(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】透過式歯槽骨超音波検査法(TAU)を用いて空洞化を検出する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/15 20060101AFI20230215BHJP
A61C 19/04 20060101ALI20230215BHJP
G01N 29/24 20060101ALI20230215BHJP
G01N 29/28 20060101ALI20230215BHJP
G01N 29/06 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
A61B8/15
A61C19/04 Z
G01N29/24
G01N29/28
G01N29/06
(21)【出願番号】P 2020550913
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(86)【国際出願番号】 EP2018084199
(87)【国際公開番号】W WO2019110846
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】102017011311.4
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520199587
【氏名又は名称】レチナー,ヨハン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レチナー,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン,バーンド
(72)【発明者】
【氏名】ファルケ,ステファン
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522709(JP,A)
【文献】特表2017-505168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
A61C 19/04
G01N 29/24
G01N 29/28
G01N 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顎骨内の空洞化の位置を特定するために透過式歯槽骨超音波検査法(TAU)を実行する測定ユニット(4)を含む装置(1)において、前記測定ユニットは超音波トランスデューサ(2)と丸い超音波レシーバ(3)を含み、前記装置は、前記超音波トランスデューサと前記超音波レシーバの相互に関する幾何学的位置を画定するように構成され、前記超音波トランスデューサ(2)はアーム(5)に連結され、前記測定ユニットの前記超音波レシーバ(3)は他のアームに連結され、前記アーム(5、6)は接続要素(7)によって相互に接続され、前記アームの少なくとも一方は前記接続要素に旋回可能に連結され
、
前記装置は、前記超音波トランスデューサ(2)と前記超音波レシーバ(3)との間の距離を適応可能とし、
前記超音波トランスデューサと前記超音波レシーバとの間の最小距離を画定するブロック要素(9)をさらに含み、好ましくは前記アーム(5、6)は剛体で、好ましくは前記ブロック要素は旋回点(8)と前記超音波トランスデューサ又は前記超音波レシーバとの間に配置される、装置。
【請求項2】
前記超音波トランスデューサと前記超音波レシーバは各々、平面を画定し、前記装置はさらに、前記それぞれの平面を実質的に反対の、及び/又は実質的に相互に対向する位置に配置するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
使用中、前記平面は、好ましくは相互に対する最大偏差角度が20度、より好ましくは10度、さらにより好ましくは5度、及び最も好ましくは3度で相互に実質的に平行である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記超音波トランスデューサ(2)と前記超音波レシーバ(3)の相互に対するせん断運動を実質的に回避できる案内要素をさらに含み、好ましくは前記案内要素は、前記旋回点と前記超音波トランスデューサ又は前記超音波レシーバとの間に配置され、好ましくは前記2つのアームの少なくとも一方は、前記2つの剛体アームの他方に関して横方向に調節可能又は平行に移動可能であるように構成され、好ましくは前記2つのアームの少なくとも一方はクランク状である、請求項
1に記載の装置。
【請求項5】
前記超音波トランスデューサと前記超音波レシーバは水平及び/又は垂直方向に移動可能又は調節可能である、請求項1~
4のうちの1項に記載の装置。
【請求項6】
良好な音響伝達性を確保するための手段を含み、前記手段は:
a)好ましくは、1460m/s~1615m/sの範囲の音速、0.3dB/cm~1.5dB/cm(1MHz)の範囲の音波減衰、及び/又は最大80mm/秒の自発弾性のための引取り速度を有する半固形ゲルであって、好ましくは前記トランスデューサ及び/又は前記レシーバに固定されるゲル、
b)液体又はゲル、好ましくは水が充填されて、どの方向にも圧縮できるフレキシブルカバーであって、好ましくは前記トランスデューサ及び/又は前記レシーバに固定されるフレキシブルカバー、及び
c)液体又はゲルが充填されて、どの方向にも圧縮できるフレキシブルで弾力のあるバルーン
のうちの少なくとも1つを含み、好ましくは前記フレキシブルカバーは相互に接続された2つのポケットを含み、前記2つのポケットはそれぞれ前記超音波レシーバと液体充填剤を保持し、前記フレキシブルカバーは好ましくは使い捨て製品であり、好ましくは少なくとも1つの発光ダイオード(LED)及び/又は少なくとも1つのカメラ及び/又は少なくとも1つの姿勢センサをさらに含み、好ましくは前記超音波トランスデューサ(2)及び/又は前記超音波レシーバ(3)は使い捨てカバーにより覆われ、これは好ましくは前記測定ユニットにより行われる測定の障害とならない、請求項1~
4のいずれか1項の装置。
【請求項7】
前記アームの少なくとも一方に加えられる力を測定するように構成されたフレキシブルストリップをさらに含み、前記装置は、前記測定された力の表示を提供するように構成され、前記表示は視覚的及び/又は聴覚的手段により提供され、好ましくは前記装置は、前記測定された力が1つ又は複数の所定の閾値を上回ったか、又はそれを下回ったことに応答して、測定された力の値に応じた表示を提供し、又は前記装置の動作を制御するように構成され、又は、好ましくは前記超音波トランスデューサ及び超音波レシーバ間の角度を測定するように、好ましくは前記装置によって行われる測定ごとに前記角度を測定するように構成された手段をさらに含み、好ましくは前記超音波レシーバにより生成されたアナログ信号データを増幅するように構成された手段をさらに含み、又は好ましくは前記超音波レシーバにより生成されたアナログ信号データを多重化するように構成された手段をさらに含み、好ましくは前記増幅手段及び/又は前記多重化手段は、前記超音波レシーバが連結され、前記超音波レシーバに近接する前記アームの中に配置され、好ましくは前記多重化されたアナログ信号データを、さらに処理するために前記装置に関連付けられる別個のメインユニットに送信する手段をさらに含み、前記装置から前記メインユニットまでの送信手段の数は前記超音波レシーバ内の能動圧電素子の数より少ない、請求項
1~
6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
良好な音響伝達性を確保するための前記手段は、前記超音波トランスデューサの能動面に固定され、前記超音波トランスデューサの厚さの3~6倍の厚さを有する、請求項
6に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は手持ち式である、請求項1~
8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の前記装置と、
メインユニットであって、
前記多重化されたアナログ信号データをデジタル化するように構成された処理手段と、
前記多重化されたアナログ信号データを保存するように構成されたメモリと、
前記装置に所望の周波数のパルスを送信するように構成された高電圧を生成する手段と、
を含むメインユニットと、
を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、空洞化を検出し、位置を特定する装置と方法に関する。詳しくは、本発明は、透過式歯槽骨超音波検査法(TAU(Through-Transmission Alveolar Ultrasonography))を用いた顎骨内の歯牙空洞化の検出及び位置特定に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
医学の分野では一般に、パルスエコー超音波検査法はあらゆる種類の軟組織の画像化のために広く使用されている。原則として、体内構造の画像は超音波の反射を分析することにより生成される。しかしながら、この方法は顎骨の状態に関する有益な情報を得るのには適しておらず、それは、骨/軟組織の中間層で超音波はほとんど完全に反射されるからである。特に、顎骨の海綿骨部分は、一般的に使用されている超音波機器では検査できない。それゆえ、これまで、歯科における超音波の使用は非常に限られている。例外は、Rostock(ドイツ)のCora Freyseによる博士論文であるかもしれず、その中では硬組織内の異常、例えば補綴物と天然の歯の組織との境界における異常等を超音波の反射を用いて特定する可能性が研究されている(http://www.deutschlandfunkkultur.de/zaehne-ultraschall-statt-strahlen.1067.de.html?dram:article#id=289091参照)。
【0003】
顎の海綿骨の状態は、臨床的に非常に重要である可能性がある。Jerry Bouquotは、海綿骨が大きく変性し得る解剖学的証拠を提供しており、この現象は「空洞化病変につながる虚血性骨壊死」と呼ばれる。Bouquotは、顎骨の骨壊死を神経障害性疼痛と関連付け、「神経障害性疼痛誘発空洞化歯槽骨壊死(NICO(neuralgia inducing cavitational osteonecrosis))」と呼ばれる疾患を定義している(J.E.Bouquot, A.M.Roberts, P.Person and J.Christian, "Neuralgia inducing cavitational osteonecrosis (NICO). Osteomyelitis in 224 jawbone samples from patients with facial neuralgia", Oral Surg Oral Med Oral Pathol. 1992, 73(3): 307-319; J. Bouquot, W.Martin and G. Wrobleski "Computer-based thru-transmission sonography (CTS) imaging of ischemic osteonecrosis of the jaws-a preliminary investigation of 6 cadaver jaws and 15 pain patients", Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod, 2001, 92: 550参照)。
【0004】
Johann Lechnerは、健全な皮質骨の内部の脂肪塊として現れるこのような病変部の組織を詳しく調べた。外科術で物質が単純に摘出される。この組織は虚血性の脂肪変性状態にある。そのため、Lechnerは観察された変化を「顎骨の脂肪変性骨溶解/骨壊死(FDOJ(fatty-degenerative osteolysis/osteonecrosis of jawbone))と定義している。Lechnerは、顎骨内に見られる脂肪の塊が生化学的に過剰に活性であり、特定のサイトカイン(zytokines)、すなわちRANTES(CCL-5)及びFGF-2のほか、PDGF及びMCP-1を大量に生成することを証明した。これらのサイトカイン(Zytokines)のレベルは、癌、痴呆症、多発性硬化症、又は関節炎等の多くの全身性疾患においても上昇する。各種の全身性疾患の進行と持続性が顎骨の脂肪変性骨溶解(FDOJ)に関係する可能性があるという強力な証拠があり、これはこのような組織を外科的に切除した後の驚異的な臨床的改善に基づく。しかしながら、こうした症例のほとんどにおいて、神経障害性疼痛(NICO)の局所的影響は見られない。(J. Lechner and V. von Baehr, "RANTES and fibroblast growth factor 2 in jawbone cavitations: triggers for systemic disease?” International Journal of General Medicine 2013, 6: 277-290; J. Lechner and W. Mayer "Immune messengers in neuralgia inducing cavitational osteonecrosis (NICO) in jaw bone and systemic interference”, Eur. J. Integr. Med. 2010, 2 (2): 71-77参照。)
【0005】
さらに、最近の出版物の中で、NICO及びFDOJのほか、いわゆる「顎骨内の無菌性虚血性骨壊死」(AIOJ(aseptic ischemic osteonecrosis in the jawbone))はすべて、疾病及び関連保険問題の国際統計分類第10版(ICD-10)のコードM87.0に列挙されているものと同じ顎骨の病理学的状態を示していることがもっともらしくなった。(J. Lechner, S. Schuett and V. von Baehr, "Aseptic-avascular osteonecrosis: local ’silent inflammation’ in the jawbone and RANTES/CCL5 overexpression", Clinical, Cosmetic and Investigational Dentistry 2017: 9 99-109参照。)
【0006】
それに加えて、より早期のBilal Al-Nawasの出版物によれば、顎骨の海綿骨部分の状態は、歯科インプラントにとって、及びインプラント歯学の成功にとって非常に重要である。(M. O. Klein, K.A. Grotz, B. Manefeld, P.H. Kann and B. Al-Nawas, ”Ultrasound transmission velocity for non-invasive evaluation of jaw bone quality in vivo prior to dental implantation”, Ultrasound in Medicine & Biology 2008, 34: 1966-1971参照。)
【0007】
したがって、顎骨の脂肪変性骨溶解には深刻な健康上のリスクが伴う可能性がある。しかしながら、主な問題は、脂肪変性骨溶解の生じている顎骨が、X線検査では異常な所見がないように見えることである。これは、たとえ海綿骨が大きく変性している場合であっても言えることであり、健康な海綿骨の海綿質ではなく脂肪組織だけが示される(FDOJ)。事実上、何れの種類のX線検査によっても検出不能であるため、AIOJ、FDOJ、及びNICOの発生とその現象は依然として広く知られておらず、論争中か、又は否定されてさえいる(J. Lechner, ”Validation of dental X-ray by cytokine RANTES - comparison of X-ray findings with cytokine overexpression in jawbone", Clinical, Cosmetic and Investigational Dentistry 2014, 6:71-79参照。)
【0008】
上述の問題を克服するために、異なる手法が必要であった。X線又はその他の確立された医学的検査方法の代わりに、透過式歯槽骨超音波検査法(TAU)の使用が評価された。
【0009】
透過式超音波検査法は、航空機業界等の幾つか技術分野において、例えば溶接継目の検査等に関してよく知られている。しかしながら、これは医学分野でも骨粗鬆症の診断のための骨密度の特定に使用される(C.M. Langton and C.F. Njeh. "The Measurement of Broadband Ultrasonic Attenuation in Cancellous Bone - A Review of the Science and Technology", IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control, 2008 (55) 7: 1546-1554参照)。
【0010】
米国特許第6,030,221A号は、顎骨空洞化を検出するための透過式歯槽骨超音波検査法(TAU)装置の最初の開示と考えられている。このTAU装置は、超音波パルスを生成し、このパルスを患者の顎骨に透過させる。パルスはその後、超音波受信ユニットによって検出され、モニタされる。パルスの振幅の減衰は、顎骨内の病理学的変の指標である。結果はカラーモニタ上で表示され、減衰の程度の違いに応じて異なる色が示される。
【0011】
米国特許第6,030,221A号の開示に対応するTAU装置は、数年間にわたり市販された。これは、Cavitat Medical Technologiesのエンジニアにより開発されたCavitat Ultrasonograph CAV 4000であった。この既知のTAU装置は複数の受信要素を使用し、出力パルスの周波数と音波のそれが約2.5MHzの範囲内である。受信した音波の処理は、動作周波数が約100MHzのデジタイザにより行われた。Jacques Imbeauは、この装置の基本原理と動作を出版物J. Imbeau, "Introduction to Through-Transmission Alveolar Ultrasonography (TAU) in Dental Medicine”, The Journal of Craniomandibular Practice, 2005 (23) 2: 100-112により詳しく記載している。
【0012】
しかしながら、この先行技術によるTA U装置には、Imbeauが上述の文献の106/107ページにおいてより詳しく説明している大きな欠点が見られる。これらの欠点は以下のとおり:
-第一に、センサとトランスデューサの、関係する解剖学的構造に関する正確且つ再現可能な位置付けには熟練技術と経験が必要であり、それによってこの技術は影響を受けやすく、難しいものとなっており、i.a.ImbeauはTAUを「使用者により影響を受ける技術」と呼ぶ(Imbeau,前述の文献、105ページ)。それに対応して、測定の再現性もかなり低い。さらに、使用される超音波ゲル中の気泡の複雑な問題がすでにImbeauにより次のように指摘されている:気泡により媒質を通過する、この場合は顎骨を通過する超音波信号は予測不能な方法で歪曲される。
-第二に、Cavitat Ultrasonographの受信要素から発せられる信号は非常に弱かった。したがって、これらの信号の評価は難度の高い作業であった。そのため、TAU装置の感度はあまりよくなかった。さらに、信号分析方法は米国特許第6,030,221A号で開示されていない(Imbeau,前述の文献104ページ参照)。
-第三に、Cavitat Ultrasonographの超音波受信ユニットの構成は十分に丈夫ではないため、使用中に受信ユニットの個々の測定ユニットのより多くが壊れ、それと同時に、製造者であるCavitat Medical Technologiesがしばらく営業を停止しているため、スペア部品が入手できなかった。したがって、この技術は受け入れられにくくなった。
-第四に、使用者にとって、TAU装置の校正をある期間で定期的にチェックすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の欠点の1つ又は幾つか又は全部を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
本発明は、超音波トランスデューサと超音波レシーバを含む新規のTAU装置を提供し、これらは以下、「測定ユニット」と呼ばれ、相互に関して一定の幾何学的位置に、好ましくは同一平面内に配置される。
【0015】
最新技術と比較すると、レシーバの構成は大きく改善される-(i)活性圧電素子の数が増え、(ii)従来は中央領域を(活性圧電素子で)取り囲んでいた広い円形領域(活性圧電素子を一切持たない)が最小限とされる。
【0016】
新規の測定ユニットの大きさは、それを患者の口内に容易に挿入できるような大きさである。超音波測定中、顎骨は測定ユニットの2つの部品間に位置付けなければならない。
【0017】
測定ユニットの一方の部品、好ましくは超音波トランスデューサは患者の口の中でも外でも使用できるのに対し、測定ユニットのもう一方の部品、好ましくは超音波レシーバは口の中の舌側又は口蓋側になければならない。外側に位置付ける場合、従来の超音波ゲルを使って、良好な音響伝達性を確保できる。
【0018】
測定ユニットのうち、患者の口内に設置されることになるすべての部品に関して、測定ユニットのそれぞれの部品と歯槽堤との間の音響結合は、(i)半固形ゲルを利用して、又は(ii)測定ユニットのそれぞれの部品のためのフレキシブルカバーを用いて、カバーに適当な媒質、例えば従来の超音波ゲル又は好ましくは水が、カバーの十分な柔軟性が依然として付与されるような方法で充填される(適正充填)ことにより、又は(iii)適当な媒質、すなわち従来の超音波ゲル又は好ましくは水が充填された、非常に柔軟で弾力性のあるバルーンにより、又は(iv)患者の舌を利用して行われる。(v)従来の超音波ゲルの使用も、好ましくはないものの、可能ではある。
【0019】
何れの実施形態も、歯槽堤と、測定ユニットの対応する部品の平面との間の異なる距離を均等化するのに適している。上述の実施形態の何れによっても、最適な結果を得るために測定ユニットの位置を迅速に調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明の第三の態様による超音波レシーバ3の例を示す。
【
図3】本発明の第四の態様によるシステム12の例示的な実施を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の好ましい例示的な実施形態を示す。装置1は手持ち式である。左にある、下側に位置付けられる厚い丸い要素は超音波トランスデューサ2であり、左にある、上側に位置付けられる薄い丸い要素は超音波レシーバ3である。これらは共同で測定ユニット4を形成する。2つのアーム5及び6は、測定ユニット4を保持し、右のハンドル7につながる。ハンドルには、2つのねじ8及び9が備えられ、右のねじ8はアーム5及び6を移動させるための旋回点の位置を示し、中央のねじ9は2つのねじ間に位置付けられるが図中では見えないブロック要素の位置を示す。一番右の位置にある電気ケーブル10は処理ユニット(図示せず)につながる。
【0022】
図2は、本発明の第三の態様による超音波レシーバ3の例を示し、超音波レシーバの活性圧電素子11は六角形であり、フィルム上に形成され、六角形の構成で配置されている。
図2に示される例によれば、超音波レシーバ3は、超音波レシーバ3の外面とその中の4つの圧電素子11との間の最小距離が4つの活性圧電素子11のうちの1つの大きさの半分であるように構成される。さらに、増幅器13とマルチプレクサ14を含む回路が示されている。
【0023】
図3は、本発明の第四の態様によるシステム12の例示的な実装を示し、システムは本発明の第一及び/又は第二の態様による手持ち式装置1を含み、装置1は、信号対ノイズ比を改善するため、すなわちエラーを減らすために、超音波レシーバ3により生成されたアナログ信号データを増幅する増幅器13と、好ましくは剛体アーム6の中に超音波レシーバ3に近接して配置されたマルチプレクサ14と、をさらに含む。
図3に示される例示的なシステムは、多重化されたアナログ信号データをデジタル化するように構成された処理手段16及び多重化されたアナログ信号データを保存するように構成されたメモリ17、並びに所望の周波数のパルスを装置に送信するように構成された高電圧生成手段18を含むメインユニット15をさらに含む。
【0024】
発明の好ましい実施形態の詳細な説明
Cavitat Ultrasonographは最も近い技術を代表している(米国特許第6,030,221A号)が、これは2つの欠点を示しており、上記を参照されたい。
【0025】
本発明は、これらの欠点を克服する方法を開示する。しかしながら、Cavitat Ultrasonographの幾つかの技術的特徴は変わらず、例えば出力パルスの周波数は約2.5MHzの範囲である。これによって、Cavitat装置の成果と本発明のTAU装置の成果をよく比較できる。
【0026】
したがって、本発明の目的は、既知のCavitat Ultrasonographより安全で扱いやすい装置と方法を提供することであり、それによって、経験の浅い使用者であっても、徹底した集中的な訓練を必要とせずに、再現可能な結果を得ることができる。
【0027】
本発明のさらなる目的は、より正確であり、且つ、より情報量の多い測定結果を得るために、使用される装置と方法の感度を高めることである。
【0028】
本発明の他の目的は、日常の使用条件下で十分な機能性を維持できるように堅牢な受信ユニットの構成である。
【0029】
最後に、本発明の目的は装置の校正を可能にすることである。
【0030】
上記の目的は、測定ユニットの新規の構成と、患者の顎骨と装置との間の良好な音響伝達性を確保するための新規の方法により達成されている。
【0031】
a)本発明の測定ユニット
本発明によれば、口内超音波測定、すなわち口の中のための測定ユニットは、明確に画定され、相互に対して固定の幾何学位置にある超音波トランスデューサと超音波レシーバ、すなわち「測定ユニット」を含む。
【0032】
本発明の実施形態によるTAU装置において、測定ユニットは好ましくは、同一平面内に位置付けられる。
【0033】
明確に画定された、固定の幾何学位置を提供するために、測定ユニットの2つの部品は好ましくは、接続要素により接続される2つの剛体アームに固定されるか、又はこれらは好ましくはその一部である。少なくとも一方のアームは回転可能であり、それによって測定ユニットの2つの部品はグリッパを形成する。追加的に、旋回点と測定ユニットとの間に案内要素を提供することによって測定ユニットの2つの部品の相互に対するせん断運動を回避することが好ましい。剛体アームの使用を通じて、測定ユニットの構成は、機械的歪みに起因するレシーバの異常が事実上排除される程度に丈夫となる。
【0034】
扱いやすさのために、2つの剛体アームをクランク状に提供することが好ましい。超音波トランスデューサ及びレシーバ、2つの剛体アーム、及び接続要素からなる装置全体を、以下、「取っ手」と呼ぶ。
【0035】
本発明によれば、測定ユニットの固定の幾何学位置を実現するための他の可能性には、U字型器具が含まれていてよい。この器具は、中央に配置されたバーと、バーに対して垂直に、側方要素として配置されるトランスデューサ及びレシーバと、からなる。トランスデューサとレシーバはバーに沿って水平に移動可能であり、それに加えて、垂直方向に位置変更可能である。トランスデューサとレシーバとの間の距離は、器具を実際に調節することによって即座に特定される。トランスデューサとレシーバが同一平面内にあることは、このような構成に固有の特徴である。器具を水平方向に調節することによりトランスデューサとレシーバを顎骨に近付けることができ、その一方で、垂直方向への調節は、医学的に重要な顎骨領域内の測定を行う役割を果たす。
【0036】
その端においてこのようなU字型器具を担持する取っ手も可能であり、それゆえ、上述の2つの可能性が組み合わせられる。
【0037】
以下において、取っ手を用いる解決策についてのみ説明する。
【0038】
本発明による測定は、器具の2つのアームを空洞化の存在が疑われる、又はその有無が検査される領域において顎骨の両側に位置付けることにより行われる。グリッパを形成する取っ手は、測定ユニットの両方の部品が測定にとって最適なに位置にあるときにわずかに圧縮されて、測定ユニットと顎骨との間の音響伝達が後述の方法で確保される。
【0039】
測定ユニットの一方の部品、好ましくはトランスデューサは、頬の外側のいずれかの箇所又は口の中の頬側のいずれかにあり、それに対して、レシーバは舌側又は口蓋側に位置付けられることになる。何れの場合も、トランスデューサとレシーバの位置は安全且つ簡単な方法で十分に画定される。測定を行うのに特別な訓練は必要なく、画定された幾何学的配置により、最適な結果が得られる。
【0040】
ほとんどの場合、頬の柔軟性は十分であり、既存の解剖学的特殊性を均等化しながらも、同一平面性を実現できるが、そうでなければ半固形ゲルを使用することができ、これについては後述する。しかしながら、その何れも実現不能である場合もあり、同一平面性から幾分逸脱することも容認されなければならないが、これらはできるだけ小さく保つべきである。同一平面性からの逸脱は1つの次元でのみ生じるが、Cavitat Ultrasonographでは、この逸脱は3つの次元すべてにおいて生じるのが一般的である点に留意すべきである。
【0041】
同一平面性からの逸脱を最小化するための本発明による1つの設計方式は以下の通り:取っ手の2つのアームの旋回点をトランスデューサとレシーバからできるだけ遠ざけることにより、小さい角度で際立った解剖学的特徴を均等化でき、それゆえ、同一平面性からわずかしか逸脱しないことがほとんどである。実際の作業では、同一平面性からの逸脱は3°~6°の範囲内であることが多く、同一平面性からの逸脱の影響を実験的にモニタできる。
【0042】
好ましくは取っ手の中に変位トランスデューサを含めることにより、超音波トランスデューサとレシーバとの間の角度を正確に特定でき、時々生じる同一平面性からの逸脱を、レシーバから発せられる信号の分析において考慮することができる。
【0043】
より高度な構成方法は、取っ手の2つのアームの一部として小さいヒンジを使用することを含んでいてよい。このような構成方法によれば、測定ユニットを所与の解剖学的状態に適応させることも可能となる。しかしながら、このような状況では、測定ユニットの2つの部品の距離及びそれらの相対的位置決めがあいまいとなり、それによって距離と角度に関する他の特定方法が必要となるが、これは当業者にとって理解しやすい。
【0044】
測定ユニット自体が剛体である、すなわち回転可能要素を持たない場合、必要な音響伝達性を得るための圧縮が不可能である。この場合、後述のいわゆる「フレキシブルカバーによる解決策」と「バルーンによる解決策」を変更でき、すなわち、まずフレキシブルカバー又はバルーンを測定箇所に導入しなければならず、その後、適当な手段、例えばカバー又はバルーンのいずれかに取り付けられた小型ポンプを使って、カバー又はバルーンを膨張させて、良好な音響伝達性を確保するのに十分な圧力を生じさせるようにしなければならない。
【0045】
これに対して、米国特許第6,030,221号(Cavitat Ultrasonograph)は、超音波トランスデューサ及びレシーバ間に剛体の機械的接続がなく、測定ユニットの2つの部分はフリーハンドで使用しなければならなかった。トランスデューサとレシーバ間の唯一の接続は、電気処理ユニットへとつながる電気ワイヤであった(米国特許第6,030,221号参照)。
【0046】
b)装置の感度の増大
新規のTAU装置の感度を既知のCavitat装置と比較して増大させるために、すでに上で説明した2つの対策が講じられており、すなわち、(i)能動圧電素子の数が増やされ、(ii)従来は中央領域を取り囲む幅の広い円形の領域(能動圧電素子を持たない)がごく幅の狭い縁部まで最小化されている。この縁部の最小幅は能動素子の大きさの半分である。このごく小さい縁部により、既知のCavitat装置ではアクセス不能な解剖学的構造における測定が可能となる。
【0047】
90を超える圧電素子の使用が好ましく、これはさらに六角形に配置すべきである。これらの対策に加えて、トランスデューサのアポダイズド型配置を適用することにより、回折エッジ効果が低減化し、解像度が改善する。
【0048】
c)校正及び機能試験
既定の幾何学に測定ユニットを配置することによって、装置の機能性の容易な試験と校正を行うことができる。この目的のために、音響特性の異なる2つ又はそれより多い媒質を提供し、これらの媒質の中で測定を連続して行う。校正のためにファントムを使用することも可能である。
【0049】
以下の例では、媒質としての水と空気の使用が説明されるが、媒質の他の選択肢も可能である。測定ユニットを水中に完全に沈め、ユニットを水の表面から徐々に引き上げ、最後にユニットを完全に空気中に置き、その間にユニットに超音波信号を送信し続けると、装置の機能性を評価できる。水と空気は大きく異なる信号を発し、それが特に測定ユニットが水と空気との境界を通過する時に発生すると想定されることから、装置の正確な機能を証明できる。このチェックは使用前に毎回行うべきである。
【0050】
d)良好な音響伝達性の確実な提供
米国特許第6,030,221号及び本発明によれば、測定ユニットのうち口の外部の部品(超音波トランスデューサ又はレシーバ)は、通常の超音波ゲルが少量あれば良好な音響伝達性を実現できる。
【0051】
技術的な測定上の理由から、本発明によれば、測定ユニットの配置は理想的であり、トランスデューサとレシーバの明確に規定された位置を実現できる。
【0052】
しかしながら、トランスデューサとレシーバの幾何学的位置が決まっている口内(enoral)超音波測定の現実的な適用は難しいことが判明している。米国特許第6,030,221号により患者の口の内部で使用される超音波ゲルは、透過式歯槽骨超音波検査法(TAU)から信号を、容易に、とりわけ再現可能な方法で得ようとする試みにおける主要な障害であることがわかった。
【0053】
これには幾つかの理由がある。
【0054】
第一に、超音波ゲルにいかなる気泡も生じないようにするのは難しく、これは、ゲルの粘性の高さによる。気泡は、信頼性の高い、繰返し可能な測定を阻害する。
【0055】
第二に、測定部位における顎骨の解剖学的外形輪郭と測定ユニット(通常、レシーバ)の平面は全く適合しない。測定ユニットの表面と歯槽堤の表面との間の距離には最大約5mmまでの間で大きくばらつき、したがって、大量の連結ゲルを塗布して、ギャップを完全に埋め、測定領域全体において良好な音響伝達性を得なければならず、これは使用者にとっては費用がかさみ、患者にとっては非常に不快である。
【0056】
第三に、このような大量のゲルを塗布するには再び、ゲルを気泡のない状態に保つ必要があり、この状況は現実的には実現が難しい。
【0057】
第四に、ゲルは所定の位置にとどまらなければならないが、これは通常、限定的な時間でしか実現できない。ゲルは患者の口の中のどこかへと徐々に消失してしまう。したがって、ゲルを頻繁に補給しなければならず、これによりゲルを気泡のない状態に保つ問題がはるかに増大するが、それは、口の中でゲルに気泡がないことを目視で検査することは非常に困難であるからである。
【0058】
第五に、偶然に歯槽堤がゲルによって部分的にしか覆われていない場合、及び/又は偶然に気泡がゲル内に閉じ込められた場合、TAU装置は何れの警告サインも送達せず、しかしながら超音波画像を引き続き表示するが、これは純粋なアーチファクトであり、それにはいかなる病理生態学的意味はなく、もちろん、繰返し性もない。アーチファクトの発生と警告サインの欠如は、現在まで、TAU測定の最も複雑な問題となっている。
【0059】
既知のCavitat Ultrasonographの非常に熟練した使用者であれば、トランスデューサとレシーバの厳密でない配置のみによるこれらの問題には、レシーバを傾ければ部分的に対処できる。レシーバを傾けることによって、必要なゲルの量を少量に保ち、ゲルの扱いに関する問題をある程度縮小できる。
【0060】
しかしながら、それによって生じるトランスデューサとレシーバの相対的位置決めの不確実性は、前述のようなCavitat Ultrasonographによる測定の繰返し性と信頼性の低下のまた別の原因であり、ゲルの特性により生じる問題も引き続き存在する。
【0061】
他方で、本発明によれば、このような抜け穴を利用できず、これはトランスデューサとレシーバの幾何学的位置が固定されていることにより傾けることができないからである。上記のように同一平面内の配置から逸脱できることで、ゲルの問題は一部のみ回避される。しかし、一般に使用されている超音波ゲルの難しい扱いは依然として大きな問題のままであり、TAU測定の使用者依存性と部分的信頼性欠如の主な理由である。
【0062】
したがって、これまでに使用されている超音波ゲルの代わりに、以下のような特性を有する他の音響媒質が必要である:(i)媒質の音響特性が適正な測定を妨害しない、(ii)測定機器、通常はレシーバと、歯槽堤との間の音響伝達性が、使用される音響媒質内に気泡がないことを確実にし、媒質とレシーバ及び歯槽堤の両方を完全且つ永久的に接触させることによって最適化される、(iii)測定の障害とならずに測定ユニットの位置を容易に調節できる、(iv)媒質が測定中又はさらにはその前に消失する傾向がない。
【0063】
口の中では、口内の唾液の存在により、追加の超音波ゲルは不要となる。唾液は、良好な音響伝達性にとって十分であり、唾液の粘性は低いため、気泡を容易に除去できる。
【0064】
本発明は、4つの解決策を開示する。(以下の説明を容易にするために、測定ユニットの、口の内部に配置される部品に関する動作についてのみ論じ、好ましくはこれは超音波レシーバである。)
【0065】
1.半固形ゲルによる解決策
この解決策では、半固形ゲルがレシーバと歯槽堤との間に設置される。このゲルの音速は、軟組織のそれと同範囲、すなわち1460~1615m/sであるべきであり、ゲルの音波減衰は0.3~1.5dB/cm(1MHz)であるべきであり、それによって顎骨の特性の音響測定が妨げられない。自発弾性のための引取り速度は最大で80mm/秒であるべきである。
【0066】
好適な半固形ゲルは、柔らかく、非常に弾性が高く、非常にフレキシブルで、半固形ゲルとレシーバ及び歯槽堤との完全な接触が確保できなければならず、使用される半固形ゲル内に気泡がないことは、目視検査でチェックできる。ゲルの柔軟性により、ゲルとの接触を妨害せず、且つ、測定を妨害せずに、測定ユニットの位置を調整することも可能である。ゲルの半固形特性により、測定前又は測定中のゲルの消失が防止される。このような特性を有する半固形ゲルは市販されており、例えばこれはドイツのバートカンベルクのSonogel Vertriebs-GmbHが販売するSonogel Sonokitソフト、商品番号6510及び6520である。これは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン又はスチレン-エチレン/プロピレン-スチレンの水素化中間ブロックを有するスチレンブロックコポリマであり、熱可塑性エラストマの化合物クラスに属する。
【0067】
半固形ゲルはそれ自体で使用でき、レシーバと歯槽堤との間に挿入されて、測定が行われる。解剖学的状態が複雑な場合、半固形ゲルを頬で、すなわち口の外側で使用することも妥当であり得る。このような場合、バルーンによる解決策(下記参照)も同様に使用できる。
【0068】
これは下顎骨にはうまく機能するが、上顎骨では、ゲルを所定の位置に保持するためにある程度の実践的技能が必要である。ゲルは手で保持することも、又は小型の補助構成物により支持することもできる。使用される一塊の半固形ゲルの大きさは、測定に必要な関係部分すべてを安全に覆うのに十分に大きいものとすべきである。
【0069】
本発明の好ましい形態において、一塊の半固形ゲルはレシーバに固定される。この目的のために、ゲルのブロックの狭小面をカットして、小さいポケットを作り、その中にレシーバを挿入でき、その際、ごく少量の潤滑剤、例えばこれまでに使用されていた超音波ゲル又は水の使用により、レシーバの挿入が容易となる。レシーバと半固形ゲルとの間の気泡をすべて除去した後、測定ユニットは使用できる状態となる。
【0070】
2.フレキシブルカバーによる解決策
この解決策では、結局は弾力性も有するフレキシブルカバーが測定ユニットの、圧電素子のある面にのみ固定される。測定を行うために、液体充填剤がカバーの中に挿入される。液体として、通常の連結ゲルも結局は使用できるが、単に水が好ましい。気泡の存在を慎重に回避しなければならない。液体の量は、カバーが依然としてフレキシブルで、どの方向にも簡単に圧縮できる量でなければならない。この充填の程度は「適正充填」と呼ばれるが、これは、満杯に充填されたカバーは所期の測定に適用できないからである。動作中、充填されたカバーを有するレシーバが歯槽堤に押し付けて圧縮され、カバーと歯槽堤との間の気泡がすべて除去され、良好な音響伝達性が実現される。
【0071】
測定ユニット(レシーバ)の裏面を前面と接続せず、測定中に加えざるを得ないわずかな圧力がかかったときに、充填剤が裏面に移動すること、実際には消失することを防止しなければならない。フレキシブルカバーは、裏面からクリップで留めることができ、若しくは裏面に剛体マスクにより固定することもでき、又は前面のみに糊付け若しくは積層してもよい。レシーバの裏面は、本来であれば干渉信号を生じさせることになる反射層を持たない状態に保たれるように注意しなければならない。減衰層の提供が賢明である。
【0072】
本発明の好ましい形態において、フレキシブルカバーは3つの層からなり、これらは2つのポケットを形成する。3つの層は3つの辺が閉じられ、4つ目の辺はカバーを操作するために開けたままにし、後で閉じることができる。
【0073】
2つの層は狭いポケットを形成し、その中にレシーバを挿入でき、その後、例えばそのポケットの内部に微量の超音波ゲルを塗布することによって、レシーバをカバーに音響的に接続し、それ以外は開いたままとすることができる。
【0074】
レシーバの前面の層は、3層構成の中間層を形成する。第三の層はこの中間層の上に設置され、これらが共同で第二のポケット、実際のカバーを形成し、その中に液体充填剤が導入される。カバーの大きさは重要ではないが、少なくとも測定に必要なすべての部品が安全に覆われる大きさでなければならない。再び、充填剤が「適正充填」であるように注意しなければならない。少なくとも第二のポケットの開放端を閉じた後、高い信頼性で容易な測定を行うことを可能にする機器が得られる。
【0075】
3層カバーは使い捨て製品として実現でき、この場合、「適正充填」がすでに予め行われており、使用者は使用前にレシーバを開いたままの小さいポケットに挿入するだけでよい。
【0076】
本発明の他の好ましい実施形態は、4層からなるカバーである。2層はレシーバのためのポケットを形成する役割を果たし、これについては上述を参照されたい。他の2層は、充填剤を保持する(適正充填)ように指定されたカバーを形成する役割を果たす。2つのポケットを適正に接続した後、フレキシブルカバーは使用できる。再び、それはレシーバの挿入と充填後に使用できる。
【0077】
3.バルーンによる解決策
この解決策は、超音波ゲル又は、好ましくは水が充填された、別の、非常に柔軟なバルーンを使用するものであり、これは測定ユニットのうち患者の口の中の1つ又は複数の部品と歯槽堤との間に設置される。良好な音響伝達性を確保するために、バルーンには超音波媒体が完全に充填され、これは依然としてバルーンをどの方向に圧縮できるような方法で使用され、バルーンの中には空気があるべきでない。バルーンの充填状態での大きさは重要ではなく、圧縮されたバルーンが測定ユニットと歯槽堤との間の空間を完全に埋めて、測定に必要なすべての部品が安全に覆われるのを確実にするために、少なくとも測定ユニット、ほとんどの場合はレシーバの大きさであるようにすべきである。
【0078】
測定中、充填されたバルーンの圧縮は超音波トランスデューサ及び超音波レシーバにより行われ、これらは測定ユニットの2つの部品を形成し、相互に関して主に、又は完全に同一平面内の位置に位置付けられる。バルーンを圧縮すると、バルーンと歯槽堤又はレシーバとの間の空間中に閉じ込められているかもしれないすべての気泡が除去される。この解決策は、下顎の測定にはうまく機能する。上顎の測定では、バルーンが重力によって落下するという問題がある。しかしながら、落下は、バルーンを下から位置付けられた小型の平らな器具で支えることによって容易に防止できる。小型器具自体は、測定ユニットの剛体アームに固定できる。バルーン内での好ましい水の使用によって、完全に適合する水の超音波特性によって、測定される超音波信号のあらゆる妨害が回避される。
【0079】
4.舌による解決策
この解決策では、患者の舌が、測定ユニットと顎骨のTAUにより検査しなければならない舌側すなわち口蓋側部分との間でわずかに圧縮され、このようにして良好な音響伝達性が提供される。舌の音響特性はわかっており、顎骨の海綿骨部分の測定を妨害しない。測定ユニットと舌との間のほか、舌と歯槽堤との間の境界面からすべての気泡が絞り出され、測定の障害となり得ない。
【0080】
この変形型は技術的には非常に容易であるが、患者にとってかなり不快であることがある。
【0081】
e)さらなる実施形態
衛生上及び経済上の理由から、使い捨てカバーの使用が提供され、これは有利な点として、測定器具又は半固形ゲル又はフレキシブルカバー又はバルーンを清潔且つ再使用可能に保つ。さらに、使い捨てカバーは使用される媒質のフレキシブル特性の障害とならず、したがって、超音波測定においてよく見られるように、弾力性はないが、フレキシブルなプラスチックフィルムが使用され、内部にごく少量の適当な潤滑剤、例えば通常の超音波ゲルが充填され、それによって測定器具、半固形ゲル、フレキシブルカバー、又はバルーンはカバーの中で自由に移動できる。フレキシブルカバーによる解決策では、フレキシブルカバー自体が使い捨て製品として使用される場合、さらなる使い捨てカバーの使用は不要である。
【0082】
本発明のさらなる実施形態では、レシーバの位置認識を改善するために、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)が提供される。さらに、測定実行中の超音波トランスデューサ及び/又は超音波レシーバの位置を記録するために、1つ又は複数のカメラもまた使用されてよい。カメラの代替案として、又はそれに追加して、超音波の向きを特定するために姿勢センサが提供される。すべての手段は、別々にも組み合わせても講じることができる。
【0083】
発明の追加的な好ましい例
図1による本発明の1つの態様によれば、顎骨内の空洞化の位置を特定するTAUを実行するための測定ユニット4を含む装置1が提供され、測定ユニットは、超音波トランスデューサ2と、丸い超音波レシーバ3を含む。超音波レシーバ3の形状は
図1において環状として示されているが、他の実施例では、角部に丸みが付けられた六角形等の異なる形状を有することもできる。本発明によれば、装置はポータブル、すなわち手持ち式であり、超音波トランスデューサ及び超音波レシーバの相互に関する幾何学的位置を画定するように構成される。
【0084】
好ましい例において、超音波トランスデューサと超音波レシーバは各々、平面を画定し、装置はさらに、それぞれの平面を実質的に反対に、及び/又は実質的に相互に対向する位置に配置するように構成され、使用中、これらの平面は実質的に相互に平行で、好ましくは相互に関する最大偏差角度は20度、より好ましくは10度、さらにより好ましくは5度、最も好ましくは3度である。
【0085】
さらなる好ましい例では、この装置により、超音波トランスデューサ2と超音波レシーバ3との間の距離を適応させることができ、好ましくは、超音波トランスデューサ又は超音波レシーバとの間に、これらを相互にごく近接させながら、それ以外にそれらが接触するのを防止するように位置付けることのできる最小距離を画定するブロック要素9をさらに含む。
【0086】
好ましい例において、測定ユニットの超音波トランスデューサ及び超音波レシーバはそれぞれ、剛体アーム5及び6に連結され、これらは接続要素7によって相互に接続される。その結果、実際には、超音波トランスデューサと超音波レシーバが2つのアームの端に配置される、1対のトングのような構成が得られる。2つのアームの少なくとも一方は好ましくは、接続要素に旋回可能に連結される。前述のブロック要素は好ましくは、旋回点8と超音波トランスデューサ又は超音波レシーバとの間に配置されてよい。
【0087】
他の例では、案内要素が提供され、これは超音波トランスデューサ2と超音波レシーバ3の相互に対するせん断運動の可能性を阻止するかもしれない。案内要素は好ましくは、旋回点と超音波トランスデューサ又は超音波レシーバとの間に配置される。
【0088】
他の例によれば、2つのアームの少なくとも一方は、2つの剛体アームのもう一方に関して横方向に調節可能若しくは平行移動可能に構成され、及び/又は2つのアームの少なくとも一方は好ましくはクランク状である。
【0089】
上述の例によれば、超音波トランスデューサ及び超音波レシーバは好ましくは、水平及び/又は垂直方向に移動可能又は調節可能である。
【0090】
本発明の第二の態様によれば、上記の第一の態様と同様に、顎骨内の空洞化の位置を特定するTAUを実行するための測定ユニット4を含む装置が提供され、測定ユニットは超音波トランスデューサ2と超音波レシーバ3を含み、装置は良好な音響伝達性を確保するための手段を含む。これらの手段は:
a)好ましくは、1460m/s~1615m/sの範囲の音速、0.3dB/cm~1.5dB/cm(1MHz)の範囲の音波減衰、及び/又は最大80mm/秒の自発弾性のための引取り速度を有する半固形ゲルであって、好ましくはトランスデューサ及び/又はレシーバに固定されるゲル、
b)液体又はゲル、好ましくは水が充填されて、どの方向にも圧縮できるフレキシブルカバーであって、好ましくはトランスデューサ及び/又はレシーバに固定されるフレキシブルカバー、及び
c)液体又はゲルが充填されて、どの方向にも圧縮できる柔軟で弾力のあるバルーン
のうちの少なくとも1つを含む。
【0091】
フレキシブルカバーは好ましくは、相互に接続された2つのポケットを含み、2つのポケットはそれぞれ超音波レシーバと液体充填剤を保持し、フレキシブルカバーは好ましくは使い捨て製品である。
【0092】
第二の態様による装置はまた、第一の態様に関して開示した前述の例示的な追加的特徴のいずれかも含んでいてよい。装置はまた、好ましくは、顎骨周囲の位置決めを支援するために、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)及び/又は少なくとも1つのカメラ及び/又は少なくとも1つの姿勢センサをさらに含んでいてよい。
【0093】
さらなる例において、超音波トランスデューサ2及び/又は超音波レシーバ(3)は使い捨てカバーにより覆われ、これは好ましくは測定ユニットにより行われる測定の障害とならない。
【0094】
本発明の第三の態様において、顎骨内の空洞化の位置を特定するTAUを行うための測定ユニット4を含む装置1で使用するための超音波レシーバ3が提供され、測定ユニットは超音波トランスデューサ2と超音波レシーバ3を含み、超音波レシーバ3は、超音波レシーバの外面とその中の複数の能動圧電素子11との間の最小距離が好ましくは複数の能動圧電素子のうちの1つの大きさの半分である。換言すれば、能動圧電素子の少なくとも幾つかは、超音波レシーバの外縁部に非常に近接しており、それによって能動圧電素子のうちの幾つかの縁辺と縁部との間の距離が能動素子自体の大きさより小さくなる。これは、
図2において見ることができ、以下により詳しく説明する。このような超音波レシーバ3は好ましくは、本発明の第一及び第二の態様による前述の装置の超音波レシーバ3として使用される。
【0095】
好ましい例において、超音波レシーバの能動圧電素子は六角形であり、フィルム上に形成されて、六角形の構成に配置され、フィルムは好ましくはフッ化ポリビニリデン、PVDFで製作される。この技術は、レシーバの表面積を最大限に利用し、レシーバの表面の大きな部分を能動圧電素子で覆うことができ、デッドスペースを排除し、小さい面積に形成可能なセンサ素子の数を最大化し、また、超音波レシーバにより生成される信号を処理するためのメインユニットのフィールドプログラマブルゲートアレイに応じたそのプログラミングを可能にする。さらに、測定は、例えば六角形のセグメントの各々の中のセンサ群について連続的に測定を行うことにより、複数のサイクルで実行されてよい。
【0096】
図2に示される他の好ましい例によれば、超音波レシーバ3は、超音波レシーバの外面とその中の4つの能動圧電素子11との間の最小距離が4つの能動圧電素子11のうちの1つの大きさの半分であるように構成される。
【0097】
他の好ましい例によれば、上述の装置は好ましくは、アームの少なくとも一方に加えられる力を測定するように構成されたフレキシブルストリップをさらに含み、装置は、測定された力の表示を視覚的及び/又は聴覚的手段により提供するように構成される。好ましくは、フレキシブルストリップを装置の超音波レシーバに連結されたアームの中に配置することにより、この例は、過剰な力が超音波トランスデューサと超音波レシーバとの間のゲル界面に加わるのを防止する。さらに、LED又はディスプレイは好ましくは、装置に加えられる力と、好ましくは使用者が装置のアームの少なくとも一方に加えているこのような力のレベルの表示を提供する。
【0098】
さらなる例によれば、測定された力が1つ又は複数の所定の閾値を上回ったか、又はそれを下回ったことに応答して、装置は好ましくは、測定された力の値に応じた表示を提供し、又は装置の動作を制御するように構成される。装置は、測定された力が所定の閾値を上回った場合、例えば超音波トランスデューサ及びレシーバの相互に対する近接度が低すぎることを示してよい聴覚アラームを表示及び/又は発出し、又は測定された力が所定の閾値を下回った場合(すなわち、使用者が装置を積極的に使用していないことを示す)、装置のスイッチを切り、不要な電力消費を節減することができる。
【0099】
さらなる例によれば、上述の装置は好ましくは、超音波トランスデューサと超音波レシーバとの間の角度を測定するように構成された手段をさらに含む。超音波トランスデューサ及びレシーバ間の角度は、少なくとも一方が他方に関して移動可能である2つの剛体アーム間の角度として定義されてよい。この手段は好ましくは、装置により行われる測定ごとに角度を測定するように構成される。この角度データは好ましくは、測定ごとに保存され、その後、評価して、測定エラーを回避するために使用されてよい。このデータはまた、超音波トランスデューサ及びレシーバ間の距離の値を導き出し、及び/又は力の測定と併せて、評価するための別の内容を提供し、さらに処理することで誤測定を低減させるためにも使用できる。
【0100】
さらなる好ましい例において、上述の装置は増幅器13、すなわち超音波レシーバにより生成されるアナログ信号データを増幅するように構成された手段をさらに含む。アナログ信号データを増幅してから送信することにより、高い信号強度と、微弱信号によるエラーの削減を緩和できる。
【0101】
さらなる好ましい例において、上述の装置はマルチプレクサ14、すなわち超音波レシーバにより生成されるアナログ信号データを多重化するように構成された手段をさらに含む。増幅手段及び/又は多重化手段は好ましくは、超音波レシーバが連結され、超音波レシーバに近接しているアームの中に配置されることにより、信号対ノイズ比が改善され、すなわちエラーが削減される。
【0102】
さらなる好ましい例において、装置は送信器、すなわち多重化されたアナログ信号データを、装置とは分離されているが信号をさらに処理するためにそれに関連付けられる別個のメインユニットに送信する手段をさらに含む。多重化により、装置からメインユニットまでの送信手段の数は、有利な点として、超音波レシーバ内の能動圧電素子の数より少なくなる。複数のすべての能動圧電素子(例えば、96の素子)から同時に受信したアナログ信号データを多重化することにより、有線接続された例では、すなわち送信手段が複数のケーブルを含む場合では、装置は有利な点として、事前処理された信号データをメインユニットに送信するのに必要なケーブル数を減らし(例えば、96に対して8本のケーブル)、それによって信号データの逐次的送信及び処理が可能となる。無線の実施形態では、すなわち送信手段が無線送信機である場合、装置は同様に、多重化された信号をメインユニットに無線で送信するために必要なチャネル数も同様に減らし、それによって送信リソースが効率的に使用される。
【0103】
良好な音響伝導性を確保するための手段を含む上述の装置のさらなる例において、この手段は超音波トランスデューサの能動側に固定され、超音波トランスデューサの厚さの3倍~6倍の厚さを有する。超音波トランスデューサの送信面に、それ自体の厚さより比較的厚いゲル層を含めることによって、この例では容易な操作、すなわち困難な、すなわち均一でない解剖学的構造を測定するためのトランスデューサ角度の変更が可能となる。
【0104】
図3に示される本発明のさらなる第四の態様によれば、本発明の第一及び/又は第二の態様による上述の装置を含むシステム12が提供され、これは、多重化されたアナログ信号データをデジタル化するように構成された処理手段16及び多重化されたアナログ信号データを保存するように構成されたメモリ17、並びに装置1に所望の周波数のパルスを送信するように構成された高電圧を生成する手段18を含むメインユニット15を含む。システムは、測定され、処理されたデータを保存するための、メインユニットに有線又は無線手段により接続されたサーバ19及び/又は同じくメインユニットに有線又は無線手段で接続された表示ユニット20をさらに含んでいてよい。
【0105】
本発明の第五の態様において、好ましくは上述の装置又はその好ましい例のうちの1つを使って、顎骨内の空洞化の有無と位置を特定する方法が提供される。このような方法では、音響伝達性は好ましくは、超音波ゲルの使用及び/又は患者の舌の使用により確立される。
【0106】
1つの例において、方法は、増幅され、多重化されたアナログ信号データを、信号データのデジタル化と同時に、装置に関連付けられる別個のメインユニットの中の処理手段へと送信するステップと、部分的に処理された信号データをメモリに保存するステップと、部分的に処理されたデジタル信号データを最終的な処理と装置に関連付けられる表示ユニットへのその後の送信のためにソフトウェアアプリケーションに送信するステップと、をさらに含む。すべての生の信号データを(部分的に)処理された、例えばデジタル化された信号データとは別に保存することにより、これによってその後、変更する、例えばTUA画像の解像度を改善するために、生データに基づいて信号を処理することが可能となる。
【0107】
好ましい例において、方法は、連続する圧電要素の群のアナログ信号データを同時に受信することと、超音波レシーバにより生成されたアナログ信号データを多重化し、増幅することと、を含む。信号データをこのようにしてより小さい部分に分割することにより、事前処理が容易となるかもしれない。さらに、これによって、1サイクル中に例えば8つの能動圧電素子からの信号の処理が可能となる。しかしながら、各サイクルでは、測定の良好な広がり又は分布を確保するために、隣接しない能動圧電素子が好ましくは使用される。例えば、全体で96の圧電素子について、12サイクルが実行されてよい。この方式は、処理中の素子間のクロストークの可能性を回避するという利点を提供し、それゆえ、エラーを減少させ、解像度を増大させる役割を果たす。
【0108】
別の好ましい例において、方法は、異なる信号強度を、異なるトーンを含むグレイスケール、異なる色を含む1つ又は複数のカラースキーム、及びグラフのうちの少なくとも1つに関連付けることによってさらに処理されたデータを表示するステップを含み、好ましくは、問題のないゾーンの信号データはより小さいカラー領域で表示され、異常な点を示すデータは大きい領域として表示される。1つ又は複数のグレイスケール/カラースキームを提供することにより、これは使用者が関連性の高いデータを認識するのを助ける。さらに、グラフの形態で信号データを表示することによって迅速な診断が可能となる。このようなグラフは、例えば積み上げ棒グラフ等の2Dフォーマット又は3Dで表示できる。例えば2.5MHzの基本波及び、例えば7.5MHzの第三調波を測定することにより、本発明のこの例では、基本波の値のみの初期分析が可能であり、それは、これに必要な処理リソースが少なくてよいからである。さらに、第三調波の値はその後分析されてよい。このような測定と分析を使ってグラフを形成でき、これは例えば、空洞化の可能性を示す高速波の存在を示すかもしれない。任意選択により、信号データはまた、平面図でも表示でき、顎骨の問題のない領域の信号はより小さいカラー領域で表示され、異常な点は大きい領域で示され、それが診断を助ける。
【0109】
他の好ましい例では、さらに処理されたデータは、それをTAUを使って測定中の顎骨領域のX線画像に重ねることにより表示されてもよい。これは有利な点として、診断のためのより多くの内容を提供し、関連性の高いデータの認識を改善する。
【0110】
最後に、上述の説明にしたがって装置の適正な機能を校正し、試験する方法が提供され、この方法は、異なる既知の音響特性を有する媒質内で複数の超音波測定を連続的に実行することと、行われた超音波測定の結果をデフォルト値と比較することと、を含む。校正を容易にするために、そのような校正のために2つの著しい対照的な媒質を使用してもよく、例えばまず水中で超音波測定を実行し、その後、トランスデューサとレシーバを水中から取り出して、引き続き第二の媒質として空気中で測定を行う。