/z):205[M]
【0335】
3-ニトロベンゼン-1-スルホニルフルオリド(5-7):白色固体(22.3g、収率97%)。融点42-43℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.86(t、J=2.4Hz、1H)、8.64(d、J=8Hz、1H)、8.35(d、J=8Hz、1H)、7.93(t、J=8Hz、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ148.4、134.9(d、J=28.3Hz)、133.8、131.4、130.0、123.9;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+65.9;GC-MS(t):4.85分;EI-MS(m/z):205[M]
【0336】
2-ニトロベンゼン-1-スルホニルフルオリド(5-8):黄色固体(2.1g、収率98%)。融点55-57℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.23(dd、J=8Hz,1.6Hz、1H)、8.04(d、J=8Hz、1H)、7.97(dt、J=8Hz,1.6Hz,1H)、7.88(m、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ136.7、133.4、131.7、126.8(d、J=28.6Hz)、125.8;19F NMR(376MHz、CDCl,)δ+64.5;GC-MS(t):5.2分;EI-MS(m/z):205[M]
【0337】
ベンゼン-1,2-ジスルホニルジフルオリド(5-9):白色固体(0.87g、収率100%)。融点126-128℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.44(dd、J=5.6Hz、3.2Hz、2H)、8.07(dd、J=6Hz、3.2Hz、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ136.1、133.5、132.2(d、J=28.7Hz);19F NMR(376MHz、CDCl)δ+65.3;GC-MS(t):5.15分;EI-MS(m/z):242[M]
【0338】
4-ヨードベンゼン-1-スルホニルフルオリド(5-10):白色固体(1.4g、92%収率)。融点84-85℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.02(d、J=8.8Hz、2H)、7.71(d、J=8.8Hz、2H)、7.84(d、J=8.8Hz、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ139.03、132.5(d、J=25.5Hz)、129.4、104;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+65.6;GC-MS(t):5.0分;EI-MS(m/z):286[M]
【0339】
2-シアノベンゼン-1-スルホニルフルオリド(5-11):白色固体(0.97g、収率97%)。融点87-89℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.23-8.21(m、1H)、8.03-8.01(m、1H)、7.98-7.92(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ135.8,135.7、134.7(d、J=26.5Hz)、133.6、130.8、114.1、111.5;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+64.0;GC-MS(t):5.0分;EI-MS(m/z):185[M]
【0340】
4-(トリフルオロメチル)ベンゼン-1-スルホニルフルオリド(5-12):白色結晶固体(1.0g、収率98%)。融点68-69℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.17(d、J=8.4Hz、2H)、7.92(d、J=8.4Hz、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ137.0(q、J=33.5Hz)、136.4(d、J=26.7Hz)、129.1、126.9(q、J=3.7Hz)、122.7(q、J=271.7Hz);19F NMR(376MHz、CDCl)δ+65.4、-64.0;GC-MS(t):3.7分;EI-MS(m/z):228[M]
【0341】
2,4-ジメトキシベンゼン-1-スルホニルフルオリド(5-13):白色固体(2g、収率94%)。融点108-109℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.41(d、J=3.2Hz、1H)、7.24(dd、J=9.2Hz、3.2Hz、1H)、7.04(d、J=9.2Hz,1H)、3.95(s、3H)、3.81(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ152.9,152.2、123.6、121.3(d、J=23.3Hz)、114.9、114.3、56.9、56.1;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+58.6;GC-MS(t):6.0分;EI-MS(m/z):236[M]
【0342】
(E)-メチル3-(4-(フルオロスルホニル)フェニル)アクリレート(5-14):白色固体(0.3g、収率93%)。融点138-139℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.01(d、J=8.4Hz、2H)、7.74(d、J=8.4Hz,2H)、7.69(d、J=16Hz、1H)、6.58(d、J=16Hz、1H)、3.83(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ166.2、141.6、141.4,133.6(d、J=25.1Hz)、129.0、128.7,122.8、52.8;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+65.6;GC-MS(t):5.9分;EI-MS(m/z):244[M]
【0343】
2,4,6-トリイソプロピルベンゼン-1-スルホニルフルオリド(5-15):白色固体(0.6g、収率100%)。融点67-68℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.25(s、2H)、3.96(dq、J=6.8Hz、2.4Hz、2H)、2.95(q、J=6.8Hz、1H)、1.30(d、J=6.8Hz、12H)、1.27(d、J=6.8Hz、6H);13CNMR(101MHz、CDCl)δ155.3、150.7、128.0(d、J=18.4Hz)、124.0、34.4、30.1、24.5、23.4;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+72.2;GC-MS(t):5.7分;EI-MS(m/z):286[M]
【0344】
フェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)(5-16):白色固体(1.7g、収率98%)。融点93-94℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.46-7.44(m、5H)、4.59(d、J=4Hz、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ130.8、130.0、129.4、125.6、56.9(d、J=17.2Hz);19F NMR(376MHz、CDCl)δ+50.5;GC-MS(t):4.5分;EI-MS(m/z):174[M]
【0345】
3-クロロプロパン-1-スルホニルフルオリド(5-17):アセトニトリルを用いずに上記手順によって製造した明黄色油状物(3.27g、収率98%)(反応は水での懸濁液で行った。)。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.70(t、J=6.4Hz、2H)、3.58(dt、J=4.8Hz、7.6Hz、2H)、2.40(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ48.0(d、J=17.7Hz)、41.6、26.4;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+53.9;GC-MS(t):3.7分;EI-MS(m/z):160[M]
【0346】
((1R,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタ-1-イル)メタンスルホニルフルオリド(5-18):無色結晶(1.2g、収率94%)。融点78-80℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.82(dd、J=15.2Hz、2.8Hz、1H)、3.29(dd、J=15.2Hz、2.8Hz、1H)、2.45-2.29(m、2H)、2.16(t、J=4.4Hz、1H)、2.07(m、1H)、1.98(d、J=18.8Hz、1H)、1.73(m、1H)、1.48(m、1H),1.11(s、3H)、0.90(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ213.0、57.7、48.3、48.1(d、J=19.4Hz)、42.8、42.2、26.7、25.1、19.5;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+63.7;GC-MS(t):5.34分;EI-MS(m/z):234[M]
【0347】
実施例1(F)。スルホン酸類から製造されるスルホニルフルオリド類
【0348】
【化32】
【0349】
3-アジドプロパン-1-スルホニルフルオリド(6-1)の代表的合成手順。Kong, X., et al. US2008/0146642A1における手順に従って、3-アジドプロパン-1-スルホン酸ナトリウムを、白色固体として得た(16.25g、収率87%)。
【0350】
3-アジドプロパン-1-スルホン酸ナトリウム(9.35g、50mmol)を、トリフルオロメチルベンゼン(20mL、2.5M)に懸濁させた。オキサリルクロライド(4.3mL;50mmol)を0℃で反応混合物に加え、次にDMF 5滴を加えた。得られた白色懸濁液を室温で乾燥雰囲気下に(窒素または乾燥剤を充填した乾燥管)撹拌した。反応混合物を、プラスチック管中の冷飽和KHF水溶液(約4.5M、2.5当量)に加え、得られた二相懸濁液を室温で撹拌した。5時間後のGC-MS分析で変換が完了したことが示され、混合物を濾過して分液漏斗に入れ、追加の有機溶媒を用いて固体取得物を洗浄した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。分離した水相をトリフルオロメチルベンゼンで逆抽出し、有機相を脱水し、主たる有機溶液と合わせた。3-アジドプロパン-1-スルホニルフルオリドは揮発性化合物であることから、その溶液を保存し、原液として用いた。スルホニルフルオリドの濃度は、溶媒に対する定量的H NMRによって16重量%であると確定し、定量的収率と一致した。溶媒として0.5M CHCl/MeCN、1M濃度の3-アジドプロパン-1-スルホネート(25mmol規模)および1.5当量のオキサリルクロライドを用いて類似の手順を行って、スルホニルフルオリド6-1をH NMR積分による測定で収率87%(23重量%原液)で得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.54(t、J=6.3Hz、2H)、3.51-3.45(m、2H)、2.19(dq、J=8.8、6.4Hz、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ48.9、48.1(d、J=17.6Hz)、23.5;19F NMR(376MHz、CDCl)δ53.7;R(9:1ヘキサン:EtOAc):0.22;GC(t):3.8分;EI-MS(m/z):139[M-28]
【0351】
3-アジドブタン-1-スルホニルフルオリド(6-2)。ナトリウム3-アジドブタン-1-スルホネートを、Kong, X., et al. US2008/0146642A1における手順に従って、白色固体(21.6g、収率90%)として得た。ここで、トリフルオロメチルベンゼンでの上記の方法によって収率74%の6-2を得たが、0.5M CHCl/MeCN中での反応では、収率92%(30重量%原液)で所望の生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.45-3.40(m、2H)、3.38(t、J=6.3Hz、2H)、2.17-2.04(m、2H)、1.84-1.72(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ50.5、50.3(d、J=17.1Hz)、27.1、21.1;19F NMR(376MHz、CDCl)δ53.2;R(9:1ヘキサン:EtOAc):0.28;GC(t):5.0分;EI-MS(m/z):153[M-28]
【0352】
ペンタ-4-イン-1-スルホニルフルオリド(6-3)。ペンタ-4-イン-1-クロライド(0.2mol)およびNaSO(0.2mol)を水(200mL)中にて95℃で16時間加熱した。溶液を濃縮し、真空乾燥して、ナトリウムペンタ-4-イン-1-スルホネートおよびNaClの混合物を得た。この取得物を、それ以上精製せずに上記の手順で用いた。トリフルオロメチルベンゼン(25mmol規模)での反応では収率50%(ペンタ-4-イン-1-クロライドから3段階)のスルホニルクロライド(5.3重量%原液として)が得られ、0.5M CHCl/MeCN中の反応では所望の生成物6-3を収率60%(3段階、27重量%溶液)で得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.63-3.56(m、2H)、2.48(td、J=6.7、2.6Hz、2H)、2.28-2.17(m、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ80.8、70.8、49.5(d、J=17.6Hz)、22.6、16.8;19F NMR(376MHz、CDCl)δ53.4;R(9:1ヘキサン:EtOAc):0.30。
【0353】
4-(3-ブロモプロピル)ベンゼン-1-スルホニルフルオリド(6-4)。3-ブロモプロピル)ベンゼン(1.1g)のCHCl(10mL)中溶液を氷浴で冷却して0℃とし、連続冷却しながら注射器によりクロロ硫酸(2.2mL、6当量)でゆっくり処理した。30分後、氷浴を外し、反応混合物を室温で終夜撹拌した。混合物を氷水混合物(100g)に投入し、粗スルホニルクロライドをEtOAcで抽出した(30mLで2回)。合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、濃縮した。得られた粗スルホニルクロライドをアセトニトリル(10mL)に溶かし、飽和KHF水溶液(5mL)で処理した。反応混合物を室温で終夜撹拌しながら、GC-MSによってモニタリングした。完了したら、スルホニルフルオリドをEtOAcで抽出し(20mLで3回)、合わせた有機相を無水NaSOで脱水し、濃縮して、6-4を黄色油状物として得た(1.4g、2段階で収率90%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.92(d、J=8.0Hz、2H)、7.47(d、J=8.0Hz、2H)、3.39(t、J=8.0Hz、2H)、2.92(t、J=8.0Hz、2H)、2.20(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ149.7、130.8(d、J=25Hz)、129.9、128.7、34.0、33.4、32.4;19F NMR(376MHz、CDOD)δ+65.8;GC-MS(t):5.8分;EI-MS(m/z):280[M]
【0354】
4-ヒドロキシベンゼン-1-スルホニルフルオリド(6-5)。50mL丸底フラスコに4-ヒドロキシベンゼンスルホネート(2.56g)を入れた。塩化チオニル(10mL)を加え、混合物を窒素雰囲気下に6時間加熱還流した。過剰の塩化チオニルの大部分を蒸留によって留去し、トルエン(10mL)の添加およびロータリーエバポレータによって最後の痕跡量を留去した。得られた粗スルホニルクロライド(黄色油状物)をCHCN(20mL)に溶かし、飽和KHF水溶液(5mL)で処理した。反応混合物を室温で終夜撹拌し、GC-MSによってモニタリングした。完了したら、スルホニルフルオリドをEtOAcで抽出し(20mLで3回)、無水NaSOで脱水し、濃縮した。所望の生成物を無色結晶として得た(1.84g、二段階で収率80%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.86(d、J=12.0Hz、2H)、7.04(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ162.7、131.2、123.2(d、J=23Hz)、116.7;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+66.8;ESI-MS(m/z):177[MH]
【0355】
実施例1(G)。相当するクロライドから製造したスルホンイミドイルフルオリド類
【0356】
【化33】
【0357】
一般手順:原料のスルホンイミドイルクロライドをアセトニトリル(0.33M)に溶かし、等体積の飽和KHF水溶液を撹拌しながら加えた。反応混合物を室温で数時間撹拌した。完了したら(LC-MSまたはGCによってモニタリング)、アセトニトリル層を分離し、NaSOで脱水し、濃縮した。粗スルホンイミドイルクロライドを用いた場合、生成物フルオリドの純粋なサンプルをカラムクロマトグラフィーによって得た。
【0358】
N-(メチルスルホニル)ベンゼンスルホンイミドイルフルオリド(7-1)を、収率95%(0.9g)で白色固体として単離した。融点77-78℃;H NMR(500MHz、CDCN)δ8.15(d、J=8.0Hz、2H)、7.93(t、J=7.5Hz、1H)、7.76(t、J=8.0Hz、2H)、3.28(s、3H);13C NMR(126MHz、CDCN)δ137.9、133.4(d、J=19.9Hz)、131.3、128.9、45.0;19F NMR(376MHz、CDCl)δ71.9;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.31;ESI-MS(m/z):238[MH]
【0359】
N-トシルベンゼンスルホンイミドイルフルオリド(7-2)。粗スルホンイミドイルクロライドを原料として、粗フルオリド生成物を短カラムクロマトグラフィー(9:1ヘキサン:EtOAcから1/1)によって精製して、白色固体を得た(3.8g、収率71%)。融点60-61℃;H NMR(400MHz、CDCl)δ8.04(d、J=8.5Hz、2H)、7.94(d、J=8.2Hz、2H)、7.79(t、J=7.5Hz、1H)、7.62(t、J=7.9Hz、2H)、7.33(d、J=8.0Hz、2H)、2.43(s、3H);13C NMR(1MHz、CDCl)δ144.5、139.0、136.3、133.3(d、J=20.2Hz)、129.9、129.8、128.2、127.2、21.8;19F NMR(376MHz、CDCl)δ73.5;R(6:4ヘキサン:EtOAc):0.46;ESI-MS(m/z):294[MH]
【0360】
N-((3-アジドプロピル)スルホニル)ベンゼンスルホンイミドイルフルオリド(7-3)。粗スルホンイミドイルクロライドから出発して、粗フルオリド生成物を、短いカラムクロマトグラフィー(1:1CHCl:ヘキサン)によって精製して無色油状物を得た(1.32g、収率79%)。H NMR(500MHz、CDCN)δ8.13(d、J=6.9Hz、2H)、7.96-7.88(m、1H)、7.78-7.70(m、2H)、3.53-3.46(m、2H)、3.46-3.39(m、2H)、2.17-2.07(m、2H);13C NMR(126MHz、CDCN)δ137.9、133.3(d、J=19.6Hz)、131.2、128.9、54.4、50.0、24.3;19F NMR(376MHz、CDCl)δ72.9;R(6:4ヘキサン:EtOAc):0.49;ESI-MS(m/z):329[MNa]
【0361】
N-メチルカーボネートベンゼンスルホンイミドイルフルオリド(7-4)。生成物を、収率82%で(0.9g)黄色油状物として単離した。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.09-8.05(m、2H)、7.78-7.72(m、1H)、7.63-7.57(m、2H)、3.78(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ154.3、135.8、133.3(d、J=20.6Hz)、129.7、128.1、54.2;19F NMR(376MHz、CDCl)δ68.5;R(8:2ヘキサン:EtOAc):0.40;ESI-MS(m/z):218[MH]
【0362】
一般手順。窒素上にアルキルまたはアリール置換基を有するスルホンイミドイルフルオリド類を、Kowalczyk, R.; Edmunds, A. J. F.; Hall, R. G.; Bolm, C. Org. Lett.2011, 13, 768-771によって既報の手順に従って製造した。原料のスルホンイミドイルまたはスルファモイルクロライドをアセトニトリル(0.1M)に溶かし、ホイルで包んだフラスコ中にて1時間AgF(1.2-1.5当量)で処理した。完了したら、1M HCl(0.2M)で反応停止し、室温で30から60分間撹拌し、次にセライトで濾過、CHClで洗浄し、濃縮し、短いシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0363】
N-(3-エチニルフェニル)ベンゼンスルホンイミドイルフルオリド(7-5)を褐色油状物として単離した(0.5g、収率80%)。H NMR(600MHz、CDCN)δ8.22-8.19(m、2H)、7.85(t、J=7.5Hz、1H)、7.72(t、J=7.9Hz、2H)、7.38-7.34(m、2H)、7.31-7.30(m、1H)、7.30-7.28(m、1H)、3.43(s、1H);13C NMR(151MHz、CDCN)δ140.6(d、J=5.4Hz)、136.4、136.3、135.6(d、J=24.8Hz)、130.8、129.0、128.6、127.9(d、J=5.0Hz)、125.5(d、J=4.6Hz)、124.1、83.5、79.4;19F NMR(376MHz、CDCN)δ80.3;R(6:4ヘキサン:EtOAc):0.47;ESI-MS(m/z):260[MH]
【0364】
N-(1-エチニルシクロヘキシル)-4-ニトロベンゼン-1-スルホンイミドイルフルオリド(7-6)。原料のスルホンイミドイルクロライドをスルフェニルアミドを原料として製造し、次にmCPBAで酸化を行った。上記一般手順を用いて、7-6を黄色油状物として単離した(1.0g、収率81%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.37(d、J=8.8Hz、2H)、8.23(d、J=8.8Hz、2H)、2.55(s、1H)、2.15-2.04(m、2H)、1.92-1.83(m、2H)、1.72-1.61(m、4H)、1.59-1.50(m、1H)、1.37-1.26(m、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ150.8、142.5(d、J=30.2Hz)、142.4、129.1、124.3、86.1(d、J=5.8Hz)、72.3、56.4(d、J=3.2Hz)、41.0(d、J=2.2Hz)、40.8(d、J=4.0Hz)、25.1、22.9(d、J=3.8Hz);19F NMR(376MHz、CDCl)δ90.5;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.68;ESI-MS(m/z):311[MH]
【0365】
実施例1(H)。2-クロロエタンスルホニルフルオリドおよびESFの製造(Hyatt et al. JOC, 1979, 44, 3847-3858から適合)。
【0366】
【化34】
【0367】
2-クロロエタン-1-スルホニルクロライド、2-クロロエタン-1-スルホニルフルオリド、およびESFを用いる全ての操作は、良好に換気されたドラフトで行わなければならない。強力なアルキル化剤として、注意を払って吸入または皮膚接触を回避しなければならない。
【0368】
2-クロロエタンスルホニルフルオリド。1リットル丸底フラスコに磁気撹拌バー、KHF(187g、2.4mol)および水(0.5L)を入れた。KHFの完全な溶解が達成されるまで、反応混合物を室温で20分間撹拌した(これは吸熱プロセスであり、内部温度5℃に達する)。2-クロロエタン-1-スルホニルクロライド(180.7g、1.05mol)を冷飽和カリウムビフルオリド溶液に投入し、反応混合物を室温で3時間高撹拌した。反応をGC-MS(低注入温度およびカラム温度を使用)またはNMRによってモニタリングした。完了したら、無希釈スルホニルフルオリドの有機層を分離し、ブラインで洗浄して、2-クロロエタン-1-スルホニルフルオリド約150gを明黄色油状物として得た。生成物の残りをCHCl(100mL)を用いて水系KHF層から抽出した。この有機抽出液をブラインで洗浄し、濃縮し、生成物の最初のバッチと合わせた。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.94-3.90(m、2H)、3.83-3.78(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ52.5(d、J=7.2Hz)、35.0;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+57.2;GC-MS(t):2.3分;EI-MS(m/z):146[M]
【0369】
回収したビフルオリド溶液(この時点では、KHおよびKClの混合物を含む)を、1当量のKF溶液を加えることで再充填した。0.5モル規模でこの溶液を用いて上記の反応を繰り返して、収率100%で2-クロロエタンスルホニルフルオリドを得た。さらに2回の再充填/反応サイクルを同じ規模で行って、収率98%を得た。
【0370】
エテンスルホニルフルオリド(ESF)。撹拌バーおよび内部温度計を取り付けた1リットル2頸丸底フラスコを氷水浴に入れた。反応フラスコに氷冷水(0.4L)および2-クロロエタン-1-スルホニルフルオリド(232.5g;1.59mol;1当量)を入れた。反応温度を35℃以下に維持しながら(至適な温度は約25℃)、高撹拌した反応混合物にMgO(35.3g;0.875mol;0.55当量)を少量ずつ加えた。(温度が高いほど収率が低くなり、温度が低いほど反応が過度に遅くなる。)。最後のMgOを加えた後、反応混合物をさらに2から3時間撹拌した。完了したら(GC、NMRによってモニタリング)、無希釈ESFの下層を分液漏斗で除去した。生成物を、MgSOとともに20分間撹拌することで脱水し、濾過して、無希釈ESF125.7g(収率72%)を得て、それをプラスチック瓶に入れて保存した。残りの生成物(約2.3g)をジクロロメタン(150mL)によって水層から抽出し、MgSOで脱水した。得られた溶液を、原液として用いることができるか、低圧真空下に濃縮して、無希釈ESFを得ることができる。
【0371】
実施例1(I)。窒素、酸素および炭素求核剤のESF修飾
【0372】
【化35】
【0373】
セクションA:(S)-1-(2-(フルオロスルホニル)エチル)ピロリジン-2-カルボン酸(10-1)。プロリン(5g;43mmol)を95:5EtOH:HO(100mL)に懸濁させ、ESF(4mL、44mmol)で処理した。反応混合物を室温で数時間撹拌した。完了後、黄色溶液を濃縮し、真空乾燥して、生成物を白色固体として得た(9.45g、収率97%)。H NMR(600MHz、DMSO-d)δ4.18-4.03(m、H)、3.35-3.28(m、1H)、3.25(dt、J=13.6,7.0Hz、1H)、3.04-2.94(m、2H)、2.55-2.51(m、1H)、2.07-1.97(m、1H)、1.87-1.79(m、1H)、1.77-1.67(m、2H);13C NMR(151MHz、CDCl)δ174.4、64.2、51.9、48.9(d、J=11.5Hz)、28.7、23.0;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+57.6;ESI-MS(m/z):226[MH]
【0374】
(7R)-7-((R)-2-(ビス(2-(フルオロスルホニル)エチル)アンモニオ)-2-(4-ヒドロキシフェニル)アセトアミド)-3-メチル-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクタ-2-エン-2-カルボシレート(10-2)。セファドロキシル(363mg;1mmol)を、純粋EtOH(2mL)に懸濁させ、ESF(0.2mL;2.2mmol)で処理した。反応混合物を50℃で終夜撹拌した。得られた黄色溶液をロータリーエバポレータによって濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(90:10:3から90:10:6EtOAc:EtOH:HO)によって精製して、所望の生成物を白色固体として得た(0.5g、収率86%)。融点225から230℃(分解)。H NMR(400MHz、DMSO-d)δ9.56(bs、1H)、9.00(d、J=8Hz、1H)、7.13(d、J=8Hz、2H)、6.70(d、J=8Hz、2H)、5.59(t、J=8Hz、1H)、5.00(d、J=4Hz、1H)、4.70(s、1H)、4.13-4.06(m、2H),3.90-3.82(m、2H)、3.46(d、J=16Hz、1H)、3.23-3.18(m、3H)、3.06-2.99(m、2H)、1.94(s、3H);13C NMR(101MHz、DMSO-d)δ172.0、163.7、157.7、130.3、126.5、115.6、66.5、58.8、57.4、49.3(d、J=10Hz)、45.1、29.3、19.8;19F NMR(376MHz、DMSO-d)δ+57.9;R(EtOAc/EtOH/HO-90/10/6):0.41;ESI-MS(m/z):606[MNa]
【0375】
セクションB:1級および2級アミンのESFとの反応の一般的手順(Krutak, J. J.; Burpitt, R. D.; Moore, W.H.;Hyatt, J. A. J. Org. Chem. 1979, 44, 3847-3858から調整)。原料のアミン(1当量)を有機溶媒(通常はCHClまたはTHF、0.1から0.5Mの基質)に溶かし、ESF(1から2.5当量)で処理した。LC-MSによって変換をモニタリングしながら、反応混合物を室温で数分から数時間撹拌した。完了したら、溶媒および過剰のESFをロータリーエバポレータによって留去し、真空乾燥することで、通常は純度の高い生成物が得られる。カラムクロマトグラフィーによる精製について言及がある場合、それは痕跡量の不純物を除去するのに行ったものである。
【0376】
2,2′-((2-(1H-インドール-3-イル)エチル)アザネジイル)ジエタンスルホニルフルオリド(10-3)。CHCl中での反応;生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(9:1から6:4ヘキサン:EtOAc)によってさらに精製して、11-3を黄色油状物として得た(1.9g、収率100%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.04(s、1H)、7.57(d、J=7.8Hz、1H)、7.37(d、J=7.9Hz、1H)、7.23(t、J=7.5Hz、1H)、7.16(t、J=7.4Hz、1H)、7.01(brs、1H)、3.48-3.39(m、4H)、3.15-3.05(m、4H)、2.96-2.89(m、2H)、2.89-2.80(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ136.3、127.1、122.3、122.2、122.1、119.6、118.5、113.0、111.5、54.2、49.4(d、J=13.2Hz)、47.9、23.3;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+57.9;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.27;ESI-MS(m/z):381[MH]
【0377】
2,2′-((フラン-2-イルメチル)アザネジイル)ジエタンスルホニルフルオリド(10-4)。2当量のESFの存在下でのCHCl中での反応(0.33M)。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(95:5から7:3ヘキサン:EtOAc)によって精製して、11-4を黄色油状物として得た(1.6g、収率99%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.41(dd、J=1.9、0.8Hz、1H)、6.37(dd、J=3.2、1.9Hz、1H)、6.28(dd、J=3.2、0.7Hz、1H)、3.81(s、2H)、3.53(td、J=6.9、3.6Hz、4H)、3.16(td、J=7.0、1.2Hz、4H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ149.9、143.1、110.7、110.1、49.6、49.4(d、J=11.1Hz)、47.9;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+57.9;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.47;ESI-MS(m/z):340[MNa]
【0378】
2-((4-(2-オキソピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)エタンスルホニルフルオリド(10-5)。DMF(基質0.38g、2mmol)およびESF(0.2mL、1.1当量)中での反応。反応混合物を50℃で終夜撹拌し、LC-MSによってモニタリングした。その後、反応混合物をロータリーエバポレータによって濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、ベージュ固体を得た(570mg、収率95%)。融点188から189℃。R(EtOAc):0.2.H NMR(400MHz、DMSO-d)δ7.08(d、J=8Hz、2H)、6.61(d、J=8Hz、2H)、5.96(t、J=8Hz、1H)、4.07(dd、J=12、4Hz、2H)、3.59(dd、J=12、4Hz、2H)、3.47(t、J=4Hz、2H)、2.31(t、J=4Hz、2H)、1.80(m、4H);13C NMR(101MHz、DMSO-d)δ168.6、145.5、133.3、127.1、112.1、51.3、49.7(d、J=10Hz)、37.6、32.5、23.1、21.0;19F NMR(376MHz、DMSO-d)δ+58.4;ESI-MS(m/z):301[MH]
【0379】
2-(1-((1S,2S)-2-ヒドロキシシクロヘキシル)-2-(4-メチルベンゾイル)-ヒドラジニル)エタンスルホニルフルオリド(10-6)。THF中での基質(0.5g、2mmol)およびESF(0.2mL、1.1当量)との反応により、白色結晶固体(融点174から176℃)を定量的収率で得た(0.712g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.67(d、J=8.2Hz、2H)、7.27(d、J=8.0Hz、3H)、7.18(s、1H)、3.81-3.71(m、1H)、3.65-3.57(m、1H)、3.57-3.50(m、2H)、3.26(ddd、J=11.0、9.4、4.6Hz、1H)、2.66(ddd、J=11.4、9.3、3.6Hz、1H)、2.42(s、3H)、2.10-2.02(m、1H)、1.91(d、J=10.2Hz、1H)、1.84-1.77(m、1H)、1.77-1.68(m、1H)、1.40-1.13(m、4H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ168.4、143.5、129.7、129.1、127.3、72.0、70.4、49.9(d、J=15.3Hz)、49.8、33.0、25.0、24.2、24.1、21.7;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+56.8;ESI-MS(m/z):359[MH]
【0380】
4-(3-カルボキシ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-7-イル)-1-(2-(フルオロスルホニル)エチル)ピペラジン-1-イウムクロライド(10-7)。原料(HCl塩)のDMF中懸濁液(0.5M基質)を4当量のESFで処理し、反応混合物を50℃で終夜撹拌した。生成物を濾過によって白色沈澱として回収し、ヘキサンで洗浄し、乾燥させた(4.2g、収率88%)。H NMR(400MHz、TFA-d)δ9.35(s、1H)、8.28(d、J=12Hz、1H)、8.00(d、J=4Hz、1H)、4.34-4.29(m、4H)、4.14-4.11(m、3H)、4.04(t、J=8Hz、2H)、3.91(t、J=12Hz、2H)、3.69(t、J=12Hz、2H)、1.69(d、J=8Hz、2H)、1.44(d、J=4Hz、2H);13C NMR(151MHz、DMSO-dとPy-d)δ176.5、166.1、153.1(d、J=250.0Hz)、147.8、145.0(d、J=10.1Hz)、139.0、118.8(d、J=7.8Hz)、111.0(d、J=22.7Hz)、106.9、106.3(d、J=3.2Hz)、51.7、50.9、49.2(d、J=4.6Hz)、48.1(d、J=11.5Hz)、35.7、7.5;19F NMR(376MHz、DMSO-dとPy-d)δ+59.3、-121.4;ESI-MS(m/z):442[MH]
【0381】
2-(4-(2-クロロジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン-11-イル)ピペラジン-1-イル)エタンスルホニルフルオリド(10-8)。原料のアミン(314mg、1mmol)およびESF(0.1mL、1.1当量)をCHCl中で反応させて、所望の生成物を白色固体として得た(420mg、定量的収率)。融点158-159℃。H NMR(400MHz、アセトン-d)δ7.57(dd、J=8、4Hz、1H)、7.46(d、J=4Hz、1H)、7.37(d、J=8Hz、1H)、7.17-7.15(m、1H)、7.12-7.07(m、2H)、7.03-6.98(m、1H)、4.03(m、2H)、3.57(m、4H)、3.07(m、2H)、2.79(m、4H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ159.3、158.7、151.9、139.8、134.4、132.8、130.3、129.0、127.1、125.9、124.9、124.8、122.8、120.2、52.4、51.2、48.7(d、J=15Hz)、47.2;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+57.5;ESI-MS(m/z):424[MH]
【0382】
2-(2-メチル-4-ニトロ-1H-イミダゾール-1-イル)エタンスルホニルフルオリド(10-9)。THF中での原料のイミダゾール(38mg、0.3mmol)およびESF(0.03mL;1.1当量)との反応によって、白色結晶固体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィーによってさらなる精製を行って、所望の生成物を得た(65mg、収率91%)。融点164から165℃。R(EtOAc):0.60;H NMR(400MHz、アセトン-d)δ8.23(s、1H)、4.81(t、J=8Hz、2H)、4.53(q、J=8Hz、2H)、2.50(s、3H);13C NMR(101MHz、アセトン-d)δ206.3、146.3、121.7、50.6(d、J=16.2Hz)、41.7、12.9;19F NMR(376MHz、アセトン-d)δ+56.8;ESI-MS(m/z):238[MH]
【0383】
セクションC:ESFのスルホンアミドおよびアルコールとの反応についての一般的手順。原料(1当量)およびトリフェニルホスフィン(0.1当量)をCHClに溶かし(0.33M基質)、ESF(1から2.5当量)で処理した。適宜にLC-MS、GC-MS、またはTLCによって変換をモニタリングしながら、反応混合物を室温で終夜撹拌した。完了したら、CHClおよび過剰のESFをロータリーエバポレータによって留去し、粗生成物を短いシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0384】
2-(4-メチル-N-(プロパ-2-イン-1-イル)フェニルスルホンアミド)エタンスルホニルフルオリド(10-10)を、白色固体として得た(251mg、収率78%)。R(5:1ヘキサン:EtOAc):0.25;融点125から126℃;H NMR(400MHz、CDCl)δ7.74(d、J=8.3Hz、2H)、7.35(d、J=8.5Hz、2H)、4.15(d、J=2.5Hz、2H)、3.87-3.80(m、2H)、3.71-3.65(m、2H)、2.45(s、3H)、2.19(t、J=2.5Hz、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ144.8、134.5、130.1、127.9、76.2、75.0、50.4(d、J=16.0Hz)、41.9、38.8、21.8;19F NMR(376MHz、CDCl)δ55.9;ESI-MS(m/z):320[MH]
【0385】
2,2′-(((4-(3-フェニル-5-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)スルホニル)アザネジイル)-ジエタンスルホニルフルオリド(10-11)を白色固体として得た(175mg、収率60%)。R(5:1ヘキサン:EtOAc):0.21;融点135から137℃;H NMR(400MHz、CDCl)δ7.84(d、J=8.6Hz、2H)、7.58(d、J=8.6Hz、2H)、7.47-7.43(m、1H)、7.43-7.39(m、1H)、7.28-7.23(m、3H)、6.80(s、1H)、3.86-3.80(m、4H)、3.71-3.66(m、4H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ145.4、144.8(d、J=38.3Hz)、143.9、135.7、130.0、129.4、129.0、128.8、128.6、117.4(d、J=336.3Hz)、107.2、50.7、50.6(d、J=16.1Hz)、45.6;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+59.4、-62.8;ESI-MS(m/z):588[MH]
【0386】
2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エタンスルホニルフルオリド(10-12)を無色油状物として単離した(2g、収率60%)。生成物は非常に揮発性であることから、EtOAcの留去を緩やかに行ったら、サンプル中に少量の溶媒が残った。R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.43.H NMR(400MHz、CDCl)δ4.20(d、J=4Hz、2H)、4.00(dt、J=4、8Hz、2H)、3.66(m、2H)、2.51(t、J=4Hz、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ78.3、75.9、62.5、58.6、51.0(d、J=17.2Hz);19F NMR(376MHz、CDCl)δ+58.5.EI-MS(m/z):166[M]
【0387】
セクションD:2,2′-((3-エチニルフェニル)アザネジイル)ジエタンスルホニルフルオリド(10-13)。(Hyatt et al. J. Org. Chem., 1979, 44, 3847-3858から調整)ESF(1.8mL、20mmol)を氷酢酸(3mL)中のアニリン(1.17g、10mmol)に加え、反応混合物を50℃で24時間撹拌した。完了したら、粗生成物を濾過によって単離し、ヘキサンで洗浄し、CCl-CHClから再結晶した。所望の生成物を、明褐色結晶として得た(2.94g、収率87%)。融点98から100℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.31(t、J=8.0Hz、1H)、7.10-7.06(m、1H)、6.85-6.82(m、1H)、6.78-6.73(m、1H)、4.01(t、J=6.4Hz、4H)、3.67-3.59(m、4H)、3.10(s、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ144.0、130.5、124.3、124.2、117.6、115.0、83.3、78.0、48.3(d、J=14.4Hz)、46.8;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+57.2;ESI-MS(m/z):338[MH]
【0388】
セクションE:2-(ナフタレン-2-イルオキシ)エタンスルホニルフルオリド(10-14)。THF(2mL)に溶かした2-ナフトール(0.29g;2mmol)をESF(0.2mL、1.1mmol)で処理し、次にテトラブチルアンモニウムフルオリド(1M THF中溶液0.2mL、10mol%)を加えた。反応混合物を室温で48時間撹拌した。ロータリーエバポレータによって溶媒を留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(95:5ヘキサン:EtOAc)によって精製して、生成物を白色固体として得た(0.42g、収率81%)。融点70から72℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.82-7.74(m、3H)、7.50(t、J=8Hz、1H)、7.41(t、J=8Hz、1H)7.19-7.13(m、2H)、4.54(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ155.3、134.2、130.0、129.6、127.8、126.9、126.8、124.4、118.5、107.3、61.0、50.6(d、J=17.1Hz);19F NMR(376MHz、CDCl)δ+59.1;GC-MS(t):6.56分;EI-MS(m/z):254[M]
【0389】
セクションF:ESFの1,3-ジカルボニル化合物との反応の一般的手順。原料化合物(1当量)およびキニーネ(0.1当量)をCHClに溶かし(0.33M基質)、ESF(1.1当量)で処理した。適宜にLC-MS、GC-MS、またはTLCによって変換をモニタリングしながら、反応混合物を室温で数時間撹拌した。完了したら、CHClおよび過剰のESFをロータリーエバポレータによって留去し、粗生成物を短いカラムクロマトグラフィー(9:1から6:4ヘキサン:EtOAc)によって精製した。
【0390】
2-(1-アセチル-2-オキソシクロペンチル)エタンスルホニルフルオリド(10-15)を白色固体(2.23g、収率95%)として得た。融点76から78℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.47-3.31(m、4H)、2.60-2.47(m、1H)、2.43(brs、2H)、2.34-2.24(m、2H)、2.15(s、3H)、2.07-1.96(m、4H)、1.81(dt、J=12.6、6.5Hz、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ215.3、203.5、65.7、46.7(d、J=18.2Hz)、38.4、32.6、26.9、26.5、19.7;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+51.8;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.29;EI-MS(m/z):194[M-COMe]、236[M]
【0391】
エチル1-(2-(フルオロスルホニル)エチル)-2-オキソシクロペンタン-カルボキシレート(10-16)を白色固体として得た(2.4g、収率88%)。融点36から38.5℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.17(qq、J=7.2、3.6Hz、2H)、3.87-3.73(m、1H)、3.57-3.43(m、1H)、2.56-2.42(m、2H)、2.41-2.27(m、1H)、2.30-2.17(m、2H)、2.15-2.03(m、1H)、2.03-1.86(m、2H)、1.23(t、J=7.1Hz、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ213.9、170.6、62.2、57.5、46.9(d、J=17.6Hz)、38.0、34.9、27.3、19.7、14.1;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+51.4;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.50;EI-MS(m/z):266[M]
【0392】
3-シアノ-4-オキソ-4-(ピペリジン-1-イル)ブタン-1-スルホニルフルオリド(10-17)をとして得た粘稠黄色油状物(2.0g、収率76%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.96(t、J=8Hz、1H)、3.81-3.68(m、2H)、3.65-3.51(m、2H)、3.49-3.39(m、2H)、2.60(m、2H)、1.80-1.58(m、6H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ160.5、115.8、47.8(d、J=18.1Hz)、47.1、44.0、31.8、25.7、25.2、23.9、23.4;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+53.7;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.29;EI-MS(m/z):262[M]
【0393】
実施例1(J)。気体SOを用いて簡便な手順によって製造されるアリールフルオロサルフェート
【0394】
【化36】
【0395】
セクションA。トリエチルアミンを塩基として用いる代表的手順:プロパン-2,2-ジイルビス(4,1-フェニレン)ジフルオロスルホネート(12-10)。2リットル単頸丸底フラスコに、ビスフェノール-A(114.9g、0.5mol)、CHCl(1リットル)およびEtN(174mL、1.25mol、2.5当量)を入れた。混合物を室温で10分間撹拌した。反応フラスコをセプタムで密閉し、溶液の上の雰囲気を緩やかな真空によって留去し、SOガス(スルフリルフルオリド、VIKANE)を、そのガスを充填した風船から針によって導入した。それのような規模の大きい反応の場合、風船からのスルフリルフルオリドの欠乏が容易に観察され、必要な場合は、追加の試薬を新しい風船を用いて導入した。小規模反応の場合、SOを過剰に用いた。これらの反応は、TLCによって容易に追跡することができる。
【0396】
GC-MSおよびTLCによってモニタリングしながら、反応混合物を室温で2から4時間高撹拌した。完了後、溶媒を留去しロータリーエバポレータによって、残留物をEtOAc(1リットル)に溶かし、溶液を1N HCl(500mLで2回)およびブライン(500mLで2回)で洗浄した。有機相を無水NaSOで脱水し、濃縮した。得られた固体を60℃で高真空下に終夜乾燥させて、所望の化合物を定量的収率で白色結晶固体として得た(197.1g、収率100%)。融点48から49℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.34-7.32(m、2H)、7.28-7.26(m、2H)、1.72(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ150.4、148.2、128.7、120.5、42.9、28.4、30.7;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+37.0;GC-MS(t):7.2分;EI-MS(m/z):392[M]
【0397】
フェニルフルオロスルホネート(12-1)を収率94%で無色油状物として単離した(1.65g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.51-7.47(m、2H)、7.43-7.41(m、1H)、7.36-7.34(2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ150.1、130.4、128.6、120.8;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+37.0;GC-MS(t):3.85分;EI-MS(m/z):176[M]
【0398】
3-アセトアミドフェニルフルオロスルホネート(12-2)を、収率99%で明褐色固体(融点113から114℃)として単離した(2.3g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.45(bs、1H)、7.80(s、1H)、7.44-7.41(m、1H)、7.38-7.34(m、1H)、7.06-7.04(m、1H)、2.19(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl3)δ169.4、150.1、139.9、130.4、119.5、116.1、112.5、24.3;19F NMR(376MHz、CDCl3)δ+37.4;GC-MS(t):6.0分;EI-MS(m/z):233[M]
【0399】
(1,1′-ビフェニル)-4-イルフルオロスルホネート(12-3)を、収率99%で白色固体(融点89から90℃)として単離した(5.0g)。H NMR:(400MHz、CDCl)δ7.70-7.66(m、2H)、7.60-7.57(m、2H)、7.52-7.47(m、2H)、7.45-7.41(m、3H);13C NMR:(101MHz、CDCl)δ149.4、141.9、139.2、129.0、128.1、127.2、121.1;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+37.1;GC-MS(t):5.9分;EI-MS(m/z):252[M]
【0400】
4-ニトロフェニルフルオロスルホネート(12-4)を、収率95%で黄色油状物として単離した(4.2g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.37(dd、J=7.2Hz、2.4Hz、2H)、7.55(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ153.3、147.3、126.1、122.1;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+38.9;GC-MS(t):4.9分;EI-MS(m/z):221[M]
【0401】
3当量のEtNを用いて一般手順F17に従って、4-アミノフェニルフルオロスルホネート(12-5)を、収率91%で褐色固体(融点41-42℃)として単離した(8.0g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.08(d、J=8.5Hz、1H)、6.65(d、J=8.7Hz、1H)、3.87(brs、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ146.9、142.1、121.8、115.6、115.5;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+35.5;GC-MS(t):5.0分;EI-MS(m/z):191[M]
【0402】
2-イソプロピル-5-メチルフェニルフルオロスルホネート(12-6)を、収率99%で無色油状物として単離した(2.4g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.29(d、J=8Hz、1H)、7.18(d、J=8Hz、1H)、7.13(s、1H)、3.28(q、J=2.8Hz、1H)、2.37(s、3H)、1.27(d、J=2.4Hz、3H)、1.25(d、J=2.4Hz、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ147.8、137.8、137.4、129.6、127.6、120.9、26.7、23.1、20.8;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+38.9;GC-MS(t):4.6分;EI-MS(m/z):232[M]
【0403】
3-メトキシフェニルフルオロスルホネート(12-7)を、収率91%で無色油状物として単離した(0.4g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.36(m、1H)、6.96-6.92(m、2H)、6.86(m、1H)、3.83(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ161.0、150.8、130.8、114.5、112.7、107.0、55.8;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+37.2;GC-MS(t):4.5分;EI-MS(m/z):206[M]
【0404】
ナフタレン-2-イルフルオロスルホネート(12-8)を、収率98%でオフホワイト固体(融点34から35℃)として単離した(22.13g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.95(d、J=9.1Hz、1H)、7.93-7.87(m、2H)、7.82(d、J=2.6Hz、1H)、7.64-7.54(m、2H)、7.44(ddd、J=9.0、2.5、0.9Hz、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ147.7、133.5、132.6、131.0、128.2、128.1、127.8、127.5、119.1、119.0;19F NMR(376MHz、CDCl)δ37.2;GC(t):5.4分;EI-MS(m/z):226[M]
【0405】
1,4-フェニレンジフルオロスルホネート(12-9)を、収率92%で明褐色固体(融点92から93℃)として単離した(5.1g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.21(s、4H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ142.6、125.3、111.7;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+40.6;GC-MS(t):4.7分;EI-MS(m/z):274[M]
【0406】
(E)-ヘキサ-3-エン-3,4-ジイルビス(4,1-フェニレン)ジフルオロスルホネート(12-11)を、収率95%で白色固体(融点122から123℃)として単離した(0.8g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.38-7.36(m、2H)、7.33-7.30(m、2H)、2.12(q、J=7.6Hz、2H)、0.78(t、J=7.6Hz、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ148.7、142.6、138.7、130.5、120.6、28.4、13.1;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+37.0;GC-MS(t):7.5分;EI-MS(m/z):432[M]
【0407】
(E)-2-((2-フルオロスルホキシベンジリデン)アミノ)ベンゼンフルオロサルフェート(12-12)を、収率95%で灰色固体(融点78から79℃)として単離した(1.8g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.79(s、1H)、8.39(dd、J=8.0、2.0Hz、1H)、7.66-7.62(m、1H)、7.57-7.53(m、1H)、7.49-7.37(m、2H)、7.35-7.26(m、1H)、7.25(dd、J=8.0、2Hz、1H);13C NMR(100MHz、CDCl)δ155.3、149.8、143.6、143.4、133.7、129.7、129.6、129.2、127.9、122.1、121.5、120.2;19F NMR(375MHz、CDCl)δ40.0、38.4;GC-MS(t):6.9分;EI-MS(m/z):377[M]
【0408】
(3-オキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1,1-ジイル)ビス(4,1-フェニレン)ジフルオロスルホネート(12-13)を、収率94%で白色固体(融点89から91℃)として単離した(11.3g)。H NMR:(400MHz、CDCl)δ7.98(d、J=8.0Hz、1H)、7.79(m、1H)、7.66-7.63(m、1H)、7.59(d、J=7.6Hz、1H)、7.49-7.45(m、4H)、7.36-7.33(m、4H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ168.5、150.2、149.9、140.9、134.8、130.2、129.2、126.6、125.2、123.8、121.3、89.5;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+37.7;GC-MS(t):9.9分;EI-MS(m/z):482[M]
【0409】
エタン-1,1,1-トリイルトリス(ベンゼン-4,1-ジイル)トリフルオロスルホネート(12-14)を、定量的収率で白色固体(融点94から95℃)として単離した(5.6g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.33-7.30(m、6H)、7.21-7.18(m、6H)、2.23(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ148.6、148.0、130.4、120.8、52.0、30.8;19F NMR:(376MHz、CDCl)δ+37.4;GC-MS(t):9.3分;EI-MS(m/z):454[M-OSOF]
【0410】
(8R,9S,13S,14S,17R)-17-エチニル-17-ヒドロキシ-13-メチル-7,8,9,11,12,13,14,15,16,17-デカヒドロ-6H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イルフルオロスルホネート(12-15)を、収率96%で粘稠無色ゲルとして単離した(0.8g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.36(d、J=8.4Hz、1H)、7.09(dd、J=8.8Hz、2.4Hz1H)、7.03(d、J=2.0Hz、1H)、2.90-2.87(m、2H)、2.62(s、1H)、2.38-2.25(m、3H)、2.17(s、1H)、2.05(m、1H)、1.94-1.90(m、2H)、1.81-1.68(m、3H)、1.53-1.36(m、4H)、0.89(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ147.9、140.9、139.5、127.2、120.5、117.5、87.3、79.6、74.1、49.3、46.9、43.6、38.8、38.6、32.5、29.4、26.6、26.1、22.7、12.5;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+36.8;GC-MS(t):8.5分;EI-MS(m/z):378[M]
【0411】
3-(ジフェニルホスホリル)フェニルフルオロスルホネート(12-16)を、収率97%で粘稠黄色油状物として単離した(3.7g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.72-7.65(m、2H)、7.65-7.57(m、8H)、7.57-7.51(m、5H)、7.51-7.48(m、1H)、7.48-7.41(m、8H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ145.0、149.8、136.9、135.9、132.6、132.60、132.2、132.1、132.0、131.9、131.5、131.0、130.9、130.5、128.9、128.8、124.5(d、J=5.3Hz)、124.4(d、J=3.2Hz);19F NMR(376MHz、CDCl)δ38.0;R(EtOAc):0.6;ESI-MS(m/z):377[MH]
【0412】
2当量のDIPEAを用い、一般手順F17に従って、5-クロロキノリン-8-イルフルオロスルホネート(12-17)を、収率99%で淡黄色固体(融点105から107℃)として単離した(6.5g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ9.09(dd、J=4.1、1.6Hz、1H)、8.60(dd、J=8.6、1.6Hz、1H)、7.72-7.61(m、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ152.4、144.8、141.0、133.4、132.1、127.9、125.9、123.6、121.4;19F NMR(376MHz、CDCl)δ40.5;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.67;GC(t):5.98分;EI-MS(m/z):261[M]
【0413】
2-オキソ-2H-クロメン-7-イルフルオロスルホネート(12-18)を、収率98%でオフホワイト固体(融点121から124℃)として単離した。(11.9g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.73(dd、J=9.7、0.6Hz、1H)、7.62(d、J=8.6Hz、1H)、7.35(d、J=2.3Hz、1H)、7.29(ddd、J=8.5、2.4、0.9Hz、1H)、6.50(d、J=9.7Hz、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ159.3、154.8、151.3、142.2、129.8、119.1、118.1、117.3、110.4;19F NMR(376MHz、CDCl)δ38.8;GC(t):5.94分;EI-MS(m/z):244[M]
【0414】
4-(2-アミノ-2-オキソエチル)フェニルフルオロスルホネート(12-19)を、収率96%で白色固体(融点109から110℃)として単離した(11.22g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.38(d、J=8.6Hz、2H)、7.31(d、J=8.4Hz、2H)、6.18(brs、1H)、5.70(brs、1H)、3.58(s、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ172.9、149.3、135.7、131.5、121.4、42.2;19F NMR(376MHz、CDCl)δ37.2;ESI-MS(m/z):234[MH]
【0415】
4当量のトリエチルアミンを用いて一般手順に従って、2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-4-メチルフェニルフルオロスルホネート(12-20)を、収率98%で粘稠無色油状物(静置していると固化する)として単離した(4.54g)。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%から20%EtOAc/ヘキサン)によって、さらなる精製を行った。融点63から64℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.04(d、J=2.1Hz、1H)、7.98-7.92(m、2H)、7.50-7.42(m、3H)、7.35(dd、J=8.5、2.2Hz、1H)、2.49(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ145.3、140.4、139.6、132.5、131.2、127.9、127.0、123.0、118.7、21.1;19F NMR(376MHz、CDCl)δ42.4;R(9:1ヘキサン:EtOAc):0.44;ESI-MS(m/z):308[MH]
【0416】
ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イルフルオロスルホネート(12-21)を、収率88%で無色油状物として単離した(9.68g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ6.83-6.80(m、3H)、6.05(s、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ148.7、147.8、144.2、114.2、108.4、103.1、102.7;19F NMR(376MHz、CDCl)δ36.1;R(9:1ヘキサン:EtOAc):0.54;GC(t):4.82分;EI-MS(m/z):220[M]
【0417】
6-メチルピリジン-3-イルフルオロスルホネート(12-22)を、収率78%で無色針状物として単離した(2.97g)。粗生成物を、EtOAc(50mLで2回)による抽出;NaHCO(35mL)、ブライン(10mL)による洗浄、次に短いカラム(SiO;30%EtOAc/ヘキサン)での濾過によって精製した。融点33から34.5℃;H NMR(400MHz、CDCl)δ8.52(d、J=2.9Hz、1H)、7.57(dd、J=8.6、2.6Hz、2H)、7.27(d、J=8.6Hz、1H)、2.60(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ159.5、145.4、141.8、128.8、124.5、24.1;19F NMR(376MHz、CDCl)δ37.4;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.46;ESI-MS(m/z):192[MH]
【0418】
5-ホルミル-2-メトキシフェニルフルオロスルホネート(12-23)を、収率98%で黄色油状物として単離した(4.25g)。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO;30%EtOAc/ヘキサン)によって精製した。H NMR(400MHz、CDCl)δ9.84(s、1H)、7.87(dd、J=8.5、2.0Hz、1H)、7.81(dd、J=2.0、1.2Hz、1H)、7.18(d、J=8.5Hz、1H)、3.98(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ189.1、156.0、139.2、132.4、129.9、122.7、113.4、56.7;19F NMR(376MHz、CDCl)δ40.1;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.41;GC(t):5.4分;EI-MS(m/z):234[M]
【0419】
4-ホルミル-2-メトキシフェニルフルオロスルホネート(12-24)を、収率97%で黄色固体(融点45から49℃)として単離した(45.37g)。H NMR(400MHz、CDCl)δ9.94(s、1H)、7.70-7.34(m、3H)、3.96(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ190.4、152.0、142.7、137.1、123.9、123.2、112.2、56.5;19F NMR(376MHz、CDCl)δ40.4;R(9:1ヘキサン:EtOAc):0.36;GC(t):5.2分;EI-MS(m/z):234[M]
【0420】
4-アリル-2-メトキシフェニルフルオロスルホネート(12-25)を、収率97%で無色油状物として単離した(119.56g)。粗生成物を、短いシリカ層での濾過(10%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、褐色不純物を除去した。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.23(dd、J=8.3、1.3Hz、1H)、6.90(d、J=2.0Hz、1H)、6.83(ddt、J=8.3、2.0、0.6Hz、1H)、6.02-5.91(m、1H)、5.16(td、J=1.5、0.9Hz、1H)、5.15-5.11(m、1H)、3.90(s、3H)、3.43-3.40(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ151.0、142.4、137.4、136.3、122.1、120.9、116.9、113.7、56.1、40.1;19F NMR(376MHz、CDCl)δ38.9;R(9:1ヘキサン:EtOAc):0.64;GC(t):5.3分;EI-MS(m/z):246[M]
【0421】
メシチルフルオロスルホネート(12-26)を、4当量のトリエチルアミンを用いて製造し、次にシリカゲル層での短い濾過を行って、所望の生成物を収率85%(0.68g)で無色液体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ6.97-6.94(m、2H)、2.39-2.36(m、6H)、2.32(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ146.9、138.2、130.5、129.2、20.7、16.5;19F NMR(376MHz、CDCl)δ42.4;R(95:5ヘキサン:EtOAc):0.72;GC(t):4.6分;EI-MS(m/z):218[M]
【0422】
カテコール環状サルフェート(12-27)を無色結晶固体として得た(1.6g、収率92%)。融点33から35.5℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.23-7.18(m、4H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ142.6、125.3、111.7;GC-MS(t):4.4分;EI-MS(m/z):172[M]
【0423】
7,7,7′,7′-テトラメチル-6,6′,7,7′-テトラヒドロ-5,5′-スピロビ[インデノ[5,6-d][1,3,2]ジオキサチオール]2,2,2′,2′-テトラオキサイド(12-28)。6当量のEtN/CHCl溶媒(0.25M基質)を用いて上記の手順を行った。粗生成物を少量のヘキサン(褐色不純物を溶解)に懸濁させ、12-28を濾過によって白色結晶固体として単離した(15.27g)。母液濃縮後に第の生成物バッチを得て(3.18g)、合計(18.55g、収率80%)を得た。融点223から225℃。R(9:1ヘキサン:EtOAc)0.54.H NMR(400MHz、CDCl)δ7.02(s、2H)、6.62(s、2H)、2.32(dd、J=90.4、13.3Hz、4H)、1.41(s、6H)、1.35(s、6H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ149.45、146.07、142.40、142.14、107.79、106.06、58.81、58.31、44.24、31.70、30.20.
【0424】
3-(o-トリル)ナフト[2,3-e][1,2,3]オキサチアジン-4(3H)-オン2,2-ジオキシド(12-29)。上記手順を3.5当量のEtNを用いて行った。粗生成物を少量のCHCl中で懸濁させ、濾過した。純粋な生成物を白色粉末として回収し、乾燥した(2.81g、収率78%)。融点203から204℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.81(s、1H)、8.08-8.05(m、1H)、7.96-7.93(m、1H)、7.81(s、1H)、7.74(ddd、J=8.3、6.9、1.3Hz、1H)、7.64(ddd、J=8.2、6.9、1.2Hz、1H)、7.48-7.34(m、4H)、2.36(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ160.4、145.9、138.5、136.7、133.8、131.9、131.1、131.0、130.9、130.7、130.0、129.8、127.9、127.7、127.6、116.1、116.0、18.1;EI-MS(m/z):339[M]
【0425】
II.二相反応条件についての代表的手順。3,5-ビス(フルオロスルホネート)安息香酸(12-30)。3,5-ジヒドロキシ安息香酸(0.77g、5mmol)を3:2CHCl:水混合物(0.5M)に溶かした。ジイソプロピルエチルアミン(4.5mL、25mmol)を加え、反応フラスコをセプタムで密閉し、空気を排気し、SOガスを充填した風船を導入した。反応混合物をSO雰囲気下に室温で終夜高撹拌した。完了したら、揮発分をロータリーエバポレータによって留去し、残留物を酸性とし、CHClで抽出した。所望の生成物を白色固体として得た(1.45g、収率91%)。融点127から128℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ10.8(brs、1H)、8.19(d、J=2.3Hz、2H)、7.68(t、J=2.3Hz、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ168.1、150.1、133.8、123.3、120.3;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+39.1;ESI-MS(m/z):317[M]
【0426】
(4R,4aS,7aR,12bS)-3-(シクロプロピルメチル)-4a-ヒドロキシ-7-オキソ-2,3,4,4a,5,6,7,7a-オクタヒドロ-1H-4,12-メタノベンゾフロ[3,2-e]イソキノリン-9-イルフルオロサルフェート(12-31)。ナルトレキソン-HCl塩・2水和物(50mg、0.12mmol)および3当量のEtN/1:1CHCl:水(0.1M)を原料として上記手順を行った。後処理(飽和NaHCO)およびカラムクロマトグラフィー(95:5CHCl:MeOH、R0.47)による精製後に、所望の生成物を白色固体として得た(42mg、収率82%)。融点135から138℃。H NMR(600MHz、CDCl)δ7.06(d、J=8.4Hz、1H)、6.75(d、J=8.4Hz、1H)、4.80(s、1H)、3.23(d、J=5.8Hz、1H)、3.11(d、J=19.0Hz、1H)、3.04(td、J=14.5、5.0Hz、1H)、2.73(dd、J=12.3、4.8Hz、2H)、2.63(dd、J=18.9、5.9Hz、1H)、2.46(td、J=12.7、5.3Hz、1H)、2.41(dd、J=6.5、1.8Hz、2H)、2.33(dt、J=14.5、3.2Hz、1H)、2.08(td、J=12.3、3.8Hz、1H)、1.92(ddd、J=13.3、5.0、2.8Hz、1H)、1.57(ddd、J=26.4、13.3、3.5Hz、2H)、0.86(p、J=5.7Hz、1H)、0.60-0.53(m、2H)、0.15(q、J=4.8Hz、2H);13C NMR(151MHz、CDCl)δ206.7、147.6、133.9、131.9、131.5、122.6、120.2、91.7、69.9、61.7、59.2、51.1、43.3、36.1、31.4、30.8、23.2、9.4、4.1、3.9;19F NMR(376MHz、CDCl)δ38.3;ESI-MS(m/z):424[MH]
【0427】
(S)-2-アジド-3-(4-((フルオロスルホニル)オキシ)フェニル)プロパン酸(12-32)。(S)-2-アジド-3-(4-((フルオロスルホニル)オキシ)フェニル)プロパン酸のジシクロヘキシルアミン塩および2当量のEtNを原料として、上記手順を行った。生成物を黄色油状物として得た(0.65g、収率89%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.02(bs、1H)、7.38(m、2H)、7.31(m、2H)、4.20(q、J=4.4Hz、1H)、3.23(dd、J=14.4Hz、3.2Hz、1H)、3.05(dd、J=14.4Hz、8.8Hz、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ174.4、149.2、136.7、131.3、121.1、62.6、36.5;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+37.2;ESI-MS(m/z):262[(M-N)H]、312[(M+Na)]
【0428】
(E)-2-((4-((フルオロスルホニル)オキシ)フェニル)ジアゼニル)安息香酸(12-33)。2当量のEtNを用いて、上記手順を行った。粗生成物をシリカゲルでの迅速な濾過によって精製し、50%EtOAc/ヘキサンで不純物を洗い流し、生成物を70%EtOAc/ヘキサンで溶離した。R(1:1ヘキサン:EtOAc)0.19。所望の生成物を橙赤色固体として得た(7.16g、収率88%)。融点101から102℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.46-8.36(m、1H)、8.04-7.92(m、3H)、7.76-7.68(m、2H)、7.58(d、J=8.5Hz、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ166.5、152.4、151.0、149.7、134.0、133.4、133.2、127.7、125.5、122.6、116.3;19F NMR(376MHz、CDCl)δ38.5;ESI-MS(m/z):262[M-H]。
【0429】
4-(5-チオキソ-4,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール-1-イル)フェニルフルオロサルフェート(12-34)。1.2当量のEtNを用いて、上記手順を行った。生成物をピンク固体として得た(6.29g、収率98%)。融点130から131℃(分解)。H NMR(400MHz、DMSO-d)δ8.18-8.12(m、2H)、7.92-7.86(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ149.3、134.2、126.9、126.5、122.4;19F NMR(376MHz、CDCl)δ39.8;ESI-MS(m/z):277[MH]
【0430】
2-オキソ-7-(((2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-2H-クロメン-6-イルフルオロサルフェート(12-35)。エスクリン水和物(540mg、1.5mmol)および約10.6当量のEtN(2回に分けて加えた)/CHCl:水(9mL:6mL、全体で0.1M基質)を原料として、上記手順を行った。粗生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した[99:1-97:3CHCN:水、R(95:5CHCN:水)0.49]。アセトニトリル溶液からの溶媒留去後に、所望の生成物を白色固体として得た(469mg、収率74%)。融点145から147℃。19F NMRは、9:1比で2種類の立体配座異性体の混合物の存在を示していた。19F NMR(376MHz、DMSO-d)δ41.4(主成分)、38.5(少量成分);H NMR(主要異性体)(500MHz、DMSO-d)δ7.55(d、J=9.7Hz、1H)、7.45(s、1H)、7.30(s、1H)、6.16(d、J=9.7Hz、1H)、4.91(d、J=5.0Hz、1H)、4.67(d、J=4.5Hz、1H)、4.63(d、J=5.4Hz、1H)、4.61(d、J=7.3Hz、1H)、4.12(t、J=5.8Hz、1H)、3.27(ddd、J=11.7、5.5、2.1Hz、1H)、3.05(dt、J=11.6、5.8Hz、1H)、2.99-2.94(m、1H)、2.86-2.82(m、2H)、2.79-2.73(m、1H);13C NMR(主要異性体)(126MHz、DMSO-d)δ159.3、147.7、144.9、143.2、139.8、119.6、117.9、115.8、111.6、100.9、77.3、76.8、73.1、69.5、60.5;ESI-MS(m/z):423[MH]
【0431】
III.NaHを塩基として用いる代表的手順。メシチルフルオロスルホネート(12-26):
原料のメシチルフェノール(2.89g、21mmol)を脱水THFに溶かし、不活性雰囲気下に0℃でNaH(60%鉱油中懸濁液1.26g、31.5mmol、1.5当量)を加えた。反応混合物を昇温させて室温とし、15から30分間撹拌した。Hの発生が停止した後、混合物を冷却して0℃とし、不活性ガス導入管を外し、低真空とし、SOガスを高撹拌しながら風船から導入した。0℃で15分後、反応混合物を昇温させて室温とした。1時間後、GC-MSにより、フルオロサルフェートへの97%変換、残留量の原料フェノール、および少量のジサルフェート(1%未満)が示された。反応混合物を空気に開放し、pH3から4となるまで1N HCl(約35mL)で反応停止し、EtOAcで抽出し(50mLで2回)、ブライで洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮した。粗生成物を短いカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、無色油状物を得た(4.37g、収率94%)。R(95:5ヘキサン:EtOAc)0.72。
【0432】
(+)-α-トコフェロールのフルオロサルフェート(12-36)。Isso, B.; Ryan、D. Eur. J. Lipid Sci. Technol. 2012, 114, 927-932の文献手順に従って、市販の(+)-α-トコフェロールおよび植物油の混合物から、(+)-α-トコフェロールを抽出した。ビタミンE/油混合物(20g、約60%ビタミンE)をヘキサン(40mL)に溶かした。アセトニトリル20mLおよびメタノール20mLの混合物を加え、得られた混合物を1分間渦撹拌し、次に5分間放置して分離させた。上のアセトニトリル-メタノール層を単離し、ヘキサンで洗浄し、濃縮して、(+)-α-トコフェロール13.4g(回収率77%)を得た。R(95:5ヘキサン:EtOAc)0.56。
【0433】
上記SO反応手順に従った後、(+)-α-トコフェロールの粗フルオロサルフェートをカラムクロマトグラフィー(100:0から95:5ヘキサン:EtO)によって精製した。R(95:5ヘキサン:EtOAc)0.90。生成物を粘稠無色油状物として得た(9.82g、収率82%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ2.62(t、J=6.8Hz、2H)、2.25(s、3H)、2.22(s、3H)、2.13(s、3H)、1.83(ddt、J=35.5、13.2、6.8Hz、2H)、1.66-1.50(m、3H)、1.51-1.36(m、4H)、1.36-1.22(m、8H)、1.27(s、3H)、1.20-1.05(m、6H)、0.93-0.85(m、12H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ151.1、142.0、127.6、126.2、124.5、118.5、75.9、40.1、39.5、37.6、37.5、37.4、33.0、32.8、31.0、28.1、25.0、24.6、24.0、22.9、22.8、21.1、20.8、19.9、19.8、13.7、12.9、12.1;19F NMR(376MHz、CDCl)δ40.8;C2949FOSの元素分析計算値:C、67.93;H、9.63;F、3.71.実測値:C、67.73;H、9.56;F、3.72。
【0434】
2,5-ジメチル-4-(モルホリノメチル)フェニルフルオロサルフェート(12-37)。上記手順で、原料として2,5-ジメチル-4-(モルホリノメチル)フェノール-HCl水和物を用い、3当量のNaHを用いた。カラムクロマトグラフィー(9:1から7:3ヘキサン:EtOAc)によって、所望の生成物を白色固体として得た(2.4g、収率54%)。融点93.5から95.5℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.20(s、1H)、7.08(s、1H)、3.69(brs、4H)、3.41(s、2H)、2.43(brs、4H)、2.35(s、3H)、2.32(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ147.9、137.7、136.8、133.4、127.1、122.4、67.2、60.6、53.8、19.0、15.7;19F NMR(376MHz、CDCl)δ38.4;ESI-MS(m/z):304[MH]
【0435】
IV.塩基としてDBUを用いる代表的手順。ジナフト[2,1-d:1′,2′-f][1,3,2]ジオキサチエピン4,4-ジオキシド(12-38)。ビナフトール(1.0g、3.5mmol)をアセトニトリル(35mL、0.1M基質)に溶かした。反応フラスコをセプタムで密閉し、空気を排気し、SOガスを充填した風船を導入し、次にDBUを注射器によって加えた(1.1mL、7.2mmol、2.05当量)。GC-MSおよびTLCによってモニタリングしながら、反応混合物をSO雰囲気下に室温で数時間高撹拌した。完了したら、反応液をEtOAc(50mL)で希釈し、1N HCl(25mLで2回)、ブライン(10mL)で洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮した。所望の生成物を白色固体として得た(1.21g、定量的)。融点198から199℃。R(7:3ヘキサン:EtOAc)0.33.GC-MS(t):9.6分;EI-MS(m/z):348[M]。NMRスペクトラムは、Koy, C.; Michalik, M.; Oehme, G.; Alm、J.; Kempe, R. Sulfur Letters, 1998, 21(2), 75-88によって既報のデータと一致した。
【0436】
実施例1(K)。シリル-フルオリド複分解を介したフルオロサルフェート類およびサルフェート類。
【0437】
セクションA。DBUの存在下でのシリル化フェノール類およびスルフリルフルオリドガスからのフルオロサルフェートの合成の代表的手順。4-(メチルアミノ)フェニルフルオロスルホネート(13A-1)。TBS保護フェノール(2.4g、10.15mmol)を脱水アセトニトリルに溶かした(20mL、0.5M基質)。反応フラスコをセプタムで密閉し、空気を排気し、SOガスを充填した風船を導入し、DBUを注射器によって注入した(145μL、1mmol)。GC-MSまたはLC-MSによってモニタリングしながら、反応混合物を室温で数時間高撹拌した。完了したら、1N HCl(50mL)で反応停止し、EtOAcで抽出した(100mLで2回)。有機抽出液をブライン(35mL)で洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮した。生成物を褐色油状物として得て、それは静置したら固化した(2.05g、収率99%)。融点37から40℃。R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.55.H NMR(400MHz、CDCl)δ7.15-7.12(m、2H)、6.59(m、2H)、4.12(bs、1H)、2.83(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ148.9、141.4、121.6、112.8、30.7;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+35.3;GC(t):5.2分;EI-MS(m/z):205[M]
【0438】
極性非プロトン性溶媒(アセトニトリル、NMPおよびDMF)は、当変換を促進する。非プロトン性溶媒(CHCl、クロロホルム、トリフルオロトルエン、THF)も、反応時間が長くなる点を犠牲にして、使用することが可能である。フェノール性シリルエーテル基の選択も、反応速度に対する顕著な効果を有する。TMS保護フェノール類が関与する反応は通常、完了に達するのに1から4時間を要するが、それより嵩高いTBS基での反応では6から8時間を要する。DBU触媒は、DBNまたはBEMPに代えることができる。
【0439】
ベンゼン-1,3,5-トリイルトリフルオロスルホネート(13A-2)。CHCN:THF(10mL+10mL)中の1,3,5-トリス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ベンゼン(1.0g、2.1mmol)および30mol%のDBUを用いることで、白色固体が得られた。カラムクロマトグラフィー(9:1ヘキサン:EtOAc)によってさらに精製を行って、所望の化合物を白色固体として得た(0.69g、収率86%)。融点96から98℃。R(9:1ヘキサン:EtOAc)0.62.H NMR(400MHz、CDCl)δ7.53(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ150.3、115.7;19F NMR(376MHz、CDCl)δ39.5;GC-MS(t):4.9分;EI-MS(m/z):372[M]
【0440】
2,2-ジオキシドベンゾ[d][1,3,2]ジオキサチオール-4-イルフルオロスルホネート(13A-3)。CHCN(100mL)中の1,2,3-トリス((トリメチルシリル)オキシ)ベンゼン(3.42g、10mmol)をDBU(30mol%、450μL)で処理し、SOガスを、氷浴で0℃に冷却した溶液に導入した。反応混合物を4から5時間高撹拌し、その後にエーテルに代えてEtOAcを用いて反応後処理を行った。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(95:5から7:3ヘキサン:EtOAc)によって精製して、所望の化合物を無色油状物として得た(1.9g、収率70%)。R(7:3ヘキサン:EtOAc)0.66.H NMR(400MHz、CDCl)δ7.39-7.29(m、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ143.72、134.49、132.87、125.81、119.03、112.24;19F NMR(376MHz、CDCl)δ40.2;GC-MS(t):5分;EI-MS(m/z):270[M]
【0441】
(S)-tert-ブチル(3-(2,2-ジオキシドベンゾ[d][1,3,2]ジオキサチオール-5-イル)-1-(メトキシ(メチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カーバメート(13A-4)。ビス-TBS保護フェノール(1.62g、2.85mmol)をCHCN(20mL)に取った。上記の方法に従って、DBU(20mol%;85μL)およびSOガスを室温で導入し、反応混合物を18時間高撹拌した。粗取得物を、ヘキサン:EtOAc(3:1から1:1)で溶離を行う短いシリカゲル層に通して、所望の生成物を純粋な無色油状物として得て、それは静置していると固化した(1.1g、収率96%)。融点108から111℃。R(3:2ヘキサン:EtOAc)0.41.H NMR(500MHz、CDCl)δ7.04(d、J=8.4Hz、1H)、7.02(s、1H)、6.96(d、J=8.5Hz、1H)、5.49(d、J=8.4Hz、1H)、4.88-4.80(m、1H)、3.68(s、3H)、3.12(s、3H)、3.01(dd、J=13.7、5.4Hz、1H)、2.80(dd、J=13.8、7.8Hz、1H)、1.30(s、9H);13C NMR(126MHz、CDCl)δ171.4、155.1、142.3、141.3、135.1、126.2、112.7、111.3、79.7、61.6、51.4、38.4、32.0、28.1;EI-MS(m/z):425[M+Na]
【0442】
セクションB。DBUの存在下でのシリル化フェノール類およびフルオロサルフェート類からのサルフェート類の合成の代表的手順。シリル化エーテル(1当量)をアセトニトリルに溶かし(0.1から0.5M基質)、フルオロサルフェート(1当量)を加え、反応混合物を数分間撹拌して均一溶液を得た。DBU(10から30mol%)を加え、LC-MSまたはTLCによって反応プロセスをモニタリングしながら反応混合物を室温で(別段の断りがない限り)数時間撹拌した。留意すべき点として、反応容器を換気して、揮発性のシリルフルオリド副生成物を逃がすようにしなければならない。完了したら、1NHCl(アミン官能基が基質に存在しなかったら)で反応停止し、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮した。必要な場合は、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0443】
極性非プロトン性溶媒(アセトニトリル、NMP、DMF)は、この変換を促進する。シリルエーテルのアセトニトリル中での溶解度が低い場合は、THFを共溶媒として用いることができる。フェノール成分上のシリル基の選択は、フルオロサルフェート成分の立体的特性に応じて調節しなければならない。立体障害フルオロサルフェートは長い反応時間および高温を必要とすることから、この場合のカップリング相手としてのより安定なTBS保護フェノールの使用によってよりきれいな変換が提供される。より反応性の高いフルオロサルフェートは、より反応性の高いTMS保護フェノールを用いるとよりきれいな変換となる。反応性フルオロサルフェートを遅いTBS保護フェノールとカップリングさせる場合、フルオロサルフェートのホモカップリングの対称生成物が各種量で認められ得る。DBU触媒に代えて、DBNまたはBEMPを用いることができる。
【0444】
(8R,9S,13S,14S,17R)-17-エチニル-17-ヒドロキシ-13-メチル-7,8,9,11,12,13,14,15,16,17-デカヒドロ-6H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル((R)-2,5,7,8-テトラメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチルトリデシル)クロマン-6-イル)サルフェート(13B-1)。80℃で終夜撹拌して、フルオロサルフェート(493mg、0.96mmol)、アセトニトリル(4mL)、TBS保護ステロイド(381μL、0.96mmol)、およびDBU(30μL、0.19mmol)から製造した。カラムクロマトグラフィー(9:1から7:3ヘキサン:EtOAc)によって、所望の生成物を白色泡状物として得た(0.73g、収率98%)。R(7:3ヘキサン:EtOAc)0.47。H NMR(600MHz、CDCl)δ7.33(d、J=8.1Hz、1H)、7.11(d、J=7.3Hz、1H)、7.05(s、1H)、2.88(brs、1H)、2.62(brs、2H)、2.43-2.32(m、2H)、2.27(s、3H)、2.23(s、3H)、2.12(s、3H)、2.10-2.00(m、2H)、2.00-1.88(m、2H)、1.88-1.68(m、4H)、1.66-1.28(m、20H)、1.27(s、6H)、1.20-1.03(m、6H)、0.95-0.81(m、12H)。
【0445】
2,5-ジメチル-4-(モルホリノメチル)フェニルフェニルサルフェート(13B-2)。室温で5時間撹拌し、反応を飽和NaHCO(5mL)で停止して、フルオロサルフェート(883mg、2.91mmol)、アセトニトリル(6mL、0.5M基質)、トリメチル(フェノキシ)シラン(527μL、2.91mmol)、およびDBU(44μL;0.28mmol)から製造した。カラムクロマトグラフィー(9:1から7:3ヘキサン:EtOAc)によって、所望の生成物を無色油状物として得た(0.95g、収率86%)。R(7:3ヘキサン:EtOAc)0.42。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.40-7.25(m、5H)、7.12(s、1H)、7.06(s、1H)、3.63(t、J=4.6Hz、4H)、3.35(s、2H)、2.37(t、J=4.5Hz、4H)、2.28(s、3H)、2.20(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ150.3、147.8、137.0、135.5、133.0、129.9、127.5、127.2、122.3、121.2、66.9、60.4、53.5、18.8、15.6;ESI-MS(m/z):378[MH]
【0446】
ビス(2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)(プロパン-2,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(サルフェート)(15B-3)。室温で4時間撹拌して、フルオロサルフェート(513mg、2.1mmol)、アセトニトリル(5mL)、TMS保護ビスフェノールA(373mg、1mmol)、およびDBU(30μL;0.2mmol)から製造した。生成物を沈澱白色固体から直接単離した(濾過し、アセトニトリルで洗浄、0.5g、収率75%)。融点169から174℃。H NMR(500MHz、CDCl)δ7.67(d、J=9.6Hz、2H)、7.51(d、J=8.4Hz、2H)、7.26-7.20(m、12H)、6.41(d、J=9.6Hz、2H)、1.66(s、6H);13C NMR(126MHz、CDCl)δ159.7、154.8、152.2、145.0、148.5、142.5、129.4、128.7、120.8、118.2、117.6、117.4、110.1、43.0、30.9;ESI-MS(m/z):677[MH]
【0447】
(S)-ベンジル2-アミノ-3-(4-((((6-メチルピリジン-3-イル)オキシ)スルホニル)オキシ)フェニル)プロパノエート(13B-4)。室温で4時間撹拌して、フルオロサルフェート(478mg、2.5mmol)、アセトニトリル(10mL)、TBS保護チロシン誘導体(964mg、2.5mmol)、およびDBU(75μL、0.5mmol)から製造した。カラムクロマトグラフィー(9:1CHCl/MeOH)によって、所望の化合物を黄色油状物として得た(0.9g、収率83%)。R(9:1CHCl:MeOH)0.44.H NMR(600MHz、CDCl)δ8.43(d、J=2.9Hz、1H)、7.52(dd、J=8.5、3.0Hz、1H)、7.36-7.27(m、6H)、7.20(d、J=8.3Hz、1H)、7.18(m、3H)、5.12(q、J=12.2Hz、2H)、3.74(t、J=6.5Hz、1H)、3.05(dd、J=13.6、5.7Hz、1H)、2.90(dd、J=13.6、7.3Hz、1H)、2.57(s、3H)、1.66(brs、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ174.6、158.1、149.1、145.5、142.0、137.2、135.4、131.1、129.0、128.7、128.6、128.6、124.1、120.9、66.9、55.6、40.2、24.0;EI-MS(m/z):443[MH]
【0448】
4-(2-アミノ-2-オキソエチル)フェニル(4-(1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(メチルアミノ)エチル)-フェニル)サルフェート(13B-5)。室温で終夜撹拌して、フルオロサルフェート(483mg、2.07mmol)、アセトニトリル(10mL)、TBS保護フェノール(818mg、2.07mmol)、およびDBU(75μL、0.5mmol)から製造した。カラムクロマトグラフィー(逆相、0%から60%アセトニトリル/水勾配)によって、所望の生成物を白色固体として得た(0.8g、収率75%)。融点108から110℃。H NMR(600MHz、CDCl)δ7.39(d、J=8.6Hz、2H)、7.34(d、J=8.6Hz、2H)、7.29(d、J=8.8Hz、2H)、7.28(d、J=8.7Hz、2H)、5.56(d、J=122.4Hz、2H)、4.85(dd、J=8.3、4.0Hz、1H)、3.59(s、2H)、2.75(dd、J=12.1、8.2Hz、1H)、2.64(dd、J=12.1、3.9Hz、1H)、2.45(s、3H)、0.89(s、9H)、0.05(s、3H)、-0.14(s、3H);13C NMR(151MHz、CDCl)δ172.5、149.7、149.5、143.4、134.5、131.2、127.8、121.7、120.9、73.4、60.7、42.5、36.4、25.9、-4.4、-4.8;ESI-MS(m/z):495[MH]
【0449】
1,4-フェニレンビス(4-アリル-2-メトキシフェニル)ビス(サルフェート)(13-B6)。50℃で5時間撹拌して、フルオロサルフェート(1.23g、5mmol)、アセトニトリル(5mL)、1,4-ビス((トリメチルシリル)オキシ)ベンゼン(636mg、2.5mmol)、およびDBU(75μL、0.5mmol)から製造した。粗生成物を短いカラムクロマトグラフィー(9:1から8:2ヘキサン:EtOAc)で精製して、白色固体を得た(1.3g、収率92%)。融点62から65℃。R(9:1ヘキサン:EtOAc)0.22.H NMR(400MHz、CDCl)δ7.48(s、4H)、7.20(d、J=8.2Hz、2H)、6.81(s、2H)、6.78(d、J=8.3Hz、2H)、5.93(ddt、J=18.1、9.5、6.7Hz、2H)、5.13(s、2H)、5.09(d、J=4.3Hz、2H)、3.78(s、6H)、3.38(d、J=6.7Hz、4H)。13C NMR(101MHz、CDCl)δ151.2、149.1、141.4、137.7、136.6、122.9、122.5、120.9、116.8、113.5、56.0、40.1;EI-MS(m/z):563[MH]
【0450】
5-クロロキノリン-8-イル(4-(メチルアミノ)フェニル)サルフェート(13-B7)。室温で終夜撹拌して、フルオロサルフェート(786mg、3mmol)、アセトニトリル(12mL)、TBS保護フェノール(711mg、3mmol)、およびDBU(90μL、0.6mmol)から製造した。カラムクロマトグラフィー(9:1から6:4ヘキサン:EtOAc)によって、生成物を黄色固体として得た(0.7g、収率61%)。融点99から100.5℃。R(1:1ヘキサン:EtOAc)0.62.H NMR(400MHz、CDCl)δ9.08(dd、J=4.3、1.7Hz、1H)、8.58(dd、J=8.6、1.7Hz、1H)、7.64-7.53(m、3H)、7.31(d、J=8.9Hz、2H)、6.58(d、J=8.9Hz、2H)、2.83(s、3H);13C NMR(151MHz、CDCl)δ151.9、148.7、145.6、141.7、141.5、133.1、130.4、127.6、125.9、123.1、122.4、121.1、112.5、30.8;ESI-MS(m/z):365[MH]
【0451】
実施例1(L)。エノールフルオロサルフェートの合成。
【0452】
シリル化エノールエーテル(15-1)からの3,4-ジヒドロナフタレン-1-イルスルホネート。丸底フラスコに((3,4-ジヒドロナフタレン-1-イル)オキシ)トリメチルシラン(436mg、2mmol)および脱水CHCl(5mL)を入れ、セプタムで密閉した。空気を排気し、SOガスを風船で導入し、次に注射器によって1M BEMPのヘキサン中溶液(200μL、0.2mmol、10mol%)を加えた。TLCによってモニタリングしながら、反応混合物を室温で終夜撹拌した。完了したら、溶媒をロータリーエバポレータによって留去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(10:1ヘキサン:EtOAc)によって精製して、無色油状物を得た(350mg、収率77%)。R(8:2ヘキサン:EtOAc)0.67.H NMR(400MHz、CDCl)δ7.40-7.37(m、1H)、7.31-7.26(m、2H)、7.22-7.19(m、1H)、6.11(dt、J=8Hz、4Hz、1H)、2.90(t、J=8Hz、2H)、2.57-2.51(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ147.2、136.4、129.4、128.0、127.0、121.2、117.6、26.9、22.2;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+39.1;GC-MS(t):5.2分;EI-MS(m/z):228[M]
【0453】
注:アセトニトリル中での類似の反応は数分以内で完了した。
【0454】
イン・サイツで発生したリチウムエノレートからの3,4-ジヒドロナフタレン-1-イルスルホネート(15-1)。シュレンクフラスコに、脱水THF(5mL)中のα-テトラロン(333μL、2.5mmol)を入れ、乾燥雰囲気下に冷却して-78℃とした。LHMDS(1M THF中溶液3.75mL、3.75mmol)を注射器によって加え、反応混合物を、さらに30分間にわたり-78℃で撹拌した。次に、低真空とし、SOを風船から導入し、反応液を昇温させて0℃とし、その温度で撹拌を1時間続けた。反応をTLCおよびGC-MSによってモニタリングした。完了したら、水(5mL)で反応停止し、EtOAcで抽出し(10mLで2回)、ブラインで洗浄し、濃縮した。短いシリカカラムでのクロマトグラフィー(10:1ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望の化合物を無色油状物として得た(400mg、収率75%)。
【0455】
実施例1(M)。スルファモイルフルオリド類の合成。
【0456】
一般手順。容量の1/3まで充填した丸底フラスコ中、2級アミン(1当量)、DMAP(0.5から1当量)およびトリエチルアミン(2当量)をCHCl中で混合した(0.33M)。フラスコをセプタムで密閉し、空気を排気し、SOガスを風船から導入した。反応混合物を室温で3から18時間高撹拌し、反応の進行をGCまたはLC-MSによってモニタリングした。完了したら、混合物を濃縮し、EtOAcに溶かし、1N HClおよびブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮して所望の化合物を通常は非常に純粋な形で得た。場合により、短いシリカゲルカラムを通すことでさらなる精製を行った。
【0457】
活性化環状アミンはSOと急速に反応する。場合により、水浴によって反応混合物を冷却する必要がある。非環状アミンは、1から1.5当量のDMAPを必要とする。1.5当量のDMAPを用いる場合、トリエチルアミンまたは他の追加の塩基を加える必要はない。活性化アミンは、pH8の緩衝液(リン酸、ホウ酸またはHEPES緩衝液)中であっても反応し得る。
【0458】
ジ(プロパ-2-イン-1-イル)スルファモイルフルオリド(17-1)を、1当量のDMAPおよび2当量のEtNを用いて製造した。短いシリカゲル層に取得物を通すことで(9:1ヘキサン:EtOAc)、生成物中の褐色不純物を除去した。生成物をピンク油状物として得た(3.3g、収率76%、H NMRによりCHCl不純物がわかる)。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.28(t、J=2.2Hz、4H)、2.47(t、J=2.4Hz、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ75.7、74.8(d、J=1.6Hz)、37.9(d、J=1.3Hz)、;19F NMR(376MHz、CDCl)δ46.4;R(9:1ヘキサン:EtOAc)0.29;EI-MS(m/z):174[M]
【0459】
ジアリルスルファモイルフルオリド(17-2)を1当量のDMAPおよび2当量のEtNを用いて製造し、黄色油状物として得た(2.9g、収率65%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.81(ddtd、J=16.8、10.2、6.5、1.1Hz、2H)、5.36-5.28(m、4H)、3.94(d、J=6.3Hz、4H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ130.7(d、J=1.6Hz)、120.9、50.8(d、J=2.0Hz)。;19F NMR(376MHz、CDCl)δ50.00;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.72;GC-MS(t):3.7分;EI-MS(m/z):178[M]
【0460】
ビス(2-アジドエチル)スルファモイルフルオリド(17-3)をビス(2-アジドエチル)アミンメシレート塩、1当量のDMAP、および3当量のEtNから製造し、黄色油状物として単離した(4.49g、収率76%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.64-3.59(m、4H)、3.59-3.54(m、4H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ50.2(d、J=1.9Hz)、49.7(d、J=1.6Hz);19F NMR(376MHz、CDCl)δ50.0;R(9:1ヘキサン:EtOAc):0.52;HRMS(ESI-TOF)(m/z):[M+H]FNSの計算値:238.0517;実測値:238.0524。
【0461】
(2,2-ジメトキシエチル)(メチル)スルファモイルフルオリド(17-4)を、1当量のDMAPおよび2当量のEtNを用いて製造し、無色油状物として得た(3.4g、収率88%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.50(t、J=5.4Hz、1H)、3.41(s、6H)、3.35(dd、J=5.4、2.0Hz、2H)、3.08(d、J=2.3Hz、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ103.0(d、J=2.4Hz)、55.0、52.8(d、J=2.1Hz)、37.9(d、J=1.5Hz);19F NMR(376MHz、CDCl)δ50.0;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.44;EI-MS(m/z):201[M]
【0462】
4-(2-アジドアセチル)ピペラジン-1-スルファモイルフルオリド(17-5)を、2-アジド-1-(ピペラジン-1-イル)エタノン-TFA塩、0.5当量のDMAP、および5当量のEtNから製造した。生成物をピンク固体として得た(4.4g、収率70%)。融点92から94℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.93(brs、2H)、3.72(brs、2H)、3.55-3.30(m、6H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ165.9、50.7、46.7、44.0、40.8;19F NMR(376MHz、CDCl)δ40.1;R(1:1ヘキサン:EtOAc):0.44;GC-MS(t):6.3分;EI-MS(m/z):251[M]
【0463】
6,7-ジメトキシ-1-フェニル-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-スルファモイルフルオリド(17-6)を、1当量のDMAPおよび2当量のEtNを用いて製造し、白色固体として得た(0.6g、収率80%)。融点109-111℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.35-7.32(m、3H)、7.26-7.19(m、2H)、6.70(s、1H)、6.44(s、1H)、6.11(s、1H)、3.98-3.89(m、1H)、3.91(s、3H)、3.75(s、3H)、3.43-3.29(m、1H)、3.21-3.12(m、1H)、2.75(ddd、J=16.6、4.4、1.6Hz、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ148.8、148.0、139.8(d、J=2.3Hz)、129.1、128.7、128.7、125.4、124.1、111.4、110.7、60.5(d、J=1.4Hz)、56.1(d、J=5.5Hz)、40.6(d、J=2.7Hz)、26.8;19F NMR(376MHz、CDCl)δ50.0;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.56;GC-MS(t):8.3分;EI-MS(m/z):351[M]
【0464】
4-(ジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン-11-イル)ピペラジン-1-スルファモイルフルオリド(17-7)を0.5当量のDMAPおよび2当量のEtNを用いて製造し、白色固体として得た(0.5g、収率73%)。融点142から144℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.44(d、J=6.2Hz、1H)、7.31(s、1H)、7.25-7.00(m、5H)、3.66(s、4H)、3.58(s、4H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ159.6、158.4、151.8、139.5、133.3、130.8、128.7、127.3、126.1、125.6、124.6、123.1、120.4、46.6、46.65(m);19F NMR(376MHz、CDCl)δ38.6;R(9:1ヘキサン:EtOAc):0.48;EI-MS(m/z):396[MH]
【0465】
【化37】
【0466】
4-((3-メチルブチリデン)アミノ)ピペリジン-1-スルファモイルフルオリド(17-8)を、0.5当量のDMAPおよび2当量のEtNを用いて製造した。完了したら、反応混合物を水で洗浄し、脱水し、濃縮した。生成物を黄色油状物として得た(1.8g、収率70%、H NMRでDMAP含有がわかる)。特性決定のため、イミン基を加水分解し(PrOH/水混合物によって50℃で1.5時間処理)、次にMsOHで処理して、貯蔵安定性のある塩を得た(17-8a)。EI-MS(m/z):183[MH]
【0467】
次に、そのアミンを相当するアセトアミド(17-8b)に変換した(CHCl中のAcO/Pyにより室温で18時間処理し、次に酸性とし(1M HCl)、CHClで抽出した)。アミドを、収率48%でベージュ固体として得た(粗4-((3-メチルブチリデン)アミノ)ピペリジン-1-スルホニルフルオリドから3段階、160mg)。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.71(s、1H)、4.02-3.82(m、2H)、3.13(t、J=12.6Hz、2H)、2.04(d、J=12.2Hz、2H)、1.97(s、3H)、1.63-1.46(m、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ169.8、46.5、45.6、30.9、23.5;19F NMR(376MHz、CDCl)δ(pm):41.4;R(CHCl/MeOH-9/1):0.54;EI-MS(m/z):225[MH]
【0468】
4-(ヒドロキシジフェニルメチル)ピペリジン-1-スルファモイルフルオリド(17-9)。500mL丸底フラスコで、前記アミン前駆体(6.68g、25mmol)、DMAP(1.5g、12.5mmol)、およびMgO(2.5g、62.5mmol)を4:1CHCl:水混合物(0.5M基質)と混合した。フラスコをセプタムで密閉し、空気を排気し、SO充填風船を導入した。反応液を室温で6から18時間高撹拌した。完了したら、混合物を短いCELITE(R)層で濾過し、水(50mL)および次にCHCl(200mL)で洗浄した。有機層を1N HCl(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮した。生成物を白色固体として得た(8.2g、収率94%)。融点109から112℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.61-7.42(m、4H)、7.42-7.29(m、4H)、7.29-7.18(m、2H)、3.94(d、J=9.4Hz、2H)、3.02(brs、2H)、2.58(brs、1H)、2.33(s、1H)、1.74-1.51(m、4H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ145.0、128.5、127.1、125.7、79.4、47.7、43.3、25.6;19F NMR(376MHz、CDCl)δ(pm):39.2;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.56;EI-MS(m/z):332[(M-HO)H]
【0469】
アミン前駆体として1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカンを用いた以外は、17-9の合成について上記のものと同じ一般手順を用いて、1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-スルファモイルフルオリド(17-10)を黄色固体として得た(5.6g、収率99%)。融点87から89℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.97(s、2H)、3.62-3.53(m、2H)、1.81(t、J=5.9Hz、2H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ105.5、64.7、45.8(d、J=1.3Hz)、34.1(d、J=1.2Hz);19F NMR(376MHz、CDCl)δ41.7;R(7:3ヘキサン:EtOAc):0.41;GC-MS(t):5.35分;EI-MS(m/z):225[M]
【0470】
実施例2。修飾抗生物質
ArOSOFは、芳香環上の非極性官能基である。それは、求核剤と共存し、生体系に耐容することができる求電子剤である。ArOSOFは非常に安定であり、各種タンパク質標的と選択的に反応することができる。それの非極性官能性は、親化合物上の官能基の導入が、あったとしても親分子に対するアフィニティに与える影響が最小限であることを意味する。
【0471】
1以上の芳香族置換を有する公知の小分子は、ArOSOFに容易に変換することができる。多くの抗生物質は、誘導体化してSOF基(例えば、OSOF、NCHCHSOF、またはNSOF)を抗生物質構造に導入することができるアリール-OH、アミノ基などの官能基を含む。本研究では、5種類のフルオロスルホニル抗生物質誘導体(セファロスポリン誘導体10-2、シプロフロキサシン誘導体10-7、および3種類のバンコマイシン誘導体-バンコマイシン-SF、バンコマイシン-SF-1およびバンコマイシン-SF-2、これらの後者2種類は、銅触媒アジド/アルキンクリックカップリング反応での可能な反応物としてN-プロパルギル基を含む。)を、抗生物質の非修飾版と比較して大腸菌(E. coli)および/または枯草菌(B. subtilis)に対する抗微生物活性について評価した。抗生物質化合物の構造については図20を参照する。
【0472】
抗生物質化合物を、DMSO原液から96ウェル培養プレート上でLB培地(10g/Lトリプトン、5g/L酵母抽出物、10g/L NaClの脱イオン水中溶液)で連続希釈した。細菌をウェルに接種し、37℃、300rpmで終夜増殖させた。プレート読取装置で605nmでの吸光度によって培地の濁度を測定することで、終夜増殖を評価した。枯草菌(Bacillus subtilis)についての結果を表2に示してあり、大腸菌(E. coli)についての結果は表3に示してある。培地または媒体単独と比較した低い濁度(605nmでの低光学密度、OD605)は、抗細菌活性を示す。
【0473】
【表2】
【0474】
【表3】
【0475】
表2および3中の結果は、フルオロスルホニル化抗生物質が非誘導体化抗生物質と同様の活性を示すことを明瞭に示しており、ただしセファロスポリン誘導体はこれらの試験でセファロスポリン自体と比較して枯草菌(B. subtilis)に対して改善された活性を有しているように思われる。
【0476】
実施例3。修飾チロシンおよびそれを用いて製造したペプチド
フルオロサルフェート-Fmocチロシンは、ペプチド合成に有用な構成要素である。
【0477】
【化38】
【0478】
フルオロサルフェート-Fmocチロシンを用いて、市販のペプチド薬剤のいくつかの類縁体を、当業界で公知の標準的な固体相ペプチド合成方法により、順次チロシンに代えてチロシン-OSOFを用いて合成して、この官能基のペプチド化学における有用性を示した。
【0479】
チロシンO-硫酸化は、分泌された膜貫通プロテオームが細胞のゴルジ画分を通って移動する際に起こる一般的な酵素翻訳後修飾である。チロシン(Tyr)のリン酸化および硫酸化が同様にタンパク質-タンパク質相互作用を調節し、タンパク質内の立体配座変化に影響することは明らかであるが、一部にはスルホチロシン(sY)ペプチド類が、あまり化学的専門知識なく研究室によって容易に製造できるものではないことから、硫酸化について知られていることは比較するとかなり少ない。
【0480】
現在、sY含有ペプチドの固相ペプチド合成(SPPS)に、いくつかのアプローチを用い、いずれも欠点を有する。1実施形態において、本発明は、手動でまたはペプチド合成装置を用いることで標準に近いFmoc固相合成戦略を用いてFmoc保護フルオロ硫酸化チロシン(Y(OSOF))を、対象ペプチドに組み込む、sY含有ペプチドを作る効率的なアプローチを提供した。他のフッ化硫黄(VI)同様に、芳香族フルオロサルフェートは、加水分解安定性であり、酸化還元抵抗性であり、それらはハロゲン化剤として働かない。それらは中性条件または酸性条件下の加水分解に対して非常に安定であり、pH10のリン酸緩衝液中で2週間まで安定である。しかしながら、それらはフルオリド脱離基の脱離を安定化する条件下に、適切な求核剤の存在下に反応性となり得る。
【0481】
Fmoc保護Y(OSOF)構成要素の取得の容易さおよび芳香族フルオロサルフェート類の高い安定性により、Fmoc化学戦略を用いるAr-O-SOF下位構造を含むペプチド類の効率的合成が可能となる。SPPSで用いられるFmoc-Y(OSOF)-OH(Fmoc-Y-SF、1)は、本明細書の別の箇所で記載の方法に従って、市販のFmoc保護Tyrのスルホリルフルオリド(ガス)との反応から高収率で1段階で製造される(図式1)。簡便には、ピペリジンはフルオロサルフェート官能基と不効率に反応して所望のY(OSOF)含有ペプチドの収率および純度が低下することから、2-メチル-ピペリジン(2-MP)を用いて、ピペリジンに代えて各SPPSカップリングサイクル(図式2)中にFmoc一級アミン保護基を除去した。フルオロサルフェート官能基は、樹脂から側鎖脱保護ペプチドを遊離させるのに使用される標準的なRinkアミド樹脂-ペプチド開裂(95:2.5:2.5=TFA:TIPS:HO)条件下で安定である。次に、対象のペプチドにおけるY(OSOF)残基を、撹拌しながらの25℃で60から120分間にわたるエチレングリコールに溶かした塩基(CsCO、または1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU))による加水分解によってsY官能基に変換した(図式3)。
【0482】
5種類のsYペプチド2から6を、Y(OSOF)含有ペプチド合成およびCsCO/エチレングリコールを用いるアリールフルオロサルフェート加水分解の至適化プロトコールによって製造した(表4)。第1のペプチドDADEsYL-NH(P2;配列番号1)の配列は表皮増殖因子受容体(EGFR)における配列に相当し、P2は、タンパク質チロシンホスファターゼ1Bの良好な阻害剤であると予想される。モノ硫酸化ペプチドsYEsYLDsYDF-NH(P3;配列番号2)およびトリ硫酸化ペプチドsYEsYLDsYDF-NH(P4;配列番号3)の配列は、P-セレクチンに結合し、血管内皮への白血球の回転接着において重要な役割を果たす成熟P-セレクチン糖タンパク質リガンド1(PGSL-1)の残基5から12に相当する。ジ硫酸化ペプチドTTPDsYGHsYDDKDTLDLNTPVDK-NH(P5;配列番号4)は、C5aR、すなわち多くの炎症疾患で示唆される旧来のG-タンパク質結合受容体である。テトラ硫酸化ペプチドDADSENSSFsYsYsYDsYLDEVAF-NH(P6;配列番号5)の配列は、細胞外炎症誘発性CCケモカイン類を捕捉し、炎症および腫瘍化を抑制するケモカイン受容体D6の残基14から33に相当する。ペプチドP4からP6は複数のsY残基を含み、それらの合成は、各種配列条件でのY(OSOF)についてのカップリング効率、安定性および加水分解効率に対して大きな難題をもたらすものである。
【0483】
アミノ酸1のカップリングなどのSPPSにおける全てのカップリングについて、本発明者らは、HCTU/HOBt/DIPEAで30分間活性化しておいた5当量の適切な側鎖保護されたアミノ酸を用いた(refs)。活性化アミノ酸を樹脂結合1級アミンに加えて、振盪しながら30から60分のカップリング期間を経過させて、新たなアミド結合を形成した。10分間の20%2-MP/ジメチルホルムアミドまたはN-メチル-2-ピロリドン使用を3回行うことで、あらゆるFmoc保護基を除去した。本発明者らは、95:2.5:2.5=TFA:TIPS:HO脱保護溶液(25℃、180分)を使用し、それを好んで、対象のペプチドをRink樹脂から開裂させ、側鎖保護基を遊離させたが、上記で言及の他の開裂/脱保護カクテルも同様に行う。200μmol規模で行ったY(OSOF)ペプチド累の粗収率は、77から89%の範囲であった。Y(OSOF)含有ペプチド類は、DADEY(OSOF)L-NH(P7;配列番号6)などの逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって容易に精製して収率64%で得ることができる。ペプチド7におけるフルオロサルフェート加水分解を、塩基としてCsCO(10当量)を用いてエチレングリコール中で行い、次にC18カラムおよび20mM酢酸アンモニウム/CHCN移動相勾配を用いる半分取RP-HPLCを行って、ほぼ定量的変換であることがわかった(図1A、S1およびS2)。
【0484】
Y(OSOF)含有ペプチド7のsY含有ペプチド2への加水分解の至適化において、本発明者らは、水溶液での塩基存在下にsYのかなりの脱硫酸化を観察した。ペプチド7をメタノールに溶かしたCsCOで処理したところ、本発明者らは、恐らくはTyr-O-SO-OCH中間体の生成のために、カルボキシレート側鎖の明らかなメチル化を観察した。チロシン硫酸化については合意された順序に達しているわけではないが、酸性残基の方が既知のチロシン硫酸化部位より優勢であり、そのような副反応が他の硫酸化チロシン配列に起こる可能性が高い(Lin 1992、Kehoe 2000、Seibert 2007、Teramoto 2013)。メタノール/NH(2M)/CsCOの使用によってメチル化が弱まったが、それはまだ観察された。エタノールに溶かしたCsCOを用いることでペプチドエチル化が生じ、Tyr-O-SO-OCHCH中間体の生成と一致していた。イソプロパノールまたは三級ブチルアルコールに溶かしたCsCOを用いると、反応は全く起こらなかった。特に、CsCO/エチレングリコールおよびCsCO/1,4ブタンジオールにより、副反応なしに定量的加水分解が起こったが、CsCO/1,3プロパンジオールでは、sYペプチド2および多くの副生成物を収率<50%で得られた。
【0485】
前段落で検討した加水分解法開発のほかに、95:2.5:2.5=TFA:TIPS:HO処理から得られる粗Y(OSOF)ペプチドを精製する必要がない。従って、粗Y(OSOF)-含有ペプチドについて、エチレングリコール/CsCO方法を用いてアリールフルオロサルフェート加水分解を直接行った。このアプローチを用いて、上記のカラムおよび条件を用いるRP-HPLC精製後に、sYペプチドP2からP6を収率36から67%で得た(表4)。
【0486】
エチレングリコール中DBUを塩基として用いる異なるプロトコールによって、Cys残基を含むsYペプチドであるGDsYDSMKEPCFR-NH(P8;配列番号7)の合成が行われる。8の配列はCXCR4の残基19から30に相当し、それは胚発生にとって必須であり、癌転移およびHIV感染で示唆されてきた。sYが、CXCR4-CXCL12結合に対する最大の寄与を行うことが報告されている。上記で説明した至適化されたSPPS戦略および側鎖脱保護/樹脂開裂戦略を用いて、粗ペプチドGDY(OSOF)DSMKEPCFR-NH(P9;配列番号8)(表4)が良好に合成された。ペプチド9を30%の単離収率でHPLC精製することで、Cys-含有sYペプチド製造のための加水分解戦略を至適化した。本発明者らはCys-S-COOH含有ペプチドを生成したように思われたことから、標準的なエチレングリコール/CsCO法はうまく機能しなかった。しかしながら、0.5%ジチオトレイトール(DTT)を含む5%DBU/エチレングリコールを用いるペプチドP9の加水分解が有効であった。このアプローチによって、単離収率25%でsYペプチドP8を得た(表4)。DTTを加えることが、副生成物の生成を最小限とする上での重要な点であった。
【0487】
本明細書に記載のY(OSOF)含有ペプチドのFmoc合成は、実用的でもあり、効率的でもある。標準的な側鎖脱保護および樹脂開裂溶液が良好に機能する。sYペプチドの効率的製造のためには、二つの異なるフルオロサルフェート加水分解プロトコールが導入される。使用される方法は、ペプチドがCys残基を持たないか含むかによって決まる。本明細書に記載の容易な合成は、フッ化硫黄(VI)の特有の反応性を利用するものである。このアプローチは、商業的および学術的ペプチド合成設備によって容易に実施することができる。
【0488】
【化39】
【0489】
【化40】
【0490】
【化41】
【0491】
【表4】
【0492】
フルオロサルフェート-Fmocチロシン:チモペンチンLY001:RKDVYGGG(配列番号9);オキシトシンLY002:cCYIQNCPLGGG(配列番号10);アルギニンバソプレッシン(2種類の修飾型)LY003:CYFQNCPRGGG(配列番号11);およびインドリシジンLY005:IGPWKWPYWPWRR-NH(配列番号12)(Yは修飾チロシン(フルオロスルホネート)であり、Gはプロパルギルグリシンである。)を用いて、4種類の他の商業的ペプチド薬剤誘導体を合成した。
【0493】
【化42】
【0494】
炭酸セシウムおよびアンモニア/メタノールによる選択的加水分解によって、そのようなペプチドのフルオロ硫酸エステル基を硫酸エステルに変換することもできる。例えば、修飾インドリシン(indolicin)を加水分解して、PBS緩衝液に直接移した後に、相当する硫酸エステルとし、それはLCMSによって確認された。
【0495】
実施例4.フルオロサルフェートTTR基質
ArOSOF官能基は、薬剤設計における共有結合性修飾剤として機能し得る。分子標的が酵素である市販の薬剤のほぼ30%が、不可逆的阻害によって作用する(J. Singh, R. C. Petter, T. A. Baille, A. Whitty, Nat. Rev. Drug Discov. 2011, 10, 307-317)。トランスチレチン(TTR)の可逆的安定化剤基質であるタファミジスのアゾ類縁体上にArOSOF官能基を組み込むことで、その類縁体は不可逆的安定化剤に変換することができる。タファミジスの小分子類縁体は、PBS緩衝液中でTTRタンパク質と反応する(半減期は約80分である。)。下記に示すように、上記のフェノール性化合物の気体SOとの反応についての一般手順を介した-OSOF基の導入(実施例1(J))により、可逆的な親阻害剤が不可逆的なもの(すなわち、アゾ化合物4、5、6および7)に変わり、それらはTTRとの反応後に、約80分から6時間を優に超える範囲の半減期を有していた。
【0496】
【化43】
【0497】
さらに、ジアゾ基がオキサジアゾールによって置き換わっている化合物も製造されている。これらの化合物も、活性部位への共有結合によるTTR結合活性を示したが、ただしその後のリジン残基による加水分解による活性部位での硫酸化リジンの形成があった。
【0498】
【化44】
【0499】
実施例5.18F PET走査適用のためのフルオロサルフェート化合物
安定性および親分子のアフィニティを維持する能力のため、ArOSOFは小分子、ペプチドおよびタンパク質についての18F PET走査を行う上で有用な化合物である。共有結合反応が起こる場合、急速なフッ化物イオン放出が、骨における18Fイオンの豊富化によって容易に確認され、それは次にPET走査技術によって検出可能であると考えられる。反応条件は簡単で迅速であり、標的分子への18Fの直接負荷を行うものである。例えば、フェノール基を有する化合物を、温和な条件下に緩衝液中で約1から2時間にわたりスルフリルフルオリドガスと反応させることで、Ar-OSOF化合物を得ることができる。その変換率が非常に高いことで、精製を行わずに緩衝液を簡単に除去することが可能となる。その後の18Fによる19Fの交換は、例えば、Ag18F、または好ましくは18Fビフルオリドへの曝露によって容易に行うことができる。現在、安定なF分子を含む十分小さい部分をタンパク質上に組み込む公知の簡単な化学的方法がないことから、タンパク質は本願において魅力的な標的である。このプロセスは既知の生体共役反応と同様である。しかしながら、それには通常、複数の段階と相対的に大きい分子が必要である。例えば、OEt基をOSOF基で置き換えることによるダパグリフロジンの誘導体化は、18F/19F交換による18F版のダパグリフロジン取得の手段を提供するものである。
【0500】
【化45】
【0501】
O-(2-[18F]フルオロエチル)-L-チロシンは、臨床試験でPET試薬として用いられてきた。O-フルオロスルホニル-L-チロシンは、O-(2-フルオロエチル)-L-チロシンのフルオロスルホニルエステル類縁体であり、HEK細胞溶解物中で少なくとも3時間安定であり、それはPET利用には十分な生体安定性である。O-フルオロスルホニル-L-チロシンの18F版は、PET画像法に用いることができ、非放射標識O-フルオロスルホニル-L-チロシンをアセトニトリルなどの溶媒中にて18F-豊富カリウムビフルオリドおよびカリウム錯形成剤と接触させることによる18Fによる19Fの交換によって迅速かつ効率的に製造することができる。
【0502】
実施例6.「クリック-タグ」試薬および薬剤発見のためのプローブとしてのフルオロサルフェート化合物
生理活性分子上にSOF基を含ませることで、受容体分子の活性部位を探査する機会も提供可能である(例えば、フルオロスルホニル化分子が活性部位にドッキングする場合、フルオロスルホニル部分の受容体のアミノ酸側鎖との共有結合反応による)。これに関して、SOF基を他の官能性プローブ/連結基と簡便に組み合わせて、色素その他のマーカーなどの他の有用な材料とのさらなるカップリング反応に関与するようにすることができる。例えば、SOF基とアルキニル基の両方を有する分子を、アジド/アルキン「クリック」カップリング反応でカップリング相手として利用することができる。このプロセスによって、生理活性薬剤構造に結合したマーカーその他の有用な基を含む新たなフルオロスルホニル系プローブを設計する簡便かつ選択的手段が提供される。
【0503】
1例において、エチニルエストラジオールフルオロサルフェートを、銅触媒アジド/アルキン錯形成反応(「クリック反応」)を介してアゾ置換されたフルオレセイン誘導体と容易に反応させて、OSOF基に影響することなく、エストラジオール誘導体をフルオレセインにつないだ。
【0504】
【化46】
【0505】
エチニルエストラジオールの場合、アルキン部分はすでに通常の薬剤構造の一部である。あるいは、実施例2からのフルオロスルホニル化プロパルギルバンコマイシン化合物であるバンコマイシン-FS-1およびバンコマイシン-FS-2におけるようなフルオロスルホニル基に加えて、薬剤構造上にアルキンを別個に導入することができる。そのようなプローブは、細胞溶解物およびタンパク質および他の生体分子の他の複雑な混合物からプローブの生理活性部分用の基質を選択的にプルダウン(pull down)することができる。
【0506】
エチニルエストラジオールフルオロサルフェートプローブは、大腸菌(E coli)溶解物からトリプトファナーゼを効果的に捕捉する。トリプトファナーゼに対する上記のエチニルエストラジオールフルオロサルフェートプローブのアフィニティは、90%を超える修飾を有するプローブ(50μMトリプトファナーゼ、500μMプローブ、TBS pH8緩衝液中37℃で16時間)で標識した組換えトリプトファナーゼで確認したものであった。トリプトファナーゼはバイオフィルム形成で示唆されているものであることから、エチニルエストラジオールフルオロサルフェート材料はバイオフィルム形成阻害手段を提供する。
【0507】
実施例7.SOF化合物の受容体部位への共有結合的結合
やはり本明細書に記載の各種形態でのSOF部分は、場合により、反応してフルオリドを硫黄から移動させることができる方向での反応性部位での、フェノール性OH基、アミノ基、チオールなどの求核性アミノ酸側鎖を含む受容体部位への有機化合物の共有結合的結合のための手段を提供することができる。この考え方を図21にまとめてあり、その図は受容体部位でのフルオロサルフェートおよびフルオロスルホニル-置換された基質分子のドッキング、およびフルオリドを置き換え、活性部位で基質分子に共有結合的に結合するその後の反応をグラフ表示したものである。いくつかのフルオロサルフェートまたはスルホニルフルオリドが受容体との可能な反応のために存在する場合、適切な分子配置を有する分子のみが受容体の活性部位と相互作用/ドッキングすることで、受容体部位に結合する。従って、このプロセスをスクリーニングアッセイとして用いることができ、その場合、一連のSOF置換された候補分子(すなわち、ライブラリー)を、標的受容体タンパク質への結合に関する機能分析でスクリーニングする(図22参照)。
【0508】
実施例8.受容体活性部位での求核性アミノ酸側鎖の選択的スルホン化
さらに、図23に示したように、場合により、本明細書に記載の生理活性-OSOF化合物を利用して、例えば受容体ドッキングしたフルオロサルフェートの最初の反応によるフルオリドの置き換え、および次の別の求核性側鎖(Nu)との反応による基質分子の置き換えとNu-SO-基の形成により、受容体タンパク質の活性部位で求核性アミノ酸側鎖をスルホン化することができる。場合により、求核性側鎖がいずれもチオールを含む場合、図24に示したように、さらなる脱離段階が起こって、活性部位でジスルフィド結合を形成することができる。
【0509】
実施例9.生存細胞中の酵素および非酵素を選択的かつ共有結合的に修飾するプローブ上のフッ化硫黄(VI)系官能基
フッ化硫黄(VI)官能基の結合誘発活性化も、生体系におけるタンパク質を修飾するのに用いることができる。アリール-SOFおよびアリール-OSOFプローブについて、ゲルに基づくアッセイおよびSILACに基づく質量分析アプローチを用いて生存HeLa細胞で調べた。アリール-SOFプローブおよびアリール-OSOFプローブの両方によるタンパク質の選択的標識が認められ、タンパク質標的を確認した。
【0510】
本発明者らは、アリール-SOFおよびアリール-OSOFプローブによる共有結合標識の反応性および選択性を調べ、SILAC技術による標的識別のためのプローブSF-3およびOSF-2を選択した(図25)。両方のプローブの標的タンパク質は、機能性の無関係な酵素または非酵素であることがわかった。驚くべきことに、両方の場合で、二つの非酵素FABP5およびCRABP2が標識された。組換えFABP5およびCRABP2を用いて、その標識事象を確認し、標識部位は脂肪酸中のカルボキシル基に結合すると考えられるArg-Tyr-Argクラスター中の機能的に重要なチロシンと確認された(図26)。これらの細胞内脂質結合タンパク質(iLBPs)の発現は全く組織特異的であることから、この構造的特徴を有する他のiLBPsがSF-3およびOSF-2によって標識可能であろうと仮定された。そのような標識を、組換えFABP3およびFABP4を用いて確認した。
【0511】
SF-3およびOSF-2に基づく共有結合阻害剤(アルキンハンドルを持たない同様の分子)を合成し、プローブと競争するのに用いた(図27(AおよびB))。共有結合阻害剤の濃度を上昇させていくと、FABP5/CRABP2に対する標識事象の低下が認められ、それはその標識が化学選択的であり、一定の濃度で完了し得ることを示唆している。これらのSOFおよびOSOFプローブも用いて、生存HeLa細胞でiLBPsの既知および以前は未知の非共有結合阻害剤を調べた(図27(C))。驚くべきことに、SOAT阻害剤(Avasimibe Pfizer、III相)は、生存HeLa細胞においてFABP5およびCRABP2での標識に競合すると考えられ、それは基質結合ポケットにおける強い結合を示唆している。これらの試験は、iLBPsを共有結合的に標的とする新たな方法を提供し、フッ化硫黄(VI)官能基の見境のない反応性を調節し、選択的タンパク質修飾に使うことが可能であることを示唆している。
【0512】
実施例10.ESFおよびSO修飾された薬剤および他の生理活性化合物のさらに別の例
懸垂した1級もしくは2級アミノ窒素基を有する医薬、酵素阻害剤、他の治療薬、農薬(例えば、除草剤、殺菌剤および農薬)などの生理活性化合物は、本明細書で詳細に記載のように、エチレンスルホニルフルオリド(ESF)に対して容易に反応して、ESF二重結合へのアミノ基のマイケル付加を介してESF誘導体を形成する。1級アミノ化合物の場合、立体化学を制御することで、1個もしくは2個のESF基を付加させることができる(1当量のESFにより、1級アミンの1個の水素がフルオロスルホニルエチル基に代わり;2当量のESFを用いる場合、アミノ基の両方の水素がフルオロスルホニルエチル基によって代わられる。)。ESFとの反応は、フェノール性ヒドロキシル基などのヒドロキシル基の存在下に行うことができ、それによる妨害はほとんどない。図28から35は、本明細書に記載の方法に従ってESFと反応してESF付加物を形成することができる生理活性化合物の例を提供する。
【0513】
1以上のペンダント芳香族またはヘテロ芳香族ヒドロキシル基またはペンダント2級アミノ基を有する生理活性化合物は、本明細書で詳細の記載のように、塩基(例えば、3級アミン)の存在下にSOに対して容易に反応して、ヒドロキシル基を有するフルオロ硫酸エステルまたはアミノ基を有するフルオロスルファメートを形成する。図36および37は、本明細書に記載の方法に従って、塩基の存在下にSOと反応してフルオロサルフェートおよびフルオロスルファミドを形成することができる生理活性化合物の例を提供する。
【0514】
フルオロスルホニル含有誘導体(例えば、フルオロサルフェート類、フルオロスルファメート類およびESF付加物、SF-修飾化合物と総称される)製造の元となる生理活性核化合物のほとんどについて文献で広く研究されており、多くが市販の薬剤もしくは製品であるか、そうであったことから、本明細書に記載の各種修飾された生理活性化合物の活性の評価方法は当業界においては公知である。本明細書に記載のSF-修飾化合物の一部の活性の評価方法の非限定的な例は、下記の段落に記載のような親化合物の活性を評価する方法に基づくものである。
【0515】
メフェンテルミンは、Cerilliant(Saint Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾メフェンテルミンは、G. Fawaz and J. Simaan, ″The Tachyphylaxis caused by mephentermine and tyramine,″ British Journal of Pharmacology, Vol 24 (1965) pp. 526-531によって記載のアッセイで活性評価される。
【0516】
メカミラミン塩酸塩は、Sigma-Aldrich(R) (Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾メカミラミンは、N. Gentile, et al., ″Sexually diergic hypothalamic-pituitary-adrenal (HPA) responses to single-dose nicotine, continuous nicotine infusion, and nicotine withdrawal by mecamylamine in rats,″ Brain Research Bulletin, Vol 85 (2011) pp. 145-152によって記載のアッセイで活性評価される。
【0517】
レバロルファン酒石酸塩は、Sigma-Aldrich(R) (Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾レバロルファン化合物は、B. Brdar and P. Fromageot, ″Inhibition of viral RNA synthesis by levallorphan,″ FEBS Letters, Vol. 6, No. 3 (1970) pp. 190-192によって記載のアッセイで活性評価される。
【0518】
ナルトレキソン塩酸塩は、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ナルトレキソン化合物は、C. Moore, ″The efficacy of a low dose combination of topiramate and naltrexone on ethanol reinforcement and consumption in rat models,″ Pharmacology, Biochemistry and Behavior, Vol. 116 (2014) pp. 107-115によって記載のアッセイで活性評価される。
【0519】
レボチロキシンは、Sigma-Aldrich(R)(Saint Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾化合物は、D. Pabla, et al., ″Intestinal permeability enhancement of levothyroxine sodium by straight chain fatty acids studied in MDCK epithelial cell line,″ Eurpoean Journal of Pharmacetical Sciences, Vol. 40 (2010) pp. 466-472によって記載のアッセイで活性評価される。
【0520】
リオチロニンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾リオチロニン化合物は、S. Wu, et al., ″Tissue responses to thyroid hormone in a kindred with resistance to thyroid hormone harboring a commonly occurring mutation in the thyroid hormone receptor β gene (P453T),″ Journal of Laboratory and Clinical Medicine, Vol. 146, Issue 2 (2005) pp. 85-94によって記載のアッセイで活性評価される。
【0521】
メタラミノールは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾メタラミノール化合物は、A. Sagie, et al., ″Effect of metaraminol during acute inferior wall myocardial infarction accompanied by hypotension: preliminary study,″ Journal of the American College of Cardiology, Vol. 10, Issue 5 (1987) pp. 1139-1144によって記載のアッセイで活性評価される。
【0522】
ナビロンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ナビロン化合物は、J. Lile, et al., ″Separate and combine effects of the cannabinoid agaonists nabilone and Δ9-THC in humans discriminating Δ9-THC,″ Drug and Alcohol Dependence, Vol. 116, Issues 1-3 (2011) pp. 86-92によって記載のアッセイで活性評価される。
【0523】
スルファドキシンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾化合物は、C. Happi, et al., ″Polymorphisms in Plasmodium falciparum dhfr and dhps genes and age related in vivo sulfadoxine-pyrimethamine resistance in malaria-infected patients from Nigeria″ Acta Tropica, Vol. 95 (2005) pp. 183-193によって記載のアッセイで活性評価される。
【0524】
スマトリプタンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾スマトリプタン化合物は、Y. Watanabe, et al., ″Monitoring cortical hemodynamic changes after sumatriptan injection during migraine attack by near-infrared spectroscopy,″ Neuroscience Research, Vol. 69 (2011) pp. 60-66によって記載のアッセイで活性評価される。
【0525】
タクリンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾タクリン化合物は、C. Gao, et al., ″Tacrine induces apoptosis through lysosome- and mitochondria- dependent pathway in HepG2 cells,″ Toxicology In Vitro, Vol. 28, Issue 4 (2004) pp. 667-674によって記載のアッセイで活性評価される。
【0526】
テオフィリンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾テオフィリン化合物は、E. Hashimoto, et al., ″Adenosine as an endogenous mediator of hypoxia for induction of vascular endothelial growth factor mRNA in U-937 cells,″ Biochemical and Biophysical Research Communications, Vol. 204, No. 1 (1994) pp. 318-324によって記載のアッセイで活性評価される。
【0527】
タダラフィルは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾タダラフィル化合物は、C. Zhu, et al., ″Preventive effect of phosphodiesterase 5 inhibitor Tadalafil on experimental post-pyelonephritic renal injury in rats,″ Journal of Surgical Research, Vol. 186 92014) pp. 253-261によって記載のアッセイで活性評価される。
【0528】
トラネキサム酸(Tranexamic)は、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾トラネキサム酸化合物は、H. Kakiuchi, et al., ″Tranexamic acid induces kaolin intake stimulating a pathway involving tachykinin neurokinin 1 receptors in rats,″ European Journal of Pharmacology, Vol. 723 (2014) pp. 1-6によって記載のアッセイで活性評価される。
【0529】
バレニクリンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾バレニクリン化合物は、C. Cunningham and L. McMahon, ″The effects of nicotine, varenicline, and cystine on schedule-controlled responding in mice: Differences in α4β2 nicotinic receptor activation,″ European Journal of Pharmacology, Vol. 654 (2011) pp. 47-52によって記載のアッセイで活性評価される。
【0530】
バンコマイシンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾化合物は、T. Dilworth, et al., ″Vancomycin and piperacillin-tazobactam against methicillin-resistant staphylococcus aureus and vancomycin-intermediate staphylococcus aureus in an in vitro pharmacokinetic/pharmacodynamic model,″ Clinical Therapeutics, Vol. 36 (2014) pp. 1335-1344によって記載のアッセイで活性評価される。
【0531】
ビガバトリンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾化合物は、J. Plum, et al., ″The anti-epileptic drug substance vigabatrin inhibits taurine transport in intestinal and renal cell culture models,″ International Journal of Pharmaceutics, Vol. 473 (2014) pp. 395-397によって記載のアッセイで活性評価される。
【0532】
サリチル酸は、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾化合物は、H. Chen, et al., ″Salicylic acid mediates alternative signal transduction pathways for pathogenesis-related acidic β-1,3-glucanase (protein N) induction in tobacco cell suspension culture,″ Journal of Plant Physiology, Vol. 159 (2002) pp. 331-337によって記載のアッセイで活性評価される。
【0533】
テルブタリンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾化合物は、A. Hodi, et al., ″Tocopherol inhibits the relaxing effect of terbutaline in the respiratory and reproductive tracts of the rat: The role of the oxidative stress index,″ Life Sciences, Vol 105 (2014) pp. 48-55によって記載のアッセイで活性評価される。
【0534】
ロチゴチンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾化合物は、S. Oster, et al., ″Rotigotine protects against glutamate toxicity in primary dopaminergic cell culture,″ European Journal of Pharmacology, Vol. 724 (2014) pp. 31-42によって記載のアッセイで活性評価される。
【0535】
プラゾシン塩酸塩は、Alfa Aesar(R)(Ward Hill, Massachusettes)から得られる。SF-修飾プラゾシン化合物は、A. Antonello, et al., ″Design, synthesis, and biological evaluation of prazosin-related derivatives as multipotent compounds,″ Journal of Medicinal Chemistry, Vol. 48, No. 1 (2005), pp. 28-31によって記載のアッセイで活性評価される。
【0536】
プレガバリンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾プレガバリン化合物は、K. Fink, et al., ″Inhibition of neuronal Ca2+ influx by gabapentin and pregabalin in the human neocortex,″ Neuropharmacology, Vol. 42 (2002) pp. 229-236によって記載のアッセイで活性評価される。
【0537】
プロカインアミドは、Alfa Aesar(R)(Ward Hill, Massachusettes)から得られる。SF-修飾プロカインアミド化合物は、B. Lee, et al., ″Procainamide is a specific inhibitor of DNA methyltransferase 1,″ The Journal of Biological Chemistry, Vol. 280, No. 49 (2005) pp. 40749-40756によって記載のアッセイで活性評価される。
【0538】
プロカルバジンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾プロカルバジン化合物は、D. Clive, et al., ″Procarbazine is a potent mutagen at the heterozygous thymidine kinase (tk+/-) locus of mouse lymphoma assay,″ Mutagenesis, Vol. 3, No. 2 (1988) pp. 83-87によって記載のアッセイで活性評価される。
【0539】
プロパフェノンは、Alfa Aesar(R)(Ward Hill, Massachusettes)から得られる。SF-修飾プロパフェノン化合物は、H. Komura and M. Iwaki, ″Nonlinear pharmacokinetics of propafenone in rats and humans: application of a substrate depetion assay using hepatocytes for assessment of nonlinearity,″ Drug Metabolism and disposition, Vol. 33 (2005), pp. 726-732によって記載のアッセイで活性評価される。
【0540】
プロトリプチリンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾プロトリプチリン化合物は、S. Bansode, et al., ″Molecular investigations of protriptyline as a multi-target directed ligand in alzheimer’s disease,″ PLoS ONE, Vol. 9, Issue. 8 (2014) e105196. doi:10.1371/journal.pone.0105196によって記載のアッセイで活性評価される。
【0541】
プソイドエフェドリンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾プソイドエフェドリン化合物は、Z. Wu, et al., ″Pseudoephedrine/ephedrine shows potent anti-inflammatory activity against TNF-α-mediated acute liver failure induced by lipopolysaccharide/D-galactosamine,″ European Journal of Pharmacology, Vol. 724 (2014), pp. 112-121によって記載のアッセイで活性評価される。
【0542】
ラミプリルは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾ラミプリル化合物は、X. Ji, et al., ″Comparison of cardioprotective effects using ramipril and DanShen for the treatment of acute myocardial infarction in rats,″ Life Sciences, Vol. 72 (2003) pp. 1413-1426によって記載のアッセイで活性評価される。
【0543】
ラサギリンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾ラサギリン化合物は、Y. Aluf, et al., ″Selective inhibition of monoamine oxidase A or B reduces striatal oxidative stress in rats with partial depletion of the nigro-striatal dopaminergic pathway,″ Neropharmacology, Vol. 65 (2013) pp. 48-57によって記載のアッセイで活性評価される。
【0544】
レボキセチンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾レボキセチン化合物は、B. Benedetto, et al., ″N-desalkylquetiapine activates ERK1/2 to induce GDNF release in C6 glioma cells: A putative cellular mechanism for quetiapine as antidepressant,″ Neuropharmacology, Vol. 62 (2012) pp. 209-216によって記載のアッセイで活性評価される。
【0545】
リマンタジンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾リマンタジン化合物は、G. Stamatiou, et al., ″Heterocyclic rimantadine analogues with antiviral activity,″ Bioorganic & Medicinal Chemistry, Vol. 11 (2003) pp. 5485-5492によって記載のアッセイで活性評価される。
【0546】
リトドリンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾リトドリン化合物は、F. Plenge-Tellechea, et al., ″Ritodrine inhibition of the plasma membrane Ca2+-ATPase from human erythrocyte,″ Archives of Biochemistry and Biophysics, September 15, Vol. 357, No. 2 (1998) pp. 179-184によって記載のアッセイで活性評価される。
【0547】
s-アデノシルメチオニンは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾s-アデノシルメチオニン化合物は、F. Zhang, et al., ″S-adenosylmethionine inhibits the activated phenotype of human hepatic stellate cells via Rac1 and Matrix metalloproteinases,″ International Immunopharmacology, Vol. 19 (2014) pp. 193-200によって記載のアッセイで活性評価される。
【0548】
サルメテロールは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾サルメテロール化合物は、Andrea Teschemacher and Horst Lemoine, ″Kinetic analysis of drug-receptor interactions of long-acting β2 sympathomimetics in isolated receptor membranes: evidence against prolonged effects of salmeteroland formoterol on receptor-coupled adenylyl cyclase,″ The Journal of Pharmocology and Experimental Therapeutics,Vol. 288, No.3 (1999) pp. 1084-1092によって記載のアッセイで活性評価される。
【0549】
サキサグリプチンは、から得られる。Astatech Inc. (Bristol、Pennsylvania)。SF-修飾サキサグリプチン化合物は、J. Kosaraju, et al., ″Saxagliptin: a dipeptidyl peptidase-4 inhibitor ameliorates streptozotocin induced Alzheimer’s disease,″ Neuropharmacology, Vol 72 (2013) pp. 291-300によって記載のアッセイで活性評価される。
【0550】
シタグリプチンは、Astatech Inc.(Bristol、Pennsylvania)から得られる。SF-修飾シタグリプチン化合物は、Tremblay, A., ″Effects of sitagliptin therapy on markers of low-grade inflammation and cell adhesion molecules in patients with type 2 diabetes,″ Metabolism Clinical and Experimental, Vol 63 (2014) pp. 1131-1148によって記載のアッセイで活性評価される。
【0551】
スパルフロキサシンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾スパルフロキサシン化合物は、E. Efthimiadou, et al., ″Mononuclear dioxomolybdenum (VI) complexes with the quinolones enrofloxacin and sparfloxacin: Synthesis, structure, antibacterial activity and interaction with DNA,″ Polyhedron, Vol. 27 (2008) pp. 349-356によって記載のアッセイで活性評価される。
【0552】
ガバペンチンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ガバペンチン化合物は、F. Kilic, et. al., ″Antinociceptive effects of gabapentin & its mechanism of action in experimental animal studies,″ Indian J. Med. Res., May; 135(5) (2012) pp. 630-635によって記載のアッセイで活性評価される。
【0553】
セルトラリン塩酸塩は、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾セルトラリン化合物は、R. Vijaya and K. Ruckmani, ″In vitro and In vivo characterization of the transdermal delivery of sertraline hydrochloride Films,″ Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 19, No. 6 (2011) pp. 424-432によって記載のアッセイで活性評価される。
【0554】
リシノプリルは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾リシノプリル化合物は、C. Constantinescu, et. al., ″Catopril and lisinopril suppress production of interleukin-12 by human peripheral blood mononuclear cells,″ Immunology Letters, 62 (1998) pp. 25-31によって記載のアッセイで活性評価される。
【0555】
アンフェタミンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾アンフェタミン化合物は、T. Kanbayashi, et. al., ″Implication of dopaminergic mechanisms in the wake-promoting effects of amphetamine: A study of D- and L-derivatives in canine narcolepsy,″ Neuroscience, Vol. 99, No. 4 (2000) pp. 651-659によって記載のアッセイで活性評価される。
【0556】
フルオキセチンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾フルオキセチン化合物は、M. Bianchi, et. al., ″Effects of chlomipramine and fluoxetine on subcutaneous carrageenin-induced inflammation in the rat,″ Inflammation Research, Vol. 44 (1995), pp. 466-469によって記載のアッセイで活性評価される。
【0557】
ブプロピオンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ブプロピオン化合物は、S. Learned-Coughlin, ″In vivo activity of bupropion at the human dopamine transporter as measured by positron emission tomography,″ Biological Psychiatry, Vol. 54 (2003), pp. 800-805によって記載のアッセイで活性評価される。
【0558】
ナドロールは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ナドロール化合物は、W. Wu and S. Pruett, ″Suppression of splenic natural killer cell activity in a mouse model for binge drinking, II. Role of the neuroendocrine system,″ The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 278 (1996) pp. 1331-1339によって記載のアッセイで活性評価される。
【0559】
硫酸アルブテロールは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾アルブテロール化合物は、J. Cancado, et. al., ″Effect of airway acidosis and alkalosis on airway vascular smooth muscle responsiveness to albuterol,″ BMC Pharmacology and Toxicology, (2015) 16:9によって記載のアッセイで活性評価される。
【0560】
フェンテルミンは、Sigma-Aldrich(R)(Round Rock、TX)から得られる。SF-修飾フェンテルミン化合物は、J. Kang, et. al., ″Randomized controlled trial to investigate the effects of a newly developed formulation of phentermine diffuse-controlled release for obesity,″ Diabetes, Obesity and Metababolism, Vol. 12 (2010) pp. 876-882によって記載のアッセイで活性評価される。
【0561】
アテノロールは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾アテノロール化合物は、S. Dey, et. al., ″Formulation and evaluation of fixed-dose combination of bilayer gastroretentive matrix table containing atorvastatin as fast-release and atenolol as sustained-release,″ Biomed Research International, Volume 2014, Article ID 396106, 12 pagesによって記載のアッセイで活性評価される。
【0562】
セファドロキシルは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾セファドロキシル化合物は、X. Chen, et. al., ″Effect of transporter inhibition on the distribution of cefadroxil in rat brain,″ Fluid Barriers of the CNS, (2014) 11:25によって記載のアッセイで活性評価される。
【0563】
ワーファリンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ワーファリン化合物は、T. Li, et. al., ″Identification of the gene for vitamin K epoxide reductase,″ Nature, Vol. 427 (2004) p. 541-543によって記載のアッセイで活性評価される。
【0564】
ブトルファノールは、Sigma-Aldrich(R)(St. Louis, Missouri)から得られる。SF-修飾ヒドロモルフォン化合物は、S. Walsh, et. al., ″Enadoline, a selective kappa opioid agaonist: comparison with butorphanol and hydromorphone in humans,″ Psychopharmacology, Vol. 157 (2001) pp. 151-162によって記載のアッセイで活性評価される。
【0565】
ヒドロモルフォン塩酸塩は、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ヒドロモルフォン化合物は、S. Walsh, et. al., ″Enadoline, a selective kappa opioid agaonist: comparison with butorphanol and hydromorphone in humans,″ Psychopharmacology, Vol. 157 (2001) pp. 151-162によって記載のアッセイで活性評価される。
【0566】
エストラジオールは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾エストラジオール化合物は、V. Pentikainen, et. al., ″Estradiol acts as a germ cell survival factor in the human testis in vitro,″ The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Vol. 85, Vol. 5 (2000) pp. 2057-2067によって記載のアッセイで活性評価される。
【0567】
インドリシジンは、AnaSpec、Inc.(Fremont、California)から得られる。SF-修飾インドリシジン化合物は、Selsted, et. al., ″Indolicidin, a Novel Bactericidal Tridecapeptide Amide from Neutrophils,″ The Journal of Biological Chemistry, Vol. 267, No. 7, Issue of March 5 (1992) pp. 4292-4295によって記載のアッセイで活性評価される。
【0568】
チモペンチンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾チモペンチン化合物は、Fan, et. al., ″Thymopentin (TP5), an immunomodulatory peptide, suppresses proliferation and induces differentiation in HL-60 cells,″ Biochimica et Biophysica Acta, Vol. 1763 (2006) pp. 1059-1066によって記載のアッセイで活性評価される。
【0569】
オキシトシンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾オキシトシン化合物は、U.S. Pharmacopeia Pharmacopeial Forum: Volume No. 29(6) p. 1946によって記載のアッセイで活性評価される。
【0570】
アルギニンバソプレッシンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾アルギニンバソプレッシン化合物は、U.S. Pharmacopeia Pharmacopeial Forum: Volume No. 29(6)31(4) p. 1127によって記載のアッセイで活性評価される。
【0571】
テトラヒドロカンナビノールは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾テトラヒドロカンナビノール化合物は、M. Parolini and A. Binelli, ″Oxidative and genetic responses induced by Δ9-Tetrahydrocannabinol (Δ-9-THC) to Dreissena polymorpha,″ Science of the Total Environment, Vol. 468-469 (2014) pp. 68-76.tetteによって記載のアッセイで活性評価される。
【0572】
メチルフェニデートは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾メチルフェニデート化合物は、A. Issy and E. Del Bel, ″7-Nitroinadazole blocks the prepulse inhibition disruption and c-Fos increase induced by methylphenidate,″ Behavioural Brain Research, Vol. 262 (2014) pp. 74-83によって記載のアッセイで活性評価される。
【0573】
デスロラタジンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾デスロラタジン化合物は、Y. Lin, et al., ″Design, synthesis and biological activity evaluation of desloratadine analogues as H1 receptor antagonists,″ Bioorganic 7 Medicinal Chemistry, Vol. 21 (2013) pp. 4178-4185によって記載のアッセイで活性評価される。
【0574】
アニソマイシンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾アニソマイシン化合物は、X. Guo, et al., ″Epigenetic mechanisms of amyloid-β production in anisomycin-treated SH-SY5Y cells,″ Neuroscience, Vol. 194 (2011) pp. 272-281によって記載のアッセイで活性評価される。
【0575】
ストロビルリン Fは、A. Fredenhagen, et al., ″Strobilurins F, G and H, three new antifungal metabolites from Bolineau Lutea I. fermentation, isolation and biological activity,″ The Journal of Antibiotics, Vol. XLIII, No. 6 (1990) pp. 655-660によって記載の方法に従って単離される。SF-修飾ストロビルリン化合物は、J. Sudisha, et al., ″Comparative efficacy of strobilurin fungicides against downy mildew disease of pearl millet,″ pesticide biochemistry and Physiology, Vol. 81 (2005) pp. 188-197)によって記載のアッセイで活性評価される。
【0576】
シクロパミンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾シクロパミン化合物は、T. Takahasi, et al., ″cyclopamine induces eosinophilic differentiation and upregulates CD44 expression in myeloid leukemia cells,″ Leukemia Research, Vol. 35 (2011) pp. 638-645によって記載のアッセイで活性評価される。
【0577】
カプサイシンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾カプサイシン化合物は、R. Terayama, et al., ″Assessment of intraoral mucosal pain induced by the application of capsaicin,″ Oral Biology, Vol. 59 (2014) pp. 1334-1341によって記載のアッセイで活性評価される。
【0578】
トリフロキシストロビンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾トリフロキシストロビン化合物は、B. Zhu, et al., ″Assessment of trifloxystrobin uptake kinetics, developmental toxicity and mRNA espression in rare minnow embryos,″ Chemosphere, Vol. 120 (2015) pp. 447-455によって記載のアッセイで活性評価される。
【0579】
イミダクロプリドは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾イミダクロプリド化合物は、X. Yang, et al., ″Two cytochrome P450 genes are involved in imidacloprid resistance in field populations of the whitefly, Bemisia tabaci, in China,″ Pesticide Biochemistry and Physiology, Vol. 107, Issue 3 (2013) pp. 343-350によって記載のアッセイで活性評価される。
【0580】
アセタミプリドは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾アセタミプリド化合物は、T. Cavas, et al., ″In vitro genetoxicity evaluation of acetamiprid in CaCo-2 cells using the micronucleus, comet and yH2AX foci assays,″ Pesticide Biochemistry and Physiology, Vol. 104 (2012) pp. 212-217によって記載のアッセイで活性評価される。
【0581】
ニテンピラムは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ニテンピラム化合物は、T. Perry, et al., ″Effects of mutations in Drosophila nicotinic acetylcholine receptor subunits on sensitivity to insecticides targeting nicotinic acetylcholine receptors,″ Pesticide Biochemistry and Physiology, Vol. 102 (2012) pp. 56-60によって記載のアッセイで活性評価される。
【0582】
フィプロニルは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾フィプロニル化合物は、C. Baker, et al., ″Efficacy of a novel topical combination of fipronil, (S)-methoprene, eprinomectin and praziquantel against adult and immature stages of the cat flea (Ctenocephalides felis) on cats,″ Veterinary Parasitology, Vol. 202 (2014) p. 54-58によって記載のアッセイで活性評価される。
【0583】
ルフェヌロンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ルフェヌロン化合物は、M. Breijo, et al., ″An insect growth inhibitor - lufenuron - enhances albendazole activity against hydatid cyst,″ Veterinary Parasitology, Vol. 181 (2011) pp. 341-344によって記載のアッセイで活性評価される。
【0584】
フルコナゾールは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾フルコナゾール化合物は、Q. Yu, et al., ″In vitro activity of verapamil alone and in combination with fluconazole or tunicamycin against Candida albicans biofilms,″ International Journal of Antimicrobial Agents, Vol. 41 (2013) 179-182によって記載のアッセイで活性評価される。
【0585】
ニトロキソリン(8-ヒドロキシ-5-ニトロキノリン)は、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ニトロキソリン化合物は、G. Murugasu-Oei and T. Dick, ″In vitro activity of the chelating agents nitroxoline and oxine against mycobacterium bovis BCG,″ International Journal of Antimicrobial Agents, Vol. 18 (2001) pp. 579-582によって記載のアッセイで活性評価される。
【0586】
ペンタゾシンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ペンタゾシン化合物は、P. Martin, et al., ″The signma receptor ligand (+)- pentazocine prevents apoptotic retinal ganglion cell death induced in vitro by homocysteine and glutamate,″ Molecular Brain Research, Vol. 123, Issues 1-2 (2004) pp. 66-75によって記載のアッセイで活性評価される。
【0587】
イソカルボキサジドは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾イソカルボキサジド化合物は、A. Klegeris and P. McGeer, ″R-(-)-Deprenyl inhibits monocytic THP-1 cell neurotoxicity independently of monoamine oxidase inhibition,″ Experimental Neurology, Vol. 166 (2000) pp. 458-464によって記載のアッセイで活性評価される。
【0588】
インダパミドは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾インダパミド化合物は、C. Ren, et al., ″Design and in vivo evaluation of an indapamide transdermal patch,″ International Journal of Pharmaceutics, Vol. 370 (2009) pp. 129-135によって記載のアッセイで活性評価される。
【0589】
ケタミンは、Sigma-Aldrich(R)(Round Rock、Texas)から得られる。SF-修飾ケタミン化合物は、G. Vasconcelos, et al., ″Alpha-lipoic acid alone and combined with clozapine reverses schizophrenia-like symptoms induced by ketamine in mice: participation of antioxidant, nitrergic and neurotrophic mechanisms,″ Schizophrenia Research, Vol. 165 (2015) pp. 163-170によって記載のアッセイで活性評価される。
【0590】
ロメフロキサシンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ロメフロキサシン化合物は、Y. Zhou, et al., ″Synthesis, cytotoxicity and topoisomerase II inhibitory activity of lomefloxacin derivatives,″ Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, Vol. 23 (2013) pp. 2974-2978によって記載のアッセイで活性評価される。
【0591】
モキシフロキサシンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾モキシフロキサシン化合物は、F. Hurtado, et al., ″Enhanced penetration of moxifloxacin into rat prostate tissue evidenced by microdialysis,″ International Journal of Antimicrobial Agents, Vol. 44, Issue 4 (2014) pp. 327-333によって記載のアッセイで活性評価される。
【0592】
パロキセチンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾パロキセチン化合物は、Y. Sugimoto, et al., ″Involvement of the sigma1 receptor in the antidepressant-like effects of fluvoxamine in the forced swimming test in comparison with the effects elicited by paroxetine,″ European journal of Pharmacology, Vol. 696, Issues 1-3 (2012) pp. 96-100によって記載のアッセイで活性評価される。
【0593】
メタゾラミドは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾メタゾラミド化合物は、M. Corena, et al., ″Degradation and effects of the potential mosquito larvicides methazolamide and acetazolamide in sheepshead minnow (Cyprinodon variegates),″ Ecotoxicology and Environmental Safety, Vol. 64 (2006) pp. 369-376によって記載のアッセイで活性評価される。
【0594】
メチルフェニデートは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾メチルフェニデート化合物は、C. Wrenn, et al., ″Effects of clonidine and methylphenidate on motor activity in Fmr1 knockout mice,″ Neuroscience Letters, Vol. 585 (2015) pp. 109-113によって記載のアッセイで活性評価される。
【0595】
ミルナシプランは、Sigma-Aldrich(R)(Round Rock、Texas)から得られる。。SF-修飾ミルナシプラン化合物は、M. Yamauchi, et al., ″A combination of mirtazapine and milnacipran augments the extracellular levels of monoamines in the rat brain,″ Neuropharmacology, Vol. 62 (2012) pp. 2278-2287によって記載のアッセイで活性評価される。
【0596】
マプロチリンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾マプロチリン化合物は、C. Jan, et al., ″Mechanism of maprotiline-induced apoptosis: Role of [Ca2+]I , ERK, JNK and caspase-3 signaling pathways,″ Toxicology, Vol. 304 (2013) 1-12によって記載のアッセイで活性評価される。
【0597】
ノルトリプチリンは、Sigma-Aldrich(R)(Milwaukee, Wisconsin)から得られる。SF-修飾ノルトリプチリン化合物は、C. Piubelli, et al., ″Nortriptyline influences protein pathways involved in carbohydrate metabolism and actin-related processes in a rat gene-environment model of depression,″ Eurpoean Neuropsycholpharmacology, Vol. 21, Issue 7 (2011) pp. 545-562によって記載のアッセイで活性評価される。
【0598】
さらに、筋萎縮性側索硬化症を治療するのに用いられる薬剤リルゾールのフルオロサルフェート類縁体を、下記に示したように、塩基(例えば、トリエチルアミン)存在下での市販の2-アミノ-6-ヒドロキシ-ベンゾチアゾールのSOとの反応によって製造することができる。
【0599】
【化47】
【0600】
実施例11.可溶性エポキシダーゼヒドロラーゼ(sEH)の阻害剤
可溶性エポキシダーゼヒドロラーゼ(sEH)はヒドロラーゼおよびホスファターゼ活性を有する二官能性のホモ二量体酵素であり、sEHは肝臓で高度に発現されるが、血管内皮、白血球、赤血球、平滑筋細胞、脂肪細胞ならびに近位尿細管などの組織でも発現される。sEHはシス-エポキシエイコサトリエン酸(EETs)ならびに他の脂質メディエータを代謝することから、sEHは高血圧、心肥大、動脈硬化、脳および心臓虚血傷害、癌および疼痛などのいくつかの疾患において役割を果たす。可溶性エポキシダーゼヒドロラーゼ(sEH)阻害剤のフルオロスルホニル誘導体は、sEH介在の疾患もしくは状態の治療に有用である。
【0601】
A.(S)-4-(3-(1-(2-メチルブタノイル)ピペリジン-4-イル)ウレイド)フェニルスルフロフルオリデートの合成
【0602】
【化48】
【0603】
4-アミノフェニルスルフロフルオリデート(アニリン-4-フルオロサルフェートとも称される;80mg、419μmol、1.0当量)およびトリエチルアミン(EtN;46.5mg、461μmol、1.1当量)を、-78℃で撹拌しながら、CHCl(5mL)に溶かした。CHCl(5mL)に溶かしたトリホスゲン(46mg、155μmol、0.37当量)を-78℃で滴下した。次に、反応物を昇温させて0℃とし、30分間撹拌した。その後、反応物および反応生成物を冷却して0℃とした。CHCl(DCM;5mL)に溶かした(S)-1-(4-アミノピペリジン-1-イル)-2-メチルブタン-1-オン(84mg、461μmol、1.2当量)およびEtN(46.5mg、461μmol、1.1当量)をゆっくり加え、得られた反応混合物を室温で12時間さらに撹拌した。次に、HCl溶液(1M、15mL)を加えることで反応停止した。反応混合物から有機層を回収し、残りの水層をEtOAcでさらに3回抽出した。得られた有機相を合わせ、飽和NaCl溶液で洗浄した。洗浄した有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。得られた生成物(85mg;50.6%)を、(EtOAc:ヘキサン/7:3)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって溶離した。生成物を、結晶化(MeOH+水)によってさらに精製した。収率50.6%.H NMR(d-DMSO、300MHz):∂0.80-0.90(m、3H)、0.97(t、J=5Hz、3H)、1.2-1.4(m、3H)、1.4-1.6(m、1H)、1.7-1.9(m、2H)、2.7-2.9(m、2H)、3.16(t、J=12Hz、1H)、3.6-3.8(m、1H)、3.88(d、J=12.6Hz、1H)、4.21(br、1H)、6.32(t、J=7.5Hz、1H)、7.43(d、J=9Hz、2H)、7.54(d、J=9Hz、2H)、8.68(d、J=8Hz、1H);融点(℃):186.5-188.0(187.3)。
【0604】
B.4-(3-(1-プロピオニルピペリジン-4-イル)ウレイド)フェニルスルフロフルオリデートの合成
【0605】
【化49】
【0606】
B(a)。tert-ブチル(1-プロピオニルピペリジン-4-イル)カーバメート26mg(0.1mmol規模)をDCM 0.5mLに溶かし、TFA 0.5mLを室温で溶液に加えた。反応混合物を室温で6時間撹拌した。溶媒および過剰のTFAをロータリーエバポレータによって留去し、真空乾燥した。粗TFA塩をDCMに再度溶かし、次の段階に直接用いた。
【0607】
B(b)。1.1当量のEtNを加えて、溶媒としてDCMを用いてTFA/アミン塩を遊離させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(100%EtOAc、R:0.14)によって精製して、生成物を白色固体として得た(0.1mmol規模、24mg、2段階で収率65%)。H NMR(400MHz、メタノール-d)δ7.55-7.45(m、2H)、7.34-7.26(m、2H)、4.37(dtd、J=13.6、4.0、1.8Hz、1H)、3.90(dtd、J=14.1、4.0、1.8Hz、1H)、3.82(tt、J=10.5、4.1Hz、1H)、3.22(ddd、J=14.2、11.5、2.9Hz、1H)、2.87(ddd、J=14.0、11.6、3.1Hz、1H)、2.41(q、J=7.5Hz、2H)、2.08-1.87(m、2H)、1.47-1.27(m、2H)、1.10(t、J=7.5Hz、3H);
19F NMR(376MHz、メタノール-d)δ35.02;ESI-MS(m/z):374[MH]。
【0608】
C.4-(((1s,4s)-4-(3-(4-((フルオロスルホニル)オキシ)フェニル)ウレイド)シクロヘキシル)オキシ)安息香酸の合成
【0609】
【化50】
【0610】
4-(((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)オキシ)安息香酸24mg(0.1mmol)をDMF 0.5mLに溶かし、EtN 15μLを溶液に加えた。反応混合物を室温で5分間撹拌した。4-イソシアナトフェニルスルフロフルオリデート/DCM溶液0.1mL(0.1mmol、1当量)を注射器によって加え、次にDABCO 1mgを加えた。反応液を油浴によって60℃で24時間加熱し、LCMSによってモニタリングした。溶媒をロータリーエバポレータによって留去した。粗混合物をカラムに直接負荷し、カラムクロマトグラフィー(R=0.41、100%EtOAc)によって精製することで、生成物を白色固体として得た(0.1mmol規模、25mg、2段階で収率53%)。H NMR(400MHz、メタノール-d)δ7.99-7.90(m、2H)、7.56-7.47(m、2H)、7.36-7.26(m、2H)、7.03-6.92(m、2H)、4.43(ddd、J=10.0、6.0、4.0Hz、1H)、3.73-3.57(m、1H)、2.22-2.13(m、2H)、2.08(dt、J=13.6、3.8Hz、2H)、1.60(tdd、J=12.8、9.9、3.2Hz、2H)、1.45(tdd、J=13.0、10.5、3.2Hz、2H);19F NMR(376MHz、メタノール-d)δ34.97;ESI-MS(m/z):453[MH]
【0611】
D.tert-ブチル4-(3-(4-((フルオロスルホニル)オキシ)フェニル)ウレイド)ピペリジン-1-カルボキシレートの合成
【0612】
【化51】
【0613】
D(a)。3当量のEtNを用いてDCM中で6時間にわたり4-アミノフェノールをスルフリルフルオリドと反応させることで、4-アミノフェニルフルオロスルホネートを容易に製造し、褐色固体として(融点41から42℃)、収率91%で(8.0g)単離した。HNMR(400MHz、CDCl)δ7.08(d、J=8.5Hz、1H)、6.65(d、J=8.7Hz、1H)、3.87(brs、1H);13C NMR(101MHz、CDCl)δ146.9、142.1、121.8、115.6、115.5;19F NMR(376MHz、CDCl)δ+35.5;EI-MS(m/z):191[M]
【0614】
D(b)。ジクロロメタン(DCM)中、4-アミノフェニルフルオロスルホネートをトリホスゲンおよびトリエチルアミンと反応させることで、4-イソシアナトフェニルスルフロフルオリデートを製造した。
【0615】
【化52】
【0616】
D(c)。上記に示した方法に従ってBoc保護アミノピペラジンと反応させることでtert-ブチル4-(3-(4-((フルオロスルホニル)オキシ)フェニル)ウレイド)ピペリジン-1-カルボキシレートをイソシアナトフェニルスルフロフルオリデートから製造し、白色固体として単離した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(50:50ヘキサン:EtOAc、R:0.15)によって精製して、生成物を白色固体として得た(0.25mmol規模、93mg、2段階で収率88%);H NMR(400MHz、メタノール-d)δ7.57-7.47(m、2H)、7.39-7.23(m、2H)、3.99(dt、J=14.1、3.7Hz、2H)、3.75(tt、J=10.5、4.1Hz、1H)、2.96(s、2H)、2.01-1.78(m、2H)、1.46(s、9H)、1.44-1.27(m、2H);19F NMR(376MHz、メタノール-d)δ35.02;ESI-MS(m/z):318[MH]-100。
【0617】
E.4-(3-(1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)ウレイド)フェニルスルフロフルオリデートの合成
【0618】
【化53】
【0619】
上記で示した方法に従って、Boc保護ピペラジン化合物に代えてN-メチルスルホニルピペラジン化合物を用いることで、上記のD(c)と同じ一般法によって、4-(3-(1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)ウレイド)フェニルスルフロフルオリデートを製造した。融点227から229;H NMR(400MHz、メタノール-d)δ7.56-7.48(m、2H)、7.36-7.27(m、2H)、3.76-3.60(m、3H)、2.96-2.86(m、2H)、2.84(s、3H)、2.09-1.94(m、2H)、1.54(dtd、J=12.8、11.0、4.1Hz、2H);19F NMR(376MHz、メタノール-d)δ35.00;ESI-MS(m/z):396[MH]
【0620】
F.4-(3-(1-(フルオロスルホニル)ピペリジン-4-イル)ウレイド)フェニルスルフロフルオリデートの合成
【0621】
【化54】
【0622】
F(a)。スルファモイルフルオリド類の合成の一般手順。1/3容量まで充填した丸底フラスコ中、2級アミン(1当量)、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP;0.5から1当量)およびトリエチルアミン(2当量)をCHCl(0.33M)中で混合する。フラスコをセプタムで密閉し、排気する。SOガスを風船から導入する。反応混合物を室温で約3から18時間高撹拌し、反応進行をGCまたはLC-MSによってモニタリングする。完了したら、混合物を濃縮し、EtOAcに溶かし、1N HClおよびブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮して、所望の化合物を通常は非常に純粋な形で得る。場合により、短いシリカゲルカラムに通すことでさらなる精製を行う。
【0623】
F(b)。0.5当量のDMAPおよび2当量のEtNを用いて、上記の一般手順F(a)に従って4-((3-メチルブチリデン)アミノ)ピペリジン-1-スルファモイルフルオリドを製造した。完了したら、反応混合物を水で洗浄し、脱水し、濃縮した。生成物を黄色油状物として得た(1.8g、収率70%、H NMRでDMAPを不純物として含む)。特性決定のため、イミン基を加水分解し(50℃で1.5時間にわたりイソプロパノール/水混合物で処理)、次にメタンスルホン酸(MsOH)で処理して、貯蔵安定な塩とした。EI-MS(m/z):183[MH]
【0624】
F(c)。4-(3-(1-(フルオロスルホニル)ピペリジン-4-イル)ウレイド)フェニルスルフロフルオリデート
【0625】
【化55】
【0626】
4-(3-(1-(フルオロスルホニル)ピペリジン-4-イル)ウレイド)フェニルスルフロフルオリデートを製造し、白色固体として単離した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(50:50ヘキサン:EtOAc、R:0.57)によって精製して、生成物を白色固体として得た。融点168から170℃;H NMR(400MHz、メタノール-d)δ7.54-7.48(m、2H)、7.33-7.27(m、2H)、3.88-3.80(m、2H)、3.77(td、J=6.4、3.2Hz、1H)、3.24(ddt、J=13.1、11.5、3.0Hz、2H)、2.11-1.98(m、2H)、1.59(dtd、J=13.7、11.0、4.2Hz、2H);19F NMR(376MHz、メタノール-d)δ35.06;ESI-MS(m/z):400[MH]
【0627】
G.4-(3-(4-エチニルフェニル)ウレイド)ピペリジン-1-スルホニルフルオリドの合成
【0628】
【化56】
【0629】
1-エチニル-4-イソシアナトベンゼンから、上記のF(a)における一般手順に従って、4-(3-(4-エチニルフェニル)ウレイド)ピペリジン-1-スルホニルフルオリドを製造し、白色固体として単離した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(50:50ヘキサン:EtOAc、R:0.70)によって精製して、生成物を白色固体として得た。融点227から229℃;H NMR(400MHz、メタノール-d)δ7.33(s、4H)、3.89-3.80(m、2H)、3.80-3.70(m、1H)、3.34(s、1H)、3.27-3.19(m、2H)、2.11-1.97(m、2H)、1.68-1.52(m、2H);19F NMR(376MHz、メタノール-d)δ39.06;ESI-MS(m/z):326[MH]
【0630】
H.4-(3-(4-(フルオロスルホニル)フェニル)ウレイド)ピペリジン-1-スルホニルフルオリドの合成
【0631】
【化57】
【0632】
4-イソシアナトベンゼンスルホニルフルオリドから、上記F(a)における一般手順に従って、4-(3-(4-(フルオロスルホニル)フェニル)ウレイド)ピペリジン-1-スルホニルフルオリドを、白色固体として単離した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(50:50ヘキサン:EtOAc;R:0.56)によって精製して、生成物を黄色ゲルとして得た。H NMR(400MHz、メタノール-d)δ7.93-7.86(m、2H)、7.72-7.65(m、2H)、3.92-3.73(m、3H)、3.29-3.21(m、2H)、2.06(dt、J=13.2、3.8Hz、2H)、1.71-1.52(m、2H);19F NMR(376MHz、メタノール-d)δ65.58、39.15;ESI-MS(m/z):384[MH]
【0633】
I.2-(4-(3-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ウレイド)ピペリジン-1-イル)エタン-1-スルホニルフルオリドの合成
【0634】
【化58】
【0635】
I(a)。1級および2級アミンのESFとの反応の一般手順(Krutak, J. J.; Burpitt, R. D.; Moore, W. H.;Hyatt, J. A. J. Org. Chem. 1979, 44, 3847-3858から適合させたもの)。原料のアミン(1当量)を有機溶媒に溶かし(通常はCHClまたはTHF、0.1から0.5M基質)、ESF(1から2.5当量)で処理する。LC-MSによって変換をモニタリングしながら、反応混合物を室温で数分間から数時間撹拌する。完了したら、溶媒および過剰のESFをロータリーエバポレータによって留去し、真空乾燥して、通常は高純度の生成物を得る。カラムクロマトグラフィーによる精製について言及がある場合、それは痕跡量の不純物を除去するために行った。
【0636】
I(b)。上記の一般ESF手順I(a)に従って、2-(4-(3-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ウレイド)ピペリジン-1-イル)エタン-1-スルホニルフルオリドを製造し、黄色固体として単離した(定量的収率、22mg)。ピペリジン化合物を、室温でDCM/CHCN中の1.1当量のESF(エテンスルホニルフルオリド)と混合した。反応は10分以内に完了した。融点180から182℃;H NMR(400MHz、メタノール-d)δ7.54-7.39(m、2H)、7.23-7.01(m、2H)、4.37(d、J=13.1Hz、2H)、3.85(s、1H)、3.77-3.48(m、4H)、3.14(s、2H)、2.21-2.07(m、2H)、1.92(d、J=12.8Hz、2H);19F NMR(376MHz、メタノール-d)δ54.78、-59.37;ESI-MS(m/z):414[MH]
【0637】
本実施例に記載のフルオロサルフェート、ESF、およびフルオロスルファメート誘導体についての試験を、sEH阻害活性についてのアッセイで行った。それら化合物は、10nM未満のヒトsEHに対するIC50値を示し、一部は1nM未満のIC50値を有していた。
【0638】
実施例11.ナプロキセン-SF誘導体
ナプロキセンを市販のカプレットから抽出し、還流条件下で48%臭化水素酸水溶液で処理して、メトキシ置換基からメチル基を除去した。反応完了し、混合物を冷却して室温とした後、脱メチル化ナプロキセンを黄色針状結晶として得た。その結晶を、ジクロロメタンおよび水(体積比3:2)を含む溶媒に懸濁させた。懸濁した結晶にトリエチルアミン(2当量)を加え、得られた混合物を窒素雰囲気下、次にスルフリルフルオリド雰囲気(反応容器に密閉装着したスルフリルフルオリド充填風船によって供給)下に約10分間撹拌した。ナプロキセンの脱メチル化ヒドロキシル基とスルフリルフルオリドの反応が完了した後、揮発分を減圧下に留去した。1M塩酸溶液を用いて水相のpHを中性または弱酸性に調節し、次に水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を単離し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。濾過および濃縮後に、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって、ナプロキセン-SF生成物を精製および単離した。
【0639】
【化59】
【0640】
H NMR(400MHz、d-DMSO)12.45(s、1H)、8.20(d、J=2.8Hz、1H)、8.15(d、J=9.2Hz、1H)、8.04(d、J=8.8Hz、1H)、7.96(s、1H)、7.69(dd、J=9.2、および2.8Hz、1H)、7.62(dd、J=8.2、および2.0Hz、1H)、3.91(q、J=7.2、1H)、1.47(d、J=6.8、3H);13C NMR(101MHz、d-DMSO);175.0、147.1、140.7、132.3、131.9、130.9、128.3、128.0、126.0、119.4、118.7、44.7、18.3;19F NMR(376MHz、d-DMSO)39.03;融点:146から147℃(ヘキサン/酢酸エチル)。
【0641】
実施例12.パラセタモール-SF誘導体.
パラセタモールを窒素雰囲気下でジクロロメタンに懸濁させ、トリエチルアミン(1.5当量)を加えた。混合物を10分間撹拌し、スルフリルフルオリドを導入して(スルフリルフルオリドを充填した風船により)、パラセタモール-SF類縁体を生成した。反応完了後、溶媒を減圧下に留去し、残留物を酢酸エチルに溶かした。濾過によって不溶の塩を除去し、溶液を減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0642】
【化60】
【0643】
H NMR(400MHz、CDCl)7.63(d、J=8.8Hz、2H)、7.30(d、J=8.8Hz、2H)、2.20(s、3H);13C NMR(101MHz、CDCl)168.6、145.9、138.3、121.7、121.3、24.7;19F NMR(376MHz、CDCl)36.91;融点:152から153℃。
【0644】
本明細書で引用の刊行物、特許出願および特許などの全ての参考文献は、あたかも各参考文献が参照によって個別および具体的に組み込まれていることを示されており、それの全体が本明細書に記載されているものと同程度に参照によって本明細書に組み込まれる。
【0645】
本発明を実施する上で本発明者らに公知の最良の形態を含む本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。それらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の記載を読むことで当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者が適宜にそのような変形形態を用いるものと予想しており、本発明者らは本明細書に具体的に記載されているものとは異なる形で本発明が実施されることを意図するものである。従って、本発明は、適用の法律によって許容される、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載された主題の全ての改変形態および均等物を含むものである。さらに、本発明の全ての可能な変形形態における上記要素のいかなる組み合わせも、本明細書において別段の断りがない限り、または文脈によって矛盾のあることが明らかでない限り、本発明によって包含されるものである。
図1
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【配列表】
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