IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザイレム・ウォーター・ソリューションズ・ズィーリアノウプル・エルエルシーの特許一覧

<>
  • 特許-水処理用浄化装置 図1
  • 特許-水処理用浄化装置 図2
  • 特許-水処理用浄化装置 図3
  • 特許-水処理用浄化装置 図4
  • 特許-水処理用浄化装置 図5
  • 特許-水処理用浄化装置 図6
  • 特許-水処理用浄化装置 図7
  • 特許-水処理用浄化装置 図8
  • 特許-水処理用浄化装置 図9
  • 特許-水処理用浄化装置 図10
  • 特許-水処理用浄化装置 図11
  • 特許-水処理用浄化装置 図12
  • 特許-水処理用浄化装置 図13
  • 特許-水処理用浄化装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】水処理用浄化装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/02 20060101AFI20230215BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
B01D21/02 F
C08J5/18 CER
C08J5/18 CEZ
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020507101
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 US2018046047
(87)【国際公開番号】W WO2019032850
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】62/543,036
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/598,623
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/059,409
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512188085
【氏名又は名称】ザイレム・ウォーター・ソリューションズ・ズィーリアノウプル・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ワイリー,ザ・サード,ロバート,リー
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1450772(KR,B1)
【文献】中国実用新案第202173819(CN,U)
【文献】仏国特許出願公開第02452950(FR,A1)
【文献】特開平06-154514(JP,A)
【文献】特開2017-060931(JP,A)
【文献】実開昭59-138407(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0008746(US,A1)
【文献】特開平10-277311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00-21/34
C02F 1/52- 1/56
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性ポリマー材料を含む複数の平坦な傾斜シートを備え、
各シートが疎水性の表面を備え
前記疎水性の表面は、3~100μmの平均表面粗さ(Sa)を有する水処理用浄化装置。
【請求項2】
前記可撓性ポリマー材料は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含む、請求
項1に記載の浄化装置。
【請求項3】
前記可撓性ポリマー材料は疎水性材料である、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項4】
前記可撓性ポリマー材料の表面は、前記疎水性の表面を形成するように疎水性材料で処
理されたファブリックである、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項5】
複数の垂直配向支持体をさらに備え、前記複数の平坦な傾斜シートのうちのシートは、
該複数の垂直配向支持体間に張設されている、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項6】
前記複数の垂直配向支持体のうちの垂直配向支持体は、液体がそこを流れることを可能
にするように構成された流入口を備える、請求項に記載の浄化装置。
【請求項7】
前記複数の平坦な傾斜シートは互いに平行に配置され、該複数の平坦な傾斜シートの各
シートは、複数の垂直配向支持体間に張設されている、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項8】
前記複数の平坦な傾斜シートの第一のシートを張設する垂直配向支持体は、該複数の平
坦な傾斜シートの第二のシートを張設する隣接の垂直配向支持体と連結する、請求項に記載の浄化装置。
【請求項9】
平行な前記シートは、地面に対して10°から90°の角度で配置される、請求項に記載の浄化装置。
【請求項10】
水溜り部と、
該水溜り部内に配置された、請求項1に記載の浄化装置であって、該浄化装置が、複数
の垂直配向支持体をさらに備え、前記複数の平坦な傾斜シートの各シートは、該複数の垂
直配向支持体間に張設されている浄化装置と、
を備える水処理システム。
【請求項11】
前記可撓性ポリマー材料は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含む、請求
10に記載の水処理システム。
【請求項12】
前記複数の平坦な傾斜シートは互いに平行に配置される、請求項10に記載の水処理システム。
【請求項13】
前記複数の平坦な傾斜シートの第一のシートを張設する垂直配向支持体は、該複数の平
坦な傾斜シートの第二のシートを張設する隣接の垂直配向支持体と連結する、請求項12に記載の水処理システム。
【請求項14】
平行な前記シートは、地面に対して10°から90°の角度で配置される、請求項12に記載の水処理システム。
【請求項15】
前記浄化装置の上に少なくとも部分的に配置された集水トラフを備える集水システムを
さらに備える、請求項10に記載の水処理システム。
【請求項16】
前記集水システムは、前記集水トラフを支持するように構成された浮力部材を備える、
請求項15に記載の水処理システム。
【請求項17】
請求項1に記載の浄化装置を設けることと、
水を前記浄化装置に流すことと、
浄化された水および/または前記浄化装置によって該水から分離された廃棄物を集める
ことと、
を含む、水を処理する方法。
【請求項18】
前記可撓性ポリマー材料は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含む、請求
17に記載の方法。
【請求項19】
水溜り部と、
該水溜り部内に配置された、可撓性ポリマー材料を含む複数の平坦な傾斜シートを備え、各シートが疎水性の表面を備える水処理用浄化装置であって、
該浄化装置が、複数の垂直配向支持体をさらに備え、前記複数の平坦な傾斜シートの各シートは、該複数の垂直配向支持体間に張設されている浄化装置と、
前記浄化装置の上に少なくとも部分的に配置された集水トラフを備える集水システムを
さらに備え、
前記集水システムは、前記集水トラフを支持するように構成された浮力部材を備える水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2017年8月9日に出願された米国特許仮出願第62/543,036号、2017年12月14日に出願された同第62/598,623号および2018年8月9日に出願された同第16/059,409号に対する優先権を主張するものであり、これらの開示は、参照により、それら全体が本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、水処理用浄化装置、水処理システムおよび水(例えば、廃水、工業用水、飲料用水用源水)を処理する方法に関する。また、該本発明は、水処理システムの集水システム、および水処理システムからの浄化水を集水する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
傾斜プレートまたは傾斜シートを用いる浄化装置は、水処理システムにおける浄化プロセスで利用される。該浄化プロセスの前に、該水は、該水中の粒子を凝集させて、以後、本願明細書においてフロックと呼ぶ該粒子から成る凝集体を形成するように、ミョウバン、鉄またはポリマー等のいくつかの化学的組成にさらされる。そして、懸濁フロックを有する該水は、該プレートまたはシートを通って上方へ進み、フロック粒子は、沈降を介して、重力によってプレートまたはシート上に堆積し、該システムの上部へ進む浄化水を残す。
【0004】
動作中、フロックは、該プレートまたはシート上に厚い層を形成し始めることができる。この層は、該プレートから脱落して、除去用の水溜り部の底部に沈殿するまで、わずかに集塊するように意図されている。しかし、通常、この凝集フロックは、時間と共に該プレートまたはシートに付着することになり、定期的に掃除しなければならない。該フロックを該プレートまたはシートから除去することは、典型的には手によるプロセスであり、このメンテナンスが行われている間は、浄化を停止することをプラントに要求する。そのため、該プレートまたはシート上のフロックから成る該凝集体を最小限にする、改良されたプレートまたはシートを備えた浄化装置をデザインすることが望ましいであろう。
【0005】
現存のプレートまたはシートの浄化装置を購入することは、付随する材料および設置に関するコストに一部基づく高い初期費用を必要とする。例えば、ステンレス鋼製プレートを利用し、かつ一日に750万ガロン(million gallon per day:MGD)を受け入れるプラントを稼働させるように設計された浄化装置は、63万ドル以上の費用がかかる。この費用の大部分は、該浄化装置の該ステンレス鋼製プレートに関連している。該浄化装置の基礎構造は、重い鋼製プレートを支持するように十分にロバストでなければならないため、該ステンレス鋼製プレートの重さは、該浄化装置の該費用を増加させる。したがって、現存のステンレス鋼製プレートの浄化装置と比較して、より費用効率の高い該浄化装置をデザインすることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、可撓性ポリマー材料を含む複数の平坦な傾斜シートを含む水処理用浄化装置を対象とする。各シートは、疎水性の表面を含む。
【0007】
該可撓性ポリマー材料は、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、または、これらの或る組合せを含んでもよい。該可撓性ポリマー材料は、疎水性材料であってもよい。該可撓性ポリマー材料の表面は、該疎水性の表面を形成するように疎水性材料で処理されたファブリックであってもよい。該疎水性の表面は、3~100μmの平均表面粗さ(average surface roughness:Sa)を有していてもよい。該浄化装置は、複数の垂直配向支持体を含んでもよく、この場合、該複数の平坦な傾斜シートのうちのシートは、該複数の垂直配向支持体間に張設されている。該複数の垂直配向支持体のうちの垂直配向支持体は、液体が中を通って流れることを可能にするように構成された流入口を含んでもよい。該複数の平坦な傾斜シートは、互いに平行に配置され、および該複数の平坦な傾斜シートの各シートは、複数の垂直配向支持体間に張設されてもよい。該複数の平坦な傾斜シートの第一のシートを張設する垂直配向支持体は、該複数の平坦な傾斜シートの第二のシートを張設する隣接の垂直配向支持体と連結してもよい。平行なシートは、地面に対して10°から90°の角度で配置してもよい。
【0008】
また、本発明は、水溜り部と、可撓性ポリマー材料を含む複数の平坦な傾斜シートを含む水処理用浄化装置とを含む水処理システムであって、各シートが疎水性の表面を含み、該浄化装置が該水溜り部内に配置されている水処理システムを対象とする。該浄化装置は、複数の垂直配向支持体をさらに含む。該複数の平坦な傾斜シートの各シートは、該複数の垂直配向支持体間に張設されている。
【0009】
上記可撓性ポリマー材料は、ポリエステル、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含んでもよい。上記疎水性の表面は、3~100μmの平均表面粗さ(Sa)を有していてもよい。上記複数の平坦な傾斜シートは、互いに平行に配置することができる。該複数の平坦な傾斜シートの第一のシートを張設する垂直配向支持体は、該複数の平坦な傾斜シートの第二のシートを張設する隣接の垂直配向支持体と連結してもよい。平行なシートは、地面に対して10°から90°の角度で配置してもよい。上記水処理システムは、上記浄化装置の上に少なくとも部分的に配置された集水トラフを含む集水システムをさらに含んでもよい。該集水システムは、該集水トラフを支持するように構成された浮力部材を含んでもよい。
【0010】
また、本発明は、可撓性ポリマー材料を含む複数の平坦な傾斜シートを含む該水処理用浄化装置を設けることであって、各シートが疎水性の表面を含み、該浄化装置が該水溜り部内に配置されることと、水を該浄化装置に流すことと、浄化された水および/または該浄化装置によって該水から分離された廃棄物を集めることとを含む、水を処理する方法をも対象とする。
【0011】
上記可撓性ポリマー材料は、ポリエステル、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含んでもよい。
【0012】
また、本発明は、少なくとも一つのモジュールであって、各モジュールが、複数の垂直配向支持体と、該複数の垂直配向支持体間に張設されている、可撓性ポリマー材料を含む平坦な傾斜シートとを含む、少なくとも一つのモジュールを含む水処理用浄化装置をも対象とする。
【0013】
該浄化装置は、該複数の垂直配向支持体間に張設されている、該可撓性ポリマー材料を含む複数の傾斜シートを含んでもよい。該浄化装置は、複数のモジュールを含んでもよく、および該複数のモジュールは、互いに連結してもよい。各垂直配向支持体は、舌部を含む第一の側と、溝を含む第二の側とを含んでもよく、この場合、該複数のモジュールは、隣接する第二の垂直配向支持体の溝に係合する第一の垂直配向支持体の該舌部によって、互いに連結する。該浄化装置は、複数のモジュールを含んでもよく、この場合、該複数のモジュールは、互いに平行に配置される。該モジュールは、地面に対して10°から90°の角度で配置してもよい。該シートは、疎水性の表面を含んでもよい。該可撓性ポリマー材料は、ポリエステル、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含んでもよい。該可撓性ポリマー材料は、疎水性材料であってもよい。該可撓性ポリマー材料の表面は、該疎水性の表面を形成するように疎水性材料で処理されたファブリックであってもよい。該疎水性の表面は、3~100μmの平均表面粗さ(Sa)を有していてもよい。該複数の垂直配向支持体のうちの垂直配向支持体は、液体が中を通って流れることを可能にするように構成された流入口を含んでもよい。
【0014】
また、本発明は、水溜り部と、少なくとも一つのモジュールを含む浄化装置であって、各モジュールが、複数の垂直配向支持体と、該複数の垂直配向支持体間に張設されている、可撓性材料を含む平坦な傾斜シートとを含み、該浄化装置が該水溜り部内に配置されている浄化装置とを含む水処理システムをも対象とする。
【0015】
該水処理システムは、複数のモジュールを含んでもよく、この場合、該複数のモジュールは互いに連結する。各垂直配向支持体は、舌部を含む第一の側と、溝を含む第二の側とを含んでもよく、この場合、該複数のモジュールは、隣接する第二の垂直配向支持体の溝に係合する第一の垂直配向支持体の該舌部によって互いに連結する。該水処理システムは、複数のモジュールを含んでもよく、この場合、該複数のモジュールは、互いに平行に配置される。該モジュール群は、地面に対して10°から90°の角度で配置してもよい。該可撓性ポリマー材料は、ポリエステル、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含んでもよい。該複数の垂直配向支持体のうちの垂直配向支持体は、液体が中を通って流れることを可能にするように構成された流入口を含んでもよい。
【0016】
また、本発明は、少なくとも一つのモジュールを含む浄化装置であって、各モジュールが、複数の垂直配向支持体と、該複数の垂直配向支持体間に張設されている、可撓性ポリマー材料を含む平坦な傾斜シートとを含む浄化装置を設けることと、水を該浄化装置に流すことと、浄化された水および/または該浄化装置によって該水から分離された廃棄物を集めることとを含む、水を処理する方法をも対象とする。
【0017】
また、本発明は、液体を受け入れるように構成された集水トラフと、該集水トラフを支持するように構成された浮力部材とを含む、水処理システムの集水システムをも対象とする。
【0018】
該集水トラフは、プラスチックシートを含んでもよい。該集水トラフは、可撓性材料を含んでもよい。該集水システムは、該集水トラフを支持するための少なくとも一つのケーブルをさらに含んでもよい。該浮力部材は、膨張式バッグまたはポンツーンを含んでもよい。該浮力部材は、水中で浮くように構成することができる。
【0019】
また、本発明は、水溜り部と、該水溜り部内に配置された浄化装置と、液体を受け入れるように構成された集水トラフ及び該集水トラフを支持するように構成された浮力部材とを含む集水システムであって、該浄化装置の上に少なくとも部分的に配置され且つ該浄化装置と流体的に連通している該集水システムと、を含む水処理システムをも対象とする。
【0020】
該集水トラフは、プラスチックシートを含んでもよい。該集水トラフは、可撓性材料を含んでもよい。該集水システムは、該集水トラフを支持するための少なくとも一つのケーブルをさらに含んでもよい。該浮力部材は、膨張式バッグまたはポンツーンを含んでもよい。該浮力部材は、水中で浮くように構成することができる。
【0021】
また、本発明は、水溜り部と、該水溜り部内に配置された浄化装置と、液体を受け入れるように構成された集水トラフおよび該集水トラフを支持するように構成された浮力部材を含む集水システムであって、該浄化装置の上に少なくとも部分的に配置され且つ該浄化装置と流体的に連通している集水システムとを含む水処理システムを設けることと、水を該浄化装置に流すことと、該集水トラフ内で該水から浄化された浄化水を集めることとを含む、水処理システムから浄化水を集める方法をも対象とする。
【0022】
該方法は、該浄化装置によって該水から分離された廃棄物を集めることをさらに含んでもよい。該廃棄物は、該浄化装置の基部に集まるように構成してもよい。該集水トラフは、プラスチックシートを含んでもよい。該集水トラフは、可撓性材料を含んでもよい。該水処理システムは、該集水トラフを支持するための少なくとも一つのケーブルをさらに含んでもよい。該浮力部材は、膨張式バッグまたはポンツーンを含んでもよい。該浮力部材は、水中で浮くように構成することができる。
【0023】
本発明は、以下の条項の内容をさらに含む。
【0024】
条項1:可撓性ポリマー材料を含む複数の平坦な傾斜シートを備える水処理用浄化装置であって、各シートが疎水性の表面を含む、水処理用浄化装置。
【0025】
条項2:可撓性ポリマー材料が、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含む条項1の浄化装置。
【0026】
条項3:該可撓性ポリマー材料が疎水性材料である条項1または2の浄化装置。
【0027】
条項4:該可撓性ポリマー材料の表面が、該疎水性の表面を形成するように疎水性材料で処理されたファブリックである条項1から3のいずれかの浄化装置。
【0028】
条項5:該疎水性の表面が、3~100μmの平均表面粗さ(Sa)を有する条項1から4のいずれかの浄化装置。
【0029】
条項6:複数の垂直配向支持体をさらに備え、該複数の平坦な傾斜シートのうちのシートは、該複数の垂直配向支持体間に張設されている条項1から5のいずれかの浄化装置。
【0030】
条項7:該複数の垂直配向支持体のうちの垂直配向支持体が、液体がそこを流れることを可能にするように構成された流入口を備える、条項6の浄化装置。
【0031】
条項8:該複数の平坦な傾斜シートが互いに平行に配置され、該複数の平坦な傾斜シートの各シートは、複数の垂直配向支持体間に張設されている条項1から7のいずれかの浄化装置。
【0032】
条項9:該複数の平坦な傾斜シートの第一のシートを張設する垂直配向支持体は、該複数の平坦な傾斜シートの第二のシートを張設する隣接の垂直配向支持体と連結する、条項8の該浄化装置。
【0033】
条項10:平行な該シートは、地面に対して10°から90°の角度で配置される、条項8または9の該浄化装置。
【0034】
条項11:水溜り部と、該水溜り部内に配置された、条項1から10のいずれかに記載の該浄化装置であって、該浄化装置が、複数の垂直配向支持体をさらに備え、該複数の平坦な傾斜シートの各シートは、該複数の垂直配向支持体間に張設されている浄化装置とを備える水処理システム。
【0035】
条項12:該可撓性ポリマー材料が、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含む、条項11の該水処理システム。
【0036】
条項13:該疎水性の表面が、3~100μmの平均表面粗さ(Sa)を有する、条項11または12の該水処理システム。
【0037】
条項14:該複数の平坦な傾斜シートが互いに平行に配置されている、条項11から13のいずれかの該水処理システム。
【0038】
条項15:該複数の平坦な傾斜シートの第一のシートを張設する垂直配向支持体は、該複数の平坦な傾斜シートの第二のシートを張設する隣接の垂直配向支持体と連結する、条項14の該水処理システム。
【0039】
条項16:平行な該シートは、地面に対して10°から90°の角度で配置される、条項14または15の該水処理システム。
【0040】
条項17:該浄化装置の上に少なくとも部分的に配置された集水トラフを備える集水システムをさらに備える、条項11から16のいずれかの該水処理システム。
【0041】
条項18:該集水システムが、該集水トラフを支持するように構成された浮力部材を備える、条項17の該水処理システム。
【0042】
条項19:請求項1から10のいずれかの該浄化装置を設けることと、水を該浄化装置に流すことと、浄化された水および/または該浄化装置によって該水から分離された廃棄物を集めることとを含む、水を処理する方法。
【0043】
条項20:該可撓性ポリマー材料は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含む、条項19の該方法。
【0044】
条項21:少なくとも一つのモジュールを備え、各モジュールが、複数の垂直配向支持体と、該複数の垂直配向支持体間に張設されている、可撓性ポリマー材料を含む平坦な傾斜シートとを備える水処理用浄化装置。
【0045】
条項22:該可撓性ポリマー材料を含む複数の傾斜シートが、該複数の垂直配向支持体間に張設されている、条項21の該浄化装置。
【0046】
条項23:複数のモジュールを含み、該複数のモジュールが互いに連結する、条項21または22の該浄化装置。
【0047】
条項24:各垂直配向支持体は、舌部を備える第一の側と、溝を備える第二の側とを備え、該複数のモジュールは、隣接する第二の垂直配向支持体の溝に係合する第一の垂直配向支持体の該舌部によって互いに連結する、条項23の該浄化装置。
【0048】
条項25:複数のモジュールを備え、該複数のモジュールが互いに平行に配置されている、条項21から24のいずれかの該浄化装置。
【0049】
条項26:該モジュールは、地面に対して10°から90°の角度で配置される、条項25の該浄化装置。
【0050】
条項27:該シートが疎水性の表面を備えている、条項21から26のいずれかの該浄化装置。
【0051】
条項28:該可撓性ポリマー材料は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含む、条項21から27のいずれかの該浄化装置。
【0052】
条項29:該可撓性ポリマー材料が疎水性材料である、条項21から28のいずれかの該浄化装置。
【0053】
条項30:該可撓性ポリマー材料の表面が、該疎水性の表面を形成するように疎水性材料で処理されたファブリックである、条項27から29のいずれかの該浄化装置。
【0054】
条項31:該疎水性の表面は、3~100μmの平均表面粗さ(Sa)を有する、条項27から30のいずれかの該浄化装置。
【0055】
条項32:該複数の垂直配向支持体のうちの垂直配向支持体は、液体がそこを流れることを可能にするように構成された流入口を備える、条項21から31のいずれかの該浄化装置。
【0056】
条項33:水溜り部と、該水溜り部内に配置された、条項21から32のいずれかの該浄化装置とを備える水処理システム。
【0057】
条項34:複数のモジュールを備え、該複数のモジュールが互いに連結する、条項33の該水処理システム。
【0058】
条項35:各垂直配向支持体は、舌部を備えている第一の側と、溝を備えている第二の側とを備え、該複数のモジュールは、隣接する第二の垂直配向支持体の溝に係合する第一の垂直配向支持体の該舌部によって互いに連結する、条項34の該水処理システム。
【0059】
条項36:複数のモジュールを備え、該複数のモジュールが互いに平行に配置されている、条項33から35のいずれかの該水処理システム。
【0060】
条項37:該モジュールは、地面に対して10°から90°の角度で配置される、条項36の該水処理システム。
【0061】
条項38:該可撓性ポリマー材料は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含む、条項33から37のいずれかの該水処理システム。
【0062】
条項39:該複数の垂直配向支持体のうちの垂直配向支持体は、液体がそこを通って流れることを可能にするように構成された流入口を備えている、条項33から38のいずれかの該水処理システム。
【0063】
条項40:条項21から32のいずれかの該浄化装置を設けることと、水を該浄化装置に流すことと、浄化された水および/または該浄化装置によって該水から分離された廃棄物を集めることとを含む、水を処理する方法。
【0064】
条項41:液体を受け入れるように構成された集水トラフと、該集水トラフを支持するように構成された浮力部材とを備える、水処理システムの集水システム。
【0065】
条項42:該集水トラフがプラスチックシートを備える、条項41の該集水システム。
【0066】
条項43:該集水トラフが可撓性材料を備える、条項41または42の該集水システム。
【0067】
条項44:該集水トラフを支持するための少なくとも一つのケーブルをさらに備える、条項41から43のいずれかの該集水システム。
【0068】
条項45:該浮力部材が、膨張式バッグまたはポンツーンを備える、条項41から44のいずれかの該集水システム。
【0069】
条項46:該浮力部材は、水中で浮くように構成されている、条項41から45のいずれかの該集水システム。
【0070】
条項47:水溜り部と、該水溜り部内に配置された浄化装置と、該浄化装置の上に少なくとも部分的に配置され且つ該浄化装置と流体的に連通している、条項41から46のいずれかの該集水システムとを備える水処理システム。
【0071】
条項48:該集水トラフがプラスチックシートを備える、条項47の該水処理システム。
【0072】
条項49:該集水トラフが可撓性材料を備える、条項47または48の該水処理システム。
【0073】
条項50:該集水トラフを支持するための少なくとも一つのケーブルをさらに備える、条項47から49のいずれかの該水処理システム。
【0074】
条項51:該浮力部材が膨張式バッグまたはポンツーンを備える、条項47から50のいずれかの該水処理システム。
【0075】
条項52:該浮力部材は、水中で浮くように構成されている、条項47から51のいずれかの該水処理システム。
【0076】
条項53:条項47から52のいずれかの該水処理システムを設けることと、水を該浄化装置に流すことと、該集水トラフ内で該水から浄化された浄化水を集めることとを含む、水処理システムから浄化水を集める方法。
【0077】
条項54:該浄化装置によって該水から分離された廃棄物を集めることをさらに含む、条項53の該方法。
【0078】
条項55:該廃棄物が該浄化装置の基部に集まるように構成されている、条項54の該方法。
【0079】
条項56:該集水トラフがプラスチックシートを備える、条項53から55のいずれかの該方法。
【0080】
条項57:該集水トラフが可撓性材料を備える、条項53から56のいずれかの該方法。
【0081】
条項58:該水処理システムは、該集水トラフを支持するための少なくとも一つのケーブルをさらに備える、条項53から57のいずれかの該方法。
【0082】
条項59:該浮力部材が、膨張式バッグまたはポンツーンを備える、条項53から58のいずれかの該方法。
【0083】
条項60:該浮力部材は、水中で浮くように構成されている、条項53から59のいずれかの該方法。
【0084】
条項61:可撓性ポリマー材料を備える複数の傾斜チューブを備え、各チューブが疎水性の表面を備えている、水処理用浄化装置。
【0085】
条項62:該可撓性ポリマー材料は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)を含む、条項61の該浄化装置。
【0086】
条項63:該可撓性ポリマー材料が疎水性材料である、条項61または62の該浄化装置。
【0087】
条項64:該可撓性ポリマー材料の表面は、該疎水性の表面を形成するように疎水性材料で処理されたファブリックである、条項61から63のいずれかの該浄化装置。
【0088】
条項65:該疎水性の表面が、3~100μmの平均表面粗さ(Sa)を有する、条項61から64のいずれかの該浄化装置。
【0089】
条項66:該複数の傾斜チューブを支持するために、該複数の傾斜チューブと協働する支持体をさらに備える、条項61から65のいずれかの該浄化装置。
【0090】
条項67:該複数の傾斜チューブがハニカム構造を形成する、条項61から66のいずれかの該浄化装置。
【0091】
条項68:該複数の傾斜チューブの第一のチューブは、該複数の傾斜チューブの隣接する第二のチューブに取付けられている、条項61から67のいずれかの該浄化装置。
【0092】
条項69:該複数の傾斜チューブは、地面に対して10°から90°の角度で配置される、条項61から68のいずれかの該浄化装置。
【0093】
条項70:該浄化装置へのガスを泡立たせて該シートを洗浄するように構成されたスパージングシステムをさらに備えている、条項11から18または33から39のいずれかの該水処理システム。
【0094】
条項71:該シートが弛みを備えている、条項1から10または21から32のいずれかの該浄化装置。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】水処理用浄化装置のモジュールの斜視図を示す。
図2】水処理用浄化装置の二つの連結モジュールの斜視図を示す。
図3】可撓性ポリマー材料を含む複数の平坦な傾斜シートを含むモジュールの斜視図を示す。
図4】水処理システムの斜視図を示す。
図5図4の該水処理システムの側面図を示す。
図6図5の該水処理システムの正面図を示す。
図7】水溜り部内に配置されていない、図4に示す該浄化装置の斜視図を示す。
図8】浄化装置を上部ケーブルを用いて支持した水処理システムの斜視図を示す。
図9】浮力部材を利用する集水システムの斜視図を示す。
図10図9の該集水システムを含む水処理システムの斜視図を示す。
図11】水処理システムの別の実施形態の斜視図を示す。
図12】一緒に溶接された、図11の該水処理システムの該モジュールの拡大斜視図を示す。
図13】チューブ浄化装置を有する水処理システムの別の実施形態の斜視図を示す。
図14】フレームによって支持された、図13の該チューブ浄化装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0096】
本願明細書における以下の説明目的のために、「上方」、「下方」、「右」、「左」、「垂直方向」、「水平方向」、「上部」、「底部」、「横方向」、「長手方向」という用語およびこれらの派生語は、本発明が図面において方向付けられている場合には、本発明に関連しているものとする。しかし、それとは逆に明確に指定されている場合を除いて、本発明は、代替的な変形例およびステップの順序を想定してもよいことを理解すべきである。また、添付図面に例示されている、および以下の明細書に記載されている特定の装置およびプロセスが、本発明の例示的な実施形態にすぎないことも理解すべきである。したがって、本願明細書に開示されている実施形態に関連する具体的な寸法や他の物理的特徴は、限定的と見なすべきではない。
【0097】
また、本願明細書に挙げられている何らかの数値の範囲は、それに包含されているすべての部分範囲を含むことが意図されていることを理解すべきである。例えば、「1から10」という範囲は、挙げられている1という最小値と、挙げられている10という最大値との間のすべての部分範囲を含むこと(および含んでいること)、すなわち、1以上の最小値と、10以下の最大値とを有していることが意図されている。
【0098】
この出願において、単数形の使用は、特に記述されていない限り、複数形を含み、および複数形は単数形を包含する。加えて、この出願において、「または」の使用は、「および/または」がいくつかの事例で明確に使用されている可能性があっても、特に記述されていない限り、「および/または」を意味する。さらに、この出願において、「一つの(“a”または“an”)」の使用は、特に記述されていない限り、「少なくとも一つの」を意味する。
【0099】
図1を参照すると、非限定的な実施形態による水処理用浄化装置に用いられるモジュール10が図示されている。疎水性の表面13を有するシート12を含み、該シート12は、可撓性ポリマー材料を含んでいる。該シートは、実質的に平坦であってもよい。いくつかの非限定的実施形態において、該可撓性ポリマー材料は、疎水性材料であってもよい。「疎水性材料」または「疎水性の表面」という用語は、本願明細書において用いられる場合、水と接触したときに、少なくとも90°の水接触角(Water Contact Angle:WCA)を呈する材料または表面を指す。いくつかの非限定的実施例において、該可撓性ポリマー材料は、該疎水性の表面13を形成するように疎水性材料で処理されたファブリックを含む。疎水性材料の実例は、シリカゲル。PTFE、グラファイトおよび/またはグラフェンを含む。該可撓性ポリマー材料は、ポリエステル、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、または、これらの或る組合せを含んでもよい。
【0100】
いくつかの非限定的実施形態において、該疎水性の表面13は、5~20μmの平均表面粗さ(Sa)を有していてもよい。本願明細書において測定されて報告されているように、平均表面粗さ(Sa)は、以下の方程式による三次元表面に関する評価の基準である。
【数1】
該方程式Z(x,y)は、最適なプレートに対する該表面の高さを表す関数であり、また、「a」は、測定の領域にわたって積分が行われることを示している。
【0101】
該疎水性の表面13は、3~100μmのミクロンレベルのSaを有していてもよい。該疎水性の表面13は、粗面を有していてもよい。粗面は、本願明細書において用いられる場合、Sa≧15μm、例えば、15μm≦Sa≦100μmを有する表面を指してもよい。該疎水性の表面13は、滑面を有していてもよい。滑面は、本願明細書において用いられる場合、Sa<15μmを有する表面を指してもよい。
【0102】
引き続き図1を参照すると、該モジュール10は、複数の垂直配向支持体14を含んでもよい。該垂直配向支持体14は、傾斜させるために、該地面と非平行に配置することができ、および該地面と10°から90°、例えば、20°から80°、35°から70°、40°から60°、45°から65°、または45°から55°の角度を形成してもよい。該垂直配向支持体14によって形成される該地面に対する該角度は変化させてもよい。該角度は、本願明細書において後述する該浄化装置を支持するのに用いられる該ケーブルを用いることを含む、何らかの適当なシステムを用いて変化させてもよい。該シート12のうちの少なくとも一つは、該垂直配向支持体14間に張設されてもよい。該垂直配向支持体14間に張設されている該シート12は、該地面に対して該垂直配向支持体14と同じ角度を形成してもよい。該シート12は、垂直配向支持体14間で緊張されるように、該垂直配向支持体14間に張設されてもよく、または、該シートは、該シート12がある程度の弛みを含むように、該垂直配向支持体間に張設されてもよい。該支持体群は、(該地面に平行に配置された支持体群とは対照的に)垂直配向支持体14であるため、該シートにおける任意の弛みは、該シート12の該底部よりも高い或る箇所において、該シート12の中心に向かって沈殿する廃棄物とは対照的に、該廃棄物(固形物)を該モジュール10の該中心および底部に押しこむような重力を引き起こすことができる。これは、該弛みが、シュートと同様に、蓄積された固形物を該シート12の該中心へ集中させるのを補助するためである。また、このことは、流入水で廃棄物の流れを邪魔しないことにより、該廃棄物の流れから該流入水を分離することを補助して、全体的な浄化を改善する。したがって、該垂直配向支持体14間に張設されている該シート12は、傾斜シート12を有する傾斜モジュール10を形成するように配置される。
【0103】
引き続き図1を参照すると、該垂直配向支持体14のうちの少なくとも一つは、そこを通して液体を流すことを可能にするように構成された流入口16を含んでもよい。点線矢印および実線矢印は、図示されている該モジュール10の該非限定的実施形態における水および廃棄物の流れを示している。水は、該点線矢印によって示すように、該垂直配向支持体の該流入口16を通って該モジュール10に入る。該水が該傾斜シート12の上方へ移動するにつれて、該水は、該モジュール10に流れる該水に含まれている該廃棄物(例えば、スラッジ)が該浄化装置の該基部17における該モジュール10の該底部に沈殿することによって浄化される。該基部17に沈殿している廃棄物の該流れは、該実線によって示されている。
【0104】
図2を参照すると、一つの非限定的実施形態による浄化装置19が図示されている。該浄化装置19は、複数の平坦な傾斜シート12a、12bを含んでもよい。該浄化装置19は、少なくとも一つのモジュール10a、10bを含み、また、図2に示す実施例では、二つのモジュール10a、10bを含んでいる。任意の数のモジュール10a、10bを該浄化装置19に用いてもよいことは正しく認識されるであろう。該複数のシート12a、12bは、各シート12a、12bが、複数の垂直配向支持体14(それらは、同じかまたは異なる垂直配向支持体14とすることができる)間に張設されている状態で、互いに平行に該浄化装置19内に配置してもよい。また、該モジュール10a、10bも、互いに平行に該浄化装置19内に配置してもよい。
【0105】
引き続き図2を参照すると、該垂直配向支持体14a、14bの非限定的実施形態が図示されている。該垂直配向支持体14a、14bは、該シート12a、12bを該垂直配向支持体14a、14b間で張設できるように、該シート12a、12bを受け入れるための凹部18a、18bを含んでもよい。該シート12a、12bは、該垂直配向支持体14a、14b間に張設できるように、該凹部18a、18bに挿入されるロッドを覆って装着してもよい。
【0106】
引き続き図2を参照すると、該浄化装置19の該モジュール10a、10bは、互いに連結してもよい。一つの非限定的実施形態において、第一のモジュール10aは、第二のモジュール10bの該垂直配向支持体14bと連結する該第一のモジュール10aの該垂直配向支持体14aによって、隣接する該第二のモジュール10bと連結することができる。該垂直配向支持体14a、14bは、溝20a、20bを含む第一の側と、舌部22a、22bを含む第二の側とを含んでもよい。該垂直配向支持体14a、14bは、該第二の垂直配向支持体14bの該舌部22aに係合している該第一の垂直配向支持体14aの該溝20bによって、互いに連結することができる。
【0107】
図3を参照すると、該モジュール10を含む、浄化装置19の別の非限定的実施形態が図示されている。図4に示す該モジュール10は、前述したような該垂直配向支持体14を含む。該垂直配向支持体14は、前述したような該舌部22および溝20を含んでいる。この非限定的実施形態おいて、該垂直配向支持体14は、それらの間に複数のシート12を張設する。この特定の実施形態においては、五つのシート12が、該垂直配向支持体14間で張設されているが、任意の数のシート12を、任意の単一のモジュール10の垂直配向支持体14間で張設できることは正しく認識されるであろう。
【0108】
図4から図7を参照すると、非限定的実施形態による水処理システム30が図示されている。該水処理システム30は、複数の壁と一つの床で画定された水溜り部32を含む。該水処理システム30は、該水溜り部32内に配置された少なくとも一つの浄化装置19a、19bを含む。
【0109】
引き続き図4から図7を参照すると、該浄化装置19a、19bは、何らかの適当な構成を利用して、該水溜り部32内で支持することができる。ひとつのこのような非限定的な構成において、各モジュール10a、10bは、該モジュール10a、10bの下方部分に近接して延在している少なくとも一つのロッド34を含む。下方ケーブル36は、該ロッド34の各々に係合し、該下方ケーブル36の端部は、該水溜り部32の壁40a、40bが該浄化装置19a、19bを支持できるように、該水溜り部32の該壁40a、40bに取付けることができる。
【0110】
浄化装置19a、19bは、図4から図7に示すように、並んで配置することができる(例えば、第一の浄化装置19aのモジュール10aは、第二の浄化装置19bのモジュール10cと並んで配置される)。中心ロッド44は、隣り合った浄化装置19a、19bを互いに対して固定するように、該隣り合った浄化装置19a、19bの間に延在することができる。該中心ロッド44は、該モジュール10a、10cの下方部分に近接して、該浄化装置19a、19bの各モジュール10a、10cから延在していてもよい。中心ケーブル46は、該中心ロッド44に係合することができ、また、該中心ケーブル46の端部は、前述したように、該水溜り部の壁40a、40bに取付けることができる。該ロッド34と該中心ロッド44は、該下方ケーブル36および/または該中心ケーブル46に係合して、それらの端部間で比較的長い距離に亘っている該ケーブル36、46のための堅固な支持体として作用することができる。また、該ロッド34は、該シート12の曲率を増減させるために、該シート12に対する張力を増減させるように機能することもできる。
【0111】
引き続き図4から図7を参照すると、該浄化装置19a、19bは、該浄化装置19a、19bの上に少なくとも部分的に配置された集水トラフ38a、38b、38cを含む集水システムをさらに含むことができる。該集水トラフ38a、38b、38cは、該浄化装置19a、19bを通って流れている浄化された水、例えば、該浄化装置19a、19bの上部から流出している水を受け入れるように構成することができ、該水は、該浄化装置19a、19bへ流れた廃水からの該廃棄物が重力により底部に沈殿することによって、既に浄化されている。
【0112】
引き続き図4から図7を参照すると、該水溜り部32は、該水処理システム30によって処理された浄化水がそこの中を流れる流出水路42を含んでもよい。いくつかの非限定的な実施例において、該浄化水は、該集水トラフ38a、38b、38cから該流出水路42に流入することができる。
【0113】
図8を参照すると、非限定的実施形態による別の水処理システム30が図示されている。この非限定的実施形態においては、該下方ケーブル36および該中心ケーブル46に係合するロッドを用いる該前述した構成の代わりに、下方トラック48a、48bを用いてもよい。該下方トラック48a、48bは、該シート12の該底部に近接して配置することができる。該下方トラック48a、48bは、該下方ケーブル36および/または該中心ケーブル46に係合して、それらの端部間で比較的長い距離に亘っている該ケーブル36、46のための堅固な支持体として作用することができる。
【0114】
引き続き図8を参照すると、該モジュール10の該シート12を横断して水平方向に(該地面と平行に)亘るように、スペーサバー49をさらに含めてもよい。該スペーサバー49は、図8に図示されているように、該シート12の該上部および/または該底部に近接して配置することができる。該スペーサバー49は、該シートの側部間の幅を調節して、それにより、任意の曲率が所望される場合に、該シート12の該所望の曲率(弛み)を実現できるように、長さが調節可能であってもよい。
【0115】
引き続き図8を参照すると、上方トラック50a、50bと上方ケーブル52a、52bを、該浄化装置19のためのさらなる支持体として利用してもよい。該上方トラック50a、50bは、該シート12の該上部に近接して配置することができ、そして、該上方ケーブル52a、52bに係合して、それらの端部間で比較的長い距離に亘っている該上方ケーブル52a、52bのための堅固な支持体として作用することができる。
【0116】
図9を参照すると、水処理システム30の集水システム60が図示されている。該集水システム60は、液体、例えば、該浄化装置の該上部からの浄化水を受け入れるように構成された浮力集水トラフ62を含む。該集水トラフ62は、トラフベース66によって接続された複数のトラフ壁64a、64bを含んでもよい。該トラフ壁64a、64bおよび該トラフベース66は、プラスチックシートおよび/または可撓性材料を含んでもよく、また、該トラフ壁64a、64bおよび該トラフベース66は、ポリエステル、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリ塩化ビニル(PVC)またはこれらのいくつかの組合せで形成することができる。該トラフ壁64a、64bおよび該トラフベース66は、軽量の材料を含んでもよい。少なくとも一つのトラフケーブル70a、70bを、該トラフ壁64a、64bを支持するのに利用することができ、また、水溜り部壁が該トラフ壁64a、64bを支持するように、該トラフケーブル70a、70bの端部を該水溜り部壁に取付けることができる。
【0117】
引き続き図9を参照すると、該集水システム60は、該集水トラフ62を支持するように構成された浮力部材68a、68bをさらに含んでもよい。一つの非限定的実施例において、該浮力部材68a、68bは、該集水トラフ62を支持するために、ガスを受け入れるように、および該水溜り部32内の水中で浮いて、該浄化装置を通って流れるように構成された膨張式バッグを含んでもよい。該浮力部材68a、68bは、該浮力部材68a、68bが浮いて該集水トラフ62を支持するように、水および/または空気が充填されたプラスチックチューブを有するポンツーンを含んでもよい。いくつかの実施例において、該トラフベース66は、浮力部材68aであってもよい。該浮力部材68a、68bは、該トラフベース66と協働してもよく、およびそれらが該ケーブル70a、70bのカテナリーで弛むのを防ぐように、該トラフベース66(すなわち該集水トラフ62)と該浄化装置を支持して水平にすることができる。該浮力部材68a、68bは、該集水トラフ62の下に配置することができる。
【0118】
図10を参照すると、一つの非限定的実施形態による水処理システム30が図示されている。該水処理システムは、該水溜り部32と、該水溜り部32内に配置された(例えば、この特定の実施例では四つの)浄化装置19a、19b、19c、19dと、該浄化装置19a、19b、19c、19dの各々の上に少なくとも部分的に配置された集水システム60a、60b、60c、60dとを含む。該集水システム60a、60b、60c、60dは、それぞれの浄化装置19a、19b、19c、19dの各々と流体的に連通している。該水処理システム30は、該集水システム60a、60b、60c、60dの各々(例えば、集水トラフ62a)と、該流出水路42との間で、該水溜り部32の壁内に画定された流出口72a、72b、72c、72dをさらに含んでもよい。
【0119】
引き続き図10を参照すると、水を処理する方法は、本願明細書に記載されているような浄化装置19を設けることを含んでもよい。水は、該水溜り部32に流入させることができ、および該浄化装置19へ流れることができる。該水からの廃棄物は、該廃棄物を該傾斜シート12の該疎水性の表面13に流下させる重力によって、該浄化装置19の該底部に沈殿し、一方、(当初の水と比較して、有する廃棄物がより少ない)該浄化水は、該傾斜シート12を上方へ流れて、該集水システム60に流入し続ける。該浄化水は、該集水システム60の該集水トラフ62で集水することができる。したがって、該方法は、浄化水、および/または該浄化装置19によって該当初の水から既に分離されている廃棄物を集めることを含む。
【0120】
引き続き図10を参照すると、該水処理システム30は、該水溜り部32内に配置されたスパージングシステム84をさらに含んでもよい。該スパージングシステム84は、該水溜り部32の該底部に配置することができる。該スパージングシステム84は、洗浄のための該浄化装置への空気を泡立たせる小さなオリフィスを含む、該浄化装置19a~19dの下に沿っておよび該浄化装置の長さに沿って通っているエアラインを含んでもよい。該スパージングシステム84は、空気または他の不活性ガスを該水に流して、該シート12aの該表面からの沈殿物の除去を促進することができる。該空気は、該シート12aを動揺させて(力を及ぼして)、該シート12aの該表面に形成している沈殿物から成る何らかの蓄積物を緩めることにより、該シート12aの該表面から沈殿物を除去してもよい。該シート12aは、可撓性ポリマー材料で形成されているため、該シート12aの下から形成された気泡は、該シートが、それらのシート上の該蓄積物を緩めるために動くように、該シート12の下面に当たって力を及ぼすことができる。該シート12aは、他の可能性のある構成を用いて、該沈殿物の除去を促進するように動揺させてもよい。例えば、該水溜り部12への水の流れは、該シート12aを動揺させるように脈動させてもよい。別の実施例では、該水処理システム30の該ケーブルを、該シート12aを動揺させるように動かしてもよい。
【0121】
図11および図12を参照すると、該可撓性ポリマー材料を含む平坦な傾斜シートを有する複数の平行な傾斜モジュール10a、10bを有する浄化装置19を含む水処理システム30の別の実施形態が図示されている。この特定の実施形態において、第一のモジュール10aの該支持体14aは、オーバーラップ76を形成するように、隣接する第二のモジュール10bの該支持体14bに重なるオーバーラップ材料を含んでもよい。該オーバーラップ76は、該第一のモジュール10aを該第二のモジュール10bに対して固定するべく、該第一の支持体14aの該オーバーラップ材料が該第二の支持体14bに固定されるように、溶接部78または他の取付け構成(縫製、化学結合、糊付け等)を含んでもよい。一つのモジュールを隣接するモジュールに固定する他の構成もまた、本発明の範囲内にある。
【0122】
図13を参照すると、チューブ浄化装置19を有する水処理システム30が図示されている。該チューブ浄化装置19は、可撓性材料から形成された複数の傾斜チューブ80を含んでもよい。該可撓性材料は、該チューブ80を形成するように、キャビティを画定することができる。該チューブは、任意の適当な形状、例えば、円形、楕円形、正方形、矩形またはハニカムの断面を有していてもよい。該可撓性材料は、該シートの前述した可撓性材料のうちのいずれかを含んでもよい。該可撓性材料は、前述したような疎水性の表面を有してもよく、および前述したような表面粗さを有していてもよい。該複数のチューブは、互いに対して固定することができる。一つの実施例において、第一のチューブは、例えば、溶接、糊付け、ウィービング等により、隣接する第二のチューブに取り付けてもよい。該複数の傾斜チューブは、地面と10°から90°、例えば、20°から80°、35°から70°、40°から60°、45°から65°、または45°から55°の角度を形成してもよい。
【0123】
引き続き図13を参照すると、該チューブ浄化装置19の該複数の傾斜チューブ80は、図19に示すように、該浄化装置19のチューブ構造が形成されるように、任意の数の方向において張力をかけられてもよい。該張力は、水溜り部壁に取付けられたケーブルにより、または外部フレームを介して与えることができる。
【0124】
図14を参照すると、図13の該チューブ浄化装置19が図示されているが、この実施形態では、該浄化装置19を支持するために、フレーム82が含まれている。該フレーム82は、該チューブ浄化装置19にその構造を与えるために、該チューブ浄化装置19の縁部に亘っていてもよい。該チューブ浄化装置19を支持する他の構成は、本発明の範囲内にある。
【実施例
【0125】
以下の実施例は、本発明の一般的原理を示すために提示されている。本発明は、提示されている具体的な実施例に限定されるものと見なすべきではない。
【0126】
実施例1~4
表1に詳述されている該材料から成る四つのサンプル(研磨316ステンレス鋼(比較例1)、低密度ポリエチレン(LDPE、実施例2)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、実施例3)、およびポリ塩化ビニル(PVC、実施例4))を、傾斜の角度を調節する能力を備えた傾斜プレートに付着させた。
【0127】
55ガロンのプレキシガラスタンクを構成して、その中に実施例1~4の傾斜プレート沈殿部を配置した。該地面に対する該シートの傾斜の角度は、該地面に対して40°から65°まで変化させた。綿状沈殿を引き起こすのに十分な化学組成で処理された、アレゲニー川からの流入水を、該傾斜プレート沈殿部へ流した。
【0128】
検査が完了した後に、該シート上に蓄積するフロックの量に対して、該シートの目視検査を実行した。該シート上に蓄積している、より多くの量のフロックは、該シートの該材料のより悪いパフォーマンスを示した。実施例1~4の場合の該シートを、この目視検査に基づいて検査した各傾斜の角度に対して互いにランク付けした。1というスコアは、最も良いパフォーマンスの材料を示し、また、4というスコアは、最も悪いパフォーマンスの材料を示す。結果を以下の表1に示し、「総得点」の欄は、さまざまな傾斜の角度における各検査のスコアを合計している。
【表1】
研磨316ステンレス鋼
18μm以下の平均表面粗さ(Sa)を有するLDPEシート
5μm以下の平均表面粗さ(Sa)を有するLLDPEシート
7μm以下の平均表面粗さ(Sa)を有するPVCシート
【0129】
該総得点は、概して、該可撓性ポリマー材料から形成されたシートが、該比較のステンレス鋼製シートよりも良好に性能を発揮したことを示している。
【0130】
上記の説明においては、さまざまな実施形態が記載されているが、当業者は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、該上記の説明に対して変更や代替を行ってもよい。例えば、この開示は、可能な限り、任意の実施形態の一つ以上の形状構成を、任意の他の実施形態の一つ以上の形状構成と組合せることができることが意図されていることを理解すべきである。したがって、該上記の説明は、限定的ではなく、例示的であることが意図されている。本願明細書において上述されている本発明は、添付クレームによって定義され、また、該クレームの意味および等価の範囲内にある、本発明に関するすべての変形は、それらの範囲内に包含されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14